JP2004304134A - 配線基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】1対1の差動伝送方式を用いて高密度実装をした場合でも、クロストークノイズの影響を低減できる配線基板を提供すること。
【解決手段】差動伝送線路3と接地導体2とによりマイクロストリップ線路を構成する線路のうち上記差動伝送線路3を形成する少なくとも一組の配線4を有する配線基板であって、上記差動伝送線路3は、この差動伝送線路3を構成するそれぞれの配線4間を連結する、空気及び他の組の差動伝送線路3との間に配設される誘電体よりも比誘電率が高い誘電体6を有することを特徴とする配線基板。
【選択図】 図1
【解決手段】差動伝送線路3と接地導体2とによりマイクロストリップ線路を構成する線路のうち上記差動伝送線路3を形成する少なくとも一組の配線4を有する配線基板であって、上記差動伝送線路3は、この差動伝送線路3を構成するそれぞれの配線4間を連結する、空気及び他の組の差動伝送線路3との間に配設される誘電体よりも比誘電率が高い誘電体6を有することを特徴とする配線基板。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の差動伝送線路を備えたマイクロストリップ線路構造の配線基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノートパソコンなどの電子機器では、搭載するマイクロプロセッサの動作周波数はGHzオーダーに突入し、急激な向上が図られている。しかしながら、プリント基板を伝播する信号速度は、たとえばメモリとメモリコントローラとの間の信号速度でいえば、未だ133MHzや266MHz程度に留まっている。
【0003】
これは、メモリコントローラから複数のメモリへ信号伝送を行うために、伝送線路の形態として分岐配線を使用することに起因している。つまり、伝送線路に分岐があると、その分岐点での反射のためにパルス信号の波形に乱れが生じ、伝送速度を上げることに限界が生じてしまうからである。
【0004】
そこで、基板上の信号伝送速度を高めるための解決方法として、1対1伝送方式を用いることで配線の分岐をなくし、かつ差動配線を用いるということが検討されている。通常、差動伝送方式は、信号のリターン電流を接地面とするシングルエンド伝送方式と比べて、接地面の揺れなどによるコモンモードノイズに対して強いという利点を有している。
【0005】
しかしながら、1対1の差動伝送方式を用いると、上述したような利点がある一方で、分岐を有する配線構造に比べて、配線本数がメモリの数の2倍に増加してしまう。そのため、1対1の差動伝送線路によって複数の信号を伝送するためには、大きな配線領域が必要となる。
【0006】
高速度データ伝送においては、マイクロストリップ線路構造の配線基板が使用されることが多い。図5に示すように、この配線基板は下面に接地面導体aを備えた誘電体基板bを有する。この誘電体基板bの上面には、上記複数の差動伝送線路c(2つのみ図示)が設けられ、その上にはこれら差動伝送線路cを覆うように誘電体層dが誘電体基板b全面にわたってほぼ均一な厚さに形成されている。
【0007】
図6(a)に示すように、各差動伝送線路を構成する各配線には、互いに逆方向電圧振幅を有する信号が伝送される。そのため、信号の伝送によって発生する電磁界はこれら配線内で閉じるような分布となるが、隣接する他の差動伝送線路間の配線同士においても、これらが逆方向の電圧振幅を有する場合に、大きな電磁界干渉が生じ、図6(b)に示すように、差動伝送線路間のクロストークノイズとして現れることがある。
【0008】
そのため、図5に示すように、従来の構成では、差動伝送線路間の配線ピッチを配線の幅寸法の2倍程度とすることで、差動伝送線路間のクロストークノイズの低減を図っていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、以上のような配線基板では、差動伝送線路間のピッチ間隔の狭小化に限界があり、高密度実装すると大きなクロストークノイズが発生することがあった。
【0010】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであて、その目的とするところは、1対1の差動伝送方式を用いて高密度実装をした場合でも、クロストークノイズの影響を小さくできる配線基板を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために、本発明は次のように構成されている。
【0012】
(1)伝送線路と他の導電層とによりマイクロストリップ線路を構成する線路のうち差動伝送線路を形成する少なくとも一組の配線を有する配線基板であって、上記差動伝送線路は、上記差動伝送線路を構成するそれぞれの配線間を連結する、空気及び他の組の差動伝送線路との間に配設される誘電体よりも比誘電率が高い誘電体部を有することを特徴とする。
【0013】
(2)(1)に記載された配線基板であって、上記誘電体部は、上記差動伝送線路を構成するそれぞれの配線の対向面間に設けられていることを特徴とする。
【0014】
(3)伝送線路と他の導電層とによりマイクロストリップ線路を構成する線路のうち差動伝送線路を形成する少なくとも一組の配線を有する配線基板の製造方法であって、上記差動伝送線路を構成するそれぞれの上記伝送線路上及び上記伝送線路間の間隙に空気よりも比誘電率の高い第1の誘電体を供給する第1の供給工程と、上記伝送線路上及び上記伝送線路間の間隙に上記第1の誘電体よりも比誘電率の小さい第2の誘電体を供給する第2の供給工程とを具備することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1と図2を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の構成を示す断面図、図2(a)は差動伝送線路を伝播する信号を示す概略図、図2(b)は図2(a)に示す信号を複数の差動伝送線路に同時に伝送させた場合に差動伝送線路間に生じるクロストークノイズを示す概略図である。
【0017】
図1に示す配線基板は、矩形板状の誘電体基板1を有する。誘電体基板1の下面には、薄い板状の接地導体2(他の導電層)が密着して設けられ、上面には複数の差動伝送線路3(2組のみ図示)が所定間隔G、本実施の形態では約1×10−4[m]からなるギャップ部21を隔てて並設されている。
【0018】
各差動伝送線路3は、ほぼ平行に配設された一対の配線4からなり、これら配線4には、図2(a)に+と−で示すように、同じ信号がそれぞれ位相を反転させた状態で伝送される。図1に示すように、各配線4は幅寸法がW、この実施の形態では約1×10−4[m]の金属板からなり、これら配線4間の間隙は所定間隔S、この実施の形態では約1×10−4[m]からなるスペース部5となっている。
【0019】
差動伝送線路3を構成する配線4の上面と、これら配線4の間のスペース部5には、それぞれ第1の誘電体6(誘電体部)が両配線4を連結するように密着して設けられている。第1の誘電体6の材料としては、比誘電率が4〜5のエポキシ系の樹脂からなるソルダレジストが用いられる。すなわち、第1の誘電体6の外側の空気層は、比誘電率がほぼ1であるため、第1の誘電体6各々の内部は、その周囲に比べて大きな比誘電率を備えている。
【0020】
次に、誘電体基板1の上面に設けられた差動伝送線路3に第1の誘電体6を形成する方法について説明する。
【0021】
差動伝送線路3に第1の誘電体6を形成する場合、スクリーン印刷が用いられる。すなわち、スクリーン印刷によって、誘電体基板1の上面に、配線4の幅寸法Wを2つ分と配線4間のスペース部5の間隔寸法Sとの和、すなわち2W+Sのソルダレジスト供給部22、及び各差動伝送線路3間の間隔寸法Gのソルダレジスト非供給部23とを交互に形成することで実現できる。
【0022】
しかしながら、実際には、塗布したソルダレジストの広がりを考慮し、ソルダレジスト供給部22とソルダレジスト非供給部23とをほぼ同じ寸法にしてもよい。このようにスクリーン印刷を用いると、高密度実装によって配線ピッチがさらに微細になった場合でも、スクリーン印刷を微細化することによって対応することができる。また、感光性を有するポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂を用いて、選択的にペアを構成する配線4の間にだけに第1の誘電体6を設けることもできる。
【0023】
上記構成の配線基板によれば、差動伝送線路3を構成する一対の配線4の上面及びこれら配線4間のスペース部5に、第1の誘電体6を両配線4を連結するように設けた。すなわち、各差動伝送線路3周囲の比誘電率を、第1の誘電体6の外側よりも大きくすることで、隣接する差動伝送線路3間の間隙における比誘電率を相対的に下げた。これによって、差動伝送線路3間の相互キャパシタンスの値が相対的に下がることになり、差動伝送線路3間の結合容量が小さくなる。
【0024】
そのため、信号の伝送によって各配線4の周囲に生じる電磁界は、比誘電率が相対的に大きい第1の誘電体6の内部に集中するから、第1の誘電体6の外側では電磁界が低減することになる。その結果、図2(b)に示すように、差動伝送線路3間で生じるクロストークノイズを図6(b)に示す従来のノイズレベルに比べて低減することができる。
【0025】
なお、差動伝送線路3を構成する各配線4ペア内では、第1の誘電体6を設けることで比誘電率が大きくなるため、相互キャパシタンスの値は増加しており、互いのノイズを受け易くなっているが、各配線4にそれぞれ同じ信号を位相が反転した状態で伝送し、受信側で一方の配線4からの信号の位相を反転させて、これらを足し合わせるという差動伝送方式を用いているため、ノイズ成分は相殺されてクロストークノイズの影響はほとんど無くなる。
【0026】
図3は、上記第1の実施の形態の変形例に係る配線基板の構成を示す断面図である。この変形例は、差動伝送線路3上の第1の誘電体6を覆うように、誘電体基板1の上面全体にわたって第2の誘電体7を形成したものである。第2の誘電体7の素材としては、比誘電率が第1の誘電体6よりも小さいものが用いられる。
【0027】
そのため、上述したように、差動伝送線路3周囲の比誘電率をその外側よりも大きくすることができるから、信号伝送によって発生する電磁界を第1の誘電体6の内部に集中させることができる。それによって、上述したようにクロストークノイズの影響を抑えることができる。
【0028】
また、このように第2の誘電体7を設けることによって、第1の誘電体6の素材として大きな比誘電率の誘電体を用いなくても、第2の誘電体7の素材として第1の誘電体6よりも小さな比誘電率を有する誘電体を用いることで、上記同様の効果を得ることができる。すなわち、第1の誘電体6の比誘電率を第2の誘電体7の比誘電率に対して相対的に大きくできればよい。
【0029】
さらに、誘電体基板1の上面全体にわたって第2の誘電体7の層を形成することで、配線4の表面全体をこの第2の誘電体7によって覆うことができるから、配線4の腐食を防止することができる。
【0030】
次に図4を参照しながら本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、ここでは、上記第1の実施の形態と同様の構成について、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
図4は本発明の第2の実施に係る配線基板の構成を示す断面図である。本実施の形態では、第1の実施の形態において、差動伝送線路3を構成する各配線4の上面及びこれらの配線4間のスペース部5にそれぞれ第1の誘電体6を設けたのに対して、各配線4間のスペース部5にだけ第1の誘電体6を設けている。
【0032】
このように、差動伝送線路3を構成する配線間のギャップを埋めるように第1の誘電体6を設けたことで、電磁界の分布を一組の差動伝送線路内に集中させることができるから、クロストークノイズをさらに抑制することができる。
【0033】
なお、配線4間に第1の誘電体6を設けることで、差動伝送線路3の特性インピーダンスが変動することになる。しなしながら、予め、誘電体の比誘電率の値や配線の長さ寸法および幅寸法などを考慮することで、伝送される信号波形の形状への影響を防止することができる。
【0034】
上述した実施の形態によれば、以下のような構成が得られる。
【0035】
(付記1)誘電体基板1上に配設され、所定間隔を存して並設された一対の配線を有する差動伝送線路3が複数個形成されてなる配線基板において、差動伝送線路3を形成する第1の伝送線路4と第2の伝送線路4の間に誘電体を具備することを特徴とする配線基板。
【0036】
(付記2)上記誘電体基板1の上面に第1の誘電体を、上記誘電体基板1全面に覆うように第2の誘電体層が形成し、第2の誘電体の比誘電率が上記誘電体基板1自体の比誘電率と同等であることを特徴とする付記1記載の配線基板。
【0037】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、各配線の周辺に生じる電磁界を配線ペア内に集中させることで、配線ペアの外側における電磁界が弱く抑えられるから、隣接する差動伝送線路間のクロストークノイズを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の第1の実施の形態に係る配線基板の構成を示す断面図。
【図2】同実施の形態に係る伝送信号を示し、(a)は差動伝送線路を伝播する信号を示す概略図、(b)は(a)に示す信号を複数の差動伝送線路に同時に伝送させた場合に差動伝送線路間に生じるクロストークノイズを示す概略図。
【図3】同実施の形態の変形例に係る配線基板の構成を示す断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の構成を示す断面図。
【図5】従来の配線基板の構成を示す断面図。
【図6】従来に係る伝送信号を示し、(a)は差動伝送線路を伝播する信号を示す概略図、(b)は(a)に示す信号を隣接する差動伝送線路に同時に伝送させた場合に差動伝送線路間に生じるクロストークノイズを示す概略図。
【符号の説明】
1…誘電体基板(基板)、4…配線、3…差動伝送線路、6…第1の誘電体、7…第2の誘電体。
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の差動伝送線路を備えたマイクロストリップ線路構造の配線基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノートパソコンなどの電子機器では、搭載するマイクロプロセッサの動作周波数はGHzオーダーに突入し、急激な向上が図られている。しかしながら、プリント基板を伝播する信号速度は、たとえばメモリとメモリコントローラとの間の信号速度でいえば、未だ133MHzや266MHz程度に留まっている。
【0003】
これは、メモリコントローラから複数のメモリへ信号伝送を行うために、伝送線路の形態として分岐配線を使用することに起因している。つまり、伝送線路に分岐があると、その分岐点での反射のためにパルス信号の波形に乱れが生じ、伝送速度を上げることに限界が生じてしまうからである。
【0004】
そこで、基板上の信号伝送速度を高めるための解決方法として、1対1伝送方式を用いることで配線の分岐をなくし、かつ差動配線を用いるということが検討されている。通常、差動伝送方式は、信号のリターン電流を接地面とするシングルエンド伝送方式と比べて、接地面の揺れなどによるコモンモードノイズに対して強いという利点を有している。
【0005】
しかしながら、1対1の差動伝送方式を用いると、上述したような利点がある一方で、分岐を有する配線構造に比べて、配線本数がメモリの数の2倍に増加してしまう。そのため、1対1の差動伝送線路によって複数の信号を伝送するためには、大きな配線領域が必要となる。
【0006】
高速度データ伝送においては、マイクロストリップ線路構造の配線基板が使用されることが多い。図5に示すように、この配線基板は下面に接地面導体aを備えた誘電体基板bを有する。この誘電体基板bの上面には、上記複数の差動伝送線路c(2つのみ図示)が設けられ、その上にはこれら差動伝送線路cを覆うように誘電体層dが誘電体基板b全面にわたってほぼ均一な厚さに形成されている。
【0007】
図6(a)に示すように、各差動伝送線路を構成する各配線には、互いに逆方向電圧振幅を有する信号が伝送される。そのため、信号の伝送によって発生する電磁界はこれら配線内で閉じるような分布となるが、隣接する他の差動伝送線路間の配線同士においても、これらが逆方向の電圧振幅を有する場合に、大きな電磁界干渉が生じ、図6(b)に示すように、差動伝送線路間のクロストークノイズとして現れることがある。
【0008】
そのため、図5に示すように、従来の構成では、差動伝送線路間の配線ピッチを配線の幅寸法の2倍程度とすることで、差動伝送線路間のクロストークノイズの低減を図っていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、以上のような配線基板では、差動伝送線路間のピッチ間隔の狭小化に限界があり、高密度実装すると大きなクロストークノイズが発生することがあった。
【0010】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであて、その目的とするところは、1対1の差動伝送方式を用いて高密度実装をした場合でも、クロストークノイズの影響を小さくできる配線基板を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために、本発明は次のように構成されている。
【0012】
(1)伝送線路と他の導電層とによりマイクロストリップ線路を構成する線路のうち差動伝送線路を形成する少なくとも一組の配線を有する配線基板であって、上記差動伝送線路は、上記差動伝送線路を構成するそれぞれの配線間を連結する、空気及び他の組の差動伝送線路との間に配設される誘電体よりも比誘電率が高い誘電体部を有することを特徴とする。
【0013】
(2)(1)に記載された配線基板であって、上記誘電体部は、上記差動伝送線路を構成するそれぞれの配線の対向面間に設けられていることを特徴とする。
【0014】
(3)伝送線路と他の導電層とによりマイクロストリップ線路を構成する線路のうち差動伝送線路を形成する少なくとも一組の配線を有する配線基板の製造方法であって、上記差動伝送線路を構成するそれぞれの上記伝送線路上及び上記伝送線路間の間隙に空気よりも比誘電率の高い第1の誘電体を供給する第1の供給工程と、上記伝送線路上及び上記伝送線路間の間隙に上記第1の誘電体よりも比誘電率の小さい第2の誘電体を供給する第2の供給工程とを具備することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1と図2を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の構成を示す断面図、図2(a)は差動伝送線路を伝播する信号を示す概略図、図2(b)は図2(a)に示す信号を複数の差動伝送線路に同時に伝送させた場合に差動伝送線路間に生じるクロストークノイズを示す概略図である。
【0017】
図1に示す配線基板は、矩形板状の誘電体基板1を有する。誘電体基板1の下面には、薄い板状の接地導体2(他の導電層)が密着して設けられ、上面には複数の差動伝送線路3(2組のみ図示)が所定間隔G、本実施の形態では約1×10−4[m]からなるギャップ部21を隔てて並設されている。
【0018】
各差動伝送線路3は、ほぼ平行に配設された一対の配線4からなり、これら配線4には、図2(a)に+と−で示すように、同じ信号がそれぞれ位相を反転させた状態で伝送される。図1に示すように、各配線4は幅寸法がW、この実施の形態では約1×10−4[m]の金属板からなり、これら配線4間の間隙は所定間隔S、この実施の形態では約1×10−4[m]からなるスペース部5となっている。
【0019】
差動伝送線路3を構成する配線4の上面と、これら配線4の間のスペース部5には、それぞれ第1の誘電体6(誘電体部)が両配線4を連結するように密着して設けられている。第1の誘電体6の材料としては、比誘電率が4〜5のエポキシ系の樹脂からなるソルダレジストが用いられる。すなわち、第1の誘電体6の外側の空気層は、比誘電率がほぼ1であるため、第1の誘電体6各々の内部は、その周囲に比べて大きな比誘電率を備えている。
【0020】
次に、誘電体基板1の上面に設けられた差動伝送線路3に第1の誘電体6を形成する方法について説明する。
【0021】
差動伝送線路3に第1の誘電体6を形成する場合、スクリーン印刷が用いられる。すなわち、スクリーン印刷によって、誘電体基板1の上面に、配線4の幅寸法Wを2つ分と配線4間のスペース部5の間隔寸法Sとの和、すなわち2W+Sのソルダレジスト供給部22、及び各差動伝送線路3間の間隔寸法Gのソルダレジスト非供給部23とを交互に形成することで実現できる。
【0022】
しかしながら、実際には、塗布したソルダレジストの広がりを考慮し、ソルダレジスト供給部22とソルダレジスト非供給部23とをほぼ同じ寸法にしてもよい。このようにスクリーン印刷を用いると、高密度実装によって配線ピッチがさらに微細になった場合でも、スクリーン印刷を微細化することによって対応することができる。また、感光性を有するポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂を用いて、選択的にペアを構成する配線4の間にだけに第1の誘電体6を設けることもできる。
【0023】
上記構成の配線基板によれば、差動伝送線路3を構成する一対の配線4の上面及びこれら配線4間のスペース部5に、第1の誘電体6を両配線4を連結するように設けた。すなわち、各差動伝送線路3周囲の比誘電率を、第1の誘電体6の外側よりも大きくすることで、隣接する差動伝送線路3間の間隙における比誘電率を相対的に下げた。これによって、差動伝送線路3間の相互キャパシタンスの値が相対的に下がることになり、差動伝送線路3間の結合容量が小さくなる。
【0024】
そのため、信号の伝送によって各配線4の周囲に生じる電磁界は、比誘電率が相対的に大きい第1の誘電体6の内部に集中するから、第1の誘電体6の外側では電磁界が低減することになる。その結果、図2(b)に示すように、差動伝送線路3間で生じるクロストークノイズを図6(b)に示す従来のノイズレベルに比べて低減することができる。
【0025】
なお、差動伝送線路3を構成する各配線4ペア内では、第1の誘電体6を設けることで比誘電率が大きくなるため、相互キャパシタンスの値は増加しており、互いのノイズを受け易くなっているが、各配線4にそれぞれ同じ信号を位相が反転した状態で伝送し、受信側で一方の配線4からの信号の位相を反転させて、これらを足し合わせるという差動伝送方式を用いているため、ノイズ成分は相殺されてクロストークノイズの影響はほとんど無くなる。
【0026】
図3は、上記第1の実施の形態の変形例に係る配線基板の構成を示す断面図である。この変形例は、差動伝送線路3上の第1の誘電体6を覆うように、誘電体基板1の上面全体にわたって第2の誘電体7を形成したものである。第2の誘電体7の素材としては、比誘電率が第1の誘電体6よりも小さいものが用いられる。
【0027】
そのため、上述したように、差動伝送線路3周囲の比誘電率をその外側よりも大きくすることができるから、信号伝送によって発生する電磁界を第1の誘電体6の内部に集中させることができる。それによって、上述したようにクロストークノイズの影響を抑えることができる。
【0028】
また、このように第2の誘電体7を設けることによって、第1の誘電体6の素材として大きな比誘電率の誘電体を用いなくても、第2の誘電体7の素材として第1の誘電体6よりも小さな比誘電率を有する誘電体を用いることで、上記同様の効果を得ることができる。すなわち、第1の誘電体6の比誘電率を第2の誘電体7の比誘電率に対して相対的に大きくできればよい。
【0029】
さらに、誘電体基板1の上面全体にわたって第2の誘電体7の層を形成することで、配線4の表面全体をこの第2の誘電体7によって覆うことができるから、配線4の腐食を防止することができる。
【0030】
次に図4を参照しながら本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、ここでは、上記第1の実施の形態と同様の構成について、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
図4は本発明の第2の実施に係る配線基板の構成を示す断面図である。本実施の形態では、第1の実施の形態において、差動伝送線路3を構成する各配線4の上面及びこれらの配線4間のスペース部5にそれぞれ第1の誘電体6を設けたのに対して、各配線4間のスペース部5にだけ第1の誘電体6を設けている。
【0032】
このように、差動伝送線路3を構成する配線間のギャップを埋めるように第1の誘電体6を設けたことで、電磁界の分布を一組の差動伝送線路内に集中させることができるから、クロストークノイズをさらに抑制することができる。
【0033】
なお、配線4間に第1の誘電体6を設けることで、差動伝送線路3の特性インピーダンスが変動することになる。しなしながら、予め、誘電体の比誘電率の値や配線の長さ寸法および幅寸法などを考慮することで、伝送される信号波形の形状への影響を防止することができる。
【0034】
上述した実施の形態によれば、以下のような構成が得られる。
【0035】
(付記1)誘電体基板1上に配設され、所定間隔を存して並設された一対の配線を有する差動伝送線路3が複数個形成されてなる配線基板において、差動伝送線路3を形成する第1の伝送線路4と第2の伝送線路4の間に誘電体を具備することを特徴とする配線基板。
【0036】
(付記2)上記誘電体基板1の上面に第1の誘電体を、上記誘電体基板1全面に覆うように第2の誘電体層が形成し、第2の誘電体の比誘電率が上記誘電体基板1自体の比誘電率と同等であることを特徴とする付記1記載の配線基板。
【0037】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、各配線の周辺に生じる電磁界を配線ペア内に集中させることで、配線ペアの外側における電磁界が弱く抑えられるから、隣接する差動伝送線路間のクロストークノイズを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の第1の実施の形態に係る配線基板の構成を示す断面図。
【図2】同実施の形態に係る伝送信号を示し、(a)は差動伝送線路を伝播する信号を示す概略図、(b)は(a)に示す信号を複数の差動伝送線路に同時に伝送させた場合に差動伝送線路間に生じるクロストークノイズを示す概略図。
【図3】同実施の形態の変形例に係る配線基板の構成を示す断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の構成を示す断面図。
【図5】従来の配線基板の構成を示す断面図。
【図6】従来に係る伝送信号を示し、(a)は差動伝送線路を伝播する信号を示す概略図、(b)は(a)に示す信号を隣接する差動伝送線路に同時に伝送させた場合に差動伝送線路間に生じるクロストークノイズを示す概略図。
【符号の説明】
1…誘電体基板(基板)、4…配線、3…差動伝送線路、6…第1の誘電体、7…第2の誘電体。
Claims (3)
- 伝送線路と他の導電層とによりマイクロストリップ線路を構成する線路のうち差動伝送線路を形成する少なくとも一組の配線を有する配線基板であって、
上記差動伝送線路は、上記差動伝送線路を構成するそれぞれの配線間を連結する、空気及び他の組の差動伝送線路との間に配設される誘電体よりも比誘電率が高い誘電体部を有することを特徴とする配線基板。 - 上記誘電体部は、上記差動伝送線路を構成するそれぞれの配線の対向面間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
- 伝送線路と他の導電層とによりマイクロストリップ線路を構成する線路のうち差動伝送線路を形成する少なくとも一組の配線を有する配線基板の製造方法であって、
上記差動伝送線路を構成するそれぞれの上記伝送線路上及び上記伝送線路間の間隙に空気よりも比誘電率の高い第1の誘電体を供給する第1の供給工程と、
上記伝送線路上及び上記伝送線路間の間隙に上記第1の誘電体よりも比誘電率の小さい第2の誘電体を供給する第2の供給工程と、
を具備することを特徴とする配線基板の製造方法。
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