JP3740178B2 - スクリュウロータ及びスクリュウ式圧縮機並びにその製法 - Google Patents

スクリュウロータ及びスクリュウ式圧縮機並びにその製法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、圧縮機,送風機および真空ポンプなどに使用されるスクリュウ式回転機械およびこの回転機械のロータ表面処理方法に係り、とくにメンテナンスフリー、高性能を可能とし、かつドライ方式に好適なスクリュウ式圧縮機およびこの圧縮機に用いるロータの表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
機械部品が互いに接触し摺動する界面においては、摩擦摩耗現象が発生する。従って摺動面に、何らかの潤滑剤を介在させる対応策が通常なされている。◆
この潤滑材を大別すると油、水などの液体潤滑材と、四フッ化エチレン樹脂(以下PTFEと称する),2硫化モリブデン(以下MoS2と称する),グラファイト(以下Cと称する)などの固体潤滑材(以下コーティング材と称する)があげられる。
【0003】
前者の歴史は古く、その用法も簡易であるが油の飛散などによる製品の汚染、環境に与える影響など、近年無視できない問題点も露呈されつつある。◆
後者については、比較的歴史も新しく、種々の技術的難点も存在するが、そのクリーン性が歓迎され、近年特にドライな固体潤滑方式への適用が進められている。
【0004】
固体潤滑方式を採用している実例として、本願発明に係るスクリュウ式圧縮機を採りあげ以下に説明する。◆
スクリュウ式流体機械においては、ケーシング内でオスロータとメスロータとが互いに噛み合いながら回転して、ケーシングと両ロータとによって形成される空間を軸方向に移動しつつ縮小して上記空間内の流体を圧縮している。
【0005】
また、スクリュウ式流体機械においては、摺動部分の潤滑方式として、流体とともに油をケーシング内に供給して両ロータ間およびこの両ロータとケーシングとの間を油冷するいわゆる油冷式と、ケーシング内に油を供給しないいわゆるドライ方式とがある。
【0006】
上記のうち、前者の油冷式はオスロータとメスロータとが油膜を介して接触しているので、オスロータが駆動ギヤを介して接続するモータによって回転したとき、オスロータの回転によってメスロータも回転する。そのため、メスロータには回転駆動機構を設置する必要がなく構成を簡単にすることができる。
【0007】
また油冷式は両ロータの回転によって発生する摩擦熱を油で冷却することができるので、両ロータが焼付くのを防ぐことができる。◆
その反面、油冷式は流体が油滴,油の蒸気によって汚染されるので、食品産業,ハイテク産業などのクリーンな流体を必要とする分野に適用することができないという問題がある。
【0008】
これに対してドライ式は圧縮流体に油が混入しないため、クリーン流体となる特長を有する。◆
その反面ドライ式は両ロータを非接触にした状態で回転させるため、両ロータが同期して回転できず、両ロータの軸端部に同期歯車を設置する必要があり、油冷式に比較して構造が複雑となる。◆
また両ロータが非接触であるため、流体の漏洩が発生しやすく圧縮効率が低下するという問題がある。
【0009】
このように油冷式とドライ式とはそれぞれ長所,短所を有しているが、ドライ方式は流体漏洩を極限的に少なくすることにより、メリットの大きい方式となる。
【0010】
ドライ式スクリュウ式圧縮機のロータは、吐出側において300〜350℃もの高温にさらされる。また、運転停止の際、ロータ周囲の高温空気の温度が低下する為、空気中の水分が凝縮しロータ表面に付着し、これがロータ材の腐食を促進するなどの問題がある。
【0011】
従って、ロータに塗布するコーティング材には良好な潤滑性の他に、更に耐熱性と耐食性が要求される。従来のコーティング材は、潤滑性は良好であるが、高温(たとえば250〜350℃)下で使用されることを前提としている場合は少なく、従って耐熱性、耐食性の良好なものについての開発は必ずしも十分とは言えなかった。その理由はスクリュウ式圧縮機のような使用条件の対象が殆んど無かったことが原因と思われる。
【0012】
すなわち、従来のスクリュウ式圧縮機はオイル式のものが殆んどであり、これについてはオイルが潤滑材であるから、コーティング材使用の必要性は皆無であった。ところが、近年、食品、製薬及び半導体製造などのハイテク産業が特にクリーンな圧縮空気を必要とするようになった為、ドライ式のスクリュウ式圧縮機の需要が急速に増大しており、この傾向は今後とも続く情勢にある。
【0013】
すなわち、かかる無給油式(ドライ)圧縮機において、その体積効率などの性能を向上させるためには、オスロータとメスロータ間の隙間および各ロータとケーシング間の隙間をできるだけ少なくする必要がある。◆
しかし、これらの隙間を小さくする為には、オス・メス両ロータ及びケーシングについて研削などの機械加工精度を極端に上げる必要がある。また加工精度を上げて隙間を極限に近く小さくした場合、ロータの熱歪、タイミングギアのバックラッシュおよびロータ軸受などの隙間に起因するオス・メスロータ同士の接触、若しくはロータとケーシングの接触などに起因する焼着、破損などの故障が発生する。
【0014】
そのためオス・メス両ロータ間の隙間を極小化する目的で各種の提案がなされている。例えば、▲1▼歯形形状の最適化、▲2▼ロータ表面に合成樹脂を被覆し共ずりにより不要なコーティング膜を初期のなじみ運転で除去して隙間を小さくする。
【0015】
後者に関しては、特開昭58−48792号公報や特開昭61−197794号公報には、ロータの表面にPTFEなどを塗布することが開示されている。◆
また、特開平2−201072号公報には、オスロータとメスメータの表面に対して、バインダーとして高分子プラスチックを主体に用い、MoS2等を混合した非金属物質を被覆し、その皮膜厚さを0.1〜2mmに形成するものが開示されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記PTFEを用いる例においては、オス・メス両ロータを接触させると、PTFE被膜は溶着、剥離又は摩耗などが発生しやすく故障原因につながり易い。
【0017】
また、MoS2は固体潤滑性が優れているが、従来の配合組成では高温下で長期的には徐々に酸化し、その潤滑性は漸減してしまう傾向がある。また、その被膜厚さが0.1〜2mmもあるため例えば前記の共ずり現象を起こさせるために、オスロータとメスロータを接触させるにはコーティング層は厚すぎ、皮膜は剥離しやすい。また皮膜が厚いため隙間の増加に伴い性能が低下すると共に吐出空気温度の過度な上昇を招き易いという問題がある。
【0018】
ロータのコーティング材の主成分として従来より用いられているMoS2の酸化温度は400℃以上といわれている。しかしながら、この温度は酸化が加速促進される温度と考えられており、表1(固体潤滑ハンドブック、93頁、幸書房)に示すように300℃以下の温度でも、速度は遅いものの酸化は起こることを示しており、温度条件の厳しいロータ表面に被覆したMoS2にとって非常に厳しい条件となっている。
【0019】
【表1】
Figure 0003740178
【0020】
酸化が発生すると、図1に示すようにコーティング層内のMoS2が三酸化モリブデン(MoO3)に変質し、硫黄分は酸化してガス化し腐食の原因となると考えられる。これと共に、MoO3はバインダーとの結合力が弱くなって脱落し、膜厚の減少、剥離が発生し、コーティング本来の目的を発揮できなくなるものと考えられる。
【0021】
一方、本発明の適用対象であるオイルフリースクリュウ式圧縮機の運転中のロータ表面の温度は、ロータの吸入側で50〜100℃、中間部で120〜150℃、吐出側で220〜300℃程度である。さらに吐出温度保護リレーが作動する寸前においては最高320〜350℃程度まで上昇すると考えられる。◆
したがってスクリュウ式圧縮機では耐熱性の向上と共にMoS2の酸化を防止することがコーティング技術の最も重要な課題である。
【0022】
本発明の目的は、高温に曝されても潤滑性や耐久性を失わない耐熱性良好なコーティング材を被覆したスクリュウロータおよびそのスクリュウロータを適用した信頼性の高いスクリュウ式圧縮機並びにスクリュウロータの製法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的のスクリュウロータに関しては、以下の手段を備えることにより達成される。
【0027】
)軸方向の外表面に螺旋状の歯形を形成してなるスクリュウロータにおいて、スクリュウロータは表面にPAIからなる層を備え、その層の上にバインダーをPAIとし、ピグメントとしてMoS2、Sb2O3及びCを分散させた固体潤滑材被膜を備える。
【0029】
)上記(1)において、Sb2O3、MoS2及びCは粒子として固体潤滑材被膜に備える。
【0030】
)上記(1)において、固体潤滑材被膜は、PAIが12乃至18重量部、MoS2が5乃至7重量部、Sb2O3が3乃至5重量部、Cが0.7乃至0.9重量部の範囲から選択した配合からなる。
【0031】
また、上記目的のスクリュウ式圧縮機に関しては、以下の手段を備えることにより達成される。
【0032】
)ケーシング内に互いに噛み合うオスロータとメスロータを少なくとも一対備えるスクリュウ式圧縮機において、ロータの両方若しくはいずれか一方に、上記(1)乃至()のいずれかのスクリュウロータを備える。
【0033】
)ケーシング内に互いに噛み合うオスロータとメスロータを少なくとも一対備えるスクリュウ式圧縮機において、ロータのいずれか一方に上記(1)乃至()のいずれかのスクリュウロータを備え、他方のロータの表面にニッケル−リンめっき被膜を備える。
【0034】
)ケーシング内に互いに噛み合うオスロータとメスロータを少なくとも一対備えるスクリュウ式圧縮機において、ロータのいずれか一方に上記(1)乃至()のいずれかのスクリュウロータを備え、他方のロータの表面に被膜内にPTFEを分散させたニッケル−リンめっき被膜を備える
【0036】
ケーシング内に互いに噛み合うオスロータとメスロータを少なくとも一対備えるスクリュウ式圧縮機において、ケーシングのオスロータとメスロータが相対する表面にバインダーをPAIとし、ピグメントとしてMoS 2 、Sb 2 3 及びCを分散させた固体潤滑材被膜を備え、かつ前記固体潤滑材被膜は、PAIが12乃至18重量部、MoS2が5乃至7重量部、Sb2O3が3乃至5重量部、Cが0.7乃至0.9重量部の範囲から選択した配合からなる。
【0037】
さらに、上記目的のスクリュウロータの製法に関しては、以下の手段を備えることにより達成される。
【0040】
)軸方向の外表面に螺旋状の歯形を形成してなるスクリュウロータの製法において、螺旋状の歯形を形成したスクリュウロータの表面に、PAIを塗布した後、その表面にSb2O3を分散させた固体潤滑材を塗布し、加熱することにより固体潤滑材被膜を形成する。
【0041】
)軸方向の外表面に螺旋状の歯形を形成してなるスクリュウロータの製法において、螺旋状の歯形を形成したスクリュウロータの表面に、PAIを塗布し、加熱した後、その表面にバインダーをPAIとし、ピグメントにMoS2、Sb2O3及びCを分散させた固体潤滑材を塗布し、加熱することにより固体潤滑材被膜を形成する。
【0042】
【作用】
MoS2とCを含むコーティング材にSb23を添加すると、コーティング被膜中のMoS2,Cなどの潤滑性粒子の酸化を防ぐ作用をする。すなわち被膜中にSb23が存在することにより、被膜内に侵入してきた空気中の酸素を選択的に捕捉し、Sb23自身が先に酸化することにより、MoS2やCの酸化を防止する。従ってコーティング材の潤滑性は長期間維持される。
【0043】
またSb23は、それ自体、MoS2ほどではないが若干の潤滑性をもっており、また展伸性も良いので、Sb23の存在自体もコーティング材皮膜の潤滑性維持に寄与する。◆
バインダーとして、耐熱性の高いPAIを用い、その割合を12ないし18%とすることによって、空気中の酸素や水分、及び停止時の凝縮水がコーティング膜中に侵入することを阻止する。従って、ロータ表面の腐食を防止すると共にピグメント中のMoS2およびCを効果的に被覆することにより、その酸化、劣化を防いで潤滑性を長期間維持する。
【0044】
PAIは、本来熱可塑性樹脂の一種であるが、イミド基を含むため熱硬化性の機能も併せ持つ樹脂である。したがって、塗布後の焼き付き温度と時間を適宜選択することにより、アミド酸がイミド環に変化するため熱硬化特性が顕著になり熱変形温度が上昇し、塗膜の耐熱性が向上する。また、PAIは溶剤により容易に液状化するため、塗布に際して潤滑剤粒子及び添加粒子との混合分散が確実に行える。なお溶剤は、ジメチルアセトアミドなどを用いると良い。
【0045】
さらに、オスロータまたはメスロータのどちらか一方のロータの表面にPAIを粘結剤としたMoS2,Sb23及びCを潤滑粒子としたコーティング材(以下コーティング材 No.5 と称する)を塗布した表面層を形成し、他方のロータを金属で形成するか、若しくは両ロータの表面をコーティング材 No.5 で被覆する。上記いずれの場合においても、両ロータはタイミングギヤで同期回転させる構造とするか、前記に加えロータの歯形そのものに転がり接触点の存在しない歯形を使用することにより、コーティング膜としてのコーティング材の相互すり合わせ(共ずり)によって、オス・メス両ロータのクリアランスを可能な限りゼロに近づけ、圧縮性能の飛躍的向上を図ることができる。具体的方法としては、オスロータにコーティング材 No.5 を塗布しメスロータには、この種の潤滑コーティング膜を施さず硬質表面のままとする。ここで硬質表面とは、金属ロータをコーティング膜なしか、或いは硬質金属メッキを施した、いわゆる硬質表面を指す。
【0046】
基礎実験として行ったアムスラ摩擦摩耗試験(以下アムスラ試験と略す)によれば、MoS2などを主成分とするコーティング膜同士の組合せでは、長時間(例えば6時間)の試験において試験片に塗布したコーティング膜はほとんど剥落する。◆
しかしながら片方のロータ、例えばオスロータの表面が硬質の場合、メスロータに塗布されたコーティング膜の被覆が摩耗し始める時間は、両ロータ表面がコーティング材で塗布されている場合に比べて2倍もの長時間を要する。また摩耗開始後においてもその減少率は徐々の変化をみせるのみならず摩耗し始めて部分的に剥げ落ちて金属素地がみられても、すぐに剥落部にその近傍の健全部のコーティング膜が徐々に移動してその欠陥部を埋める。
【0047】
即ち本発明のコーティング膜を用いた上記組合せによれば、コーティング膜が自己修復性を有するという被膜の長寿命化に好適な現象が認められた。◆
さらには自分修復が完了したあとのコーティング膜は、その後の長時間試験に於いても摩耗減少は殆ど見られなくなり今回の実験条件においては当初のコーティング膜の約20〜30%の厚さはそのまま極めて長時間維持される。
【0048】
【実施例】
スクリュウロータへの適用に先立ち、まずコーティング被膜の検討結果について述べる。◆
検討は表2に示す耐熱性を向上できると思われる各種のコーティング材について行った。
【0049】
【表2】
Figure 0003740178
【0050】
表の中で、比較の基準となる従来のコーティング材としてNo.1のMoS2を検討した。No.2のCは、No.1のMoS2に対し耐熱性の向上を期待したものである。
【0051】
また、No.3はMoS2と三酸化アンチモン(Sb23)とを混合したものであり、Sb23によるMoS2の酸化防止効果による耐熱性向上を期待したものである。No.4は、No.3の固形分を増量したもの、No.5はNo.4に更にCを添加し耐熱性の改良を図ったものである。なお、No.1からNo.5まではバインダとしてPAIを用いた。
【0052】
No.6はバインダーを無機系の珪酸塩としコーティング材を窒化ほう素(BN)として400℃以上の高温耐熱性を目的としたものである。◆
No.7は2層からなり、下層にPAIを約3μm、上層にNo.5を配置したものである。◆
以上7種類のコーティング材について耐熱性、耐食性等のスクリーニングテストを行った。検討した各試料の被膜厚さは約20μmとした。表3に、以下に示す結果をまとめて示す。表中の評価は、▲印が実用上問題あり、△印が若干問題あり、○印が問題なし、二重丸印が全く問題なしとした。
【0053】
【表3】
Figure 0003740178
【0054】
テストピースにはφ30×5tのステンレス鋼(SUS420)を用い、サンドブラスト処理の後、所定のコーティング材を約20μmの厚さに塗布して200℃で1時間焼き付けたものを用いた。
【0055】
(1) 耐熱性試験◆
耐熱性は粘着テープによるコーティング膜の剥離試験で判定した。◆
上記のテストピースを、380℃で20時間加熱した後、加熱のみによる被膜の剥離すなわちピーリングの発生の有無を調べた。次にテストピース中央部に粘着テープを貼付し1kgf/cm2で加圧した後、ゆっくりテープをはがし、被膜の剥離状態を観察し耐熱性を判定した。
【0056】
その結果、No.2は、No.1のMoS2より耐熱性の優れたCが主成分であるにもかかわらず剥離程度はNo.1より大でありピーリングも発生した。◆
MoS2にSb23を加えたNo.3とNo.4は、No.1に比べて程度の差はあるものの、剥離の度合いが小さかった。また、No.5とNo.7は剥離がほとんどなく良好であり、No.6は剥離が全くなく最も良好であった。
【0057】
(2) 耐食性試験◆
各種のコーティング材を塗布した上述のテストピースを、360℃で20時間加熱後、温度60℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽中に100時間保持の後表面の発銹状況を観察した。◆
その結果、No.2には全く腐食が見られず、MoS2+Sb23を基本にしたNo.3、No.4、No.5はMoS2のみのNo.1に比べて、同等もしくはやや良好であった。しかし、No.6は他のものに比べ銹の発生が多く認められた。
【0058】
(3)潤滑性試験◆
各種コーティング材を塗布後のテストピースを、360℃で20時間加熱し、その後上述の湿潤試験(60℃×90%RH×100時間)を行った後、回転円盤に球形ボールを押し付けるピンオンディスク試験により、摩擦係数が0.3になるまでの総回転数を試料No.1の値を基準に相対回転数比により比較し潤滑耐久性を評価した。試験結果を図2に示す。
【0059】
No.1と無機系のNo.6は他のものに比べ潤滑耐久性は良くない。◆
これに対し、No.4、No.3、No.7、No.2、No.5の順に潤滑性が向上している。特にNo.5はNo.1の約9倍の結果となり耐久性の高いことが判明した。
【0060】
以上の検討結果をまとめた表3から明らかなように、それぞれに一長一短があるが、No.1と比較して、耐食性や潤滑性を低下させること無く、耐熱性を大幅向上させるという観点からは、PAIをバインダーとしMoS2を主成分としてこれにSb23、Cを加えたNo.5が最も良好であることが判明した。
【0061】
つぎに、このNo.5の配合の最適配合範囲を検討した。◆
コーティング材は、溶剤と、バインダーとしての樹脂、および潤滑材粉末(以下ピグメントと称する)より成る。◆
溶剤の量は、使用条件によって適宜設定するが、乾燥時に蒸発するため乾燥後のコーテング膜中には通常溶剤は存在しないため、一定値(75重量部)とし、またバインダーも15重量部とし、ピグメントについて以下の配合の検討を行うことした。配合の割合は表4に示す。
【0062】
MoS2は主たるコーティング材であり、ドライ下での潤滑作用は、このMoS2の存在が大きい。しかし、前述したように、高温下においては空気中の酸素との間に酸化が促進され、2MoS2+3O2→2MoO3+2S2(ガス)の反応が進行し、その結果生成されたMoO3は、剥離しやすい。また、かりに皮膜内に残留したとしても、潤滑性が低いため固体潤滑材の機能を全体として低下させる。
【0063】
そこで、まず表4に示す配合1乃至配合5のように、Sb23とCを一定としMoS2の割合を変え、また配合6乃至配合10のように、MoS2とCを一定としSb23の割合を変えて検討を行った。
【0064】
【表4】
Figure 0003740178
【0065】
その結果、Sb23によるMoS2の酸化防止効果は、Sb23の増加につれて向上するが、MoS2に比べてSb23の比率が大きすぎると、潤滑性が低下してしまうことがわかった。その理由は相対的にバインダーとしてのPAIの量が不足するためと考えられる。◆
従って、適正なMoS2/Sb23の比は1.2〜2.0であり、さらに1.5が最適値であることが判明した。
【0066】
次に、MoS2/Sb23の値を1.5一定とし、バインダーとしてのPAIの割合を5乃至30重量部の範囲内で変えて検討した。その結果、耐熱性、潤滑性および耐摩耗性のいずれもPAIの割合によって影響を受けることが判明し、耐熱性はPAIの割合が多い方が良好である傾向が明らかとなった。
【0067】
しかし、潤滑性は、PAIが14重量部付近にピークが認められ、また、耐摩耗性は、ピークがやや高い方に移り、約16重量部付近であり、総合的にはPAIの配合は12乃至18重量部の範囲が適正であることが判明した。
【0068】
次に、Cの最適配合量の検討を行った。表4の配合11乃至配合15に示すように他の因子を固定し、Cのみ0.6乃至1.0重量部の範囲で変化させた。この結果、Cは0.7〜0.9重量部の範囲が良好であり、0.8重量部が最適値であることがわかった。◆
以上の検討結果から、コーティング材の構成は表5に示す割合が良好であることが明らかとなった。
【0069】
次に、コーティング膜の焼き付け温度について検討した。上述した検討には200℃で1時間焼き付け処理した試料を用いたが、温度のみを200乃至440℃の間で20℃ごとに変えた試料を用い、ピンオンディスク試験により潤滑性、耐摩耗性の評価を行った。検討した試料は表5の配合割合のものであり、表2のNo.5のものを用いた。なお溶剤は、ジメチルアセトアミドなどを用いると良い。
【0070】
【表5】
Figure 0003740178
【0071】
潤滑性の試験結果を、図3に示す。図は試料の摩擦係数が0.3になるまでの回転数を、表2に示す従来品No.1の値を基準として求めたNo.5の相対回転数比を示す。図に明らかなように従来品の結果に対し、200℃において、すでに寿命が約10倍ある結果が示されているが、焼き付け温度の上昇に従って徐々に寿命が延び320℃を越えると急激に寿命が増加し、360℃から440℃の範囲では従来のものに比べ60乃至80倍の寿命増加を示した。また、焼き付け処理後に60℃×90%R/H×100時間の湿潤条件下においた試料のピンオンディスク試験結果でもほぼ同様の潤滑性の向上がみられた。
【0072】
次に、耐摩耗性の検討結果について述べる。◆
耐摩耗性の評価は、アムスラ試験機を用いて行った。試験は40mm径で長さ10mmのリング状試料2ケを10kgfで押し付け、190rpmで、相対滑りを10%発生させて摺動する方法により行う。試料の内の一方はステンレス鋼SUS420材を用いた。
【0073】
No.5のコーティング膜を施した試料の焼き付け温度とアムスラ試験による摩耗粉が発生し始めるまでの時間の関係を求めた。図4にその結果を示す。図から明らかなように205℃以下では、従来のコーティング膜No.1の方が良好な結果となった。しかしこの温度を境として高温側ではNo.5が良好な耐摩耗性を示すようになり、300℃で焼き付けたものでは摩耗粉の発生し始める時間はNo.1の約180倍となった。また温度が上昇すると摩耗粉発生までの時間が短くなるNo.1に対してNo.5は加熱温度の上昇とともに摩耗粉発生までの時間が長くなり、さきに述べた潤滑性能試験の結果と合わせ、従来の有機系バインダーとMoS2を用いた固体潤滑剤に比べ高温特性が格段に向上した。
【0074】
以下、上述の検討結果に基づいて明らかになった耐熱性が最も良好だった上記No.5のコーティング材を実際の装置に適用した。◆
本発明の一実施例を図5により説明する。図5は、本実施例に関するスクリュウ式圧縮機の構造を示す断面図である。オスロータ1は、一方の軸端に配設したピニオンギヤ3で駆動され、他方の軸端に配設されたタイミングギヤ4でメスロータ2を同期回転させる。オス・メスロータ間には冷却用の油は噴射されず、ロータの噛み合いによって吸入口Aから吸入された空気は、高圧、高温となって吐出口Bから吐出される。オスロータとメスロータは、ステンレス鋼(SUS420)を用いた。
【0075】
オス・メスロータは転がり軸受5で支持され、ケーシング6内で回転する。軸受と各ロータ歯部の間には軸封部8が配設され、軸受5を浸した油が、圧縮室C内へ侵入するのを防止している。◆
図6は、オスロータとメスロータの噛み合わせ状態を示す図5のK−K部分の断面図、図7はオスロータとメスロータへの被膜の被覆状態を説明する概略断面図である。オスロータとメスロータは、互いに接触する摺動面に上記No.5のコーティング材を被覆し250℃で1.5hr焼き付け処理を施し、20μmの被膜を形成した。被膜の具体的配合は、溶剤75:重量部、バインダー:15重量部、MoS2:6重量部、Sb23:4重量部、C:0.8重量部とした。
【0076】
なお、コーティング膜は歯形部及び軸方向の端面部にも被覆した。◆
圧縮機の運転条件は、回転数24000rpm、吐出圧力7kgf/cm2とし、起動後5分間運転して停止し、再起動する行程を30000回繰り返した後、被膜を目視及び顕微鏡観察した。まず、目視観察では互いのロータの接触部分はコーティング膜が薄く削りとられた痕跡が認められるが、膜の変色はなく、前述した粘着テープによる剥離試験でも剥離は生じなかった。
【0077】
比較に行った従来のコーティング膜No.1(ピグメントの主成分はMoS2)の表面は、高温となる吐出側に変色部が発生していた。◆
次に、ロータを切断しコーティング膜の断面観察を行なった。コーティング膜の断面は、図8に示すようにバインダーであるPAI51の中に粒状のピグメントが分散配置しており、X線分析の結果、それらはMoS2粒子52、Sb23粒子53及びC粒子54であることが分かった。比較に行った従来のコーティング膜No.1(ピグメントはMoS2のみ)を観察した結果では、Moは残留しているが顕在化しておらず、Sが大幅に減少しMoは酸化が進行したMoO3の形で、且つ形状も不明確な状態で残っていることが判明した。このMoO3は、潤滑性がなく摺動部のコーティング膜としては不十分な状態に変質していることが判明した。
【0078】
No.5のコーティング材の耐熱性が良い理由は、Sb23が膜中に侵入した酸素と選択的に反応しMoS2の酸化を防いでいると考えられる。◆
以上の結果から、PAIをバインダーとし、ピグメントとしてMoS2、Sb23及びCの粒子を混合したコーティング膜は、熱による変色が無く膜の性状も大きく変化しておらずスクリュウ式圧縮機のロータの耐熱性潤滑被膜として好適であることが判明した。
【0079】
本発明の他の実施例を、図9により説明する。◆
図9は、本実施例のロータの部分断面を示す概略断面図である。◆
オスロータ1は炭素鋼で製作し、その表面に上記のNo.5のコーティング材によりMoS2:7重量部、Sb23:5重量部、C:0.9重量部及びバインダーとしてのPAI:18重量部よりなるコーティング膜10を設けた。被膜の焼き付け処理条件は300℃×1hrで行った。一方、メスロータ2もオスロータと同種の素材で製作し、その表面に無電解Ni−Pメッキ被膜12を設けた。
【0080】
オスロータ1とメスロータ2の周速は異なっているため、表面部には相対すべりを生じる。これによってオスロータ1とメスロータ2の干渉する部分では、メスロータ2側のNi−Pメッキ被膜12が軟質層であるオスロータ1のコーティング膜10を研削する。すなわちメスロータ2表面上の高硬度層であるNi−Pメッキ被膜12によって、オスロータ1表面の軟質層が研削され、オスロータ形状に相応したメスロータの表面形状が創出される。研削された軟質層の粉末は、空気の流れと共に機外へと排出される。
【0081】
これによって従来、運転中のロータ歯形部の温度分布を事前に想定し、ロータ歯形部の形状を室温時の形状に置き換えて高精度に加工していたが、実際の個々の圧縮機の各歯形部位置における膨張状態に相応して相手歯形が創出され、予め、運転状態に両ロータが干渉する寸法、即ち研削代を残しておくことにより、極小かつ最適のロータ間ギャップが確保できる。またメスロータ2は、第5図に示すタイミングギヤ4によって駆動されているためにオスロータ1の運転により、メスロータ2の歯形を回転創成仕上げを行った後には、接触は発生しなくなり、それ以上メスロータ2の表面層を減肉させることはなく、良好な接触状態を保持して運転させることができる。◆
なお本実施例では、メスロータに硬質な表面被膜を設けたが、オスロータとメスロータの被膜を換えても同様の結果が得られた。
【0082】
本発明の他の実施例を、図9及び図10により説明する。本実施例に用いたオスロータ1は、前記実施例のものと同様のものを用いた。前述の実施例とは、図9のメスロータ2の表面の無電解Ni−Pメッキ被膜12中に、図10に示すようにPTFEの粒子9を分散させた点が異なる。また、オスロータ及びメスロータを収納するケーシングを鋳鉄製とした。
【0083】
本実施例の構造では、メスロータは上述したコーティング被膜No.5と接触し、コーティング被膜No.5の干渉部分を必要な部分だけ削り落す。また、鋳鉄製のケーシングの内側との接触部において、ケーシング内壁との干渉部分を削り取り、さらにPTFEが摺動面に付着しロータとケーシングと摩擦係数を低減しかじりや、焼付き等の現象の発生を防止する。なお本実施例においても、前述の実施例同様メスロータに硬質な表面被膜を設け、オスロータに上述のコーティング材No.5の被膜を設けたが、オスロータとメスロータの被膜を換えても同様の結果が得られた。
【0084】
本発明の他の実施例を図11により説明する。◆
本実施例のオスロータ1は、図11に示す断面構造から明らかなようにその表面にPAIのみの層16を形成し、その上に上述のコーティング材No.5の被膜を設けた2層構造からなるコーティング膜を備えている。メスロータ2は、その表面にNi−Pメッキ被膜12を設けた。この組合せのスクリュウロータをスクリュウ式圧縮機に組込んで長期連続運転した後に、その表面を観察したところ上記実施例と同様にコーティング材No.5の被膜は変色部も剥離部もなく良好であった。本実施例によるとロータとコーティング材No.5の被膜は、コーティング材No.5のバインダPAIにより結合され、ロータ側のPAIのみの層はピグメントが混合していないためロータとの接着強度が増すとともに、耐食性が増す。
【0085】
本発明の他の実施例を図12により説明する。◆
本実施例のスクリュウロータは、メスロータの表面に上述のコーティング材No.5の被膜を設け、オスロータの表面にNi−Pメッキ被膜を設けたものを用いている。
【0086】
熱膨張による干渉によって相手側ロータの創成仕上げをより円滑に行うために、歯形を図12に示すようにオスロータ1の転がりピッチ円径dpmをオスロータの歯底径dimより小さく、同時にメスロータ2の転がりピッチ円径dpfをメスロータ2の歯先径dofより大きく取る。これにより各々のロータのかみ合い回転時に、転がり接触を行う歯形部分がなくなり、即ち相対すべり速度が全ての部分に存在するため、オスロータ1表面に設けた高硬度層がメスロータ表面へ接触した際、必ず相手側のロータ表面が仕上げられる。
【0087】
特にオイルフリースクリュウ式圧縮機において、圧縮効率を向上させるためにはロータ間のギャップを小さくする必要があるが、実際の運転状態での熱膨張状態の歯形を全ての断面で予測することは困難でありロータの接触を防止するために、ある程度の安全を見込み、予測より大きめのギャップを設定しているが、本発明によれば、接触により相手の歯形の干渉部を最終仕上し、かつロータ間のかじり付きを起さぬため、圧縮機の空気漏洩による損失を低減でき、信頼性を損なうことが無い。
【0088】
尚、最終歯形への仕上げは、予め予想する運転最高温度に少しづつ運転温度を上げながら接触部の研削を徐々に行わせて行くのが良い。さらに、本実施例のオスロータ及びメスロータのコーティング膜を逆にしても、またオスロータの表面に被膜を被覆しない場合にも同様の結果が得られた。さらに、両ロータの表面に異なる硬さのコーティング膜を塗布しても同様の結果が得られた。
【0089】
本発明の他の実施例を、図13により説明する。図13は、前述の図6に相当する両ロータの噛み合わせ状況及びケーシングとの関係を示す概略断面図である。
【0090】
オスロータ1の表面に厚さ約20μmのPTFE10%入りの複合Ni−Pメッキ層を設けた。またメスロータ2の表面にはMoS2:5重量部、Sb23:3重量部、C:0.7重量部及びバインダとしてのPAI:12重量部よりなるコーティング膜12を約20μmの厚さに設けた。両ロータともに、夫々の被膜は軸方向の端面部分にも被覆した。
【0091】
ケーシング3には、オスロータ1及びメスロータ2と相対する部分と両ロータの軸方向の端面と相対する部分に上記メスロータ2の表面に施した被膜15を約40μmの厚さに設けた。ケーシング3の被膜厚さがロータに比べて厚いのは、ロータは回転しているため軸方向に直角な断面では温度分布がほぼ一様になるが、ケーシングは回転せず吐出部付近が高温となり、吐出部付近において不均一な膨張が生じるため、膨張による変形を吸収するためである。
【0092】
このような被膜をロータ及びケーシングの摺動面に形成してスクリュ圧縮機を連続運転した結果、性能の大幅向上が実現でき、且つ従来の被膜に比べメンテナンス期間を4倍まで延長させることができた。試験後の内面を観察したところ、ロータ及びケーシングの各摺動部分は共ずりの痕跡が認められ、それぞれの摺動部分の隙間が圧縮空気の漏洩を最小限にすることができたと考えられる。
【0093】
本実施例では、ロータの端面部にも被膜を被覆したがケーシング側のロータ端面との対応部に被膜を被覆しているため、ロータ側の端面部分は除去しても同様の効果が得られる。
【0094】
また、本実施例におけるオスロータとメスロータの被膜を逆に設けても同様の結果が得られた。
【0095】
なお、上記の各実施例では、オスロータとメスロータが一対のもについて説明したが、本発明はオスロータとメスロータが一対以上で構成されるスクリュウ式圧縮機にも同様に適用できる。
【0096】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、ドライスクリュウ式圧縮機に用いるロータ及びケーシング表面に、ポリイミドアミド樹脂をバインダーとし、MoS2、Sb23及びCをピグメントとしたコーティング材を塗布し、高温度で焼き付けることにより、ロータの吐出側に生ずる高温加熱化現象に対しても耐熱性があり、且つ耐摩耗性の高いコーティング被膜を形成できる。
【0097】
また、共ずりによってロータ相互間及びロータとケーシング間の隙間を極少化することにより圧縮性能の大幅な向上ができるとともに、加工精度を高精度にする必要がないため、加工工数の低減をすることができる。
【0098】
また、耐熱性及び耐摩耗性が向上したため、従来に比べメンテナンス期間を大幅に延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コーティング被膜の剥離メカニズムを説明する図である。
【図2】表2に示すコーティング膜の潤滑性試験結果である。
【図3】ピンオンディスク試験による被膜の焼き付け温度と潤滑性との関係図である。
【図4】アムスラ試験による被膜の焼き付け温度と潤滑性との関係図である。
【図5】本発明の一実施例に係わるスクリュウ式圧縮機の断面図である。
【図6】本発明の一実施例に係わるオスロータとメスロータとの噛み合い状態を示す概略断面図である。
【図7】オスロータとメスロータの被膜の被覆状態を示す概略断面図である。
【図8】本発明の一実施例に係わるコーティング膜の断面図である。
【図9】本発明の一実施例に係わるロータの被膜の被覆状態を示す概略断面図である。
【図10】本発明の一実施例に係わるコーティング膜の断面図である。
【図11】本発明の一実施例に係わるオスロータとメスロータとの噛み合い状態を示す概略断面図である。
【図12】本発明の一実施例に係わるオス・メス両ロータの噛み合わせ状況の説明図である。
【図13】本発明の一実施例に係わるオスロータとメスロータとの噛み合い状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…オスロータ、2…メスメータ、3…ピニオンギヤ、4…タイミングギヤ、5…軸受、6…ケーシング、8…軸封部、10,12…コーティング被膜。

Claims (9)

  1. 軸方向の外表面に螺旋状の歯形を形成してなるスクリュウロータにおいて、前記スクリュウロータは表面にポリアミドイミド樹脂(PAI)からなる層を備え、その層の上にバインダーをPAIとし、ピグメントとして二硫化モリブデン(MoS 2 三酸化アンチモン(Sb 2 3 及びグラファイト(C)を分散させた固体潤滑材被膜を備えてなることを特徴とするスクリュウロータ。
  2. 請求項において、前記Sb2O3、MoS2及びCは粒子として前記固体潤滑材被膜に備えてなることを特徴とするスクリュウロータ。
  3. 請求項において、前記固体潤滑材被膜は、前記PAIが12乃至18重量部、MoS2が5乃至7重量部、Sb2O3が3乃至5重量部、Cが0.7乃至0.9重量部の範囲から選択した配合からなることを特徴とするスクリュウロータ。
  4. ケーシング内に互いに噛み合うオスロータとメスロータを少なくとも一対備えるスクリュウ圧縮機において、前記ロータの両方若しくはいずれか一方に、請求項1乃至のいずれかのスクリュウロータを備えてなることを特徴とするスクリュウ式圧縮機。
  5. ケーシング内に互いに噛み合うオスロータとメスロータを少なくとも一対備えるスクリュウ圧縮機において、前記ロータのいずれか一方に請求項1乃至のいずれかのスクリュウロータを備え、他方のロータの表面にニッケル−リンめっき被膜を備えてなることを特徴とするスクリュウ式圧縮機。
  6. ケーシング内に互いに噛み合うオスロータとメスロータを少なくとも一対備えるスクリュウ圧縮機において、前記ロータのいずれか一方に請求項1乃至のいずれかのスクリュウロータを備え、他方のロータの表面に被膜内に四フッ化エチレン樹脂(PTFE)を分散させたニッケル−リンめっき被膜を備えてなることを特徴とするスクリュウ式圧縮機。
  7. ケーシング内に互いに噛み合うオスロータとメスロータを少なくとも一対備えるスクリュウ圧縮機において、前記ケーシングの前記オスロータとメスロータが相対する表面にバインダーをPAIとし、ピグメントとしてMoS 2 、Sb 2 3 及びCを分散させた固体潤滑材被膜を備えてなり、かつ前記固体潤滑材被膜は、前記PAIが12乃至18重量部、MoS2が5乃至7重量部、Sb2O3が3乃至5重量部、Cが0.7乃至0.9重量部の範囲から選択した配合からなることを特徴とするスクリュウ式圧縮機。
  8. 軸方向の外表面に螺旋状の歯形を形成してなるスクリュウロータの製法において、前記螺旋状の歯形を形成したスクリュウロータの表面に、PAIを塗布した後、その表面にSb2O3を分散させた固体潤滑材を塗布し、加熱することにより固体潤滑材被膜を形成してなることを特徴とするスクリュウロータの製法。
  9. 軸方向の外表面に螺旋状の歯形を形成してなるスクリュウロータの製法において、前記螺旋状の歯形を形成したスクリュウロータの表面に、PAIを塗布し、加熱した後、その表面にバインダーをPAIとし、ピグメントとしてMoS2、Sb2O3及びCを分散させた固体潤滑材を塗布し、加熱することにより固体潤滑材被膜を形成してなることを特徴とするスクリュウロータの製法。
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