JP2004278334A - 内燃機関における圧縮比の変更制御 - Google Patents

内燃機関における圧縮比の変更制御 Download PDF

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Shigeki Miyashita
茂樹 宮下
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Abstract

【課題】圧縮比を変更可能な内燃機関において、燃焼室内の残留ガスに起因する自発火の発生を抑制することのできる技術を提供する。
【解決手段】内燃機関は、燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更するための圧縮比変更部と、内燃機関の運転条件に応じて圧縮比変更部を制御するための制御部と、を備える。内燃機関は、ほぼ理論空燃比で運転が実行される第1の運転モードと、理論空燃比よりも高い空燃比で運転が実行される第2の運転モードと、を有しており、内燃機関の負荷が比較的低い特定の運転領域では、2つの運転モードの双方で運転を実行可能である。制御部は、第2の運転モードでは、内燃機関の負荷および回転数が比較的大きい場合には、圧縮比を比較的低い値に設定する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、圧縮比を変更可能な内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、圧縮比を変更可能な機構を有する種々の内燃機関が提案されている。圧縮比は、通常、運転条件に応じて変更される。具体的には、内燃機関の負荷が低い場合(すなわちアクセル開度が小さい場合)には、ノッキングが発生し難いため、圧縮比は高く設定される。一方、内燃機関の負荷が高い場合(すなわちアクセル開度が大きい場合)には、ノッキングが発生し易いため、圧縮比は低く設定される。
【0003】
特許文献1では、内燃機関の負荷が低い場合には、高圧縮比かつリーン空燃比(混合気の空燃比が理論空燃比より高い状態)で運転を実行し、内燃機関の負荷が高い場合には、低圧縮比かつリッチ空燃比(混合気の空燃比が理論空燃比より低い状態)で運転を実行する技術が開示されている。リーン空燃比で燃焼が行われる場合には、燃焼速度が低く、燃焼室内の圧縮時のガス温度が低いため、ノッキングが発生し難い。このため、リーン空燃比で燃焼を行う場合には、高圧縮比に設定することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−159642号公報
【特許文献2】
実開昭61−192541号公報
【特許文献3】
実開昭63−138443号公報
【特許文献4】
実開昭62−72450号公報
【特許文献5】
特公昭58−7816号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、運転条件によっては、燃焼室内に残留するガスに起因して、燃焼室内の圧縮時のガス温度が高くなってしまうという問題がある。このとき、エンドガス(燃焼時の未燃混合気)が自発火温度まで上昇して自発火し、この結果、ノッキングなどの異常燃焼が発生してしまう。
【0006】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、圧縮比を変更可能な内燃機関において、燃焼室内の残留ガスに起因する自発火の発生を抑制することのできる技術を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第1の装置は、内燃機関であって、
燃焼室を含み、前記燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更するための圧縮比変更部と、
前記内燃機関の運転条件を検出し、検出結果に応じて前記圧縮比変更部を制御するための制御部と、
を備え、
前記内燃機関は、ほぼ理論空燃比で運転が実行される第1の運転モードと、理論空燃比よりも高い空燃比で運転が実行される第2の運転モードと、を有しており、内燃機関の負荷が比較的低い特定の運転領域では、前記2つの運転モードの双方で運転を実行可能であり、
前記制御部は、
前記第2の運転モードでは、前記内燃機関の負荷および回転数が比較的小さい場合には、圧縮比を比較的高い値に設定し、前記内燃機関の負荷および回転数が比較的大きい場合には、圧縮比を比較的低い値に設定することを特徴とする。
【0008】
この装置では、第2の運転モードでは、理論空燃比よりも高い空燃比で運転が実行されるため、燃焼室内の圧縮時のガス温度を低くすることができる。ただし、内燃機関の負荷および回転数の増大に伴って燃焼室内の残留ガス量が多くなると、燃焼室内の圧縮時のガス温度が高くなり、自発火が発生し得る。しかしながら、この装置では、内燃機関の負荷および回転数が比較的大きい場合には、圧縮比が比較的低い値に設定されるため、残留ガスに起因する自発火の発生を抑制することが可能となる。
【0009】
上記の装置において、
前記制御部は、
前記特定の運転領域では、前記内燃機関の運転条件以外の所定の検出結果に基づいて、前記燃焼室内の圧縮時のガス温度が比較的低いと判断する場合には、前記第1の運転モードを選択し、前記圧縮時のガス温度が比較的高いと判断する場合には、前記第2の運転モードを選択するようにしてもよい。
【0010】
こうすれば、燃焼室内の圧縮時のガス温度が比較的高いと判断される場合には、理論空燃比よりも高い空燃比で運転が実行されるため、残留ガスに起因する自発火の発生をより抑制することができる。
【0011】
上記の装置において、
前記制御部は、前記燃焼室を冷却するための冷却水の温度の検出結果に基づいて、運転モードの選択を実行することが好ましい。
【0012】
こうすれば、燃焼室内の圧縮時のガス温度を比較的容易に判断することができる。
【0013】
上記の装置において、
前記制御部は、
前記第2の運転モードでは、前記内燃機関の負荷および回転数が比較的小さい場合には、空燃比を比較的低い値に設定し、前記内燃機関の負荷および回転数が比較的大きい場合には、空燃比を比較的高い値に設定することが好ましい。
【0014】
このように、内燃機関の負荷および回転数が比較的大きい場合に、空燃比を比較的高い値に設定すれば、燃焼室内の圧縮時のガス温度をより低下させることができるため、圧縮比を比較的高い値に設定可能な運転領域を拡張することができ、この結果、燃料消費率を向上させることができる。
【0015】
本発明の第2の装置は、内燃機関であって、
燃焼室を含み、前記燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更するための圧縮比変更部と、
前記内燃機関の運転条件を検出し、検出結果に応じて前記圧縮比変更部を制御するための制御部と、
を備え、
前記内燃機関は、ほぼ理論空燃比で運転が実行される第1の運転モードと、理論空燃比よりも高い空燃比で運転が実行される第2の運転モードと、を有しており、
前記制御部は、
前記第2の運転モードでは、前記内燃機関の負荷および回転数が比較的小さい場合には、圧縮比を比較的高い値に設定すると共に空燃比を比較的低い値に設定し、前記内燃機関の負荷および回転数が比較的大きい場合には、圧縮比を比較的低い値に設定すると共に空燃比を比較的高い値に設定することを特徴とする。
【0016】
この装置では、第2の運転モードでは、内燃機関の負荷および回転数が比較的大きい場合に、圧縮比が比較的低い値に設定されるため、残留ガスに起因する自発火の発生を抑制することができる。また、第2の運転モードでは、内燃機関の負荷および回転数が比較的大きい場合に、空燃比が比較的高い値に設定されるため、燃焼室内の圧縮時のガス温度をより低下させることができる。これにより、圧縮比を比較的高い値に設定可能な運転領域を比較的大きく設定することができ、この結果、燃料消費率を向上させることができる。
【0017】
本発明の第3の装置は、内燃機関であって、
燃焼室を含み、前記燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更するための圧縮比変更部と、
前記圧縮比変更部を制御するための制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記燃焼室内の残留ガス量を推定するための推定部を備え、
前記制御部は、
前記残留ガス量が比較的少ないと推定される場合には、圧縮比を比較的高い値に設定し、前記残留ガス量が比較的多いと推定される場合には、圧縮比を比較的低い値に設定することを特徴とする。
【0018】
この装置では、燃焼室内の残留ガス量が比較的多いと推定される場合には、圧縮比は比較的低い値に設定されるため、残留ガスに起因する自発火の発生を確実に抑制することが可能となる。
【0019】
上記の装置において、
前記推定部は、
前記燃焼室内の残留ガス量に関連する物理量を検出するための検出部を備え、
前記推定部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記残留ガス量を推定することが好ましい。
【0020】
こうすれば、残留ガス量を比較的正確に推定することができる。
【0021】
また、上記の装置において、
前記内燃機関は、ほぼ理論空燃比で運転を実行する第1の運転モードと、理論空燃比よりも高い空燃比で運転を実行する第2の運転モードと、を有しており、
前記制御部は、前記残留ガス量に基づく圧縮比の設定を、前記第2の運転モードにおいて実行するようにしてもよい。
【0022】
本発明の第4の装置は、内燃機関であって、
燃焼室を含み、前記燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更するための圧縮比変更部と、
前記圧縮比変更部を制御するための制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記燃焼室内の残留ガスが考慮された前記燃焼室内の圧縮時のガス温度を推定するための推定部を備え、
前記制御部は、
前記圧縮時のガス温度が比較的低いと推定される場合には、圧縮比を比較的高い値に設定し、前記圧縮時のガス温度が比較的高いと推定される場合には、圧縮比を比較的低い値に設定することを特徴とする。
【0023】
この装置では、燃焼室内の圧縮時のガス温度が比較的高いと推定される場合には、圧縮比は比較的低い値に設定されるため、残留ガスに起因する自発火の発生を確実に抑制することが可能となる。
【0024】
上記の装置において、
前記推定部は、
前記燃焼室内の残留ガスに関連する物理量を検出するための第1の検出部と、
前記燃焼室に吸入される空気に関連する物理量を検出するための第2の検出部と、
を備え、
前記推定部は、前記2つの検出部の検出結果に基づいて、前記圧縮時のガス温度を推定することが好ましい。
【0025】
燃焼室内の圧縮時のガス温度は、燃焼室内の残留ガスと燃焼室に吸入される空気とに依存する。このため、上記のようにすれば、燃焼室内の圧縮時のガス温度を比較的正確に推定することができる。
【0026】
上記の装置において、
前記内燃機関は、ほぼ理論空燃比で運転を実行する第1の運転モードと、理論空燃比よりも高い空燃比で運転を実行する第2の運転モードと、を有しており、
前記制御部は、前記圧縮時のガス温度に基づく圧縮比の設定を、前記第2の運転モードにおいて実行するようにしてもよい。
【0027】
なお、この発明は、内燃機関、内燃機関を搭載した移動体、内燃機関を制御するための制御装置および制御方法、制御装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の種々の態様で実現することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
A.第1実施例:
A−1.エンジンの構成:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、第1実施例におけるガソリンエンジン100の概略構成を示す説明図である。なお、本実施例のエンジンは車両に搭載されている。
【0029】
エンジン100は、エンジン本体10を備えており、エンジン本体10は、シリンダヘッド20とシリンダブロック30とを備えている。
【0030】
シリンダブロック30は、シリンダとして機能する上部ブロック31と、クランクケースとして機能する下部ブロック32と、を含んでいる。シリンダ内には、上下に往復運動するピストン41が設けられており、クランクケース内には、回転運動するクランクシャフト43が設けられている。ピストン41とクランクシャフト43とは、コネクティングロッド42を介して接続されている。この構成によって、ピストン41の往復運動とクランクシャフト43の回転運動との変換が行われる。なお、シリンダヘッド20とシリンダブロック30とピストン41とで囲まれた領域は、燃焼室を形成する。
【0031】
また、上部ブロック31と下部ブロック32との間には、上部ブロック31を下部ブロック32に対して上下方向に移動させるためのアクチュエータ33が設けられている。上部ブロック31を上方に移動させると、シリンダヘッド20も上方に移動する。このとき、燃焼室の容積が大きくなるため、圧縮比は低くなる。逆に、上部ブロック31を下方に移動させると、シリンダヘッド20も下方に移動する。このとき、燃焼室の容積が小さくなるため、圧縮比は高くなる。
【0032】
シリンダヘッド20には、吸気ポート23と排気ポート24とが形成されている。吸気ポート23には、吸気弁21が配置されており、排気ポート24には、排気弁22が配置されている。吸気弁21と排気弁22とは、それぞれ、ピストン41の往復運動に応じて動作する動弁機構(カム機構)25,26によって駆動される。
【0033】
吸気ポート23には、吸気管50が接続されており、排気ポート24には、排気管58が接続されている。吸気管50には、スロットル弁52と燃料噴射弁55とが設けられている。吸気管50の上流側からはエアクリーナ51を介して空気が供給される。電動アクチュエータ53によって制御されるスロットル弁52は、燃焼室に導かれる空気量を調整する。燃料噴射弁55は、図示しない燃料ポンプから供給される燃料(ガソリン)を吸気ポート23内に噴射する。これにより、空気と燃料との混合気が生成される。混合気は、燃焼室内に供給された後、点火プラグ27が形成する電気火花によって、燃焼する。燃焼済みの排気ガスは、燃焼室から排出される。
【0034】
また、エンジン100は、エンジン全体を制御するための電子制御ユニット(ECU:electrical control unit )60を備えている。ECU60は、バスで互いに接続されたCPUとROMとRAMと入出力回路とを備えている。ECU60には、クランクシャフト43に設けられたクランク角センサ61や、アクセルペダルに設けられたアクセル開度センサ62、吸気管50に設けられた吸気圧センサ56、エンジン本体10に設けられた水温センサ70などが接続されている。そして、ECU60は、これらの検出結果に基づいて、アクチュエータ33や、燃料噴射弁55、点火プラグ27などを制御する。
【0035】
なお、本実施例におけるエンジン本体10が本発明における圧縮比変更部に相当する。また、ECU60とクランク角センサ61とアクセル開度センサ62と吸気圧センサ56と水温センサ70とが本発明における制御部に相当する。
【0036】
A−2.比較例におけるエンジンの制御:
図2は、比較例におけるエンジンの制御の概要を示すフローチャートである。なお、ECU60は、ステップS101,S102の処理を繰り返し実行する。
【0037】
ステップS101では、エンジンの運転条件が検出される。具体的には、ECU60は、運転条件として、エンジン回転数と要求トルクとを検出する。なお、エンジン回転数は、クランク角センサ61の検出結果に基づいて決定され、要求トルクは、アクセル開度センサ62の検出結果に基づいて決定される。
【0038】
ステップS102では、ステップS101で検出された運転条件に基づいて、種々の制御が実行される。
【0039】
ステップS102aでは、圧縮比の制御が実行される。具体的には、ECU60は、検出された運転条件(エンジン回転数および要求トルク)に基づいて、目標圧縮比を決定する。また、ECU60は、アクチュエータ33を駆動させることによって、エンジンの圧縮比を目標圧縮比に設定する。
【0040】
ステップS102bでは、燃料噴射の制御が実行される。具体的には、ECU60は、まず、検出された運転条件(エンジン回転数および要求トルク)に基づいて、目標空燃比を決定する。
【0041】
比較例では、目標圧縮比と目標空燃比とは、ECU60のROM内に格納されたマップを用いて決定されている。図3は、比較例で使用される目標圧縮比および目標空燃比のマップを模式的に示す説明図である。比較例では、図3(A)に示すように、要求トルクが比較的低い条件では、目標圧縮比は比較的高い値に設定される。逆に、要求トルクが比較的高い条件では、目標圧縮比は比較的低い値に設定される。また、比較例では、図3(B)に示すように、混合気の空燃比は、運転条件(要求トルクおよびエンジン回転数)に依らず、ほぼ理論空燃比に設定される。
【0042】
図3(A)のマップを用いれば、ノッキングの発生を抑制しつつ、高い圧縮比での運転を実行することが可能となる。すなわち、エンジン負荷が高い場合には、ノッキングが発生し易い。ノッキングの発生は、圧縮比を低くすることによって抑制可能である。このため、図3(A)のマップでは、エンジン負荷が高い場合には、目標圧縮比が低く設定されている。
【0043】
目標空燃比(ほぼ理論空燃比)が決定されると、ECU60は、燃焼室内に吸入される空気量を求め、吸入空気量と目標空燃比とに基づいて燃料供給量を決定する。なお、吸入空気量は、吸気圧センサ56の検出結果に基づいて求められる。通常、単位時間あたりの燃料噴射量と燃料噴射終了時期とは、予め定められている。このため、燃料供給量は、燃料噴射開始時期を調整することによって、変更される。燃料噴射弁55による燃料噴射は、クランク角センサ61からの検出結果に基づいて適切なタイミングで実行される。
【0044】
ステップS102cでは、点火時期の制御が実行される。具体的には、ECU60は、ROM内に格納された運転条件に応じた目標点火時期を示すマップを用いて、点火時期を決定する。点火プラグ27による点火は、クランク角センサ61からの検出結果に基づいて適切なタイミングで実行される。
【0045】
A−3.第1実施例におけるエンジンの制御:
ところで、比較例(図3)では、圧縮比が高く、エンジン回転数が大きい場合には、燃焼室内の残留ガスに起因して、自発火が発生してしまう恐れがある。すなわち、圧縮比が高い場合には、燃焼室内の圧縮時のガス温度(以下、「筒内ガス温度」とも呼ぶ)が高くなる。また、エンジン回転数が大きい場合には、排気行程において、燃焼済みのガスを効率よく排出することが困難となり、燃焼室内に排気ガスが残留し易い。このとき、燃焼室内の残留ガスは、筒内ガス温度を上昇させ、この結果、エンドガス(燃焼時の未燃混合気)が自発火してしまう。ここで、筒内ガス温度は、例えば、燃焼室内のガスが燃焼室内で最も圧縮されるときの温度(圧縮端温度)や、吸気弁が閉じたときの燃焼室内のガスの温度を意味する。
【0046】
なお、比較例では、混合気の空燃比は、ほぼ理論空燃比に設定されている。これに代えて、混合気の空燃比がリーン空燃比に設定される場合には、上記の問題は緩和される。すなわち、リーン空燃比で燃焼が行われる場合には、燃焼速度が比較的低く、筒内ガス温度が比較的低いため、自発火が比較的発生し難い。しかしながら、リーン混合気で燃焼が行われる際にも、圧縮比が高く設定され、要求トルクおよびエンジン回転数が大きい場合には、残留ガスが多くなるため、自発火が発生する恐れがある。
【0047】
そこで、本実施例では、残留ガスに起因する自発火の発生を抑制することができるように工夫している。具体的には、本実施例では、2つの運転モードを準備し、エンジンの状態に応じて2つの運転モードのうちの一方を選択する。なお、第1の運転モードでは、混合気の空燃比は、ほぼ理論空燃比に設定される。第2の運転モードでは、混合気の空燃比は、リーン空燃比に設定される。
【0048】
図4は、第1実施例におけるエンジンの制御の概要を示すフローチャートである。なお、図4は、図2とほぼ同じであるが、ステップS101Aが変更されている。
【0049】
ステップS101Aでは、図2で説明したように、運転条件(要求トルクおよびエンジン回転数)が検出される。また、ステップS101Aでは、エンジンの状態に応じて、2つの運転モードのうちの一方が選択される。具体的には、ECU60は、水温センサ70の検出結果に基づいて、エンジン冷却水の温度が所定値以下であるか否かを判断し、一方の運転モードを選択する。冷却水温度が所定値以下であると判断される場合には、第1の運転モードが選択され、ほぼ理論空燃比で運転が実行される。逆に、冷却水温度が所定値を越えると判断される場合には、第2の運転モードが選択され、リーン空燃比で運転が実行される。
【0050】
図5は、第1実施例の第1および第2の運転モードで使用される目標圧縮比および目標空燃比のマップを模式的に示す説明図である。図5(A−1),(B−1)は、それぞれ、第1の運転モードで使用される目標圧縮比と目標空燃比とのマップを示しており、図5(A−2),(B−2)は、それぞれ、第2の運転モードで使用される目標圧縮比と目標空燃比とのマップを示している。なお、図5(A−1),(B−1)は、図3(A),(B)と同じである。
【0051】
冷却水温度が比較的低く、第1の運転モードが選択される場合には、図5(A−1),(B−1)に示すマップを用いて、ステップS102の処理が実行される。
【0052】
第1の運転モードでは、ほぼ理論空燃比で運転が実行される。そして、要求トルクが比較的低い場合には、高圧縮比に設定される。このとき、エンジン回転数が大きくなると、燃焼室内には排気ガスが残留し、この結果、筒内ガス温度が上昇する。しかしながら、第1の運転モードは、冷却水温度が比較的低いと判断される場合に、換言すれば、筒内ガス温度が比較的低いと判断される場合に、選択される。このため、エンジン回転数が大きい場合にも、残留ガスに起因する自発火の発生は抑制される。
【0053】
一方、冷却水温度が比較的高く、第2の運転モードが選択される場合には、図5(A−2),(B−2)に示すマップを用いて、ステップS102の処理が実行される。図示するように、第2の運転モードでは、要求トルクおよびエンジン回転数が大きくなる程(すなわち、単位時間あたりの吸入空気量が多くなる程)、換言すれば、筒内ガス温度Tcが高くなる程、圧縮比は低い値に設定される。また、混合気の空燃比は、全運転領域でリーン空燃比に設定されるが、空燃比の値は、運転条件に応じて変更される。具体的には、要求トルクまたはエンジン回転数が大きくなる程、空燃比は低い値に設定される。
【0054】
第2の運転モードでは、リーン空燃比で運転が実行されるため、筒内ガス温度を低くすることができる。また、要求トルクおよびエンジン回転数が大きくなると、燃焼室内には排気ガスが残留するが、比較的低い圧縮比に設定されるため、筒内ガス温度の上昇が緩和される。これにより、要求トルクおよびエンジン回転数が大きい場合にも、残留ガスに起因する自発火の発生を抑制することができる。
【0055】
ところで、図5(A−1),(A−2)を比較して分かるように、一部の運転領域、具体的には、要求トルクが比較的低い運転領域では、エンジン100は、2つの運転モードの双方で運転を実行可能である。本実施例では、前述したように、運転モードの選択は、水温センサ70の検出結果に基づいて行われている。これにより、いずれの運転モードが選択される場合にも、上記のように、残留ガスに起因する自発火の発生の発生を抑制することが可能となる。
【0056】
なお、本実施例では、筒内ガス温度を推定するために、冷却水温度が検出されているが、これに代えて、燃焼室の壁部の温度や、燃焼室の下流側に設けられる触媒装置(図示せず)の温度などを検出するようにしてもよい。また、燃焼室内に温度センサを設け、筒内ガス温度を直接検出するようにしてもよい。すなわち、運転モードの選択は、要求トルクが比較的低い運転領域において、運転条件(要求トルクおよびエンジン回転数)以外の所定の検出結果に基づいて、実行されていればよい。ただし、本実施例のように、水温センサ70の検出結果に基づいて運転モードの選択を実行すれば、筒内ガス温度を比較的容易に、かつ、比較的正確に判断することができるという利点がある。
【0057】
また、本実施例では、第1の運転モードが選択された場合には、図5(A−1)に示すように、低圧縮比領域と高圧縮比領域とに区分されたマップが用いられているが、高圧縮比領域は、複数の小領域に区分されていてもよい。例えば、高圧縮比領域は、図5(A−2)と同様に、高圧縮比領域と中圧縮比領域と低圧縮比領域との3つの小領域に区分されていてもよい。こうすれば、第1の運転モードにおいて、残留ガスに起因する自発火の発生をより確実に抑制することができるという利点がある。
【0058】
さらに、本実施例では、第2の運転モードが選択された場合には、図5(B−2)に示すように、運転条件に応じて空燃比が変更されているが、これに代えて、運転条件に関わらず、理論空燃比よりも高い所定の空燃比で一定に保たれるようにしてもよい。
【0059】
一般には、理論空燃比よりも高い空燃比で運転が実行される第2の運転モードでは、要求トルクおよびエンジン回転数が比較的大きい場合に、圧縮比が比較的低い値に設定されればよい。
【0060】
B.第2実施例:
図6は、第2実施例の第2の運転モードで使用される目標圧縮比および目標空燃比のマップを模式的に示す説明図である。なお、本実施例は、第1実施例とほぼ同じであるが、図5(A−2),(B−2)のマップに代えて、図6(A),(B)のマップが用いられる。
【0061】
図6(B)と図5(B−2)とを比較して分かるように、図6(B)では、空燃比の分布が変更されている。そして、図6(A)では、空燃比の分布の変更に伴って、比較的高い圧縮比に設定される領域が拡張されている。なお、図6(A)では、比較のために、図5(A−2)の高圧縮比領域の境界線が破線で示されている。
【0062】
具体的には、図5(B−2)では、要求トルクまたはエンジン回転数が大きくなる程、空燃比は低い値に設定される。一方、図6(B)では、図5(B−2)と同様に、混合気の空燃比は全領域でリーン空燃比に設定されるが、要求トルクおよびエンジン回転数が大きくなる程(すなわち、単位時間あたりの吸入空気量が多くなる程)、換言すれば、筒内ガス温度Tcが高くなる程、空燃比は高い値に設定される。
【0063】
本実施例の構成を採用すれば、第1実施例と同様に、第2の運転モードでは、要求トルクおよびエンジン回転数が比較的大きい場合に、圧縮比が比較的低い値に設定されるため、残留ガスに起因する自発火の発生を抑制することができる。また、図6(B)に示すように、要求トルクおよびエンジン回転数が比較的大きい場合には、比較的高い空燃比(よりリーン側の空燃比)に設定されるため、筒内ガス温度を比較的低くすることができる。そして、筒内ガス温度を比較的低くすることによって、圧縮比を比較的高い値に設定可能な領域領域を比較的大きな要求トルクおよびエンジン回転数まで拡張することができ、この結果、燃料消費率を向上させることができる。
【0064】
なお、本実施例では、第1実施例と同様に、要求トルクが比較的低い運転領域では、第1および第2の運転モードの双方で運転を実行可能であるが、これに代えて、第2の運転モードのみで運転が実行されるようにしてもよい。具体的には、要求トルクが比較的高い運転領域では、ほぼ理論空燃比で運転が実行され、要求トルクが比較的低い運転領域では、リーン空燃比で運転が実行されるようにしてもよい。
【0065】
一般には、リーン空燃比で運転が実行される第2の運転モードでは、要求トルクおよびエンジン回転数が比較的大きい場合には、圧縮比を比較的低い値に設定すると共に空燃比を比較的高い値に設定すればよい。
【0066】
C.第3実施例:
第1実施例では、図5(A−2)に示すように、第2の運転モードにおける目標圧縮比は、運転条件(要求トルクおよびエンジン回転数)基づいて変更されているが、本実施例では、燃焼室内に残留する排気ガスの量(残留ガス量)に基づいて変更されている。すなわち、本実施例は、第1実施例とほぼ同じであるが、図5(A−2)のマップに代えて、他のマップが用いられている。
【0067】
図7は、第3実施例におけるガソリンエンジン100Cの概略構成を示す説明図である。図7は、図1とほぼ同じであるが、背圧センサ72が追加されている。背圧センサ72は、排気管58に設けられており、排気通路を形成する排気管内の圧力(背圧)を検出する。
【0068】
残留ガス量は、背圧にほぼ比例する。これは、背圧が高い程、燃焼室内の燃焼済みガスが排出され難いためである。本実施例では、ECU60は、背圧センサ72からの背圧の検出結果に基づいて、残留ガス量を推定している。そして、推定された残留ガス量に応じて、圧縮比を変更する。
【0069】
なお、背圧センサ72が本発明における検出部に相当する。また、ECU60と背圧センサ72とが本発明における推定部に相当する。
【0070】
図8は、第3実施例の第2の運転モードで使用される目標圧縮比のマップを模式的に示す説明図である。図示するように、本実施例では、残留ガス量が比較的少ない場合には、圧縮比は比較的高い値に設定され、残留ガス量が比較的多い場合には、圧縮比は比較的低い値に設定される。このように、残留ガス量が多いときに圧縮比を低下させれば、残留ガスに起因する自発火の発生を確実に抑制することが可能となる。
【0071】
図8に示す残留ガス量に応じた圧縮比マップを、運転条件に応じた圧縮比マップに変換すれば、第1および第2実施例(図5(A−2),図6(A))と同様のマップを得ることができると考えられる。ただし、本実施例では、自発火の発生に密接に関係する残留ガス量に基づいて圧縮比が決定されるため、第1および第2実施例と比較して、比較的高い圧縮比に設定可能な領域を拡張することができるという利点がある。
【0072】
なお、本実施例では、残留ガス量は、背圧センサ72の検出結果に基づいて推定されているが、これに代えて、吸気圧センサ56の検出結果に基づいて推定されるようにしてもよい。すなわち、残留ガス量は、吸気圧に影響を及ぼす。これは、残留ガス量が多い場合には、燃焼室内に空気が吸入され難いためである。したがって、吸気圧センサ56からの吸気圧の検出結果に基づいて、残留ガス量を推定することができる。一般には、燃焼室内の残留ガス量に関連する物理量が検出されるようにすればよい。こうすれば、残留ガス量を比較的正確に推定することができる。
【0073】
また、本実施例では、図8に示すように、残留ガス量が比較的少ない領域では、高い圧縮比で維持されるが、これに代えて、残留ガス量に増大に伴って圧縮比を徐々に低下させるようにしてもよい。ただし、図8のマップを用いれば、高圧縮比領域を大きく設定することができるため、燃料消費率を向上させることができるという利点がある。
【0074】
さらに、本実施例では、第2の運転モードが選択された場合には、第1実施例(図5(B−2))と同様に、運転条件に応じて空燃比が変更されているが、これに代えて、運転条件に関わらず、理論空燃比よりも高い所定の空燃比で一定に保たれるようにしてもよい。
【0075】
また、本実施例では、第1実施例と同様に、要求トルクが比較的低い運転領域では、第1および第2の運転モードの双方で運転を実行可能であるが、これに代えて、常に第2の運転モードで運転が実行されるようにしてもよい。
【0076】
さらに、本実施例では、第1実施例と同様に、2つの運転モードが準備されているが、常にリーン空燃比で運転が実行される運転モードのみが準備されていてもよいし、常にほぼ理論空燃比で運転が実行される運転モードのみが準備されていてもよい。
【0077】
一般には、所定の検出結果に基づいて、燃焼室内の残留ガス量を推定し、残留ガス量が比較的多いと推定される場合には、圧縮比を比較的低い値に設定すればよい。
【0078】
D.第4実施例:
第3実施例では、第2の運転モードにおける目標圧縮比は、残留ガス量に応じて変更されているが、第4実施例では、筒内ガス温度に応じて変更されている。すなわち、本実施例は、第3実施例とほぼ同じであるが、図8のマップに代えて、他のマップが用いられている。
【0079】
図9は、第4実施例におけるガソリンエンジン100Dの概略構成を示す説明図である。図9は、図7とほぼ同じであるが、2つの温度センサ74,76が追加されている。第1の温度センサ74は、吸気管50に設けられており、吸気通路を形成する吸気管内のガス温度(吸気温度)を検出する。第2の温度センサ76は、排気管58に設けられており、排気通路を形成する排気管内のガス温度(排気温度)を検出する。
【0080】
筒内ガス温度は、残留ガス量と吸入空気量とに応じて変化する。また、筒内ガス温度は、残留ガスの温度と吸入空気の温度とに応じて変化する。より具体的には、筒内ガス温度は、残留ガス量と残留ガス温度との積と、吸入空気量と吸入空気温度との積と、の和に応じて変化する。本実施例では、ECU60は、排気管58に設けられた2つのセンサ72,76と、吸気管50に設けられた2つのセンサ56,74と、を用いて、筒内ガス温度を推定する。なお、前述のように、残留ガス量は、背圧センサ72の検出結果に基づいて推定可能であり、吸入空気量は、吸気圧センサ56の検出結果に基づいて推定可能である。また、残留ガス温度としては、第2の温度センサ76によって検出される排気温度が利用され、吸入空気温度としては、第1の温度センサ74によって検出される吸気温度が利用される。ECU60は、4つのセンサの検出結果に基づいて筒内ガス温度を推定し、推定された筒内ガス温度に応じて、圧縮比を変更する。
【0081】
なお、排気管に設けられた2つのセンサ72,センサ76が本発明における第1の検出部に相当し、吸気管に設けられた2つのセンサ56,74が本発明における第2の検出部に相当する。また、ECU60と4つのセンサ72,76,56,74とが本発明における推定部に相当する。
【0082】
図10は、第4実施例の第2の運転モードで使用される目標圧縮比のマップを模式的に示す説明図である。図示するように、本実施例では、目標圧縮比は、筒内ガス温度に応じて決定されている。具体的には、筒内ガス温度が比較的低い場合には、圧縮比は比較的高い値に設定され、筒内ガス温度が比較的高い場合には、圧縮比は比較的低い値に設定される。このように、筒内ガス温度が高いときに圧縮比を低下させれば、残留ガスに起因する自発火の発生をより確実に抑制することが可能となる。
【0083】
図10に示す筒内ガス温度に応じた圧縮比マップを、運転条件に応じた圧縮比マップに変換すれば、第1および第2実施例(図5(A−2),図6(A))と同様のマップを得ることができると考えられる。ただし、本実施例では、自発火の発生により密接に関連する筒内ガス温度に基づいて圧縮比が決定されるため、第1ないし第3実施例と比較して、比較的高い圧縮比に設定可能な領域をさらに拡張することができるという利点がある。
【0084】
なお、本実施例では、残留ガス量と残留ガス温度と吸入空気量と吸入空気温度とを用いて、筒内ガス温度が推定されているが、これに代えて、残留ガス量と吸入空気量とを用いて、筒内ガス温度を推定するようにしてもよいし、残留ガス温度と吸入空気温度とを用いて、筒内ガス温度を推定するようにしてもよい。一般には、燃焼室内の残留ガスに関連する物理量と、燃焼室内に吸入される空気に関連する物理量とが検出されるようにすればよい。こうすれば、筒内ガス温度を比較的正確に推定することが可能となる。
【0085】
また、本実施例では、図10に示すように、筒内ガス温度が比較的低い領域では、高い圧縮比で維持されるが、これに代えて、筒内ガス温度の上昇に伴って圧縮比を徐々に低下させるようにしてもよい。ただし、図10のマップを用いれば、高圧縮比領域を大きく設定することができるため、燃料消費率を向上させることができるという利点がある。
【0086】
さらに、本実施例では、第2の運転モードが選択された場合には、第1実施例(図5(B−2))と同様に、運転条件に応じて空燃比が変更されているが、これに代えて、運転条件に関わらず、理論空燃比よりも高い所定の空燃比で一定に保たれるようにしてもよい。
【0087】
また、本実施例では、第1実施例と同様に、要求トルクが比較的低い運転領域では、第1および第2の運転モードの双方で運転を実行可能であるが、これに代えて、常に第2の運転モードで運転が実行されるようにしてもよい。
【0088】
さらに、本実施例では、第1実施例と同様に、2つの運転モードが準備されているが、常にリーン空燃比で運転が実行される運転モードのみが準備されていてもよいし、常にほぼ理論空燃比で運転が実行される運転モードのみが準備されていてもよい。
【0089】
一般には、所定の検出結果に基づいて、燃焼室内の残留ガスが考慮された筒内ガス温度を推定し、筒内ガス温度が比較的高いと推定される場合には、圧縮比を比較的低い値に設定すればよい。
【0090】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0091】
(1)第1および第2実施例では、圧縮比は、予め定められた複数の値のうちのいずれかに設定可能であるが、予め定められた最大値と最小値との間で連続的に設定可能であってもよい。また、第3および第4実施例では、圧縮比は、予め定められた最大値と最小値との間で連続的に設定可能であるが、予め定められた複数の値のうちのいずれかに設定可能であってもよい。
【0092】
上記実施例では、圧縮比は、上部ブロック31を下部ブロック32に対して上下方向に移動させることによって変更されているが、他の方法で変更されてもよい。
【0093】
一般には、圧縮比変更部は、燃焼室を含み、燃焼室の容積を変更することによって、より具体的には、燃焼室の最大容積と最小容積とのうちの少なくとも一方を変更することによって、圧縮比を変更すればよい。
【0094】
(2)上記実施例では、エンジンは車両に搭載されているが、船舶などの移動体に搭載されていてもよい。また、定置式の装置に搭載されていてもよい。
【0095】
一般には、本発明は、圧縮比変更部を備える内燃機関に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例におけるガソリンエンジン100の概略構成を示す説明図である。
【図2】比較例におけるエンジンの制御の概要を示すフローチャートである。
【図3】比較例で使用される目標圧縮比および目標空燃比のマップを模式的に示す説明図である。
【図4】第1実施例におけるエンジンの制御の概要を示すフローチャートである。
【図5】第1実施例の第1および第2の運転モードで使用される目標圧縮比および目標空燃比のマップを模式的に示す説明図である。
【図6】第2実施例の第2の運転モードで使用される目標圧縮比および目標空燃比のマップを模式的に示す説明図である。
【図7】第3実施例におけるガソリンエンジン100Cの概略構成を示す説明図である。
【図8】第3実施例の第2の運転モードで使用される目標圧縮比のマップを模式的に示す説明図である。
【図9】第4実施例におけるガソリンエンジン100Dの概略構成を示す説明図である。
【図10】第4実施例の第2の運転モードで使用される目標圧縮比のマップを模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
10…エンジン本体
20…シリンダヘッド
21…吸気弁
22…排気弁
23…吸気ポート
24…排気ポート
25,26…動弁機構
27…点火プラグ
30…シリンダブロック
31…上部ブロック
32…下部ブロック
33…アクチュエータ
41…ピストン
42…コネクティングロッド
43…クランクシャフト
50…吸気管
51…エアクリーナ
52…スロットル弁
53…電動アクチュエータ
55…燃料噴射弁
56…吸気圧センサ
58…排気管
60…ECU
61…クランク角センサ
62…アクセル開度センサ
70…水温センサ
72…背圧センサ
74,76…温度センサ
100,100C,100D…エンジン

Claims (11)

  1. 内燃機関であって、
    燃焼室を含み、前記燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更するための圧縮比変更部と、
    前記内燃機関の運転条件を検出し、検出結果に応じて前記圧縮比変更部を制御するための制御部と、
    を備え、
    前記内燃機関は、ほぼ理論空燃比で運転が実行される第1の運転モードと、理論空燃比よりも高い空燃比で運転が実行される第2の運転モードと、を有しており、内燃機関の負荷が比較的低い特定の運転領域では、前記2つの運転モードの双方で運転を実行可能であり、
    前記制御部は、
    前記第2の運転モードでは、前記内燃機関の負荷および回転数が比較的小さい場合には、圧縮比を比較的高い値に設定し、前記内燃機関の負荷および回転数が比較的大きい場合には、圧縮比を比較的低い値に設定することを特徴とする内燃機関。
  2. 請求項1記載の内燃機関であって、
    前記制御部は、
    前記特定の運転領域では、前記内燃機関の運転条件以外の所定の検出結果に基づいて、前記燃焼室内の圧縮時のガス温度が比較的低いと判断する場合には、前記第1の運転モードを選択し、前記圧縮時のガス温度が比較的高いと判断する場合には、前記第2の運転モードを選択する、内燃機関。
  3. 請求項2記載の内燃機関であって、
    前記制御部は、前記燃焼室を冷却するための冷却水の温度の検出結果に基づいて、運転モードの選択を実行する、内燃機関、
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関であって、
    前記制御部は、
    前記第2の運転モードでは、前記内燃機関の負荷および回転数が比較的小さい場合には、空燃比を比較的低い値に設定し、前記内燃機関の負荷および回転数が比較的大きい場合には、空燃比を比較的高い値に設定する、内燃機関。
  5. 内燃機関であって、
    燃焼室を含み、前記燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更するための圧縮比変更部と、
    前記内燃機関の運転条件を検出し、検出結果に応じて前記圧縮比変更部を制御するための制御部と、
    を備え、
    前記内燃機関は、ほぼ理論空燃比で運転が実行される第1の運転モードと、理論空燃比よりも高い空燃比で運転が実行される第2の運転モードと、を有しており、
    前記制御部は、
    前記第2の運転モードでは、前記内燃機関の負荷および回転数が比較的小さい場合には、圧縮比を比較的高い値に設定すると共に空燃比を比較的低い値に設定し、前記内燃機関の負荷および回転数が比較的大きい場合には、圧縮比を比較的低い値に設定すると共に空燃比を比較的高い値に設定することを特徴とする内燃機関。
  6. 内燃機関であって、
    燃焼室を含み、前記燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更するための圧縮比変更部と、
    前記圧縮比変更部を制御するための制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記燃焼室内の残留ガス量を推定するための推定部を備え、
    前記制御部は、
    前記残留ガス量が比較的少ないと推定される場合には、圧縮比を比較的高い値に設定し、前記残留ガス量が比較的多いと推定される場合には、圧縮比を比較的低い値に設定することを特徴とする内燃機関。
  7. 請求項6記載の内燃機関であって、
    前記推定部は、
    前記燃焼室内の残留ガス量に関連する物理量を検出するための検出部を備え、
    前記推定部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記残留ガス量を推定する、内燃機関。
  8. 請求項6または7記載の内燃機関であって、
    前記内燃機関は、ほぼ理論空燃比で運転を実行する第1の運転モードと、理論空燃比よりも高い空燃比で運転を実行する第2の運転モードと、を有しており、
    前記制御部は、前記残留ガス量に基づく圧縮比の設定を、前記第2の運転モードにおいて実行する、内燃機関。
  9. 内燃機関であって、
    燃焼室を含み、前記燃焼室の容積を変更することによって圧縮比を変更するための圧縮比変更部と、
    前記圧縮比変更部を制御するための制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記燃焼室内の残留ガスが考慮された前記燃焼室内の圧縮時のガス温度を推定するための推定部を備え、
    前記制御部は、
    前記圧縮時のガス温度が比較的低いと推定される場合には、圧縮比を比較的高い値に設定し、前記圧縮時のガス温度が比較的高いと推定される場合には、圧縮比を比較的低い値に設定することを特徴とする内燃機関。
  10. 請求項9記載の内燃機関であって、
    前記推定部は、
    前記燃焼室内の残留ガスに関連する物理量を検出するための第1の検出部と、
    前記燃焼室に吸入される空気に関連する物理量を検出するための第2の検出部と、
    を備え、
    前記推定部は、前記2つの検出部の検出結果に基づいて、前記圧縮時のガス温度を推定する、内燃機関。
  11. 請求項9または10記載の内燃機関であって、
    前記内燃機関は、ほぼ理論空燃比で運転を実行する第1の運転モードと、理論空燃比よりも高い空燃比で運転を実行する第2の運転モードと、を有しており、
    前記制御部は、前記圧縮時のガス温度に基づく圧縮比の設定を、前記第2の運転モードにおいて実行する、内燃機関。
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