JP2004283258A - 放射線撮像システム - Google Patents
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Abstract
【課題】放射線により撮像される被検体の種別を正確に特定する放射線撮像システムを提供する。
【解決手段】放射線により被検体を撮像する放射線撮像システムであって、放射線を用いて被検体の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、被検体から放射された光を検出して被検体の光画像を取得する光画像取得部と、光画像取得部が取得した光画像に基づいて、放射線画像取得部が取得する被検体の種別である被検体種別を特定する被検体種別特定部と、放射線画像取得部が取得した放射線画像を、被検体種別特定部が特定した被検体種別に対応づけて格納する撮像画像格納部とを備える。
【選択図】 図３
【解決手段】放射線により被検体を撮像する放射線撮像システムであって、放射線を用いて被検体の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、被検体から放射された光を検出して被検体の光画像を取得する光画像取得部と、光画像取得部が取得した光画像に基づいて、放射線画像取得部が取得する被検体の種別である被検体種別を特定する被検体種別特定部と、放射線画像取得部が取得した放射線画像を、被検体種別特定部が特定した被検体種別に対応づけて格納する撮像画像格納部とを備える。
【選択図】 図３
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線撮像システムに関する。特に本発明は、放射線により撮像される被検体の種別を特定する放射線撮像システムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
Ｘ線等の放射線を用いて撮像された放射線画像は、医用画像として広く用いられている。従来、放射線画像は、被検体を透過した放射線を蛍光体に照射することにより生じる可視光を通常の写真と同様に銀塩フィルムに照射して現像することによって得られていた。
【０００３】
しかしながら、近年、銀塩フィルムを使用しないで、蓄積性蛍光体を用いて画像を検出する方法が開発されている（例えば、特許文献１参照。）。このような方法では、被検体を透過した放射線を蓄積性蛍光体に吸収させた後、この蓄積性蛍光体を光エネルギ又は熱エネルギで励起することによって、蓄積性蛍光体から放射線エネルギを光として放射させて、この光を光電変換して画像信号を得ている。また、多数の半導体素子を用いて、放射線画像を検出する方法も開発されている（例えば、非特許文献１参照。）。
【０００４】
上記のような方法で撮像された放射線画像は、患者の前方から放射線を照射することにより取得されたものであるか、患者の後方から放射線を照射することにより取得されたものであるか、どの部位を撮像したものか等を、放射線画像から判断することが困難な場合がある。そのため、従来の放射線撮像システムでは、医師が被検体の放射線画像を撮像したときに、撮像部位や撮像方向等を放射線画像とともに記録しておくことにより、放射線画像を診断する場合にその判断を容易にできるようにしている。
【０００５】
【特許文献１】
特開昭５５−１２４２９号公報
【非特許文献１】
「Ｐｈｙｓ．Ｍｅｄ．Ｂｉｏｌ．」、ｖｏｌ．４２、１９９７年、ｐ．１−３９
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法では、医師又は放射線技師等が撮像方向や撮像部位を間違えて放射線画像とともに記録してしまった場合に、その間違いを検出する手立てがなく、間違えて記録された撮像方向や撮像部位を参照して放射線画像が診断に利用されてしまうという問題が生じる。
【０００７】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる放射線撮像システムを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の形態によると、放射線により被検体を撮像する放射線撮像システムであって、放射線を用いて被検体の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、被検体から放射された光を検出して被検体の光画像を取得する光画像取得部と、光画像取得部が取得した光画像に基づいて、放射線画像取得部が取得する放射線画像の被検体種別（撮像部位や撮像方向等）を特定する被検体種別特定部と、放射線画像取得部が取得した放射線画像を、被検体種別特定部が特定した被検体種別に対応づけて格納する撮像画像格納部とを備える。
【０００９】
被検体種別特定部は、光画像取得部が取得した光画像に基づいて、放射線画像取得部が取得した放射線画像が被検体のどの方向から撮像されたものであるかを特定し、撮像画像格納部は、放射線画像取得部が取得した放射線画像を、被検体種別特定部が特定した方向に対応づけて格納してもよい。撮像方向とは、正面像、側面像、斜位像等や、ＡＰ／ＰＡと呼ばれる表面側からのＸ線入射、背面側からのＸ線入射等の区別も含まれる。
【００１０】
被検体種別特定部は、光画像取得部が取得した光画像に基づいて、放射線画像取得部が取得した放射線画像の被検体の部位を特定し、撮像画像格納部は、放射線画像取得部が取得した放射線画像を、被検体種別特定部が特定した部位に対応づけて格納してもよい。撮像部位とは、頭部、胸部、或いは右下肢、左下肢等の左右の区別の含まれる。
【００１１】
被検体種別毎にテンプレート画像を格納するテンプレート画像格納部さらに備え、被検体種別特定部は、光画像取得部が取得した光画像を、テンプレート画像格納部が格納するテンプレート画像と画像照合することにより被検体種別を特定してもよい。
【００１２】
光画像取得部は、放射線画像取得部が取得すべき放射線画像より広い範囲の光画像を取得してもよい。光画像取得部は、被検体の外周を含む範囲の光画像を取得してもよい。また、光画像とは、可視光又は赤外光による画像であり、必要に応じて適切な可視光又は赤外光の照明を被検体に照射してもよい。赤外光であれば撮影者に見えないので、照射野確認用の照射光を撮影者が視認するのに障害にならない。
【００１３】
被検体種別特定部が特定した被検体種別に基づいて、被検体に照射する放射線の量を調整する放射線量調整部をさらに備え、放射線画像取得部は、放射線量調整部が放射線の量を調整した後に、被検体の放射線画像を取得してもよい。
【００１４】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【００１６】
図１は、本発明の一実施形態に係る放射線撮像システム１００の概観の一例を示す。放射線撮像システム１００は、放射線１０２を発生し被検体１０４に照射する放射線源１０６と、放射線源１０６から照射された放射線１０２を用いて被検体１０４の放射線画像を放射線画像取得部１０８と、被検体１０４から放射された光を検出して被検体１０２の光画像を取得する光画像取得部１１０とを備える。放射線画像取得部１０８は、例えば撮影台である。また、放射線１０２は、Ｘ線、α線、β線、γ線等である。
【００１７】
光画像取得部１１０は、可視光を検出して画像を取得するＣＣＤカメラであってもよいし、赤外光を検出して画像を取得する赤外線カメラであってもよい。また、光画像取得部１１０は、被検体１０４に対して放射線源１０６と略同一の方向に配置されることが好ましい。なお、図１に示した放射線撮像システム１００は、１つの光画像取得部１１０を備えるが、２つ以上の光画像取得部１１０を備えてもよい。
【００１８】
放射線撮像システム１００では、光画像取得部１１０が取得した光画像に基づいて、放射線撮像による撮像方向や撮像部位を検出する。例えば、患者の前方から後方の方向に放射線１０２を放射して撮像しているか（ＡＰ）、患者の後方から前方の方向に放射線１０２を放射して撮像しているか（ＰＡ）、手の甲から手の平の方向に放射線１０２を放射して撮像しているか、手の平から手の甲の方向に放射線１０２を放射して撮像しているか、被検体１０４が右手であるか左手であるか等を検出する。そして、放射線画像取得部１０８が取得した放射線画像とともに、光画像取得部１１０が取得した光画像に基づいて検出された撮像方向や撮像部位を格納する。そのため、撮像方向や撮像部位が間違えて記録されることをなくし、適切な診断を患者に提供できる。
【００１９】
図２は、本実施形態に係る放射線画像取得部１０８の構成の一例を示す。放射線画像取得部１０８は、放射線画像取得部１０８に入射する放射線量を制御するフォトタイマ１１２と、放射線の散乱線を除去するグリッド１１４と、被検体１０４を透過した放射線をフォトタイマ１１２及びグリッド１１４を介して吸収し、放射線画像情報を記録する蓄積性蛍光体シート１１６と、蓄積性蛍光体シート１１６から放射線画像情報を読み取る読取ユニット１１８と、蓄積性蛍光体シート１１６が保持する放射線画像情報を消去する消去ユニット１２０とを備える。
【００２０】
読取ユニット１１８は、励起光を発生する励起光源１２２と、蓄積性蛍光体シート１１６に励起光を結像させる結像光学系１２４と、励起光によって蓄積性蛍光体シート１１６から放射される輝尽発光光を検出する複数のラインセンサ１２６と、複数のラインセンサ１２６のそれぞれに輝尽発光光を集光させる複数の集光光学系１２８とを有する。また、消去ユニット１２０は、消去光を発生する複数の消去光源１３０を有する。
【００２１】
蓄積性蛍光体シート１１６は、図示しない移動機構により、撮像位置Ａと読取位置Ｂとの間で矢印Ｃの方向に移動可能に設けられる。蓄積性蛍光体シート１１６は、撮像位置Ａに保持されているときに、被検体１０４を透過した放射線をフォトタイマ１１２及びグリッド１１４を介して吸収して放射線画像を記録する。
【００２２】
読取ユニット１１８及び消去ユニット１２０は、図示しない移動機構により、矢印Ｄの方向に移動可能に設けられる。読取ユニット１１８は、蓄積性蛍光体シート１１６が読取位置Ｂに保持されているときに、蓄積性蛍光体シート１１６に沿って移動しながら蓄積性蛍光体シート１１６に励起光を照射させ、蓄積性蛍光体シート１１６から放射される輝尽発光光を検出することにより放射線画像情報を読み取る。読取ユニット１１８によって蓄積性蛍光体シート１１６から読み取られた放射線画像は、デジタルデータとして記録される。また、消去ユニット１２０は、読取ユニット１１８とともに蓄積性蛍光体シート１１６に沿って移動しながら蓄積性蛍光体シート１１６に消去光を照射させ、蓄積性蛍光体シート１１６に残存する放射線エネルギを放出させることにより放射線画像情報を消去する。
【００２３】
図３は、本実施形態に係る放射線撮像システム１００の構成の一例を示す。放射線撮像システム１００は、放射線１０２を発生し被検体１０４に照射する放射線源１０６と、放射線１０２を用いて被検体１０４の放射線画像を取得する放射線画像取得部１０８と、被検体１０４から放射された光を検出して被検体１０４の光画像を取得する光画像取得部１１０と、被検体１０４の種別である被検体種別を特定する被検体種別特定部１３２と、放射線画像取得部１０８が取得した放射線画像を、被検体種別特定部１３２が特定した被検体種別に対応づけて格納する撮像画像格納部１３４と、被検体種別毎にテンプレート画像を格納するテンプレート画像格納部１３６と、放射線源１０６が被検体１０４に照射する放射線の量を調整する放射線調整部１３８とを備える。被検体種別とは、被検体１０４が撮像された方向である撮像方向、被検体１０４の部位である撮像部位等である。
【００２４】
被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像に基づいて、放射線画像取得部１０８が取得した放射線画像が被検体１０４のどの方向から撮像されたものであるかを示す撮像方向を特定する。例えば、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像に患者の顔や眼等が含まれている場合に、患者の前方から後方の方向に放射線１０２が照射されて放射線画像が取得されたと判断する。また、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像に手の爪が含まれていた場合に、手の甲から手の平の方向に放射線１０２が照射されて放射線画像が取得されたと判断する。そして、撮像画像格納部１３４は、放射線画像取得部１０８が取得した放射線画像を、被検体種別特定部１３２が特定した撮像方向に対応づけて格納する。
【００２５】
また、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像に基づいて、放射線画像取得部１０８が取得した放射線画像の被検体１０４の部位を示す撮像部位を特定する。例えば、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像に所定の大きさ以上の眼が含まれていた場合に、被検体１０４が顔や頭であると判断する。また、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像に所定の大きさ以上の爪が含まれていた場合に、被検体１０４が手や足であると判断する。そして、撮像画像格納部１３４は、放射線画像取得部１０８が取得した放射線画像を、被検体種別特定部１３２が特定した撮像部位に対応づけて格納する。
【００２６】
このように、光画像取得部１１０が取得した光画像を用いることにより、撮像方向や撮像部位を正確に特定できる。また、正確に特定された撮像方向や撮像部位を放射線画像とともに格納するので、患者に対して適切な診断を行うことができる。
【００２７】
放射線量調整部１３８は、被検体種別特定部１３２が特定した被検体種別に基づいて、放射線源１０６が被検体１０４に照射する放射線の量を調整する。具体的には、放射線量調整部１３８は、撮像方向や撮像部位に基づいて、放射線源１０６が被検体１０４に照射する放射線の量を調整する。例えば、胸部の放射線画像を取得する場合より、手の放射線画像を取得する場合の放射線量を多く調整する。また、患者が放射線１０３の照射方向を向いて立っている場合より、患者が放射線１０２の照射方向に垂直な方向を向いて立っている場合の放射線量を多く調整する。そして、放射線画像取得部１０８は、放射線量調整部１３８が放射線１０２の量を調整した後に、被検体１０４の放射線画像を取得する。
【００２８】
このように、放射線量調整部１３８が被検体１０４の奥行に応じて放射線１０２の照射時間、管電圧、管電流等を調整することによって、被検体１０４に適切な量の放射線１０２を照射できる。そのため、高画質な放射線画像を取得でき、また被検体１０４に対する必要以上の放射線１０２の曝射を抑制できる。
【００２９】
また、光画像取得部１１０は、図１に示すように、放射線画像取得部１０８が取得すべき放射線画像より広い範囲の光画像を取得することが好ましい。例えば、放射線画像取得部１０８が胸部の放射線画像を取得する場合に、光画像取得部１１０は、顔を含む光画像を取得することが好ましい。これにより、胸部の光画像では特定しにくい撮像方向を、顔の光画像を用いて特定できる。
【００３０】
また、光画像取得部１１０は、図１に示すように被検体１０４の外周を含む範囲の光画像を取得することが好ましい。例えば、放射線画像取得部１０８が腕の放射線画像を取得する場合に、光画像取得部１１０は、手を含む光画像を取得することが好ましい。これにより、腕の光画像では特定しにくい撮像部位を、手や爪の光画像を用いて特定できる。
【００３１】
図４は、本実施形態に係るテンプレート画像格納部１３６が格納するテンプレート画像の一例を示す。テンプレート画像格納部１３６は、図４（ａ）、（ｂ）、（ｃ）、及び（ｄ）に示すような左手、右手、正面顔、及び側面顔等のテンプレート画像を被写体種別毎に格納する。被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像を、テンプレート画像格納部１３６が格納するテンプレート画像と画像照合することにより被検体種別を特定してもよい。
【００３２】
具体的には、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像が、テンプレート画像格納部１３６が格納するテンプレート画像と略一致する場合に、当該テンプレート画像の被検体種別に基づいて撮像部位を判断する。また、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像の一部が、テンプレート画像格納部１３６が格納するテンプレート画像と略一致する場合に、当該テンプレート画像の被検体種別に基づいて撮像方向を判断する。例えば、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像の一部が、図４（ｃ）のテンプレート画像と略一致する場合に、患者の前方から後方の方向に放射線１０２が照射されて放射線画像が取得されたと判断する。このように、被検体種別毎のテンプレート画像を用いることにより、被検体１０４の被検体種別をより正確に特定できる。
【００３３】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【００３４】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明によれば、放射線により撮像される被検体の種別を正確に特定する放射線撮像システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】放射線撮像システム１００の概観の一例を示す図である。
【図２】放射線画像取得部１０８の構成の一例を示す図である。
【図３】放射線撮像システム１００の構成の一例を示す図である。
【図４】テンプレート画像格納部１３６が格納するテンプレート画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
１００ 放射線撮像システム
１０２ 放射線
１０４ 被検体
１０６ 放射線源
１０８ 放射線画像取得部
１１０ 光画像取得部
１１２ フォトタイマ
１１４ グリッド
１１６ 蓄積性蛍光体シート
１１８ 読取ユニット
１２０ 消去ユニット
１２２ 励起光源
１２４ 結像光学系
１２６ ラインセンサ
１２８ 集光光学系
１３０ 消去光源
１３２ 被検体種別特定部
１３４ 撮像画像格納部
１３６ テンプレート画像格納部
１３８ 放射線量調整部
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線撮像システムに関する。特に本発明は、放射線により撮像される被検体の種別を特定する放射線撮像システムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
Ｘ線等の放射線を用いて撮像された放射線画像は、医用画像として広く用いられている。従来、放射線画像は、被検体を透過した放射線を蛍光体に照射することにより生じる可視光を通常の写真と同様に銀塩フィルムに照射して現像することによって得られていた。
【０００３】
しかしながら、近年、銀塩フィルムを使用しないで、蓄積性蛍光体を用いて画像を検出する方法が開発されている（例えば、特許文献１参照。）。このような方法では、被検体を透過した放射線を蓄積性蛍光体に吸収させた後、この蓄積性蛍光体を光エネルギ又は熱エネルギで励起することによって、蓄積性蛍光体から放射線エネルギを光として放射させて、この光を光電変換して画像信号を得ている。また、多数の半導体素子を用いて、放射線画像を検出する方法も開発されている（例えば、非特許文献１参照。）。
【０００４】
上記のような方法で撮像された放射線画像は、患者の前方から放射線を照射することにより取得されたものであるか、患者の後方から放射線を照射することにより取得されたものであるか、どの部位を撮像したものか等を、放射線画像から判断することが困難な場合がある。そのため、従来の放射線撮像システムでは、医師が被検体の放射線画像を撮像したときに、撮像部位や撮像方向等を放射線画像とともに記録しておくことにより、放射線画像を診断する場合にその判断を容易にできるようにしている。
【０００５】
【特許文献１】
特開昭５５−１２４２９号公報
【非特許文献１】
「Ｐｈｙｓ．Ｍｅｄ．Ｂｉｏｌ．」、ｖｏｌ．４２、１９９７年、ｐ．１−３９
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法では、医師又は放射線技師等が撮像方向や撮像部位を間違えて放射線画像とともに記録してしまった場合に、その間違いを検出する手立てがなく、間違えて記録された撮像方向や撮像部位を参照して放射線画像が診断に利用されてしまうという問題が生じる。
【０００７】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる放射線撮像システムを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の形態によると、放射線により被検体を撮像する放射線撮像システムであって、放射線を用いて被検体の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、被検体から放射された光を検出して被検体の光画像を取得する光画像取得部と、光画像取得部が取得した光画像に基づいて、放射線画像取得部が取得する放射線画像の被検体種別（撮像部位や撮像方向等）を特定する被検体種別特定部と、放射線画像取得部が取得した放射線画像を、被検体種別特定部が特定した被検体種別に対応づけて格納する撮像画像格納部とを備える。
【０００９】
被検体種別特定部は、光画像取得部が取得した光画像に基づいて、放射線画像取得部が取得した放射線画像が被検体のどの方向から撮像されたものであるかを特定し、撮像画像格納部は、放射線画像取得部が取得した放射線画像を、被検体種別特定部が特定した方向に対応づけて格納してもよい。撮像方向とは、正面像、側面像、斜位像等や、ＡＰ／ＰＡと呼ばれる表面側からのＸ線入射、背面側からのＸ線入射等の区別も含まれる。
【００１０】
被検体種別特定部は、光画像取得部が取得した光画像に基づいて、放射線画像取得部が取得した放射線画像の被検体の部位を特定し、撮像画像格納部は、放射線画像取得部が取得した放射線画像を、被検体種別特定部が特定した部位に対応づけて格納してもよい。撮像部位とは、頭部、胸部、或いは右下肢、左下肢等の左右の区別の含まれる。
【００１１】
被検体種別毎にテンプレート画像を格納するテンプレート画像格納部さらに備え、被検体種別特定部は、光画像取得部が取得した光画像を、テンプレート画像格納部が格納するテンプレート画像と画像照合することにより被検体種別を特定してもよい。
【００１２】
光画像取得部は、放射線画像取得部が取得すべき放射線画像より広い範囲の光画像を取得してもよい。光画像取得部は、被検体の外周を含む範囲の光画像を取得してもよい。また、光画像とは、可視光又は赤外光による画像であり、必要に応じて適切な可視光又は赤外光の照明を被検体に照射してもよい。赤外光であれば撮影者に見えないので、照射野確認用の照射光を撮影者が視認するのに障害にならない。
【００１３】
被検体種別特定部が特定した被検体種別に基づいて、被検体に照射する放射線の量を調整する放射線量調整部をさらに備え、放射線画像取得部は、放射線量調整部が放射線の量を調整した後に、被検体の放射線画像を取得してもよい。
【００１４】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【００１６】
図１は、本発明の一実施形態に係る放射線撮像システム１００の概観の一例を示す。放射線撮像システム１００は、放射線１０２を発生し被検体１０４に照射する放射線源１０６と、放射線源１０６から照射された放射線１０２を用いて被検体１０４の放射線画像を放射線画像取得部１０８と、被検体１０４から放射された光を検出して被検体１０２の光画像を取得する光画像取得部１１０とを備える。放射線画像取得部１０８は、例えば撮影台である。また、放射線１０２は、Ｘ線、α線、β線、γ線等である。
【００１７】
光画像取得部１１０は、可視光を検出して画像を取得するＣＣＤカメラであってもよいし、赤外光を検出して画像を取得する赤外線カメラであってもよい。また、光画像取得部１１０は、被検体１０４に対して放射線源１０６と略同一の方向に配置されることが好ましい。なお、図１に示した放射線撮像システム１００は、１つの光画像取得部１１０を備えるが、２つ以上の光画像取得部１１０を備えてもよい。
【００１８】
放射線撮像システム１００では、光画像取得部１１０が取得した光画像に基づいて、放射線撮像による撮像方向や撮像部位を検出する。例えば、患者の前方から後方の方向に放射線１０２を放射して撮像しているか（ＡＰ）、患者の後方から前方の方向に放射線１０２を放射して撮像しているか（ＰＡ）、手の甲から手の平の方向に放射線１０２を放射して撮像しているか、手の平から手の甲の方向に放射線１０２を放射して撮像しているか、被検体１０４が右手であるか左手であるか等を検出する。そして、放射線画像取得部１０８が取得した放射線画像とともに、光画像取得部１１０が取得した光画像に基づいて検出された撮像方向や撮像部位を格納する。そのため、撮像方向や撮像部位が間違えて記録されることをなくし、適切な診断を患者に提供できる。
【００１９】
図２は、本実施形態に係る放射線画像取得部１０８の構成の一例を示す。放射線画像取得部１０８は、放射線画像取得部１０８に入射する放射線量を制御するフォトタイマ１１２と、放射線の散乱線を除去するグリッド１１４と、被検体１０４を透過した放射線をフォトタイマ１１２及びグリッド１１４を介して吸収し、放射線画像情報を記録する蓄積性蛍光体シート１１６と、蓄積性蛍光体シート１１６から放射線画像情報を読み取る読取ユニット１１８と、蓄積性蛍光体シート１１６が保持する放射線画像情報を消去する消去ユニット１２０とを備える。
【００２０】
読取ユニット１１８は、励起光を発生する励起光源１２２と、蓄積性蛍光体シート１１６に励起光を結像させる結像光学系１２４と、励起光によって蓄積性蛍光体シート１１６から放射される輝尽発光光を検出する複数のラインセンサ１２６と、複数のラインセンサ１２６のそれぞれに輝尽発光光を集光させる複数の集光光学系１２８とを有する。また、消去ユニット１２０は、消去光を発生する複数の消去光源１３０を有する。
【００２１】
蓄積性蛍光体シート１１６は、図示しない移動機構により、撮像位置Ａと読取位置Ｂとの間で矢印Ｃの方向に移動可能に設けられる。蓄積性蛍光体シート１１６は、撮像位置Ａに保持されているときに、被検体１０４を透過した放射線をフォトタイマ１１２及びグリッド１１４を介して吸収して放射線画像を記録する。
【００２２】
読取ユニット１１８及び消去ユニット１２０は、図示しない移動機構により、矢印Ｄの方向に移動可能に設けられる。読取ユニット１１８は、蓄積性蛍光体シート１１６が読取位置Ｂに保持されているときに、蓄積性蛍光体シート１１６に沿って移動しながら蓄積性蛍光体シート１１６に励起光を照射させ、蓄積性蛍光体シート１１６から放射される輝尽発光光を検出することにより放射線画像情報を読み取る。読取ユニット１１８によって蓄積性蛍光体シート１１６から読み取られた放射線画像は、デジタルデータとして記録される。また、消去ユニット１２０は、読取ユニット１１８とともに蓄積性蛍光体シート１１６に沿って移動しながら蓄積性蛍光体シート１１６に消去光を照射させ、蓄積性蛍光体シート１１６に残存する放射線エネルギを放出させることにより放射線画像情報を消去する。
【００２３】
図３は、本実施形態に係る放射線撮像システム１００の構成の一例を示す。放射線撮像システム１００は、放射線１０２を発生し被検体１０４に照射する放射線源１０６と、放射線１０２を用いて被検体１０４の放射線画像を取得する放射線画像取得部１０８と、被検体１０４から放射された光を検出して被検体１０４の光画像を取得する光画像取得部１１０と、被検体１０４の種別である被検体種別を特定する被検体種別特定部１３２と、放射線画像取得部１０８が取得した放射線画像を、被検体種別特定部１３２が特定した被検体種別に対応づけて格納する撮像画像格納部１３４と、被検体種別毎にテンプレート画像を格納するテンプレート画像格納部１３６と、放射線源１０６が被検体１０４に照射する放射線の量を調整する放射線調整部１３８とを備える。被検体種別とは、被検体１０４が撮像された方向である撮像方向、被検体１０４の部位である撮像部位等である。
【００２４】
被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像に基づいて、放射線画像取得部１０８が取得した放射線画像が被検体１０４のどの方向から撮像されたものであるかを示す撮像方向を特定する。例えば、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像に患者の顔や眼等が含まれている場合に、患者の前方から後方の方向に放射線１０２が照射されて放射線画像が取得されたと判断する。また、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像に手の爪が含まれていた場合に、手の甲から手の平の方向に放射線１０２が照射されて放射線画像が取得されたと判断する。そして、撮像画像格納部１３４は、放射線画像取得部１０８が取得した放射線画像を、被検体種別特定部１３２が特定した撮像方向に対応づけて格納する。
【００２５】
また、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像に基づいて、放射線画像取得部１０８が取得した放射線画像の被検体１０４の部位を示す撮像部位を特定する。例えば、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像に所定の大きさ以上の眼が含まれていた場合に、被検体１０４が顔や頭であると判断する。また、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像に所定の大きさ以上の爪が含まれていた場合に、被検体１０４が手や足であると判断する。そして、撮像画像格納部１３４は、放射線画像取得部１０８が取得した放射線画像を、被検体種別特定部１３２が特定した撮像部位に対応づけて格納する。
【００２６】
このように、光画像取得部１１０が取得した光画像を用いることにより、撮像方向や撮像部位を正確に特定できる。また、正確に特定された撮像方向や撮像部位を放射線画像とともに格納するので、患者に対して適切な診断を行うことができる。
【００２７】
放射線量調整部１３８は、被検体種別特定部１３２が特定した被検体種別に基づいて、放射線源１０６が被検体１０４に照射する放射線の量を調整する。具体的には、放射線量調整部１３８は、撮像方向や撮像部位に基づいて、放射線源１０６が被検体１０４に照射する放射線の量を調整する。例えば、胸部の放射線画像を取得する場合より、手の放射線画像を取得する場合の放射線量を多く調整する。また、患者が放射線１０３の照射方向を向いて立っている場合より、患者が放射線１０２の照射方向に垂直な方向を向いて立っている場合の放射線量を多く調整する。そして、放射線画像取得部１０８は、放射線量調整部１３８が放射線１０２の量を調整した後に、被検体１０４の放射線画像を取得する。
【００２８】
このように、放射線量調整部１３８が被検体１０４の奥行に応じて放射線１０２の照射時間、管電圧、管電流等を調整することによって、被検体１０４に適切な量の放射線１０２を照射できる。そのため、高画質な放射線画像を取得でき、また被検体１０４に対する必要以上の放射線１０２の曝射を抑制できる。
【００２９】
また、光画像取得部１１０は、図１に示すように、放射線画像取得部１０８が取得すべき放射線画像より広い範囲の光画像を取得することが好ましい。例えば、放射線画像取得部１０８が胸部の放射線画像を取得する場合に、光画像取得部１１０は、顔を含む光画像を取得することが好ましい。これにより、胸部の光画像では特定しにくい撮像方向を、顔の光画像を用いて特定できる。
【００３０】
また、光画像取得部１１０は、図１に示すように被検体１０４の外周を含む範囲の光画像を取得することが好ましい。例えば、放射線画像取得部１０８が腕の放射線画像を取得する場合に、光画像取得部１１０は、手を含む光画像を取得することが好ましい。これにより、腕の光画像では特定しにくい撮像部位を、手や爪の光画像を用いて特定できる。
【００３１】
図４は、本実施形態に係るテンプレート画像格納部１３６が格納するテンプレート画像の一例を示す。テンプレート画像格納部１３６は、図４（ａ）、（ｂ）、（ｃ）、及び（ｄ）に示すような左手、右手、正面顔、及び側面顔等のテンプレート画像を被写体種別毎に格納する。被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像を、テンプレート画像格納部１３６が格納するテンプレート画像と画像照合することにより被検体種別を特定してもよい。
【００３２】
具体的には、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像が、テンプレート画像格納部１３６が格納するテンプレート画像と略一致する場合に、当該テンプレート画像の被検体種別に基づいて撮像部位を判断する。また、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像の一部が、テンプレート画像格納部１３６が格納するテンプレート画像と略一致する場合に、当該テンプレート画像の被検体種別に基づいて撮像方向を判断する。例えば、被検体種別特定部１３２は、光画像取得部１１０が取得した光画像の一部が、図４（ｃ）のテンプレート画像と略一致する場合に、患者の前方から後方の方向に放射線１０２が照射されて放射線画像が取得されたと判断する。このように、被検体種別毎のテンプレート画像を用いることにより、被検体１０４の被検体種別をより正確に特定できる。
【００３３】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【００３４】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明によれば、放射線により撮像される被検体の種別を正確に特定する放射線撮像システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】放射線撮像システム１００の概観の一例を示す図である。
【図２】放射線画像取得部１０８の構成の一例を示す図である。
【図３】放射線撮像システム１００の構成の一例を示す図である。
【図４】テンプレート画像格納部１３６が格納するテンプレート画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
１００ 放射線撮像システム
１０２ 放射線
１０４ 被検体
１０６ 放射線源
１０８ 放射線画像取得部
１１０ 光画像取得部
１１２ フォトタイマ
１１４ グリッド
１１６ 蓄積性蛍光体シート
１１８ 読取ユニット
１２０ 消去ユニット
１２２ 励起光源
１２４ 結像光学系
１２６ ラインセンサ
１２８ 集光光学系
１３０ 消去光源
１３２ 被検体種別特定部
１３４ 撮像画像格納部
１３６ テンプレート画像格納部
１３８ 放射線量調整部
Claims (7)
- 放射線により被検体を撮像する放射線撮像システムであって、
前記放射線を用いて前記被検体の放射線画像を取得する放射線画像取得部と、
前記被検体から放射された光を検出して前記被検体の光画像を取得する光画像取得部と、
前記光画像取得部が取得した前記光画像に基づいて、前記放射線画像取得部が取得する前記放射線画像の前記被検体の種別である被検体種別を特定する被検体種別特定部と、
前記放射線画像取得部が取得した前記放射線画像を、前記被検体種別特定部が特定した前記被検体種別に対応づけて格納する撮像画像格納部と
を備える放射線撮像システム。 - 前記被検体種別特定部は、前記光画像取得部が取得した前記光画像に基づいて、前記放射線画像取得部が取得した前記放射線画像が前記被検体のどの方向から撮像されたものであるかを特定し、
前記撮像画像格納部は、前記放射線画像取得部が取得した前記放射線画像を、前記被検体種別特定部が特定した前記方向に対応づけて格納する請求項１に記載の放射線撮像システム。 - 前記被検体種別特定部は、前記光画像取得部が取得した前記光画像に基づいて、前記放射線画像取得部が取得した前記放射線画像の前記被検体の部位を特定し、
前記撮像画像格納部は、前記放射線画像取得部が取得した前記放射線画像を、前記被検体種別特定部が特定した前記部位に対応づけて格納する請求項１に記載の放射線撮像システム。 - 前記被検体種別毎にテンプレート画像を格納するテンプレート画像格納部さらに備え、
前記被検体種別特定部は、前記光画像取得部が取得した前記光画像を、前記テンプレート画像格納部が格納する前記テンプレート画像と画像照合することにより前記被検体種別を特定する請求項１に記載の放射線撮像システム。 - 前記光画像取得部は、前記放射線画像取得部が取得すべき前記放射線画像より広い範囲の前記光画像を取得する請求項１に記載の放射線撮像システム。
- 前記光画像取得部は、前記被検体の外周を含む範囲の前記光画像を取得する請求項１に記載の放射線撮像システム。
- 前記被検体種別特定部が特定した前記被検体種別に基づいて、前記被検体に照射する前記放射線の量を調整する放射線量調整部をさらに備え、
前記放射線画像取得部は、前記放射線量調整部が前記放射線の量を調整した後に、前記被検体の前記放射線画像を取得する請求項１に記載の放射線撮像システム。
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