JP2004256749A - 導電性ペースト用バインダー共重合樹脂 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記化学式1で示されるメタクリル酸アルキルエステル単量体94〜99重量%、アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステル0.1〜2.0重量%およびその他の共重合可能な単量体を含有する単量体混合物100重量部に対して、2官能性単量体を0.01〜2.0重量部或いは3官能性単量体を0.01〜0.1重量部添加した単量体混合物を共重合して得られた共重合樹脂であって、ガラス転移温度が40〜80℃で、重量平均分子量が30000〜150000である導電性ペースト用バインダー共重合樹脂とすることによって、解決される。
【化1】
(但し、Rは炭素数1〜8の直鎖または側鎖を有するアルキル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、イソボロニル基から選ばれる。)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック回路基板用の導電性ペーストに用いられる、バインダー共重合樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の技術としては、従来よりエチルセルロース樹脂がバインダー樹脂として用いられているが、焼成時に分解残渣が残る問題があった。このような問題点を改良するために、特許文献1に記載されるようなセラミック回路基板用導電ペーストが知られている。すなわち、比表面積が0.5〜3.0m2/gの球状銅粉末を、セラミック生シートに含まれる有機バインダと比べて樹脂成分の焼成時の飛散性が少なくとも劣らない有機バインダを溶解した高沸点溶媒中に分散させるものである。具体的には、前記有機バインダの樹脂成分がアクリル系樹脂であり、前記高沸点溶媒がテルピネオールであることが開示されている。そしてこのような導電性ペーストは、セラミック回路基板の導体特性および印刷精度が改善されるとしている。しかしながらこのような導電性のペーストは、スクリーン印刷に適した高粘度を発現させるために、共重合樹脂の分子量を上げる必要があり、このため高分子量に起因する糸引き性と称する問題があった。さらには、導電性ペーストとしての安定性にも問題点があった。
【0003】
【特許文献1】
特開昭60−153193号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、加熱分解性を良好なものとすることにより、より分解残渣が少なく、電気的特性に優れると共に、スクリーン印刷に要求される、高粘度であっても糸引き性がなく、印刷特性に優れたものとすること。さらに貯蔵安定性にも優れた、セラミック回路基板の導電性ペースト用のバインダー共重合樹脂を、提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するためには、請求項1に記載されるように、下記化学式1で示されるメタクリル酸アルキルエステル単量体94〜99重量%、アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステル0.1〜2.0重量%およびその他の共重合可能な単量体を含有する単量体混合物100重量部に対して、2官能性単量体を0.01〜2.0重量部或いは3官能性単量体を0.01〜0.1重量部添加した単量体混合物を、共重合して得られた共重合樹脂であって、ガラス転移温度が40〜80℃で、重量平均分子量が30000〜150000である導電性ペースト用バインダー共重合樹脂とすることによって、解決される。
【化1】
(但し、Rは炭素数1〜8の直鎖または側鎖を有するアルキル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、イソボロニル基から選ばれる。)
【0006】
また、請求項2に記載されるように、前記アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステルが、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよび/またはメタクリル酸ジエチルアミノエチルである、請求項1に記載の導電性ペースト用バインダー共重合樹脂とすることによって、解決される。
【0007】
さらに、請求項3に記載されるように、前記バインダー共重合樹脂は、懸濁重合法によって得られたものである、請求項1〜2のいずれかに記載の導電性ペースト用バインダー共重合樹脂とすることによって、解決される。
【0008】
そして、請求項4に記載される前記バインダー共重合樹脂は、大気中または不活性ガス中において、10℃/分の昇温速度で室温から500℃まで加熱した場合の加熱分解残渣が、1.0重量%未満である、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ペースト用バインダー共重合樹脂とすることによって、解決される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。請求項1に記載される発明は、下記化学式1で示されるメタクリル酸アルキルエステル単量体94〜99重量%、アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステル0.1〜2.0重量%およびその他の共重合可能な単量体を含有する単量体混合物100重量部に対して、2官能性単量体を0.01〜2.0重量部或いは3官能性単量体を0.01〜0.1重量部添加した単量体混合物を、共重合して得られた共重合樹脂であって、ガラス転移温度が40〜80℃で、重量平均分子量が30000〜150000である導電性ペースト用バインダー共重合樹脂であり、加熱分解性が良好となり、より分解残渣が少なく、電気的特性に優れると共に、スクリーン印刷時の糸引き性がない印刷特性に優れ、さらに貯蔵安定性にも優れた、セラミック回路基板の導電性ペースト用のバインダー共重合樹脂とすることができる。
【化1】
(但し、Rは炭素数1〜8の直鎖または側鎖を有するアルキル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、イソボロニル基から選ばれる。)
【0010】
すなわち、前記メタクリル酸アルキルエステル単量体を、94〜99重量%を含有することにより、良好な加熱分解性を発現させることができる。そして、このメタクリル酸アルキルエステル単量体は、下記の化学式1として示される構造を有するもので、Rが炭素数1〜8のメタクリル酸エステル類が加熱分解性の点で好ましい。具体的な例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ノルマルブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボロニル等が挙げられ、これらの一種もしくは二種以上を混合して、用いることがきる。なお、前記メタクリル酸アルキルエステル単量体を94〜99重量%とするのは、この範囲を外れると加熱分解性が悪くなって、好ましくないためである。
【化1】
(但し、Rは炭素数1〜8の直鎖または側鎖を有するアルキル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、イソボロニル基から選ばれる。)
【0011】
さらに、前記アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステルの添加量を、0.1重量%以上とすることで、バインダー樹脂に分散する導電性粉末の分散安定性を向上させることができ、2.0重量%以下とすることで加熱分解性も良好なものとすることができる。より好ましくは、0.5〜1.5重量%の範囲である。
【0012】
また、前記アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステルとして好ましいものは、請求項2に記載されるように、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMMA)、メタクリル酸ジエチルアミノエチル(DEMA)であり、これらが単独で或いは併用して添加される。
【0013】
本発明にはさらに、その他の共重合可能な単量体が添加されるが、前記メタクリル酸アルキルエステル単量体並びにアミノ基含有メタクリル酸アルキルエステル前記単量体の加熱分解性を低下させない範囲で添加される。その添加量は、単量体混合物の全体量として100重量%を越えない範囲で配合される。概ね10重量%以下である。具体的な例としては、メタクリル酸(MMA)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸エチル(EA)、スチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、酢酸ビニル等が挙げられ、一種もしくは二種以上を混合して使用することができる。そして前記単量体混合物が、バインダーのベース樹脂となる。そして、このベース樹脂を100重量部として、その他の添加が加えられる。
【0014】
また、ベース樹脂となる前記単量体混合物には、架橋成分を含有することが好ましい。これは架橋成分を含まない共重合体、即ち直鎖状共重合体で、本発明の重量平均分子量を有する共重合体を用いた導電性ペーストでは、スクリーン印刷後、刷版を被印刷面から剥がすときに、前記刷面と前記被印刷面との間で、導電性ペーストの糸引き現象が起こり、良好な印刷ができないこととなる。このため架橋成分として2官能性単量体を、前記単量体混合物100重量部に0.01〜2.0重量部、或いは3官能性単量体を0.01〜0.1重量部添加される。これは0.01重量部未満の添加では、スクリーン印刷時の糸引き性のない共重合体を得ることができない。また前記2官能性単量体の場合は、2.0重量部を越えると、さらに3官能性単量体の場合は、0.1重量部を超えると、高沸点溶剤にも溶解しない共重合体となって、好ましくないためである。よって、前記2官能性単量体或いは3官能性単量体を併用する場合には、0.1重量部を超えないようにすることが、必要である。このような、2官能性単量体としては、ブチレングリコールジメタクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、1,3ブチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル(AMA)等が挙げられる。また3官能性単量体としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、等が挙げられる。中でも、前記TMPTAや前記AMAが好ましいものである。このようなベース樹脂は、共重合させることによって導電性ペースト用バインダー共重合樹脂となる。
【0015】
そして前記共重合は、アゾ系の重合開始剤を用いて行うのが好ましい。これは過酸化物系の重合開始剤を用いると、前記アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステルの反応が進みにくくなり、好ましくないためである。具体的なアゾケ系の重合開始剤の例としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。そしてその添加量は、前記単量体混合物100重量部に対して、0.1〜3重量%とすることが好ましい。
【0016】
そして、前記バインダー共重合樹脂の共重合方法としては、請求項3に記載されるように、懸濁重合法とすることが、好ましい。これは、例えば溶液重合法では、溶剤中で単量体を重合するため、重合終了と同時にバインダー樹脂を得ることができるが、高分子量の重合体を得にくいという問題があり、乳化重合法では、界面活性剤を溶解した水に乳化させた単量体をミセル中で重合するため、乳化状態のポリマーを析出分離もしくはスプレードライヤーによって水分を乾燥させ、得られたポリマーを溶剤に溶解させてバインダー共重合樹脂とするので、前記界面活性剤がバインダー共重合樹脂中に残り易く、加熱分解時の分解残渣が多くなる恐れがある。これに対し、前記の懸濁重合法では、分散剤を含む水中で単量体懸濁液を重合し、その後に洗浄により前記分散剤を洗い取るため、得られたビーズ状ポリマーは、高分子量の共重合体が得られると共に、分解残渣の少ないものとなり、溶剤に溶解したバインダー樹脂は、本発明の導電性ペースト用バインダーとして、好ましいものとすることができる。
【0017】
このようにして得られたバインダー共重合樹脂は、ガラス転移温度が40〜80℃で、重量平均分子量が30000〜150000の範囲に入るものとするのが、好ましい。これは、導電性ペイント用のバインダー共重合樹脂として、重量平均分子量を3万以上とすることによって、導電性粉末の分散がし易く、また導電性ペースト中の前記導電性粉末の沈降を防止できる。また重量平均分子量を15万以下程度とすることで、バインダー樹脂中のゲル化物の発生を防ぐことができるので、好ましいものとなる。よって、本発明のバインダー共重合樹脂は、前記懸濁重合の条件等を選定して、重量平均分子量が3〜15万程度になるように共重合させる。またガラス転移温度を40〜80℃とすることによって、印刷特性に関係する糸引き性が良好であり、また高沸点溶剤に溶け難くなるという問題もなくなる。
【0018】
また、このようにして得られた本発明のバインダー共重合樹脂は、請求項4に記載されるように、大気中または不活性ガス中において、10℃/分の昇温速度で室温から500℃まで加熱した場合の、加熱分解残渣が1.0重量%未満である導電性ペースト用のバインダー共重合樹脂とすることができる。このようにスラッジ等の加熱分解残渣の少ないことにより、電気的特性の優れた導電性ペーストとなる。すなわち、従来使用されていたエチルセルロース樹脂のように、500℃以下の低温化での加熱分解ではスラッジと称する残渣が多く発生する不具合が生じ、さらに不活性ガス雰囲気中で加熱分解した場合、さらにスラッジが多く発生するので、電子材料用等の高純度の品質が必要な部分には使用できないという不都合がなくなる。このような不都合のない導電性ペーストは、電子材料用等の高純度の品質が必要な部分にも使用できる。また、熱により酸化反応が進む金属フィラーや熱劣化を起こしやすい金属酸化物、蛍光体等に好適である。なお、ここで、不活性雰囲気とは、多くの場合、窒素を用いるが、酸素と窒素の混合ガスでも良い。その他として、ヘリウム、ネオン、アルゴン等のガスである。
【0019】
なお、セラミックス回路基板用の導電性ペーストとするためには、前記バインダー共重合樹脂と導電性粉末を、例えばジヒドロターピネオールのような有機溶剤に溶解、攪拌・分散させて導電性ペーストとする。また前記導電性粉末としては、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム等の酸化物系はもとより、銅、銀、ニッケル等の金属、窒化アルミナ、窒化ホウ素、窒化珪素等の窒化物系、低融点ガラスなどのシリカ系粉末等、さらに陰極線やプラズマディスプレーパネル等に用いられる、各種蛍光体等が挙げられる。そして、導電性粉末とバインダー共重合樹脂との混合比は、通常導電性粉末100重量部に対して、バインダー共重合樹脂の固形分で5〜30重量部を添加することが好ましい。これは前記バインダー共重合樹脂の固形分が5重量部未満であると、スクリーン印刷により形成された回路にクラックが発生する恐れがあり、また30重量部を越えると、単位時間での分解残渣が残りやすくなるためである。なお必要に応じて、可塑剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、帯電防止剤、減粘剤を添加しても良い。
【0020】
【実施例】
以下に実験例1〜26および従来例を示して、本発明の効果を説明する。表1(実施例)および表2(比較例および従来例)に示す、各種バンダー共重合樹脂を作製して、その分子量、ガラス転移温度、熱分解残渣、煤の有無、溶解性を、またこれらのバインダー共重合樹脂を用いて導電性ペーストとし、その安定性、糸引き性、スクリーン印刷性を測定した。前記バインダー共重合樹脂の基本的な製法は、メタクリル酸アルキルエステル単量体、アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステル、2或いは3官能性単量体、連鎖移動剤、重合開始剤を加えて、単量体混合物を用意した。つぎにポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235)をイオン交換水に溶解し、分散媒体とし、これに前記単量体混合物を加え、攪拌羽を350rpmで、74℃、2時間の懸濁重合を行って、共重合を行った。得られた共重合物を、洗浄、脱水した後、乾燥して、バインダー共重合樹脂としたものである。
【0021】
また、このバインダー共重合樹脂を用いた導電性ペーストは、前記共重合樹脂8部(重量)をジヒドロターピネオール100部(重量)に溶解した後、銅粉末(三井金属社製、「copper powder1110」)100部(重量)を加え、三本ロールで分散して作製した。また従来例として、前記バインダー共重合樹脂に変えて、エチルセルロース(ハーキュリス社製、「N−4」)とした以外は前記と同様にして、作製した。
【0022】
なお、表1および2に記載される記号は、以下の材料を示すものである。MMAはメタクリル酸メチル、i−BMAはメタクリル酸イソブチル、n−BMAはメタクリル酸ノルマルブチル、MAはアクリル酸メチル、EAはアクリル酸エチル、MAAはメタクリル酸、DMMAはメタクリル酸ジメチルアミノエチル、HEMAはメタクリル酸ヒドロキシエチル、AMAはメタクリル酸アリル、TMPTAはトリメチロールプロパントリアクリレート、AIBNは2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、LMCはラウリルメルカプタンである。
【0023】
つぎに、前記評価方法について記載すると、重量平均分子量については、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。加熱分解性については、得られたバインダー共重合樹脂を乾燥させ、サンプル量10〜20mgをアルミ皿にのせ、熱重量分析(TGA)で評価した。雰囲気は、窒素雰囲気中で10℃/分で室温から500℃まで昇温して測定を行った。○印は、500℃における残量率が1.0重量%未満のものであり、×印は、500℃における残量率が1.0重量%を越えたものである。また煤の有無に関しては、前記アルミ皿に煤が有るか否かを目視によって確認し、見られないものは○印、確認できるものは×印とした。さらにガラス転移温度については、次のFOXの式によって、求めた。1/Tg=ΣWi/Tgi(但しTgは、゜K、Wは単量体の重量分率である。)
【0024】
また、前記導電性ペーストの評価方法について述べると、その安定性に関しては、得られた導電性ペーストを室温で3日間放置し、粘度が2倍以上となったものを×印で、それ以外のものを合格として○印で表示した。糸引き性に関しては、スクリーン印刷を行った際に、従来例として記載したエチルセルロース系のバインダー樹脂と、同程度の場合を合格として○印で、それ以外を不合格として×印で記載した。またスクリーン印刷性に関しては、印刷後の回路パターンの状態を比較し、従来例のエチルセルロース系のバインダー樹脂と、同等であったものを合格として、○印で、それ以外を不合格として×印で表した。結果は、表1および2に示すとおりである。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
表1から明らかなとおり、本発明の組成範囲のバインダー共重合樹脂(実験例1〜15)は、500℃における熱分解残量率が1.0重量%未満と、加熱分解性が良好であり、かつ煤の発生もなく、溶解性についても問題のないものであった。さらに、分子量についても重量平均分子量(Mw)が3〜15万の範囲に入るものであり、ガラス転移温度も40〜80℃の範囲のものであった。より詳細に述べると、メタクリル酸アルキルエステル単量体が94〜99重量%範囲で、アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステルを2重量%まで添加したもの、2官能性単量体を2.0重量部まで、または3官能性単量体を0.1重量部までの範囲で添加したもの、或いは2官能性単量体と3官能性単量体を併用したものを、共重合させたバインダー共重合樹脂は、実験例1〜15に記載されるように、前記熱分解残量、煤の有無、溶解性、重量平均分子量並びにガラス転移温度特性の全てを、満足するものであることがわかる。
【0028】
さらに前記バインダー共重合樹脂を用いた、導電性ペーストは、溶解性、ペーストの安定性、糸引き性やスクリーン印刷性が、全て満足されるものであることがわかる。すなわち、導電性ペーストの安定性としては、室温で3日間放置しても粘度が2倍以上にはならず、糸引き性並びにスクリーン印刷を行った際の印刷性に関しても、従来のエチルセルロース系のバインダー樹脂を用いたものと、ほぼ同程度の特性を有するものであった。しかも前述のように、特に加熱分解残量が1.0重量%未満と加熱分解性が良好であり、かつ煤の発生もない特性を有するものである。
【0029】
これに対して、表2に示される比較例とした実験例16〜26および従来例のバインダー樹脂は、メタクリル酸アルキルエステル単量体が94〜99重量%の範囲を、アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステルが0.1〜2.0重量%の範囲を、2官能性単量体が0.01〜2.0重量部、また3官能性単量体量が0.01〜0.1重量部の範囲を外れるものには、加熱分解残渣率が1重量%を越えるものがある。(実験例24、25)また、これらの実験例では、煤の発生も見られた。さらに2官能性単量体や3官能性単量体が、本発明の添加範囲を超えて配合されると、実験例18や19のようにゲル化物の発生が見られ、分子量測定が行えないようなバインダー共重合樹脂となる。また前記のバインダー樹脂を用いた導電性ペーストも、実験例16、17、20〜23のように、印刷性に係わる糸引き性やスクリーン印刷性が、従来のセルロース系バインダー樹脂を用いた導電性ペーストと比較して、劣るものとなっていた。さらに実験例20のように、アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステルが含まれないので、導電性ペーストの安定性に問題が生じるものもあった。また、実験例26のように、アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステルの添加量を、本発明の配合範囲を超えて多量に配合すると、懸濁重合が不安定になり共重合樹脂が得られなかった。よって、本発明の組成範囲のバインダー共重合樹脂を用いるべきである。
【0030】
【発明の効果】
以上詳述したように、下記化学式1で示されるメタクリル酸アルキルエステル単量体94〜99重量%、アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステル0.1〜2.0重量%およびその他の共重合可能な単量体を含有する単量体混合物100重量部に対して、2官能性単量体を0.01〜2.0重量部或いは3官能性単量体を0.01〜0.1重量部添加した単量体混合物を、共重合して得られた共重合樹脂であって、ガラス転移温度が40〜80℃で、重量平均分子量が30000〜150000である導電性ペースト用バインダー共重合樹脂とすることによって、また前記メタクリル酸アルキルエステル単量体が、メタクリル酸イソブチルである導電性ペースト用バインダー共重合樹脂とすることによって、熱分解残量率が極めて少なく電気的特性上の問題がない、また溶解性、印刷性にも優れたものとなる。さらには貯蔵安定性にも優れた、セラミック回路基板の導電性ペースト用の、バインダー共重合樹脂となる。
【化1】
(但し、Rは炭素数1〜8の直鎖または側鎖を有するアルキル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、イソボロニル基から選ばれる。)
【0031】
また、前記バインダー共重合樹脂は、ガラス転移温度が40〜80℃で、重量平均分子量が30000〜150000であるから、印刷特性に関係する糸引き性が良好であり、また高沸点溶剤に溶け難くなるという問題もなくなる。さらに加熱分解残渣が少なく電気的特性に優れたものでもある。さらにまた貯蔵安定性にも優れた、セラミック回路基板の導電性ペースト用のバインダー共重合樹脂として、十分実用的なものとなる。
【0032】
さらに、前記アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステルが、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよび/またはメタクリル酸ジエチルアミノエチルである、請求項1に記載の導電性ペースト用バインダー共重合樹脂とすることによって、加熱分解性をより良好なものとすることができる。また得られたバインダー共重合樹脂は、熱分解残量率が1.0重量%未満の電気的特性上も問題がない、また溶解性、印刷性にも優れたものとなる。さらには貯蔵安定性にも優れた、セラミック回路基板の導電性ペースト用のバインダー共重合樹脂として、提供できることになる。
【0033】
また前記バインダー共重合樹脂は、懸濁重合法によって得られた導電性ペースト用バインダー共重合樹脂とすることによって、分散剤を含む水中で単量体懸濁液を重合し、その後に洗浄により前記分散剤を洗い取るため、得られたビーズ状ポリマーは、高分子量の共重合体が得られると共に、分解残渣の少ないものとなり、溶剤に溶解したバインダー樹脂は、本発明の導電性ペースト用バインダーとして、好ましいものである。
【0034】
そして、前記バインダー共重合樹脂は、大気中または不活性ガス中において、10℃/分の昇温速度で室温から500℃まで加熱した場合の加熱分解残渣が、1.0重量%未満である導電性ペースト用バインダー共重合樹脂とすることによって、スラッジ等の加熱分解残渣の少ない電気的特性の優れた導電性ペーストとなる。すなわち、従来使用されていたエチルセルロース樹脂やブチラール樹脂のように、500℃以下の低温化での加熱分解ではスラッジと称する残渣が多く発生する不具合がなくなる。よって、電子材料用等の高純度の品質が必要な部分にも使用可能となる。そしてこのようなバインダー共重合樹脂を用いた導電性ペーストは、糸引き性やスクリーン印刷性に優れ、さらに貯蔵安定性にも優れたセラミック回路基板の導電性ペースト用のバインダー共重合樹脂とすることができる。
Claims (4)
- 下記化学式1で示されるメタクリル酸アルキルエステル単量体94〜99重量%、アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステル0.1〜2.0重量%およびその他の共重合可能な単量体を含有する単量体混合物100重量部に対して、2官能性単量体を0.01〜2.0重量部或いは3官能性単量体を0.01〜0.1重量部添加した単量体混合物を、共重合して得られた共重合樹脂であって、ガラス転移温度が40〜80℃で、重量平均分子量が30000〜150000であることを特徴とする、導電性ペースト用バインダー共重合樹脂。
- 前記アミノ基含有メタクリル酸アルキルエステルが、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよび/またはメタクリル酸ジエチルアミノエチルであることを特徴とする、請求項1に記載の導電性ペースト用バインダー共重合樹脂。
- 前記バインダー共重合樹脂は、懸濁重合法によって得られたものであることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の導電性ペースト用バインダー共重合樹脂。
- 前記バインダー共重合樹脂は、大気中または不活性ガス中において、10℃/分の昇温速度で室温から500℃まで加熱した場合の加熱分解残渣が、1.0重量%未満であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の、導電性ペースト用バインダー共重合樹脂。
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