JP2004265785A - イオン電解質材料 - Google Patents

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Kazuo Takei
一男 竹井
Keiichiro Mizuta
圭一郎 水田
Minoru Aoki
稔 青木
Keiko Takebe
恵子 武部
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Abstract

【課題】イオン伝導性に優れ、高電位において電気化学的に安定であり、しかも充放電を繰り返しても電気容量の低下を抑えることが可能である、電気化学特性に優れるイオン電解質材料を提供する。
【解決手段】アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩、下記一般式(1);
f3B (1)
(式中、Rは、同一若しくは異なって、フッ化アリール基又はフッ化フェノキシ基を表す。)で表される化合物、並びに、下記一般式(2);
fnBX (2)
(式中、Rは、同一若しくは異なって、フッ化アリール基又はフッ化フェノキシ基を表す。Xは、同一若しくは異なって、ハロゲン原子、水酸基又は脂肪族アルコキシ基を表す。nは、1〜2の整数を表す。)及び/又は下記一般式(3);
【化1】
Figure 2004265785

(式中、Rは、同一若しくは異なって、フッ化アリール基又はフッ化フェノキシ基を表す。Y及びYは、それぞれ独立に有機基を表し、直接又は酸素原子若しくはホウ素原子を介して結合していてもよい。mは、1以上の整数を表す。)で表される化合物を含有してなるイオン電解質材料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン電解質材料に関する。より詳しくは、電気化学デバイスを構成するイオン伝導体の材料として好適なイオン電解質材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン電解質材料は、イオン伝導による各種の電池等において必須であるイオン伝導体の構成材料として好適なものであって、イオン伝導体を構成する電解液において電解質として機能することができるものであり、また、固体電解質として機能することができるものである。その用途としては、例えば、一次電池、リチウム(イオン)二次電池や燃料電池等の充電及び放電機構を有する電池の他、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、太陽電池・エレクトロクロミック表示素子等の電気化学デバイスが挙げられる。これらでは、一般に一対の電極とその間を満たすイオン伝導体から電池が構成されることになる。
【0003】
通常用いられるイオン伝導体としては、例えばγ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に、過塩素酸リチウム、LiPF、LiBF、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム、フタル酸テトラメチルアンモニウム等の電解質塩を溶解した電解液が使用されている。このようなイオン伝導体においては、電解質が溶解することにより、カチオンとアニオンとに解離して電解液中をイオン伝導することになる。また、固体状態でイオン伝導することができる固体電解質もイオン伝導体として使用されている。
【0004】
しかしながら、このような電気化学テバイスを構成する電解液や固体電解質においては、電解質塩が電圧をかけると分解しやすいものであることから、4V以上の高い電圧で充電することを繰り返すことが要求される大容量の2次電池等において、イオン電解質材料としての信頼性が充分なものではなかった。
【0005】
またN−シアノ置換アミド、N−シアノ置換スルホンアミド、1,1,1−ジシアノ置換スルホニルメチド及び1,1,1−ジシアノアシルメチドから成る群から選択される少なくとも一種の塩とマトリックス材料とを含む電解質に関し、他の公知の導電性塩を電池電解質組成物に添加してもよいことが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、これら従来の有機系の材料において、高い電圧をかけても電気化学的に安定なものはなく、したがって、有機系のイオン伝導体の材料として好適なものとするための工夫の余地があった。
【0006】
【特許文献1】
特表2002−523879号公報(第1−7頁、第20−22頁、第30−43頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、イオン伝導性に優れ、高電位において電気化学的に安定であり、しかも充放電を繰り返しても電気容量の低下を抑えることが可能である、電気化学特性に優れるイオン電解質材料を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、イオン電解質材料について種々検討した結果、トリス(フッ化アリール)ボラン化合物及びトリス(フッ化アリールオキシ)ボラン化合物が安定化剤として有効であることに着目し、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩、トリス(フッ化アリール)ボラン化合物及び/又はトリス(フッ化アリールオキシ)ボラン化合物並びにその他の特定構造を有するボラン化合物を必須として含むものとすることにより、電気化学特性に優れるものとできることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
本発明のイオン電解質材料の電気化学特性においては、イオン伝導度が優れており、高電位において電気化学的に安定であり、しかも充放電を繰り返しても電気容量の低下を抑えることが可能であることが挙げられる。
このようなイオン電解質材料において、必須成分の1つであるトリス(フッ化アリール)ボラン化合物及び/又はトリス(フッ化アリールオキシ)ボラン化合物は、特定構造を有するボラン化合物を含んだものを工業的に調製することが可能であり、この場合、精製工程を簡単化又は省略してイオン電解質材料を構成するために供給することが可能となることから、この点においても工業的に有利である。
【0009】
すなわち本発明は、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩、下記一般式(1);
f3B (1)
(式中、Rは、同一若しくは異なって、フッ化アリール基又はフッ化フェノキシ基を表す。)で表される化合物、並びに、下記一般式(2);
fnBX (2)
(式中、Rは、同一若しくは異なって、フッ化アリール基又はフッ化フェノキシ基を表す。Xは、同一若しくは異なって、ハロゲン原子、水酸基又は脂肪族アルコキシ基を表す。nは、1〜2の整数を表す。)及び/又は下記一般式(3);
【0010】
【化2】
Figure 2004265785
【0011】
(式中、Rは、同一若しくは異なって、フッ化アリール基又はフッ化フェノキシ基を表す。Y及びYは、それぞれ独立に有機基を表し、直接又は酸素原子若しくはホウ素原子を介して結合していてもよい。mは、1以上の整数を表す。)で表される化合物を含有してなるイオン電解質材料である。
以下に本発明を詳述する。
【0012】
本発明のイオン電解質材料は、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩と、上記一般式(1)で表される化合物と、上記一般式(2)で表される化合物及び/又は上記一般式(3)で表される化合物とを必須成分として含有することになる。このようなイオン電解質材料においては、これらを混合して得ることができるが、一般式(1)で表される化合物の製造工程において生じる副生成物が一般式(2)で表される化合物及び/又は上記一般式(3)で表される化合物である場合には、該製造工程で得られた組成物について精製工程を行うことなくイオン電解質材料の原料として用いてもよい。
なお、本発明における構成要素及び製造原料等は、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
【0013】
本発明におけるアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩としては、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属により塩の形態となった化合物であり、電解質となり得るものであればよく、例えば、下記のものから形成されるアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等が好適である。
【0014】
(1)パーフルオロアルキルスルホニルイオン、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、(アリールスルホニル)パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオン、(アルキルスルホニル)パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオン、トリ(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン等のフッ素原子を有するアニオン。
(2)ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロ硼酸、ヘキサフルオロヒ酸、ヘキサフルオロアンチモン酸等のフッ素原子を有する酸。
(3)過塩素酸、硝酸等の無機酸。
(4)フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン。
【0015】
上記アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩としては、具体的には、LiCFSO、LiCSO、LiC17SO、NaCFSO、KCFSO、Li〔(CFNCSO〕、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、NaN(CFSO、LiN〔(CFNCSO、LiN(CSO)(CFSO)、LiC(CFSO、LiPF、NaPF、KPF、LiBF、NaBF、LiAsF、NaAsF、LiClO、NaClO、LiI、NaI、KI、LiNO等が好ましく、これらの中でも、リチウム塩であることが好ましい。
【0016】
本発明における一般式(1)で表される化合物において、Rは、同一若しくは異なって、フッ化アリール基又はフッ化フェノキシ基を表すが、フッ化アリール基としては、下記一般式(4)で表される基であることが好ましい。また、フッ化フェノキシ基としては、下記一般式(5)で表される基であることが好ましい。
【0017】
【化3】
Figure 2004265785
【0018】
上記式中、R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子、フッ素原子、炭化水素基又はアルコキシ基を表し、かつ、少なくとも1つがフッ素原子である。
上記炭化水素基としては、アリール基、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、及び、炭素数2〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルケニル基等が好適である。また、このような炭化水素基は、官能基を更に有していてもよく、例えば、メトキシ基、メチルチオ基、N,N−ジメチルアミノ基、o−アニス基、p−アニス基、トリメチルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリルオキシ基、トリフルオロメチル基等の官能基を挙げることができる。
【0019】
上記アルコキシ基としては、下記一般式(6);
−OR (6)
(式中、Rは、炭化水素基を表す。)で表されるアルコキシ基等であることが好適であり、Rとしては、上述の炭化水素基と同じである。
上記一般式(6)で表されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基等が好ましい。
【0020】
上記一般式(1)で表される化合物としては、トリス(ペンタフルオロフェノキシ)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(1,3−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,6−テトラフルオロ−5−メチルフェニル)ボラン、トリス(2,4,5−トリフルオロ−6−メチルフェニル)ボラン、トリス(2,3,6−トリフルオロ−4−メチルフェニル)ボラン、トリス(2,4,6−トリフルオロ−3−メチルフェニル)ボラン、トリス(2,6−ジフルオロ−3−メチルフェニル)ボラン、トリス(2,4−ジフルオロ−5−メチルフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロ−2−メチルフェニル)ボラン、トリス(4−メトキシ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3−メトキシ−2,4,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2−メトキシ−3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3−メトキシ−2,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3−メトキシ−2,4,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2−メトキシ−3,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3−メトキシ−2,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3−メトキシ−4,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2−メトキシ−4,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−メトキシ−2,6−テトラフルオロフェニル)ボラン等が好適であり、これらの中でも、一般式(4)におけるR〜Rのすべてがフッ素原子であるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが好ましい。
【0021】
本発明における一般式(2)で表される化合物において、Rは、上記一般式(1)と同じであり、Xは、同一若しくは異なって、ハロゲン原子、水酸基又は脂肪族アルコキシ基を表すが、ハロゲン原子としては、フッ素原子、水酸基等が好ましく、脂肪族アルコキシ基としては、上記一般式(6)で表されるアルコキシ基であって、Rが脂肪族の炭化水素基であるものが好ましい。
上記一般式(2)で表される化合物としては、一般式(4)におけるR〜Rのすべて及びXがフッ素原子であり、nが2であるフッ化ビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、ビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸等であることが好ましい。
【0022】
本発明における一般式(3)で表される化合物において、Rは、上記一般式(1)と同じであり、Y及びYは、それぞれ独立に有機基を表し、直接又は酸素原子若しくはホウ素原子を介して結合していてもよいものである。このような有機基としては、−BR、−OBR、−O−、−B−、上記Rにおける炭化水素基等が好適である。
上記一般式(3)で表される化合物としては、下記一般式(7)で表される化合物、下記一般式(8)で表される化合物等が好ましい。
【0023】
【化4】
Figure 2004265785
【0024】
上記アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩と、一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物及び一般式(3)で表される化合物との含有割合において、質量比(〔アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩〕/〔一般式(1)で表される化合物、一般式(2)で表される化合物及び一般式(3)で表される化合物〕)としては、1/200以上であることが好ましく、また、200/1以下であることが好ましい。1/200未満であると、電解質として充分には機能できなくなるおそれがあり、200/1を超えると、電気化学特性を充分には維持できなくなるおそれがある。より好ましくは、1/50以上であり、また、50/1以下である。
【0025】
上記一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)で表される化合物及び一般式(3)で表される化合物との含有割合において、質量比(〔一般式(1)で表される化合物〕/〔一般式(2)で表される化合物及び一般式(3)で表される化合物〕)としては、80/20以上であることが好ましく、また、99.99/0.01以下であることが好ましい。より好ましくは、90/10以上であり、また、99.9/0.1以下である。
【0026】
本発明のイオン電解質材料は、上記以外の構成要素を1種又は2種以上含んでいてもよい。例えば、更に電解質塩を含有していてもよく、このような電解質塩としては、過塩素酸テトラエチルアンモニウム等の過塩素酸の四級アンモニウム塩;(CNBF等のテトラフルオロ硼酸の四級アンモニウム塩、(CNPF等の四級アンモニウム塩;(CHP・BF、(CP・BF等の四級ホスホニウム塩等が好適であり、溶解性やイオン伝導度の点から、四級アンモニウム塩が好ましい。
【0027】
上記イオン電解質材料に含まれる電解質塩の存在量としては、イオン電解質材料100質量%に対して、電解質塩0.1質量%以上が好ましく、また、50質量%以下が好ましい。0.1質量%未満であると、イオンの絶対量が不足となってイオン伝導度が小さくなるおそれがある。50質量%を超えると、イオンの移動が大きく阻害されるおそれがある。より好ましくは、30質量%以下である。
なお、ここでいう電解質塩とは、本発明のイオン電解質材料の必須成分における電解質塩と、それ以外の電解質塩が含まれる場合には、そのようなものとを含めたものを意味する。
【0028】
上記イオン電解質材料はまた、有機化合物を含有していてもよく、溶融塩を用いることができる。本発明での溶融塩とは室温から80℃の温度範囲において液体状態を示すものである。本発明における溶融塩のカチオンとしては、下記一般式(9);
【0029】
【化5】
Figure 2004265785
【0030】
(式中、Lは、C、Si、N、P、S又はOを表す。Rは、同一若しくは異なって、有機基であり、互いに結合していてもよい。sは、3、4又は5であり、元素Lの価数によって決まる値である。)で表されるオニウムカチオンが好適である。
【0031】
本発明における溶融塩のアニオンとしては、ハロゲンアニオン(フルオロアニオン、クロロアニオン、ブロモアニオン、ヨードアニオン)、4フッ化ホウ酸アニオン、6フッ化リン酸アニオン、6フッ化ヒ酸アニオン、下記一般式(10)で表されるシアノ基含有アニオン、下記一般式(11)で表されるスルホニルイミドアニオン、下記一般式(12)で表されるスルホニルメチドアニオン、有機カルボン酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、マレイン酸、安息香酸等のアニオン)が好適である。
【0032】
【化6】
Figure 2004265785
【0033】
上記一般式(10)中、Zは、B、C、N、O、Al、Si、P、S、As又はSeを表す。M及びMは、それぞれ同一若しくは異なって、有機連結基を表す。Qは、有機基を表す。
上記M及びMにおいて有機連結基としては、それぞれ独立に、−S−、−O−、−SO−、−CO−から選ばれる連結基であり、好ましくは、−SO−、−CO−である。
上記Qにおいて有機基としては、水素原子、ハロゲン原子、C(2p q)、OC(2p q)、SO(2p q)、CO(2p q)、SO 、NO(式中、1≦p≦6、0<q≦13、0<r≦5である)等が好ましい。より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、C(2p q)、SO(2p q)である。
上記aは、1以上の整数であり、b、c、d及びeは、0以上の整数であるが、a、d及びeは、元素Zの価数によって決まることになり、例えば、ZがSの場合、a=1、d=0、e=0となり、ZがNの場合、(1)a=2、d=0、e=0、(2)a=1、d=1、e=0、又は、(3)a=1、d=0、e=1のいずれかとなる。
上記一般式(11)及び一般式(12)中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、エーテル基を1又は2個有してもよい炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基を表す。
【0034】
本発明のイオン電解質材料は更に、重合体や有機溶媒を含有していてもよく、重合体を含むと、固体化して高分子固体電解質として好適に用いることができるものとなり、有機溶媒を含むと電解液となり、イオン伝導度がより向上することになる。
上記重合体としては、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のポリビニル系重合体;ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系重合体;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系重合体;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体;ポリスチレン、ポリフォスファゼン類、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート系重合体、アイオネン系重合体が好適である。
【0035】
上記イオン電解質材料を高分子固体電解質とする場合、重合体の存在量としては、本発明における必須成分100質量%に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、また、500質量%以下であることが好ましい。0.1質量%未満であると、固体化の効果が得られないおそれがあり、500質量%を超えると、イオン伝導度が低下するおそれがある。より好ましくは、1質量%以上であり、また、100質量%以下である。
【0036】
上記有機溶媒としては、本発明によるイオン電解質材料の構成要素との相溶性が良好であり、誘電率が大きく、電解質塩の溶解性が高く、沸点が60℃以上であり、電気化学的安定範囲が広い化合物が好適である。また、含有水分量が低い有機溶媒(非水系溶媒)がより好ましい。
このような有機溶媒としては、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、クラウンエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類や炭酸ビニレン等の炭酸エステル類;プロピオン酸メチルや蟻酸メチル等の脂肪族エステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等の脂肪族ニトリル類;ベンゾニトリル、トルニトリル等の芳香族ニトリル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;スルホラン等の硫黄化合物;ニトロメタン、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、リン酸エステル類が好適である。これらの中でも、炭酸エステル類、脂肪族エステル類、エーテル類がより好ましく、カーボネート類が更に好ましい。
【0037】
上記有機溶媒の使用量としては、本発明における必須成分100質量%に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、また、4000質量%以下であることが好ましい。0.1質量%未満であると、イオン伝導度が充分には向上しないおそれがあり、4000質量%を超えると、イオン伝導度が低下するおそれがある。より好ましくは、1質量%以上であり、また、2000質量%以下である。
【0038】
本発明のイオン電解質材料を高分子固体電解質に用いる場合においては、各種無機酸化物微粒子を含むことにより、複合電解質としても使用でき、これにより、強度、膜厚均一性が改善するばかりでなく、無機酸化物と上述した重合体間に微細な空孔が生じることになり、特に溶媒を添加した場合には空孔内にフリーの電解液が複合電解質内に分散することになり、強度改善効果を損ねることなく、逆にイオン伝導度、移動度を増加させることもできる。
【0039】
上記無機酸化物微粒子としては、非電子伝導性、電気化学的に安定なものが好適であり、またイオン伝導性を有するものがより好ましい。このような微粒子としては、α、β、γ−アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、チタン酸バリウム、酸化チタン、ハイドロタルサイト等のイオン伝導性又は非電導性セラミックス微粒子が好適である。
【0040】
上記無機酸化物微粒子の比表面積としては、高分子固体電解質中の電解質含有液の保有量を多くし、イオン伝導度、移動度を増加させるという点から、できるだけ大きいことが好ましく、BET法で5m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましい。このような無機酸化物微粒子の結晶粒子径としては、イオン電解質材料における他の構成要素と混合できればよいが、大きさ(平均結晶粒径)としては0.01μm以上が好ましく、また、20μm以下が好ましい。より好ましくは、0.01μm以上であり、また、2μm以下である。
上記無機酸化物微粒子の形状としては、球形、卵形、立方体状、直方体状、円筒、棒状等の種々の形状を有するものを用いることができる。
【0041】
上記無機酸化物微粒子の添加量としては、高分子固体電解質100質量%に対して、50質量%以下が好ましい。50質量%を超えると、逆に高分子固体電解質の強度やイオン伝導度を低下させたり、成膜しづらくなったりするおそれがある。より好ましくは、0.1質量%以上であり、また、30質量%以下である。
【0042】
以下に本発明における一般式(1)で表される化合物の製造方法について詳しく説明する。
上記一般式(1)で表される化合物の製造方法としては、(i)ホウ素化合物と、フッ化アリールマグネシウム誘導体とをエーテル系溶媒中でグリニャール反応させ、該グリニャール反応の反応液に、n−ヘキサン等の炭化水素系溶媒を用いて、濃縮及び晶析操作を数回繰り返したり、蒸留又は昇華したりすることにより製造する方法、(ii)上述のグリニャール反応の反応液に、炭化水素系溶媒を加えて、主にエーテル系溶媒を留去して溶媒交換し、更に一般式(1)で表される化合物が析出しないような温度においてハロゲン化マグネシウムを除去した後、一般式(1)で表される化合物を析出させることにより製造する方法、(iii)上述のグリニャール反応の反応液の溶媒を除去する方法等が好適である。これらの中でも、上記(ii)の方法が好ましい。
【0043】
上記(ii)の製造方法において、ホウ素化合物としては、下記一般式(13);
BXa3 (13)
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はアルコキシ基を表す。)で表される化合物が好適であり、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリプロポキシボラン、トリブトキシボラン等のアルコキシド等を挙げることができる。これらの中でも、Xが、フッ素原子である三フッ化ホウ素が好ましい。また、ホウ素化合物は、例えば、ジエチルエーテル錯体やテトラヒドロフラン錯体等のエーテル錯体やスルフィド錯体となっていてもよい。
【0044】
上記フッ化アリールマグネシウム誘導体としては、下記一般式(14);
−MgX (14)
(式中、Rは、上記一般式(1)と同じである。Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。)で表される化合物が好適である。
上記フッ化アリールマグネシウム誘導体としては、例えば、ペンタフルオロフェニルマグネシウムクロライド、ペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイド、ペンタフルオロフェニルマグネシウムヨーダイド、1,2,3,5−テトラフルオロフェニルマグネシウムブロマイド、1,2,4,5−テトラフルオロフェニルマグネシウムクロライド、1,2,4−トリフルオロフェニルマグネシウムブロマイド、1,3,5−トリフルオロフェニルマグネシウムヨーダイド、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルフェニルマグネシウムブロマイド、2,5−ジフルオロフェニルマグネシウムブロマイド、2,5−ジフルオロ−3−メチルフェニルマグネシウムクロライド、2,3,4,6−テトラフルオロ−5−メチルフェニルマグネシウムブロマイド、2,4,6−トリフルオロ−5−メチルフェニルマグネシウムクロライド、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシフェニルマグネシウムブロマイド、2,3,6−トリフルオロ−5−メトキシフェニルマグネシウムクロライド、2,4,6−トリフルオロ−5−メトキシフェニルマグネシウムブロマイド、2,5−ジフルオロ−3−メトキシフェニルマグネシウムクロライド、2,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニルマグネシウムブロマイド、2−フルオロフェニルマグネシウムブロマイド、4−フルオロフェニルマグネシウムブロマイド、2−フルオロ−4−メチルフェニルマグネシウムブロマイド等が好適である。これらの中でも、RにおけるR〜Rのすべてがフッ素原子であり、Xが臭素原子であるペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドが好ましい。
【0045】
上記フッ化アリールマグネシウム誘導体とホウ素化合物とのモル比(フッ化アリールマグネシウム誘導体/ホウ素化合物)としては、1.0以上であることが好ましく、また、5.0以下であることが好ましい。より好ましくは、2.5以上であり、また、5.0以下である。更に好ましくは、2.7以上であり、また、4.0以下である。特に好ましくは、2.8以上であり、また、3.5以下である。
【0046】
上記エーテル系溶媒としては、上述の一般式(1)で表される化合物の製造において原料等を溶解することができ、かつ不活性な溶媒であればよく、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジ−2−メトキシエチルエーテル等の鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル等が好適であり、これらの中でも、ジエチルエーテルが好ましい。
上記エーテル系溶媒の使用量としては、フッ化アリールマグネシウム誘導体又はホウ素化合物の濃度が、0.1質量%以上となるような量であることが好ましく、また、80質量%以下となるような量であることが好ましい。
【0047】
上記炭化水素系溶媒としては、一般式(1)で表される化合物を溶解する一方、ハロゲン化マグネシウムを溶解せず、かつ不活性な溶媒であればよく、エーテル系溶媒の沸点よりも高い沸点を有している溶媒が好適である。好ましくは、沸点が80℃以上のものである。
上記炭化水素系溶媒としては、例えば、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、パラフィン、石油エーテル等の、直鎖状、枝分かれ鎖状、または環状の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,5−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が好適であり、これらの中でも、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、アイソパーE(商品名、エクソン化学社製、炭素数が10程度のイソパラフィンの混合物)、ノナン、デカン、オクタデカンが好ましい。
【0048】
上記グリニャール反応においては、ホウ素化合物をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液(ホウ素化合物溶液)と、フッ化アリールマグネシウム誘導体をエーテル系溶媒に溶解してなる溶液(マグネシウム誘導体溶液)とを混合及び攪拌して反応させることが好適であり、一方の溶液を他方の溶液に連続的又は逐次的に滴下することが好ましい。また、ホウ素化合物は、ホウ素化合物溶液を製造せずに、そのままマグネシウム誘導体溶液と混合してもよい。
上記ホウ素化合物溶液とマグネシウム誘導体溶液とを混合する場合における混合温度は、80℃以下であることが好ましくい。より好ましくは、−40℃以上であり、また、70℃以下である。更に好ましくは、−20℃以上であり、また、50℃以下である。
【0049】
上記グリニャール反応においてはまた、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で反応を行うことが好適である。また、水が存在するとフッ化アリールマグネシウム誘導体が水と反応して分解しやすいことから、エーテル系溶媒及びホウ素化合物は、水分を含んでいないことが好ましい。反応温度としては、30℃以上であることが好ましく、また、エーテル系溶媒の還流温度以下であることが好ましい。より好ましくは200℃以下であり、更に好ましくは70℃以下である。
【0050】
上記ハロゲン化マグネシウムを除去する方法としては、上述のグリニャール反応により得られた反応液をろ過することにより除去する方法が好適であり、ろ過方法としては、例えば、減圧ろ過、加圧ろ過等が好適である。ろ過する際の反応液の温度としては、ろ過時の圧力における溶媒の沸点未満であればよく、具体的には、0℃以上であることが好ましく、また、200℃以下であることが好ましい。より好ましくは、30℃以上であり、また、150℃以下である。また、一般式(1)で表される化合物の析出を抑制するために、反応液の温度が低下しないようにすることが好ましい。
【0051】
上記一般式(1)で表される化合物を析出させる方法としては、上記ハロゲン化マグネシウムを除去して得られるろ液を冷却する方法が好適である。このようにして析出した一般式(1)で表される化合物は、例えば、減圧ろ過、加圧ろ過等により得ることができる。
上記冷却後のろ液の温度としては、溶媒が凝固しない温度であればよいが、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは、−50℃以上であり、また、80℃以下である。
また析出して得られた化合物を昇華等を行い、精製してもよい。昇華温度は、120℃以下で行うことが好ましい。
【0052】
なお、三フッ化ホウ素(三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体)とペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイドとを反応させることにより、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを得る場合における反応の一例を下記反応式に示す。
【0053】
【化7】
Figure 2004265785
【0054】
本発明のイオン電解質材料においては、下記測定条件でサイクリックボルタモグラムを測定した際に、還元電位が5Vとなるときに測定される電流値が100μA/cm以下であることが好ましい。
<測定条件>
温度:25℃
電極:Li/Ni
参照電極:Li/Li
走査速度:2mV/sec
【0055】
本発明のイオン電解質材料は、電気化学特性に優れることから、二次電池を構成するイオン伝導体の材料としても好適なものであり、このような本発明のイオン電解質材料を用いてなる二次電池もまた、本発明の一つである。
上記二次電池としては、リチウム二次電池等を挙げることができる。また、本発明のイオン電解質材料は、二次電池以外の充電/放電機構を有する電池、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、太陽電池・エレクトロクロミック表示素子等の電気化学デバイスを構成するイオン伝導体の材料として用いることも可能なものである。
【0056】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0057】
〔製造例1〕
温度計、滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管及び還流冷却器を備えた反応容器内を、充分に窒素ガス置換した。該反応容器に、ホウ素化合物として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体8.385gと、溶媒としてジエチルエーテル(エーテル系溶媒)49.7gとを仕込んだ。また、フッ化アリールマグネシウム誘導体としてペンタフルオロフェニルマグネシウムブロマイド0.177モルを含むジエチルエーテル溶液(マグネシウム誘導体溶液)90mlを、滴下ロートに仕込んだ。
【0058】
次いで、窒素ガス雰囲気下、上記の内容物(ホウ素化合物溶液)を撹拌しながら、上記のジエチルエーテル溶液を室温で75分間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を窒素ガス雰囲気下、還流温度で3時間撹拌して反応(熟成)させた。これにより、トリス(フッ化アリール)ボラン化合物であるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのジエチルエーテル溶液を得た。
【0059】
続いて、温度計、滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管及びリービッヒ型冷却器を備えた蒸留容器に、非水溶媒としてアイソパーE(商品名、炭化水素系溶媒、エクソン化学社製)250gを仕込んだ。リービッヒ型冷却器の出口側先端部は開放状態とし、所定位置に受器を配置した。また、上記トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのジエチルエーテル溶液を滴下ロートに仕込んだ。
【0060】
次いで、窒素ガス気流下、アイソパーEを撹拌しながら90℃に昇温した後、滴下ロート内のジエチルエーテル溶液を50分間かけて滴下した。そして、滴下操作時に留出してくるジエチルエーテルを常圧で留去した。滴下終了後、蒸留容器の内容物(混合物)を125℃に昇温した。これにより、ジエチルエーテルを留去した。
【0061】
ジエチルエーテルを含む溶媒の留去を終了した後、内容物である溶液(i)を90℃に冷却した。次いで、該溶液(i)を熱時加圧ろ過(第一ろ過)し、析出物、すなわちフッ化臭化マグネシウムを分離した。これにより、フッ化臭化マグネシウムが除去されたトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを、アイソパーE溶液(第一ろ液)の状態で得た。
【0062】
上記のアイソパーE溶液を室温に冷却した後、該溶液を吸引ろ過(第二ろ過)し、析出した結晶を分離した。
得た結晶を室温で減圧乾燥後、p−フルオロトルエンを内部標準として用いてH−NMR、19F−NMR測定を行った。
即ち、19F−NMRを、所定の条件下で測定した。そして、得られた19F−NMRのチャートから、p−フルオロトルエンのフッ素原子の積分値と、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン・ビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン化合物・(ペンタフルオロフェニル)ボラン化合物におけるペンタフルオロフェニル基のオルト位のフッ素原子の積分値とを求め、両積分値からトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン・ビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン化合物・(ペンタフルオロフェニル)ボラン化合物のモル分率を算出した。その結果、上記結晶が下記の純度であることがわかった。
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;98.2モル%
ビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸;1.8モル%
【0063】
また、上記結晶に含まれている残存ジエチルエーテルの量は、H−NMRを測定することにより求めた。即ち、p−フルオロトルエンを内部標準として用い、H−NMRを、所定の条件下で測定した。そして、得られたH−NMRのチャートと、上記19F−NMRのチャートとから、ジエチルエーテルのメチレン基の水素原子の積分値、p−フルオロトルエンのメチル基の水素原子の積分値、p−フルオロトルエンのフッ素原子の積分値、および、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランにおけるペンタフルオロフェニル基のオルト位のフッ素原子の積分値を求め、これら積分値からトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランに対する残存ジエチルエーテルの割合を算出した。ボラン化合物に対して45モル%のジエチルエーテルが検出された。
【0064】
〔製造例2〕
フッ化臭化マグネシウム分離後、更に溶媒留去を行うこと以外は、製造例1と同様の操作を行い、反応液の冷却後結晶を得た。製造例1同様、H−NMR、19F−NMR測定を行った結果、得られた結晶が下記の純度であることがわかった。
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;92.6モル%
ビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸;3.4モル%
(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸;4.0モル%
ジエチルエーテル;検出されなかった
【0065】
〔製造例3〕
フッ化臭化マグネシウム分離後、更に溶媒留去を行う際、トルエンを添加すること以外は、製造例1と同様の操作を行い、反応後の冷却後結晶を得た。製造例1同様、H−NMR、19F−NMR測定を行った結果、得られた結晶が下記の純度であることがわかった。
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;93.9モル%
ビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸;1.7モル%
(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸;4.4モル%
ジエチルエーテル;検出されなかった
【0066】
〔製造例4〕
製造例1から得られたボラン化合物を100℃減圧下、昇華精製を行い、結晶を得た。
製造例1同様、H−NMR、19F−NMR測定を行った結果、得られた結晶が下記の純度であることがわかった。
トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸;97.2モル%
ビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸;2.8モル%
ジエチルエーテル;検出されなかった
【0067】
〔実施例1〕
プロピレンカーボネートとジメトキシエタンとを1:1の容量比で混合した非水溶媒にリチウムヘキサフルオロフォスフェート(以下、LiPFと記す)を1モル/lの濃度で溶解させ電解質溶液を得た。
この電解質溶液に対して製造例1で調製した化合物を、上記電解質溶液に溶解しているLiPFに対して0.1モル量添加し、完全に溶解させイオン伝導性材料を得た。このイオン伝導性材料のイオン伝導度を測定した結果、3.21×10 S/cmを示した。
尚、イオン伝導度測定は、25℃雰囲気下で、SUS電極を用いてインピーダンスアナライザーSI1260(商品名、ソーラトロン社製)により複素インピーダンス法にて行った。
【0068】
〔実施例2〕
実施例1の製造例1で調製した化合物を、製造例2で調製した化合物に変更した以外は同様の操作を行った。このイオン伝導性材料のイオン伝導度を測定した結果、2.55×10 S/cmを示した。
【0069】
〔実施例3〕
実施例1の製造例1で調製した化合物を、製造例3で調製した化合物に変更した以外は同様の操作を行った。このイオン伝導性材料のイオン伝導度を測定した結果、2.56×10 S/cmを示した。
【0070】
〔実施例4〕
実施例1の製造例1で調製した化合物0.1モルを、製造例4で調製した化合物0.08モルに変更した以外は同様の操作を行った。このイオン伝導性材料のイオン伝導度を測定した結果、2.67×10 S/cmを示した。
【0071】
【発明の効果】
本発明のイオン電解質材料は、上述のような構成よりなり、イオン伝導性に優れ、高電位において電気化学的に安定であり、しかも充放電を繰り返しても電気容量の低下を抑えることが可能である、電気化学特性に優れるものである。

Claims (3)

  1. アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩、下記一般式(1);
    f3B (1)
    (式中、Rは、同一若しくは異なって、フッ化アリール基又はフッ化フェノキシ基を表す。)で表される化合物、並びに、下記一般式(2);
    fnBX (2)
    (式中、Rは、同一若しくは異なって、フッ化アリール基又はフッ化フェノキシ基を表す。Xは、同一若しくは異なって、ハロゲン原子、水酸基又は脂肪族アルコキシ基を表す。nは、1〜2の整数を表す。)及び/又は下記一般式(3);
    Figure 2004265785
    (式中、Rは、同一若しくは異なって、フッ化アリール基又はフッ化フェノキシ基を表す。Y及びYは、それぞれ独立に有機基を表し、直接又は酸素原子若しくはホウ素原子を介して結合していてもよい。mは、1以上の整数を表す。)で表される化合物を含有してなる
    ことを特徴とするイオン電解質材料。
  2. 前記アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩は、リチウム塩である
    ことを特徴とする請求項1記載のイオン電解質材料。
  3. 請求項1又は2記載のイオン電解質材料を用いてなる
    ことを特徴とする二次電池。
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