JP7155851B2 - 繊維強化複合材製フレーム - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化複合材製フレームに関する。
自動車や航空機、さらには産業機械のフレームとして、繊維強化複合材製フレームが用いられる場合がある。例えば、特許文献1では、繊維強化複合材製フレームを自動車のセンターピラーに用いた構成が開示されている。
特許文献1に開示された繊維強化複合材製フレームは、CFRP(炭素繊維強化樹脂)製であって、略矩形の断面形状を有している。
繊維強化複合材製フレームは、同じ重量の鋼製のフレームに比べて、強度や剛性が高い。よって、繊維強化複合材製フレームを採用する場合には、鋼製のフレームを採用する場合に比べて、軽量化を図りながら同等の強度や剛性を確保することができる。
特開2018-52390号公報
しかしながら、従来技術に係る繊維強化複合材製フレームでは、曲げ荷重が作用した場合に、フレームにおける引張応力が生じる側の縁応力が材料強度に達する前に、圧縮応力が生じる側の縁応力が材料強度に達し、フレームの曲げ強度が決まる。この要因は、フレームの圧縮応力作用部での座屈発生と、材料の引張強度が圧縮強度よりも高い繊維強化複合材の特徴によるものである。即ち、従来技術に係る繊維強化複合材製フレームでは、引張応力が生じる側で材料強度を十分に活かしきれず、曲げ強度の質量効率の悪化を招いており、その改善が求められている。
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、曲げ強度における高い質量効率を得ることができる繊維強化複合材製フレームを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る繊維強化複合材製フレームは、中空断面形状を有し、所定の方向に延びるとともに、曲げ荷重を受ける繊維強化複合材製フレームであって、長手方向の少なくとも一部領域では、前記繊維強化複合材製フレームの長手方向中立軸の位置が、長手方向断面中心軸に対して、圧縮応力が発生する圧縮部の側に偏って設定されており、前記少なくとも一部領域を前記所定の方向と交差する方向に断面視し、前記長手方向断面中心軸に対する前記長手方向中立軸の偏りの方向を当該断面の高さ方向とする場合に、前記圧縮部に対して前記断面の高さ方向における反対側の部分に、前記曲げ荷重作用時に引張応力が発生する引張部が配設され、前記所定の方向および前記断面の高さ方向の双方に交差する短手方向において、前記圧縮部の最大幅は、前記引張部の最大幅よりも広く設定され、前記圧縮部は、前記短手方向の中程部分に前記引張部に向けて凹入されてなる溝と、当該溝の前記短手方向の両脇部分に配され、前記所定の方向に延びる稜線部とを有し、前記圧縮部の幅と前記引張部の幅との差分は、前記短手方向における前記溝の幅と略同じである。
上記の繊維強化複合材製フレームでは、長手方向中立軸を長手方向断面中心軸に対して圧縮部の側に偏って設定されているので、圧縮側縁応力を引張側縁応力に比べて小さくすることができる。即ち、一般的に、繊維強化複合材製フレームでは、曲げ荷重作用時における圧縮強度は引張強度の約1/2~1/3しかないが、上記の繊維強化複合材製フレームでは、長手方向中立軸を圧縮部の側に偏らせ、これにより圧縮側縁応力を引張側縁応力に比べて小さくすることができ、圧縮部での座屈現象と破断の発生を抑制することができる。
従って、上記の繊維強化複合材製フレームでは、引張側縁応力が材料強度またはそれに近い強度に達するまで圧縮部の座屈現象と破断の発生を抑制することで、曲げ強度における高い質量効率を得ることができる。
なお、上記における「中空断面形状を有する」とは、繊維強化複合材で形成されたフレームが中空断面形状を有すればよい。よって、上記の態様に係る繊維強化複合材製フレームは、中空部分に別部材を充填した構成のものも含むものである。
また、上記における「長手方向断面中心軸」とは、曲げ荷重における曲率半径での圧縮部と引張部とを結ぶ方向での寸法中心であって、繊維強化複合材製フレームの長手方向に延びる軸である。
上記態様に係る繊維強化複合材製フレームにおいて、前記少なくとも一部領域における前記圧縮部に、前記曲げ荷重作用時に引張応力が発生する引張部に比べて、長手方向に延びる稜線部を多く設ける、こととしてもよい。
上記の繊維強化複合材製フレームでは、引張部よりも多くの稜線部を圧縮部に設けることにより、圧縮部における座屈の抑制と、中立軸を長手方向断面中心軸に対して圧縮部の側に偏って設定することができ、圧縮部における曲げ荷重作用時における曲げ強度の向上を図ることができる。
上記態様に係る繊維強化複合材製フレームにおいて、前記交差する方向での断面視において、前記断面の高さ方向での該繊維強化複合材製フレームの高さを断面高さとする場合に、前記稜線部が、曲げ応力作用面において、前記引張部の側の端部を基準として、前記断面高さに対して0.55~0.9の範囲に設けられている、こととしてもよい。
上記の繊維強化複合材製フレームでは、稜線を適切な位置に設けることによって、より効率的に曲げ荷重作用時における圧縮部での座屈現象の発生を抑制することができる。
上記態様に係る繊維強化複合材製フレームにおいて、前記少なくとも一部領域で、前記圧縮部の断面を、前記引張部よりも大きく設定する、こととしてもよい。
上記の繊維強化複合材製フレームでは、圧縮部の断面(サイズ)を、引張部よりも大きくすることにより、圧縮部における曲げ強度の向上を図ることができ、曲げ荷重作用時における圧縮部での座屈現象の発生を抑制することができる。
上記態様に係る繊維強化複合材製フレームにおいて、前記少なくとも一部領域における前記圧縮部の外周壁を、前記引張部に比べて、厚肉に設ける、こととしてもよい。
上記の繊維強化複合材製フレームでは、圧縮部の外周壁の肉厚を、引張部よりも厚肉とすることにより、圧縮部における曲げ強度の向上を図ることができ、曲げ荷重作用時における圧縮部での座屈現象の発生を抑制することができる。
上記態様に係る繊維強化複合材製フレームにおいて、該繊維強化複合材製フレームは、自動車の車体におけるフロントドア開口部とリヤドア開口部との間に配設されたセンターピラーであり、前記断面の高さ方向は、前記車体の車幅方向であり、前記圧縮部は、前記引張部よりも前記車幅方向の外側に位置するように配され、前記短手方向の両側に配設された2つの壁部は、前記車幅方向の少なくとも一部において、互いの間隔が前記車幅方向の内側から外側へと行くのに従って漸次拡がるように形成されている、こととしてもよい。
上記の態様に係る繊維強化複合材製フレームでは、曲げ強度における高い質量効率を得ることができる。
第1実施形態に係る車体の一部構成を示す模式側面図である。 図1のA部を示す拡大図である。 図2のIII-III断面を示す図であって、センターピラーの中部の断面構造を示す模式断面図である。 図2のIV-IV断面を示す図であって、センターピラーの下部の断面構造を示す模式断面図である。 (a)は、比較例に係るセンターピラーに曲げ荷重が作用した場合の圧縮応力と引張応力とを示すモデル図であり、(b)は、第1実施形態に係るセンターピラーの中部に曲げ荷重が作用した場合の圧縮応力と引張応力とを示すモデル図である。 参考例としてスチール製のセンターピラーに曲げ荷重が作用した場合の圧縮応力と引張応力とを示すモデル図である。 (a)は、第2実施形態に係るセンターピラーの中部の断面構造を示す模式断面図であり、(b)は、第3実施形態に係るセンターピラーの中部の断面構造を示す模式断面図である。 (a)は、第4実施形態に係るセンターピラーの中部の断面構造を示す模式断面図であり、(b)は、第5実施形態に係るセンターピラーの中部の断面構造を示す模式断面図である。 サンプル1~12における質量と曲げ強度との関係を示すグラフである。 稜線の位置と座屈を伴わない最大の曲げモーメントとの関係を示すグラフである。 第6実施形態に係る車体の一部構成を示す模式平面図である。 図11のC部に示すフロントサイドフレームの構造を示す模式平面図である。
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
なお、以下の説明で用いる図において、「FR」は車体前方、「RE」は車体後方、「UP」は車体上方、「LO」は車体下方、「RI」は車体右方、「LE」は車体左方、「OUT」は車体外方、「IN」は車体内方をそれぞれ示す。
[第1実施形態]
1.車体1の構成
本実施形態に係る車体1の構成について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、車体1は、下方において前後方向に延びるサイドシル2と、上方において前後方向に延びるルーフサイドレール4と、を備える。また、車体1は、サイドシル2とルーフサイドレール3との間を接続し、フロントドア開口部6とリヤドア開口部7との間に配設されたセンターピラー4を備える。さらに、車体1は、リヤドア開口部7の後方側にリヤピラー5も備える。
ここで、本実施形態に係るセンターピラー4は、繊維強化複合材製フレームに相当する。より具体的には、センターピラー4は、炭素繊維強化樹脂から構成されている。
なお、図1では、車体1の右側側面の一部だけを図示しているが、左側側面におけるセンターピラーについても、センターピラー4と同様の構成を以って形成されている。
2.センターピラー4
センターピラー4の構成について、図2を用いて説明する。図2は、図1のA部を示す拡大図である。
図2に示すように、センターピラー4は、上下方向に延びるフレームである。センターピラー4は、下方から上方に向けて幅が漸減するように構成されている。
本実施形態において、センターピラー4の下方の部分を下部4a、中程の部分を中部4b、上方の部分を上部4cとする。
3.センターピラー4の中部4bの断面構造
センターピラー4の中部4bの断面構造について、図3を用いて説明する。図3は、図2のIII-III断面を示す模式断面図である。
図3に示すように、本実施形態に係るセンターピラー4は、中部4bを含めて繊維強化複合材(例えば、炭素繊維強化複合材)により構成された、中空構造のフレームである。即ち、本実施形態に係るセンターピラー4は、中空断面形状を有し、上下方向に延びる繊維強化複合材製フレームである。
図3に示すように、センターピラー4の中部4bは、角丸の略長方形状の断面形状を有し、内方に内部空間4dが形成されている。車体1の内外方向において、センターピラー4の中部4bはH1の寸法を以って構成されている。このため、車体1の内外方向において、センターピラー4の中部4bにおける長手方向断面中心軸Ax4bは、外側部4b1および内側部4b2の両外面からH2(=H1/2)の箇所に引いた中心線上に位置する。
本実施形態に係るセンターピラー4の中部4bでは、外側部4b1の外周壁の肉厚TB1が、内側部4b2の外周壁の肉厚TB2に比べて厚肉に形成されている。例えば、肉厚TB1は、肉厚TB1に比べて1.20~1.40の比率を以って厚肉に形成されている。
センターピラー4の中部4bは、外側部4b1の肉厚TB1と内側部4b2の肉厚TB2とに差異を設けることにより、長手方向中立軸AxNが長手方向断面中心軸Ax4bに対してG1だけ外側部4b1の側に偏って設定されている。
ここで、センターピラー4の中部4bにおいて、外側部4b1は、側面衝突などで中部4bに内側に向けて曲げ荷重が作用した際に圧縮応力が発生する側である。即ち、本実施形態に係るセンターピラー4の中部4bでは、長手方向中立軸AxNが、長手方向断面中心軸Ax4bに対して、曲げ荷重作用時に圧縮応力が発生する圧縮部(外側部4b1)の側に偏って設定されている。
なお、図3に示すように、本実施形態に係るセンターピラー4の中部4bにおいては、肉厚TB2よりも肉厚TB1を厚肉にするのに際して、内部空間4d側に厚肉分を配分している。これにより、センターピラー4の中部4bにおいては、厚肉にしている箇所が外観上で目立たず、優れた外観品質を実現することができる。
4.センターピラー4の下部4aの断面構造
センターピラー4の下部4aの断面構造について、図4を用いて説明する。図4は、図2のIV-IV断面を示す模式断面図である。
図4に示すように、センターピラー4の下部4aも、中部4bと同様に、角丸の略長方形状の断面形状を有し、内方に内部空間4dが形成されている。車体1の内外方向において、センターピラー4の下部4aはH3の寸法を以って構成されている。そして、車体1の内外方向において、センターピラー4の下部4aにおける長手方向断面中心軸Ax4aは、外側部4a1および内側部4a2の両外面からH4(=H3/2)の箇所に引いた中心線上に位置する。
センターピラー4の下部4aにおいては、中部4bと異なり、外側部4a1および内側部4a2の外周壁全体が、略一定の肉厚Tで形成されている。このため、センターピラー4の下部4aでは、長手方向中立軸AxNが長手方向断面中心軸Ax4aに略一致する状態で設定されている。
ここで、センターピラー4の下部4aでは、側面衝突などが発生した場合においても、直接に曲げ荷重が作用しない、あるいは大きな曲げ荷重が作用しない、と想定される領域として設定されており、このため、上記のように長手方向中立軸AxNが長手方向断面中心軸Ax4aに略一致する状態で設定されている。
5.曲げ荷重作用時における圧縮応力と引張応力
センターピラー4の中部4bに曲げ荷重が作用した場合に発生する圧縮応力と引張応力とについて、図5および図6を用いて説明する。図5(a)は、比較例に係るセンターピラーに曲げ荷重が作用した場合の圧縮応力と引張応力とを示すモデル図であり、図5(b)は、本実施形態に係るセンターピラー4の中部4bに車体1の外側から曲げ荷重が作用した場合の圧縮応力と引張応力とを示すモデル図である。図6は、参考例としてスチール製のセンターピラーに曲げ荷重が作用した場合の圧縮応力と引張応力とを示すモデル図である。
先ず、図5(a)に示す比較例は、長手方向中立軸AxNと長手方向断面中心軸とが略一致した繊維強化複合材製フレームに曲げ荷重を作用させた場合に発生する応力を示している。図5(a)に示すように、比較例では、圧縮側縁応力と引張側縁応力とが略同じ応力となるため、引張側縁応力が材料強度に達する前に圧縮側縁応力が材料強度に達してしまう。即ち、上述のように、繊維強化複合材製フレームでは、曲げ荷重作用時における圧縮強度は引張強度の約1/2~1/3しかないので、引張荷重が生じる側(曲げ中心AxBとは反対側)で引張側縁応力が材料強度に達する前に、圧縮応力が生じる側(曲げ中心AxBの側)で座屈現象が発生する。
次に、図5(b)に示す実施例では、上述同様に、長手方向中立軸AxNを、長手方向断面中心軸Ax4bに対して、曲げ荷重作用時に圧縮応力が作用する側(曲げ中心AxBの側)に偏って設定している。本実施例では、一例として、y:y=1:3としている。換言すると、本実施例では、yを断面高さ(y+y)の1/4とし、yを断面高さ(y+y)の3/4(=0.75)としている。
図5(b)に示すように、実施例では、長手方向中立軸AxNを、長手方向断面中心軸Ax4bに対して、曲げ荷重作用時に圧縮応力が作用する側に偏って設定することによって、曲げ荷重作用時における圧縮側縁応力σを、引張側縁応力σに対して約1/3程度に抑えることができる。よって、実施例では、引張荷重が生じる側(曲げ中心AxBとは反対側)で引張側縁応力が材料強度に達する前に、圧縮応力が生じる側(曲げ中心AxBの側)で座屈現象が発生するのを抑制することができる。
次に、図6に示す参考例は、弾塑性材料であるスチールである。スチールに曲げ荷重を作用させた場合には、長手方向中立軸AxN(長手方向断面中心軸に一致)から曲げ中心側の外壁面に向けての領域に一様な圧縮応力が発生し、曲げ中心とは反対側の外壁面に向けての領域に一様な引張応力が発生する。即ち、スチールでは、座屈による損失がないことを仮定した全塑性状態である、といえる。
6.効果
本実施形態に係る繊維強化複合材製フレームとしてのセンターピラー4では、中部4bにおいて、長手方向中立軸AxNを長手方向断面中心軸Ax4bに対して外側部(圧縮部)4b1の側に偏って設定されているので、圧縮側縁応力σを引張側縁応力σに比べて小さくすることができる。即ち、繊維強化複合材製フレームでは、曲げ荷重作用時における圧縮強度は引張強度の約1/2~1/3しかないが、本実施形態に係るセンターピラー4の中部4bでは、長手方向中立軸AxNを、長手方向断面中心軸Ax4bに対して外側部(圧縮部)4b1の側に偏らせることで、圧縮側縁応力σを引張側縁応力σに比べて小さくすることで外側部(圧縮部)4b1での座屈現象の発生を抑制することができる。
従って、本実施形態に係るセンターピラー4の中部4bでは、引張側縁応力σが材料強度またはそれに近い強度に達するまで圧縮部4b1の座屈現象と破断の発生を抑制することで、曲げ強度における高い質量効率を得ることができる。
なお、本実施形態に係るセンターピラー4の中部4bでは、長手方向中立軸AxNを、長手方向断面中心軸Ax4bに対して圧縮部4b1の側に偏らせるための一例としての手段として、外側部(曲げ荷重作用時の圧縮部)4b1の外周壁における肉厚TB1を、内側部(曲げ荷重作用時の引張側)4b2の外周壁における肉厚TB2よりも厚肉とした。
[第2実施形態]
第2実施形態に係るセンターピラー14の構成について、図7(a)を用いて説明する。図7(a)は、本実施形態に係るセンターピラー14の中部の断面構造を示す模式断面図である。なお、センターピラー14における下部および上部については、上記第1実施形態に係るセンターピラー4と同じ構造を以って形成されているので、重ねての説明を省略する。
図7(a)に示すように、本実施形態に係るセンターピラー14も、中部を含めて繊維強化複合材(例えば、炭素繊維強化複合材)により構成された、中空構造のフレームである。即ち、本実施形態に係るセンターピラー14も、内部空間14dの周囲を外周壁で囲んでなる断面構成を有する、繊維強化複合材製フレームである。
本実施形態に係るセンターピラー14の中部は、外周壁の肉厚Tが全周に亘って略同じである。また、センターピラー14の中部では、外側部14aの幅W1が内側部14bの幅W2よりも広く設定されている。
さらに、センターピラー14の中部では、外側部14aに稜線部14cが設けられている。稜線部14cは、幅方向両側の部分よりも内部空間14d側へと凹入された溝の両脇部分に設けられている。なお、センターピラー14の中部における幅W1と幅W2との差分は、稜線部14c同士の間の溝の幅に相当する。
センターピラー14の中部では、外側部14aに稜線部14cを設けることにより、長手方向中立軸AxNが長手方向断面中心軸Ax14に対してG2だけ外側部14aの側に偏って設定されている。
ここで、本実施形態に係るセンターピラー14の中部においても、外側部14aは、側面衝突などで内側に向けて曲げ荷重が作用した際に圧縮応力が発生する側である。即ち、本実施形態に係るセンターピラー14の中部でも、長手方向中立軸AxNが、長手方向断面中心軸Ax14に対して、曲げ荷重作用時に圧縮応力が発生する圧縮部(外側部14a)の側に偏って設定されている。
本実施形態に係るセンターピラー14の中部では、外側部(曲げ荷重作用時の圧縮側の部分)に稜線部14cを設けることにより、長手方向中立軸AxNを、長手方向断面中心軸Ax14に対して外側部(圧縮部)14aの側に偏らせることで、圧縮側縁応力σを引張側縁応力σに比べて小さくすることで外側部(圧縮部)14aでの座屈現象の発生を抑制することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態に係るセンターピラー24の構成について、図7(b)を用いて説明する。図7(b)は、本実施形態に係るセンターピラー24の中部の断面構造を示す模式断面図である。なお、センターピラー24における下部および上部についても、上記第1実施形態に係るセンターピラー4と同じ構造を以って形成されているので、重ねての説明を省略する。
図7(b)に示すように、本実施形態に係るセンターピラー24も、中部を含めて繊維強化複合材(例えば、炭素繊維強化複合材)により構成された、中空構造のフレームである。即ち、本実施形態に係るセンターピラー24も、内部空間24dの周囲を外周壁で囲んでなる断面構成を有する、繊維強化複合材製フレームである。
本実施形態に係るセンターピラー24の中部は、上記第1実施形態に係るセンターピラー4の中部4bと同様に、外側部24aの外周壁の肉厚TD1が、内側部24bの外周壁の肉厚TD2に比べて厚肉に形成されている。なお、本実施形態においても、肉厚TD2よりも肉厚TD1を厚肉にするのに際して、内部空間24d側に厚肉分を配分している。これにより、本実施形態に係るセンターピラー24の中部においても、厚肉している箇所が外観上で目立たず、優れた外観品質を実現することができる。
また、センターピラー24の中部では、上記第2実施形態に係るセンターピラー14の中部と同様に、外側部24aの幅W3が内側部24bの幅W4よりも広く設定されている。
さらに、本実施形態に係るセンターピラー24の中部でも、上記第2実施形態に係るセンターピラー14の中部と同様に、外側部24aに稜線部24cが設けられている。稜線部24cの形成形態については、上記第2実施形態に係る稜線部14cと同じである。
本実施形態に係るセンターピラー24の中部では、外側部24aの肉厚TD1を内側部24bの肉厚TD2よりも厚肉にし、且つ、外側部24aに稜線部24cを設けることにより、長手方向中立軸AxNが長手方向断面中心軸Ax24に対してG3だけ外側部24aの側に偏って設定されている。
なお、本実施形態に係るセンターピラー24の中部においても、外側部24aは、側面衝突などで内側に向けて曲げ荷重が作用した際に圧縮応力が発生する側であり、長手方向中立軸AxNが、長手方向断面中心軸Ax24に対して、曲げ荷重作用時に圧縮応力が発生する圧縮部(外側部)24aの側に偏って設定されている。
本実施形態に係るセンターピラー24の中部では、外側部24aの肉厚TD1を内側部24bの肉厚TD2よりも厚肉にし、且つ、外側部(曲げ荷重作用時の圧縮側の部分)に稜線部24cを設けることにより、長手方向中立軸AxNを、長手方向断面中心軸Ax24に対して外側部(圧縮部)24aの側に偏らせることで、圧縮側縁応力σを引張側縁応力σに比べて小さくすることで外側部(圧縮部)24aでの座屈現象の発生を抑制することができる。
[第4実施形態]
第4実施形態に係るセンターピラー34の構成について、図8(a)を用いて説明する。図8(a)は、本実施形態に係るセンターピラー34の中部の断面構造を示す模式断面図である。なお、センターピラー34における下部および上部についても、上記第1実施形態に係るセンターピラー4と同じ構造を以って形成されているので、重ねての説明を省略する。
図8(a)に示すように、本実施形態に係るセンターピラー34も、中部を含めて繊維強化複合材(例えば、炭素繊維強化複合材)により構成された、中空構造のフレームである。即ち、本実施形態に係るセンターピラー34も、上記第1実施形態から上記第3実施形態と同様に、中空断面形状を有し、上下方向に延びる繊維強化複合材製フレームである。
図8(a)に示すように、センターピラー34の中部は、外周部が角丸の略長方形状の断面形状を有し、内方に内部空間34iが形成されている。
本実施形態に係るセンターピラー34の中部は、上記第2実施形態に係るセンターピラー14の中部と同様に、外周壁の肉厚Tが全周に亘って略同じである。
本実施形態に係るセンターピラー34の中部では、内部空間34iにおける外側部34aの側にリブ34c,34d,34eが設けられている。各リブ34c,34d,34eは、センターピラー34の中部において、長手方向(紙面に垂直な方向)に連続した状態で形成されている。
センターピラー34の中部における内部空間34iは、上記のリブ34c,34d,34eにより、外側部34aの側が3つの小部屋(部屋)34f,34g,34hに区画されている。なお、リブ34c,34d,34e同士や各リブ34c,34d,34eと外周壁とはそれぞれの突合せ箇所で接続されている。
本実施形態に係るセンターピラー34の中部では、内部空間34iに複数のリブ34c,34d,34eを設け、これらリブ34c,34d,34eにより内部空間34iの外側部34aの側に複数の小部屋34f,34g,34hを設けることにより、長手方向中立軸AxNが長手方向断面中心軸Ax34に対してG4だけ外側部34aの側に偏って設定されている。
なお、本実施形態に係るセンターピラー34の中部においても、外側部34aは、側面衝突などで内側に向けて曲げ荷重が作用した際に圧縮応力が発生する側であり、長手方向中立軸AxNが、長手方向断面中心軸Ax34に対して、曲げ荷重作用時に圧縮応力が発生する圧縮部(外側部)34aの側に偏って設定されている。
従って、本実施形態に係るセンターピラー34の中部においても、長手方向中立軸AxNを、長手方向断面中心軸Ax34に対して外側部(圧縮部)34aの側に偏らせることで、圧縮側縁応力σを引張側縁応力σに比べて小さくすることで外側部(圧縮部)34aでの座屈現象の発生を抑制することができる。
[第5実施形態]
第5実施形態に係るセンターピラー44の構成について、図8(b)を用いて説明する。図8(b)は、本実施形態に係るセンターピラー44の中部の断面構造を示す模式断面図である。なお、センターピラー44における下部および上部についても、上記第1実施形態に係るセンターピラー4と同じ構造を以って形成されているので、重ねての説明を省略する。
図8(b)に示すように、本実施形態に係るセンターピラー44も、中部を含めて繊維強化複合材(例えば、炭素繊維強化複合材)により構成された、中空構造のフレームである。即ち、本実施形態に係るセンターピラー44も、上記第1実施形態から上記第4実施形態と同様に、中空断面形状を有し、上下方向に延びる繊維強化複合材製フレームである。
図8(b)に示すように、センターピラー44の中部は、外周部が角丸の略長方形状の断面形状を有し、内方に内部空間34iが形成されている。
本実施形態に係るセンターピラー44の中部は、上記第1実施形態および上記第3実施形態と同様に、外側部44aの外周壁の肉厚TF1が、内側部44bの外周壁の肉厚TF2に比べて厚肉に形成されている。なお、本実施形態においても、肉厚TF2よりも肉厚TF1を厚肉にするのに際して、内部空間44i側に厚肉分を配分している。これにより、本実施形態に係るセンターピラー44の中部においても、厚肉している箇所が外観上で目立たず、優れた外観品質を実現することができる。
本実施形態に係るセンターピラー44の中部では、上記第4実施形態と同様に、内部空間44iにおける外側部44aの側にリブ44c,44d,44eが設けられている。各リブ44c,44d,44eは、センターピラー44の中部において、長手方向(紙面に垂直な方向)に連続した状態で形成されている。
センターピラー44の中部における内部空間44iについても、上記のリブ44c,44d,44eにより、外側部44aの側が3つの小部屋(部屋)44f,44g,44hに区画されている。なお、リブ44c,44d,44e同士や各リブ44c,44d,44eと外周壁とはそれぞれの突合せ箇所で接続されている。
本実施形態に係るセンターピラー44の中部では、内部空間44iに複数のリブ44c,44d,44eを設け、これらリブ44c,44d,44eにより内部空間44iの外側部44aの側に複数の小部屋44f,44g,44hを設けることにより、長手方向中立軸AxNが長手方向断面中心軸Ax44に対してG5だけ外側部44aの側に偏って設定されている。
なお、本実施形態に係るセンターピラー44の中部においても、外側部44aは、側面衝突などで内側に向けて曲げ荷重が作用した際に圧縮応力が発生する側であり、長手方向中立軸AxNが、長手方向断面中心軸Ax44に対して、曲げ荷重作用時に圧縮応力が発生する圧縮部(外側部)44aの側に偏って設定されている。
従って、本実施形態に係るセンターピラー44の中部においても、長手方向中立軸AxNを、長手方向断面中心軸Ax44に対して外側部(圧縮部)44aの側に偏らせることで、圧縮側縁応力σを引張側縁応力σに比べて小さくすることで外側部(圧縮部)44aでの座屈現象の発生を抑制することができる。
[各実施形態に係るセンターピラーが奏する効果の確認]
上記第1実施形態から上記第5実施形態に係る各センターピラー4,14,24,34,44が奏する効果についての確認を行った。その結果について、図9を用いて説明する。図9は、比較例としてのサンプル1~3、上記第1実施形態と同一形態を有するサンプル4、上記第2実施形態と同一形態を有するサンプル5~7、上記第3実施形態と同一形態を有するサンプル8、上記第4実施形態と同一形態を有するサンプル9~11、および上記第5実施形態と同一形態を有するサンプル12における質量と曲げ強度との関係を示すグラフである。
(1)サンプル1~3
サンプル1~3は、上記第1実施形態に係るセンターピラー4の中部4bの断面構造に対して、外周壁の肉厚を全周に亘って一定としたサンプルである。質量が互いに異なる3種類のサンプル1~3を作製し、それぞれの曲げ強度を測定した。
なお、サンプル1~3では、長手方向中立軸と長手方向断面中心軸とが一致している。
(2)サンプル4
サンプル4は、上記第1実施形態に係るセンターピラー4の中部4bと同じ断面構造を採用したサンプルであり、質量をM1とした。サンプル4についても、曲げ強度を測定した。なお、サンプル4では、長手方向中立軸が、長手方向断面中心軸に対して、圧縮部の側に偏って設定されている。
(3)サンプル5~7
サンプル5~7は、上記第2実施形態に係るセンターピラー14の中部と同じ断面構造を採用したサンプルである。質量が互いに異なるサンプル5~7を作製し、それぞれの曲げ強度を測定した。サンプル5~7についても、長手方向中立軸が、長手方向断面中心軸に対して、圧縮部の側に偏って設定されている。
(4)サンプル8
サンプル8は、上記第3実施形態に係るセンターピラー24の中部と同じ断面構造を採用したサンプルであり、質量をM2とした。サンプル8についても、曲げ強度を測定した。なお、サンプル8についても、長手方向中立軸が、長手方向断面中心軸に対して、圧縮部の側に偏って設定されている。
(5)サンプル9~11
サンプル9~11は、上記第4実施形態に係るセンターピラー34の中部と同じ断面構造を採用したサンプルである。質量が互いに異なるサンプル9~11を作製し、それぞれの曲げ強度を測定した。サンプル9~11についても、長手方向中立軸が、長手方向断面中心軸に対して、圧縮部の側に偏って設定されている。
(6)サンプル12
サンプル12は、上記第5実施形態に係るセンターピラー44の中部と同じ断面構造を採用したサンプルであり、質量をM3とした。サンプル12についても、曲げ強度を測定した。サンプル12についても、長手方向中立軸が、長手方向断面中心軸に対して、圧縮部の側に偏って設定されている。
(7)確認結果
図9に示すように、サンプル1~3の曲げ強度は、質量が大きいほど高くなっている。即ち、サンプル1よりもサンプル2の方が外周壁の肉厚が厚く、サンプル2よりもサンプル3の方が外周壁の肉厚が厚いことにより、質量の増加に比例して曲げ強度も高くなっている。
サンプル4の曲げ強度は、SB4となっており、サンプル1~3から推定される同じ質量M1でのポイントP1の曲げ強度SB1よりも高くなっている。これは、同じ質量M1であっても、圧縮部の側の肉厚を引張部の側の肉厚よりも厚くすることで、長手方向中立軸を長手方向断面中心軸に対して圧縮部の側に偏って設定したことによる効果である。即ち、サンプル4は、サンプル1~3に対して、曲げ強度における高い質量効率を得ることができていることが分かる。
サンプル5~7の曲げ強度も、質量が大きいほど高くなっている。サンプル5~7についても、外周壁の肉厚が厚く、質量が大きいサンプルほど曲げ強度が高くなっている。なお、サンプル5~7から推定される質量M1での曲げ強度は、サンプル4の曲げ強度SB4よりも高くなっている。これは、上記実施形態2に係るセンターピラー14の中部における断面構造を採用することにより、上記実施形態1に係るセンターピラー4の中部4bの断面構造を採用する場合よりも、同じ質量でより高い曲げ強度が得られることを示している。
サンプル8の曲げ強度は、SB8となっており、サンプル5~7から推定される同じ質量M2でのポイントP2の曲げ強度SB2よりも高くなっている。これは、サンプル1~3とサンプル4との関係と同様に、同じ質量M2であっても、圧縮部の側の肉厚を引張部の側の肉厚よりも厚くすることで、長手方向中立軸を長手方向断面中心軸に対して圧縮部の側に偏って設定したことによる効果である。即ち、サンプル8は、サンプル5~7に対して、曲げ強度における高い質量効率を得ることができていることが分かる。
サンプル9~11の曲げ強度も、質量が大きいほど高くなっている。サンプル9~11についても、外周壁の肉厚が厚く、質量が大きいサンプルほど曲げ強度が高くなっている。なお、サンプル9~11から推定される質量M2での曲げ強度は、サンプル8の曲げ強度SB8よりも高くなっている。これは、上記実施形態4に係るセンターピラー34の中部における断面構造を採用することにより、上記実施形態3に係るセンターピラー24の中部の断面構造を採用する場合よりも、同じ質量でより高い曲げ強度が得られることを示している。
サンプル12の曲げ強度は、SB12となっており、サンプル9~11から推定される同じ質量M3でのポイントP3の曲げ強度SB3よりも高くなっている。これは、サンプル1~3とサンプル4との関係およびサンプル5~7とサンプル8との関係と同様に、同じ質量M3であっても、圧縮部の側の肉厚を引張部の側の肉厚よりも厚くすることで、長手方向中立軸を長手方向断面中心軸に対して圧縮部の側に偏って設定したことによる効果である。即ち、サンプル12は、サンプル9~11に対して、曲げ強度における高い質量効率を得ることができていることが分かる。
ここで、上記第1実施形態においては、yを断面高さ(y+y)の1/4(=0.25)、換言するとyを断面高さ(y+y)の“0.75”とすることで、引張側縁応力σが材料強度またはそれに近い強度に達するまで圧縮部4b1の座屈現象の発生を抑制することができ、曲げ強度における高い質量効率を得ることができる。ただし、断面高さ(y+y)に対するyの比率については、用いる材料により好ましい値にすることができる。例えば、yを断面高さ(y+y)に対して0.18~0.5の範囲で、換言すると、yを断面高さ(y+y)に対して0.5~0.82の範囲で設定することができる。
[稜線およびリブの位置と座屈を伴わない最大の曲げモーメントとの関係]
上記第2実施形態では、センターピラー14の中部の外側部14aに稜線部14cを設け、上記第3実施形態では、センターピラー24の中部の外側部24aに稜線部24cを設けることとした。また、上記第4実施形態では、センターピラー34の中部の内部空間34iにおける外側部34aの側にリブ34c,34d,34eを設け、上記第5実施形態では、センターピラー44の中部の内部空間44iにおける外側部44aの側にリブ44c,44d,44eを設けることとした。
これら稜線部14c,24cおよびリブ34c,34d,34e,44c,44d,44eを設ける位置と、座屈を伴わない最大の曲げモーメントとの関係について図10を用いて説明する。図10は、稜線14c,24cの位置と座屈を伴わない最大の曲げモーメントとの関係を示すグラフである。
なお、図10では、センターピラーの内側の端部(曲げ荷重作用時に引張応力が発生する側の端部)を基準とした稜線の位置H5を、センターピラーの高さH1で除した値を横軸にとり、座屈を伴わない曲げモーメント(最大の曲げモーメントに対する比)M/Mmaxを縦軸にとった。
図10に示すように、H5/H1の値が0.75である場合に、座屈を伴わない最大の曲げモーメントMmax(M/Mmax=1)が得られることが分かる。また、H5/H1の値が0.55~0.9の範囲内(図10における“B”で示す範囲内)にある場合に、効率的な曲げモーメントMが得られることが分かる。
従って、H5/H1を0.55~0.9の範囲内に設定することによって、曲げ荷重作用時における圧縮部における座屈現象の発生を効率的に抑制することができる。
なお、図10では、センターピラーの中部における外側部に稜線部を設ける構成を一例としたが、センターピラーの中部の内部空間における外側部の側にリブを設ける構成の場合も同様となる。
[第6実施形態]
第6実施形態に係る車体10およびフロントサイドフレーム12の構成について、図11および図12を用いて説明する。図11は、本実施形態に係る車体10の一部構成を示す模式平面図であり、図12は、図11のC部に示すフロントサイドフレーム12の構造を示す模式平面図である。
図11に示すように、本実施形態に係る車体10は、車体前部10aにフロアパネル11とフロントサイドフレーム12とバンパーレインフォースメント13とを備える。フロントサイドフレーム12は、左右一対で設けられており、フロアパネル11とバンパーレインフォースメント13との間で架設されている。
図12に示すように、本実施形態に係るフロントサイドフレーム12は、車体10の前後方向に延び、中空断面形状を有する。そして、フロントサイドフレーム12は、繊維強化複合材(例えば、炭素繊維強化複合材)により構成されたフレームである。
フロントサイドフレーム12には、長手方向において互いに間隔を空けた状態で複数のビード12c~12eが設けられている。このうちビード12c,12eは、右方の側方部12aに設けられており、ビード12dは、左方の側方部12bに設けられている。なお、車体10の右方側に設けられたフロントサイドフレーム12では、複数のビードの形成方向が図12に示す形態とは左右逆向きとなっている。
図12に示すように、車体10に対して前方から物が衝突した場合、フロントサイドフレーム12に対しては、バンパーレインフォースメント13を介して矢印で示すような力が作用する。このような力が作用した場合に、フロントサイドフレーム12は、ビード12c~12eを内側として折れ曲がるように変形し、衝突の衝撃を吸収することとなる。
フロントサイドフレーム12では、ビード12c~12eが設けられた箇所およびその近傍で、長手方向中立軸AxNが、長手方向断面中心軸Ax12に対して偏って設定されている。具体的には、ビード12cが設けられた箇所とその近傍では、前突による曲げ荷重が作用した場合に圧縮応力が発生する圧縮部12fの側に長手方向中立軸AxNが偏って設定されている。逆にいえば、ビード12cが設けられた箇所とその近傍では、前突による曲げ荷重が作用した場合に引張応力が発生する引張部12gの側から離れた側に長手方向中立軸AxNが設定されている。
同様に、ビード12dが設けられた箇所とその近傍では、前突による曲げ荷重が作用した場合に圧縮応力が発生する圧縮部12hの側であって、引張応力が発生する引張部12iとは反対側に長手方向中立軸AxNが偏って設定されている。また、ビード12eが設けられた箇所とその近傍では、前突による曲げ荷重が作用した場合に圧縮応力が発生する圧縮部12jの側であって、引張応力が発生する引張部12kとは反対側に長手方向中立軸AxNが偏って設定されている。
以上のように、本実施形態に係るフロントサイドフレーム12では、ビード12c~12eが設けられた箇所およびその近傍において、前突による曲げ荷重が作用した場合に圧縮応力が発生する圧縮部12fの側に長手方向中立軸AxNが偏って設定されている。このため、本実施形態に係るフロントサイドフレーム12では、長手方向において、長手方向中心軸Ax12に対して、左右で交互に入れ替わる状態で偏るように長手方向中立軸AxNが設定されている。
なお、長手方向中立軸AxNを長手方向中心軸Ax12に対して偏って設定する具体的な手段としては、上記第1実施形態から上記第5実施形態の何れかの手段を採用することができる。
[変形例]
上記第1実施形態に係るセンターピラー4の中部4bでは、外側部4b1と内側部4b2とで2段階で肉厚を変えることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、3段階あるいはそれ以上で肉厚を変更することとしてもよい。
上記第2実施形態および上記第3実施形態では、センターピラー14,24の外側部14a,24aにだけ稜線部14c,24cを設けることとしたが、外側部(圧縮部)に設ける稜線部の数について、本発明は、これに限定を受けるものではない。本発明では、内側部(引張部)よりも多くの稜線部を外側部(圧縮部)に設けることで上記同様の効果が得られる。
上記第4実施形態および上記第5実施形態では、センターピラー34,44の内部空間34i,44iにおける外側部34a,44aの側にだけリブ34f~34h,44f~44hを設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。本発明では、内部空間における内側部(引張部)よりも多くのリブを外側部(圧縮部)の側に設けることで上記同様の効果を得ることができる。
上記第1実施形態から上記第5実施形態では、繊維強化複合材製フレームの一例としてセンターピラー4,14,24,34,44を採用し、上記第6実施形態では、繊維強化複合材製フレームの一例としてフロントサイドフレーム12を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、サイドシルやルーフサイドレールなどへの適用も可能である。
また、本発明は、自動車等の車体に限らず種々の構造体(例えば、産業機器など)に適用することも可能である。
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態では、横断面における外観形状を角丸四角としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、横断面における外観形状について、円形や楕円形や長円形、さらには三角形あるいは五角形よりも多角の多角形断面などを採用することも可能である。
また、上記第1実施形態から上記第6実施形態では、繊維強化複合材の一例として炭素繊維強化複合材を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)や、アラミド繊維強化樹脂(ArFRP)や、炭化ケイ素繊維強化樹脂(SiCFRP)や、非鉄金属などの金属繊維を用いた繊維強化樹脂などの繊維強化複合材を採用することも可能である。
4,14,24,34,44 センターピラー(繊維強化複合材製フレーム)
4b1,14a,24a,34a,44a 外側部(圧縮部)
4b2,14b,24b,34b,44b 内側部(引張部)
4d,14d,24d,34i,44i 内部空間
12 フロントサイドフレーム(繊維強化複合材製フレーム)
12f,12h,12j 圧縮部
12g,12i,12k 引張部
14c,24c 稜線部
34c,34d,34e,44c,44d,44e リブ
34f,34g,34h,44f,44g,44h 小部屋(部屋)
Ax4b,Ax14,Ax24,Ax34,Ax44 長手方向断面中心軸
AxN,AxN,AxN,AxN,AxN 長手方向中立軸

Claims (6)

  1. 中空断面形状を有し、所定の方向に延びるとともに、曲げ荷重を受ける繊維強化複合材製フレームであって、
    長手方向の少なくとも一部領域では、前記繊維強化複合材製フレームの長手方向中立軸の位置が、長手方向断面中心軸に対して、圧縮応力が発生する圧縮部の側に偏って設定されており、
    前記少なくとも一部領域を前記所定の方向と交差する方向に断面視し、前記長手方向断面中心軸に対する前記長手方向中立軸の偏りの方向を当該断面の高さ方向とする場合に、前記圧縮部に対して前記断面の高さ方向における反対側の部分に、前記曲げ荷重作用時に引張応力が発生する引張部が配設され、
    前記所定の方向および前記断面の高さ方向の双方に交差する短手方向において、前記圧縮部の最大幅は、前記引張部の最大幅よりも広く設定され、
    前記圧縮部は、前記短手方向の中程部分に前記引張部に向けて凹入されてなる溝と、当該溝の前記短手方向の両脇部分に配され、前記所定の方向に延びる稜線部とを有し、
    前記圧縮部の幅と前記引張部の幅との差分は、前記短手方向における前記溝の略幅と同じである、
    繊維強化複合材製フレーム。
  2. 請求項1に記載の繊維強化複合材製フレームにおいて、
    前記少なくとも一部領域における前記圧縮部には、前記曲げ荷重作用時に引張応力が発生する引張部に比べて、長手方向に延びる稜線部が多く設けられている、
    繊維強化複合材製フレーム。
  3. 請求項2に記載の繊維強化複合材製フレームにおいて、
    前記交差する方向での断面視において、前記断面の高さ方向での該繊維強化複合材製フレームの高さを断面高さとする場合に、
    前記稜線部は、曲げ応力作用面において、前記引張部の側の端部を基準として、前記断面高さに対して0.55~0.9の範囲に設けられている、
    繊維強化複合材製フレーム。
  4. 請求項1から請求項3の何れかに記載の繊維強化複合材製フレームにおいて、
    前記少なくとも一部領域では、前記圧縮部の断面が、前記引張部よりも大きく設定されている、
    繊維強化複合材製フレーム。
  5. 請求項1から請求項4の何れかに記載の繊維強化複合材製フレームにおいて、
    前記少なくとも一部領域における前記圧縮部の外周壁は、前記引張部に比べて、厚肉に設けられている、
    繊維強化複合材製フレーム。
  6. 請求項1から請求項5の何れかに記載の繊維強化複合材製フレームにおいて、
    該繊維強化複合材製フレームは、自動車の車体におけるフロントドア開口部とリヤドア開口部との間に配設されたセンターピラーであり、
    前記断面の高さ方向は、前記車体の車幅方向であり、
    前記圧縮部は、前記引張部よりも前記車幅方向の外側に位置するように配され、
    前記短手方向の両側に配設された2つの壁部は、前記車幅方向の少なくとも一部において、互いの間隔が前記車幅方向の内側から外側へと行くのに従って漸次拡がるように形成されている、
    繊維強化複合材製フレーム。
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