JP2004299508A - エアバッグ用合成樹脂製リテーナー - Google Patents

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Akinori Nagano
昭則 永野
Hiroyuki Yokoyama
浩之 横山
Toshi Fukada
利 深田
Takahiro Komura
隆裕 香村
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Toyota Auto Body Co Ltd
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Mitsui Chemicals Inc
Toyota Auto Body Co Ltd
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Abstract

【課題】迅速なエアバッグカバー部の破断が可能であって、エアバッグカバーが飛散したり、剥がれたりすることなく、またシャープエッジを生じることもなくエアバッグを膨張展開可能とするリーテーナーであって、リサイクル性に優れ、軽量化ができ、インストルメントパネルの本体部およびエアバッグカバー部への溶着強度がすぐれたエアバッグ用合成樹脂製リテーナーを提供すること。
【解決手段】インストルメントパネルのエアバッグカバー部に固着しうる部分、エアバッグカバー部を囲むようにインストルメントパネル本体部に固着しうる部分、これら両部分を揺動可能に連結するヒンジ部、およびエアバッグ収納容器を保持しうる部分を一体に有する合成樹脂製リテーナーであって、該ヒンジ部に複数個のスリットが設けられているエアバッグ用合成樹脂製リテーナー。
【選択図】 図1

Description

【発明の属する技術分野】
本発明は合成樹脂製のエアバッグ用リテーナーに関する。さらに詳しくは、本発明は改良されたヒンジ部を有するエアバッグ用合成樹脂製リテーナーに関する。
【従来の技術】
【0001】
自動車のエアバッグ装置は、通常はインストルメントパネルの一部を構成するエアバッグカバー部の内側に収納されており、そのカバー部は衝撃によって膨張するエアバッグの圧力で容易に破断し、エアバッグを外部へと膨張展開できるようになっている。エアバッグが収納されている容器は、インストルメントパネルに固着されたリテーナーによってインストルメントパネルに取り付けられている。
【0002】
そのインストルメントパネルおよびリテーナーは、それぞれが要求される物性を満たした材料で成形されるが、材質の選択にあたり他の自動車部品と同様にリサイクル使用可能であることも同時に要求され始めている。
【0003】
最近のインストルメントパネルは、本体部とエアバッグカバー部とを一体に形成することでエアバッグカバー部の存在が外観からはわからないように設計されるようになり、その材質として硬質のポリプロピレン樹脂などの合成樹脂が採用されている。ところが、リテーナーは、従来スチール、アルミニウムやポリアミド樹脂などのインストルメントパネルとは別種の材料からつくられているので自動車部品の解体作業が煩雑になり、材料のリサイクル使用に障害となっている。
【0004】
従来のインストルメントパネルでは、エアバッグカバー部の上面すなわち表面側からの押圧力を支持する構造にはなっていないため、誤って上面より負荷がかかるとエアバッグカバー部が凹状にへこんだり、変形したりしてエアバッグカバー部の外観が損なわれるという問題点があった。そのためにエアバッグカバー部の下方裏面に金属製の補強板材を設けるなどの改良がなされてきた。この補強板材は金属製のため、樹脂製のインストルメントパネルの本体部およびエアバッグカバー部への固着強度が低く、温度変化に伴う膨張差や収縮差が大きいため、エアバッグカバー部を含むインストルメントパネルの表面にうねりが生じたりして外観を損ねるなどの問題があった。特開2002−347551号公報には、これらの問題を解決すべく金属製のリテーナーが提案されているが、なおリサイクル性や軽量化がむずかしく、インストルメントパネルの本体部およびエアバッグカバー部への固着が容易でないという問題を有している。
【0005】
リテーナーは、エアバッグ収納容器をインストルメントパネルへ取り付ける部品であると同時に、エアバッグカバー部の補強材としての機能を有し、エアバッグ展開時にエアバッグカバー部(ドア部)が飛散しないように保持させておく役割も果たすことが求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、迅速なエアバッグカバー部の破断が可能であって、エアバッグカバー部が飛散したり、剥がれたりすることなく、またシャープエッジを生じることもなくエアバッグを展開可能とするリテーナーであって、リサイクル性に優れ、軽量化ができ、インストルメントパネルの本体部およびエアバッグカバー部への溶着強度がすぐれたエアバッグ用リテーナーの開発に鋭意努力した結果本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明の他の目的は、迅速なエアバッグカバー部の破断が可能であって、エアバッグカバーが飛散したり、剥がれたりすることなく、またシャープエッジを生じることもなくエアバッグの展開を可能とするリテーナーを提供することにある。
【0008】
本発明は、さらにリサイクル性に優れ、軽量化ができ、インストルメントパネルの本体部およびエアバッグカバー部への溶着強度がすぐれたエアバッグ用合成樹脂製リテーナーを提供することを目的とする。
【0009】
本発明のリテーナーを用いたエアバッグ装置では、エアバッグの展開時に迅速なエアバッグカバー部の破断を可能とし、エアバッグカバーが飛散したり、剥がれたりすることなく、またシャープエッジを生じることもなくエアバッグカバー部を開くことができる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、インストルメントパネルのエアバッグカバー部に固着しうるカバー固着部、エアバッグカバー部を囲むようにインストルメントパネル本体部に固着しうるインパネ固着部、カバー固着部とインパネ固着部とを揺動可能に連結するヒンジ部、およびインパネ固着部と一体に形成され、エアバッグ収納容器を保持しうるエアバッグ保持部を一体に有する合成樹脂製リテーナーであって、ヒンジ部に複数個のスリットが設けられているエアバッグ用合成樹脂製リテーナーを提供する。。
【0011】
前記スリットが、前記カバー固着部とヒンジ部が接する線と交差する方向に、ほぼ等間隔で設けられている前記したリテーナーは、本発明のエアバッグ用合成樹脂製リテーナーの好ましい態様である。
【0012】
前記スリットが、前記カバー固着部とヒンジ部が接する線に沿った方向のほぼ中心部に設けられたスリットと、該中心部の両側でほぼ等距離の位置に設けられた1対もしくは2以上の対のスリットで構成されている前記したリテーナーは、本発明のエアバッグ用合成樹脂製リテーナーの好ましい態様である。
【0013】
前記ヒンジ部の端縁部を、前記カバー固着部の端縁部より後退した位置とすることによって、ヒンジ部端部に切り欠き部が形成されている前記したリテーナーは、本発明のエアバッグ用合成樹脂製リテーナーの好ましい態様である。
【0014】
前記合成樹脂がポリプロピレン系樹脂またはその組成物である前記したリテーナーは、本発明のエアバッグ用合成樹脂製リテーナーの好ましい態様である。
【0015】
前記合成樹脂がメルトフローレート(MFR)が20〜100(g/10分、ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定)のプロピレン・エチレンブロック共重合体35〜74重量%、エラストマー25〜50重量%および無機充填材1〜15重量%とを含み、全体のMFRが10〜50(g/10分)である樹脂組成物である前記したリテーナーは、本発明のエアバッグ用合成樹脂製リテーナーの好ましい態様である。
【0016】
【発明の実施の形態】
【0017】
エアバッグ装置においては、エアバッグ収納容器がインストルメントパネルに取り付けられており、インストルメントパネルは本体部とエアバッグカバー部とから構成されている。エアバッグカバー部とインストルメントパネルの本体部は一体に形成されている。リテーナーは、エアバッグ収納容器をインストルメントパネルに取り付ける役割をするものである。
【0018】
本発明のリテーナーは、インストルメントパネルのエアバッグカバー部に固着しうる部分、エアバッグカバー部を囲むようにインストルメントパネル本体部に固着しうる部分、これら両部分を揺動可能に連結するヒンジ部、およびエアバッグ収納容器を保持しうる部分を一体に有する合成樹脂製リテーナーであって、該ヒンジ部に複数個のスリットが設けられているエアバッグ用合成樹脂製リテーナーである。
【0019】
本発明の説明を容易にするため、エアバッグカバー部に固着しうる部分をカバー固着部と、インストルメントパネル本体部に固着しうる部分をインパネ固着部と、またエアバッグ収納容器を保持しうる部分をエアバッグ保持部と呼ぶことがある。
【0020】
図1に本発明のリテーナーの一例を示した。図1は、本発明のリテーナーの概要を示す斜視図を示している。図1のリテーナー1は、一対のカバー固着部11、該カバー固着部11を取り囲む四角形枠状のインパネ固着部12、これらカバー固着部11とインパネ固着部12を揺動可能に連結するヒンジ部14、およびインパネ固着部12と一体に形成されたボックス状のエアバッグ保持部13から構成されており、ヒンジ部14には複数個のスリット15が形成されている。
【0021】
本発明のリテーナーのヒンジ部に形成されるスリットの数には特に制限がないが、複数個形成されることが好ましい。スリットの位置にも特には制限がないが、ヒンジ部全般にほぼ均等に分散して形成されていることが好ましい。スリットは、ヒンジ部の長手方向、すなわちヒンジ部とカバー固着部とが接する線方向(以下横方向という)にほぼ直交する方向に、カバー固着部の上面に対してほぼ垂直方向に、ヒンジ部に幅1〜5mm、好ましくは2〜4mm程度の切り欠きを入れることによって形成することが好ましい。
【0022】
スリットの数は、複数であれば特に制限はないが、例えば3〜9個、好ましくは3〜7個あれば十分その効果を発揮する。スリットの配置位置にも特に制限がないが、できるだけ等間隔に配置されていることが本発明の目的のためには好ましい。スリットは横方向のほぼ中心部と、その両側に中心部からほぼ等間隔に形成された1対または2以上の対のスリットで構成されていることが好ましい。この場合のスリットの数は奇数となる。
【0023】
本発明のスリットが、ヒンジ部の横方向と直交する方向に対して0〜45度の角度をもって斜めに形成されている態様も、本発明の許容できる態様である。また、カバー固着部の上面に対して垂直方向に切り欠きを入れたスリットが、ヒンジ部を貫通しない場合でも、切り欠きの深さがヒンジ部厚さの2/3以上に達している場合には、本発明のスリットと認めることができる。
【0024】
本発明に係わるリテーナーを適用したエアバッグ装置の具体例を、図2を用いて説明する。図2は、インストルメントパネルにエアバッグ装置を装着した一態様を示す概略断面図である。エアバッグ収納容器2は、インストルメントパネルにリテーナー1のエアバッグ保持部13を介して装着されている。エアバッグ収納容器2には、エアバッグ21が収納されている。一方インストルメントパネルのエアバッグカバー部3は、インストルメントパネルの本体部4と一体に成形されている。エアバッグカバー部3とインストルメントパネルの本体部4との境およびエアバッグカバー部3には、レーザ加工などによって形成された溝部によって、エアバッグ21が展開する際に破断が予定される部分31および33が形成されている。衝撃時には、インフレータ22が作動し、インストルメントパネルのエアバッグカバー部3からエアバッグ22が膨張展開するようになっている。
【0025】
リテーナー1は、インストルメントパネルの本体部4とインパネ固着部12において、またエアバッグカバー部3とはカバー固着部11においてそれぞれ固着されている。インストルメントパネルの本体部4とインパネ固着部12の固着およびエアバッグカバー部3とカバー固着部11の固着は、振動溶着などの溶着手段などによって達成されるが、これに限定されるものではなく、十分な固着が達成される手段を適宜選択して採用することができる。
【0026】
図2においては、エアバッグ収納容器2には係止爪23が、取付座部23aにおいて固着されており、リテーナー1のエアバッグ保持部13には、係止突起23を挿入させる孔部18が形成されている。係止突起23が孔部18を貫通してエアバッグ保持部13の外側壁部に係止することによって、エアバッグ収納容器2が、リテーナー1のエアバッグ保持部13に装着されている。
【0027】
本発明では、エアバッグ収納容器2の形状、材質およびエアバッグの収納方法、並びにエアバッグ収納容器2のリテーナー1への取り付け方法には特に制限はなく、従来公知の方法を適宜選択使用することができる。
【0028】
リテーナー1は、エアバッグ収納容器2を保持すると共に、エアバッグ21の膨張展開時にエアバッグカバー部3が飛散することを防止している。なお、リテーナー1の構造は、図1および2に示されたものに限定されることはなく、さらに設計変更することができる。
【0029】
本発明のリテーナー1におけるヒンジ部14の断面形状には特に制限はなく、ヒンジとしての機能を果たせるものであれば如何なる形状をも取りうる。図1および図2に示されているヒンジ部14は断面U字形状をしているが、W字形状やV字形状であってもよく、またこれらに限定されるものではない。
【0030】
後述する図4には、本発明のリテーナー1におけるヒンジ部14の好ましい断面形状の例としてW字形状を有するリテーナーを示している。W字形状は、先に示した断面U字形状と共に、本発明のリテーナー1におけるヒンジ部14の形状として好ましいものの一例である。
【0031】
図3は、インストルメントパネルのエアバッグカバー部3のエアバッグ収納容器2と反対側、すなわち表側から見た平面図を示している。図3の一点鎖線31は図2に示す深い溝部によって形成された、エアバッグ展開時のエアバッグカバー部3に形成された破断予定部を示している。一点鎖線32は同様の溝部によって、インストルメントパネルの本体部4とエアバッグカバー部3の境界に形成された破断予定部を示している。また二点鎖線33は、同様の溝部によって、インストルメントパネルの本体部4とエアバッグカバー部3の境界に形成された破断予定部を示している。
【0032】
本発明のヒンジ部14にスリット15を設けた合成樹脂製リテーナー1は、図3においては、そのヒンジ部14が、エアバッグカバー部3の破断予定部31と平行する位置に設置されている。本発明のリテーナー1は、ヒンジ部14にスリット15が形成されているので、破断予定部31と平行する方向(横方向)のヒンジ部剛性が、スリットのないリテーナーに比して低減されていて横方向に撓み易くなっている。
【0033】
本発明のヒンジ部にスリットを設けた合成樹脂製リテーナーを使用すると、膨張するエアバッグに押圧されて、エアバッグカバー部は、全体をより均一に***させるように変形し易くなるなることから、エアバッグ面に垂直方向のせん断力が破断予定部近傍に作用しやすくなる。そして、***した破断予定部近傍にせん断力が作用すれば、破断予定部から破断されて、破断が次の破断予定部へと伝播されてエアーバッグカバーが開くこととなる。
【0034】
その結果、エアバッグカバー部が迅速に展開するとともに、エアバッグカバー部の破断部に不要なシャープエッジを生じされたり、エアバッグカバーが飛散したり剥がれたりすることなくエアバッグカバー部を開くことができ、またインストルメントパネルに無理な応力がかからないので、破断予定部以外の部位が破損したりすることも防止できるため、乗員を傷つけることなくエアバッグを展開させることが可能となる。また、インパネ固着部に無理な応力がかからなくなるので、固着部が剥がれたり、固着部近傍のインストルパネルが破損したりすることも防止できるため、乗員を傷つけることなくエアバッグを展開させることが可能となる。
【0035】
本発明のリテーナーを用いたエアバッグ装置では、エアバッグの膨張時に、エアバッグカバー部全体を***させるようにリテーナーが変形し易いので、低温時であっても確実にエアバッグカバー部を所定の位置で迅速に破断させることができる。
【0036】
本発明のリテーナを構成する合成樹脂は、熱可塑性樹脂として知られる公知の樹脂の中から、インストルメントパネルおよびエアバッグカバー部などとのリサイクル性などを考慮して適宜選択することができる。
【0037】
本発明の合成樹脂が備えていることが好ましい物性として、高速引張伸びを挙げることができる。高速引張伸びは、ASTM D−638−84No.1に従って、−25℃の雰囲気で、引張速度5(m/秒)の条件で引張試験を行なって求めることができる。高速引張伸びで50%以上、好ましくは60%以上の破断点伸びのものを好ましい材料として使用することができる。
【0038】
本発明の合成樹脂として、このような物性を有する熱可塑性樹脂として知られる公知の樹脂の中から選択することがより好ましい。熱可塑性樹脂の中でもポリプロピレン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂を、好ましい合成樹脂として挙げることができる。中でも好ましいのは、プロピレンの単独重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体などのプロピレン系重合体であり、さらに好ましいものとしてプロピレンのブロック共重合体を挙げることができる。本発明の合成樹脂は樹脂単味であっても、他の重合体との組成物であってもよい。
【0039】
本発明のリテーナーに好適な合成樹脂の具体例の一つとして、以下のようなプロピレンブロック共重合体を含む組成物を挙げることができる。本発明に好適なプロピレンブロック共重合体の例は、メルトフローレート(MFR)が20〜100(g/10分、ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定)のプロピレン・エチレンブロック共重合体35〜74重量%、エラストマー25〜50重量%および無機充填材1〜15重量%とを含み、全体のMFRが10〜50(g/10分)である樹脂組成物である。
【0040】
前記のプロピレン・エチレンブロック共重合体としては、アイソタクチックペンタッド分率が0.97以上のn−デカン不溶部(23℃)と、エチレン含量が20〜50重量%かつデカリン溶媒を用いて135℃で測定した極限粘度[η]が2〜9(dl/g)のn−デカン可溶部(23℃)とを含んでいるものがより好ましい。
【0041】
ここで、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)とは、ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を表す指標である。具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中に占める、プロピレンモノマー単位で5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の吸収ピークの割合を測定して求める。
【0042】
本発明に使用可能なエラストマーとしては、エラストマーとしての性状を有する重合体であれば特に制限されない。中でも、オレフィン系熱可塑性エラストマーまたはスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、またエラストマーは1種類と限らず、2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィンを構成単位として含む、低結晶性ないし非結晶性のα−オレフィン共重合体であって、特にエチレンまたはプロピレンを主な構成単位として含む共重合体が好ましい。
【0044】
そのような共重合体の例として、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)、エチレン・1−ブテン共重合体(EBR)、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体(EOR)、エチレン・1−デセン共重合体等のエチレン系共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体等のプロピレン系共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・シクロオクタジエン共重合体、エチレン・ブタジエン共重合体等のエチレン・ジエン共重合体を挙げることができる。
【0045】
これらの中でも、特にEPR、EBR、EOR、およびそれらの混合物が好ましく使用できる。EPR、EBR、EORのようなエチレン・α−オレフィン共重合体の場合、エチレン単位の含有量が好ましくは30〜90重量%、より好ましくは60〜80重量%であり、α−オレフィン単位の含有量が10〜70重量%、より好ましくは20〜40重量%である。また、ASTM D−1238に準拠し、190℃、荷重2.16kgの条件下で測定したそのメルトフローレート(MFR)値が、好ましくは0.1〜120(g/10分)、より好ましくは0.5〜60(g/10分)の共重合体が望ましい。
【0046】
また、スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレンを構成単位として10モル%以上含む重合体のエラストマーであって、例えばスチレン・ブタジエンランダム共重合体(SBR)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、SBSの水素添加物であるスチレン・エチレン/ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、SISの水素添加物であるスチレン・エチレン/プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、およびスチレン・イソプレンブロック共重合体を挙げることができる。なお、前記の水素添加物は、完全水素化物であってもよいし、部分水素化物であってもよい。
【0047】
無機充填材(C)としては、タルク、クレー、炭酸カルシウム、マイカ、けい酸塩類、炭酸塩類、ガラス繊維等の通常プラスチック用配合材として利用されている無機物を使用することができる。それらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、タルクまたは炭酸カルシウムが好ましく、特にタルクが好ましく、その平均粒径が好ましくは1〜5μm、より好ましくは1〜3μmのものが望ましい。
【0048】
前記したプロピレン・エチレンブロック共重合体、エラストマーおよび無機充填材は、その所定量を、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダーあるいはタンブラーブレンダー等を用いて均一に混合し、次いで押出機を用いて通常ペレット状に加工し、樹脂組成物として使用する。
【0049】
このような構成の樹脂組成物は、高い剛性、引張強度、衝撃強度等を備えており、またその成形品が夏季の高温環境下に置かれても変形することがほとんどない耐熱性をも有している。また、この樹脂組成物は、低温時における高速引張試験において高い引張伸びを有しているので、本発明のリテーナーがエアバッグの膨張展開を容易にする。さらに、本発明のリテーナーはインストルメントパネル材料と振動溶着等の手段で強固に溶着させることができるので、その高い溶着強度によって、自動車が衝撃を受けたときにもインストルメントパネルのエアバッグカバー部が飛散することを防止できる。
【0050】
なお、各成分の混合に際して、本発明の目的を損ねない範囲内で酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、老化防止剤、脂肪酸金属塩、軟化剤、分散剤、核剤、滑剤、難燃剤、顔料、染料、有機充填剤等を任意に配合してもよい。
【0051】
本発明のヒンジ部にスリットを有するリテーナーにおいて、ヒンジ部の端縁部を、カバー固着部の端縁部より後退した位置にすることによって、ヒンジ部端部に切り欠き部を形成すると、エアバッグが展開するときにエアバッグカバー部の破断の際に生じやすいシャープエッジの発生を防ぐという本発明の効果をさらに高めることができるので、本発明の好ましい態様である。
【0052】
図4には、ヒンジ部14の端縁部16を、カバー固着部の端縁部17より後退した位置とすることによって、ヒンジ部端部に切り欠き部5を形成させたリテーナー1を示している。
【0053】
このような切り欠き部5が形成されると、図3においてエアバッグの膨張展開によってエアバッグカバー部3が変形し破断するときに、破断予定部32および33が当接する点近傍が斜め方向に引き裂かれることなく、エアバッグ面に対して垂直方向のせん断力によって破断させることができる。その結果、シャープエッジの発生を防止することができる。したがって、このような切り欠き部5の形成は、本発明のヒンジ部のスリットによるシャープエッジの形成防止効果をさらに高いものにすることができる。
【0054】
図4のリテーナーにおいて、ヒンジ部14は、W字の断面形状を有している。ヒンジ部のW字形状は前述したとおり、ヒンジ部の形状として好ましいものの一つである。
【0055】
本発明のリテーナーを用いたエアバッグ装置では、誤って上面より負荷がかかったときでもエアバッグカバー部が凹状にへこんだり、変形したりしてエアバッグカバー部の外観が損なわれたり、温度変化に伴う膨張差や収縮差によってエアバッグカバー部を含むインストルメントパネルの表面にうねりが生じて外観を損ねたりすることがないので、エアバッグ装置の良好な外観を保つことができる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によって、迅速なエアバッグカバー部の破断が可能であり、エアバッグカバーが飛散したり、剥がれたりすることなく、またシャープエッジを生じることもなくエアバッグを展開させることができるエアバッグ装置を可能とするリーテーナーが提供される。
【0057】
本発明によれば、リサイクル性に優れ、軽量化ができ、インストルメントパネルの本体部およびエアバッグカバー部への溶着強度がすぐれたエアバッグ用リテーナーが提供される。
【0058】
本発明のリテーナーによって、エアバッグの展開時に迅速なエアバッグカバー部の破断を可能とし、エアバッグカバーが飛散したり、剥がれたりすることなく、またシャープエッジを生じることもなくエアバッグカバー部を開くことができるエアバッグ装置の提供が可能となる。
【0059】
また本発明よれば、良好な外観の保持が可能なエアバッグ装置を可能とするリテーナーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリテーナーの例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明のリテーナーを適用したエアバッグ装置の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のリテーナーを適用したインストルメントパネルの平面図である。
【図4】本発明のリテーナーの他の例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1.リテーナー
11.カバー固着部
12.インパネ固着部
13.エアバッグ保持部
14.ヒンジ部
15.スリット
16.ヒンジ部端縁部
17.カバー固着部端縁部
18.孔部
2.エアバッグ収納容器
21.エアバッグ
22.インフレーター
23.係止爪
3.エアバッグカバー
31.破断予定部
32.破断予定部
33.破断予定部
4.インストルメントパネルの本体部
5.切り欠き部

Claims (8)

  1. インストルメントパネルのエアバッグカバー部に固着しうるカバー固着部、エアバッグカバー部を囲むようにインストルメントパネル本体部に固着しうるインパネ固着部、カバー固着部とインパネ固着部とを揺動可能に連結するヒンジ部、およびインパネ固着部と一体に形成され、エアバッグ収納容器を保持しうるエアバッグ保持部を一体に有する合成樹脂製リテーナーであって、該ヒンジ部に複数個のスリットが設けられているエアバッグ用合成樹脂製リテーナー。
  2. 前記スリットが、前記カバー固着部とヒンジ部が接する線と交差する方向に、ほぼ等間隔で設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ用合成樹脂製リテーナー。
  3. 前記スリットが、前記カバー固着部とヒンジ部が接する線に沿った方向のほぼ中心部に設けられたスリットと、該中心部の両側でほぼ等距離の位置に設けられた1対もしくは2以上の対のスリットで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエアバッグ用合成樹脂製リテーナー。
  4. 前記ヒンジ部の断面がU字形状をしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッグ用合成樹脂製リテーナー。
  5. 前記ヒンジ部の断面がW字形状をしていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッグ用合成樹脂製リテーナー。
  6. 前記ヒンジ部の端縁部を、前記カバー固着部の端縁部より後退した位置とすることによって、該ヒンジ部端部に切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエアバッグ用合成樹脂製リテーナー。
  7. 前記合成樹脂がポリプロピレン系樹脂またはその組成物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエアバッグ用合成樹脂製リテーナー。
  8. 前記合成樹脂がメルトフローレート(MFR)が20〜100(g/10分、ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定)のプロピレン・エチレンブロック共重合体35〜74重量%、エラストマー25〜50重量%および無機充填材1〜15重量%とを含み、全体のMFRが10〜50(g/10分)である樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエアバッグ用合成樹脂製リテーナー。
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