JP2004266970A - 整流切換回路 - Google Patents
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Abstract
【目的】スイッチ素子としてゲート素子やトライアックを使用せず、駆動電力の著しい低減、および導通時の損失低減による本装置の高効率化を図り、整流モードが切り換わる入力電圧の閾値付近で整流モードが繰り返す恐れのない、信頼性の高い整流切換回路を提供する。
【構成】交流入力電圧を制御回路で検出し、その切り換え信号によって、AC100V系の時の倍電圧整流モードと、AC200V系の時のブリッジ整流モードとをスイッチ素子で切り替えて、直流出力電圧がほぼ同じになるようにする整流切換回路において、前記スイッチ素子としてソースを共通に接続した電界効果トランジスタを用いたことを特徴とする。電界効果トランジスタの共通ソースを制御回路のゼロボルトラインに接続して、電界効果トランジスタを直接駆動できるようにした。
制御回路を整流モードの切換わりと解除の入力電圧が異なるようヒステリシスを持たせる構成とした。
【選択図】 図1
【構成】交流入力電圧を制御回路で検出し、その切り換え信号によって、AC100V系の時の倍電圧整流モードと、AC200V系の時のブリッジ整流モードとをスイッチ素子で切り替えて、直流出力電圧がほぼ同じになるようにする整流切換回路において、前記スイッチ素子としてソースを共通に接続した電界効果トランジスタを用いたことを特徴とする。電界効果トランジスタの共通ソースを制御回路のゼロボルトラインに接続して、電界効果トランジスタを直接駆動できるようにした。
制御回路を整流モードの切換わりと解除の入力電圧が異なるようヒステリシスを持たせる構成とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は交流入力電圧に応じて整流モードを自動的に切り換える整流切換回路に関する。さらに詳しく云えば、入力電源がAC100V系の場合には倍電圧整流モードに、AC200V系の場合にはブリッジ整流モード に自動的に切り換えて、本装置の後段に接続されて本機の負荷となるスイッチング電源などの装置への直流出力電圧を一定にする整流切換回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にこの種の回路の基本形は図4に示すように、ブリッジ整流器D01のプラス出力とマイナス出力間に同容量の平滑用キャパシタC01、C02を直列に接続し、入力がAC100V系のときはこのキャパシタC01とC02の中点とAC入力の一端をスイッチ素子でショートすることにより倍電圧整流回路を形成し、入力がAC200V系のときは前記スイッチ素子をオープンにすることでブリッジ整流回路を形成して、異なる入力電圧系でもほぼ同様の出力電圧を得るものである。なお、C01、C02にそれぞれ並列に接続してある抵抗器R01、R02は、ブリッジ整流モードの際のキャパシタC01、C02の容量誤差による印加電圧の不均等を防ぐためのバランス用抵抗である。
【0003】
前記スイッチ素子の動作を、入力電圧を監視することによって自動で行うようにした回路が発明されており、例えば特許文献1では、前記スイッチ素子にパルス駆動により駆動損失を低減したゲート素子(トライアック)を用い、且つAC200Vを投入する際その経過においてAC100V系入力を検出して倍電圧整流モードのまま入力電圧がAC200Vに達し、本装置の出力電圧が異常な高電圧となる誤動作に対しては制御回路内に遅延回路を設け、一定時間後に倍電圧整流モードとなるようにする解決方法、AC200V系で使用中の瞬時停電や瞬時電圧低下時に倍電圧整流モードに移行したままAC200Vに復帰することによる出力電圧が異常に高くなる誤動作に対しては、制御回路内にラッチ回路を設け、ブリッジ整流モードに固定する等の解決方法、および、制御回路への給電入力をACの全波整流として正負両位相を監視して切換動作の信頼性を高めること等が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−30729号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来の整流切換回路は、倍電圧整流モードとブリッジ整流モードを切り換えるスイッチ素子にトライアックを使用しているため、以下のような問題があった。
(1)トライアックの駆動に電力を要する。
(2)トライアックの導通時の順方向電圧による損失がある。
(3)1度ONすると入力商用電源の周波数の半周期の間OFF出来ず、その間の制御が出来ない。
さらに、回路構成上以下の問題もあった。
(4)入力電圧を監視して上記スイッチ素子の駆動信号を出力する検出回路の電位と、上記スイッチ素子の電位が異なるため、フォトカプラ等で絶縁して信号を伝達する必要があった。
(5)初期状態から倍電圧モードに切り換わる入力電圧、倍電圧整流モードからブリッジ整流モードへ切り換わるそれぞれの入力電圧の閾値付近では、検出回路の動作用電源電圧に含まれるリップル電圧の影響で、倍電圧整流モード→ブリッジ整流モード→倍電圧整流モードの様に動作を繰り返してしまう恐れがあった。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、電界効果トランジスタ(FET)のソースを共通に接続した回路をスイッチ素子として使用し、その駆動電力の著しい低減、およびFETのON抵抗を適宜選定することによる導通時の損失低減による本装置の高効率化と、信頼性の高い回路を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る整流切換回路は以下の構成としたものである。即ち本発明に係る整流切換回路は、交流入力電圧を制御回路で検出し、該制御回路の切り換え信号によって、AC100V系の時の倍電圧整流モードと、AC200V系の時のブリッジ整流モードとをスイッチ素子で切り換えて、直流出力電圧がほぼ同じになるようにする整流切換回路において、前記スイッチ素子としてソースを共通に接続した電界効果トランジスタ(FET)を用いたことを特徴とする。
【0008】
上記本発明において、電界効果トランジスタ(FET)の共通ソースを制御回路のゼロボルトラインに接続して、該電界効果トランジスタを直接駆動できるようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る整流切換回路は、入力投入の際、制御回路内に設けた駆動回路により、入力投入直後の初期状態を電界効果トランジスタのゲート電圧が閾値以下であるように制御してブリッジ整流モードから動作を開始させ、AC100V系入力の場合には制御回路内に別途設けた遅延回路で一定時間後に前記駆動回路を制御して電界効果トランジスタを駆動してONさせ、ゲート電圧を閾値以上にして倍電圧整流モードとする構成とした。これは入力投入直後の初期状態がブリッジ整流モードであることを確実にするためである。
【0010】
また、本発明に係る整流切換回路は、制御回路内に、前記駆動回路と共に、AC200V系入力の場合、前記遅延回路がAC100V系入力を検出して前記駆動回路に信号を送出するより早くAC200V系入力を検出する回路を設け、前記スイッチ素子をOFFに保ち、入力電圧上昇の過程において(AC100Vを検出して)倍電圧整流モードになることなく、ブリッジ整流モードになる構成としたものである。
【0011】
本発明に係る整流切換回路においては、制御回路を、倍電圧整流モードが解除されブリッジ整流モードに戻る入力電圧が、初期状態のブリッジ整流モードから倍電圧整流モードとなる入力電圧より低くなるように設定した。
【0012】
また、AC200V系入力投入の場合、前記制御回路を、ブリッジ整流モードとなる入力電圧に対し、ブリッジ整流モードが解除され、入力投入直後の初期状態に戻る入力電圧を、初期状態から倍電圧整流モードとなる入力電圧より低くなるように設定した。さらに、前記制御回路を、AC100V系から入力電圧を徐々に上昇させた際の、倍電圧整流モードからブリッジ整流モードへ切り換わる入力電圧が、AC200V系入力投入においてブリッジ整流モードとなる入力電圧より高くなるように設定した。
【0013】
【作用】
本発明に係る上記の整流切換回路において、スイッチ素子として用いる電界効果トランジスタ(FET)は、そのゲート電圧を閾値以下に保つとOFFで、倍電圧整流モードが解除されてブリッジ整流モードとなり、ゲート電圧を閾値以上にするとONして、倍電圧整流モードとなる。このゲート電圧を閾値以下に保つ回路が前記駆動回路であり、その回路を開いてゲート電圧を閾値以上にし、FETをONする機構は遅延回路による駆動回路の制御であって、これらの回路は制御回路に内在する。本発明に係る整流切換回路は上記の構成により、AC入力投入の初期状態においては、スイッチ素子である電界効果トランジスタ(FET)のゲート電圧を閾値以下に保つ回路(駆動回路)により制御されて、電界効果トランジスタ(FET)はOFFなので、必ずブリッジ整流モードとなっている。
【0014】
入力電圧がAC100V系(例えば、100V、110V、115V、120Vなど)の場合は、入力投入して一定時間後に電界効果トランジスタ(FET)のゲート電圧を閾値以下に保つ駆動回路を開いてゲート電圧を閾値以上にし、電界効果トランジスタをONさせて倍電圧整流モードにする。また、倍電圧整流モードが解除される入力電圧が、初期状態から倍電圧整流モードに移行する入力電圧より低くなるように制御回路の動作を設定してあるので、入力電圧を徐昇した場合や、倍電圧整流モードとなる入力電圧付近で動作させた場合、倍電圧整流モード→ブリッジ整流モード→倍電圧整流モードのように動作を繰り返してしまうことがない。
【0015】
入力電圧がAC200V系(例えば、200V、220V、230V、240Vなど)の場合は、倍電圧整流モードになるより早く前記電界効果トランジスタ(FET)のゲート電圧を閾値以下に保つ駆動回路を閉じてゲート電圧を閾値以下に保ち、電界効果トランジスタ(FET)をOFFに保つことで、倍電圧整流モードになることなくブリッジ整流モードとなる。また、倍電圧整流モードからブリッジ整流モードに移行する入力電圧よりブリッジ整流モードが解除される入力電圧が、前記初期状態から倍電圧整流モードになる入力電圧より低くなるよう制御回路の動作を設定してあるので、AC100V系から入力電圧を徐昇させた場合や、倍電圧整流モードからブリッジ整流モードとなる入力電圧付近で動作させた場合、倍電圧整流モード→ブリッジ整流モード→倍電圧整流モードのように動作を繰り返してしまうことがない。
【0016】
同時に入力電圧が、前記初期状態から倍電圧整流モードになる入力電圧より低く設定したブリッジ整流モードの解除電圧以上である場合、その入力電圧の瞬時低下を生じたときは、ブリッジ整流モードを維持しているので、入力電圧が復帰しても倍電圧整流を行わないので、異常な高電圧を出力しない。また、入力電圧が、前記初期状態から倍電圧整流モードになる入力電圧より低く設定したブリッジ整流モードの解除電圧以下である場合、その入力電圧の瞬時低下や瞬時停電に対しても、ほぼ初期状態からの動作となるので異常な高電圧を出力しない。スイッチ素子は電界効果トランジスタ(FET)であるので、駆動信号は理論的には電圧のみでよく、駆動損失がない。同時に電界効果トランジスタ(FET)のボディーダイオードの存在を活用し、制御回路のゼロボルト(0V)ラインをスイッチ素子の共通ソース部に接続することができ、直接電界効果トランジスタ(FET)のゲートを駆動することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る整流切換回路を、図に示す実施例に基づいて具体的に説明する。図1は本発明に係る整流切換回路の一実施例を示す回路図である。図1において、入力であるAC電圧は1極はヒューズF1を経て、他極は直接ブリッジダイオードD01に接続され、ブリッジダイオードD01の出力側には平滑用キャパシタC0lとC02が直列に接続されている。このキャパシタC0lとC02には、ブリッジ整流モードの時、そのキャパシタの容量誤差による印加電圧の不均等を防ぐためのバランス用抵抗R01、R02がそれぞれ並列に接続されている。更にブリッジダイオードD01の出力側には本整流回路の負荷となるスイッチング電源装置などが接続される。
【0018】
また、ヒューズF1を挿入していない側の極とブリッジダイオードD01との接続部と前記キャパシタC0lとC02の直列接続の中点の間にスイッチ素子1が接続されている。このスイッチ素子1は、電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12で構成され、それぞれのソースS、Sを接続して共通とし、制御回路2のゼロボルト(0V)ラインに接続する。また、前記電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12のゲートG、Gを接続して共通とし、制御回路2のトランジスタQ3のコレクタに接続する。さらにトランジスタQ11、Q12のドレインD、Dは片方を前記ブリッジダイオードD01のヒューズF1を挿入していない側の交流入力端子に接続し、他方を前記キャパシタC0lとC02の直列接続の中点に接続して構成されている。
【0019】
制御回路2はAC入力電圧を検知し、AC100V系入力の時はある一定時間後に倍電圧整流モードに、AC200V系入力の時は上記AC100V系入力の時の倍電圧整流モードになる時間より十分早くブリッジ整流モードとなるよう制御して、スイッチ素子1の電界効果トランジスタ(FET)Q11とQ12のゲートを駆動する回路である。
【0020】
制御回路2においてQ1は第1のトランジスタ、Q2は第2のトランジスタ、Q3は第3のトランジスタ、IC1は第1の集積回路、D1は第1のダイオード、D2は第2のダイオード、D3は第3のダイオード。D4は第4のダイオード、Zdlは第1のツェナーダイオード、Zd2は第2のツエナーダイオード、Zd3は第3のツェナーダイオード、C1〜C4はキャパシタ(4個)、抵抗器は15個使用しておりR1〜R15のように示した。
【0021】
制御回路2の構成は以下のとおりである。AC入力の一端に接続したヒューズF1とブリッジダイオードD01との接続部に第1のダイオードD1のアノードを接続し、カソード側には第1の抵抗器R1を接続する。R1の他端は第1のキャパシタC1を接続し、C1の他端は制御回路2のゼロボルト(0V)ライン(以下「0Vライン」と記載)に接続する。抵抗器R1とキャパシタC1の接続部に抵抗器R2及びR7を接続する。抵抗器R2の他端は第1のツェナーダイオードZd1のカソードおよび各抵抗器R3、R5、R6、R10を接続し、抵抗器R7の他端は、第1のトランジスタQ1のコレクタ、キャパシタC3、抵抗器R8、第2のツエナーダイオードZd2のカソードおよび抵抗器R11を接続する。第1のツェナーダイオードZd1のアノードは制御回路2の0Vラインに接続し、抵抗器R3の他端は集積回路IC1の入力端子i(電源端子を兼ねる)、抵抗器R4、キャパシタC2、および第2のダイオードD2のカソードとの接続部に接続し、抵抗器R4とキャパシタC2の他端及び集積回路IC1のグランド端子gは制御回路2の0Vラインに接続する。
【0022】
抵抗器R5の他端は第2のダイオードD2のアノード、集積回路IC1の出力端子oおよび第3のダイオードD3のカソードとの接続部に接続し、抵抗器R6の他端は、第1のトランジスタQ1のベースと前記ダイオードD3のアノードとの接続部に接続し、抵抗器R10の他端は、第2のトランジスタQ2のコレクタと抵抗器R12およびR13の接続部に接続し、R13の他端は第3のトランジスタQ3のベースに接続し、Q3のエミッタは制御回路2の0Vラインに接続する。トランジスタQ1のエミッタは第4のダイオードD4のアノードと接続し、D4のカソード、キャパシタC3の他端および抵抗器R8の他端は前記制御回路2の0Vラインに接続する。
【0023】
第2のツェナーダイオードZd2のアノードは第2のトランジスタQ2のベースと、抵抗器R9およびキャパシタC4の接続部に接続し、第2のトランジスタQ2のエミッタと、抵抗器R9の他端およびキャパシタC4の他端を制御回路2の0Vラインに接続する。抵抗器R11の他端は第3のトランジスタQ3のコレクタおよびスイッチ素子1の電界効果トランジスタ(FET)のゲートG・Gと抵抗器R14との接続部に接続する。抵抗器R15をブリッジダイオードD01と平滑用キャパシタC0lの接続部に接続し、R15の他端を第3のツェナーダイオードZd3のカソードと接続し、Zd3のアノードは制御回路2の0Vラインに接続する。抵抗器R15と第3のツェナーダイオードZd3の接続部には抵抗器R12の他端と抵抗器R14の他端を接続する。
【0024】
上記回路における各部の動作の一例を以下に説明する。図2(A)、(B)は、入力時の各部の動作モードを示すグラフである。各部の符号は図2に併記した。図3(A)、(B)は入力を徐昇、徐降した場合の各部の動作モードを示すグラフである。図2および図3に付記したように、(A)は入力電圧がAC100V系の場合、(B)は入力電圧がAC200V系の場合である。図3において、各部の符号は図2と同じである。
1.スイッチ素子1の電界効果トランジスタ(FET)Q11とQ12の共通ソースS、Sを、制御回路2の0Vラインに接続すれば、第1のダイオードD1、抵抗器R1、キャパシタC1からなる入力電圧を監視するための半波整流回路は、電界効果トランジスタQ11の寄生ダイオード(波線で示す)により電流環路が形成される。同様に、電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12のゲート電圧を閾値以下に保つための抵抗器R15、R12、R13、R14および第3のトランジスタQ3からなる回路は前記駆動回路を形成し、電界効果トランジスタ(FET)Q12の寄生ダイオード(波線で示す)により電流環路が形成され、平滑用キャパシタC0lの電圧で動作できる。これにより本整流切換回路の構成が可能となっている。
【0025】
2.入力電圧がAC100V系の時〔図2(A)および図3(A)〕:入力されたAC電圧はブリッジダイオードD01で整流され、直列接続の平滑用キャパシタC0l、C02に充電される。入力電圧が数Vで駆動回路の抵抗器R15、R12およびR13を流れる電流で第3のトランジスタQ3はONとなり、スイッチ素子1の電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12をOFFにする。同時に前記半波整流回路の第1のダイオードD1と抵抗器R1を通してキャパシタC1にも充電する。キャパシタC1は抵抗器R1と時定数になるので制御回路2が動作状態になるまで時間を要する。よって、スイッチ素子1は入力投入直後の初期状態においてOFFを保ち、ブリッジ整流モードから動作開始する。次いで時間経過と共にキャパシタC1の電圧が上昇していき、集積回路IC1の入力端子iの電圧がIC1の動作電圧以上になるとIC1の出力端子oはONして第1のトランジスタQ1をOFFにする。
【0026】
更にキャパシタC1の電圧が上昇して、第2のツェナーダイオードZd2のカソードZd2−kの電圧(=Zd2のツエナー電圧+第2のトランジスタQ2のベース−エミッタ間電圧)が約16Vに達すると前記Q2(コレクタ:Q2c)がONするが、そのZd2−kの電圧が約16Vになるまでの時間は、抵抗器R7とキャパシタC3による遅延回路により、キャパシタC1の充電完了時間および集積回路IC1の動作開始時間より十分遅く設定されている。本実施例では第2のツェナーダイオードZd2のカソードZd2−kの電圧を約16Vに設定しているが、他の電圧として設計することも可能である。
【0027】
集積回路IC1の動作開始電圧は入力電圧AC10V程度なので、集積回路IC1の出力端子IC1oはIC1が動作開始するまでOFFであるが、その出力電圧は第1のトランジスタQ1のベース−エミッタ間電圧以下なのでトランジスタQ1(コレクタ:Q1c)をONさせることはない。第2のトランジスタQ2がONすると、抵抗器R15、R12、R13をとおして供給していた第3のトランジスタQ3のベース電流が抵抗器R15、R12、第2のトランジスタQ2と流れるため第3のトランジスタQ3(コレクタ:Q3c)はOFFとなる。
【0028】
第3のトランジスタQ3がOFFとなると、Q3のコレクタQ3cの電圧がスイッチ素子1の電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12のゲート電圧の閾値以上となり、Q11、Q12はONして倍電圧整流モードとなる。この動作の過程において最初第3のトランジスタQ3はONしているので、そのコレクタ電流は抵抗器R14およびR11から供給されている。第2のトランジスタQ2がONし始めると第3のトランジスタQ3はOFFに向かいコレクタ電流が減少していく。すると抵抗器R11からトランジスタQ3へ流れる電流も減少し、その減少した分は第2のツェナーダイオードZd2へ流入する。これは第2のトランジスタQ2のベース電流増であるからQ2は急激にONする。この結果Q3は急激に○FFし、電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12は急激にONする。
【0029】
倍電圧整流モードは第2のトランジスタQ2がOFFで解除されるが、前記のとおり倍電圧整流モードとなる前の抵抗器R11から第3のトランジスタQ3への電流が倍電圧整流モードの時には、トランジスタQ2のベース電流の増加分となっているので、第2のツェナーダイオードZd2のカソードZd2−kの電圧が、Zd2のツエナー電圧+Q2のベース−エミッタ間電圧より低くなってQ2をOFFさせるためには、入力電圧を低くしてC1に発生している整流電圧を下げ、前記トランジスタQ2のベース電流の増加分に見合った分だけR7に流れる電流を減じる必要がある。本実施例では入力投入直後の初期状態から倍電圧整流モードに切り換わる入力電圧約AC50Vよりも低い入力電圧である約AC30Vとなるように設定してある〔図3(A)〕。
【0030】
上記の動作の過程において第2のトランジスタQ2がOFFし始めると第3のトランジスタQ3がONに向かう。すると抵抗器R11から第3のトランジスタQ3への電流が流れ始めるので、第2のツェナーダイオードZd2へ流入する電流即ち第2のトランジスタQ2のベース電流が減少するのでQ2は急激にOFFする。この結果第3のトランジスタQ3は急激にONし、電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12も急激にOFFして倍電圧整流モードは解除される。
【0031】
AC200V入力系でブリッジ整流モードとさせるための検出は集積回路IC1で行っており、その検出電圧は約AC140Vに設定してあるので〔図3(B)〕、AC100V系入力の時は集積回路IC1はAC200V系を検出せず、ブリッジ整流モードになることはない。抵抗器R8は、倍電圧整流モードとなる入力電圧を設定するための分圧抵抗である。抵抗器R9とキャパシタC4は第2のトランジスタQ2を安定動作させるためのフィルタである。ツェナーダイオードZd3はトランジスタQ11およびQ12のゲート電圧を保護するためのものである。
【0032】
3.入力電圧がAC200V系の時〔図2(B)および図3(B)〕:入力されたAC電圧はブリッジダイオードD01で整流され、直列接続の平滑用キャパシタC0l、C02に充電される。入力電圧が数Vで抵抗器R15、R12、R13を流れる電流で第3のトランジスタQ3はONとなり、スイッチ素子1の電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12をOFFにする。同時に第1のダイオードD1、抵抗器R1を通してキャパシタC1にも充電する。キャパシタC1は抵抗器R1と時定数になるので制御回路2が動作状態になるまで時間を要する。よって、スイッチ素子1は入力投入直後の初期状態においてOFFを保ちブリッジ整流モードから動作開始する。
【0033】
次いで時間経過と共にキャパシタC1の電圧が上昇してゆき、集積回路IC1の入力端子iの電圧がIC1の動作電圧以上になると、IC1の出力端子IC1oはONして第1のトランジスタQ1をOFFにする。キャパシタC1の電圧が更に上昇して抵抗器R2、R3、R4の分圧回路で決定される集積回路IC1の入力端子iの電圧がIC1の閾値に達すると、IC1はOFFして出力端子oはH(ハイレベル)となる。この集積回路IC1の出力がH(ハイレベル)となる時間は、前記AC100V系入力時の倍電圧整流モードとなる抵抗器R7、キャパシタC3による遅延時間より十分早く設定してある。
【0034】
集積回路IC1の出力がH(ハイレベル)となると、第1のトランジスタQ1がONして第2のツェナーダイオードZd2のカソードZd2−kの電圧は約1V(=Q1のコレクタ−エミツタ間飽和電圧+第4のダイオードD4の順方向電圧)に保持される。これにより前記AC100V系入力の際説明した倍電圧整流モードになるための第2のツェナーダイオードZd2のカソードZd2−kの電圧の上昇は阻止される。従って第2のトランジスタQ2がOFF、第3のトランジスタQ3がON、電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12がOFFの初期状態が維持され、倍電圧整流モードになることなくブリッジ整流モードで動作する。
【0035】
この動作の過程において集積回路IC1がOFFし始めると、IC1の出力端子oはH(ハイレベル)に向かい、その電圧がIC1の入力端子iの電圧+第2のダイオードD2の順方向電圧を超えると、抵抗器R5、ダイオードD2、抵抗器R4の経路で電流が流れ、集積回路IC1の入力端子iの電圧を上昇させるのでIC1は急激にOFFする。ブリッジ整流モードは前記集積回路IC1の入力端子iの電圧がIC1の閾値以下となることで解除されるが、ブリッジ整流モードで動作中はIC1がOFFであり、抵抗器R5とダイオードD2の直列回路が抵抗器R3に並列になるので、抵抗器R3とR4の分圧比が変わり、IC1の入力端子iの電圧が上昇しているので、入力電圧を低くしてキャパシタC1に発生している整流電圧を下げてIC1の入力端子iの電圧を下げる必要がある。本実施例ではブリッジ整流モードになる入力電圧約140Vに対し十分低い入力電圧である約AC40Vとなるように設定してある〔図3(B)〕。
【0036】
また、前記ブリッジ整流モードになる入力電圧AC約140Vは、AC200V系入力電圧を投入した場合の動作電圧であり、AC100V系入力で倍電圧整流モードで動作中に入力電圧が上昇した場合にブリッジ整流モードに切り換わる入力電圧はAC約150Vに設定してある。これは、AC100V系入力で倍電圧整流モードで動作中は第2のトランジスタQ2がONしており、抵抗器R10をとおしてコレクタ電流が流れていて、その分抵抗器R2の電圧降下が大きくなっている。AC200V系入力電圧を投入した場合は、その経過中トランジスタQ2はOFFなので抵抗器R10をとおしてのコレクタ電流は無く、その分抵抗器R2の電圧降下が小さくなっている。
【0037】
その結果、AC100V系入力時の倍電圧整流モードから入力電圧が上昇してブリッジ整流モードに切り換わる入力電圧の方が、AC200V系入力電圧を投入してブリッジ整流モードとなる入力電圧より高くなる。第1のツェナーダイオードZd1は、集積回路IC1の動作電圧保護用のダイオードである。キャパシタC2は、集積回路IC1の入力のノイズフィルタ、第3のダイオードD3は、IC1の出力端子oがH(ハイレベル)の時、抵抗器R5の電流が第2のトランジスタQ2のベースに流入するのを阻止するダイオード、第4のダイオードD4は前記ダイオードD3使用のためトランジスタQ2のベース電位バランス用のダイオードである。集積回路IC1は、3端子のシステムリセット用ICを活用したが、検出端子電圧が閾値以下で出力L(ローレベル)、閾値以上で出力H(ハイレベル)のモードであれば一般のコンパレータIC、オペレーショナルアンブ等を使用しても同様に動作させられる。
【0038】
4. 電源電圧異常時。先ずAC100V系入力時〔図3(A)〕では、集積回路IC1がAC200V系入力電圧を検出しないので、入力の瞬時低下や瞬時停電に対し倍電圧整流モードに復帰する。また、入力過電圧が発生した場合は、集積回路IC1がAC200V系入力電圧を検出して、約AC150V以上でブリッジ整流モードに切り換える〔図3(B)〕。第1のダイオードD1が接続されている相において入力過電圧が発生した場合は、その電圧上昇を集積回路IC1で検出して、そのサイクルの途中であってもブリッジ整流モードに切り換える。入力電圧が正規AC100V系入力電圧に復帰しても前記説明のとおり、入力電圧が約AC40V以下に下がらないとブリッジ整流モードは解除されない。
【0039】
AC200V系入力時〔図3(B)〕では、入力の瞬時低下が発生した場合は前記説明のとおり、その低下した時の電圧が約AC40V以上であればブリッジ整流モードを維持しているので、入力の復帰に従いブリッジ整流モードのまま本整流回路の出力電圧も復帰する。入力の瞬時低下時の電圧が約AC40V以下の時や瞬時停電の時は、ブリッジ整流モードで動作中はトランジスタQ1がONしているので、ツェナーダイオードZd2のカソードの電圧は約1Vとなっているから、入力復帰後のZd2のカソード電圧の上昇は初期投入とほぼ等価であり、これにより本整流回路の出力電圧は倍電圧整流モードになること無くブリッジ整流モードで復帰する。
【0040】
以上本発明に係る整流切換回路の実施の1例について詳細に説明し、本実施例で整流モードの切り換わりおよび解除電圧に関して実際の数値を記載したが、本発明の実施においてはこの数値に限定されるものではなく、その他の電圧での設計も可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る整流切換回路は上記の構成であるから、以下の諸効果を奏する。
1.スイッチ素子として電界効果トランジスタ(FET)を使用したので、FETのゲート駆動電力が殆ど不要になると共に、スイッチ素子にトライアックを使用した場合は順方向電圧による損失が発生するが、電界効果トランジスタ(FET)を使用した場合は、適宜ON抵抗の低い部品を選定することにより導通時の損失を減らすことが出来る。同時に制御回路の0Vラインとスイッチ素子のFETの共通ソースを接続したので、フォトカプラ等で絶縁すること無く前記FETの駆動を制御回路から直接行うことが出来る。フォトカプラ等は高温および経時変化で信号伝達率が悪化するので、使用温度範囲をカバーし、経時劣化後の信号伝達率を加味した発光側の駆動電力が必要となるが、本発明ではこれらを必要としないので回路の高効率化を計ることが出来る。
【0042】
2.スイッチ素子は従来トライアックが多く使用されている。トライアックはゲート信号を断っても保持電流以下にならないとOFFしないので、AC100V系入力で動作中にAC200V系入力を検出して制御回路からのゲート信号を断ってもその半サイクルの間はOFFにならない。しかし本発明では、スイッチ素子に電界効果トランジスタ(FET)を使用しているので、制御回路からの信号に対し瞬時にスイッチ素子の動作モードが切り換わる。このことは整流回路の出力電圧が異常に高くなる確率を減じることとなり、信頼性が向上する。
【0043】
3.AC200V系入力電圧を投入する際、AC100V系入力を検出して倍電圧整流モードとなる時間よりブリッジ整流モードとなる時間を短くしているので、入力電圧投入後の経過において倍電圧整流モードになることはなく、異常な高電圧を出力しない信頼性の高い回路を供給できる。
【0044】
4.倍電圧整流モードになる閾値の入力電圧、ブリッジ整流モードになる閾値の入力電圧付近で入力電圧が固定された場合、前記それぞれのモードが解除される入力電圧を前記それぞれの閾値の入力電圧より低く設定したので、制御回路の動作電圧に含まれるリップル電圧の影響で、倍電圧整流モード→ブリッジ整流モード→倍電圧整流モードのように動作を繰り返してしまうことがない。
【0045】
5.AC200V系入力電圧でブリッジ整流モードで動作中の入力電圧の瞬時低下に対し、その低下した時の電圧が約AC40V以上であればブリッジ整流モードを維持しているので、入力の復帰に従いブリッジ整流モードのまま本整流回路の出力電圧も復帰する。入力の瞬時低下時の電圧が約AC40V以下の時や瞬時停電の時は、ブリッジ整流モードで動作中はトランジスタQ1がONしているので、第2のツェナダイオードZd2のカソードZd2−kの電圧は約1Vとなっていることから、入力復帰後のZd2のカソードZd2−kの電圧の上昇は初期投入とほぼ等価であり、これにより本整流回路の出力電圧は倍電圧整流モードとなること無くブリッジ整流モードで復帰する。従って、このような入力電圧異常時にAC200V系入力電圧が復帰する際、倍電圧整流モードとなって異常な高電圧を出力することはなく信頼性の高い回路を提供できる。
【0046】
6.入力電圧徐昇時のブリッジ整流モードへ切り換わる入力電圧は約AC150V、入力を投入した時ブリッジ整流モードになる入力電圧は約AC140Vに設定してあるので、AC100V系入力時に入力過電圧が発生した時にはブリッジ整流モードになってしまうことに対しての入力電圧のマージンがあることになる。また、AC200V系入力電圧で入力を投入した場合はその電圧が約AC140V以上であればブリッジ整流モードになるので負荷装置に対して安全性が高くなる。
【0047】
7.倍電圧整流モードが解除される入力電圧が約AC30Vに設定してあるので、AC100V系入力時負荷装置へより広入力範囲な電源電圧を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る整流切換回路の1実施例を示す回路図
【図2】AC100V系及びAC200V系の入力を投入した時の各部の動作モードの1例を示すグラフ。
【図3】AC100V系及びAC200V系の入力を徐昇、徐降した時の各部の動作モードの1例を示すグラフ。
【図4】従来の整流切換回路の1例を示す回路図
【符号の説明】
1 スイッチ素子
2 制御回路
3 交流電源
4 負荷装置
5 制御回路の0Vライン
Q11、Q12 電界効果トランジスタ(FET)
Q1〜Q3 トランジスタ
C01、C02 平滑用キャパシタ
C1〜C4 キャパシタ
D01 ブリッジダイオード
D1〜D4 ダイオード
IC1 集積回路
R1〜R15 抵抗器
Zd1〜Zd3 ツェナーダイオード
【発明が属する技術分野】
本発明は交流入力電圧に応じて整流モードを自動的に切り換える整流切換回路に関する。さらに詳しく云えば、入力電源がAC100V系の場合には倍電圧整流モードに、AC200V系の場合にはブリッジ整流モード に自動的に切り換えて、本装置の後段に接続されて本機の負荷となるスイッチング電源などの装置への直流出力電圧を一定にする整流切換回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にこの種の回路の基本形は図4に示すように、ブリッジ整流器D01のプラス出力とマイナス出力間に同容量の平滑用キャパシタC01、C02を直列に接続し、入力がAC100V系のときはこのキャパシタC01とC02の中点とAC入力の一端をスイッチ素子でショートすることにより倍電圧整流回路を形成し、入力がAC200V系のときは前記スイッチ素子をオープンにすることでブリッジ整流回路を形成して、異なる入力電圧系でもほぼ同様の出力電圧を得るものである。なお、C01、C02にそれぞれ並列に接続してある抵抗器R01、R02は、ブリッジ整流モードの際のキャパシタC01、C02の容量誤差による印加電圧の不均等を防ぐためのバランス用抵抗である。
【0003】
前記スイッチ素子の動作を、入力電圧を監視することによって自動で行うようにした回路が発明されており、例えば特許文献1では、前記スイッチ素子にパルス駆動により駆動損失を低減したゲート素子(トライアック)を用い、且つAC200Vを投入する際その経過においてAC100V系入力を検出して倍電圧整流モードのまま入力電圧がAC200Vに達し、本装置の出力電圧が異常な高電圧となる誤動作に対しては制御回路内に遅延回路を設け、一定時間後に倍電圧整流モードとなるようにする解決方法、AC200V系で使用中の瞬時停電や瞬時電圧低下時に倍電圧整流モードに移行したままAC200Vに復帰することによる出力電圧が異常に高くなる誤動作に対しては、制御回路内にラッチ回路を設け、ブリッジ整流モードに固定する等の解決方法、および、制御回路への給電入力をACの全波整流として正負両位相を監視して切換動作の信頼性を高めること等が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−30729号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来の整流切換回路は、倍電圧整流モードとブリッジ整流モードを切り換えるスイッチ素子にトライアックを使用しているため、以下のような問題があった。
(1)トライアックの駆動に電力を要する。
(2)トライアックの導通時の順方向電圧による損失がある。
(3)1度ONすると入力商用電源の周波数の半周期の間OFF出来ず、その間の制御が出来ない。
さらに、回路構成上以下の問題もあった。
(4)入力電圧を監視して上記スイッチ素子の駆動信号を出力する検出回路の電位と、上記スイッチ素子の電位が異なるため、フォトカプラ等で絶縁して信号を伝達する必要があった。
(5)初期状態から倍電圧モードに切り換わる入力電圧、倍電圧整流モードからブリッジ整流モードへ切り換わるそれぞれの入力電圧の閾値付近では、検出回路の動作用電源電圧に含まれるリップル電圧の影響で、倍電圧整流モード→ブリッジ整流モード→倍電圧整流モードの様に動作を繰り返してしまう恐れがあった。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、電界効果トランジスタ(FET)のソースを共通に接続した回路をスイッチ素子として使用し、その駆動電力の著しい低減、およびFETのON抵抗を適宜選定することによる導通時の損失低減による本装置の高効率化と、信頼性の高い回路を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る整流切換回路は以下の構成としたものである。即ち本発明に係る整流切換回路は、交流入力電圧を制御回路で検出し、該制御回路の切り換え信号によって、AC100V系の時の倍電圧整流モードと、AC200V系の時のブリッジ整流モードとをスイッチ素子で切り換えて、直流出力電圧がほぼ同じになるようにする整流切換回路において、前記スイッチ素子としてソースを共通に接続した電界効果トランジスタ(FET)を用いたことを特徴とする。
【0008】
上記本発明において、電界効果トランジスタ(FET)の共通ソースを制御回路のゼロボルトラインに接続して、該電界効果トランジスタを直接駆動できるようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る整流切換回路は、入力投入の際、制御回路内に設けた駆動回路により、入力投入直後の初期状態を電界効果トランジスタのゲート電圧が閾値以下であるように制御してブリッジ整流モードから動作を開始させ、AC100V系入力の場合には制御回路内に別途設けた遅延回路で一定時間後に前記駆動回路を制御して電界効果トランジスタを駆動してONさせ、ゲート電圧を閾値以上にして倍電圧整流モードとする構成とした。これは入力投入直後の初期状態がブリッジ整流モードであることを確実にするためである。
【0010】
また、本発明に係る整流切換回路は、制御回路内に、前記駆動回路と共に、AC200V系入力の場合、前記遅延回路がAC100V系入力を検出して前記駆動回路に信号を送出するより早くAC200V系入力を検出する回路を設け、前記スイッチ素子をOFFに保ち、入力電圧上昇の過程において(AC100Vを検出して)倍電圧整流モードになることなく、ブリッジ整流モードになる構成としたものである。
【0011】
本発明に係る整流切換回路においては、制御回路を、倍電圧整流モードが解除されブリッジ整流モードに戻る入力電圧が、初期状態のブリッジ整流モードから倍電圧整流モードとなる入力電圧より低くなるように設定した。
【0012】
また、AC200V系入力投入の場合、前記制御回路を、ブリッジ整流モードとなる入力電圧に対し、ブリッジ整流モードが解除され、入力投入直後の初期状態に戻る入力電圧を、初期状態から倍電圧整流モードとなる入力電圧より低くなるように設定した。さらに、前記制御回路を、AC100V系から入力電圧を徐々に上昇させた際の、倍電圧整流モードからブリッジ整流モードへ切り換わる入力電圧が、AC200V系入力投入においてブリッジ整流モードとなる入力電圧より高くなるように設定した。
【0013】
【作用】
本発明に係る上記の整流切換回路において、スイッチ素子として用いる電界効果トランジスタ(FET)は、そのゲート電圧を閾値以下に保つとOFFで、倍電圧整流モードが解除されてブリッジ整流モードとなり、ゲート電圧を閾値以上にするとONして、倍電圧整流モードとなる。このゲート電圧を閾値以下に保つ回路が前記駆動回路であり、その回路を開いてゲート電圧を閾値以上にし、FETをONする機構は遅延回路による駆動回路の制御であって、これらの回路は制御回路に内在する。本発明に係る整流切換回路は上記の構成により、AC入力投入の初期状態においては、スイッチ素子である電界効果トランジスタ(FET)のゲート電圧を閾値以下に保つ回路(駆動回路)により制御されて、電界効果トランジスタ(FET)はOFFなので、必ずブリッジ整流モードとなっている。
【0014】
入力電圧がAC100V系(例えば、100V、110V、115V、120Vなど)の場合は、入力投入して一定時間後に電界効果トランジスタ(FET)のゲート電圧を閾値以下に保つ駆動回路を開いてゲート電圧を閾値以上にし、電界効果トランジスタをONさせて倍電圧整流モードにする。また、倍電圧整流モードが解除される入力電圧が、初期状態から倍電圧整流モードに移行する入力電圧より低くなるように制御回路の動作を設定してあるので、入力電圧を徐昇した場合や、倍電圧整流モードとなる入力電圧付近で動作させた場合、倍電圧整流モード→ブリッジ整流モード→倍電圧整流モードのように動作を繰り返してしまうことがない。
【0015】
入力電圧がAC200V系(例えば、200V、220V、230V、240Vなど)の場合は、倍電圧整流モードになるより早く前記電界効果トランジスタ(FET)のゲート電圧を閾値以下に保つ駆動回路を閉じてゲート電圧を閾値以下に保ち、電界効果トランジスタ(FET)をOFFに保つことで、倍電圧整流モードになることなくブリッジ整流モードとなる。また、倍電圧整流モードからブリッジ整流モードに移行する入力電圧よりブリッジ整流モードが解除される入力電圧が、前記初期状態から倍電圧整流モードになる入力電圧より低くなるよう制御回路の動作を設定してあるので、AC100V系から入力電圧を徐昇させた場合や、倍電圧整流モードからブリッジ整流モードとなる入力電圧付近で動作させた場合、倍電圧整流モード→ブリッジ整流モード→倍電圧整流モードのように動作を繰り返してしまうことがない。
【0016】
同時に入力電圧が、前記初期状態から倍電圧整流モードになる入力電圧より低く設定したブリッジ整流モードの解除電圧以上である場合、その入力電圧の瞬時低下を生じたときは、ブリッジ整流モードを維持しているので、入力電圧が復帰しても倍電圧整流を行わないので、異常な高電圧を出力しない。また、入力電圧が、前記初期状態から倍電圧整流モードになる入力電圧より低く設定したブリッジ整流モードの解除電圧以下である場合、その入力電圧の瞬時低下や瞬時停電に対しても、ほぼ初期状態からの動作となるので異常な高電圧を出力しない。スイッチ素子は電界効果トランジスタ(FET)であるので、駆動信号は理論的には電圧のみでよく、駆動損失がない。同時に電界効果トランジスタ(FET)のボディーダイオードの存在を活用し、制御回路のゼロボルト(0V)ラインをスイッチ素子の共通ソース部に接続することができ、直接電界効果トランジスタ(FET)のゲートを駆動することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る整流切換回路を、図に示す実施例に基づいて具体的に説明する。図1は本発明に係る整流切換回路の一実施例を示す回路図である。図1において、入力であるAC電圧は1極はヒューズF1を経て、他極は直接ブリッジダイオードD01に接続され、ブリッジダイオードD01の出力側には平滑用キャパシタC0lとC02が直列に接続されている。このキャパシタC0lとC02には、ブリッジ整流モードの時、そのキャパシタの容量誤差による印加電圧の不均等を防ぐためのバランス用抵抗R01、R02がそれぞれ並列に接続されている。更にブリッジダイオードD01の出力側には本整流回路の負荷となるスイッチング電源装置などが接続される。
【0018】
また、ヒューズF1を挿入していない側の極とブリッジダイオードD01との接続部と前記キャパシタC0lとC02の直列接続の中点の間にスイッチ素子1が接続されている。このスイッチ素子1は、電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12で構成され、それぞれのソースS、Sを接続して共通とし、制御回路2のゼロボルト(0V)ラインに接続する。また、前記電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12のゲートG、Gを接続して共通とし、制御回路2のトランジスタQ3のコレクタに接続する。さらにトランジスタQ11、Q12のドレインD、Dは片方を前記ブリッジダイオードD01のヒューズF1を挿入していない側の交流入力端子に接続し、他方を前記キャパシタC0lとC02の直列接続の中点に接続して構成されている。
【0019】
制御回路2はAC入力電圧を検知し、AC100V系入力の時はある一定時間後に倍電圧整流モードに、AC200V系入力の時は上記AC100V系入力の時の倍電圧整流モードになる時間より十分早くブリッジ整流モードとなるよう制御して、スイッチ素子1の電界効果トランジスタ(FET)Q11とQ12のゲートを駆動する回路である。
【0020】
制御回路2においてQ1は第1のトランジスタ、Q2は第2のトランジスタ、Q3は第3のトランジスタ、IC1は第1の集積回路、D1は第1のダイオード、D2は第2のダイオード、D3は第3のダイオード。D4は第4のダイオード、Zdlは第1のツェナーダイオード、Zd2は第2のツエナーダイオード、Zd3は第3のツェナーダイオード、C1〜C4はキャパシタ(4個)、抵抗器は15個使用しておりR1〜R15のように示した。
【0021】
制御回路2の構成は以下のとおりである。AC入力の一端に接続したヒューズF1とブリッジダイオードD01との接続部に第1のダイオードD1のアノードを接続し、カソード側には第1の抵抗器R1を接続する。R1の他端は第1のキャパシタC1を接続し、C1の他端は制御回路2のゼロボルト(0V)ライン(以下「0Vライン」と記載)に接続する。抵抗器R1とキャパシタC1の接続部に抵抗器R2及びR7を接続する。抵抗器R2の他端は第1のツェナーダイオードZd1のカソードおよび各抵抗器R3、R5、R6、R10を接続し、抵抗器R7の他端は、第1のトランジスタQ1のコレクタ、キャパシタC3、抵抗器R8、第2のツエナーダイオードZd2のカソードおよび抵抗器R11を接続する。第1のツェナーダイオードZd1のアノードは制御回路2の0Vラインに接続し、抵抗器R3の他端は集積回路IC1の入力端子i(電源端子を兼ねる)、抵抗器R4、キャパシタC2、および第2のダイオードD2のカソードとの接続部に接続し、抵抗器R4とキャパシタC2の他端及び集積回路IC1のグランド端子gは制御回路2の0Vラインに接続する。
【0022】
抵抗器R5の他端は第2のダイオードD2のアノード、集積回路IC1の出力端子oおよび第3のダイオードD3のカソードとの接続部に接続し、抵抗器R6の他端は、第1のトランジスタQ1のベースと前記ダイオードD3のアノードとの接続部に接続し、抵抗器R10の他端は、第2のトランジスタQ2のコレクタと抵抗器R12およびR13の接続部に接続し、R13の他端は第3のトランジスタQ3のベースに接続し、Q3のエミッタは制御回路2の0Vラインに接続する。トランジスタQ1のエミッタは第4のダイオードD4のアノードと接続し、D4のカソード、キャパシタC3の他端および抵抗器R8の他端は前記制御回路2の0Vラインに接続する。
【0023】
第2のツェナーダイオードZd2のアノードは第2のトランジスタQ2のベースと、抵抗器R9およびキャパシタC4の接続部に接続し、第2のトランジスタQ2のエミッタと、抵抗器R9の他端およびキャパシタC4の他端を制御回路2の0Vラインに接続する。抵抗器R11の他端は第3のトランジスタQ3のコレクタおよびスイッチ素子1の電界効果トランジスタ(FET)のゲートG・Gと抵抗器R14との接続部に接続する。抵抗器R15をブリッジダイオードD01と平滑用キャパシタC0lの接続部に接続し、R15の他端を第3のツェナーダイオードZd3のカソードと接続し、Zd3のアノードは制御回路2の0Vラインに接続する。抵抗器R15と第3のツェナーダイオードZd3の接続部には抵抗器R12の他端と抵抗器R14の他端を接続する。
【0024】
上記回路における各部の動作の一例を以下に説明する。図2(A)、(B)は、入力時の各部の動作モードを示すグラフである。各部の符号は図2に併記した。図3(A)、(B)は入力を徐昇、徐降した場合の各部の動作モードを示すグラフである。図2および図3に付記したように、(A)は入力電圧がAC100V系の場合、(B)は入力電圧がAC200V系の場合である。図3において、各部の符号は図2と同じである。
1.スイッチ素子1の電界効果トランジスタ(FET)Q11とQ12の共通ソースS、Sを、制御回路2の0Vラインに接続すれば、第1のダイオードD1、抵抗器R1、キャパシタC1からなる入力電圧を監視するための半波整流回路は、電界効果トランジスタQ11の寄生ダイオード(波線で示す)により電流環路が形成される。同様に、電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12のゲート電圧を閾値以下に保つための抵抗器R15、R12、R13、R14および第3のトランジスタQ3からなる回路は前記駆動回路を形成し、電界効果トランジスタ(FET)Q12の寄生ダイオード(波線で示す)により電流環路が形成され、平滑用キャパシタC0lの電圧で動作できる。これにより本整流切換回路の構成が可能となっている。
【0025】
2.入力電圧がAC100V系の時〔図2(A)および図3(A)〕:入力されたAC電圧はブリッジダイオードD01で整流され、直列接続の平滑用キャパシタC0l、C02に充電される。入力電圧が数Vで駆動回路の抵抗器R15、R12およびR13を流れる電流で第3のトランジスタQ3はONとなり、スイッチ素子1の電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12をOFFにする。同時に前記半波整流回路の第1のダイオードD1と抵抗器R1を通してキャパシタC1にも充電する。キャパシタC1は抵抗器R1と時定数になるので制御回路2が動作状態になるまで時間を要する。よって、スイッチ素子1は入力投入直後の初期状態においてOFFを保ち、ブリッジ整流モードから動作開始する。次いで時間経過と共にキャパシタC1の電圧が上昇していき、集積回路IC1の入力端子iの電圧がIC1の動作電圧以上になるとIC1の出力端子oはONして第1のトランジスタQ1をOFFにする。
【0026】
更にキャパシタC1の電圧が上昇して、第2のツェナーダイオードZd2のカソードZd2−kの電圧(=Zd2のツエナー電圧+第2のトランジスタQ2のベース−エミッタ間電圧)が約16Vに達すると前記Q2(コレクタ:Q2c)がONするが、そのZd2−kの電圧が約16Vになるまでの時間は、抵抗器R7とキャパシタC3による遅延回路により、キャパシタC1の充電完了時間および集積回路IC1の動作開始時間より十分遅く設定されている。本実施例では第2のツェナーダイオードZd2のカソードZd2−kの電圧を約16Vに設定しているが、他の電圧として設計することも可能である。
【0027】
集積回路IC1の動作開始電圧は入力電圧AC10V程度なので、集積回路IC1の出力端子IC1oはIC1が動作開始するまでOFFであるが、その出力電圧は第1のトランジスタQ1のベース−エミッタ間電圧以下なのでトランジスタQ1(コレクタ:Q1c)をONさせることはない。第2のトランジスタQ2がONすると、抵抗器R15、R12、R13をとおして供給していた第3のトランジスタQ3のベース電流が抵抗器R15、R12、第2のトランジスタQ2と流れるため第3のトランジスタQ3(コレクタ:Q3c)はOFFとなる。
【0028】
第3のトランジスタQ3がOFFとなると、Q3のコレクタQ3cの電圧がスイッチ素子1の電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12のゲート電圧の閾値以上となり、Q11、Q12はONして倍電圧整流モードとなる。この動作の過程において最初第3のトランジスタQ3はONしているので、そのコレクタ電流は抵抗器R14およびR11から供給されている。第2のトランジスタQ2がONし始めると第3のトランジスタQ3はOFFに向かいコレクタ電流が減少していく。すると抵抗器R11からトランジスタQ3へ流れる電流も減少し、その減少した分は第2のツェナーダイオードZd2へ流入する。これは第2のトランジスタQ2のベース電流増であるからQ2は急激にONする。この結果Q3は急激に○FFし、電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12は急激にONする。
【0029】
倍電圧整流モードは第2のトランジスタQ2がOFFで解除されるが、前記のとおり倍電圧整流モードとなる前の抵抗器R11から第3のトランジスタQ3への電流が倍電圧整流モードの時には、トランジスタQ2のベース電流の増加分となっているので、第2のツェナーダイオードZd2のカソードZd2−kの電圧が、Zd2のツエナー電圧+Q2のベース−エミッタ間電圧より低くなってQ2をOFFさせるためには、入力電圧を低くしてC1に発生している整流電圧を下げ、前記トランジスタQ2のベース電流の増加分に見合った分だけR7に流れる電流を減じる必要がある。本実施例では入力投入直後の初期状態から倍電圧整流モードに切り換わる入力電圧約AC50Vよりも低い入力電圧である約AC30Vとなるように設定してある〔図3(A)〕。
【0030】
上記の動作の過程において第2のトランジスタQ2がOFFし始めると第3のトランジスタQ3がONに向かう。すると抵抗器R11から第3のトランジスタQ3への電流が流れ始めるので、第2のツェナーダイオードZd2へ流入する電流即ち第2のトランジスタQ2のベース電流が減少するのでQ2は急激にOFFする。この結果第3のトランジスタQ3は急激にONし、電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12も急激にOFFして倍電圧整流モードは解除される。
【0031】
AC200V入力系でブリッジ整流モードとさせるための検出は集積回路IC1で行っており、その検出電圧は約AC140Vに設定してあるので〔図3(B)〕、AC100V系入力の時は集積回路IC1はAC200V系を検出せず、ブリッジ整流モードになることはない。抵抗器R8は、倍電圧整流モードとなる入力電圧を設定するための分圧抵抗である。抵抗器R9とキャパシタC4は第2のトランジスタQ2を安定動作させるためのフィルタである。ツェナーダイオードZd3はトランジスタQ11およびQ12のゲート電圧を保護するためのものである。
【0032】
3.入力電圧がAC200V系の時〔図2(B)および図3(B)〕:入力されたAC電圧はブリッジダイオードD01で整流され、直列接続の平滑用キャパシタC0l、C02に充電される。入力電圧が数Vで抵抗器R15、R12、R13を流れる電流で第3のトランジスタQ3はONとなり、スイッチ素子1の電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12をOFFにする。同時に第1のダイオードD1、抵抗器R1を通してキャパシタC1にも充電する。キャパシタC1は抵抗器R1と時定数になるので制御回路2が動作状態になるまで時間を要する。よって、スイッチ素子1は入力投入直後の初期状態においてOFFを保ちブリッジ整流モードから動作開始する。
【0033】
次いで時間経過と共にキャパシタC1の電圧が上昇してゆき、集積回路IC1の入力端子iの電圧がIC1の動作電圧以上になると、IC1の出力端子IC1oはONして第1のトランジスタQ1をOFFにする。キャパシタC1の電圧が更に上昇して抵抗器R2、R3、R4の分圧回路で決定される集積回路IC1の入力端子iの電圧がIC1の閾値に達すると、IC1はOFFして出力端子oはH(ハイレベル)となる。この集積回路IC1の出力がH(ハイレベル)となる時間は、前記AC100V系入力時の倍電圧整流モードとなる抵抗器R7、キャパシタC3による遅延時間より十分早く設定してある。
【0034】
集積回路IC1の出力がH(ハイレベル)となると、第1のトランジスタQ1がONして第2のツェナーダイオードZd2のカソードZd2−kの電圧は約1V(=Q1のコレクタ−エミツタ間飽和電圧+第4のダイオードD4の順方向電圧)に保持される。これにより前記AC100V系入力の際説明した倍電圧整流モードになるための第2のツェナーダイオードZd2のカソードZd2−kの電圧の上昇は阻止される。従って第2のトランジスタQ2がOFF、第3のトランジスタQ3がON、電界効果トランジスタ(FET)Q11、Q12がOFFの初期状態が維持され、倍電圧整流モードになることなくブリッジ整流モードで動作する。
【0035】
この動作の過程において集積回路IC1がOFFし始めると、IC1の出力端子oはH(ハイレベル)に向かい、その電圧がIC1の入力端子iの電圧+第2のダイオードD2の順方向電圧を超えると、抵抗器R5、ダイオードD2、抵抗器R4の経路で電流が流れ、集積回路IC1の入力端子iの電圧を上昇させるのでIC1は急激にOFFする。ブリッジ整流モードは前記集積回路IC1の入力端子iの電圧がIC1の閾値以下となることで解除されるが、ブリッジ整流モードで動作中はIC1がOFFであり、抵抗器R5とダイオードD2の直列回路が抵抗器R3に並列になるので、抵抗器R3とR4の分圧比が変わり、IC1の入力端子iの電圧が上昇しているので、入力電圧を低くしてキャパシタC1に発生している整流電圧を下げてIC1の入力端子iの電圧を下げる必要がある。本実施例ではブリッジ整流モードになる入力電圧約140Vに対し十分低い入力電圧である約AC40Vとなるように設定してある〔図3(B)〕。
【0036】
また、前記ブリッジ整流モードになる入力電圧AC約140Vは、AC200V系入力電圧を投入した場合の動作電圧であり、AC100V系入力で倍電圧整流モードで動作中に入力電圧が上昇した場合にブリッジ整流モードに切り換わる入力電圧はAC約150Vに設定してある。これは、AC100V系入力で倍電圧整流モードで動作中は第2のトランジスタQ2がONしており、抵抗器R10をとおしてコレクタ電流が流れていて、その分抵抗器R2の電圧降下が大きくなっている。AC200V系入力電圧を投入した場合は、その経過中トランジスタQ2はOFFなので抵抗器R10をとおしてのコレクタ電流は無く、その分抵抗器R2の電圧降下が小さくなっている。
【0037】
その結果、AC100V系入力時の倍電圧整流モードから入力電圧が上昇してブリッジ整流モードに切り換わる入力電圧の方が、AC200V系入力電圧を投入してブリッジ整流モードとなる入力電圧より高くなる。第1のツェナーダイオードZd1は、集積回路IC1の動作電圧保護用のダイオードである。キャパシタC2は、集積回路IC1の入力のノイズフィルタ、第3のダイオードD3は、IC1の出力端子oがH(ハイレベル)の時、抵抗器R5の電流が第2のトランジスタQ2のベースに流入するのを阻止するダイオード、第4のダイオードD4は前記ダイオードD3使用のためトランジスタQ2のベース電位バランス用のダイオードである。集積回路IC1は、3端子のシステムリセット用ICを活用したが、検出端子電圧が閾値以下で出力L(ローレベル)、閾値以上で出力H(ハイレベル)のモードであれば一般のコンパレータIC、オペレーショナルアンブ等を使用しても同様に動作させられる。
【0038】
4. 電源電圧異常時。先ずAC100V系入力時〔図3(A)〕では、集積回路IC1がAC200V系入力電圧を検出しないので、入力の瞬時低下や瞬時停電に対し倍電圧整流モードに復帰する。また、入力過電圧が発生した場合は、集積回路IC1がAC200V系入力電圧を検出して、約AC150V以上でブリッジ整流モードに切り換える〔図3(B)〕。第1のダイオードD1が接続されている相において入力過電圧が発生した場合は、その電圧上昇を集積回路IC1で検出して、そのサイクルの途中であってもブリッジ整流モードに切り換える。入力電圧が正規AC100V系入力電圧に復帰しても前記説明のとおり、入力電圧が約AC40V以下に下がらないとブリッジ整流モードは解除されない。
【0039】
AC200V系入力時〔図3(B)〕では、入力の瞬時低下が発生した場合は前記説明のとおり、その低下した時の電圧が約AC40V以上であればブリッジ整流モードを維持しているので、入力の復帰に従いブリッジ整流モードのまま本整流回路の出力電圧も復帰する。入力の瞬時低下時の電圧が約AC40V以下の時や瞬時停電の時は、ブリッジ整流モードで動作中はトランジスタQ1がONしているので、ツェナーダイオードZd2のカソードの電圧は約1Vとなっているから、入力復帰後のZd2のカソード電圧の上昇は初期投入とほぼ等価であり、これにより本整流回路の出力電圧は倍電圧整流モードになること無くブリッジ整流モードで復帰する。
【0040】
以上本発明に係る整流切換回路の実施の1例について詳細に説明し、本実施例で整流モードの切り換わりおよび解除電圧に関して実際の数値を記載したが、本発明の実施においてはこの数値に限定されるものではなく、その他の電圧での設計も可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る整流切換回路は上記の構成であるから、以下の諸効果を奏する。
1.スイッチ素子として電界効果トランジスタ(FET)を使用したので、FETのゲート駆動電力が殆ど不要になると共に、スイッチ素子にトライアックを使用した場合は順方向電圧による損失が発生するが、電界効果トランジスタ(FET)を使用した場合は、適宜ON抵抗の低い部品を選定することにより導通時の損失を減らすことが出来る。同時に制御回路の0Vラインとスイッチ素子のFETの共通ソースを接続したので、フォトカプラ等で絶縁すること無く前記FETの駆動を制御回路から直接行うことが出来る。フォトカプラ等は高温および経時変化で信号伝達率が悪化するので、使用温度範囲をカバーし、経時劣化後の信号伝達率を加味した発光側の駆動電力が必要となるが、本発明ではこれらを必要としないので回路の高効率化を計ることが出来る。
【0042】
2.スイッチ素子は従来トライアックが多く使用されている。トライアックはゲート信号を断っても保持電流以下にならないとOFFしないので、AC100V系入力で動作中にAC200V系入力を検出して制御回路からのゲート信号を断ってもその半サイクルの間はOFFにならない。しかし本発明では、スイッチ素子に電界効果トランジスタ(FET)を使用しているので、制御回路からの信号に対し瞬時にスイッチ素子の動作モードが切り換わる。このことは整流回路の出力電圧が異常に高くなる確率を減じることとなり、信頼性が向上する。
【0043】
3.AC200V系入力電圧を投入する際、AC100V系入力を検出して倍電圧整流モードとなる時間よりブリッジ整流モードとなる時間を短くしているので、入力電圧投入後の経過において倍電圧整流モードになることはなく、異常な高電圧を出力しない信頼性の高い回路を供給できる。
【0044】
4.倍電圧整流モードになる閾値の入力電圧、ブリッジ整流モードになる閾値の入力電圧付近で入力電圧が固定された場合、前記それぞれのモードが解除される入力電圧を前記それぞれの閾値の入力電圧より低く設定したので、制御回路の動作電圧に含まれるリップル電圧の影響で、倍電圧整流モード→ブリッジ整流モード→倍電圧整流モードのように動作を繰り返してしまうことがない。
【0045】
5.AC200V系入力電圧でブリッジ整流モードで動作中の入力電圧の瞬時低下に対し、その低下した時の電圧が約AC40V以上であればブリッジ整流モードを維持しているので、入力の復帰に従いブリッジ整流モードのまま本整流回路の出力電圧も復帰する。入力の瞬時低下時の電圧が約AC40V以下の時や瞬時停電の時は、ブリッジ整流モードで動作中はトランジスタQ1がONしているので、第2のツェナダイオードZd2のカソードZd2−kの電圧は約1Vとなっていることから、入力復帰後のZd2のカソードZd2−kの電圧の上昇は初期投入とほぼ等価であり、これにより本整流回路の出力電圧は倍電圧整流モードとなること無くブリッジ整流モードで復帰する。従って、このような入力電圧異常時にAC200V系入力電圧が復帰する際、倍電圧整流モードとなって異常な高電圧を出力することはなく信頼性の高い回路を提供できる。
【0046】
6.入力電圧徐昇時のブリッジ整流モードへ切り換わる入力電圧は約AC150V、入力を投入した時ブリッジ整流モードになる入力電圧は約AC140Vに設定してあるので、AC100V系入力時に入力過電圧が発生した時にはブリッジ整流モードになってしまうことに対しての入力電圧のマージンがあることになる。また、AC200V系入力電圧で入力を投入した場合はその電圧が約AC140V以上であればブリッジ整流モードになるので負荷装置に対して安全性が高くなる。
【0047】
7.倍電圧整流モードが解除される入力電圧が約AC30Vに設定してあるので、AC100V系入力時負荷装置へより広入力範囲な電源電圧を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る整流切換回路の1実施例を示す回路図
【図2】AC100V系及びAC200V系の入力を投入した時の各部の動作モードの1例を示すグラフ。
【図3】AC100V系及びAC200V系の入力を徐昇、徐降した時の各部の動作モードの1例を示すグラフ。
【図4】従来の整流切換回路の1例を示す回路図
【符号の説明】
1 スイッチ素子
2 制御回路
3 交流電源
4 負荷装置
5 制御回路の0Vライン
Q11、Q12 電界効果トランジスタ(FET)
Q1〜Q3 トランジスタ
C01、C02 平滑用キャパシタ
C1〜C4 キャパシタ
D01 ブリッジダイオード
D1〜D4 ダイオード
IC1 集積回路
R1〜R15 抵抗器
Zd1〜Zd3 ツェナーダイオード
Claims (7)
- 交流入力電圧を制御回路で検出し、該制御回路の切り換え信号によって、AC100V系の時の倍電圧整流モードと、AC200V系の時のブリッジ整流モードとをスイッチ素子で切り換えて、直流出力電圧がほぼ同じになるようにする整流切換回路において、前記スイッチ素子としてソースを共通に接続した電界効果トランジスタを用いたことを特徴とする整流切換回路。
- 電界効果トランジスタの共通ソースを制御回路のゼロボルトラインに接続して、該電界効果トランジスタを直接駆動できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の整流切換回路。
- 入力投入の際、制御回路内に設けた駆動回路により、入力投入直後の初期状態を電界効果トランジスタのゲート電圧が閾値以下であるように制御してブリッジ整流モードから動作を開始させ、AC100V系入力の場合には制御回路内に別途設けた遅延回路で一定時間後に前記駆動回路を制御して電界効果トランジスタを駆動させ、ゲート電圧を閾値以上にして倍電圧整流モードとする構成とした請求項1または2記載の整流切換回路。
- 制御回路内に、前記駆動回路と共に、AC200V系入力の場合に前記遅延回路がAC100V系入力を検出して前記駆動回路に信号を送出するより早くAC200V系入力を検出する回路を設け、前記スイッチ素子をOFFに保ち、入力電圧上昇の過程においてAC100Vを検出して倍電圧整流モードになることなく、ブリッジ整流モードになる構成とした請求項3記載の整流切換回路。
- 制御回路を、倍電圧整流モードが解除されブリッジ整流モードに戻る入力電圧が、初期状態のブリッジ整流モードから倍電圧整流モードとなる入力電圧より低くなるように設定した請求項1または2記載の整流切換回路。
- 制御回路を、AC200V系入力投入の場合、ブリッジ整流モードとなる入力電圧に対し、ブリッジ整流モードが解除され、入力投入直後の初期状態に戻る入力電圧を、初期状態から倍電圧整流モードとなる入力電圧より低くなるように設定した請求項1または2記載の整流切換回路。
- 制御回路を、AC100V系から入力電圧を徐々に上昇させた際の、倍電圧整流モードからブリッジ整流モードへ切り換わる入力電圧が、AC200V系での入力投入においてブリッジ整流モードとなる入力電圧より高くなるように設定した請求項1または2記載の整流切換回路。
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