JP2004281949A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】形成する素子の占有面積を節約して、高い降伏電圧を示すPN接合部を実現するとともに、逆回復特性の高速化を図ること。
【解決手段】支持基板2上に誘電体分離層(BOX層)3を有し、このBOX層3上にN−層4を形成したSOI基板ウエハ20を使用し、この基板ウエハ20の表面上に形成した絶縁酸化膜9に、中心部から周辺部に向かって漸次孔径が小さくなり、かつ、相互の間隔が漸次狭くなるように配置した不純物ドーピング孔13a〜13nを形成し、該ドーピング孔13a〜13nを介して前記N−層4中にボロン拡散を行なってP’層5’を形成する。このP’層5の縦方向は熱処理によりBOX層3にまで達し、横方向は同じく熱処理により隣接するP1層5A、P2層5B、P3層5C等が互いに拡散・融合し、不純物濃度が中心部からPN接合部10を形成する周辺部に向かって漸次緩やかに減少するように形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】支持基板2上に誘電体分離層(BOX層)3を有し、このBOX層3上にN−層4を形成したSOI基板ウエハ20を使用し、この基板ウエハ20の表面上に形成した絶縁酸化膜9に、中心部から周辺部に向かって漸次孔径が小さくなり、かつ、相互の間隔が漸次狭くなるように配置した不純物ドーピング孔13a〜13nを形成し、該ドーピング孔13a〜13nを介して前記N−層4中にボロン拡散を行なってP’層5’を形成する。このP’層5の縦方向は熱処理によりBOX層3にまで達し、横方向は同じく熱処理により隣接するP1層5A、P2層5B、P3層5C等が互いに拡散・融合し、不純物濃度が中心部からPN接合部10を形成する周辺部に向かって漸次緩やかに減少するように形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、SOI(silicon on insulator)基板を用いた横型半導体装置のPN接合を改良し、特に従来構造において得られていた逆耐電圧特性(VR)を上回る降伏電圧を得ることができるとともに、逆回復特性(trr)の高速化を実現できる新規な半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図31に、この種の半導体装置の基本的な従来構造例を示す。
図において、符号1は半導体装置1全体を示し、SOIウエハの支持基板(Sub)2上に、誘電体分離層(BOX:Buried Oxide Layer)があり、その上にN−層4が積層されている。このN−層4中に、図示のようにP層5及びN+層6が形成されている。また、上記P層5の表面にはアノード電極7が、N+層6の表面にはカソード電極8がそれぞれ形成されている。
なお、符号9は、N+層6、N−層4、P層10の表面に跨って形成された絶縁酸化膜である。
【0003】
次に、図32に、図31におけるA−A’線に沿う断面の不純物濃度プロファイル及び図31に示した半導体装置1のアノード電極7、カソード電極8間に逆電圧を印加した時の電界強度分布を示す。
【0004】
上記図31におけるP層5は、絶縁酸化膜等のドーピングマスクを通してドーパントイオンを注入し、あるいは熱処理によるデポジションによりN−層4表面に、高濃度で浅い前記P層5を形成した後に、続く熱処理によりドーパントイオンをウエハ内部深くまで拡散せることにより形成される。このようにして形成されたP層5の示す不純物濃度プロファイル曲線は、図32に示したガウス分布曲線Gcとなることが一般的に知られている。
【0005】
上記P層5とN−層4とで形成されるPN接合部10に、逆電圧を印加すると、該PN接合部10に高い電界ピーク値を持つ三角形の電界強度分布を示すことが知られており、このピーク電界(Ep)が降伏電圧を越えると、PN接合部10のブレークダウンが生じる。
そして、所望の降伏電圧を得るためには、このピーク電界(Ep)を制御する必要があり、N−層4の比抵抗及びP層5・N+層6(アノード・カソード)間の距離を適当な値に設定する必要がある。
【0006】
また、P層5の表面不純物濃度を下げると、アノード電極7を構成する電極金属との接触抵抗が上昇するため、該P層5の表面不純物濃度を、ある程度の高濃度に保つ必要がある。結果的にN−層4の不純物濃度に対するP層5の表面不純物濃度が数100倍以上の高濃度となる。さらに、P層5の不純物濃度プロファイルがガウス分布を示すことにより、PN接合部10近傍でのP層5の不純物濃度は、先に述べた高濃度の領域からPN接合部10に向けて急激に減少する形となるため、P層5からN−層4への少数キャリア(正孔)の注入量が比較的大きな値を示すことになる。
【0007】
さて、拡散手法等を用い、P型不純物を導入して形成したPN接合は、図32に示したように、片側階段接合に較べてP層濃度が徐々に減少する分布を有している。
デバイスの設計者は、より安全サイドの設計を行なうため、PN接合の両端、すなわち、N−層側とP層側に広がる空乏層WNとWP(図32参照)のうちの、WNのみによって逆電圧が維持されるものとして、つまり、WP=0と仮定して、得られるデバイスの耐圧を計算している。図32中のVB、すなわち、N−層側に広がる空乏層中の電界強度(E)の積分値(左傾斜ハッチングを施した部分)がこれに相当するが、これのみを有効な耐圧として計算している。
しかしながら、実際のデバイスではP層側にも広がるWPによって、図32中のΔVB相当分(右傾斜ハッチングを施した部分)の耐圧向上が期待できることが分かる。
【0008】
これらの詳細は、例えば以下の文献にその記述がある。
(Ref.1)
”Breakdown Voltage of Diffused Epitaxial
Junctions”,by Constantin Bulucea,Solid State
Electronics,Vol.34,pp.167−172,1991
上記の文献によれば、N−層の濃度をNB、P層の濃度をNSとして、また電界強度の最大値をEM,ガウス分布傾斜をa=2(NB/Xip)ln(NS/NB)で示すとして、下記(1)式で示されるΔVBが実際のデバイスの耐圧に加算できるとしている。
ΔVB=(2/3)√2(ε/q)1 / 2(EM)3 / 2(a)−1 / 2・・・・(1)
【0009】
上記のことは換言すれば、同じ比抵抗(ρ)のSOI基板上にあるN−層を用いたとしても、ΔVBがより大きくとれるような、すなわち、上記(1)式中のガウス分布傾斜aの1/2乗に逆比例してΔVBが増大するので、aを小さくする、すなわち、不純物濃度傾斜をより緩やかにしてやればやる程、ΔVBがその分大きく取れる、と言うことになり、本発明はその点に着目している。
【0010】
次に、それでは図32中のガウス分布部分の傾きを、より緩やかにする方法について考えてみる。
かかる方法としては種々の方法が考案されているが、中でも図33中に示した方法は、VLD(Variation of Lateral Doping)と呼ばれる方法であるが、この手法は、半導体装置1の表面に形成した絶縁酸化膜9の異なる孔径の開口11を通してイオン注入12を行ない、このイオン注入が1回の工程でデバイスを製作できる点で魅力ある手法である。
その手法の詳細は下記の文献に示されている。
(Ref.2)
R.Stengl et al.,”Variation of Lateral Doping as a field terminator
for high voltage power devices,” IEEE Trans.Electron Devices,vol.ED−33,no.3,
pp.426−428,1986
上記文献に記載の手法が、本発明におけるガウス分布の傾きをより緩やかにする目的に合致する。
なお、上記の手法は、次の特許公報にも明らかにされており、いずれもその内容は本質的に略同じと評価できる。
(Ref.3)
特公平6−3799号、特開平7−193018号、特開平7−273325号
【0011】
また、絶縁酸化膜開口のためのマスク回数及びイオン注入の回数は、先のVLD手法に比べて1回多くなるものの、図34に示すようなJTE(Junction Termination Extension)と呼ばれる手法もある。
上記の手法によれば、半導体装置1の主接合を形成するP+層5Aの周辺に、より深く、かつ、より低濃度のP−層5Bを配しているので、図中のP+層5A→P−層5B→N−層4→N+層6に至る横方向の中でも特にP−層5B・N−層4間でのP型不純物濃度分布傾斜を、希望する値に適合させることができる可能性がある。
なお、図中、6Aは基板自体のN+層、9は半導体装置1の表面に形成された絶縁酸化膜である。
【0012】
上記JTE手法の中でも、特にプラナ接合に適用した文献としては、例えば次のものが周知である。
(Ref.4)
V.Boisson et al.,”Computer study of
high voltage p−n−n−−n+diode and comparison with a field
limiting ring structure.”IEEE Trans. Electron
Devices,vol.ED−33,no.1,pp.80−84,1986
しかしながら、これらのVLD手法、JTE手法は、いずれも構造的に縦型デバイスに用いたものであって、P+層5Aや、P−層5Bの下部にはN−層4を残した状態で適用されるものである。
したがって、それをSOIデバイスに応用するにしても、それ相応の工夫が必要である。そして、商業ベースでは、より少ない絶縁酸化膜開口のためのマスク回数と、より少ないイオン注入工程の回数を意識しながら、所望のデバイスを効率良く得ることが必要である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方法により形成されたPN接合部で高い降伏電圧を得るためには、図31に示したような構造の半導体装置1において、N−層4の比抵抗を高くし、P層5−N+層6間の距離を長く取らなければならず、順電圧(IF)の増加よる損失の増大、及び占有面積を小さくすることができない等の解決すべき課題があった。
また、P層不純物濃度プロファイルの形状に起因する少数キャリアの注入量を制御することができず、逆回復時間(trr)が長くなってしまう等の解決すべき課題もあった。
【0014】
本発明は、上記の各課題を解決するためになされたもので、形成する素子の面積を節約するとともに、高い降伏電圧を示すPN接合部を実現し、かつ、逆回復特性の高速化を図り得るPN接合部を有する半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決しようとする手段】
請求項1に記載した発明は、一導電型半導体支持基板上に誘電体分離層(BOX層)を有し、該BOX層上に低不純物濃度の第2導電型層が形成されたSOI基板ウエハを使用し、前記第2導電型層中に、該第2導電型層の表面から前記BOX層に達する深さの前記第2導電型とは反対導電型の第1導電型層と、該第2導電型層の表面から高不純物濃度の第2導電型層とが形成され、前記SOI基板ウエハの表面上には絶縁酸化膜を有し、該絶縁酸化膜の開口を介して前記第1導電型層と接続された第1電極と、該絶縁酸化膜の開口を介して前記第2導電型層と接続された第2電極とを備えた半導体装置において、
前記第1導電型層は、該第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有することを特徴とするものである。
【0016】
請求項2に記載した発明は、前記第1導電型層が、前記SOI基板ウエハの中心部から周辺部に向かって孔径が漸次減少し、かつ、該孔相互の間隔も漸次減少する複数の不純物ドーピング孔を備えた不純物ドーピングマスクとしての絶縁酸化膜を介して形成され、複数の分離した第1導電型層が熱処理より縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して複数の分離した第1導電型層が一層化した構造であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3に記載した発明は、前記第1導電型層が、前記第2導電型層中に最初に形成した第1導電型層より深さの浅い低不純物濃度の別の第1導電型層を有し、熱処理により縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して前記2つの第1導電型層が一層化した構造であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項4に記載した発明は、一導電型半導体支持基板上に誘電体分離層(BOX層)を有し、該BOX層上に低不純物濃度の第2導電型層が形成されたSOI基板ウエハの表面上に絶縁酸化膜を形成する工程と、
この工程を経て形成された絶縁酸化膜に、前記SOI基板ウエハの中心部から周辺部に向かって孔径が漸次減少し、かつ、該孔相互の間隔も漸次減少する複数の不純物ドーピング孔を形成し、該ドーピング孔を介して前記第2導電型層内に、表面から浅い互いに分離された前記第2導電型とは反対導電型の複数の第1導電型層を形成する工程と、
複数の分離した前記第1導電型層が熱処理により縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して一層化した構造と成し、この一層化した構造の第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とするものである。
【0019】
請求項5に記載した発明は、前記SOI基板ウエハの第2導電型層中に、表面側から深さの浅い第1導電型層と、該第1導電型層の外側に隣接して該第1導電型層の不純物濃度よりも濃度の低い不純物濃度を有する別の第1導電型層とを形成する工程と、
前記第1導電型層及び該第1導電型層の不純物濃度よりも濃度の低い不純物濃度を有する別の第1導電型層とを熱処理し、縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して一層化し、この一層化した第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とするものである。
【0020】
請求項6に記載した発明は、一導電型半導体支持基板上に誘電体分離層(BOX層)を有し、該BOX層上に低不純物濃度の第2導電型層が形成されたSOI基板ウエハの表面上に絶縁酸化膜を形成する工程と、
この工程を経て形成された絶縁酸化膜に、前記SOI基板ウエハの中心部から周辺部に向かって孔径が漸次減少し、かつ、該孔相互の間隔も漸次減少する開口を形成する工程と、
前記工程よって形成された中央部の開口を除き、周辺部の開口を被覆材で覆って前記第2導電型層中の中央部に深さの浅い第1導電型層を形成する工程と、
前記周辺部の開口を覆う被覆材を除去した後、該開口を介して前記第2導電型層中及び前記浅い第1導電型層中に重ねて不純物を導入して互いに分離した複数の第1導電型層を形成する工程と、
前記工程によって形成された互いに分離した複数の第1導電型層を熱処理することにより縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して一層化し、この一層化した第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とするものである。
【0021】
【作用】
請求項1に記載した発明では、SOI基板ウエハを使用し、第2導電型層、例えばN−層中に、BOX層に達する深さの第1導電型層、例えば複数のP層を形成し、この複数のP層は、熱処理としてのドライブインにより横方向にも拡散し、前記N−層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する一層化したP層が形成される。
このため、PN接合部に形成される高い電界ピーク値(EP)を相対的に低く制御することができる。その結果、高い降伏電圧を得ることができ、逆耐電圧特性(VR)が向上するとともに、適宜に制御したP層不純物濃度プロファイルにより少数キャリアの注入量を的確に制御し逆回復時間(trr)を相対的に短くすることができる。
【0022】
請求項2に記載した発明では、いわゆるVLD法によって形成された構造のP層とした。このため、より確実にPN接合部のEPを制御し、高い降伏電圧を得ることができるともに、前記同様に少数キャリアの注入量を制御し、trr特性を改善することができる。
【0023】
請求項3に記載した発明では、いわゆるJTE法によって形成された構造のP層とした。このため、請求項2に記載の発明に較べ、フォトレジスト工程及びイオン注入工程は1回追加されるものの、絶縁酸化膜開口は追加を伴うことなく前記同様の効果が得られる。
【0024】
請求項4に記載した発明では、SOI基板ウエハの表面上に絶縁酸化膜を形成する工程と、第2導電型層内に、互いに分離された前記第2導電型とは反対導電型の浅い複数の分離した第1導電型層を形成する工程と、前記複数の分離した第1導電型層が熱処理により縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して前記複数の分離した第1導電型層を一層化した構造と成し、この一層化した構造の第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程とを少なくとも含むような製造方法とした。
このため、この製造方法で得られた半導体装置は、前記同様にPN接合部に形成される高い電界ピーク値(EP)を相対的に低く制御することができる。その結果、高い降伏電圧を得ることができ、逆耐電圧特性(VR)が向上するとともに、適宜に制御したP層不純物濃度プロファイルにより少数キャリアの注入量を的確に制御し逆回復時間(trr)を相対的に短くすることができる。
【0025】
請求項5に記載した発明では、SOI基板ウエハの第2導電型層中に、表面側から深さの浅い第1導電型層と、該第1導電型層の外側に隣接して該第1導電型層の不純物濃度よりも濃度の低い不純物濃度を有する別の第1導電型層とを形成する工程と、前記第1導電型層及び該第1導電型層の不純物濃度よりも濃度の低い不純物濃度を有する別の第1導電型層とを熱処理し、縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して一層化し、この一層化した第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程とを少なくとも含むような製造方法とした。
このため、前記の製造方法と同様に、この製造方法により得られた半導体装置は、前記PN接合部に形成される高い電界ピーク値(EP)を相対的に低く制御することができる。その結果、高い降伏電圧を得ることができ、逆耐電圧特性(VR)が向上するとともに、適宜に制御したP層不純物濃度プロファイルにより少数キャリアの注入量を的確に制御し逆回復時間(trr)を相対的に短くすることができる。
【0026】
請求項6に記載した発明では、請求項5に記載した発明の製造方法において、最初の工程で絶縁酸化膜開口時のパターン形状を変えるとともに、途中の工程にフォトレジスト工程及びイオン注入工程を1回追加することにより、不純物ドーピングマスクとしての絶縁酸化膜開口のための工程は1回で済む。
このため、この製造方法においても、複雑な工程を経ることなく、前記と同様の効果を有する半導体装置を効率良く得ることができる。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を、図を参照して説明する。
図1は本発明の一実施例を示す半導体装置の断面図である。
図において、半導体装置1は、SOIウエハの支持基板(Sub)2上に誘電体分離層(BOX層)3があり、その上にN−層4が積層されている。このN−層4中に、その深さがBOX層3にまで達するP’層5’及びその深さが浅いN+層6が図示のように形成されている。また、上記P’層5’の表面中心部にはアノード電極7が、N+層6の表面周辺部にはカソード電極8がそれぞれ形成されている。
なお、符号9は、N+層6、N−層4、P’層5’に跨って形成された絶縁酸化膜である。
【0028】
上記の構成で、P’層5’の形成は次のようにして行なわれる。
すなわち、図2に示した複数の部分的な不純物ドーピング孔13a〜13nを有する不純物ドーピングマスク14(絶縁酸化膜)を介してドーパントイオンを注入し、N−層4表面に部分的な浅いP層(図示せず)を形成した後に熱処理を行ない、ドーパントイオン12を少なくともBOX層3に達する基板内深くまで拡散することにより形成する。この時、各不純物ドーピング孔13a〜13nよりドーパントイオン注入で形成された部分的なP層は、熱処理による横方向の拡散により隣り合うP層が重なり合って一層化したP’層5’となる。
【0029】
上記のようにして形成されたPN接合部10の図1におけるA−A’線に沿う断面の不純物濃度プロファイルを示せば、図3のようになる。
上記の不純物濃度プロファイルから明らかなように、P’層5’電極金属との接触面よりP’層5’の中心部から外側に行くに従って、不純物ドーピングマスク14における不純物ドーピング孔13a〜13nの孔径を漸次小さく、かつ、相互の間隔を狭くなっているので、当該P’層5’不純物濃度は、PN接合部10に向かって緩やかに減少した構造となっている。
【0030】
次に、図4〜図8を参照して上記構造を有する半導体装置の製造方法の実施例について述べる。
先ず、第1の実施例では、図4の第1工程において、SOI基板ウエハ20の表面が酸化され、図33中にも示したようにVLD技法と同様な、すなわち、前記基板ウエハ20の中心部から周辺部向かって、より開口幅の寸法が狭くなるように11A,11B,11Cが周知のフォトグラフィ技術を用いて開口される。また、周辺部の耐圧維持領域と中心部のアノード形成領域とが、1回のマスクプロセスで周知の前記方法により開口される。
【0031】
次に、図5に示した第2工程において、上記開口11A,11B,11C及び開口を有さない絶縁酸化膜9上を含めてボロン不純物が、所望のドーズ量、例えば1×1013ドーズでイオン注入12される。
【0032】
続いて、図6の第3工程では、注入されたボロンイオンが高温の炉中で所要時間ドライブインされる。この時、開口11Aと、開口11B、11Cでは開口幅が異なっているために、実質上のボロン濃度に差が生じている(図6(a)参照)。
すなわち、ボロン濃度は、11A>11B>11Cとなっているので、ドライブインの途中でN−層4中に拡散され形成されて行くPN接合は、図示のように段差状となり、やがてP1層5A、P2層5B、P3層5Cの全てがBOX層3に達した後、合成されて一層化し、見かけ上1つのPN接合部10となる(図6(b)参照)。
【0033】
しかしながら、P1層5A側に較べてP3層5C側では、より濃度の薄い分布を形成していることが分かる。また、この時形成される横幅についても、P1層5Aのみが開口されて形成されている時の幅(W1)に較べ、P1〜P3層5A〜5Cが開口されて形成される幅(W2)の方が、遥かに大きくW2≫W1となることが分かる。つまり、その分、P層の横方向濃度傾斜幅をより広く形成することができることになる。
【0034】
続く図7に示した第4工程において、リンイオンがデポジット、あるいはイオン注入されドライブインされる。
図において、周辺部のN+層6の深さは、ここでは指定しないが、よりBOX層3に近い程に深く拡散されれば、横方向に電流が流れるので、VF特性により有利となる一方、図示のW3の幅が狭くなる分、耐圧特性については減少傾向を示すものと考えられる。
【0035】
続いて図8に示した第5工程において、中央部のアノード領域及び周辺部のカソード領域が開口され、例えばアルミ系金属から成る電極金属が前記基板ウエハ20の全面に蒸着(スパッタ)される。
その後、周知のマスクプロセスにより、電極がパターンニングされ、良好なオーミックコンタクト形成のためのアニール工程を伴ってアノード電極7及びカソード電極8を得た後、本発明の構造を有するデバイスが完成する。
【0036】
次に、図9〜図13を参照して本発明の製造方法における実施例2を説明する。
この実施例2で得られるデバイスは、図34に示した周知のJTE手法を本発明の方法に適用・応用して得られたものである。この構造のデバイスは、実施例1のデバイスのように、1回のマスク工程と1回の不純物(ボロン)注入により形成することは不可能であるが、以下のように比較的簡単な工程を経て製作することができる。
すなわち、図9に示した第1工程である絶縁酸化膜9の形成工程後、例えば図10に示した第2工程において、P層5領域のみを開口するように、フォトレジスト層15を形成した後、当該開口を介して第1ボロン16を注入する。
【0037】
次いで、上記フォトレジスト層15を除去した後、図11に示した第3工程において、第2ボロン17をP層5及び第1ボロン注入時に形成されたP−層5”領域上に重ねて注入し、図12に示した第4工程でボロンドライブインを行なえば、P層5とP−層5”が横方向に連なる図示のような形状のPN接合部10を形成することができる。そして、図13に示したように、第5工程でBOX層3に達する程の所定時間のドライブインを行ない一層化したP層を得て、PN接合部10に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を備えた所定のデバイスを完成させる。
上記実施例2の製造方法によれば、フォトレジスト工程は、実施例1に較べて1回追加されるものの、絶縁酸化膜9の開口は1回で済む。また、イオン注入の回数は2回となるものの、その反面、P層5とP−層5”の濃度を個々の目的に応じてより自由に選択できるという利点が生じる。
【0038】
次に、本発明における実施例3の製造方法について、図14〜図18を参照して説明する。
この実施例では、先ず、図14に示した第1工程において、SOI基板ウエハ20の表面を酸化させ、絶縁酸化膜9を形成した後、VLD技法により中心部から周辺部に向かって開口幅及び隣接間隔が漸次小さくなるように所定の開口(図4と同一工程)を行なう。
次に、図15に示した第2工程でフォトレジスト層15を形成した後、中央部に所定の開口を施し、第1ボロン注入16を行ない、所定時間のボロンドライブインで中央部に浅いP1層5Aが形成される。
次いで、図16に示した第3工程でフォトレジスト層15を除去した後、第2ボロン注入17を行ない、図17に示した第4工程で所定時間のボロンドライブインを経て、最終的に図18に示したように、その深さがBOX層3に達し、かつ、横方向に拡散して相互に一層化したP1層5A,P2層5B,P3層5C形成される。
【0039】
上記実施例3の製造方法で、先の実施例2の製造方法と顕著な相違を挙げれば、第1工程における絶縁酸化膜開口時のパターン形状のみである。
この実施例3における利点は、フォトレジスト工程が1回の追加で済むこと。また、イオン注入工程が1回追加されるものの、絶縁酸化膜開口は追加工程を伴うことなく、実施例1と同様に1回で済むこと等である。
【0040】
次に、本発明のデバイスのうち、製造方法の実施例1及び実施例2によって製作したデバイス、また比較・参照用として従来構造のデバイスについての内部状態やその特性(VR,trr)のシミュレーションを行なったので、その結果を述べる。
かかるシミュレーションに先立ち、先ず、従来構造、本発明実施例1及び実施例2におけるデバイスのシミュレーション領域を、図19〜図21に示す。
これらの図において、シミュレーション領域の寸法は、全て70μm(W)×4μm(H)であり、縦方向はデバイスのシリコン表面(y=0μm)から上方1μmの位置を基準として、そこからBOX層3の底部(y=3μm)まで、また、横方向はカソード電極8端部(x=0μm)からアノード電極7端部(x=70μm)までが計算の対象領域である。
【0041】
アノード電極7及びカソード電極8の開口幅は、ともに2μmとなっている。そして、図20の本発明の実施例1においては、アノード電極7の開口端5Aより6μm左の位置に3μm幅の開口部5Bが、その開口部5Bから5μm左の位置に1μm幅の開口部5Cが、その開口端5Cから3.5μm左の位置に0.5μm幅の開口部5Dがそれぞれ開口され、不純物導入が施されP1層、P2層、P3層、P4層が一層化されて最終的に1つのP層が形成されている。
【0042】
絶縁酸化膜9の厚さは、図では薄めに描いてあるが、実際は1μmであり、アノード電極7及びカソード電極8の厚みも1μm、N−層4の厚みは2μm、BOX層3の厚みは1μm、そして、N+層6の深は約1μmである。
なお、N−層4の比抵抗は、ρ=9(Ω・cm)である。
【0043】
次に、表1及び図22に、本発明実施例1のデバイスにおける拡散窓幅(開口寸法)とボロン表面ピーク濃度との関係を事前に調査するための基礎データを示した。
ボロン注入量は、各々1×1012、5×1012、1×1013、5×1013、1×1014(ドーズ)の5条件である。
そして、ボロンイオン(ドーパント・イオン)を注入するための拡散窓幅(開口寸法)を各々、0.2μm、0.5μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、8μm、10μm、15μmの11条件について計算しているので、合計5×11=55種類の計算結果が示されている。
なお、この時の熱処理条件は、上記55種類の各条件に全て共通で(1150℃/600分)である。
【0044】
【表1】
【0045】
図22に示された上記の結果を参照すれば、5つの注入条件に対してボロン表面不純物濃度が拡散窓幅の影響を受けない時に得られるボロン(表面)濃度は、各々、1×1012(ドーズ)/4.29×101 5(1/cm3)、5×1012(ドーズ)/2.14×101 6(1/cm3)、1×1013(ドーズ)/4.28×101 6(1/cm3)、5×1013(ドーズ)/2.29×101 7(1/cm3)、1×1014(ドーズ)/4.67×101 7(1/cm3)となっている。
【0046】
いわゆる当業者には周知のごとく、アノード電極金属とアノード領域(P層5)とが良好なオーミック・コンタクトを形成するためには、少なくとも4〜5×1016(1/cm3)程度のボロン(表面)濃度が確保・維持されている必要がある。
しかしながら、アノード領域(P1層)以外のP型領域(P2層,P3層,P4層)においては、オーミック・コンタクトを形成する必要がなく、デバイスの総合特性に良い影響を与えるのであれば、より低濃度であっても良いし、また、先の図32で示したように、より大きな値のΔVBを得るためには、かかる部分の濃度が、ほどほどに低濃度で、かつ、横方向の濃度勾配がより緩やかである必要がある。
【0047】
そしてまた、P型領域(P1層,P2層〜P4層)の過剰なキャリア濃度は、P型領域からN−層4領域内に向かってキャリアが注入される時、過剰なキャリア注入状態を招き、逆回復時間特性(trr)を遅らせることも良く知られている。
以上のような見地に基づき、上記の5つのドーズ量での注入条件の中で、1×1013(ドーズ)が、本発明者等の所望の値に最も近いことが分かった。
したがって、以下の説明では、ボロンイオンの注入量は、特に断りの無い限り1×1013(ドーズ)とする。
【0048】
さて、再び図22に注目すると、不純物ドーピングのための開口寸法が8μm付近を境として、それ以上の幅ではボロンのピーク(表面)濃度が開口寸法によらず一定となるに対して、それ以下の幅においては、ボロンのピーク(表面)濃度が徐々に減少するという傾向が見られる。
これは、この領域を積極的に利用、すなわち、不純物ドーピングのための開口幅と各々の開口幅間の間隔を適宜調整することにより、従来は複数回の絶縁酸化膜開口のためのマスク工程と複数回のイオン注入工程を要していた工程を、僅か1回のマスク工程と1回のイオン注入工程を以って、PN接合部10近傍のP型領域不純物プロファイル勾配を制御できることを示唆している。
【0049】
続いて、図19、図20及び図21に示した従来構造のデバイス、本発明実施例1のデバイス及び本発明実施例2のデバイスのシミュレーション領域における具体的な結果を示す。
図23は、従来構造デバイスの2次元濃度分布プロファイルを示している。
図において、P層の濃度勾配がx=40〜45μmの付近に集中していることが良く分かる。
これに対して、図24は、本発明実施例1におけるデバイスの2次元不純物濃度プロファイルを示している。
図において、一番右にあるP層の等濃度線(≒4×1016(1/cm3))からPN接合部(x≒39,40μm)の位置までの横方向距離にも大きな差があること分かる。そして、P2層及びP3層開口部下部付近に濃度変化があることにも注意すべきである。
【0050】
また、図25に示した本発明実施例2におけるデバイスの2次元不純物濃度プロファイルに関しても一番右にあるP層の等濃度線(≒4×1016(1/cm3))からPN接合部(x≒40μm)の位置までの横方向距離が、充分に広がっていることが分かる。
【0051】
次に、シリコン(N−層4)表面にごく近い(表面から0.1μmの深さ)A−A’線沿いの従来構造、本発明実施例1及び本発明実施例2の不純物濃度分布を図26に示した。
図において、実線▲1▼は、本発明実施例1におけるデバイスの不純物濃度分布、小破線▲2▼は、本発明実施例2におけるデバイスの不純物濃度分布、大破線▲3▼は、従来構造デバイスの不純物濃度分布を示している。
また、従来構造のデバイスでは、x=44〜70μmにかけて均一の不純物濃度分布であり、x=40〜44μmにかけて濃度が急激に減少するという分布を示している。これに対して、本発明実施例1のデバイス(実線▲1▼)では、x=60〜70μmの範囲のみが均一の不純物濃度分布であり、x≒41μmにP4層の、x≒45μmにP3層の、x≒52μmにP2層の、ボロンイオン注入によって形成されたそれぞれのピーク形態を残して、しかもP4層>P3層>P2層>P1層に従って、その濃度が順次減少していることが明確に図に現れている。
【0052】
本発明実施例2のデバイス(小破線▲2▼)においては、x=60〜70μmの範囲でのP層濃度が均一であることは、上記実施例1のデバイスと同様であるが、図9〜図14に示したような製作プロセスを経るので、x≒44〜54μmにかけての範囲がCP −=4×1015(1/cm3)である第2のP−層の濃度一定領域を有するようになる。
しかしながら、P領域→P−領域への移行部(x≒55〜60μm)及びP−領域→PN接合部への移行部(x=40〜44μm)の範囲領域では、その濃度勾配は、極端に変化しているとも見ることができる一方、全体として見れば、x≒40〜60μmの広い範囲に亘って濃度勾配が変化している不純物濃度分布を示すと総括することもできる。
【0053】
以上のようなデバイス内部の不純物濃度分布が形成された結果、図27中に示すような本発明実施例1(実線▲1▼)、本発明実施例2(小破線▲2▼)及び従来のデバイス(大破線▲3▼)の電位分布が形成されることになる。
図の電位分布を見る限りは、従来のデバイスと本発明実施例1のデバイス間に大差は見られないが、x=40〜44μmの範囲にかけて、僅かではあるが、従来のデバイスの方が早目に、かつ、急峻に電位が下がることが分かる。これに対して本発明実施例2のデバイスにおいては、略実施例1のデバイスから右方向に約2μmだけ同一形状で平行移動したような電位分布が示されていることが分かる。
上記の理由は、図26を参照すれば、PN接合部の位置が実施例1のx≒39μmからx≒40μmにシフトした位置にあることが若干影響しているとも考えられる。しかし、真実の理由は、次の28図中に示した電界強度分布の相違にあると言える。
【0054】
そこで、次に図28について考察する。
図28に示した従来構造のデバイス、本発明実施例1のデバイス及び本発明実施例2のデバイスにおけるA−A’線沿いの電界強度分布で明らかなのは、次のようなことである。
(1)ピークの電界強度が各デバイスにおいて、2.48×105(V/cm)(従来構造:大破線▲3▼)、2.41×105(V/cm)(実施例1:実線▲1▼)、2.25×105(V/cm)(実施例2:小破線▲2▼)の順に低下していること。
(2)ピーク電界の位置は、PN接合部の位置に通常は一致するので、各々、x≒40μm(従来構造)、39μm(実施例1)、40μm(実施例2)の位置となっていること。
(3)以上により、上記の電界強度の積分値が図27の電位分布をもたらすこと。
つまり、図28において、本発明実施例2のデバイスにおける電界強度の立ち上がりが従来構造に較べ右方向に約2μmシフトしている分、図27の電位分布も同様にシフトしていることになる。
【0055】
いずれにしても、一番大切なことは本発明のデバイスでは、実施例1及び実施例2ともに、前記(1)で示したように、電界強度が従来構造に較べ低下していることである。そして、その結果、図29中に示したように、デバイスの耐電圧特性が向上するという結果を得ることができるのである。
すなわち、図29において、実線▲1▼は、本発明実施例1におけるデバイスの耐電圧特性、小破線▲2▼は、本発明実施例2におけるデバイスの耐電圧特性、大破線▲3▼は、従来構造におけるデバイスの耐電圧特性であり、それぞれのピーク値は、470V,460V,415v(@IR=10−11A)となっている。
【0056】
ところで、ρ=9(Ω・cm)/Nd=5×5.13×1014(1/cm3)での平行平面接合でのブレークダウン電圧が、528.3V(空乏層の広がり幅=36.8μm)であることを考慮すると、それぞれ、その89.0(%)、87.1(%)、78.6(%)にも相当する高い逆耐電圧(VR)が実現されていることになり、本発明と比較した従来構造デバイスそのもののVRの値自体もかなり高いが、実施例1のデバイスでは、それを10%(+55V)、実施例2のデバイスでは8.5%(+45V)も上回る結果を得ることができた。
【0057】
シミュレーションの最後に、上記従来構造、実施例1及び実施例2におけるデバイスの逆回復特性(trr)についてもシミュレーションしたので、その結果を図30に示す。
図30において、実線▲1▼は、前記同様に本発明実施例1におけるデバイスのtrr特性、小破線▲2▼は、本発明実施例2におけるデバイスのtrr特性、大破線▲3▼は、従来構造におけるデバイスのtrr特性を示している。また、図から明らかなように、従来のデバイスに較べて、本発明実施例1及び本発明実施例2のいずれのデバイスにおいても、ピーク逆電流(Irr)、逆回復時間(trr)が、ともに改善されていることが分かる。
【0058】
表2に逆回復特性のシミュレーション結果の実測値を示した。
【0059】
【表2】
【0060】
上記表2の結果によれば、本発明実施例1のデバイスでは、従来のデバイスに較べIrrが、Irr3=12.7(A)からIrr1=12.4(A)にと減少し、trrが、trr3=85.4(ns)からtrr1=79.8(ns)にと改善された。また、本発明実施例2のデバイスでは、Irrが、Irr3=12.7(A)からIrr2=11.4(A)にと減少し、trrが、trr3=85.4(ns)からtrr2=84.0(ns)にと改善された。
なお、本発明実施例2のデバイスは、Irrが大きく改善されているにも拘らず、trrが僅かな改善となっている。これは、0.9Irr付近での回復波形が、従来のデバイスに較べては勿論のこと、本発明実施例1のデバイスよりもさらにソフトになっているためである。
したがって、実施例2のデバイスは、そのような特性を考慮すれば、例えば低ノイズ型デバイス向きの用途に適しているということもできる。
【0061】
なお、図14〜18図に示した本発明実施例3におけるデバイスについてのシミュレーションついては特に実施せず、また、言及もしなかったが、上記実施例1及び実施例2におけるデバイスと同様に従来構造のデバイスに較べて優れたIrr特性及びtrr特性を示すことは言うまでもない。
【0062】
【発明の効果】
以上、上記の実施例を通じて説明した本発明構造の半導体装置によれば、形成する素子の占有面積を節約しつつ、従来構造において得られていた逆耐電圧特性を上回る高い降伏電圧を得ることができるとともに、逆回復特性においてもより高速化が可能となる。また、本発明の製造方法によれば、複雑な製造プロセスを経ることなく、比較的簡単なプロセスで、かつ、製造コストを増大させることなく目的とする半導体装置が得られる等の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す半導体装置の断面図である。
【図2】上記半導体装置におけるP層を形成するための不純物ドーピングマスクの説明図である。
【図3】図1におけるA−A’線に沿う不純物濃度プロファイルを示す図である。
【図4】本発明実施例1の製造方法おける第1工程を示す説明図である。
【図5】本発明実施例1の製造方法おける第2工程を示す説明図である。
【図6】本発明実施例1の製造方法おける第3工程を示す説明図であり、(a)はボロンドライブインの進行過程を示す図、(b)はドライブイン終了後の状態を示す図である。
【図7】本発明実施例1の製造方法おける第4工程を示す説明図である。
【図8】本発明実施例1の製造方法おける第5工程を示す説明図である。
【図9】本発明実施例2の製造方法おける第1工程を示す説明図である。
【図10】本発明実施例2の製造方法おける第2工程を示す説明図である。
【図11】本発明実施例2の製造方法おける第3工程を示す説明図である。
【図12】本発明実施例2の製造方法おける第4工程を示す説明図である。
【図13】本発明実施例2の製造方法おける第5工程を示す説明図である。
【図14】本発明実施例3の製造方法おける第1工程を示す説明図である。
【図15】本発明実施例3の製造方法おける第2工程を示す説明図である。
【図16】本発明実施例3の製造方法おける第3工程を示す説明図である。
【図17】本発明実施例3の製造方法おける第4工程を示す説明図である。
【図18】本発明実施例3の製造方法おける第5工程を示す説明図である。
【図19】従来構造におけるデバイスのシミュレーション領域を示す図である。
【図20】本発明実施例1におけるデバイスのシミュレーション領域を示す図である。
【図21】本発明実施例2におけるデバイスのシミュレーション領域を示す図である。
【図22】本発明実施例1における拡散窓幅対ボロンピーク濃度との関係を示す図である。
【図23】従来構造のデバイスにおける2次元不純物濃度プロファイルを示す図である。
【図24】本発明実施例1のデバイスにおける2次元不純物濃度プロファイルを示す図である。
【図25】本発明実施例2のデバイスにおける2次元不純物濃度プロファイルを示す図である。
【図26】従来構造、本発明実施例1及び本発明実施例2のデバイスを示した図19、図20、図21におけるA−A’線沿いの不純物濃度分布を示す図である。
【図27】従来構造、本発明実施例1及び本発明実施例2のデバイスを示した上記各図におけるA−A’線沿いの電位分布を示す図である。
【図28】従来構造、本発明実施例1及び本発明実施例2のデバイスを示した上記各図におけるA−A’線沿いの電界強度分布を示す図である。
【図29】従来構造、本発明実施例1及び本発明実施例2のデバイスの耐電圧波形を示す図である。
【図30】従来構造、本発明実施例1及び本発明実施例2のデバイスの逆回復時間(trr)特性を示す図である。
【図31】従来構造デバイスの断面図である。
【図32】従来構造デバイスの不純物濃度プロファイル及び逆電圧印加時の電界強度分布を示す図である。
【図33】VLD構造デバイスの断面図である。
【図34】JTE構造デバイスの断面図である。
【符号の説明】
1 半導体装置
2 支持基板
3 誘電体分離層(BOX層)
4 N−層
5 P層
5’ P’層
5” P−層
5A P1層
5B P2層
5C P3層
5D P4層
6 N+層
7 アノード電極
8 カソード電極
9 絶縁酸化膜
10 PN接合部
11,11A,11B,11C 開口
12 イオン注入
14 不純物ドーピングマスク
13a〜13n 不純物ドーピング孔
15 フォトレジスト層
16 第1ボロン
17 第2ボロン
20 SOI基板ウエハ
【発明の属する技術分野】
本発明は、SOI(silicon on insulator)基板を用いた横型半導体装置のPN接合を改良し、特に従来構造において得られていた逆耐電圧特性(VR)を上回る降伏電圧を得ることができるとともに、逆回復特性(trr)の高速化を実現できる新規な半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図31に、この種の半導体装置の基本的な従来構造例を示す。
図において、符号1は半導体装置1全体を示し、SOIウエハの支持基板(Sub)2上に、誘電体分離層(BOX:Buried Oxide Layer)があり、その上にN−層4が積層されている。このN−層4中に、図示のようにP層5及びN+層6が形成されている。また、上記P層5の表面にはアノード電極7が、N+層6の表面にはカソード電極8がそれぞれ形成されている。
なお、符号9は、N+層6、N−層4、P層10の表面に跨って形成された絶縁酸化膜である。
【0003】
次に、図32に、図31におけるA−A’線に沿う断面の不純物濃度プロファイル及び図31に示した半導体装置1のアノード電極7、カソード電極8間に逆電圧を印加した時の電界強度分布を示す。
【0004】
上記図31におけるP層5は、絶縁酸化膜等のドーピングマスクを通してドーパントイオンを注入し、あるいは熱処理によるデポジションによりN−層4表面に、高濃度で浅い前記P層5を形成した後に、続く熱処理によりドーパントイオンをウエハ内部深くまで拡散せることにより形成される。このようにして形成されたP層5の示す不純物濃度プロファイル曲線は、図32に示したガウス分布曲線Gcとなることが一般的に知られている。
【0005】
上記P層5とN−層4とで形成されるPN接合部10に、逆電圧を印加すると、該PN接合部10に高い電界ピーク値を持つ三角形の電界強度分布を示すことが知られており、このピーク電界(Ep)が降伏電圧を越えると、PN接合部10のブレークダウンが生じる。
そして、所望の降伏電圧を得るためには、このピーク電界(Ep)を制御する必要があり、N−層4の比抵抗及びP層5・N+層6(アノード・カソード)間の距離を適当な値に設定する必要がある。
【0006】
また、P層5の表面不純物濃度を下げると、アノード電極7を構成する電極金属との接触抵抗が上昇するため、該P層5の表面不純物濃度を、ある程度の高濃度に保つ必要がある。結果的にN−層4の不純物濃度に対するP層5の表面不純物濃度が数100倍以上の高濃度となる。さらに、P層5の不純物濃度プロファイルがガウス分布を示すことにより、PN接合部10近傍でのP層5の不純物濃度は、先に述べた高濃度の領域からPN接合部10に向けて急激に減少する形となるため、P層5からN−層4への少数キャリア(正孔)の注入量が比較的大きな値を示すことになる。
【0007】
さて、拡散手法等を用い、P型不純物を導入して形成したPN接合は、図32に示したように、片側階段接合に較べてP層濃度が徐々に減少する分布を有している。
デバイスの設計者は、より安全サイドの設計を行なうため、PN接合の両端、すなわち、N−層側とP層側に広がる空乏層WNとWP(図32参照)のうちの、WNのみによって逆電圧が維持されるものとして、つまり、WP=0と仮定して、得られるデバイスの耐圧を計算している。図32中のVB、すなわち、N−層側に広がる空乏層中の電界強度(E)の積分値(左傾斜ハッチングを施した部分)がこれに相当するが、これのみを有効な耐圧として計算している。
しかしながら、実際のデバイスではP層側にも広がるWPによって、図32中のΔVB相当分(右傾斜ハッチングを施した部分)の耐圧向上が期待できることが分かる。
【0008】
これらの詳細は、例えば以下の文献にその記述がある。
(Ref.1)
”Breakdown Voltage of Diffused Epitaxial
Junctions”,by Constantin Bulucea,Solid State
Electronics,Vol.34,pp.167−172,1991
上記の文献によれば、N−層の濃度をNB、P層の濃度をNSとして、また電界強度の最大値をEM,ガウス分布傾斜をa=2(NB/Xip)ln(NS/NB)で示すとして、下記(1)式で示されるΔVBが実際のデバイスの耐圧に加算できるとしている。
ΔVB=(2/3)√2(ε/q)1 / 2(EM)3 / 2(a)−1 / 2・・・・(1)
【0009】
上記のことは換言すれば、同じ比抵抗(ρ)のSOI基板上にあるN−層を用いたとしても、ΔVBがより大きくとれるような、すなわち、上記(1)式中のガウス分布傾斜aの1/2乗に逆比例してΔVBが増大するので、aを小さくする、すなわち、不純物濃度傾斜をより緩やかにしてやればやる程、ΔVBがその分大きく取れる、と言うことになり、本発明はその点に着目している。
【0010】
次に、それでは図32中のガウス分布部分の傾きを、より緩やかにする方法について考えてみる。
かかる方法としては種々の方法が考案されているが、中でも図33中に示した方法は、VLD(Variation of Lateral Doping)と呼ばれる方法であるが、この手法は、半導体装置1の表面に形成した絶縁酸化膜9の異なる孔径の開口11を通してイオン注入12を行ない、このイオン注入が1回の工程でデバイスを製作できる点で魅力ある手法である。
その手法の詳細は下記の文献に示されている。
(Ref.2)
R.Stengl et al.,”Variation of Lateral Doping as a field terminator
for high voltage power devices,” IEEE Trans.Electron Devices,vol.ED−33,no.3,
pp.426−428,1986
上記文献に記載の手法が、本発明におけるガウス分布の傾きをより緩やかにする目的に合致する。
なお、上記の手法は、次の特許公報にも明らかにされており、いずれもその内容は本質的に略同じと評価できる。
(Ref.3)
特公平6−3799号、特開平7−193018号、特開平7−273325号
【0011】
また、絶縁酸化膜開口のためのマスク回数及びイオン注入の回数は、先のVLD手法に比べて1回多くなるものの、図34に示すようなJTE(Junction Termination Extension)と呼ばれる手法もある。
上記の手法によれば、半導体装置1の主接合を形成するP+層5Aの周辺に、より深く、かつ、より低濃度のP−層5Bを配しているので、図中のP+層5A→P−層5B→N−層4→N+層6に至る横方向の中でも特にP−層5B・N−層4間でのP型不純物濃度分布傾斜を、希望する値に適合させることができる可能性がある。
なお、図中、6Aは基板自体のN+層、9は半導体装置1の表面に形成された絶縁酸化膜である。
【0012】
上記JTE手法の中でも、特にプラナ接合に適用した文献としては、例えば次のものが周知である。
(Ref.4)
V.Boisson et al.,”Computer study of
high voltage p−n−n−−n+diode and comparison with a field
limiting ring structure.”IEEE Trans. Electron
Devices,vol.ED−33,no.1,pp.80−84,1986
しかしながら、これらのVLD手法、JTE手法は、いずれも構造的に縦型デバイスに用いたものであって、P+層5Aや、P−層5Bの下部にはN−層4を残した状態で適用されるものである。
したがって、それをSOIデバイスに応用するにしても、それ相応の工夫が必要である。そして、商業ベースでは、より少ない絶縁酸化膜開口のためのマスク回数と、より少ないイオン注入工程の回数を意識しながら、所望のデバイスを効率良く得ることが必要である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方法により形成されたPN接合部で高い降伏電圧を得るためには、図31に示したような構造の半導体装置1において、N−層4の比抵抗を高くし、P層5−N+層6間の距離を長く取らなければならず、順電圧(IF)の増加よる損失の増大、及び占有面積を小さくすることができない等の解決すべき課題があった。
また、P層不純物濃度プロファイルの形状に起因する少数キャリアの注入量を制御することができず、逆回復時間(trr)が長くなってしまう等の解決すべき課題もあった。
【0014】
本発明は、上記の各課題を解決するためになされたもので、形成する素子の面積を節約するとともに、高い降伏電圧を示すPN接合部を実現し、かつ、逆回復特性の高速化を図り得るPN接合部を有する半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決しようとする手段】
請求項1に記載した発明は、一導電型半導体支持基板上に誘電体分離層(BOX層)を有し、該BOX層上に低不純物濃度の第2導電型層が形成されたSOI基板ウエハを使用し、前記第2導電型層中に、該第2導電型層の表面から前記BOX層に達する深さの前記第2導電型とは反対導電型の第1導電型層と、該第2導電型層の表面から高不純物濃度の第2導電型層とが形成され、前記SOI基板ウエハの表面上には絶縁酸化膜を有し、該絶縁酸化膜の開口を介して前記第1導電型層と接続された第1電極と、該絶縁酸化膜の開口を介して前記第2導電型層と接続された第2電極とを備えた半導体装置において、
前記第1導電型層は、該第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有することを特徴とするものである。
【0016】
請求項2に記載した発明は、前記第1導電型層が、前記SOI基板ウエハの中心部から周辺部に向かって孔径が漸次減少し、かつ、該孔相互の間隔も漸次減少する複数の不純物ドーピング孔を備えた不純物ドーピングマスクとしての絶縁酸化膜を介して形成され、複数の分離した第1導電型層が熱処理より縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して複数の分離した第1導電型層が一層化した構造であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3に記載した発明は、前記第1導電型層が、前記第2導電型層中に最初に形成した第1導電型層より深さの浅い低不純物濃度の別の第1導電型層を有し、熱処理により縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して前記2つの第1導電型層が一層化した構造であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項4に記載した発明は、一導電型半導体支持基板上に誘電体分離層(BOX層)を有し、該BOX層上に低不純物濃度の第2導電型層が形成されたSOI基板ウエハの表面上に絶縁酸化膜を形成する工程と、
この工程を経て形成された絶縁酸化膜に、前記SOI基板ウエハの中心部から周辺部に向かって孔径が漸次減少し、かつ、該孔相互の間隔も漸次減少する複数の不純物ドーピング孔を形成し、該ドーピング孔を介して前記第2導電型層内に、表面から浅い互いに分離された前記第2導電型とは反対導電型の複数の第1導電型層を形成する工程と、
複数の分離した前記第1導電型層が熱処理により縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して一層化した構造と成し、この一層化した構造の第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とするものである。
【0019】
請求項5に記載した発明は、前記SOI基板ウエハの第2導電型層中に、表面側から深さの浅い第1導電型層と、該第1導電型層の外側に隣接して該第1導電型層の不純物濃度よりも濃度の低い不純物濃度を有する別の第1導電型層とを形成する工程と、
前記第1導電型層及び該第1導電型層の不純物濃度よりも濃度の低い不純物濃度を有する別の第1導電型層とを熱処理し、縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して一層化し、この一層化した第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とするものである。
【0020】
請求項6に記載した発明は、一導電型半導体支持基板上に誘電体分離層(BOX層)を有し、該BOX層上に低不純物濃度の第2導電型層が形成されたSOI基板ウエハの表面上に絶縁酸化膜を形成する工程と、
この工程を経て形成された絶縁酸化膜に、前記SOI基板ウエハの中心部から周辺部に向かって孔径が漸次減少し、かつ、該孔相互の間隔も漸次減少する開口を形成する工程と、
前記工程よって形成された中央部の開口を除き、周辺部の開口を被覆材で覆って前記第2導電型層中の中央部に深さの浅い第1導電型層を形成する工程と、
前記周辺部の開口を覆う被覆材を除去した後、該開口を介して前記第2導電型層中及び前記浅い第1導電型層中に重ねて不純物を導入して互いに分離した複数の第1導電型層を形成する工程と、
前記工程によって形成された互いに分離した複数の第1導電型層を熱処理することにより縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して一層化し、この一層化した第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とするものである。
【0021】
【作用】
請求項1に記載した発明では、SOI基板ウエハを使用し、第2導電型層、例えばN−層中に、BOX層に達する深さの第1導電型層、例えば複数のP層を形成し、この複数のP層は、熱処理としてのドライブインにより横方向にも拡散し、前記N−層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する一層化したP層が形成される。
このため、PN接合部に形成される高い電界ピーク値(EP)を相対的に低く制御することができる。その結果、高い降伏電圧を得ることができ、逆耐電圧特性(VR)が向上するとともに、適宜に制御したP層不純物濃度プロファイルにより少数キャリアの注入量を的確に制御し逆回復時間(trr)を相対的に短くすることができる。
【0022】
請求項2に記載した発明では、いわゆるVLD法によって形成された構造のP層とした。このため、より確実にPN接合部のEPを制御し、高い降伏電圧を得ることができるともに、前記同様に少数キャリアの注入量を制御し、trr特性を改善することができる。
【0023】
請求項3に記載した発明では、いわゆるJTE法によって形成された構造のP層とした。このため、請求項2に記載の発明に較べ、フォトレジスト工程及びイオン注入工程は1回追加されるものの、絶縁酸化膜開口は追加を伴うことなく前記同様の効果が得られる。
【0024】
請求項4に記載した発明では、SOI基板ウエハの表面上に絶縁酸化膜を形成する工程と、第2導電型層内に、互いに分離された前記第2導電型とは反対導電型の浅い複数の分離した第1導電型層を形成する工程と、前記複数の分離した第1導電型層が熱処理により縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して前記複数の分離した第1導電型層を一層化した構造と成し、この一層化した構造の第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程とを少なくとも含むような製造方法とした。
このため、この製造方法で得られた半導体装置は、前記同様にPN接合部に形成される高い電界ピーク値(EP)を相対的に低く制御することができる。その結果、高い降伏電圧を得ることができ、逆耐電圧特性(VR)が向上するとともに、適宜に制御したP層不純物濃度プロファイルにより少数キャリアの注入量を的確に制御し逆回復時間(trr)を相対的に短くすることができる。
【0025】
請求項5に記載した発明では、SOI基板ウエハの第2導電型層中に、表面側から深さの浅い第1導電型層と、該第1導電型層の外側に隣接して該第1導電型層の不純物濃度よりも濃度の低い不純物濃度を有する別の第1導電型層とを形成する工程と、前記第1導電型層及び該第1導電型層の不純物濃度よりも濃度の低い不純物濃度を有する別の第1導電型層とを熱処理し、縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して一層化し、この一層化した第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程とを少なくとも含むような製造方法とした。
このため、前記の製造方法と同様に、この製造方法により得られた半導体装置は、前記PN接合部に形成される高い電界ピーク値(EP)を相対的に低く制御することができる。その結果、高い降伏電圧を得ることができ、逆耐電圧特性(VR)が向上するとともに、適宜に制御したP層不純物濃度プロファイルにより少数キャリアの注入量を的確に制御し逆回復時間(trr)を相対的に短くすることができる。
【0026】
請求項6に記載した発明では、請求項5に記載した発明の製造方法において、最初の工程で絶縁酸化膜開口時のパターン形状を変えるとともに、途中の工程にフォトレジスト工程及びイオン注入工程を1回追加することにより、不純物ドーピングマスクとしての絶縁酸化膜開口のための工程は1回で済む。
このため、この製造方法においても、複雑な工程を経ることなく、前記と同様の効果を有する半導体装置を効率良く得ることができる。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を、図を参照して説明する。
図1は本発明の一実施例を示す半導体装置の断面図である。
図において、半導体装置1は、SOIウエハの支持基板(Sub)2上に誘電体分離層(BOX層)3があり、その上にN−層4が積層されている。このN−層4中に、その深さがBOX層3にまで達するP’層5’及びその深さが浅いN+層6が図示のように形成されている。また、上記P’層5’の表面中心部にはアノード電極7が、N+層6の表面周辺部にはカソード電極8がそれぞれ形成されている。
なお、符号9は、N+層6、N−層4、P’層5’に跨って形成された絶縁酸化膜である。
【0028】
上記の構成で、P’層5’の形成は次のようにして行なわれる。
すなわち、図2に示した複数の部分的な不純物ドーピング孔13a〜13nを有する不純物ドーピングマスク14(絶縁酸化膜)を介してドーパントイオンを注入し、N−層4表面に部分的な浅いP層(図示せず)を形成した後に熱処理を行ない、ドーパントイオン12を少なくともBOX層3に達する基板内深くまで拡散することにより形成する。この時、各不純物ドーピング孔13a〜13nよりドーパントイオン注入で形成された部分的なP層は、熱処理による横方向の拡散により隣り合うP層が重なり合って一層化したP’層5’となる。
【0029】
上記のようにして形成されたPN接合部10の図1におけるA−A’線に沿う断面の不純物濃度プロファイルを示せば、図3のようになる。
上記の不純物濃度プロファイルから明らかなように、P’層5’電極金属との接触面よりP’層5’の中心部から外側に行くに従って、不純物ドーピングマスク14における不純物ドーピング孔13a〜13nの孔径を漸次小さく、かつ、相互の間隔を狭くなっているので、当該P’層5’不純物濃度は、PN接合部10に向かって緩やかに減少した構造となっている。
【0030】
次に、図4〜図8を参照して上記構造を有する半導体装置の製造方法の実施例について述べる。
先ず、第1の実施例では、図4の第1工程において、SOI基板ウエハ20の表面が酸化され、図33中にも示したようにVLD技法と同様な、すなわち、前記基板ウエハ20の中心部から周辺部向かって、より開口幅の寸法が狭くなるように11A,11B,11Cが周知のフォトグラフィ技術を用いて開口される。また、周辺部の耐圧維持領域と中心部のアノード形成領域とが、1回のマスクプロセスで周知の前記方法により開口される。
【0031】
次に、図5に示した第2工程において、上記開口11A,11B,11C及び開口を有さない絶縁酸化膜9上を含めてボロン不純物が、所望のドーズ量、例えば1×1013ドーズでイオン注入12される。
【0032】
続いて、図6の第3工程では、注入されたボロンイオンが高温の炉中で所要時間ドライブインされる。この時、開口11Aと、開口11B、11Cでは開口幅が異なっているために、実質上のボロン濃度に差が生じている(図6(a)参照)。
すなわち、ボロン濃度は、11A>11B>11Cとなっているので、ドライブインの途中でN−層4中に拡散され形成されて行くPN接合は、図示のように段差状となり、やがてP1層5A、P2層5B、P3層5Cの全てがBOX層3に達した後、合成されて一層化し、見かけ上1つのPN接合部10となる(図6(b)参照)。
【0033】
しかしながら、P1層5A側に較べてP3層5C側では、より濃度の薄い分布を形成していることが分かる。また、この時形成される横幅についても、P1層5Aのみが開口されて形成されている時の幅(W1)に較べ、P1〜P3層5A〜5Cが開口されて形成される幅(W2)の方が、遥かに大きくW2≫W1となることが分かる。つまり、その分、P層の横方向濃度傾斜幅をより広く形成することができることになる。
【0034】
続く図7に示した第4工程において、リンイオンがデポジット、あるいはイオン注入されドライブインされる。
図において、周辺部のN+層6の深さは、ここでは指定しないが、よりBOX層3に近い程に深く拡散されれば、横方向に電流が流れるので、VF特性により有利となる一方、図示のW3の幅が狭くなる分、耐圧特性については減少傾向を示すものと考えられる。
【0035】
続いて図8に示した第5工程において、中央部のアノード領域及び周辺部のカソード領域が開口され、例えばアルミ系金属から成る電極金属が前記基板ウエハ20の全面に蒸着(スパッタ)される。
その後、周知のマスクプロセスにより、電極がパターンニングされ、良好なオーミックコンタクト形成のためのアニール工程を伴ってアノード電極7及びカソード電極8を得た後、本発明の構造を有するデバイスが完成する。
【0036】
次に、図9〜図13を参照して本発明の製造方法における実施例2を説明する。
この実施例2で得られるデバイスは、図34に示した周知のJTE手法を本発明の方法に適用・応用して得られたものである。この構造のデバイスは、実施例1のデバイスのように、1回のマスク工程と1回の不純物(ボロン)注入により形成することは不可能であるが、以下のように比較的簡単な工程を経て製作することができる。
すなわち、図9に示した第1工程である絶縁酸化膜9の形成工程後、例えば図10に示した第2工程において、P層5領域のみを開口するように、フォトレジスト層15を形成した後、当該開口を介して第1ボロン16を注入する。
【0037】
次いで、上記フォトレジスト層15を除去した後、図11に示した第3工程において、第2ボロン17をP層5及び第1ボロン注入時に形成されたP−層5”領域上に重ねて注入し、図12に示した第4工程でボロンドライブインを行なえば、P層5とP−層5”が横方向に連なる図示のような形状のPN接合部10を形成することができる。そして、図13に示したように、第5工程でBOX層3に達する程の所定時間のドライブインを行ない一層化したP層を得て、PN接合部10に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を備えた所定のデバイスを完成させる。
上記実施例2の製造方法によれば、フォトレジスト工程は、実施例1に較べて1回追加されるものの、絶縁酸化膜9の開口は1回で済む。また、イオン注入の回数は2回となるものの、その反面、P層5とP−層5”の濃度を個々の目的に応じてより自由に選択できるという利点が生じる。
【0038】
次に、本発明における実施例3の製造方法について、図14〜図18を参照して説明する。
この実施例では、先ず、図14に示した第1工程において、SOI基板ウエハ20の表面を酸化させ、絶縁酸化膜9を形成した後、VLD技法により中心部から周辺部に向かって開口幅及び隣接間隔が漸次小さくなるように所定の開口(図4と同一工程)を行なう。
次に、図15に示した第2工程でフォトレジスト層15を形成した後、中央部に所定の開口を施し、第1ボロン注入16を行ない、所定時間のボロンドライブインで中央部に浅いP1層5Aが形成される。
次いで、図16に示した第3工程でフォトレジスト層15を除去した後、第2ボロン注入17を行ない、図17に示した第4工程で所定時間のボロンドライブインを経て、最終的に図18に示したように、その深さがBOX層3に達し、かつ、横方向に拡散して相互に一層化したP1層5A,P2層5B,P3層5C形成される。
【0039】
上記実施例3の製造方法で、先の実施例2の製造方法と顕著な相違を挙げれば、第1工程における絶縁酸化膜開口時のパターン形状のみである。
この実施例3における利点は、フォトレジスト工程が1回の追加で済むこと。また、イオン注入工程が1回追加されるものの、絶縁酸化膜開口は追加工程を伴うことなく、実施例1と同様に1回で済むこと等である。
【0040】
次に、本発明のデバイスのうち、製造方法の実施例1及び実施例2によって製作したデバイス、また比較・参照用として従来構造のデバイスについての内部状態やその特性(VR,trr)のシミュレーションを行なったので、その結果を述べる。
かかるシミュレーションに先立ち、先ず、従来構造、本発明実施例1及び実施例2におけるデバイスのシミュレーション領域を、図19〜図21に示す。
これらの図において、シミュレーション領域の寸法は、全て70μm(W)×4μm(H)であり、縦方向はデバイスのシリコン表面(y=0μm)から上方1μmの位置を基準として、そこからBOX層3の底部(y=3μm)まで、また、横方向はカソード電極8端部(x=0μm)からアノード電極7端部(x=70μm)までが計算の対象領域である。
【0041】
アノード電極7及びカソード電極8の開口幅は、ともに2μmとなっている。そして、図20の本発明の実施例1においては、アノード電極7の開口端5Aより6μm左の位置に3μm幅の開口部5Bが、その開口部5Bから5μm左の位置に1μm幅の開口部5Cが、その開口端5Cから3.5μm左の位置に0.5μm幅の開口部5Dがそれぞれ開口され、不純物導入が施されP1層、P2層、P3層、P4層が一層化されて最終的に1つのP層が形成されている。
【0042】
絶縁酸化膜9の厚さは、図では薄めに描いてあるが、実際は1μmであり、アノード電極7及びカソード電極8の厚みも1μm、N−層4の厚みは2μm、BOX層3の厚みは1μm、そして、N+層6の深は約1μmである。
なお、N−層4の比抵抗は、ρ=9(Ω・cm)である。
【0043】
次に、表1及び図22に、本発明実施例1のデバイスにおける拡散窓幅(開口寸法)とボロン表面ピーク濃度との関係を事前に調査するための基礎データを示した。
ボロン注入量は、各々1×1012、5×1012、1×1013、5×1013、1×1014(ドーズ)の5条件である。
そして、ボロンイオン(ドーパント・イオン)を注入するための拡散窓幅(開口寸法)を各々、0.2μm、0.5μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、8μm、10μm、15μmの11条件について計算しているので、合計5×11=55種類の計算結果が示されている。
なお、この時の熱処理条件は、上記55種類の各条件に全て共通で(1150℃/600分)である。
【0044】
【表1】
【0045】
図22に示された上記の結果を参照すれば、5つの注入条件に対してボロン表面不純物濃度が拡散窓幅の影響を受けない時に得られるボロン(表面)濃度は、各々、1×1012(ドーズ)/4.29×101 5(1/cm3)、5×1012(ドーズ)/2.14×101 6(1/cm3)、1×1013(ドーズ)/4.28×101 6(1/cm3)、5×1013(ドーズ)/2.29×101 7(1/cm3)、1×1014(ドーズ)/4.67×101 7(1/cm3)となっている。
【0046】
いわゆる当業者には周知のごとく、アノード電極金属とアノード領域(P層5)とが良好なオーミック・コンタクトを形成するためには、少なくとも4〜5×1016(1/cm3)程度のボロン(表面)濃度が確保・維持されている必要がある。
しかしながら、アノード領域(P1層)以外のP型領域(P2層,P3層,P4層)においては、オーミック・コンタクトを形成する必要がなく、デバイスの総合特性に良い影響を与えるのであれば、より低濃度であっても良いし、また、先の図32で示したように、より大きな値のΔVBを得るためには、かかる部分の濃度が、ほどほどに低濃度で、かつ、横方向の濃度勾配がより緩やかである必要がある。
【0047】
そしてまた、P型領域(P1層,P2層〜P4層)の過剰なキャリア濃度は、P型領域からN−層4領域内に向かってキャリアが注入される時、過剰なキャリア注入状態を招き、逆回復時間特性(trr)を遅らせることも良く知られている。
以上のような見地に基づき、上記の5つのドーズ量での注入条件の中で、1×1013(ドーズ)が、本発明者等の所望の値に最も近いことが分かった。
したがって、以下の説明では、ボロンイオンの注入量は、特に断りの無い限り1×1013(ドーズ)とする。
【0048】
さて、再び図22に注目すると、不純物ドーピングのための開口寸法が8μm付近を境として、それ以上の幅ではボロンのピーク(表面)濃度が開口寸法によらず一定となるに対して、それ以下の幅においては、ボロンのピーク(表面)濃度が徐々に減少するという傾向が見られる。
これは、この領域を積極的に利用、すなわち、不純物ドーピングのための開口幅と各々の開口幅間の間隔を適宜調整することにより、従来は複数回の絶縁酸化膜開口のためのマスク工程と複数回のイオン注入工程を要していた工程を、僅か1回のマスク工程と1回のイオン注入工程を以って、PN接合部10近傍のP型領域不純物プロファイル勾配を制御できることを示唆している。
【0049】
続いて、図19、図20及び図21に示した従来構造のデバイス、本発明実施例1のデバイス及び本発明実施例2のデバイスのシミュレーション領域における具体的な結果を示す。
図23は、従来構造デバイスの2次元濃度分布プロファイルを示している。
図において、P層の濃度勾配がx=40〜45μmの付近に集中していることが良く分かる。
これに対して、図24は、本発明実施例1におけるデバイスの2次元不純物濃度プロファイルを示している。
図において、一番右にあるP層の等濃度線(≒4×1016(1/cm3))からPN接合部(x≒39,40μm)の位置までの横方向距離にも大きな差があること分かる。そして、P2層及びP3層開口部下部付近に濃度変化があることにも注意すべきである。
【0050】
また、図25に示した本発明実施例2におけるデバイスの2次元不純物濃度プロファイルに関しても一番右にあるP層の等濃度線(≒4×1016(1/cm3))からPN接合部(x≒40μm)の位置までの横方向距離が、充分に広がっていることが分かる。
【0051】
次に、シリコン(N−層4)表面にごく近い(表面から0.1μmの深さ)A−A’線沿いの従来構造、本発明実施例1及び本発明実施例2の不純物濃度分布を図26に示した。
図において、実線▲1▼は、本発明実施例1におけるデバイスの不純物濃度分布、小破線▲2▼は、本発明実施例2におけるデバイスの不純物濃度分布、大破線▲3▼は、従来構造デバイスの不純物濃度分布を示している。
また、従来構造のデバイスでは、x=44〜70μmにかけて均一の不純物濃度分布であり、x=40〜44μmにかけて濃度が急激に減少するという分布を示している。これに対して、本発明実施例1のデバイス(実線▲1▼)では、x=60〜70μmの範囲のみが均一の不純物濃度分布であり、x≒41μmにP4層の、x≒45μmにP3層の、x≒52μmにP2層の、ボロンイオン注入によって形成されたそれぞれのピーク形態を残して、しかもP4層>P3層>P2層>P1層に従って、その濃度が順次減少していることが明確に図に現れている。
【0052】
本発明実施例2のデバイス(小破線▲2▼)においては、x=60〜70μmの範囲でのP層濃度が均一であることは、上記実施例1のデバイスと同様であるが、図9〜図14に示したような製作プロセスを経るので、x≒44〜54μmにかけての範囲がCP −=4×1015(1/cm3)である第2のP−層の濃度一定領域を有するようになる。
しかしながら、P領域→P−領域への移行部(x≒55〜60μm)及びP−領域→PN接合部への移行部(x=40〜44μm)の範囲領域では、その濃度勾配は、極端に変化しているとも見ることができる一方、全体として見れば、x≒40〜60μmの広い範囲に亘って濃度勾配が変化している不純物濃度分布を示すと総括することもできる。
【0053】
以上のようなデバイス内部の不純物濃度分布が形成された結果、図27中に示すような本発明実施例1(実線▲1▼)、本発明実施例2(小破線▲2▼)及び従来のデバイス(大破線▲3▼)の電位分布が形成されることになる。
図の電位分布を見る限りは、従来のデバイスと本発明実施例1のデバイス間に大差は見られないが、x=40〜44μmの範囲にかけて、僅かではあるが、従来のデバイスの方が早目に、かつ、急峻に電位が下がることが分かる。これに対して本発明実施例2のデバイスにおいては、略実施例1のデバイスから右方向に約2μmだけ同一形状で平行移動したような電位分布が示されていることが分かる。
上記の理由は、図26を参照すれば、PN接合部の位置が実施例1のx≒39μmからx≒40μmにシフトした位置にあることが若干影響しているとも考えられる。しかし、真実の理由は、次の28図中に示した電界強度分布の相違にあると言える。
【0054】
そこで、次に図28について考察する。
図28に示した従来構造のデバイス、本発明実施例1のデバイス及び本発明実施例2のデバイスにおけるA−A’線沿いの電界強度分布で明らかなのは、次のようなことである。
(1)ピークの電界強度が各デバイスにおいて、2.48×105(V/cm)(従来構造:大破線▲3▼)、2.41×105(V/cm)(実施例1:実線▲1▼)、2.25×105(V/cm)(実施例2:小破線▲2▼)の順に低下していること。
(2)ピーク電界の位置は、PN接合部の位置に通常は一致するので、各々、x≒40μm(従来構造)、39μm(実施例1)、40μm(実施例2)の位置となっていること。
(3)以上により、上記の電界強度の積分値が図27の電位分布をもたらすこと。
つまり、図28において、本発明実施例2のデバイスにおける電界強度の立ち上がりが従来構造に較べ右方向に約2μmシフトしている分、図27の電位分布も同様にシフトしていることになる。
【0055】
いずれにしても、一番大切なことは本発明のデバイスでは、実施例1及び実施例2ともに、前記(1)で示したように、電界強度が従来構造に較べ低下していることである。そして、その結果、図29中に示したように、デバイスの耐電圧特性が向上するという結果を得ることができるのである。
すなわち、図29において、実線▲1▼は、本発明実施例1におけるデバイスの耐電圧特性、小破線▲2▼は、本発明実施例2におけるデバイスの耐電圧特性、大破線▲3▼は、従来構造におけるデバイスの耐電圧特性であり、それぞれのピーク値は、470V,460V,415v(@IR=10−11A)となっている。
【0056】
ところで、ρ=9(Ω・cm)/Nd=5×5.13×1014(1/cm3)での平行平面接合でのブレークダウン電圧が、528.3V(空乏層の広がり幅=36.8μm)であることを考慮すると、それぞれ、その89.0(%)、87.1(%)、78.6(%)にも相当する高い逆耐電圧(VR)が実現されていることになり、本発明と比較した従来構造デバイスそのもののVRの値自体もかなり高いが、実施例1のデバイスでは、それを10%(+55V)、実施例2のデバイスでは8.5%(+45V)も上回る結果を得ることができた。
【0057】
シミュレーションの最後に、上記従来構造、実施例1及び実施例2におけるデバイスの逆回復特性(trr)についてもシミュレーションしたので、その結果を図30に示す。
図30において、実線▲1▼は、前記同様に本発明実施例1におけるデバイスのtrr特性、小破線▲2▼は、本発明実施例2におけるデバイスのtrr特性、大破線▲3▼は、従来構造におけるデバイスのtrr特性を示している。また、図から明らかなように、従来のデバイスに較べて、本発明実施例1及び本発明実施例2のいずれのデバイスにおいても、ピーク逆電流(Irr)、逆回復時間(trr)が、ともに改善されていることが分かる。
【0058】
表2に逆回復特性のシミュレーション結果の実測値を示した。
【0059】
【表2】
【0060】
上記表2の結果によれば、本発明実施例1のデバイスでは、従来のデバイスに較べIrrが、Irr3=12.7(A)からIrr1=12.4(A)にと減少し、trrが、trr3=85.4(ns)からtrr1=79.8(ns)にと改善された。また、本発明実施例2のデバイスでは、Irrが、Irr3=12.7(A)からIrr2=11.4(A)にと減少し、trrが、trr3=85.4(ns)からtrr2=84.0(ns)にと改善された。
なお、本発明実施例2のデバイスは、Irrが大きく改善されているにも拘らず、trrが僅かな改善となっている。これは、0.9Irr付近での回復波形が、従来のデバイスに較べては勿論のこと、本発明実施例1のデバイスよりもさらにソフトになっているためである。
したがって、実施例2のデバイスは、そのような特性を考慮すれば、例えば低ノイズ型デバイス向きの用途に適しているということもできる。
【0061】
なお、図14〜18図に示した本発明実施例3におけるデバイスについてのシミュレーションついては特に実施せず、また、言及もしなかったが、上記実施例1及び実施例2におけるデバイスと同様に従来構造のデバイスに較べて優れたIrr特性及びtrr特性を示すことは言うまでもない。
【0062】
【発明の効果】
以上、上記の実施例を通じて説明した本発明構造の半導体装置によれば、形成する素子の占有面積を節約しつつ、従来構造において得られていた逆耐電圧特性を上回る高い降伏電圧を得ることができるとともに、逆回復特性においてもより高速化が可能となる。また、本発明の製造方法によれば、複雑な製造プロセスを経ることなく、比較的簡単なプロセスで、かつ、製造コストを増大させることなく目的とする半導体装置が得られる等の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す半導体装置の断面図である。
【図2】上記半導体装置におけるP層を形成するための不純物ドーピングマスクの説明図である。
【図3】図1におけるA−A’線に沿う不純物濃度プロファイルを示す図である。
【図4】本発明実施例1の製造方法おける第1工程を示す説明図である。
【図5】本発明実施例1の製造方法おける第2工程を示す説明図である。
【図6】本発明実施例1の製造方法おける第3工程を示す説明図であり、(a)はボロンドライブインの進行過程を示す図、(b)はドライブイン終了後の状態を示す図である。
【図7】本発明実施例1の製造方法おける第4工程を示す説明図である。
【図8】本発明実施例1の製造方法おける第5工程を示す説明図である。
【図9】本発明実施例2の製造方法おける第1工程を示す説明図である。
【図10】本発明実施例2の製造方法おける第2工程を示す説明図である。
【図11】本発明実施例2の製造方法おける第3工程を示す説明図である。
【図12】本発明実施例2の製造方法おける第4工程を示す説明図である。
【図13】本発明実施例2の製造方法おける第5工程を示す説明図である。
【図14】本発明実施例3の製造方法おける第1工程を示す説明図である。
【図15】本発明実施例3の製造方法おける第2工程を示す説明図である。
【図16】本発明実施例3の製造方法おける第3工程を示す説明図である。
【図17】本発明実施例3の製造方法おける第4工程を示す説明図である。
【図18】本発明実施例3の製造方法おける第5工程を示す説明図である。
【図19】従来構造におけるデバイスのシミュレーション領域を示す図である。
【図20】本発明実施例1におけるデバイスのシミュレーション領域を示す図である。
【図21】本発明実施例2におけるデバイスのシミュレーション領域を示す図である。
【図22】本発明実施例1における拡散窓幅対ボロンピーク濃度との関係を示す図である。
【図23】従来構造のデバイスにおける2次元不純物濃度プロファイルを示す図である。
【図24】本発明実施例1のデバイスにおける2次元不純物濃度プロファイルを示す図である。
【図25】本発明実施例2のデバイスにおける2次元不純物濃度プロファイルを示す図である。
【図26】従来構造、本発明実施例1及び本発明実施例2のデバイスを示した図19、図20、図21におけるA−A’線沿いの不純物濃度分布を示す図である。
【図27】従来構造、本発明実施例1及び本発明実施例2のデバイスを示した上記各図におけるA−A’線沿いの電位分布を示す図である。
【図28】従来構造、本発明実施例1及び本発明実施例2のデバイスを示した上記各図におけるA−A’線沿いの電界強度分布を示す図である。
【図29】従来構造、本発明実施例1及び本発明実施例2のデバイスの耐電圧波形を示す図である。
【図30】従来構造、本発明実施例1及び本発明実施例2のデバイスの逆回復時間(trr)特性を示す図である。
【図31】従来構造デバイスの断面図である。
【図32】従来構造デバイスの不純物濃度プロファイル及び逆電圧印加時の電界強度分布を示す図である。
【図33】VLD構造デバイスの断面図である。
【図34】JTE構造デバイスの断面図である。
【符号の説明】
1 半導体装置
2 支持基板
3 誘電体分離層(BOX層)
4 N−層
5 P層
5’ P’層
5” P−層
5A P1層
5B P2層
5C P3層
5D P4層
6 N+層
7 アノード電極
8 カソード電極
9 絶縁酸化膜
10 PN接合部
11,11A,11B,11C 開口
12 イオン注入
14 不純物ドーピングマスク
13a〜13n 不純物ドーピング孔
15 フォトレジスト層
16 第1ボロン
17 第2ボロン
20 SOI基板ウエハ
Claims (6)
- 一導電型半導体支持基板上に誘電体分離層(BOX層)を有し、該BOX層上に低不純物濃度の第2導電型層が形成されたSOI基板ウエハを使用し、前記第2導電型層中に、該第2導電型層の表面から前記BOX層に達する深さの前記第2導電型とは反対導電型の第1導電型層と、該第2導電型層の表面から高不純物濃度の第2導電型層とが形成され、前記SOI基板ウエハの表面上には絶縁酸化膜を有し、該絶縁酸化膜の開口を介して前記第1導電型層と接続された第1電極と、該絶縁酸化膜の開口を介して前記第2導電型層と接続された第2電極とを備えた半導体装置において、
前記第1導電型層は、該第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有することを特徴とする半導体装置。 - 前記第1導電型層は、前記SOI基板ウエハの中心部から周辺部に向かって孔径が漸次減少し、かつ、該孔相互の間隔も漸次減少する複数の不純物ドーピング孔を備えた不純物ドーピングマスクとしての前記絶縁酸化膜を介して形成され、複数の分離した第1導電型層が熱処理により縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して前記複数の分離した第1導電型層が一層化した構造であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第1導電型層は、前記第2導電型層中に最初に形成した第1導電型層より深さの浅い低不純物濃度の第1導電型層を有し、熱処理により縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して2つの第1導電型層が一層化した構造であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 一導電型半導体支持基板上に誘電体分離層(BOX層)を有し、該BOX層上に低不純物濃度の第2導電型層が形成されたSOI基板ウエハの表面上に絶縁酸化膜を形成する工程と、
この工程を経て形成された絶縁酸化膜に、前記SOI基板ウエハの中心部から周辺部に向かって孔径が漸次減少し、かつ、該孔相互の間隔も漸次減少する複数の不純物ドーピング孔を形成し、該ドーピング孔を介して前記第2導電型層内に、表面から浅い互いに分離された前記第2導電型とは反対導電型の複数の第1導電型層を形成する工程と、
複数の分離した前記第1導電型層が熱処理より縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して一層化した構造と成し、この一層化した第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記SOI基板ウエハの第2導電型層中に、表面側から深さの浅い第1導電型層と、該第1導電型層の外側に隣接して該第1導電型層の不純物濃度よりも濃度の低い不純物濃度を有する別の第1導電型層とを形成する工程と、
前記第1導電型層及び該第1導電型層の不純物濃度よりも濃度の低い不純物濃度を有する別の第1導電型層とを熱処理し、縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して一層化し、この一層化した第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 一導電型半導体支持基板上に誘電体分離層(BOX層)を有し、該BOX層上に低不純物濃度の第2導電型層が形成されたSOI基板ウエハの表面上に絶縁酸化膜を形成する工程と、
この工程を経て形成された絶縁酸化膜に、前記SOI基板ウエハの中心部から周辺部に向かって孔径が漸次減少し、かつ、該孔相互の間隔も漸次減少する開口を形成する工程と、
前記工程よって形成された中央部の開口を除き、周辺部の開口を被覆材で覆って前記第2導電型層中の中央部に深さの浅い第1導電型層を形成する工程と、
前記周辺部の開口を覆う被覆材を除去した後、該開口を介して前記第2導電型層中及び前記浅い第1導電型層中に重ねて不純物を導入して互いに分離した複数の第1導電型層を形成する工程と、
前記工程によって形成された互いに分離した複数の第1導電型層を熱処理することにより縦方向に拡散して前記BOX層に達するとともに、横方向に相互に拡散して一層化し、この一層化した第1導電型層と前記第2導電型層とで形成されるPN接合部に向かって緩やかに漸次減少する不純物濃度分布を有する第1導電型層を形成する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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