JP2004314674A - 車両用ピラーの補強構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピラーの上下方向中央部に入力する外力に対して有効となる車両用ピラーの補強構造を提供する。
【解決手段】ピラー2を、その上下方向中央部2aが上,下端2b,2cを結ぶ直線Lよりも外方に突出するように湾曲して形成し、かつ、ピラー2の外側板2dの上,下端部α,βの伸び変形を抑制する第1の補強手段と、外側板2dの上下方向略中央部γの圧縮変形を抑制する第2の補強手段と、を設けることにより、ピラー2の湾曲形状によって外力に対して大きな強度を保有し、第1の補強手段により側面衝突時にピラー2の上,下端部α,βの湾曲率が増大するのを抑えるとともに、第2の補強手段により側面衝突時にピラー2の上下方向略中央部γが車室内方に湾曲するのを抑えて、ピラー2が全体的に車室内方に座屈変形するのを抑制する。
【選択図】 図2
【解決手段】ピラー2を、その上下方向中央部2aが上,下端2b,2cを結ぶ直線Lよりも外方に突出するように湾曲して形成し、かつ、ピラー2の外側板2dの上,下端部α,βの伸び変形を抑制する第1の補強手段と、外側板2dの上下方向略中央部γの圧縮変形を抑制する第2の補強手段と、を設けることにより、ピラー2の湾曲形状によって外力に対して大きな強度を保有し、第1の補強手段により側面衝突時にピラー2の上,下端部α,βの湾曲率が増大するのを抑えるとともに、第2の補強手段により側面衝突時にピラー2の上下方向略中央部γが車室内方に湾曲するのを抑えて、ピラー2が全体的に車室内方に座屈変形するのを抑制する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室の左右両側に上下方向に延在配置した車両用ピラー、とりわけ、上下方向中央部が上,下端を結ぶ直線よりも外方に湾曲した車両用ピラーの補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両は車室の左右両側に上下方向に延在するピラーを車両前後方向に複数本、例えばフロントピラー、センターピラー、リアピラーを設けてあり、これら各ピラー間をドア開口部としてある。
【0003】
ところで、このように車室の左右両側に設けたピラーは側面衝突に対処するため、ピラー内にリインホースを配設し、このリインホースの下端部をドア開口部の下縁部を形成するサイドシルに接続して補強している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−347655号公報(第3頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の車両用ピラーの補強構造はピラーの下部を補強する構造となっているため、側面衝突する相手車両の車高が低い場合は有効であるが、相手車両の車高が高い場合は側突位置がピラーの上下方向中央部となるため、ピラーの座屈モードを安定化させることが容易ではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、ピラーの上下方向中央部に入力する外力に対して有効となる車両用ピラーの補強構造を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にあっては、車室の左右両側に上下方向に延在配置した中空のピラーを、その上下方向中央部が上,下端を結ぶ直線よりも外方に突出するように湾曲して形成し、かつ、ピラーの外側板の上,下端部の伸び変形を抑制する第1の補強手段と、前記外側板の上下方向略中央部の圧縮変形を抑制する第2の補強手段と、を設けたことを特徴としている。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、ピラーの上下方向中央部が上,下端を結ぶ直線よりも外方に突出するように湾曲しているため、この湾曲したピラーに側面衝突によって車室内方への外力が作用した場合にも、この外力に対してピラー自体が大きな強度を保有する。
【0009】
そして、第1の補強手段によりピラーの外側板の上,下端部の伸び変形を抑制することにより、側面衝突時にピラーの上,下端部の湾曲率が増大するのを抑え、かつ、第2の補強手段により前記外側板の上下方向略中央部の圧縮変形を抑制することにより、側面衝突時にピラーの上下方向略中央部が車室内方に湾曲変形するのを抑えることができるため、ピラーが全体的に車室内方に座屈変形するのを効果的に抑制することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0011】
図1〜図8は本発明にかかる車両用ピラーの補強構造の第1実施形態を示し、図1は車室内前部の斜視図、図2はピラーの正面図、図3はピラーの斜視図、図4は図3中、A−A線,B−B線,C−C線に沿った各断面を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面斜視図、図5はピラーの形成工程を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面斜視図、図6は湾曲したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a)〜(c)に順を追って示す説明図、図7は補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図、図8は側面衝突時のピラーの変位−反力特性の説明図である。
【0012】
この第1実施形態の車両用ピラーの補強構造は、図1に示すように車両前後方向に所定間隔をおいてフロントピラー1およびセンターピラー2が、車室Rの左右両側に上下方向に延在しており、これらフロントピラー1およびセンターピラー2は上端部をルーフサイドレール3に結合するとともに、下端部をサイドシル4に結合してある。
【0013】
ここで、この実施形態では特にセンターピラー(以下、単にピラーと称する)2に本発明を適用した場合を例をとって以下説明する。
【0014】
この第1実施形態では、前記ピラー2を断面略矩形の中空状に形成し、図2に示すようにピラー2の上下方向中央部2aが上,下端2b,2cを結ぶ直線Lよりも外方に突出するように湾曲形成してある。
【0015】
そして、前記ピラー2には、図3,図4に示すように、外側板2dの上,下端部α,βの伸び変形を抑制する第1の補強手段としての前後方向リブ10を設けるとともに、前記外側板2dの上下方向略中央部(以下、単に略中央部と称する)γの圧縮変形を抑制する第2の補強手段としての車幅方向リブ11を設けてある。
【0016】
前記前後方向リブ10は、図4(a)〜(c)に示すように、ピラー2の中空部S内に車両前後方向に沿って形成し、ピラー2の上,下端部α,βでは外側板2d寄りに配置するとともに、ピラー2の略中央部γでは、ピラー2の内側板2e寄りに配置してある。
【0017】
また、前記車幅方向リブ11は、ピラー2の中空部S内に車幅方向に沿って形成してあり、本実施形態では、この中空部S内の車両前後方向中央部に配置してある。
【0018】
そして、これら前後方向リブ10および車幅方向リブ11により、ピラー2の中空部S内を複数の閉断面部分に隔成している。
【0019】
ところで、この第1実施形態のピラー2は、中空部S内に前後方向リブ10および車幅方向リブ11が十字状となって全長に亘って形成されるが、外側板2dと内側板2eとの間で相対位置が変化する前後方向リブ10の設定位置が調節できれば、前後方向リブ10および車幅方向リブ11をピラー2の本体部分(矩形状外側部分)2fと一体に押出し成形することができる。
【0020】
しかし、その押出し成形が困難な場合は、図5(a)に示すようにピラー2の本体部分2fと前後方向リブ10および車幅方向リブ11の結合体12とを別体として形成しておき、図5(b)に示すようにその結合体12を本体部分2fの中空部S内に挿入し、図5(c)に示すように位置合わせした状態で接着剤、若しくは本体部分2fの外側から一方向レーザ溶接により結合体12を接合して構成することができる。
【0021】
以上の構成によりこの第1実施形態にあっては、図6に示すように側面衝突時に荷重Fがピラー2の略中央部γに作用した場合、荷重Fが過大である場合はピラー2の変形モードは、同図(a)の初期状態から同図(b)の座屈前状態を経て同図(c)の座屈状態へと変形挙動が進行する傾向となる。
【0022】
この場合、ピラー2は、その上下方向中央部2aが上,下端2b,2cを結ぶ直線Lよりも外方に突出するように湾曲形成してあるので、図6(b)に示すように略中央部γに作用した衝突荷重Fは、ピラー2の上,下端2b,2cをルーフサイドレール3およびサイドシル4に押し付ける分力Fa,Fbに変換する。
【0023】
この分力変換作用は、略中央部γの車室R内への変位が小さい間は有効であるが、入力される荷重Fが過大である場合は図6(c)に示すようにピラー2が座屈することになり、座屈した場合のピラー2の変形は、上,下端部α,β近傍では湾曲率が増大し、略中央部γでは逆方向(車室R内方向)に湾曲するモードとなる。
【0024】
ここで、この第1実施形態では、前述のようにピラー2の中空部S内に前後方向リブ10および車幅方向リブ11が形成されているため、実際の変形挙動は図7に示すようになる。同図(a)は座屈前、同図(b)は座屈後の変形モードを示している。
【0025】
即ち、ピラー2の略中央部γに入力した衝突荷重Fは、前述したようにピラー2の上,下端2b,2cをルーフサイドレール3およびサイドシル4に押し付ける分力Fa,Fbに変換するが、中空部S内に形成した前後方向リブ10および車幅方向リブ11によって断面積が増大するため、分力Fa,Fbの伝達許容量が増大される。
【0026】
また、前後方向リブ10により外側板2dの上,下端部α,βの伸び変形を抑制することにより、側面衝突時にピラーの上,下端部α,βの湾曲率が増大するのを抑え、かつ、車幅方向リブ11により外側板2dの略中央部γの圧縮変形を抑制することにより、側面衝突時にピラー2の略中央部γが車室R内方に湾曲するのを抑えることができるため、ピラー2が全体的に車室R内方に座屈変形するのを効果的に抑えることができる。
【0027】
特に、この実施形態では、前後方向リブ10が上,下端部α,βでは外側板2d寄りに配置するとともに、略中央部γではピラー2の内側板2e寄りに配置してあるため、この外側板2dの上,下端部α,βおよび内側板2eの略中央部γの部位の伸び変形が抑制されることで、ピラー2の座屈変形を効果的に抑えて、車室R内への変形を抑制することができる。
【0028】
また、車幅方向リブ11は、これをピラー2の全長に亘って形成してあるため、ピラー2の湾曲変形を全体的に抑制して圧縮初期の剛性を更に高めることができる。
【0029】
従って、この第1実施形態の車両用ピラーの補強構造では、ピラー2の圧縮初期の剛性と荷重伝達許容量および座屈限界荷重を増大することができるため、図8中実線で示す変位−反力特性C1に示すように荷重ピーク値を高めることができる。尚、図8中破線は前後方向リブ10および車幅方向リブ11を設けないピラー2の本体部分2fのみの場合の特性C2である。
【0030】
即ち、この第1実施形態では、ピラー2の外側板2dの上,下端部α,βの伸びを抑制する前後方向リブ10および車幅方向リブ11を設けたので、側面衝突時にピラー2の上,下端部α,βの湾曲率が増大して略中央部γが逆方向に湾曲するような座屈変形を効果的に抑えることができる。
【0031】
また、第1,第2の補強手段として前記前後方向リブ10および前記車幅方向リブ11を用いたことにより、比較的簡単な追加補強のみで効果的に座屈変形を抑えることができ、更には、ピラー2の本体部分2fの成形過程に及ぼす影響を小さくできる。
【0032】
図9は本発明の第2実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図9はピラーの断面正面図である。
【0033】
この第2実施形態の車両用ピラーの補強構造にあっては、図9に示すようにピラー2の外側板2dの上,下端部α,βに、内側板2eよりも厚肉化した第1の補強手段としての第1肉厚部分13を設けてある。
【0034】
また、ピラー2の外側板2dの略中央部γに、内側板2eよりも厚肉化した第2肉厚部分14を設けてある。
【0035】
前記第1肉厚部分13と前記第2肉厚部分14は連続して形成され、この実施形態では外側板2dを全体的にほぼ同一に厚肉形成してある。
【0036】
以上の構成によりこの第2実施形態の構造によれば、前記第1実施形態と同様に第1肉厚部分13により外側板2dの上,下端部α,βの伸び変形を抑制できるため、側面衝突時にピラーの上,下端部α,βの湾曲率が増大するのを抑えることができる。
【0037】
また、第2肉厚部分14により外側板2dの略中央部γの圧縮変形を抑制することができるため、側面衝突時にピラー2の略中央部γが車室R内方に湾曲するのを抑えて、ピラー2が全体的に車室R内方に座屈変形するのを効果的に抑えることができる。
【0038】
そして、この第2実施形態ではピラー2の外側板2dを単に厚肉化するのみでよいため、特別な追加補強無しにピラー2の本体部分2fのみでも効果的に座屈変形を抑えることができるとともに、ピラー2の設計が簡単にある。
【0039】
図10〜図14は本発明の第3実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図10はピラーの斜視図、図11は図10中、D−D線,E−E線,F−F線,G−G線,H−H線に沿った各断面を(a)〜(e)にそれぞれ示す断面斜視図、図12は発泡材を取り除いた図10中E−E線およびG−G線に対応する断面を(a),(b)にそれぞれ示す断面斜視図、図13は補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図、図14は側面衝突時のピラーの変位−反力特性の説明図である。
【0040】
この第3実施形態の車両用ピラーの補強構造にあっては、図10,図11に示すように、第2の補強手段としての発泡アルミ材(発泡材)15を、ピラー2の中空部S内の上,下端部α,βでは内側板寄りに配置するとともに、略中央部γでは外側板2d寄りに配置してある。
【0041】
前記発泡アルミ材15は、図12に示すように、ピラー2の中空部S内を車幅方向に隔成する第1隔成リブ16と、ピラー2の中空部S内を上,下端部α,βと略中央部γとの間でそれぞれ上下方向に隔成する第2隔成リブ17と、によって形成した隔成空間S1,S2,S3内に充填保持してある。
【0042】
即ち、前記第1隔成リブ16は、ピラー2の全長に亘って連続して形成してあるとともに、前記第2隔成リブ17は図10中E−E線位置およびG−G線位置に配置することになる。
【0043】
従って、ピラー2の中空部S内は、E−E線位置の第2隔成リブ17よりも上方となる上端部α、E−E線位置およびG−G線位置の第2隔成リブ17,17間となる略中央部γ、G−G線位置の第2隔成リブ17よりも下方となる下端部βが、それぞれ第1隔成リブ16によって内外に2つの空間に隔成されるが、上端部αでは内側板2e側が前記隔成空間S1となり、略中間部γでは外側板2d側が前記隔成空間S2となり、下端部βでは内側板2e側が前記隔成空間S3となる。
【0044】
以上の構成によりこの第3実施形態の構造によれば、図13に示すように側面衝突時の荷重Fがピラー2の略中央部γに作用した場合、同図(a)の座屈前、同図(b)の座屈後の変形モードをもってピラー2が変形挙動する。
【0045】
即ち、この第3実施形態にあってもピラー2の略中央部γに入力した衝突荷重Fは、図13(a)に示すように、ピラー2の上,下端2b,2cをルーフサイドレール3およびサイドシル4に押し付ける分力Fa,Fbに変換するが、空間部S内に形成した第1隔成リブ16によって伝達力が増大することができる。
【0046】
また、前記空間部S内には、上端部αでは内側板2e側の隔成空間S1と、略中間部γでは外側板2d側の隔成空間S2と、下端部βでは内側板2e側の隔成空間S3と、にそれぞれ発泡アルミ材15を充填したことにより、この発泡アルミ材15の配置部位における圧縮変形を抑制し、ひいては、ピラー2の座屈変形を抑えることができる。
【0047】
特に、この実施形態ではピラー2が座屈した後に、発泡アルミ材15が初期の圧縮剛性のみならず圧縮変形後も反力低下が抑制される特徴を有しており、この発泡アルミ材15を前記隔成空間S1,S2,S3に封入することにより、過大な入力荷重Fによりピラー2が座屈した際に圧縮が進行する部位の断面変形を効果的に抑制し、座屈後のピラー2全体としての反力低下を低減することができる。
【0048】
従って、この第3実施形態ではピラー2の圧縮初期の剛性を向上できるとともに、特に、座屈後の反力維持が期待できるため、図14に示すように、側面衝突時の変位−反力特性C1′の荷重ピークP1より後方、つまり変位(変形)進行方向の範囲の反力を増大することができる。
【0049】
ところで、この第3実施形態では第1隔成リブ16,第2隔成リブ17によって発泡アルミ材15を隔成空間S1,S2,S3に密封したが、このように密封したことにより保持性が向上して発泡アルミ材15の機能を確実に発揮させることができる。
【0050】
即ち、この第3実施形態ではピラー2内の外側板2d近傍に発泡アルミ材15を挿入したことにより、比較的簡単な追加補強のみで効果的に座屈変形を抑えることができ、また、圧縮後も定常的に反力を備えるという発泡材の特性により、座屈変形が生じた場合にあってもピラー2の断面変形による反力低下を少なくすることができる。
【0051】
尚、前記発泡アルミ材15を保持できる手段を別途講ずることにより、前記第1隔成リブ16,第2隔成リブ17を設けない場合にも略同等の効果を奏することができる。
【0052】
また、ピラー2の中空部S内を全て発泡アルミ材15で充填した場合にも同等の効果を奏することができる。
【0053】
更に、この第3実施形態にあっても前記第1,第2隔成リブ16,17に加えて、前記第1実施形態に示した車幅方向リブ11と同様に車幅方向に沿ったリブを設けてもよい。
【0054】
また、前記発泡アルミ材15に限ることなく他の発泡材、例えば、発泡ウレタン等を用いることができ、その材料選択は圧縮効果のみに限ることなく、重量、コスト、対候性、対経時劣化性等を考慮して決定することが好ましい。
【0055】
図15〜図17は本発明の第4実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図15はピラーの断面斜視図、図16は図15中、I−I線,J−J線,K−K線に沿った各断面を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面図、図17は補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図である。
【0056】
この第4実施形態の車両用ピラーの補強構造にあっては、図15,図16に示すように、第1の補強手段としての繊維強化材18を、ピラー2の中空部S内の外側板2d近傍に沿って上下方向に緊張状態で取り付けてある。
【0057】
即ち、前記外側板2dの中空部S内には、図16に示すように、底面19aと、その両側部に所定間隔(繊維強化材18の厚み分)をおいて分離配置した1対のフランジ部19bと、からなるチャンネル部材19をピラー2の全長に亘って配置し、前記底面19aを外側板2dの内面に接合してある。
【0058】
そして、前記繊維強化材18を、チャンネル部材19の底面19aとフランジ部19bとの間に挿入して保持してあり、繊維強化材18の上端部をピラー2の上端2bを越えてルーフサイドメンバ3内に挿入し、その挿入端部をクランプ20によってルーフサイドメンバ3に連結・固定するとともに、繊維強化材18の下端部をピラー2の下端2cを越えてサイドシル4内に挿入し、その挿入端部をクランプ21によってサイドシル4に連結・固定してある。
【0059】
勿論、繊維強化材18をクランプ20,21によって固定する際、この繊維強化材18を緊張状態に保持している。
【0060】
また、この第4実施形態では前記チャンネル部材19のフランジ部19bは、図16(b)に示すように、ピラー2の略中央部γで厚肉形成してあるとともに、ピラー2の中空部Sの断面積を、図16(a)〜(c)に示すように上端2bから下端2cに行くに従って徐々に大きくしてある。
【0061】
以上の構成によりこの第4実施形態の構造によれば、図17に示すように側面衝突時の荷重Fがピラー2の略中央部γに作用した場合、同図(a)の座屈前、同図(b)の座屈後の変形モードをもってピラー2は変形挙動する。
【0062】
即ち、この実施形態にあってもピラー2の略中央部γに入力した衝突荷重Fは、図17(a)に示すように、ピラー2の上,下端2b,2cをルーフサイドレール3およびサイドシル4に押し付ける分力Fa,Fbに変換するが、繊維強化材18を保持したチャンネル部材19を外側板2dに接合したことにより、圧縮初期の曲げ剛性を増大することができる。
【0063】
そして、衝突荷重Fが過大である場合は、ピラー2は上,下端部α,βで湾曲率が増大する方向の変形が誘発されるが、緊張状態でピラー2の中空部S内に挿入された繊維強化材18が伸びに対して高い剛性を有するため、前記上,下端部α,βの変形の進行を抑えることができる。
【0064】
一方、図17(b)に示すように、ピラー2の略中央部γでは逆方向(車室R内方向)に湾曲して圧縮方向の変形が誘発されるが、この部位ではチャンネル部材10のフランジ部19bを厚肉形成してあり、ひいては、ピラー2の外側板2dの板厚増加に相当するため、前記略中央部γの圧縮変形の進行を効果的に抑えることができる。
【0065】
従って、この実施形態の変位−反力特性による効果は、図8に示した第1実施形態の場合と同様となる。
【0066】
即ち、この第4実施形態ではピラー2内の外側板2dの近傍に繊維強化材18を挿入したことにより、外側板2dの伸び変形を抑制できることにより、ピラー2の座屈変形を効果的に抑えることができ、また、繊維強化材18を用いたことにより軽量化を図りつつ高い強度を備えることができる。
【0067】
ところで、この実施形態では側面衝突時にピラー2は波形状に変形するが、外側板2dの圧縮変形箇所が略中央部γの1箇所であるのに対して、伸び変形は上,下端部α,βの2箇所であるため、変形時に繊維強化材18が弛緩するのを防止できるが、繊維強化材18の緊張状態をより確実に維持するためには、繊維強化材18の適宜箇所をクランプ等を介してチャンネル部材19に固定することが好ましい。
【0068】
また、繊維強化材18としては、工業用材料として広く知られる炭素繊維を用いたFRPやガラス繊維を用いたGRPを用いることができ、更には、ナイロン繊維や蜘蛛の糸を折り込んだ布材等の引張り強度の高い材料を用いることができる。
【0069】
図18〜図21は本発明の第5実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図18はピラーの断面斜視図、図19は図18中、L−L線,M−M線,N−N線に沿った各断面を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面図、図20は補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図、図21は側面衝突時のピラーの変位−反力特性の説明図である。
【0070】
この第5実施形態の車両用ピラーの補強構造にあっては、図18,図19に示すように、第2の補強手段としての多孔質材料22をピラー2の中空部S内に充填してあり、かつ、この多孔質材料22の繊維方向を、上,下端部α,βの外側板2d近傍と略中央部γの内側板2e近傍でピラー2の軸方向と平行な方向に整列するとともに、上,下端部α,βの内側板2e近傍と略中央部γの外側板2d近傍では繊維方向を不規則としてある。
【0071】
この第5実施形態のピラー2は、中空部S内にはリブや間仕切りを設けること無く、前記多孔質材料22を中空部S内全体に充填してある。
【0072】
また、ピラー2の中空部Sの断面積を、図19(a)〜(c)に示すように上端2bから下端2cに行くに従って徐々に大きくしてあり、更に、前記第2実施形態と同様にピラー2の外側板2dを内側板2eよりも厚肉形成してある。
【0073】
以上の構成によりこの第5実施形態の構造によれば、図20に示すように側面衝突時の荷重Fがピラー2の略中央部γに作用した場合、同図(a)の座屈前、同図(b)の座屈後の変形モードをもってピラー2は変形挙動する。
【0074】
即ち、この実施形態にあってもピラー2の略中央部γに入力した衝突荷重Fは、図20(a)に示すように、ピラー2の上,下端2b,2cをルーフサイドレール3およびサイドシル4に押し付ける分力Fa,Fbに変換するが、ピラー2の中空部S内に多孔質材料22を充填したことにより、この多孔質材料22によって伝達力を増大することができる。
【0075】
前記多孔質材料22は、繊維方向が整列している場合は伸び変形に対して大きな強度を発揮し、また、繊維方向が不規則な場合は圧縮変形に対して大きな強度を発揮する性質を有する。
【0076】
このような性質を踏まえてこの第5実施形態では、多孔質材料22の繊維方向を、上,下端部α,βの外側板2d近傍と略中央部γの内側板2e近傍でピラー2の軸方向と平行な方向に整列するとともに、上,下端部α,βの内側板2e近傍と略中央部γの外側板2d近傍では不規則としたので、衝突荷重Fが過大な場合にピラー2の座屈を誘発する変形を効果的に抑制することができる。
【0077】
また、ピラー2が座屈した後にあっても、圧縮部位にある多孔質材料22の繊維方向が不規則であるため、当該部位の断面変形を継続的に抑制してピラー2全体の反力低下を減少することができる。
【0078】
従って、この第5実施形態ではピラー2の圧縮初期の剛性と座屈強度が大幅に増大するとともに、座屈後も第3実施形態と同等な反力維持が期待できるため、図21に示すように、側面衝突時の変位−反力特性C1″の荷重レベルを全体的に押し上げることができる。
【0079】
即ち、この第5実施形態ではピラー2内に多孔質材料22を充填したことにより、前記第3実施形態と同様に比較的簡単な追加補強のみで効果的に座屈変形を抑えることができ、また、圧縮後も定常的に反力を備えるという多孔質材料22の特性により、座屈変形が生じた場合にあってもピラー2の断面変形による反力低下を少なくすることができる。
【0080】
また、この実施形態の多孔質材料22としては、第3実施形態に開示した発泡アルミ材や発泡ウレタンの他ににカルシウム素材等を用いることができる。
【0081】
ところで、本発明の車両用ピラーの補強構造は前記第1〜第5実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採ることができ、例えば、車両用ピラーとしてセンターピラー22に例をとって示したが、これに限ることなくフロントピラー1またはリアピラーにも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す車室内前部の斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態を示すピラーの正面図。
【図3】本発明の第1実施形態を示すピラーの斜視図。
【図4】図3中、A−A線,B−B線,C−C線に沿った各断面を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面斜視図。
【図5】本発明の第1実施形態におけるピラーの形成工程を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面斜視図。
【図6】本発明の第1実施形態おける湾曲したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a)〜(c)に順を追って示す説明図。
【図7】本発明の第1実施形態における補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図。
【図8】本発明の第1実施形態を示す側面衝突時のピラーの変位−反力特性の説明図。
【図9】本発明の第2実施形態を示すピラーの断面正面図。
【図10】本発明の第3実施形態を示すピラーの斜視図。
【図11】図10中、D−D線,E−E線,F−F線,G−G線,H−H線に沿った各断面を(a)〜(e)にそれぞれ示す断面斜視図。
【図12】本発明の第3実施形態における発泡材を取り除いた図10中、E−E線およびG−G線に対応する断面を(a),(b)にそれぞれ示す断面斜視図。
【図13】本発明の第3実施形態における補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図。
【図14】本発明の第3実施形態を示す側面衝突時のピラーの変位−反力特性の説明図。
【図15】本発明の第4実施形態を示すピラーの断面斜視図。
【図16】図15中、I−I線,J−J線,K−K線に沿った各断面を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面図。
【図17】本発明の第4実施形態における補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図。
【図18】本発明の第5実施形態を示すピラーの断面斜視図。
【図19】図18中、L−L線,M−M線,N−N線に沿った各断面を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面図。
【図20】本発明の第5実施形態における補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図。
【図21】本発明の第5実施形態における側面衝突時のピラーの変位−反力特性の説明図。
【符号の説明】
2 センターピラー(ピラー)
2a ピラーの上下方向中央部
2b ピラーの上端
2c ピラーの下端
2d 外側板
2e 内側板
2f ピラーの本体部分
3 ルーフサイドレール
4 サイドシル
10 前後方向リブ(第1の補強手段)
11 車幅方向リブ(第2の補強手段)
13 第1肉厚部分(第1の補強手段)
14 第2肉厚部分(第2の補強手段)
15 発泡アルミ材(第2の補強手段)
16 第1隔成リブ
17 第2隔成リブ
18 繊維強化材(第1の補強手段)
22 多孔質材料(第2の補強手段)
α ピラーの上端部
β ピラーの下端部
γ ピラーの上下方向略中央部
L ピラーの上,下端を結ぶ直線
S ピラーの中空部
S1,S2,S3 隔成空間
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室の左右両側に上下方向に延在配置した車両用ピラー、とりわけ、上下方向中央部が上,下端を結ぶ直線よりも外方に湾曲した車両用ピラーの補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両は車室の左右両側に上下方向に延在するピラーを車両前後方向に複数本、例えばフロントピラー、センターピラー、リアピラーを設けてあり、これら各ピラー間をドア開口部としてある。
【0003】
ところで、このように車室の左右両側に設けたピラーは側面衝突に対処するため、ピラー内にリインホースを配設し、このリインホースの下端部をドア開口部の下縁部を形成するサイドシルに接続して補強している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−347655号公報(第3頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の車両用ピラーの補強構造はピラーの下部を補強する構造となっているため、側面衝突する相手車両の車高が低い場合は有効であるが、相手車両の車高が高い場合は側突位置がピラーの上下方向中央部となるため、ピラーの座屈モードを安定化させることが容易ではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、ピラーの上下方向中央部に入力する外力に対して有効となる車両用ピラーの補強構造を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にあっては、車室の左右両側に上下方向に延在配置した中空のピラーを、その上下方向中央部が上,下端を結ぶ直線よりも外方に突出するように湾曲して形成し、かつ、ピラーの外側板の上,下端部の伸び変形を抑制する第1の補強手段と、前記外側板の上下方向略中央部の圧縮変形を抑制する第2の補強手段と、を設けたことを特徴としている。
【0008】
【発明の効果】
本発明によれば、ピラーの上下方向中央部が上,下端を結ぶ直線よりも外方に突出するように湾曲しているため、この湾曲したピラーに側面衝突によって車室内方への外力が作用した場合にも、この外力に対してピラー自体が大きな強度を保有する。
【0009】
そして、第1の補強手段によりピラーの外側板の上,下端部の伸び変形を抑制することにより、側面衝突時にピラーの上,下端部の湾曲率が増大するのを抑え、かつ、第2の補強手段により前記外側板の上下方向略中央部の圧縮変形を抑制することにより、側面衝突時にピラーの上下方向略中央部が車室内方に湾曲変形するのを抑えることができるため、ピラーが全体的に車室内方に座屈変形するのを効果的に抑制することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0011】
図1〜図8は本発明にかかる車両用ピラーの補強構造の第1実施形態を示し、図1は車室内前部の斜視図、図2はピラーの正面図、図3はピラーの斜視図、図4は図3中、A−A線,B−B線,C−C線に沿った各断面を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面斜視図、図5はピラーの形成工程を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面斜視図、図6は湾曲したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a)〜(c)に順を追って示す説明図、図7は補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図、図8は側面衝突時のピラーの変位−反力特性の説明図である。
【0012】
この第1実施形態の車両用ピラーの補強構造は、図1に示すように車両前後方向に所定間隔をおいてフロントピラー1およびセンターピラー2が、車室Rの左右両側に上下方向に延在しており、これらフロントピラー1およびセンターピラー2は上端部をルーフサイドレール3に結合するとともに、下端部をサイドシル4に結合してある。
【0013】
ここで、この実施形態では特にセンターピラー(以下、単にピラーと称する)2に本発明を適用した場合を例をとって以下説明する。
【0014】
この第1実施形態では、前記ピラー2を断面略矩形の中空状に形成し、図2に示すようにピラー2の上下方向中央部2aが上,下端2b,2cを結ぶ直線Lよりも外方に突出するように湾曲形成してある。
【0015】
そして、前記ピラー2には、図3,図4に示すように、外側板2dの上,下端部α,βの伸び変形を抑制する第1の補強手段としての前後方向リブ10を設けるとともに、前記外側板2dの上下方向略中央部(以下、単に略中央部と称する)γの圧縮変形を抑制する第2の補強手段としての車幅方向リブ11を設けてある。
【0016】
前記前後方向リブ10は、図4(a)〜(c)に示すように、ピラー2の中空部S内に車両前後方向に沿って形成し、ピラー2の上,下端部α,βでは外側板2d寄りに配置するとともに、ピラー2の略中央部γでは、ピラー2の内側板2e寄りに配置してある。
【0017】
また、前記車幅方向リブ11は、ピラー2の中空部S内に車幅方向に沿って形成してあり、本実施形態では、この中空部S内の車両前後方向中央部に配置してある。
【0018】
そして、これら前後方向リブ10および車幅方向リブ11により、ピラー2の中空部S内を複数の閉断面部分に隔成している。
【0019】
ところで、この第1実施形態のピラー2は、中空部S内に前後方向リブ10および車幅方向リブ11が十字状となって全長に亘って形成されるが、外側板2dと内側板2eとの間で相対位置が変化する前後方向リブ10の設定位置が調節できれば、前後方向リブ10および車幅方向リブ11をピラー2の本体部分(矩形状外側部分)2fと一体に押出し成形することができる。
【0020】
しかし、その押出し成形が困難な場合は、図5(a)に示すようにピラー2の本体部分2fと前後方向リブ10および車幅方向リブ11の結合体12とを別体として形成しておき、図5(b)に示すようにその結合体12を本体部分2fの中空部S内に挿入し、図5(c)に示すように位置合わせした状態で接着剤、若しくは本体部分2fの外側から一方向レーザ溶接により結合体12を接合して構成することができる。
【0021】
以上の構成によりこの第1実施形態にあっては、図6に示すように側面衝突時に荷重Fがピラー2の略中央部γに作用した場合、荷重Fが過大である場合はピラー2の変形モードは、同図(a)の初期状態から同図(b)の座屈前状態を経て同図(c)の座屈状態へと変形挙動が進行する傾向となる。
【0022】
この場合、ピラー2は、その上下方向中央部2aが上,下端2b,2cを結ぶ直線Lよりも外方に突出するように湾曲形成してあるので、図6(b)に示すように略中央部γに作用した衝突荷重Fは、ピラー2の上,下端2b,2cをルーフサイドレール3およびサイドシル4に押し付ける分力Fa,Fbに変換する。
【0023】
この分力変換作用は、略中央部γの車室R内への変位が小さい間は有効であるが、入力される荷重Fが過大である場合は図6(c)に示すようにピラー2が座屈することになり、座屈した場合のピラー2の変形は、上,下端部α,β近傍では湾曲率が増大し、略中央部γでは逆方向(車室R内方向)に湾曲するモードとなる。
【0024】
ここで、この第1実施形態では、前述のようにピラー2の中空部S内に前後方向リブ10および車幅方向リブ11が形成されているため、実際の変形挙動は図7に示すようになる。同図(a)は座屈前、同図(b)は座屈後の変形モードを示している。
【0025】
即ち、ピラー2の略中央部γに入力した衝突荷重Fは、前述したようにピラー2の上,下端2b,2cをルーフサイドレール3およびサイドシル4に押し付ける分力Fa,Fbに変換するが、中空部S内に形成した前後方向リブ10および車幅方向リブ11によって断面積が増大するため、分力Fa,Fbの伝達許容量が増大される。
【0026】
また、前後方向リブ10により外側板2dの上,下端部α,βの伸び変形を抑制することにより、側面衝突時にピラーの上,下端部α,βの湾曲率が増大するのを抑え、かつ、車幅方向リブ11により外側板2dの略中央部γの圧縮変形を抑制することにより、側面衝突時にピラー2の略中央部γが車室R内方に湾曲するのを抑えることができるため、ピラー2が全体的に車室R内方に座屈変形するのを効果的に抑えることができる。
【0027】
特に、この実施形態では、前後方向リブ10が上,下端部α,βでは外側板2d寄りに配置するとともに、略中央部γではピラー2の内側板2e寄りに配置してあるため、この外側板2dの上,下端部α,βおよび内側板2eの略中央部γの部位の伸び変形が抑制されることで、ピラー2の座屈変形を効果的に抑えて、車室R内への変形を抑制することができる。
【0028】
また、車幅方向リブ11は、これをピラー2の全長に亘って形成してあるため、ピラー2の湾曲変形を全体的に抑制して圧縮初期の剛性を更に高めることができる。
【0029】
従って、この第1実施形態の車両用ピラーの補強構造では、ピラー2の圧縮初期の剛性と荷重伝達許容量および座屈限界荷重を増大することができるため、図8中実線で示す変位−反力特性C1に示すように荷重ピーク値を高めることができる。尚、図8中破線は前後方向リブ10および車幅方向リブ11を設けないピラー2の本体部分2fのみの場合の特性C2である。
【0030】
即ち、この第1実施形態では、ピラー2の外側板2dの上,下端部α,βの伸びを抑制する前後方向リブ10および車幅方向リブ11を設けたので、側面衝突時にピラー2の上,下端部α,βの湾曲率が増大して略中央部γが逆方向に湾曲するような座屈変形を効果的に抑えることができる。
【0031】
また、第1,第2の補強手段として前記前後方向リブ10および前記車幅方向リブ11を用いたことにより、比較的簡単な追加補強のみで効果的に座屈変形を抑えることができ、更には、ピラー2の本体部分2fの成形過程に及ぼす影響を小さくできる。
【0032】
図9は本発明の第2実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図9はピラーの断面正面図である。
【0033】
この第2実施形態の車両用ピラーの補強構造にあっては、図9に示すようにピラー2の外側板2dの上,下端部α,βに、内側板2eよりも厚肉化した第1の補強手段としての第1肉厚部分13を設けてある。
【0034】
また、ピラー2の外側板2dの略中央部γに、内側板2eよりも厚肉化した第2肉厚部分14を設けてある。
【0035】
前記第1肉厚部分13と前記第2肉厚部分14は連続して形成され、この実施形態では外側板2dを全体的にほぼ同一に厚肉形成してある。
【0036】
以上の構成によりこの第2実施形態の構造によれば、前記第1実施形態と同様に第1肉厚部分13により外側板2dの上,下端部α,βの伸び変形を抑制できるため、側面衝突時にピラーの上,下端部α,βの湾曲率が増大するのを抑えることができる。
【0037】
また、第2肉厚部分14により外側板2dの略中央部γの圧縮変形を抑制することができるため、側面衝突時にピラー2の略中央部γが車室R内方に湾曲するのを抑えて、ピラー2が全体的に車室R内方に座屈変形するのを効果的に抑えることができる。
【0038】
そして、この第2実施形態ではピラー2の外側板2dを単に厚肉化するのみでよいため、特別な追加補強無しにピラー2の本体部分2fのみでも効果的に座屈変形を抑えることができるとともに、ピラー2の設計が簡単にある。
【0039】
図10〜図14は本発明の第3実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図10はピラーの斜視図、図11は図10中、D−D線,E−E線,F−F線,G−G線,H−H線に沿った各断面を(a)〜(e)にそれぞれ示す断面斜視図、図12は発泡材を取り除いた図10中E−E線およびG−G線に対応する断面を(a),(b)にそれぞれ示す断面斜視図、図13は補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図、図14は側面衝突時のピラーの変位−反力特性の説明図である。
【0040】
この第3実施形態の車両用ピラーの補強構造にあっては、図10,図11に示すように、第2の補強手段としての発泡アルミ材(発泡材)15を、ピラー2の中空部S内の上,下端部α,βでは内側板寄りに配置するとともに、略中央部γでは外側板2d寄りに配置してある。
【0041】
前記発泡アルミ材15は、図12に示すように、ピラー2の中空部S内を車幅方向に隔成する第1隔成リブ16と、ピラー2の中空部S内を上,下端部α,βと略中央部γとの間でそれぞれ上下方向に隔成する第2隔成リブ17と、によって形成した隔成空間S1,S2,S3内に充填保持してある。
【0042】
即ち、前記第1隔成リブ16は、ピラー2の全長に亘って連続して形成してあるとともに、前記第2隔成リブ17は図10中E−E線位置およびG−G線位置に配置することになる。
【0043】
従って、ピラー2の中空部S内は、E−E線位置の第2隔成リブ17よりも上方となる上端部α、E−E線位置およびG−G線位置の第2隔成リブ17,17間となる略中央部γ、G−G線位置の第2隔成リブ17よりも下方となる下端部βが、それぞれ第1隔成リブ16によって内外に2つの空間に隔成されるが、上端部αでは内側板2e側が前記隔成空間S1となり、略中間部γでは外側板2d側が前記隔成空間S2となり、下端部βでは内側板2e側が前記隔成空間S3となる。
【0044】
以上の構成によりこの第3実施形態の構造によれば、図13に示すように側面衝突時の荷重Fがピラー2の略中央部γに作用した場合、同図(a)の座屈前、同図(b)の座屈後の変形モードをもってピラー2が変形挙動する。
【0045】
即ち、この第3実施形態にあってもピラー2の略中央部γに入力した衝突荷重Fは、図13(a)に示すように、ピラー2の上,下端2b,2cをルーフサイドレール3およびサイドシル4に押し付ける分力Fa,Fbに変換するが、空間部S内に形成した第1隔成リブ16によって伝達力が増大することができる。
【0046】
また、前記空間部S内には、上端部αでは内側板2e側の隔成空間S1と、略中間部γでは外側板2d側の隔成空間S2と、下端部βでは内側板2e側の隔成空間S3と、にそれぞれ発泡アルミ材15を充填したことにより、この発泡アルミ材15の配置部位における圧縮変形を抑制し、ひいては、ピラー2の座屈変形を抑えることができる。
【0047】
特に、この実施形態ではピラー2が座屈した後に、発泡アルミ材15が初期の圧縮剛性のみならず圧縮変形後も反力低下が抑制される特徴を有しており、この発泡アルミ材15を前記隔成空間S1,S2,S3に封入することにより、過大な入力荷重Fによりピラー2が座屈した際に圧縮が進行する部位の断面変形を効果的に抑制し、座屈後のピラー2全体としての反力低下を低減することができる。
【0048】
従って、この第3実施形態ではピラー2の圧縮初期の剛性を向上できるとともに、特に、座屈後の反力維持が期待できるため、図14に示すように、側面衝突時の変位−反力特性C1′の荷重ピークP1より後方、つまり変位(変形)進行方向の範囲の反力を増大することができる。
【0049】
ところで、この第3実施形態では第1隔成リブ16,第2隔成リブ17によって発泡アルミ材15を隔成空間S1,S2,S3に密封したが、このように密封したことにより保持性が向上して発泡アルミ材15の機能を確実に発揮させることができる。
【0050】
即ち、この第3実施形態ではピラー2内の外側板2d近傍に発泡アルミ材15を挿入したことにより、比較的簡単な追加補強のみで効果的に座屈変形を抑えることができ、また、圧縮後も定常的に反力を備えるという発泡材の特性により、座屈変形が生じた場合にあってもピラー2の断面変形による反力低下を少なくすることができる。
【0051】
尚、前記発泡アルミ材15を保持できる手段を別途講ずることにより、前記第1隔成リブ16,第2隔成リブ17を設けない場合にも略同等の効果を奏することができる。
【0052】
また、ピラー2の中空部S内を全て発泡アルミ材15で充填した場合にも同等の効果を奏することができる。
【0053】
更に、この第3実施形態にあっても前記第1,第2隔成リブ16,17に加えて、前記第1実施形態に示した車幅方向リブ11と同様に車幅方向に沿ったリブを設けてもよい。
【0054】
また、前記発泡アルミ材15に限ることなく他の発泡材、例えば、発泡ウレタン等を用いることができ、その材料選択は圧縮効果のみに限ることなく、重量、コスト、対候性、対経時劣化性等を考慮して決定することが好ましい。
【0055】
図15〜図17は本発明の第4実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図15はピラーの断面斜視図、図16は図15中、I−I線,J−J線,K−K線に沿った各断面を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面図、図17は補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図である。
【0056】
この第4実施形態の車両用ピラーの補強構造にあっては、図15,図16に示すように、第1の補強手段としての繊維強化材18を、ピラー2の中空部S内の外側板2d近傍に沿って上下方向に緊張状態で取り付けてある。
【0057】
即ち、前記外側板2dの中空部S内には、図16に示すように、底面19aと、その両側部に所定間隔(繊維強化材18の厚み分)をおいて分離配置した1対のフランジ部19bと、からなるチャンネル部材19をピラー2の全長に亘って配置し、前記底面19aを外側板2dの内面に接合してある。
【0058】
そして、前記繊維強化材18を、チャンネル部材19の底面19aとフランジ部19bとの間に挿入して保持してあり、繊維強化材18の上端部をピラー2の上端2bを越えてルーフサイドメンバ3内に挿入し、その挿入端部をクランプ20によってルーフサイドメンバ3に連結・固定するとともに、繊維強化材18の下端部をピラー2の下端2cを越えてサイドシル4内に挿入し、その挿入端部をクランプ21によってサイドシル4に連結・固定してある。
【0059】
勿論、繊維強化材18をクランプ20,21によって固定する際、この繊維強化材18を緊張状態に保持している。
【0060】
また、この第4実施形態では前記チャンネル部材19のフランジ部19bは、図16(b)に示すように、ピラー2の略中央部γで厚肉形成してあるとともに、ピラー2の中空部Sの断面積を、図16(a)〜(c)に示すように上端2bから下端2cに行くに従って徐々に大きくしてある。
【0061】
以上の構成によりこの第4実施形態の構造によれば、図17に示すように側面衝突時の荷重Fがピラー2の略中央部γに作用した場合、同図(a)の座屈前、同図(b)の座屈後の変形モードをもってピラー2は変形挙動する。
【0062】
即ち、この実施形態にあってもピラー2の略中央部γに入力した衝突荷重Fは、図17(a)に示すように、ピラー2の上,下端2b,2cをルーフサイドレール3およびサイドシル4に押し付ける分力Fa,Fbに変換するが、繊維強化材18を保持したチャンネル部材19を外側板2dに接合したことにより、圧縮初期の曲げ剛性を増大することができる。
【0063】
そして、衝突荷重Fが過大である場合は、ピラー2は上,下端部α,βで湾曲率が増大する方向の変形が誘発されるが、緊張状態でピラー2の中空部S内に挿入された繊維強化材18が伸びに対して高い剛性を有するため、前記上,下端部α,βの変形の進行を抑えることができる。
【0064】
一方、図17(b)に示すように、ピラー2の略中央部γでは逆方向(車室R内方向)に湾曲して圧縮方向の変形が誘発されるが、この部位ではチャンネル部材10のフランジ部19bを厚肉形成してあり、ひいては、ピラー2の外側板2dの板厚増加に相当するため、前記略中央部γの圧縮変形の進行を効果的に抑えることができる。
【0065】
従って、この実施形態の変位−反力特性による効果は、図8に示した第1実施形態の場合と同様となる。
【0066】
即ち、この第4実施形態ではピラー2内の外側板2dの近傍に繊維強化材18を挿入したことにより、外側板2dの伸び変形を抑制できることにより、ピラー2の座屈変形を効果的に抑えることができ、また、繊維強化材18を用いたことにより軽量化を図りつつ高い強度を備えることができる。
【0067】
ところで、この実施形態では側面衝突時にピラー2は波形状に変形するが、外側板2dの圧縮変形箇所が略中央部γの1箇所であるのに対して、伸び変形は上,下端部α,βの2箇所であるため、変形時に繊維強化材18が弛緩するのを防止できるが、繊維強化材18の緊張状態をより確実に維持するためには、繊維強化材18の適宜箇所をクランプ等を介してチャンネル部材19に固定することが好ましい。
【0068】
また、繊維強化材18としては、工業用材料として広く知られる炭素繊維を用いたFRPやガラス繊維を用いたGRPを用いることができ、更には、ナイロン繊維や蜘蛛の糸を折り込んだ布材等の引張り強度の高い材料を用いることができる。
【0069】
図18〜図21は本発明の第5実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図18はピラーの断面斜視図、図19は図18中、L−L線,M−M線,N−N線に沿った各断面を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面図、図20は補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図、図21は側面衝突時のピラーの変位−反力特性の説明図である。
【0070】
この第5実施形態の車両用ピラーの補強構造にあっては、図18,図19に示すように、第2の補強手段としての多孔質材料22をピラー2の中空部S内に充填してあり、かつ、この多孔質材料22の繊維方向を、上,下端部α,βの外側板2d近傍と略中央部γの内側板2e近傍でピラー2の軸方向と平行な方向に整列するとともに、上,下端部α,βの内側板2e近傍と略中央部γの外側板2d近傍では繊維方向を不規則としてある。
【0071】
この第5実施形態のピラー2は、中空部S内にはリブや間仕切りを設けること無く、前記多孔質材料22を中空部S内全体に充填してある。
【0072】
また、ピラー2の中空部Sの断面積を、図19(a)〜(c)に示すように上端2bから下端2cに行くに従って徐々に大きくしてあり、更に、前記第2実施形態と同様にピラー2の外側板2dを内側板2eよりも厚肉形成してある。
【0073】
以上の構成によりこの第5実施形態の構造によれば、図20に示すように側面衝突時の荷重Fがピラー2の略中央部γに作用した場合、同図(a)の座屈前、同図(b)の座屈後の変形モードをもってピラー2は変形挙動する。
【0074】
即ち、この実施形態にあってもピラー2の略中央部γに入力した衝突荷重Fは、図20(a)に示すように、ピラー2の上,下端2b,2cをルーフサイドレール3およびサイドシル4に押し付ける分力Fa,Fbに変換するが、ピラー2の中空部S内に多孔質材料22を充填したことにより、この多孔質材料22によって伝達力を増大することができる。
【0075】
前記多孔質材料22は、繊維方向が整列している場合は伸び変形に対して大きな強度を発揮し、また、繊維方向が不規則な場合は圧縮変形に対して大きな強度を発揮する性質を有する。
【0076】
このような性質を踏まえてこの第5実施形態では、多孔質材料22の繊維方向を、上,下端部α,βの外側板2d近傍と略中央部γの内側板2e近傍でピラー2の軸方向と平行な方向に整列するとともに、上,下端部α,βの内側板2e近傍と略中央部γの外側板2d近傍では不規則としたので、衝突荷重Fが過大な場合にピラー2の座屈を誘発する変形を効果的に抑制することができる。
【0077】
また、ピラー2が座屈した後にあっても、圧縮部位にある多孔質材料22の繊維方向が不規則であるため、当該部位の断面変形を継続的に抑制してピラー2全体の反力低下を減少することができる。
【0078】
従って、この第5実施形態ではピラー2の圧縮初期の剛性と座屈強度が大幅に増大するとともに、座屈後も第3実施形態と同等な反力維持が期待できるため、図21に示すように、側面衝突時の変位−反力特性C1″の荷重レベルを全体的に押し上げることができる。
【0079】
即ち、この第5実施形態ではピラー2内に多孔質材料22を充填したことにより、前記第3実施形態と同様に比較的簡単な追加補強のみで効果的に座屈変形を抑えることができ、また、圧縮後も定常的に反力を備えるという多孔質材料22の特性により、座屈変形が生じた場合にあってもピラー2の断面変形による反力低下を少なくすることができる。
【0080】
また、この実施形態の多孔質材料22としては、第3実施形態に開示した発泡アルミ材や発泡ウレタンの他ににカルシウム素材等を用いることができる。
【0081】
ところで、本発明の車両用ピラーの補強構造は前記第1〜第5実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採ることができ、例えば、車両用ピラーとしてセンターピラー22に例をとって示したが、これに限ることなくフロントピラー1またはリアピラーにも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す車室内前部の斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態を示すピラーの正面図。
【図3】本発明の第1実施形態を示すピラーの斜視図。
【図4】図3中、A−A線,B−B線,C−C線に沿った各断面を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面斜視図。
【図5】本発明の第1実施形態におけるピラーの形成工程を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面斜視図。
【図6】本発明の第1実施形態おける湾曲したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a)〜(c)に順を追って示す説明図。
【図7】本発明の第1実施形態における補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図。
【図8】本発明の第1実施形態を示す側面衝突時のピラーの変位−反力特性の説明図。
【図9】本発明の第2実施形態を示すピラーの断面正面図。
【図10】本発明の第3実施形態を示すピラーの斜視図。
【図11】図10中、D−D線,E−E線,F−F線,G−G線,H−H線に沿った各断面を(a)〜(e)にそれぞれ示す断面斜視図。
【図12】本発明の第3実施形態における発泡材を取り除いた図10中、E−E線およびG−G線に対応する断面を(a),(b)にそれぞれ示す断面斜視図。
【図13】本発明の第3実施形態における補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図。
【図14】本発明の第3実施形態を示す側面衝突時のピラーの変位−反力特性の説明図。
【図15】本発明の第4実施形態を示すピラーの断面斜視図。
【図16】図15中、I−I線,J−J線,K−K線に沿った各断面を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面図。
【図17】本発明の第4実施形態における補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図。
【図18】本発明の第5実施形態を示すピラーの断面斜視図。
【図19】図18中、L−L線,M−M線,N−N線に沿った各断面を(a)〜(c)にそれぞれ示す断面図。
【図20】本発明の第5実施形態における補強構造を付加したピラーの側面衝突時の変形挙動を(a),(b)によって示す説明図。
【図21】本発明の第5実施形態における側面衝突時のピラーの変位−反力特性の説明図。
【符号の説明】
2 センターピラー(ピラー)
2a ピラーの上下方向中央部
2b ピラーの上端
2c ピラーの下端
2d 外側板
2e 内側板
2f ピラーの本体部分
3 ルーフサイドレール
4 サイドシル
10 前後方向リブ(第1の補強手段)
11 車幅方向リブ(第2の補強手段)
13 第1肉厚部分(第1の補強手段)
14 第2肉厚部分(第2の補強手段)
15 発泡アルミ材(第2の補強手段)
16 第1隔成リブ
17 第2隔成リブ
18 繊維強化材(第1の補強手段)
22 多孔質材料(第2の補強手段)
α ピラーの上端部
β ピラーの下端部
γ ピラーの上下方向略中央部
L ピラーの上,下端を結ぶ直線
S ピラーの中空部
S1,S2,S3 隔成空間
Claims (10)
- 車室の左右両側に上下方向に延在配置した中空のピラーであって、
該ピラーを、その上下方向中央部が上,下端を結ぶ直線よりも外方に突出するように湾曲して形成し、かつ、
ピラーの外側板の上,下端部の伸び変形を抑制する第1の補強手段と、
前記外側板の上下方向略中央部の圧縮変形を抑制する第2の補強手段と、を設けたことを特徴とする車両用ピラーの補強構造。 - 第1の補強手段が、ピラーの中空部内に車両前後方向に沿って形成されて、ピラーの上,下端部では外側板寄りに配置され、ピラーの上下方向略中央部では、ピラーの内側板寄りに配置された前後方向リブであることを特徴とする請求項1に記載の車両用ピラーの補強構造。
- 第1の補強手段を、ピラーの外側板の少なくとも上,下端部に、内側板よりも厚肉化した第1肉厚部分を設けて構成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用ピラーの補強構造。
- 第1の補強手段が、ピラーの中空部内の外側板近傍に沿って上下方向に緊張状態で取り付けた繊維強化材であることを特徴とする請求項請求項1に記載の車両用ピラーの補強構造。
- 第2の補強手段が、ピラーの中空部内に車幅方向に沿って形成した車幅方向リブであることを特徴とする請求項1に記載の車両用ピラーの補強構造。
- 第2の補強手段を、ピラーの外側板の少なくとも上下方向略中央部に、内側板よりも厚肉化した第2肉厚部分を設けて構成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用ピラーの補強構造。
- 第2の補強手段が、ピラーの中空部内の上,下端部では内側板寄りに配置され、ピラーの上下方向略中央部では外側板寄りに配置された発泡材であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ピラーの補強構造。
- 発泡材を、ピラーの中空部内を車幅方向に隔成する第1隔成リブと、ピラーの中空部内を上,下端部と上下方向略中央部との間でそれぞれ上下方向に隔成する第2隔成リブと、によって形成した隔成空間内に充填保持したことを特徴とする請求項7に記載の車両用ピラーの補強構造。
- 第2の補強手段が、ピラーの中空部内に充填され、上,下端部の外側板近傍と上下方向略中央部の内側板近傍では繊維方向がピラーの軸方向と平行な方向に整列し、上,下端部の内側板近傍と上下方向略中央部の外側板近傍では繊維方向が不規則となる多孔質材料であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ピラーの補強構造。
- 第1の補強手段がピラーの中空部内に形成した車両前後方向に沿った前後方向リブであり、第2の補強手段がピラーの中空部内に車幅方向に沿って形成した車幅方向リブであり、これら前後方向リブおよび車幅方向リブをそれぞれ1つまたは複数設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用ピラーの補強構造。
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