JP2004263629A - スクリュー真空ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスの種類に係わらず０．１Ｐａ程度まで、安定した排気性能を維持することができるスクリュー真空ポンプを提供すること。
【解決手段】スクリュー真空ポンプ３０において、ネジ歯車のねじれ角が、当該ねじれの進行に伴って連続的に変化している雄雌不等リードスクリューロータの吐出側の最終リード角で、連続的に変化している雄雌スクリューロータ４，５の吐出側に１乃至４リードの範囲で、等リードスクリューを付加した。
【選択図】 図１
【解決手段】スクリュー真空ポンプ３０において、ネジ歯車のねじれ角が、当該ねじれの進行に伴って連続的に変化している雄雌不等リードスクリューロータの吐出側の最終リード角で、連続的に変化している雄雌スクリューロータ４，５の吐出側に１乃至４リードの範囲で、等リードスクリューを付加した。
【選択図】 図１
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリュー真空ポンプに係わり、特に大気圧から０．１Ｐａの領域に最適なスクリュー真空ポンプに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、半導体デバイス製造装置は該半導体デバイス製造装置のプロセスチャンバーに、ポンプからのオイル逆流があっては半導体デバイス製造工程上重大な問題をもたらすため、吸気ガスとオイルが接触することがない、いわゆるドライポンプ、メカニカルブースターポンプ、及びターボ分子ポンプ等が用いられている。
【０００３】
これらのドライポンプ、メカニカルブースターポンプ、及びスクリューポンプは、軸シールが吸入側と吐出側と両端あり、特に吸入側の軸シールのシールガス量及びシールからの漏れ量が排気速度の低下の原因となり、必要以上に排気速度の大きなポンプを使用せざるを得ないという問題がある。
【０００４】
また、プロセスガス、キャリアガス、発生ガス等の分子量が１から百数十と広いため、前記ポンプの各種ガスの排気特性とポンプ固有の排気領域によって使い分けをしているのが現状である。
【０００５】
一方では排気ガスの種類によって排気速度が低下するため排気速度の大きなポンプを効率の悪い状態で使用しているという問題がある。また一般のドライポンプ、メカニカルブースターポンプは吸入口から吐出口の間のポンプ内部に生成物が堆積する問題がある。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
従来のスクリューポンプの欠点について、図５を参照しながら、説明する。
【０００７】
図５を参照すると、従来のスクリュー真空ポンプは吐出口からの逆拡散量、希釈ガスの逆拡散量が大きいため、３Ｐａ前後の到達圧力となり、図５の曲線２のごとく分子流域側で排気速度が大幅に減少する。さらに水素の排気速度は窒素の１／３から１／２となり、図５の曲線３のごとく圧縮比が小さいため排気速度が極端に減少する。
【０００８】
また、従来のスクリュー真空ポンプのスクリュー噛み合いは、雄雌ロータ軸間距離と雄雌ロータの歯数によって決まる歯車噛み合いピッチ円から外れた位置にないため半導体デバイス製造過程において発生する生成物をスクリュー噛み合い部にステックして故障の原因となっている。
【０００９】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その技術的課題は、ガスの種類に係わらず０．１Ｐａ程度まで、安定した排気性能を維持することができるスクリュー真空ポンプを提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るスクリュー真空ポンプは、互いに噛み合うネジ歯車を夫々備えた雄ロータ及び雌ロータと、両ロータを収納するステーターとにより形成される気体作動室と、該作動室の一端部及び他端部にそれぞれ連通しうるように前記ステーターに設けられた気体の吸気口及び吐出口とを備えたスクリュー真空ポンプにおいて、前記ネジ歯車のねじれ角が、当該ねじれの進行に伴って連続的に変化している前記雄雌ロータの吐出側の最終リード角で、連続的に変化している前記雄雌ロータの吐出側に１乃至４リードの範囲で、等リードスクリューを付加したことを特徴とするものである。
【００１１】
本発明においては、吐出側に吐出端リード角と同じリード角の等リード部を形成することでガスの逆拡散を防止し、圧縮比を大幅に改善することができるとともに、逆拡散防止の結果、使用電力を減少し、吐出側で発生する熱を減少させることができる。
【００１２】
また、本発明に係るスクリュー真空ポンプは、互いに噛み合うネジ歯車を夫々備えた雄ロータ及び雌ロータと、両ロータを収納するステーターとにより形成される気体作動室と、該作動室の一端部及び他端部にそれぞれ連通しうるように前記ステーターに設けられた気体の吸気口及び吐出口とを備えたスクリュー真空ポンプにおいて、前記ネジ歯車のねじれ角が、当該ねじれの進行に伴って連続的に変化している前記雄雌ロータの吸入側に吸入端リード角で、０．２乃至１リードの範囲で、等リードスクリューを付加したことを特徴としている。
【００１３】
本発明においては、前記雄雌不等リードスクリューロータの吸入側に吸入側端リード角と同じリード角の等リードスクリューを付加することで取り込みコンダクタンスが大きく、取り込み速度を早くすることが出来る。
【００１４】
さらに、本発明に係るスクリュー真空ポンプは、互いに噛み合うネジ歯車を夫々備えた雄ロータ及び雌ロータと、両ロータを収納するステーターとにより形成される気体作動室と、該作動室の一端部及び他端に連通しうるように前記ステーターに設けられた気体の吸気口及び吐出口とを備えたスクリュー真空ポンプにおいて、前記ネジ歯車の噛み合いは前記雄雌ロータ軸間距離と前記雄雌ロータの歯数によって決まる歯車噛み合いピッチ円から外れた位置にあることを特徴としている。
【００１５】
また、本発明に係るスクリュー真空ポンプは、前記いずれか一つのスクリュー真空ポンプにおいて、前記雄ロータ及び雌ロータのネジ歯車は、互いに異なる歯数を備えていることを特徴としている。
【００１６】
また、本発明に係るスクリュー真空ポンプは、前記いずれか一つのスクリュー真空ポンプにおいて、前記雄ロータ及び雌ロータは、中央部に不等リードスクリューを備えていることを特徴としている。
【００１７】
また、本発明に係るスクリュー真空ポンプは、雄雌不等リードスクリューロータの吸入側に吸入側リード角と同じリード角の等リード部を形成し、また吐出側に吐出端リード角と同じリード角の等リード部を形成し、前記雄雌スクリューロータの噛み合いは、雄雌ロータ軸間距離と雄雌ロータの歯数によって決まる歯車噛み合いピッチ円から外れた位置に形成されるために圧縮比を高め、生成物の掻き出し効果を有し、０．１Ｐａまで安定した排気速度を維持することができるものである。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図１乃至図４にもとづいて説明する。
【００１９】
図１は本発明の一実施の形態によるスクリュー真空ポンプの全体構成を示す断面図である。但し、雄雌スクリューロータは不等リードで示してある。図２は図１に示した雄雌ロータの不等リードスクリューに本発明の実施の形態によって等リードスクリューを付加した構成を示す断面図、図３は本発明の実施の形態によるリードスクリューの歯すじ転がり曲線を表した展開図、及び図４は雄雌スクリューの噛み合いと雄雌軸間距離、スクリューの歯数で決まる噛み合い円の関係を示す図である。
【００２０】
さらに、本発明について詳細に説明すると、図２に示すように、スクリュー真空ポンプにおいて雄雌不等リードスクリューロータの不等リード部４ｂ，５ｂの吐出側に吐出端リード角と同じリード角の等リード部４ｃ，５ｃを形成したものである。
【００２１】
また、本発明は、図２及び図３に示すように、吸引した気体に圧縮作用を及ぼすことなく、単に移送作用をなす容積一定の作動室を廃し、すべての作動室、即ち、互いにかみ合う雌雄リードスクリューロータの１リード間の容積を連続的に減少させ、気体を圧縮する作動室を形成する不等リードスクリュー真空ポンプの雄ロータと雌ロータを構成するネジ歯車の歯筋ねじれ角をロータの回転角にしたがって変化させ、ロータとステーターにより形成されるＶ字形の作動室容積が変化する、不等リードスクリューの吐出端に吐出端リード角の等リードとして、１乃至４リードの等リード４ｃ，５ｃを付加したものである。
【００２２】
ここでの本発明の重要点は、吐出端に等リード４ｃ，５ｃを付加することによってスクリュー真空ポンプの圧縮比を下げ、図１に示す吐出口１０からの逆拡散を抑えることにある。というのは、逆拡散した気体は、作動室に入り、再度圧縮、排気されるため消費電力の増大をもたらし、逆拡散の増大により、到達圧力、排気速度に大きな影響を及ぼすからである。この逆拡散の抑制は、省電力につながるものである。
【００２３】
また、不等リードスクリューでは、最終リード部においても、圧縮、排気を行うため、吐出口近傍において圧縮熱によって膨張、歪みが発生しスクリューとスクリュー、スクリューとステーター間で接触を起こすため好ましくなく、本発明のように、熱的に安定な構造及び精密加工が容易な構造の等リード４ｃ，５ｃを付加することによって、この問題を解決したものである。
【００２４】
さらに、本発明においては、図４に示すように、スクリュー真空ポンプの雄雌スクリューロータ２１，２２の噛み合いを、雄雌ロータ軸間距離と雄雌ロータの歯数によって決まる歯車噛み合いピッチ円１５，１６から外れた位置にあるように形成することによって、雄雌スクリューの歯面速度が一致する歯面をなくし、遅い方の歯面を早い方の歯面が滑っている状態として、歯面と歯面の間にある、吸入された反応生成物等を掻き出す作用をもたせ、反応生成物をポンプ外に掻き出すという効果をもたせるようにしている。
【００２５】
次に、本発明に係わるスクリュー真空ポンプの一例を図１乃至図４にもとづいて、更に詳細に説明する。
【００２６】
図１を参照すると、スクリュー真空ポンプ３０は、ポンプ側から、第１のハウジング３１と、第２のハウジング３２と、第３のハウジング３３とをこの順で一軸方向に連結した構造を有している。
【００２７】
第１のハウジング３１は、ステーター１３と、一端側に流体を吸入する吸入口１４とを備え、他端側は第２のハウジング３２に連絡している。第２のハウジングの第１のハウジング３１との連結部には、流体を排出する吐出口１０が設けられている。また、第１のハウジング３１のステーター１３内には、第１のシャフト２３及び第２のシャフト２４を回転軸とし、互いに噛み合う雌スクリューロータ４と、雄スクリューロータ５とが配置されている。
【００２８】
第２のハウジング３２内には、雌スクリューロータ４の回転軸をなす第１のシャフト２３と、雄スクリューロータ５の回転軸をなす第２のシャフト２４とが第１のハウジング３１内の夫々のスクリューロータから夫々軸方向に延在して設けられ、第１のシャフト２３は第３のハウジング３３内まで延在している。第１のシャフ２３と、第２のシャフト２４は、第２のハウジング３２内の夫々の両端に配置された軸受けベアリング９によって、回転可能に設けられている。第２のハウジング３２内の第２のシャフト２４の周囲には、オイル跳ね上げ機構１１が配置され、第１のシャフト２３及び第２のシャフト２４の軸方向のほぼ同じ位置に互いに噛み合わさるタイミングギア１２が設けられている。
【００２９】
第３のハウジング３３内には、第１のシャフト２３の一端を回転軸とする電動式のモータ８が配置されている。
【００３０】
第３のハウジング３３内のモーター８により、軸受けベアリング９で保持された第１のシャフト２３が回転し、この回転は、第１及び第２のシャフト２３，２４をタイミングギア１２によって、シンクロナイズして回転させる。また、第２のシャフト２４には、タイミングギア１２及び軸受けベアリング９にオイルを供給するオイル跳ね上げ機構１１が取り付けられている。
【００３１】
ポンプ側においては、雌スクリューロータ４及び雄スクリューロータ５を備えた、スクリューロータが高速回転することにより、高真空にするものである。
【００３２】
図２を参照すると、雄スクリューロータは、吸入側から等リードスクリュー５ａ、不等リードスクリュー５ｂ、等リードスクリュー５ｃで構成されている。また、雌スクリューロータは、吸入側から等リードスクリュー４ａ、不等リードスクリュー４ｂ、等リードスクリュー４ｃで形成されている。具体的には、本実施の形態においては、雄スクリューロータの外径８０ｍｍ，雌スクリューロータの内径１００ｍｍとし、吸入・吐出側の等リードスクリュー４ａ，５ａ及び４ｃ，５ｃは、ともに、長さ略５０ｍｍとしたが、それぞれ０．２〜１リード、及び１〜４リードの範囲内であればよく、それ以外の範囲では、熱的に安定に動作させる効果が少ない。さらに、吸入側の等リードスクリュー４ａ，５ａのリード角は、最大効率が得られる４５度に形成することが好ましい。また、中央部の不等リードスクリュー４ｂ，５ｂの長さは略１２０ｍｍとした。
【００３３】
図３は横軸に基礎円筒の雄雌転がり周長を、縦軸にねじれ進行量をとり、この座標軸上に放物線（二次曲線）からなる歯筋転がり曲線、雄スクリューロータ５が吸入側から等リードスクリュー５ａ１、不等リードスクリュー５ｂ１、等リードスクリュー５ｃ１で構成し、雌スクリューロータ４が吸入側から等リードスクリュー４ａ１、不等リードスクリュー４ｂ１、等リードスクリュー４ｃ１の歯すじを表した展開図を示している。
【００３４】
次に、図４は雄雌スクリューの軸直角断面図である。図４に示すように、雄スクリューロータ５は歯数が雌スクリューロータ４の歯数より少ない。また前記雄スクリュー外径１９は雌スクリュー外径２０より大きい。前記条件により、雄スクリューロータ５の歯車噛み合いピッチ円１５と雌スクリューロータ４の歯車噛み合いピッチ円１６から外れた位置に、雄スクリュー歯２１と雌スクリュー歯２２の噛み合いを設けたことで、雄雌スクリューの歯面速度が異なり、雄スクリュー歯２１の歯面が雌スクリュー歯２２の歯面を滑り、雄雌スクリュー歯面の間の生成物等を掻き出す。
【００３５】
以上説明したように、本発明の実施の形態においては、図５の曲線１に示すようにスクリュー真空ポンプの排気速度が大幅に改善され、１台の真空ポンプで効率良く大気圧から０．１Ｐａまで安定した排気速度を得ることができ、広い動作範囲をカバーすることができる。また、反応生成物に対しても掻き出し効果を奏した。
【００３６】
【発明の効果】
以上のように本発明によって、スクリュー真空ポンプの排気速度が大幅に改善され、１台の真空ポンプで効率良く、大気圧から０．１Ｐａまで安定した排気速度を得ることができ、広い動作範囲をカバーすることができるという効果を奏する。また、本発明においては、反応生成物に対しても掻き出し効果を奏する。
【００３７】
さらに、本発明の真空ポンプを使用することにより、従来のドライポンプやメカニカルポンプなどを組み合わせた真空系と比較して構造が簡単で安価な真空系を構成することができるという効果を奏する。
【００３８】
更に、本発明によれば、真空系の構成が簡単になることにより、バルブの切り換えなど煩雑な操作が不要になり、制御系を簡単で安価なものにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態によるスクリュー真空ポンプの全体構成を示す断面図である。
【図２】図１の不等リードスクリューに本発明の実施の形態による等リードスクリューを付加した断面図である。
【図３】本発明の一実施の形態による基礎円筒上の展開図であって、横軸に基礎円筒の雄雌転がり周長を、縦軸にねじれ進行量をとり、この座標軸上に放物線（二次曲線）からなる歯型外形接触部歯すじねじれ曲線を表した展開図である。
【図４】本発明の実施の形態によるスクリュー軸直角断面図である。
【図５】本発明によるポンプと従来のポンプの排気速度比較を示す図である。
【符号の説明】
４ 雌スクリューロータ
４ａ 等リードスクリュー
４ａ１ 等リードスクリュー
４ｂ 不等リードスクリュー
４ｂ１ 不等リードスクリュー
４ｃ 等リードスクリュー
４ｃ１ 等リードスクリュー
５ 雄スクリューロータ
５ａ 等リードスクリュー
５ａ１ 等リードスクリュー
５ｂ 不等リードスクリュー
５ｂ１ 不等リードスクリュー
５ｃ 等リードスクリュー
５ｃ１ 等リードスクリュー
８ モーター
９ 受けベアリング
１０ 吐出口
１１ オイル跳ね上げ機構
１２ タイミングギア
１３ ステーター
１４ 吸入口
１６ 歯車噛み合いピッチ円
１９ 雄スクリュー外径
２０ 雌スクリュー外径
２１ 雄スクリュー歯
２２ 雌スクリュー歯
２３ 第１のシャフト
２４ 第２のシャフト
３０ スクリュー真空ポンプ
３１ 第１のハウジング
３２ 第２のハウジング
３３ 第３のハウジング
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクリュー真空ポンプに係わり、特に大気圧から０．１Ｐａの領域に最適なスクリュー真空ポンプに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、半導体デバイス製造装置は該半導体デバイス製造装置のプロセスチャンバーに、ポンプからのオイル逆流があっては半導体デバイス製造工程上重大な問題をもたらすため、吸気ガスとオイルが接触することがない、いわゆるドライポンプ、メカニカルブースターポンプ、及びターボ分子ポンプ等が用いられている。
【０００３】
これらのドライポンプ、メカニカルブースターポンプ、及びスクリューポンプは、軸シールが吸入側と吐出側と両端あり、特に吸入側の軸シールのシールガス量及びシールからの漏れ量が排気速度の低下の原因となり、必要以上に排気速度の大きなポンプを使用せざるを得ないという問題がある。
【０００４】
また、プロセスガス、キャリアガス、発生ガス等の分子量が１から百数十と広いため、前記ポンプの各種ガスの排気特性とポンプ固有の排気領域によって使い分けをしているのが現状である。
【０００５】
一方では排気ガスの種類によって排気速度が低下するため排気速度の大きなポンプを効率の悪い状態で使用しているという問題がある。また一般のドライポンプ、メカニカルブースターポンプは吸入口から吐出口の間のポンプ内部に生成物が堆積する問題がある。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
従来のスクリューポンプの欠点について、図５を参照しながら、説明する。
【０００７】
図５を参照すると、従来のスクリュー真空ポンプは吐出口からの逆拡散量、希釈ガスの逆拡散量が大きいため、３Ｐａ前後の到達圧力となり、図５の曲線２のごとく分子流域側で排気速度が大幅に減少する。さらに水素の排気速度は窒素の１／３から１／２となり、図５の曲線３のごとく圧縮比が小さいため排気速度が極端に減少する。
【０００８】
また、従来のスクリュー真空ポンプのスクリュー噛み合いは、雄雌ロータ軸間距離と雄雌ロータの歯数によって決まる歯車噛み合いピッチ円から外れた位置にないため半導体デバイス製造過程において発生する生成物をスクリュー噛み合い部にステックして故障の原因となっている。
【０００９】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その技術的課題は、ガスの種類に係わらず０．１Ｐａ程度まで、安定した排気性能を維持することができるスクリュー真空ポンプを提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るスクリュー真空ポンプは、互いに噛み合うネジ歯車を夫々備えた雄ロータ及び雌ロータと、両ロータを収納するステーターとにより形成される気体作動室と、該作動室の一端部及び他端部にそれぞれ連通しうるように前記ステーターに設けられた気体の吸気口及び吐出口とを備えたスクリュー真空ポンプにおいて、前記ネジ歯車のねじれ角が、当該ねじれの進行に伴って連続的に変化している前記雄雌ロータの吐出側の最終リード角で、連続的に変化している前記雄雌ロータの吐出側に１乃至４リードの範囲で、等リードスクリューを付加したことを特徴とするものである。
【００１１】
本発明においては、吐出側に吐出端リード角と同じリード角の等リード部を形成することでガスの逆拡散を防止し、圧縮比を大幅に改善することができるとともに、逆拡散防止の結果、使用電力を減少し、吐出側で発生する熱を減少させることができる。
【００１２】
また、本発明に係るスクリュー真空ポンプは、互いに噛み合うネジ歯車を夫々備えた雄ロータ及び雌ロータと、両ロータを収納するステーターとにより形成される気体作動室と、該作動室の一端部及び他端部にそれぞれ連通しうるように前記ステーターに設けられた気体の吸気口及び吐出口とを備えたスクリュー真空ポンプにおいて、前記ネジ歯車のねじれ角が、当該ねじれの進行に伴って連続的に変化している前記雄雌ロータの吸入側に吸入端リード角で、０．２乃至１リードの範囲で、等リードスクリューを付加したことを特徴としている。
【００１３】
本発明においては、前記雄雌不等リードスクリューロータの吸入側に吸入側端リード角と同じリード角の等リードスクリューを付加することで取り込みコンダクタンスが大きく、取り込み速度を早くすることが出来る。
【００１４】
さらに、本発明に係るスクリュー真空ポンプは、互いに噛み合うネジ歯車を夫々備えた雄ロータ及び雌ロータと、両ロータを収納するステーターとにより形成される気体作動室と、該作動室の一端部及び他端に連通しうるように前記ステーターに設けられた気体の吸気口及び吐出口とを備えたスクリュー真空ポンプにおいて、前記ネジ歯車の噛み合いは前記雄雌ロータ軸間距離と前記雄雌ロータの歯数によって決まる歯車噛み合いピッチ円から外れた位置にあることを特徴としている。
【００１５】
また、本発明に係るスクリュー真空ポンプは、前記いずれか一つのスクリュー真空ポンプにおいて、前記雄ロータ及び雌ロータのネジ歯車は、互いに異なる歯数を備えていることを特徴としている。
【００１６】
また、本発明に係るスクリュー真空ポンプは、前記いずれか一つのスクリュー真空ポンプにおいて、前記雄ロータ及び雌ロータは、中央部に不等リードスクリューを備えていることを特徴としている。
【００１７】
また、本発明に係るスクリュー真空ポンプは、雄雌不等リードスクリューロータの吸入側に吸入側リード角と同じリード角の等リード部を形成し、また吐出側に吐出端リード角と同じリード角の等リード部を形成し、前記雄雌スクリューロータの噛み合いは、雄雌ロータ軸間距離と雄雌ロータの歯数によって決まる歯車噛み合いピッチ円から外れた位置に形成されるために圧縮比を高め、生成物の掻き出し効果を有し、０．１Ｐａまで安定した排気速度を維持することができるものである。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図１乃至図４にもとづいて説明する。
【００１９】
図１は本発明の一実施の形態によるスクリュー真空ポンプの全体構成を示す断面図である。但し、雄雌スクリューロータは不等リードで示してある。図２は図１に示した雄雌ロータの不等リードスクリューに本発明の実施の形態によって等リードスクリューを付加した構成を示す断面図、図３は本発明の実施の形態によるリードスクリューの歯すじ転がり曲線を表した展開図、及び図４は雄雌スクリューの噛み合いと雄雌軸間距離、スクリューの歯数で決まる噛み合い円の関係を示す図である。
【００２０】
さらに、本発明について詳細に説明すると、図２に示すように、スクリュー真空ポンプにおいて雄雌不等リードスクリューロータの不等リード部４ｂ，５ｂの吐出側に吐出端リード角と同じリード角の等リード部４ｃ，５ｃを形成したものである。
【００２１】
また、本発明は、図２及び図３に示すように、吸引した気体に圧縮作用を及ぼすことなく、単に移送作用をなす容積一定の作動室を廃し、すべての作動室、即ち、互いにかみ合う雌雄リードスクリューロータの１リード間の容積を連続的に減少させ、気体を圧縮する作動室を形成する不等リードスクリュー真空ポンプの雄ロータと雌ロータを構成するネジ歯車の歯筋ねじれ角をロータの回転角にしたがって変化させ、ロータとステーターにより形成されるＶ字形の作動室容積が変化する、不等リードスクリューの吐出端に吐出端リード角の等リードとして、１乃至４リードの等リード４ｃ，５ｃを付加したものである。
【００２２】
ここでの本発明の重要点は、吐出端に等リード４ｃ，５ｃを付加することによってスクリュー真空ポンプの圧縮比を下げ、図１に示す吐出口１０からの逆拡散を抑えることにある。というのは、逆拡散した気体は、作動室に入り、再度圧縮、排気されるため消費電力の増大をもたらし、逆拡散の増大により、到達圧力、排気速度に大きな影響を及ぼすからである。この逆拡散の抑制は、省電力につながるものである。
【００２３】
また、不等リードスクリューでは、最終リード部においても、圧縮、排気を行うため、吐出口近傍において圧縮熱によって膨張、歪みが発生しスクリューとスクリュー、スクリューとステーター間で接触を起こすため好ましくなく、本発明のように、熱的に安定な構造及び精密加工が容易な構造の等リード４ｃ，５ｃを付加することによって、この問題を解決したものである。
【００２４】
さらに、本発明においては、図４に示すように、スクリュー真空ポンプの雄雌スクリューロータ２１，２２の噛み合いを、雄雌ロータ軸間距離と雄雌ロータの歯数によって決まる歯車噛み合いピッチ円１５，１６から外れた位置にあるように形成することによって、雄雌スクリューの歯面速度が一致する歯面をなくし、遅い方の歯面を早い方の歯面が滑っている状態として、歯面と歯面の間にある、吸入された反応生成物等を掻き出す作用をもたせ、反応生成物をポンプ外に掻き出すという効果をもたせるようにしている。
【００２５】
次に、本発明に係わるスクリュー真空ポンプの一例を図１乃至図４にもとづいて、更に詳細に説明する。
【００２６】
図１を参照すると、スクリュー真空ポンプ３０は、ポンプ側から、第１のハウジング３１と、第２のハウジング３２と、第３のハウジング３３とをこの順で一軸方向に連結した構造を有している。
【００２７】
第１のハウジング３１は、ステーター１３と、一端側に流体を吸入する吸入口１４とを備え、他端側は第２のハウジング３２に連絡している。第２のハウジングの第１のハウジング３１との連結部には、流体を排出する吐出口１０が設けられている。また、第１のハウジング３１のステーター１３内には、第１のシャフト２３及び第２のシャフト２４を回転軸とし、互いに噛み合う雌スクリューロータ４と、雄スクリューロータ５とが配置されている。
【００２８】
第２のハウジング３２内には、雌スクリューロータ４の回転軸をなす第１のシャフト２３と、雄スクリューロータ５の回転軸をなす第２のシャフト２４とが第１のハウジング３１内の夫々のスクリューロータから夫々軸方向に延在して設けられ、第１のシャフト２３は第３のハウジング３３内まで延在している。第１のシャフ２３と、第２のシャフト２４は、第２のハウジング３２内の夫々の両端に配置された軸受けベアリング９によって、回転可能に設けられている。第２のハウジング３２内の第２のシャフト２４の周囲には、オイル跳ね上げ機構１１が配置され、第１のシャフト２３及び第２のシャフト２４の軸方向のほぼ同じ位置に互いに噛み合わさるタイミングギア１２が設けられている。
【００２９】
第３のハウジング３３内には、第１のシャフト２３の一端を回転軸とする電動式のモータ８が配置されている。
【００３０】
第３のハウジング３３内のモーター８により、軸受けベアリング９で保持された第１のシャフト２３が回転し、この回転は、第１及び第２のシャフト２３，２４をタイミングギア１２によって、シンクロナイズして回転させる。また、第２のシャフト２４には、タイミングギア１２及び軸受けベアリング９にオイルを供給するオイル跳ね上げ機構１１が取り付けられている。
【００３１】
ポンプ側においては、雌スクリューロータ４及び雄スクリューロータ５を備えた、スクリューロータが高速回転することにより、高真空にするものである。
【００３２】
図２を参照すると、雄スクリューロータは、吸入側から等リードスクリュー５ａ、不等リードスクリュー５ｂ、等リードスクリュー５ｃで構成されている。また、雌スクリューロータは、吸入側から等リードスクリュー４ａ、不等リードスクリュー４ｂ、等リードスクリュー４ｃで形成されている。具体的には、本実施の形態においては、雄スクリューロータの外径８０ｍｍ，雌スクリューロータの内径１００ｍｍとし、吸入・吐出側の等リードスクリュー４ａ，５ａ及び４ｃ，５ｃは、ともに、長さ略５０ｍｍとしたが、それぞれ０．２〜１リード、及び１〜４リードの範囲内であればよく、それ以外の範囲では、熱的に安定に動作させる効果が少ない。さらに、吸入側の等リードスクリュー４ａ，５ａのリード角は、最大効率が得られる４５度に形成することが好ましい。また、中央部の不等リードスクリュー４ｂ，５ｂの長さは略１２０ｍｍとした。
【００３３】
図３は横軸に基礎円筒の雄雌転がり周長を、縦軸にねじれ進行量をとり、この座標軸上に放物線（二次曲線）からなる歯筋転がり曲線、雄スクリューロータ５が吸入側から等リードスクリュー５ａ１、不等リードスクリュー５ｂ１、等リードスクリュー５ｃ１で構成し、雌スクリューロータ４が吸入側から等リードスクリュー４ａ１、不等リードスクリュー４ｂ１、等リードスクリュー４ｃ１の歯すじを表した展開図を示している。
【００３４】
次に、図４は雄雌スクリューの軸直角断面図である。図４に示すように、雄スクリューロータ５は歯数が雌スクリューロータ４の歯数より少ない。また前記雄スクリュー外径１９は雌スクリュー外径２０より大きい。前記条件により、雄スクリューロータ５の歯車噛み合いピッチ円１５と雌スクリューロータ４の歯車噛み合いピッチ円１６から外れた位置に、雄スクリュー歯２１と雌スクリュー歯２２の噛み合いを設けたことで、雄雌スクリューの歯面速度が異なり、雄スクリュー歯２１の歯面が雌スクリュー歯２２の歯面を滑り、雄雌スクリュー歯面の間の生成物等を掻き出す。
【００３５】
以上説明したように、本発明の実施の形態においては、図５の曲線１に示すようにスクリュー真空ポンプの排気速度が大幅に改善され、１台の真空ポンプで効率良く大気圧から０．１Ｐａまで安定した排気速度を得ることができ、広い動作範囲をカバーすることができる。また、反応生成物に対しても掻き出し効果を奏した。
【００３６】
【発明の効果】
以上のように本発明によって、スクリュー真空ポンプの排気速度が大幅に改善され、１台の真空ポンプで効率良く、大気圧から０．１Ｐａまで安定した排気速度を得ることができ、広い動作範囲をカバーすることができるという効果を奏する。また、本発明においては、反応生成物に対しても掻き出し効果を奏する。
【００３７】
さらに、本発明の真空ポンプを使用することにより、従来のドライポンプやメカニカルポンプなどを組み合わせた真空系と比較して構造が簡単で安価な真空系を構成することができるという効果を奏する。
【００３８】
更に、本発明によれば、真空系の構成が簡単になることにより、バルブの切り換えなど煩雑な操作が不要になり、制御系を簡単で安価なものにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態によるスクリュー真空ポンプの全体構成を示す断面図である。
【図２】図１の不等リードスクリューに本発明の実施の形態による等リードスクリューを付加した断面図である。
【図３】本発明の一実施の形態による基礎円筒上の展開図であって、横軸に基礎円筒の雄雌転がり周長を、縦軸にねじれ進行量をとり、この座標軸上に放物線（二次曲線）からなる歯型外形接触部歯すじねじれ曲線を表した展開図である。
【図４】本発明の実施の形態によるスクリュー軸直角断面図である。
【図５】本発明によるポンプと従来のポンプの排気速度比較を示す図である。
【符号の説明】
４ 雌スクリューロータ
４ａ 等リードスクリュー
４ａ１ 等リードスクリュー
４ｂ 不等リードスクリュー
４ｂ１ 不等リードスクリュー
４ｃ 等リードスクリュー
４ｃ１ 等リードスクリュー
５ 雄スクリューロータ
５ａ 等リードスクリュー
５ａ１ 等リードスクリュー
５ｂ 不等リードスクリュー
５ｂ１ 不等リードスクリュー
５ｃ 等リードスクリュー
５ｃ１ 等リードスクリュー
８ モーター
９ 受けベアリング
１０ 吐出口
１１ オイル跳ね上げ機構
１２ タイミングギア
１３ ステーター
１４ 吸入口
１６ 歯車噛み合いピッチ円
１９ 雄スクリュー外径
２０ 雌スクリュー外径
２１ 雄スクリュー歯
２２ 雌スクリュー歯
２３ 第１のシャフト
２４ 第２のシャフト
３０ スクリュー真空ポンプ
３１ 第１のハウジング
３２ 第２のハウジング
３３ 第３のハウジング
Claims (6)
- 互いに噛み合うネジ歯車を夫々備えた雄ロータ及び雌ロータと、両ロータを収納するステーターとにより形成される気体作動室と、該作動室の一端部及び他端部にそれぞれ連通しうるように前記ステーターに設けられた気体の吸気口及び吐出口とを備えたスクリュー真空ポンプにおいて、前記ネジ歯車のねじれ角が、当該ねじれの進行に伴って連続的に変化している前記雄雌ロータの吐出側の最終リード角で、連続的に変化している前記雄雌ロータの吐出側に１乃至４リードの範囲で、等リードスクリューを付加したことを特徴とするスクリュー真空ポンプ。
- 互いに噛み合うネジ歯車を夫々備えた雄ロータ及び雌ロータと、両ロータを収納するステーターとにより形成される気体作動室と、該作動室の一端部及び他端部にそれぞれ連通しうるように前記ステーターに設けられた気体の吸気口及び吐出口とを備えたスクリュー真空ポンプにおいて、前記ネジ歯車のねじれ角が、当該ねじれの進行に伴って連続的に変化している前記雄雌ロータの吸入側に吸入端リード角で、０．２乃至１リードの範囲で、等リードスクリューを付加したことを特徴とするスクリュー真空ポンプ。
- 互いに噛み合うネジ歯車を夫々備えた雄ロータ及び雌ロータと、両ロータを収納するステーターとにより形成される気体作動室と、該作動室の一端部及び他端部にそれぞれ連通しうるように前記ステーターに設けられた気体の吸気口及び吐出口とを備えたスクリュー真空ポンプにおいて、前記ネジ歯車の噛み合いは前記雄雌ロータ軸間距離と前記雄雌ロータの歯数によって決まる歯車噛み合いピッチ円から外れた位置にあることを特徴とするスクリュー真空ポンプ。
- 請求項１乃至３の内のいずれか一つに記載のスクリュー真空ポンプにおいて、前記雄ロータ及び雌ロータのネジ歯車は、互いに異なる歯数を備えていることを特徴とするスクリュー真空ポンプ。
- 請求項１乃至４の内のいずれか一つに記載のスクリュー真空ポンプにおいて、前記雄ロータ及び雌ロータの軸方向の中央部に不等リードスクリューを備えていることを特徴とするスクリュー真空ポンプ。
- 一対の雄雌不等リードスクリューロータを備えたスクリュー真空ポンプにおいて、前記雄雌不等リードスクリューロータの吸入側に吸入側リード角と同じリード角の等リード部を形成し、また吐出側に吐出端リード角と同じリード角の等リード部を形成し、前記雄雌スクリューロータの噛み合いは、前記雄雌ロータ軸間距離と前記雄雌ロータの歯数によって決まる歯車噛み合いピッチ円から外れた位置に形成したことを特徴とするスクリュー真空ポンプ。
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| JP2002174175A (ja) | 真空排気装置 |
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