JP2004254044A - 運転支援方法、表示システム及び報知システム - Google Patents
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Abstract
【課題】夜間等の前方が見づらい環境においても、運転者がフロントガラス越しに実際に見ている車両前方の景色から視線をそらすことなく車両前方の状況を迅速且つ的確に把握して、安全に走行できるようにすることを目的とする。
【解決手段】車両前部に赤外線ライト11を備えると共に車室内に赤外線カメラ12が配置されている。画像処理回路13は、赤外線カメラ12が撮影した赤外線画像の中から、予め設定された所定領域の画像のみを切り出して液晶パネル15に表示させる。この所定領域は、運転者にとって視認性の悪い領域(例えばヘッドライトの当たらない路側領域等)であり、この領域の画像が液晶パネル15に表示されることにより、フロントガラス8に虚像として表示される。この虚像は、運転者から見える実際の風景に重畳するように表示されるため、運転者は低照度環境等であっても車両前方の状況を的確に把握できる。
【選択図】 図1
【解決手段】車両前部に赤外線ライト11を備えると共に車室内に赤外線カメラ12が配置されている。画像処理回路13は、赤外線カメラ12が撮影した赤外線画像の中から、予め設定された所定領域の画像のみを切り出して液晶パネル15に表示させる。この所定領域は、運転者にとって視認性の悪い領域(例えばヘッドライトの当たらない路側領域等)であり、この領域の画像が液晶パネル15に表示されることにより、フロントガラス8に虚像として表示される。この虚像は、運転者から見える実際の風景に重畳するように表示されるため、運転者は低照度環境等であっても車両前方の状況を的確に把握できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両を運転する運転者に対し車両前方状況に関する情報を表示して運転を支援する運転支援方法と、この運転支援方法を実現する表示システム及び報知システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、視認性に優れ運転者の負担の少ない画像HMI(Human Machine Interface )への要求が高まっている。特に、前方視界補助情報や死角情報等の車両を安全に走行させるための情報のニーズが高まっており、これらをより効果的に運転者へ伝達するための画像HMIが求められる。
【0003】
自動車を夜間走行する場合、運転者はヘッドライトの灯りや街灯の明かり等を頼りに低照度環境の中で運転の判断をしているため、昼間の運転に比べて歩行者等の発見が遅れ、危険性が大きくなる。そのため、夜間に自動車事故に遭遇すると死亡事故につながる可能性も高くなる。
【0004】
夜間の低照度環境等、肉眼での視認性の悪い環境をカバーするための技術として、例えば図28に示すように、前方対象物101から発する遠赤外線をレンズ102で集光して赤外線センサー部103により電気信号に変換し、これを可視画像として表示できるよう信号処理部104にて信号処理して表示部105へ表示させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
これによって、運転者が目視で見づらい車両前方の景色であっても、表示部105を見ることによって認識することができる。
また、例えば図29に示すように、可視光カメラ111が可視光風景を撮影してその画像データを可視光画像フレームメモリ112に記録すると共に、赤外線カメラ113が赤外線風景を撮影してその画像データを赤外線画像フレームメモリ114に記録し、CPU115が、赤外線画像から運転者の視認困難な部位に相当する領域を切り出して可視光画像における対応する領域に合成し、その合成画像を重畳画像フレームメモリ116に記録して、これを表示モニタ118に表示させる技術も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
即ち、上記特許文献2に記載の技術は、運転者にとって視認できる部分は可視光により撮影した風景を表示し、肉眼で視認困難な視界部位には赤外線により撮影した風景を合成して表示することによって、運転者が表示モニタ118の表示画像を見ることにより車両前方の風景全体を把握できるようにするものである。
【0007】
【特許文献1】
特開平05−137030号公報
【特許文献2】
特開平11−308609号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術により車両前方の情報を運転者に提供すると、運転者はこれら情報(前方風景)を認識するために視線を表示モニタに向ける必要がある。表示モニタが例えばインストルメントパネルに配置されている場合は、走行中に運転者が前方から目を背けるため、危険が伴う。また例えば、表示モニタがフロントガラスと運転者との間に配置されている場合、インストルメントパネル配置の場合よりは運転者が前方から大きく目を背ける必要はなくなるものの、走行中の前方の景色が見づらくなる(表示モニタが邪魔になる)ため、やはり危険が伴う。
【0009】
しかも、走行中に運転者から見える実際の車両前方景色と、表示モニタに表示された画像(車両前方の風景画像)とを瞬時に対応させることが困難であり、例えば表示モニタにて前方に障害物があることを認識してから運転者が実際にその認識に基づく対応をとる(例えば障害物の実際の位置を肉眼で確認してから回避措置をとる)までの間のタイムロスが大きくなりかねない。
【0010】
更に、表示モニタには歩行者や障害物だけでなく、街路樹や建造物などの周囲の様子まで全て表示されるため、仮に表示モニタに障害物が映されたとしてもそれが障害物であることを瞬時に認識できず、対応が遅れてしまうおそれもある。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、夜間等の前方が見づらい環境においても、運転中の運転者がフロントガラス越しに実際に見ている車両前方の景色から視線をそらすことなく、車両前方の状況を迅速且つ的確に把握して、安全に走行できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の運転支援方法は、可視光線以外の電磁波による画像を撮影する撮影手段により車両前方の風景を撮影し、該撮影した画像である不可視光画像のうち少なくとも、運転者の肉眼では見えにくい視認困難領域の画像を、運転者から見える実際の景色と重なり合うようにフロントガラス面に虚像表示する。
【0012】
撮影手段は、人間の肉眼では視認できない可視光線以外の電磁波(例えば赤外線等)による画像を撮影するものであるため、車両前方の景色が肉眼で見えにくい場合であっても、撮影手段により撮影すれば、その撮影画像により車両前方の景色全体を把握することができる。
【0013】
そして本発明(請求項1)では、撮影手段による不可視光画像を、従来のように表示モニタ等に表示するのではなく、虚像表示、つまりフロントガラス面に虚像を形成することにより実現している。しかも、単にフロントガラス面の任意の位置に虚像表示するのではなく、運転者から見える実際の景色(虚像表示の対象となる実際の対象物)と虚像とが重なり合うように表示する。
【0014】
そのため、請求項1記載の発明によれば、夜間等の前方が見づらい環境においても、運転中の運転者がフロントガラス越しに実際に見ている車両前方の景色から視線をそらすことなく、車両前方の状況を迅速且つ的確に把握して、安全に走行することができる。しかも、運転者から見える実際の景色と虚像とが重なり合っているため、運転者は瞬時に虚像を理解でき、車両前方状況に応じた適切な運転ができるようになる。
【0015】
尚、虚像表示する画像は、視認困難領域のみでもいいし、撮影手段にて撮影した画像(不可視光画像)の全てでもよく、少なくとも視認困難領域を含む任意の領域を適宜決めればよい。
ここで、視認困難領域は、運転者の個人差や車両の違い、或いはその時々の車両周囲環境等に応じて適宜設定することができるが、例えば請求項2に記載のように、当該車両のヘッドライトを点灯した際にその照射光による当該車両への反射輝度が所定輝度以下となる領域(以下「ヘッドライトが当たらない領域」ともいう)にするとよい。
【0016】
このようにすれば、夜間の走行中にヘッドライトが当たらない領域に対応した不可視光画像がフロントガラス面に虚像表示されるため、肉眼では見え難い場所の景色を視認することができる。
ヘッドライトが当たらない領域の設定は、例えば車両毎あるいは車種毎に実験的に得られた領域を予めデフォルト設定してもいいし、不可視光画像の各画素の輝度に基づいて設定することにより走行中の車両前方状況にリアルタイムに対応可能となるようにしてもよい。また例えば、ヘッドライトのハイビーム照射時とロウビーム照射時それぞれに対応した領域を設定するようにしてもよい。
【0017】
また、視認困難領域は、例えば運転者等が任意に設定できるようにしてもよいし、また例えば、運転中にリアルタイムに視認困難な領域を解析して設定されるようにしてもよいが、例えば請求項3記載のように、予め設定された所定領域であってもよい。
【0018】
このようにすれば、視認困難な領域をリアルタイムに解析する必要や、運転者等による設定操作の必要もなく、設定された所定領域に基づく簡単な処理のみで人間の肉眼で見え難い領域に不可視光画像を虚像表示することができる。
尚この場合も、所定領域は適宜設定することができ、例えば路側を含む所定範囲内としてもいいし、また例えば、想定される複数の領域を予め用意しておいて運転者がその中から選択的に設定できるようにしてもよい。
【0019】
一方、車両の運転中は、走行中の道路の交通状況や周囲の環境等によって、運転者が視認困難と感じる領域も変化する。例えば、街灯のない道路を自車のみで夜間走行しているときに視認困難と感じる領域と、街灯があってしかも自車の前後及び対向車線にも車両が走行しているときに視認困難と感じる領域とは、当然異なるものとなる。
【0020】
そこで、視認困難領域は、上記のように予め設定しておくのではなく、例えば請求項4に記載のように、不可視光画像の中で輝度が所定の第1輝度閾値以下の画素からなる領域としてもよい。
第1輝度閾値は、運転者の個人差等に応じて適宜決めることもできるが、例えばその閾値より大きいと肉眼でも比較的よく見えるというような値に設定することができる。逆に言えば、その閾値より低い輝度だと肉眼では見え難くなるような値とすることができる
また例えば、請求項5に記載のように、撮影手段が、可視光線を集光して撮影を行う可視光撮影機能も備えると共に、該可視光撮影機能による撮影と不可視光画像の撮影とを交互に行うよう構成されており、連続して撮影された、可視光撮影機能による撮影画像である可視光画像及び不可視光画像に対し、可視光画像の中で輝度が所定の第2輝度閾値以下の画素からなる領域に対応する不可視光画像内の領域を、視認困難領域としてもよい。
【0021】
つまり、請求項4のように不可視光画像を構成する各画素の輝度に基づくものではなく、可視光画像を構成する各画素の輝度に基づいて視認困難領域を決めるのである。
このように、請求項4又は請求項5記載の運転支援方法によれば、運転者から実際に見える景色が明るければ(つまり第1又は第2輝度閾値以下の領域が少なければ)その分虚像表示される領域も小さくなるし、逆に実際の景色が暗ければ(つまり第1又は第2輝度閾値以下の領域が大きいと)その分虚像表示される領域も大きくなる。そのため、運転者の視認困難な領域を特定して運転中の周囲環境等にリアルタイムに対応した適切な虚像表示がなされるようになる。
【0022】
フロントガラス面への虚像表示は、例えば常時行うようにしてもよいが、日中の明るいときは運転者からの視認性は通常は良好であるため、虚像表示の必要性が低い。視認性良好のときにも虚像表示すると、それが逆に視界の妨げとなってしまう可能性もある。
【0023】
そのため、例えば請求項6に記載のように、当該車両のヘッドライトが点灯しているときにフロントガラス面への虚像表示を行うようにするとよい。このようにすれば、必要以上の虚像表示をなくすことができ、運転者は安全且つ快適に運転することができる。
【0024】
次に、請求項7記載の発明は、運転者に対し注意を喚起する運転支援方法であって、車両に搭載された複数の光源からの光を、二つ以上の光源から同時に光が照射されることのないよう順次車両前方へ照射して該照射毎に該光源による光を撮影可能な撮影手段によって車両前方の風景を撮影する。そして、撮影手段による各光源毎の撮影画像(各光源からの照射毎の撮影画像)を相互比較して、各撮影画像相互間で異なる部分があった場合に、その異なる部分を対象物の影と判断して車両前方に対象物があることを運転者に報知する。
【0025】
つまり、各光源からの光が順次照射される毎に一つの撮影手段が撮影を行い、各撮影結果を比較することによって対象物の影を見出すものである。例えば車両前方の対象物に対して異なる位置から光を照射すると、照射する光毎に対象物の影は異なる。そのため、複数の光源から個々に光を照射して、各照射毎に撮影手段が撮影を行うと、各照射毎に影の部分が異なる撮影画像が得られる。
【0026】
このように、異なる部分(影の部分)があった場合に運転者へ報知することによって、仮に運転者が視覚で見落とした場合であっても運転者は対象物の存在を迅速に認識することができ、例えば対象物として道路上に障害物があってそれを視認できなくても、報知により迅速に対処できる。
【0027】
また、単に異なる部分があったことをもってその部分を影と判断するのではなく、例えば請求項8に記載のように、各光源毎の撮影画像相互間で異なる部分の輝度の差が所定の第3輝度閾値より高い場合に、その異なる部分が対象物の影であると判断するようにしてもよい。
【0028】
即ち、対象物に光を照射した場合、光の当たっている部分に比べて影の部分が暗くなるため、各光源毎の撮影画像を比較して画像データ(画素)の著しく異なる領域を対象物の影と判定するのである。そのため、第3輝度閾値は、影の部分とそうでない部分とを明確に区別できるような値に設定すればよい。これにより、対象物の影をより確実に検出することが可能となる。
【0029】
更に、単に対象物があったという事実のみを報知するのではなく、例えば請求項9に記載のように対象物の実際の位置を報知するようにしてもよい。即ち、対象物の影の位置に基づいて当該車両に対する対象物の実際の位置である実位置を導出して、報知の際は少なくともその導出した実位置を報知するのである。このようにすれば、運転者は対象物の存在に加えて自車に対する実位置まで知ることができるため、対象物に対して迅速且つ適切に対処することができる。
【0030】
請求項10記載の発明は、車両に搭載され、車両前方の状況を表示して運転者の運転を支援するための表示システムであって、ヘッドライトとは別に搭載された不可視光放射手段が可視光線以外の電磁波を車両前方に放射して、車両前方の風景を撮影するために設置された撮影手段が可視光線以外の電磁波による画像を撮影する。
【0031】
そして、画像処理手段が、撮影手段により撮影した画像である不可視光画像のうち少なくとも運転者の肉眼では見えにくい視認困難領域の画像を抽出し、該画像を表示手段によってフロントガラス面に虚像表示する。表示手段は、画像表示面から表示光を出射することにより画像処理手段が抽出した画像をフロントガラス面に虚像表示して運転者が視認できるよう構成されたものである。また、撮影手段及び表示手段は、虚像表示された画像が運転者から見える実際の景色における該画像に対応する領域と重なり合うような相対位置関係となるよう、それぞれ設置される。
【0032】
つまり、請求項1記載の運転支援方法が実現されたシステムである。そのため、本発明(請求項10)記載の表示システムによれば、夜間等の前方が見づらい環境においても、運転中の運転者がフロントガラス越しに実際に見ている車両前方の景色から視線をそらすことなく、車両前方の状況を迅速且つ的確に把握して、安全に走行することができる。しかも、運転者から見える実際の景色と虚像とが重なり合っているため、運転者は瞬時に虚像を理解でき、車両前方状況に応じた適切な運転ができるようになる。
【0033】
尚、表示手段を構成する画像表示面への表示は、例えば画像処理手段が抽出した画像をそのまま表示してもいいし何らかの処理を加えて表示してもいい。また、画像表示面の表示光は、直接フロントガラス面に出射されるようにしてもいいし、反射鏡やレンズ等による反射や屈折等を経てフロントガラス面に当たるようにしてもよく、画像表示面の表示方法や、画像表示面からの出射光がフロントガラス面まで到達する過程は任意に決めればよく、結果的に所望の画像がフロントガラス面に虚像表示されればよい。
【0034】
視認困難領域は、例えば請求項11に記載のように、当該車両のヘッドライトが当たらない領域にしてもよいし、例えば請求項12に記載のように、予め設定された所定領域であってもよい。前者の場合、夜間の走行中にヘッドライトが当たらない領域の不可視光画像がフロントガラス面に虚像表示されるため、肉眼では見え難い場所の景色を視認することができ、後者の場合、視認困難な領域をリアルタイムに解析する必要はなく、簡単な処理で人間の肉眼で見え難い領域に不可視光画像を虚像表示することができる。
【0035】
また、視認困難領域は、例えば請求項13に記載のように、不可視光画像において画素の輝度が第1輝度閾値以下の領域にしてもよい。即ち、請求項13記載の表示システムは、画像処理手段が、不可視光画像を構成する各画素の輝度と予め設定した第1輝度閾値とを比較する第1輝度比較部と、該第1輝度比較部により第1輝度閾値以下と判断された画素からなる領域を視認困難領域として該領域の画像を抽出する画像抽出部とを備えたものである。
【0036】
つまり、請求項4記載の運転支援方法が実現されたシステムである。そのため、請求項4記載の発明と同様の作用・効果が得られる。
視認困難領域以外の領域については、言い換えれば運転者が肉眼で比較的良好に視認できる領域であるため、虚像表示を全く行わないようにしてもよいが、例えば請求項14に記載のように、画像抽出部が、不可視光画像における視認困難領域以外の画像についてもその画像を構成する各画素の輝度を第1輝度閾値以下の所定の輝度に変換して、視認困難領域の画像と共に抽出するようにしてもよい。
【0037】
また、表示手段によるフロントガラス面への虚像表示は、例えば請求項15に記載のように、当該車両のヘッドライトが点灯しているときに行うようにするとよい。このようにすれば、必要以上の虚像表示をなくすことができ、運転者が安全且つ快適に運転することができる。
【0038】
更に、不可視光放射手段は、例えば請求項16に記載のように、ヘッドライト光の照射範囲よりも広い範囲又は遠方に可視光線以外の電磁波を放射できるよう構成されているとよい。一般にヘッドライトは、運転者の視界を良好にすることを主目的とする一方で周囲に悪影響を及ぼさないように照射するようにされているが、可視光線以外の電磁波は人間の目には見えないため、ヘッドライトより広範囲或いは遠方に放射しても差し支えない。
【0039】
そのため、不可視光放射手段からの電磁波を上記のようにヘッドライトより広範囲又は遠方に放射するようにすれば、肉眼では見えないより広い範囲(或いは遠い範囲)まで車両前方の状況を認識することができ、より安全な運転が可能となる。
【0040】
次に、請求項17記載の表示システムは、車両前方の風景を撮影するために設置され、可視光線による画像である可視光画像及び可視光線以外の電磁波による画像である不可視光画像を共に撮影可能な撮影手段と、該撮影手段へ入射する可視光線を遮断する可視光フィルタと、該撮影手段へ入射する電磁波(可視光線以外)を遮断する電磁波フィルタと、可視光フィルタ及び電磁波フィルタの切り替えを行うフィルタ切替手段と、を備えたものである。
【0041】
そして、切替撮影制御手段が、
電磁波フィルタにより可視光線以外の電磁波を遮断して撮影手段により可視光画像を撮影する可視光撮影動作、及び可視光フィルタにより可視光線を遮断して撮影手段により不可視光画像を撮影する不可視光撮影動作が交互に行われるようフィルタ切替手段と撮影手段とを同期制御し、画像処理手段が、切替撮影制御手段の動作により順次得られる可視光画像及び不可視光画像に対し、可視光画像の中で輝度が所定の第2輝度閾値以下の画素からなる領域に対応する不可視光画像内の領域の画像を抽出する。
【0042】
そして表示手段により、画像処理手段が抽出した画像をフロントガラス面に虚像表示する。この表示手段は、請求項10で説明した表示手段と同じ構成のものである。また、撮影手段及び表示手段の相対位置関係も請求項10と同様であり、虚像表示された画像が運転者から見える実際の景色における該画像に対応する領域と重なり合うよう、それぞれ設置される。
【0043】
つまり、可視光線による画像と可視光線以外の電磁波による画像を共に撮影可能な一つの撮影手段により、電磁波フィルタを通過してきた可視光線による画像撮影と、可視光フィルタを通過してきた上記電磁波による画像撮影とを交互に行うのである。
【0044】
そのため、例えば上記電磁波による画像を撮影する手段と可視光線による画像を撮影する手段とを別々に設ける場合に比べ、一つの撮影手段で可視光画像及び不可視光画像とを撮影することができるため、撮影手段のコスト削減や配置スペースの使用効率向上が可能となる。
【0045】
また、可視光画像の輝度に基づいて視認困難領域が決まるため、不可視光画像に基づく視認困難領域の決定に比べてより人間の視覚に合った領域決定がなされることになり、運転中の周囲環境等に応じたより適切な虚像表示が可能となる。
なお、ヘッドライトからの出射光には、一般に可視光線以外の電磁波成分(例えば赤外線)も含まれているため、上記請求項17記載の表示システムにおいては、ヘッドライトからの照射光のみで可視光画像及び不可視光画像とを撮影することが可能ではあるが、人間の肉眼で見にくい部位をできるかぎり正確に撮影するためには、例えば請求項18に記載のように、ヘッドライトとは別に可視光線以外の電磁波を当該車両の前方に放射する不可視光放射手段を備えてもよい。
【0046】
このようにすれば、ヘッドライトのみを用いた場合に比べ、より確実に車両前方の状況を知ることができる。更に、例えばこの不可視光放射手段からの放射電磁波の放射範囲をヘッドライトの照射範囲より広く或いは遠くに設定すれば、より広範囲で車両前方の状況を認識することができ、安全性のより向上した表示システムの提供が可能となる。
【0047】
請求項19に記載の表示システムは、車両前方の風景を撮影するために設置され、可視光線による画像である可視光画像及び可視光線以外の電磁波による画像である不可視光画像を共に撮影可能な撮影手段と、ヘッドライトから車両前方へ照射される照射光のうち可視光線を遮断する可視光フィルタと、ヘッドライトから車両前方へ照射される照射光のうち可視光線以外の電磁波を遮断する電磁波フィルタと、可視光フィルタ及び前記電磁波フィルタの切り替えを行うフィルタ切替手段と、を備えたものである。
【0048】
そして、切替撮影制御手段が、電磁波フィルタによりヘッドライトからの電磁波を遮断して撮影手段により可視光画像を撮影する可視光撮影動作、及び可視光フィルタによりヘッドライトからの可視光線を遮断して撮影手段により不可視光画像を撮影する不可視光撮影動作が交互に行われるよう、フィルタ切替手段と撮影手段とを同期制御する。可視光画像及び不可視光画像が順次得られたときの画像処理手段の動作、及び画像処理手段により抽出された画像の表示手段による虚像表示については、上記請求項17と同じである。
【0049】
つまり、上記請求項17記載の表示システムでは可視光フィルタ及び電磁波フィルタがそれぞれ撮影手段へ入射する可視光線及び上記電磁波を遮断するものであったのに対し、本発明(請求項19)では、可視光フィルタ及び電磁波フィルタがそれぞれ、ヘッドライトからの可視光線及び電磁波を遮断するよう構成されている。
【0050】
そのため、ヘッドライト以外に別途可視光線以外の電磁波を放射する手段を設けることなく、ヘッドライトからの照射(放射)のみで可視光画像と不可視光画像とを撮影することができ、光源のコスト削減や配置スペースの使用効率向上が可能となる。また、請求項17と同様、一つの撮影手段で可視光画像及び不可視光画像とを撮影することができるため、撮影手段のコスト削減や配置スペースの使用効率向上も可能となる。
【0051】
尚、請求項17〜19に記載の各発明においても、請求項14に記載の発明のように、視認困難領域以外の画像の輝度を第2輝度閾値以下に変換して虚像表示するようにしてもよい。つまり、画像処理手段によって抽出された視認困難領域の画像と共に、それ以外の領域の画像も併せて虚像表示してもよい。
【0052】
次に、請求項20記載の発明は、車両に搭載され、運転者に対し注意を喚起するための報知システムであって、当該車両前方を照射する複数の光源と、各光源毎に設けられ、光源から車両前方への照射光を遮断する遮断手段と、各光源による照射光を集光して撮影(換言すれば、各光源から光を照射したときの車両前方の風景を撮影)する撮影手段と、を備えたものである。
【0053】
そして、一光源撮影制御手段が、いずれか一つの光源による照射光のみを車両前方に照射して他の全ての光源からの照射光をそれぞれ対応する遮断手段によって遮断する一光源照射動作を各光源毎に順次行うと共に、該各一光源照射動作の実行毎に撮影手段による撮影が行われるよう、各遮断手段と撮影手段とを同期制御し、対象物判定手段が、一光源撮影制御手段により得られた各一光源照射動作毎の撮影画像を相互比較して異なる部分があった場合に、該異なる部分を対象物の影と判断し、対象物判定手段により対象物の影が判断されたときに、報知手段が、対象物があることを運転者に報知する。
【0054】
即ち、請求項7記載の運転支援方法が実現された報知システムであり、請求項7と同様、仮に運転者が視覚で見落とした場合であっても運転者は対象物の存在を迅速に認識することができ、例えば対象物として道路上に障害物があってそれを視認できなくても、報知により迅速に対処できる
請求項21に記載の発明は、請求項8記載の運転支援方法が実現された報知システムであり、対象物判定手段が、各撮影画像相互間で異なる部分の輝度の差が所定の第3輝度閾値より高い場合に、その異なる部分が対象物の影であると判断するようにしてもよい。つまり、各光源毎の撮影画像を比較して画像データ(画素)の著しく異なる領域を対象物の影と判定するのである。第3輝度閾値は、影の部分とそうでない部分とを明確に区別できるような値に設定すればよい。これにより、対象物の影をより確実に検出することが可能となる。
【0055】
請求項22に記載の発明は、請求項9記載の運転支援方法が実現された報知システムであり、位置導出手段が、撮影画像中における対象物の影の位置に基づいて当該車両に対する対象物の実際の位置である実位置を導出し、報知手段は少なくともその導出された実位置を報知するものであるとよい。報知システムをこのように構成すれば、運転者は対象物の存在に加えて自車に対する相対位置まで知ることができるため、対象物に対して迅速且つ適切に対処することができる。
【0056】
実位置としては、例えば自車から対象物までの距離であってもいいし、自車に対する大まかな位置表現(例えば「左前方」、「道路中央」など)であってもよく、適宜決めればよい。
そして、位置導出手段による実位置の導出は、例えば撮影画像中の影の座標から数値演算等により算出する方法が考えられるが、例えば請求項23に記載のようにしてもよい。即ち、撮影画像中における対象物の影の位置(例えば座標)と実位置との対応関係を示す位置導出パラメータを記憶した記憶手段を備え、位置導出手段は、記憶手段に記憶された位置導出パラメータに従って実位置を導出するのである。
【0057】
このようにすれば、実位置導出のために複雑な数値演算等を行う必要なく、撮影画像中の影の位置から実位置を簡単に得ることができ、位置導出手段を簡単な構成で実現できる。
また、報知手段による具体的報知方法としては種々考えられるが、例えば請求項24に記載のように音声により報知を行うようにしてもよい。このようにすれば、運転者が視覚によって情報を見落としても聴覚により気づくことができるため、より確実に情報を伝達できる信頼性の高い報知システムの実現が可能となる。
【0058】
また例えば請求項25のように、報知手段は、画像表示面から表示光を出射することにより該画像表示面上の画像をフロントガラス面に虚像表示する表示手段を備え、対象物判定手段により対象物の影が判断されたとき、表示手段によるフロントガラス面への虚像表示により報知を行うようにしてもよい。
【0059】
表示手段による虚像表示としては、例えば請求項26に記載のように、対象物があることを示す警告マークをフロントガラス面へ虚像表示するようにしてもいいし、また、対象物の実位置を報知する際には、例えば請求項27に記載のように、位置導出手段により導出された実位置をフロントガラス面へ虚像表示するようにしてもいい。このようにすれば、運転者は対象物の存在を視覚的に認識でき、対象物に対する迅速な対処が可能となる。
【0060】
そして、上記のように虚像表示により対象物の存在を報知する場合、より好ましくは、例えば請求項28に記載のように、虚像表示に対応した実際の対象物を運転者が見たときに該対象物と重畳するよう、虚像表示を行うようにするとよい。このようにすれば、単にフロントガラス面の任意の位置に虚像表示するよりも、運転者は対象物の存在とその位置まで即座に認識することができるため、対象物に対するより迅速な対処が可能となる。
【0061】
ここで、対象物判定手段により対象物の影と判断されたもの全てに対して報知を行うようにすると、例えば道路上ではなく歩道を通行中の歩行者や街路樹、或いは街灯などまでが対象物と判断されて報知されてしまうことも考えられる。そこで、例えば請求項29に記載のように、撮影画像中における対象物の影の位置に基づいて対象物の影が走行中の道路上に位置しているか否かを判定する道路上判定手段を備え、報知手段は、該道路上判定手段により対象物の影が道路上に位置していると判定された場合に報知を行うようにするとよい。
【0062】
つまり、道路以外の対象物は車両の走行に直接的な影響を与えないため、道路上の対象物のみ報知するものである。そのため、運転者にとって本当に必要な対象物情報のみが報知されることになり、対象物報知により運転者に与える負担(道路上にあるものなのか否かの判断にかかる負担)や煩わしさを抑えることができる。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の表示システムの概略構成を示す説明図である。本実施形態の表示システムは、車両に搭載され、例えば夜間等の運転者の視認困難な環境において車両の前方状況を表示し運転者の運転を支援するためのものであり、図1に示す如く、主として赤外線ライト11、赤外線カメラ12、画像処理回路13及び液晶パネル15により構成される。
【0064】
赤外線ライト11は、車両前方の広範囲(ヘッドライト1の照射範囲より広い範囲)に赤外線を放射するよう車両前部に配置されている。赤外線カメラ12は、赤外線による画像を撮影するための周知のものであり、運転者の視点6から車両前方をみたときの視野全体を撮影できるよう、フロントガラス8の上部中央に配置されている。
【0065】
図3は、赤外線カメラ12による撮影画像の一例を示しており、この撮影画像は運転者が運転席から正面をみたときの視野と略同一である。従って赤外線ライト11は、少なくとも図3に示した撮影画像の領域には十分に赤外線を照射できるものを使用している。
【0066】
画像処理回路13は、赤外線カメラ12で撮影した画像(本発明の不可視光画像に相当;以下「赤外線画像」という)から後述する赤外線画像切り出し処理によって所定領域の画像のみを切り出してその画像データを液晶パネル15へ出力するものであり、その具体的構成を図2に示す。
【0067】
画像処理回路13は、ハンドル2の前方にあるヘッドライトスイッチ14をONすることにより起動するもので、図2に示す如く、赤外線カメラ用フレームメモリ21、切り出し領域設定メモリ22、CPU23及び重ね合わせ用フレームメモリ24により構成されている。つまり、本実施形態の表示システムはヘッドライト1の点灯時に動作するものである。
【0068】
ヘッドライトスイッチ14のONにより画像処理回路13が起動すると、赤外線カメラ12にて撮影された赤外線画像(画素データ)が赤外線カメラ用フレームメモリ21に記録される。この記録は起動中随時行われる。
一方、切り出し領域設定メモリ22には、赤外線画像の中から切り出すべき領域が予めデフォルト設定されており、CPU23は、赤外線カメラ用フレームメモリ21に記録された赤外線画像からこの切り出し領域設定メモリ22の設定内容に相当する領域(切り出し領域)の画像のみを切り出して重ね合わせ用フレームメモリ24に記録する。
【0069】
この切り出し領域は本発明の視認困難領域に相当するものであり、本実施形態では図3に示す領域Bに設定している。図3において、領域Aはヘッドライト1の光が当たる領域であり、それ以外の領域はヘッドライト1の当たらない領域、つまりヘッドライト1を点灯した際にその照射光による当該車両への反射輝度が所定輝度以下となる領域である。
【0070】
この領域A以外の範囲のうち、路側を含み車両に比較的近い範囲であって視覚による見落としがあると危険な状況になる可能性の高い領域である領域Bを、切り出し領域として切り出し、重ね合わせ用フレームメモリ24に記録して、後述するようにフロントガラス8の表面に虚像として表示するようにしている。
【0071】
尚、この切り出し領域(領域B)は、例えば車両毎あるいは車種毎に実験的に得られた領域を設定することができるが、それ以外にも、例えば赤外線画像の各画素の輝度をみて輝度が所定値以下の領域(つまり肉眼で視認困難な領域)とすることにより走行中の車両前方状況にリアルタイムに対応可能となるようにしてもよい。また例えば、ヘッドライト1のハイビーム照射時とロウビーム照射時とで異なる領域となるようにしてもよい。更に例えば、想定される複数の切り出し領域を予め切り出し領域設定メモリ22に設定しておき、運転者がその中から運転時の周囲環境等に応じた適切な切り出し領域を選択的に設定できるようにしてもよい。
【0072】
そして、重ね合わせ用フレームメモリ24に記録された領域Bの画像データは、液晶パネル15へ出力される。液晶パネル15は、図1に示すように車室内のインストルメントパネル3の上部に配置されており、表示画面上に表示された画像の表示光がフロントガラス8面で反射して運転者の視点6に入るようにされている。つまり運転者は、液晶パネル15に表示された画像を、フロントガラス8面に表示される虚像として見ることになる。
【0073】
本実施形態では、重ね合わせ用フレームメモリ24に記録された領域Bの画像が液晶パネル15に表示され、その表示光がフロントガラス8面に虚像表示される。そのため、運転者は領域Bの画像(風景)をフロントガラス8上の虚像として見ることができる。液晶パネル15と赤外線カメラ12の相対位置関係及び液晶パネル15の画面表示は、この虚像表示された領域Bの画像が、運転者からみた実際の領域Bに相当する風景に重なり合うようにされている。
【0074】
赤外線カメラ12と液晶パネル15の具体的配置方法としては、まず赤外線カメラ12の位置を決め、赤外線カメラ12が車両前方を撮影できるよう、つまり図3に示した範囲を撮影できるよう配置する。次に、運転者から見える実際の車両前方の風景と、フロントガラス8に虚像表示される赤外線画像とが重なり合うよう、液晶パネル15の位置を調整し、重なり合ったところで液晶パネル15を固定する。
【0075】
次に、CPU23が実行する、赤外線カメラ用フレームメモリ21から切り出し領域(領域B)の画像のみを切り出して重ね合わせ用フレームメモリ24に記録する赤外線画像切り出し処理について、図4に基づいて説明する。図4は、本実施形態の赤外線画像切り出し処理を示すフローチャートである。この赤外線画像切り出し処理は、図示しない車両のイグニションスイッチのON後、継続して行われるものである。
【0076】
この処理が開始されると、まずステップ(以下「S」と略す)110にて、切り出し領域設定メモリ22内に設定された切り出し領域(領域B)を読み出し、続くS120にてヘッドライト1が点灯(つまりヘッドライトスイッチ14がON)しているか否かを判断する。ヘッドライト1の消灯中はこのS120の判断処理が繰り返されることになるが、ヘッドライト1が点灯すると、S130以下の処理に進む。
【0077】
ここで、本実施形態では、赤外線画像の各画素が図5に示すようなアドレスにて配列されている。即ち、画素列(X軸)mが1〜L列、画素行(Y軸)nが1〜K行である。つまり、トータル(L*K)個の画素にて赤外線画像が構成されている。
【0078】
そして、S130以下の処理においては、この画素一つずつに対して処理を行っていく。具体的には、各画素行nに対してS140〜S190の処理をn=1からn=Kとなるまで繰り返す。また、S140〜S190の処理においては、各画素列mに対してS150〜S180の処理をm=1からm=Lとなるまで繰り返す。つまり、図5に示した撮影画像において、最上行(n=1)から各行毎に1列目の画素〜L列目の画素、という順番で最終画素(L,K)まで、各画素毎に順次S150〜S180の処理を行うのである。
【0079】
S150では、赤外線カメラ用フレームメモリ21に記録された赤外線画像のうち対応する画素(m、n)を読み込む。そして、続くS160にて、その読み込んだ画素(m,n)が切り出し領域(領域B)に当てはまるか否かを判断し、当てはまらない場合はS180に進んで、重ね合わせ用フレームメモリ24における画素(m,n)に黒表示のデータを書き込む。黒表示とは即ち、液晶パネル15に何も表示しない状態をいい、その画素については虚像表示はされないことになる。
【0080】
一方、S160にて領域Bに当てはまると判断された場合はS170に進み、重ね合わせ用フレームメモリ24における画素(m,n)に赤外線画像における画素(m,n)のデータを書き込む。この一連の処理が全ての画素について行われると(S200)、再びS120に戻って上記同様の処理を繰り返すことになる。
【0081】
この結果、重ね合わせ用フレームメモリ24には、赤外線画像のうち領域Bに相当する画像のみが記録され、これが液晶パネル15に表示されて、運転者がフロントガラス8面の虚像として見ることになる。具体的には、例えば図6のように領域Bの画像のみ(本例では道路を横断しようとしている歩行者)が重ね合わせ用フレームメモリ24に記録され、フロントガラス8に虚像表示される。
【0082】
以上詳述した通り、本実施形態の表示システムは、赤外線カメラ12にて撮影した赤外線画像の中から、予め設定した切り出し領域(領域B)の画像のみを切り出して虚像表示する。この切り出し領域は、ヘッドライトが当たらない領域における所定領域であり、しかもその虚像表示は、フロントガラス8面に表示された領域Bの虚像が、運転者からみた実際の領域Bに相当する風景に重なり合うようにされている。
【0083】
従って、本実施形態の表示システムによれば、夜間等の前方が見づらい環境においても、運転中の運転者がフロントガラス8越しに実際に見ている車両前方の景色から視線をそらすことなく肉眼で見え難い場所の景色を視認でき、車両前方の状況を迅速且つ的確に把握して、安全に走行することができる。しかも、運転者から見える実際の景色と虚像とが重なり合っているため、運転者は瞬時に虚像を理解でき、車両前方状況に応じた適切な運転ができるようになる。
【0084】
また、切り出し領域を予め切り出し領域設定メモリ22に設定しているため、例えば走行中に視認困難な領域をリアルタイムに解析して切り出す必要や、運転者等による切り出し領域の詳細設定等の煩わしい操作も必要もなく、設定された所定領域に基づく簡単な処理のみで人間の肉眼で見え難い領域に切り出し領域の画像を虚像表示することができる。
【0085】
尚、本実施形態では、CPU23がヘッドライトスイッチ14からの信号(ON/OFFの信号)を直接取り込むようにしたが、これに限らず例えば電子制御装置(ECU)17から取り込むようにしてもよい。また、ヘッドライト1の点灯中に虚像表示するようにしたが、これに限らず例えば本表示システム専用の起動スイッチを設けてこのスイッチにより起動させるようにしてもよいし、また例えば、照度センサを設けて車両周囲の照度を計測し、所定の照度より低くなったときに自動的に起動するようにしてもよい。
【0086】
また、本実施形態では赤外線カメラ12によって、運転者の肉眼では視認困難な風景を撮影するようにしたが、赤外線に限らず、例えば超音波レーダやミリ波レーダを用いるなど、可視光線以外の電磁波であって運転者に見えない風景画像を撮影可能なあらゆる光源及びその撮影機器を適用することができる。
【0087】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、赤外線カメラ12は本発明(請求項1)の撮影手段に相当し、赤外線ライト11は本発明の不可視光放射手段に相当し、CPU23は本発明(請求項10)の画像処理手段に相当し、液晶パネル15は本発明の表示手段に相当する。また、図4の赤外線画像切り出し処理において、S160〜S180の処理はいずれも本発明(請求項10)の画像処理手段が実行する処理に相当する。
【0088】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、フロントガラス8面に虚像表示する画像、即ち赤外線画像における切り出し領域(領域B)を、予め切り出し領域設定メモリ22に設定しておくようにしたが、本実施形態では、そのように予め固定しておくのではなく、走行中の車両前方の視界状況に応じて切り出す領域を決めるようにしたものである。
【0089】
図7は本実施形態の表示システムの概略構成を示す説明図であり、図8は本実施形態の表示システムにおける画像処理回路の構成を示すブロック図である。図7,8に示す如く、本実施形態の表示システムは、ヘッドライトスイッチとは別に当該表示システム専用のシステム起動スイッチ30を設けてこのスイッチ30によりシステムを起動させるようにしていること、及び、画像処理回路31に輝度閾値設定メモリ33を設けてCPU34がその設定内容に基づいて切り出し領域を設定することを除いて、基本的には図1,2に示した第1実施形態の表示システムと同じであり、赤外線カメラ12及び液晶パネル15の配置方法も第1実施形態と同様である。そのため、図1,2と同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
また、本実施形態の赤外線ライト11は、ヘッドライト1の照射範囲より遠方に赤外線を放射できるよう配置されている。そのため、ヘッドライト1の照射範囲より遠方の風景を撮影することができる。
輝度閾値設定メモリ33には、赤外線カメラ用フレームメモリ21に記録された赤外線画像のうち運転者の肉眼で視認困難な領域と視認できる領域とを判別するための輝度閾値Zが予め設定されている。CPU34は、赤外線画像を構成する各画素の輝度がこの輝度閾値Zより高いものについては全て輝度Zに変換し、輝度閾値Z以下のものについてはそのままの輝度にて、重ね合わせ用フレームメモリ24に記録する。
【0091】
輝度閾値Zは、運転者にとって視認困難と感じる明るさと視認良好と感じる明るさとの境目の明るさ(例えば実験的に求められた適切な明るさ)に対応する赤外線画像の輝度に設定されている。尚、運転者の個人差を考慮して、運転者自身が任意に輝度閾値Zを設定できるようにしてもよい。
【0092】
図9に、CPU34が実行する輝度判定・データ書き込み処理を示す。この輝度判定・データ書き込み処理は、システム起動スイッチ30のON期間中、継続して行われるものである。
この処理が開始されると、まずS210にて、輝度閾値設定メモリ33から輝度閾値Zを読み出して、続くS220以降の処理に進む。本実施形態でも、赤外線画像の各画素が図5に示すようなアドレスにて配列されており、このS220からS290に至る一連の処理は、図4で説明した第1実施形態の赤外線画像切り出し処理と同様、画素一つずつに対して処理を行っていく。つまり、各画素行nに対してS230〜S280の処理をn=1からn=Kとなるまで繰り返す。また、S230〜S280の処理においては、各画素列mに対してS240〜S270の処理をm=1からm=Lとなるまで繰り返すことになる。
【0093】
S240では、赤外線カメラ用フレームメモリ21に記録された赤外線画像のうち対応する画素(m、n)を読み込む。そして、続くS250にて、その読み込んだ画素(m,n)の輝度値が輝度閾値Z以下か否かを判断し、輝度閾値Zより大きい場合はS270に進んで、重ね合わせ用フレームメモリ24における画素(m,n)に輝度値Zのデータを書き込む。
【0094】
一方、S250にて輝度閾値Z以下と判断された場合はS260に進み、重ね合わせ用フレームメモリ24における画素(m,n)に赤外線画像における画素(m,n)のデータを書き込む。この一連の処理が全ての画素について行われると(S290)、再びS220に戻って上記同様の処理を繰り返すことになる。
【0095】
この結果、重ね合わせ用フレームメモリ24には、赤外線画像のうち輝度閾値Z以下の画素からなる領域(視認困難領域)についてはそのままの輝度で、それ以外の輝度閾値Zより大きい画素からなる領域については全て輝度をZに変換して記録される。そしてこれが液晶パネル15に表示され、運転者がフロントガラス8面の虚像として見ることになる。
【0096】
これにより、運転者にとって視認困難な領域は虚像表示によって前方風景を認識できるようになる。また、視認良好な領域については、輝度をZに統一しているが、もともと実際の風景が見やすい領域であるため、その領域に輝度値Zの画像を虚像表示しても運転者にはほとんどその虚像が認識されない。そのため、輝度閾値Zより大きい領域については、輝度値Zに統一するのではなく第1実施形態のように黒表示としてもよいし、輝度値Z以下の任意の輝度に統一してもよい。
【0097】
従って、本実施形態によれば、肉眼では視認困難な領域を虚像にて認識できるため、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。しかも、本実施形態では、運転者から実際に見える景色が明るければ(つまり輝度閾値Z以下の領域が少なければ)その分虚像表示される領域も小さくなるし、逆に実際の景色が暗ければ(つまり輝度閾値Z以下の領域が大きいと)その分虚像表示される領域も大きくなることになり、第1実施形態のように予め領域を設定する場合に比べ、運転者の視認困難な領域を特定して運転中の周囲環境等にリアルタイムに対応した適切な虚像表示がなされるようになる。
【0098】
また、輝度閾値Zより大きい輝度値の画素領域については全て輝度値Zに変換して輝度を落としているため、仮に虚像の位置と実際の位置とがずれてしまっても、赤外線画像をそのまま虚像表示する場合に比べて前方風景が見づらくなることはない。
【0099】
更に、本実施形態では、赤外線ライト11からの赤外線をヘッドライト1の照射光より遠方に放射するようにしているため、肉眼では見えないより遠い範囲まで車両前方の状況を認識することができ、より安全な運転が可能となる。
尚、本実施形態ではシステム起動スイッチ30のONによりシステム起動(虚像表示)されるようにしたが、これに限らず、例えば第1実施形態のようにヘッドライトスイッチONにより起動するようにしてもいいし、また例えば、照度センサを設けて車両周囲の照度を計測し、所定の照度より低くなったときに自動的に起動するようにしてもよい。
【0100】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、輝度閾値Zは本発明の第1輝度閾値に相当し、CPU34は本発明の第1輝度比較部及び画像抽出部に相当する。また本実施形態の赤外線ライト11は特に請求項16の不可視光放射手段に相当するものである。また、図9の輝度判定・データ書き込み処理において、S250の処理は本発明の第1輝度比較部が実行する処理に相当し、S260及びS270の処理はいずれも本発明の画像抽出部が実行する処理に相当する。
【0101】
[第3実施形態]
上記第1及び第2実施形態はいずれも、ヘッドライト1とは別に赤外線ライト11を配置する構成をとっていたが、本実施形態は、ヘッドライト1のみの照射で赤外線画像を撮影すると共に可視光線による画像(可視光画像)を撮影し、可視光画像の輝度に基づいて赤外線画像の中からフロントガラス8面へ虚像表示すべき領域を決定するものである。
【0102】
図10は、本実施形態の表示システムの概略構成を示す説明図である。図示の如く、本実施形態の表示システムは、可視光画像と赤外線画像を共に撮影可能な可視光線・赤外線両用カメラ(以下単に「両用カメラ」という)43がフロントガラス8の上部中央に配置され、ヘッドライト1にはフィルタ切替器42が取り付けられている。
【0103】
両用カメラ43が、運転者の視点6から車両前方をみたときの視野全体を撮影できるようフロントガラス8の上部中央に配置されていること、及び、液晶パネル15と両用カメラ43の相対位置関係、液晶パネル15の画面表示が、虚像表示された画像が運転者からみた実際の風景に重なり合うようにされていることは、上記第1及び第2実施形態における赤外線カメラ12、液晶パネル15及びフロントガラス8の場合と全く同様である。
【0104】
尚、図10は車両の側面から見た図であるためヘッドライト1及びフィルタ切替器42はそれぞれ一つしか記載されていないが、当然ながら、実際にはヘッドライト1は車両前部の左右両側に配置され、その各々にフィルタ切替器42が取り付けられている。
【0105】
そして、これら両用カメラ43による撮影とフィルタ切替器42の動作は、後述するように画像処理回路40内のCPU48からの指令に従ってカメラ・フィルタ切替制御装置41により同期制御される。尚、液晶パネル15については上記第1及び第2実施形態と同様である。
【0106】
フィルタ切替器42は、図11に示す如く、全体が円盤状の形状となっているもので、このうち約半分(半円部分)に赤外線透過フィルタ52が、残り半分の半円部分に赤外線カットフィルタ53が、それぞれ形成されたフィルタ円盤として構成されている。そして、このフィルタ円盤は回転型アクチュエータ51により回転される。
【0107】
回転型アクチュエータ51は、例えばステッピングモータを用いて回転位置制御できるものでもいいし、また例えば、一般的なDCモータを用いてエンコーダ等により位置制御可能な構成のものでもよく、後述するフィルタ切替器42と両用カメラ43との同期制御が確実に行える種々のものを使用できる。
【0108】
このフィルタ切替器42とヘッドライト1との相対位置関係は、概略的に図12のようになっており、回転型アクチュエータ51の動作によって、ヘッドライトからの照射光は、赤外線透過フィルタ52又は赤外線カットフィルタ53のいずれか(重複する場合もあり)を通過して車両前方に照射されることになる。
【0109】
本実施形態では、赤外線カットフィルタ53で赤外線をカットした時の両用カメラ43による撮影画像(つまり可視光画像)と、赤外線透過フィルタ52で赤外線のみを透過させた時の両用カメラ43による撮影画像(つまり赤外線画像)とを交互に取得し、可視光画像の輝度に基づいて、赤外線画像のうち虚像表示すべき画像領域を決定する。
【0110】
より具体的には、図13に示すように、両用カメラ43が撮影した画像のうち可視光画像についてはフレームメモリA46に、赤外線画像についてはフレームメモリB47に、それぞれ記録される。一方、輝度閾値設定メモリ33は、図8で説明した第2実施形態の輝度閾値設定メモリ33と同じものであって輝度閾値Zが設定されている。そして、CPU48はフレームメモリA46の可視光画像を構成する各画素の輝度がこの輝度閾値Zより高いものについては全て黒表示とし、輝度閾値Z以下のものについては、その対応する赤外線画像上の画素をそのままの輝度にて重ね合わせ用フレームメモリ24に記録する。
【0111】
図14に、CPU48が実行する撮影制御処理を示す。この撮影制御処理は、図示は省略したものの例えば第1実施形態のようにヘッドライトスイッチのONにより開始されるようにしてもいいし、また例えば第2実施形態のように専用のシステム起動スイッチのONにより開始されるようにしてもよい。
【0112】
この処理が開始されると、まずS310にて、輝度閾値設定メモリ33から輝度閾値Zを読み出して、続くS320以降の処理に進む。S320では、フィルタ切替器42の赤外線カットフィルタ53をONにして赤外線が車両前方に照射されないようにし、続くS330にて両用カメラ43による撮影(つまり可視光画像の撮影)を行い、その画像データをフレームメモリA46に記録する。
【0113】
次にS340では、フィルタ切替器42の赤外線透過フィルタ52をONにして赤外線のみが車両前方に照射されるようにし、続くS350にて両用カメラ43による撮影(つまり赤外線画像の撮影)を行い、その画像データをフレームメモリB47に記録する。
【0114】
尚、S320及びS330によるフィルタ切替器42の動作及び可視光画像の撮影は本発明の可視光撮影動作であり、S340及びS350によるフィルタ切替器42の動作及び赤外線画像の撮影は本発明の不可視光撮影動作である。
そして、このように可視光画像及び赤外線画像がそれぞれ対応するフレームメモリA46及びフレームメモリB47に記録されると、S360に移行して輝度判定・データ書込処理が実行される。この輝度判定・データ書込処理の詳細は図15に示す通りであり、図示の如く、上記第1又は第2実施形態と同様、画素一つずつに対して処理が行われる。つまり、各画素行nに対してS420〜S470の処理をn=1からn=Kとなるまで繰り返す。また、S420〜S470の処理においては、各画素列mに対してS430〜S460の処理をm=1からm=Lとなるまで繰り返すことになる。
【0115】
S430では、フレームメモリA46に記録された可視光画像のうち対応する画素(m、n)を読み込む。そして、続くS440にて、その読み込んだ画素(m,n)の輝度値が輝度閾値Z以下か否かを判断し、輝度閾値Zより大きい場合はS460に進んで、重ね合わせ用フレームメモリ24における画素(m,n)に黒表示のデータを書き込む。
【0116】
一方、S440にて輝度閾値Z以下と判断された場合はS450に進み、重ね合わせ用フレームメモリ24における画素(m,n)に赤外線画像における画素(m,n)のデータを書き込む。この一連の処理が全ての画素について行われると(S480)、再びS320(図14)に戻って上記同様の処理を繰り返すことになる。
【0117】
この結果、重ね合わせ用フレームメモリ24には、赤外線画像のうち、可視光画像における輝度閾値Z以下の画素からなる領域(視認困難領域)に対応する領域の画像についてはそのままの赤外線画像の輝度で、それ以外の領域については全て黒表示として記録される。つまり、可視光では見えづらい部分を赤外線で補間したような画像が重ね合わせ用フレームメモリ24に記憶されることになる。そしてこれが表示手段である液晶パネル15に表示され、運転者がフロントガラス8面の虚像として見ることになる。尚、回転型アクチュエータ51の動作速度(回転周波数)は、運転者の目にちらつきを感じさせない程度の速度域(例えば60Hz以上)で適宜決めればよい。
【0118】
以上詳述したように、本実施形態の表示システムは、フィルタ切替器42により車両前方に可視光線を照射する場合と赤外線のみを放射する場合とを交互に切り替え、それぞれにおいて両用カメラ43で撮影している。そのため、ヘッドライト1以外に別途赤外線ライト等を設けることなく、ヘッドライト1からの照射(放射)のみで可視光画像と不可視光画像とを撮影することができ、光源のコスト削減や車両前部における光源配置スペースの使用効率向上が可能となる。
【0119】
また、画像撮影についても、一つの両用カメラ43で可視光画像及び赤外線画像を撮影することができるため、撮影手段としてのカメラのコスト削減や配置スペースの使用効率向上も可能となる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、両用カメラ43は本発明(請求項19)の撮影手段に相当し、赤外線透過フィルタ52は本発明の可視光フィルタに相当し、赤外線カットフィルタ53は本発明の電磁波フィルタに相当し、回転型アクチュエータ51は本発明のフィルタ切替手段に相当し、CPU48は本発明の切替撮影制御手段及び画像処理手段に相当し、輝度閾値Zは本発明の第2輝度閾値に相当する。
また、図14の撮影制御処理におけるS320〜S360の処理はいずれも本発明の切替撮影制御手段が実行する処理に相当し、図15の輝度判定・データ書き込み処理におけるS440〜S460の処理はいずれも本発明の画像処理手段が実行する処理に相当する。また、図15の輝度判定・データ書き込み処理におけるS440の処理で肯定判定される領域は本発明(請求項5)の視認困難領域に相当するものである。
【0120】
尚、上記実施形態では、フィルタ切替器42を構成する各フィルタ52,53がいずれも半円形状のものとしたが、これに限らず例えば図27に示すフィルタ切替器80のように、いずれも円形状のフィルタとしてもよい。つまり、円形状の赤外線透過フィルタ81及び赤外線カットフィルタ82を形成し、ヘッドライト1からの照射光がこれら各フィルタ82を通るようにするのである。このようにしても上記実施形態と同様の効果が得られる。但し、半円形状の場合に比べるとフィルタを通過する光量が低くなるため、フィルタはできるたけ面積の広いものがよい。
【0121】
また、フィルタを駆動するアクチュエータとして本実施形態では回転型アクチュエータ51を用いるようにしたが、回転型に限らず例えばシャッタ等のリニアに動作するアクチュエータを用いて駆動するようにしてもよく、赤外線のカットと赤外線のみの透過とを交互に且つ運転者の目にちらつきを感じさせない程度の速度で駆動できるものであればどのようなアクチュエータでもよい。
【0122】
また、可視光画像で輝度が輝度閾値Zより大きい領域については全て黒表示とするようにしたが、黒表示に限定されるわけではなく、例えば第2実施形態と同じように、輝度閾値Z以下の任意の輝度に変換するようにしてもよい。
[第4実施形態]
本実施形態は、運転者に対して注意を喚起する(詳しくは道路上に障害物があることを認識させる)ための障害物報知システムであり、図16に示す如く、主としてヘッドライト1、光遮断機56,57、カメラ58,画像処理・制御回路55、液晶パネル15及びスピーカ59により構成される。液晶パネル15は上記各実施形態と全く同様のものである。
【0123】
カメラ58は、可視光線による画像を撮影するための例えばCCDカメラ等の一般的なカメラであり、画像処理・制御回路55の制御をうけて車両前方の風景を撮影する。尚、運転者の視点6から車両前方をみたときの視野全体を撮影できるよう、フロントガラス8の上部中央に配置されている(図17参照)。
【0124】
光遮断機56,57はそれぞれ、詳細には図17に示すように、左右に配置されたヘッドライト1(1a,1b)に取り付けられたものであり、その具体的構成は図18の通りである。即ち、円盤状の約半分が半円形状にくり抜かれて透過孔73が形成された光遮断板72が、回転型アクチュエータ71にて回転駆動されるものである。
【0125】
そして、画像処理・制御回路55が、後述するように各光遮断機56,57の動作及びカメラ58による撮影を同期制御している。図17は、右ヘッドライト1aからの照射光は光遮断機56の透過孔73から車両前方へ照射されており、一方の左ヘッドライト1bからの照射光は光遮断機57の光遮断板72によって遮断されている状態を示している。
【0126】
この状態(図17)でカメラ58による撮影を行った後は、各光遮断機56,57を駆動して図19に示す状態になる。即ち、図19の状態は、右ヘッドライト1aからの照射光は光遮断機56の光遮断板72によって遮断されており、一方の左ヘッドライト1bからの照射光は光遮断機57の透過孔73から車両前方へ照射されている状態を示している。この状態になったときも、カメラ58により撮影を行う。
【0127】
つまり、右ヘッドライト1aの照射光だけが車両前方に照射されている時の運転席からの風景と、左ヘッドライト1bの照射光だけが車両前方に照射されている時の運転席からの風景とを交互に撮影するのである。そして、各ヘッドライト1a,1bによる撮影が順次行われる毎に、その両画像を比較して後述の撮影制御処理により道路上に障害物があるか否かを検出する。
【0128】
こういった各光遮断機56,57とカメラ58との同期制御は、画像処理・制御回路55により行われる。図20は、画像処理・制御回路55の概略構成を示す説明図である。この画像処理・制御回路55も、上記各実施形態と同様、ヘッドライトスイッチのONにより動作するようにしてもいいし、専用の起動スイッチにより起動するようにしてもよく、動作開始タイミングは適宜決めることができる。
【0129】
画像処理・制御回路55は、大きく分けて画像処理回路60と、この画像処理回路60からの指令を受けてカメラ58及び各光遮断機56,57を制御するカメラ・遮断機制御回路66とで構成されている。カメラ58にて撮影された風景画像のうち、左ヘッドライト1bによる照射光が車両前方へ照射されている時の撮影画像はフレームメモリA61へ記録され、右ヘッドライト1aによる照射光が車両前方へ照射されている時の撮影画像はフレームメモリB62へ記録される。
【0130】
CPU65はこれら両撮影画像を比較して、画像データの異なる部分の輝度の差が輝度閾値設定メモリ64に設定されている輝度閾値Dより大きい場合を、障害物(対象物)の影と判断する。そして、撮影画面上における影の位置から、位置変換パラメータメモリ63に記憶された位置変換パラメータに基づいて障害物の実際の位置を導出する。
【0131】
障害物位置の導出後は、障害物が存在していること及びその位置をスピーカ59から音声で警告すると共に、障害物が存在していることを示す警告マークを液晶パネル15に表示してフロントガラス8面に虚像表示させる。
次に、CPU65が実行する撮影制御処理について、図21に基づいて説明する。CPU65は、所定の条件(例えばヘッドライトスイッチのONなど)が成立するとこの処理を開始する。
【0132】
この処理が開始されると、まずS510にて、輝度閾値設定メモリ64から輝度閾値Dを読み出す。そして、S520に移行してタイマーがゼロになったか否かを判断する。ここでタイマーとは、光遮断機56,57の交互動作及びその動作毎のカメラ58の撮影を、一定の間隔を開けて実行するために設けているものである。
【0133】
即ち、上記第1〜第3実施形態の場合は、フロントガラス8に風景画像を虚像表示するため、切れ目のない連続的な画像表示(虚像表示)が必要であった。しかし、本実施形態の場合、風景画像の虚像を表示するのではなく、道路上に障害物があるか否かを判断してあった場合にその旨を運転者に報知するものである。そのため、必ずしも切れ目のない連続的な撮影・障害物検知が必要というわけではなく、運転者が障害物を認識したときにそれを回避できる程度の時間間隔(例えば数十msec.毎の画像取り込み・処理)で障害物判定・報知を行えば十分である。よって、本実施形態ではタイマーを設け、一連の処理(S530〜S590)が終了した後は一定時間(タイマーの設定時間)間隔をおいて再びS530以降の処理を行うようにしている。
【0134】
タイマーがゼロになるまではS520の処理を繰り返すことになるが、タイマーがゼロになるとS530に進む。S530では、右ヘッドライト1aに取り付けられた光遮断機56をONして左ヘッドライト1bに取り付けられた光遮断機57をOFFすることにより、左ヘッドライト1bからの照射光のみが車両前方に照射されるようにする。そしてS540に進み、この状態でカメラ58による撮影を行い、その撮影画像をフレームメモリAに記録する。
【0135】
このときのフレームメモリAに記録された撮影画像例を図23(a)に示す。図23(a)のうち左側の画像Aが、フレームメモリAに記録された撮影画像であり、道路のほぼ中央部に障害物があってその影が障害物の右後方にのびている様子を示している。
【0136】
続くS550では、左ヘッドライト1bに取り付けられた光遮断機57をONして右ヘッドライト1aに取り付けられた光遮断機56をOFFすることにより、右ヘッドライト1aからの照射光のみが車両前方に照射されるようにする。そしてS560に進み、この状態でカメラ58による撮影を行い、その撮影画像をフレームメモリBに記録する。
【0137】
このときのフレームメモリBに記録された撮影画像例を図23(a)に示す。図23(a)のうち右側の画像Bが、フレームメモリBに記録された撮影画像であり、道路のほぼ中央部に障害物があってその影が障害物の左後方にのびている様子を示している。そして、図23(a)に例示した二つの撮影画像は、影の部分を除いて両者はほぼ一致している。
【0138】
そして、S570に進んで二つの光遮断機56,57を共にOFFにし、両ヘッドライト1a,1bからの照射光が共に車両前方へ照射されるようにする。そしてS590に進み、障害物報知処理を実行する。
S590の障害物報知処理の詳細は図22に示す通りであり、まずS600にて物***置座標(X,Y)を原点(0,0)に設定する。ここで、物***置座標(X,Y)とは、障害物の根本(正確には障害物の影の根本)の座標を示すものであり、本処理開始時は原点に設定し、以後の処理で障害物の影が判断される毎にこの座標を更新していくことになる。また、本実施形態における撮影画像の画素構成(座標配列)は、図5で説明した画素配列と全く同様である(図23参照)。
【0139】
S600で物***置座標を原点に設定した後は、S610以降の処理に進む。この中でS610〜S680の処理については、画素一つずつに対して処理を行っていく。具体的には、各画素行nに対してS620〜S670の処理をn=1からn=Kとなるまで繰り返す。また、S620〜S670の処理においては、各画素列mに対してS630〜S660の処理をm=1からm=Lとなるまで繰り返す。つまり、図23(a)に示した各撮影画像において、最上行(n=1)から各行毎に1列目の画素〜L列目の画素、という順番で最終画素(L,K)まで、各画素毎に順次S630〜S660の処理を行うのである。
【0140】
S630では、フレームメモリA61に記録された画像Aのうち対応する画素(m、n)と、フレームメモリB62に記録された画像Bのうち対応する画素(m、n)を読み込む。そして、続くS640にて、その読み込んだ各画像A,Bの各画素(m,n)の差分を求め、その差分の絶対値を画面Cにおける画素(m,n)の輝度として設定する。図23(b)に画像Cの例を示す。画像Cは画像Aと画像Bの各画素の差分の絶対値をとったものであり、図23(a)の画像Aと画像Bとで異なる部分は障害物の影の部分のみであるため、結果として画像Cはこの影の部分のみが抽出された画像となる。尚、この画像Cは撮影画像の全画素についてS630〜S660の処理を行った結果生成されるものとして例示したものである。
【0141】
S650では、画像Cにおける画素(m,n)の輝度値が輝度閾値設定メモリ64に設定されている輝度閾値Dより高いか否かを判断し、低い場合は影ではないものとしてS670に移行するが、高い場合は、影であると判断してS660に進み、物***置座標(X,Y)に座標(m,n)を上書きする。
【0142】
このように全ての画素について上記処理を行うことにより、最終的には物***置座標(X,Y)には障害物の影の付け根の座標(m,n)(図23(b)参照)が上書きされた状態となる。
そして、S690に移行し、得られた物***置座標(ここでは障害物の影の付け根座標(m,n))を位置変換パラメータと照らし合わせて、実際の位置を導出する。図24に、本実施形態の位置変換パラメータを示す。この位置変換パラメータは、撮影画像中の全ての画素に対応した物***置座標(X,Y)に対して実際の位置に関する情報が対応づけられて登録されたものである。
【0143】
即ち、例えば物***置座標が(1,1)の場合(つまり画面の最左上)、位置変換パラメータに照らし合わせることにより、実際の位置は自車からの距離(但しY軸成分のみ)がZ1[m]で道路外に位置していることが読みとれる。また例えば、物***置座標が(X,100)の場合、位置変換パラメータに照らし合わせることにより、実際のY軸方向距離は250mであることがわかる。このように、物***置座標(X,Y)から実際の障害物の位置がすぐに導き出せるようになっているのである。
【0144】
尚、本例では位置情報としてY軸方向の距離と、道路上であるか否かの情報をパラメータとして登録したが、これに限定されないことはいうまでもなく、例えばX,Y両成分を加味したより正確な距離を導出できるようにしてもよい。また、道路上か否かについては、走行する道路の幅や車線数などによって異なるため、図24のように固定化したパラメータとするのではなく、例えばナビゲーションシステム等によって走行中の道路幅・形状等を割り出し、その結果を元に道路外か否かを判断できるようにしてもよい。
【0145】
S690で位置変換パラメータと照らし合わせることにより障害物の位置を導出したら、S700に進み、障害物が道路外にあるか否かを判断する。そして、道路外であれば、そのままこの処理を終了して図21の本処理に戻り、S590にてタイマーをセットした後再びS520に戻る。一方、S700で道路内と判断された場合は、S710に進み、障害物マークをフロントガラス面に虚像表示すると共に、障害物が発見されたこと及び自車に対する位置情報をスピーカ59にて警告(音声出力)する。
【0146】
図25に、障害物マークの虚像表示例及び警告の音声出力例を示す。図示の如く、運転者から実際の障害物(ここでは歩行者)をみたときにその障害物に重なり合うように警告マークが虚像表示される。また、運転席右下部のスピーカ59からは、障害物までの距離が音声出力される。尚、本例では警告マークのみを虚像表示する場合を示したが、警告マークに加えて障害物までの距離も虚像表示するようにしてもよい。或いは、警告マークの代わりに距離の虚像表示のみとしてもよい。さらに、音声警告または虚像表示のいずれか一方のみにしてもよい。更にまた、例えば「右側前方に障害物あり・・・」というような、だいたいの位置のみを警告するようにしてもよい。
【0147】
従って、本実施形態の障害物報知システムによれば、仮に運転者が視覚で見落とした場合であっても運転者は障害物の存在を迅速に認識・対処できる。また、虚像表示と音声警告を共に用いており、しかも音声によって障害物までの距離をも報知するようにしているため、障害物に対してより迅速且つ適切に対処することができる。
【0148】
また、本実施形態では、位置変換パラメータによって障害物の実際の位置を導出するようにしているため、複雑な数値演算等を行う必要なく、撮影画像中の影の位置から実位置を簡単に得ることができ、本障害物報知システムを簡単な構成で実現できる。
【0149】
更に、本実施形態では、単に障害物の存在或いは障害物までの距離を報知するのみでなく、道路外にあるか否かの情報まで報知するようにしている。そのため、例えば距離のみが報知されるようなシステムに比べ、より正確な情報が運転者に与えられることになり、障害物報知により運転者に与える負担(道路上にあるものなのか否かの判断にかかる負担)や煩わしさを抑えることができる。
【0150】
更にまた、本実施形態では、障害物報知を連続的に実行するのではなく、タイマーを用いて一定間隔毎で実行するようにしているため、連続的に常時行う場合に比べて左右ヘッドライト1a,1bからの照射光が同時に照射される時間が長くなり、視界を良好に保てる。
【0151】
尚、本実施形態の光遮断機56,57は、透過孔73の形状を半円形としたが、これに限らず例えば図27で説明したフィルタ切替器80と同じように円形の透過孔としてもよく、その形状は、ヘッドライト光を十分に照射できる範囲内で自由に決めることができる。
【0152】
本実施形態では左右のヘッドライト光を交互に照射させてそれぞれの影のでき方の違いをみて障害物を判断するようにしたが、ヘッドライト以外の他の光源を複数用いて同様に障害物の判断を行うようにしてもよい。また、光源の数も本例のように二つに限らず、3つ以上として各々の撮影画像を比較するようにしてもよい。
【0153】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、光遮断機56,57は本発明の遮断手段に相当し、カメラ58は本発明(請求項20)の撮影手段に相当し、右ヘッドライト1a及び左ヘッドライト1bはいずれも本発明の光源に相当し、CPU65は本発明の一光源撮影制御手段、対象物判定手段、位置導出手段及び道路上判定手段に相当し、位置変換パラメータメモリ63は本発明の記憶手段に相当し、位置変換パラメータは本発明の位置導出パラメータに相当し、液晶パネル15及びスピーカ59は本発明の報知手段に相当し、このうち特に液晶パネル15は本発明の表示手段にも相当するものである。また、図24の位置変換パラメータにおいて物***置座標(X,Y)に対応づけてそれぞれ登録されているY軸方向距離及び位置(道路外又は道路内)が本発明の実位置に相当するものである。
【0154】
また、図21の撮影制御手段において、S530〜S560の各処理はいずれも本発明の一光源撮影制御手段が実行する処理に相当する。また、図22の障害物報知処理において、S640及びS650の処理はいずれも本発明の対象物判定手段が実行する処理に相当し、S690の処理は本発明の位置導出手段が実行する処理に相当し、S700の処理は本発明の道路上判定手段が実行する処理に相当する。
【0155】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明の実施の形態は、上記各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記第3実施形態では、図12に示すようにフィルタ切替器42をヘッドライト1に取り付けるようにしたが、ヘッドライト1への取り付けに代えて、例えば図26に示すように、両用カメラ43に取り付けるようにしてもよい。
【0156】
即ち、ヘッドライト1の照射光(詳しくはその反射光)を含む車両前方からの光に対し、赤外線カットフィルタ53にて赤外線をカットした光のみを両用カメラ43に取り込んで撮影することにより可視光画像を撮影し、一方、赤外線透過フィルタ52にて赤外線のみを両用カメラ43に取り込んで撮影することにより赤外線画像を撮影するのである。つまり、フィルタ切替器42の位置を両用カメラ43側にもってきただけで他は第3実施形態と同じである。このようにしても、第3実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0157】
尚、この場合、ヘッドライト1とは別に赤外線ライトを配置して赤外線を車両前方に放射するようにしてもよい。つまり第1又は第2実施形態と同様の赤外線ライト11を配置してもよい。このようにすれば、ヘッドライト▲1▼のみの場合よりも赤外線画像をより鮮明に撮影することができ、より確実に車両前方の状況を知ることができる。
【0158】
また、上記各実施形態では、虚像表示のための表示手段として液晶パネル15を採用したが、これに限らず、表示光を出射してそれがフロントガラス8に反射することによって運転者が虚像として見ることができる構成の表示手段であれば何でもよい。また、この表示手段からの出射光が上記各実施形態のように直接フロントガラス8に当たるようにする方法以外にも、例えば反射鏡等を介したり、或いはレンズ等による屈折等を介してフロントガラス8に当たるようにしてもよく、結果として運転者が虚像を見ることができる限りその具体的構成は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の表示システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】第1実施形態の表示システムにおける画像処理回路の構成を示すブロック図である。
【図3】切り出し領域(領域B)の一例を示す説明図である。
【図4】第1実施形態の赤外線画像切り出し処理を示すフローチャートである。
【図5】撮影画像の画素(m,n)を表す説明図である。
【図6】第1実施形態の撮影画像における切り出し領域(領域B)の具体例を示す説明図である。
【図7】第2実施形態の表示システムの概略構成を示す説明図である。
【図8】第2実施形態の表示システムにおける画像処理回路の構成を示すブロック図である。
【図9】第2実施形態の輝度判定・データ書き込み処理を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態の表示システムの概略構成を示す説明図である。
【図11】フィルタ切替器の構成を示す説明図である。
【図12】第3実施形態の、可視光線・赤外線両用カメラとフィルタ切替器とが同期制御されることを説明するためのシステム構成図である。
【図13】第3実施形態の表示システムにおける画像処理回路の構成を示すブロック図である。
【図14】第3実施形態の撮影制御処理を示すフローチャートである。
【図15】図14の撮影制御処理における輝度判定・データ書き込み処理を示すフローチャートである。
【図16】第4実施形態の障害物報知システムの概略構成を示す説明図である。
【図17】第4実施系他の障害物報知システムにおける、ヘッドライト,光遮断機及びカメラの設置例を表す説明図である。
【図18】光遮断機の構成を示す説明図である。
【図19】第4実施形態の、カメラと光遮断機とが同期制御されることを説明するためのシステム構成図である。
【図20】第4実施形態の画像処理・制御回路の構成を表すブロック図である。
【図21】第4実施形態の撮影制御処理を示すフローチャートである。
【図22】図21の撮影制御処理における障害物報知処理を示すフローチャートである。
【図23】第4実施形態における、障害物までの距離を得る原理を説明する図であり、(a)は、左・右各ヘッドライト点灯時の撮影画像を示し、(b)は、各撮影画像から障害物の影のみを抽出した画像を示す。
【図24】第4実施形態の位置変換パラメータを示す説明図である。
【図25】第4実施形態の、検出した障害物を運転者に報知する具体例を示す説明図である。
【図26】図12のシステム構成図の変形例を示す図である。
【図27】第3実施形態のフィルタ切替器(図11)の変形例を示す説明図である。
【図28】従来の表示システムの概略構成を示す説明図である。
【図29】従来の表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1・・・ヘッドライト、1a・・・右ヘッドライト、1b・・・左ヘッドライト、2・・・ハンドル、3・・・インストルメントパネル、6・・・視点、8・・・フロントガラス、11・・・赤外線ライト、12・・・赤外線カメラ、13,31,60・・・画像処理回路、14・・・ヘッドライトスイッチ、15・・・液晶パネル、21・・・赤外線カメラ用フレームメモリ、22・・・切り出し領域設定メモリ、24・・・合わせ用フレームメモリ、30・・・システム起動スイッチ、33,64・・・輝度閾値設定メモリ、41・・・カメラ・フィルタ切替制御装置、42,80・・・フィルタ切替器、43・・・両用カメラ、51,71・・・回転型アクチュエータ、52,81・・・赤外線透過フィルタ、53,82・・・赤外線カットフィルタ、55・・・画像処理・制御回路、56,57・・・光遮断機、58・・・カメラ、59・・・スピーカ、63・・・位置変換パラメータメモリ、66・・・カメラ・遮断機制御回路、72・・・光遮断板、73・・・透過孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両を運転する運転者に対し車両前方状況に関する情報を表示して運転を支援する運転支援方法と、この運転支援方法を実現する表示システム及び報知システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、視認性に優れ運転者の負担の少ない画像HMI(Human Machine Interface )への要求が高まっている。特に、前方視界補助情報や死角情報等の車両を安全に走行させるための情報のニーズが高まっており、これらをより効果的に運転者へ伝達するための画像HMIが求められる。
【0003】
自動車を夜間走行する場合、運転者はヘッドライトの灯りや街灯の明かり等を頼りに低照度環境の中で運転の判断をしているため、昼間の運転に比べて歩行者等の発見が遅れ、危険性が大きくなる。そのため、夜間に自動車事故に遭遇すると死亡事故につながる可能性も高くなる。
【0004】
夜間の低照度環境等、肉眼での視認性の悪い環境をカバーするための技術として、例えば図28に示すように、前方対象物101から発する遠赤外線をレンズ102で集光して赤外線センサー部103により電気信号に変換し、これを可視画像として表示できるよう信号処理部104にて信号処理して表示部105へ表示させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
これによって、運転者が目視で見づらい車両前方の景色であっても、表示部105を見ることによって認識することができる。
また、例えば図29に示すように、可視光カメラ111が可視光風景を撮影してその画像データを可視光画像フレームメモリ112に記録すると共に、赤外線カメラ113が赤外線風景を撮影してその画像データを赤外線画像フレームメモリ114に記録し、CPU115が、赤外線画像から運転者の視認困難な部位に相当する領域を切り出して可視光画像における対応する領域に合成し、その合成画像を重畳画像フレームメモリ116に記録して、これを表示モニタ118に表示させる技術も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
即ち、上記特許文献2に記載の技術は、運転者にとって視認できる部分は可視光により撮影した風景を表示し、肉眼で視認困難な視界部位には赤外線により撮影した風景を合成して表示することによって、運転者が表示モニタ118の表示画像を見ることにより車両前方の風景全体を把握できるようにするものである。
【0007】
【特許文献1】
特開平05−137030号公報
【特許文献2】
特開平11−308609号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術により車両前方の情報を運転者に提供すると、運転者はこれら情報(前方風景)を認識するために視線を表示モニタに向ける必要がある。表示モニタが例えばインストルメントパネルに配置されている場合は、走行中に運転者が前方から目を背けるため、危険が伴う。また例えば、表示モニタがフロントガラスと運転者との間に配置されている場合、インストルメントパネル配置の場合よりは運転者が前方から大きく目を背ける必要はなくなるものの、走行中の前方の景色が見づらくなる(表示モニタが邪魔になる)ため、やはり危険が伴う。
【0009】
しかも、走行中に運転者から見える実際の車両前方景色と、表示モニタに表示された画像(車両前方の風景画像)とを瞬時に対応させることが困難であり、例えば表示モニタにて前方に障害物があることを認識してから運転者が実際にその認識に基づく対応をとる(例えば障害物の実際の位置を肉眼で確認してから回避措置をとる)までの間のタイムロスが大きくなりかねない。
【0010】
更に、表示モニタには歩行者や障害物だけでなく、街路樹や建造物などの周囲の様子まで全て表示されるため、仮に表示モニタに障害物が映されたとしてもそれが障害物であることを瞬時に認識できず、対応が遅れてしまうおそれもある。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、夜間等の前方が見づらい環境においても、運転中の運転者がフロントガラス越しに実際に見ている車両前方の景色から視線をそらすことなく、車両前方の状況を迅速且つ的確に把握して、安全に走行できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の運転支援方法は、可視光線以外の電磁波による画像を撮影する撮影手段により車両前方の風景を撮影し、該撮影した画像である不可視光画像のうち少なくとも、運転者の肉眼では見えにくい視認困難領域の画像を、運転者から見える実際の景色と重なり合うようにフロントガラス面に虚像表示する。
【0012】
撮影手段は、人間の肉眼では視認できない可視光線以外の電磁波(例えば赤外線等)による画像を撮影するものであるため、車両前方の景色が肉眼で見えにくい場合であっても、撮影手段により撮影すれば、その撮影画像により車両前方の景色全体を把握することができる。
【0013】
そして本発明(請求項1)では、撮影手段による不可視光画像を、従来のように表示モニタ等に表示するのではなく、虚像表示、つまりフロントガラス面に虚像を形成することにより実現している。しかも、単にフロントガラス面の任意の位置に虚像表示するのではなく、運転者から見える実際の景色(虚像表示の対象となる実際の対象物)と虚像とが重なり合うように表示する。
【0014】
そのため、請求項1記載の発明によれば、夜間等の前方が見づらい環境においても、運転中の運転者がフロントガラス越しに実際に見ている車両前方の景色から視線をそらすことなく、車両前方の状況を迅速且つ的確に把握して、安全に走行することができる。しかも、運転者から見える実際の景色と虚像とが重なり合っているため、運転者は瞬時に虚像を理解でき、車両前方状況に応じた適切な運転ができるようになる。
【0015】
尚、虚像表示する画像は、視認困難領域のみでもいいし、撮影手段にて撮影した画像(不可視光画像)の全てでもよく、少なくとも視認困難領域を含む任意の領域を適宜決めればよい。
ここで、視認困難領域は、運転者の個人差や車両の違い、或いはその時々の車両周囲環境等に応じて適宜設定することができるが、例えば請求項2に記載のように、当該車両のヘッドライトを点灯した際にその照射光による当該車両への反射輝度が所定輝度以下となる領域(以下「ヘッドライトが当たらない領域」ともいう)にするとよい。
【0016】
このようにすれば、夜間の走行中にヘッドライトが当たらない領域に対応した不可視光画像がフロントガラス面に虚像表示されるため、肉眼では見え難い場所の景色を視認することができる。
ヘッドライトが当たらない領域の設定は、例えば車両毎あるいは車種毎に実験的に得られた領域を予めデフォルト設定してもいいし、不可視光画像の各画素の輝度に基づいて設定することにより走行中の車両前方状況にリアルタイムに対応可能となるようにしてもよい。また例えば、ヘッドライトのハイビーム照射時とロウビーム照射時それぞれに対応した領域を設定するようにしてもよい。
【0017】
また、視認困難領域は、例えば運転者等が任意に設定できるようにしてもよいし、また例えば、運転中にリアルタイムに視認困難な領域を解析して設定されるようにしてもよいが、例えば請求項3記載のように、予め設定された所定領域であってもよい。
【0018】
このようにすれば、視認困難な領域をリアルタイムに解析する必要や、運転者等による設定操作の必要もなく、設定された所定領域に基づく簡単な処理のみで人間の肉眼で見え難い領域に不可視光画像を虚像表示することができる。
尚この場合も、所定領域は適宜設定することができ、例えば路側を含む所定範囲内としてもいいし、また例えば、想定される複数の領域を予め用意しておいて運転者がその中から選択的に設定できるようにしてもよい。
【0019】
一方、車両の運転中は、走行中の道路の交通状況や周囲の環境等によって、運転者が視認困難と感じる領域も変化する。例えば、街灯のない道路を自車のみで夜間走行しているときに視認困難と感じる領域と、街灯があってしかも自車の前後及び対向車線にも車両が走行しているときに視認困難と感じる領域とは、当然異なるものとなる。
【0020】
そこで、視認困難領域は、上記のように予め設定しておくのではなく、例えば請求項4に記載のように、不可視光画像の中で輝度が所定の第1輝度閾値以下の画素からなる領域としてもよい。
第1輝度閾値は、運転者の個人差等に応じて適宜決めることもできるが、例えばその閾値より大きいと肉眼でも比較的よく見えるというような値に設定することができる。逆に言えば、その閾値より低い輝度だと肉眼では見え難くなるような値とすることができる
また例えば、請求項5に記載のように、撮影手段が、可視光線を集光して撮影を行う可視光撮影機能も備えると共に、該可視光撮影機能による撮影と不可視光画像の撮影とを交互に行うよう構成されており、連続して撮影された、可視光撮影機能による撮影画像である可視光画像及び不可視光画像に対し、可視光画像の中で輝度が所定の第2輝度閾値以下の画素からなる領域に対応する不可視光画像内の領域を、視認困難領域としてもよい。
【0021】
つまり、請求項4のように不可視光画像を構成する各画素の輝度に基づくものではなく、可視光画像を構成する各画素の輝度に基づいて視認困難領域を決めるのである。
このように、請求項4又は請求項5記載の運転支援方法によれば、運転者から実際に見える景色が明るければ(つまり第1又は第2輝度閾値以下の領域が少なければ)その分虚像表示される領域も小さくなるし、逆に実際の景色が暗ければ(つまり第1又は第2輝度閾値以下の領域が大きいと)その分虚像表示される領域も大きくなる。そのため、運転者の視認困難な領域を特定して運転中の周囲環境等にリアルタイムに対応した適切な虚像表示がなされるようになる。
【0022】
フロントガラス面への虚像表示は、例えば常時行うようにしてもよいが、日中の明るいときは運転者からの視認性は通常は良好であるため、虚像表示の必要性が低い。視認性良好のときにも虚像表示すると、それが逆に視界の妨げとなってしまう可能性もある。
【0023】
そのため、例えば請求項6に記載のように、当該車両のヘッドライトが点灯しているときにフロントガラス面への虚像表示を行うようにするとよい。このようにすれば、必要以上の虚像表示をなくすことができ、運転者は安全且つ快適に運転することができる。
【0024】
次に、請求項7記載の発明は、運転者に対し注意を喚起する運転支援方法であって、車両に搭載された複数の光源からの光を、二つ以上の光源から同時に光が照射されることのないよう順次車両前方へ照射して該照射毎に該光源による光を撮影可能な撮影手段によって車両前方の風景を撮影する。そして、撮影手段による各光源毎の撮影画像(各光源からの照射毎の撮影画像)を相互比較して、各撮影画像相互間で異なる部分があった場合に、その異なる部分を対象物の影と判断して車両前方に対象物があることを運転者に報知する。
【0025】
つまり、各光源からの光が順次照射される毎に一つの撮影手段が撮影を行い、各撮影結果を比較することによって対象物の影を見出すものである。例えば車両前方の対象物に対して異なる位置から光を照射すると、照射する光毎に対象物の影は異なる。そのため、複数の光源から個々に光を照射して、各照射毎に撮影手段が撮影を行うと、各照射毎に影の部分が異なる撮影画像が得られる。
【0026】
このように、異なる部分(影の部分)があった場合に運転者へ報知することによって、仮に運転者が視覚で見落とした場合であっても運転者は対象物の存在を迅速に認識することができ、例えば対象物として道路上に障害物があってそれを視認できなくても、報知により迅速に対処できる。
【0027】
また、単に異なる部分があったことをもってその部分を影と判断するのではなく、例えば請求項8に記載のように、各光源毎の撮影画像相互間で異なる部分の輝度の差が所定の第3輝度閾値より高い場合に、その異なる部分が対象物の影であると判断するようにしてもよい。
【0028】
即ち、対象物に光を照射した場合、光の当たっている部分に比べて影の部分が暗くなるため、各光源毎の撮影画像を比較して画像データ(画素)の著しく異なる領域を対象物の影と判定するのである。そのため、第3輝度閾値は、影の部分とそうでない部分とを明確に区別できるような値に設定すればよい。これにより、対象物の影をより確実に検出することが可能となる。
【0029】
更に、単に対象物があったという事実のみを報知するのではなく、例えば請求項9に記載のように対象物の実際の位置を報知するようにしてもよい。即ち、対象物の影の位置に基づいて当該車両に対する対象物の実際の位置である実位置を導出して、報知の際は少なくともその導出した実位置を報知するのである。このようにすれば、運転者は対象物の存在に加えて自車に対する実位置まで知ることができるため、対象物に対して迅速且つ適切に対処することができる。
【0030】
請求項10記載の発明は、車両に搭載され、車両前方の状況を表示して運転者の運転を支援するための表示システムであって、ヘッドライトとは別に搭載された不可視光放射手段が可視光線以外の電磁波を車両前方に放射して、車両前方の風景を撮影するために設置された撮影手段が可視光線以外の電磁波による画像を撮影する。
【0031】
そして、画像処理手段が、撮影手段により撮影した画像である不可視光画像のうち少なくとも運転者の肉眼では見えにくい視認困難領域の画像を抽出し、該画像を表示手段によってフロントガラス面に虚像表示する。表示手段は、画像表示面から表示光を出射することにより画像処理手段が抽出した画像をフロントガラス面に虚像表示して運転者が視認できるよう構成されたものである。また、撮影手段及び表示手段は、虚像表示された画像が運転者から見える実際の景色における該画像に対応する領域と重なり合うような相対位置関係となるよう、それぞれ設置される。
【0032】
つまり、請求項1記載の運転支援方法が実現されたシステムである。そのため、本発明(請求項10)記載の表示システムによれば、夜間等の前方が見づらい環境においても、運転中の運転者がフロントガラス越しに実際に見ている車両前方の景色から視線をそらすことなく、車両前方の状況を迅速且つ的確に把握して、安全に走行することができる。しかも、運転者から見える実際の景色と虚像とが重なり合っているため、運転者は瞬時に虚像を理解でき、車両前方状況に応じた適切な運転ができるようになる。
【0033】
尚、表示手段を構成する画像表示面への表示は、例えば画像処理手段が抽出した画像をそのまま表示してもいいし何らかの処理を加えて表示してもいい。また、画像表示面の表示光は、直接フロントガラス面に出射されるようにしてもいいし、反射鏡やレンズ等による反射や屈折等を経てフロントガラス面に当たるようにしてもよく、画像表示面の表示方法や、画像表示面からの出射光がフロントガラス面まで到達する過程は任意に決めればよく、結果的に所望の画像がフロントガラス面に虚像表示されればよい。
【0034】
視認困難領域は、例えば請求項11に記載のように、当該車両のヘッドライトが当たらない領域にしてもよいし、例えば請求項12に記載のように、予め設定された所定領域であってもよい。前者の場合、夜間の走行中にヘッドライトが当たらない領域の不可視光画像がフロントガラス面に虚像表示されるため、肉眼では見え難い場所の景色を視認することができ、後者の場合、視認困難な領域をリアルタイムに解析する必要はなく、簡単な処理で人間の肉眼で見え難い領域に不可視光画像を虚像表示することができる。
【0035】
また、視認困難領域は、例えば請求項13に記載のように、不可視光画像において画素の輝度が第1輝度閾値以下の領域にしてもよい。即ち、請求項13記載の表示システムは、画像処理手段が、不可視光画像を構成する各画素の輝度と予め設定した第1輝度閾値とを比較する第1輝度比較部と、該第1輝度比較部により第1輝度閾値以下と判断された画素からなる領域を視認困難領域として該領域の画像を抽出する画像抽出部とを備えたものである。
【0036】
つまり、請求項4記載の運転支援方法が実現されたシステムである。そのため、請求項4記載の発明と同様の作用・効果が得られる。
視認困難領域以外の領域については、言い換えれば運転者が肉眼で比較的良好に視認できる領域であるため、虚像表示を全く行わないようにしてもよいが、例えば請求項14に記載のように、画像抽出部が、不可視光画像における視認困難領域以外の画像についてもその画像を構成する各画素の輝度を第1輝度閾値以下の所定の輝度に変換して、視認困難領域の画像と共に抽出するようにしてもよい。
【0037】
また、表示手段によるフロントガラス面への虚像表示は、例えば請求項15に記載のように、当該車両のヘッドライトが点灯しているときに行うようにするとよい。このようにすれば、必要以上の虚像表示をなくすことができ、運転者が安全且つ快適に運転することができる。
【0038】
更に、不可視光放射手段は、例えば請求項16に記載のように、ヘッドライト光の照射範囲よりも広い範囲又は遠方に可視光線以外の電磁波を放射できるよう構成されているとよい。一般にヘッドライトは、運転者の視界を良好にすることを主目的とする一方で周囲に悪影響を及ぼさないように照射するようにされているが、可視光線以外の電磁波は人間の目には見えないため、ヘッドライトより広範囲或いは遠方に放射しても差し支えない。
【0039】
そのため、不可視光放射手段からの電磁波を上記のようにヘッドライトより広範囲又は遠方に放射するようにすれば、肉眼では見えないより広い範囲(或いは遠い範囲)まで車両前方の状況を認識することができ、より安全な運転が可能となる。
【0040】
次に、請求項17記載の表示システムは、車両前方の風景を撮影するために設置され、可視光線による画像である可視光画像及び可視光線以外の電磁波による画像である不可視光画像を共に撮影可能な撮影手段と、該撮影手段へ入射する可視光線を遮断する可視光フィルタと、該撮影手段へ入射する電磁波(可視光線以外)を遮断する電磁波フィルタと、可視光フィルタ及び電磁波フィルタの切り替えを行うフィルタ切替手段と、を備えたものである。
【0041】
そして、切替撮影制御手段が、
電磁波フィルタにより可視光線以外の電磁波を遮断して撮影手段により可視光画像を撮影する可視光撮影動作、及び可視光フィルタにより可視光線を遮断して撮影手段により不可視光画像を撮影する不可視光撮影動作が交互に行われるようフィルタ切替手段と撮影手段とを同期制御し、画像処理手段が、切替撮影制御手段の動作により順次得られる可視光画像及び不可視光画像に対し、可視光画像の中で輝度が所定の第2輝度閾値以下の画素からなる領域に対応する不可視光画像内の領域の画像を抽出する。
【0042】
そして表示手段により、画像処理手段が抽出した画像をフロントガラス面に虚像表示する。この表示手段は、請求項10で説明した表示手段と同じ構成のものである。また、撮影手段及び表示手段の相対位置関係も請求項10と同様であり、虚像表示された画像が運転者から見える実際の景色における該画像に対応する領域と重なり合うよう、それぞれ設置される。
【0043】
つまり、可視光線による画像と可視光線以外の電磁波による画像を共に撮影可能な一つの撮影手段により、電磁波フィルタを通過してきた可視光線による画像撮影と、可視光フィルタを通過してきた上記電磁波による画像撮影とを交互に行うのである。
【0044】
そのため、例えば上記電磁波による画像を撮影する手段と可視光線による画像を撮影する手段とを別々に設ける場合に比べ、一つの撮影手段で可視光画像及び不可視光画像とを撮影することができるため、撮影手段のコスト削減や配置スペースの使用効率向上が可能となる。
【0045】
また、可視光画像の輝度に基づいて視認困難領域が決まるため、不可視光画像に基づく視認困難領域の決定に比べてより人間の視覚に合った領域決定がなされることになり、運転中の周囲環境等に応じたより適切な虚像表示が可能となる。
なお、ヘッドライトからの出射光には、一般に可視光線以外の電磁波成分(例えば赤外線)も含まれているため、上記請求項17記載の表示システムにおいては、ヘッドライトからの照射光のみで可視光画像及び不可視光画像とを撮影することが可能ではあるが、人間の肉眼で見にくい部位をできるかぎり正確に撮影するためには、例えば請求項18に記載のように、ヘッドライトとは別に可視光線以外の電磁波を当該車両の前方に放射する不可視光放射手段を備えてもよい。
【0046】
このようにすれば、ヘッドライトのみを用いた場合に比べ、より確実に車両前方の状況を知ることができる。更に、例えばこの不可視光放射手段からの放射電磁波の放射範囲をヘッドライトの照射範囲より広く或いは遠くに設定すれば、より広範囲で車両前方の状況を認識することができ、安全性のより向上した表示システムの提供が可能となる。
【0047】
請求項19に記載の表示システムは、車両前方の風景を撮影するために設置され、可視光線による画像である可視光画像及び可視光線以外の電磁波による画像である不可視光画像を共に撮影可能な撮影手段と、ヘッドライトから車両前方へ照射される照射光のうち可視光線を遮断する可視光フィルタと、ヘッドライトから車両前方へ照射される照射光のうち可視光線以外の電磁波を遮断する電磁波フィルタと、可視光フィルタ及び前記電磁波フィルタの切り替えを行うフィルタ切替手段と、を備えたものである。
【0048】
そして、切替撮影制御手段が、電磁波フィルタによりヘッドライトからの電磁波を遮断して撮影手段により可視光画像を撮影する可視光撮影動作、及び可視光フィルタによりヘッドライトからの可視光線を遮断して撮影手段により不可視光画像を撮影する不可視光撮影動作が交互に行われるよう、フィルタ切替手段と撮影手段とを同期制御する。可視光画像及び不可視光画像が順次得られたときの画像処理手段の動作、及び画像処理手段により抽出された画像の表示手段による虚像表示については、上記請求項17と同じである。
【0049】
つまり、上記請求項17記載の表示システムでは可視光フィルタ及び電磁波フィルタがそれぞれ撮影手段へ入射する可視光線及び上記電磁波を遮断するものであったのに対し、本発明(請求項19)では、可視光フィルタ及び電磁波フィルタがそれぞれ、ヘッドライトからの可視光線及び電磁波を遮断するよう構成されている。
【0050】
そのため、ヘッドライト以外に別途可視光線以外の電磁波を放射する手段を設けることなく、ヘッドライトからの照射(放射)のみで可視光画像と不可視光画像とを撮影することができ、光源のコスト削減や配置スペースの使用効率向上が可能となる。また、請求項17と同様、一つの撮影手段で可視光画像及び不可視光画像とを撮影することができるため、撮影手段のコスト削減や配置スペースの使用効率向上も可能となる。
【0051】
尚、請求項17〜19に記載の各発明においても、請求項14に記載の発明のように、視認困難領域以外の画像の輝度を第2輝度閾値以下に変換して虚像表示するようにしてもよい。つまり、画像処理手段によって抽出された視認困難領域の画像と共に、それ以外の領域の画像も併せて虚像表示してもよい。
【0052】
次に、請求項20記載の発明は、車両に搭載され、運転者に対し注意を喚起するための報知システムであって、当該車両前方を照射する複数の光源と、各光源毎に設けられ、光源から車両前方への照射光を遮断する遮断手段と、各光源による照射光を集光して撮影(換言すれば、各光源から光を照射したときの車両前方の風景を撮影)する撮影手段と、を備えたものである。
【0053】
そして、一光源撮影制御手段が、いずれか一つの光源による照射光のみを車両前方に照射して他の全ての光源からの照射光をそれぞれ対応する遮断手段によって遮断する一光源照射動作を各光源毎に順次行うと共に、該各一光源照射動作の実行毎に撮影手段による撮影が行われるよう、各遮断手段と撮影手段とを同期制御し、対象物判定手段が、一光源撮影制御手段により得られた各一光源照射動作毎の撮影画像を相互比較して異なる部分があった場合に、該異なる部分を対象物の影と判断し、対象物判定手段により対象物の影が判断されたときに、報知手段が、対象物があることを運転者に報知する。
【0054】
即ち、請求項7記載の運転支援方法が実現された報知システムであり、請求項7と同様、仮に運転者が視覚で見落とした場合であっても運転者は対象物の存在を迅速に認識することができ、例えば対象物として道路上に障害物があってそれを視認できなくても、報知により迅速に対処できる
請求項21に記載の発明は、請求項8記載の運転支援方法が実現された報知システムであり、対象物判定手段が、各撮影画像相互間で異なる部分の輝度の差が所定の第3輝度閾値より高い場合に、その異なる部分が対象物の影であると判断するようにしてもよい。つまり、各光源毎の撮影画像を比較して画像データ(画素)の著しく異なる領域を対象物の影と判定するのである。第3輝度閾値は、影の部分とそうでない部分とを明確に区別できるような値に設定すればよい。これにより、対象物の影をより確実に検出することが可能となる。
【0055】
請求項22に記載の発明は、請求項9記載の運転支援方法が実現された報知システムであり、位置導出手段が、撮影画像中における対象物の影の位置に基づいて当該車両に対する対象物の実際の位置である実位置を導出し、報知手段は少なくともその導出された実位置を報知するものであるとよい。報知システムをこのように構成すれば、運転者は対象物の存在に加えて自車に対する相対位置まで知ることができるため、対象物に対して迅速且つ適切に対処することができる。
【0056】
実位置としては、例えば自車から対象物までの距離であってもいいし、自車に対する大まかな位置表現(例えば「左前方」、「道路中央」など)であってもよく、適宜決めればよい。
そして、位置導出手段による実位置の導出は、例えば撮影画像中の影の座標から数値演算等により算出する方法が考えられるが、例えば請求項23に記載のようにしてもよい。即ち、撮影画像中における対象物の影の位置(例えば座標)と実位置との対応関係を示す位置導出パラメータを記憶した記憶手段を備え、位置導出手段は、記憶手段に記憶された位置導出パラメータに従って実位置を導出するのである。
【0057】
このようにすれば、実位置導出のために複雑な数値演算等を行う必要なく、撮影画像中の影の位置から実位置を簡単に得ることができ、位置導出手段を簡単な構成で実現できる。
また、報知手段による具体的報知方法としては種々考えられるが、例えば請求項24に記載のように音声により報知を行うようにしてもよい。このようにすれば、運転者が視覚によって情報を見落としても聴覚により気づくことができるため、より確実に情報を伝達できる信頼性の高い報知システムの実現が可能となる。
【0058】
また例えば請求項25のように、報知手段は、画像表示面から表示光を出射することにより該画像表示面上の画像をフロントガラス面に虚像表示する表示手段を備え、対象物判定手段により対象物の影が判断されたとき、表示手段によるフロントガラス面への虚像表示により報知を行うようにしてもよい。
【0059】
表示手段による虚像表示としては、例えば請求項26に記載のように、対象物があることを示す警告マークをフロントガラス面へ虚像表示するようにしてもいいし、また、対象物の実位置を報知する際には、例えば請求項27に記載のように、位置導出手段により導出された実位置をフロントガラス面へ虚像表示するようにしてもいい。このようにすれば、運転者は対象物の存在を視覚的に認識でき、対象物に対する迅速な対処が可能となる。
【0060】
そして、上記のように虚像表示により対象物の存在を報知する場合、より好ましくは、例えば請求項28に記載のように、虚像表示に対応した実際の対象物を運転者が見たときに該対象物と重畳するよう、虚像表示を行うようにするとよい。このようにすれば、単にフロントガラス面の任意の位置に虚像表示するよりも、運転者は対象物の存在とその位置まで即座に認識することができるため、対象物に対するより迅速な対処が可能となる。
【0061】
ここで、対象物判定手段により対象物の影と判断されたもの全てに対して報知を行うようにすると、例えば道路上ではなく歩道を通行中の歩行者や街路樹、或いは街灯などまでが対象物と判断されて報知されてしまうことも考えられる。そこで、例えば請求項29に記載のように、撮影画像中における対象物の影の位置に基づいて対象物の影が走行中の道路上に位置しているか否かを判定する道路上判定手段を備え、報知手段は、該道路上判定手段により対象物の影が道路上に位置していると判定された場合に報知を行うようにするとよい。
【0062】
つまり、道路以外の対象物は車両の走行に直接的な影響を与えないため、道路上の対象物のみ報知するものである。そのため、運転者にとって本当に必要な対象物情報のみが報知されることになり、対象物報知により運転者に与える負担(道路上にあるものなのか否かの判断にかかる負担)や煩わしさを抑えることができる。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の表示システムの概略構成を示す説明図である。本実施形態の表示システムは、車両に搭載され、例えば夜間等の運転者の視認困難な環境において車両の前方状況を表示し運転者の運転を支援するためのものであり、図1に示す如く、主として赤外線ライト11、赤外線カメラ12、画像処理回路13及び液晶パネル15により構成される。
【0064】
赤外線ライト11は、車両前方の広範囲(ヘッドライト1の照射範囲より広い範囲)に赤外線を放射するよう車両前部に配置されている。赤外線カメラ12は、赤外線による画像を撮影するための周知のものであり、運転者の視点6から車両前方をみたときの視野全体を撮影できるよう、フロントガラス8の上部中央に配置されている。
【0065】
図3は、赤外線カメラ12による撮影画像の一例を示しており、この撮影画像は運転者が運転席から正面をみたときの視野と略同一である。従って赤外線ライト11は、少なくとも図3に示した撮影画像の領域には十分に赤外線を照射できるものを使用している。
【0066】
画像処理回路13は、赤外線カメラ12で撮影した画像(本発明の不可視光画像に相当;以下「赤外線画像」という)から後述する赤外線画像切り出し処理によって所定領域の画像のみを切り出してその画像データを液晶パネル15へ出力するものであり、その具体的構成を図2に示す。
【0067】
画像処理回路13は、ハンドル2の前方にあるヘッドライトスイッチ14をONすることにより起動するもので、図2に示す如く、赤外線カメラ用フレームメモリ21、切り出し領域設定メモリ22、CPU23及び重ね合わせ用フレームメモリ24により構成されている。つまり、本実施形態の表示システムはヘッドライト1の点灯時に動作するものである。
【0068】
ヘッドライトスイッチ14のONにより画像処理回路13が起動すると、赤外線カメラ12にて撮影された赤外線画像(画素データ)が赤外線カメラ用フレームメモリ21に記録される。この記録は起動中随時行われる。
一方、切り出し領域設定メモリ22には、赤外線画像の中から切り出すべき領域が予めデフォルト設定されており、CPU23は、赤外線カメラ用フレームメモリ21に記録された赤外線画像からこの切り出し領域設定メモリ22の設定内容に相当する領域(切り出し領域)の画像のみを切り出して重ね合わせ用フレームメモリ24に記録する。
【0069】
この切り出し領域は本発明の視認困難領域に相当するものであり、本実施形態では図3に示す領域Bに設定している。図3において、領域Aはヘッドライト1の光が当たる領域であり、それ以外の領域はヘッドライト1の当たらない領域、つまりヘッドライト1を点灯した際にその照射光による当該車両への反射輝度が所定輝度以下となる領域である。
【0070】
この領域A以外の範囲のうち、路側を含み車両に比較的近い範囲であって視覚による見落としがあると危険な状況になる可能性の高い領域である領域Bを、切り出し領域として切り出し、重ね合わせ用フレームメモリ24に記録して、後述するようにフロントガラス8の表面に虚像として表示するようにしている。
【0071】
尚、この切り出し領域(領域B)は、例えば車両毎あるいは車種毎に実験的に得られた領域を設定することができるが、それ以外にも、例えば赤外線画像の各画素の輝度をみて輝度が所定値以下の領域(つまり肉眼で視認困難な領域)とすることにより走行中の車両前方状況にリアルタイムに対応可能となるようにしてもよい。また例えば、ヘッドライト1のハイビーム照射時とロウビーム照射時とで異なる領域となるようにしてもよい。更に例えば、想定される複数の切り出し領域を予め切り出し領域設定メモリ22に設定しておき、運転者がその中から運転時の周囲環境等に応じた適切な切り出し領域を選択的に設定できるようにしてもよい。
【0072】
そして、重ね合わせ用フレームメモリ24に記録された領域Bの画像データは、液晶パネル15へ出力される。液晶パネル15は、図1に示すように車室内のインストルメントパネル3の上部に配置されており、表示画面上に表示された画像の表示光がフロントガラス8面で反射して運転者の視点6に入るようにされている。つまり運転者は、液晶パネル15に表示された画像を、フロントガラス8面に表示される虚像として見ることになる。
【0073】
本実施形態では、重ね合わせ用フレームメモリ24に記録された領域Bの画像が液晶パネル15に表示され、その表示光がフロントガラス8面に虚像表示される。そのため、運転者は領域Bの画像(風景)をフロントガラス8上の虚像として見ることができる。液晶パネル15と赤外線カメラ12の相対位置関係及び液晶パネル15の画面表示は、この虚像表示された領域Bの画像が、運転者からみた実際の領域Bに相当する風景に重なり合うようにされている。
【0074】
赤外線カメラ12と液晶パネル15の具体的配置方法としては、まず赤外線カメラ12の位置を決め、赤外線カメラ12が車両前方を撮影できるよう、つまり図3に示した範囲を撮影できるよう配置する。次に、運転者から見える実際の車両前方の風景と、フロントガラス8に虚像表示される赤外線画像とが重なり合うよう、液晶パネル15の位置を調整し、重なり合ったところで液晶パネル15を固定する。
【0075】
次に、CPU23が実行する、赤外線カメラ用フレームメモリ21から切り出し領域(領域B)の画像のみを切り出して重ね合わせ用フレームメモリ24に記録する赤外線画像切り出し処理について、図4に基づいて説明する。図4は、本実施形態の赤外線画像切り出し処理を示すフローチャートである。この赤外線画像切り出し処理は、図示しない車両のイグニションスイッチのON後、継続して行われるものである。
【0076】
この処理が開始されると、まずステップ(以下「S」と略す)110にて、切り出し領域設定メモリ22内に設定された切り出し領域(領域B)を読み出し、続くS120にてヘッドライト1が点灯(つまりヘッドライトスイッチ14がON)しているか否かを判断する。ヘッドライト1の消灯中はこのS120の判断処理が繰り返されることになるが、ヘッドライト1が点灯すると、S130以下の処理に進む。
【0077】
ここで、本実施形態では、赤外線画像の各画素が図5に示すようなアドレスにて配列されている。即ち、画素列(X軸)mが1〜L列、画素行(Y軸)nが1〜K行である。つまり、トータル(L*K)個の画素にて赤外線画像が構成されている。
【0078】
そして、S130以下の処理においては、この画素一つずつに対して処理を行っていく。具体的には、各画素行nに対してS140〜S190の処理をn=1からn=Kとなるまで繰り返す。また、S140〜S190の処理においては、各画素列mに対してS150〜S180の処理をm=1からm=Lとなるまで繰り返す。つまり、図5に示した撮影画像において、最上行(n=1)から各行毎に1列目の画素〜L列目の画素、という順番で最終画素(L,K)まで、各画素毎に順次S150〜S180の処理を行うのである。
【0079】
S150では、赤外線カメラ用フレームメモリ21に記録された赤外線画像のうち対応する画素(m、n)を読み込む。そして、続くS160にて、その読み込んだ画素(m,n)が切り出し領域(領域B)に当てはまるか否かを判断し、当てはまらない場合はS180に進んで、重ね合わせ用フレームメモリ24における画素(m,n)に黒表示のデータを書き込む。黒表示とは即ち、液晶パネル15に何も表示しない状態をいい、その画素については虚像表示はされないことになる。
【0080】
一方、S160にて領域Bに当てはまると判断された場合はS170に進み、重ね合わせ用フレームメモリ24における画素(m,n)に赤外線画像における画素(m,n)のデータを書き込む。この一連の処理が全ての画素について行われると(S200)、再びS120に戻って上記同様の処理を繰り返すことになる。
【0081】
この結果、重ね合わせ用フレームメモリ24には、赤外線画像のうち領域Bに相当する画像のみが記録され、これが液晶パネル15に表示されて、運転者がフロントガラス8面の虚像として見ることになる。具体的には、例えば図6のように領域Bの画像のみ(本例では道路を横断しようとしている歩行者)が重ね合わせ用フレームメモリ24に記録され、フロントガラス8に虚像表示される。
【0082】
以上詳述した通り、本実施形態の表示システムは、赤外線カメラ12にて撮影した赤外線画像の中から、予め設定した切り出し領域(領域B)の画像のみを切り出して虚像表示する。この切り出し領域は、ヘッドライトが当たらない領域における所定領域であり、しかもその虚像表示は、フロントガラス8面に表示された領域Bの虚像が、運転者からみた実際の領域Bに相当する風景に重なり合うようにされている。
【0083】
従って、本実施形態の表示システムによれば、夜間等の前方が見づらい環境においても、運転中の運転者がフロントガラス8越しに実際に見ている車両前方の景色から視線をそらすことなく肉眼で見え難い場所の景色を視認でき、車両前方の状況を迅速且つ的確に把握して、安全に走行することができる。しかも、運転者から見える実際の景色と虚像とが重なり合っているため、運転者は瞬時に虚像を理解でき、車両前方状況に応じた適切な運転ができるようになる。
【0084】
また、切り出し領域を予め切り出し領域設定メモリ22に設定しているため、例えば走行中に視認困難な領域をリアルタイムに解析して切り出す必要や、運転者等による切り出し領域の詳細設定等の煩わしい操作も必要もなく、設定された所定領域に基づく簡単な処理のみで人間の肉眼で見え難い領域に切り出し領域の画像を虚像表示することができる。
【0085】
尚、本実施形態では、CPU23がヘッドライトスイッチ14からの信号(ON/OFFの信号)を直接取り込むようにしたが、これに限らず例えば電子制御装置(ECU)17から取り込むようにしてもよい。また、ヘッドライト1の点灯中に虚像表示するようにしたが、これに限らず例えば本表示システム専用の起動スイッチを設けてこのスイッチにより起動させるようにしてもよいし、また例えば、照度センサを設けて車両周囲の照度を計測し、所定の照度より低くなったときに自動的に起動するようにしてもよい。
【0086】
また、本実施形態では赤外線カメラ12によって、運転者の肉眼では視認困難な風景を撮影するようにしたが、赤外線に限らず、例えば超音波レーダやミリ波レーダを用いるなど、可視光線以外の電磁波であって運転者に見えない風景画像を撮影可能なあらゆる光源及びその撮影機器を適用することができる。
【0087】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、赤外線カメラ12は本発明(請求項1)の撮影手段に相当し、赤外線ライト11は本発明の不可視光放射手段に相当し、CPU23は本発明(請求項10)の画像処理手段に相当し、液晶パネル15は本発明の表示手段に相当する。また、図4の赤外線画像切り出し処理において、S160〜S180の処理はいずれも本発明(請求項10)の画像処理手段が実行する処理に相当する。
【0088】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、フロントガラス8面に虚像表示する画像、即ち赤外線画像における切り出し領域(領域B)を、予め切り出し領域設定メモリ22に設定しておくようにしたが、本実施形態では、そのように予め固定しておくのではなく、走行中の車両前方の視界状況に応じて切り出す領域を決めるようにしたものである。
【0089】
図7は本実施形態の表示システムの概略構成を示す説明図であり、図8は本実施形態の表示システムにおける画像処理回路の構成を示すブロック図である。図7,8に示す如く、本実施形態の表示システムは、ヘッドライトスイッチとは別に当該表示システム専用のシステム起動スイッチ30を設けてこのスイッチ30によりシステムを起動させるようにしていること、及び、画像処理回路31に輝度閾値設定メモリ33を設けてCPU34がその設定内容に基づいて切り出し領域を設定することを除いて、基本的には図1,2に示した第1実施形態の表示システムと同じであり、赤外線カメラ12及び液晶パネル15の配置方法も第1実施形態と同様である。そのため、図1,2と同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
また、本実施形態の赤外線ライト11は、ヘッドライト1の照射範囲より遠方に赤外線を放射できるよう配置されている。そのため、ヘッドライト1の照射範囲より遠方の風景を撮影することができる。
輝度閾値設定メモリ33には、赤外線カメラ用フレームメモリ21に記録された赤外線画像のうち運転者の肉眼で視認困難な領域と視認できる領域とを判別するための輝度閾値Zが予め設定されている。CPU34は、赤外線画像を構成する各画素の輝度がこの輝度閾値Zより高いものについては全て輝度Zに変換し、輝度閾値Z以下のものについてはそのままの輝度にて、重ね合わせ用フレームメモリ24に記録する。
【0091】
輝度閾値Zは、運転者にとって視認困難と感じる明るさと視認良好と感じる明るさとの境目の明るさ(例えば実験的に求められた適切な明るさ)に対応する赤外線画像の輝度に設定されている。尚、運転者の個人差を考慮して、運転者自身が任意に輝度閾値Zを設定できるようにしてもよい。
【0092】
図9に、CPU34が実行する輝度判定・データ書き込み処理を示す。この輝度判定・データ書き込み処理は、システム起動スイッチ30のON期間中、継続して行われるものである。
この処理が開始されると、まずS210にて、輝度閾値設定メモリ33から輝度閾値Zを読み出して、続くS220以降の処理に進む。本実施形態でも、赤外線画像の各画素が図5に示すようなアドレスにて配列されており、このS220からS290に至る一連の処理は、図4で説明した第1実施形態の赤外線画像切り出し処理と同様、画素一つずつに対して処理を行っていく。つまり、各画素行nに対してS230〜S280の処理をn=1からn=Kとなるまで繰り返す。また、S230〜S280の処理においては、各画素列mに対してS240〜S270の処理をm=1からm=Lとなるまで繰り返すことになる。
【0093】
S240では、赤外線カメラ用フレームメモリ21に記録された赤外線画像のうち対応する画素(m、n)を読み込む。そして、続くS250にて、その読み込んだ画素(m,n)の輝度値が輝度閾値Z以下か否かを判断し、輝度閾値Zより大きい場合はS270に進んで、重ね合わせ用フレームメモリ24における画素(m,n)に輝度値Zのデータを書き込む。
【0094】
一方、S250にて輝度閾値Z以下と判断された場合はS260に進み、重ね合わせ用フレームメモリ24における画素(m,n)に赤外線画像における画素(m,n)のデータを書き込む。この一連の処理が全ての画素について行われると(S290)、再びS220に戻って上記同様の処理を繰り返すことになる。
【0095】
この結果、重ね合わせ用フレームメモリ24には、赤外線画像のうち輝度閾値Z以下の画素からなる領域(視認困難領域)についてはそのままの輝度で、それ以外の輝度閾値Zより大きい画素からなる領域については全て輝度をZに変換して記録される。そしてこれが液晶パネル15に表示され、運転者がフロントガラス8面の虚像として見ることになる。
【0096】
これにより、運転者にとって視認困難な領域は虚像表示によって前方風景を認識できるようになる。また、視認良好な領域については、輝度をZに統一しているが、もともと実際の風景が見やすい領域であるため、その領域に輝度値Zの画像を虚像表示しても運転者にはほとんどその虚像が認識されない。そのため、輝度閾値Zより大きい領域については、輝度値Zに統一するのではなく第1実施形態のように黒表示としてもよいし、輝度値Z以下の任意の輝度に統一してもよい。
【0097】
従って、本実施形態によれば、肉眼では視認困難な領域を虚像にて認識できるため、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。しかも、本実施形態では、運転者から実際に見える景色が明るければ(つまり輝度閾値Z以下の領域が少なければ)その分虚像表示される領域も小さくなるし、逆に実際の景色が暗ければ(つまり輝度閾値Z以下の領域が大きいと)その分虚像表示される領域も大きくなることになり、第1実施形態のように予め領域を設定する場合に比べ、運転者の視認困難な領域を特定して運転中の周囲環境等にリアルタイムに対応した適切な虚像表示がなされるようになる。
【0098】
また、輝度閾値Zより大きい輝度値の画素領域については全て輝度値Zに変換して輝度を落としているため、仮に虚像の位置と実際の位置とがずれてしまっても、赤外線画像をそのまま虚像表示する場合に比べて前方風景が見づらくなることはない。
【0099】
更に、本実施形態では、赤外線ライト11からの赤外線をヘッドライト1の照射光より遠方に放射するようにしているため、肉眼では見えないより遠い範囲まで車両前方の状況を認識することができ、より安全な運転が可能となる。
尚、本実施形態ではシステム起動スイッチ30のONによりシステム起動(虚像表示)されるようにしたが、これに限らず、例えば第1実施形態のようにヘッドライトスイッチONにより起動するようにしてもいいし、また例えば、照度センサを設けて車両周囲の照度を計測し、所定の照度より低くなったときに自動的に起動するようにしてもよい。
【0100】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、輝度閾値Zは本発明の第1輝度閾値に相当し、CPU34は本発明の第1輝度比較部及び画像抽出部に相当する。また本実施形態の赤外線ライト11は特に請求項16の不可視光放射手段に相当するものである。また、図9の輝度判定・データ書き込み処理において、S250の処理は本発明の第1輝度比較部が実行する処理に相当し、S260及びS270の処理はいずれも本発明の画像抽出部が実行する処理に相当する。
【0101】
[第3実施形態]
上記第1及び第2実施形態はいずれも、ヘッドライト1とは別に赤外線ライト11を配置する構成をとっていたが、本実施形態は、ヘッドライト1のみの照射で赤外線画像を撮影すると共に可視光線による画像(可視光画像)を撮影し、可視光画像の輝度に基づいて赤外線画像の中からフロントガラス8面へ虚像表示すべき領域を決定するものである。
【0102】
図10は、本実施形態の表示システムの概略構成を示す説明図である。図示の如く、本実施形態の表示システムは、可視光画像と赤外線画像を共に撮影可能な可視光線・赤外線両用カメラ(以下単に「両用カメラ」という)43がフロントガラス8の上部中央に配置され、ヘッドライト1にはフィルタ切替器42が取り付けられている。
【0103】
両用カメラ43が、運転者の視点6から車両前方をみたときの視野全体を撮影できるようフロントガラス8の上部中央に配置されていること、及び、液晶パネル15と両用カメラ43の相対位置関係、液晶パネル15の画面表示が、虚像表示された画像が運転者からみた実際の風景に重なり合うようにされていることは、上記第1及び第2実施形態における赤外線カメラ12、液晶パネル15及びフロントガラス8の場合と全く同様である。
【0104】
尚、図10は車両の側面から見た図であるためヘッドライト1及びフィルタ切替器42はそれぞれ一つしか記載されていないが、当然ながら、実際にはヘッドライト1は車両前部の左右両側に配置され、その各々にフィルタ切替器42が取り付けられている。
【0105】
そして、これら両用カメラ43による撮影とフィルタ切替器42の動作は、後述するように画像処理回路40内のCPU48からの指令に従ってカメラ・フィルタ切替制御装置41により同期制御される。尚、液晶パネル15については上記第1及び第2実施形態と同様である。
【0106】
フィルタ切替器42は、図11に示す如く、全体が円盤状の形状となっているもので、このうち約半分(半円部分)に赤外線透過フィルタ52が、残り半分の半円部分に赤外線カットフィルタ53が、それぞれ形成されたフィルタ円盤として構成されている。そして、このフィルタ円盤は回転型アクチュエータ51により回転される。
【0107】
回転型アクチュエータ51は、例えばステッピングモータを用いて回転位置制御できるものでもいいし、また例えば、一般的なDCモータを用いてエンコーダ等により位置制御可能な構成のものでもよく、後述するフィルタ切替器42と両用カメラ43との同期制御が確実に行える種々のものを使用できる。
【0108】
このフィルタ切替器42とヘッドライト1との相対位置関係は、概略的に図12のようになっており、回転型アクチュエータ51の動作によって、ヘッドライトからの照射光は、赤外線透過フィルタ52又は赤外線カットフィルタ53のいずれか(重複する場合もあり)を通過して車両前方に照射されることになる。
【0109】
本実施形態では、赤外線カットフィルタ53で赤外線をカットした時の両用カメラ43による撮影画像(つまり可視光画像)と、赤外線透過フィルタ52で赤外線のみを透過させた時の両用カメラ43による撮影画像(つまり赤外線画像)とを交互に取得し、可視光画像の輝度に基づいて、赤外線画像のうち虚像表示すべき画像領域を決定する。
【0110】
より具体的には、図13に示すように、両用カメラ43が撮影した画像のうち可視光画像についてはフレームメモリA46に、赤外線画像についてはフレームメモリB47に、それぞれ記録される。一方、輝度閾値設定メモリ33は、図8で説明した第2実施形態の輝度閾値設定メモリ33と同じものであって輝度閾値Zが設定されている。そして、CPU48はフレームメモリA46の可視光画像を構成する各画素の輝度がこの輝度閾値Zより高いものについては全て黒表示とし、輝度閾値Z以下のものについては、その対応する赤外線画像上の画素をそのままの輝度にて重ね合わせ用フレームメモリ24に記録する。
【0111】
図14に、CPU48が実行する撮影制御処理を示す。この撮影制御処理は、図示は省略したものの例えば第1実施形態のようにヘッドライトスイッチのONにより開始されるようにしてもいいし、また例えば第2実施形態のように専用のシステム起動スイッチのONにより開始されるようにしてもよい。
【0112】
この処理が開始されると、まずS310にて、輝度閾値設定メモリ33から輝度閾値Zを読み出して、続くS320以降の処理に進む。S320では、フィルタ切替器42の赤外線カットフィルタ53をONにして赤外線が車両前方に照射されないようにし、続くS330にて両用カメラ43による撮影(つまり可視光画像の撮影)を行い、その画像データをフレームメモリA46に記録する。
【0113】
次にS340では、フィルタ切替器42の赤外線透過フィルタ52をONにして赤外線のみが車両前方に照射されるようにし、続くS350にて両用カメラ43による撮影(つまり赤外線画像の撮影)を行い、その画像データをフレームメモリB47に記録する。
【0114】
尚、S320及びS330によるフィルタ切替器42の動作及び可視光画像の撮影は本発明の可視光撮影動作であり、S340及びS350によるフィルタ切替器42の動作及び赤外線画像の撮影は本発明の不可視光撮影動作である。
そして、このように可視光画像及び赤外線画像がそれぞれ対応するフレームメモリA46及びフレームメモリB47に記録されると、S360に移行して輝度判定・データ書込処理が実行される。この輝度判定・データ書込処理の詳細は図15に示す通りであり、図示の如く、上記第1又は第2実施形態と同様、画素一つずつに対して処理が行われる。つまり、各画素行nに対してS420〜S470の処理をn=1からn=Kとなるまで繰り返す。また、S420〜S470の処理においては、各画素列mに対してS430〜S460の処理をm=1からm=Lとなるまで繰り返すことになる。
【0115】
S430では、フレームメモリA46に記録された可視光画像のうち対応する画素(m、n)を読み込む。そして、続くS440にて、その読み込んだ画素(m,n)の輝度値が輝度閾値Z以下か否かを判断し、輝度閾値Zより大きい場合はS460に進んで、重ね合わせ用フレームメモリ24における画素(m,n)に黒表示のデータを書き込む。
【0116】
一方、S440にて輝度閾値Z以下と判断された場合はS450に進み、重ね合わせ用フレームメモリ24における画素(m,n)に赤外線画像における画素(m,n)のデータを書き込む。この一連の処理が全ての画素について行われると(S480)、再びS320(図14)に戻って上記同様の処理を繰り返すことになる。
【0117】
この結果、重ね合わせ用フレームメモリ24には、赤外線画像のうち、可視光画像における輝度閾値Z以下の画素からなる領域(視認困難領域)に対応する領域の画像についてはそのままの赤外線画像の輝度で、それ以外の領域については全て黒表示として記録される。つまり、可視光では見えづらい部分を赤外線で補間したような画像が重ね合わせ用フレームメモリ24に記憶されることになる。そしてこれが表示手段である液晶パネル15に表示され、運転者がフロントガラス8面の虚像として見ることになる。尚、回転型アクチュエータ51の動作速度(回転周波数)は、運転者の目にちらつきを感じさせない程度の速度域(例えば60Hz以上)で適宜決めればよい。
【0118】
以上詳述したように、本実施形態の表示システムは、フィルタ切替器42により車両前方に可視光線を照射する場合と赤外線のみを放射する場合とを交互に切り替え、それぞれにおいて両用カメラ43で撮影している。そのため、ヘッドライト1以外に別途赤外線ライト等を設けることなく、ヘッドライト1からの照射(放射)のみで可視光画像と不可視光画像とを撮影することができ、光源のコスト削減や車両前部における光源配置スペースの使用効率向上が可能となる。
【0119】
また、画像撮影についても、一つの両用カメラ43で可視光画像及び赤外線画像を撮影することができるため、撮影手段としてのカメラのコスト削減や配置スペースの使用効率向上も可能となる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、両用カメラ43は本発明(請求項19)の撮影手段に相当し、赤外線透過フィルタ52は本発明の可視光フィルタに相当し、赤外線カットフィルタ53は本発明の電磁波フィルタに相当し、回転型アクチュエータ51は本発明のフィルタ切替手段に相当し、CPU48は本発明の切替撮影制御手段及び画像処理手段に相当し、輝度閾値Zは本発明の第2輝度閾値に相当する。
また、図14の撮影制御処理におけるS320〜S360の処理はいずれも本発明の切替撮影制御手段が実行する処理に相当し、図15の輝度判定・データ書き込み処理におけるS440〜S460の処理はいずれも本発明の画像処理手段が実行する処理に相当する。また、図15の輝度判定・データ書き込み処理におけるS440の処理で肯定判定される領域は本発明(請求項5)の視認困難領域に相当するものである。
【0120】
尚、上記実施形態では、フィルタ切替器42を構成する各フィルタ52,53がいずれも半円形状のものとしたが、これに限らず例えば図27に示すフィルタ切替器80のように、いずれも円形状のフィルタとしてもよい。つまり、円形状の赤外線透過フィルタ81及び赤外線カットフィルタ82を形成し、ヘッドライト1からの照射光がこれら各フィルタ82を通るようにするのである。このようにしても上記実施形態と同様の効果が得られる。但し、半円形状の場合に比べるとフィルタを通過する光量が低くなるため、フィルタはできるたけ面積の広いものがよい。
【0121】
また、フィルタを駆動するアクチュエータとして本実施形態では回転型アクチュエータ51を用いるようにしたが、回転型に限らず例えばシャッタ等のリニアに動作するアクチュエータを用いて駆動するようにしてもよく、赤外線のカットと赤外線のみの透過とを交互に且つ運転者の目にちらつきを感じさせない程度の速度で駆動できるものであればどのようなアクチュエータでもよい。
【0122】
また、可視光画像で輝度が輝度閾値Zより大きい領域については全て黒表示とするようにしたが、黒表示に限定されるわけではなく、例えば第2実施形態と同じように、輝度閾値Z以下の任意の輝度に変換するようにしてもよい。
[第4実施形態]
本実施形態は、運転者に対して注意を喚起する(詳しくは道路上に障害物があることを認識させる)ための障害物報知システムであり、図16に示す如く、主としてヘッドライト1、光遮断機56,57、カメラ58,画像処理・制御回路55、液晶パネル15及びスピーカ59により構成される。液晶パネル15は上記各実施形態と全く同様のものである。
【0123】
カメラ58は、可視光線による画像を撮影するための例えばCCDカメラ等の一般的なカメラであり、画像処理・制御回路55の制御をうけて車両前方の風景を撮影する。尚、運転者の視点6から車両前方をみたときの視野全体を撮影できるよう、フロントガラス8の上部中央に配置されている(図17参照)。
【0124】
光遮断機56,57はそれぞれ、詳細には図17に示すように、左右に配置されたヘッドライト1(1a,1b)に取り付けられたものであり、その具体的構成は図18の通りである。即ち、円盤状の約半分が半円形状にくり抜かれて透過孔73が形成された光遮断板72が、回転型アクチュエータ71にて回転駆動されるものである。
【0125】
そして、画像処理・制御回路55が、後述するように各光遮断機56,57の動作及びカメラ58による撮影を同期制御している。図17は、右ヘッドライト1aからの照射光は光遮断機56の透過孔73から車両前方へ照射されており、一方の左ヘッドライト1bからの照射光は光遮断機57の光遮断板72によって遮断されている状態を示している。
【0126】
この状態(図17)でカメラ58による撮影を行った後は、各光遮断機56,57を駆動して図19に示す状態になる。即ち、図19の状態は、右ヘッドライト1aからの照射光は光遮断機56の光遮断板72によって遮断されており、一方の左ヘッドライト1bからの照射光は光遮断機57の透過孔73から車両前方へ照射されている状態を示している。この状態になったときも、カメラ58により撮影を行う。
【0127】
つまり、右ヘッドライト1aの照射光だけが車両前方に照射されている時の運転席からの風景と、左ヘッドライト1bの照射光だけが車両前方に照射されている時の運転席からの風景とを交互に撮影するのである。そして、各ヘッドライト1a,1bによる撮影が順次行われる毎に、その両画像を比較して後述の撮影制御処理により道路上に障害物があるか否かを検出する。
【0128】
こういった各光遮断機56,57とカメラ58との同期制御は、画像処理・制御回路55により行われる。図20は、画像処理・制御回路55の概略構成を示す説明図である。この画像処理・制御回路55も、上記各実施形態と同様、ヘッドライトスイッチのONにより動作するようにしてもいいし、専用の起動スイッチにより起動するようにしてもよく、動作開始タイミングは適宜決めることができる。
【0129】
画像処理・制御回路55は、大きく分けて画像処理回路60と、この画像処理回路60からの指令を受けてカメラ58及び各光遮断機56,57を制御するカメラ・遮断機制御回路66とで構成されている。カメラ58にて撮影された風景画像のうち、左ヘッドライト1bによる照射光が車両前方へ照射されている時の撮影画像はフレームメモリA61へ記録され、右ヘッドライト1aによる照射光が車両前方へ照射されている時の撮影画像はフレームメモリB62へ記録される。
【0130】
CPU65はこれら両撮影画像を比較して、画像データの異なる部分の輝度の差が輝度閾値設定メモリ64に設定されている輝度閾値Dより大きい場合を、障害物(対象物)の影と判断する。そして、撮影画面上における影の位置から、位置変換パラメータメモリ63に記憶された位置変換パラメータに基づいて障害物の実際の位置を導出する。
【0131】
障害物位置の導出後は、障害物が存在していること及びその位置をスピーカ59から音声で警告すると共に、障害物が存在していることを示す警告マークを液晶パネル15に表示してフロントガラス8面に虚像表示させる。
次に、CPU65が実行する撮影制御処理について、図21に基づいて説明する。CPU65は、所定の条件(例えばヘッドライトスイッチのONなど)が成立するとこの処理を開始する。
【0132】
この処理が開始されると、まずS510にて、輝度閾値設定メモリ64から輝度閾値Dを読み出す。そして、S520に移行してタイマーがゼロになったか否かを判断する。ここでタイマーとは、光遮断機56,57の交互動作及びその動作毎のカメラ58の撮影を、一定の間隔を開けて実行するために設けているものである。
【0133】
即ち、上記第1〜第3実施形態の場合は、フロントガラス8に風景画像を虚像表示するため、切れ目のない連続的な画像表示(虚像表示)が必要であった。しかし、本実施形態の場合、風景画像の虚像を表示するのではなく、道路上に障害物があるか否かを判断してあった場合にその旨を運転者に報知するものである。そのため、必ずしも切れ目のない連続的な撮影・障害物検知が必要というわけではなく、運転者が障害物を認識したときにそれを回避できる程度の時間間隔(例えば数十msec.毎の画像取り込み・処理)で障害物判定・報知を行えば十分である。よって、本実施形態ではタイマーを設け、一連の処理(S530〜S590)が終了した後は一定時間(タイマーの設定時間)間隔をおいて再びS530以降の処理を行うようにしている。
【0134】
タイマーがゼロになるまではS520の処理を繰り返すことになるが、タイマーがゼロになるとS530に進む。S530では、右ヘッドライト1aに取り付けられた光遮断機56をONして左ヘッドライト1bに取り付けられた光遮断機57をOFFすることにより、左ヘッドライト1bからの照射光のみが車両前方に照射されるようにする。そしてS540に進み、この状態でカメラ58による撮影を行い、その撮影画像をフレームメモリAに記録する。
【0135】
このときのフレームメモリAに記録された撮影画像例を図23(a)に示す。図23(a)のうち左側の画像Aが、フレームメモリAに記録された撮影画像であり、道路のほぼ中央部に障害物があってその影が障害物の右後方にのびている様子を示している。
【0136】
続くS550では、左ヘッドライト1bに取り付けられた光遮断機57をONして右ヘッドライト1aに取り付けられた光遮断機56をOFFすることにより、右ヘッドライト1aからの照射光のみが車両前方に照射されるようにする。そしてS560に進み、この状態でカメラ58による撮影を行い、その撮影画像をフレームメモリBに記録する。
【0137】
このときのフレームメモリBに記録された撮影画像例を図23(a)に示す。図23(a)のうち右側の画像Bが、フレームメモリBに記録された撮影画像であり、道路のほぼ中央部に障害物があってその影が障害物の左後方にのびている様子を示している。そして、図23(a)に例示した二つの撮影画像は、影の部分を除いて両者はほぼ一致している。
【0138】
そして、S570に進んで二つの光遮断機56,57を共にOFFにし、両ヘッドライト1a,1bからの照射光が共に車両前方へ照射されるようにする。そしてS590に進み、障害物報知処理を実行する。
S590の障害物報知処理の詳細は図22に示す通りであり、まずS600にて物***置座標(X,Y)を原点(0,0)に設定する。ここで、物***置座標(X,Y)とは、障害物の根本(正確には障害物の影の根本)の座標を示すものであり、本処理開始時は原点に設定し、以後の処理で障害物の影が判断される毎にこの座標を更新していくことになる。また、本実施形態における撮影画像の画素構成(座標配列)は、図5で説明した画素配列と全く同様である(図23参照)。
【0139】
S600で物***置座標を原点に設定した後は、S610以降の処理に進む。この中でS610〜S680の処理については、画素一つずつに対して処理を行っていく。具体的には、各画素行nに対してS620〜S670の処理をn=1からn=Kとなるまで繰り返す。また、S620〜S670の処理においては、各画素列mに対してS630〜S660の処理をm=1からm=Lとなるまで繰り返す。つまり、図23(a)に示した各撮影画像において、最上行(n=1)から各行毎に1列目の画素〜L列目の画素、という順番で最終画素(L,K)まで、各画素毎に順次S630〜S660の処理を行うのである。
【0140】
S630では、フレームメモリA61に記録された画像Aのうち対応する画素(m、n)と、フレームメモリB62に記録された画像Bのうち対応する画素(m、n)を読み込む。そして、続くS640にて、その読み込んだ各画像A,Bの各画素(m,n)の差分を求め、その差分の絶対値を画面Cにおける画素(m,n)の輝度として設定する。図23(b)に画像Cの例を示す。画像Cは画像Aと画像Bの各画素の差分の絶対値をとったものであり、図23(a)の画像Aと画像Bとで異なる部分は障害物の影の部分のみであるため、結果として画像Cはこの影の部分のみが抽出された画像となる。尚、この画像Cは撮影画像の全画素についてS630〜S660の処理を行った結果生成されるものとして例示したものである。
【0141】
S650では、画像Cにおける画素(m,n)の輝度値が輝度閾値設定メモリ64に設定されている輝度閾値Dより高いか否かを判断し、低い場合は影ではないものとしてS670に移行するが、高い場合は、影であると判断してS660に進み、物***置座標(X,Y)に座標(m,n)を上書きする。
【0142】
このように全ての画素について上記処理を行うことにより、最終的には物***置座標(X,Y)には障害物の影の付け根の座標(m,n)(図23(b)参照)が上書きされた状態となる。
そして、S690に移行し、得られた物***置座標(ここでは障害物の影の付け根座標(m,n))を位置変換パラメータと照らし合わせて、実際の位置を導出する。図24に、本実施形態の位置変換パラメータを示す。この位置変換パラメータは、撮影画像中の全ての画素に対応した物***置座標(X,Y)に対して実際の位置に関する情報が対応づけられて登録されたものである。
【0143】
即ち、例えば物***置座標が(1,1)の場合(つまり画面の最左上)、位置変換パラメータに照らし合わせることにより、実際の位置は自車からの距離(但しY軸成分のみ)がZ1[m]で道路外に位置していることが読みとれる。また例えば、物***置座標が(X,100)の場合、位置変換パラメータに照らし合わせることにより、実際のY軸方向距離は250mであることがわかる。このように、物***置座標(X,Y)から実際の障害物の位置がすぐに導き出せるようになっているのである。
【0144】
尚、本例では位置情報としてY軸方向の距離と、道路上であるか否かの情報をパラメータとして登録したが、これに限定されないことはいうまでもなく、例えばX,Y両成分を加味したより正確な距離を導出できるようにしてもよい。また、道路上か否かについては、走行する道路の幅や車線数などによって異なるため、図24のように固定化したパラメータとするのではなく、例えばナビゲーションシステム等によって走行中の道路幅・形状等を割り出し、その結果を元に道路外か否かを判断できるようにしてもよい。
【0145】
S690で位置変換パラメータと照らし合わせることにより障害物の位置を導出したら、S700に進み、障害物が道路外にあるか否かを判断する。そして、道路外であれば、そのままこの処理を終了して図21の本処理に戻り、S590にてタイマーをセットした後再びS520に戻る。一方、S700で道路内と判断された場合は、S710に進み、障害物マークをフロントガラス面に虚像表示すると共に、障害物が発見されたこと及び自車に対する位置情報をスピーカ59にて警告(音声出力)する。
【0146】
図25に、障害物マークの虚像表示例及び警告の音声出力例を示す。図示の如く、運転者から実際の障害物(ここでは歩行者)をみたときにその障害物に重なり合うように警告マークが虚像表示される。また、運転席右下部のスピーカ59からは、障害物までの距離が音声出力される。尚、本例では警告マークのみを虚像表示する場合を示したが、警告マークに加えて障害物までの距離も虚像表示するようにしてもよい。或いは、警告マークの代わりに距離の虚像表示のみとしてもよい。さらに、音声警告または虚像表示のいずれか一方のみにしてもよい。更にまた、例えば「右側前方に障害物あり・・・」というような、だいたいの位置のみを警告するようにしてもよい。
【0147】
従って、本実施形態の障害物報知システムによれば、仮に運転者が視覚で見落とした場合であっても運転者は障害物の存在を迅速に認識・対処できる。また、虚像表示と音声警告を共に用いており、しかも音声によって障害物までの距離をも報知するようにしているため、障害物に対してより迅速且つ適切に対処することができる。
【0148】
また、本実施形態では、位置変換パラメータによって障害物の実際の位置を導出するようにしているため、複雑な数値演算等を行う必要なく、撮影画像中の影の位置から実位置を簡単に得ることができ、本障害物報知システムを簡単な構成で実現できる。
【0149】
更に、本実施形態では、単に障害物の存在或いは障害物までの距離を報知するのみでなく、道路外にあるか否かの情報まで報知するようにしている。そのため、例えば距離のみが報知されるようなシステムに比べ、より正確な情報が運転者に与えられることになり、障害物報知により運転者に与える負担(道路上にあるものなのか否かの判断にかかる負担)や煩わしさを抑えることができる。
【0150】
更にまた、本実施形態では、障害物報知を連続的に実行するのではなく、タイマーを用いて一定間隔毎で実行するようにしているため、連続的に常時行う場合に比べて左右ヘッドライト1a,1bからの照射光が同時に照射される時間が長くなり、視界を良好に保てる。
【0151】
尚、本実施形態の光遮断機56,57は、透過孔73の形状を半円形としたが、これに限らず例えば図27で説明したフィルタ切替器80と同じように円形の透過孔としてもよく、その形状は、ヘッドライト光を十分に照射できる範囲内で自由に決めることができる。
【0152】
本実施形態では左右のヘッドライト光を交互に照射させてそれぞれの影のでき方の違いをみて障害物を判断するようにしたが、ヘッドライト以外の他の光源を複数用いて同様に障害物の判断を行うようにしてもよい。また、光源の数も本例のように二つに限らず、3つ以上として各々の撮影画像を比較するようにしてもよい。
【0153】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、光遮断機56,57は本発明の遮断手段に相当し、カメラ58は本発明(請求項20)の撮影手段に相当し、右ヘッドライト1a及び左ヘッドライト1bはいずれも本発明の光源に相当し、CPU65は本発明の一光源撮影制御手段、対象物判定手段、位置導出手段及び道路上判定手段に相当し、位置変換パラメータメモリ63は本発明の記憶手段に相当し、位置変換パラメータは本発明の位置導出パラメータに相当し、液晶パネル15及びスピーカ59は本発明の報知手段に相当し、このうち特に液晶パネル15は本発明の表示手段にも相当するものである。また、図24の位置変換パラメータにおいて物***置座標(X,Y)に対応づけてそれぞれ登録されているY軸方向距離及び位置(道路外又は道路内)が本発明の実位置に相当するものである。
【0154】
また、図21の撮影制御手段において、S530〜S560の各処理はいずれも本発明の一光源撮影制御手段が実行する処理に相当する。また、図22の障害物報知処理において、S640及びS650の処理はいずれも本発明の対象物判定手段が実行する処理に相当し、S690の処理は本発明の位置導出手段が実行する処理に相当し、S700の処理は本発明の道路上判定手段が実行する処理に相当する。
【0155】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明の実施の形態は、上記各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記第3実施形態では、図12に示すようにフィルタ切替器42をヘッドライト1に取り付けるようにしたが、ヘッドライト1への取り付けに代えて、例えば図26に示すように、両用カメラ43に取り付けるようにしてもよい。
【0156】
即ち、ヘッドライト1の照射光(詳しくはその反射光)を含む車両前方からの光に対し、赤外線カットフィルタ53にて赤外線をカットした光のみを両用カメラ43に取り込んで撮影することにより可視光画像を撮影し、一方、赤外線透過フィルタ52にて赤外線のみを両用カメラ43に取り込んで撮影することにより赤外線画像を撮影するのである。つまり、フィルタ切替器42の位置を両用カメラ43側にもってきただけで他は第3実施形態と同じである。このようにしても、第3実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0157】
尚、この場合、ヘッドライト1とは別に赤外線ライトを配置して赤外線を車両前方に放射するようにしてもよい。つまり第1又は第2実施形態と同様の赤外線ライト11を配置してもよい。このようにすれば、ヘッドライト▲1▼のみの場合よりも赤外線画像をより鮮明に撮影することができ、より確実に車両前方の状況を知ることができる。
【0158】
また、上記各実施形態では、虚像表示のための表示手段として液晶パネル15を採用したが、これに限らず、表示光を出射してそれがフロントガラス8に反射することによって運転者が虚像として見ることができる構成の表示手段であれば何でもよい。また、この表示手段からの出射光が上記各実施形態のように直接フロントガラス8に当たるようにする方法以外にも、例えば反射鏡等を介したり、或いはレンズ等による屈折等を介してフロントガラス8に当たるようにしてもよく、結果として運転者が虚像を見ることができる限りその具体的構成は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の表示システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】第1実施形態の表示システムにおける画像処理回路の構成を示すブロック図である。
【図3】切り出し領域(領域B)の一例を示す説明図である。
【図4】第1実施形態の赤外線画像切り出し処理を示すフローチャートである。
【図5】撮影画像の画素(m,n)を表す説明図である。
【図6】第1実施形態の撮影画像における切り出し領域(領域B)の具体例を示す説明図である。
【図7】第2実施形態の表示システムの概略構成を示す説明図である。
【図8】第2実施形態の表示システムにおける画像処理回路の構成を示すブロック図である。
【図9】第2実施形態の輝度判定・データ書き込み処理を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態の表示システムの概略構成を示す説明図である。
【図11】フィルタ切替器の構成を示す説明図である。
【図12】第3実施形態の、可視光線・赤外線両用カメラとフィルタ切替器とが同期制御されることを説明するためのシステム構成図である。
【図13】第3実施形態の表示システムにおける画像処理回路の構成を示すブロック図である。
【図14】第3実施形態の撮影制御処理を示すフローチャートである。
【図15】図14の撮影制御処理における輝度判定・データ書き込み処理を示すフローチャートである。
【図16】第4実施形態の障害物報知システムの概略構成を示す説明図である。
【図17】第4実施系他の障害物報知システムにおける、ヘッドライト,光遮断機及びカメラの設置例を表す説明図である。
【図18】光遮断機の構成を示す説明図である。
【図19】第4実施形態の、カメラと光遮断機とが同期制御されることを説明するためのシステム構成図である。
【図20】第4実施形態の画像処理・制御回路の構成を表すブロック図である。
【図21】第4実施形態の撮影制御処理を示すフローチャートである。
【図22】図21の撮影制御処理における障害物報知処理を示すフローチャートである。
【図23】第4実施形態における、障害物までの距離を得る原理を説明する図であり、(a)は、左・右各ヘッドライト点灯時の撮影画像を示し、(b)は、各撮影画像から障害物の影のみを抽出した画像を示す。
【図24】第4実施形態の位置変換パラメータを示す説明図である。
【図25】第4実施形態の、検出した障害物を運転者に報知する具体例を示す説明図である。
【図26】図12のシステム構成図の変形例を示す図である。
【図27】第3実施形態のフィルタ切替器(図11)の変形例を示す説明図である。
【図28】従来の表示システムの概略構成を示す説明図である。
【図29】従来の表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1・・・ヘッドライト、1a・・・右ヘッドライト、1b・・・左ヘッドライト、2・・・ハンドル、3・・・インストルメントパネル、6・・・視点、8・・・フロントガラス、11・・・赤外線ライト、12・・・赤外線カメラ、13,31,60・・・画像処理回路、14・・・ヘッドライトスイッチ、15・・・液晶パネル、21・・・赤外線カメラ用フレームメモリ、22・・・切り出し領域設定メモリ、24・・・合わせ用フレームメモリ、30・・・システム起動スイッチ、33,64・・・輝度閾値設定メモリ、41・・・カメラ・フィルタ切替制御装置、42,80・・・フィルタ切替器、43・・・両用カメラ、51,71・・・回転型アクチュエータ、52,81・・・赤外線透過フィルタ、53,82・・・赤外線カットフィルタ、55・・・画像処理・制御回路、56,57・・・光遮断機、58・・・カメラ、59・・・スピーカ、63・・・位置変換パラメータメモリ、66・・・カメラ・遮断機制御回路、72・・・光遮断板、73・・・透過孔
Claims (29)
- 車両前方の状況を表示して運転者の運転を支援する方法であって、
可視光線以外の電磁波による画像を撮影する撮影手段により車両前方の風景を撮影し、該撮影した画像である不可視光画像のうち少なくとも、運転者の肉眼では見えにくい視認困難領域の画像を、運転者から見える実際の景色と重なり合うようにフロントガラス面に虚像表示する
ことを特徴とする運転支援方法。 - 前記視認困難領域は、当該車両のヘッドライトを点灯した際にその照射光による当該車両への反射輝度が所定輝度以下となる領域である
ことを特徴とする請求項1記載の運転支援方法。 - 前記視認困難領域は予め設定された所定領域であることを特徴とする請求項1又は2記載の運転支援方法。
- 前記視認困難領域は、前記不可視光画像の中で輝度が所定の第1輝度閾値以下の画素からなる領域である
ことを特徴とする請求項1記載の運転支援方法。 - 前記撮影手段は、可視光線を集光して撮影を行う可視光撮影機能も備えると共に、該可視光撮影機能による撮影と前記不可視光画像の撮影とを交互に行うよう構成されており、
連続して撮影された、前記可視光撮影機能による撮影画像である可視光画像及び前記不可視光画像に対し、前記可視光画像の中で輝度が所定の第2輝度閾値以下の画素からなる領域に対応する前記不可視光画像内の領域を、前記視認困難領域とする
ことを特徴とする請求項1記載の運転支援方法。 - 前記フロントガラス面への虚像表示は、当該車両のヘッドライトが点灯しているときに行う
ことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の運転支援方法。 - 運転者に対し注意を喚起する運転支援方法であって、
車両に搭載された複数の光源からの光を、二つ以上の前記光源から同時に光が照射されることのないよう順次車両前方へ照射して該照射毎に該光源による光を撮影可能な撮影手段によって車両前方の風景を撮影し、
該撮影手段による前記各光源毎の撮影画像を相互比較して、該各撮影画像相互間で異なる部分があった場合に、該異なる部分を対象物の影と判断して車両前方に該対象物があることを運転者に報知する
ことを特徴とする運転支援方法。 - 前記各光源毎の撮影画像相互間で異なる部分の輝度の差が所定の第3輝度閾値より高い場合に、該異なる部分が前記対象物の影であると判断する
ことを特徴とする請求項7記載の運転支援方法。 - 前記対象物の影の位置に基づいて当該車両に対する該対象物の実際の位置である実位置を導出し、前記報知の際、少なくとも前記導出した実位置を報知する
ことを特徴とする請求項7又は8記載の運転支援方法。 - 車両に搭載され、車両前方の状況を表示して運転者の運転を支援するための表示システムであって、
ヘッドライトとは別に搭載され、可視光線以外の電磁波を車両前方に放射する不可視光放射手段と、
車両前方の風景を撮影するために設置され、前記可視光線以外の電磁波による画像を撮影する撮影手段と、
該撮影手段により撮影した画像である不可視光画像から少なくとも、運転者の肉眼では見えにくい視認困難領域の画像を抽出する画像処理手段と、
画像表示面から表示光を出射することにより前記画像処理手段が抽出した画像を前記フロントガラス面に虚像表示する表示手段と、
を備え、
前記撮影手段及び前記表示手段は、前記虚像表示された画像が運転者から見える実際の景色における該画像に対応する領域と重なり合うような相対位置関係となるよう、それぞれ設置される
ことを特徴とする表示システム。 - 前記視認困難領域は、前記ヘッドライトを点灯した際にその照射光による当該車両への反射輝度が所定輝度以下となる領域である
ことを特徴とする請求項10記載の表示システム。 - 前記視認困難領域は予め設定された所定領域であることを特徴とする請求項10又は11記載の表示システム。
- 前記画像処理手段は、
前記不可視光画像を構成する各画素の輝度と予め設定した第1輝度閾値とを比較する第1輝度比較部と、
該第1輝度比較部により前記第1輝度閾値以下と判断された画素からなる領域を前記視認困難領域として、該視認困難領域の画像を抽出する画像抽出部と、
を備えていることを特徴とする請求項10記載の表示システム。 - 前記画像抽出部は、
前記不可視光画像における前記視認困難領域以外の画像についても、該画像を構成する各画素の輝度を前記第1輝度閾値以下の所定の輝度に変換して、前記視認困難領域の画像と共に抽出する
ことを特徴とする請求項13記載の表示システム。 - 前記表示手段による前記フロントガラス面への虚像表示は、当該車両のヘッドライトが点灯しているときに行われる
ことを特徴とする請求項10〜14いずれかに記載の表示システム。 - 前記不可視光放射手段は、前記ヘッドライト光の照射範囲よりも広い範囲又は遠方に前記電磁波を放射できるよう構成されている
ことを特徴とする請求項10〜15いずれかに記載の表示システム。 - 車両に搭載され、車両前方の状況を表示して運転者の運転を支援するための表示システムであって、
車両前方の風景を撮影するために設置され、可視光線による画像である可視光画像及び可視光線以外の電磁波による画像である不可視光画像を共に撮影可能な撮影手段と、
該撮影手段へ入射する可視光線を遮断する可視光フィルタと、
該撮影手段へ入射する前記電磁波を遮断する電磁波フィルタと、
前記可視光フィルタ及び前記電磁波フィルタの切り替えを行うフィルタ切替手段と、
前記電磁波フィルタにより前記電磁波を遮断して前記撮影手段により前記可視光画像を撮影する可視光撮影動作、及び前記可視光フィルタにより可視光線を遮断して前記撮影手段により前記不可視光画像を撮影する不可視光撮影動作が交互に行われるよう、前記フィルタ切替手段と前記撮影手段とを同期制御する切替撮影制御手段と、
前記切替撮影制御手段の動作により順次得られる前記可視光画像及び前記不可視光画像に対し、前記可視光画像の中で輝度が所定の第2輝度閾値以下の画素からなる領域に対応する前記不可視光画像内の領域の画像を抽出する画像処理手段と、
画像表示面から表示光を出射することにより前記画像処理手段が抽出した画像を前記フロントガラス面に虚像表示する表示手段と、
を備え、
前記撮影手段及び前記表示手段は、前記虚像表示された画像が運転者から見える実際の景色における該画像に対応する領域と重なり合うような相対位置関係となるよう、それぞれ設置される
ことを特徴とする表示システム。 - ヘッドライトとは別に、前記電磁波を当該車両の前方に放射する不可視光放射手段を備えている
ことを特徴とする請求項17記載の表示システム。 - 車両に搭載され、車両前方の状況を表示して運転者の運転を支援するための表示システムであって、
車両前方の風景を撮影するために設置され、可視光線による画像である可視光画像及び可視光線以外の電磁波による画像である不可視光画像を共に撮影可能な撮影手段と、
ヘッドライトから車両前方へ照射される照射光のうち可視光線を遮断する可視光フィルタと、
ヘッドライトから車両前方へ照射される照射光のうち前記電磁波を遮断する電磁波フィルタと、
前記可視光フィルタ及び前記電磁波フィルタの切り替えを行うフィルタ切替手段と、
前記電磁波フィルタにより前記ヘッドライトからの前記電磁波を遮断して前記撮影手段により前記可視光画像を撮影する可視光撮影動作、及び前記可視光フィルタにより前記ヘッドライトからの可視光線を遮断して前記撮影手段により前記不可視光画像を撮影する不可視光撮影動作が交互に行われるよう、前記フィルタ切替手段と前記撮影手段とを同期制御する切替撮影制御手段と、
前記切替撮影制御手段の動作により順次得られる前記可視光画像及び前記不可視光画像に対し、前記可視光画像の中で輝度が所定の第2輝度閾値以下の画素からなる領域に対応する前記不可視光画像内の領域の画像を抽出する画像処理手段と、
画像表示面から表示光を出射することにより前記画像処理手段が抽出した画像を前記フロントガラス面に虚像表示する表示手段と、
を備え、
前記撮影手段及び前記表示手段は、前記虚像表示された画像が運転者から見える実際の景色における該画像に対応する領域と重なり合うような相対位置関係となるよう、それぞれ設置される
ことを特徴とする表示システム。 - 車両に搭載され、運転者に対し注意を喚起するための報知システムであって、
当該車両前方を照射する複数の光源と、
該各光源毎に設けられ、該光源から車両前方への照射光を遮断する遮断手段と、
前記各光源による照射光を集光して撮影する撮影手段と、
いずれか一つの光源による照射光のみを車両前方に照射して他の全ての光源からの照射光をそれぞれ対応する前記遮断手段によって遮断する一光源照射動作を各光源毎に順次行うと共に、該各一光源照射動作の実行毎に前記撮影手段による撮影が行われるよう、前記各遮断手段と前記撮影手段とを同期制御する一光源撮影制御手段と、
該一光源撮影制御手段により得られた前記各一光源照射動作毎の撮影画像を相互比較して、該各撮影画像相互間で異なる部分があった場合に、該異なる部分を対象物の影と判断する対象物判定手段と、
該対象物判定手段により前記対象物の影が判断されたときに該対象物があることを運転者に報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする報知システム。 - 前記対象物判定手段は、前記異なる部分の輝度の差が所定の第3輝度閾値より高いか否かを判断し、高い場合に前記対象物の影と判断する
ことを特徴とする請求項20記載の報知システム。 - 更に、前記撮影画像中における前記対象物の影の位置に基づいて当該車両に対する前記対象物の実際の位置である実位置を導出する位置導出手段を備え、
前記報知手段は、少なくとも、前記位置導出手段により導出された前記実位置を報知する
ことを特徴とする請求項20又は21記載の報知システム。 - 前記撮影画像中における前記対象物の影の位置と前記実位置との対応関係を示す位置導出パラメータを記憶した記憶手段を備えており、前記位置導出手段は、前記記憶手段に記憶された位置導出パラメータに従って前記実位置を導出する
ことを特徴とする請求項22記載の報知システム。 - 前記報知手段は、音声により前記報知を行うことを特徴とする請求項20〜23いずれかに記載の報知システム。
- 前記報知手段は、画像表示面から表示光を出射することにより該画像表示面上の画像をフロントガラス面に虚像表示する表示手段を備え、前記対象物判定手段により前記対象物の影が判断されたとき、前記報知を、前記表示手段による前記フロントガラス面への虚像表示により行う
ことを特徴とする請求項20又は21記載の報知システム。 - 前記報知手段は、前記対象物判定手段により前記対象物の影が判断されたとき、該対象物があることを示す警告マークを前記フロントガラス面へ虚像表示することにより前記報知を行う
ことを特徴とする請求項25記載の報知システム。 - 前記報知手段は、画像表示面から表示光を出射することにより該画像表示面上の画像をフロントガラス面に虚像表示する表示手段を備え、前記対象物判定手段により前記対象物の影が判断されたとき、前記位置導出手段により導出された前記実位置を前記表示手段が前記フロントガラス面へ虚像表示させることにより前記報知を行う
ことを特徴とする請求項22又は23記載の報知システム。 - 前記表示手段は、前記虚像表示を、該虚像表示に対応した対象物を運転者が見たときに該対象物と重畳するように行う
ことを特徴とする請求項25〜27いずれかに記載の報知システム。 - 前記撮影画像中における前記対象物の影の位置に基づいて前記対象物の影が走行中の道路上に位置しているか否かを判定する道路上判定手段を備え、
前記報知手段は、前記道路上判定手段により前記対象物の影が前記道路上に位置していると判定された場合に、前記報知を行う
ことを特徴とする請求項20〜28いずれかに記載の報知システム。
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