JP2004320964A - 電力変換システム - Google Patents
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Abstract
【課題】コンバータとインバータを備える電力変換装置を複数台並列運転する電力変換システムにおいて、比較的簡単な構成により各コンバータを同期させて並列運転する。
【解決手段】複数のコンバータ制御装置の内、一つの系のコンバータ制御装置のPWMキャリア信号の位相を位相基準にして、残りの系のコンバータ制御装置のPWMキャリア信号の位相を各々位相基準に合わせる。
【効果】コンバータ間に流れる零相電流が抑制され、相間リアクトルの容量を小さくできる。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のコンバータ制御装置の内、一つの系のコンバータ制御装置のPWMキャリア信号の位相を位相基準にして、残りの系のコンバータ制御装置のPWMキャリア信号の位相を各々位相基準に合わせる。
【効果】コンバータ間に流れる零相電流が抑制され、相間リアクトルの容量を小さくできる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電力変換装置が並列運転される電力変換システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
電力変換装置は、電源側の交流電力を直流電力に変換するコンバータと、コンバータから出力された直流電力を交流電力に変換するインバータとを備える。これらコンバータとインバータは、パルス幅制御すなわちPWM(Pulse Width Modulation)制御によって制御される。電力変換装置は、インバータで変換した交流電力の周波数でモータを可変速制御する。モータを利用した製品は可変速が必要なものが多いので、モータの可変速制御には電力変換装置が広く用いられている。
【0003】
小容量モータの場合、回生エネルギーは回生抵抗などで消費させるが、大容量モータの場合、回生エネルギーを電源側へ電力として戻すために、コンバータにスイッチング素子を用いている。
【0004】
ここで、さらに大容量のモータを制御するために、新しい電力変換装置を設計・製作するにはコストがかかるため、従来からある電力変換装置を並列運転することでコストを低減する。複数台の電力変換装置を並列運転すると、それぞれのコンバータの動作が同期しないため電源側に零相電流が流れる。零相電流は、リアクトル容量を大きくすると抑制できるが、装置が大型化するという問題が有る。
【0005】
そこで、従来は、電流検出器の検出値の和より求めた零相電流を低減するように、同一PWMキャリア信号を用いて複数のコンバータを同期させる(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−260793号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、零相電流を直接検出することにより零相電流を抑制するため、新たな制御回路部が必要となり、配線や信号が複雑になるなどの問題がある。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を考慮してなされたものであり、比較的簡単な構成により複数のコンバータを同期させて並列運転することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題が複数台を並列したコンバータが起動している時に零相電流が発生してしまうことに着目し、複数台が並列されているコンバータにおいてそれぞれのコンバータのPWMキャリア信号を同期させることにより、零相電流を抑制する。
【0010】
具体的には、複数台のコンバータにて基準となるコンバータのPWMキャリア信号とその他のコンバータのPWMキャリア信号を同期させる手段を設ける。
【0011】
さらに、具体的には、複数台の並列された電力変換装置のうち、基準となるコンバータを1台決定する。他のコンバータは、自分自身のコンバータのPWM発生部のPWMキャリア信号と、基準となるコンバータのPWM発生部のPWMキャリア信号との差分を見ることにより、自分自身のコンバータのPWMキャリア信号を、基準となるコンバータのPWMキャリア信号と同期させる。これにより、複数台並列したコンバータのPWMキャリア信号を同期することができる。
【0012】
このような構成にすることにより、複数台並列されたコンバータ制御装置のそれぞれのPWMキャリア信号が同期し、零相電流を抑制することができる。さらに、零相電流の抑制に伴い、相間リアクトル容量も小さく設定できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の1実施例であり、2台の電力変換装置を並列接続して運転する電力変換システムを示す。ここで、負荷はエレベータとする。基準となる電力変換装置をA系、他方の電力変換装置をB系と呼ぶことにする。
【0014】
図1の電力変換システムのブロック図において、1は電源として利用する三相交流電源、2は三相交流電源1のフィルタとして利用されるA系コンバータ側のリアクトル、3はリアクトル2から出力された電流を検出するA系コンバータ側の電流検出器である。
【0015】
4は三相の交流電力を直流電力に変換するA系コンバータ、5はコンバータ側のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のA系トランジスタ素子、6はコンバータ4で整流した直流電圧を平滑するA系平滑コンデンサ、7は平滑コンデンサ6で平滑した直流電圧を所定電圧および所定周波数の交流電力に変換するA系インバータである。
【0016】
8はインバータ7から出力された電流を検出するA系インバータ側の電流検出器、9は2並列のインバータ間を接続する相間リアクトル、10は誘導電動機、11は誘導電動機10の速度検出のためのエンコーダ、12は誘導電動機10に直結されたエレベータの巻上機、13はエレベータのそらせ車、14は乗りかご、15はつり合いおもりである。
【0017】
16はコンバータ側の電圧を制御するA系電圧制御回路、17は電流検出器3と電圧制御回路16から出力された信号で電流制御するA系コンバータ側のACR、18はACR17より出力された信号を計算するA系コンバータ側のPWM制御回路、19はPWM制御回路18から出力された信号をIGBT5へ出力するA系コンバータのゲート駆動回路である。
【0018】
20はエンコーダ11より出力された信号を受けとるA系速度制御回路、21は電流検出器8と速度制御回路20から出力された信号で電流制御するA系インバータ側のACR、22はACR21より出力された信号を計算するA系インバータ側のPWM制御回路、23はPWM制御回路22から出力された信号をインバータ7へ出力するA系インバータのゲート駆動回路である。
【0019】
さらに、図1において、24は三相交流電源1のフィルタとして利用されるB系コンバータ側のリアクトル、25はリアクトル24から出力された電流を検出するB系コンバータ側の電流検出器、26は三相の交流電力を直流電力に変換するB系コンバータ、27はコンバータ側のIGBTのB系トランジスタ素子、28はコンバータ26で整流した直流電圧を平滑するB系平滑コンデンサ、29は平滑コンデンサ28で平滑した直流電圧を所定電圧および所定周波数の交流電力に変換するB系インバータである。30はインバータ29から出力された電流を検出するB系インバータ側の電流検出器である。
【0020】
31はコンバータ側の電圧を制御するB系電圧制御回路、32は電流検出器25と電圧制御回路31から出力された信号で電流制御するB系コンバータ側のACR、33はACR32より出力された信号を計算するB系コンバータ側のPWM制御回路、34はPWM制御回路33から出力された信号をIGBT27へ出力するB系コンバータのゲート駆動回路である。35は電流検出器30から出力された信号で電流制御するB系インバータ側のACR、36はACR35より出力された信号を計算するB系インバータ側のPWM制御回路、37はPWM制御回路36から出力された信号をインバータ29へ出力するA系インバータのゲート駆動回路である。また、38はA系コンバータ制御回路とB系コンバータ制御回路をあわせたコンバータ制御装置である。
【0021】
三相交流電源1より入力された交流は並列となった2台の電力変換装置に分けられる。交流電力を直流電力に変換するA系コンバータ4,B系コンバータ26で整流され、整流した直流電圧を平滑するA系コンデンサ6,B系コンデンサ28で平滑され一定電圧の直流に変換される。平滑された直流電圧は所定電圧および所定周波数の交流電力に変換するA系インバータ7,B系インバータ29で交流電力に変換され、A系インバータ7とB系インバータ29から出力された交流電力をもとに相間リアクトル9を介して、誘導電動機10が回転する。この誘導電動機10の回転により、エレベータの巻上機12が回転し、乗りかご14が上下に移動する。
【0022】
ここで、三相交流電源1から出力された交流電力はA系およびB系にそれぞれ分割される。コンバータ側は、三相交流電源1で交流電力をA系電流検出器3,B系電流検出器25で検出し、それをA系コンバータ側ACR17,B系コンバータ側ACR32に送る。また、A系平滑コンデンサ6,B系平滑コンデンサ28での直流電圧の値をもとにA系電圧制御回路16,B系電圧制御回路31に送り、A系コンバータ側ACR17,B系コンバータ側ACR32で、A系電流検出器3,B系電流検出器25からの信号とあわせてA系コンバータ側PWM制御回路18,B系コンバータ側PWM制御回路33に送られ、PWM制御回路で計算されたPWMキャリア信号でコンバータ側のそれぞれのIGBTを制御している。
【0023】
このとき、基準となるA系コンバータ側PWM制御回路18のPWMキャリア信号をB系コンバータ側PWM制御回路33に送り、B系は、A系のPWM波形と同期させることにより、A系およびB系コンバータ側のPWM制御回路を同期させ、A系およびB系ゲート駆動制御回路を制御し、インバータ側IGBTを同期されたPWMキャリア信号でスイッチングさせる。
【0024】
本実施例は、コンバータ制御装置38内A系コンバータ側PWM制御回路18とB系コンバータ側PWM制御回路33を同期させるものである。
【0025】
図2は図1中のコンバータ制御装置38のうち、PWM波形発生部の詳細である。複数台電力変換装置におけるコンバータの同期について説明するため、図2は3並列のコンバータ制御装置を示している。図2のブロック図において、101は3台並列されたコンバータの基準となるA系コンバータのPWM発生部、102はB系コンバータのPWM発生部、103はC系コンバータのPWM発生部、
104はA系コンバータのPWMキャリア信号発生部、105はB系コンバータのPWMキャリア信号発生部、106はC系コンバータのPWMキャリア信号発生部、107はB系コンバータのPWMキャリア信号演算回路、108はC系コンバータのPWMキャリア信号演算回路である。
【0026】
複数台並列された電力変換装置のコンバータ制御装置のうち、基準となるA系コンバータは、A系PWMキャリア信号発生部104にて出力されたPWM波形がA系PWM発生部101を介してPWM波形が出力される。一方B系コンバータは、B系PWMキャリア信号発生部105から出力されたPWMキャリア信号がB系PWM発生部102を介して出力されるが、これだけでは、A系コンバータのPWM発生部101から出力された波形と同期されていない。もし、同期されていないと、A系およびB系コンバータ間に零相電流が発生する。
【0027】
そこで、A系コンバータのPWMキャリア信号発生部104から出力された
PWMキャリア信号を位相基準とし、B系コンバータのPWMキャリア信号発生部105から出力されたPWMキャリア信号との差分を計算し、B系コンバータの演算回路107を介してPWMキャリア信号発生部105からPWMキャリア信号が発生し、B系PWM発生部102から出力される。これにより、A系コンバータのPWM発生部101から出力される波形とB系コンバータのPWM発生部102から出力される波形の位相差がB系コンバータの演算回路107を介す前の出力波形と比べて小さくなる。PWMキャリア信号の差分の計算を繰り返すことで、A系コンバータのPWM発生部101から出力される波形とB系コンバータのPWM発生部102から出力される波形との位相差が、徐々に小さくなり、最終的に位相差がほぼ無くなり、同期する。
【0028】
C系コンバータについてもB系コンバータと同様にA系コンバータのPWMキャリア信号発生部104から出力されたPWMキャリア信号を位相基準とし、C系コンバータのPWMキャリア信号発生部106との差分をとり、C系コンバータの演算部108を介して、PWMキャリア信号発生部106から出力される。これを繰り返すことにより、A系コンバータのPWM発生部101から出力される波形とC系コンバータのPWM発生部103から出力される波形との位相差が、徐々に小さくなり、最終的に位相差がほぼ無くなり、同期する。
【0029】
以上より、A系,B系,C系それぞれのコンバータをA系コンバータのPWMキャリア信号を位相基準として、演算したものをB系およびC系コンバータのPWMキャリア信号とすることにより、A系,B系,C系のコンバータの位相差がほぼ無くなり、A系,B系,C系のコンバータが発生するPWM波形は同期することとなる。
【0030】
図3は、図2のコンバータ制御装置のPWM制御回路部分のフロー図である。コンバータ制御装置にコンバータ起動の信号が入るとA系,B系,C系のコンバータ制御装置が起動する(STEP201)。A系コンバータ制御装置のPWMキャリア信号を基準とし、B系C系のPWMキャリア信号の差分を求める(STEP202)。PWMキャリア信号の差分がほぼ無くなるまで、差分を求め続け、差分がほぼ無くなるとA系,B系,C系のPWMキャリア信号が同期する(STEP203,204)。
【0031】
本実施例をもとにして、複数台を並列にした電力変換装置におけるコンバータ制御装置において、1台の基準とするコンバータのPWMキャリア信号を位相基準として他のコンバータのPWMキャリア信号の位相を基準とするコンバータの位相との差分に基づいて位相差をほぼ無くすことで、複数台の並列された電力変換装置におけるコンバータ制御装置の全てのPWMキャリア信号を同期させることができ、零相電流を抑制できる。
【0032】
また、コンバータが多数並列運転される場合、隣り合ったPWMキャリア信号の差分を求めることにより、位相差をほぼ無くして同期させ、さらに隣り合ったPWMキャリア信号の差分を取ることにより、位相差をほぼ無くして同期させることによっても、各コンバータ制御装置のPWMキャリア信号を同期させ、コンバータ側の零相電流を抑制できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、比較的簡単な構成により複数台並列したコンバータに発生する零相電流を抑制することができる。また、これにより、コンバータ側のリアクトル容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電力変換システム。
【図2】コンバータ制御装置のPWM制御回路部分の詳細図。
【図3】コンバータ制御装置のPWM制御回路部分のフロー図。
【符号の説明】
3…A系コンバータ側の電流検出器、4…A系コンバータ、5…IGBTのA系トランジスタ素子、9…相間リアクトル、10…誘導電動機、11…エンコーダ、12…巻上機、16…A系コンバータ側の電圧制御回路、17…A系コンバータ側のACR、18…A系コンバータ側のPWM制御回路、19…A系コンバータのゲート駆動回路、25…B系コンバータ側の電流検出器、26…B系コンバータ、27…IGBTのB系トランジスタ素子、31…B系コンバータ側の電圧制御回路、32…B系コンバータ側のACR、33…B系コンバータ側のPWM制御回路、34…B系コンバータのゲート駆動回路、38…コンバータ制御装置、101…A系コンバータのPWM制御回路、102…B系コンバータ制御装置のPWM制御回路、103…C系コンバータ制御装置のPWM制御回路、104…A系コンバータ制御装置のPWM発生部、105…B系コンバータ制御装置のPWM発生部、106…C系コンバータ制御装置のPWM発生部、107…B系コンバータ制御装置のPWM発生部の演算回路、108…C系コンバータ制御装置のPWM発生部の演算回路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電力変換装置が並列運転される電力変換システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
電力変換装置は、電源側の交流電力を直流電力に変換するコンバータと、コンバータから出力された直流電力を交流電力に変換するインバータとを備える。これらコンバータとインバータは、パルス幅制御すなわちPWM(Pulse Width Modulation)制御によって制御される。電力変換装置は、インバータで変換した交流電力の周波数でモータを可変速制御する。モータを利用した製品は可変速が必要なものが多いので、モータの可変速制御には電力変換装置が広く用いられている。
【0003】
小容量モータの場合、回生エネルギーは回生抵抗などで消費させるが、大容量モータの場合、回生エネルギーを電源側へ電力として戻すために、コンバータにスイッチング素子を用いている。
【0004】
ここで、さらに大容量のモータを制御するために、新しい電力変換装置を設計・製作するにはコストがかかるため、従来からある電力変換装置を並列運転することでコストを低減する。複数台の電力変換装置を並列運転すると、それぞれのコンバータの動作が同期しないため電源側に零相電流が流れる。零相電流は、リアクトル容量を大きくすると抑制できるが、装置が大型化するという問題が有る。
【0005】
そこで、従来は、電流検出器の検出値の和より求めた零相電流を低減するように、同一PWMキャリア信号を用いて複数のコンバータを同期させる(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−260793号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、零相電流を直接検出することにより零相電流を抑制するため、新たな制御回路部が必要となり、配線や信号が複雑になるなどの問題がある。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を考慮してなされたものであり、比較的簡単な構成により複数のコンバータを同期させて並列運転することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題が複数台を並列したコンバータが起動している時に零相電流が発生してしまうことに着目し、複数台が並列されているコンバータにおいてそれぞれのコンバータのPWMキャリア信号を同期させることにより、零相電流を抑制する。
【0010】
具体的には、複数台のコンバータにて基準となるコンバータのPWMキャリア信号とその他のコンバータのPWMキャリア信号を同期させる手段を設ける。
【0011】
さらに、具体的には、複数台の並列された電力変換装置のうち、基準となるコンバータを1台決定する。他のコンバータは、自分自身のコンバータのPWM発生部のPWMキャリア信号と、基準となるコンバータのPWM発生部のPWMキャリア信号との差分を見ることにより、自分自身のコンバータのPWMキャリア信号を、基準となるコンバータのPWMキャリア信号と同期させる。これにより、複数台並列したコンバータのPWMキャリア信号を同期することができる。
【0012】
このような構成にすることにより、複数台並列されたコンバータ制御装置のそれぞれのPWMキャリア信号が同期し、零相電流を抑制することができる。さらに、零相電流の抑制に伴い、相間リアクトル容量も小さく設定できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の1実施例であり、2台の電力変換装置を並列接続して運転する電力変換システムを示す。ここで、負荷はエレベータとする。基準となる電力変換装置をA系、他方の電力変換装置をB系と呼ぶことにする。
【0014】
図1の電力変換システムのブロック図において、1は電源として利用する三相交流電源、2は三相交流電源1のフィルタとして利用されるA系コンバータ側のリアクトル、3はリアクトル2から出力された電流を検出するA系コンバータ側の電流検出器である。
【0015】
4は三相の交流電力を直流電力に変換するA系コンバータ、5はコンバータ側のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のA系トランジスタ素子、6はコンバータ4で整流した直流電圧を平滑するA系平滑コンデンサ、7は平滑コンデンサ6で平滑した直流電圧を所定電圧および所定周波数の交流電力に変換するA系インバータである。
【0016】
8はインバータ7から出力された電流を検出するA系インバータ側の電流検出器、9は2並列のインバータ間を接続する相間リアクトル、10は誘導電動機、11は誘導電動機10の速度検出のためのエンコーダ、12は誘導電動機10に直結されたエレベータの巻上機、13はエレベータのそらせ車、14は乗りかご、15はつり合いおもりである。
【0017】
16はコンバータ側の電圧を制御するA系電圧制御回路、17は電流検出器3と電圧制御回路16から出力された信号で電流制御するA系コンバータ側のACR、18はACR17より出力された信号を計算するA系コンバータ側のPWM制御回路、19はPWM制御回路18から出力された信号をIGBT5へ出力するA系コンバータのゲート駆動回路である。
【0018】
20はエンコーダ11より出力された信号を受けとるA系速度制御回路、21は電流検出器8と速度制御回路20から出力された信号で電流制御するA系インバータ側のACR、22はACR21より出力された信号を計算するA系インバータ側のPWM制御回路、23はPWM制御回路22から出力された信号をインバータ7へ出力するA系インバータのゲート駆動回路である。
【0019】
さらに、図1において、24は三相交流電源1のフィルタとして利用されるB系コンバータ側のリアクトル、25はリアクトル24から出力された電流を検出するB系コンバータ側の電流検出器、26は三相の交流電力を直流電力に変換するB系コンバータ、27はコンバータ側のIGBTのB系トランジスタ素子、28はコンバータ26で整流した直流電圧を平滑するB系平滑コンデンサ、29は平滑コンデンサ28で平滑した直流電圧を所定電圧および所定周波数の交流電力に変換するB系インバータである。30はインバータ29から出力された電流を検出するB系インバータ側の電流検出器である。
【0020】
31はコンバータ側の電圧を制御するB系電圧制御回路、32は電流検出器25と電圧制御回路31から出力された信号で電流制御するB系コンバータ側のACR、33はACR32より出力された信号を計算するB系コンバータ側のPWM制御回路、34はPWM制御回路33から出力された信号をIGBT27へ出力するB系コンバータのゲート駆動回路である。35は電流検出器30から出力された信号で電流制御するB系インバータ側のACR、36はACR35より出力された信号を計算するB系インバータ側のPWM制御回路、37はPWM制御回路36から出力された信号をインバータ29へ出力するA系インバータのゲート駆動回路である。また、38はA系コンバータ制御回路とB系コンバータ制御回路をあわせたコンバータ制御装置である。
【0021】
三相交流電源1より入力された交流は並列となった2台の電力変換装置に分けられる。交流電力を直流電力に変換するA系コンバータ4,B系コンバータ26で整流され、整流した直流電圧を平滑するA系コンデンサ6,B系コンデンサ28で平滑され一定電圧の直流に変換される。平滑された直流電圧は所定電圧および所定周波数の交流電力に変換するA系インバータ7,B系インバータ29で交流電力に変換され、A系インバータ7とB系インバータ29から出力された交流電力をもとに相間リアクトル9を介して、誘導電動機10が回転する。この誘導電動機10の回転により、エレベータの巻上機12が回転し、乗りかご14が上下に移動する。
【0022】
ここで、三相交流電源1から出力された交流電力はA系およびB系にそれぞれ分割される。コンバータ側は、三相交流電源1で交流電力をA系電流検出器3,B系電流検出器25で検出し、それをA系コンバータ側ACR17,B系コンバータ側ACR32に送る。また、A系平滑コンデンサ6,B系平滑コンデンサ28での直流電圧の値をもとにA系電圧制御回路16,B系電圧制御回路31に送り、A系コンバータ側ACR17,B系コンバータ側ACR32で、A系電流検出器3,B系電流検出器25からの信号とあわせてA系コンバータ側PWM制御回路18,B系コンバータ側PWM制御回路33に送られ、PWM制御回路で計算されたPWMキャリア信号でコンバータ側のそれぞれのIGBTを制御している。
【0023】
このとき、基準となるA系コンバータ側PWM制御回路18のPWMキャリア信号をB系コンバータ側PWM制御回路33に送り、B系は、A系のPWM波形と同期させることにより、A系およびB系コンバータ側のPWM制御回路を同期させ、A系およびB系ゲート駆動制御回路を制御し、インバータ側IGBTを同期されたPWMキャリア信号でスイッチングさせる。
【0024】
本実施例は、コンバータ制御装置38内A系コンバータ側PWM制御回路18とB系コンバータ側PWM制御回路33を同期させるものである。
【0025】
図2は図1中のコンバータ制御装置38のうち、PWM波形発生部の詳細である。複数台電力変換装置におけるコンバータの同期について説明するため、図2は3並列のコンバータ制御装置を示している。図2のブロック図において、101は3台並列されたコンバータの基準となるA系コンバータのPWM発生部、102はB系コンバータのPWM発生部、103はC系コンバータのPWM発生部、
104はA系コンバータのPWMキャリア信号発生部、105はB系コンバータのPWMキャリア信号発生部、106はC系コンバータのPWMキャリア信号発生部、107はB系コンバータのPWMキャリア信号演算回路、108はC系コンバータのPWMキャリア信号演算回路である。
【0026】
複数台並列された電力変換装置のコンバータ制御装置のうち、基準となるA系コンバータは、A系PWMキャリア信号発生部104にて出力されたPWM波形がA系PWM発生部101を介してPWM波形が出力される。一方B系コンバータは、B系PWMキャリア信号発生部105から出力されたPWMキャリア信号がB系PWM発生部102を介して出力されるが、これだけでは、A系コンバータのPWM発生部101から出力された波形と同期されていない。もし、同期されていないと、A系およびB系コンバータ間に零相電流が発生する。
【0027】
そこで、A系コンバータのPWMキャリア信号発生部104から出力された
PWMキャリア信号を位相基準とし、B系コンバータのPWMキャリア信号発生部105から出力されたPWMキャリア信号との差分を計算し、B系コンバータの演算回路107を介してPWMキャリア信号発生部105からPWMキャリア信号が発生し、B系PWM発生部102から出力される。これにより、A系コンバータのPWM発生部101から出力される波形とB系コンバータのPWM発生部102から出力される波形の位相差がB系コンバータの演算回路107を介す前の出力波形と比べて小さくなる。PWMキャリア信号の差分の計算を繰り返すことで、A系コンバータのPWM発生部101から出力される波形とB系コンバータのPWM発生部102から出力される波形との位相差が、徐々に小さくなり、最終的に位相差がほぼ無くなり、同期する。
【0028】
C系コンバータについてもB系コンバータと同様にA系コンバータのPWMキャリア信号発生部104から出力されたPWMキャリア信号を位相基準とし、C系コンバータのPWMキャリア信号発生部106との差分をとり、C系コンバータの演算部108を介して、PWMキャリア信号発生部106から出力される。これを繰り返すことにより、A系コンバータのPWM発生部101から出力される波形とC系コンバータのPWM発生部103から出力される波形との位相差が、徐々に小さくなり、最終的に位相差がほぼ無くなり、同期する。
【0029】
以上より、A系,B系,C系それぞれのコンバータをA系コンバータのPWMキャリア信号を位相基準として、演算したものをB系およびC系コンバータのPWMキャリア信号とすることにより、A系,B系,C系のコンバータの位相差がほぼ無くなり、A系,B系,C系のコンバータが発生するPWM波形は同期することとなる。
【0030】
図3は、図2のコンバータ制御装置のPWM制御回路部分のフロー図である。コンバータ制御装置にコンバータ起動の信号が入るとA系,B系,C系のコンバータ制御装置が起動する(STEP201)。A系コンバータ制御装置のPWMキャリア信号を基準とし、B系C系のPWMキャリア信号の差分を求める(STEP202)。PWMキャリア信号の差分がほぼ無くなるまで、差分を求め続け、差分がほぼ無くなるとA系,B系,C系のPWMキャリア信号が同期する(STEP203,204)。
【0031】
本実施例をもとにして、複数台を並列にした電力変換装置におけるコンバータ制御装置において、1台の基準とするコンバータのPWMキャリア信号を位相基準として他のコンバータのPWMキャリア信号の位相を基準とするコンバータの位相との差分に基づいて位相差をほぼ無くすことで、複数台の並列された電力変換装置におけるコンバータ制御装置の全てのPWMキャリア信号を同期させることができ、零相電流を抑制できる。
【0032】
また、コンバータが多数並列運転される場合、隣り合ったPWMキャリア信号の差分を求めることにより、位相差をほぼ無くして同期させ、さらに隣り合ったPWMキャリア信号の差分を取ることにより、位相差をほぼ無くして同期させることによっても、各コンバータ制御装置のPWMキャリア信号を同期させ、コンバータ側の零相電流を抑制できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、比較的簡単な構成により複数台並列したコンバータに発生する零相電流を抑制することができる。また、これにより、コンバータ側のリアクトル容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電力変換システム。
【図2】コンバータ制御装置のPWM制御回路部分の詳細図。
【図3】コンバータ制御装置のPWM制御回路部分のフロー図。
【符号の説明】
3…A系コンバータ側の電流検出器、4…A系コンバータ、5…IGBTのA系トランジスタ素子、9…相間リアクトル、10…誘導電動機、11…エンコーダ、12…巻上機、16…A系コンバータ側の電圧制御回路、17…A系コンバータ側のACR、18…A系コンバータ側のPWM制御回路、19…A系コンバータのゲート駆動回路、25…B系コンバータ側の電流検出器、26…B系コンバータ、27…IGBTのB系トランジスタ素子、31…B系コンバータ側の電圧制御回路、32…B系コンバータ側のACR、33…B系コンバータ側のPWM制御回路、34…B系コンバータのゲート駆動回路、38…コンバータ制御装置、101…A系コンバータのPWM制御回路、102…B系コンバータ制御装置のPWM制御回路、103…C系コンバータ制御装置のPWM制御回路、104…A系コンバータ制御装置のPWM発生部、105…B系コンバータ制御装置のPWM発生部、106…C系コンバータ制御装置のPWM発生部、107…B系コンバータ制御装置のPWM発生部の演算回路、108…C系コンバータ制御装置のPWM発生部の演算回路。
Claims (5)
- 交流電力を直流電力に変換するコンバータと、前記コンバータをPWM制御するコンバータ制御装置と、前記コンバータが出力する直流電力を交流電力に変換するインバータと、前記インバータをPWM制御するインバータ制御装置と、を有する電力変換装置が、複数台並列運転され、
前記各コンバータの運転時に前記各コンバータのPWMキャリア信号の位相を合わせる手段を備える電力変換システム。 - 請求項1において、前記各コンバータ制御装置のPWMキャリア信号の位相を合わせる手段は、一つの系のコンバータ制御装置のPWMキャリア信号の位相を位相基準にして、残りの系のコンバータ制御装置のPWMキャリア信号の位相を各々位相基準に合わせる手段である電力変換システム。
- 請求項1において、前記各コンバータ制御装置のPWMキャリア信号の位相を合わせる手段は、一つの系のコンバータ制御装置のPWMキャリア信号の位相を位相基準にして、残りの系のコンバータ制御装置のPWMキャリア信号の位相と、前記位相基準となるコンバータ制御装置のPWMキャリア信号の位相との差分を取り、この差分を零にするように、前記残りの系のコンバータ制御装置のPWMキャリア信号の位相を変更する手段である電力変換システム。
- 請求項2において、基準となるコンバータ制御装置のPWMキャリア信号位相と各コンバータ制御装置のPWMキャリア信号位相との差分を求める手段を備える電力変換システム。
- 請求項1において、他コンバータ制御装置のPWMキャリア信号位相と自コンバータ制御装置のPWMキャリア信号位相の差分を求める手段を備える電力変換システム。
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2003
- 2003-04-21 JP JP2003115146A patent/JP2004320964A/ja active Pending
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