JP3975835B2 - 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンターの分野において用いられる電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真感光体は有機光導電物質を含有する有機感光体が最も広く用いられている。有機感光体は可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料を開発しやすいこと、環境汚染のない材料を選択できること、製造コストが安いことなどが他の感光体に対して有利な点である。しかし、反面、機械的強度が弱く、多数枚の複写やプリント時に感光体表面層の劣化や傷が発生しやすい。
【0003】
上記の如き有機感光体の問題点とされている耐久性を向上するため、クリーニングブレード等の擦過による摩耗を抑制することが強く求められてきた。そのためのアプローチとして、感光体の表面に微粒子を含有させて、ブレードとの摩擦力を低減させるなどの技術が検討されてきた。例えば特開平5−181291号公報では感光層にアルキルシルセスキオキサン樹脂微粒子を含有させることが報告されている。しかし、アルキルシルセスキオキサン樹脂微粒子は吸湿性があり、高湿環境下では感光体の表面の濡れ性が大きくなり、解像度が低下するとともにブレードとの摩擦力が増加し、ブレード鳴きが発生するといった問題がある。一方、特開昭63−56658号公報では感光層にフッ素樹脂粉体を含有させた感光層が報告されている。しかしながらフッ素樹脂粉体では十分な表面強度が得られず、感光体表面の傷に起因したスジ故障が発生し易いという問題があった。
【0004】
この問題に対して検討を行った結果、粒子の濡れ性を改善するには粒子表面へのフッ素原子含有基の導入が有効であり、且つブレード鳴きを抑制するには微粒子自体の濡れ性の改善に加えて、粒子を感光層に均一に分散することが重要であることを見出した。フッ素原子含有基が導入されると、粒子表面の濡れ性が低下し、特に画像ボケ等を引き起こす原因となっているNO2などの求電子剤の吸着を抑制させ、問題となっていたカブリや画像ボケが抑制される傾向にあるが、従来のフッ素原子含有粒子の技術では、粒子の濡れ性と均一分散性を同時に満足させる結果が得られず、感光体の表面強度と画像ボケの問題を十分に両立させることができず、画像ボケ等の画像特性と耐久性を同時に満足させていなかった。更にフッ素原子含有粒子の均一分散性が達成されないと、画像ボケ等の画像欠陥も改善されないことが見出されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、画像品質を向上させ、且つ環境依存性を低減できる高耐久の電子写真感光体(以下、単に感光体とも云う)を提供すること、更に、トナーのクリーニング性能がよく、画像ボケの出ないすぐれた電子写真感光体を提供すること、更に高湿環境でも鮮明な画像を得ることが出来る電子写真感光体を提供すること、該電子写真感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は以下の如き構成を採ることにより達成される。
【0007】
1.導電性支持体上に凝集率:N(%)が下記範囲にある有機微粒子を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光体。
【0008】
10<N≦70
2.導電性支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び表面層を有する電子写真感光体において、該表面層に凝集率:N(%)が下記範囲にある有機微粒子を含有させることを特徴とする電子写真感光体。
【0009】
10<N≦70
3.前記有機微粒子の個数平均粒径が10〜5000nmであることを特徴とする前記1又は2に記載の電子写真感光体。
【0010】
4.前記有機微粒子は分散重合法により合成されたことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0011】
5.前記電子写真感光体の表面の純水に対する接触角が90〜120°であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
【0012】
6.前記1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【0013】
7.前記6に記載の画像形成方法を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【0014】
8.少なくとも前記1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電器、像露光器、現像器、転写器、クリーニング器の少なくとも1つを一体として有しており、画像形成装置に着脱可能に構成されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0015】
本発明は電子写真感光体の表面層を形成する層に、有機微粒子をある程度凝集させて分散含有させることにより、電子写真感光体の表面改質をし、画像ボケ等の画像特性と機械的強度を両立させた電子写真感光体を達成した。
【0016】
即ち、本発明は電子写真感光体の表面層を形成する層に凝集率:N(%)が10%より大きく、70%以下の特定の凝集状態にある有機微粒子を含有させたことを特徴とする。このような表面層を持つ電子写真感光体は画像ボケ等の画像特性と機械的強度を両立させた、高画質、高耐久の特性を備えることが出来る。さらに、凝集率をこの範囲に収めるとブレードトルク変動が初期と20万コピー後を比較してもさしたる変動がなく、駆動が極めて安定なため、画質の向上、クリーニング性の安定に寄与し、またクリーニングブレードの耐久性も向上することがわかった。凝集率が10%以下だと均一に分散しているため、初期のトルクが大きくなり、凝集率が70%を超えると、表面と内部の分布が異なる傾向が強く、表面に集中してしまうため20万コピー後のトルクが増大するためである。
【0017】
何れにしろ、上記凝集率が10%以下であると、画像ボケが発生し、研磨性も十分でなくクリーニング不良や転写不良が起こりやすく、70%を超えると画像欠陥や傷、凝集粉の脱離による画像汚染の増大や画像鮮鋭度の低下を引き起こす。
【0018】
上記凝集率について図1を用いて説明する。
本発明の凝集率とは有機微粒子が一次粒子のまま完全に分離されて分散した独立微粒子数をx(図1では、(1〜6)、(10〜15)、(20)が独立微粒子でxは13)、2個以上の微粒子が凝集状態の凝集粒子の数をy(図1では、(7〜9)、(16、17)、(18、19)が凝集微粒子でyは3)とすると凝集率は下記式で表される。
【0019】
N(%)=100y/(x+y)=100×3/(13+3)=18.8
実際の測定に当たっては、電子顕微鏡写真を基に上記判断基準で算出をおこなう。この時、具体的測定方法やサンプル数は、バラツキのでない方法によればよく、特に限定されないが代表的な方法の一例は、後述実施例中で用いているものである。
【0020】
本発明の上記凝集率Nは10%より多く70%以下であるが、好ましくは15〜60%、更に好ましくは20〜50%である。
【0021】
本発明の表面層に含有される有機微粒子の凝集率:Nは10%より多く70%以下であるが、このような凝集率で分散した有機微粒子は従来公知の有機微粒子含有電子写真感光体とは明確に区別される。
【0022】
本発明の凝集率が10%より多く70%以下の有機微粒子を電子写真感光体の表面層に分散含有させるには、従来の固体微粒子をバインダー樹脂中に分散させる技術では不完全であり、新しい固体微粒子の分散液作製技術が必要である。本発明では該分散液作製技術として、分散重合法を用いた微粒子分散液作製技術を用いた。以下分散重合法による微粒子分散液作製技術について説明する。
【0023】
本発明の分散重合法とは分散安定剤、及び重合性モノマーを溶解した有機溶媒中で、該重合性モノマーの重合の進行に伴い重合体が析出し、粒子状分散重合体として、重合体生成物が得られる重合法を云い、詳しくは、「超微粒子ポリマーの最先端技術」 監修 室井宗一 出版社 シーエムシー ページ34〜45等に記載された「分散重合法」のことである。
【0024】
前記分散重合法においては、重合を進行させる為の重合系の成分としては、前記重合性モノマー、分散安定剤、重合開始剤、分散媒(溶媒)等が必要であるが、以下これらの成分について記載する。
【0025】
分散重合に用いられる分散安定剤は分散媒から析出する粒子状重合体を安定に分散させることが必要であり、分散媒と粒子状重合体の両方に親和力を持つ両親媒性高分子が好ましい。又、このことに加え、本発明では電子写真特性(帯電性、感度等)を劣化させない高分子を用いることが好ましい。分散重合に用いられる分散安定剤としてはポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド等の種々高分子が用いられるが、この中で好ましく用いられる高分子としては、両親媒性と電子写真特性の両方に良好な効果を示すカーボネート構造の繰り返し単位を有するポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
【0026】
例えば、下記一般式(1)で表されるカーボネート構造の繰り返し単位の重合体、共重合体が好ましい。
【0027】
【化1】
【0028】
(式中、Aは単結合、炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖あるいは環状のアルキリデン基、アリール置換アルキリデン基、アリーレンジアルキリデン基、又は−O−,−S−,−CO−,−SO−および−SO2−を示し、R1、R2、R3及びR4は水素、ハロゲン又は炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基を示す。)
分散安定剤の濃度は分散媒質量100質量部に対し0.1〜200質量部が好ましい。
【0029】
0.1質量部未満だと粒子状重合体の分散が安定せず、又200質量部より多いと分散安定剤同士が分散媒中で凝集しやすく、均一な粒子状重合体の生成を妨げやすい。
【0030】
本発明の分散重合に用いられる重合性モノマーとしてはラジカル重合を進行させる重合性モノマーを用いることができる。即ち、本発明に用いられるラジカル重合性モノマーとしてはビニル系モノマーが好ましい。例えばアクリレイト,メタクリレイト,スチレン,フッ素置換されたアクリレイト,同メタクリレイト,同スチレン,ジビニルベンゼンなどのビニル系モノマーが好ましく用いられる。
【0031】
本発明の分散重合に用いられる分散媒(溶媒)としては前記分散安定剤、重合性モノマーを溶解する溶媒が用いられる。これらの溶媒は一般に有機溶媒が用いられるが、必要により、有機溶媒同士の混合溶媒、或いは水と有機溶媒の混合溶媒を用いることも可能である。
【0032】
本発明の分散重合に使われる有機溶媒としては、メチクロリド、エチクロリド、クロロホルム、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アルコール類、エステル類、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン、ケロシン、テトラリン、ケトン類、エーテル類、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどが好ましく使われる。
【0033】
本発明の分散重合に用いられる重合開始剤としては以下のような化合物が用いられる。即ち、AIBN(Azobis−(2,4−dimethylvaleronitrile))、ADVN(Azobisisobutyronitrile)、ACPA(Azobis−(4−cyanopentanoic acid))、AMBN(Azobis−(2−methylbutyronitrile))、BPO(Benzoyl peroxide)などが好ましく用いられる。
【0034】
本発明の分散重合には分散安定助剤(粒子状重合体を安定に分散させるための助剤)を用いることもできる。分散安定助剤としては、例えばノニオン系界面活性剤等が用いられる。
【0035】
分散重合の重合操作
後述する合成例で具体的に示すが、分散重合は分散媒(有機溶媒)中に、分散安定剤(バインダー樹脂)、重合性モノマー、重合開始剤、必要なら分散安定助剤を均一に溶解し、又、必要によりその他の物質の存在下、(或いは必要に応じて、途中で添加しても良い)加熱などにより重合を行い、重合性モノマーの重合に伴い、均一系からの析出により、粒子状の重合体が析出し、更に該粒子状の重合体が成長して、均一な粒度分布の粒子状重合体を得ることができる。分散重合に用いられるそれぞれの成分(分散媒、分散安定剤、重合性モノマー等)はそれぞれ単一のものを用いてもよいが、2種以上のものを併用して、粒子径を制御したり、共重合体を生成させることも出来る。又、重合開始剤を2種併用して、粒度分布の広い、或いは2山ピークの粒度分布を有する粒子状重合体を生成させてもよい。
【0036】
上記分散重合の重合系で用いられる成分の量は以下のような質量比で用いられるのが好ましい。
【0037】
材料成分の好ましい質量比
分散安定剤:有機溶媒100質量部に対し0.1質量部〜200質量部
重合性モノマー:バインダー樹脂100質量部に対し1質量部〜200質量部
重合開始剤:モノマー100質量部に対し0.01質量部〜50質量部
分散安定助剤:モノマー100質量部に対し0.001質量部〜10質量部
上記のような質量比で用いることにより、分散重合を安定に進行させることが出来る。又、上記において、重合性モノマー、重合開始剤等は段階的或いは連続して重合系に添加する方法も適宜用いることができる。
【0038】
本発明の有機微粒子の個数平均粒径は10〜5000nmが好ましい。更に、20〜500nmが好ましい。10nm未満だと、クリーニング性やトナーの転写率の改良効果が少なく、5000nmより大きいと残留電位が上昇しやすく、画像濃度の低下やカブリが発生しやすい。尚、個数平均粒径は透過型電子顕微鏡観察によって有機微粒子を2000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径として算出した測定値である。
【0039】
又、本発明では分散重合法により得られた有機微粒子溶液をそのまま塗布液として用い、該塗布液を塗布、乾燥して電子写真感光体の表面層を形成してもよいし、又、上記有機微粒子溶液に電荷輸送物質、酸化防止剤、塗布助剤等の添加剤を加えて調製し、表面層用塗布液を作製して、塗布乾燥し、電子写真感光体の表面層を形成してもよい。
【0040】
次に、本発明の分散重合法等で得られた有機微粒子を含有する電子写真感光体の構成について記載する。
【0041】
本発明の有機微粒子は有機感光体の表面層を形成する電荷輸送層、或いは保護層等に含有させることが好ましい。以下、本発明の重合体を表面層に用いた有機感光体を中心に説明する。
【0042】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能のいずれか一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機電子写真感光体を全て含有する。
【0043】
有機感光体の層構成は、特に限定はないが、電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層(電荷発生と電荷輸送の機能を同一層に有する層)等の感光層と、その上に必要によって保護層を塗設した構成をとるのが好ましい。
【0044】
導電性支持体
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
【0045】
円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成するのに必要な円筒状の支持体を意味し、真円度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真円度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0046】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗103Ω・cm以下が好ましい。
【0047】
本発明で用いられる導電性支持体は、その表面に封孔処理されたアルマイト膜が形成されたものを用いても良い。アルマイト処理は、通常例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸等の酸性浴中で行われるが、硫酸中での陽極酸化処理が最も好ましい結果を与える。硫酸中での陽極酸化処理の場合、硫酸濃度は100〜200g/L、アルミニウムイオン濃度は1〜10g/L、液温は20℃前後、印加電圧は約20Vで行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。又、陽極酸化被膜の平均膜厚は、通常20μm以下、特に10μm以下が好ましい。
【0048】
中間層(下引き層)
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることもできる。
【0049】
本発明においては導電性支持体と前記感光層のとの接着性改良、或いは該支持体からの電荷注入を防止するために、該支持体と前記感光層の間に中間層(下引層も含む)を設けることもできる。該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら下引き樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜0.5μmが好ましい。
【0050】
又本発明に好ましく用いられる中間層はシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.1〜2μmが好ましい。
【0051】
又、本発明に好ましく用いられる中間層としては疎水化表面処理を行った酸化チタン微粒子(平均粒径が0.01〜1μm)をポリアミド樹脂等のバインダーに分散させた中間層が挙げられる。該中間層の膜厚は、1〜15μmが好ましい。
【0052】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。本発明の最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電感光体構成である。
【0053】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
電荷発生層
電荷発生層には電荷発生物質(CGM)を含有する。その他の物質としては必要によりバインダー樹脂、その他添加剤を含有しても良い。
【0054】
電荷発生物質(CGM)としては公知の電荷発生物質(CGM)を用いることができる。例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料、アズレニウム顔料などを用いることができる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCGMは複数の分子間で安定な凝集構造をとりうる立体、電位構造を有するものであり、具体的には特定の結晶構造を有するフタロシアニン顔料、ペリレン顔料のCGMが挙げられる。例えばCu−Kα線に対するブラッグ角2θが27.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニン、同2θが12.4に最大ピークを有するベンズイミダゾールペリレン等のCGMは繰り返し使用に伴う劣化がほとんどなく、残留電位増加小さくすることができる。
【0055】
電荷発生層にCGMの分散媒としてバインダーを用いる場合、バインダーとしては公知の樹脂を用いることができるが、最も好ましい樹脂としてはホルマール樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂と電荷発生物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し20〜600質量部が好ましい。これらの樹脂を用いることにより、繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできる。電荷発生層の膜厚は0.01μm〜2μmが好ましい。
【0056】
電荷輸送層
電荷輸送層が有機感光体の表面層となる場合は、電荷輸送層に本発明の有機微粒子を含有させることが好ましい。
【0057】
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。該バインダー樹脂として、ポリカーボネート等の樹脂を用い、その他の物質として、酸化防止剤等の添加剤を必要により含有させてることが好ましい。
【0058】
電荷輸送物質(CTM)としては公知の電荷輸送物質(CTM)を用いることができる。例えばトリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などを用いることができる。これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。これらの中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を最も小さくできるCTMは高移動度で、且つ組み合わされるCGMとのイオン化ポテンシャル差が0.5(eV)以下の特性を有するものであり、好ましくは0.25(eV)以下である。
【0059】
CGM、CTMのイオン化ポテンシャルは表面分析装置AC−1(理研計器社製)で測定される。
【0060】
電荷輸送層が表面層とならない場合は、電荷輸送層(CTL)に用いられる樹脂としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂とうが挙げられる。又、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。特にポリカーボネート樹脂が電子写真特性(帯電性、感度等)を良好に保つ上で好ましい。
【0061】
表面層(保護層)
前記した分散重合法により得られた有機微粒子溶液をそのまま表面層用塗布液として用い、該塗布液を塗布、乾燥して電子写真感光体の表面層を形成してもよいし、又上記有機微粒子溶液に電荷輸送物質、酸化防止剤、塗布助剤等の添加剤を加えて調製し、表面層用塗布液を作製して、塗布乾燥し、電子写真感光体の表面層を形成してもよい。電子写真特性(帯電性、感度等)を良好に維持する為には、表面層にも電荷輸送層、酸化防止剤等を存在させる方がより好ましい。
【0062】
又、表面層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。該酸化防止剤とは、その代表的なものは有機感光体中ないしは有機感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。代表的には下記の化合物群が挙げられる。
【0063】
【化2】
【0064】
【化3】
【0065】
【化4】
【0066】
【化5】
【0067】
中間層、感光層、保護層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0068】
次に本発明の電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお本発明の樹脂層は前記円形量規制型塗布加工方法を用いるのが最も好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0069】
次に、本発明の画像形成装置について説明する。
図2は本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
【0070】
図2に於いて50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に本発明の樹脂層を塗設した感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器(帯電手段)で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0071】
感光体への一様帯電の後、像露光手段としての像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザーダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0072】
ここで本発明の反転現像プロセスとは帯電器52により、感光体表面を一様に帯電し、像露光が行われた領域、即ち感光体の露光部電位(露光部領域)を現像工程(手段)により、顕像化する画像形成方法である。一方未露光部電位は現像スリーブ541に印加される現像バイアス電位により現像されない。
【0073】
その静電潜像は次いで現像手段としての現像器54で現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器54が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541によって現像が行われる。現像器54内部は現像剤攪拌搬送部材544、543、搬送量規制部材542等から構成されており、現像剤は攪拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材542により制御される。該現像剤の搬送量は適用される有機電子写真感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2の範囲である。
【0074】
現像剤は、例えば前述のフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、前述のスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と本発明の低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーとからなるもので、現像剤は搬送量規制部材によって層厚を規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム50と現像スリーブ541の間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。感光体の電位測定は電位センサー547を図2のように現像位置上部に設けて行う。
【0075】
記録紙Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラー57の回転作動により転写域へと給紙される。
【0076】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム50の周面に転写電極(転写手段:転写器)58が作動し、給紙された記録紙Pにトナーと反対極性の帯電を与えてトナーを転写する。
【0077】
次いで記録紙Pは分離電極(分離器)59によって除電がなされ、感光体ドラム50の周面により分離して定着装置60に搬送され、熱ローラー601と圧着ローラー602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー61を介して装置外部に排出される。なお前記の転写電極58及び分離電極59は記録紙Pの通過後、一次作動を中止し、次なるトナー像の形成に備える。図2では転写電極58にコロトロンの転写帯電極を用いている。転写電極の設定条件としては、感光体のプロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、転写電流としては+100〜+400μA、転写電圧としては+500〜+2000Vを設定値とすることができる。
【0078】
一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム50は、クリーニング器(クリーニング手段)62のブレード621の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び帯電前露光部51による除電と帯電器52による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0079】
尚、70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0080】
本発明の有機電子写真感光体は電子写真複写機、レーザープリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【0081】
【実施例】
以下実施例をあげて詳細な説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、下記文中「部」とは「質量部」を表す。
【0082】
上記組成を窒素雰囲気下、約65℃で10時間攪拌し重合した。重合の結果得られた分散重合体(有機微粒子:個数平均粒径50nm)の固形分濃度を1,3ジオキソランで8%に調整した後、下記の電荷輸送物質等を添加し表面層用塗布液1とした。
【0083】
[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]−ジ−p−トリルアミン
9.0部
2,6−ジ−t−ブチル−4−フェニルフェノール 0.18部
(合成例2)
ポリカーボネート「ユーピロンZ200」(三菱瓦斯化学社製)
10.0部
1H,1H,11H−エイコサフロロウンデシルアクリレイト 3.0部
アゾビス−(2−メチルブチロニトリル) 0.15部
トルエン 90.0部
上記組成を窒素雰囲気下、約70℃で10時間攪拌し重合した。重合の結果得られた分散重合体(有機微粒子:個数平均粒径30nm)の固形分濃度をトルエンで7%に調整した後、下記の電荷輸送物質等を添加し表面層用塗布液2とした。
【0084】
上記組成を窒素雰囲気下、約70℃で10時間攪拌し重合した。重合の結果得られた分散重合体(有機微粒子:個数平均粒径120nm)の固形分濃度を1,2ジクロロエタンで6.5%に調整した後、下記の電荷輸送物質等を添加し表面層用塗布液3とした。
【0085】
[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]−ジ−トリルアミン
6.7部
2,6−ジ−t−ブチル−4−フェニルフェノール 0.134部
(合成例4)
ポリカーボネート「TS2050」(帝人化成(株)製) 5.0部
ポリカーボネート「ユーピロンZ200」(三菱瓦斯化学社製)5.0部
1H,1H,7H−ドデカフロロヘプチルアクリレート 5.0部
ジビニルベンゼン 0.1部
アゾビス−(2−メチルブチロニトリル) 0.1部
1,3ジオキソラン 80.0部
上記組成を窒素雰囲気下、約70℃で10時間攪拌し重合した。重合の結果得られた分散重合体(有機微粒子:個数平均粒径90nm)の固形分濃度を1,2ジクロロエタンで6%に調整した後、下記の物質を添加し表面層用塗布液4とした。
【0086】
上記組成を窒素雰囲気下、約75℃で10時間攪拌し重合した。重合の結果得られた分散重合体(有機微粒子:個数平均粒径70nm)の固形分濃度を1,2ジクロロエタンで5%に調整した後、下記の物質を添加し表面層用塗布液5とした。
【0087】
【0088】
【化6】
【0089】
感光体1の作製
下記のようにして感光体1を作製した。
【0090】
直径80mmの円筒形アルミニウム製導電性基体上に、下記の中間層塗布液を浸漬塗布して、乾燥膜厚4.0μmの中間層を形成した。
【0091】
〈中間層塗布液〉
ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 10.0部
酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製) 30.0部
メタノール 100.0部
上記を循環式湿式分散機(ディスパーマットSLC12EX;VMA GETZMANN社製)を用いて分散した。
【0092】
前記中間層上に下記の電荷発生層塗布液を、浸漬塗布して、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0093】
上記を混合しサンドグラインダーにて分散した。
【0094】
前記電荷発生層上に、下記の電荷輸送層塗布液、次いで前記の表面層用塗布液1を円形スライドホッパーにて連続塗布して、110℃;60分加熱硬化し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層及び乾燥膜厚5.0μmの表面層を形成した。
【0095】
感光体2〜5の作製
感光体1の作製において、表面層用塗布液1の代わりに表面層用塗布液2〜5を用いた他は同様にして感光体2〜5を作製した。
【0096】
感光体6の作製(比較感光体)
表面層用塗布液1の代わりに下記組成の表面層用塗布液6を用いた以外は感光体1と同様にして感光体6を作製した。
【0097】
感光体7の作製(比較感光体)
表面層用塗布液1の代わりに下記組成の表面層用塗布液7を用いた以外は感光体1と同様にして感光体7を作製した。
【0098】
表面層用塗布液7の作製(特開平8−328287号実施例1)
まず、フッ素系樹脂粒子分散液を調製するために、250℃で加熱処理を行った4−フッ化エチレン樹脂200質量部、ポリカーボネート樹脂200質量部、モノクロルベンゼン600質量部、フッ素系クシ型グラフトポリマー(商品名GF300、東亜合成化学(株)製)8質量部を充分に混合した後ガラスビ−ズを用いたサンドグラインダー((株)アメックス製)にて分散し、4−フッ化エチレン樹脂粒子分散液(個数平均粒径:310nm)を調製した。
【0099】
次に[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]−ジ−p−トリルアミン1200質量部、ポリカーボネート樹脂800質量部、上記4−フッ化エチレン樹脂粒子分散液1500質量部をモノクロルベンゼン5000質量部、ジクロロメタン3000質量部に溶解混合し、表面層用塗布液7を調製した。この表面層用塗布液7を表面層用塗布液1の代わりに用いた以外は感光体1と同様にして感光体7を作製した。
【0100】
評価
表面層の有機微粒子の凝集率:Nの評価
厚さ0.3±0.1μmの感光体表面層の切片を作製し、該切片断面の2万倍拡大写真(透過型電子顕微鏡写真)を撮影し、該拡大写真の任意の場所5カ所を選定し、各場所の5×5cm2の画像面積内の有機粒子とその凝集粒子を数えて凝集率を計算した。
【0101】
複写機を用いた評価
評価機としてコニカ社製デジタル複写機Konica「Sitios7075」(コロナ帯電、レーザ露光、反転現像、静電転写、爪分離、ブレードクリーニング、クリーニング補助ブラシローラー採用プロセスを有し、プリント速度75枚/min)を用い、該複写機に感光体1〜7を搭載し評価した。クリーニング性及び画像評価は、画素率が7%の文字画像、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像をA4中性紙にコピーして行った。コピー条件は最も厳しいと思われる高温高湿環境(30℃、80%RH)にて連続20万枚コピー行いハーフトーン、ベタ白画像、ベタ黒画像を評価した。但し、コピー開始前に、感光体表面にセッティングパウダーをまぶし、感光体とクリーニングブレードをなじませた後20万枚のコピーを行った。評価項目及び評価基準を下記に示す。
【0102】
評価項目及び評価基準
画像濃度(マクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。初期と20万枚コピー後の両方で評価)
◎:初期と20万枚コピー後の両方共1.2以上:良好
○:初期と20万枚コピー後の両方共1.0以上:実用上問題ないレベル
×:初期と20万枚コピー後の少なくとも一方が1.0未満:実用上問題となるレベル
カブリ:ベタ白画像濃度で判定
マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて、印字されていないコピー用紙(白紙)の濃度を20カ所、絶対画像濃度で測定し、その平均値を白紙濃度とする。次に、画像形成がなされた評価用紙の白地部分を同様に20カ所、絶対画像濃度で測定し、その平均濃度から前記白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。
【0103】
◎:初期と20万枚コピー後の両方共0.005以下(良好)
○:初期と20万枚コピー後の両方共0.01以下(実用上問題ないレベル)
×:初期と20万枚コピー後の少なくとも一方が0.01より大(明らかに、実用上問題あり)
鮮鋭性
細線の再現性、画像の先鋭性を20万枚コピー終了後、文字画像を出し、文字潰れで評価した。3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0104】
◎:3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○:3ポイントは一部判読不能、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能
△:3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントは判読可能
×:3ポイントは殆ど判読不能、5ポイントも一部あるいは全部が判読不能
トナー転写率
下記式により転写率(%)を求めた。但し、転写率を求める際には、クリーニングユニットから回収されたトナーは現像器に戻さず、袋に取った。
【0105】
転写率(%)={1−(回収トナーの質量/消費トナーの質量)}×100
クリーニング性(10万及び20万枚コピー終了後にA3紙に連続10枚コピーを行い、ベタ白部でのクリーニング不良の発生の有無で判定)
◎:20万枚までトナーのすり抜け発生なし
○:10万枚までトナーのすり抜け発生なし
×:10万枚未満でトナーのすり抜け発生
画像ボケ
◎:20万枚まで発生なし
○:15万枚まで発生なし
×:10万枚以下で発生
クリーニングブレードの起動トルク測定
初期(s)及び20万枚コピー後(e)に、ドラムカートリッジを用い、複写機本体のドラム軸に連結したトルクゲージ(MODEL 6BTG:TOHNICHI社製)を回転させて起動トルクを測定した。測定は5回行い、平均値を採用した。
【0106】
表面接触角測定
感光体の表面接触角は純水に対する接触角を接触角計(CA−DT・A型:協和界面科学社製)を用いて測定した。接触角が小さいと感光体表面の劣化が進行したり、トナーや紙粉等の付着が発生しやすく、90〜120°がよい。
【0107】
感光体膜厚減耗量
減耗量は実写評価開始時と20万枚コピー終了時に測定した感光体の平均膜厚の差分を求め、膜厚減耗量とした。
【0108】
膜厚測定法
感光層の膜厚は均一膜厚部分をランダムに10ケ所測定し、その平均値を感光層の膜厚とする。膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用いて行い、実写試験前後の感光層膜厚の差を膜厚減耗量とする。
【0109】
その他評価条件
尚、上記7075を用いたその他の評価条件は下記の条件に設定した。
【0110】
帯電条件
帯電器;スコロトロン帯電器、初期帯電電位を−750V
露光条件
露光部電位を−50Vにする露光量に設定。
【0111】
現像条件
DCバイアス;−550V
現像剤は、フェライトをコアとして絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアとスチレンアクリル系樹脂を主材料としてカーボンブラック等の着色剤と荷電制御剤と本発明の低分子量ポリオレフィンからなる着色粒子に、シリカ、酸化チタン等を外添したトナーの現像剤を使用
転写条件
転写極;コロナ帯電方式
クリーニング条件
クリーニング部に硬度70°、反発弾性65%、厚さ2(mm)、自由長9mmのクリーニングブレードをカウンター方向に線圧18(N/m)となるように重り荷重方式で当接した。
【0112】
評価結果を表1に示した。
【0113】
【表1】
【0114】
表1から明らかなように、本発明の分散重合法により得られた重合体を表面層に有する感光体1〜5は良好な画像特性、トナー転写率、クリーニング特性を示している。又、感光体1〜5は分散重合法による重合体を有しない表面層の感光体6に比し、クリーニングブレードの起動トルクが小さく、高い安定性を示している。凝集率が本発明のものより低い感光体6は初期の起動トルクが大きく、本発明範囲より凝集率の大きな感光体7は20万コピー後の起動トルクが大きい。感光体の膜厚減耗量も感光体1〜5は感光体6に比し小さくなっている。又感光体6は鮮鋭性、トナー転写率、クリーニング性も感光体1〜5に比し劣っている。感光体7は表面層の有機微粒子の凝集率が77%であることから、表面層の膜物性が均一でなく、膜厚減耗量も大きく、画像濃度の低下も発生している。又、鮮鋭性、クリーニング性も感光体1〜5に比し劣っている。
【0115】
【発明の効果】
本発明により、画像品質を向上させ、且つ環境依存性を低減できる高耐久の電子写真感光体を提供すること、更に、トナーのクリーニング性能がよく、画像ボケのないすぐれた電子写真感光体を提供すること、更に高湿環境でも鮮明な画像を得ることが出来る電子写真感光体を提供すること、該電子写真感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】凝集率について説明した図である。
【図2】本発明の画像形成方法の1例としての画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
50 感光体ドラム(又は感光体)
51 帯電前露光部
52 帯電器
53 像露光器
54 現像器
541 現像スリーブ
543,544 現像剤攪拌搬送部材
547 電位センサー
57 給紙ローラー
58 転写電極
59 分離電極(分離器)
60 定着装置
61 排紙ローラー
62 クリーニング器
70 プロセスカートリッジ
Claims (8)
- 導電性支持体上に凝集率:N(%)が下記範囲にある有機微粒子を含有する層を有することを特徴とする電子写真感光体。
10<N≦70 - 導電性支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び表面層を有する電子写真感光体において、該表面層に凝集率:N(%)が下記範囲にある有機微粒子を含有させることを特徴とする電子写真感光体。
10<N≦70 - 前記有機微粒子の個数平均粒径が10〜5000nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記有機微粒子は分散重合法により合成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記電子写真感光体の表面の純水に対する接触角が90〜120°であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項6に記載の画像形成方法を用いて電子写真画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電器、像露光器、現像器、転写器、クリーニング器の少なくとも1つを一体として有しており、画像形成装置に着脱可能に構成されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
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