JP2004260086A - シリコンウェーハの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反応容器のメンテナンス、部品交換等が行われて反応容器内が大気に曝された後、シリコン薄膜の気相成長を開始する前に、サセプタのクリーニングを適正に行う。
【解決手段】ロードロック室を介して搬送され反応容器2内のサセプタ1上に載置されたシリコン単結晶基板Wの表面上にシリコン薄膜を気相成長させてシリコンウェーハを製造する方法である。反応容器2内が大気に曝された後、異物除去用ウェーハ80をサセプタ1上に載置してサセプタ1上に存する異物を除去する異物除去工程(ステップS1)を行う。異物除去工程(ステップS1)の後で、且つ、反応容器2内にシリコン原料ガスを供給する前に、反応容器2内を加熱する熱処理工程(ステップS3)を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】ロードロック室を介して搬送され反応容器2内のサセプタ1上に載置されたシリコン単結晶基板Wの表面上にシリコン薄膜を気相成長させてシリコンウェーハを製造する方法である。反応容器2内が大気に曝された後、異物除去用ウェーハ80をサセプタ1上に載置してサセプタ1上に存する異物を除去する異物除去工程(ステップS1)を行う。異物除去工程(ステップS1)の後で、且つ、反応容器2内にシリコン原料ガスを供給する前に、反応容器2内を加熱する熱処理工程(ステップS3)を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウェーハの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、気相成長装置に備わる反応容器の内部において、サセプタ上に載置された半導体基板の表面上にシリコン薄膜を気相成長させてシリコンウェーハを製造する方法が知られている。
【0003】
シリコンウェーハの製造においては、反応容器の洗浄等のメンテナンス或いは部品交換の作業が行われ、これらの作業のために反応容器内が大気に曝された場合、反応容器の内部に配置されたサセプタ等に異物(例えば、メタルやパーティクル等)が付着することがある。また、部品交換等の作業においては、異物が交換部品に付着した状態で反応容器内に持ち込まれることがある。これらの場合、異物がサセプタ上に載置された半導体基板にも付着してシリコン薄膜の気相成長等に悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
そこで、反応容器のメンテナンス或いは部品交換が行われて反応容器内が大気に曝された後、シリコン薄膜の気相成長を再開する前には、サセプタの表面を塩化水素ガスとともに熱処理することで、サセプタに付着した異物を除去する。
【0005】
一方、半導体基板の表面上にシリコン薄膜を気相成長するためには、例えばトリクロロシラン等のシリコン原料ガスを反応容器内に供給するが、この場合には、反応容器の内部に水分がほとんど存在しない状態となっている必要がある。
すなわち、反応容器のメンテナンス或いは部品交換において、反応容器内が大気に曝された場合には、水分を含んだ反応容器外の雰囲気が反応容器内に流入してしまう。反応容器内に存在する水分とシリコン原料ガスとが反応することで例えば酸化珪素等の固形反応副生成物を生じ、これが反応容器の内壁等に付着する。固形反応副生成物は、内壁から剥がれ落ちたりして半導体基板上に付着すると、気相成長されるシリコン薄膜に結晶欠陥を引き起こしてしまう。また、固形反応副生成物によって加熱用のランプの光が遮られると、気相成長中のシリコンウェーハの温度均一性が悪くなる。
この場合には、反応容器のクリーニングを行って固形反応副生成物を取り除く必要があるため、シリコンウェーハの生産性を大きく低下させてしまう。
そこで、反応容器のメンテナンス或いは部品交換が行われた後、シリコン薄膜の気相成長を再開する前には、反応容器内部の雰囲気を水素にて置換してベーキング(baking)を行い、反応容器内の水分を除去する。
【0006】
また、反応容器内に配置されたサセプタに半導体基板を載置して、反応容器内をシリコン薄膜の成長温度よりも高い温度に加熱し、半導体基板表面の自然酸化膜を塩化水素ガスでエッチング除去した後、気相成長を行うシリコン薄膜のエピタキシャル成長方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−301589号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
反応容器内の水分を除去するために水素雰囲気中でベーキングを行う場合、サセプタ上にメタルが付着していると、加熱によりサセプタの内部にメタルが拡散するため、その後に、塩化水素ガスとともに熱処理しても一旦拡散したメタルを完全に除去することは困難である。この結果、サセプタの汚染、ひいては半導体基板の汚染を引き起こしてしまう。
また、例えば炭化珪素で被覆されたグラファイトから構成されたサセプタの場合、サセプタ上にメタルが存すると、塩化水素ガスを供給しながら行う熱処理の際に、塩化水素とメタルとがサセプタ上にて反応することで炭化珪素に穴が生じてしまうことがある。この場合、サセプタ内部の炭素等がサセプタの表面に露出して、サセプタ上に載置された半導体基板を汚染してしまう。
【0009】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、反応容器のメンテナンス、部品交換等が行われて反応容器内が大気に曝された後、シリコン薄膜の気相成長を開始する前に、サセプタのクリーニングを適正に行うことができるシリコンウェーハの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ロードロック室を介して搬送され反応容器内のサセプタ上に載置された半導体基板の表面上にシリコン薄膜を気相成長させてシリコンウェーハを製造する方法において、前記反応容器内が大気に曝された後、異物除去用ウェーハを前記サセプタ上に載置して前記サセプタ上に存する異物を除去する異物除去工程と、前記異物除去工程の後で、且つ、前記反応容器内にシリコン原料ガスを供給する前に、前記反応容器内を加熱する熱処理工程と、を行うことを特徴としている。
【0011】
前記サセプタが、シリコン薄膜が気相成長される半導体基板を支持するために形成された座ぐりを有する場合、前記異物除去工程で、前記異物除去用ウェーハを前記座ぐり内に載置して、前記座ぐり内に存する異物を除去することが望ましい。
【0012】
また、前記熱処理工程中に、前記サセプタの表面に塩化水素ガスを供給するのが好ましい。
【0013】
また、前記熱処理工程の後に、前記反応容器内にシリコン原料ガスを供給して前記サセプタの表面を珪素で被覆するサセプタ被覆工程を行い、その後、前記半導体基板の表面上にシリコン薄膜を形成する気相成長を開始することが望ましい。
【0014】
本発明によれば、反応容器内が大気に曝された後、シリコン薄膜の気相成長を開始する前(気相成長前処理)に、サセプタ上に付着した異物、例えばメタルを確実に除去できる。従って、熱処理工程を行う際に、メタルがサセプタの内部に拡散することによるサセプタの汚染が抑制され、サセプタのクリーニングを適正に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。
【0016】
本実施の形態では、本発明に係るシリコンウェーハの製造方法を、シリコンエピタキシャルウェーハの製造に適用した場合について説明する。
【0017】
先ず、図2を参照して、本実施の形態のシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法に使用する気相成長装置の好適な一例としての枚葉式の気相成長装置100の構成について説明する。
【0018】
気相成長装置100は、気相成長の際に半導体基板としてのシリコン単結晶基板Wを支持する円盤状のサセプタ1と、サセプタ1が略水平状態で内部に配される反応容器2と、サセプタ1を下面側から支持して回転駆動するサセプタ支持部材3と、反応容器2内を加熱するための例えば、ハロゲンランプ等の加熱装置4と、シリコン原料ガスを反応容器2内のサセプタ1の上側領域に導入してこのサセプタ1上のシリコン単結晶基板Wの主表面上に供給するガス導入路5と、反応容器2に対しこのガス導入路5と同じ側に設けられパージガスを反応容器2内のサセプタ1の下側領域に導入するパージガス導入路6と、これら反応ガス導入路5及びパージガス導入路6に対し反応容器2の逆側に設けられ反応容器2からガスを排気する排気路7とを備えて概略構成されている。
【0019】
また、気相成長装置100は、ロードロック室(図示略)を備え、このロードロック室と反応容器2との間でシリコン単結晶基板W及びシリコンエピタキシャルウェーハを所定の搬送機構(図示略)により搬送可能となっている。これにより、シリコン単結晶基板Wの反応容器2内に対する搬入及び反応容器2内からのシリコンエピタキシャルウェーハの搬出の際に、反応容器2内が大気に曝されないようになっている。
【0020】
ここで、サセプタ1について図3を参照してさらに詳細に説明する。
図3に示すように、サセプタ1の主表面には、内部に、シリコン薄膜としてシリコンエピタキシャル層が気相成長されるシリコン単結晶基板Wが載置される座ぐり10が形成されている。
座ぐり10は、シリコン単結晶基板Wを支持し、座ぐり10の中心がサセプタ1の中心と略等しくなるように形成されている。
【0021】
上記のようなサセプタ1は、例えば、炭化珪素で被覆されたグラファイトから構成されている。
【0022】
このように構成された気相成長装置100を用いて、シリコン単結晶基板Wの主表面上にシリコンエピタキシャル層を気相成長させることでシリコンエピタキシャルウェーハを製造できる。
【0023】
ところで、気相成長を繰り返すうちに、やがて、例えば酸化珪素(SiO2)やポリシリコン等の固形反応副生成物が反応容器2内部に付着してしまう等の理由により、反応容器2の洗浄等のメンテナンス、或いは、反応容器2並びにサセプタ1の交換等の作業を行う必要が生じる。この際には、ロードロック室が大気開放されることに基づき反応容器2内が大気に曝されるため、反応容器2の内部に容器外の雰囲気とともに異物が流入してしまい、反応容器2内部に配置されたサセプタ1に異物が付着する。そして、サセプタ1に異物が付着した状態で、シリコンエピタキシャルウェーハの製造を行うと、サセプタ1上に配置されたシリコン単結晶基板Wにも異物が付着してシリコンエピタキシャル層の気相成長等に悪影響を及ぼすことがある。
【0024】
また、反応容器2内を大気に曝すことにより、内部に流入した反応容器2外の雰囲気に含まれる水分が、反応容器2の内壁等に吸着してしまう。その後、対策を何ら施さずに気相成長を開始すると、水分とシリコン原料ガスとが反応することで酸化珪素或いはポリシリコン等の固形反応副生成物を生じ、これが反応容器2の内壁等に付着する。固形反応副生成物は、内壁から剥がれ落ちたりしてシリコン単結晶基板W上に付着すると、気相成長されるシリコンエピタキシャル層に結晶欠陥を引き起こしてしまう。また、固形反応副生成物によって加熱装置4からの光が遮られると、気相成長中のシリコンエピタキシャルウェーハの温度均一性が悪くなる。
そこで、反応容器2のメンテナンス或いは部品交換の作業により反応容器2内が大気に曝された後、シリコンエピタキシャル層の気相成長を開始する前には、反応容器2内をベーク(bake、図1におけるステップS31)して、反応容器2内に存する水分を除去する。
しかしながら、反応容器2内のベークにおいて、上記のようにしてサセプタ1上に異物としてメタルが付着していると、メタルがサセプタ1内部に拡散してしまう。この場合には、ベーク後に塩化水素(HCl)ガスを伴った熱処理(図1におけるステップS32)を行っても、サセプタ1内部に一旦拡散したメタルを完全に除去することは困難であり、この結果、サセプタ1の汚染、ひいてはシリコン単結晶基板Wの汚染を引き起こしてしまう。
【0025】
上記のようなことを防止するため、本実施の形態では、反応容器2内を大気に曝した後にシリコンエピタキシャル層の気相成長を開始する前に、例えば図1に示すように、先ず、サセプタ1に形成された座ぐり10上に異物除去用ウェーハを搬送して異物除去工程(ステップS1)を行うことにより、前記サセプタ1上、特に座ぐり10内に存する異物を除去する。
【0026】
ここで、異物除去用ウェーハ80の構成について、図4を参照して説明する。図4に示すように、異物除去用ウェーハ80は、ウェーハ本体部81の裏面側に異物除去部82が装着されてなる。
ウェーハ本体部81は、シリコン単結晶基板Wと略同形状、すなわち略円板状に形成され、このウェーハ本体部81としては、例えばシリコン単結晶基板が適用可能である。
【0027】
異物除去部82は、略円板状に形成された部材であり、ウェーハ本体部81と中心が略等しくなるように設けられている。
【0028】
また、異物除去部82の下面82aは、異物除去工程にて異物除去用ウェーハ80が座ぐり10内に載置された際に、当該座ぐり10内に存する異物(例えば、メタルやパーティクル等)を除去でき、且つ、異物除去用ウェーハ80が座ぐり10内から取り除かれる際に、異物を保持した状態で剥離できるような材料から構成されている。
【0029】
以下に、本発明に係るシリコンウェーハの製造方法が適用されたシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法ついて、図1を用いて説明する。
【0030】
先ず、反応容器2のメンテナンス或いは部品交換等の作業により反応容器2内が大気に曝された後に、シリコンエピタキシャル層の気相成長を開始する前に行う気相成長前処理について説明する。
【0031】
<異物除去工程>
気相成長前処理においては、先ず、異物除去工程を行う(ステップS1)。この工程では、室温において、窒素(N2)ガスを導入することで窒素雰囲気とした反応容器2内に配置されたサセプタ1の座ぐり10上に、異物除去用ウェーハ80を図示しないハンドラ等の搬送機構により搬送する。より具体的には、搬送機構は、異物除去用ウェーハ80をその中心軸が座ぐり10の中心軸と同軸上に位置するように座ぐり10内に搭載する。
所定時間経過した後、搬送機構によって異物除去用ウェーハ80を座ぐり10内から取り除く。このとき、異物除去部82の下面82aは、座ぐり10内の異物を保持した状態となり、これにより前記異物を座ぐり10内から適正に除去できる。
【0032】
<熱処理工程>
次に、反応容器2内を熱処理温度(例えば1190℃程度)となるまで加熱装置4にて加熱(昇温)し(ステップS2)、続けて、熱処理工程を行う(ステップS3)。この工程では、反応容器2内に水素(H2)ガスを導入しながら反応容器2内のベークを行う(ステップS31)。すなわち、反応容器2内を加熱することで、反応容器2の内部に存する水分を蒸発させる。このとき、熱処理工程の前に異物除去工程を行って異物を除去しているので、異物としてのメタルが座ぐり10の内部に拡散してサセプタ1を汚染することを防止できる。
また、蒸発した水分を含む反応容器2内の雰囲気は、反応容器2内に導入される水素ガスによって排気路7から押し出され、これにより、反応容器2内の水分を除去することができる。
【0033】
次に、反応容器2内に塩化水素(HCl)ガスを導入することにより、HCl処理を行う(ステップS32)。
異物除去工程にてサセプタ1上の異物を除去しているので、異物としてのメタルが塩化水素とサセプタ1上にて反応することで炭化珪素に穴を生じさせてサセプタ1内部の炭素等をサセプタ1の表面に露出させることなく、塩化水素ガスにより反応容器2内の水分をより適正に除去することができる。
【0034】
<サセプタ被覆工程>
反応容器2内の各部のベアな表面が露出した状態のままシリコンエピタキシャル層の気相成長を開始すると、反応容器2内の各部から放散する不純物のためにシリコンエピタキシャル層の品質に悪影響を及ぼすことがある。
このため、HCl処理の後に、サセプタ被覆工程を行う(ステップS4)。この工程では、反応容器2内を成長温度と同じ温度に設定し、反応容器2内にシリコン原料ガスを導入することにより、サセプタ1の表面を例えばポリシリコンで薄く被覆する。ここで、サセプタ被覆工程の前に熱処理工程を行って反応容器2内の水分を除去しているので、水分とシリコン原料ガスとの反応に基づく例えば酸化珪素(SiO2)等の固形反応副生成物が反応容器2の内壁に付着することを抑制することができる。
【0035】
次に、反応容器2内をシリコン単結晶基板Wの投入温度まで降温する(ステップS5)。
このようにして気相成長前処理を行った後、以下のようにしてシリコンエピタキシャル層の気相成長を行う。
【0036】
具体的には、先ず、基板投入温度(例えば650℃程度)に設定した反応容器2内に、ロードロック室を介して搬送されたシリコン単結晶基板Wを投入し、当該シリコン単結晶基板Wをその主表面を上向きにしてサセプタ1の座ぐりに載置する(ステップS6)。
次に、反応容器2内を水素熱処理温度(例えば1100〜1180℃程度)に加熱(昇温)し(ステップS7)、水素熱処理を行うことによりシリコン単結晶基板W表面の自然酸化膜を水素によりエッチングして除去する(ステップS8)。
次に、反応容器2内を成長温度(例えば1060〜1150℃程度)に設定し、ガス導入路5を介して反応容器2内に導入したシリコン原料ガス(例えばトリクロロシラン等)をシリコン単結晶基板Wの主表面上に供給する。
これにより、シリコン単結晶基板Wの主表面上にシリコンエピタキシャル層を気相成長させてシリコンエピタキシャルウェーハとなす(ステップS9)。
次に、反応容器2内を取出温度(例えば上記の基板投入温度と同じく650℃程度)に冷却(降温)し(ステップS10)、この反応容器2内からシリコンエピタキシャルウェーハを取り出す(ステップS11)。
【0037】
上記の各工程(ステップS6〜ステップS11)を繰り返すことにより、順次シリコンエピタキシャルウェーハを製造することができる。
【0038】
ここで、反応容器2内を大気に曝した直後の気相成長前処理で行った熱処理(ステップS3)中に排出された雰囲気ガスの水分濃度を図5に示す。
水分濃度の検知には、排気路7に設けられた水分濃度計を使用した。
【0039】
図5に示すように、反応容器2内を大気に曝した直後に行った熱処理(ステップS3)中に排出された雰囲気ガスの水分濃度は、10ppma(parts per million atomic)以上あった。図5の表示では、水分濃度の最大値は10ppmaとなっているが、これは測定に使用した水分濃度計の測定可能な上限が10ppmaであるためである。実際には、10ppma以上の水分が排出されているのは、図の形状から明らかである。
一方、気相成長前処理終了直後のシリコンエピタキシャル層の気相成長時に排出された雰囲気ガスの水分濃度は約2ppmaであった。よって、気相成長前処理にて反応容器2内の水分を確実に除去できることが確認された。
【0040】
反応容器2内に水分が多く存在した状態で、シリコンエピタキシャル層の気相成長を行った場合には、固形反応副生成物が排気路7中に堆積する。しかしながら、本実験においては、固形反応副生成物の排気路7への堆積が検出されなかった。従って、気相成長前処理における水分除去が適正に行われたと判断できる。
【0041】
以上のような実施の形態によれば、反応容器2のメンテナンス、部品交換等が行われた後、シリコンエピタキシャル層の気相成長を開始する前に、異物除去工程にて、異物除去用ウェーハ80によりサセプタ1の座ぐり10に付着した異物を除去できる。そして、その後に熱処理工程を行うことにより、サセプタ1を汚染させることなく反応容器2内の水分除去を適正に行うことができる。
従って、反応容器2内をシリコンエピタキシャル層の気相成長に最適な状態とすることができるので、シリコンエピタキシャルウェーハの製造を適正に行うことができる。
【0042】
なお、上記の実施の形態では、シリコンウェーハとしてシリコンエピタキシャルウェーハを例示したが、これに限られるものではなく、シリコンウェーハであれば如何なるウェーハであっても良い。また、シリコンウェーハを製造する装置として枚葉式の気相成長装置100を例示したが、これに限られるものではなく、バッチ式の気相成長装置であっても良い。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、反応容器内が大気に曝された後、シリコン薄膜の気相成長を開始する前に、サセプタに付着した異物、例えばメタルを確実に除去できる。従って、熱処理工程を行う際に、メタルをサセプタ内部に拡散させてサセプタを汚染させることが抑制され、反応容器内の水分除去を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリコンウェーハの製造方法が適用された好適な一例としてのシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の各工程を説明するための図である。
【図2】気相成長装置を示す模式的な正面断面図である。
【図3】気相成長装置に備わるサセプタの好適な一例を示す正面断面図である。
【図4】異物除去用ウェーハの一例を示す図であり、このうち(a)は正面断面図、(b)は異物除去用ウェーハをサセプタに配置した状態を示す図である。
【図5】反応容器内から排出された雰囲気ガス中の水分濃度を示す図である。
【符号の説明】
1 サセプタ
2 反応容器
10 座ぐり
80 異物除去用ウェーハ
100 気相成長装置
W シリコン単結晶基板(半導体基板)
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウェーハの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、気相成長装置に備わる反応容器の内部において、サセプタ上に載置された半導体基板の表面上にシリコン薄膜を気相成長させてシリコンウェーハを製造する方法が知られている。
【0003】
シリコンウェーハの製造においては、反応容器の洗浄等のメンテナンス或いは部品交換の作業が行われ、これらの作業のために反応容器内が大気に曝された場合、反応容器の内部に配置されたサセプタ等に異物(例えば、メタルやパーティクル等)が付着することがある。また、部品交換等の作業においては、異物が交換部品に付着した状態で反応容器内に持ち込まれることがある。これらの場合、異物がサセプタ上に載置された半導体基板にも付着してシリコン薄膜の気相成長等に悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
そこで、反応容器のメンテナンス或いは部品交換が行われて反応容器内が大気に曝された後、シリコン薄膜の気相成長を再開する前には、サセプタの表面を塩化水素ガスとともに熱処理することで、サセプタに付着した異物を除去する。
【0005】
一方、半導体基板の表面上にシリコン薄膜を気相成長するためには、例えばトリクロロシラン等のシリコン原料ガスを反応容器内に供給するが、この場合には、反応容器の内部に水分がほとんど存在しない状態となっている必要がある。
すなわち、反応容器のメンテナンス或いは部品交換において、反応容器内が大気に曝された場合には、水分を含んだ反応容器外の雰囲気が反応容器内に流入してしまう。反応容器内に存在する水分とシリコン原料ガスとが反応することで例えば酸化珪素等の固形反応副生成物を生じ、これが反応容器の内壁等に付着する。固形反応副生成物は、内壁から剥がれ落ちたりして半導体基板上に付着すると、気相成長されるシリコン薄膜に結晶欠陥を引き起こしてしまう。また、固形反応副生成物によって加熱用のランプの光が遮られると、気相成長中のシリコンウェーハの温度均一性が悪くなる。
この場合には、反応容器のクリーニングを行って固形反応副生成物を取り除く必要があるため、シリコンウェーハの生産性を大きく低下させてしまう。
そこで、反応容器のメンテナンス或いは部品交換が行われた後、シリコン薄膜の気相成長を再開する前には、反応容器内部の雰囲気を水素にて置換してベーキング(baking)を行い、反応容器内の水分を除去する。
【0006】
また、反応容器内に配置されたサセプタに半導体基板を載置して、反応容器内をシリコン薄膜の成長温度よりも高い温度に加熱し、半導体基板表面の自然酸化膜を塩化水素ガスでエッチング除去した後、気相成長を行うシリコン薄膜のエピタキシャル成長方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−301589号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
反応容器内の水分を除去するために水素雰囲気中でベーキングを行う場合、サセプタ上にメタルが付着していると、加熱によりサセプタの内部にメタルが拡散するため、その後に、塩化水素ガスとともに熱処理しても一旦拡散したメタルを完全に除去することは困難である。この結果、サセプタの汚染、ひいては半導体基板の汚染を引き起こしてしまう。
また、例えば炭化珪素で被覆されたグラファイトから構成されたサセプタの場合、サセプタ上にメタルが存すると、塩化水素ガスを供給しながら行う熱処理の際に、塩化水素とメタルとがサセプタ上にて反応することで炭化珪素に穴が生じてしまうことがある。この場合、サセプタ内部の炭素等がサセプタの表面に露出して、サセプタ上に載置された半導体基板を汚染してしまう。
【0009】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、反応容器のメンテナンス、部品交換等が行われて反応容器内が大気に曝された後、シリコン薄膜の気相成長を開始する前に、サセプタのクリーニングを適正に行うことができるシリコンウェーハの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ロードロック室を介して搬送され反応容器内のサセプタ上に載置された半導体基板の表面上にシリコン薄膜を気相成長させてシリコンウェーハを製造する方法において、前記反応容器内が大気に曝された後、異物除去用ウェーハを前記サセプタ上に載置して前記サセプタ上に存する異物を除去する異物除去工程と、前記異物除去工程の後で、且つ、前記反応容器内にシリコン原料ガスを供給する前に、前記反応容器内を加熱する熱処理工程と、を行うことを特徴としている。
【0011】
前記サセプタが、シリコン薄膜が気相成長される半導体基板を支持するために形成された座ぐりを有する場合、前記異物除去工程で、前記異物除去用ウェーハを前記座ぐり内に載置して、前記座ぐり内に存する異物を除去することが望ましい。
【0012】
また、前記熱処理工程中に、前記サセプタの表面に塩化水素ガスを供給するのが好ましい。
【0013】
また、前記熱処理工程の後に、前記反応容器内にシリコン原料ガスを供給して前記サセプタの表面を珪素で被覆するサセプタ被覆工程を行い、その後、前記半導体基板の表面上にシリコン薄膜を形成する気相成長を開始することが望ましい。
【0014】
本発明によれば、反応容器内が大気に曝された後、シリコン薄膜の気相成長を開始する前(気相成長前処理)に、サセプタ上に付着した異物、例えばメタルを確実に除去できる。従って、熱処理工程を行う際に、メタルがサセプタの内部に拡散することによるサセプタの汚染が抑制され、サセプタのクリーニングを適正に行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。
【0016】
本実施の形態では、本発明に係るシリコンウェーハの製造方法を、シリコンエピタキシャルウェーハの製造に適用した場合について説明する。
【0017】
先ず、図2を参照して、本実施の形態のシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法に使用する気相成長装置の好適な一例としての枚葉式の気相成長装置100の構成について説明する。
【0018】
気相成長装置100は、気相成長の際に半導体基板としてのシリコン単結晶基板Wを支持する円盤状のサセプタ1と、サセプタ1が略水平状態で内部に配される反応容器2と、サセプタ1を下面側から支持して回転駆動するサセプタ支持部材3と、反応容器2内を加熱するための例えば、ハロゲンランプ等の加熱装置4と、シリコン原料ガスを反応容器2内のサセプタ1の上側領域に導入してこのサセプタ1上のシリコン単結晶基板Wの主表面上に供給するガス導入路5と、反応容器2に対しこのガス導入路5と同じ側に設けられパージガスを反応容器2内のサセプタ1の下側領域に導入するパージガス導入路6と、これら反応ガス導入路5及びパージガス導入路6に対し反応容器2の逆側に設けられ反応容器2からガスを排気する排気路7とを備えて概略構成されている。
【0019】
また、気相成長装置100は、ロードロック室(図示略)を備え、このロードロック室と反応容器2との間でシリコン単結晶基板W及びシリコンエピタキシャルウェーハを所定の搬送機構(図示略)により搬送可能となっている。これにより、シリコン単結晶基板Wの反応容器2内に対する搬入及び反応容器2内からのシリコンエピタキシャルウェーハの搬出の際に、反応容器2内が大気に曝されないようになっている。
【0020】
ここで、サセプタ1について図3を参照してさらに詳細に説明する。
図3に示すように、サセプタ1の主表面には、内部に、シリコン薄膜としてシリコンエピタキシャル層が気相成長されるシリコン単結晶基板Wが載置される座ぐり10が形成されている。
座ぐり10は、シリコン単結晶基板Wを支持し、座ぐり10の中心がサセプタ1の中心と略等しくなるように形成されている。
【0021】
上記のようなサセプタ1は、例えば、炭化珪素で被覆されたグラファイトから構成されている。
【0022】
このように構成された気相成長装置100を用いて、シリコン単結晶基板Wの主表面上にシリコンエピタキシャル層を気相成長させることでシリコンエピタキシャルウェーハを製造できる。
【0023】
ところで、気相成長を繰り返すうちに、やがて、例えば酸化珪素(SiO2)やポリシリコン等の固形反応副生成物が反応容器2内部に付着してしまう等の理由により、反応容器2の洗浄等のメンテナンス、或いは、反応容器2並びにサセプタ1の交換等の作業を行う必要が生じる。この際には、ロードロック室が大気開放されることに基づき反応容器2内が大気に曝されるため、反応容器2の内部に容器外の雰囲気とともに異物が流入してしまい、反応容器2内部に配置されたサセプタ1に異物が付着する。そして、サセプタ1に異物が付着した状態で、シリコンエピタキシャルウェーハの製造を行うと、サセプタ1上に配置されたシリコン単結晶基板Wにも異物が付着してシリコンエピタキシャル層の気相成長等に悪影響を及ぼすことがある。
【0024】
また、反応容器2内を大気に曝すことにより、内部に流入した反応容器2外の雰囲気に含まれる水分が、反応容器2の内壁等に吸着してしまう。その後、対策を何ら施さずに気相成長を開始すると、水分とシリコン原料ガスとが反応することで酸化珪素或いはポリシリコン等の固形反応副生成物を生じ、これが反応容器2の内壁等に付着する。固形反応副生成物は、内壁から剥がれ落ちたりしてシリコン単結晶基板W上に付着すると、気相成長されるシリコンエピタキシャル層に結晶欠陥を引き起こしてしまう。また、固形反応副生成物によって加熱装置4からの光が遮られると、気相成長中のシリコンエピタキシャルウェーハの温度均一性が悪くなる。
そこで、反応容器2のメンテナンス或いは部品交換の作業により反応容器2内が大気に曝された後、シリコンエピタキシャル層の気相成長を開始する前には、反応容器2内をベーク(bake、図1におけるステップS31)して、反応容器2内に存する水分を除去する。
しかしながら、反応容器2内のベークにおいて、上記のようにしてサセプタ1上に異物としてメタルが付着していると、メタルがサセプタ1内部に拡散してしまう。この場合には、ベーク後に塩化水素(HCl)ガスを伴った熱処理(図1におけるステップS32)を行っても、サセプタ1内部に一旦拡散したメタルを完全に除去することは困難であり、この結果、サセプタ1の汚染、ひいてはシリコン単結晶基板Wの汚染を引き起こしてしまう。
【0025】
上記のようなことを防止するため、本実施の形態では、反応容器2内を大気に曝した後にシリコンエピタキシャル層の気相成長を開始する前に、例えば図1に示すように、先ず、サセプタ1に形成された座ぐり10上に異物除去用ウェーハを搬送して異物除去工程(ステップS1)を行うことにより、前記サセプタ1上、特に座ぐり10内に存する異物を除去する。
【0026】
ここで、異物除去用ウェーハ80の構成について、図4を参照して説明する。図4に示すように、異物除去用ウェーハ80は、ウェーハ本体部81の裏面側に異物除去部82が装着されてなる。
ウェーハ本体部81は、シリコン単結晶基板Wと略同形状、すなわち略円板状に形成され、このウェーハ本体部81としては、例えばシリコン単結晶基板が適用可能である。
【0027】
異物除去部82は、略円板状に形成された部材であり、ウェーハ本体部81と中心が略等しくなるように設けられている。
【0028】
また、異物除去部82の下面82aは、異物除去工程にて異物除去用ウェーハ80が座ぐり10内に載置された際に、当該座ぐり10内に存する異物(例えば、メタルやパーティクル等)を除去でき、且つ、異物除去用ウェーハ80が座ぐり10内から取り除かれる際に、異物を保持した状態で剥離できるような材料から構成されている。
【0029】
以下に、本発明に係るシリコンウェーハの製造方法が適用されたシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法ついて、図1を用いて説明する。
【0030】
先ず、反応容器2のメンテナンス或いは部品交換等の作業により反応容器2内が大気に曝された後に、シリコンエピタキシャル層の気相成長を開始する前に行う気相成長前処理について説明する。
【0031】
<異物除去工程>
気相成長前処理においては、先ず、異物除去工程を行う(ステップS1)。この工程では、室温において、窒素(N2)ガスを導入することで窒素雰囲気とした反応容器2内に配置されたサセプタ1の座ぐり10上に、異物除去用ウェーハ80を図示しないハンドラ等の搬送機構により搬送する。より具体的には、搬送機構は、異物除去用ウェーハ80をその中心軸が座ぐり10の中心軸と同軸上に位置するように座ぐり10内に搭載する。
所定時間経過した後、搬送機構によって異物除去用ウェーハ80を座ぐり10内から取り除く。このとき、異物除去部82の下面82aは、座ぐり10内の異物を保持した状態となり、これにより前記異物を座ぐり10内から適正に除去できる。
【0032】
<熱処理工程>
次に、反応容器2内を熱処理温度(例えば1190℃程度)となるまで加熱装置4にて加熱(昇温)し(ステップS2)、続けて、熱処理工程を行う(ステップS3)。この工程では、反応容器2内に水素(H2)ガスを導入しながら反応容器2内のベークを行う(ステップS31)。すなわち、反応容器2内を加熱することで、反応容器2の内部に存する水分を蒸発させる。このとき、熱処理工程の前に異物除去工程を行って異物を除去しているので、異物としてのメタルが座ぐり10の内部に拡散してサセプタ1を汚染することを防止できる。
また、蒸発した水分を含む反応容器2内の雰囲気は、反応容器2内に導入される水素ガスによって排気路7から押し出され、これにより、反応容器2内の水分を除去することができる。
【0033】
次に、反応容器2内に塩化水素(HCl)ガスを導入することにより、HCl処理を行う(ステップS32)。
異物除去工程にてサセプタ1上の異物を除去しているので、異物としてのメタルが塩化水素とサセプタ1上にて反応することで炭化珪素に穴を生じさせてサセプタ1内部の炭素等をサセプタ1の表面に露出させることなく、塩化水素ガスにより反応容器2内の水分をより適正に除去することができる。
【0034】
<サセプタ被覆工程>
反応容器2内の各部のベアな表面が露出した状態のままシリコンエピタキシャル層の気相成長を開始すると、反応容器2内の各部から放散する不純物のためにシリコンエピタキシャル層の品質に悪影響を及ぼすことがある。
このため、HCl処理の後に、サセプタ被覆工程を行う(ステップS4)。この工程では、反応容器2内を成長温度と同じ温度に設定し、反応容器2内にシリコン原料ガスを導入することにより、サセプタ1の表面を例えばポリシリコンで薄く被覆する。ここで、サセプタ被覆工程の前に熱処理工程を行って反応容器2内の水分を除去しているので、水分とシリコン原料ガスとの反応に基づく例えば酸化珪素(SiO2)等の固形反応副生成物が反応容器2の内壁に付着することを抑制することができる。
【0035】
次に、反応容器2内をシリコン単結晶基板Wの投入温度まで降温する(ステップS5)。
このようにして気相成長前処理を行った後、以下のようにしてシリコンエピタキシャル層の気相成長を行う。
【0036】
具体的には、先ず、基板投入温度(例えば650℃程度)に設定した反応容器2内に、ロードロック室を介して搬送されたシリコン単結晶基板Wを投入し、当該シリコン単結晶基板Wをその主表面を上向きにしてサセプタ1の座ぐりに載置する(ステップS6)。
次に、反応容器2内を水素熱処理温度(例えば1100〜1180℃程度)に加熱(昇温)し(ステップS7)、水素熱処理を行うことによりシリコン単結晶基板W表面の自然酸化膜を水素によりエッチングして除去する(ステップS8)。
次に、反応容器2内を成長温度(例えば1060〜1150℃程度)に設定し、ガス導入路5を介して反応容器2内に導入したシリコン原料ガス(例えばトリクロロシラン等)をシリコン単結晶基板Wの主表面上に供給する。
これにより、シリコン単結晶基板Wの主表面上にシリコンエピタキシャル層を気相成長させてシリコンエピタキシャルウェーハとなす(ステップS9)。
次に、反応容器2内を取出温度(例えば上記の基板投入温度と同じく650℃程度)に冷却(降温)し(ステップS10)、この反応容器2内からシリコンエピタキシャルウェーハを取り出す(ステップS11)。
【0037】
上記の各工程(ステップS6〜ステップS11)を繰り返すことにより、順次シリコンエピタキシャルウェーハを製造することができる。
【0038】
ここで、反応容器2内を大気に曝した直後の気相成長前処理で行った熱処理(ステップS3)中に排出された雰囲気ガスの水分濃度を図5に示す。
水分濃度の検知には、排気路7に設けられた水分濃度計を使用した。
【0039】
図5に示すように、反応容器2内を大気に曝した直後に行った熱処理(ステップS3)中に排出された雰囲気ガスの水分濃度は、10ppma(parts per million atomic)以上あった。図5の表示では、水分濃度の最大値は10ppmaとなっているが、これは測定に使用した水分濃度計の測定可能な上限が10ppmaであるためである。実際には、10ppma以上の水分が排出されているのは、図の形状から明らかである。
一方、気相成長前処理終了直後のシリコンエピタキシャル層の気相成長時に排出された雰囲気ガスの水分濃度は約2ppmaであった。よって、気相成長前処理にて反応容器2内の水分を確実に除去できることが確認された。
【0040】
反応容器2内に水分が多く存在した状態で、シリコンエピタキシャル層の気相成長を行った場合には、固形反応副生成物が排気路7中に堆積する。しかしながら、本実験においては、固形反応副生成物の排気路7への堆積が検出されなかった。従って、気相成長前処理における水分除去が適正に行われたと判断できる。
【0041】
以上のような実施の形態によれば、反応容器2のメンテナンス、部品交換等が行われた後、シリコンエピタキシャル層の気相成長を開始する前に、異物除去工程にて、異物除去用ウェーハ80によりサセプタ1の座ぐり10に付着した異物を除去できる。そして、その後に熱処理工程を行うことにより、サセプタ1を汚染させることなく反応容器2内の水分除去を適正に行うことができる。
従って、反応容器2内をシリコンエピタキシャル層の気相成長に最適な状態とすることができるので、シリコンエピタキシャルウェーハの製造を適正に行うことができる。
【0042】
なお、上記の実施の形態では、シリコンウェーハとしてシリコンエピタキシャルウェーハを例示したが、これに限られるものではなく、シリコンウェーハであれば如何なるウェーハであっても良い。また、シリコンウェーハを製造する装置として枚葉式の気相成長装置100を例示したが、これに限られるものではなく、バッチ式の気相成長装置であっても良い。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、反応容器内が大気に曝された後、シリコン薄膜の気相成長を開始する前に、サセプタに付着した異物、例えばメタルを確実に除去できる。従って、熱処理工程を行う際に、メタルをサセプタ内部に拡散させてサセプタを汚染させることが抑制され、反応容器内の水分除去を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリコンウェーハの製造方法が適用された好適な一例としてのシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の各工程を説明するための図である。
【図2】気相成長装置を示す模式的な正面断面図である。
【図3】気相成長装置に備わるサセプタの好適な一例を示す正面断面図である。
【図4】異物除去用ウェーハの一例を示す図であり、このうち(a)は正面断面図、(b)は異物除去用ウェーハをサセプタに配置した状態を示す図である。
【図5】反応容器内から排出された雰囲気ガス中の水分濃度を示す図である。
【符号の説明】
1 サセプタ
2 反応容器
10 座ぐり
80 異物除去用ウェーハ
100 気相成長装置
W シリコン単結晶基板(半導体基板)
Claims (4)
- ロードロック室を介して搬送され反応容器内のサセプタ上に載置された半導体基板の表面上にシリコン薄膜を気相成長させてシリコンウェーハを製造する方法において、
前記反応容器内が大気に曝された後、異物除去用ウェーハを前記サセプタ上に載置して前記サセプタ上に存する異物を除去する異物除去工程と、
前記異物除去工程の後で、且つ、前記反応容器内にシリコン原料ガスを供給する前に、前記反応容器内を加熱する熱処理工程と、を行うことを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。 - 前記サセプタは、シリコン薄膜が気相成長される半導体基板を支持するために形成された座ぐりを有し、
前記異物除去工程で、前記異物除去用ウェーハを前記座ぐり内に載置して、前記座ぐり内に存する異物を除去することを特徴とする請求項1に記載のシリコンウェーハの製造方法。 - 前記熱処理工程中に、前記サセプタの表面に塩化水素ガスを供給することを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコンウェーハの製造方法。
- 前記熱処理工程の後に、前記反応容器内にシリコン原料ガスを供給して前記サセプタの表面を珪素で被覆するサセプタ被覆工程を行い、その後、前記半導体基板の表面上にシリコン薄膜を形成する気相成長を開始することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリコンウェーハの製造方法。
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