JP2004258347A - 有機感光体、画像形成装置、画像形成方法及び画像形成ユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性基体上に電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、該電荷輸送層の膜厚が20〜15μm間で、帯電電位を600Vから100Vに減衰させるのに要する露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.01(μJ/cm2・μm)以下であることを特徴とする有機感光体。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機、プリンター、ファクシミリ等に用いられる、有機感光体、画像形成装置、画像形成方法及び画像形成ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラー画像形成方法の1つとして、タンデム方式と云われる各色毎に別々の感光体上にカラートナー像を形成し、これらのカラートナー像を中間転写体或いは記録材に重ね合わせる画像形成方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このタンデム方式は、各カラートナー像毎に別々の感光体を用いるので、それぞれの感光体の性能が安定していないと、色むらや色ずれが発生しやすい。
【0004】
一方、カラー画像の高画質化のために、有機感光体上にスポット径が小さい露光光源を用いて微細な潜像形成を行い、微細なドット画像を形成する技術が開発されている。例えば、スポット径が4000μm2以下の光源を用いて有機感光体上に高精細の潜像を形成する方法が知られている(特許文献2)。このような小径スポット露光方式で、正確な潜像を形成するには、有機感光体への像露光による潜像形成時に、露光により発生する電荷キャリアの拡散を小さくすることが重要である。即ち、画像情報を静電潜像として忠実に再現するためには露光/未露光部の電位コントラストが十分確保されている必要があるが、これは発生キャリアが表面電荷に到達するまでのキャリアの拡散を押さえることが重要である。高密度画像の潜像劣化は、電荷輸送層の拡散定数(D)とドリフト移動度(μ)との比D/μが大きくなると静電潜像形成時の拡散の効果が無視できず、電荷輸送層の膜厚が大きくなると潜像劣化は大きくなると記述されている(非特許文献1)。
【0005】
又、電荷輸送層を薄膜化し、静電潜像の拡散を防止する有機感光体は、既に提案されている(特許文献3)。しかしながら、これらの提案された有機感光体は、感光体の耐久性の面では、尚、十分な解決とはなり得ていない。即ち、有機感光体は一般的に帯電能、感度等の膜厚の膜厚依存性が大きく、繰り返し使用による膜厚減耗は、画像濃度が低下したり、カブリが発生したり、或いは、黒ポチ等の画像欠陥の増大の原因と成りやすい。特に、感光層を薄膜化した有機感光体では、静電潜像形成時の帯電電位の負荷条件が、単位膜厚当たりの電界強度を大きくする傾向にあり、前記した問題が発生しやすい。
【0006】
又、薄膜化した有機感光体をタンデム方式の画像形成方法に適用すると、Y、M、Cのカラー用感光体に比し、黒色の頻度が高いため、黒色用感光体の摩耗が多く、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(黒)のそれぞれの感光体を一体にした画像形成ユニットでは、該画像形成ユニットの寿命は、黒色用感光体の寿命で決定され、カラー用感光体は寿命に達する以前に交換せざるを得ないという問題が指摘されている。このような課題に対して、黒色用感光体のみ感光層の膜厚を厚く設定する方法や黒色の感光体のクリーニング条件のみ低摩耗条件に設定することが提案されている。しかしながら、感光層の膜厚を厚くすると再選再現性が低下し、クリーニング条件を低摩耗条件に設定すると、トナーのクリーニングが十分でなく、感光体表面にトナーフィルミングが発生し、新たな画像欠陥を発生させやすい。このような現象は、高解像性で且つ高速のタンデム型カラー画像形成方法において、顕著に表れやすい。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−222129号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平8−272197号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平5−119503号公報
【0010】
【非特許文献1】
日本画像学会誌第38巻第4号296頁
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような従来技術の問題点を解決して、薄層化された有機感光体の耐久性を改良することであり、長時間使用し、膜厚減耗が進んでも、画像濃度の低下やカブリの発生が少なく、且つ黒ポチ等の画像欠陥を発生しない、鮮鋭性が良好な有機感光体を提供することであり、且つ該有機感光体をタンデム方式を用いた画像形成方式で、高精細のドット画像を形成し、高耐久の画像形成ユニット、鮮鋭性の良好な画像形成装置、画像形成方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明者等は薄層化した有機感光体の耐久性を改良するには、有機感光体の感度の膜厚依存性を小さくすることにより、有機感光体の膜厚が変化しても、感度等の電子写真特性の変化が小さく、高精細のドッド画像が形成できることを見出し、本発明を完成した。前記したタンデム方式を用いた画像形成装置の課題は、タンデム方式に用いる有機感光体に膜厚依存性が小さい有機感光体を用いることにより、解決できることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明の目的は、以下の構成を持つことにより達成される。
【0013】
1.導電性基体上に電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、該電荷輸送層の膜厚が20〜15μm間で、帯電電位を600Vから100Vに減衰させるのに要する露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.01(μJ/cm2・μm)以下であることを特徴とする有機感光体。
【0014】
2.前記電荷輸送層の初期の膜厚が10μm〜20μmであることを特徴とする前記1に記載の有機感光体。
【0015】
3.有機感光体と、該有機感光体の表面に電荷を付与する帯電手段と、
前記有機感光体の帯電領域に対して光照射する像露光手段と、
前記帯電手段と前記像露光手段とにより前記有機感光体の表面に静電潜像を形成するとともに前記有機感光体の表面にトナーを用いて前記静電潜像に対応した着色トナー像を形成する現像手段と、
前記有機感光体上に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記有機感光体の表面の残存トナーを除去するクリーニング手段と、
を有する画像形成ユニットを複数配列し、
前記画像形成ユニットごとに着色を変えたトナーを用いる画像形成装置において、前記有機感光体が導電性基体上に電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、該電荷輸送層の膜厚が20〜15μm間で、該有機感光体の帯電電位を600Vから100Vに減衰させるのに要する露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.01(μJ/cm2・μm)以下であることを特徴とする画像形成装置。
【0016】
4.前記像露光手段が、スポット面積が2000μm2以下のスポット像露光光源を用いた像露光手段であることを特徴とする前記3に記載の画像形成装置。
【0017】
5.前記現像手段に用いられる現像剤中のトナーの数平均粒径が、2μm〜8μmであることを特徴とする前記3又は4に記載の画像形成装置。
【0018】
6.前記3〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0019】
7.有機感光体と、該有機感光体の表面に電荷を付与する帯電手段と、
前記有機感光体の帯電領域に対して光照射する像露光手段と、
前記帯電手段と前記像露光手段とにより前記有機感光体の表面に静電潜像を形成するとともに前記有機感光体の表面にトナーを用いて前記静電潜像に対応した着色トナー像を形成する現像手段と、
前記有機感光体上に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記有機感光体の表面の残存トナーを除去するクリーニング手段と、
を有する画像形成ユニットを複数配列し、
前記画像形成ユニットごとに着色を変えたトナーを用いる画像形成装置に用いる画像形成ユニットにおいて、前記有機感光体が導電性基体上に電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、該電荷輸送層の膜厚が20〜15μm間で、該有機感光体の帯電電位を600Vから100Vに減衰させるのに要する露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.01(μJ/cm2・μm)以下であることを特徴とする画像形成ユニット。
【0020】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の有機感光体は、導電性基体上に電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、該電荷輸送層の膜厚が20〜15μm間で、帯電電位を600Vから100Vに減衰させるのに要する露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.01(μJ/cm2・μm)以下であることを特徴とする。
【0021】
有機感光体が上記構造を有することにより、高精細のドット画像の潜像形成が可能となり、細線再現性が良好で、且つ繰り返し、多数枚の画像形成を行なっても、画像欠陥を防止し且つ画像品質が劣化しない有機感光体を提供することができる。
【0022】
本発明の有機感光体は電荷輸送層の膜厚が20〜15μm間で、帯電電位を600Vから100Vに減衰させるのに要する露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.01(μJ/cm2・μm)以下の構造を有するが、このような有機感光体の構造は、以下の▲1▼〜▲5▼の条件を組み合わせることにより、構成することができる。
【0023】
▲1▼電荷輸送層のバインダーの誘電率を小さくする。好ましくは該誘電率が3.2以下である。
【0024】
▲2▼電荷輸送層中の単位質量当たりの、電荷輸送性基の量を多くする。電荷輸送性基1個当たりの分子量が小さい電荷輸送性物質を用いて、単位質量当たりの、電荷輸送性基の量を多くすることが好ましい。
【0025】
▲3▼導電性支持体と電荷発生層の間に電子輸送能が大きい中間層を設置する。
▲4▼中間層の膜厚を厚くする。
【0026】
▲5▼残留溶媒量を低減する。
上記▲1▼の条件を満足するバインダー樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレンブタジエン共重合体等が上げられる。
【0027】
上記▲2▼の条件を満足する電荷輸送性物質としては、トリアリールアミン基等の電荷輸送性基1個当たりの分子量が小さい電荷輸送性物質としては、電荷輸送性基1個当たりの分子量が700以下、好ましくは600以下、最も好ましくは400以下の電荷輸送性物質が好ましく、例えば、下記のような化合物が挙げられる。
【0028】
【化1】
【0029】
【化2】
【0030】
上記、化合物例の(A/B)内のA、B数字はAが分子量、Bがトリアリールアミン基1個当たりの分子量を示す。
【0031】
上記▲3▼の中間層の電子輸送性を高めるには、中間層をバインダー中に電子輸送性が大きいアナターゼ型酸化チタンを分散させた構造にする。アナターゼ型酸化チタンは電子輸送性が高く、中間層の膜厚を厚くしても、残留電位の上昇が小さい。
【0032】
又、上記▲4▼の条件を満足させるには、アナターゼ型酸化チタンを分散させるバインダーとして、有機セグメント成分及び無機セグメント成分を有するバインダー樹脂を用いる。該バインダー樹脂は、アナーターゼ型酸化チタンの電子輸送性を向上させ、中間層の膜厚を3.0μm以上の厚さに構成しても、残留電位の増大を防ぐことができる。
【0033】
以上、▲1▼〜▲5▼の条件を満足した有機感光体を用いることにより、帯電電位を600Vから100Vに減衰させるのに要する露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.01(μJ/cm2・μm)以下の有機感光体を得ることができる。
【0034】
前記露光エネルギー(E600/100)の変化率は0.01(μJ/cm2・μm)以下であるが、0.008(μJ/cm2・μm)以下がより好ましい。該露光エネルギー(E600/100)の変化率が小さいほど、長期に亘り良好なドット再現性、鮮鋭性を維持できる。
【0035】
又、本発明の有機感光体は、前記電荷輸送層の初期の膜厚が10μm〜20μmであることが好ましい。初期の膜厚を10〜20μmの間に設定することにより、感光体の使用開始時から、ボケが小さい静電潜像が形成でき、鮮鋭性が良好な電子写真画像を形成することができる。
【0036】
以下、本発明に適用される有機感光体の構成について、より詳細に説明する。
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機感光体を全て含有する。
【0037】
本発明の電荷輸送層とは、光露光により電荷発生層で発生した電荷キャリアを有機感光体の表面に輸送する機能を有する層を意味し、該電荷輸送機能の具体的な検出は、電荷発生層と電荷輸送層を導電性支持体上に積層し、光導伝性を検知することにより確認することができる。
【0038】
本発明の有機感光体の層構成は、基本的には導電性支持体上に電荷発生層及び電荷輸送層の感光層から構成される。
【0039】
以下に本発明に用いられる具体的な感光体の構成について記載する。
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状或いは円筒状の導電性支持体が用いられる。
【0040】
本発明の円筒状の導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0041】
導電性支持体の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ωcm以下が好ましい。
【0042】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/l、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/l、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0043】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、アナターゼ型酸化チタンを分散した前記した中間層を設けることが好ましい。尚、アナターゼ型酸化チタンとは、屈折率2.55、結晶型は正方晶系で、aが0.378nm、cが0.947nmの格子常数を有する白色酸化チタン顔料を云う。
【0044】
上記アナターゼ型酸化チタン粒子の平均粒径は、数平均一次粒径で10nm以上400nm以下の範囲が良く、15nm〜200nmが好ましい。10nm未満では中間層によるモアレ発生の防止効果が小さい。一方、400nmより大きいと、中間層塗布液のアナターゼ型酸化チタン粒子の沈降が発生しやすく、その結果中間層中のアナターゼ型酸化チタン粒子の均一分散性が悪く、又黒ポチも増加しやすい。数平均一次粒径が前記範囲のアナターゼ型酸化チタン粒子を用いた中間層塗布液は分散安定性が良好で、且つこのような塗布液から形成された中間層は黒ポチ発生防止機能の他、環境特性が良好で、且つ耐クラッキング性を有する。
【0045】
アナターゼ型酸化チタンは表面処理されていることが好ましく、表面処理の1つは、複数回の表面処理を行い、かつ該複数回の表面処理の中で、最後の表面処理が反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うものである。また、該複数回の表面処理の中で、少なくとも1回の表面処理がアルミナ、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種類以上の表面処理を行い、最後に反応性有機ケイ素化合物を用いた表面処理を行うことが好ましい。
【0046】
尚、アルミナ処理、シリカ処理、ジルコニア処理とは酸化チタン粒子表面にアルミナ、シリカ、或いはジルコニアを析出させる処理を云い、これらの表面に析出したアルミナ、シリカ、ジルコニアにはアルミナ、シリカ、ジルコニアの水和物も含まれる。又、反応性有機ケイ素化合物の表面処理とは、処理液に反応性有機ケイ素化合物を用いることを意味する。
【0047】
この様に、アナターゼ型酸化チタン粒子の表面処理を少なくとも2回以上行うことにより、酸化チタン粒子表面が均一に表面被覆(処理)され、該表面処理された酸化チタン粒子を中間層に用いると、中間層内における酸化チタン粒子等の酸化チタン粒子の分散性が良好で、かつ黒ポチ等の画像欠陥を発生させない良好な感光体を得ることができるのである。
【0048】
上記反応性有機ケイ素化合物としては下記一般式(2)で表される化合物が挙げられるが、酸化チタン表面の水酸基等の反応性基と縮合反応をする化合物であれば、下記化合物に限定されない。
【0049】
一般式(2)
(R)n−Si−(X)4−n
(式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
一般式(2)で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0050】
また、一般式(2)で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0051】
また、一般式(2)で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、一般式(2)で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0052】
又、表面処理に用いる好ましい反応性有機ケイ素化合物としてはポリシロキサン化合物が挙げられる。該ポリシロキサン化合物の分子量は1000〜20000のものが一般に入手しやすく、又、黒ポチ発生防止機能も良好である。
【0053】
特にメチルハイドロジェンポリシロキサンを最後の表面処理に用いると良好な効果が得られる。
【0054】
上記、アナターゼ型酸化チタンを分散し、電子輸送性を向上させた中間層を形成するバインダー樹脂として、有機セグメント成分及び無機セグメント成分を有するバインダー樹脂を用いることが好ましい。
【0055】
ここで、有機セグメント成分とは樹脂を形成する連鎖構造が有機物質(連鎖構造中に炭素原子を含む)で形成された繰り返し単位構成を有する成分を云う。
【0056】
例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を構成する連鎖構造成分を云う。中間層の樹脂は、この有機セグメント成分を樹脂構造の部分構造として、無機セグメント成分と共に含有する。
【0057】
有機セグメント成分は、連鎖重合性単量体から重合されたセグメント成分であることが好ましい。中でも、アクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステルを連鎖重合性単量体として用いて形成したビニル系樹脂成分が好ましい。
【0058】
一方、無機セグメント成分とは、樹脂の連鎖構造が無機物質で形成された繰り返し単位を有する成分を云う。好ましい無機セグメント成分としては、ケイ素と酸素の連鎖構造を有するシロキサン縮合体成分が挙げられる。
【0059】
以下、有機セグメント成分に、無機セグメント成分としてのシロキサン縮合体成分を有する樹脂について説明する。
【0060】
有機セグメント成分にシロキサン縮合体成分を化学的な結合で連結させるには、有機セグメント形成時に、炭素−炭素不飽和結合の重合性不飽和基を有する下記一般式(1)の重合性シラン化合物を共存させ、これらの重合性シラン化合物を有機セグメント成分の形成時に連鎖重合性単量体(有機セグメント成分の連鎖重合性単量体)の重合の進行と共に反応させることにより、有機セグメント成分中にシリル基を導入したシリル変性有機セグメント成分を形成し、その後、このシリル基にシロキサン縮合体(シロキサン樹脂成分)を形成するか、既に形成されたシロキサン縮合体を結合させる。
【0061】
【化3】
【0062】
一般式(1)において、R3は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアラルキル基、R4は重合性二重結合を有する有機基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基を示し、nは1〜3の整数である。
【0063】
上記一般式(1)の重合性シラン化合物としては、シリル基、特に加水分解性を有するシリル基を有し、後述の各種連鎖重合性単量体と重合可能な化合物であれば特に制限されず、例えば、CH2=CHSi(CH3)(OCH3)2、CH2=CHSi(OCH3)3、CH2=CHSi(CH3)Cl2、CH2=CHSiCl3、CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2、CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3、CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)Cl2、CH2=CHCOO(CH2)2SiCl3、CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2、CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3、CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2、CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)Cl2、CH2=C(CH3)COO(CH2)2SiCl3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2、CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3、
【0064】
【化4】
【0065】
等が挙げられる。これらの重合性シラン化合物は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0066】
有機セグメント成分を形成する連鎖重合性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸および無水マレイン酸などの酸無水物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ化合物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、クロトンアミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物;アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどからなるグループから選ばれる1またはそれ以上のビニル系連鎖重合性単量体を用いることが好ましい。又、水酸基を含むビニル系連鎖重合性単量体(モノマー)、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、N−メチロールアクリルアミドなども用いることができる。
【0067】
又、本発明はの感光体は、中間層が有機セグメント成分、無機セグメント成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂を含有することを特徴とする。
【0068】
ここで、酸化防止構造成分とはオゾン、NOx等の活性ガス、或いは紫外線等の光照射により引き起こされる酸化又は還元耐性を有する基を意味する。
【0069】
樹脂が酸化防止構造成分を有するとは、樹脂構造の一部に、部分構造としてヒンダードアミン、或いはヒンダードフェノール等の酸化防止構造成分を有することを云う。酸化防止構造成分は、有機セグメント成分に部分構造としてヒンダードアミン、或いはヒンダードフェノール等の酸化防止構造成分を導入することができる。
【0070】
即ち、有機セグメント成分、無機セグメント成分及び酸化防止構造成分を有する樹脂は、有機セグメント成分を形成する連鎖重合性単量体、酸化防止構造成分を形成する重合性単量体、重合性シラン化合物を用いて、重合反応を行ない、酸化防止構造成分を有し且つシリル基を有する有機セグメント成分を形成し、その後該有機セグメント成分のシリル基にシロキサン縮合体を形成することにより達成できる。
【0071】
ここで、ヒンダードアミン基とはアミン化合物のアミノ基のN原子近傍に立体障害性を有する基及びその誘導体を云う。立体障害性の基としては分岐状アルキル基、炭素数が3以上の基等が好ましい。
【0072】
又、ヒンダードフェノール基とはフェノールの水酸基に対しオルト位置に立体障害性を有する基及びその誘導体を云う。(但し、水酸基がアルコキシに変成されていても良い)。立体障害性の基としては分岐アルキル基、或いは炭素数が3以上の基等が好ましい。
【0073】
有機セグメント成分にヒンダードアミン基、或いはヒンダードフェノール基を部分構造として導入するには、有機セグメント成分形成時に、炭素−炭素不飽和結合の重合性不飽和基を有するヒンダードアミン化合物(単量体)或いはヒンダードフェノール化合物(単量体)を共存させ、これらの化合物を有機セグメント成分の形成時に連鎖重合性単量体の重合の進行と共に反応させることにより、有機セグメント成分中にヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を導入することができる。
【0074】
このような重合性不飽和基を有するヒンダードアミン化合物としては、重合性不飽和基を含有する立体障害アミン化合物が好ましく、なかでも重合性不飽和基を含有する立体障害ピペリジン化合物(以下、「ピペリジン系モノマー」ともいう。)が特に好ましい。ピペリジン系化合物の代表的なものとしては、例えば下記一般式(A)で表される化合物を挙げることができる。
【0075】
【化5】
【0076】
一般式(A)において、R5は水素原子またはシアノ基を示し、R6およびR7は相互に同一でも異なってもよく、水素原子、メチル基またはエチル基を示し、Xは酸素原子またはイミノ基を示し、Yは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または下記一般式(B)で表される重合性不飽和基を示す。
【0077】
【化6】
【0078】
一般式(B)において、R8およびR9は相互に同一でも異なってもよく、水素原子、メチル基またはエチル基を示す。
【0079】
一般式(A)におけるXのイミノ基中の水素原子は、置換されても置換されていなくてもよい。また、一般式(A)におけるYのうち、炭素数1〜18のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖または分岐鎖のアルキル基を挙げることができる。
【0080】
上記、一般式(A)のピペリジン系化合物のうち、好ましい化合物は、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−シアノ−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−シアノ−4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等であり、なかでも4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンが特に好ましい。
【0081】
又、重合性不飽和基を有するヒンダードフェノール化合物としては、重合性不飽和基を含有するヒンダードフェノール化合物が好ましく、例えば下記のような化合物を挙げることができる。即ち、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3,5−ジ−s−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−t−ブチル−5−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル(メタ)アクリレート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,5−ジ−s−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−t−ブチル−5−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸ビニルエステル、3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸ビニルエステル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸−イソプロペニルエステル、3,5−ジ−t−オクチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸−イソプロペニルエステル等が挙げられる。
【0082】
又、前記ヒンダードアミン系或いはヒンダードフェノール系の酸化防止構造成分を有する化合物(重合性不飽和基を有する化合物)以外の化合物の例としては、フェニルサリチル酸(メタ)アクリレート、t−ブチルフェニルサリチル酸(メタ)アクリレート等のサリチル酸化合物;2−(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2−〔2’−(メタ)アクリロイルオキシ−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2’−(メタ)アクリロイルオキシ−5’−t−オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2’−(メタ)アクリロイルオキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール化合物;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニル(メタ)アクリレート、1,3−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−2−プロピル(メタ)アクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。本発明において、前記酸化防止構造成分を有する化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。又、「ヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を有し」とはヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基の少なくとも一方を有することを意味し、両方の基を有していても良い。
【0083】
ここで、ヒンダードアミン基又はヒンダードフェノール基を有し且つシリル変性された(シリル基を有する)有機セグメント成分の合成例を記載する。
【0084】
(有機セグメント成分A溶液の合成例:ヒンダードアミン基を有し且つシリル変性されたビニル系ポリマーA溶液)
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、モノマーとしてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン25部、4−メタクロイルオキシ−1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン1部、メタクリル酸メチル80部とメタクリル酸2−エチルヘキシル15部、n−ブチルアクリレート29部、2−プロパノール150部、2−ブタノン50部及びメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%の側鎖にヒンダードアミン基を有し且つシリル基を有するビニル系ポリマーA溶液を得た。
【0085】
(有機セグメント成分B溶液の合成例:ヒンダードフェノール基を有し且つシリル変性されたビニル系ポリマーB溶液)
還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、モノマーとしてγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20部、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート2部、メタクリル酸メチル70部、n−ブチルアクリレート40部、アクリル酸5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13部、1,1,1−トリメチルアミンメタクリルイミド1部、2−プロパノール150部、2−ブタノン50部及びメタノール25部を加えて混合した後、攪拌しながら80℃に加温し、この混合物にアゾビスイソバレロニトリル4部をキシレン10部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させて固形分濃度40%の側鎖にヒンダードフェノール基を有し且つシリル基を有するビニル系ポリマーB溶液を得た。
【0086】
上記合成例A、Bに示したように重合性不飽和基を有するヒンダードアミン化合物、ヒンダードフェノール化合物、重合性シラン化合物及びビニル系連鎖重合性単量体を共存させ重合することにより、側鎖にヒンダードアミン基或いはヒンダードフェノール基を有し且つシリル基を有する有機セグメント成分(ビニル系ポリマー成分)を合成する事が出来る。
【0087】
上記シリル基を有する有機セグメント成分の重合度は特に制限されないが、100〜500であることが望ましい。
【0088】
次に、上記シリル基を有するビニル系ポリマーA、Bにシロキサン縮合体成分を形成することにより、本発明の樹脂構造を有する中間層を形成できる。即ち、上記シリル基を有するビニル系ポリマーと以下に記すような有機ケイ素化合物を用いて、シリル基を有するビニル系ポリマーのシリル基にシロキサン縮合体成分を形成する。このシロキサン縮合体成分の形成は中間層形成と同時に行ってもよいが、予め中間層溶液でシリル基末端にシロキサン縮合体成分を形成して、中間層形成を行ってもよい。
【0089】
又、シロキサン縮合体成分とはシロキサン結合が複数個、三次元的に連なった構造を有し、前記一般式(2)で示され反応性有機ケイ素化合物の重縮合により得られる樹脂構造を有している。又、該シロキサン縮合体成分を形成するために用いる具体的化合物も、前記反応性有機ケイ素化合物と同様な化合物が用いられる。
【0090】
又、シロキサン縮合体成分を製造するに際し、前記一般式(2)で示される反応性有機ケイ素化合物を2種以上用いる場合はそれぞれの有機ケイ素化合物のRは同一でも良く、異なっていてもよい。
【0091】
感光層
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0092】
本発明の有機感光体には、電荷発生物質としてフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを、単独又は併用して用いることができる。
【0093】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.1μm〜2μmが好ましい。
【0094】
電荷輸送層
本発明の有機感光体では、電荷輸送層中の単位質量当たりの、電荷輸送性基の量を多くすることが好ましい。電荷輸送性基1個当たりの分子量が小さい電荷輸送性物質を用いて、単位質量当たりの、電荷輸送性基の量を多くすることが好ましい。
【0095】
又、電荷輸送層のバインダー樹脂としては、誘電率が小さいバインダー樹脂を用いることが好ましく、ポリスチレン樹脂、スチレンブタジエン共重合体等が上げられる。
【0096】
電荷輸送層には必要により酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わなが、誘電率が小さいバインダー樹脂を用いることが好ましく、特に好ましいバインダー樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレンブタジエン共重合体、ポチカーボネート等を単独で、或いはブレンドして用いることが好ましい。
【0097】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し50〜200質量部が好ましい。
【0098】
又、電荷輸送層は複数の電荷輸送層で構成してもよく、その場合は複数の電荷輸送層の合計膜厚が、20〜15μmの条件で、帯電電位を600Vから100Vに減衰させるのに要する露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.01(μJ/cm2・μm)以下の条件を満足させればよい。
【0099】
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0100】
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお保護層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0101】
図1は、タンデム中間転写式の画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
本例は、ドラム型の中間転写手段を有する装置であり、転写手段10上に現像剤であるカラートナーを重ね合わせてカラー画像を形成したのち、記録材(最終画像に支持体:普通紙、透明シート等)である記録紙Pに転写を行う形態である。
【0102】
転写手段10は、その周囲に配置されている4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kにより形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を順次重ね合わせて担持する。前記転写手段10は、ドラム状の転写体10であって、円筒状の金属基体であるアルミニウム基体11上に、弾性層として導電性ゴム層12(厚さ500〜5000μm、電気抵抗108〜1014Ω・cmのウレタンゴム層)と、更に、その上に離形性フィルム13(分離用として、厚さ20〜200μm、電気抵抗1010〜1016Ω・cmのテフロン(R)層)が設けられている。転写体10の周囲には、4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kと、記録紙転写手段30、クリーニング手段16が各々配設されている。又、転写体10は、軸101によってカラー画像形成装置100に回転自在に軸支されている。
【0103】
又、前記4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、各々枠体26Y、26M、26C、26K内に設けられ、該枠体26Y、26M、26C、26Kがカラー画像形成装置100内で移動可能に設けられ、各画像形成ユニットを、ドラム状の転写体10に対して使用色に応じて画像転写位置か、又は非画像転写位置に移動させるための移動用部材27Y、27M、27C、27Kが各々枠体26Y、26M、26C、26Kと接触して設けられている。
【0104】
前記4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、感光体ドラム21Y、21M、21C、21Kを中心に、回転する帯電手段22Y、22M、22C、22Kと、像露光手段23Y、23M、23C、23Kと、回転する現像手段24Y、24M、24C、24K、及び、感光体ドラム21Y、21M、21C、21Kをクリーニングするクリーニング手段25Y、25M、25C、25Kより構成されている。
【0105】
前記画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kは、転写体10にそれぞれ形成するトナー像の色が異なるだけで、同じ構成であり、図2(本発明の画像形成装置に用いる画像形成ユニットの断面構成図)により画像形成ユニット20Yを例にして詳細に説明する。
【0106】
枠体26Y内に設けた画像形成ユニット20Yは、像形成体である感光体ドラム21Yの周囲に、像形成体帯電手段22Y(以下、単に帯電手段22Y、あるいは、帯電器22Yという)、露光手段23Y、現像手段24Y、像形成体クリーニング手段25Y(以下、単にクリーニング手段25Y、あるいは、クリーニングブレード25Yという)を配置し、感光体ドラム21Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット20Yのうち、少なくとも感光体ドラム21Y、帯電手段22Y、現像手段24Y、クリーニング手段25Yを一体化するように設けている。
【0107】
帯電手段22Yは、感光体ドラム21Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム21Yと接触しながら従動回転をするローラ状の帯電器22Yが用いられている。
【0108】
像露光手段23Yは、ローラ状の帯電器22Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム21Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段23Yとしては、感光体ドラム21Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォックレンズ)とから構成されるもの、あるいは、レーザ光学系などが用いられる。
【0109】
本発明の画像形成方法においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、像露光をスポット面積が2000μm2以下の露光ビームを用いて行うことを特徴とする。このような小径のビーム露光を行っても、本発明の有機感光体は、該スポット面積に対応した画像を忠実に形成することができる。より好ましいスポット面積は、100〜800μm2である。その結果800dpi(dpiとは2.54cm当たりのドット数)以上で、階調性が豊かな電子写真画像を達成することができる。
【0110】
前記露光ビームのスポット面積とは、該露光ビームを該ビームと垂直な面で切断したとき、該切断面に現れる光強度分布面で、光強度が最大ピーク強度の1/e2以上の領域に相当する面積を意味する。
【0111】
用いられる光ビームとしては半導体レーザを用いた走査光学系、及びLEDや液晶シャッター等の固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e2までの部分をスポット面積とする。
【0112】
現像手段24Yは、現像剤であるイエロートナーを収容し、感光体ドラム21Y上に形成された静電潜像を反転現像して、イエロートナー像を形成する手段である。本実施の形態の現像手段24Yにおいては、現像手段24Y内に収容されているイエロートナーを、撹拌部材241Yにより撹拌した後、矢示の方向に回転する表面が弾性(スポンジ)のトナー供給ローラ242Yにより、現像スリーブ243Yへ供給する。このとき、薄層形成部材244Yにより現像スリーブ243Y上のイエロートナーを均一の薄層とする。現像手段24Yの現像作用に際しては、矢示の方向に回転する現像スリーブ243Yに対し、直流あるいはさらに交流を加えた現像バイアスが印加され、現像手段24Yの収容する一成分によるジャンピング現像が行われて、接地されている感光体ドラム21Yに対して、トナーと同極性の直流成分と交流成分とを重畳したバイアスを印加して、非接触の反転現像が行われる。なお、現像スリーブ243Yの画像領域外の両端部に設けられた突当コロが、感光体ドラム21Yに当接することにより、現像スリーブ243Yと感光体ドラム21Yとを非接触に保っている。なお、非接触現像ではなく、接触現像を用いることもできる。
【0113】
感光体ドラム21Y上に形成されたイエローのトナー像は、突当コロが、転写体10の位置決め部に接触しながら回転し、トナーと逆極性のバイアス電圧の印加される転写体10により、順次、転写体10上に転写される。
【0114】
クリーニング手段25Yは、イエロートナー像が転写体10に転写された後に、感光体ドラム21Y上に残留したイエロートナーを、感光体ドラム10上から除去するための手段であって、本実施の形態においては、クリーニング手段25Yが感光体ドラム21Yに摺接することにより、残留トナーの除去を行っている。
【0115】
このようにして、画像形成ユニット20Yにより、帯電、露光、現像の工程により形成された画像信号(イエロー)に対応したイエロートナー像は、転写体10上に転写される。
【0116】
そして、図1に示すように、その他の画像形成ユニット20M、20C、20Kも同様に、それぞれ感光体ドラム21M、21C、21K上に、画像信号(マゼンタ)に対応したマゼンタトナー像、画像信号(シアン)に対応したシアントナー像、画像信号(K)に対応した黒トナー像が並列処理的に、同期をとりながら形成される。このような操作により、各画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kの各感光体ドラム21Y、21M、21C、21K上に形成されたトナー像は、順次、1〜2kVの転写バイアスを印加した転写体10上に転写され、トナー像が重ね合わされる。全てのトナー像が重ね合わさると、転写体10上に、カラートナー像が形成される。
【0117】
一方、転写体10の下部には、記録材収納手段である給紙カセットCAが設けられ、給紙カセットCA内に収容された記録材である記録紙Pは、給紙ローラr1の作動により、給紙カセットCA内から搬出され、タイミングローラ対r2へと送られる。タイミングローラ対r2は、転写体10上に形成されたカラートナー像と同期するように、記録紙Pを送り出す。
【0118】
送り出された記録紙Pは、転写位置で記録紙転写手段30により、転写体10上に形成されたカラートナー像を転写される。この記録紙転写手段30は、アースされたローラ31、転写ベルト32、紙帯電器33、転写電極34、紙分離AC除電器35から構成されている。
【0119】
送り出された記録紙Pは、ローラ31に張設され、転写体10の周速度に同期して矢示の方向に回転する転写ベルト32により、転写位置へと搬送される。転写ベルト32は、106〜1010Ω・cmの高抵抗のベルト状のものである。この際、記録紙Pは、記録材帯電手段としての紙帯電器33によりトナーと同極性に紙帯電され、転写ベルト32に吸着されて転写位置へと給送される。トナーと同極性に紙帯電を行うことにより、転写体10上のカラートナー像と引き合うことを防止して、カラートナー像の乱れを防止している。また、記録材帯電手段としては、転写ベルト32に接離可能な通電ローラやブラシ帯電器など用いることができる。
【0120】
転写位置では、転写電極34により、転写体10上のカラートナー像が、記録紙P上へと転写される。この転写電極34により、記録紙Pの裏面には、転写体10のバイアスより高いトナーと反対極性の電圧である1.5〜3kVの電位となるように、コロナ放電がなされる。
【0121】
カラートナー像の転写を受けた記録紙Pは、転写ベルト32によりさらに搬送され、記録材分離用としての紙分離AC除電器35により除電され、転写ベルト32より分離され、定着手段40へと搬送される。定着手段40において、加熱ローラ41と加圧ローラ42とにより加熱・圧着されカラートナー像が記録紙P上に容着・定着された後、記録紙Pは排紙ローラ対r3によりカラー画像形成装置の上部に設けられたトレイ上に排出される。
【0122】
一方、カラートナー像が記録紙Pへ転写された転写体10は、転写体クリーニング手段16であるクリーニングブレード161によって、転写体10上を摺擦され、転写体10上に残留した残留トナーを除去・清掃される。また、転写ベルト32上には、転写ベルトクリーニング手段36としてブレードが摺接しており、紙分離後の転写ベルト32上をクリーニングする。
【0123】
図2に示される画像形成ユニットは、現像手段と、感光ドラムとを、画像形成ユニットから脱着可能なプロセスカートリッジとしているが、本発明においてプロセスカートリッジはこれに限定されるわけではなく、感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段、転写手段、分離手段、クリーニング手段のうち少なくとも一つを有するプロセスカートリッジであればよい。
【0124】
図3は、本発明の画像形成装置に用いる画像形成ユニットの他の例を示す断面構成図である。図3では現像手段と、感光体ドラムを画像形成ユニットより着脱可能なプロセスカートリッジとし、交換できる図2とは少々構成が異なる画像形成ユニットの断面図である。
【0125】
本実施例を前記画像形成ユニット20Cの構成を例にして説明する。
画像形成ユニット20Cを構成した枠体26Cはカラー画像形成装置に設けた案内部材111に設けられており、該枠体26Cの一部に接触するようにカム構造の移動用部材27Cが設けられ、スプリングSCに抗して枠体26Cと共に画像形成ユニット20Cを所定の画像形成位置で停止している。枠体26C内には像形成体である感光体ドラム21Cの周囲に、帯電手段22C、露光手段23Cが設けられ、枠体26Cと着脱自在に設けられ交換可能なプロセスカートリッジとなした第2枠体261C内には、現像手段24Cと、現像剤供給手段241C、及び、現像剤撹拌手段242Cが各々設けられ、現像手段24Cが感光体ドラム21Cの周囲に対峙するように配置されている。
【0126】
更に、第2枠体261C内には、一成分現像剤Tよりなるシアン(C)のトナーが内蔵されており、該一成分現像剤Tの残量を検知する現像剤残量検知手段Aが現像手段24C内に設けられている。
【0127】
前記感光体ドラム21C上には、前記画像形成プロセスによりシアン(C)のトナー像を形成し、前記同様転写体10にシアン(C)のトナー像を感光体ドラム21C上より転写した後、感光体ドラム21Cの周囲をクリーニング手段25Cでクリーニングするように配置されている。
【0128】
図4は、本発明の他の画像形成装置の断面構成図である。図4では転写ベルト上の記録材に直接転写する画像形成装置である。図4の画像形成手順は、図1〜3にてのものとほぼ同一であり、中間転写体の代わりに直接記録材に転写している点が異なるのみである。
【0129】
図4の転写ベルト上の記録材に直接転写する画像形成装置説明を行う。感光体を4組並列に配置して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色のトナー画像を順次転写してゆくタンデムカラー画像形成装置によるカラー画像形成例である。
【0130】
図4によれば、感光体ドラム21Y(21M、21C、21K)、スコロトロン帯電器(帯電手段)22Y(22M、22C、22K)、露光光学系(露光手段)、現像器(現像手段)24Y(24M、24C、24K)及びクリーニング装置(クリーニング手段)25Y(25M、25C、25K)よりなるY、M、C及びKの画像形成ユニット20Y(20M、20C、20K)を設け、Y、M、C及びKのトナー画像形成ユニットにより形成した各トナー像を、タイミングを合わせて記録材(記録紙P)を供給し、転写手段としての転写器34Y(34M、34C、34K)により順次転写して、重ね合わせカラートナー像を形成する。
【0131】
記録材は、搬送ベルト115に乗って搬送され、記録材分離手段としての紙分離AC除電器161による除電作用と、所定の間隔を空けて搬送部160に設けられる分離部材である分離爪210とにより、搬送ベルトから分離される。
【0132】
さらに搬送部160を通った後、加熱ローラ41と、加圧ローラ42とにより構成される定着装置(定着手段)40へと搬送され、加定着ローラ41と加圧ローラ42により形成されるニップ部Tで記録紙Pが挟持され、熱と圧力とが加えられることにより記録紙P上の重ね合わせトナー像が定着された後、機外へ排出される。
《現像剤》
本発明に用いられる現像剤は、少なくともトナーとキャリアを混合して用いる二成分現像剤である。
【0133】
二成分現像剤を構成するキャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜60μmのものが良い。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0134】
キャリアは、さらに樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0135】
一方、本発明に用いられるトナーは、粉砕法及び重合法のいずれから製造されてもよいが、好ましくは、以下のような形状係数、粒度分布が均一なトナーであることが好ましい。即ち、本発明に用いるトナーとしては、以下に記すような均一な形状係数やシャープな粒度分布を有するトナーを併用した画像形成方法を採用することにより、階調性の高い且つ鮮鋭な電子写真画像を形成することが出来る。
【0136】
(1)形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上含有するトナー
形状係数が1.2より小さいとトナーの形状が真球に近くなり、トナーの感光体との接着強度が増大し、クリーニング不良が発生しやすい。一方、1.6より大きくなるとトナーが破砕され、微粉化されやすく、このこともクリーニング不良の原因となる。即ち、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子を65個数%以上、さらに好ましくは70個数%以上含有するトナーはクリーニング性が良好で、且つ微粉化されにくいトナーを多量に含んだトナーであり、本発明の感光体と併用することにより、長期に亘り、良好なクリーニング性と、良好な画像形成を可能にする。
【0137】
(2)角がないトナー粒子を50個数%以上含有するトナー
角がないトナー粒子とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより破砕しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、角がないトナー粒子の割合が50個数%以上、更に好ましくは70個数%以上であることにより、現像剤搬送部材などとのストレスにより微細な粒子の発生などがおこりにくくなり、微細なトナーの発生によるクリーニング不良を防止でき、本発明の感光体と併用することにより、長期に亘り、良好なクリーニング性と、良好な画像形成を可能にする。そのためには角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることが好ましく、更に、好ましくは70個数%以上である。
【0138】
(3)トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上含有するトナー
相対度数(m1)と、相対度数(m2)の和(M)が70%以上のトナーであることにより、該トナーを構成するトナー粒子の粒度分布がシャープとなり、安定したトナー画像の形成が可能となり、その結果、本発明の感光体と併用することにより、長期に亘り、良好なクリーニング性と、良好な画像形成を可能にする。
【0139】
(4)トナー粒子の個数粒度分布における個数変動係数が27%以下且つトナー粒子の形状係数の変動係数が16%以下であるトナー
トナーの形状係数の変動係数が16%以下であり、且つトナーの個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナーを使用することにより、クリーニング性、細線再現性に優れ、高品位な画質を長期にわたって形成することができる。
【0140】
トナーの個数変動係数は27%以下であるが、好ましくは25%以下である。
トナー粒子の形状係数の変動係数が16%以下、より好ましくは14%以下である。このことにより、トナーを構成するトナー粒子の形状分布がシャープとなり、安定したトナー画像の形成が可能となり、その結果、本発明の感光体と併用することにより、長期に亘り、良好なクリーニング性と、良好な画像形成を可能にする。
【0141】
又、トナーは形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナーを使用することが好ましい。このようなトナーは感光体との付着力が小さく、クリーニング性が良好である。
【0142】
また、角がないトナー粒子を50個数%以上とし、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下に制御することによっても、クリーニング性、細線再現性に優れ、高品位な画質を長期にわたって形成することができる。
【0143】
トナーの粒径は、個数平均一次粒径で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0144】
個数平均粒径が3〜8μmであることにより、定着工程において、現像剤搬送部材に対する付着性の過度なトナーや付着力の低いトナー等の存在を少なくすることができ、現像性を長期に亘って安定化することができるとともに、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0145】
トナーの形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0146】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。
【0147】
この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0148】
本発明に用いるトナーは、この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上、好ましくは70個数%以上である。
【0149】
この形状係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えばトナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し旋回流を付与する方法等があるが、本発明では重合法により作製した重合トナーを用いて形状係数等を前記範囲内に作製することが好ましい。
【0150】
トナーの形状係数の変動係数は下記式から算出される。
変動係数=〔S/K〕×100(%)
〔式中、Sは100個のトナー粒子の形状係数の標準偏差を示し、Kは形状係数の平均値を示す。〕
この形状係数の変動係数は16%以下が好ましく、更に好ましくは14%以下である。形状係数の変動係数が16%以下であることにより、転写されたトナー層の空隙が減少して定着性が向上し、オフセットが発生しにくくなる。また、帯電量分布がシャープとなり、画質が向上する。
【0151】
このトナーの形状係数および形状係数の変動係数を、極めてロットのバラツキなく均一に制御するために、重合トナーの製造過程、即ち樹脂粒子(重合体粒子)を重合、融着、形状制御させる工程において、形成されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0152】
モニタリングするとは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
【0153】
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0154】
トナーの個数粒度分布および個数変動係数はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径を表すものである。
【0155】
トナーの個数粒度分布における個数変動係数は下記式から算出される。
個数変動係数=〔S/Dn〕×100(%)
〔式中、Sは個数粒度分布における標準偏差を示し、Dnは個数平均粒径(μm)を示す。〕
個数変動係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を風力により分級する方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくするためには液中での分級が効果的である。この液中で分級する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御してトナー粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じてトナー粒子を分別回収し調製する方法がある。
【0156】
特に懸濁重合法によりトナーを製造する場合、個数粒度分布における個数変動係数を27%以下とするためには分級操作が必須である。懸濁重合法では、重合前に重合性単量体を水系媒体中にトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させることが必要である。すなわち、重合性単量体の大きな油滴に対して、ホモミキサーやホモジナイザーなどによる機械的な剪断を繰り返して、トナー粒子程度の大きさまで油滴を小さくすることとなるが、このような機械的な剪断による方法では、得られる油滴の個数粒度分布は広いものとなり、従って、これを重合してなるトナーの粒度分布も広いものとなる。このために分級操作が必須となる。
【0157】
角がないトナー粒子とは、電荷の集中するような突部またはストレスにより摩耗しやすいような突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、すなわち、図5(a)に示すように、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側をころがした場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみださない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。なお、図5(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示している。
【0158】
角がないトナーの測定は次のようにして行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、さらに拡大して15,000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を100個のトナー粒子について行った。
【0159】
角がないトナーを得る方法は特に限定されるものではない。例えば、形状係数を制御する方法として前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与することによって得ることができる。しかしながら、製造コストやエネルギーコストを考慮すると、重合法による重合トナーが好ましい。
【0160】
例えば、樹脂粒子を会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーにおいては、融着停止段階では融着粒子表面には多くの凹凸があり、表面は平滑でないが、形状制御工程での温度、攪拌翼の回転数および攪拌時間等の条件を適当なものとすることによって、角がないトナーが得られる。これらの条件は、樹脂粒子の物性により変わるものであるが、例えば、樹脂粒子のガラス転移点温度以上で、より高回転数とすることにより、表面は滑らかとなり、角がないトナーが形成できる。
【0161】
トナーの粒径は、個数平均粒径で3〜8μmのものが好ましい。この粒径は、重合法によりトナー粒子を形成させる場合には、凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、または融着時間、さらには重合体自体の組成によって制御することができる。
【0162】
本発明に好ましく用いられる重合トナーとしては、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーであることが好ましい。
【0163】
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより選択現像の発生を確実に抑制することができる。
【0164】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作製されたものである。
【0165】
〔測定条件〕
(1)アパーチャー:100μm
(2)サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50〜100mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて攪拌し、これに測定試料10〜20mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0166】
形状係数を制御する方法の中では重合法トナーが製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して表面の均一性に優れる点等で好ましい。
【0167】
重合トナーは、懸濁重合法や、必要な添加剤の乳化液を加えた液中にて単量体を乳化重合し、微粒の重合粒子を製造し、その後に、有機溶媒、凝集剤等を添加して会合する方法で製造することができる。会合の際にトナーの構成に必要な離型剤や着色剤などの分散液と混合して会合させて調製する方法や、単量体中に離型剤や着色剤などのトナー構成成分を分散した上で乳化重合する方法などがあげられる。ここで会合とは樹脂粒子および着色剤粒子が複数個融着することを示す。
【0168】
即ち、重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することでトナーを調製する。
【0169】
また、前記トナーを製造する方法として樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、トナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する有機溶媒を加えてもよい。
【0170】
なお、本発明で用いられる形状係数等の均一なトナーを作製するための材料や製造方法、重合トナーの反応装置等については特開2000−214629に詳細に記載されている。
【0171】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態はこれに限定されない。なお、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0172】
実施例1
感光体1群〜3群の作製
〈中間層(UCL)〉
下記中間層塗布液を調製し、洗浄済みの直径30mmの円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、中間層を形成した。
【0173】
有機セグメント成分A溶液(ヒンダードアミン基を有し且つシリル変性されたビニル系ポリマーA溶液) 100部
メチルトリメトキシシラン 70部
ジメチルジメトキシシラン 30部
微粒子:アナターゼ型酸化チタン(数平均一次粒子径:35nm、表面処理は、一次処理:シリカ・アルミナ処理、二次処理:メチルハイドロジェンポリシロキサン処理) 100部
i−ブチルアルコール 100部
ブチルセロソルブ 75部
ジ−i−プロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム 10部
を混合し、よく攪拌した後、攪拌下、純水30部を滴下し、60℃で4時間反応させた。次いで室温まで冷却してジオクチルスズジマレエートエステルのi−プロピルアルコール溶液(固形分15%)を10部添加、攪拌して、中間層塗布液を調製した。この塗布液を前記円筒状アルミニウム基体上に円形量規制型塗布装置により塗布し、120℃、1時間の加熱硬化を行い、乾燥膜厚4.0μmの有機セグメント成分、無機セグメント成分、酸化防止構造成分を有する樹脂層の中間層を形成した。乾燥後の中間層の体積抵抗は前記測定条件で3×1013Ω・cmあった。
【0174】
〈電荷発生層(CGL)〉
オキシチタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折の最大ピーク角度がブラッグ2θで27.3) 20部
ポリビニルブチラール(#6000−C、電気化学工業社製) 10部
酢酸t−ブチル 700部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300部
上記組成物を混合し、サンドミルを用いて分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層の上に乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0175】
〈電荷輸送層〉
電荷輸送物質(T−1) 200部
ポリカーボネートZ(誘電率(60Hz):3.1、分子量3万)300部
酸化防止剤(Irganox1010:日本チバガイギー社製) 6部
ジクロロメタン 2000部
シリコンオイル(KF−54:信越化学社製) 1部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に円型量規制型塗布法で塗布し、125℃で70分間の乾燥を行い、乾燥膜厚、20μm、15μm、10μmに変化させた電荷輸送層を形成し、残留溶媒を100ppm以下とした感光体1群(電荷輸送層膜厚20μm)、感光体2群(電荷輸送層膜厚15μm)、感光体3群(電荷輸送層膜厚10μm)をそれぞれ4本(黒(Bk)及びY、M、C用の感光体、以下感光体1Bk、感光体1Y、感光体1M、感光体1C等の呼称をする)作製した。又、同時に感光体1群の(E600/100)の変化率を評価するための試料として、表面がアルミニウム蒸着処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)シート上に、上記感光体1群、感光体2群、感光体3群と同じ中間層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、電荷輸送層の膜厚を20μm、15μmに変化させたシート状感光体1a、1bを作製した。
【0176】
感光体4群の作製
感光体1群の作製において、中間層の膜厚を3.0μmにし、電荷輸送層の電荷輸送物質をT−5に代え、膜厚を18μmにした以外は同様にして感光体4群を4本(感光体4Bk、感光体4Y、感光体4M、感光体4C)作製した。又、(E600/100)の変化率の測定用試料として、アルミニウム蒸着処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)シート上に、上記感光体4群と同じ中間層、電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層の膜厚を18μm、15μmに変化させたシート状感光体4a、4bを作製した。
【0177】
感光体5群の作製
感光体1群の作製において、中間層の有機セグメント成分A溶液(ヒンダードアミン基を有し且つシリル変性されたビニル系ポリマーA溶液)を有機セグメント成分B溶液(ヒンダードフェノール基を有し且つシリル変性されたビニル系ポリマーB溶液)に変更し、電荷輸送層の電荷輸送物質をT−3に代え、膜厚を20μmにした以外は同様にして感光体5群を4本(感光体5Bk、感光体5Y、感光体5M、感光体5C)作製した。又、(E600/100)の変化率の測定用試料として、アルミニウム蒸着処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)シート上に、上記感光体5群と同じ中間層、電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層の膜厚を20μm、15μmに変化させたシート状感光体5a、5bを作製した。
【0178】
感光体6群の作製
感光体1群の作製において、中間層の膜厚を3.0μmにし、電荷輸送層の電荷輸送物質をT−6に代えた以外は同様にして感光体6群を4本(感光体6Bk、感光体6Y、感光体6M、感光体6C)作製した。又、(E600/100)の変化率の測定用試料として、アルミニウム蒸着処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)シート上に、上記感光体6群と同じ中間層、電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層の膜厚を20μm、15μmに変化させたシート状感光体6a、6bを作製した。
【0179】
感光体7群〜9群の作製
感光体1群の作製において、中間層、電荷輸送層及び電荷輸送層塗布後の乾燥条件を、下記のように変化させ、感光体7群、8群、9群をそれぞれ4本(感光体7Bk、感光体7Y、感光体7M、感光体7C等)作製した。
【0180】
上記の組成を循環式湿式分散機を用いて分散した中間層塗布液を浸漬塗布して、膜厚1.5μmの中間層を形成した。
【0181】
〈電荷発生層(CGL)〉
感光体1群と同じ。
【0182】
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に円型量規制型塗布法で塗布し、100℃で70分間の乾燥を行い、残留溶媒が600ppmで、乾燥膜厚20μmの感光体7群、残留溶媒が400ppmで、乾燥膜厚15μmの感光体8群、残留溶媒が250ppmで、乾燥膜厚10μmの感光体9群を作製した。又、同時に感光体7群、8群、9群の(E600/100)の変化率の測定試料として、表面がアルミニウム蒸着処理されたPET(ポリエチレンテレフタレート)シート上に、上記感光体7群、8群、9群と同じ中間層、電荷発生層を形成し、電荷輸送層の膜厚を20μm、15μmに変化させたシート状感光体7a、7bを作製した。
【0183】
【化7】
【0184】
露光エネルギー(E600/100)の変化率(μJ/cm2・μm)の評価
上記シート状感光体1aと1b、4aと4b、5aと5b、6aと6b、7aと7bを用い、帯電電位を600V〜100Vまで減衰させるのに要する露光エネルギーの変化率を以下の計算式により算出した。感度の評価機はCYNTHIA591K(GENTEC社製)を用いた。結果を表1に示す。
【0185】
(例、感光体1群の電荷輸送層の膜厚が20〜15μm間の露光エネルギーの変化率(μJ/cm2・μm)は、電荷輸送層が20μmの感光体1aと電荷輸送層が15μmの感光体1bを用いて以下の式により計算できる。)
感光体1群の露光エネルギーの変化率(μJ/cm2・μm)=(感光体1aの感度−感光体1bの感度)/(20−15)
尚、感光体の電荷輸送層の膜厚の初期値が20μm未満の時は、例えば、18μmが初期値であれば、18μmの膜厚の感度と15μmの感度から1μm当たりの露光エネルギーの変化率(μJ/cm2・μm)を求めればよい。
【0186】
【表1】
【0187】
尚、上記(E600/100)の変化率は、1種類の感光体を用い、使用初期の感度と使用済みの膜厚減耗が進行した感光体の感度を用いて、測定することもできる。
【0188】
本発明に用いるトナー及び該トナーを用いた現像剤を作製した。
(トナー製造例:乳化重合会合法の例)
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.90kgと純水10.0リットルを入れ攪拌溶解した。この溶液に、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)1.20kgを徐々に加え、1時間よく攪拌した後に、サンドグラインダー(媒体型分散機)を用いて、20時間連続分散した。このものを「着色剤分散液1」とする。
【0189】
また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「アニオン界面活性剤溶液A」とする。
【0190】
ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgとイオン交換水4.0リットルとからなる溶液を「ノニオン界面活性剤溶液B」とする。
【0191】
過硫酸カリウム223.8gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液C」とする。
【0192】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた容積100リットルのGL(グラスライニング)反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度=29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液A」全量と「ノニオン界面活性剤溶液B」全量とを入れ、攪拌を開始した。次いで、イオン交換水44.0リットルを加えた。
【0193】
加熱を開始し、液温度が75℃になったところで、「開始剤溶液C」全量を滴下して加えた。その後、液温度を75℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとを滴下しながら投入した。滴下終了後、液温度を80℃±1℃に上げて、6時間加熱攪拌を行った。ついで、液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止し、ポールフィルターで濾過してラテックスを得た。これを「ラテックス−A」とする。
【0194】
なお、ラテックス−A中の樹脂粒子のガラス転移温度は57℃、軟化点は121℃、分子量分布は、重量平均分子量=1.27万、重量平均粒径は120nmであった。
【0195】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055kgをイオン交換純水4.0リットルに溶解した溶液を「アニオン界面活性剤溶液D」とする。
【0196】
また、ノニルフェノールポリエチレンオキサイド10モル付加物0.014kgをイオン交換水4.0リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液E」とする。
【0197】
過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7gをイオン交換水12.0リットルに溶解した溶液を「開始剤溶液F」とする。
【0198】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルを付けた100リットルのGL反応釜に、WAXエマルジョン(数平均分子量3000のポリプロピレンエマルジョン:数平均一次粒子径=120nm/固形分濃度 29.9%)3.41kgと「アニオン界面活性剤溶液D」全量と「ノニオン界面活性剤溶液E」全量とを入れ、攪拌を開始した。
【0199】
次いで、イオン交換水44.0リットルを投入した。加熱を開始し、液温度が70℃になったところで、「開始剤溶液F」を添加した。ついで、スチレン11.0kgとアクリル酸n−ブチル4.00kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとをあらかじめ混合した溶液を滴下した。滴下終了後、液温度を72℃±2℃に制御して、6時間加熱攪拌を行った。さらに、液温度を80℃±2℃に上げて、12時間加熱攪拌を行った。液温度を40℃以下に冷却し攪拌を停止した。ポールフィルターで濾過し、この濾液を「ラテックス−B」とする。
【0200】
なお、ラテックス−B中の樹脂粒子のガラス転移温度は58℃、軟化点は132℃、分子量分布は、重量平均分子量=24.5万、重量平均粒径は110nmであった。
【0201】
塩析剤としての塩化ナトリウム5.36kgをイオン交換水20.0リットルに溶解した溶液を「塩化ナトリウム溶液G」とする。
【0202】
フッ素系ノニオン界面活性剤1.00gをイオン交換水1.00リットルに溶解した溶液を「ノニオン界面活性剤溶液H」とする。
【0203】
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、粒径および形状のモニタリング装置を付けた100リットルのSUS反応釜に、上記で作製したラテックス−A=20.0kgとラテックス−B=5.2kgと着色剤分散液1=0.4kgとイオン交換水20.0kgとを入れ攪拌した。ついで、40℃に加温し、塩化ナトリウム溶液G、イソプロパノール(関東化学社製)6.00kg、ノニオン界面活性剤溶液Hをこの順に添加した。その後、10分間放置した後に、昇温を開始し、液温度85℃まで60分で昇温し、85±2℃にて0.5〜3時間加熱攪拌して塩析/融着させながら粒径成長させた。次に純水2.1リットルを添加して粒径成長を停止させ、融着粒子分散液を作製した。
【0204】
温度センサー、冷却管、粒径および形状のモニタリング装置を付けた5リットルの反応容器に、上記で作製した融着粒子分散液5.0kgを入れ、液温度85℃±2℃にて、0.5〜15時間加熱攪拌して形状制御した。その後、40℃以下に冷却し攪拌を停止した。次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、目開き45μmの篩いで濾過し、この濾液を会合液とする。ついで、ヌッチェを用いて、会合液よりウェットケーキ状の非球形状粒子を濾取した。その後、イオン交換水により洗浄した。この非球形状粒子をフラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させた。得られた着色粒子の100質量部に、シリカ微粒子1質量部をヘンシェルミキサーにて外添混合して乳化重合会合法によるトナーを得た。
【0205】
前記塩析/融着段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、攪拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、さらに液中分級により、粒径および粒度分布の変動係数を調製して、表2に示す形状特性および粒度分布特性を有するトナー粒子からなるトナー1Bkを得た。又、トナー1Bkの製造において、カーボンブラック(リーガル330R)をベンジジン系イエロー顔料へ代えて、トナー1Yを、キナクリドン系マゼンタ顔料へ代えて、トナー1M、フタロシアニン系シアン顔料へ代えて、トナー1Cを製造した。これらのトナーの形状特性および粒度分布特性を表2に示す。
【0206】
【表2】
【0207】
〔現像剤の製造〕
表2の各トナー毎に、トナー10質量部と、スチレン−メタクリレート共重合体で被覆した45μmフェライトキャリア100質量部とを混合することにより、評価用の現像剤1Bk、現像剤1Y、現像剤1M、現像剤1Cを製造した。
【0208】
〈評価〉
図1に示した画像形成装置を基本構成としたデジタルカラープリンターに各感光体、露光スポット面積を表3のように組み合わせ、常温常湿(20℃50%RH)下で、画素率8%の文字及びハーフトーンの混在したモノクロ画像及びカラー画像を、連続してA4紙に5万枚プリントした。モノクロ画像とカラー画像の比率は、タンデム型カラー画像形成装置のモノクロ及びカラーのプリント比率を考慮して、モノクロ画像9枚、カラー画像1枚の割合で、即ち9:1の割合でプリントした。但し、下記評価に必要な時はプイントを一時停止した。評価項目、評価基準を下記に示す。又評価結果を表3に示す。
【0209】
評価項目と評価基準
「モノクロ画像のドットの再現性」
画像を構成するドット再現性を100倍の拡大鏡を覗いて評価した。プリント開始時(S)、1万枚後(1万)、5万枚後(5万)のモノクロ画像で評価した。
【0210】
◎:画像ドットが露光スポット面積の±30%未満でそれぞれ独立に再現されている(良好)
○:画像ドットが露光スポット面積の±30〜±60%でそれぞれ独立に再現されている(実用性があるレベル)
×:画像ドットが露光スポット面積の±60%より大きく、部分的に画像ドットが消失したり、連結したりしている(実用上問題のレベル)
「カラー画像のドットの再現性」
画像を構成するドット再現性を100倍の拡大鏡を覗いて評価した。プリント開始時(S)、1万枚後(1万)、5万枚後(5万)のカラー画像で評価した。
【0211】
◎:カラー画像のBk、Y、M、Cの各ドット間のバラツキが少なく(各ドットの最大と最小の差がドット面積差で30%未満)再現されており、カラー画像の色バランスも良好である(良好)
○:カラー画像のBk、Y、M、Cの各ドット間のバラツキが、各ドットの最大と最小の差がドット面積差で30〜60%で、再現されており、カラー画像の色バランスが保たれている(実用性があるレベル)
×:カラー画像部のBk、Y、M、Cの各ドット間のバラツキが大きく(各ドットの最大と最小の差がドット面積差で60%より大きい)再現されており、カラー画像の色バランスが失われている。(実用上問題のレベル)
「周期性の画像欠陥」
感光体の周期と一致した画像欠陥(黒ポチ(カラーポチも含む)や白ヌケ又は線状の画像欠陥として発生する)の発生を評価した。5万枚後のモノクロ及びカラー画像で評価した。
【0212】
評価基準は
◎:明瞭な周期性の画像欠陥の発生がほとんど見られない(黒ポチの場合は3個/A4以下、線状の場合は濃度差が0.02以内:良好)
○:明瞭な周期性の画像欠陥の発生が実用性の範囲内(黒ポチの場合は4〜10個/A4以下、線状の場合は濃度が0.03〜0.04:実用性があるレベル)
△:明瞭な周期性の画像欠陥の発生があり、実用性の再検討を要する範囲(黒ポチの場合は11〜20個/A4以下、線状の場合は濃度が0.05〜0.06:実用性再検討要のレベル)
×:明瞭な周期性の画像欠陥の発生が多発(黒ポチの場合は21個/A4以上、線状の場合は濃度が0.07以上:実用上問題のレベル)
鮮鋭性の評価
画像の鮮鋭性は、線画像の解像性で評価した。下記の判断基準で評価した。5万枚後のモノクロ及びカラー画像で評価した。
【0213】
◎:線画像の解像性が16本/mm以上を達成している(良好)
○:線画像の解像性が10〜15本/mmを達成している(実用上問題なし)
×:線画像の解像性が9本/mm以下(高解像性の画像としては不適)
感光体の膜厚減耗量
モノクロ用感光体Bkとカラー用感光体Mの膜厚減耗量をそれぞれ測定し、各感光体群のモノクロ用感光体Bkとカラー用感光体Mの膜厚減耗量を求めた。
【0214】
感光体の膜厚減耗量(μm)=画像評価スタート時の感光体膜厚−5万枚プリント後の感光体膜厚
感光体膜厚測定法
感光層の膜厚は均一膜厚部分をランダムに10ケ所測定し、その平均値を感光層の膜厚とする。膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用いて行った。
【0215】
評価結果を表3に示す。
その他の評価条件
感光体の帯電条件:非画像部の電位は、電位センサで検知し、フィードバック制御できるようにし、その制御可能範囲は−300V〜−1000Vである。
【0216】
像露光光:半導体レーザ(波長:780nm)
露光条件
露光部電位を−50V〜−150Vにする露光量に設定。
【0217】
露光スポット面積:表3に記載のように変化させた。
現像条件:現像剤は前記した現像剤1Bk、現像剤1Y、現像剤1M、現像剤1Cを用いた。又、現像方式は反転現像で行った。
【0218】
【表3】
【0219】
表3より、本発明の条件(電荷輸送層の膜厚が20μm〜15μm間で、帯電電位を600Vから100Vに減衰させるのに要する露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.01(μJ/cm2・μm)以下である有機感光体)を満たした感光体1群〜6群を用いた組み合わせNo.1〜6及び10、11は、モノクロ画像及びカラー画像共、ドット再現性、周期性の画像欠陥、鮮鋭性共良好な評価を得ているのに対し、本発明外の感光体7〜9群を用いた組み合わせNo.7〜9は、ドット再現性、特にカラー画像のドット再現性が劣化し、周期性画像欠陥も感光体9群では、本発明内の感光体を用いた組み合わせに比し劣化しており、その結果鮮鋭性も低下している。又、本発明内の組み合わせの中でも、露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.008(μJ/cm2・μm)以下の組み合わせは、特に改善効果が大きいことが明らかである。即ち、同じ条件で比較した場合(組み合わせNo.1、4、5及び6間の比較)、No.1、4、5の改善効果が大きい。
【0220】
【発明の効果】
本発明の有機感光体を用いることにより、タンデム方式を用いた画像形成装置で、高画質のドット画像を形成でき、画像不良を伴わない鮮鋭性が良好な電子写真画像を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】タンデム中間転写式の画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【図2】本発明の画像形成装置に用いる画像形成ユニットの断面構成図である。
【図3】本発明の画像形成装置に用いる画像形成ユニットの他の例を示す断面構成図である。
【図4】本発明の他の画像形成装置の断面構成図である。
【図5】(a)は、角のないトナー粒子の投影像を示す説明図であり、(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示す説明図である。
【符号の説明】
10 転写体(転写手段)
20Y、20M、20C、20K 画像形成ユニット
21Y、21M、21C、21K 感光体ドラム(像形成体)
22Y、22M、22C、22K 帯電手段
23Y、23M、23C、23K 露光手段
24Y、24M、24C、24K 現像手段
25Y、25M、25C、25K クリーニング手段
26Y、26M、26C、26K 枠体
27Y、27M、27C、27K 移動用部材
Claims (7)
- 導電性基体上に電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、該電荷輸送層の膜厚が20〜15μm間で、帯電電位を600Vから100Vに減衰させるのに要する露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.01(μJ/cm2・μm)以下であることを特徴とする有機感光体。
- 前記電荷輸送層の初期の膜厚が10μm〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の有機感光体。
- 有機感光体と、該有機感光体の表面に電荷を付与する帯電手段と、
前記有機感光体の帯電領域に対して光照射する像露光手段と、
前記帯電手段と前記像露光手段とにより前記有機感光体の表面に静電潜像を形成するとともに前記有機感光体の表面にトナーを用いて前記静電潜像に対応した着色トナー像を形成する現像手段と、
前記有機感光体上に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記有機感光体の表面の残存トナーを除去するクリーニング手段と、
を有する画像形成ユニットを複数配列し、
前記画像形成ユニットごとに着色を変えたトナーを用いる画像形成装置において、前記有機感光体が導電性基体上に電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、該電荷輸送層の膜厚が20〜15μm間で、該有機感光体の帯電電位を600Vから100Vに減衰させるのに要する露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.01(μJ/cm2・μm)以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 前記像露光手段が、スポット面積が2000μm2以下のスポット像露光光源を用いた像露光手段であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記現像手段に用いられる現像剤中のトナーの数平均粒径が、2μm〜8μmであることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
- 請求項3〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
- 有機感光体と、該有機感光体の表面に電荷を付与する帯電手段と、
前記有機感光体の帯電領域に対して光照射する像露光手段と、
前記帯電手段と前記像露光手段とにより前記有機感光体の表面に静電潜像を形成するとともに前記有機感光体の表面にトナーを用いて前記静電潜像に対応した着色トナー像を形成する現像手段と、
前記有機感光体上に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記有機感光体の表面の残存トナーを除去するクリーニング手段と、
を有する画像形成ユニットを複数配列し、
前記画像形成ユニットごとに着色を変えたトナーを用いる画像形成装置に用いる画像形成ユニットにおいて、前記有機感光体が導電性基体上に電荷発生層及び該電荷発生層上に電荷輸送層を有し、該電荷輸送層の膜厚が20〜15μm間で、該有機感光体の帯電電位を600Vから100Vに減衰させるのに要する露光エネルギー(E600/100)の変化率が0.01(μJ/cm2・μm)以下であることを特徴とする画像形成ユニット。
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