JP2004288979A - 絶縁膜の成膜方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温処理の絶縁膜の成膜方法を提供する。
【解決手段】成膜方法は、被処理基板Wを0℃〜120℃に設定する一方、処理空間12の内壁面をこれよりも高い温度に設定し、先駆物質を含む第1ガスと、水を含む第2ガスと、酸性またはアルカリ性の触媒を含む第3ガスとを同時に供給する。先駆物質は、Si(OR1 )4 、R2 a Si(OR3 )4−a 、及びR4 b (R5 O)3−b SiR6 c Si(OR7 )3−d R8 e からなる群から選択される。ここで、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7 、R8 の夫々はアルキル基、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、またはアルケニル基を表す。R6 は酸素原子、フェニレン基、またはCn H2n基(nは1〜5のいずれかの整数)を表す。aは1または2の整数を表す。b及びeの夫々は0〜2のいずれかの整数を表す。cは0または1の整数を表す。
【選択図】 図1
【解決手段】成膜方法は、被処理基板Wを0℃〜120℃に設定する一方、処理空間12の内壁面をこれよりも高い温度に設定し、先駆物質を含む第1ガスと、水を含む第2ガスと、酸性またはアルカリ性の触媒を含む第3ガスとを同時に供給する。先駆物質は、Si(OR1 )4 、R2 a Si(OR3 )4−a 、及びR4 b (R5 O)3−b SiR6 c Si(OR7 )3−d R8 e からなる群から選択される。ここで、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7 、R8 の夫々はアルキル基、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、またはアルケニル基を表す。R6 は酸素原子、フェニレン基、またはCn H2n基(nは1〜5のいずれかの整数)を表す。aは1または2の整数を表す。b及びeの夫々は0〜2のいずれかの整数を表す。cは0または1の整数を表す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁膜を成膜する方法に関する。この方法は、半導体デバイスや電子機器の製造分野だけでなく、光学デバイスの製造分野など、他の分野においても利用可能である。
【0002】
【従来の技術】
CVD(Chemical Vapor Deposition)は、集積回路(IC)の製造プロセスにおいて、誘電体薄膜を堆積するために広く使われている。SiO2 薄膜の堆積のため、通常の方法では、比較的低温度(400−500℃)で、SiH4 をO2 と反応させる。この方法の主な欠点は、特にアスペクト比が1を超えるような場合にステップカバレッジが悪いことである。
【0003】
この問題を解決するために、SiH4 の代わりに、TEOS(テトラエチルオルソシリケート:tetraethylorthosilicate:Si(OC2 H5 )4 )が使用されている。TEOSは、より良いステップカバレッジ能力を有するが、その反応性が低いため、SiH4 より高い温度で使用されなければならない。典型的な方法では、TEOSとO2 との反応は約700℃で行われる。
【0004】
TEOSの反応性を増大させるために他の方法も提案されている。その1つは、O2 の代わりにオゾン(O3 )を使用するものである。オゾンは、O2 よりも高い反応性を有し、従って、350〜500℃の範囲の温度で処理を行うことができる。しかし、この方法によって形成される膜は、応力及び水分吸収を示すという問題がある。
【0005】
TEOSを使用する他の方法はプラズマを利用するもので(PECVD)、これにより、より低い温度での堆積が可能となる。処理温度は300〜350℃の範囲である。この方法によるステップカバレッジは、シランプロセスよりもよいが、熱TEOSプロセスよりも劣る。
【0006】
PECVDを使用しているもう一つの方法は、SiH4 及びN2 Oを使用するものである。この方法では、ステップカバレッジが熱TEOSプロセスよりも劣るが、200〜400℃の範囲の温度で処理を行うことができる。この方法は、ステップカバレッジが重要でないときに使用される。
【0007】
更に、高密度プラズマCVD(HDPCVD)は、低温処理及び良好なステップカバレッジの両者を達成可能にする。HDPCVDでは、SiO2 薄膜の堆積のために、SiH4 及びO2 が使用され、処理温度は400℃以下である。
【0008】
特許文献1は、半導体基板上にSiO2 膜を形成する方法を開示する。この方法では、ガス状のTEOS、酢酸(CH3 COOH)、及び反応物質としての水(H2 O)が使用される。堆積は、大気圧CVD(APCVD)室、減圧CVD室(LPCVD)、またはプラズマCVD室で行われる。また、堆積中、基板は周囲温度より高い温度に加熱される(記載例では200〜350℃)。
【0009】
特許文献2は、シリカ系の膜を形成する別の方法を開示する。この方法では、先ず、5〜10℃に冷却された半導体基板上に、アルコキシシラン(alkoxysilane)、例えば、テトラキス(メトキシエトキシエトキシ)シランが堆積される。次に、堆積されたアルコキシシランが水蒸気と、酸性またはアルカリ性蒸気に晒される。このように処理されたアルコキシシランは、次に、乾燥される(最初170℃に加熱され、次に320℃に加熱される)。特許文献2によれば、これにより、非常に多孔質で低誘電率の膜を形成することが可能になるとある。
【0010】
SiO2 膜を堆積させるもう一つの方法は、SOD(Spin On Dielectric)である。この方法では、液体状のゾルゲル剤(SOD樹脂)が使用される。一般的に、SOD樹脂は下記の(a)〜(d)に示すような異なる反応物質を混ぜることにより調製される。
【0011】
(a)二酸化ケイ素の先駆物質として役立つアルコキシシラン、
(b)溶媒として役立つアルコールまたはケトン、
(c)触媒として役立つ酸またはアルカリ、
(d)水。
【0012】
SOD樹脂は、基板上に供給された後、スピナー装置を使用して、基板上で一様に引き伸ばされる。次に、コーティング膜が約400〜450℃でベーキングされ、SiO2 膜が形成される。SODの主な利点は、膜の表面の平坦性が良好であるということである。
【0013】
しかし、SODはまた、大部分のSOD材料に共通のいくつかの問題点を有する。先ず、SODは、原料の消費量が大きい。例えば、200mmサイズの基板上に誘電体薄膜を堆積するために約5cm3 のSOD樹脂が消費されるが、実際の膜の堆積に使用される樹脂は約0.1cm3 である。このようなSOD樹脂の高消費量は生産コストを大幅に増大させる。更に、堆積のために使用される大量の溶媒は、溶媒の蒸発の後に、堆積膜内に濃縮された状態で不純物を残す。このため、極めて純粋な溶媒を使用することが必要となり、これが更なるコスト増に繋がる。
【0014】
【特許文献1】
米国特許第5,360,646号明細書
【0015】
【特許文献2】
米国特許第6,022,812号明細書
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、一般的にCVD法では、プラズマを使用する及び/または基板を高温に加熱することが必要となる。これらの処理は、今迄は受け入れられていた。しかしながら、プラズマや加熱は最近開発された新規なプロセスや材料に対して悪影響を及ぼす可能性があるため、最近の技術開発ではいわゆるソフトなプロセスの出現が期待されている。
【0017】
HDPCVDの場合も、新規なプロセスで作られる集積回路に損害を与える可能性のあるプラズマを使用するという問題がある。SODの場合は、原料の大量消費及び薄膜中の溶媒からの不純物の濃縮が、SiO2 薄膜の堆積のアプリケーションを制限することとなる。
【0018】
本発明はかかる観点に基づいてなされたものであり、プラズマを使用することも基板を高温に加熱することも必要のない絶縁膜の成膜方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の視点は、絶縁膜の成膜方法であって、
処理空間内に被処理基板を収納し、前記被処理基板を0℃〜120℃の処理温度に設定する一方、前記処理空間を規定する内壁面を前記処理温度よりも高い壁面温度に設定する工程と、
前記被処理基板及び前記内壁面を夫々前記処理温度及び前記壁面温度に設定した状態において、前記処理空間内に先駆物質を含む第1ガスと、水を含む第2ガスと、酸性またはアルカリ性の触媒を含む第3ガスとを同時に供給し、前記触媒による触媒作用下で前記先駆物質と前記水とを反応させながら前記被処理基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記先駆物質は、
Si(OR1 )4 、
R2 a Si(OR3 )4−a 、
及びR4 b (R5 O)3−b SiR6 c Si(OR7 )3−d R8 e
からなる群から選択され、ここで、
前記R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7、R8 の夫々はアルキル基、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、またはアルケニル基を表し、
前記R6 は酸素原子、フェニレン基、またはCn H2n基(nは1〜5のいずれかの整数)を表し、
前記aは1または2の整数を表し、
前記b及びeの夫々は0〜2のいずれかの整数を表し、
前記cは0または1の整数を表すことと、
を具備することを特徴とする。
【0020】
本発明の第2の視点は、第1の視点の方法において、前記触媒は酸性であることを特徴とする。
【0021】
本発明の第3の視点は、第1の視点の方法において、前記触媒はハロゲン化水素、カルボン酸、硝酸、硫酸、ハロゲン単体分子、アンモニアからなる群から選択されることを特徴とする。
【0022】
本発明の第4の視点は、第1乃至第3の視点のいずれかの方法において、前記絶縁膜を形成する工程において、前記処理空間内の処理圧力は0.1Torr〜760Torrであることを特徴とする。
【0023】
本発明の第5の視点は、第1乃至第4の視点のいずれかの方法において、前記先駆物質に対する前記水の供給比は0.1〜100であり、前記第1及び第2ガスの全体に対する前記先駆物質及び前記水の合計の供給比は0.001〜0.5であることを特徴とする。
【0024】
本発明の第6の視点は、絶縁膜の成膜方法であって、
処理空間内に被処理基板を収納し、前記被処理基板を0℃〜120℃の処理温度に設定する一方、前記処理空間を規定する内壁面を前記処理温度よりも高い壁面温度に設定する工程と、
前記被処理基板及び前記内壁面を夫々前記処理温度及び前記壁面温度に設定した状態において、前記処理空間内に先駆物質を含む第1ガスと水を含む第2ガスとを同時に供給し、前記先駆物質または前記先駆物質及び前記水に由来する触媒成分による触媒作用下で前記先駆物質と前記水とを反応させながら前記被処理基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記先駆物質は、
Si(OR1 )4 、
R2 a Si(OR3 )4−a 、
及びR4 b (R5 O)3−b SiR6 c Si(OR7 )3−d R8 e
からなる群から選択され、ここで、
前記R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7、R8 の夫々はアシル基またはアシルオキシ基を表し、
前記R6 は酸素原子、フェニレン基、またはCn H2n基(nは1〜5のいずれかの整数)を表し、
前記aは1または2の整数を表し、
前記b及びeの夫々は0〜2のいずれかの整数を表し、
前記cは0または1の整数を表すことと、
を具備することを特徴とする。
【0025】
本発明の第7の視点は、第6の視点の方法において、前記絶縁膜を形成する工程において、前記処理空間内の処理圧力は0.1Torr〜760Torrであることを特徴とする。
【0026】
本発明の第8の視点は、第6または第7の視点の方法において、前記先駆物質に対する前記水の供給比は0.1〜100であり、前記第1及び第2ガスの全体に対する前記先駆物質及び前記水の合計の供給比は0.001〜0.5であることを特徴とする。
【0027】
本発明の第9の視点は、第1乃至第8の視点のいずれかの方法において、前記処理温度と前記壁面温度との温度差は5℃以上であることを特徴とする。
【0028】
本発明の第10の視点は、第1乃至第9の視点のいずれかの方法において、前記第1ガスはキャリアガスとして不活性ガスを含み、前記第1ガスは前記不活性ガスにより前記先駆物質をバブリングすることにより形成されることを特徴とする。
【0029】
更に、本発明の実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る絶縁膜の枚葉式成膜装置を示す概略図である。成膜装置10は、被処理基板(半導体ウエハW)を収納し且つ処理するための処理空間を規定する気密な処理室12を具備する。処理室12はステンレス鋼或いは表面がアルマイト処理されたアルミニウムのケーシングからなる。処理室12の周囲には、処理室12の壁面を所定の温度に設定するため、ヒータとクーラとを組み合わせた温度調整器14が配設される。処理室12内には、ウエハWを載置するための載置台(支持部材)16が配設される。載置台16内には、ウエハWを所定の温度に設定するため、ヒータとクーラとを組み合わせた温度調整器18が内蔵される。
【0031】
処理室12の下部には、内部を排気すると共に真空に設定するための排気ポンプ22が接続される。排気ポンプ22の下流側は、除害装置24を介して工場の排気系に接続される。処理室12内の上部には、処理ガスを供給するためのシャワーヘッド32が配設される。シャワーヘッド32は、夫々ライン33、35、37を介して、先駆物質を含む第1ガスの第1ソース34、水を含む第2ガスの第2ソース36、及び触媒を含む第3ガスの第3ソース38に接続される。第1、第2、及び第3ガスは別々のルートでシャワーヘッド32から吐出され、処理室12内で混合される(いわゆるポストミックス)。
【0032】
第1ソース34は先駆物質を収納するコンテナ42を有する。コンテナ42にはヒータ44が付設されると共に不活性ガスとして窒素(N2 )を供給するライン46が接続される。コンテナ42内の先駆物質は、ヒータ44により加熱されると共にライン46から供給される窒素によりバブリングされることにより、選択的に気化される。第2ソース36は水を収納するコンテナ52を有する。コンテナ52にはヒータ54が付設されると共に不活性ガスとして窒素(N2 )を供給するライン56が接続される。コンテナ52内の水は、ヒータ54により加熱されると共にライン56から供給される窒素によりバブリングされることにより、選択的に気化される。第3ソース38は、酸性またはアルカリ性の触媒ガス、例えばHClのガスボンベを有する。なお、図1において、MFCはマスフローコントローラ、BCVは背圧制御弁、PCVは圧力制御弁、CCVは処理室圧力制御弁を示す。
【0033】
次に、図1図示の成膜装置10を使用して行う本発明の第1の実施の形態に係る絶縁膜の枚葉式成膜方法を説明する。第1の実施の形態に係る方法では、先駆物質として、下記の(1)、(2)、(3)の3つの一般式のいずれかで表される物質の中から選択したものを使用する。
【0034】
(1)Si(OR1 )4
(2)R2 a Si(OR3 )4−a
(3)R4 b (R5 O)3−b SiR6 c Si(OR7 )3−d R8 e
ここで、
前記R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7、R8 の夫々はアルキル基、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、またはアルケニル基を表し、
前記R6 は酸素原子、フェニレン基、またはCn H2n基(nは1〜5のいずれかの整数)を表し、
前記aは1または2の整数を表し、
前記b及びeの夫々は0〜2のいずれかの整数を表し、
前記cは0または1の整数を表す。
【0035】
この成膜方法において、先ず、処理室12内に半導体ウエハWを搬入し、処理空間内にある載置台16上に載置する。次に、処理室12内を気密状態にした後、排気ポンプ22により処理室12内を所定の圧力に設定する。また、温度調整器18によりウエハWを所定の処理温度に設定する一方、温度調整器14により処理空間を規定する処理室12の内壁面を処理温度よりも高い壁面温度に設定する。
【0036】
このように、ウエハW及び処理室12の内壁面を夫々処理温度及び壁面温度に設定した状態において、処理室12内の排気を継続しながら、処理室12内に先駆物質を含む第1ガスと、水を含む第2ガスと、触媒を含む第3ガスとを、夫々ライン33、35、37を介して同時に供給する。これにより、第3ガス中の触媒による触媒作用下で先駆物質と水とを反応させながらウエハW上に絶縁膜を堆積させる。この際のウエハW上における反応は次の通りである(触媒作用下)。
【0037】
Si−OR + H2 O → Si−OH + R−OH
Si−OH + HO−Si → Si−O−Si + H2 O
Si−OH + RO−Si → Si−O−Si + ROH
ここで、Rは前記R1 、R3 、R5 、R7のいずれかを表す。
【0038】
先駆物質を含む第1ガスの供給は、ヒータ44によりコンテナ42内を加熱すると共に、窒素を流量制御しながらコンテナ42内に供給することにより行う。これにより、コンテナ42内の先駆物質をバブリングし、キャリアガスである窒素中に先駆物質を巻き込んだ状態の第1ガスを形成する。また、水を含む第2ガスの供給は、ヒータ54によりコンテナ52内を加熱すると共に、窒素を流量制御しながらコンテナ52内に供給することにより行う。これにより、コンテナ52内の水をバブリングし、キャリアガスである窒素中に水を巻き込んだ状態で供給する。なお、第1ガス及び第2ガスの供給においてバブリング法が適さない場合は、気化器などを用いてもよい。
【0039】
このようにして、ウエハW上に絶縁膜を堆積させた後、必要に応じて、絶縁膜を更に硬化させるためのポスト加熱処理を行う。ポスト加熱処理は、温度調整器18によりウエハWを上記の処理温度よりも十分に高い温度に設定することにより行う。
【0040】
第1の実施の形態に係る方法において、上記処理温度(ウエハWの温度)は先駆物質に依存して幾分異なる。しかし、全体として、処理温度は0℃〜120℃、望ましくは10℃〜60℃と、従来のCVDに比べて遥かに低い温度にすることができる。後述するように、実験によれば、このような低温度であっても、第3ガス中の触媒の作用により、先駆物質と水とが十分な反応を行い、絶縁膜を形成することができることが確認されている。
【0041】
処理室12の内壁面の壁面温度は先駆物質の気化温度よりも高く、且つ、例えば、処理温度よりも5℃以上、望ましくは30℃以上高くなるように設定する。これにより、先駆物質が処理室12の内壁面上で凝集するのを防止すると共に、絶縁膜の堆積がウエハW上で優先的に生じるようにすることができる。
【0042】
ポスト加熱処理の条件は、ウエハW上に既に形成されている構造に対する熱影響を考慮して決定する。一例として、ウエハWを150℃で10分加熱し、続いて400℃で30分加熱する態様を採用することができる。
【0043】
処理室12内の圧力(処理空間内の処理圧力)は先駆物質に依存して幾分異なる。しかし、プラズマを使用する必要がないため、処理室12内の圧力は比較的高くすることができる。例えば、処理圧力は0.1Torr〜760Torr、望ましくは10Torr〜500Torrに設定する。
【0044】
先駆物質に対する水の供給比を表す第1の供給比や、第1及び第2ガスの全体に対する先駆物質及び水の合計の供給比を表す第2の供給比も先駆物質に依存して異なる。例えば、第1の供給比(水/先駆物質)は0.1〜100、望ましくは10〜100に設定する。第2の供給比(先駆物質及び水の合計量/第1及び第2ガスの合計量)は0.001〜0.5、望ましくは0.01〜0.2に設定する。なお、先駆物質及び水の供給量は、コンテナの加熱温度、コンテナの内部圧力、キャリアガスである窒素の流量を制御することにより調整することができる。
【0045】
上述の反応を促進するための触媒としては、ハロゲン化水素(例えばHCl)、カルボン酸、硝酸、硫酸、ハロゲン単体分子に代表される酸と、アンモニアに代表されるアルカリとからなる群とから選択した物質を使用することができる。しかし、通常HClなど酸性の物質の方が高い触媒作用を有するため、酸性の物質を触媒として使用することが望ましい。また、触媒は気化が容易な物質であることが望ましい。
【0046】
次に、図1図示の成膜装置10を使用して行う本発明の第2の実施の形態に係る絶縁膜の枚葉式成膜方法を説明する。第2の実施の形態に係る方法では、先駆物質として、下記の(4)、(5)、(6)の3つの一般式のいずれかで表される物質の中から選択したものを使用する。
【0047】
(4)Si(OR1 )4
(5)R2 a Si(OR3 )4−a
(6)R4 b (R5 O)3−b SiR6 c Si(OR7 )3−d R8 e
ここで、
前記R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7、R8 の夫々はアシル基またはアシルオキシ基を表し、
前記R6 は酸素原子、フェニレン基、またはCn H2n基(nは1〜5のいずれかの整数)を表し、
前記aは1または2の整数を表し、
前記b及びeの夫々は0〜2のいずれかの整数を表し、
前記cは0または1の整数を表す。
【0048】
第2の実施の形態に係る一般式(4)、(5)、(6)は、第1の実施の形態に係る一般式(1)、(2)、(3)と夫々同一に表現されているが、ここで、前記R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7 、R8 の夫々はアシル基またはアシルオキシ基を表す点が、第1の実施の形態と異なる。第2の実施の形態に係る方法では、第3ガス中の触媒に代え、先駆物質または先駆物質及び水に由来する触媒成分を利用するものであり、即ち、アシル基またはアシルオキシ基から得られる触媒成分により先駆物質と水との反応を促進する(自己触媒作用)。
【0049】
この成膜方法においても、先ず、処理室12内に半導体ウエハWを搬入し、処理空間内にある載置台16上に載置する。次に、処理室12内を気密状態にした後、排気ポンプ22により処理室12内を所定の圧力に設定する。また、温度調整器18によりウエハWを所定の処理温度に設定する一方、温度調整器14により処理空間を規定する処理室12の内壁面を処理温度よりも高い壁面温度に設定する。
【0050】
このように、ウエハW及び処理室12の内壁面を夫々処理温度及び壁面温度に設定した状態において、処理室12内の排気を継続しながら、処理室12内に先駆物質を含む第1ガスと水を含む第2ガスと夫々ライン33、35を介して同時に供給する。この際、触媒を含む第3ガスはライン37から供給しなくてもよい。これにより、先駆物質または先駆物質及び水に由来する触媒成分による触媒作用下で先駆物質と水とを反応させながらウエハW上に絶縁膜を堆積させる。この際のウエハW上における反応は前記の通りである。
【0051】
第2の実施の形態に係る方法においても、上記処理温度(ウエハWの温度)は先駆物質に依存して幾分異なる。しかし、全体として、処理温度は0℃〜120℃、望ましくは10℃〜60℃と、従来のCVDに比べて遥かに低い温度にすることができる。一方、処理室12の内壁面の壁面温度の条件は、第1の実施の形態と同じである。また、ポスト加熱処理の条件も、第1の実施の形態と同じである。
【0052】
処理室12内の圧力(処理空間内の処理圧力)は先駆物質に依存して幾分異なる。例えば、処理圧力は0.1Torr〜760Torr、望ましくは10Torr〜500Torrに設定する。先駆物質に対する水の供給比を表す第1の供給比や、第1及び第2ガスの全体に対する先駆物質及び水の合計の供給比を表す第2の供給比も先駆物質に依存して異なる。例えば、第1の供給比(水/先駆物質)は0.1〜100、望ましくは10〜100に設定する。第2の供給比(先駆物質及び水の合計量/第1及び第2ガスの合計量)は0.001〜0.5、望ましくは0.01〜0.2に設定する。
【0053】
[実施例1]
図1図示の成膜装置10を使用して下記の実験を行った。先駆物質としてTEOS(tetraethoxysilane:Si(OR)4 、ここでR=C2 H5 )を使用した。ウエハWとして4インチのシリコンウエハを使用した。処理室12として容量が約2リットルのものを使用した。処理温度(ウエハWの温度)は13℃とし、処理室12の内壁面の壁面温度は85℃とした。
【0054】
一方、コンテナ42内のTEOSを39℃に加熱し、コンテナ52内の水を60℃に加熱した。この状態で、両コンテナ42、52の合計で445sccmの窒素(N2 )を供給し、TEOS及び水をバブリングさせて気化させた。これにより、合計で445sccmの窒素により、分圧が4.6TorrのTEOSと、分圧が149.5Torrの水とを処理室12内に供給した。更に、これらと共に、5sccmのガス状の塩酸(HCl)と290sccmの窒素も処理室12内に供給した。これと同時に処理室12内の排気を行い、処理室12内を250Torrに維持した。
【0055】
上記のような条件で、30分間の処理を行い、ウエハW上に絶縁膜を堆積させた。堆積された膜は均一であり且つ密着性が非常に高いものであった。光学分光計(FTIR、オージェ電子分光法、及び分光光学式薄膜測定装置)による測定により、堆積された絶縁膜は、約430nmの厚さを有し且つ殆ど不純物を含んでいないSiO2 膜であることが判明した。
【0056】
[実施例2]
図1図示の成膜装置10を使用して下記の実験を行った。先駆物質としてTAMS(triacetoxymethylsilane:R−Si(OR’)3 、ここでR=CH3 及びR’=COCH3 )を使用した。ウエハWとして4インチのシリコンウエハを使用した。処理室12として容量が約2リットルのものを使用した。処理温度(ウエハWの温度)は42℃とし、処理室12の内壁面の壁面温度は120℃とした。
【0057】
一方、コンテナ42内のTAMSを87℃に加熱し、コンテナ52内の水を60℃に加熱した。この状態で、両コンテナ42、52の合計で480sccmの窒素(N2 )を供給し、TAMS及び水をバブリングさせて気化させた。これにより、合計で480sccmの窒素により、分圧が3TorrのTAMSと、分圧が149.5Torrの水とを処理室12内に供給した。更に、これらと共に、200sccmの窒素も処理室12内に供給した。これと同時に処理室12内の排気を行い、処理室12内を15Torrに維持した。なお、この場合、TAMSは水との反応によって生成する酢酸による自己触媒作用を有するため、塩酸(HCl)の供給は行わなかった。
【0058】
上記のような条件で、20分間の処理を行い、ウエハW上に絶縁膜を堆積させた。光学分光計(FTIR、オージェ電子分光法、及び分光光学式薄膜測定装置)による測定により、堆積された絶縁膜は、約400nmの厚さを有し且つ殆ど不純物を含んでいない低誘電率のMSQ(methylsilsesquioxane)膜であることが判明した。
【0059】
[実施例3]
図1図示の成膜装置10を使用して下記の実験を行った。先駆物質としてBTESE(bis(triethoxysilyl)ethane:(RO)3 Si−R’−Si(OR)3 、ここでR=C2 H5 及びR’=C2 H4 )を使用した。ウエハWとして4インチのシリコンウエハを使用した。処理室12として容量が約2リットルのものを使用した。処理温度(ウエハWの温度)は15℃とし、処理室12の内壁面の壁面温度は100℃とした。
【0060】
一方、コンテナ42内のBTESEを96℃に加熱し、コンテナ52内の水を50℃に加熱した。この状態で、両コンテナ42、52の合計で200sccmの窒素(N2 )を供給し、BTESE及び水をバブリングさせて気化させた。これにより、合計で200sccmの窒素により、分圧が0.3TorrのBTESEと、分圧が92.6Torrの水とを処理室12内に供給した。更に、これらと共に、15sccmのガス状の塩酸(HCl)も処理室12内に供給した。これと同時に処理室12内の排気を行い、処理室12内を100Torrに維持した。
【0061】
上記のような条件で、90分間の処理を行い、ウエハW上に絶縁膜を堆積させた。堆積された膜は均一であり且つ密着性が非常に高いものであった。光学分光計(FTIR、オージェ電子分光法、及び分光光学式薄膜測定装置)による測定により、堆積された絶縁膜は、約610nmの厚さを有し且つ殆ど不純物を含んでいない、CH2 基を含有する低誘電率且つ低密度のSiO2 膜であることが判明した。
【0062】
これらの実施例1、2、3に示すように、上述の本発明の第1及び第2の実施の形態に係る絶縁膜の枚葉式成膜方法によれば、プラズマを使用することも基板を高温に加熱することも必要がなく、従来のCVD法よりも遥かに低い温度で絶縁膜を堆積することができる。しかも、この方法により堆積された絶縁膜の表面は非常に平坦なものとなる。
【0063】
また、上述の本発明の第1及び第2の実施の形態に係る絶縁膜の枚葉式成膜方法によれば、SOD法に比べて、先駆物質の無駄な使用が遥かに少なくなると共に、多量の溶媒を使用する必要もない。このため、SOD法で生じていた生産コストの増大や、堆積膜中に不純物が濃縮された状態で残るような問題を解消することができる。
【0064】
なお、図1においては、本発明を半導体デバイスの製造プロセスに適用した場合について示したが、本発明は、光学デバイスの製造分野など、他の分野にも適用可能である。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、プラズマを使用することも基板を高温に加熱することも必要のない絶縁膜の成膜方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る絶縁膜の枚葉式成膜装置を示す概略図である。
【符号の説明】
10…成膜装置、12…処理室、14…温度調整器、16…載置台、18…温度調整器、22…排気ポンプ、24…除害装置、32…シャワーヘッド、34…先駆物質を含む第1ガスの第1ソース、36…水を含む第2ガスの第2ソース、38…触媒を含む第3ガスの第3ソース、42、52…コンテナ、44、54…ヒータ、46、56…窒素(N2 )ライン。
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁膜を成膜する方法に関する。この方法は、半導体デバイスや電子機器の製造分野だけでなく、光学デバイスの製造分野など、他の分野においても利用可能である。
【0002】
【従来の技術】
CVD(Chemical Vapor Deposition)は、集積回路(IC)の製造プロセスにおいて、誘電体薄膜を堆積するために広く使われている。SiO2 薄膜の堆積のため、通常の方法では、比較的低温度(400−500℃)で、SiH4 をO2 と反応させる。この方法の主な欠点は、特にアスペクト比が1を超えるような場合にステップカバレッジが悪いことである。
【0003】
この問題を解決するために、SiH4 の代わりに、TEOS(テトラエチルオルソシリケート:tetraethylorthosilicate:Si(OC2 H5 )4 )が使用されている。TEOSは、より良いステップカバレッジ能力を有するが、その反応性が低いため、SiH4 より高い温度で使用されなければならない。典型的な方法では、TEOSとO2 との反応は約700℃で行われる。
【0004】
TEOSの反応性を増大させるために他の方法も提案されている。その1つは、O2 の代わりにオゾン(O3 )を使用するものである。オゾンは、O2 よりも高い反応性を有し、従って、350〜500℃の範囲の温度で処理を行うことができる。しかし、この方法によって形成される膜は、応力及び水分吸収を示すという問題がある。
【0005】
TEOSを使用する他の方法はプラズマを利用するもので(PECVD)、これにより、より低い温度での堆積が可能となる。処理温度は300〜350℃の範囲である。この方法によるステップカバレッジは、シランプロセスよりもよいが、熱TEOSプロセスよりも劣る。
【0006】
PECVDを使用しているもう一つの方法は、SiH4 及びN2 Oを使用するものである。この方法では、ステップカバレッジが熱TEOSプロセスよりも劣るが、200〜400℃の範囲の温度で処理を行うことができる。この方法は、ステップカバレッジが重要でないときに使用される。
【0007】
更に、高密度プラズマCVD(HDPCVD)は、低温処理及び良好なステップカバレッジの両者を達成可能にする。HDPCVDでは、SiO2 薄膜の堆積のために、SiH4 及びO2 が使用され、処理温度は400℃以下である。
【0008】
特許文献1は、半導体基板上にSiO2 膜を形成する方法を開示する。この方法では、ガス状のTEOS、酢酸(CH3 COOH)、及び反応物質としての水(H2 O)が使用される。堆積は、大気圧CVD(APCVD)室、減圧CVD室(LPCVD)、またはプラズマCVD室で行われる。また、堆積中、基板は周囲温度より高い温度に加熱される(記載例では200〜350℃)。
【0009】
特許文献2は、シリカ系の膜を形成する別の方法を開示する。この方法では、先ず、5〜10℃に冷却された半導体基板上に、アルコキシシラン(alkoxysilane)、例えば、テトラキス(メトキシエトキシエトキシ)シランが堆積される。次に、堆積されたアルコキシシランが水蒸気と、酸性またはアルカリ性蒸気に晒される。このように処理されたアルコキシシランは、次に、乾燥される(最初170℃に加熱され、次に320℃に加熱される)。特許文献2によれば、これにより、非常に多孔質で低誘電率の膜を形成することが可能になるとある。
【0010】
SiO2 膜を堆積させるもう一つの方法は、SOD(Spin On Dielectric)である。この方法では、液体状のゾルゲル剤(SOD樹脂)が使用される。一般的に、SOD樹脂は下記の(a)〜(d)に示すような異なる反応物質を混ぜることにより調製される。
【0011】
(a)二酸化ケイ素の先駆物質として役立つアルコキシシラン、
(b)溶媒として役立つアルコールまたはケトン、
(c)触媒として役立つ酸またはアルカリ、
(d)水。
【0012】
SOD樹脂は、基板上に供給された後、スピナー装置を使用して、基板上で一様に引き伸ばされる。次に、コーティング膜が約400〜450℃でベーキングされ、SiO2 膜が形成される。SODの主な利点は、膜の表面の平坦性が良好であるということである。
【0013】
しかし、SODはまた、大部分のSOD材料に共通のいくつかの問題点を有する。先ず、SODは、原料の消費量が大きい。例えば、200mmサイズの基板上に誘電体薄膜を堆積するために約5cm3 のSOD樹脂が消費されるが、実際の膜の堆積に使用される樹脂は約0.1cm3 である。このようなSOD樹脂の高消費量は生産コストを大幅に増大させる。更に、堆積のために使用される大量の溶媒は、溶媒の蒸発の後に、堆積膜内に濃縮された状態で不純物を残す。このため、極めて純粋な溶媒を使用することが必要となり、これが更なるコスト増に繋がる。
【0014】
【特許文献1】
米国特許第5,360,646号明細書
【0015】
【特許文献2】
米国特許第6,022,812号明細書
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、一般的にCVD法では、プラズマを使用する及び/または基板を高温に加熱することが必要となる。これらの処理は、今迄は受け入れられていた。しかしながら、プラズマや加熱は最近開発された新規なプロセスや材料に対して悪影響を及ぼす可能性があるため、最近の技術開発ではいわゆるソフトなプロセスの出現が期待されている。
【0017】
HDPCVDの場合も、新規なプロセスで作られる集積回路に損害を与える可能性のあるプラズマを使用するという問題がある。SODの場合は、原料の大量消費及び薄膜中の溶媒からの不純物の濃縮が、SiO2 薄膜の堆積のアプリケーションを制限することとなる。
【0018】
本発明はかかる観点に基づいてなされたものであり、プラズマを使用することも基板を高温に加熱することも必要のない絶縁膜の成膜方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の視点は、絶縁膜の成膜方法であって、
処理空間内に被処理基板を収納し、前記被処理基板を0℃〜120℃の処理温度に設定する一方、前記処理空間を規定する内壁面を前記処理温度よりも高い壁面温度に設定する工程と、
前記被処理基板及び前記内壁面を夫々前記処理温度及び前記壁面温度に設定した状態において、前記処理空間内に先駆物質を含む第1ガスと、水を含む第2ガスと、酸性またはアルカリ性の触媒を含む第3ガスとを同時に供給し、前記触媒による触媒作用下で前記先駆物質と前記水とを反応させながら前記被処理基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記先駆物質は、
Si(OR1 )4 、
R2 a Si(OR3 )4−a 、
及びR4 b (R5 O)3−b SiR6 c Si(OR7 )3−d R8 e
からなる群から選択され、ここで、
前記R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7、R8 の夫々はアルキル基、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、またはアルケニル基を表し、
前記R6 は酸素原子、フェニレン基、またはCn H2n基(nは1〜5のいずれかの整数)を表し、
前記aは1または2の整数を表し、
前記b及びeの夫々は0〜2のいずれかの整数を表し、
前記cは0または1の整数を表すことと、
を具備することを特徴とする。
【0020】
本発明の第2の視点は、第1の視点の方法において、前記触媒は酸性であることを特徴とする。
【0021】
本発明の第3の視点は、第1の視点の方法において、前記触媒はハロゲン化水素、カルボン酸、硝酸、硫酸、ハロゲン単体分子、アンモニアからなる群から選択されることを特徴とする。
【0022】
本発明の第4の視点は、第1乃至第3の視点のいずれかの方法において、前記絶縁膜を形成する工程において、前記処理空間内の処理圧力は0.1Torr〜760Torrであることを特徴とする。
【0023】
本発明の第5の視点は、第1乃至第4の視点のいずれかの方法において、前記先駆物質に対する前記水の供給比は0.1〜100であり、前記第1及び第2ガスの全体に対する前記先駆物質及び前記水の合計の供給比は0.001〜0.5であることを特徴とする。
【0024】
本発明の第6の視点は、絶縁膜の成膜方法であって、
処理空間内に被処理基板を収納し、前記被処理基板を0℃〜120℃の処理温度に設定する一方、前記処理空間を規定する内壁面を前記処理温度よりも高い壁面温度に設定する工程と、
前記被処理基板及び前記内壁面を夫々前記処理温度及び前記壁面温度に設定した状態において、前記処理空間内に先駆物質を含む第1ガスと水を含む第2ガスとを同時に供給し、前記先駆物質または前記先駆物質及び前記水に由来する触媒成分による触媒作用下で前記先駆物質と前記水とを反応させながら前記被処理基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記先駆物質は、
Si(OR1 )4 、
R2 a Si(OR3 )4−a 、
及びR4 b (R5 O)3−b SiR6 c Si(OR7 )3−d R8 e
からなる群から選択され、ここで、
前記R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7、R8 の夫々はアシル基またはアシルオキシ基を表し、
前記R6 は酸素原子、フェニレン基、またはCn H2n基(nは1〜5のいずれかの整数)を表し、
前記aは1または2の整数を表し、
前記b及びeの夫々は0〜2のいずれかの整数を表し、
前記cは0または1の整数を表すことと、
を具備することを特徴とする。
【0025】
本発明の第7の視点は、第6の視点の方法において、前記絶縁膜を形成する工程において、前記処理空間内の処理圧力は0.1Torr〜760Torrであることを特徴とする。
【0026】
本発明の第8の視点は、第6または第7の視点の方法において、前記先駆物質に対する前記水の供給比は0.1〜100であり、前記第1及び第2ガスの全体に対する前記先駆物質及び前記水の合計の供給比は0.001〜0.5であることを特徴とする。
【0027】
本発明の第9の視点は、第1乃至第8の視点のいずれかの方法において、前記処理温度と前記壁面温度との温度差は5℃以上であることを特徴とする。
【0028】
本発明の第10の視点は、第1乃至第9の視点のいずれかの方法において、前記第1ガスはキャリアガスとして不活性ガスを含み、前記第1ガスは前記不活性ガスにより前記先駆物質をバブリングすることにより形成されることを特徴とする。
【0029】
更に、本発明の実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る絶縁膜の枚葉式成膜装置を示す概略図である。成膜装置10は、被処理基板(半導体ウエハW)を収納し且つ処理するための処理空間を規定する気密な処理室12を具備する。処理室12はステンレス鋼或いは表面がアルマイト処理されたアルミニウムのケーシングからなる。処理室12の周囲には、処理室12の壁面を所定の温度に設定するため、ヒータとクーラとを組み合わせた温度調整器14が配設される。処理室12内には、ウエハWを載置するための載置台(支持部材)16が配設される。載置台16内には、ウエハWを所定の温度に設定するため、ヒータとクーラとを組み合わせた温度調整器18が内蔵される。
【0031】
処理室12の下部には、内部を排気すると共に真空に設定するための排気ポンプ22が接続される。排気ポンプ22の下流側は、除害装置24を介して工場の排気系に接続される。処理室12内の上部には、処理ガスを供給するためのシャワーヘッド32が配設される。シャワーヘッド32は、夫々ライン33、35、37を介して、先駆物質を含む第1ガスの第1ソース34、水を含む第2ガスの第2ソース36、及び触媒を含む第3ガスの第3ソース38に接続される。第1、第2、及び第3ガスは別々のルートでシャワーヘッド32から吐出され、処理室12内で混合される(いわゆるポストミックス)。
【0032】
第1ソース34は先駆物質を収納するコンテナ42を有する。コンテナ42にはヒータ44が付設されると共に不活性ガスとして窒素(N2 )を供給するライン46が接続される。コンテナ42内の先駆物質は、ヒータ44により加熱されると共にライン46から供給される窒素によりバブリングされることにより、選択的に気化される。第2ソース36は水を収納するコンテナ52を有する。コンテナ52にはヒータ54が付設されると共に不活性ガスとして窒素(N2 )を供給するライン56が接続される。コンテナ52内の水は、ヒータ54により加熱されると共にライン56から供給される窒素によりバブリングされることにより、選択的に気化される。第3ソース38は、酸性またはアルカリ性の触媒ガス、例えばHClのガスボンベを有する。なお、図1において、MFCはマスフローコントローラ、BCVは背圧制御弁、PCVは圧力制御弁、CCVは処理室圧力制御弁を示す。
【0033】
次に、図1図示の成膜装置10を使用して行う本発明の第1の実施の形態に係る絶縁膜の枚葉式成膜方法を説明する。第1の実施の形態に係る方法では、先駆物質として、下記の(1)、(2)、(3)の3つの一般式のいずれかで表される物質の中から選択したものを使用する。
【0034】
(1)Si(OR1 )4
(2)R2 a Si(OR3 )4−a
(3)R4 b (R5 O)3−b SiR6 c Si(OR7 )3−d R8 e
ここで、
前記R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7、R8 の夫々はアルキル基、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、またはアルケニル基を表し、
前記R6 は酸素原子、フェニレン基、またはCn H2n基(nは1〜5のいずれかの整数)を表し、
前記aは1または2の整数を表し、
前記b及びeの夫々は0〜2のいずれかの整数を表し、
前記cは0または1の整数を表す。
【0035】
この成膜方法において、先ず、処理室12内に半導体ウエハWを搬入し、処理空間内にある載置台16上に載置する。次に、処理室12内を気密状態にした後、排気ポンプ22により処理室12内を所定の圧力に設定する。また、温度調整器18によりウエハWを所定の処理温度に設定する一方、温度調整器14により処理空間を規定する処理室12の内壁面を処理温度よりも高い壁面温度に設定する。
【0036】
このように、ウエハW及び処理室12の内壁面を夫々処理温度及び壁面温度に設定した状態において、処理室12内の排気を継続しながら、処理室12内に先駆物質を含む第1ガスと、水を含む第2ガスと、触媒を含む第3ガスとを、夫々ライン33、35、37を介して同時に供給する。これにより、第3ガス中の触媒による触媒作用下で先駆物質と水とを反応させながらウエハW上に絶縁膜を堆積させる。この際のウエハW上における反応は次の通りである(触媒作用下)。
【0037】
Si−OR + H2 O → Si−OH + R−OH
Si−OH + HO−Si → Si−O−Si + H2 O
Si−OH + RO−Si → Si−O−Si + ROH
ここで、Rは前記R1 、R3 、R5 、R7のいずれかを表す。
【0038】
先駆物質を含む第1ガスの供給は、ヒータ44によりコンテナ42内を加熱すると共に、窒素を流量制御しながらコンテナ42内に供給することにより行う。これにより、コンテナ42内の先駆物質をバブリングし、キャリアガスである窒素中に先駆物質を巻き込んだ状態の第1ガスを形成する。また、水を含む第2ガスの供給は、ヒータ54によりコンテナ52内を加熱すると共に、窒素を流量制御しながらコンテナ52内に供給することにより行う。これにより、コンテナ52内の水をバブリングし、キャリアガスである窒素中に水を巻き込んだ状態で供給する。なお、第1ガス及び第2ガスの供給においてバブリング法が適さない場合は、気化器などを用いてもよい。
【0039】
このようにして、ウエハW上に絶縁膜を堆積させた後、必要に応じて、絶縁膜を更に硬化させるためのポスト加熱処理を行う。ポスト加熱処理は、温度調整器18によりウエハWを上記の処理温度よりも十分に高い温度に設定することにより行う。
【0040】
第1の実施の形態に係る方法において、上記処理温度(ウエハWの温度)は先駆物質に依存して幾分異なる。しかし、全体として、処理温度は0℃〜120℃、望ましくは10℃〜60℃と、従来のCVDに比べて遥かに低い温度にすることができる。後述するように、実験によれば、このような低温度であっても、第3ガス中の触媒の作用により、先駆物質と水とが十分な反応を行い、絶縁膜を形成することができることが確認されている。
【0041】
処理室12の内壁面の壁面温度は先駆物質の気化温度よりも高く、且つ、例えば、処理温度よりも5℃以上、望ましくは30℃以上高くなるように設定する。これにより、先駆物質が処理室12の内壁面上で凝集するのを防止すると共に、絶縁膜の堆積がウエハW上で優先的に生じるようにすることができる。
【0042】
ポスト加熱処理の条件は、ウエハW上に既に形成されている構造に対する熱影響を考慮して決定する。一例として、ウエハWを150℃で10分加熱し、続いて400℃で30分加熱する態様を採用することができる。
【0043】
処理室12内の圧力(処理空間内の処理圧力)は先駆物質に依存して幾分異なる。しかし、プラズマを使用する必要がないため、処理室12内の圧力は比較的高くすることができる。例えば、処理圧力は0.1Torr〜760Torr、望ましくは10Torr〜500Torrに設定する。
【0044】
先駆物質に対する水の供給比を表す第1の供給比や、第1及び第2ガスの全体に対する先駆物質及び水の合計の供給比を表す第2の供給比も先駆物質に依存して異なる。例えば、第1の供給比(水/先駆物質)は0.1〜100、望ましくは10〜100に設定する。第2の供給比(先駆物質及び水の合計量/第1及び第2ガスの合計量)は0.001〜0.5、望ましくは0.01〜0.2に設定する。なお、先駆物質及び水の供給量は、コンテナの加熱温度、コンテナの内部圧力、キャリアガスである窒素の流量を制御することにより調整することができる。
【0045】
上述の反応を促進するための触媒としては、ハロゲン化水素(例えばHCl)、カルボン酸、硝酸、硫酸、ハロゲン単体分子に代表される酸と、アンモニアに代表されるアルカリとからなる群とから選択した物質を使用することができる。しかし、通常HClなど酸性の物質の方が高い触媒作用を有するため、酸性の物質を触媒として使用することが望ましい。また、触媒は気化が容易な物質であることが望ましい。
【0046】
次に、図1図示の成膜装置10を使用して行う本発明の第2の実施の形態に係る絶縁膜の枚葉式成膜方法を説明する。第2の実施の形態に係る方法では、先駆物質として、下記の(4)、(5)、(6)の3つの一般式のいずれかで表される物質の中から選択したものを使用する。
【0047】
(4)Si(OR1 )4
(5)R2 a Si(OR3 )4−a
(6)R4 b (R5 O)3−b SiR6 c Si(OR7 )3−d R8 e
ここで、
前記R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7、R8 の夫々はアシル基またはアシルオキシ基を表し、
前記R6 は酸素原子、フェニレン基、またはCn H2n基(nは1〜5のいずれかの整数)を表し、
前記aは1または2の整数を表し、
前記b及びeの夫々は0〜2のいずれかの整数を表し、
前記cは0または1の整数を表す。
【0048】
第2の実施の形態に係る一般式(4)、(5)、(6)は、第1の実施の形態に係る一般式(1)、(2)、(3)と夫々同一に表現されているが、ここで、前記R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7 、R8 の夫々はアシル基またはアシルオキシ基を表す点が、第1の実施の形態と異なる。第2の実施の形態に係る方法では、第3ガス中の触媒に代え、先駆物質または先駆物質及び水に由来する触媒成分を利用するものであり、即ち、アシル基またはアシルオキシ基から得られる触媒成分により先駆物質と水との反応を促進する(自己触媒作用)。
【0049】
この成膜方法においても、先ず、処理室12内に半導体ウエハWを搬入し、処理空間内にある載置台16上に載置する。次に、処理室12内を気密状態にした後、排気ポンプ22により処理室12内を所定の圧力に設定する。また、温度調整器18によりウエハWを所定の処理温度に設定する一方、温度調整器14により処理空間を規定する処理室12の内壁面を処理温度よりも高い壁面温度に設定する。
【0050】
このように、ウエハW及び処理室12の内壁面を夫々処理温度及び壁面温度に設定した状態において、処理室12内の排気を継続しながら、処理室12内に先駆物質を含む第1ガスと水を含む第2ガスと夫々ライン33、35を介して同時に供給する。この際、触媒を含む第3ガスはライン37から供給しなくてもよい。これにより、先駆物質または先駆物質及び水に由来する触媒成分による触媒作用下で先駆物質と水とを反応させながらウエハW上に絶縁膜を堆積させる。この際のウエハW上における反応は前記の通りである。
【0051】
第2の実施の形態に係る方法においても、上記処理温度(ウエハWの温度)は先駆物質に依存して幾分異なる。しかし、全体として、処理温度は0℃〜120℃、望ましくは10℃〜60℃と、従来のCVDに比べて遥かに低い温度にすることができる。一方、処理室12の内壁面の壁面温度の条件は、第1の実施の形態と同じである。また、ポスト加熱処理の条件も、第1の実施の形態と同じである。
【0052】
処理室12内の圧力(処理空間内の処理圧力)は先駆物質に依存して幾分異なる。例えば、処理圧力は0.1Torr〜760Torr、望ましくは10Torr〜500Torrに設定する。先駆物質に対する水の供給比を表す第1の供給比や、第1及び第2ガスの全体に対する先駆物質及び水の合計の供給比を表す第2の供給比も先駆物質に依存して異なる。例えば、第1の供給比(水/先駆物質)は0.1〜100、望ましくは10〜100に設定する。第2の供給比(先駆物質及び水の合計量/第1及び第2ガスの合計量)は0.001〜0.5、望ましくは0.01〜0.2に設定する。
【0053】
[実施例1]
図1図示の成膜装置10を使用して下記の実験を行った。先駆物質としてTEOS(tetraethoxysilane:Si(OR)4 、ここでR=C2 H5 )を使用した。ウエハWとして4インチのシリコンウエハを使用した。処理室12として容量が約2リットルのものを使用した。処理温度(ウエハWの温度)は13℃とし、処理室12の内壁面の壁面温度は85℃とした。
【0054】
一方、コンテナ42内のTEOSを39℃に加熱し、コンテナ52内の水を60℃に加熱した。この状態で、両コンテナ42、52の合計で445sccmの窒素(N2 )を供給し、TEOS及び水をバブリングさせて気化させた。これにより、合計で445sccmの窒素により、分圧が4.6TorrのTEOSと、分圧が149.5Torrの水とを処理室12内に供給した。更に、これらと共に、5sccmのガス状の塩酸(HCl)と290sccmの窒素も処理室12内に供給した。これと同時に処理室12内の排気を行い、処理室12内を250Torrに維持した。
【0055】
上記のような条件で、30分間の処理を行い、ウエハW上に絶縁膜を堆積させた。堆積された膜は均一であり且つ密着性が非常に高いものであった。光学分光計(FTIR、オージェ電子分光法、及び分光光学式薄膜測定装置)による測定により、堆積された絶縁膜は、約430nmの厚さを有し且つ殆ど不純物を含んでいないSiO2 膜であることが判明した。
【0056】
[実施例2]
図1図示の成膜装置10を使用して下記の実験を行った。先駆物質としてTAMS(triacetoxymethylsilane:R−Si(OR’)3 、ここでR=CH3 及びR’=COCH3 )を使用した。ウエハWとして4インチのシリコンウエハを使用した。処理室12として容量が約2リットルのものを使用した。処理温度(ウエハWの温度)は42℃とし、処理室12の内壁面の壁面温度は120℃とした。
【0057】
一方、コンテナ42内のTAMSを87℃に加熱し、コンテナ52内の水を60℃に加熱した。この状態で、両コンテナ42、52の合計で480sccmの窒素(N2 )を供給し、TAMS及び水をバブリングさせて気化させた。これにより、合計で480sccmの窒素により、分圧が3TorrのTAMSと、分圧が149.5Torrの水とを処理室12内に供給した。更に、これらと共に、200sccmの窒素も処理室12内に供給した。これと同時に処理室12内の排気を行い、処理室12内を15Torrに維持した。なお、この場合、TAMSは水との反応によって生成する酢酸による自己触媒作用を有するため、塩酸(HCl)の供給は行わなかった。
【0058】
上記のような条件で、20分間の処理を行い、ウエハW上に絶縁膜を堆積させた。光学分光計(FTIR、オージェ電子分光法、及び分光光学式薄膜測定装置)による測定により、堆積された絶縁膜は、約400nmの厚さを有し且つ殆ど不純物を含んでいない低誘電率のMSQ(methylsilsesquioxane)膜であることが判明した。
【0059】
[実施例3]
図1図示の成膜装置10を使用して下記の実験を行った。先駆物質としてBTESE(bis(triethoxysilyl)ethane:(RO)3 Si−R’−Si(OR)3 、ここでR=C2 H5 及びR’=C2 H4 )を使用した。ウエハWとして4インチのシリコンウエハを使用した。処理室12として容量が約2リットルのものを使用した。処理温度(ウエハWの温度)は15℃とし、処理室12の内壁面の壁面温度は100℃とした。
【0060】
一方、コンテナ42内のBTESEを96℃に加熱し、コンテナ52内の水を50℃に加熱した。この状態で、両コンテナ42、52の合計で200sccmの窒素(N2 )を供給し、BTESE及び水をバブリングさせて気化させた。これにより、合計で200sccmの窒素により、分圧が0.3TorrのBTESEと、分圧が92.6Torrの水とを処理室12内に供給した。更に、これらと共に、15sccmのガス状の塩酸(HCl)も処理室12内に供給した。これと同時に処理室12内の排気を行い、処理室12内を100Torrに維持した。
【0061】
上記のような条件で、90分間の処理を行い、ウエハW上に絶縁膜を堆積させた。堆積された膜は均一であり且つ密着性が非常に高いものであった。光学分光計(FTIR、オージェ電子分光法、及び分光光学式薄膜測定装置)による測定により、堆積された絶縁膜は、約610nmの厚さを有し且つ殆ど不純物を含んでいない、CH2 基を含有する低誘電率且つ低密度のSiO2 膜であることが判明した。
【0062】
これらの実施例1、2、3に示すように、上述の本発明の第1及び第2の実施の形態に係る絶縁膜の枚葉式成膜方法によれば、プラズマを使用することも基板を高温に加熱することも必要がなく、従来のCVD法よりも遥かに低い温度で絶縁膜を堆積することができる。しかも、この方法により堆積された絶縁膜の表面は非常に平坦なものとなる。
【0063】
また、上述の本発明の第1及び第2の実施の形態に係る絶縁膜の枚葉式成膜方法によれば、SOD法に比べて、先駆物質の無駄な使用が遥かに少なくなると共に、多量の溶媒を使用する必要もない。このため、SOD法で生じていた生産コストの増大や、堆積膜中に不純物が濃縮された状態で残るような問題を解消することができる。
【0064】
なお、図1においては、本発明を半導体デバイスの製造プロセスに適用した場合について示したが、本発明は、光学デバイスの製造分野など、他の分野にも適用可能である。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、プラズマを使用することも基板を高温に加熱することも必要のない絶縁膜の成膜方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る絶縁膜の枚葉式成膜装置を示す概略図である。
【符号の説明】
10…成膜装置、12…処理室、14…温度調整器、16…載置台、18…温度調整器、22…排気ポンプ、24…除害装置、32…シャワーヘッド、34…先駆物質を含む第1ガスの第1ソース、36…水を含む第2ガスの第2ソース、38…触媒を含む第3ガスの第3ソース、42、52…コンテナ、44、54…ヒータ、46、56…窒素(N2 )ライン。
Claims (10)
- 処理空間内に被処理基板を収納し、前記被処理基板を0℃〜120℃の処理温度に設定する一方、前記処理空間を規定する内壁面を前記処理温度よりも高い壁面温度に設定する工程と、
前記被処理基板及び前記内壁面を夫々前記処理温度及び前記壁面温度に設定した状態において、前記処理空間内に先駆物質を含む第1ガスと、水を含む第2ガスと、酸性またはアルカリ性の触媒を含む第3ガスとを同時に供給し、前記触媒による触媒作用下で前記先駆物質と前記水とを反応させながら前記被処理基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記先駆物質は、
Si(OR1 )4 、
R2 a Si(OR3 )4−a 、
及びR4 b (R5 O)3−b SiR6 c Si(OR7 )3−d R8 e
からなる群から選択され、ここで、
前記R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7、R8 の夫々はアルキル基、アリール基、アシル基、アシルオキシ基、またはアルケニル基を表し、
前記R6 は酸素原子、フェニレン基、またはCn H2n基(nは1〜5のいずれかの整数)を表し、
前記aは1または2の整数を表し、
前記b及びeの夫々は0〜2のいずれかの整数を表し、
前記cは0または1の整数を表すことと、
を具備することを特徴とする絶縁膜の成膜方法。 - 前記触媒は酸性であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜の成膜方法。
- 前記触媒はハロゲン化水素、カルボン酸、硝酸、硫酸、ハロゲン単体分子、アンモニアからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜の成膜方法。
- 前記絶縁膜を形成する工程において、前記処理空間内の処理圧力は0.1Torr〜760Torrであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の絶縁膜の成膜方法。
- 前記先駆物質に対する前記水の供給比は0.1〜100であり、前記第1及び第2ガスの全体に対する前記先駆物質及び前記水の合計の供給比は0.001〜0.5であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の絶縁膜の成膜方法。
- 処理空間内に被処理基板を収納し、前記被処理基板を0℃〜120℃の処理温度に設定する一方、前記処理空間を規定する内壁面を前記処理温度よりも高い壁面温度に設定する工程と、
前記被処理基板及び前記内壁面を夫々前記処理温度及び前記壁面温度に設定した状態において、前記処理空間内に先駆物質を含む第1ガスと水を含む第2ガスとを同時に供給し、前記先駆物質または前記先駆物質及び前記水に由来する触媒成分による触媒作用下で前記先駆物質と前記水とを反応させながら前記被処理基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記先駆物質は、
Si(OR1 )4 、
R2 a Si(OR3 )4−a 、
及びR4 b (R5 O)3−b SiR6 c Si(OR7 )3−d R8 e
からなる群から選択され、ここで、
前記R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R7、R8 の夫々はアシル基またはアシルオキシ基を表し、
前記R6 は酸素原子、フェニレン基、またはCn H2n基(nは1〜5のいずれかの整数)を表し、
前記aは1または2の整数を表し、
前記b及びeの夫々は0〜2のいずれかの整数を表し、
前記cは0または1の整数を表すことと、
を具備することを特徴とする絶縁膜の成膜方法。 - 前記絶縁膜を形成する工程において、前記処理空間内の処理圧力は0.1Torr〜760Torrであることを特徴とする請求項6に記載の絶縁膜の成膜方法。
- 前記先駆物質に対する前記水の供給比は0.1〜100であり、前記第1及び第2ガスの全体に対する前記先駆物質及び前記水の合計の供給比は0.001〜0.5であることを特徴とする請求項6または7に記載の絶縁膜の成膜方法。
- 前記処理温度と前記壁面温度との温度差は5℃以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の絶縁膜の成膜方法。
- 前記第1ガスはキャリアガスとして不活性ガスを含み、前記第1ガスは前記不活性ガスにより前記先駆物質をバブリングすることにより形成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の絶縁膜の成膜方法。
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