JP2004292379A - 貼付剤 - Google Patents

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Takashi Furusawa
高志 古澤
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Abstract

【課題】基剤層の粘着性を高水準で維持しつつ、基剤を構成するエラストマーなどの他の成分と薬効成分との相溶性に優れた貼付剤を比較的低コストで提供すること。
【解決手段】支持体上に、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤、及び薬効成分を含有する基剤層が形成された貼付剤である。該基剤層は、相溶化剤として酢酸ビニル樹脂を含有する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持体上に薬効成分を含有する基剤層が形成され、皮膚に直接貼付することができる貼付剤に関し、さらに詳しくは、基剤層の粘着性を高水準で維持しつつ、基剤を構成するエラストマーなどの他の成分と薬効成分との相溶性に優れた貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
皮膚に直接貼付して薬効成分を投与する貼付剤として、支持体上に、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤、及び薬効成分を含有する基剤層が形成された貼付剤が古くから知られている。軟化剤には、流動パラフィンなどの典型的な軟化剤の他、二塩基酸エステルなどの可塑剤も含まれる。
【0003】
例えば、基剤成分としてA−B−A型熱可塑性ゴム弾性体、油脂または高級脂肪酸、粘着付与樹脂を必須成分とし、該基剤成分に薬効成分を配合してなる貼付薬が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。油脂または高級脂肪酸は、弾性ブロックBの溶剤として作用し、ひいては軟化剤として作用する。特許文献1には、粘着付与樹脂として、ロジン、脱水素ロジン、脱水素ロジンのグリセリンエステル、ガムロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステル、水添ロジンのペンタエリトリットロジン、水添ロジンのメチルエステル、重合ロジン、重合ロジンのグリセリンエステル、クマロンインデン樹脂、水添石油樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂などが記載されている。
【0004】
また、消炎鎮痛剤のエトフェナマートを含有する粘着剤を支持体上に展延してなる貼付薬であって、粘着剤が、必須成分としてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、粘着付与樹脂、流動パラフィン、液状ゴム、及び酸化防止剤を含有することを特徴とする貼付薬が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
これらの貼付剤は、皮膚患部などに直接貼付して薬効成分を持続的に経皮吸収させることができるため、薬効成分として、消炎鎮痛剤、血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、皮膚刺激剤などを用いた各種貼付剤が市販されている。
【0006】
しかし、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤、及び薬効成分を含有する基剤成分の相溶性と粘着性を高度にバランスさせることは、実際には困難な課題であった。基剤成分のうち、エラストマー、粘着付与剤、及び軟化剤は、一般に粘着剤に配合される原料の中から比較的極性が低いものが選ばれている。そのため、これら3成分間の相溶性は、良好であることが多く、安定な配合物を比較的容易に得ることができる。
【0007】
これに対して、薬効成分となる薬剤は、極性の低いものから極性の高いものまで様々であるが、特に分子中に高い極性を示す極性基を有する薬剤は、比較的極性が低い前記3成分との間の相溶性が乏しい。そのため、極性の高い薬剤を含有する基剤層は、不安定となり易く、薬効成分である薬剤が基剤層からブリードアウトを起こすことがある。
【0008】
極性の高い薬剤を配合した基剤層を安定化させるための手法として、極性基を有する粘着付与剤を使用する方法や、フタル酸エステルやポリエチレングリコールなど極性基を有する可塑剤を軟化剤成分として使用する方法が知られている。例えば、特許文献1には、粘着付与剤として水添ロジンエステルや水添ロジングリセリンエステルなどの極性基を有する粘着付与樹脂を用いた実施例が開示されている。
【0009】
しかし、ロジン系樹脂や極性基を導入した変成石油系樹脂などの極性基を有する粘着付与樹脂は、かなり高い配合割合で使用しないと、極性の高い薬剤との相溶性を十分に改善することができない。極性基を有する粘着付与樹脂は、市販されている品種が少なく、かつ高価であり、供給の不安やコスト高などの問題がある。さらに、極性基を有する粘着付与樹脂は、その全てが極性の高い薬剤との相溶性に優れているわけではない。
【0010】
他方、フタル酸エステルやポリエチレングリコールなどの極性基を有する可塑剤は、極性の高い薬剤との相溶性に優れているものの、エラストマーや粘着付与剤との相溶性が悪く、かえって基剤全体の相溶性のバランスを崩してしまうことが多い。しかも、極性基を有する可塑剤は、エラストマーに対する溶解性が高いために、基剤層の凝集力を低下させることがある。例えば、エラストマーとしてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SIS」と略記することがある)を使用し、軟化剤としてフタル酸エステルなどの極性基を有する可塑剤を使用すると、該可塑剤がSISの疑似架橋部分であるポリスチレン相を溶解し、基剤層の凝集力を著しく低下させてしまう。その結果、基剤を構成する各成分間の相溶性は向上するものの、基剤層の粘着性が低下してしまう。
【0011】
【特許文献1】
特公昭60−34922号公報 (第1頁、実施例)
【特許文献2】
特開昭63−246327号公報 (第1頁、実施例)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、基剤層の粘着性を高水準で維持しつつ、基剤を構成するエラストマーなどの他の成分と薬効成分との相溶性に優れた貼付剤を提供することにある。また、本発明の目的は、基剤層の粘着特性を阻害することなく、比較的低コストで、基剤を構成するエラストマーなどの他の成分と薬効成分との相溶性に優れた貼付剤を提供することにある。
【0013】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、支持体上に、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤、及び薬効成分を含有する基剤層が形成された貼付剤において、該基剤層に酢酸ビニル樹脂を含有させることにより、他の成分と薬効成分との相溶性が顕著に改善され、粘着性も良好な貼付剤の得られることを見出した。薬効成分としては、極性の低い薬剤だけではなく、高い極性を示す極性基を有する薬剤を用いても、相溶性と粘着性とが共に良好な基剤層を有する貼付剤を得ることができる。
【0014】
基剤層に酢酸ビニル樹脂を含有させることにより、極性の高い薬剤との相溶性が低いエラストマー、粘着付与剤、及び軟化剤を組み合わせて用いても、これらの成分と該薬剤との相溶性に優れ、粘着性が良好な貼付剤を得ることができる。酢酸ビニル樹脂は、比較的低コストで入手することができる。そのため、本発明の貼付剤は、原料の選択範囲を広くすることができ、基剤層の設計の自由度が高まり、粘着性の制御や原料コストの面でも有利である。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、支持体上に、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤、及び薬効成分を含有する基剤層が形成された貼付剤において、該基剤層が、相溶化剤として酢酸ビニル樹脂を含有することを特徴とする貼付剤が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明で相溶化剤として使用する酢酸ビニル樹脂は、酢酸ビニルの重合体である。酢酸ビニル樹脂は、接着剤、塗料バインダ、チューインガムベース、樹脂改質剤、ポリビニルアルコール原料などの用途に使用されている樹脂材料である。従来、酢酸ビニル樹脂を貼付剤のエラストマー系基剤へ含有させることは提案されていない。
【0017】
酢酸ビニル樹脂としては、種々のグレードのものが用いられるが、基剤を構成する他の成分との混和性の観点から、重合度が100〜600の範囲内にある酢酸ビニル単独重合体が好ましい。このような酢酸ビニル樹脂は、工業的規模で大量生産されているため、比較的低コストで入手することができる。
【0018】
酢酸ビニル樹脂の配合割合は、基剤全量を基準として、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5重量%以上30重量%未満、特に好ましくは1〜25重量%の範囲内である。酢酸ビニル樹脂の配合割合が低すぎると、極性の高い薬剤と他の成分との間の相溶性を十分に向上させることが困難になる。酢酸ビニル樹脂の配合割合が高すぎると、基剤を構成するエラストマーや粘着付与剤の配合割合が低くなり、基剤層の粘着性が低下する。
【0019】
本発明で使用するエラストマーとしては、各種合成ゴム及び天然ゴムの中から選択することができる。合成ゴムとしては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴムなどが好ましい。合成ゴム及び天然ゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
貼付剤の基剤成分として使用されているエラストマーは、一般に、極性のある薬剤との間の相溶性に乏しく、特に極性の高い極性基を有する薬剤との相溶性が悪い。酢酸ビニル樹脂を配合することにより、これらのエラストマーと薬剤との相溶性が顕著に改善されることは、従来技術からは予期できないことであった。しかも、酢酸ビニル樹脂は、基剤層の凝集力を著しく低下させることがない。
【0021】
エラストマーの中でも、SISに代表されるA−B−A型のブロック共重合体は、常温で分子間にポリスチレン相の疑似架橋を形成するため、基剤層に高い凝集力を付与することができる。酢酸ビニル樹脂は、ポリスチレン相に対する溶解度が低いため、フタル酸エステルやポリエチレングリコールなどの極性基を有する可塑剤とは異なり、SISの凝集力を著しく低下させることがない。
【0022】
粘着付与剤としては、一般に、石油系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂などの粘着付与樹脂(タッキファイヤー)を用いることができる。
【0023】
石油系樹脂としては、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族−芳香族共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、及びこれらの変性物などが挙げられる。合成石油樹脂は、C5系でも、C9系でもよい。これらの石油系樹脂の中でも、脂環族系水添石油樹脂(すなわち、脂環族系飽和炭化水素樹脂)などの極性基を有しないものが好ましい。
【0024】
テルペン系樹脂としては、β−ピネン樹脂、α−ピネン樹脂、テルペン−フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂などが挙げられる。これらのテルペン系樹脂の多くは、極性基を有しない樹脂である。
【0025】
ロジン系樹脂としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどのロジン;水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジンなどの変性ロジン;ロジングリセリンエステル、水添ロジンエステル、水添ロジングリセリンエステルなどのロジンエステル;などが挙げられる。これらのロジン系樹脂は、極性基を有するものである。
【0026】
これらの粘着付与剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ロジン系樹脂や石油系樹脂の変性物などの極性基を有する粘着付与樹脂は、比較的コストが高い。本発明によれば、相溶化剤として酢酸ビニル樹脂を用いることにより、比較的コストが高い極性基を有する粘着付与樹脂を使用することなく、薬剤との相溶性を改善することができる。したがって、コストを低減する観点からは、極性基を有する粘着付与剤を使用しないか、粘着特性上使用する場合でも、その使用量を低減することが好ましい。
【0027】
本発明で使用する軟化剤は、基剤全体の粘度を下げ、濡れ特性を改善する機能を有するものであり、典型的な軟化剤の他、可塑剤も含まれる。軟化剤の具体例としては、流動パラフィンなどの石油系軟化剤;液状ポリイソプレン、ポリブテン、ポリイソブチレンなどの液状ゴム系軟化剤;フタル酸エステル、アジピン酸エステルなどの二塩基酸エステル系可塑剤;ポリエチレングリコール、クエン酸エステルなどのその他の可塑剤;などが挙げられる。
【0028】
これらの軟化剤の中でも、流動パラフィン、液状ポリイソプレン、ポリブテンなどの極性の低い軟化剤は、極性のある薬剤との相溶性に乏しいものの、エラストマーとの相溶性に優れ、かつ、その凝集力を低下させるおそれがないため、好適に使用することができる。
【0029】
特に流動パラフィンは、SISのポリイソプレン相との相溶性に優れているため、SISと流動パラフィンとの組み合わせは、基剤の構成成分として有用である。SIS及び流動パラフィンは、いずれも極性が低いために極性の高い薬剤との相溶性に乏しいが、本発明では、酢酸ビニル樹脂を配合することにより、相溶性が顕著に改善され、安定な基剤層を形成することができる。エラストマー系基剤層を有する貼付剤において、本来ならば不安定な基剤層が、酢酸ビニル樹脂の配合により安定した基剤層とすることができることは、この技術分野において画期的なことである。
【0030】
また、流動パラフィンは、エラストマーとの相溶性が特に良好であることに加えて、それ自体粘着性(タック)のない軟化剤であり、貼付剤の使用後(皮膚貼付後)に皮膚面に残った場合であっても、ベタツキを感じさせることがない。そのため、流動パラフィンは、比較的高い配合割合で使用することができる。
【0031】
薬効成分としては、通常、極性のある薬剤が用いられる。本発明では、分子中に極性が高い極性基を有する薬剤であっても、相溶性が顕著に改善され、安定な基剤層を形成することができる。分子中に極性基を有する薬剤としては、極性基として、水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、カルボン酸塩基(−COOM;M=Naなどの金属)、ハロゲン基(例えば、−Cl、−F)、アミノ基(−NH)、第二級アミノ基(>NH)、カルボニル基(=O)、ニトロ基(−NO)などを有する薬剤を挙げることができる。これらの極性基は、それぞれ単独で、あるいは2種以上が存在していてもよい。
【0032】
本発明で使用する薬剤は、特に限定されないが、例えば、消炎鎮痛剤、血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、皮膚刺激剤等が挙げられる。消炎鎮痛剤としては、例えば、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、インドメタシン、ジクロフェナックナトリウム、ケトプロフェン、ピロキシカム、フルルビプロフェン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸などが挙げられる。
【0033】
血管拡張剤としては、例えば、ニトログリセリン、硝酸イソソルビドなどが挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、例えば、マレイン酸クロルフェニラミンなどが挙げられる。局所麻酔剤としては、例えば、リドカインなどが挙げられる。皮膚刺激剤としては、例えば、メントール、カンフル、ノニル酸ワニリルアミドなどが挙げられる。
【0034】
極性のある薬剤と併用して、他の薬効成分の薬剤を配合することもできる。極性のある薬剤と併用する薬剤としては、例えば、ハッカ油、チモール、トウガラシエキス、サンシシエキスなどが挙げられる。
【0035】
本発明の貼付剤の基剤層は、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤、及び薬効成分を含有する基剤から形成され、相溶化剤として酢酸ビニル樹脂を含有する粘着剤層である。各成分の割合は、基剤全量を基準にして、エラストマーが好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%;粘着付与剤が好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%;軟化剤が好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜50重量%;薬効成分が好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜20重量%;酢酸ビニル樹脂が好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5重量%以上30重量%未満、特に好ましくは1〜25重量%;である。
【0036】
各成分が前記配合割合の範囲内にあることによって、薬効成分を含む各成分の相溶性に優れ、粘着特性も良好な基剤層を有する貼付剤を得ることができる。エラストマーの配合割合が過小であると、凝集力が低下する。粘着付与剤の配合割合が過小であると、粘着性が低下する。流動パラフィン等の軟化剤の配合割合が過小であると、基剤層が硬くなり、過大であると、粘着性が低下する。酢酸ビニル樹脂の配合割合が適度の範囲内にあることによって、粘着性と相溶性とを高度にバランスさせることができる。
【0037】
本発明の基剤層には、前記の各成分以外に、必要に応じて、充填剤、酸化防止剤、安定化剤、着色剤、経皮吸収促進剤などを適宜・適量で配合することができる。
【0038】
支持体としては、含浸紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、和紙、グラシン紙などの紙;ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム、セロハンフィルムなどのプラスチックフィルム;布、不織布などの種々の基材を使用することができる。
【0039】
本発明の貼付剤を製造する方法は、特に限定されないが、一般に、基剤を構成する各成分をトルエン、酢酸エチル、メタノールなど有機溶剤に溶解させて塗布液を調製し、この塗布液を支持体上に塗布し、乾燥する方法が好ましい。各成分を加熱溶融して、溶融物を支持体上に展延してもよい。基剤層の厚さは、通常5〜500μm、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmの範囲内である。基剤層の表面には、剥離紙、剥離シートなどのカバー材を被覆することができる。
【0040】
【実施例】
以下に実施例と比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
[実施例1]
エラストマーとしてスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、粘着付与剤として脂環族系飽和炭化水素樹脂〔荒川化学工業(株)製「アルコンP−125」〕、酢酸ビニル樹脂として重合度350の酢酸ビニル樹脂〔日本合成化学工業(株)製「ゴーセニールNZ−3」〕、軟化剤として流動パラフィン、そして、薬剤としてサリチル酸グリコールを用いて、表1に示す配合処方(各成分の割合は、重量%)により基剤成分を調製した。具体的には、基剤成分100重量部に、溶剤としてトルエン80重量部を加え、攪拌溶解することにより塗布液を調製した。該塗布液を厚さ25μmのポリエステルフィルム上に塗工した後、110℃で2分間乾燥させ、基剤層の厚さが40μmの貼付剤サンプルを得た。結果を表1に示す。
【0042】
[実施例2〜4]
配合処方を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で各貼付剤サンプルを作製した。結果を表1に示す。
【0043】
[比較例1]
表1に示す配合処方により、粘着付与剤を含有しない基剤層を有する貼付剤サンプルを作製した。結果を表1に示す。
【0044】
[比較例2]
表1に示す配合処方により、酢酸ビニル樹脂を含有しない基剤層を有する貼付剤サンプルを作製した。結果を表1に示す。
【0045】
[比較例3]
粘着付与剤として水添ロジンエステル〔荒川化学工業(株)製「KE−311」〕を用いて、表1に示す配合処方により、酢酸ビニル樹脂を含有しない基剤層を有する貼付剤サンプルを作製した。結果を表1に示す。
【0046】
[比較例4〜6]
粘着付与剤として、脂環族系飽和炭化水素樹脂〔荒川化学工業(株)製「アルコンP−125」〕と水添ロジングリセリンエステル〔荒川化学工業(株)製「エステルガムH」〕とを併用し、表1に示す配合処方により、酢酸ビニル樹脂を含有しない基剤層を有する各貼付剤サンプルを作製した。結果を表1に示す。
【0047】
[実施例5]
粘着付与剤として、脂環族系飽和炭化水素樹脂〔荒川化学工業(株)製「アルコンP−125」〕と水添ロジングリセリンエステル〔荒川化学工業(株)製「エステルガムH」〕とを併用し、表1に示す配合処方により、酢酸ビニル樹脂を含有する基剤層を有する各貼付剤サンプルを作製した。結果を表1に示す。
【0048】
<評価方法>
(1)相溶性:
各実施例と比較例で作製した各貼付剤サンプルの基剤層面を、曇りなく洗浄された平滑なガラス面に貼り合せ、数秒間の後に剥がした。その後直ちにガラス面の汚染状態を観察し、以下の基準でサリチル酸グリコールが基剤層中で相溶しているか否かを評価した。
A:ガラス面に汚染がなく、サリチル酸グリコールの相溶性が良い、
B:ガラス面に僅かな汚染があり、サリチル酸グリコールの相溶性がやや悪い、
C:ガラス面に汚染があり、サリチル酸グリコールの相溶性が悪い。
【0049】
(2)粘着性:
各実施例及び比較例で作製した各貼付剤サンプルの基剤層面を指で触り、以下の基準で粘着性を評価した。
A:貼付剤として好ましい粘着性がある、
B:粘着性がやや弱い、
C:粘着性が非常に弱い。
【0050】
【表1】
Figure 2004292379
【0051】
(脚注)表1中の各成分の数値は、重量%である。
【0052】
表1の結果から明らかなように、基剤層に相溶化剤として酢酸ビニル樹脂を含有させた本発明の貼付剤(実施例1〜4)は、極性基を有する薬剤であるサリチル酸グリコールの相溶性に優れ、粘着性も実用上問題がなく良好である。
【0053】
これに対して、基剤層に相溶化剤として酢酸ビニル樹脂を含有させても、粘着付与剤を含有させない場合(比較例1)には、相溶性は改善されているものの、粘着性が劣悪である。基剤層に酢酸ビニル樹脂を含有させない場合(比較例2)には、基剤層中でのサリチル酸グリコールの相溶性が非常に悪く、基剤層表面へのブリードアウトが確認された。
【0054】
基剤層に、粘着付与剤として極性基を有する水添ロジンエステルを含有させた場合(比較例3)、その配合割合が比較的高いにもかかわらず、サリチル酸グリコールの相溶性を改善することはできなかった。
【0055】
基剤層に、粘着付与剤として脂環族系飽和炭化水素樹脂と水添ロジングリセリンエステル(極性基を有する粘着付与剤)とを併用して含有させた場合(比較例4〜6)にも、水添ロジングリセリンエステルの配合割合が低いためか、サリチル酸グリコールの相溶性を改善することはできなかった。
【0056】
これに対して、基剤層に、粘着付与剤として脂環族系飽和炭化水素樹脂と水添ロジングリセリンエステル(極性基を有する粘着付与剤)とを含有させ、さらに相溶化剤として酢酸ビニル樹脂を0.5重量%の割合で含有させた場合(実施例5)には、サリチル酸グリコールの相溶性が改善され、粘着性も優れている。
【0057】
[実施例6]
薬剤としてインドメタシンを使用し、表2に示す配合処方(各成分の割合は、重量%)により基剤成分を調製した。具体的には、基剤成分100重量部に、溶剤としてトルエン/酢酸エチル/メタノールの60/15/55(重量比)混合溶剤を130重量部加えて攪拌溶解し、塗布液を調製した。該塗布液を厚さ25μmのポリエステルフィルム上に塗工し、ヘアードライヤーで3分間乾燥後、さらに165℃のオーブンで3分間加熱し、基剤層中に分散させたインドメタシンを溶融させて、基剤層の厚さ30μmの貼付剤サンプルを得た。結果を表2に示す。
【0058】
[比較例7]
表2に示す配合処方により、実施例6と同様にして、基剤層中に酢酸ビニル樹脂を含有させていない貼付剤サンプルを作製した。結果を表2に示す。
【0059】
<評価方法>
(1)基剤層の状態(相溶性の有無の確認):
乾燥溶融後の基剤層の状態を目視にて観察し、色調と透明性の程度を確認し、相溶性の指標とした。
【0060】
(2)インドメタシンの結晶融点ピーク:
乾燥溶融後の基剤層について、インドメタシンの結晶が析出しているか否かを確認するため、走査示唆熱量計(DSC)により結晶融点の有無を調べた。
【0061】
(3)粘着性:
前記と同じ方法により、基剤層の粘着性を評価した。
【0062】
【表2】
Figure 2004292379
【0063】
(脚注)表1中の各成分の数値は、重量%である。
【0064】
表2の結果から明らかなように、相溶化剤として酢酸ビニル樹脂を配合した基剤層を有する貼付剤(実施例6)は、基剤層が淡黄色を呈しているものの透明であり、しかもDSC測定によりインドメタシンに起因する結晶融点のピークが観察されなかったので、基剤層中でのインドメタシンの相溶性が優れていることが分かる。
【0065】
これに対して、基剤層中に酢酸ビニル樹脂を含有させなかった場合(比較例7)には、基剤層が淡黄白色の不透明であり、しかもDSC測定により、インドメタシンに起因する結晶融解ピークが117℃付近と159℃付近に確認され、インドメタシンが再結晶していることが分かった。したがって、この貼付剤では、基剤層中にインドメタシンが相溶化していないことが確認された。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、支持体上に、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤、及び薬効成分を含有する基剤層が形成された貼付剤であって、基剤層の粘着性を高水準で維持しつつ、基剤を構成するエラストマーなどの他の成分と薬効成分との相溶性に優れた貼付剤を比較的低コストで提供することができる。
【0067】
本発明によれば、極性が高く、エラストマーなどの他の成分との相溶性が悪い薬剤であっても、相溶性と粘着性とのバランスに優れた基剤層を有する貼付剤が提供される。相溶化剤として酢酸ビニル樹脂を使用すると、インドメタシンのように常温で結晶性の薬剤であっても、高度の相溶性を達成することができる。

Claims (10)

  1. 支持体上に、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤、及び薬効成分を含有する基剤層が形成された貼付剤において、該基剤層が、相溶化剤として酢酸ビニル樹脂を含有することを特徴とする貼付剤。
  2. 酢酸ビニル樹脂が、重合度100〜600の酢酸ビニル単独重合体である請求項1記載の貼付剤。
  3. 酢酸ビニル樹脂を、基剤全量を基準にして、0.1〜30重量%の割合で含有する請求項1または2記載の貼付剤。
  4. 薬効成分が、分子中に極性基を有する薬剤である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の貼付剤。
  5. 分子中に極性基を有する薬剤が、極性基として、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸塩基(−COOM;M=金属)、ハロゲン基、アミノ基、第二級アミノ基(>NH)、カルボニル基、及びニトロ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性基を有する薬剤である請求項4記載の貼付剤。
  6. 分子中に極性基を有する薬剤が、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル,インドメタシン、ジクロフェナックナトリウム、ケトプロフェン、ピロキシカム、フルルビプロフェン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、マレイン酸クロルフェニラミン、リドカイン、メントール、カンフル、及びノニル酸ワニリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の薬剤である請求項4または5記載の貼付剤。
  7. エラストマーが、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、及びブチルゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種のエラストマーである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の貼付剤。
  8. 粘着付与剤が、脂環族系飽和炭化水素樹脂である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の貼付剤。
  9. 軟化剤が、流動パラフィンである請求項1乃至8のいずれか1項に記載の貼付剤。
  10. 基剤層が、基剤全量を基準にして、エラストマーを10〜50重量%、粘着付与樹脂を10〜50重量%、軟化剤を10〜60重量%、薬効成分を0.1〜30重量%、及び酢酸ビニル樹脂を0.1〜30重量%の各割合で含有するものである請求項1乃至9のいずれか1項に記載の貼付剤。
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