JP3566065B2 - エアバッグの収納カバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の高速移動体が衝突事故等の際に、その衝撃や変形を感知することにより作動し、膨脹展開することにより乗員を保護するエアバッグの収納カバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エアバッグシステムは、自動車等の高速移動体が衝突の際に運転手或いは搭乗者を保護するシステムで、衝突の際の衝撃を感知する装置とエアバッグ装置からなる。該エアバッグ装置は、エアバッグ、エアバッグ作動装置、及び、それを収納するためのカバーからなり、これら装置はステアリングホイール、助手席前面のインストルメントパネル内、フロント及びサイドピラー、座席シート側面部等に設置される。そして車両の衝突等により大きな衝撃を受けた時には、エアバッグケース内に収納されているエアバッグが膨脹し、エアバッグの収納カバーを内部から押し開き、該エアバッグを車室内に展開させるようになっている。
このような構造に用いられるエアバッグの収納カバーとしては、金属を芯材としてウレタン発泡成形したものや、製品重量の軽量化を目的として芯材を変性ポリフェニレンオキシドと6−ナイロンとのポリマーアロイといった硬質プラスチックを用い、6−ナイロンネット等による補強材をインサートしてウレタン発泡成形したものがある。
しかし、変性ポリフェニレンオキシドと6−ナイロンとのポリマーアロイを芯材として用いた場合、製品重量は軽量化できるが、低温時の展開性能が低下する傾向があり、また、ネット状の補強材をインサートするため、多数の複雑な製造工程が必要である。
【0003】
これらを解決する試みとして、特開平1−202550号公報、特開平2−171362号公報、特開平2−220946号公報、特開平3−189252号公報に記載されている様な、ソフト感のある熱可塑性エラストマーを用いた表皮層と、形状保持性のある硬い熱可塑性エラストマーを用いたコア層からなり、また、前記のウレタン発泡成形の製造工程を簡略化し、生産性を向上させた二色射出成形カバーや特開平2−171364号公報、特開平4−151348号公報、特開平4−314648号公報、特開平5−38996号公報に記載されるような単層射出成形による前記の二色射出成形の開裂式エアバッグの収納カバーの欠点であるコストを低減したものが提案された。
これらの提案により、エアバッグ装置に置けるエアバッグドアを通常の射出成形機を用いて成形を行なうことが可能となり、しかも、成形サイクルが短縮された。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最新の乗員保護用エアバッグ装置においては、インストルメントパネルの助手席前面の開口部に設置されたり、フロント或いはサイドピラー等に設置されるケースもあり、この場合隣接する部材との剛性感・外観の差がより少ないものが求められる。
前記の二色射出成形カバーや単層射出成形カバーにおいては、エアバッグ展開時にドアを容易に開裂させるための薄肉部(ティアライン)を持つことから、剛性感が悪く、耐熱変形性において十分満足できるものではなかった。
また、図5に示すようなカバー本体部とこの裏面側より分岐して成るヒンジ部と固定部材へ固定するための取付部を有するエアバッグの収納カバーにおいては、剛性感は良好であるものの、その分岐部が他部に対して厚肉となり、射出成形時、カバー本体部に比較して冷却速度がゆっくりになることから、材料の結晶化度に差が生じたり、また、製品の取り出し時の温度が高くなる傾向にある。その結果、収縮率差が大きくなり、ヒケ、ソリ等の不具合が生じ易くなるといった問題がある。
これを解決する手法として、図6に示すような分岐部の板厚を薄くする方法があるが、ヒンジ部の強度が弱くなり、エアバッグ展開時に破損し易くなるので好ましくない。
一方、製品の剛性を確保するために、用いられる材料の剛性を向上させていくと、このヒンジ部に応力集中が起こり易くなり、より破損し易くなるといった問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定成分を特定割合で配合した特定の物性を持つ熱可塑性エラストマーを用いた乗員保護用エアバッグの収納カバーが6−ナイロンネット等をインサートして補強する必要がなく、剛性感及び耐熱変形性に優れ、該エアバッグの収納カバーがカバー本体部と該カバー本体部を固定部材へ固定するための取付部と該取付部の近傍に配設したヒンジ部とから構成されており、これら各部が同一面上となる様に形成することにより、エアバッグ膨脹時に破壊、飛散することなく展開することができるという安全性の高いことを見出して本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
すなわち、本発明のエアバッグの収納カバーは、下記成分(A)及び成分(B)からなり、その合計が100重量%となるように配合されて、その物性値が曲げ弾性率(JIS−K7203)が550MPa以上、アイゾット衝撃強さ(JIS−K7110、−35℃)が30KJ/m以上である熱可塑性エラストマー組成物を射出成形してなるエアバッグの収納カバーの形状が、カバー本体部と該カバー本体部を固定部材へ固定するための取付部と該取付部の近傍に配設したヒンジ部とから構成されており、これら各部が同一面上に形成されていることを特徴とするものである。
成分(A): メルトフローレート(JIS−K6758、230℃、2.1
6kg荷重)が15g/10分以下、エチレン含量8重量%以下で、プロピレン
単独共重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が0.980以上であるプ
ロピレン・エチレンブロック共重合体 55〜75重量%
成分(B): メルトフローレート(JIS−K6758、230℃、2.1
6kg荷重)が3g/10分以下であるエチレン・プロピレン・非共役ジエン共
重合体ゴム 25〜45重量%
【0007】
【発明の実施の形態】
[I] エアバッグ収納カバー用熱可塑性エラストマー組成物
(1) 構成材料
本発明のエアバッグの収納カバーに用いられるエアバッグ収納カバー用熱可塑性エラストマー組成物を構成する材料としては、下記に示す成分(A)及び成分(B)を用いることが重要である。
(A) 成分(A):プロピレン・エチレンブロック共重合体
エアバッグ収納カバー用熱可塑性エラストマー組成物において、成分(A)として用いられるプロピレン・エチレンブロック共重合体としては、メルトフローレート(MFR、JIS−K6758、230℃、2.16kg荷重)が15g/10分以下、好ましくは0.1〜12g/10分、特に好ましくは1〜10g/10分で、エチレン含量が8重量%以下、好ましくは1〜7重量%、特に好ましくは2〜6重量%であり、アイソタクチックペンタッド分率が0.980以上、好ましくは0.981〜0.989、特に好ましくは0.985〜0.988のものである。
ここで言うアイソタクチックペンタッド分率とは、13C−NMRを用いて測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。
また、上記エチレン含量とは、赤外スペクトル分析法等により測定される値である。
【0008】
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造は、特開昭56−100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号、特開昭57−63310号、特開昭63−43915号各公報による高立体規則性触媒の存在下に、気相流動床法、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して製造することができる。
メルトフローレート(MFR)が上記範囲を超過するものを用いた場合、アイゾット衝撃強さが低下する傾向にある。
また、エチレン含量が上記範囲を超えるものを用いた場合、曲げ弾性率、耐熱変形性が低下する傾向にある。
また、プロピレン・エチレンブロック共重合体中のプロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が上記範囲未満のものは耐熱変形性が不十分であるので不適である。
【0009】
(B) 成分(B):エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム
本発明において用いられるエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムとしては、メルトフローレート(MFR、JIS−K6758、230℃、2.16kg荷重)が3g/10分以下、好ましくは0.1〜2.5g/10分、特に好ましくは0.3〜2.0g/10分のものである。
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)としては、エチレンとプロピレンと5−エチリデンノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の非共役ジエンとを水素の共存下、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とから形成される触媒、又は、カミンスキー型触媒等を用い、気相流動床、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して、連続的に共重合することにより得ることができる。
具体的には、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体ゴム等を挙げることができる。
【0010】
また、この非共役ジエン共重合体ゴムは、エチレン含量が35〜85重量%、中でも40〜80重量%、特に45〜75重量%のものが好ましい。
メルトフローレートが上記範囲を超過するものを用いた場合、低温のアイゾット衝撃性能が低下する傾向にある。
また、エチレン含量が上記範囲を超過するものを用いた場合、アイゾット衝撃性能が低下する傾向にあり、一方、上記範囲未満のものは引張破壊強さが低下する傾向にある。
【0011】
付加的成分
本発明のエアバッグの収納カバーの構成材料には、目的に応じて、下記成分(C)〜成分(D)を配合することができる。
【0012】
(C) 成分(C):エチレン単独重合体
本発明において用いられるエチレン単独重合体は、熱可塑性エラストマーの低温アイゾット衝撃性能や曲げ弾性率を調整する目的で配合される。
上記エチレン単独重合体としては、メルトフローレート(MFR、JIS−K6758、230℃、2.16kg荷重)が5g/10分以下で、密度(JIS−7112)が0.94g/cm以上のものが好ましい。
ここでいうエチレン単独重合体は、遷移金属触媒の存在下でエチレン単独を重合させることによって得られ、エチレン単独重合体の製造における触媒や重合方法については特に制約はなく、例えば、触媒としてはチーグラー型触媒、フィリップス型触媒、カミンスキー型触媒が挙げられ、重合方法としてはこれらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法(例えば、特開昭59−23011号公報等に記載の方法や溶液法)により中低圧法により得ることができる。
【0013】
(D) 成分(D):スチレンと共役ジエンのブロック構造を有するエラストマー
本発明において用いられるスチレンと共役ジエンのブロック構造を有するエラストマーは、熱可塑性エラストマーの低温アイゾット衝撃性能、引張破壊強さ、曲げ弾性率を調整する目的で配合される。
スチレンと共役ジエンのブロック構造を有するエラストマーとしては、メルトフローレート(MFR、JIS−K6758、230℃、2.16kg荷重)が20g/10分以下で、このスチレンと共役ジエンのブロック構造を有するエラストマーはスチレンブロック部が20〜40重量%、特に25〜35重量%であるものが好ましい。
共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン又はこれらの混合物よりなるものが挙げられ、具体的には、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(以下、単に「S−B−S」と略記する。)、スチレン・イソプレンブロック共重合体(以下、単に「S−I−S」と略記する。)、スチレン・ブタジエン・イソプレンブロック共重合体(以下、単に「S−BI−S」と略記する。)、スチレン・ブタジエン共重合体の水素添加物(以下、単に「水添S−B−S」と略記する。)であるスチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(以下、単に「SEBS」と略記する。)等を挙げることができる。
【0014】
その他の任意成分
上記の付加的成分以外に、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、各種目的に応じて任意成分を加えることができる。
上記任意成分としては、例えば、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、各種無機フィラー、前記以外の各種熱可塑性エラストマー、中和剤、核剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、難燃剤、分散剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性剤、分子量調整剤、防菌剤、蛍光増白剤、顔料及び顔料分散剤等の各種添加物を挙げることができる。
【0015】
(2) 配合割合
本発明におけるエアバッグ収納カバー用熱可塑性エラストマー組成物を構成する上記成分(A)及び成分(B)の配合割合は、成分(A)のメルトフローレート(JIS−K6758、230℃、2.16kg荷重)が15g/10分以下、エチレン含量8重量%以下で、プロピレン単独共重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が0.98以上であるプロピレン・エチレンブロック共重合体が55〜75重量%、好ましくは57〜72重量%、特に好ましくは60〜70重量%であり、また、成分(B)のメルトフローレート(JIS−K6758、230℃、2.16kg荷重)が3g/10分以下であるエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムが25〜45重量%、好ましくは27〜43重量%、特に好ましくは30〜40重量%で、且つ、成分(A)及び(B)の合計が100重量部となるように配合される。
各成分の配合比が上記の範囲外においては下記の問題が生じる。
成分(A)の配合割合が上記範囲未満のものは剛性感、耐熱変形性に劣り、一方、上記範囲を超えるものは低温時の展開性能に劣るものである。
成分(B)の配合割合が上記範囲未満のものは低温展開性能に劣り、一方、上記範囲を超えるものは剛性、耐熱変形性に劣るものである。
【0016】
(3) 熱可塑性エラストマー組成物の製造
熱可塑性エラストマー組成物は、上記構成成分を通常の押出機やバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、ニーダー等を用いて常法で混練することにより製造されるが、中でも、押出機、特に二軸押出機を用いて製造することが望ましい。
【0017】
(4) 熱可塑性エラストマー組成物の物性
本発明における熱可塑性エラストマー組成物の物性は、曲げ弾性率(JIS−K7203)が550MPa以上であり、アイゾット衝撃強さ(JIS−K7110、−35℃)が30KJ/m以上のものである。
曲げ弾性率が上記範囲未満のものは剛性感不足や耐熱変形等の問題が生じる。また、アイゾット衝撃強さが上記範囲未満のものは低温展開時の飛散不良等の問題が生じる。
【0018】
[II] 構 造
上記熱可塑性エラストマー組成物を用いた本発明の乗員保護用エアバッグの収納カバーは下記の構造を示すものである。
カバー本体部の平均肉厚は所望される製品剛性によって決まるが、一般的に2〜6mmの範囲であることが好ましい。
本発明におけるエアバッグの収納カバー1は、図1に示す通り、カバー本体部(展開部)1aと、該カバー本体部1をインストルメントパネル2等の固定部材2aへ固定するための取付部1cと、該取付部1cの近傍に配設したヒンジ部1bとから構成されており、これら各部が同一面上に形成された構造のものである。
従って、図3に示すように、エアバッグ装置の作動時にエアバッグ3の膨脹によりカバー本体部1aが内側から押し開かれて、エアバッグ3を展開することができる構造となっている。
なお、ここで言う「これら各部が同一面上に形成されている構造」とは、図1に示す通り、カバー本体部と、該カバー本体部1aを固定部材2aへ固定するための取付部1cと、該取付部1cの近傍に配設したヒンジ部1bとが、平面、曲面、或いは、屈折面として形成されていても良いが、同一面上(単一面上)に形成されている構造のものであることが重要であり、これら各部が、図5〜図7に示すように、二つ以上の面として形成されない様に、分岐していない単一面上に形成されているものである。
【0019】
上記エアバッグの収納カバー1の全体の厚みは、カバー本体部1a、取付部1c及びヒンジ部1bのそれぞれについて応力集中、ソリ、ヒケ発生の防止を考慮し、可能な限り均一な板厚とすることが好ましい。
具体的には、カバー本体部1aの板厚をt(前述の様に2〜6mm程度)とするとヒンジ部板厚t、取付部板厚tはそれぞれ
:0.6t〜1.0t
:0.8t〜1.2t
の範囲であることが好ましい。より好ましくはカバー本体部1aの板厚はt:3〜5mmである。
例えば、t=4mmの場合
:2.4〜4mm
:3.2〜4.8mm
となる。
<0.6tであると、展開時ヒンジ部1bで破断し易い傾向にあり、t>1.0tであるとヒンジ剛性大のため開き難い傾向がある。
<0.8tであると、取付部1cが破損し易い傾向にあり、t>1.2tであると、tに対し板厚が厚くなり過ぎ、収縮差からヒケ、ソリが発生し易くなる。
【0020】
[III] 成 形
乗員保護用エアバッグの収納カバー1の製造方法としては、通常の射出成形法、又は、必要に応じて、ガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の各種成形法を用いることができ、射出成形条件としては、一般に100〜300℃、好ましくは150〜280℃の成形温度、5〜100MPa、好ましくは10〜80MPaの射出圧力、20〜80℃、好ましくは20〜60℃の金型温度で成形する。
乗員保護用エアバッグの収納カバー1は、図3に示すように、単層射出成形品として用いても良いが、表皮層7及び必要に応じて合成樹脂発泡層8を有した構造や、表皮層7と合成樹脂発泡層8を有し、且つ、該表皮層7と合成樹脂発泡層8が乗員保護用エアバッグの収納カバー1及び該カバー1が取り付けられたインストルメントパネル2等と一体に成形した図7に示す様な構造としても良い。
この場合の成形方法としては、軟質ポリ塩化ビニールや熱可塑性エラストマーをパウダースラッシュ成形或いは真空成形することにより表皮層7を成形した後、乗員保護用エアバッグの収納カバー1及び該カバー1が取り付けられたインストルメントパネル2等と表皮層7の間にウレタン等の合成樹脂発泡材料を注入する方法や、軟質ポリ塩化ビニールやオレフィン系熱可塑性エラストマーの表皮層7とポリオレフィン系樹脂の発泡層8とからなる複合シートを真空成形等にて賦形した後、乗員保護用エアバッグの収納カバー1及び該カバーが取り付けられたインストルメントパネル2等に接着させる方法等を挙げることができる。
【0021】
[IV] 用 途
このようにして得られたエアバッグの収納カバー1は、自動車等の高速移動体が衝突事故等の際に、その衝撃や変形を感知することにより作動し、膨脹展開する乗員保護用エアバッグシステムのエアバッグの収納用カバー1として用いられる。
【0022】
【実施例】
以下に示す実施例及び比較例によって、本発明を具体的に説明する。
[I] 原材料
実施例及び比較例において用いた原材料を表1〜4に示す。
【0023】
【表1】
Figure 0003566065
【0024】
【表2】
Figure 0003566065
【0025】
【表3】
Figure 0003566065
【0026】
【表4】
Figure 0003566065
【0027】
[II]評価方法
実施例及び比較例における各種評価は、以下に示す通りの方法で行なった。
但し、下記の(2) 〜(4) における測定試料は、インラインスクリュータイプ射出成形機(日本製鋼所(株)製射出成形機;N100B)を用いて、射出圧力50MPa、射出温度220℃、金型温度40℃にて成形したピークを用いた。
また、下記の(5) における測定試料は、インラインスクリュータイプ射出成形機(東芝機械(株)製射出成形機:IS220)を用いて、220℃の温度で成形した乗員保護用エアバッグの収納カバーをインストルメントパネルに固定して評価を行なった。
この時、実施例1〜5及び比較例1〜5は図1に示す形状に射出成形した乗員保護用エアバッグの収納カバー1を、図3に示した様にインストルメントパネル2に固定し、また、実施例6は図1に示す形状に射出成形した乗員保護用エアバッグの収納カバー1を、図4に示した様にインストルメントパネル2に固定し、比較例6は図6に示す様にカバー本体部の面よりほぼ垂直方向に取付部1cを分岐した形状に射出成形した乗員保護用エアバッグの収納カバー10を、図7に示す様にインストルメントパネル2に固定して評価を行なった。
【0028】
(1) メルトフローレート(g/10分)
JIS−K6758に準拠して温度230℃、荷重2.16kgにて測定。
(2) 曲げ弾性率(MPa)
JIS−K7203に準拠してスパン間64mm、曲げ速度2mm/分にて測定。
(3) アイゾット衝撃強さ(KJ/m
JIS−K7110に準拠したノッチ付き試験片を用い、−35℃にて測定した。
(4) 耐熱変形性
JIS−K7116に準拠した曲げクリープ試験治具を用い、曲げ弾性率評価用試験片の幅方向(10mm)を荷重に対して平行にして測定した。110℃雰囲気下で、2.2MPaの荷重を加えた時の変形量が4mm以下のものを耐熱変形性良好とした。
(5) 展開テスト
エアバッグ装置と該乗員保護用エアバッグの収納カバーをインストルメントパネルに固定し、展開テスト温度(−40℃、80℃)の恒温槽内に1時間放置した後、展開テストを実施した。該カバーが割れて飛散する、又は、鋭利な形状に割れて正常な展開が出来なかったり、取り付け部より引きちぎられた、又は、ヒンジ部が破断した、又は、展開時の変形が大きかった場合を不良とし、以上の様な不具合がなく、正常な展開がなされた場合を良好とした。
【0029】
[II] 実施例及び比較例
実施例1〜6及び比較例1〜6
表1〜4に示す原材料を用い、表5〜6に示す配合組成にて配合した(なお、ここで、成分(C)及び成分(D)の量は、それぞれ成分(A)及び成分(B)の合計100重量部を基準として表したものである。)。この表5〜6に示す配合組成の成分(A)及び成分(B)の合計量100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤(チバガイギー社製商品名「イルガノックス1010」)0.1重量部を添加し、L/D=33、シリンダー径45mmの二軸押出機(池貝製PCM45)にて200℃の温度に設定して溶融混練しペレットを得た。このペレットを上記の通り射出成形して、上記の評価を行なった。これらの評価結果を表5〜6に示す。
【0030】
【表5】
Figure 0003566065
【0031】
【表6】
Figure 0003566065
【0032】
【発明の効果】
本発明の乗員保護用エアバッグの収納カバーは、ヒケ、ソリ等の不具合が生じ難く、エアバッグ膨脹時に破壊、飛散が無く、且つ、剛性感、耐熱変形性に優れたインストルメントパネル内やフロント及びサイドピラー等に設置される乗員保護用エアバッグカバーを得ることができるので、自動車等の高速移動体の衝突事故等の際に、その衝撃や変形を感知し、膨脹展開するエアバッグ装置のカバー(蓋)として有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明実施例の乗員保護用エアバッグの収納カバーの斜視図である。
【図2】図2は、図1の本発明の乗員保護用エアバッグの収納カバーを取り付けたインストルメントパネルの斜視図である。
【図3】図3は、本発明の乗員保護用エアバッグの収納カバーを取り付けた図2のインストルメントパネルのA−A線断面図である。
【図4】図4は、本発明の乗員保護用エアバッグの収納カバーを取り付け、その上に表皮層と合成樹脂発泡層を形成させたインストルメントパネルの断面構造図である。
【図5】図5は、カバー本体部の裏面側にヒンジ部及び固定部材への取付部を分岐した従来の乗員保護用エアバッグの収納カバーの斜視図である。
【図6】図6は、ヒンジ部を薄肉化した図5の従来の乗員保護用エアバッグの収納カバーの斜視図である。
【図7】図7は、図6のヒンジ部を薄肉化した従来の乗員保護用エアバッグの収納カバーを取り付けたインストルメントパネルの断面構造図である。
【符号の説明】
1 エアバッグの収納カバー(ヒンジ部同一面上)
1a カバー本体部(展開部)
1b ヒンジ部
1c 取付部
1d 爪係り止め部
2 インストルメントパネル
2a インストルメントパネルの取付部
3 エアバッグ
4 インフレーター
5 エアバッグ・モジュールケース
5a モジュールケースの固定補助部材
6 レインフォースメント
7 軟質ポリ塩化ビニール層(表皮層)
8 ポリウレタン発泡層(合成樹脂発泡層)
9 分岐部
10 エアバッグの収納カバー(分岐ヒンジ部有り)
11 エアバッグの収納カバー(薄肉化分岐ヒンジ部有り)
12 ヒンジ薄肉部

Claims (1)

  1. 下記成分(A)及び成分(B)からなり、その合計が100重量%となるように配合されて、その物性値が曲げ弾性率(JIS−K7203)が550MPa以上、アイゾット衝撃強さ(JIS−K7110、−35℃)が30KJ/m以上である熱可塑性エラストマー組成物を射出成形してなるエアバッグの収納カバーの形状が、カバー本体部と該カバー本体部を固定部材へ固定するための取付部と該取付部の近傍に配設したヒンジ部とから構成されており、これら各部が同一面上に形成されていることを特徴とするエアバッグの収納カバー。
    成分(A): メルトフローレート(JIS−K6758、230℃、2.1
    6kg荷重)が15g/10分以下、エチレン含量8重量%以下で、プロピレン
    単独共重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が0.980以上であるプ
    ロピレン・エチレンブロック共重合体 55〜75重量%
    成分(B): メルトフローレート(JIS−K6758、230℃、2.1
    6kg荷重)が3g/10分以下であるエチレン・プロピレン・非共役ジエン共
    重合体ゴム 25〜45重量%
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