JP2004290847A - 浄水器用カートリッジおよび浄水器 - Google Patents
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Abstract
【課題】遊離塩素を分解する性能が高く、かつ抗菌性能を有する金属イオンの溶出により、浄水器内部に溜まった水での細菌増殖を抑制することができる浄水器用カ−トリッジを提供する。
【解決手段】略円柱型の浄水器用カ−トリッジにおいて、除塩素ろ材と、抗菌性能を有する金属イオンを溶出する抗菌イオン溶出部材とを、軸方向に順に配設する。
【選択図】 図1
【解決手段】略円柱型の浄水器用カ−トリッジにおいて、除塩素ろ材と、抗菌性能を有する金属イオンを溶出する抗菌イオン溶出部材とを、軸方向に順に配設する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道蛇口や水道管に接続して水道水の浄化を行う浄水器用のカ−トリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水道蛇口や水道管に接続して水道水を浄化する浄水器のカ−トリッジとしては、水中に含まれる遊離塩素を分解するろ材や水中に含まれる細菌類を除去する中空糸膜を充填したものが多く知られている。これらのろ材を通過させることにより水道水は浄化されるが、その能力には限りがあるため、使用者は必要に応じて新しいカ−トリッジに交換する。
【0003】
水道水に含まれる遊離塩素を分解するろ材としては、特許文献1に記載されているような粒状活性炭や、特許文献2に記載されているような繊維状活性炭の成形体などがある。粒状活性炭あるいは繊維状活性炭で遊離塩素を分解した浄水は、カルキ臭が無く飲用に適しているが、長期間の放置などによって空気中の細菌が侵入すると、水道水に比べて細菌が増殖しやすい。浄水器内部の水についても同様で、浄水出口に細菌が付着すると、カートリッジの出口から浄水器の浄水出口までの間に溜まった浄水中で細菌が増殖する可能性がある。
【0004】
この対策として、特許文献3には、銀を添着させた活性炭を用いて、浄水中に銀イオンを溶出させる方法が記載されており、これによれば、溶出された銀イオンにより、浄水器内部に溜まった水での細菌増殖を抑制することができる。
【0005】
しかしながら、活性炭として粒状活性炭を用いる場合には、粒状活性炭に銀を添着することで抗菌効果を発揮することができるものの、遊離塩素の分解という点では性能が低いものとなる。一方、抗菌効果と除塩素性能とを共に高めるためには繊維状活性炭を用いることが好ましいが、その場合、製法上の問題から繊維状活性炭に銀を添着させることが難しい。そのため、簡単の製法で、現実的に浄水器に求められる除塩素性能と抗菌性とを共に満足するためには、繊維状活性炭と抗菌性を付与した粒状活性炭とを併用する必要がある。
【0006】
そこで、まず、繊維状活性炭を成形する際に、銀を添着した粒状活性炭を混合することが考えられる。しかしながら、この場合、粒状活性炭から溶出した銀イオンが、吸着速度が速い繊維状活性炭に吸着されるためか、結局、浄水中に銀イオンが溶出されないという問題がある。
【0007】
また、特許文献4には繊維状活性炭の下流側に粒状活性炭を充填する構成が記載されており、この構成で粒状活性炭に銀を添着したものを用いれば、通水時に、粒状活性炭から溶出した銀イオンが繊維状活性炭に吸着されることはない。しかしながら、円筒形に成形された繊維状活性炭の内側に粒状活性炭および中空糸膜モジュ−ルとを配置するとカ−トリッジの外径が著しく大きくなり、一方、外径を小さくするために流路および各ろ材の原水流れ方向に関する厚みを薄くすると、原水流入口および浄水流出口に近く通水抵抗が小さい部分のろ材、すなわち特許文献4図2における上方の繊維状活性炭、粒状活性炭、中空糸膜が使われ易くなり、性能を発揮できないろ材の割合が多くなる。そして、カートリッジ外径が著しく大きくなると、浄水器用カ−トリッジをキッチンのシンクに置く据置型やシンクの下の収納部に置くアンダ−シンク型であっても、太いカ−トリッジが邪魔になる。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−47733号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平9−248557号公報
【0010】
【特許文献3】
特開平6−23265号公報
【0011】
【特許文献4】
特開平2001−170621号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上述のような問題点に鑑み、除塩素性能と、浄水器内部に溜まった水での細菌増殖抑制と、省スペース化とをバランス良く満足し、かつろ材を有効に活用することができる浄水器用カ−トリッジを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、除塩素ろ材と、抗菌性能を有する金属イオンを溶出する抗菌イオン溶出部材とを、浄水器用カ−トリッジの軸方向にこの順序で配設した浄水器用カートリッジを特徴とするものである。ここで、除塩素ろ材は、繊維状活性炭を含有する成形体であることが好ましく、抗菌イオン溶出部材は、粒状活性炭に銀および/または銅を担持させたものであることや、成形体であることが好ましい。
【0014】
そして、上記いずれかに記載の浄水器用カートリッジを装着した浄水器も好ましい態様である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図を参照しながら説明する。
【0016】
本発明の浄水器用カートリッジ1は、図1の縦断面図に示すように、略柱型の形を成しており、ハウジング2と、繊維状活性炭をバインダーによって成形した活性炭成形体部3と、活性炭成形体部3に対して浄水器用カートリッジの軸方向下流側に配設した抗菌イオン溶出部4と、これら活性炭成形体部3や抗菌イオン溶出部4の原水流れ方向下流側に配設した中空糸膜モジュ−ル5などから構成される。
【0017】
ハウジング2は、略円筒形のボディ11と、原水受入口12および浄水供給口13を有するフタ14と、Oリング17などのシール部材を介してボディ11に嵌合している透明窓16などから成る。フタ14はOリング15などのシール部材を介してボディ11にネジ締結されている。
【0018】
活性炭成形体部3は、筒状に成形された活性炭成形体21(除塩素ろ材)と、活性炭成形体21の内周側不織布22と、外周側不織布23と、内周側不織布22のさらに内側に配した補強材24と、活性炭成形体21の軸方向端部に接着した上流側キャップ25と下流側キャップ26などから構成される。
【0019】
活性炭成形体21は、繊維状活性炭と、バインダーと、鉛吸着材とを混合して成形したものであり、繊維状活性炭にはフェノール樹脂を原料としたものなどを用い、バインダーにはポリプロピレンとポリエチレンの芯鞘構造の熱可塑性繊維などを用いることができる。鉛吸着材としては、吸着能力が高いゼオライトやチタノケイ酸塩が好ましいが、イオン交換樹脂やキレ−ト樹脂なども適宜選択できる。
【0020】
上流側キャップ25および下流側キャップ26は、流路を形成するためのもので、活性炭成形体21の軸方向端部にそれぞれ接着されている。接着剤は特に限定されないが、安全性の高いシリコ−ン系やウレタン系の接着剤が好適に用いられる。上流側キャップ25は、後述の中空糸ケ−ス43の外周面とOリング27などのシール部材を介して固定されており、下流側キャップ26は、後述の抗菌イオン溶出部4の上流側キャップ34とOリング28などのシール部材を介して連結されている。これによって、流路が形成されて、活性炭成形体21の外周側から内周側に水が流れる構成となる。径方向に流れる方式は、軸方向に流れる方式に比べて通水抵抗が小さく、十分な浄水量を確保することができる。
【0021】
補強材24は、筒状で網状の樹脂成形品であり、活性炭成形体21の外側から内側に水が通過する際に活性炭成形体21を支持して内外の圧力差によって活性炭成形体21が内径側に変形したり破損に至ることを防止するとともに流路を形成している。
【0022】
抗菌イオン溶出部4は、銀や銅など、抗菌性を有する金属イオンを溶出する金属含有成形体31と、金属含有成形体31の内周側不織布32と、外周側不織布33と、金属含有成形体31の軸方向端部に接着した上流側キャップ34と下流側キャップ35などから構成されている。抗菌イオン溶出部材を成形体とすることで、粒状物や粉状物に比べて取り扱いが容易になり、組み立ても簡単になる。
【0023】
金属含有成形体31は、銀や銅など抗菌性を有する金属を添着、担持させた粒状活性炭と、バインダとを主原料に成形したものであり、たとえば銀を1重量%添着させた粒度48〜100メッシュの活性炭などを用いることができる。粒状活性炭は比較的容易に銀や銅などを添着、担持させることができ、しかも安価である。抗菌効果を発揮し、かつ安全である範囲内(例えば米国環境保護局EPAの飲料水基準0.1mg/L以下)で銀イオンを溶出するためには、銀の添着量は粒状活性炭に対して0.1〜3重量%の範囲内にすることが望ましい。活性炭の粒度は、細かいほうが単位体積あたりの表面積が大きくなるが、製造コストを考慮すると20〜150メッシュの範囲内が望ましい。バインダーは、特に限定されないが、たとえばポリプロピレンやポリエチレンの芯鞘構造の熱可塑性繊維を用いることができる。
【0024】
上流側キャップ34および下流側キャップ35は、流路を形成するためのもので、金属含有成形体31の端部にそれぞれ接着されている。上流側キャップ34は、ボディ11の内周面とOリング36などのシール部材を介して固定されており、下流側キャップ35は、後述の中空糸ケ−ス43の外周面とOリング37などのシール部材を介して固定されている。これにより、活性炭成形体21の内周側に流出した水が、金属含有成形体31の内周側から外周側に流れ、さらに中空糸膜モジュール5に流入するように流路が形成されている。
【0025】
次に、中空糸膜モジュール5について説明する。
【0026】
中空糸膜モジュール5は、主に、中空糸膜束41と、硬化性樹脂42と、中空糸ケ−ス43などから構成される。
【0027】
中空糸ケ−ス43の内部には、複数本の中空糸膜を束ねて逆U字状に折り曲げた中空糸膜束41が収納されており、中空糸膜束41の両端部は、中空糸ケ−ス43の下部にて各中空糸間および中空糸と中空糸ケ−ス43との間に充填された硬化性樹脂42(封止剤)により封止固定(ポッティング)されている。各中空糸膜は、ポッティング部が一部切断除去されているので、末端が浄水供給口13に向かって開口している。
【0028】
中空糸膜モジュール5の中空糸ケ−ス43は、Oリング44などのシール部材を介してフタ14に嵌入立設されている。
【0029】
次に、以上のように構成された浄水器用カ−トリッジ1の作用について、浄水器用カ−トリッジ1をアンダ−シンク浄水器に装着した状態を示した図2も参照しながら説明する。
【0030】
水道蛇口51に設けられた浄水器用バルブ52を開くと、水道水が原水受入口12から浄水器用カ−トリッジ1の内部に流入する。水道水は、まず浄水器用カートリッジの軸方向に流れるとともに活性炭成形体部3に配設された活性炭成形体21の外周面から内周面に向かって径方向に流れ、繊維状活性炭によって遊離残留塩素が分解され、同時に、カビ臭の原因物質である2MIB(メチルイソボルネオール)やトリハロメタンなどが吸着される。また鉛吸着材によって鉛イオンが吸着除去される。繊維状活性炭は粒状活性炭に比べて遊離塩素を分解する性能が高く、長期間、確実に遊離塩素を分解する。
【0031】
遊離塩素が分解された水は、浄水器用カートリッジ1の軸方向に流れるとともに抗菌イオン溶出部4の金属含有成形体31の内周面から外周面に向かって径方向に流れ、銀や銅を添着した粒状活性炭から銀イオンや銅イオンが付与される。抗菌イオン溶出部4を活性炭成形体部3に対して浄水器用カ−トリッジの軸方向下流側に配置することで、浄水器用カ−トリッジ1を細く長い円柱形状にすることができ、抗菌性イオンの溶出部を活性炭成形体の内側に設ける場合に比べて、シンクの上に置く場合も、シンクの下の収納部に置く場合も比較的邪魔にならない。また、性能を十分に発揮しないろ材の割合を減らすことができる。
【0032】
続いて、安全性に問題のない範囲内で銀イオンや銅イオンが付与された水は、中空糸膜モジュール5の中空糸膜により鉄サビや細菌などが除去され、浄水として浄水供給口13から水道蛇口51に供給される。浄水は水道蛇口51の吐出口53から吐出される。
【0033】
水道蛇口51の浄水器用バルブ52を閉じると通水が停止し、浄水器用カートリッジ1の浄水供給口13から水道蛇口の吐出口53までの間に、殺菌用の遊離塩素を含まない浄水が滞留する。この状態で吐出口53に細菌が付着したとしても、抗菌イオン溶出部4から溶出した銀イオンや銅イオンにより細菌の増殖が抑制される。
【0034】
本発明は以下のように変形実施することができる。
(1)前述の実施態様では抗菌イオン溶出部に成形体を用いたが、銀や銅を添着した粒状活性炭そのものを用いてもよい。この場合、図3に示すように水が粒状活性炭61を軸方向に流れる構成にしてもよく、図4に示すように径方向に流れるように構成してもよい。
(2)前述の実施態様では、金属含有成形体の内周面から外周面に向かって水が流れる流路構成としたが、図5に示すように外周面から内周面に向かって水が流れる流路構成にしてもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明の浄水器用カートリッジは、除塩素ろ材と、抗菌性能を有する金属イオンを溶出する抗菌イオン溶出部材とを、浄水器用カ−トリッジの軸方向にこの順序で配設しているので、遊離塩素を分解でき、カルキ臭がない、おいしい浄水を提供することができる。同時に抗菌性能を有する金属イオンを適度に溶出することができるため、浄水吐出口に細菌が付着したとしても増殖を抑制することができ、また、省スペース化とろ材の有効利用を図ることができる。
【0036】
そして、除塩素ろ材を繊維状活性炭を含有する成形体とすることで、遊離塩素をより確実に分解、除去することができる。さらに、抗菌イオン溶出部材が、粒状活性炭に銀や銅を担持させたものである場合には、銀イオンや銅イオンの適度な溶出が低コストで実現できる。さらに、抗菌イオン溶出部材が成形体の場合には、取り扱いが容易であり、組み立ても簡単である。
【0037】
そして、これら浄水器用カートリッジを装着した浄水器は、カルキ臭がない、おいしい浄水を提供することができ、同時に浄水器内部に滞留した浄水での細菌の増殖を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す浄水器用カ−トリッジの縦断面図である。
【図2】図1に示す浄水器用カ−トリッジを装着した浄水器の概略斜視図である。
【図3】本発明の他の実施態様に係る浄水器用カートリッジの縦断面図である。
【図4】本発明の他の実施態様に係る浄水器用カートリッジの縦断面図である。
【図5】本発明の他の実施態様に係る浄水器用カートリッジの縦断面図である。
【符号の説明】
1 : 浄水器用カートリッジ
2 : ハウジング
3 : 活性炭成形体部
4 : 抗菌イオン溶出部
5 : 中空糸膜モジュ−ル
11 : ボディ
12 : 原水受入口
13 : 浄水供給口
14 : フタ
15 : Oリング
16 : 透明窓
17 : Oリング
21 : 活性炭成形体
22 : 内周側不織布
23 : 外周側成形体
24 : 補強材
25 : 上流側キャップ
26 : 下流側キャップ
27 : Oリング
28 : Oリング
31 : 銀含有成形体
32 : 内周側不織布
33 : 外周側不織布
34 : 上流側キャップ
35 : 下流側キャップ
36 : Oリング
37 : Oリング
41 : 中空糸膜束
42 : 硬化性樹脂
43 : 中空糸ケース
44 : Oリング
51 : 水道蛇口
52 : 浄水器用バルブ
53 : 吐出口
61 : 銀添着粒状活性炭
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道蛇口や水道管に接続して水道水の浄化を行う浄水器用のカ−トリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水道蛇口や水道管に接続して水道水を浄化する浄水器のカ−トリッジとしては、水中に含まれる遊離塩素を分解するろ材や水中に含まれる細菌類を除去する中空糸膜を充填したものが多く知られている。これらのろ材を通過させることにより水道水は浄化されるが、その能力には限りがあるため、使用者は必要に応じて新しいカ−トリッジに交換する。
【0003】
水道水に含まれる遊離塩素を分解するろ材としては、特許文献1に記載されているような粒状活性炭や、特許文献2に記載されているような繊維状活性炭の成形体などがある。粒状活性炭あるいは繊維状活性炭で遊離塩素を分解した浄水は、カルキ臭が無く飲用に適しているが、長期間の放置などによって空気中の細菌が侵入すると、水道水に比べて細菌が増殖しやすい。浄水器内部の水についても同様で、浄水出口に細菌が付着すると、カートリッジの出口から浄水器の浄水出口までの間に溜まった浄水中で細菌が増殖する可能性がある。
【0004】
この対策として、特許文献3には、銀を添着させた活性炭を用いて、浄水中に銀イオンを溶出させる方法が記載されており、これによれば、溶出された銀イオンにより、浄水器内部に溜まった水での細菌増殖を抑制することができる。
【0005】
しかしながら、活性炭として粒状活性炭を用いる場合には、粒状活性炭に銀を添着することで抗菌効果を発揮することができるものの、遊離塩素の分解という点では性能が低いものとなる。一方、抗菌効果と除塩素性能とを共に高めるためには繊維状活性炭を用いることが好ましいが、その場合、製法上の問題から繊維状活性炭に銀を添着させることが難しい。そのため、簡単の製法で、現実的に浄水器に求められる除塩素性能と抗菌性とを共に満足するためには、繊維状活性炭と抗菌性を付与した粒状活性炭とを併用する必要がある。
【0006】
そこで、まず、繊維状活性炭を成形する際に、銀を添着した粒状活性炭を混合することが考えられる。しかしながら、この場合、粒状活性炭から溶出した銀イオンが、吸着速度が速い繊維状活性炭に吸着されるためか、結局、浄水中に銀イオンが溶出されないという問題がある。
【0007】
また、特許文献4には繊維状活性炭の下流側に粒状活性炭を充填する構成が記載されており、この構成で粒状活性炭に銀を添着したものを用いれば、通水時に、粒状活性炭から溶出した銀イオンが繊維状活性炭に吸着されることはない。しかしながら、円筒形に成形された繊維状活性炭の内側に粒状活性炭および中空糸膜モジュ−ルとを配置するとカ−トリッジの外径が著しく大きくなり、一方、外径を小さくするために流路および各ろ材の原水流れ方向に関する厚みを薄くすると、原水流入口および浄水流出口に近く通水抵抗が小さい部分のろ材、すなわち特許文献4図2における上方の繊維状活性炭、粒状活性炭、中空糸膜が使われ易くなり、性能を発揮できないろ材の割合が多くなる。そして、カートリッジ外径が著しく大きくなると、浄水器用カ−トリッジをキッチンのシンクに置く据置型やシンクの下の収納部に置くアンダ−シンク型であっても、太いカ−トリッジが邪魔になる。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−47733号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平9−248557号公報
【0010】
【特許文献3】
特開平6−23265号公報
【0011】
【特許文献4】
特開平2001−170621号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上述のような問題点に鑑み、除塩素性能と、浄水器内部に溜まった水での細菌増殖抑制と、省スペース化とをバランス良く満足し、かつろ材を有効に活用することができる浄水器用カ−トリッジを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、除塩素ろ材と、抗菌性能を有する金属イオンを溶出する抗菌イオン溶出部材とを、浄水器用カ−トリッジの軸方向にこの順序で配設した浄水器用カートリッジを特徴とするものである。ここで、除塩素ろ材は、繊維状活性炭を含有する成形体であることが好ましく、抗菌イオン溶出部材は、粒状活性炭に銀および/または銅を担持させたものであることや、成形体であることが好ましい。
【0014】
そして、上記いずれかに記載の浄水器用カートリッジを装着した浄水器も好ましい態様である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図を参照しながら説明する。
【0016】
本発明の浄水器用カートリッジ1は、図1の縦断面図に示すように、略柱型の形を成しており、ハウジング2と、繊維状活性炭をバインダーによって成形した活性炭成形体部3と、活性炭成形体部3に対して浄水器用カートリッジの軸方向下流側に配設した抗菌イオン溶出部4と、これら活性炭成形体部3や抗菌イオン溶出部4の原水流れ方向下流側に配設した中空糸膜モジュ−ル5などから構成される。
【0017】
ハウジング2は、略円筒形のボディ11と、原水受入口12および浄水供給口13を有するフタ14と、Oリング17などのシール部材を介してボディ11に嵌合している透明窓16などから成る。フタ14はOリング15などのシール部材を介してボディ11にネジ締結されている。
【0018】
活性炭成形体部3は、筒状に成形された活性炭成形体21(除塩素ろ材)と、活性炭成形体21の内周側不織布22と、外周側不織布23と、内周側不織布22のさらに内側に配した補強材24と、活性炭成形体21の軸方向端部に接着した上流側キャップ25と下流側キャップ26などから構成される。
【0019】
活性炭成形体21は、繊維状活性炭と、バインダーと、鉛吸着材とを混合して成形したものであり、繊維状活性炭にはフェノール樹脂を原料としたものなどを用い、バインダーにはポリプロピレンとポリエチレンの芯鞘構造の熱可塑性繊維などを用いることができる。鉛吸着材としては、吸着能力が高いゼオライトやチタノケイ酸塩が好ましいが、イオン交換樹脂やキレ−ト樹脂なども適宜選択できる。
【0020】
上流側キャップ25および下流側キャップ26は、流路を形成するためのもので、活性炭成形体21の軸方向端部にそれぞれ接着されている。接着剤は特に限定されないが、安全性の高いシリコ−ン系やウレタン系の接着剤が好適に用いられる。上流側キャップ25は、後述の中空糸ケ−ス43の外周面とOリング27などのシール部材を介して固定されており、下流側キャップ26は、後述の抗菌イオン溶出部4の上流側キャップ34とOリング28などのシール部材を介して連結されている。これによって、流路が形成されて、活性炭成形体21の外周側から内周側に水が流れる構成となる。径方向に流れる方式は、軸方向に流れる方式に比べて通水抵抗が小さく、十分な浄水量を確保することができる。
【0021】
補強材24は、筒状で網状の樹脂成形品であり、活性炭成形体21の外側から内側に水が通過する際に活性炭成形体21を支持して内外の圧力差によって活性炭成形体21が内径側に変形したり破損に至ることを防止するとともに流路を形成している。
【0022】
抗菌イオン溶出部4は、銀や銅など、抗菌性を有する金属イオンを溶出する金属含有成形体31と、金属含有成形体31の内周側不織布32と、外周側不織布33と、金属含有成形体31の軸方向端部に接着した上流側キャップ34と下流側キャップ35などから構成されている。抗菌イオン溶出部材を成形体とすることで、粒状物や粉状物に比べて取り扱いが容易になり、組み立ても簡単になる。
【0023】
金属含有成形体31は、銀や銅など抗菌性を有する金属を添着、担持させた粒状活性炭と、バインダとを主原料に成形したものであり、たとえば銀を1重量%添着させた粒度48〜100メッシュの活性炭などを用いることができる。粒状活性炭は比較的容易に銀や銅などを添着、担持させることができ、しかも安価である。抗菌効果を発揮し、かつ安全である範囲内(例えば米国環境保護局EPAの飲料水基準0.1mg/L以下)で銀イオンを溶出するためには、銀の添着量は粒状活性炭に対して0.1〜3重量%の範囲内にすることが望ましい。活性炭の粒度は、細かいほうが単位体積あたりの表面積が大きくなるが、製造コストを考慮すると20〜150メッシュの範囲内が望ましい。バインダーは、特に限定されないが、たとえばポリプロピレンやポリエチレンの芯鞘構造の熱可塑性繊維を用いることができる。
【0024】
上流側キャップ34および下流側キャップ35は、流路を形成するためのもので、金属含有成形体31の端部にそれぞれ接着されている。上流側キャップ34は、ボディ11の内周面とOリング36などのシール部材を介して固定されており、下流側キャップ35は、後述の中空糸ケ−ス43の外周面とOリング37などのシール部材を介して固定されている。これにより、活性炭成形体21の内周側に流出した水が、金属含有成形体31の内周側から外周側に流れ、さらに中空糸膜モジュール5に流入するように流路が形成されている。
【0025】
次に、中空糸膜モジュール5について説明する。
【0026】
中空糸膜モジュール5は、主に、中空糸膜束41と、硬化性樹脂42と、中空糸ケ−ス43などから構成される。
【0027】
中空糸ケ−ス43の内部には、複数本の中空糸膜を束ねて逆U字状に折り曲げた中空糸膜束41が収納されており、中空糸膜束41の両端部は、中空糸ケ−ス43の下部にて各中空糸間および中空糸と中空糸ケ−ス43との間に充填された硬化性樹脂42(封止剤)により封止固定(ポッティング)されている。各中空糸膜は、ポッティング部が一部切断除去されているので、末端が浄水供給口13に向かって開口している。
【0028】
中空糸膜モジュール5の中空糸ケ−ス43は、Oリング44などのシール部材を介してフタ14に嵌入立設されている。
【0029】
次に、以上のように構成された浄水器用カ−トリッジ1の作用について、浄水器用カ−トリッジ1をアンダ−シンク浄水器に装着した状態を示した図2も参照しながら説明する。
【0030】
水道蛇口51に設けられた浄水器用バルブ52を開くと、水道水が原水受入口12から浄水器用カ−トリッジ1の内部に流入する。水道水は、まず浄水器用カートリッジの軸方向に流れるとともに活性炭成形体部3に配設された活性炭成形体21の外周面から内周面に向かって径方向に流れ、繊維状活性炭によって遊離残留塩素が分解され、同時に、カビ臭の原因物質である2MIB(メチルイソボルネオール)やトリハロメタンなどが吸着される。また鉛吸着材によって鉛イオンが吸着除去される。繊維状活性炭は粒状活性炭に比べて遊離塩素を分解する性能が高く、長期間、確実に遊離塩素を分解する。
【0031】
遊離塩素が分解された水は、浄水器用カートリッジ1の軸方向に流れるとともに抗菌イオン溶出部4の金属含有成形体31の内周面から外周面に向かって径方向に流れ、銀や銅を添着した粒状活性炭から銀イオンや銅イオンが付与される。抗菌イオン溶出部4を活性炭成形体部3に対して浄水器用カ−トリッジの軸方向下流側に配置することで、浄水器用カ−トリッジ1を細く長い円柱形状にすることができ、抗菌性イオンの溶出部を活性炭成形体の内側に設ける場合に比べて、シンクの上に置く場合も、シンクの下の収納部に置く場合も比較的邪魔にならない。また、性能を十分に発揮しないろ材の割合を減らすことができる。
【0032】
続いて、安全性に問題のない範囲内で銀イオンや銅イオンが付与された水は、中空糸膜モジュール5の中空糸膜により鉄サビや細菌などが除去され、浄水として浄水供給口13から水道蛇口51に供給される。浄水は水道蛇口51の吐出口53から吐出される。
【0033】
水道蛇口51の浄水器用バルブ52を閉じると通水が停止し、浄水器用カートリッジ1の浄水供給口13から水道蛇口の吐出口53までの間に、殺菌用の遊離塩素を含まない浄水が滞留する。この状態で吐出口53に細菌が付着したとしても、抗菌イオン溶出部4から溶出した銀イオンや銅イオンにより細菌の増殖が抑制される。
【0034】
本発明は以下のように変形実施することができる。
(1)前述の実施態様では抗菌イオン溶出部に成形体を用いたが、銀や銅を添着した粒状活性炭そのものを用いてもよい。この場合、図3に示すように水が粒状活性炭61を軸方向に流れる構成にしてもよく、図4に示すように径方向に流れるように構成してもよい。
(2)前述の実施態様では、金属含有成形体の内周面から外周面に向かって水が流れる流路構成としたが、図5に示すように外周面から内周面に向かって水が流れる流路構成にしてもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明の浄水器用カートリッジは、除塩素ろ材と、抗菌性能を有する金属イオンを溶出する抗菌イオン溶出部材とを、浄水器用カ−トリッジの軸方向にこの順序で配設しているので、遊離塩素を分解でき、カルキ臭がない、おいしい浄水を提供することができる。同時に抗菌性能を有する金属イオンを適度に溶出することができるため、浄水吐出口に細菌が付着したとしても増殖を抑制することができ、また、省スペース化とろ材の有効利用を図ることができる。
【0036】
そして、除塩素ろ材を繊維状活性炭を含有する成形体とすることで、遊離塩素をより確実に分解、除去することができる。さらに、抗菌イオン溶出部材が、粒状活性炭に銀や銅を担持させたものである場合には、銀イオンや銅イオンの適度な溶出が低コストで実現できる。さらに、抗菌イオン溶出部材が成形体の場合には、取り扱いが容易であり、組み立ても簡単である。
【0037】
そして、これら浄水器用カートリッジを装着した浄水器は、カルキ臭がない、おいしい浄水を提供することができ、同時に浄水器内部に滞留した浄水での細菌の増殖を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す浄水器用カ−トリッジの縦断面図である。
【図2】図1に示す浄水器用カ−トリッジを装着した浄水器の概略斜視図である。
【図3】本発明の他の実施態様に係る浄水器用カートリッジの縦断面図である。
【図4】本発明の他の実施態様に係る浄水器用カートリッジの縦断面図である。
【図5】本発明の他の実施態様に係る浄水器用カートリッジの縦断面図である。
【符号の説明】
1 : 浄水器用カートリッジ
2 : ハウジング
3 : 活性炭成形体部
4 : 抗菌イオン溶出部
5 : 中空糸膜モジュ−ル
11 : ボディ
12 : 原水受入口
13 : 浄水供給口
14 : フタ
15 : Oリング
16 : 透明窓
17 : Oリング
21 : 活性炭成形体
22 : 内周側不織布
23 : 外周側成形体
24 : 補強材
25 : 上流側キャップ
26 : 下流側キャップ
27 : Oリング
28 : Oリング
31 : 銀含有成形体
32 : 内周側不織布
33 : 外周側不織布
34 : 上流側キャップ
35 : 下流側キャップ
36 : Oリング
37 : Oリング
41 : 中空糸膜束
42 : 硬化性樹脂
43 : 中空糸ケース
44 : Oリング
51 : 水道蛇口
52 : 浄水器用バルブ
53 : 吐出口
61 : 銀添着粒状活性炭
Claims (5)
- 除塩素ろ材と、抗菌性能を有する金属イオンを溶出する抗菌イオン溶出部材とを、浄水器用カ−トリッジの軸方向にこの順序で配設したことを特徴とする浄水器用カートリッジ。
- 除塩素ろ材は、繊維状活性炭を含有する成形体である、請求項1に記載の浄水器用カートリッジ。
- 抗菌イオン溶出部材は、粒状活性炭に銀および/または銅を担持させたものである、請求項1または2に記載の浄水器用カートリッジ。
- 抗菌イオン溶出部材は成形体である、請求項1〜3のいずれかに記載の浄水器用カートリッジ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の浄水器用カートリッジを装着してなる浄水器。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003087606A JP2004290847A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 浄水器用カートリッジおよび浄水器 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003087606A JP2004290847A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 浄水器用カートリッジおよび浄水器 |
Publications (1)
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JP2004290847A true JP2004290847A (ja) | 2004-10-21 |
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ID=33401957
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2004290847A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006231147A (ja) * | 2005-02-23 | 2006-09-07 | Toray Ind Inc | 浄水器用カートリッジおよび浄水器 |
-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003087606A patent/JP2004290847A/ja active Pending
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