JP2004245103A - 直噴ディーゼルエンジン - Google Patents
直噴ディーゼルエンジン Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004245103A JP2004245103A JP2003034552A JP2003034552A JP2004245103A JP 2004245103 A JP2004245103 A JP 2004245103A JP 2003034552 A JP2003034552 A JP 2003034552A JP 2003034552 A JP2003034552 A JP 2003034552A JP 2004245103 A JP2004245103 A JP 2004245103A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fuel
- injection
- engine
- pressure
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Fuel-Injection Apparatus (AREA)
- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
Abstract
【課題】低温始動性を損なわずに低圧縮比化を可能にして排ガス性能の向上が図れる直噴ディーゼルエンジンを提供する。
【解決手段】コモンレール式直噴ディーゼルエンジン1の燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁2a〜2dと、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を調節する燃料供給ポンプ5aと電磁弁5bとからなる燃圧調節手段5と、前記エンジンの始動時に前記燃料噴射弁と前記燃圧調節手段を制御する電子制御ユニット3の始動制御部とを備え、前記始動制御部は、前記エンジンの始動時温度が所定温度以下の場合に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行すべく前記燃料噴射弁2a〜2dを制御すると共に前記所定温度を越える場合より前記燃料の圧力を高圧に調節すべく前記燃圧調節手段5を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】コモンレール式直噴ディーゼルエンジン1の燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁2a〜2dと、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を調節する燃料供給ポンプ5aと電磁弁5bとからなる燃圧調節手段5と、前記エンジンの始動時に前記燃料噴射弁と前記燃圧調節手段を制御する電子制御ユニット3の始動制御部とを備え、前記始動制御部は、前記エンジンの始動時温度が所定温度以下の場合に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行すべく前記燃料噴射弁2a〜2dを制御すると共に前記所定温度を越える場合より前記燃料の圧力を高圧に調節すべく前記燃圧調節手段5を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低圧縮比化を可能にして排ガス性能の向上が図れる直噴ディーゼルエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
一般に、エンジンの燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた直噴ディーゼルエンジンにおいて、低圧縮比化(例えば圧縮比17〜18.5→圧縮比16.0)を図ると、燃焼温度の低下でNOx(窒素酸化物)や煤の発生が抑制されて排ガス性能が向上する反面、低温環境時における低温始動性が悪化することは周知である。
【0003】
前記低温始動性の悪化は、元来、圧縮比が低いために混合気が自己着火温度に達し難い低圧縮比の直噴ディーゼルエンジンにおける低温始動時の燃料噴射特性に因るものと考えられる。即ち、図6に示すように、低温時における噴射圧力がおよそ20MPa程度と比較的低く設定されていたため、噴射した燃料の微粒化が十分に促進されていなかったことと、燃料噴射は主噴射のみであり、その噴射量と噴射開始時期の制御のみであることから、低温時において自己着火可能な雰囲気下に容易になりにくかったことにある。
【0004】
因みに、山岳地等の高地において始動性を改善するために、エンジン始動時にコモンレール圧(即ち、噴射圧力)を制御すると共にパイロット噴射とメイン噴射(主噴射)を実行するコモンレール式ディーゼルエンジンの始動制御装置において、大気圧が低い程コモンレール圧を低くし且つメイン噴射開始時期を進角させる制御を行う技術が特許文献1で開示されている。また、この特許文献1には、エンジン温度が低い程、パイロット噴射量(及び又はメイン噴射量)を増量する技術が開示されている。
【0005】
ところが、特許文献1には、前述したように低温始動時にコモンレール圧を制御すると共にメイン噴射に先立ってパイロット噴射を実行する技術が開示されているが、低温始動性を損なわずに低圧縮比化を可能にする技術は一切開示されていない。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−12277号公報
【0007】
そこで、本発明の目的は、低温始動性を損なわずに低圧縮比化を可能にして排ガス性能の向上が図れる直噴ディーゼルエンジンを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための、本発明の請求項1に係る直噴ディーゼルエンジンは、エンジンの燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を調節する燃圧調節手段と、前記エンジンの始動時に前記燃料噴射弁と前記燃圧調節手段を制御する始動制御装置と、を備えた直噴ディーゼルエンジンにおいて、前記始動制御装置は、前記エンジンの始動時温度が所定温度以下の場合に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行すべく前記燃料噴射弁を制御すると共に前記所定温度を越える場合より前記燃料の圧力を高圧に調節すべく前記燃圧調節手段を制御することを特徴とする。
【0009】
これにより、噴射した燃料の微粒化が十分に促進される(燃料圧力の高圧化により)と共に、主噴射が着火し易い雰囲気化に容易になり得る(燃料の分割噴射により)。この結果、直噴ディーゼルエンジンにおいて低温始動性を損なわずに低圧縮比化を可能にして排ガス性能の向上が図れる。
【0010】
請求項2に係る直噴ディーゼルエンジンは、エンジンの燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を調節する燃圧調節手段と、前記エンジンの始動時に前記燃料噴射弁と前記燃圧調節手段を制御する始動制御装置と、を備えた直噴ディーゼルエンジンにおいて、前記始動制御装置は、前記エンジンの始動時温度が所定温度以下の場合に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行すべく前記燃料噴射弁を制御すると共に前記燃料の圧力を40MPa以上に調節すべく前記燃圧調節手段を制御することを特徴とする。
【0011】
これにより、請求項1に係る発明と同様の作用・効果が得られる。
【0012】
請求項3に係る直噴ディーゼルエンジンは、前記エンジンの圧縮比が16.5以下であることを特徴とする。
【0013】
これにより、低圧縮比化によってより一層排ガス性能が向上される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る直噴ディーゼルエンジンを実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
[実施例]
図1は本発明の一実施例を示す直噴ディーゼルエンジンのシステム構成図、図2は同じく分割噴射パターンの説明図、図3は同じく始動時のエンジン冷却水温と噴射圧力(制御燃圧)との関係を示すグラフ、図4は同じく噴射圧力の比較を説明するグラフ、図5は同じく低温始動時の噴射圧力と完爆時間との関係を示すグラフである。
【0016】
図1に示すように、トラック、バスなどの車両に搭載されたコモンレール式直噴ディーゼルエンジン(以下、エンジンという)1の各気筒毎に燃料噴射弁2a〜2dが設けられ(図では4気筒の例を示す)、該燃料噴射弁2a〜2dに装備された電磁弁(図示せず)がマイクロコンピュータ等からなる電子制御ユニット(以下ECUという)3によりON/OFF制御されることで、燃料噴射(燃料噴射量及び噴射時期等)がエンジン1の運転状態に応じて制御されるようになっている。
【0017】
前記燃料噴射弁2a〜2dにはコモンレール4に貯溜された所定圧力の燃料が常時供給され、このコモンレール4には、燃圧調節手段5を構成する燃料供給ポンプ5aにより、燃料タンク(図示せず)からの燃料が供給されるようになっている。
【0018】
前記ECU3は、コモンレール4に付設された噴射圧センサ(コモンレール圧センサ)6からの圧力信号を入力し、前記燃圧調節手段5を構成する電磁弁5bをデューティー制御により弁開度を調節することで、前記コモンレール4の燃料圧力(即ち、燃料噴射弁2a〜2dの噴射圧力)をエンジン1の運転状態に応じてフィードバック制御するようになっている。
【0019】
また、前記ECU3には、エンジン1の運転状態を検出する手段としての、エンジン冷却水温を検知する水温センサ,エンジンクランキング中か否かを検知するスタータスイッチ,エンジン回転速度を検知するエンジン回転センサ,エンジン負荷状態を検知するアクセル開度センサ等の各種検出信号が入力されている。
【0020】
そして、本実施例では、前記ECU3内に設けた始動制御部(始動制御装置)により、エンジン1の始動時(これはスタータスイッチにより検出する)に前記燃料噴射弁2a〜2dと燃圧調節手段5を制御し、前記エンジン1の始動時温度(これは水温センサにより検出する)が所定温度以下の場合に、図2に示すように主噴射に先立って1回のパイロット噴射を実行すると共に、図3(A)及び図4に示すように前記燃料噴射弁2a〜2dの噴射圧力(制御燃圧)を前記所定温度を越える場合より高圧に調節するようになっている。尚、図3(B)のように、噴射圧力(制御燃圧)は始動時のエンジン冷却水温が所定値を境に所定値以下の領域でステップ状に高圧に調節するようにしてもよい。
【0021】
前記パイロット噴射の噴射量は噴射量全体のおよそ10%が好適であると共に、パイロット噴射の終了時期と主噴射の開始時期との分割噴射間隔はクランク角で5°程度とすると好適である(図2参照)。
【0022】
前記噴射圧力は、エンジン1への負担軽減のために限度があるが、従来の20MPa→60MPa程度まで高圧化すると好適である(図4参照)。
【0023】
このようにして本実施例では、エンジン1の始動時温度が所定温度以下の場合に、燃料噴射弁2a〜2dの噴射圧力を前記所定温度を越える場合より高圧に調節することにより噴射した燃料の微粒化が十分に促進されると共に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行することにより主噴射が着火し易い雰囲気化に容易になり得る。
【0024】
この結果、図5に示すように、コモンレール式直噴ディーゼルエンジン1において低温始動性を損なわずに低圧縮比化(例えば圧縮比16.5以下)を可能にして排ガス性能の向上が図れる。
【0025】
図5からは、低温始動時の完爆時間(クランキング開始からアイドル回転数まで上昇するのに要する時間)が、従来のおよそ9秒→およそ2秒へ短縮されるのが判る。また、噴射圧力が40MPa以上でも十分効果があることも判る。
【0026】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることはいうまでもない。例えば、エンジンの始動時温度を検出する手段として水温センサに代えて大気温度センサ等の他の検出手段を用いても良い。また、分割噴射はエンジン1の始動時温度が所定温度を越える場合にも、さらには始動時以外にも実行しても良い。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、エンジンの始動時に燃料噴射弁と燃圧調節手段を制御する始動制御装置は、前記エンジンの始動時温度が所定温度以下の場合に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行すべく前記燃料噴射弁を制御すると共に前記所定温度を越える場合より前記燃料の圧力を高圧に調節すべく前記燃圧調節手段を制御するので、噴射した燃料の微粒化が十分に促進されると共に主噴射が着火し易い雰囲気化に容易になり得ることにより、直噴ディーゼルエンジンにおいて低温始動性を損なわずに低圧縮比化を可能にして排ガス性能の向上が図れる。
【0028】
請求項2の発明によれば、エンジンの始動時に燃料噴射弁と燃圧調節手段を制御する始動制御装置は、前記エンジンの始動時温度が所定温度以下の場合に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行すべく前記燃料噴射弁を制御すると共に前記燃料の圧力を40MPa以上に調節すべく前記燃圧調節手段を制御するので、請求項1に係る発明と同様の作用・効果が得られる。
【0029】
請求項3の発明によれば、前記エンジンの圧縮比が16.5以下であるので、低圧縮比化によってより一層排ガス性能が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す直噴ディーゼルエンジンのシステム構成図である。
【図2】同じく分割噴射パターンの説明図である。
【図3】同じく始動時のエンジン冷却水温と噴射圧力(制御燃圧)との関係を示すグラフである。
【図4】同じく噴射圧力の比較を説明するグラフである。
【図5】同じく低温始動時の噴射圧力と完爆時間との関係を示すグラフである。
【図6】従来の低温始動時の噴射特性を示す説明図である。
【符号の説明】
1 コモンレール式直噴ディーゼルエンジン
2a〜2d 燃料噴射弁
3 電子制御ユニット(ECU)
4 コモンレール
5 燃圧調節手段
5a 燃料供給ポンプ
5b 電磁弁
6 噴射圧センサ(コモンレール圧センサ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、低圧縮比化を可能にして排ガス性能の向上が図れる直噴ディーゼルエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
一般に、エンジンの燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた直噴ディーゼルエンジンにおいて、低圧縮比化(例えば圧縮比17〜18.5→圧縮比16.0)を図ると、燃焼温度の低下でNOx(窒素酸化物)や煤の発生が抑制されて排ガス性能が向上する反面、低温環境時における低温始動性が悪化することは周知である。
【0003】
前記低温始動性の悪化は、元来、圧縮比が低いために混合気が自己着火温度に達し難い低圧縮比の直噴ディーゼルエンジンにおける低温始動時の燃料噴射特性に因るものと考えられる。即ち、図6に示すように、低温時における噴射圧力がおよそ20MPa程度と比較的低く設定されていたため、噴射した燃料の微粒化が十分に促進されていなかったことと、燃料噴射は主噴射のみであり、その噴射量と噴射開始時期の制御のみであることから、低温時において自己着火可能な雰囲気下に容易になりにくかったことにある。
【0004】
因みに、山岳地等の高地において始動性を改善するために、エンジン始動時にコモンレール圧(即ち、噴射圧力)を制御すると共にパイロット噴射とメイン噴射(主噴射)を実行するコモンレール式ディーゼルエンジンの始動制御装置において、大気圧が低い程コモンレール圧を低くし且つメイン噴射開始時期を進角させる制御を行う技術が特許文献1で開示されている。また、この特許文献1には、エンジン温度が低い程、パイロット噴射量(及び又はメイン噴射量)を増量する技術が開示されている。
【0005】
ところが、特許文献1には、前述したように低温始動時にコモンレール圧を制御すると共にメイン噴射に先立ってパイロット噴射を実行する技術が開示されているが、低温始動性を損なわずに低圧縮比化を可能にする技術は一切開示されていない。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−12277号公報
【0007】
そこで、本発明の目的は、低温始動性を損なわずに低圧縮比化を可能にして排ガス性能の向上が図れる直噴ディーゼルエンジンを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための、本発明の請求項1に係る直噴ディーゼルエンジンは、エンジンの燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を調節する燃圧調節手段と、前記エンジンの始動時に前記燃料噴射弁と前記燃圧調節手段を制御する始動制御装置と、を備えた直噴ディーゼルエンジンにおいて、前記始動制御装置は、前記エンジンの始動時温度が所定温度以下の場合に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行すべく前記燃料噴射弁を制御すると共に前記所定温度を越える場合より前記燃料の圧力を高圧に調節すべく前記燃圧調節手段を制御することを特徴とする。
【0009】
これにより、噴射した燃料の微粒化が十分に促進される(燃料圧力の高圧化により)と共に、主噴射が着火し易い雰囲気化に容易になり得る(燃料の分割噴射により)。この結果、直噴ディーゼルエンジンにおいて低温始動性を損なわずに低圧縮比化を可能にして排ガス性能の向上が図れる。
【0010】
請求項2に係る直噴ディーゼルエンジンは、エンジンの燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を調節する燃圧調節手段と、前記エンジンの始動時に前記燃料噴射弁と前記燃圧調節手段を制御する始動制御装置と、を備えた直噴ディーゼルエンジンにおいて、前記始動制御装置は、前記エンジンの始動時温度が所定温度以下の場合に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行すべく前記燃料噴射弁を制御すると共に前記燃料の圧力を40MPa以上に調節すべく前記燃圧調節手段を制御することを特徴とする。
【0011】
これにより、請求項1に係る発明と同様の作用・効果が得られる。
【0012】
請求項3に係る直噴ディーゼルエンジンは、前記エンジンの圧縮比が16.5以下であることを特徴とする。
【0013】
これにより、低圧縮比化によってより一層排ガス性能が向上される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る直噴ディーゼルエンジンを実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
[実施例]
図1は本発明の一実施例を示す直噴ディーゼルエンジンのシステム構成図、図2は同じく分割噴射パターンの説明図、図3は同じく始動時のエンジン冷却水温と噴射圧力(制御燃圧)との関係を示すグラフ、図4は同じく噴射圧力の比較を説明するグラフ、図5は同じく低温始動時の噴射圧力と完爆時間との関係を示すグラフである。
【0016】
図1に示すように、トラック、バスなどの車両に搭載されたコモンレール式直噴ディーゼルエンジン(以下、エンジンという)1の各気筒毎に燃料噴射弁2a〜2dが設けられ(図では4気筒の例を示す)、該燃料噴射弁2a〜2dに装備された電磁弁(図示せず)がマイクロコンピュータ等からなる電子制御ユニット(以下ECUという)3によりON/OFF制御されることで、燃料噴射(燃料噴射量及び噴射時期等)がエンジン1の運転状態に応じて制御されるようになっている。
【0017】
前記燃料噴射弁2a〜2dにはコモンレール4に貯溜された所定圧力の燃料が常時供給され、このコモンレール4には、燃圧調節手段5を構成する燃料供給ポンプ5aにより、燃料タンク(図示せず)からの燃料が供給されるようになっている。
【0018】
前記ECU3は、コモンレール4に付設された噴射圧センサ(コモンレール圧センサ)6からの圧力信号を入力し、前記燃圧調節手段5を構成する電磁弁5bをデューティー制御により弁開度を調節することで、前記コモンレール4の燃料圧力(即ち、燃料噴射弁2a〜2dの噴射圧力)をエンジン1の運転状態に応じてフィードバック制御するようになっている。
【0019】
また、前記ECU3には、エンジン1の運転状態を検出する手段としての、エンジン冷却水温を検知する水温センサ,エンジンクランキング中か否かを検知するスタータスイッチ,エンジン回転速度を検知するエンジン回転センサ,エンジン負荷状態を検知するアクセル開度センサ等の各種検出信号が入力されている。
【0020】
そして、本実施例では、前記ECU3内に設けた始動制御部(始動制御装置)により、エンジン1の始動時(これはスタータスイッチにより検出する)に前記燃料噴射弁2a〜2dと燃圧調節手段5を制御し、前記エンジン1の始動時温度(これは水温センサにより検出する)が所定温度以下の場合に、図2に示すように主噴射に先立って1回のパイロット噴射を実行すると共に、図3(A)及び図4に示すように前記燃料噴射弁2a〜2dの噴射圧力(制御燃圧)を前記所定温度を越える場合より高圧に調節するようになっている。尚、図3(B)のように、噴射圧力(制御燃圧)は始動時のエンジン冷却水温が所定値を境に所定値以下の領域でステップ状に高圧に調節するようにしてもよい。
【0021】
前記パイロット噴射の噴射量は噴射量全体のおよそ10%が好適であると共に、パイロット噴射の終了時期と主噴射の開始時期との分割噴射間隔はクランク角で5°程度とすると好適である(図2参照)。
【0022】
前記噴射圧力は、エンジン1への負担軽減のために限度があるが、従来の20MPa→60MPa程度まで高圧化すると好適である(図4参照)。
【0023】
このようにして本実施例では、エンジン1の始動時温度が所定温度以下の場合に、燃料噴射弁2a〜2dの噴射圧力を前記所定温度を越える場合より高圧に調節することにより噴射した燃料の微粒化が十分に促進されると共に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行することにより主噴射が着火し易い雰囲気化に容易になり得る。
【0024】
この結果、図5に示すように、コモンレール式直噴ディーゼルエンジン1において低温始動性を損なわずに低圧縮比化(例えば圧縮比16.5以下)を可能にして排ガス性能の向上が図れる。
【0025】
図5からは、低温始動時の完爆時間(クランキング開始からアイドル回転数まで上昇するのに要する時間)が、従来のおよそ9秒→およそ2秒へ短縮されるのが判る。また、噴射圧力が40MPa以上でも十分効果があることも判る。
【0026】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることはいうまでもない。例えば、エンジンの始動時温度を検出する手段として水温センサに代えて大気温度センサ等の他の検出手段を用いても良い。また、分割噴射はエンジン1の始動時温度が所定温度を越える場合にも、さらには始動時以外にも実行しても良い。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、エンジンの始動時に燃料噴射弁と燃圧調節手段を制御する始動制御装置は、前記エンジンの始動時温度が所定温度以下の場合に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行すべく前記燃料噴射弁を制御すると共に前記所定温度を越える場合より前記燃料の圧力を高圧に調節すべく前記燃圧調節手段を制御するので、噴射した燃料の微粒化が十分に促進されると共に主噴射が着火し易い雰囲気化に容易になり得ることにより、直噴ディーゼルエンジンにおいて低温始動性を損なわずに低圧縮比化を可能にして排ガス性能の向上が図れる。
【0028】
請求項2の発明によれば、エンジンの始動時に燃料噴射弁と燃圧調節手段を制御する始動制御装置は、前記エンジンの始動時温度が所定温度以下の場合に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行すべく前記燃料噴射弁を制御すると共に前記燃料の圧力を40MPa以上に調節すべく前記燃圧調節手段を制御するので、請求項1に係る発明と同様の作用・効果が得られる。
【0029】
請求項3の発明によれば、前記エンジンの圧縮比が16.5以下であるので、低圧縮比化によってより一層排ガス性能が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す直噴ディーゼルエンジンのシステム構成図である。
【図2】同じく分割噴射パターンの説明図である。
【図3】同じく始動時のエンジン冷却水温と噴射圧力(制御燃圧)との関係を示すグラフである。
【図4】同じく噴射圧力の比較を説明するグラフである。
【図5】同じく低温始動時の噴射圧力と完爆時間との関係を示すグラフである。
【図6】従来の低温始動時の噴射特性を示す説明図である。
【符号の説明】
1 コモンレール式直噴ディーゼルエンジン
2a〜2d 燃料噴射弁
3 電子制御ユニット(ECU)
4 コモンレール
5 燃圧調節手段
5a 燃料供給ポンプ
5b 電磁弁
6 噴射圧センサ(コモンレール圧センサ)
Claims (3)
- エンジンの燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、
前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を調節する燃圧調節手段と、
前記エンジンの始動時に前記燃料噴射弁と前記燃圧調節手段を制御する始動制御装置と、
を備えた直噴ディーゼルエンジンにおいて、
前記始動制御装置は、
前記エンジンの始動時温度が所定温度以下の場合に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行すべく前記燃料噴射弁を制御すると共に前記所定温度を越える場合より前記燃料の圧力を高圧に調節すべく前記燃圧調節手段を制御することを特徴とする直噴ディーゼルエンジン。 - エンジンの燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、
前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を調節する燃圧調節手段と、
前記エンジンの始動時に前記燃料噴射弁と前記燃圧調節手段を制御する始動制御装置と、
を備えた直噴ディーゼルエンジンにおいて、
前記始動制御装置は、
前記エンジンの始動時温度が所定温度以下の場合に、主噴射に先立ってパイロット噴射を実行すべく前記燃料噴射弁を制御すると共に前記燃料の圧力を40MPa以上に調節すべく前記燃圧調節手段を制御することを特徴とする直噴ディーゼルエンジン。 - 前記エンジンの圧縮比が16.5以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の直噴ディーゼルエンジン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003034552A JP2004245103A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 直噴ディーゼルエンジン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003034552A JP2004245103A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 直噴ディーゼルエンジン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004245103A true JP2004245103A (ja) | 2004-09-02 |
Family
ID=33020191
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003034552A Pending JP2004245103A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 直噴ディーゼルエンジン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004245103A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007064164A (ja) * | 2005-09-02 | 2007-03-15 | Fuji Heavy Ind Ltd | ディーゼルエンジンの排煙低減装置 |
JP2008089233A (ja) * | 2006-10-02 | 2008-04-17 | Denso Corp | グロープラグ |
JP2009509084A (ja) * | 2005-09-22 | 2009-03-05 | ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト | 内燃機関を動作させるための方法 |
US7559229B2 (en) | 2006-07-21 | 2009-07-14 | Denso Corporation | Gas sensor with increased water-incursion resistance and method of operating gas sensor |
US7708869B2 (en) | 2006-09-21 | 2010-05-04 | Denso Corporation | Gas sensor |
US7841316B2 (en) * | 2007-07-11 | 2010-11-30 | Denso Corporation | Controller for direct injection engine |
WO2015133209A1 (ja) * | 2014-03-05 | 2015-09-11 | ヤンマー株式会社 | 内燃機関の燃料噴射制御装置 |
WO2021233576A1 (en) * | 2020-05-21 | 2021-11-25 | Perkins Engines Company Limited | Fixed-speed engines |
-
2003
- 2003-02-13 JP JP2003034552A patent/JP2004245103A/ja active Pending
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007064164A (ja) * | 2005-09-02 | 2007-03-15 | Fuji Heavy Ind Ltd | ディーゼルエンジンの排煙低減装置 |
JP2009509084A (ja) * | 2005-09-22 | 2009-03-05 | ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト | 内燃機関を動作させるための方法 |
DE102007000340B4 (de) * | 2006-07-21 | 2014-12-24 | Denso Corporation | Gassensor mit erhöhter Wassereinbruchbeständigkeit und Verfahren zum Betreiben eines Gassensors |
US7559229B2 (en) | 2006-07-21 | 2009-07-14 | Denso Corporation | Gas sensor with increased water-incursion resistance and method of operating gas sensor |
US7708869B2 (en) | 2006-09-21 | 2010-05-04 | Denso Corporation | Gas sensor |
JP2008089233A (ja) * | 2006-10-02 | 2008-04-17 | Denso Corp | グロープラグ |
US7841316B2 (en) * | 2007-07-11 | 2010-11-30 | Denso Corporation | Controller for direct injection engine |
WO2015133209A1 (ja) * | 2014-03-05 | 2015-09-11 | ヤンマー株式会社 | 内燃機関の燃料噴射制御装置 |
JP2015169094A (ja) * | 2014-03-05 | 2015-09-28 | ヤンマー株式会社 | 内燃機関の燃料噴射制御装置 |
KR20160128340A (ko) * | 2014-03-05 | 2016-11-07 | 얀마 가부시키가이샤 | 내연 기관의 연료 분사 제어 장치 |
KR102070486B1 (ko) | 2014-03-05 | 2020-01-29 | 얀마 가부시키가이샤 | 내연 기관의 연료 분사 제어 장치 |
US10612487B2 (en) | 2014-03-05 | 2020-04-07 | Yanmar Co., Ltd. | Fuel injection control device for internal combustion engine |
WO2021233576A1 (en) * | 2020-05-21 | 2021-11-25 | Perkins Engines Company Limited | Fixed-speed engines |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101704064B1 (ko) | 복합 착화방식의 디젤-가솔린 혼합연소엔진과 그 제어방법 및 복합 착화방식의 디젤-가솔린 혼합연소시스템 | |
EP2339158B1 (en) | Control apparatus for direct injection type internal combustion engine | |
EP2020495B1 (en) | Engine equipped with adjustable valve timing mechanism | |
KR101693895B1 (ko) | 복합 착화방식의 디젤-가솔린 혼합연소엔진과 그 제어방법 및 복합 착화방식의 디젤-가솔린 혼합연소시스템 | |
JP4407581B2 (ja) | 気体燃料エンジン | |
JP2009019538A (ja) | 筒内噴射式内燃機関の制御装置 | |
JP2013072281A (ja) | 圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置 | |
JP2013015022A (ja) | 筒内噴射式エンジンの制御装置 | |
EP1408223A1 (en) | Fuel injection controller for direct injection engine | |
JP2012255366A (ja) | 内燃機関の制御装置及び制御方法 | |
JP2014020211A (ja) | 筒内噴射式エンジンの燃料噴射制御装置 | |
JP5321844B2 (ja) | 内燃機関の燃料噴射制御装置 | |
JP4135643B2 (ja) | 直噴火花点火式内燃機関の制御装置 | |
JP2004245103A (ja) | 直噴ディーゼルエンジン | |
JP4579853B2 (ja) | 始動制御装置 | |
JP4412194B2 (ja) | 直噴式水素エンジンの制御装置 | |
JP2007056700A (ja) | 水素エンジンの制御装置 | |
JP5910176B2 (ja) | 圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置 | |
JP4197791B2 (ja) | 直噴エンジン | |
JP2008274789A (ja) | 直噴エンジンの制御システム | |
JP4743139B2 (ja) | 内燃機関の燃料噴射量制御装置 | |
JPH11107792A (ja) | 予混合圧縮着火式エンジン | |
JP2004346854A (ja) | 内燃機関の圧縮着火運転の制御装置 | |
US20140261300A1 (en) | Fuel injection control apparatus for internal combustion engine | |
JP5429148B2 (ja) | 予混合圧縮自己着火エンジン |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050512 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071001 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071002 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080304 |