JP2018186252A - エピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法 - Google Patents

エピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法

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Abstract

【課題】SiC基板表面に付着したSiCパーティクルを除去し、且つ、エピタキシャル成長中に発生するSiCパーティクルの付着も防止でき、結晶薄膜に種々の結晶欠陥が生じることを抑制可能なエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法を提供する。【解決手段】SiC基板60を反応容器12内に収容し、減圧又は大気圧雰囲気中でSiC基板60上に結晶薄膜70をエピタキシャル成長させるエピタキシャルチャンバ1と、反応容器12内にSiC基板60を搬送する搬送機構2と、反応容器12に、SiC基板60の表面及び反応容器12の内壁面11に存在する、これらとは面方位が異なるSiCを選択的にエッチングして除去するためのエッチングガスG1を供給するエッチングガス供給ライン3と、反応容器12に、SiC基板60上に結晶薄膜70をエピタキシャル成長させる成膜原料ガスG2を供給する成膜原料ガス供給ライン4と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、エピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法に関するものである。
近年、SiCや窒化ガリウム、窒化アルミニウム、ダイヤモンド等のワイドバンドギャップ半導体(WBGS)は、その物理的、化学的並びに電気的特性から、高温・高耐圧・低損失のパワー半導体素子や超高速スイッチング素子等、シリコンでは実現不可能な高性能半導体素子の材料として注目を浴びている。例えば、スイッチング電源や大出力モータ駆動用インバータに搭載される能動素子材料として、上記のSiCや窒化ガリウムが用いられるようになっている。
また、上記のような優れた特長を発揮させるため、結晶格子の整合がしやすく且つ熱伝導性に優れるSiC基板上に、上記のWBGSをエピタキシャル成長させて結晶薄膜を得る方法が、各種デバイスの活性層を得る方法として用いられるようになっている。一方、WBGSがエピタキシャル成長した薄膜内に、物理的・電気的な特性を悪化させる種々の結晶欠陥が発生するという問題も生じている。
上記のようなエピタキシャル薄膜内の欠陥としては、例えば、SiC基板から引き継がれた欠陥の他、SiC基板とエピタキシャル膜の界面において発生したものも挙げられる。特に、SiCの結晶格子の最密面を表面として、その表面上にステップ制御エピタキシー法を用いてホモエピタキシャル膜を形成する際には、基底面転位(BPD)や貫通転位(TD)、積層欠陥(SF)が発生することが問題となっている。
上述したSiC基板とエピタキシャル膜の界面において発生する欠陥の原因としては、主として、SiC基板の表面における格子の歪や、パーティクルの付着が挙げられる。SiC基板に付着したパーティクルは、基板表面とは異なる面方位や結晶多形を露出し、あるいは、基板表面におけるステップ制御エピタキシーを阻むことから、上記のBPD,TD,SFのような構造的な格子欠陥を発生させてしまう。
例えば、SiC基板を研削や研磨加工する場合、結晶表面に結晶格子のひずみや異方性を有する結晶面が生じるか、あるいは、基板表面に、加工時に発生したSiCパーティクルが付着する可能性がある。
また、SiC基板の端面が治具等と接触してマイクロクラックが生じ、そこからSiCパーティクルが飛散する可能性もある。
また、図4(a)に示すように、SiC基板160をエピタキシャル成長装置に収容して載置する際、エピタキシャルチャンバ100の内壁面に前工程で成長したSiCが付着していることがある。このような場合には、内壁面に付着したSiCが機械的振動や圧力変化によって剥離し、SiCのパーティクルPとなってSiC基板160の表面に付着する可能性がある。そして、図4(b)に示すように、SiC基板160の表面にエピタキシャル成長する結晶薄膜170内に、パーティクルPを起点とする各種の欠陥Dを発生させるおそれがある。
さらに、SiC基板の研磨加工等によって生じたひずみやクラックを完全に除去したとしても、大気環境中にSiC基板を曝している間に、基板表面にダストが付着することは避けられない。
上記のようなパーティクルの付着に起因する問題に対する対策としては、例えば、エピタキシャル成長装置への収容前にSiC基板の表面を洗浄する方法、SiC基板が露出する環境を清浄化する方法、エピタキシャル成長装置内を清浄化するか、あるいは基板載置方法を工夫することで、装置内でのパーティクル付着を抑制する方法等、各種の方法が提案されている。
例えば、SiC基板の表面に酸化膜を形成する工程と、酸化膜を除去する工程とを備え、酸化膜を形成する工程において、30ppm以上の濃度を有するオゾン水を用いて酸化膜を形成する炭化珪素半導体の洗浄方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の洗浄方法においては、酸化膜を形成する工程において、SiC基板の表面及びオゾン水の少なくとも一方を加熱する手順を含むことで洗浄効果を発現させている。
また、反応容器の内部に基体を設置するための基体ホルダと、この基体ホルダを回転運動又は往復運動させるための軸と、これを支持する軸受とを備え、基体の外周面上に堆積膜を形成させた後に反応容器の内部にクリーニング性ガスを導入し、軸を回転運動又は往復運動させながらクリーニング処理を行い、クリーニング処理中に軸の回転運動又は往復運動の駆動状態を変化させる堆積膜形成方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2に記載の技術によれば、上記方法を採用することで、均一な堆積膜を安価且つ安定して製造可能であるとされている。
また、基板の処理室と、基板を保持して処理室内外に搬送される基板保持具と、基板保持具への基板の装填又は基板保持具からの基板の脱装が行われる移載室と、移載室内の基板保持具に不活性ガスを噴射する不活性ガス供給機構とを備え、不活性ガスを噴射するノズルが、上方から下方に向かって角度を設けながら不活性ガスを噴射する構成とされた基板処理装置が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。特許文献3に記載の基板処理装置によれば、処理室内の異物を低減することで、基板処理の品質を向上させ、生産歩留りを改善できるとされている。
国際公開第2011/158529号 特開2013−108148号公報 特開2013−105948号公報
上記のように、従来、SiC基板へのパーティクルの付着を防止する技術として、SiC基板を装置に挿入する前にエピタキシャル成長装置内の環境を清浄化する方法や、SiC基板上のパーティクルを除去する方法(特許文献1)、エピタキシャル成長装置内のパーティクルを除去しながら成膜する方法(特許文献2)、並びに、エピタキシャル成長装置内におけるパーティクル付着を抑制する方法(特許文献3)等が提案されている。一方、上記の各手段を個別に採用しても、薄膜のエピタキシャル成長の直前にSiC基板表面からパーティクルを除去した状態にすることは困難であった。ここで、上記の手段を全て組み合わせれば、エピタキシャル成長の直前においてSiC基板表面からパーティクルを除去した状態にできると考えられるが、この場合には、装置が大型化するとともにコストアップが避けられず、工業生産上、現実的ではないという問題がある。
また、仮に基板表面や装置内を清浄化したとしても、装置内においてSiC基板を機械的に搬送した場合には、新たなパーティクルが発生して基板表面に付着することは回避し難いことから、エピタキシャル成長を行う直前に、完全にパーティクルフリーなSiC基板の表面を得る方法は、これまで提案されていなかった。即ち、エピタキシャル成長装置内にSiC基板を収容してエピタキシャル成長を行う際に、SiC基板表面のパーティクルと、エピタキシャル成長装置のパーティクル源の両方を除去する方法は、これまで提案されていなかった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、SiC基板の事前洗浄の有無やエピタキシャル成長装置内の清浄度に関わらず、エピタキシャル成長の直前にSiC基板表面に付着したSiCパーティクルを除去できるとともに、エピタキシャル成長中に発生するSiCパーティクルの付着も防止することができ、SiC基板とエピタキシャル成長する結晶薄膜との界面から種々の結晶欠陥が生じることを抑制可能なエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を包含する。
本発明は、SiC基板上に、Si、SiC、ダイヤモンド、GaN、AlGaN、又はAlNの内の何れか一種以上の結晶薄膜をエピタキシャル成長させるエピタキシャル成長装置であって、前記SiC基板を内部に収容するとともに、内壁面がSiCからなる反応容器を有し、減圧又は大気圧雰囲気中で前記SiC基板上に前記結晶薄膜をエピタキシャル成長させるエピタキシャルチャンバと、前記エピタキシャルチャンバの反応容器内に前記SiC基板を搬送する搬送機構と、前記エピタキシャルチャンバに接続され、前記反応容器に、前記SiC基板の表面及び前記反応容器の内壁面に存在する、該SiC基板及び内壁面とは面方位が異なるSiCを選択的にエッチングして除去するためのエッチングガスを供給するエッチングガス供給ラインと、前記エピタキシャルチャンバに接続され、前記反応容器に、前記SiC基板上に前記結晶薄膜をエピタキシャル成長させるための成膜原料ガスを供給する成膜原料ガス供給ラインと、を備えることを特徴とするエピタキシャル成長装置を提供する。
本発明によれば、上記のようなエピタキシャルチャンバ、搬送機構、エッチングガス供給ライン及び成膜原料ガス供給ラインを備えた構成を採用することにより、エピタキシャル成長の直前のみならず、エピタキシャル成長の工程中においても、随時、エッチング条件に切り替えることで、SiC基板及びエピタキシャルチャンバの内壁面を、常にパーティクルが除去されて清浄化された状態とすることができる。これにより、エピタキシャル成長した結晶薄膜中に、SiC基板表面のパーティクルに起因する結晶欠陥が発生するのを抑制することが可能になる。
また、本発明のエピタキシャル成長装置は、上記構成において、前記エッチングガス供給ラインが、前記エッチングガスとして、原子状酸素、酸素ラジカル、原子状フッ素、又はフッ素原子含有化合物の内の何れか一種以上を、前記エピタキシャルチャンバの反応容器に供給することが好ましい。
本発明によれば、エピタキシャルチャンバの反応容器に供給するエッチングガスとして、上記の各ガスの内の何れかを用いることで、SiC基板及びエピタキシャルチャンバの内壁面に存在するSiCのパーティクルを効果的にエッチングして除去することが可能になる。
また、本発明のエピタキシャル成長装置は、上記構成において、エッチングガス供給ライン及び前記エピタキシャルチャンバに、前記エッチングガスを励起させるエッチングガス励起機構が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、上記のエッチングガス励起機構が設けられた構成を採用することで、エピタキシャルチャンバの反応容器に供給されるエッチングガスにより、SiCのパーティクルをより効果的にエッチングして除去することが可能になる。
また、本発明のエピタキシャル成長装置は、上記構成において、前記エピタキシャルチャンバに、前記反応容器に供給された前記エッチングガスを前記パーティクルとともに外部に排出するエッチングガス排気ラインと、前記反応容器に供給された前記成膜原料ガスの余剰分を外部に排出する原料ガス排気ラインとが、それぞれ切り替え可能に接続されていることが好ましい。
本発明によれば、エピタキシャルチャンバに、エッチングガス排気ラインと原料ガス排気ラインとが切り替え可能に接続されていることで、エピタキシャル成長装置の運転形態を、SiCのパーティクルをエッチング除去する工程と、SiC基板上に結晶薄膜をエピタキシャル成長させる工程とを随時切り替えながら運転した場合であっても、ガス雰囲気を確実に入れ替えながら各工程を実施することが可能になる。
また、本発明は、上記の何れかに記載のエピタキシャル成長装置を用いて、SiC基板上に、Si、SiC、ダイヤモンド、GaN、AlGaN、又はAlNの内の何れか一種以上の結晶薄膜をエピタキシャル成長させるエピタキシャル成長方法であって、前記SiC基板を、エピタキシャルチャンバに備えられた、内壁面がSiCからなる反応容器内に収容した後、前記反応容器にエッチングガスを供給し、前記SiC基板の表面及び前記反応容器の内壁面に存在する、該SiC基板及び内壁面とは面方位が異なるSiCを選択的にエッチングして除去するエッチング工程と、前記エッチング工程に引き続き、前記反応容器内に前記SiC基板を収容した状態で、前記反応容器に成膜原料ガスを供給し、前記SiC基板上に前記結晶薄膜をエピタキシャル成長させるエピタキシャル工程と、を備えることを特徴とするエピタキシャル成長方法を提供する。
本発明によれば、上記のようなエッチング工程、及びエピタキシャル工程を備えた方法を採用することにより、上記同様、エピタキシャル工程の直前のみならず、エピタキシャル工程中においても、随時、エッチング工程に切り替えることで、SiC基板及びエピタキシャルチャンバの内壁面を、常にパーティクルが除去されて清浄化された状態とすることが可能になる。これにより、エピタキシャル成長した結晶薄膜中に、SiC基板表面のパーティクルに起因する結晶欠陥が発生するのを抑制することが可能になる。
また、本発明のエピタキシャル成長方法は、上記構成において、前記エッチング工程が、SiC結晶格子の最密面に対するエッチング速度を、該SiC結晶格子の最密面とは異なる他の結晶面に対するエッチング速度の0.8倍以下とすることが好ましい。
本発明によれば、エッチング工程において、各結晶面に対する結晶速度を上記関係に規定することで、SiC基板及びエピタキシャルチャンバの内壁面に存在する、SiCに由来したパーティクルを効果的に選択してエッチング除去できる。
また、本発明のエピタキシャル成長方法は、上記構成において、前記エッチング工程が、前記エッチングガスとして、原子状酸素及び/又は酸素ラジカルと、原子状フッ素及び/又はフッ素原子含有化合物とを、同時又は交互に前記エピタキシャルチャンバの反応容器に供給することが好ましい。
本発明によれば、エッチング工程においてエピタキシャルチャンバの反応容器に供給するエッチングガスの供給形態を、上記のような、各ガスの同時供給又は交互供給とすることで、SiC基板及びエピタキシャルチャンバの内壁面に存在するSiCに由来したパーティクルを、より効果的に選択しながらエッチング除去することが可能になる。
また、本発明のエピタキシャル成長方法は、上記構成において、前記エッチング工程が、前記SiC基板の温度及び前記反応容器の内壁面の温度を検出し、前記SiC基板の温度が前記内壁面の温度よりも100℃以上高いことを確認した後、前記エピタキシャルチャンバの反応容器に前記エッチングガスを供給することがより好ましい。
本発明によれば、エピタキシャル工程において、SiC基板の温度が内壁面の温度よりも100℃以上高いことを確認してからエッチングガスを供給することで、SiC基板及びエピタキシャルチャンバの内壁面に存在するSiCに由来したパーティクルを、さらに効果的に選択しながらエッチング除去することが可能になる。
本発明に係るエピタキシャル成長装置によれば、上記のような、SiC基板上に結晶薄膜をエピタキシャル成長させるエピタキシャルチャンバと、エピタキシャルチャンバ内にSiC基板を搬送する搬送機構と、エピタキシャルチャンバにエッチングガスを供給するエッチングガス供給ラインと、エピタキシャルチャンバに結晶薄膜の成膜原料ガスを供給する成膜原料ガス供給ラインとを備えた構成を採用している。このように、エピタキシャルチャンバにエッチングガス供給ライン及び成膜原料ガス供給ラインの両方が接続されることで、エピタキシャル成長前のみならず、エピタキシャル成長の工程中においても、随時、エッチング条件に切り替えることが可能になる。これにより、SiC基板及び反応容器の内壁面を常にパーティクルが除去されて清浄化された状態とすることできる。従って、エピタキシャル成長した結晶薄膜中に、パーティクルに起因する結晶欠陥が発生することを抑制し、物理的、化学的並びに電気的特性に優れた半導体素子を得ることが可能になる。
また、本発明に係るエピタキシャル成長方法によれば、エピタキシャルチャンバの反応容器内にSiC基板を収容した後、SiC基板の表面及び反応容器の内壁面に存在する面方位が異なるSiCを選択的にエッチング除去するエッチング工程と、反応容器内にSiC基板を収容した状態で成膜原料ガスを供給し、SiC基板上に結晶薄膜をエピタキシャル成長させるエピタキシャル工程とを備えた方法を採用している。このように、エピタキシャルチャンバの反応容器内にSiC基板を収容した状態で、エッチング工程及びエピタキシャル工程の両方を実施できる方法とすることで、上記同様、エピタキシャル工程の前に加え、エピタキシャル工程中においても、随時、エッチング工程に切り替えることが可能になる。これにより、SiC基板及び反応容器の内壁面を、常にパーティクルが除去されて清浄化した状態とすることができる。従って、エピタキシャル成長した結晶薄膜中に、パーティクルに起因する結晶欠陥が発生することを抑制し、物理的、化学的並びに電気的特性に優れた半導体素子を得ることが可能になる。
本発明の一実施形態であるエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法を模式的に説明する図であり、エピタキシャル成長装置の全体構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態であるエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法を模式的に説明する図であり、(a)は、エピタキシャルチャンバの反応容器に搬送・収容されたSiC基板の表面、及び、エピタキシャルチャンバの内壁面にパーティクルが付着した状態を示す概略図であり、(b)は、SiC基板の表面及びエピタキシャルチャンバの内壁面に付着したパーティクルが選択的にエッチング除去された状態を示す概略図である。 本発明の一実施形態であるエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法を模式的に説明する図であり、パーティクルが除去されたSiC基板上に、SiCからなる結晶薄膜をエピタキシャル成長させた状態を示す概略図である。 従来のエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法について説明する図である。
以下、本発明を適用した一実施形態であるエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法について、図1〜図3を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、その特徴をわかり易くするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
<SiC基板(及びエピタキシャルウエハ)>
図1中に示すように、本発明において、パーティクルを除去する被洗浄物であり、且つ、その表面に半導体材料からなる結晶薄膜70がエピタキシャル成長されるSiC基板60は、例えば、高温・高耐圧・低損失のパワー半導体素子や超高速スイッチング素子等、各種の半導体デバイスに用いられる半導体基板である。SiC基板60は、その両面の各々が特定の配向を有した表面とされており、少なくとも何れかの面に結晶薄膜70がエピタキシャル成長して形成される。
SiC基板60の材料としては、例えば、SiCパワー半導体素子の基板材料として一般的に用いられる、4H−SiCや6H−SiC等のSiCバルク単結晶が円板状にスライス加工されたものを用いることができる。この場合、例えば、SiC基板60の主表面、即ち結晶薄膜70がエピタキシャル成長される面が(0001)Si面とされるとともに、ステップ制御エピタキシャル成長法を実施するため、主表面が[11−20]方位に4度の微傾斜を有するものを用いることができる。
また、SiC基板60の口径は、本発明の効果に影響を及ぼさないことから、特に限定されないが、例えば、CREE社やII−VI社等から市販されている、4inchから6inchのものを用いることが好ましい。
また、本発明において、SiC基板60の表面に結晶薄膜70がエピタキシャル成長することで得られるエピタキシャルウエハ50(図3を参照)は、上記のような、各種の半導体デバイスを構成するものである。
<エピタキシャル成長装置>
本発明に係るエピタキシャル成長装置の一例について、以下に詳述する。
図1に例示するエピタキシャル成長装置(以下、単に成長装置と略称する場合がある)10は、SiC基板60上に、Si、SiC、ダイヤモンド、GaN、AlGaN、又はAlNの内の何れか一種以上の結晶薄膜70をエピタキシャル成長させることで、上述したエピタキシャルウエハ50を得る装置である。
そして、本実施形態の成長装置10は、反応容器12の内部に収容されたSiC基板60上に結晶薄膜70をエピタキシャル成長させるエピタキシャルチャンバ1と、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12の内部にSiC基板60を搬送する搬送機構2と、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12の内部にエッチングガスG1を供給するエッチングガス供給ライン3と、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12の内部に成膜原料ガスG2を供給する成膜原料ガス供給ライン4と、を備え、概略構成される。
エピタキシャルチャンバ1は、SiC基板60を、SiCからなる内壁面11を有した反応容器12内に収容し、減圧又は大気圧雰囲気中でSiC基板60上に結晶薄膜70をエピタキシャル成長させる成膜用のチャンバである。このような エピタキシャルチャンバ1としては、例えば、ステンレススチール製の真空チャンバを用いたコールドウォール型の熱CVD装置等を用いることができる。
エピタキシャルチャンバ1の内部には、断熱材13に囲まれるように配置され、カーボン材料等からなる反応容器12が設置されている。また、反応容器12の内壁面11は、SiCがCVDコートされた面とされているが、これは、反応容器12を構成する材料から不純物が析出するのを防止するためである。
また、図示例では、反応容器12内の下部に、表面にSiCがコーティングされたカーボンからなるサセプタ14が配置されており、このサセプタ14上にSiC基板60が水平状態で載置されている。また、図示を省略するが、反応容器12の下部には、例えば、リング状のカーボンコンポジット等からなる抵抗加熱ヒータが設置されており、サセプタ14及びその上に載置されるSiC基板60を加熱することが可能である。この抵抗加熱ヒータの温度は、例えば、ヒータの下部に配置された熱電対による温度測定値に基づいて制御することができ、SiC基板60の温度は、例えば、エピタキシャルチャンバ1の上部に配置される図示略の石英ガラス窓を介して放射温度計によって測定し、この温度測定に基づいて所定温度となるように制御することができる。
なお、反応容器12の内部は、詳細を後述するエッチングガス排気ライン7又は原料ガス排気ライン8に各々備えられる真空ポンプによって真空引きされることで、減圧雰囲気とすることが可能な構成とされている。
搬送機構2は、上記のように、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12内に向けて、外部からSiC基板60を搬送するものであり、図示例においては、後述するロードロックチャンバ9からエピタキシャルチャンバ1に向けてSiC基板60を搬送できるように構成されている。このような搬送機構2としては、詳細な図示を省略するが、例えば、ロボットアーム等からなる搬送手段を何ら制限無く採用することができる。
また、搬送機構2は、詳細な図示を省略するが、ロードロックチャンバ9とエピタキシャルチャンバ1とがゲートバルブ21を介して接続され、この内部を通過できるように構成されている。
より具体的には、搬送機構2は、ロードロックチャンバ9で予め洗浄されたSiC基板60をエピタキシャルチャンバ1の反応容器12内に搬送し、サセプタ14上に載置できるように構成される。この際、SiC基板60のハンドリング時の振動や圧力変化に伴うSiCのパーティクルP(図2(a)等参照)の付着を抑制するため、上記のように、搬送機構2をロボットアームから構成し、このようなロボットアームが装着されたロードロックチャンバ、又はエピタキシャルチャンバを採用することが好ましい。
エッチングガス供給ライン3は、エピタキシャルチャンバ1に接続され、反応容器12に、SiC基板60の表面及び内壁面11に存在する、これらSiC基板60及び内壁面11とは面方位が異なるSiCを選択的にエッチングして除去するためのエッチングガスG1を供給する。図示例においては、エッチングガス供給ライン3は、フッ素含有ガスG1aを供給するフッ素含有ガスライン31と、酸素含有ガスG1bを供給する酸素含有ガスライン32とから構成されている。
フッ素含有ガスライン31には、フッ素含有ガスG1aの供給量を調整するバルブ31aが備えられ、また、酸素含有ガスライン32には、酸素含有ガスG1bの供給量を調整するバルブ32aが備えられている。そして、フッ素含有ガスライン31と酸素含有ガスライン32とは、バルブ31a及びバルブ32aの各出口側で合流し、その下流側に、フッ素含有ガスG1aと酸素含有ガスG1bとを合わせたエッチングガスG1の全供給量を調整するためのマスフローコントローラー3aが設けられている。そして、マスフローコントローラー3aの出口側が、例えば、カーボン製チューブ等を介して、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12の上部に接続されるように構成される。
図1に示す例のエッチングガス供給ライン3においては、上記のように、エッチングガスG1として、フッ素含有ガスG1a及び/又は酸素含有ガスG1bを供給する構成とされているが、これには限定されない。エッチングガス供給ライン3からエピタキシャルチャンバ1に供給するエッチングガスG1としては、例えば、原子状酸素(酸素含有ガス)、酸素ラジカル、原子状フッ素、又はフッ素原子含有化合物(フッ素含有ガス)の内の何れか一種以上(単独又は複数である場合も含む)を、適宜選択して用いることが可能である。
フッ素含有ガスG1aとしては、特に限定されないが、例えば、F,COF,NF,CF,C,C,CHF等のフルオロカーボンガスの中から、何れか1つ以上を選択して用いることが好ましい。
また、酸素含有ガスG1bとしても、特に限定されないが、例えば、O,O,NO,NO,Hの中から何れか1つ以上を選択して用いることが好ましい。
本実施形態においては、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12に供給するエッチングガスG1として、上記の各ガスの内の何れかを用いることで、詳細を後述するように、SiC基板60及びエピタキシャルチャンバ1の内壁面11に存在する、SiCのパーティクルPを効果的にエッチングして除去することが可能になる。
なお、図示例におけるエッチングガス供給ライン3は、上記のように、フッ素含有ガスライン31と酸素含有ガスライン32とを合流させてから、エピタキシャルチャンバ1に接続するように構成されているが、これには限定されない。例えば、フッ素含有ガスライン31及び酸素含有ガスライン32の各々が、それぞれ個別にエピタキシャルチャンバ1に接続するように構成しても構わない。
成膜原料ガス供給ライン4は、上記のように、エピタキシャルチャンバ1に接続され、反応容器12に、SiC基板60上に結晶薄膜70をエピタキシャル成長させるための成膜原料ガスG2を供給する。図示例においては、成膜原料ガス供給ライン4は、珪素含有ガスG2aを供給する珪素含有ガスライン41と、カーボン含有ガスG2bを供給する酸素含有ガスライン42とから構成されている。
珪素含有ガスライン41には、珪素含有ガスG2aの供給量を調整するバルブ41aが備えられ、また、カーボン含有ガスライン42には、カーボン含有ガスG2bの供給量を調整するバルブ42aが備えられている。そして、珪素含有ガスライン41とカーボン含有ガスライン42とは、バルブ41a及びバルブ42aの各出口側で合流し、その下流側に、珪素含有ガスG2aとカーボン含有ガスG2bとを合わせたエピタキシャルガスG2の全供給量を調整するためのマスフローコントローラー4aが設けられている。そして、マスフローコントローラー4aの出口側が、例えば、カーボン製チューブ等を介して、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12の上部に接続されるように構成される。
図1に示す例の成膜原料ガス供給ライン4においては、上記のように、エピタキシャルガスG2として、珪素含有ガスG2a及び/又はカーボン含有ガスG2bを供給する構成とされているが、これには限定されない。成膜原料ガス供給ライン4からエピタキシャルチャンバ1に供給する成膜原料ガスG2としては、例えば、エピタキシャル成長させる結晶薄膜の組成を考慮して、適宜選択することができる。
珪素含有ガスG2aとしては、特に限定されないが、例えば、SiHが挙げられる。
また、カーボン含有ガスG2bとしても、特に限定されないが、例えば、Cが挙げられる。
なお、図示を省略するが、成膜原料ガス供給ライン4から供給する成膜原料ガスG2として、さらに、N,NH,TMA等のドーピングガス及びHを供給してもよく、この場合には、さらに、それぞれのガスを供給する配管を加えた構成とすればよい。
また、図示例における成膜原料ガス供給ライン4は、珪素含有ガスライン41とカーボン含有ガスライン42とを合流させてから、エピタキシャルチャンバ1に接続するように構成されているが、これには限定されない。例えば、珪素含有ガスライン41及びカーボン含有ガスライン42の各々が、それぞれ個別にエピタキシャルチャンバ1に接続するように構成しても構わない。
パージガス供給ライン5は、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12内の雰囲気を、エッチングガスG1から成膜原料ガスG2へ、あるいは、成膜原料ガスG2からエッチングガスG1へと切り替える際に、ガス雰囲気を効果的に置換するためのパージガスG3を反応容器12内に供給する。図示例のパージガス供給ライン5は、パージガスG3の流量を制御するバルブ5aの出口側が、例えば、カーボン製チューブ等を介して、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12の上部に接続されるように構成される。
ここで、仮に、エッチングガスG1と成膜原料ガスG2とを同一の排気ラインで同時に排気した場合には、支燃性ガスと可燃性ガスとが共存した状態となる。また、一般的なエピタキシャル成長装置においては、通常、排気ラインは、主として真空ポンプや圧力調整弁、配管等から構成されている(図1中の真空ポンプ71,81、圧力調整弁72a,82a、及び配管15等を参照)。このような構成において、反応容器12内の雰囲気を、エッチングガスG1から成膜原料ガスG2へ、あるいは、成膜原料ガスG2からエッチングガスG1へと切り替える際には、反応容器12内を十分に真空状態にするか、あるいは、パージガスG3を流して雰囲気ガスを置換することが、各ガスを効率的に切り替えることができる観点から好ましい。
エッチングガス励起機構6は、エッチングガス供給ライン3及びエピタキシャルチャンバ1の何れか一方、又は両方に設けられ、エッチングガスG1を励起させる。図示例におけるエッチングガス励起機構6は、エッチングガス供給ライン3の経路上において、エピタキシャルチャンバ1に接続される直前の位置に設けられている。
エッチングガス励起機構6において励起作用を発現させる手段としては、特に限定されないが、例えば、ICPプラズマ放電が可能な市販のリモートプラズマ装置を用いてエッチングガスG1をプラズマ励起させる手段のほか、UV照射装置や触媒等を用いてエッチングガスG1を励起させる手段が挙げられる。
上記のエッチングガス励起機構6が備えられることにより、詳細を後述するような、エッチングガスG1によって、SiCのパーティクルPをエッチングして除去できる効果がより顕著に得られる。
エッチングガス排気ライン7は、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12内に連通するように設けられ、反応容器12に供給されたエッチングガスG1を、エッチング除去したパーティクルPとともに外部に排出する。図示例のエッチングガス排気ライン7は、反応容器12内のエッチングガスG2を吸引するためのメカニカルブースターポンプ(MBP)等からなる真空ポンプ71と、この真空ポンプ71の上流側に設けられる圧力調整弁72aと、隔膜式真空計72bとから構成される。
原料ガス排気ライン8は、反応容器12に供給された成膜原料ガスG2の余剰分を外部に排出する。図示例の原料ガス排気ライン8は、真空ポンプ81と、この真空ポンプ81の上流側に設けられる圧力調整弁82aと、隔膜式真空計82bとから構成される。
そして、図示例のエッチングガス排気ライン7及び原料ガス排気ライン8の上流側は、何れも、一端側がエピタキシャルチャンバ1の反応容器12内に連通するように設けられた配管15の他端側に接続されている。これにより、エッチングガス排気ライン7と原料ガス排気ライン8とは、エピタキシャルチャンバ1に対して、それぞれ切り替え可能に接続されている。
なお、配管15は、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12の下部に連通して接続されている。
反応容器12内に導入されたエッチングガスG1及び成膜原料ガスG2は、反応容器12の下部から配管15を介して、真空ポンプ71,81の吸引によってエッチングガス排気ライン7又は原料ガス排気ライン8から外部に向けて排出される。この際、本実施形態においては、反応容器12内においてSiC基板60上への結晶薄膜70のエピタキシャル成長が行われている間は、原料ガス排気ライン8が配管15に連通するように接続され、一方、反応容器12内においてエッチングによるパーティクルPの除去が行われている間は、エッチングガス排気ライン7が配管15に連通するように切り替えられる。
また、図示例のエッチングガス排気ライン7及び原料ガス排気ライン8は、上述したように、それぞれの経路上において、圧力調整弁72a又は圧力調整弁82aが設けられている。これにより、それぞれの経路上に設けられた隔膜式真空計72b又は隔膜式真空計82bを用いて、エピタキシャルチャンバ1における反応容器12内の圧力を測定しつつ、圧力調整弁72a又は圧力調整弁82aの開度を調整することで、反応容器12内の圧力を所定の値に保つことができる。
上記のように、エピタキシャルチャンバ1に、エッチングガス排気ライン7と原料ガス排気ライン8とが切り替え可能に接続されていることで、エピタキシャル成長装置10の運転形態を、SiCのパーティクルPをエッチング除去する工程(エッチング工程)と、SiC基板60上に結晶薄膜70をエピタキシャル成長させる工程(エピタキシャル工程)とを随時切り替えながら運転した場合であっても、ガス雰囲気を確実に入れ替えながら各工程を実施することが可能になる。また、エッチングガスG1と成膜原料ガスG2とを同一の排気ラインで同時に排気した場合とは異なり、支燃性ガスと可燃性ガスとが共存した状態を回避でき、また、反応容器12内を十分に吸引してガス雰囲気を効率的に切り替えることが可能になる。
なお、本実施形態においては、反応容器12内からのエッチングガスG1及び成膜原料ガスG2の排気を、それぞれ別の真空ポンプ71,81を用いて行う構成を説明しているが、例えば、配管15の経路中に真空ポンプを設けることで、1台の真空ポンプを共通使用することも可能である。
ロードロックチャンバ9は、エピタキシャルチャンバ1に収容する前のSiC基板60に対し、予め、洗浄処理を施すものであり、図示例のように、エピタキシャルチャンバ1と隣接するように設置される。ロードロックチャンバ9は、内部を真空排気することにより、内部に収容してサセプタ91上に載置されたSiC基板60の表面に付着したパーティクル等の各種不純物を除去する。
上記構成を備えた本発明に係るエピタキシャル成長装置10によれば、エピタキシャルチャンバ1、搬送機構2に加え、エッチングガス供給ライン3及び成膜原料ガス供給ライン4の両方がエピタキシャルチャンバ1に接続された構成を採用している。このように、エッチングガス供給ライン3及び成膜原料ガス供給ライン4の両方がエピタキシャルチャンバ1に接続されていることで、エピタキシャル成長の直前のみならず、エピタキシャル成長の工程中においても、随時、エッチング条件に切り替えることが可能になる。これにより、SiC基板60及びエピタキシャルチャンバ1の内壁面11を、常にパーティクルが除去されて清浄化された状態とすることができるので、エピタキシャル成長した結晶薄膜70中に、SiC基板60の表面のパーティクルPに起因する結晶欠陥(図4(a),(b)参照)が発生するのを抑制できる。従って、エピタキシャル成長した結晶薄膜中に、パーティクルに起因する結晶欠陥が発生するのを抑制し、物理的、化学的並びに電気的特性に優れた半導体素子を得ることが可能になる。
より詳細に説明すると、本発明に係るエピタキシャル成長装置10は、エピタキシャル成長機能に加えて、SiC基板60の表面及び内壁面11に対するエッチング機能を有したものであり、エピタキシャル成長の工程中において、随時、エッチング条件に切り替えることが可能な構成を有する。このエッチング処理は、エピタキシャル成長と同じ空間(反応容器内)で実施されるため、これら各工程の間でSiC基板60を搬送したり、圧力を変化させたりする必要は無いので、例えば、機械的な振動によってSiCのパーティクルPがSiC基板60上に付着する可能性が大幅に低減される。特に、SiC結晶格子の最密面については、最密面と異なるエッチング速度(SiC異方性エッチング)を発現させることが可能であるため、エッチング後に成長空間に露出するSiC表面の全てを特定の最密面とすることが可能となる。これにより、最密面の配向方位が偏向したSiCのパーティクルPや、BPDとSFの露出部、さらにはバルク状欠陥(例えば双晶等)部分を選択的に除去することが可能になる。従って、SiC基板60の表面の事前洗浄が不十分であるか、エピタキシャルチャンバ1内にSiC基板60を載置する際に、SiCのパーティクルPが付着した場合でも、SiC基板60をサセプタ上に載置した後(エピタキシャル成長前)に、上述のSiC異方性エッチングを実施することで、SiCパーティクルフリーなSiC基板60の表面が得られる。また、反応容器12の内壁面11も表面エネルギーの低いSiC最密面で構成することで、異常結晶等が内壁面11に付着したり、異常結晶等がさらに成長したりすることが無いので、エピタキシャル成長を行う工程の全般にわたって、SiCのパーティクルPが生じるのを抑制できる。さらには、エピタキシャル成長中に発生したBPDやSFの拡大を抑制することも可能となる。例えば、上記のようなSiC異方性エッチングを行うことにより、SiC基板60の表面と面方位の異なる方向に配向する100nm以上のパーティクルPの数を、1cmあたりで0.1個以下とすれば、転位や積層欠陥、双晶等の欠陥密度を300個/cm以下に低減することが可能となり、5mm角の半導体素子の歩留まりは90%以上となる。
また、上記のように、本発明に係るエピタキシャル成長装置10は、SiC基板60の表面とともに、エピタキシャル成長装置10自体の内部も同時に清浄化する手段を提供するものであり、結晶薄膜70のエピタキシャル成長に先立つSiC基板60の洗浄工程を簡略化、あるいは省略できる。また、エピタキシャル成長装置10内にSiC基板60を収容する際の清浄化も省略できる等の利点がある。
<エピタキシャル成長方法>
本発明に係るエピタキシャル成長方法の一例について、図1〜3を適宜参照しながら以下に詳述する。
本発明に係るエピタキシャル成長方法は、上記のような本発明に係る構成を備えたエピタキシャル成長装置10を用いて、SiC基板60上に、Si、SiC、ダイヤモンド、GaN、AlGaN、又はAlNの内の何れか一種以上の結晶薄膜70をエピタキシャル成長させる方法である。
そして、本発明に係るエピタキシャル成長方法は、SiC基板60を、エピタキシャルチャンバ1に備えられた、内壁面11がSiCからなる反応容器12内に収容した後、反応容器12にエッチングガスG1を供給し、SiC基板60の表面及びエピタキシャルチャンバ1の内壁面11に存在する、これらSiC基板60及び内壁面11とは面方位が異なるSiCを選択的にエッチングして除去するエッチング工程と、このエッチング工程に引き続き、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12内にSiC基板60を収容した状態で、反応容器12に成膜原料ガスG2を供給し、SiC基板60上に結晶薄膜70をエピタキシャル成長させるエピタキシャル工程と、を備える。
[SiC基板の準備]
本実施形態のエピタキシャル成長方法においては、まず、SiC基板60を準備し、ロードロックチャンバ9に収容してサセプタ91に載置し、予備的な洗浄処理を実施する。
ここで、SiC基板60としては、上述したような、4H−SiC等のSiCバルク単結晶が円板状にスライス加工された、口径が4inchから6inchで、エピタキシャル成長面となる主表面が(0001)Si面とされるとともに、主表面が[11−20]方位に4度の微傾斜を有するものを用いる。
なお、市販のSiC基板は、その表面を洗浄した後に出荷されることが一般的であるが、例えば、輸送時におけるパーティクルの付着の可能性が否定できない。このため、ロードロックチャンバ9による予備的な洗浄処理の前に、予め、例えば、純水洗浄、過酸化水素水+硫酸洗浄、純水洗浄、希弗酸処理の順番で表面処理を実施しておくことがより好ましい。
[エッチング工程]
次に、エッチング工程においては、ロードロックチャンバ9における洗浄処理が完了したSiC基板60を、搬送機構2によってエピタキシャルチャンバ1の反応容器12内に搬送し、サセプタ14上に載置する。
次いで、原料ガス排気ライン8に備えられる圧力調整弁82aを閉じ、エッチングガス排気ライン7に備えられる圧力調整弁72aを開き、反応容器12にエッチングガスG1を供給しSiC異方性エッチングを行い、SiC基板60の表面及びエピタキシャルチャンバ1の内壁面11に存在する、これらとは面方位が異なるSiCのパーティクルPを選択的にエッチング除去する。即ち、本実施形態で実施するエッチング工程においては、反応容器12内に露出したSiCの全ての表面に対してSiC異方性エッチングを実施する。
以下、エッチング工程における具体的なエッチング条件について説明する。
まず、処理対象となるSiC基板60の温度は、200〜450℃とすることが好ましく、300℃〜400℃とすることがより好ましく、325℃〜375℃とすることが最も好ましい。SiC基板60の温度が200℃を下回ると、エッチングレートが遅すぎてスループットに影響を及ぼすことがある。一方、SiC基板60の温度が400℃を超えると、基板のエッチングを抑制しきれず、基板表面が粗れた状態になり、その後のエピタキシャル工程において基板上に成長する結晶薄膜の結晶性・品質が低下するおそれがある。
なお、SiC基板60の温度は、上述したような、反応容器12内の下部に設置される図示略の抵抗加熱ヒータによって加熱・調節する。
また、エッチング工程における反応容器12内の圧力は0.5〜10Torr(66.661〜1333.22Pa)が好ましく、4〜6Torrがより好ましい。この圧力は、例えば、隔膜式真空計72bでモニターし、圧力調整弁82aで調整することができる。この圧力が10Torrを超えると、異常放電を生じてしまうか、あるいは活性種が失活する等の現象により、エッチングが不完全になるおそれがある。一方、エッチング工程における反応容器12内の圧力が0.5Torr未満だと、活性種と被エッチング対象物との衝突頻度が低くなり、エッチング処理に長い時間を要し、スループットを低減させてしまうという問題が生じる。
また、エッチング工程においては、エッチングガスG1として、原子状酸素及び/又は酸素ラジカルと、原子状フッ素及び/又はフッ素原子含有化合物とを、同時又は交互にエピタキシャルチャンバ1の反応容器12に供給することがより好ましい。このように、反応容器12に供給するエッチングガスG1の供給形態を、各ガスの同時供給又は交互供給とすることで、SiC基板60の表面及び反応容器12の内壁面11に存在するSiCに由来したパーティクルPを、より効果的に選択しながらエッチング除去できる。
さらに、エッチング工程においては、エッチングガスG1として、フッ素含有ガスG1aと酸素含有ガスG1bとの混合ガスを用いることが好ましい。また、エッチングガスG2中におけるフッ素含有ガスG1aと酸素含有ガスG1bとの流量比(酸素含有ガス流量G1b/フッ素含有ガス流量G1a)は、0.5〜5が好ましく、2〜3であることがより好ましい。上記の流量比が0.5未満であるか、あるいは5を超えると、酸素とフッ素の原子数比率が適正でなくなることに加え、ラジカル生成効率やラジカル寿命が低くなる等、エッチング速度が著しく低くなってしまう可能性がある。
なお、エッチング工程においてSiC異方性エッチングを行った直後のSiC基板60の表面の状態や、反応容器12の内壁面11の状態を直接観察することはできない。しかしながら、例えば、SiC異方性エッチングの直後にSiC基板60を反応容器12から取り出し、ウエハ表面パーティクルカウンター(例えば、トプコンテクノハウス社製:WM7等)でパーティクル数とその分布又はHazeを測定することで検証を行うことも可能である。また、SiC表面欠陥検査装置(例えば、レーザーテック社製:SICA(登録商標))等で、SiC基板60の表面の形状や欠陥に起因するピット分布を観測することで検証を行うことも可能である。さらに、SiC基板60の表面や反応容器12の内壁面11の、SiC結晶格子の最密面の異方性分布を検証するためには、例えば、電子後方散乱法(EBSD)のマッピング評価で定量化することも可能である。
エッチング工程においては、上記の各評価方法により、SiC異方性エッチング条件の最適化を行うが、SiC基板60の表面及び反応容器12の内壁面11は、できるだけエネルギーの低い面、即ち安定な最密面であることが好ましい。また、SiC基板60の表面及び反応容器12の内壁面11は、SiC表面の全面積に対する最密面の面積比が99.5%以上であることが好ましく、99.8%以上であることがより好ましい。このような最密面の面積比を実現するためには、SiC結晶格子の最密面のエッチング速度が、最密面と異なる面のエッチング速度に比べて低いことが好ましく、具体的には、そのエッチング速度比(最密面エッチング速度/非最密面エッチング速度)が0.8以下であることが好ましく、0.5以下がより好ましい。上記のエッチング速度比が0.8を超えると、SiC表面の全面積に対する最密面の面積比を高めるための、即ち、非最密面のSiC(パーティクル)を除去するためのSiC異方性エッチング時間が長くなってしまい、十分なスループットが得られなくなる。
さらに、エッチング工程においては、SiC基板60の温度及び反応容器12の内壁面11の温度を検出したうえで、SiC基板60の温度が内壁面11の温度よりも100℃以上高いことを確認した後、反応容器12にエッチングガスG1を供給する方法とすることがより好ましい。上記のような温度差を設けることにより、SiC基板60及び内壁面11に存在するSiCに由来したパーティクルPを、さらに効果的に選択しながらエッチング除去できる。また、SiC基板60と内壁面11との温度差が100℃未満である場合には、例えば、反応容器12の内壁面11を冷却してもよい。
また、本実施形態では、反応容器12内にSiC基板60を搬送する前に、内壁面11に対して、上記条件によるSiC異方性エッチングを実施することで、前工程の際に内壁面11に付着したSiCのパーティクルPを、予め除去しておくことがより好ましい。
[エピタキシャル工程]
次に、エピタキシャル工程においては、上記のエッチング工程に引き続き、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12内にSiC基板60を収容した状態で、エッチングガス排気ライン7に備えられる圧力調整弁72aを閉じ、原料ガス排気ライン8に備えられる圧力調整弁82aを開いて、反応容器12に成膜原料ガスG2を供給し、SiC基板60上に結晶薄膜70をエピタキシャル成長させる。
具体的には、まず、SiC基板60の温度を、上述した図示略のヒータでサセプタ14を加熱することで、例えば、1550〜1650℃の範囲の所定温度に設定する。
次いで、反応容器12内に、成膜原料ガスG2として、例えば、C(8sccm)及びSiH(18sccm)と、キャリアガスであるH(5slm)を導入することで、SiCからなる結晶薄膜をエピタキシャル成長させる。この際、エピタキシャル成長層(結晶薄膜)の抵抗率を制御することを目的として、適宜、例えば、N、NH、TMA等のドーピングガスを所定量導入してもよい。また、SiC等のエピタキシャル成長層(結晶薄膜)の膜厚の確保と、ウエハの抵抗率の均一性を向上させることを目的として、エピタキシャル成長を実施しながらSiC基板60を自公転させてもよい。
エピタキシャル工程におけるSiC等のエピタキシャル成長層(結晶薄膜)の成長速度は5〜15μm/hourの範囲が好ましい。また、さらに成長速度を向上させる場合には、反応容器12内にHClガスを導入し、気相中でのSiClガス分圧を高めればよい。
次いで、所定の膜厚のSiCエピタキシャル成長層(結晶薄膜)を得た後に、エピタキシャルガスG2の供給を停止し、また、図示略のヒータへの通電を停止してサセプタ14の加熱を停止し、SiC基板60の温度を降温させる。そして、SiC基板60上に結晶薄膜70が形成されたエピタキシャルウエハ50を、上記の搬送機構2を用いてロードロックチャンバ9に搬送した後、このロードロックチャンバ9からエピタキシャルウエハ50を取り出す。
なお、本実施形態のエピタキシャル成長方法においては、上記のエピタキシャル工程の後、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12内において、さらにSiC異方性エッチング処理によるエッチング工程を実施し、反応容器12の内壁面11に付着・残存したSiCのパーティクルPをエッチング除去したうえで、次回の工程に備えることも可能である。さらに、本実施形態においては、エピタキシャル工程の実施中において、随時、エッチング工程に切り替えることで、SiC基板60(結晶薄膜70)及び反応容器12の内壁面11を、常にパーティクルが除去された状態に保持することが可能になる。
エピタキシャル成長装置1から取り出されたエピタキシャル膜付きSiC基板、即ちエピタキシャルウエハ50は、上述したようなウエハ表面パーティクルカウンターやSiC表面欠陥検査装置等を用いて、表面のパーティクル数や結晶中の欠陥数の評価を行うことができる。さらに、電子後方散乱法(EBSD)を用いたマッピング評価により、双晶等の異方性分布を検証することも可能である。
本実施形態のエピタキシャル成長方法によれば、上記のようなエッチング工程及びエピタキシャル工程を備えた方法を採用することにより、エピタキシャル工程の前に加え、エピタキシャル工程中においても、随時、エッチング工程に切り替えることで、SiC基板60及び反応容器12の内壁面11を、常にパーティクルが除去されて清浄化された状態に保持できる。これにより、エピタキシャル成長した結晶薄膜70中に、SiC基板表面のパーティクルに起因する結晶欠陥が発生するのを抑制できるので、物理的、化学的並びに電気的特性に優れた半導体素子を得ることが可能になる。
以下、実施例により、本発明に係るエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<実施例1>
実施例1においては、図1に示すような本発明に係るエピタキシャル成長装置10を用い、SiC基板60上にSiCの結晶薄膜70をエピタキシャル成長させて、エピタキシャルウエハ50を作製した。
また、本実施例においては、SiCのエピタキシャル成長(エピタキシャル工程)の前にエッチング工程を行った場合と、行わなかった場合とで、エピタキシャル成長した結晶薄膜70を比較評価した。
[エピタキシャル成長装置]
本実施例で用いたエピタキシャル成長装置は、ステンレススチール製の真空チャンバを用いたコールドウォール型の熱CVD装置であり、上記にて図1を参照しながら詳細に説明したような、エピタキシャルチャンバ1、搬送機構2、エッチングガス供給ライン3、成膜原料ガス供給ライン4、パージガス供給ライン5、エッチングガス励起機構6、エッチングガス排気ライン7、原料ガス排気ライン8及びロードロックチャンバ9の各々を備えた構成のエピタキシャル成長装置10を使用した。
[SiC基板]
本実施例において使用したSiC基板60は、口径が4inchの単結晶4H−SiCからなるウエハであり、結晶薄膜をエピタキシャル成長させる側の表面の結晶方位が(0001)Si面であり、[11−20]方位に4度のオフ角を有するものである。本実施例では、後のエピタキシャル工程において、ステップ制御エピタキシーを発現させ、3C−SiCのポリタイプ混入や双晶の発生を抑制することを目的とし、このような微傾斜基板を用いた。
[SiC基板の予備洗浄]
本実施例においては、SiC基板60をエピタキシャル成長装置10のロードロックチャンバ9に収容する前に、以下の条件で順次予備洗浄を施し、基板表面のパーティクルや汚染を除去した。
(1)過酸化水素水+アンモニアによる洗浄:5分間
(2)純水による洗浄:5分間
(3)過酸化水素水+硫酸による洗浄:5分間
(4)純水による洗浄:5分間
(5)5%弗酸による処理:10分間
(6)純水による洗浄 5分
(7)リンサードライヤーでの乾燥
[エピタキシャルチャンバ(反応容器)内の洗浄(エッチング工程)]
次に、本実施例においては、SiC基板60をロードロックチャンバ9に収容した後、真空排気することで基板表面を洗浄処理した。
また、エッチングガス排気ライン7の圧力調整弁72aを開き、原料ガス排気ライン8の圧力調整弁82aを閉じ、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12内に、エッチングガスG1としてOガスとCガスを供給し、反応容器12の内壁面11に対するSiC異方性エッチングを実施した。この際、反応容器12内の温度が350℃となるように、図示略のヒータで反応容器12を加熱した。また、隔膜式真空計72bによってエッチング時の反応容器12内の圧力を測定し、この値が5Torrとなるように圧力調整弁72aを調整しつつ、プラズマ放電により、酸素原子、酸素ラジカル、フッ素ラジカル等の反応活性種を生成させた。
また、エッチングガスG1であるOとCの流量比(O流量/C流量)は5とし、反応容器12(内壁面11)を反応活性種に5分間露出することにより、内壁面11に存在し、パーティクル源となるSiC粒を除去した。
なお、上記の処理により、内壁面11からパーティクル源となるSiC粒が除去されていることは、予備実験として同条件で10分の処理を施した内壁面11のEBSDにおいて、配向性の異なる領域の面積が観察領域全体の0.01%以下であることからも判明している。
[エピタキシャルチャンバ(反応容器)内への基板の載置]
上記条件によるエピタキシャルチャンバ1の反応容器12内へのエッチング処理を実施し、反応容器12内の温度が100℃以下となった時点で、ロードロックチャンバ9とエピタキシャルチャンバ1とを接続するゲートバルブ21を開き、搬送機構2を用いて、SiC基板60をロードロックチャンバ9からエピタキシャルチャンバ1に移動させ、SiCコートが施されたサセプタ14上に載置した。
[SiC基板及び内壁面の洗浄(エッチング工程)]
次に、本実施例においては、反応容器12内にSiC基板60を収容した後、本発明の効果を検証するため、再びエッチング工程を実施した。この際のエッチング条件の詳細は以下の通りである。
まず、原料ガス排気ライン8の圧力調整弁82aを閉じ、反応容器12内にエッチングガスG1として、上記同様にOガスとCガスを供給し、反応容器12の内壁面11にエッチングを施した。この際、反応容器12の内壁面11及びSiC基板60の表面の温度が、それぞれ250℃及び375℃となるように、図示略のカーボンヒータへの投入電力と、反応容器12の内壁面11を冷却する冷却水量を制御した。
また、上記同様、エッチング処理時の圧力を隔膜式真空計72bでモニターし、その値が5Torrとなるよう圧力調整弁72aで制御しつつ、プラズマ放電により、酸素原子、酸素ラジカル、フッ素ラジカル等の反応活性種を生成させた。
また、エッチングガスG1であるOとCの流量比(O流量/C流量)は5とし、SiC基板60及び反応容器12の内壁面11を反応活性種に5分間露出させた。この際の露出時間は、下記表1の「Pre−etching時間」に示すように、SiC基板毎に0分から60分の間で変化させた。
[エピタキシャル工程]
次に、上記のエッチング工程が終了した後、SiC基板60の温度を1650℃まで昇温させた。この昇温中の雰囲気はH+C雰囲気であり、基板温度が1650℃に到達してから10分後にエピタキシャル成長を開始した。この際の「10分間」は、SiC基板60の温度が安定化するまでに必要とされる時間である。
エピタキシャル工程においてSiCエピタキシャル成長を実施するにあたっては、まず、エッチングガス排気ライン7の圧力調整弁72aを閉じ、SiH(8sccm)、C(5sccm)、及びH(3slm)を反応容器12内に供給し、原料ガス排気ライン8に設けられた隔膜式真空計82bで圧力をモニターしつつ、圧力調整弁81aを調整することで、反応容器12内の圧力を3.2Paに保持した。このような処理を75分間にわたって実施することにより、SiC基板60上に厚さ10μmのSiCエピタキシャル成長層からなる結晶薄膜70を得ることで、エピタキシャルウエハ50を得た。
[エピタキシャル成長層(結晶薄膜)の品質評価]
上記のエピタキシャル成長の後、得られた結晶薄膜70の表面を、500℃の溶融KOHを用いて5分間エッチングした。
次いで、光学顕微鏡にてエッチング後の基板表面を観察し、エッチピットの形状より、基底面転位(BPD)、貫通刃状転位(TED)、貫通らせん転位(TSD)、及び双晶(TWN)を分類して、それぞれの個数を求めた。そして、観察領域の面積で、それぞれの欠陥の個数を除算することにより、欠陥(転位)密度を求め、結果を下記表1に示した。
なお、比較例として、エピタキシャル成長を実施していないSiC基板の表面にも同様のKOH処理を施して、それぞれの欠陥密度を求めた。
[エピタキシャル成長層(結晶薄膜)の評価結果の比較]
本実施例における、Pre−etching時間に対するBPD密度、TED密度、TSD密度、及びTWN密度の変化の一覧を、下記表1に示す。
下記表1に示すように、エピタキシャル成長を施していないSiC基板60には双晶が含まれていないにもかかわらず、エピタキシャル成長を実施した一部の基板(Pre−etching時間の短い場合)には双晶が確認できる。この双晶の密度(TWM密度)は、Pre−etching時間に対して依存性を示し、Pre−etching時間が10分を超えると双晶は解消されることが確認できた。
また、下記表1からは、BPD密度やTED密度もPre−etching時間に依存性を示すことが明らかであり、Pre−etching時間が長くなるほどBPDがTEDに転換される傾向が強まることが分かる。
Figure 2018186252
上記結果より、本発明に係るエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法(SiC基板上に結晶薄膜をエピタキシャル成長させる前に、反応容器及びSiC基板に同時エッチングを実施する)は、エピタキシャル成長直前の基板表面に付着しているパーティクル数を減少させ、ステップ制御エピタキシャル成長を確実に引き起こさせられることが判明した。
一方、従来の技術(Pre−etching時間が0の場合の比較例)では、SiC基板の表面へのパーティクルの付着により、ステップ制御エピタキシャル成長が局所的に不完全になり、SiCの積層順序が正しくエピタキシャル成長層に引き継がれないために、双晶等の欠陥が発生した。
<実施例2>
実施例2においては、図1に示すような本発明に係るエピタキシャル成長装置10を用い、エッチング工程及びエピタキシャル工程を以下に詳述する条件として、SiC基板60上にSiの結晶薄膜70をエピタキシャル成長させた点を除き、実施例1と同様にエピタキシャルウエハ50を作製した。
また、本実施例においても、実施例1と同様、Siのエピタキシャル成長(エピタキシャル工程)の前にSiC基板に対するエッチング工程を行った場合と、行わなかった場合とで、エピタキシャル成長した結晶薄膜70を比較評価した。
[エピタキシャル成長装置]
本実施例においても、実施例1と同様、図1に示したような、ステンレススチール製の真空チャンバを用いたコールドウォール型の熱CVD装置を用いた。
[SiC基板]
本実施例において使用したSiC基板60は、口径が4inchの単結晶6H−SiCからなるウエハであり、結晶薄膜をエピタキシャル成長させる側の表面の結晶方位が(0001)Si面であり、[11−20]方位に4度のオフ角を有するものである。なお、本実施例では、後のエピタキシャル工程においてSi原子の積層順序を特定し、双晶の発生を防ぐことを目的とし、このような微傾斜基板を用いた。
[SiC基板の予備洗浄]
本実施例においても、SiC基板60をエピタキシャル成長装置10のロードロックチャンバ9に収容する前に、実施例1と同じ条件及び手順で予備洗浄を施し、基板表面のパーティクルや汚染を除去した。
[エピタキシャルチャンバ(反応容器)内の洗浄(エッチング工程)]
次に、本実施例においても、実施例1と同様、SiC基板60をロードロックチャンバ9に収容した後、真空排気することで基板表面を洗浄処理した。
その後、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12内に、エッチングガスG1としてOガスとCガスを供給し、実施例1と同様の条件で反応容器12の内壁面11に対するSiC異方性エッチングを実施した。
[エピタキシャルチャンバ(反応容器)内への基板の載置]
上記条件によるエピタキシャルチャンバ1の反応容器12内へのエッチング処理を実施し、反応容器12内の温度が100℃以下となった時点で、実施例1と同様、ロードロックチャンバ9とエピタキシャルチャンバ1とを接続するゲートバルブ21を開き、搬送機構2を用いて、SiC基板60をロードロックチャンバ9からエピタキシャルチャンバ1に移動させ、SiCコートが施されたサセプタ14上に載置した。
[SiC基板及び内壁面の洗浄(エッチング工程)]
次に、本実施例においても、反応容器12内にSiC基板60を収容した後、本発明の効果を検証するため、再びエッチング工程を実施した。この際のエッチング条件は、実施例1と同様とした。
[エピタキシャル工程]
次に、上記のエッチング工程が終了した後、SiC基板60の温度を1270℃まで昇温させた。この昇温中の雰囲気はH+C雰囲気であり、基板温度が1270℃に到達してから、SiC基板60の温度が安定化するまでに必要とされる目安の時間である10分後に、エピタキシャル成長を開始した。
本実施例のエピタキシャル工程においては、SiH(12sccm)、及びH(3slm)を反応容器12内に供給し、原料ガス排気ライン8に設けられた圧力調整弁81aを調整することで、反応容器12内の圧力を4.8Paに保持した。このような処理を90分間にわたって実施することにより、SiC基板60上に厚さ10μmのSiエピタキシャル成長層からなる結晶薄膜70を得ることで、エピタキシャルウエハ50を得た。
[エピタキシャル成長層(結晶薄膜)の品質評価]
上記のエピタキシャル成長の後、EBSDを用いて得られた結晶薄膜70の評価を実施した。この結果、エピタキシャル成長したSi表面の法線軸は、[111]方位から[1−21]方位に4度偏向していたことから、6H−SiC(0001)面に対してSi(111)面がエピタキシャル成長していることが確認できた。
次いで、結晶薄膜70の表面を、HF+HNO+CHCOOH+HO(1:12.7:1:6.7)混合溶液で選択エッチングして、光学顕微鏡を用いてエッチング後の基板表面を観察し、エッチピットの形状より、積層欠陥(SF)、転位(DL)、及び双晶(TWN)を分類して、それぞれの個数を求めた。そして、観察領域の面積で、それぞれの欠陥の個数を除算することにより、欠陥(転位)密度を求め、結果を下記表2に示した。
[エピタキシャル成長層(結晶薄膜)の評価結果の比較]
本実施例における、Pre−etching時間に対するSF密度、DL密度、及びTWN密度の変化の一覧を下記表2に示す。
下記表2に示すように、従来の技術(Pre−etching時間が0の場合の比較例)では、SiC基板の表面へのパーティクルの付着により、ステップ制御エピタキシャル成長が局所的に不完全になり、SiC基板表面の最密構造が正しくエピタキシャル成長層に引き継がれないために、TWNやSF等の欠陥が発生した。
一方、Pre−etching時間を設けることにより、SF、DL、及びTWNとも減少する傾向が見られ、また、Pre−etching時間が10分を超えると、SF、DL、及びTWNは解消されることが確認できた。
Figure 2018186252
上記結果より、本発明に係るエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法(SiC基板上に結晶薄膜をエピタキシャル成長させる前に、反応容器及びSiC基板に同時エッチングを実施する)は、エピタキシャル成長直前の基板表面に付着しているパーティクル数を減少させ、無欠陥のSiエピタキシャル成長層(結晶薄膜)をSiC基板60上に形成できることが判明した。
<実施例3>
実施例3においては、実施例1と同様のエピタキシャル成長装置10を用い、エッチング工程及びエピタキシャル工程を以下に詳述する条件とした点を除き、実施例1と同様に、SiC基板60上にSiCの結晶薄膜70をエピタキシャル成長させて、エピタキシャルウエハ50を作製した。
また、本実施例においては、SiCのエピタキシャル成長(エピタキシャル工程)の途中にエッチング工程を行った場合と、行わなかった場合とで、エピタキシャル成長した結晶薄膜70を比較評価した。
[エピタキシャル成長装置]
本実施例においても、実施例1と同様、図1に示したような、ステンレススチール製の真空チャンバを用いたコールドウォール型の熱CVD装置を用いた。
[SiC基板]
本実施例において使用したSiC基板60は、口径が4inchの単結晶4H−SiCからなるウエハであり、結晶薄膜をエピタキシャル成長させる側の表面の結晶方位が(0001)Si面であり、[11−20]方位に4度のオフ角を有するものである。本実施例では、後のエピタキシャル工程において、ステップ制御エピタキシーを発現させ、3C−SiCのポリタイプ混入や双晶の発生を抑制することを目的とし、このような微傾斜基板を用いた。
[SiC基板の予備洗浄]
本実施例においても、SiC基板60をエピタキシャル成長装置10のロードロックチャンバ9に収容する前に、実施例1と同じ条件及び手順で予備洗浄を施し、基板表面のパーティクルや汚染を除去した。
[エピタキシャルチャンバ(反応容器)内の洗浄(エッチング工程)]
次に、本実施例においても、実施例1と同様、SiC基板60をロードロックチャンバ9に収容した後、真空排気することで基板表面を洗浄処理した。
また、エッチングガス排気ライン7の圧力調整弁72aを開き、原料ガス排気ライン8の圧力調整弁82aを閉じ、エピタキシャルチャンバ1の反応容器12内に、エッチングガスG1としてOガス及びCガスを供給することで、反応容器12の内壁面11に対するSiC異方性エッチングを実施した。この際、反応容器12内の温度が350℃になるように、図示略のヒータで反応容器12を加熱した。また、隔膜式真空計72bによってエッチング時の反応容器12内の圧力を測定し、この値が5Torrとなるように圧力調整弁72aを調整しつつ、プラズマ放電により、酸素原子、酸素ラジカル、フッ素ラジカル等の反応活性種を生成させた。
また、エッチングガスG1であるOとCの流量比(O流量/C流量)は5とし、反応容器12(内壁面11)を反応活性種に5分間露出することにより、内壁面11に存在し、パーティクル源となるSiC粒を除去した。
[エピタキシャルチャンバ(反応容器)内への基板の載置]
上記条件によるエピタキシャルチャンバ1の反応容器12内へのエッチング処理を実施し、反応容器12内の温度が100℃以下となった時点で、実施例1と同様、ロードロックチャンバ9とエピタキシャルチャンバ1とを接続するゲートバルブ21を開き、搬送機構2を用いて、SiC基板60をロードロックチャンバ9からエピタキシャルチャンバ1に移動させ、SiCコートが施されたサセプタ14上に載置した。
[SiC基板及び内壁面の洗浄(エッチング工程)]
次に、本実施例においては、反応容器12内にSiC基板60を収容した後、本発明の効果を検証するため、再びエッチング工程を実施した。この際のエッチング条件(工程P)の詳細は、実施例1における「SiC基板及び内壁面の洗浄(エッチング工程)」と同様であるが、本実施例においては、「Pre−etching時間」を10分に固定した。
[エピタキシャル工程]
次に、上記のエッチング工程が終了した後、実施例1と同様の条件でSiCのエピタキシャル成長(工程G)を実施した。ただし、工程Gにおける連続したエピタキシャル成長時間(t)は75分から750分の間で変化させ、工程Gを複数回繰り返すことにより、トータルのエピタキシャル成長時間が750分となるように調整した。但し、工程Gと次の工程Gの間には、後述するエッチング処理(工程E)を設け、エピタキシャル成長時間(t)に対するエピタキシャル成長層の品質を評価した。
[SiC基板及び内壁面の中間洗浄(エッチング工程)]
本実施例においては、複数回繰り返される工程Gの間に、エピタキシャル成長層70と反応容器12の内壁面11の中間洗浄工程(工程E)を設けた。この工程Eでは、まず、反応容器12内をArで置換し、エピタキシャルガスG2をエピタキシャルガス排気ライン8から排出した。
次いで、反応容器12の内壁面11の温度が250℃、ウエハの表面温度が375℃となるように、図示略のカーボンヒータへの投入電力と、反応容器12の内壁面11を冷却する冷却水量を制御した。
次いで、圧力調整弁82aを閉じ、隔膜式真空計72bが示す反応容器12内の圧力が5Torrとなるように、圧力調整弁72aを調整した。その後、上記の工程Pと同様に、10分間のエッチングを施した。
上記のエッチング工程(工程P)の後、反応容器12内にArガスを導入し、エッチングガスG1をエッチングガス排気ライン7から外部に排出した。
次いで、エッチングガス排気ライン7の圧力調整弁72aを閉じ、原料ガス排気ライン8の圧力調整弁82aを開いてHとCガスを導入した後、ウエハの温度を1650℃まで昇温させた。そして、ウエハの表面温度が1650℃となってから10分後に、再び上記の工程Gを実施することにより、さらなるSiCのエピタキシャル成長を実施した。
[エピタキシャル成長層(結晶薄膜)の品質評価]
上記のエピタキシャル成長の後、得られた結晶薄膜70の表面を、実施例1と同様、500℃の溶融KOHを用いて5分間エッチングした。
次いで、光学顕微鏡にてエッチング後の基板表面を観察し、エッチピットの形状より、基底面転位(BPD)、貫通刃状転位(TED)、貫通らせん転位(TSD)、及び双晶(TWN)を分類して、それぞれの個数を求めた。そして、観察領域の面積で、それぞれの欠陥の個数を除算することにより、欠陥(転位)密度を求め、結果を下記表3に示した。
[エピタキシャル成長層(結晶薄膜)の評価結果の比較]
本実施例における、連続したエピタキシャル成長時間に対するBPD密度、TED密度、TSD密度、及びTWN密度の変化の一覧を下記表3に示す。
下記表3に示すように、連続したエピタキシャル成長時間(t)が10分の場合には、TWN密度がゼロであり、且つ、BPD密度も低く抑えられているのに対し、エピタキシャル成長時間(t)が長くなるにつれ、BPD密度とTWN密度が増加する傾向が見出される。但し、上記の工程Pが実施されていることから、SiC基板60上のパーティクルは除去されていたと考えられる。即ち、BPDや双晶の原因は、エピタキシャル成長中(上記の工程G中)に発生していることが明らかである。従って、本実施例によれば、エピタキシャル成長(工程G)を中断して、中間エッチング工程(工程E)を実施すれば、BPDや双晶の原因となるパーティクルが解消されることが示されており、上記の工程Eを実施するインターバルを短くするほど、その効果が増すことが明らかである。
また、上記の工程Eでは、直前の工程Gで形成されたエピタキシャル成長層において表面に露出していたBPDやTED,TSDも、異方性エッチングを被ることでピット形状が深くなっていた。これにより、次の工程Gによって形成されたエピタキシャル成長層への各欠陥の伝搬が抑制され、10分のPre−etchingを実施した実施例1に比べて、より低いBPD密度とTED密度が得られた。
Figure 2018186252
上記結果より、本発明に係るエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法において、SiC基板上に結晶薄膜をエピタキシャル成長する工程の途中で、反応容器内及びSiC基板に同時エッチングを実施することは、エピタキシャル成長中に基板表面に付着しているパーティクル数を減少させ、ステップ制御エピタキシャル成長を確実に引き起こさせられることが判明した。
一方、従来の技術(上記の工程Eが実施されない場合)では、SiC基板の表面へのパーティクルの付着により、ステップ制御エピタキシャル成長が局所的に不完全になり、SiCの積層順序が正しくエピタキシャル成長層に引き継がれないために、双晶等の欠陥が発生した。
なお、本実施例(実施例1,2,3)においては、SiC基板として4H−SiC及び6H−SiCを用いたが、基板SiCの結晶多形はそれらに限られるものではなく、本発明に係るエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法は、あらゆるSiC結晶多形に対してパーティクル除去効果を発現するものである。
また、エピタキシャル成長で得られる結晶薄膜としても、上記のようなSiCやSiには限定されず、SiC基板の結晶格子とエピタキシャル関係にある単結晶(例えば、ダイヤモンド、GaN,AlGaN,又はAlN)においても、同様の効果が発現するものである。
本発明のエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法は、エピタキシャル成長した結晶薄膜中に、パーティクルに起因する結晶欠陥が発生するのを抑制し、物理的、化学的並びに電気的特性に優れた半導体素子を得ることが可能になる。従って、本発明のエピタキシャル成長装置及びエピタキシャル成長方法によって得られるエピタキシャルウエハは、例えば、スイッチング電源や大出力モータ駆動用インバータに搭載されるパワー半導体素子や超高速スイッチング素子等、高温・高耐圧・低損失が求められる用途において、非常に好適である。
1…エピタキシャルチャンバ
11…内壁面
12…反応容器
13…断熱材
14…サセプタ
15…配管
2…搬送機構
3…エッチングガス供給ライン
4…成膜原料ガス供給ライン
5…パージガス供給ライン
6…エッチングガス励起機構
7…エッチングガス排気ライン
8…原料ガス排気ライン
9…ロードロックチャンバ
50…エピタキシャルウエハ
60…SiC基板
70…結晶薄膜
10…エピタキシャル成長装置
G1…エッチングガス
G2…エピタキシャルガス
G3…パージガス

Claims (8)

  1. SiC基板上に、Si、SiC、ダイヤモンド、GaN、AlGaN、又はAlNの内の何れか一種以上の結晶薄膜をエピタキシャル成長させるエピタキシャル成長装置であって、
    前記SiC基板を内部に収容するとともに、内壁面がSiCからなる反応容器を有し、減圧又は大気圧雰囲気中で前記SiC基板上に前記結晶薄膜をエピタキシャル成長させるエピタキシャルチャンバと、
    前記エピタキシャルチャンバの反応容器内に前記SiC基板を搬送する搬送機構と、
    前記エピタキシャルチャンバに接続され、前記反応容器に、前記SiC基板の表面及び前記反応容器の内壁面に存在する、該SiC基板及び内壁面とは面方位が異なるSiCを選択的にエッチングして除去するためのエッチングガスを供給するエッチングガス供給ラインと、
    前記エピタキシャルチャンバに接続され、前記反応容器に、前記SiC基板上に前記結晶薄膜をエピタキシャル成長させるための成膜原料ガスを供給する成膜原料ガス供給ラインと、
    を備えることを特徴とするエピタキシャル成長装置。
  2. 前記エッチングガス供給ラインは、前記エッチングガスとして、原子状酸素、酸素ラジカル、原子状フッ素、又はフッ素原子含有化合物の内の何れか一種以上を、前記エピタキシャルチャンバの反応容器に供給することを特徴とする請求項1に記載もエピタキシャル成長装置。
  3. 前記エッチングガス供給ライン及び前記エピタキシャルチャンバに、前記エッチングガスを励起させるエッチングガス励起機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエピタキシャル成長装置。
  4. 前記エピタキシャルチャンバには、前記反応容器に供給された前記エッチングガスを外部に排出するエッチングガス排気ラインと、前記反応容器に供給された前記成膜原料ガスの余剰分を外部に排出する原料ガス排気ラインとが、それぞれ切り替え可能に接続されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のエピタキシャル成長装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載のエピタキシャル成長装置を用いて、SiC基板上に、Si、SiC、ダイヤモンド、GaN、AlGaN、又はAlNの内の何れか一種以上の結晶薄膜をエピタキシャル成長させるエピタキシャル成長方法であって、
    前記SiC基板を、エピタキシャルチャンバに備えられた、内壁面がSiCからなる反応容器内に収容した後、前記反応容器にエッチングガスを供給し、前記SiC基板の表面及び前記反応容器の内壁面に存在する、該SiC基板及び内壁面とは面方位が異なるSiCを選択的にエッチングして除去するエッチング工程と、
    前記エッチング工程に引き続き、前記反応容器内に前記SiC基板を収容した状態で、前記反応容器に成膜原料ガスを供給し、前記SiC基板上に前記結晶薄膜をエピタキシャル成長させるエピタキシャル工程と、
    を備えることを特徴とするエピタキシャル成長方法。
  6. 前記エッチング工程は、SiC結晶格子の最密面に対するエッチング速度を、該SiC結晶格子の最密面とは異なる他の結晶面に対するエッチング速度の0.8倍以下とすることを特徴とする請求項5に記載のエピタキシャル成長方法。
  7. 前記エッチング工程は、前記エッチングガスとして、原子状酸素及び/又は酸素ラジカルと、原子状フッ素及び/又はフッ素原子含有化合物とを、同時又は交互に前記エピタキシャルチャンバの反応容器に供給することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のエピタキシャル成長方法。
  8. 前記エッチング工程は、前記SiC基板の温度及び前記反応容器の内壁面の温度を検出し、前記SiC基板の温度が前記内壁面の温度よりも100℃以上高いことを確認した後、前記反応容器に前記エッチングガスを供給することを特徴とする請求項5〜請求項7の何れか一項に記載のエピタキシャル成長方法。
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