JP2004300675A - 作業機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】取付部材を複数のメンバーに共用し、しかもこの共用される取付部材をメンバー相互間の位置決め部材として兼用することによって組み付け作業性を向上させる。
【解決手段】ラジエータ取付部材であるラジエータサポート２２に、ガードカバー２６のヒンジ２７と、ラジエータダクト２９と、キャノピ右側支柱３０と、ボンネット３１のキャッチと、シートスタンド３３の右側端部を取付ける。また、ラジエータサポート２２と反対側に取付コラム２３を設け、これにボンネット３１のヒンジ４０と、左側パネル４１と、シートスタンド３３の左側端部と、マフラーカバーとを取付けるようにした。
【選択図】 図１
【解決手段】ラジエータ取付部材であるラジエータサポート２２に、ガードカバー２６のヒンジ２７と、ラジエータダクト２９と、キャノピ右側支柱３０と、ボンネット３１のキャッチと、シートスタンド３３の右側端部を取付ける。また、ラジエータサポート２２と反対側に取付コラム２３を設け、これにボンネット３１のヒンジ４０と、左側パネル４１と、シートスタンド３３の左側端部と、マフラーカバーとを取付けるようにした。
【選択図】 図１
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧ショベル等の作業機械に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
油圧ショベルを例にとって従来の技術とその問題点を説明する。
【０００３】
図５はミニショベルと称される小形の油圧ショベルを示している。この油圧ショベルは、クローラ式の下部走行体１上に上部旋回体２が縦軸まわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体２に、ブーム３、アーム４、バケット５及びこれらを駆動するブーム、アーム、バケット各シリンダ６，７，８から成る作業装置Ａが装着されて構成される。
【０００４】
上部旋回体２は、その基板であるアッパーフレーム９にエンジンをはじめ各種機器及びこれらを覆うカバー類（外装体）、運転席１０、キャノピ１１等の多数のメンバーを取付けて構成される。１２はキャノピ１１を支持するキャノピ前側支柱、１３は同じく左側支柱、１４は同じく右側支柱である。
【０００５】
このような油圧ショベルにおいて、各メンバーをアッパーフレーム９に取付けるための部材を複数のメンバーで共用するように構成したものは公知である。
【０００６】
たとえば特許文献１では、エンジンを跨ぐように配置した支持部材にキャノピ支柱とラジエータとエンジンカバーを取付けている。
【０００７】
また、ラジエータを取付ける部材に、ラジエータを通過する冷却空気をガイドするダクトを取付ける技術も公知である（たとえば特許文献２）。
【０００８】
【特許文献１】
特開平１０−３３１１９５号公報
【特許文献２】
特開平９−１９３６７１号公報
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、公知技術では、いずれも単に、一つの取付部材を複数のメンバーに共用することによって、取付けのための部品点数の節減を図るに過ぎない。すなわち、組み付け作業上、最も重要でしかも面倒なメンバー相互間の位置管理は従前通りメンバー個々に必要となるため、メンバーの組み付け作業性の向上には寄与しないものであった。
【００１０】
そこで本発明は、取付部材を複数のメンバーに共用し、しかもこの共用される取付部材をメンバー相互間の位置決め部材として兼用することによって組み付け作業性を向上させることができる作業機械を提供するものである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
請求項１の発明は、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジン及びラジエータをはじめとする機器類や、内装機器類を左右一側からカバーする開閉自在なガードカバー、上記ラジエータとガードカバーとの間で冷却空気をガイドするラジエータダクト等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に、上記ラジエータが取付けられるラジエータサポートが設けられ、このラジエータサポートに、上記ガードカバーの開閉支点となるガードカバーヒンジと、上記ラジエータダクトが取付けられたものである。
【００１２】
請求項２の発明は、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジン及びラジエータをはじめとする機器類や、内装機器類を左右一側からカバーする開閉自在なガードカバー、キャノピ、このキャノピを支持する複数のキャノピ支柱等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に、ラジエータが取付けられるラジエータサポートが設けられ、このラジエータサポートに、上記ガードカバーの開閉支点となるガードカバーヒンジと、ガードカバーの近傍に配置されるキャノピ支柱が取付けられたものである。
【００１３】
請求項３の発明は、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジンをはじめとする機器類や、エンジンの背面側をカバーする開閉自在なボンネット、このボンネットに近接して後部左右一側に配置される側パネル等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に取付コラムが設けられ、この取付コラムに、上記ボンネットの開閉支点となるボンネットヒンジと、上記側パネルが取付けられたものである。
【００１４】
請求項４の発明は、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジンをはじめとする機器類や、エンジンの背面側をカバーする開閉自在なボンネット等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に取付コラムが設けられ、この取付コラムに、上記ボンネットの開閉支点となるボンネットヒンジと、ボンネットの近傍でエンジン排気用のマフラーを覆うマフラーカバーが取付けられたものである。
【００１５】
請求項５の発明は、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジン及びラジエータをはじめとする機器類や、座席及び操作レバーが配備されるシートスタンド等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に上記ラジエータが取付けられるラジエータサポート、反対側に取付コラムがそれぞれ設けられるとともに、上記シートスタンドがこれらラジエータサポートと取付コラムとに跨って取付けられて取付ベースが構成され、上記アッパーフレームに設置される複数のメンバーが、上記取付ベースに対し、取付ベースをメンバー間の位置決め部材として兼用する状態で取付けられたものである。
【００１６】
請求項６の発明は、請求項５の構成において、ラジエータサポートと取付コラムの一方にボンネットの開閉支点となるボンネットヒンジ、他方にボンネットを閉じ状態に保持するボンネットキャッチがそれぞれ取付けられたものである。
【００１７】
上記構成によると、取付部材を複数のメンバーに共用し、しかも取付部材をメンバー相互間の位置決め部材として兼用することができる。
【００１８】
すなわち、請求項１では、ラジエータ取付部材であるラジエータサポートを、ガードカバーのヒンジとラジエータダクトの位置決め部材として兼用することができる。これにより、ラジエータと、ガードカバーに設けられる空気口（吸い込み方式では空気入口、吐き出し方式では空気出口）との間隔の管理が容易となる。
【００１９】
請求項２では、ラジエータサポートをガードカバーヒンジとキャノピ支柱の位置決め部材として兼用することができる。これにより、キャノピ支柱と、ガードカバーに設けられるキャノピ支柱を通すための開口の位置管理が容易となる。
【００２０】
請求項３では、取付コラムをボンネットヒンジと側パネルの位置決め部材として兼用できるため、ボンネットと側パネルの隙間管理が容易となる。
【００２１】
請求項４では、取付コラムをボンネットヒンジとマフラーカバーの位置決め部材として兼用できるため、ボンネットとマフラーカバーの隙間管理が容易となる。
【００２２】
また、請求項５，６では、ラジエータサポートと取付コラムとの間にシートスタンドを取付けて取付ベースを構成し、この取付ベースを複数のメンバーの位置決め部材として兼用するため、各メンバーの位置管理が容易となる。
【００２３】
この場合、請求項６の構成によると、ラジエータサポートと取付コラムをボンネットヒンジとボンネットキャッチの位置決め部材として兼用できるため、ボンネットのヒンジとキャッチの位置管理が容易となる。
【００２４】
このように、複数のメンバーを共通の取付部材に取付けるだけでメンバー間の位置関係が自動的にかつ正確に保たれるため、構成メンバーの組み付け作業、ひいては上部旋回体の組立作業の能率を大幅に向上させることができる。
【００２５】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図１〜図４によって説明する。
【００２６】
図１，２に示すように、アッパーフレーム９の後部において、複数の構成メンバーに共用される取付部材として、エンジン２１の右側（図１の上側）にラジエータサポート２２、左側に取付コラム２３がそれぞれ設けられている。
【００２７】
ラジエータサポート２２及び取付コラム２３に取付けられるメンバーとその取付構造は次の通りである。
【００２８】
（ｉ）ラジエータサポート２２
図１〜図３に示すように、ラジエータサポート２２にはラジエータ２４と、作動油タンク２５と、外装体としての右側ガードカバー２６の開閉支点となるヒンジ２７，２７と、冷却空気をラジエータ２４とガードカバー２６の空気口（空気入口または出口）２８との間でガイドするための筒状のラジエータダクト２９と、図５のキャノピ１１を後方右側で支持するキャノピ右側支柱３０と、主としてエンジン２１のメンテナンスのためにエンジン背面側に開閉自在に設けられたボンネット３１の閉止用キャッチ３２、それに図５の運転席１０及び操作レバーが配備されるシートスタンド３３が取付けられる。図２中、３４はカウンタウェイトである。
【００２９】
ラジエータサポート２２は、図３に示すように四角の枠状に形成され、後面にガードカバーヒンジ２７，２７、前面に作動油タンク２５、上面にキャノピ右側支柱３０の下端がそれぞれ取付けられる。
【００３０】
ラジエータダクト２９は、ラジエータ２４側の開口縁部の上側に水平な取付座３５、下側に下向きの係合部３６をそれぞれ有し、この係合部３６が、ラジエータサポート２２の底壁に上向きに設けられた前後一対の第１突片３７，３７と、この第１突片３７，３７間に同突片３７，３７に対して左右方向に位置ずれして設けられた第２突片３８との間に挿入・係合される。
【００３１】
そして、この状態で取付座３５がラジエータサポート２２の上面に図示しないボルトまたはねじで止め付けられることにより、ラジエータダクト２９がラジエータサポート２２に取付けられる。
【００３２】
なお、ラジエータ２４と並んでオイルクーラーが配置されるサイドバイサイド方式をとる場合には、ラジエータダクト２９がこれらに共通のダクトとなる。
【００３３】
シートスタンド３３は、上端部右側に水平に突出する右側取付部３９を有し、この右側取付部３９がラジエータサポート２２の上面に図示しないボルトまたはねじで止め付けられる。
【００３４】
この構成により、次の作用効果を得ることができる。
【００３５】
▲１▼ ラジエータサポート２２を、ガードカバーヒンジ２７，２７とラジエータダクト２９の取付・位置決め部材として兼用できるため、ラジエータ２４と、ガードカバー２６の空気口（吸い込み方式では空気入口、吐き出し方式では空気出口）との間隔の管理が容易となる。
【００３６】
▲２▼ ラジエータサポート２２を、ガードカバーヒンジ２７，２７とキャノピ右側支柱３０の取付・位置決め部材として兼用できるため、キャノピ右側支柱３０と、ガードカバー２６に設けられる同支柱３０を通すための図示しない開口（穴または切欠）の位置管理が容易となる。
【００３７】
（ｉｉ）取付コラム２３
取付コラム２３はアングル状に形成され、図１，２，４に示すように同コラム２３に、シートスタンド３３の左側後部と、ボンネット３１の開閉支点となるボンネットヒンジ４０と、ボンネット３１の左側に隣接して配置される左側パネル４１と、ボンネット３１の近傍でエンジン排気用のマフラー４２を覆うマフラーカバー４３とが取付けられる。
【００３８】
シートスタンド３３には、図４に示すように左側上端部に後向きの取付ブラケット４４と、左向きの取付ブラケット４５が設けられ、取付ブラケット４４が取付コラム２３の上端に、取付ブラケット４５が左側面にそれぞれボルト止めされる。
【００３９】
ボンネットヒンジ４０は、取付コラム２３の下端部に設けられたヒンジ取付部４６に取付けられる。
【００４０】
左側パネル４１は、内側に取付部４７を有し、この取付部４７が取付コラム２３にパネル取付用ブラケット４８を介して止め付けられる。
【００４１】
マフラーカバー４３は、メンテナンス時に作業者が火傷しないようにマフラー４２の一部に上から被さる状態で、マフラーカバー取付部４９を介して取付コラム２３に取付けられる。
【００４２】
この構成により、次の作用効果を得ることができる。
【００４３】
（イ）取付コラム２３をボンネットヒンジ４０と左側パネル４１の取付・位置決め部材として兼用できるため、ボンネット３１と左側パネル４１との間の隙間ｃ（図１参照）の管理が容易となる。
【００４４】
（ロ）取付コラム２３をボンネットヒンジ４０とマフラーカバー４３の取付・位置決め部材として兼用できるため、ボンネット３１とマフラーカバー４３との間の隙間の管理が容易となる。
【００４５】
一方、シートスタンド３３の右側端部をラジエータサポート２２に、左側端部を取付コラム２３にそれぞれ取付けることにより、この三者によって門形の取付ベースＢ（図２参照）が構成され、この取付ベースＢに上記のように複数のメンバーを集中的に取付けるため、取付けられる各メンバー間の位置管理が容易となる。
【００４６】
また、右側のラジエータサポート２２と、左側の取付コラム２３がシートスタンド３３で連結されることによって互いに補強・補剛され、強度及び剛性に富む取付ベースＢが構成されるため、各メンバーを集中的に取付ける構成でありながら各メンバーを強固に安定良く取付けることができる。
【００４７】
この場合、ボンネットヒンジ４０を取付コラム２３に、同キャッチ３２をラジエータサポート２２にそれぞれ取付けるため、このボンネット３１のヒンジ４０とキャッチ３２の位置（間隔）管理が容易となる。
【００４８】
ところで、本発明は油圧ショベル、とくにスペースの制約からメンバー取付けのための部品点数の節減の要請が高い小形ショベルに適するが、ショベルに限らず、ショベルを母体として構成される掘削機、溝掘機等、他の作業機械にも適用することができる。
【００４９】
【発明の効果】
上記のように本発明によると、上部旋回体を構成する複数のメンバーを共通の取付部材に取付けるだけでメンバー間の位置関係が自動的にかつ正確に保たれるため、メンバーの組み付け作業、ひいては上部旋回体の組立作業の能率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態にかかる油圧ショベルの上部旋回体の概略水平断面図である。
【図２】同背面図である。
【図３】同実施形態におけるラジエータサポートまわりのメンバー取付状況を示す斜視図である。
【図４】同実施形態における取付コラムまわりのメンバー取付状況を示す斜視図である。
【図５】本発明が適用される油圧ショベルの概略側面図である。
【符号の説明】
１ 下部走行体
２ 上部旋回体
９ アッパーフレーム
２１ エンジン
２２ ラジエータサポート
２３ 取付コラム
２４ ラジエータ
２６ ガードカバー
２７ ガードカバーヒンジ
２８ ガードカバーのラジエータダクト用空気口
２９ ラジエータダクト
３０ キャノピ右側支柱
３１ ボンネット
３２ ボンネットキャッチ
３３ シートスタンド
３５ ラジエータダクトの取付座
３６ 同係止部
３７ ラジエータダクト取付用の第１突片
３８ 同第２突片
３９ シートスタンドのラジエータサポートに対する取付部
４０ ボンネットヒンジ
４１ 左側パネル
４２ エンジン排気用のマフラー
４３ マフラーカバー
４４，４５ 取付コラムに対するシートスタンド取付用のブラケット
４６ 取付コラムのボンネットヒンジ取付部
４７ 左側パネルの取付部
４８ 取付コラムの左側パネル取付用ブラケット
４９ 取付コラムのマフラーカバー取付部
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧ショベル等の作業機械に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
油圧ショベルを例にとって従来の技術とその問題点を説明する。
【０００３】
図５はミニショベルと称される小形の油圧ショベルを示している。この油圧ショベルは、クローラ式の下部走行体１上に上部旋回体２が縦軸まわりに旋回自在に搭載され、この上部旋回体２に、ブーム３、アーム４、バケット５及びこれらを駆動するブーム、アーム、バケット各シリンダ６，７，８から成る作業装置Ａが装着されて構成される。
【０００４】
上部旋回体２は、その基板であるアッパーフレーム９にエンジンをはじめ各種機器及びこれらを覆うカバー類（外装体）、運転席１０、キャノピ１１等の多数のメンバーを取付けて構成される。１２はキャノピ１１を支持するキャノピ前側支柱、１３は同じく左側支柱、１４は同じく右側支柱である。
【０００５】
このような油圧ショベルにおいて、各メンバーをアッパーフレーム９に取付けるための部材を複数のメンバーで共用するように構成したものは公知である。
【０００６】
たとえば特許文献１では、エンジンを跨ぐように配置した支持部材にキャノピ支柱とラジエータとエンジンカバーを取付けている。
【０００７】
また、ラジエータを取付ける部材に、ラジエータを通過する冷却空気をガイドするダクトを取付ける技術も公知である（たとえば特許文献２）。
【０００８】
【特許文献１】
特開平１０−３３１１９５号公報
【特許文献２】
特開平９−１９３６７１号公報
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、公知技術では、いずれも単に、一つの取付部材を複数のメンバーに共用することによって、取付けのための部品点数の節減を図るに過ぎない。すなわち、組み付け作業上、最も重要でしかも面倒なメンバー相互間の位置管理は従前通りメンバー個々に必要となるため、メンバーの組み付け作業性の向上には寄与しないものであった。
【００１０】
そこで本発明は、取付部材を複数のメンバーに共用し、しかもこの共用される取付部材をメンバー相互間の位置決め部材として兼用することによって組み付け作業性を向上させることができる作業機械を提供するものである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
請求項１の発明は、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジン及びラジエータをはじめとする機器類や、内装機器類を左右一側からカバーする開閉自在なガードカバー、上記ラジエータとガードカバーとの間で冷却空気をガイドするラジエータダクト等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に、上記ラジエータが取付けられるラジエータサポートが設けられ、このラジエータサポートに、上記ガードカバーの開閉支点となるガードカバーヒンジと、上記ラジエータダクトが取付けられたものである。
【００１２】
請求項２の発明は、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジン及びラジエータをはじめとする機器類や、内装機器類を左右一側からカバーする開閉自在なガードカバー、キャノピ、このキャノピを支持する複数のキャノピ支柱等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に、ラジエータが取付けられるラジエータサポートが設けられ、このラジエータサポートに、上記ガードカバーの開閉支点となるガードカバーヒンジと、ガードカバーの近傍に配置されるキャノピ支柱が取付けられたものである。
【００１３】
請求項３の発明は、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジンをはじめとする機器類や、エンジンの背面側をカバーする開閉自在なボンネット、このボンネットに近接して後部左右一側に配置される側パネル等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に取付コラムが設けられ、この取付コラムに、上記ボンネットの開閉支点となるボンネットヒンジと、上記側パネルが取付けられたものである。
【００１４】
請求項４の発明は、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジンをはじめとする機器類や、エンジンの背面側をカバーする開閉自在なボンネット等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に取付コラムが設けられ、この取付コラムに、上記ボンネットの開閉支点となるボンネットヒンジと、ボンネットの近傍でエンジン排気用のマフラーを覆うマフラーカバーが取付けられたものである。
【００１５】
請求項５の発明は、下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジン及びラジエータをはじめとする機器類や、座席及び操作レバーが配備されるシートスタンド等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に上記ラジエータが取付けられるラジエータサポート、反対側に取付コラムがそれぞれ設けられるとともに、上記シートスタンドがこれらラジエータサポートと取付コラムとに跨って取付けられて取付ベースが構成され、上記アッパーフレームに設置される複数のメンバーが、上記取付ベースに対し、取付ベースをメンバー間の位置決め部材として兼用する状態で取付けられたものである。
【００１６】
請求項６の発明は、請求項５の構成において、ラジエータサポートと取付コラムの一方にボンネットの開閉支点となるボンネットヒンジ、他方にボンネットを閉じ状態に保持するボンネットキャッチがそれぞれ取付けられたものである。
【００１７】
上記構成によると、取付部材を複数のメンバーに共用し、しかも取付部材をメンバー相互間の位置決め部材として兼用することができる。
【００１８】
すなわち、請求項１では、ラジエータ取付部材であるラジエータサポートを、ガードカバーのヒンジとラジエータダクトの位置決め部材として兼用することができる。これにより、ラジエータと、ガードカバーに設けられる空気口（吸い込み方式では空気入口、吐き出し方式では空気出口）との間隔の管理が容易となる。
【００１９】
請求項２では、ラジエータサポートをガードカバーヒンジとキャノピ支柱の位置決め部材として兼用することができる。これにより、キャノピ支柱と、ガードカバーに設けられるキャノピ支柱を通すための開口の位置管理が容易となる。
【００２０】
請求項３では、取付コラムをボンネットヒンジと側パネルの位置決め部材として兼用できるため、ボンネットと側パネルの隙間管理が容易となる。
【００２１】
請求項４では、取付コラムをボンネットヒンジとマフラーカバーの位置決め部材として兼用できるため、ボンネットとマフラーカバーの隙間管理が容易となる。
【００２２】
また、請求項５，６では、ラジエータサポートと取付コラムとの間にシートスタンドを取付けて取付ベースを構成し、この取付ベースを複数のメンバーの位置決め部材として兼用するため、各メンバーの位置管理が容易となる。
【００２３】
この場合、請求項６の構成によると、ラジエータサポートと取付コラムをボンネットヒンジとボンネットキャッチの位置決め部材として兼用できるため、ボンネットのヒンジとキャッチの位置管理が容易となる。
【００２４】
このように、複数のメンバーを共通の取付部材に取付けるだけでメンバー間の位置関係が自動的にかつ正確に保たれるため、構成メンバーの組み付け作業、ひいては上部旋回体の組立作業の能率を大幅に向上させることができる。
【００２５】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図１〜図４によって説明する。
【００２６】
図１，２に示すように、アッパーフレーム９の後部において、複数の構成メンバーに共用される取付部材として、エンジン２１の右側（図１の上側）にラジエータサポート２２、左側に取付コラム２３がそれぞれ設けられている。
【００２７】
ラジエータサポート２２及び取付コラム２３に取付けられるメンバーとその取付構造は次の通りである。
【００２８】
（ｉ）ラジエータサポート２２
図１〜図３に示すように、ラジエータサポート２２にはラジエータ２４と、作動油タンク２５と、外装体としての右側ガードカバー２６の開閉支点となるヒンジ２７，２７と、冷却空気をラジエータ２４とガードカバー２６の空気口（空気入口または出口）２８との間でガイドするための筒状のラジエータダクト２９と、図５のキャノピ１１を後方右側で支持するキャノピ右側支柱３０と、主としてエンジン２１のメンテナンスのためにエンジン背面側に開閉自在に設けられたボンネット３１の閉止用キャッチ３２、それに図５の運転席１０及び操作レバーが配備されるシートスタンド３３が取付けられる。図２中、３４はカウンタウェイトである。
【００２９】
ラジエータサポート２２は、図３に示すように四角の枠状に形成され、後面にガードカバーヒンジ２７，２７、前面に作動油タンク２５、上面にキャノピ右側支柱３０の下端がそれぞれ取付けられる。
【００３０】
ラジエータダクト２９は、ラジエータ２４側の開口縁部の上側に水平な取付座３５、下側に下向きの係合部３６をそれぞれ有し、この係合部３６が、ラジエータサポート２２の底壁に上向きに設けられた前後一対の第１突片３７，３７と、この第１突片３７，３７間に同突片３７，３７に対して左右方向に位置ずれして設けられた第２突片３８との間に挿入・係合される。
【００３１】
そして、この状態で取付座３５がラジエータサポート２２の上面に図示しないボルトまたはねじで止め付けられることにより、ラジエータダクト２９がラジエータサポート２２に取付けられる。
【００３２】
なお、ラジエータ２４と並んでオイルクーラーが配置されるサイドバイサイド方式をとる場合には、ラジエータダクト２９がこれらに共通のダクトとなる。
【００３３】
シートスタンド３３は、上端部右側に水平に突出する右側取付部３９を有し、この右側取付部３９がラジエータサポート２２の上面に図示しないボルトまたはねじで止め付けられる。
【００３４】
この構成により、次の作用効果を得ることができる。
【００３５】
▲１▼ ラジエータサポート２２を、ガードカバーヒンジ２７，２７とラジエータダクト２９の取付・位置決め部材として兼用できるため、ラジエータ２４と、ガードカバー２６の空気口（吸い込み方式では空気入口、吐き出し方式では空気出口）との間隔の管理が容易となる。
【００３６】
▲２▼ ラジエータサポート２２を、ガードカバーヒンジ２７，２７とキャノピ右側支柱３０の取付・位置決め部材として兼用できるため、キャノピ右側支柱３０と、ガードカバー２６に設けられる同支柱３０を通すための図示しない開口（穴または切欠）の位置管理が容易となる。
【００３７】
（ｉｉ）取付コラム２３
取付コラム２３はアングル状に形成され、図１，２，４に示すように同コラム２３に、シートスタンド３３の左側後部と、ボンネット３１の開閉支点となるボンネットヒンジ４０と、ボンネット３１の左側に隣接して配置される左側パネル４１と、ボンネット３１の近傍でエンジン排気用のマフラー４２を覆うマフラーカバー４３とが取付けられる。
【００３８】
シートスタンド３３には、図４に示すように左側上端部に後向きの取付ブラケット４４と、左向きの取付ブラケット４５が設けられ、取付ブラケット４４が取付コラム２３の上端に、取付ブラケット４５が左側面にそれぞれボルト止めされる。
【００３９】
ボンネットヒンジ４０は、取付コラム２３の下端部に設けられたヒンジ取付部４６に取付けられる。
【００４０】
左側パネル４１は、内側に取付部４７を有し、この取付部４７が取付コラム２３にパネル取付用ブラケット４８を介して止め付けられる。
【００４１】
マフラーカバー４３は、メンテナンス時に作業者が火傷しないようにマフラー４２の一部に上から被さる状態で、マフラーカバー取付部４９を介して取付コラム２３に取付けられる。
【００４２】
この構成により、次の作用効果を得ることができる。
【００４３】
（イ）取付コラム２３をボンネットヒンジ４０と左側パネル４１の取付・位置決め部材として兼用できるため、ボンネット３１と左側パネル４１との間の隙間ｃ（図１参照）の管理が容易となる。
【００４４】
（ロ）取付コラム２３をボンネットヒンジ４０とマフラーカバー４３の取付・位置決め部材として兼用できるため、ボンネット３１とマフラーカバー４３との間の隙間の管理が容易となる。
【００４５】
一方、シートスタンド３３の右側端部をラジエータサポート２２に、左側端部を取付コラム２３にそれぞれ取付けることにより、この三者によって門形の取付ベースＢ（図２参照）が構成され、この取付ベースＢに上記のように複数のメンバーを集中的に取付けるため、取付けられる各メンバー間の位置管理が容易となる。
【００４６】
また、右側のラジエータサポート２２と、左側の取付コラム２３がシートスタンド３３で連結されることによって互いに補強・補剛され、強度及び剛性に富む取付ベースＢが構成されるため、各メンバーを集中的に取付ける構成でありながら各メンバーを強固に安定良く取付けることができる。
【００４７】
この場合、ボンネットヒンジ４０を取付コラム２３に、同キャッチ３２をラジエータサポート２２にそれぞれ取付けるため、このボンネット３１のヒンジ４０とキャッチ３２の位置（間隔）管理が容易となる。
【００４８】
ところで、本発明は油圧ショベル、とくにスペースの制約からメンバー取付けのための部品点数の節減の要請が高い小形ショベルに適するが、ショベルに限らず、ショベルを母体として構成される掘削機、溝掘機等、他の作業機械にも適用することができる。
【００４９】
【発明の効果】
上記のように本発明によると、上部旋回体を構成する複数のメンバーを共通の取付部材に取付けるだけでメンバー間の位置関係が自動的にかつ正確に保たれるため、メンバーの組み付け作業、ひいては上部旋回体の組立作業の能率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態にかかる油圧ショベルの上部旋回体の概略水平断面図である。
【図２】同背面図である。
【図３】同実施形態におけるラジエータサポートまわりのメンバー取付状況を示す斜視図である。
【図４】同実施形態における取付コラムまわりのメンバー取付状況を示す斜視図である。
【図５】本発明が適用される油圧ショベルの概略側面図である。
【符号の説明】
１ 下部走行体
２ 上部旋回体
９ アッパーフレーム
２１ エンジン
２２ ラジエータサポート
２３ 取付コラム
２４ ラジエータ
２６ ガードカバー
２７ ガードカバーヒンジ
２８ ガードカバーのラジエータダクト用空気口
２９ ラジエータダクト
３０ キャノピ右側支柱
３１ ボンネット
３２ ボンネットキャッチ
３３ シートスタンド
３５ ラジエータダクトの取付座
３６ 同係止部
３７ ラジエータダクト取付用の第１突片
３８ 同第２突片
３９ シートスタンドのラジエータサポートに対する取付部
４０ ボンネットヒンジ
４１ 左側パネル
４２ エンジン排気用のマフラー
４３ マフラーカバー
４４，４５ 取付コラムに対するシートスタンド取付用のブラケット
４６ 取付コラムのボンネットヒンジ取付部
４７ 左側パネルの取付部
４８ 取付コラムの左側パネル取付用ブラケット
４９ 取付コラムのマフラーカバー取付部
Claims (6)
- 下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジン及びラジエータをはじめとする機器類や、内装機器類を左右一側からカバーする開閉自在なガードカバー、上記ラジエータとガードカバーとの間で冷却空気をガイドするラジエータダクト等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に、上記ラジエータが取付けられるラジエータサポートが設けられ、このラジエータサポートに、上記ガードカバーの開閉支点となるガードカバーヒンジと、上記ラジエータダクトが取付けられたことを特徴とする作業機械。
- 下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジン及びラジエータをはじめとする機器類や、内装機器類を左右一側からカバーする開閉自在なガードカバー、キャノピ、このキャノピを支持する複数のキャノピ支柱等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に、ラジエータが取付けられるラジエータサポートが設けられ、このラジエータサポートに、上記ガードカバーの開閉支点となるガードカバーヒンジと、ガードカバーの近傍に配置されるキャノピ支柱が取付けられたことを特徴とする作業機械。
- 下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジンをはじめとする機器類や、エンジンの背面側をカバーする開閉自在なボンネット、このボンネットに近接して後部左右一側に配置される側パネル等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に取付コラムが設けられ、この取付コラムに、上記ボンネットの開閉支点となるボンネットヒンジと、上記側パネルが取付けられたことを特徴とする作業機械。
- 下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジンをはじめとする機器類や、エンジンの背面側をカバーする開閉自在なボンネット等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に取付コラムが設けられ、この取付コラムに、上記ボンネットの開閉支点となるボンネットヒンジと、ボンネットの近傍でエンジン排気用のマフラーを覆うマフラーカバーが取付けられたことを特徴とする作業機械。
- 下部走行体上に上部旋回体が旋回自在に搭載され、この上部旋回体は、アッパーフレームに、エンジン及びラジエータをはじめとする機器類や、座席及び操作レバーが配備されるシートスタンド等の複数のメンバーを取付けて構成される作業機械において、上記アッパーフレームの後部左右一側に上記ラジエータが取付けられるラジエータサポート、反対側に取付コラムがそれぞれ設けられるとともに、上記シートスタンドがこれらラジエータサポートと取付コラムとに跨って取付けられて取付ベースが構成され、上記アッパーフレームに設置される複数のメンバーが、上記取付ベースに対し、取付ベースをメンバー間の位置決め部材として兼用する状態で取付けられたことを特徴とする作業機械。
- 請求項５記載の作業機械において、ラジエータサポートと取付コラムの一方にボンネットの開閉支点となるボンネットヒンジ、他方にボンネットを閉じ状態に保持するボンネットキャッチがそれぞれ取付けられたことを特徴とする作業機械。
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