JP2004278502A - 多段ギヤポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】流体の昇圧特性を確保することができる多段ギヤポンプを提供する。
【解決手段】ポンプ1はギヤ26,32からなる1段目ギヤ列36、ギヤ27,33からなる2段目ギヤ列37、ギヤ28,34からなる3段目ギヤ列38を備えている。ポンプ1はこれらギヤ列36〜38にDMEを順に通すことで昇圧し、昇圧後のDMEを吐出ポートから吐出する。2段目ギヤ列37の吐出容量は1段目ギヤ列36の吐出容量よりも低い値に設定されている。3段目ギヤ列38の吐出容量は2段目ギヤ列37の吐出容量よりも低い値に設定されている。
【選択図】 図1
【解決手段】ポンプ1はギヤ26,32からなる1段目ギヤ列36、ギヤ27,33からなる2段目ギヤ列37、ギヤ28,34からなる3段目ギヤ列38を備えている。ポンプ1はこれらギヤ列36〜38にDMEを順に通すことで昇圧し、昇圧後のDMEを吐出ポートから吐出する。2段目ギヤ列37の吐出容量は1段目ギヤ列36の吐出容量よりも低い値に設定されている。3段目ギヤ列38の吐出容量は2段目ギヤ列37の吐出容量よりも低い値に設定されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸入した流体を複数段のギヤ列で昇圧して吐出する多段ギヤポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体を複数段のギヤ列で昇圧する多段ギヤポンプが存在する(例えば、特許文献1参照。)。図7は、特許文献1で開示された多段ギヤポンプ81(以下、単にポンプと記す)の縦断面図である。ポンプ81は一対のギヤ82,83からなるロータリーギヤ84と、該ロータリーギヤ84と軸方向に並んで配置された一対のギヤ85,86からなるロータリーギヤ87を備えている。ギヤ82,85は駆動軸88に支持され、ギヤ83,86は従動軸89に支持されている。
【0003】
ポンプ81は、駆動軸88が回転するとギヤ82,85が回るとともにギヤ83,86が連れ回りする。このとき、ポンプ81は液体を吸入し、吸入された液体は1段目のロータリーギヤ84に流れて昇圧される。1段目のロータリーギヤ84で昇圧された液体は、該ロータリーギヤ84とロータリーギヤ87とを繋ぐ流路90を通って2段目のロータリーギヤ87に流れ、ロータリーギヤ87でも昇圧されて所定の高圧状態で吐出される。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−140770号公報(第2−3頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、例えば液体としてジメチルエーテル(DME)を用いた場合を考える。DMEには低粘度で漏れ易い性質があるので、ポンプ作動時においてDMEがロータリーギヤ84,87のギヤ部分から漏れ出てしまう。このため、1段目のロータリーギヤ84から2段目のロータリーギヤ87に圧送されるDMEの量、つまり1段目のロータリーギヤ84から実際に吐出される実容量は、前述した漏れによって該ロータリーギヤ84の吐出容量(理論値)よりも減少する。
【0006】
従って、特許文献1のようにロータリーギヤ84とロータリーギヤ87の歯幅hが同じであると、言い換えればロータリーギヤ84とロータリーギヤ87の吐出容量が同じであると、1段目のロータリーギヤ84の実容量が2段目のロータリーギヤ87の吐出容量に対して不足する。すると、蒸気圧が高い(揮発性が高い)という性質をDMEは有するため、DMEの圧力が蒸気圧を下回ってDMEが気化することになり、DMEを所定圧まで昇圧できない問題が生じていた。
【0007】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、流体の昇圧特性を確保することができる多段ギヤポンプを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の多段ギヤポンプは、高圧段のギヤ列の吐出容量が、低圧段のギヤ列の吐出容量よりも低い値に設定されている。この発明によれば、低圧段のギヤ列での流体の昇圧時に該ギヤ列から流体が漏れ出て、低圧段のギヤ列から実際に吐出される流体の実容量は吸入時に比べて減少する。しかし、高圧段のギヤ列の吐出容量は低圧段のギヤ列の吐出容量よりも低い値に設定されているので、高圧段のギヤ列の吐出容量に対し、低圧段のギヤ列から吐出される実容量が不足することを抑制できる。よって、高圧段のギヤ列で流体(液体)が気化し難くなることによって、流体の昇圧特性が確保される。
【0009】
なお、定義として「吐出容量」とは、ギヤ列を構成するギヤが一回転したときに、流体漏れを加味しないで吐出される理論上の流体容量(吐出能力)のことである。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記高圧段のギヤ列の吐出容量は、該ギヤ列の歯幅が前記低圧段のギヤ列の歯幅よりも小さく設定されることで、前記低圧段のギヤ列の吐出容量よりも低い値に設定されている。つまり、低圧段のギヤ列と高圧段のギヤ列は、端面における少なくとも歯付近の形状寸法が同じギヤによって構成されている。よって、例えば、高圧段のギヤ列と低圧段のギヤ列とで、ギヤの歯溝の深さを変更して吐出容量を異ならせる場合に比べて、各ギヤ列のギヤの歯において歯幅以外の形状寸法を同じとすることができ、各ギヤ間の共通部分が多くて、それらの製作が簡単となる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記高圧段のギヤ列の吐出容量は、前記流体の漏れ量を加味して前記低圧段のギヤ列から実際に吐出される実容量と同じ値に設定されている。従って、低圧段のギヤ列から過剰な量の流体が高圧段のギヤ列に送られることがなく、高圧段のギヤ列における流体の漏れ量が多くならずに済む。よって、流体の昇圧特性の確保と、高圧段のギヤ列での流体漏れに起因した多段ギヤポンプの動力損失の抑制とを高次元で両立できる。
【0012】
なお、定義として「高圧段のギヤ列の吐出容量が低圧段のギヤ列の実容量と同じ」とは、実質的に同程度の効果を得ることができる若干量の誤差(最大でも低圧段のギヤ列の吐出容量の10%(より高い次元で効果を追求する場合には5%))を含むものとする。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記高圧段のギヤ列と前記低圧段のギヤ列を繋ぐ流路には、前記流体の流体圧が所定圧を超えたときに開弁状態となって、前記高圧段のギヤ列を迂回して前記流路内の前記流体を吐出させる弁手段が設けられている。従って、多段ギヤポンプの要求圧が変動した場合に、低圧段のギヤ列だけで要求圧まで昇圧可能なときには、流体の一部が弁手段から高圧段のギヤ列を迂回して、多段ギヤポンプから吐出される。よって、既に高圧状態となった流体を高圧段のギヤ列で吸入することができなくても漏らさずに済み、動力損失を抑制できる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記ギヤのうち連れ回りするギヤは従動軸に取り付けられ、この従動軸に取り付けられた複数のギヤのうち、1つのギヤは前記従動軸に一体形成され、残りのギヤは前記従動軸に相対回転可能に取り付けられている。従って、従動軸に相対回転可能に取り付けられたギヤは、該ギヤに噛合いする駆動軸側のギヤによって回される。よって、従動軸側のギヤは、駆動軸からその他の従動軸側のギヤへの回転トルクの伝達をも受け持つ必要がない。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、高圧段のギヤ列の歯幅は、低圧段のギヤ列の歯幅よりも小さく設定されており、最も高圧のギヤ列を構成するギヤが前記従動軸に一体形成されている。つまり、一般的に、ギヤは歯幅が小さくなるほど厚みが薄くなり、厚みが薄いギヤほど従動軸に対して傾き易くなる(該ギヤが従動軸に相対回転可能に取り付けられていた場合)。この最も傾き易いギヤを従動軸に一体形成することで、該ギヤの従動軸に対する傾きに起因した端面の摩耗や焼き付きを防止できる。
【0016】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記流体はジメチルエーテル(DME)である。この発明によれば、DMEには低粘度、蒸気圧が高い(揮発性が高い)という特性があるため各段のギヤ列から漏れ出し易く、高圧段のギヤ列でDMEが気化して昇圧されない現象が起こり易い。しかし、高圧段のギヤ列の吐出容量は低圧段のギヤ列の吐出容量よりも低い値に設定されるので、多段ギヤポンプで流体としてDMEを用いても、DMEの昇圧特性が確保される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の多段ギヤポンプを、車両の走行駆動源たるエンジンへ燃料(ジメチルエーテル)を供給するための燃料供給装置に用いられる多段ギヤポンプに具体化した第1及び第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態においては第1実施形態との相違点についてのみ説明し、同一又は相当部材には同じ番号を付して説明を省略する。
【0018】
○第1実施形態
(燃料供給装置)
図4は、燃料供給装置の概略構成図である。多段ギヤポンプ(本実施形態においては3段ギヤポンプ。以下、単にポンプと記す)1の入力側には、流体としてのジメチルエーテル(DME)が貯留されたタンク2が吸入配管3を介して取り付けられている。ポンプ1の出力側には、吐出配管4を介して噴射ポンプ5が接続されている。噴射ポンプ5の出力側にはエンジン6が接続されている。噴射ポンプ5は、ポンプ1から圧送されたDMEを高圧状態でエンジン6に供給する。
【0019】
(ポンプ)
図1は、ポンプ1の縦断面図である。ポンプ1は同図の左側が上になり右側が下に位置した状態で車両に搭載されている。ポンプ1は略有底円筒状のケース7と、該ケース7の上端(図1では左端)に複数のボルト8を介して固着された蓋体9とを備えている。ケース7と蓋体9とがポンプ1のハウジングを構成している。ケース7の内部には蓋体9の内面に固着された駆動源としてのモータ部10と、モータ部10に固定されたギヤ部11とが収容されている。つまり、ポンプ1は軸密閉型である。
【0020】
モータ部10はハウジング10aの内周面に沿って配置された巻線を有する固定子10bと、固定子10bに囲まれた状態で配置された鉄心からなる回転子10cとを備えている。回転子10cは駆動軸12に一体回転可能に固着されている。駆動軸12はその両端がベアリング13,14によって支持されている。固定子10bの巻線は端子15に接続され、外部からの給電により端子15を介して巻線に電流が流れると巻線と鉄心との間の電磁誘導作用によって駆動軸12が回転する。
【0021】
ギヤ部11はモータ部10側から順に基部ブロック16、連結プレート17、サイドプレート18、連結プレート19、サイドプレート20、連結プレート21及び下端プレート22を備えている。基部ブロック16及びこれらプレート17〜22は駆動軸12を挿通した状態で、複数のボルト23(図2,図3に示す)を螺着することによって一体固定されている。また、ギヤ部11は、基部ブロック16のフランジ部16aに複数(図1に1つのみ示す)のボルト24を挿通してハウジング10aに羅着することでモータ部10に固定されている。
【0022】
駆動軸12は、ギヤ部11を構成している基部ブロック16及び全てのプレート17〜22に亘って延びており、その下端がベアリング14を介して下端プレート22に支持されている。駆動軸12の下端側の外周面には軸方向に沿って延びる溝部12aが形成され、溝部12aには略直方体のキー25が取り付けられている。
【0023】
駆動軸12には軸方向に沿って下端側から順に3つのギヤ26〜28が取り付けられ、ギヤ26〜28の外周面には歯26a〜28aが形成されている。これらギヤ26〜28の内周面にはキー溝26b〜28bが形成され、キー溝26b〜28bにキー25を係止することによってギヤ26〜28を駆動軸12と一体回転するようになっている。
【0024】
ギヤ部11の内部には、駆動軸12と平行状態で従動軸29が回転可能に収容されている。従動軸29はギヤ部11を構成している基部ブロック16及び全てのプレート17〜22に亘って延びており、上端がベアリング30を介して基部ブロック16に、下端がベアリング31を介して下端プレート22に支持されている。
【0025】
従動軸29には軸方向に沿って下端側から順に3つのギヤ32〜34が設けられている。これらギヤ32〜34には外周面に歯32a〜34aが設けられ、ギヤ32〜34のうち最も下端側のギヤ32は従動軸29に一体形成されている。一方、残り2つのギヤ33,34は、それぞれの貫通孔を介して従動軸29に嵌め合わされており、ギヤ32,33は従動軸29に対して相対回転可能に取り付けられている。ギヤ26とギヤ32、ギヤ27とギヤ33、ギヤ28とギヤ34はそれぞれ歯幅h1〜h3が同じであり、ギヤ26がギヤ32に、ギヤ27がギヤ33に、ギヤ28がギヤ34に各々噛合している。
【0026】
ポンプ1は、ケース7の外周面に取り付けられた吸入接続部35にタンク2から延びる吸入配管3が接続されており、ポンプ作動時にタンク2内のDMEを吸入ポート35aから吸入する。ポンプ1は吸入したDMEを複数のギヤ列に通して昇圧する直列式である。即ち、ポンプ1はギヤ26,32からなる1段目ギヤ列36、ギヤ27,33からなる2段目ギヤ列37、ギヤ28,34からなる3段目ギヤ列38に順に通すことで昇圧し、昇圧後のDMEをケース7の外周面に取り付けられた吐出接続部39(図2に示す)の吐出ポート39aから吐出する。
【0027】
なお、1段目ギヤ列36と2段目ギヤ列37との関係では、1段目ギヤ列36を低圧段のギヤ列として把握することができるとともに、2段目ギヤ列37を高圧段のギヤ列として把握することができる。2段目ギヤ列37と3段目ギヤ列38との関係では、2段目ギヤ列37を低圧段のギヤ列として把握することができ、3段目ギヤ列38を高圧段のギヤ列として把握することができる。また、3段目ギヤ列38は、ギヤ列36〜38のうち最も高圧のギヤ列である。
【0028】
図2は図1のII−II線断面図、図3は図1のIII −III 線断面図である。図2に示すように、連結プレート21にはギヤ26を収容するための孔部21aと、ギヤ32を収容するための孔部21bとが形成されている。連結プレート21には、ギヤ26とギヤ32が噛合う前後に若干の空間領域を設けることで、DMEの通路となる上流側通路40と下流側通路41とが形成されている。この上流側通路40は吸入ポート35aに連通されている。なお、連結プレート17,19にも同様に孔部、上流側通路及び下流側通路が各々形成されている。
【0029】
駆動軸12は、モータ部10の駆動により図2の矢印方向(時計回り方向)に回転し、従動軸29は1段目ギヤ列36を介して駆動軸12に連れ回りして同図の白抜き矢印方向に回転する。駆動軸12及び従動軸29の回転によりポンプ1の内部に送り込まれたDMEは、吸入ポート35a及び上流側通路40を通じて1段目ギヤ列36に流れ込む。1段目ギヤ列36に至ったDMEは、ギヤ26の隣接する歯26aと孔部21aの内周面によって形成されるポンプ室36a、及びギヤ32の隣接する歯32aと孔部21bの内周面によって形成されるポンプ室36bを通じて下流側通路41に向かって送られる。
【0030】
図3に示すように、サイドプレート20には、駆動軸12を挿通するための孔部20aが形成されている。サイドプレート20には、孔部20aに隣接して従動軸29を挿通するための孔部20bが形成されている。孔部20aの径は駆動軸12の径よりも大きく設定され、従って孔部20aの内周面と駆動軸12の外周面との間には隙間が形成されている。孔部20bの径は従動軸29の径よりも大きく設定され、従って孔部20bの内周面と従動軸29の外周面との間には隙間が形成されている。
【0031】
サイドプレート20の内部には、1段目ギヤ列36の下流側通路41と2段目ギヤ列37の上流側通路42とを連通する連通路43が形成されている。連通路43は、ポンプ1の径方向に延びる第1通路43aと、1段目ギヤ列36の下流側通路41から軸方向に延びて第1通路43aに連通された第2通路43bと、2段目ギヤ列37の上流側通路42から軸方向に延びて第1通路43aに連通された第3通路43cとからなっている。
【0032】
2段目ギヤ列37に至ったDMEは、ギヤ27の隣接する歯27aと連結プレート19の内周面によって形成されるポンプ室37a、及びギヤ33の隣接する歯33aと連結プレート19の内周面によって形成されるポンプ室37bを通じて3段目へ送られる。3段目ギヤ列38に至ったDMEは、ギヤ28の隣接する歯28aと連結プレート17の内周面によって形成されるポンプ室38a、及びギヤ34の隣接する歯34aと連結プレート17の内周面によって形成されるポンプ室38bを通じて吐出ポート39aへ送られる。
【0033】
(ポンプ室のシール構造)
図1に示すように、ギヤ部11の内部には、ポンプ室36a〜38a,36b〜38bとケース7内部との間の気密性を確保するためのOリング48a〜48fが介装されている。Oリング48a〜48fは、駆動軸12及び従動軸29を囲むように配置されている。ギヤ部11の内部には、駆動軸12の周りに存在する内部空間51とポンプ室36a〜38aとの間の気密性を確保するためのシールリング49a〜49fが介装されている。シールリング49a〜49fは駆動軸12を囲むように配置されている。
【0034】
ギヤ部11の内部には、従動軸29の周りに存在する内部空間52とポンプ室36b〜38bとの間の気密性を確保するためのシールリング50a〜50fが介装されている。シールリング50a〜50fは、従動軸29を囲むように配置されている。Oリング48a〜48fには、例えばニトリルゴムが材質として採用されている。シールリング49a〜49f,50a〜50fには、例えば4フッ化フロロエチレンが材質として採用されている。
【0035】
ここで、図5を用いてシールリング49aのシール状態について説明するが、他のシールリング49b〜49f,50a〜50fについても同様の動きをとる。即ち、ポンプ室36a内のDMEは内部空間51よりも昇圧されているため、ポンプ室36aからシールリング49aを収容する溝部53に流れ込む矢印で示すDMEの流れが発生する。これにより、シールリング49aはギヤ26側及び駆動軸12側に移動し、ギヤ26の側面及び溝部53の下面に接触してシール状態となる。
【0036】
(駆動軸に関するスラスト荷重低減構造)
図1に示すように、内部空間51は、ギヤ26〜28で区画されることによって、駆動軸12の下端側から順に第1空間51a、第2空間51b、第3空間51cとなっている。これら空間51a〜51cはキー25及び溝部12aにおける若干の隙間によって連通されている。ギヤ部11には、内部空間51と吸入ポート35aとを連通する戻し通路(図示省略)が形成されている。戻し通路は一端が第3空間51cに、他端が吸入ポート35aに連通されている。
【0037】
DMEには低粘度という性質があることから、シールリング49a〜49fでは隙間からDME(気液)が内部空間51に漏れ出てくる。このように内部空間51に高圧状態のDMEが流入してしまうと、このDMEによって内部空間51の圧力が高くなり、駆動軸12にスラスト荷重がかかることが考えられる。しかし、内部空間51に漏れ出たDMEは戻し通路を通じて吸入ポート35aに戻されるので、内部空間51がほぼ吸入圧となって駆動軸12にスラスト荷重がかかることが防止される。
【0038】
(リリーフ弁)
図3に示すように、連通路43の両端は封止部材44,45によって封止されている。連通路43の第2通路43b側の端部には、弁手段としてのリリーフ弁46が設けられている。リリーフ弁46の弁室46aには、吐出ポート39aに連通する抜き孔46bが形成されている。リリーフ弁46はボール状の弁体46cと、弁体46cを弁閉方向に付勢する付勢バネ46dとを備えている。
【0039】
なお、図示はしないがサイドプレート18にもサイドプレート20と同様の2段目ギヤ列37の下流側通路と3段目ギヤ列38の上流側通路とを連通する連通路47(図1に示す)及びリリーフ弁(図示省略)があり、基部ブロック16には吐出接続部39と連通する3段目ギヤ列38の下流側通路がある。
【0040】
連通路43に吐出されたDMEの液圧が所定値以下のときには、付勢バネ46dのバネ力により弁体46cが弁座46eに当接してリリーフ弁46が閉弁状態となる。従って、連通路43に流れ込んだDMEのほぼ全てが2段目ギヤ列37に送られる。一方、連通路43に吐出されたDMEの液圧が所定圧を超えて高くなると、付勢バネ46dに抗して弁体46cが弁座46eから離間してDMEが抜き孔46bから吐出ポート39aに直接吐出される。
【0041】
(気化DMEのタンクへの戻し構造)
図1に示すように、蓋体9には配管接続部54が取り付けられ、配管接続部54にはタンク2から延びるリーク用配管55(図4に示す)が接続されている。配管接続部54には、モータ部10の内部とポンプ1の外部とを連通するリーク用ポート56が形成されている。ハウジング10aの側壁部には、モータ部10の内部空間と、ケース7の内側でかつハウジング10aの外側の空間とを連通する抜き孔57が形成されている。
【0042】
軸密封型のポンプ1では、モータ部10やギヤ部11の摺動部(例えばギヤ26〜28,32〜34、駆動軸12、従動軸29等)の発熱等によって、各ギヤ列36〜38から漏れ出たDMEが気化する。この気化したDMEが、ハウジング10aの内部空間や、ケース7の内側でかつハウジング10aの外側の空間に蓄積することも考えられる。
【0043】
しかし、ハウジング10aの内部空間に存在するDMEの気体は、リーク用ポート56からリーク用配管55を介してタンク2に戻される。ケース7の内側でかつハウジング10aの外側の空間に存在するDMEの気体は、抜き孔57を介してハウジング10a内に入り、リーク用ポート56、リーク用配管55を介してタンク2に戻される。よって、DMEの気体充満に起因するモータ部10の冷却不足等の不具合が生じずに済む。
【0044】
なお、図4に示すように、リーク用配管55と噴射ポンプ5とは、帰還管58を介して接続されている。噴射ポンプ5において噴射されずに残った余剰DMEは、この帰還管58及びリーク用配管55を介してタンク2へと戻される。
【0045】
(各ギヤ列の吐出容量の設定)
図1に示すように、1段目ギヤ列36は、ギヤ26,32が一回転したときに流体漏れを加味しないで吐出される理論上の吐出容量(吐出能力)が「D1」となっている。1段目ギヤ列36は、DMEの低粘度特性による漏れによって、実際に吐出する実容量が「S1(<D1)」となる。同じく2段目ギヤ列37は、理論上の吐出容量が「D2」となり実容量が「S2(<D2)」となっている。同じく3段目ギヤ列38は、吐出容量が「D3」となり実容量が「S3(<D3)」となっている。
【0046】
このように、各ギヤ列36〜38でのDMEの昇圧時に各ギヤ列36〜38からDMEが漏れ出て、ギヤ列36〜38から実際に吐出されるDMEの実容量S1〜S3は吐出容量D1〜D3に比べて減少する。本実施形態のポンプ1においては、前述したシール構造(Oリング48a〜48f、シールリング49a〜49f,50a〜50f)の採用等によって各ギヤ列36〜38でのDMEの漏れが抑えられている。よって、1段目ギヤ列36の実容量S1は吐出容量D1の70〜80%、2段目ギヤ列37の実容量S2は吐出容量D2の70〜80%となっている。
【0047】
従来技術においても述べたように、例えば、1段目ギヤ列36の吐出容量D1と2段目ギヤ列37の吐出容量D2とが同じであると、1段目ギヤ列36の実容量S1が2段目ギヤ列37の吐出容量D2に対して不足し、DMEを所定圧まで昇圧できない問題が生じる。また、2段目ギヤ列37の吐出容量D2と3段目ギヤ列38の吐出容量D3とが同じであると、2段目ギヤ列37の実容量S2が3段目ギヤ列38の吐出容量D3に対して不足し、DMEを所定圧まで昇圧できない問題が生じる。
【0048】
本実施形態においては、2段目ギヤ列37の吐出容量D2は、1段目ギヤ列36の吐出容量D1よりも低い値に設定されている。また、3段目ギヤ列38の吐出容量D3は、2段目ギヤ列37の吐出容量D2よりも低い値に設定されている。従って、2段目ギヤ列37の吐出容量D2に対し、1段目ギヤ列36から吐出されるDMEの実容量S1が不足すること、及び、3段目ギヤ列38の吐出容量D3に対し、2段目ギヤ列37から吐出されるDMEの実容量S2が不足することを抑制できる。よって、2段目ギヤ列37及び3段目ギヤ列38でDMEが気化し難くなることによって、DMEの昇圧特性が確保される(本実施形態の効果(1))。
【0049】
DMEが気化した場合には、DMEにキャビテーションが発生し、該キャビティが潰れた際には衝撃波が発生し、騒音、振動が発生する不具合も生じる。よって、前述した2段目ギヤ列37及び3段目ギヤ列38でのDMEの気化抑制により、振動及び騒音抑制効果も得られる(本実施形態の効果(2))。
【0050】
なお、各ギヤ列36〜38の吐出容量D1〜D3はギヤの歯幅h1〜h3に比例し、歯幅h1〜h3の設定値により各ギヤ列36〜38の吐出容量D1〜D3が設定されている。つまり、2段目ギヤ列37の歯幅h2は、1段目ギヤ列36の歯幅h1よりも小さく設定されている。また、3段目ギヤ列38の歯幅h3は、2段目ギヤ列37の歯幅h2よりも小さく設定されている。
【0051】
従って、例えば1段目ギヤ列36と2段目ギヤ列37との関係では、高圧段のギヤ列である2段目ギヤ列37の吐出容量D2は、該ギヤ列37の歯幅h2が低圧段のギヤ列である1段目ギヤ列36の歯幅h1よりも小さく設定されることで、1段目ギヤ列36の吐出容量D1よりも低い値に設定されている。つまり、1段目ギヤ列36と2段目ギヤ列37は、端面における歯26a,27a,32a,33a付近の形状寸法が同じギヤ26,27,32,33によって構成されている。
【0052】
よって、1段目ギヤ列36のギヤ26,32の歯26a,32aと、2段目ギヤ列37のギヤ27,33の歯27a,33aにおいて歯幅h1,h2以外の形状寸法を同じとすることができる。従って、例えば2段目ギヤ列37のギヤ27,33の歯溝の深さを、1段目ギヤ列36のギヤ26,32の歯溝の深さよりも小さく設定して吐出容量D2を吐出容量D1よりも小さくする場合に比べて、各ギヤ26,27,32,33間の共通部分が多くて各ギヤの製作が簡単となる(本実施形態の効果(3))。2段目ギヤ列37と3段目ギヤ列38との関係でも同じことが言える。
【0053】
ここで例えば、2段目ギヤ列37の吐出容量D2を1段目ギヤ列36の吐出容量D1よりも低く設定し過ぎると、1段目ギヤ列36から2段目ギヤ列37へ過剰な量のDMEが送られて、2段目ギヤ列37におけるDMEの漏れ量が過度に多くなる。また、3段目ギヤ列38の吐出容量D3を2段目ギヤ列37の吐出容量D2よりも低く設定し過ぎると、3段目ギヤ列38においても同様な問題を生じる。
【0054】
本実施形態においては、2段目ギヤ列37の吐出容量D2と1段目ギヤ列36の実容量S1とが同じ値に設定されている。また、3段目ギヤ列38の吐出容量D3と2段目ギヤ列37の実容量S2とが同じ値に設定されている。従って、1段目ギヤ列36から過剰な量のDMEが2段目ギヤ列37に送られることがなく、2段目ギヤ列37におけるDMEの漏れ量が多くならずに済む。また、2段目ギヤ列37から過剰な量のDMEが3段目ギヤ列38に送られることがなく、3段目ギヤ列38におけるDMEの漏れ量が多くならずに済む。
【0055】
従って、本実施形態のポンプ1は、DMEの気化抑制によるDMEの昇圧特性の確保及び振動並びに騒音抑制と、DMEの漏れ量低減による動力損失及び温度上昇抑制とを高次元で両立できる高性能なものとなる(本実施形態の効果(4))。
【0056】
なお、2段目ギヤ列37の吐出容量D2が1段目ギヤ列36の実容量S1と同じとは、実質的に同程度の効果(4)を得ることができる若干量の誤差(最大でも1段目ギヤ列36の吐出容量D1の10%(より高い次元で効果を追求する場合には5%))を含むものとする。また、3段目ギヤ列38の吐出容量D3が2段目ギヤ列37の実容量S2と同じとは、実質的に同程度の効果を得ることができる若干量の誤差(最大でも2段目ギヤ列37の吐出容量D2の10%(より高い次元で効果を追求する場合には5%))を含むものとする。
【0057】
従って、2段目ギヤ列37の吐出容量D2は、例えば1段目ギヤ列36の実容量S1を吐出容量D1の70%とすれば、該吐出容量D1の60〜80%(より高い次元で効果を追求する場合には65〜75%)に設定されることとなる。つまり、2段目ギヤ列37の歯幅h2は、1段目ギヤ列36の歯幅h1の60〜80%(より高い次元で効果を追求する場合には65〜75%)に設定されることとなる。
【0058】
また、3段目ギヤ列38の吐出容量D3は、例えば2段目ギヤ列37の実容量S2を吐出容量D2の80%とすれば、該吐出容量D2の70〜90%(より高い次元で効果を追求する場合には75〜85%)に設定されることとなる。つまり、3段目ギヤ列38の歯幅h3は、2段目ギヤ列37の歯幅h2の70〜90%(より高い次元で効果を追求する場合には75〜85%)に設定されることとなる。
【0059】
上記構成の本実施形態においては前述した効果(1)〜(4)の他にも次のような効果を奏する。
(5)連通路43の第2通路43b側の端部にはリリーフ弁46が設けられている。ポンプ1の要求圧が変動した場合に1段目ギヤ列36だけで要求圧まで昇圧可能なときには、DMEの一部がリリーフ弁46から吐出ポート39aに吐出される。従って、DMEが既に高圧状態となっている場合に2段目ギヤ列37がDMEを吸引できずにDMEが1段目ギヤ列36へ漏れ出てしまうことを防止でき、動力損失を抑制できる。
【0060】
また、例えば1段目ギヤ列36のギヤ26,32や連結プレート21の設計寸法のバラツキによって、その間の隙間が想定した値よりも小さくなった場合には、想定外の少ない漏れしか生じず1段目ギヤ列36の昇圧能力が高い状態となる。従って、この条件下でもDMEが要求圧まで昇圧されれば、DMEの一部がリリーフ弁46を介して吐出ポート39aに吐出されるので、2段目ギヤ列37での仕事量が減ることになる。なお、リリーフ弁が連通路47にも設けられていることにより、2段目ギヤ列37と3段目ギヤ列38との関係でも同じことが言える。
【0061】
(6)ギヤ部11の内部には各ギヤ列36〜38の気密性を確保するためにOリング48a〜48f,シールリング49a〜49f,50a〜50fを設けたので、ギヤ列36〜38を通るDMEをケース7の内部や内部空間51,52に漏れ難くすることができる。
【0062】
(7)従動軸29は一個のギヤ(ギヤ32)と一体回転可能に形成され、他の連れ回りするギヤ33,34は従動軸29に相対回転可能に取り付けられている。よって、ギヤ33,34は駆動軸12によって回され、従動軸29側のギヤ(ギヤ32〜34)のうちいずれか1つのギヤが3段分の荷重を受ける心配がない。従って、ギヤの耐久性低下を抑制できる。
【0063】
なお、例えば従動軸29をギヤ部11に固定して固定軸とし、該固定軸がギヤ32〜34を回転可能に支持する構成に変更すると、固定軸に対するギヤ32〜34の周速が大きくなりすぎるため、ギヤ32〜34を支障なく回転させるためにはギヤ32〜34と固定軸との間にベアリングを介在させる必要がある。しかし、ベアリングを介在させるのは大型化等の面から問題があるため、従動軸29を固定軸とするのは不適当であり、従動軸29はギヤ32〜34と同じ速度で回転するのが望ましい。
【0064】
本実施形態では、ギヤ26と噛合したギヤ32と一体回転する従動軸29が、ギヤ27と噛合したギヤ33や、ギヤ28と噛合したギヤ34とは位相が異なるとしても、ギヤ33,34と同じ速度で回転する。従って、ギヤ33,34と従動軸29との間にベアリングを介在させることなく、従動軸29をギヤ32〜34と同じ速度で回転させる構成において、従動軸29が一個のギヤ(ギヤ32)と一体回転可能であることによりギヤの耐久性低下を抑制できる。
【0065】
(8)従動軸29は一個のギヤ(ギヤ32)と一体形成されている。例えばギヤ32がキーを介して従動軸29と一体回転する構成に変更した場合、ベアリング31は、キーに干渉しない位置まで離して配置しなければならない(ギヤ1個をキーでシャフトに連結する場合、キーはギヤの歯幅よりも長くなる場合が多い)。本実施形態ではギヤ32が従動軸29に一体形成されてキーが省略されているため、キーを用いる場合に比べてベアリング31をギヤ32に近づけて配置でき、従動軸29を撓み難くすることができる。
【0066】
なお、駆動軸12側のギヤ26〜28では、回転トルクによるラジアル荷重とポンプ室36a〜38a内の圧力によるラジアル荷重とが打ち消し合う方向に作用するのに対し、従動軸29側のギヤ32〜34では前記両ラジアル荷重が重なり合う方向に作用する。よって、従動軸29側のギヤ32〜34におけるラジアル荷重は駆動軸12側のギヤ26〜28におけるラジアル荷重よりも大きく(約2倍になることがある)、ギヤ32〜34からラジアル荷重を受ける従動軸29は、撓みやすい状況にある。
【0067】
また、従動軸29はギヤ列が3段であるため、ギヤ列が1段や2段の場合に比べてベアリング30,31間のスパン、すなわちベアリングスパンが大きく、より撓みやすい状況にある。よって、ギヤ32を従動軸29と一体形成してベアリング31をギヤ32に近づけて配置することは、撓み易い従動軸29を撓み難くするうえで効果的である。
【0068】
(9)3段のギヤ32〜34のうち最も歯幅の広いギヤ32を従動軸29に一体形成したので、ギヤ33やギヤ34を従動軸29に一体形成した場合に比べて、連れ回りするギヤ(従動軸29側のギヤ)が駆動軸12から受ける荷重を分散できる。
【0069】
(10)ギヤ部11には、内部空間51と吸入ポート35aとを連通する戻し通路が形成されている。内部空間51に漏れ出たDMEは戻し通路を通じて吸入ポート35aに戻されるので、内部空間51をほぼ吸入圧にすることができ、駆動軸12のスラスト荷重を生じ難くできる。
【0070】
○第2実施形態
次に、第2実施形態について図6に従って説明する。本実施形態のポンプ1は、軸開放型の2段ギヤポンプである。
【0071】
図6は、ポンプ1の断面図である。本実施形態のケース7は下方側(図6では右側)に開口し、蓋体9はケース7の下端に固着されている。駆動軸12はケース7の上方側から外部に突出し、この突出部分に外部駆動源(図示省略)が接続されている。本実施形態のポンプ1は1段目ギヤ列36と2段目ギヤ列37を有した2段であり、1段目ギヤ列36が上方側、2段目ギヤ列37が下方側に配置されている。
【0072】
基部ブロック16、連結プレート21、サイドプレート20及び連結プレート19はケース7の内部に接触した状態で収容されている。本実施形態では、1段目ギヤ列36のギヤ32が従動軸29と別体である。2段目ギヤ列37のギヤ33、即ち本実施形態における最も高圧のギヤ列である2段目ギヤ列37を構成するギヤ33が、従動軸29と一体形成されている。吐出接続部39は蓋体9に設けられており、吸入接続部35は図示省略されている。
【0073】
この構成においても第1実施形態の(1)〜(8)と同様な効果が得られる他に、次の効果が得られる。
(11)最も高圧のギヤ列(2段目ギヤ列37)を構成するギヤ33が従動軸29と一体形成されている。2段目ギヤ列37のギヤ33は従動軸29側のギヤ32,33のうち低圧側のギヤ列である1段目ギヤ列36を構成するギヤ32よりも歯幅が小さい、つまり厚みが薄い。ギヤは厚みが薄い方が従動軸29に対して傾き易いが、ギヤ32よりも厚みが薄いギヤ33が従動軸29と一体形成されているために傾きの問題は生じない。よって、例えば厚みが厚いギヤ32を従動軸29と一体形成する場合に比べて、ギヤの片当たりによる焼き付きや摩耗を効果的に防止できる。
【0074】
ギヤ26,27が駆動軸12に対して傾くと、該ギヤ26,27にはラジアル荷重のスラスト分力が発生し、同様にギヤ32,33が従動軸29に対して傾くと、該ギヤ32,33にはラジアル荷重のスラスト分力が発生する。前述のようにラジアル荷重は従動軸29側の方が駆動軸12側よりも大きいため、従動軸29側のギヤ32,33の方が駆動軸12側のギヤ26,27よりもスラスト分力が大きくなる虞があり、片当たりによる焼き付きや摩耗がより生じやすくなる虞がある。本実施形態では、従動軸29側のギヤのうちギヤ32よりも薄いギヤ33が、従動軸29と一体形成されて傾きが防止されスラスト分力が抑制されているため、ポンプ1の全ギヤ26,27,32,33におけるギヤの片当たりによる焼き付きや摩耗を効果的に防止できる。
【0075】
(12)ギヤ32において側面と内周面との接続部分には、ギヤ32を従動軸29に嵌め入れし易いように面取り部32bが形成されている(なお、面取り部はギヤ26,27にも形成されているが図示省略し、ギヤ32の面取り部32bのみ図示している)。従って、例えば逆にギヤ32を従動軸29に一体形成してギヤ33を従動軸29に嵌め入れる構成に変更し、ギヤ33に面取り部32bと同じ曲率半径で面取り部を形成する場合に比べて、本実施形態ではギヤ32の歯幅に対する面取り部32bの占める比率が低い。よって、従動軸29に嵌め入れるギヤは、ギヤ33よりもギヤ32の方が傾きにくいため、片当たりによる焼き付きや摩耗を効果的に防止できる。
【0076】
また、従動軸29側のギヤ32,33において嵌め合い部(本実施形態ではギヤ32の内周面)の面圧上昇を抑制でき、従動軸29側のギヤ32,33の耐久性を向上できる。前述のようにラジアル荷重は従動軸29側の方が駆動軸12側よりも大きく、ラジアル荷重がギヤの嵌め合い部にかかるため、前記面圧上昇の抑制効果は特に有効である。
【0077】
(13)最も高圧の2段目ギヤ列37を構成するギヤ33が従動軸29と一体形成されている。よって、従動軸29及びギヤ部11に対するギヤ33の外周の芯ズレが小さくなり、高圧段のギヤ列(2段目ギヤ列37)においてDMEの漏れが少ない。高圧段のギヤ列は、低圧段のギヤ列(1段目ギヤ列36)に比べて吐出容量が小さくされていることにより、DMEの漏れ量が容積効率に与える影響が大きいため、DMEの漏れを減らすことができ、高効率を維持し易い。
【0078】
なお、実施形態は前記に限定されず、例えば、次の態様に変更してもよい。
○ 第1実施形態において、従動軸29に一体形成されるギヤは1段目ギヤ列36のギヤ32に限らず、2段目ギヤ列37のギヤ33又は3段目ギヤ列38のギヤ34でもよい。例えば、第1実施形態において最も高圧のギヤ列である3段目ギヤ列38を構成するギヤ34を従動軸29と一体形成し、他の連れ回りするギヤであるギヤ32,33を従動軸29に相対回転可能に取り付ける。この場合、第2実施形態のポンプ1が2段であるのに対し第1実施形態のポンプ1は3段であるため、第2実施形態で記載した効果(11)〜(13)と同様の効果をより顕著に奏することができる。
【0079】
例えば効果(11)に対応させると、ギヤは歯幅が小さくなるほど厚みが薄くなり、厚みが薄いギヤほど従動軸29に対して傾き易くなる(該ギヤが従動軸29に相対回転可能に取り付けられていた場合)。最も傾き易い3段目ギヤ列38のギヤ34を従動軸29に一体形成することで、該ギヤ34の従動軸29に対する傾きに起因した端面の摩耗や焼き付きを防止できる。よって、最も高圧のギヤ列を構成するギヤを従動軸29に一体形成する構成は、ポンプの段数が多くなるほど有効であり、特に、3段以上のポンプに有効である。
【0080】
○ 第2実施形態において、従動軸29に一体形成されるギヤは2段目のギヤ33に限らず、1段目のギヤ32でもよい。この場合、前記(9)と同様の効果が得られる。
【0081】
○ 第1実施形態において、弁手段としてのリリーフ弁46は、両サイドプレート18,20に設けることに限らず、両サイドプレート18,20の一方にのみ設置してもよい。また、弁手段は前記リリーフ弁46のような内部自律型の構成に限らず、例えば連通路43に吐出されたDMEの液圧が所定値を超えたか否かを検出するセンサの出力に基づいて開閉する外部制御型の弁(例えば電磁弁)を採用してもよい。なお、弁手段は削除してもよい。
【0082】
○ 第1実施形態において開弁状態のリリーフ弁46は、ポンプ1の要求圧まで昇圧されたDMEを吐出ポート39aに吐出する構成であったが、吐出ポート39aに限定されず、リリーフ弁46から高圧段のギヤ列を迂回してDMEを吐出するのであればよい。例えばリリーフ弁46から3段目ギヤ列38の下流側通路にDMEを吐出する構成でもよい。また、リリーフ弁46からのDMEの吐出先はポンプ1に限らず、例えば吐出配管4にDMEを吐出する構成でもよい。
【0083】
○ 第1実施形態において、第1空間51aと第3空間51cとを連通する戻し通路、第2空間51bと第3空間51cとを連通する戻し通路を設けてもよい。第1空間51aや第2空間51bに漏れ出たDMEは、これら戻し通路を介することにより、キー25及び溝部12aにおける若干の隙間だけを介するよりもスムーズに第3空間51cに送られ、第3空間51cと吸入ポート35aとを連通する既述の戻し通路を介して吸入ポート35aに戻される。
【0084】
同様に、第2実施形態においても、第1空間51aと第2空間51bとを連通する戻し通路を設けることによって、第1空間51aに漏れ出たDMEが戻し通路を介して第2空間51bによりスムーズに送られ、第2空間51bと吸入ポートとを連通する戻し通路を介して吸入ポートに戻される構成としてもよい。
【0085】
○ 第2実施形態においてポンプ1は、駆動軸12が上下方向となるように車両に搭載されていたが、外部駆動源としてエンジンを用いる場合は、駆動軸12が水平方向となるようにポンプ1を搭載してもよい。
【0086】
○ 多段ギヤポンプが扱う流体はDMEに限定されず、これ以外の他の流体を扱う多段ギヤポンプにおいて本発明を具体化してもよい。本発明は、液体の状態で低粘度特性及び易気化特性の少なくとも一方を有する流体を取り扱う多段ギヤポンプにおいて特に有効である。
【0087】
○ 上記第1実施形態においては3段ギヤポンプにおいて具体化され、第2実施形態においては2段ギヤポンプにおいて具体化されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、4段や5段等の2,3段以外の多段ギヤポンプにおいて具体化してもよい。
【0088】
○ 1段目ギヤ列36と2段目ギヤ列37との関係では、2段目ギヤ列37の吐出容量D2は、該ギヤ列37の歯幅h2を1段目ギヤ列36の歯幅h1よりも小さく設定することで、1段目ギヤ列36の吐出容量D1よりも低い値に設定していた。これを変更し、2段目ギヤ列37を構成するギヤ27,33の歯溝の深さを、1段目ギヤ列36を構成するギヤ26,32の歯溝の深さよりも小さく設定することによって2段目ギヤ列37の吐出容量D2を1段目ギヤ列36の吐出容量D1よりも小さく設定する構成としてもよい。2段目ギヤ列37と3段目ギヤ列38との関係でも同じことが言える。
【0089】
○ 第1実施形態ではOリング48a〜48f、シールリング49a〜49f、50a〜50fを備え、第2実施形態ではOリング48a〜48d、シールリング49a〜49d、50a〜50dを備えていたが、これらOリング及びシールリングを省略してもよい。
【0090】
○ 第1及び第2実施形態において、ポンプ1はエンジン6に燃料(DME)を圧送する車載用に限らず、例えば工作用機器に作動油を圧送するポンプであってもよい。
【0091】
○ 第1実施形態において、ギヤ34は従動軸29に一体形成されていたが、これを変更し、キーを介してギヤ34を従動軸29と一体回転可能に連結してもよい。同様に、第2実施形態において、ギヤ33は従動軸29に一体形成されていたが、これを変更し、キーを介してギヤ33を従動軸29と一体回転可能に連結してもよい。これらの場合でも前記(7)と同様の効果が得られる。
【0092】
前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
(1)請求項1〜6のうちいずれか一項において、前記流体は液体の状態で低粘度特性及び易気化特性の少なくとも一方を有する。
【0093】
(2)請求項5において、高圧段のギヤ列の歯幅は、低圧段のギヤ列の歯幅よりも小さく設定されており、前記従動軸に一体形成されたギヤは、前記流体を最も最初に通す1段目ギヤ列を構成するギヤである。
【0094】
(3)互いに噛合う一対のギヤからなり、前記ギヤのうち一方が駆動軸に連結されるとともに他方が駆動軸側のギヤと連れ回りするギヤ列を複数備え、吸入した流体を順に前記ギヤ列に通すことで昇圧して吐出する多段ギヤポンプにおいて、
前記ギヤのうち連れ回りするギヤは従動軸に取り付けられ、この従動軸に取り付けられた複数のギヤのうち、1つのギヤは前記従動軸に一体回転可能に連結され、残りのギヤは前記従動軸に相対回転可能に取り付けられている多段ギヤポンプ。
【0095】
(4)前記技術的思想(3)において、前記従動軸に一体回転可能に連結されたギヤは前記従動軸に一体形成されている。
(5)前記技術的思想(4)において、前記各ギヤ列は互いに歯幅が異なっていて、前記従動軸に一体形成されたギヤは、最も歯幅の小さいギヤ列を構成するギヤである。
【0096】
(6)前記技術的思想(4)において、前記各ギヤ列は互いに歯幅が異なっていて、前記従動軸に一体形成されたギヤは、最も歯幅の大きいギヤ列を構成するギヤである。
【0097】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば流体の昇圧特性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における3段ギヤポンプの縦断面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】図1のIII −III 線断面図。
【図4】燃料供給装置の概略構成図。
【図5】Oリングのシール状態を説明する拡大断面図。
【図6】第2実施形態における2段ギヤポンプの縦断面図。
【図7】従来技術における多段ギヤポンプの縦断面図。
【符号の説明】
1…多段ギヤポンプ、12…駆動軸、26〜28…ギヤ、29…従動軸、32〜34…ギヤ、36…2段目ギヤ列との関係において低圧段のギヤ列である1段目ギヤ列、37…1段目ギヤ列との関係において高圧段のギヤ列であって2段ギヤポンプにおいて最も高圧のギヤ列でもあり3段目ギヤ列との関係において低圧段のギヤ列である2段目ギヤ列、38…2段目ギヤ列との関係において高圧段のギヤ列であって3段ギヤポンプにおいて最も高圧のギヤ列でもある3段目ギヤ列、43,47…ギヤ列を繋ぐ流路を構成する連通路、46…弁手段としてのリリーフ弁、h1〜h3…歯幅。
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸入した流体を複数段のギヤ列で昇圧して吐出する多段ギヤポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体を複数段のギヤ列で昇圧する多段ギヤポンプが存在する(例えば、特許文献1参照。)。図7は、特許文献1で開示された多段ギヤポンプ81(以下、単にポンプと記す)の縦断面図である。ポンプ81は一対のギヤ82,83からなるロータリーギヤ84と、該ロータリーギヤ84と軸方向に並んで配置された一対のギヤ85,86からなるロータリーギヤ87を備えている。ギヤ82,85は駆動軸88に支持され、ギヤ83,86は従動軸89に支持されている。
【0003】
ポンプ81は、駆動軸88が回転するとギヤ82,85が回るとともにギヤ83,86が連れ回りする。このとき、ポンプ81は液体を吸入し、吸入された液体は1段目のロータリーギヤ84に流れて昇圧される。1段目のロータリーギヤ84で昇圧された液体は、該ロータリーギヤ84とロータリーギヤ87とを繋ぐ流路90を通って2段目のロータリーギヤ87に流れ、ロータリーギヤ87でも昇圧されて所定の高圧状態で吐出される。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−140770号公報(第2−3頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、例えば液体としてジメチルエーテル(DME)を用いた場合を考える。DMEには低粘度で漏れ易い性質があるので、ポンプ作動時においてDMEがロータリーギヤ84,87のギヤ部分から漏れ出てしまう。このため、1段目のロータリーギヤ84から2段目のロータリーギヤ87に圧送されるDMEの量、つまり1段目のロータリーギヤ84から実際に吐出される実容量は、前述した漏れによって該ロータリーギヤ84の吐出容量(理論値)よりも減少する。
【0006】
従って、特許文献1のようにロータリーギヤ84とロータリーギヤ87の歯幅hが同じであると、言い換えればロータリーギヤ84とロータリーギヤ87の吐出容量が同じであると、1段目のロータリーギヤ84の実容量が2段目のロータリーギヤ87の吐出容量に対して不足する。すると、蒸気圧が高い(揮発性が高い)という性質をDMEは有するため、DMEの圧力が蒸気圧を下回ってDMEが気化することになり、DMEを所定圧まで昇圧できない問題が生じていた。
【0007】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、流体の昇圧特性を確保することができる多段ギヤポンプを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の多段ギヤポンプは、高圧段のギヤ列の吐出容量が、低圧段のギヤ列の吐出容量よりも低い値に設定されている。この発明によれば、低圧段のギヤ列での流体の昇圧時に該ギヤ列から流体が漏れ出て、低圧段のギヤ列から実際に吐出される流体の実容量は吸入時に比べて減少する。しかし、高圧段のギヤ列の吐出容量は低圧段のギヤ列の吐出容量よりも低い値に設定されているので、高圧段のギヤ列の吐出容量に対し、低圧段のギヤ列から吐出される実容量が不足することを抑制できる。よって、高圧段のギヤ列で流体(液体)が気化し難くなることによって、流体の昇圧特性が確保される。
【0009】
なお、定義として「吐出容量」とは、ギヤ列を構成するギヤが一回転したときに、流体漏れを加味しないで吐出される理論上の流体容量(吐出能力)のことである。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記高圧段のギヤ列の吐出容量は、該ギヤ列の歯幅が前記低圧段のギヤ列の歯幅よりも小さく設定されることで、前記低圧段のギヤ列の吐出容量よりも低い値に設定されている。つまり、低圧段のギヤ列と高圧段のギヤ列は、端面における少なくとも歯付近の形状寸法が同じギヤによって構成されている。よって、例えば、高圧段のギヤ列と低圧段のギヤ列とで、ギヤの歯溝の深さを変更して吐出容量を異ならせる場合に比べて、各ギヤ列のギヤの歯において歯幅以外の形状寸法を同じとすることができ、各ギヤ間の共通部分が多くて、それらの製作が簡単となる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記高圧段のギヤ列の吐出容量は、前記流体の漏れ量を加味して前記低圧段のギヤ列から実際に吐出される実容量と同じ値に設定されている。従って、低圧段のギヤ列から過剰な量の流体が高圧段のギヤ列に送られることがなく、高圧段のギヤ列における流体の漏れ量が多くならずに済む。よって、流体の昇圧特性の確保と、高圧段のギヤ列での流体漏れに起因した多段ギヤポンプの動力損失の抑制とを高次元で両立できる。
【0012】
なお、定義として「高圧段のギヤ列の吐出容量が低圧段のギヤ列の実容量と同じ」とは、実質的に同程度の効果を得ることができる若干量の誤差(最大でも低圧段のギヤ列の吐出容量の10%(より高い次元で効果を追求する場合には5%))を含むものとする。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記高圧段のギヤ列と前記低圧段のギヤ列を繋ぐ流路には、前記流体の流体圧が所定圧を超えたときに開弁状態となって、前記高圧段のギヤ列を迂回して前記流路内の前記流体を吐出させる弁手段が設けられている。従って、多段ギヤポンプの要求圧が変動した場合に、低圧段のギヤ列だけで要求圧まで昇圧可能なときには、流体の一部が弁手段から高圧段のギヤ列を迂回して、多段ギヤポンプから吐出される。よって、既に高圧状態となった流体を高圧段のギヤ列で吸入することができなくても漏らさずに済み、動力損失を抑制できる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記ギヤのうち連れ回りするギヤは従動軸に取り付けられ、この従動軸に取り付けられた複数のギヤのうち、1つのギヤは前記従動軸に一体形成され、残りのギヤは前記従動軸に相対回転可能に取り付けられている。従って、従動軸に相対回転可能に取り付けられたギヤは、該ギヤに噛合いする駆動軸側のギヤによって回される。よって、従動軸側のギヤは、駆動軸からその他の従動軸側のギヤへの回転トルクの伝達をも受け持つ必要がない。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、高圧段のギヤ列の歯幅は、低圧段のギヤ列の歯幅よりも小さく設定されており、最も高圧のギヤ列を構成するギヤが前記従動軸に一体形成されている。つまり、一般的に、ギヤは歯幅が小さくなるほど厚みが薄くなり、厚みが薄いギヤほど従動軸に対して傾き易くなる(該ギヤが従動軸に相対回転可能に取り付けられていた場合)。この最も傾き易いギヤを従動軸に一体形成することで、該ギヤの従動軸に対する傾きに起因した端面の摩耗や焼き付きを防止できる。
【0016】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記流体はジメチルエーテル(DME)である。この発明によれば、DMEには低粘度、蒸気圧が高い(揮発性が高い)という特性があるため各段のギヤ列から漏れ出し易く、高圧段のギヤ列でDMEが気化して昇圧されない現象が起こり易い。しかし、高圧段のギヤ列の吐出容量は低圧段のギヤ列の吐出容量よりも低い値に設定されるので、多段ギヤポンプで流体としてDMEを用いても、DMEの昇圧特性が確保される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の多段ギヤポンプを、車両の走行駆動源たるエンジンへ燃料(ジメチルエーテル)を供給するための燃料供給装置に用いられる多段ギヤポンプに具体化した第1及び第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態においては第1実施形態との相違点についてのみ説明し、同一又は相当部材には同じ番号を付して説明を省略する。
【0018】
○第1実施形態
(燃料供給装置)
図4は、燃料供給装置の概略構成図である。多段ギヤポンプ(本実施形態においては3段ギヤポンプ。以下、単にポンプと記す)1の入力側には、流体としてのジメチルエーテル(DME)が貯留されたタンク2が吸入配管3を介して取り付けられている。ポンプ1の出力側には、吐出配管4を介して噴射ポンプ5が接続されている。噴射ポンプ5の出力側にはエンジン6が接続されている。噴射ポンプ5は、ポンプ1から圧送されたDMEを高圧状態でエンジン6に供給する。
【0019】
(ポンプ)
図1は、ポンプ1の縦断面図である。ポンプ1は同図の左側が上になり右側が下に位置した状態で車両に搭載されている。ポンプ1は略有底円筒状のケース7と、該ケース7の上端(図1では左端)に複数のボルト8を介して固着された蓋体9とを備えている。ケース7と蓋体9とがポンプ1のハウジングを構成している。ケース7の内部には蓋体9の内面に固着された駆動源としてのモータ部10と、モータ部10に固定されたギヤ部11とが収容されている。つまり、ポンプ1は軸密閉型である。
【0020】
モータ部10はハウジング10aの内周面に沿って配置された巻線を有する固定子10bと、固定子10bに囲まれた状態で配置された鉄心からなる回転子10cとを備えている。回転子10cは駆動軸12に一体回転可能に固着されている。駆動軸12はその両端がベアリング13,14によって支持されている。固定子10bの巻線は端子15に接続され、外部からの給電により端子15を介して巻線に電流が流れると巻線と鉄心との間の電磁誘導作用によって駆動軸12が回転する。
【0021】
ギヤ部11はモータ部10側から順に基部ブロック16、連結プレート17、サイドプレート18、連結プレート19、サイドプレート20、連結プレート21及び下端プレート22を備えている。基部ブロック16及びこれらプレート17〜22は駆動軸12を挿通した状態で、複数のボルト23(図2,図3に示す)を螺着することによって一体固定されている。また、ギヤ部11は、基部ブロック16のフランジ部16aに複数(図1に1つのみ示す)のボルト24を挿通してハウジング10aに羅着することでモータ部10に固定されている。
【0022】
駆動軸12は、ギヤ部11を構成している基部ブロック16及び全てのプレート17〜22に亘って延びており、その下端がベアリング14を介して下端プレート22に支持されている。駆動軸12の下端側の外周面には軸方向に沿って延びる溝部12aが形成され、溝部12aには略直方体のキー25が取り付けられている。
【0023】
駆動軸12には軸方向に沿って下端側から順に3つのギヤ26〜28が取り付けられ、ギヤ26〜28の外周面には歯26a〜28aが形成されている。これらギヤ26〜28の内周面にはキー溝26b〜28bが形成され、キー溝26b〜28bにキー25を係止することによってギヤ26〜28を駆動軸12と一体回転するようになっている。
【0024】
ギヤ部11の内部には、駆動軸12と平行状態で従動軸29が回転可能に収容されている。従動軸29はギヤ部11を構成している基部ブロック16及び全てのプレート17〜22に亘って延びており、上端がベアリング30を介して基部ブロック16に、下端がベアリング31を介して下端プレート22に支持されている。
【0025】
従動軸29には軸方向に沿って下端側から順に3つのギヤ32〜34が設けられている。これらギヤ32〜34には外周面に歯32a〜34aが設けられ、ギヤ32〜34のうち最も下端側のギヤ32は従動軸29に一体形成されている。一方、残り2つのギヤ33,34は、それぞれの貫通孔を介して従動軸29に嵌め合わされており、ギヤ32,33は従動軸29に対して相対回転可能に取り付けられている。ギヤ26とギヤ32、ギヤ27とギヤ33、ギヤ28とギヤ34はそれぞれ歯幅h1〜h3が同じであり、ギヤ26がギヤ32に、ギヤ27がギヤ33に、ギヤ28がギヤ34に各々噛合している。
【0026】
ポンプ1は、ケース7の外周面に取り付けられた吸入接続部35にタンク2から延びる吸入配管3が接続されており、ポンプ作動時にタンク2内のDMEを吸入ポート35aから吸入する。ポンプ1は吸入したDMEを複数のギヤ列に通して昇圧する直列式である。即ち、ポンプ1はギヤ26,32からなる1段目ギヤ列36、ギヤ27,33からなる2段目ギヤ列37、ギヤ28,34からなる3段目ギヤ列38に順に通すことで昇圧し、昇圧後のDMEをケース7の外周面に取り付けられた吐出接続部39(図2に示す)の吐出ポート39aから吐出する。
【0027】
なお、1段目ギヤ列36と2段目ギヤ列37との関係では、1段目ギヤ列36を低圧段のギヤ列として把握することができるとともに、2段目ギヤ列37を高圧段のギヤ列として把握することができる。2段目ギヤ列37と3段目ギヤ列38との関係では、2段目ギヤ列37を低圧段のギヤ列として把握することができ、3段目ギヤ列38を高圧段のギヤ列として把握することができる。また、3段目ギヤ列38は、ギヤ列36〜38のうち最も高圧のギヤ列である。
【0028】
図2は図1のII−II線断面図、図3は図1のIII −III 線断面図である。図2に示すように、連結プレート21にはギヤ26を収容するための孔部21aと、ギヤ32を収容するための孔部21bとが形成されている。連結プレート21には、ギヤ26とギヤ32が噛合う前後に若干の空間領域を設けることで、DMEの通路となる上流側通路40と下流側通路41とが形成されている。この上流側通路40は吸入ポート35aに連通されている。なお、連結プレート17,19にも同様に孔部、上流側通路及び下流側通路が各々形成されている。
【0029】
駆動軸12は、モータ部10の駆動により図2の矢印方向(時計回り方向)に回転し、従動軸29は1段目ギヤ列36を介して駆動軸12に連れ回りして同図の白抜き矢印方向に回転する。駆動軸12及び従動軸29の回転によりポンプ1の内部に送り込まれたDMEは、吸入ポート35a及び上流側通路40を通じて1段目ギヤ列36に流れ込む。1段目ギヤ列36に至ったDMEは、ギヤ26の隣接する歯26aと孔部21aの内周面によって形成されるポンプ室36a、及びギヤ32の隣接する歯32aと孔部21bの内周面によって形成されるポンプ室36bを通じて下流側通路41に向かって送られる。
【0030】
図3に示すように、サイドプレート20には、駆動軸12を挿通するための孔部20aが形成されている。サイドプレート20には、孔部20aに隣接して従動軸29を挿通するための孔部20bが形成されている。孔部20aの径は駆動軸12の径よりも大きく設定され、従って孔部20aの内周面と駆動軸12の外周面との間には隙間が形成されている。孔部20bの径は従動軸29の径よりも大きく設定され、従って孔部20bの内周面と従動軸29の外周面との間には隙間が形成されている。
【0031】
サイドプレート20の内部には、1段目ギヤ列36の下流側通路41と2段目ギヤ列37の上流側通路42とを連通する連通路43が形成されている。連通路43は、ポンプ1の径方向に延びる第1通路43aと、1段目ギヤ列36の下流側通路41から軸方向に延びて第1通路43aに連通された第2通路43bと、2段目ギヤ列37の上流側通路42から軸方向に延びて第1通路43aに連通された第3通路43cとからなっている。
【0032】
2段目ギヤ列37に至ったDMEは、ギヤ27の隣接する歯27aと連結プレート19の内周面によって形成されるポンプ室37a、及びギヤ33の隣接する歯33aと連結プレート19の内周面によって形成されるポンプ室37bを通じて3段目へ送られる。3段目ギヤ列38に至ったDMEは、ギヤ28の隣接する歯28aと連結プレート17の内周面によって形成されるポンプ室38a、及びギヤ34の隣接する歯34aと連結プレート17の内周面によって形成されるポンプ室38bを通じて吐出ポート39aへ送られる。
【0033】
(ポンプ室のシール構造)
図1に示すように、ギヤ部11の内部には、ポンプ室36a〜38a,36b〜38bとケース7内部との間の気密性を確保するためのOリング48a〜48fが介装されている。Oリング48a〜48fは、駆動軸12及び従動軸29を囲むように配置されている。ギヤ部11の内部には、駆動軸12の周りに存在する内部空間51とポンプ室36a〜38aとの間の気密性を確保するためのシールリング49a〜49fが介装されている。シールリング49a〜49fは駆動軸12を囲むように配置されている。
【0034】
ギヤ部11の内部には、従動軸29の周りに存在する内部空間52とポンプ室36b〜38bとの間の気密性を確保するためのシールリング50a〜50fが介装されている。シールリング50a〜50fは、従動軸29を囲むように配置されている。Oリング48a〜48fには、例えばニトリルゴムが材質として採用されている。シールリング49a〜49f,50a〜50fには、例えば4フッ化フロロエチレンが材質として採用されている。
【0035】
ここで、図5を用いてシールリング49aのシール状態について説明するが、他のシールリング49b〜49f,50a〜50fについても同様の動きをとる。即ち、ポンプ室36a内のDMEは内部空間51よりも昇圧されているため、ポンプ室36aからシールリング49aを収容する溝部53に流れ込む矢印で示すDMEの流れが発生する。これにより、シールリング49aはギヤ26側及び駆動軸12側に移動し、ギヤ26の側面及び溝部53の下面に接触してシール状態となる。
【0036】
(駆動軸に関するスラスト荷重低減構造)
図1に示すように、内部空間51は、ギヤ26〜28で区画されることによって、駆動軸12の下端側から順に第1空間51a、第2空間51b、第3空間51cとなっている。これら空間51a〜51cはキー25及び溝部12aにおける若干の隙間によって連通されている。ギヤ部11には、内部空間51と吸入ポート35aとを連通する戻し通路(図示省略)が形成されている。戻し通路は一端が第3空間51cに、他端が吸入ポート35aに連通されている。
【0037】
DMEには低粘度という性質があることから、シールリング49a〜49fでは隙間からDME(気液)が内部空間51に漏れ出てくる。このように内部空間51に高圧状態のDMEが流入してしまうと、このDMEによって内部空間51の圧力が高くなり、駆動軸12にスラスト荷重がかかることが考えられる。しかし、内部空間51に漏れ出たDMEは戻し通路を通じて吸入ポート35aに戻されるので、内部空間51がほぼ吸入圧となって駆動軸12にスラスト荷重がかかることが防止される。
【0038】
(リリーフ弁)
図3に示すように、連通路43の両端は封止部材44,45によって封止されている。連通路43の第2通路43b側の端部には、弁手段としてのリリーフ弁46が設けられている。リリーフ弁46の弁室46aには、吐出ポート39aに連通する抜き孔46bが形成されている。リリーフ弁46はボール状の弁体46cと、弁体46cを弁閉方向に付勢する付勢バネ46dとを備えている。
【0039】
なお、図示はしないがサイドプレート18にもサイドプレート20と同様の2段目ギヤ列37の下流側通路と3段目ギヤ列38の上流側通路とを連通する連通路47(図1に示す)及びリリーフ弁(図示省略)があり、基部ブロック16には吐出接続部39と連通する3段目ギヤ列38の下流側通路がある。
【0040】
連通路43に吐出されたDMEの液圧が所定値以下のときには、付勢バネ46dのバネ力により弁体46cが弁座46eに当接してリリーフ弁46が閉弁状態となる。従って、連通路43に流れ込んだDMEのほぼ全てが2段目ギヤ列37に送られる。一方、連通路43に吐出されたDMEの液圧が所定圧を超えて高くなると、付勢バネ46dに抗して弁体46cが弁座46eから離間してDMEが抜き孔46bから吐出ポート39aに直接吐出される。
【0041】
(気化DMEのタンクへの戻し構造)
図1に示すように、蓋体9には配管接続部54が取り付けられ、配管接続部54にはタンク2から延びるリーク用配管55(図4に示す)が接続されている。配管接続部54には、モータ部10の内部とポンプ1の外部とを連通するリーク用ポート56が形成されている。ハウジング10aの側壁部には、モータ部10の内部空間と、ケース7の内側でかつハウジング10aの外側の空間とを連通する抜き孔57が形成されている。
【0042】
軸密封型のポンプ1では、モータ部10やギヤ部11の摺動部(例えばギヤ26〜28,32〜34、駆動軸12、従動軸29等)の発熱等によって、各ギヤ列36〜38から漏れ出たDMEが気化する。この気化したDMEが、ハウジング10aの内部空間や、ケース7の内側でかつハウジング10aの外側の空間に蓄積することも考えられる。
【0043】
しかし、ハウジング10aの内部空間に存在するDMEの気体は、リーク用ポート56からリーク用配管55を介してタンク2に戻される。ケース7の内側でかつハウジング10aの外側の空間に存在するDMEの気体は、抜き孔57を介してハウジング10a内に入り、リーク用ポート56、リーク用配管55を介してタンク2に戻される。よって、DMEの気体充満に起因するモータ部10の冷却不足等の不具合が生じずに済む。
【0044】
なお、図4に示すように、リーク用配管55と噴射ポンプ5とは、帰還管58を介して接続されている。噴射ポンプ5において噴射されずに残った余剰DMEは、この帰還管58及びリーク用配管55を介してタンク2へと戻される。
【0045】
(各ギヤ列の吐出容量の設定)
図1に示すように、1段目ギヤ列36は、ギヤ26,32が一回転したときに流体漏れを加味しないで吐出される理論上の吐出容量(吐出能力)が「D1」となっている。1段目ギヤ列36は、DMEの低粘度特性による漏れによって、実際に吐出する実容量が「S1(<D1)」となる。同じく2段目ギヤ列37は、理論上の吐出容量が「D2」となり実容量が「S2(<D2)」となっている。同じく3段目ギヤ列38は、吐出容量が「D3」となり実容量が「S3(<D3)」となっている。
【0046】
このように、各ギヤ列36〜38でのDMEの昇圧時に各ギヤ列36〜38からDMEが漏れ出て、ギヤ列36〜38から実際に吐出されるDMEの実容量S1〜S3は吐出容量D1〜D3に比べて減少する。本実施形態のポンプ1においては、前述したシール構造(Oリング48a〜48f、シールリング49a〜49f,50a〜50f)の採用等によって各ギヤ列36〜38でのDMEの漏れが抑えられている。よって、1段目ギヤ列36の実容量S1は吐出容量D1の70〜80%、2段目ギヤ列37の実容量S2は吐出容量D2の70〜80%となっている。
【0047】
従来技術においても述べたように、例えば、1段目ギヤ列36の吐出容量D1と2段目ギヤ列37の吐出容量D2とが同じであると、1段目ギヤ列36の実容量S1が2段目ギヤ列37の吐出容量D2に対して不足し、DMEを所定圧まで昇圧できない問題が生じる。また、2段目ギヤ列37の吐出容量D2と3段目ギヤ列38の吐出容量D3とが同じであると、2段目ギヤ列37の実容量S2が3段目ギヤ列38の吐出容量D3に対して不足し、DMEを所定圧まで昇圧できない問題が生じる。
【0048】
本実施形態においては、2段目ギヤ列37の吐出容量D2は、1段目ギヤ列36の吐出容量D1よりも低い値に設定されている。また、3段目ギヤ列38の吐出容量D3は、2段目ギヤ列37の吐出容量D2よりも低い値に設定されている。従って、2段目ギヤ列37の吐出容量D2に対し、1段目ギヤ列36から吐出されるDMEの実容量S1が不足すること、及び、3段目ギヤ列38の吐出容量D3に対し、2段目ギヤ列37から吐出されるDMEの実容量S2が不足することを抑制できる。よって、2段目ギヤ列37及び3段目ギヤ列38でDMEが気化し難くなることによって、DMEの昇圧特性が確保される(本実施形態の効果(1))。
【0049】
DMEが気化した場合には、DMEにキャビテーションが発生し、該キャビティが潰れた際には衝撃波が発生し、騒音、振動が発生する不具合も生じる。よって、前述した2段目ギヤ列37及び3段目ギヤ列38でのDMEの気化抑制により、振動及び騒音抑制効果も得られる(本実施形態の効果(2))。
【0050】
なお、各ギヤ列36〜38の吐出容量D1〜D3はギヤの歯幅h1〜h3に比例し、歯幅h1〜h3の設定値により各ギヤ列36〜38の吐出容量D1〜D3が設定されている。つまり、2段目ギヤ列37の歯幅h2は、1段目ギヤ列36の歯幅h1よりも小さく設定されている。また、3段目ギヤ列38の歯幅h3は、2段目ギヤ列37の歯幅h2よりも小さく設定されている。
【0051】
従って、例えば1段目ギヤ列36と2段目ギヤ列37との関係では、高圧段のギヤ列である2段目ギヤ列37の吐出容量D2は、該ギヤ列37の歯幅h2が低圧段のギヤ列である1段目ギヤ列36の歯幅h1よりも小さく設定されることで、1段目ギヤ列36の吐出容量D1よりも低い値に設定されている。つまり、1段目ギヤ列36と2段目ギヤ列37は、端面における歯26a,27a,32a,33a付近の形状寸法が同じギヤ26,27,32,33によって構成されている。
【0052】
よって、1段目ギヤ列36のギヤ26,32の歯26a,32aと、2段目ギヤ列37のギヤ27,33の歯27a,33aにおいて歯幅h1,h2以外の形状寸法を同じとすることができる。従って、例えば2段目ギヤ列37のギヤ27,33の歯溝の深さを、1段目ギヤ列36のギヤ26,32の歯溝の深さよりも小さく設定して吐出容量D2を吐出容量D1よりも小さくする場合に比べて、各ギヤ26,27,32,33間の共通部分が多くて各ギヤの製作が簡単となる(本実施形態の効果(3))。2段目ギヤ列37と3段目ギヤ列38との関係でも同じことが言える。
【0053】
ここで例えば、2段目ギヤ列37の吐出容量D2を1段目ギヤ列36の吐出容量D1よりも低く設定し過ぎると、1段目ギヤ列36から2段目ギヤ列37へ過剰な量のDMEが送られて、2段目ギヤ列37におけるDMEの漏れ量が過度に多くなる。また、3段目ギヤ列38の吐出容量D3を2段目ギヤ列37の吐出容量D2よりも低く設定し過ぎると、3段目ギヤ列38においても同様な問題を生じる。
【0054】
本実施形態においては、2段目ギヤ列37の吐出容量D2と1段目ギヤ列36の実容量S1とが同じ値に設定されている。また、3段目ギヤ列38の吐出容量D3と2段目ギヤ列37の実容量S2とが同じ値に設定されている。従って、1段目ギヤ列36から過剰な量のDMEが2段目ギヤ列37に送られることがなく、2段目ギヤ列37におけるDMEの漏れ量が多くならずに済む。また、2段目ギヤ列37から過剰な量のDMEが3段目ギヤ列38に送られることがなく、3段目ギヤ列38におけるDMEの漏れ量が多くならずに済む。
【0055】
従って、本実施形態のポンプ1は、DMEの気化抑制によるDMEの昇圧特性の確保及び振動並びに騒音抑制と、DMEの漏れ量低減による動力損失及び温度上昇抑制とを高次元で両立できる高性能なものとなる(本実施形態の効果(4))。
【0056】
なお、2段目ギヤ列37の吐出容量D2が1段目ギヤ列36の実容量S1と同じとは、実質的に同程度の効果(4)を得ることができる若干量の誤差(最大でも1段目ギヤ列36の吐出容量D1の10%(より高い次元で効果を追求する場合には5%))を含むものとする。また、3段目ギヤ列38の吐出容量D3が2段目ギヤ列37の実容量S2と同じとは、実質的に同程度の効果を得ることができる若干量の誤差(最大でも2段目ギヤ列37の吐出容量D2の10%(より高い次元で効果を追求する場合には5%))を含むものとする。
【0057】
従って、2段目ギヤ列37の吐出容量D2は、例えば1段目ギヤ列36の実容量S1を吐出容量D1の70%とすれば、該吐出容量D1の60〜80%(より高い次元で効果を追求する場合には65〜75%)に設定されることとなる。つまり、2段目ギヤ列37の歯幅h2は、1段目ギヤ列36の歯幅h1の60〜80%(より高い次元で効果を追求する場合には65〜75%)に設定されることとなる。
【0058】
また、3段目ギヤ列38の吐出容量D3は、例えば2段目ギヤ列37の実容量S2を吐出容量D2の80%とすれば、該吐出容量D2の70〜90%(より高い次元で効果を追求する場合には75〜85%)に設定されることとなる。つまり、3段目ギヤ列38の歯幅h3は、2段目ギヤ列37の歯幅h2の70〜90%(より高い次元で効果を追求する場合には75〜85%)に設定されることとなる。
【0059】
上記構成の本実施形態においては前述した効果(1)〜(4)の他にも次のような効果を奏する。
(5)連通路43の第2通路43b側の端部にはリリーフ弁46が設けられている。ポンプ1の要求圧が変動した場合に1段目ギヤ列36だけで要求圧まで昇圧可能なときには、DMEの一部がリリーフ弁46から吐出ポート39aに吐出される。従って、DMEが既に高圧状態となっている場合に2段目ギヤ列37がDMEを吸引できずにDMEが1段目ギヤ列36へ漏れ出てしまうことを防止でき、動力損失を抑制できる。
【0060】
また、例えば1段目ギヤ列36のギヤ26,32や連結プレート21の設計寸法のバラツキによって、その間の隙間が想定した値よりも小さくなった場合には、想定外の少ない漏れしか生じず1段目ギヤ列36の昇圧能力が高い状態となる。従って、この条件下でもDMEが要求圧まで昇圧されれば、DMEの一部がリリーフ弁46を介して吐出ポート39aに吐出されるので、2段目ギヤ列37での仕事量が減ることになる。なお、リリーフ弁が連通路47にも設けられていることにより、2段目ギヤ列37と3段目ギヤ列38との関係でも同じことが言える。
【0061】
(6)ギヤ部11の内部には各ギヤ列36〜38の気密性を確保するためにOリング48a〜48f,シールリング49a〜49f,50a〜50fを設けたので、ギヤ列36〜38を通るDMEをケース7の内部や内部空間51,52に漏れ難くすることができる。
【0062】
(7)従動軸29は一個のギヤ(ギヤ32)と一体回転可能に形成され、他の連れ回りするギヤ33,34は従動軸29に相対回転可能に取り付けられている。よって、ギヤ33,34は駆動軸12によって回され、従動軸29側のギヤ(ギヤ32〜34)のうちいずれか1つのギヤが3段分の荷重を受ける心配がない。従って、ギヤの耐久性低下を抑制できる。
【0063】
なお、例えば従動軸29をギヤ部11に固定して固定軸とし、該固定軸がギヤ32〜34を回転可能に支持する構成に変更すると、固定軸に対するギヤ32〜34の周速が大きくなりすぎるため、ギヤ32〜34を支障なく回転させるためにはギヤ32〜34と固定軸との間にベアリングを介在させる必要がある。しかし、ベアリングを介在させるのは大型化等の面から問題があるため、従動軸29を固定軸とするのは不適当であり、従動軸29はギヤ32〜34と同じ速度で回転するのが望ましい。
【0064】
本実施形態では、ギヤ26と噛合したギヤ32と一体回転する従動軸29が、ギヤ27と噛合したギヤ33や、ギヤ28と噛合したギヤ34とは位相が異なるとしても、ギヤ33,34と同じ速度で回転する。従って、ギヤ33,34と従動軸29との間にベアリングを介在させることなく、従動軸29をギヤ32〜34と同じ速度で回転させる構成において、従動軸29が一個のギヤ(ギヤ32)と一体回転可能であることによりギヤの耐久性低下を抑制できる。
【0065】
(8)従動軸29は一個のギヤ(ギヤ32)と一体形成されている。例えばギヤ32がキーを介して従動軸29と一体回転する構成に変更した場合、ベアリング31は、キーに干渉しない位置まで離して配置しなければならない(ギヤ1個をキーでシャフトに連結する場合、キーはギヤの歯幅よりも長くなる場合が多い)。本実施形態ではギヤ32が従動軸29に一体形成されてキーが省略されているため、キーを用いる場合に比べてベアリング31をギヤ32に近づけて配置でき、従動軸29を撓み難くすることができる。
【0066】
なお、駆動軸12側のギヤ26〜28では、回転トルクによるラジアル荷重とポンプ室36a〜38a内の圧力によるラジアル荷重とが打ち消し合う方向に作用するのに対し、従動軸29側のギヤ32〜34では前記両ラジアル荷重が重なり合う方向に作用する。よって、従動軸29側のギヤ32〜34におけるラジアル荷重は駆動軸12側のギヤ26〜28におけるラジアル荷重よりも大きく(約2倍になることがある)、ギヤ32〜34からラジアル荷重を受ける従動軸29は、撓みやすい状況にある。
【0067】
また、従動軸29はギヤ列が3段であるため、ギヤ列が1段や2段の場合に比べてベアリング30,31間のスパン、すなわちベアリングスパンが大きく、より撓みやすい状況にある。よって、ギヤ32を従動軸29と一体形成してベアリング31をギヤ32に近づけて配置することは、撓み易い従動軸29を撓み難くするうえで効果的である。
【0068】
(9)3段のギヤ32〜34のうち最も歯幅の広いギヤ32を従動軸29に一体形成したので、ギヤ33やギヤ34を従動軸29に一体形成した場合に比べて、連れ回りするギヤ(従動軸29側のギヤ)が駆動軸12から受ける荷重を分散できる。
【0069】
(10)ギヤ部11には、内部空間51と吸入ポート35aとを連通する戻し通路が形成されている。内部空間51に漏れ出たDMEは戻し通路を通じて吸入ポート35aに戻されるので、内部空間51をほぼ吸入圧にすることができ、駆動軸12のスラスト荷重を生じ難くできる。
【0070】
○第2実施形態
次に、第2実施形態について図6に従って説明する。本実施形態のポンプ1は、軸開放型の2段ギヤポンプである。
【0071】
図6は、ポンプ1の断面図である。本実施形態のケース7は下方側(図6では右側)に開口し、蓋体9はケース7の下端に固着されている。駆動軸12はケース7の上方側から外部に突出し、この突出部分に外部駆動源(図示省略)が接続されている。本実施形態のポンプ1は1段目ギヤ列36と2段目ギヤ列37を有した2段であり、1段目ギヤ列36が上方側、2段目ギヤ列37が下方側に配置されている。
【0072】
基部ブロック16、連結プレート21、サイドプレート20及び連結プレート19はケース7の内部に接触した状態で収容されている。本実施形態では、1段目ギヤ列36のギヤ32が従動軸29と別体である。2段目ギヤ列37のギヤ33、即ち本実施形態における最も高圧のギヤ列である2段目ギヤ列37を構成するギヤ33が、従動軸29と一体形成されている。吐出接続部39は蓋体9に設けられており、吸入接続部35は図示省略されている。
【0073】
この構成においても第1実施形態の(1)〜(8)と同様な効果が得られる他に、次の効果が得られる。
(11)最も高圧のギヤ列(2段目ギヤ列37)を構成するギヤ33が従動軸29と一体形成されている。2段目ギヤ列37のギヤ33は従動軸29側のギヤ32,33のうち低圧側のギヤ列である1段目ギヤ列36を構成するギヤ32よりも歯幅が小さい、つまり厚みが薄い。ギヤは厚みが薄い方が従動軸29に対して傾き易いが、ギヤ32よりも厚みが薄いギヤ33が従動軸29と一体形成されているために傾きの問題は生じない。よって、例えば厚みが厚いギヤ32を従動軸29と一体形成する場合に比べて、ギヤの片当たりによる焼き付きや摩耗を効果的に防止できる。
【0074】
ギヤ26,27が駆動軸12に対して傾くと、該ギヤ26,27にはラジアル荷重のスラスト分力が発生し、同様にギヤ32,33が従動軸29に対して傾くと、該ギヤ32,33にはラジアル荷重のスラスト分力が発生する。前述のようにラジアル荷重は従動軸29側の方が駆動軸12側よりも大きいため、従動軸29側のギヤ32,33の方が駆動軸12側のギヤ26,27よりもスラスト分力が大きくなる虞があり、片当たりによる焼き付きや摩耗がより生じやすくなる虞がある。本実施形態では、従動軸29側のギヤのうちギヤ32よりも薄いギヤ33が、従動軸29と一体形成されて傾きが防止されスラスト分力が抑制されているため、ポンプ1の全ギヤ26,27,32,33におけるギヤの片当たりによる焼き付きや摩耗を効果的に防止できる。
【0075】
(12)ギヤ32において側面と内周面との接続部分には、ギヤ32を従動軸29に嵌め入れし易いように面取り部32bが形成されている(なお、面取り部はギヤ26,27にも形成されているが図示省略し、ギヤ32の面取り部32bのみ図示している)。従って、例えば逆にギヤ32を従動軸29に一体形成してギヤ33を従動軸29に嵌め入れる構成に変更し、ギヤ33に面取り部32bと同じ曲率半径で面取り部を形成する場合に比べて、本実施形態ではギヤ32の歯幅に対する面取り部32bの占める比率が低い。よって、従動軸29に嵌め入れるギヤは、ギヤ33よりもギヤ32の方が傾きにくいため、片当たりによる焼き付きや摩耗を効果的に防止できる。
【0076】
また、従動軸29側のギヤ32,33において嵌め合い部(本実施形態ではギヤ32の内周面)の面圧上昇を抑制でき、従動軸29側のギヤ32,33の耐久性を向上できる。前述のようにラジアル荷重は従動軸29側の方が駆動軸12側よりも大きく、ラジアル荷重がギヤの嵌め合い部にかかるため、前記面圧上昇の抑制効果は特に有効である。
【0077】
(13)最も高圧の2段目ギヤ列37を構成するギヤ33が従動軸29と一体形成されている。よって、従動軸29及びギヤ部11に対するギヤ33の外周の芯ズレが小さくなり、高圧段のギヤ列(2段目ギヤ列37)においてDMEの漏れが少ない。高圧段のギヤ列は、低圧段のギヤ列(1段目ギヤ列36)に比べて吐出容量が小さくされていることにより、DMEの漏れ量が容積効率に与える影響が大きいため、DMEの漏れを減らすことができ、高効率を維持し易い。
【0078】
なお、実施形態は前記に限定されず、例えば、次の態様に変更してもよい。
○ 第1実施形態において、従動軸29に一体形成されるギヤは1段目ギヤ列36のギヤ32に限らず、2段目ギヤ列37のギヤ33又は3段目ギヤ列38のギヤ34でもよい。例えば、第1実施形態において最も高圧のギヤ列である3段目ギヤ列38を構成するギヤ34を従動軸29と一体形成し、他の連れ回りするギヤであるギヤ32,33を従動軸29に相対回転可能に取り付ける。この場合、第2実施形態のポンプ1が2段であるのに対し第1実施形態のポンプ1は3段であるため、第2実施形態で記載した効果(11)〜(13)と同様の効果をより顕著に奏することができる。
【0079】
例えば効果(11)に対応させると、ギヤは歯幅が小さくなるほど厚みが薄くなり、厚みが薄いギヤほど従動軸29に対して傾き易くなる(該ギヤが従動軸29に相対回転可能に取り付けられていた場合)。最も傾き易い3段目ギヤ列38のギヤ34を従動軸29に一体形成することで、該ギヤ34の従動軸29に対する傾きに起因した端面の摩耗や焼き付きを防止できる。よって、最も高圧のギヤ列を構成するギヤを従動軸29に一体形成する構成は、ポンプの段数が多くなるほど有効であり、特に、3段以上のポンプに有効である。
【0080】
○ 第2実施形態において、従動軸29に一体形成されるギヤは2段目のギヤ33に限らず、1段目のギヤ32でもよい。この場合、前記(9)と同様の効果が得られる。
【0081】
○ 第1実施形態において、弁手段としてのリリーフ弁46は、両サイドプレート18,20に設けることに限らず、両サイドプレート18,20の一方にのみ設置してもよい。また、弁手段は前記リリーフ弁46のような内部自律型の構成に限らず、例えば連通路43に吐出されたDMEの液圧が所定値を超えたか否かを検出するセンサの出力に基づいて開閉する外部制御型の弁(例えば電磁弁)を採用してもよい。なお、弁手段は削除してもよい。
【0082】
○ 第1実施形態において開弁状態のリリーフ弁46は、ポンプ1の要求圧まで昇圧されたDMEを吐出ポート39aに吐出する構成であったが、吐出ポート39aに限定されず、リリーフ弁46から高圧段のギヤ列を迂回してDMEを吐出するのであればよい。例えばリリーフ弁46から3段目ギヤ列38の下流側通路にDMEを吐出する構成でもよい。また、リリーフ弁46からのDMEの吐出先はポンプ1に限らず、例えば吐出配管4にDMEを吐出する構成でもよい。
【0083】
○ 第1実施形態において、第1空間51aと第3空間51cとを連通する戻し通路、第2空間51bと第3空間51cとを連通する戻し通路を設けてもよい。第1空間51aや第2空間51bに漏れ出たDMEは、これら戻し通路を介することにより、キー25及び溝部12aにおける若干の隙間だけを介するよりもスムーズに第3空間51cに送られ、第3空間51cと吸入ポート35aとを連通する既述の戻し通路を介して吸入ポート35aに戻される。
【0084】
同様に、第2実施形態においても、第1空間51aと第2空間51bとを連通する戻し通路を設けることによって、第1空間51aに漏れ出たDMEが戻し通路を介して第2空間51bによりスムーズに送られ、第2空間51bと吸入ポートとを連通する戻し通路を介して吸入ポートに戻される構成としてもよい。
【0085】
○ 第2実施形態においてポンプ1は、駆動軸12が上下方向となるように車両に搭載されていたが、外部駆動源としてエンジンを用いる場合は、駆動軸12が水平方向となるようにポンプ1を搭載してもよい。
【0086】
○ 多段ギヤポンプが扱う流体はDMEに限定されず、これ以外の他の流体を扱う多段ギヤポンプにおいて本発明を具体化してもよい。本発明は、液体の状態で低粘度特性及び易気化特性の少なくとも一方を有する流体を取り扱う多段ギヤポンプにおいて特に有効である。
【0087】
○ 上記第1実施形態においては3段ギヤポンプにおいて具体化され、第2実施形態においては2段ギヤポンプにおいて具体化されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、4段や5段等の2,3段以外の多段ギヤポンプにおいて具体化してもよい。
【0088】
○ 1段目ギヤ列36と2段目ギヤ列37との関係では、2段目ギヤ列37の吐出容量D2は、該ギヤ列37の歯幅h2を1段目ギヤ列36の歯幅h1よりも小さく設定することで、1段目ギヤ列36の吐出容量D1よりも低い値に設定していた。これを変更し、2段目ギヤ列37を構成するギヤ27,33の歯溝の深さを、1段目ギヤ列36を構成するギヤ26,32の歯溝の深さよりも小さく設定することによって2段目ギヤ列37の吐出容量D2を1段目ギヤ列36の吐出容量D1よりも小さく設定する構成としてもよい。2段目ギヤ列37と3段目ギヤ列38との関係でも同じことが言える。
【0089】
○ 第1実施形態ではOリング48a〜48f、シールリング49a〜49f、50a〜50fを備え、第2実施形態ではOリング48a〜48d、シールリング49a〜49d、50a〜50dを備えていたが、これらOリング及びシールリングを省略してもよい。
【0090】
○ 第1及び第2実施形態において、ポンプ1はエンジン6に燃料(DME)を圧送する車載用に限らず、例えば工作用機器に作動油を圧送するポンプであってもよい。
【0091】
○ 第1実施形態において、ギヤ34は従動軸29に一体形成されていたが、これを変更し、キーを介してギヤ34を従動軸29と一体回転可能に連結してもよい。同様に、第2実施形態において、ギヤ33は従動軸29に一体形成されていたが、これを変更し、キーを介してギヤ33を従動軸29と一体回転可能に連結してもよい。これらの場合でも前記(7)と同様の効果が得られる。
【0092】
前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
(1)請求項1〜6のうちいずれか一項において、前記流体は液体の状態で低粘度特性及び易気化特性の少なくとも一方を有する。
【0093】
(2)請求項5において、高圧段のギヤ列の歯幅は、低圧段のギヤ列の歯幅よりも小さく設定されており、前記従動軸に一体形成されたギヤは、前記流体を最も最初に通す1段目ギヤ列を構成するギヤである。
【0094】
(3)互いに噛合う一対のギヤからなり、前記ギヤのうち一方が駆動軸に連結されるとともに他方が駆動軸側のギヤと連れ回りするギヤ列を複数備え、吸入した流体を順に前記ギヤ列に通すことで昇圧して吐出する多段ギヤポンプにおいて、
前記ギヤのうち連れ回りするギヤは従動軸に取り付けられ、この従動軸に取り付けられた複数のギヤのうち、1つのギヤは前記従動軸に一体回転可能に連結され、残りのギヤは前記従動軸に相対回転可能に取り付けられている多段ギヤポンプ。
【0095】
(4)前記技術的思想(3)において、前記従動軸に一体回転可能に連結されたギヤは前記従動軸に一体形成されている。
(5)前記技術的思想(4)において、前記各ギヤ列は互いに歯幅が異なっていて、前記従動軸に一体形成されたギヤは、最も歯幅の小さいギヤ列を構成するギヤである。
【0096】
(6)前記技術的思想(4)において、前記各ギヤ列は互いに歯幅が異なっていて、前記従動軸に一体形成されたギヤは、最も歯幅の大きいギヤ列を構成するギヤである。
【0097】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば流体の昇圧特性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における3段ギヤポンプの縦断面図。
【図2】図1のII−II線断面図。
【図3】図1のIII −III 線断面図。
【図4】燃料供給装置の概略構成図。
【図5】Oリングのシール状態を説明する拡大断面図。
【図6】第2実施形態における2段ギヤポンプの縦断面図。
【図7】従来技術における多段ギヤポンプの縦断面図。
【符号の説明】
1…多段ギヤポンプ、12…駆動軸、26〜28…ギヤ、29…従動軸、32〜34…ギヤ、36…2段目ギヤ列との関係において低圧段のギヤ列である1段目ギヤ列、37…1段目ギヤ列との関係において高圧段のギヤ列であって2段ギヤポンプにおいて最も高圧のギヤ列でもあり3段目ギヤ列との関係において低圧段のギヤ列である2段目ギヤ列、38…2段目ギヤ列との関係において高圧段のギヤ列であって3段ギヤポンプにおいて最も高圧のギヤ列でもある3段目ギヤ列、43,47…ギヤ列を繋ぐ流路を構成する連通路、46…弁手段としてのリリーフ弁、h1〜h3…歯幅。
Claims (7)
- 互いに噛合う一対のギヤからなり、前記ギヤのうち一方が駆動軸に連結されているとともに他方が駆動軸側のギヤと連れ回りするギヤ列を複数備え、吸入した流体を順に前記ギヤ列に通すことで昇圧して吐出する多段ギヤポンプにおいて、
高圧段のギヤ列の吐出容量は、低圧段のギヤ列の吐出容量よりも低い値に設定されている多段ギヤポンプ。 - 前記高圧段のギヤ列の吐出容量は、該ギヤ列の歯幅が前記低圧段のギヤ列の歯幅よりも小さく設定されることで、前記低圧段のギヤ列の吐出容量よりも低い値に設定されている請求項1に記載の多段ギヤポンプ。
- 前記高圧段のギヤ列の吐出容量は、前記流体の漏れ量を加味して、前記低圧段のギヤ列から実際に吐出される実容量と同じ値に設定されている請求項1又は2に記載の多段ギヤポンプ。
- 前記高圧段のギヤ列と前記低圧段のギヤ列を繋ぐ流路には、前記流体の流体圧が所定圧を超えたときに開弁状態となって、前記高圧段のギヤ列を迂回して前記流路内の前記流体を吐出させる弁手段が設けられている請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の多段ギヤポンプ。
- 前記ギヤのうち連れ回りするギヤは従動軸に取り付けられ、この従動軸に取り付けられた複数のギヤのうち、1つのギヤは前記従動軸に一体形成され、残りのギヤは前記従動軸に相対回転可能に取り付けられている請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の多段ギヤポンプ。
- 前記高圧段のギヤ列の歯幅は前記低圧段のギヤ列の歯幅よりも小さく設定されており、最も高圧のギヤ列を構成するギヤが前記従動軸に一体形成されている請求項5に記載の多段ギヤポンプ。
- 前記流体はジメチルエーテルである請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の多段ギヤポンプ。
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