JP2004243395A - トランスファプレスのフィード装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一端側がアプライト(3)の側面に取着されたフィードボックス本体(40)と、該フィードボックス本体(40)に設置されたサーボモータ(11)および該モータ(11)で回転されるピニオン(12)を有するフィード駆動手段(10)と、フィード方向に移動自在とされ、前記ピニオン(12)に噛合するフィードラック(20)と、該フィードラック(20)に一体的に取着されたフィードキャリヤ(30)と、該フィードキャリヤ(30)に、フィード方向に対し水平直角方向および上下方向の少なくともいずれか一方の方向に移動自在に連結されたフィードバー(4)とを備え、前記フィードキャリヤ(30)は、プレス本体側ストローク端に位置するとき、フィード方向で前記フィード駆動手段(10)の近傍に位置する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランスファプレスのフィード装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トランスファプレスは2次元または3次元のトランスファフィーダを有しており、これらのトランスファフィーダは、クランプ装置と、フィード装置と、3次元トランスファフィーダの場合にはさらにリフト装置とを備えている。これらの取付位置についてはそれぞれ、クランプ装置はトランスファプレス本体内に複数設けられ、3次元のトランスファフィーダにおいてはリフト装置もトランスファプレス本体内に複数設けられ、またフィード装置は、一般的にはプレス本体のワーク搬送方向下流側に突出して設けられているのが通例である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図7および図8は、それぞれ、従来技術に係るフィード装置のフィードストローク(送り)端状態を示す側面図、およびそのフィードバー分割状態を示す側面図である。トランスファプレスでのフィード装置の基本構成として、本発明に係るトランスファプレスの全体側面図を示す図1を参照しつつ、図7および図8により従来のトランスファプレスのフィード装置の例を説明する。
【0004】
これらの図において、フィード装置105(図1のフィード装置5に相当)は、プレス機械の最上流から最下流まで連通し、かつプレス前後方向に(図示のワーク搬送方向に向かって左右に)互いに対向して設けられた2本のフィードバー4の上のフィンガにワークを保持して、フィードバー4を2次元または3次元に移動させることによって、ワークを次の加工ステーションまたはアイドルステーションへ順次搬送させるように構成されている。そして、トランスファプレス1の各スライド2間、最上流および最下流には、2本ずつのアプライト3,3’がベッド上に立設し、それぞれのアプライト3,3’に設けられた図示しないスライドガイドに沿ってスライド2が上下動するようになっている。
【0005】
フィード装置105は、フィードの駆動源であるサーボモータ111、およびこれにより回転駆動されるピニオン112を備えたフィード駆動手段110と、該ピニオン112に噛合し、ワーク搬送方向に往復移動自在に設けたフィードラック120と、このフィードラック120の下部に一体的に取り付けられたフィードキャリヤ130と、このフィードキャリヤ130の下部にクランプ方向(プレス前後方向)に移動自在に設けられた、上下方向に軸心を有する円柱状の連結バー131と、これらを支持するフィードボックス本体140と、一端部が前記連結バー131にリフト方向(上下方向)に移動自在に連結され、前後1対の前記アプライト3,3,3’,3’間毎に設けたクランプ/リフト装置6にフィード方向移動自在に支持されたフィードバー4と、該フィードバー4上に着脱自在に取着され、ワークを保持するフィンガ7とを備えている。
金型交換時、フィンガ交換を外段取りできるように、前記フィードバー4は着脱自在な分割個所を備えており、該バー4の一部をムービングボルスタ8に載置して金型と共にプレス外に搬出するように構成されている。
【0006】
上記フィードボックス本体140は、プレス下流側に設置された搬出装置との干渉を避けると共にワーク搬出の作業性を良くするため、その一端部がアプライト3の下流側外側面に取り付けられた片持ち状態になっている。
【0007】
しかしながら、従来は、図示のように前記フィード駆動手段110がアプライト3から離れた距離(図7においてL2 )で、片持ち状態のフィードボックス本体140の先端部近傍に設置されている。前記フィード駆動手段110は、電気容量が大きく、かつ大型で非常に重いサーボモータなどにより構成された重量物であるので、このフィード駆動手段110をアプライト3から離れた位置に設置することで、以下のような問題が生じている。
【0008】
プレスは、ワークの成形加工時に、プレス本体に大きな振動が発生するが、この成形時の振動により、フィードボックス本体140がその固定端から強制振動を受けるため、フィードボックス本体140にフィードキャリヤ130を介して結合しているフィードバー4そのものも振動する。これによって、ワークのミスフィード(搬送ミス)が発生し、プレス機械が急停止するなどして機械稼働率が落ち、生産性の低下が生じる。また、条件によってはフィードボックス本体140の振動が逆にプレス本体に伝わり、これによりワーク成形加工精度を劣化させる原因にもなる。さらに、ワークのミスフィードおよびワーク成形加工精度の劣化などの懸念から、ワークの搬送速度(フィードバーの搬送速度)が制約され、プレスの生産能力を上げられない問題もある。
【0009】
また、前記フィード駆動手段110のフィード方向におけるフィードボックス本体140への設置位置がフィードキャリヤ130の反プレス本体側(プレス本体側方向とは逆方向を意味し、以降このように称する)ストローク端位置の近傍に設けられているので、該フィードキャリヤ130を反プレス本体側へ移動させるとフィードラック120の端がフィードボックス本体140から突出してしまうことになる。このため、該フィードラック120が露出しないように前記フィードボックス本体140側面にラックカバーを取付けている。ところが、このフィードラック120の突出部を覆うラックカバーは人間の頭部高さと略等しい高さに位置するので、人手によるワークの搬出またはこの部分の保守などの作業性を損なっている。
【0010】
またさらに、フィード装置105は、搬送方向全長(図7においてL02)が長く、大型になり、よってその製作コストが増大するのは勿論のこと、プレス全長も長くなり、プレス設置面積が大きくなるので、機械設備費用が嵩むといった問題もある。
【0011】
一方、図7、8に示すように、従来、フィード装置105には、その下流側のフィードストローク端に、駆動モータの暴走対策としてストッパ161が設けられている。このストッパ161は、フィーダ暴走時のフィード装置105の可動部分の運動エネルギーを吸収し、そのショックを和らげるために、大型の緩衝材(例えばゴムなど)で構成する必要性から、フィード方向にかなりの厚みを要している。そして、このストッパ161の当接面は、フィードキャリヤ130のフィード端からバー分割のためのストローク分だけ反プレス本体側に離した位置に、フィードボックス本体140の下面にブラケット162を介して固定的(常置式)に設置されている。このストッパ161の設置スペース確保のため、フィード装置105は搬送方向全長(図7においてL02)が長く、大型化し、その製造コストが上がるのは勿論のこと、プレス機械の全長も長くなり、よってプレス設置面積の増加および機械設備費用の増大を招くという問題もある。
【0012】
本発明は、上記の問題点に着目してなされ、フィード装置を小型化してプレス機械全長を短くでき、これらの設備費用を低減できるトランスファプレスのフィード装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の本発明の目的を達成するために、第1発明は、トランスファプレスのフィード装置において、一端側がアプライトの側面に取着されたフィードボックス本体と、前記フィードボックス本体に設置されたサーボモータ、およびこのサーボモータで回転駆動されるピニオンを有するフィード駆動手段と、前記フィードボックス本体にフィード方向に移動自在に支承され、前記ピニオンに噛合するフィードラックと、前記フィードラックに一体的に取着されたフィードキャリヤと、前記フィードキャリヤに、フィード方向に対し水平直角方向および上下方向の少なくともいずれか一方の方向に移動自在に連結されたフィードバーとを備え、前記フィードキャリヤは、プレス本体側ストローク端に位置するとき、フィード方向で前記フィード駆動手段の近傍に位置する構成としている。
【0014】
第1発明によると、フィードキャリヤが、プレス本体側ストローク端に位置するとき、フィード方向で前記フィード駆動手段の近傍に位置することにより、大型で非常に重いサーボモータなどのために重量物となる前記フィード駆動手段をアプライトに近づけて設置することとなり、フィード駆動手段を支持している、片持ち状態のフィードボックス本体にとって強度上有利になる。従って、プレス本体に振動が発生するワーク成形加工時でも、このプレス本体の振動によるフィードボックス本体の振動を抑制することができ、従来問題となっていた、フィードバーの振動によるワークミスフィードの発生およびこれに伴う機械停止による機械稼働率の低下や生産性の低下などの懸念がない。さらに、ワークのミスフィードの懸念によるワークの搬送速度の制約がなくなり、プレスの生産能力の向上が期待できる。
【0015】
フィードキャリヤが取着したフィードラックは、フィード駆動手段のピニオンと噛合しているため、該フィードラックの長さは、フィードキャリヤの移動ストローク長さに若干の余裕をもたせた寸法になっている。また、フィードボックス本体の長さは、前記フィードキャリヤがフィード方向反プレス本体側ストローク端に位置した場合の該フィードキャリヤおよびストッパ設置のスペースに若干の余裕をもたせるように設定されている。
したがって、前記フィードキャリヤがフィード方向反プレス本体側ストローク端に位置したとき、前記フィードラックは前記フィードボックス本体内に納まった状態になり、人間の頭部高さと略等しい高さに位置する突起部であるラックカバーがフィードボックス本体から無くなり、人手によるワークの搬出またはこのフィード装置部の保守などの作業性を向上できる。
またさらに、フィード装置を小型化でき、その製作コストが少なくなるのは勿論のこと、プレス全長も短くなり、よってプレス設置面積が少なくて済み、機械設備費用の低減も図れる。
【0016】
また第2発明は、トランスファプレスのフィード装置において、一端側がアプライトの側面に取着されたフィードボックス本体と、前記フィードボックス本体に設置されたサーボモータ、およびこのサーボモータで回転駆動されるピニオンを有するフィード駆動手段と、前記フィードボックス本体にフィード方向に移動自在に支承され、前記ピニオンに噛合するフィードラックと、前記フィードラックに一体的に取着されたフィードキャリヤと、前記フィードキャリヤに、フィード方向に対し水平直角方向および上下方向の少なくともいずれか一方の方向に移動自在に連結されたフィードバーとを備え、前記フィードキャリヤがプレス本体側ストローク端に位置するとき、前記フィードラックの端部は、アプライトの前記フィードボックス本体側外側面よりスライド側に突出している構成としている。
【0017】
第2発明によると、前記フィードキャリヤがプレス本体側ストローク端に位置するとき、フィードラックの端が、アプライトのフィードボックス本体側外側面よりスライド側に突出しているので、その分、ストローク端が反プレス本体側に突出する量を確実に減らせる(場合によっては突出させないことも可能である)ことができる。したがって、フィードボックス本体側からのラックカバーの突出量を少なくする、または無くすることができ、人手によるワークの搬出またはこのフィード装置部の保守などの作業性を向上できる。
またさらに、フィード装置を小型化でき、その製作コストが少なくなるのは勿論のこと、プレス全長も短くなり、よってプレス設置面積が少なくて済み、機械設備費用の低減も図れる。
【0018】
前記フィードラックの位置を、全体的にプレス本体側に移動させることに伴い、前記フィード駆動手段をアプライトに近づけて設置することになり、第1発明と同様な効果を得ることができる。
【0019】
また第3発明は、トランスファプレスのフィード装置において、一端側がアプライトの側面に取着されたフィードボックス本体と、前記フィードボックス本体にフィード方向に移動自在に支承され、フィードボックス本体に設置されたフィード駆動手段によってフィード方向に駆動されるフィードラックと、前記フィードラックに一体的に取着されたフィードキャリヤに、フィード方向に対し水平直角方向および上下方向の少なくともいずれか一方の方向に移動自在に連結されたフィードバーとを備え、前記フィードキャリヤの反プレス本体側ストローク端を規制するストッパを、該フィードキャリヤと前記フィードボックス本体との間の該フィードキャリヤストローク区域から退避自在に設けた構成としている。
【0020】
第3発明によると、ワーク搬送運転時にフィードバーがフィード方向に暴走した際の対策として設けた、フィードキャリヤの反プレス本体側ストローク端を規制するストッパを,フィードキャリヤのストローク区域から退避自在に設け、金型交換時にはこのストッパを退避させて、フィードバーの分割ストロークを確保した。金型交換時に使用するストッパは別に設ける。通常、前述の可動ストッパは、フィード方向の最高速度で暴走した場合でもそのフィード装置の可動部分の運動エネルギーを吸収し得る緩衝能力を備えるために、大型の(厚い)緩衝材よりなる。なお、金型交換時に使用するストッパは固定式であり、金型交換時にはフィードバーの動きが遅いことから薄い緩衝材になっている。従って、フィードボックス本体長さは、この大型のストッパを設けていても、実質的には金型交換時に使用する薄い緩衝材の厚み分だけになり、フィード装置の全長を短くすることができる。このため、フィード装置が小型化でき、トランスファプレスの全長を短くできる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係わるフィード装置の実施形態を図1〜図6により詳細に説明する。
【0022】
先ず、本発明に係るトランスファプレスの全体側面図である図1により、本発明のフィード装置の概要を説明する。
図において、フィード装置5は、プレス機械の最上流から最下流まで連通し、かつプレス前後(図1紙面に垂直)方向に互いに対向して設けられた2本のフィードバー4の上のフィンガ7にワークを保持して、フィードバー4を2次元または3次元に移動させることによって、ワークを次の加工ステーションまたはアイドルステーションへ順次搬送させるように構成されている。トランスファプレス1の各スライド2間、最上流および最下流には、2本ずつのアプライト3,3,3’,3’がベッド上に立設し、それぞれのアプライト3,3,3’,3’に設けられた図示しないスライドガイドに沿ってスライド2が上下動するようになっている。
【0023】
次に、図2〜図6により本発明のフィード装置を詳述する。図2,3はそれぞれ、本発明に係るフィード装置のフィード端状態を示す側面図、およびそのフィードバー分割状態を示す側面図である。
図2,3において、フィード装置5は、フィード駆動手段10と、フィードラック20と、フィードキャリヤ30と、連結バー31と、これらを支持するフィードボックス本体40と、フィードバー4と、フィンガ7とを備えている。
【0024】
フィードボックス本体40は、フィード装置5の搬送下流側に設置される搬出装置(図示せず)との干渉を避けると共に、ワーク搬出の作業性を良くするため、そのプレス本体側の一端部がアプライト3のフィード方向外側側面に取り付けられた、片持ち状態でフィード装置5を支持する構成となっている。
【0025】
フィード駆動手段10はフィードの駆動源であり、前記フィードボックス本体40に取着された左右(搬送方向に向かって左右、以後も同様)1対のサーボモータ11,11と、この左右1対のサーボモータ11,11により、後述する所定の動力伝達機構を介して回転駆動される左右1対のピニオン12,12とを備えている。なお、前記左右1対のサーボモータ11,11は、重量のあるフィード装置の可動部分をワークと共に高速で移動させるため、通常その出力パワーが大きく、かつ大型で重いものとなる。フィードボックス本体40の下部には、前記左右1対のピニオン12,12にそれぞれ噛合する左右1対のフィードラック20,20がフィード方向に移動自在に支承されている。この左右1対のフィードラック20,20の下部には、それぞれ一体的に左右1対のフィードキャリヤ30,30が取り付けられている。
【0026】
また、この左右1対のフィードキャリヤ30,30には、それぞれ上下方向に軸心を有する円柱状の連結バー31,31をクランプ方向(フィード方向に対し水平直角方向であり、以降このように称する。)に移動自在に支承する。さらに、この左右1対の連結バー31,31には、それぞれ、左右1対のフィードバー4,4の反プレス本体側の一端部が昇降自在に嵌挿されており、該左右1対のフィードバー4,4は、前後1対の前記アプライト3,3間毎に配設されているクランプ/リフト装置6にフィード方向へ移動自在に支持されている。なお、このクランプ/リフト装置6には、図示しないクランプ駆動手段およびリフト駆動手段が設けられており、前記左右1対のフィードバー4,4の支持部をそれぞれクランプ方向およびリフト方向に駆動している。
【0027】
この左右1対のフィードバー4,4上には、ワークを保持するフィンガ7が着脱自在に取着されている。
金型交換時、フィンガ7の交換を外段取りできるように、前記フィードバー4,4には着脱自在な分割個所を備えており、該バー4,4の一部をムービングボルスタ8に載置して金型と共にプレス外に搬出するようになっている。
【0028】
前述のように、フィードボックス本体40は、アプライト側面に片持ち状態で取り付けられているが、本発明においては、前記フィードキャリヤ30がプレス本体側ストローク端に位置するとき、前記フィードキャリヤ30がフィード方向で前記フィード駆動手段10の近傍に位置するように、前記フィード駆動手段10をアプライト3側へより接近(図2におけるL1 寸法)させて設けている。
なお、フィード駆動手段10をアプライト3に近づけ、かつフィードラック20の長さを余裕代を抑えた寸法に設定するためには、該フィードキャリヤ30がプレス本体側ストローク端に位置するとき、該フィード駆動手段10のピニオン12の位置が、フィード方向において該フィードキャリヤ30の幅L3内に位置することが望ましい。
【0029】
続いて、図4および図5によりフィード駆動手段10を詳述する。図4は、図3のX−X視図(一部断面図)であり、図5は、図4のA−A視図である。
図4,5に示すように、本例では、フィードボックス本体40に左右1対のサーボモータ11、11が取着されており、これらサーボモータ11、11の軸端と両サーボモータ11、11間の略中央部に配設された第1歯車14とはそれぞれカップリング13、13で連結されている。また、左右方向に軸線を有するピニオン駆動軸16をフィードボックス本体40に回動自在に支承して設け、このピニオン駆動軸16の左右方向略中央部に取り付けた第2歯車15が前記第1歯車14に噛合している。さらに、このピニオン駆動軸16の左右軸端部に設けた左右1対のピニオン12、12には、それぞれ2本のフィードラック20、20がフィード方向に移動自在に噛合しており、この2本のフィードラック20、20にそれぞれ一体的に取着されたフィードキャリヤ30,30には、2本のフィードラック20、20の上下方向および前後方向をそれぞれガイドする第1ラックガイドローラ17、17および第2ラックガイドローラ18、18が設けられている。
【0030】
ここで、フィード駆動用のサーボモータ11、11は、その容量が大きく高価であるためと、設置スペースの低減のために、2台に分けて小型化し、しかも、フィード装置5におけるプレス前後方向(すなわちフィード方向に対する左右方向)の重量バランスの改善をも図ったものである。なお、フィード駆動手段10の取付位置をアプライト3側へ寄せて設定することにより、フィードボックス本体40への負荷を低減させる効果は、フィード駆動用のサーボモータ11を1台で構成しても得られる。
また、フィードラック20、20を左右に2本設けているのは、これらがフィード駆動機能と共に、フィードキャリヤ30の移動のガイド機能をも兼ねており、フィード方向の移動を円滑に行わせるためである。
【0031】
以上の構成により、大型で非常に重いサーボモータ11などにより構成された、重量物であるフィード駆動手段10をアプライト3に近づけて設置しているため、フィード駆動手段10の支持体であるフィードボックス本体40への負荷が低減する。従って、ワークの成形加圧時でも、プレス本体1の振動によりフィード装置5およびフィードバー4が振動することがなく、またこれによってプレス機械全体の振動を増大させることがなく、従来問題となっていた、ワーク成形加工精度への悪影響、また、フィードバー4の振動に起因するワークのミスフィードによる機械停止などの懸念がなくなる。
さらに、これらワーク成形加工精度の劣化、またはワークのミスフィードなどの懸念による、ワーク搬送速度の制約がなくなり、プレスの生産能力の向上が期待できる。
【0032】
また、本発明のフィード装置5のフィードラック20の端部は、フィードキャリヤ30が反プレス本体側ストローク端に位置するとき、フィードボックス本体40の端から反プレス本体側に突出しない構成としたので、人間の頭部高さと略等しい位置に、突起部であるラックカバー9が無くなり、人手によるワークの搬出、またはこのフィード装置5の保守などの作業性がよい。
また、フィードキャリヤ30がプレス本体側ストローク端に位置するとき、フィードラック20の端部を該アプライトのフィードボックス本体側外側面よりスライド側に突出させると、該フィードキャリヤ30が反プレス本体側ストローク端へ移動したとき、フィードボックス本体40の端からのフィードラック20の突出量を確実に減らすことができ、前述の効果を得ることができる。
【0033】
またさらに、前記突出部が無い分、フィード装置5のフィード方向長さ(図2におけるL0 寸法)が短くなり、小型化されるので、その製作費用が少なくなるのは勿論のこと、プレス全長も短くなり、プレス設置面積が少なく済み、機械設備費用の低減も図れる。
【0034】
なお、上記の実施形態では、フィードバー4をリフト自在およびクランプ自在に設けた例で示したが、本発明はこれに限定されず、リフト自在およびクランプ自在のいずれか一方でもよい。
【0035】
次に、フィード装置のストッパ部分に関する本発明について、本発明に係るフィード装置の可動ストッパ部を示した図6、およびフィードキャリヤ30と第1ストッパ61、第2ストッパ62それぞれとの作動関係を表わした図2、図3を用いて説明する。
【0036】
図6において、フィードボックス本体40の反プレス本体側の側端部下面にブラケット63を設け、このブラケット63にエアシリンダ67を取り付けている。エアシリンダ67のロッド先端部にはピン66を介してスライダー65が取着されており、このスライダー65は、前記ブラケット63に取り付けられた左右(図6の紙面に垂直方向)1対のスライドガイド64,64に沿って上下方向移動自在になっている。さらに、このスライダー65のフィードキャリヤ30側の面には第1ストッパ61が装着されている。また、前記ブラケット63の側面部には、前記左右1対のスライドガイド64,64の側面を覆うブラケット63aが設けられており、このブラケット63aの先端部には、第1ストッパ61のストローク区域を避けて、スライドガイド64よりもフィードキャリヤ30側に突出させた常置式の第2ストッパ62が取着されている。
【0037】
ここで、前記第1ストッパ61は、高速でのワークフィード時に、予期せぬフィーダの暴走が発生した場合でも、この時のフィード装置5の可動部分の運動エネルギーを吸収し、そのショックを和らげ、フィード装置5またはフィードバー4などの損傷を防止できるよう、大型の緩衝材(例えばゴムなど)で構成されている。
また、第2ストッパ62は、フィードバー4の分割時において、比較的低速で行われるフィードキャリヤ30の移動時のストローク端を規制するストッパであり、その運動エネルギーは小さく、ストッパ当接時のショックは小さいため、剛性があれば、フィード方向に厚みの薄いものでよく、本実施形態では鋼材を使用している。
【0038】
次に、上記構成の可動式ストッパ装置60の動作、作用を説明する。
プレスの通常加工運転時には、図2に示すように、第1ストッパ61をエアシリンダ67により下端位置(図6において想像線で示した位置)に移動させ、この位置に保持しておいて、フィードキャリヤ30の反プレス本体側ストローク端のストッパとして使用する。
また、金型の交換時には、金型およびフィンガ7の外段取りのため、フィードバー4を、ムービングボルスタ8に載置させる部分と、プレス内に留める部分とに分離(つまりバー分割)する必要があるが、このフィードバー4の分割に必要な分割ストロークを得るために、図3に示すように、第1ストッパ61をエアシリンダ67により上端位置(図6では実線で示した位置)に移動させ、この位置に保持することにより、フィードバー4と、連結バー31を介して連結したフィードキャリヤ30のストローク区域からこの第1ストッパ61を退避させ、フィードバー4の分割ストロークを確保する。なお、フィードバー4の分割時には、第1ストッパ61に替えて、ブラケット63に固定的に常置された薄型の第2ストッパ62をストッパとして使用する。
【0039】
本発明に係るストッパは、金型交換時には、大型の緩衝材よりなる第1ストッパ61をフィードキャリヤ30のストローク区域から退避させてフィードバー4の分割ストロークを確保する構成なので、フィードボックス本体40のフィード方向長さは、第1ストッパ61の厚み分だけ短くでき、フィード装置5の全長を短くできる。なお、上記実施形態では、第1ストッパ61を退避して常置の薄い第2ストッパ62に切り替える例で示しているが、この場合でも第1ストッパ61と第2ストッパ62との厚みの差分だけフィードボックス本体40のフィード方向長さを短くでき、同様の効果が得られる。従って、フィード装置5を小型にでき、そのコストが安く済むのは勿論のこと、プレス機械の全長も短くなり、プレス設置面積を小さくでき、機械設備費用が安く済む。
【0040】
なお、上記実施形態では、可動式ストッパの移動方向として、上下方向の例で示したが、本発明はこれに限定されず、要は通常運転時位置から金型交換時に退避可能とすればよく、従って、左右方向に移動自在としてもよく、あるいは、上下または左右方向に回動自在としてもよい。
【0041】
本発明によると、次のような作用効果が得られる。
フィード装置において、そのフィード駆動手段10を、アプライト3に最も接近した位置の近傍に設けたので、重量物であるフィード駆動手段10をそのアプライト3に近づけて設置することとなり、片持ち状態のフィードボックス本体40にとって強度上有利となる。これにより、プレス本体に振動が発生するワーク成形加工時においても、プレス本体の振動によるフィード装置5およびフィードバー4の振動が抑制され、従来問題となっていた、フィードバー4の振動によるワークのミスフィードの発生、およびこれに伴う機械停止などで機械稼働率が落ち、生産性が低下するなどの懸念がなくなる。
さらに、ワークのミスフィードなどの懸念によるワークの搬送速度の制約がなくなり、プレスの生産能力を向上できる。
【0042】
また、前記フィードキャリヤ30がフィード方向反プレス本体側ストローク端に位置したとき、前記フィードラック20は前記フィードボックス本体40に納まった状態になり、人間の頭部高さと略等しい突起部がフィードボックス本体40から突出することがないことから、人手によるワーク搬出、またはこのフィード装置部の保守などの作業性がよい。
またさらに、上記によりフィード装置5のフィード方向長さを短くできるので、フィード装置5は小型化でき、その製作コストを安くできるのは勿論のこと、プレス全長も短くなり、プレス設置面積の低減、機械設備費用の低減効果もある。
【0043】
次に,本発明では、通常運転時には、フィーダの暴走時のストローク端を規制するストッパとして、大型の(厚い)緩衝材よりなる第1ストッパ61を使用し、金型交換時にはフィードバー分割のため必要なストロークを得るためにフィードキャリヤ30のストローク区域からこの第1ストッパ61を退避させるようにしたので、フィードボックス本体40のフィード方向長さは第1ストッパ61の厚み分だけ短くでき、よってフィード装置5の全長を短くすることができる。また、フィードバー4の分割時に、前記第1ストッパ61の代わりに常置式の第2ストッパ62を使用するとしても、第2ストッパ62は小型にできるので、第1ストッパ61との差分だけフィード装置5の全長を短くできる。よって、フィード装置5を小型化でき、その剛性を高くできると共に、トランスファプレス1の全長を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトランスファプレスの全体側面図である。
【図2】本発明に係るフィード装置のフィード端状態を示す側面図である。
【図3】本発明に係るフィード装置のフィードバー分割状態を示す側面図である。
【図4】図3のX−X視図(一部断面図)である。
【図5】図4のA−A視図である。
【図6】本発明に係るフィード装置の可動ストッパ部である。
【図7】従来技術に係るフィード装置のフィード端状態を示す側面図である。
【図8】従来技術に係るフィード装置のフィードバー分割状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1…トランスファプレス、2…スライド、3,3’…アプライト、4…フィードバー、5…フィード装置、6…クランプ装置、7…フィンガ、8…ムービングボルスタ、9…ラックカバー、10…フィード駆動手段、11…サーボモータ、12…ピニオン、13…カップリング、14…第1歯車、15…第2歯車、16…ピニオン駆動軸、17…第1ラックガイドローラ、18…第2ラックガイドローラ、20…フィードラック、30…フィードキャリヤ、31…連結バー、40…フィードボックス本体 、60…可動式ストッパ装置、61…第1ストッパ、62…第2ストッパ、63…ブラケット、64…スライドガイド、65…スライダー、66…ピン、67…エアシリンダ、105…フィード装置、110…フィード駆動手段、111…サーボモータ、112…ピニオン、120…フィードラック、130…フィードキャリヤ、131…連結バー、140…フィードボックス本体 、161…ストッパ、162…ブラケット。
Claims (3)
- トランスファプレスのフィード装置において、
一端側がアプライト(3)の側面に取着されたフィードボックス本体(40)と、
前記フィードボックス本体(40)に設置されたサーボモータ(11)、およびこのサーボモータ(11)で回転駆動されるピニオン(12)を有するフィード駆動手段(10)と、前記フィードボックス本体(40)にフィード方向に移動自在に支承され、前記ピニオン(12)に噛合するフィードラック(20)と、
前記フィードラック(20)に一体的に取着されたフィードキャリヤ(30)と、
前記フィードキャリヤ(30)に、フィード方向に対し水平直角方向および上下方向の少なくともいずれか一方の方向に移動自在に連結されたフィードバー(4) とを備え、
前記フィードキャリヤ(30)は、プレス本体側ストローク端に位置するとき、フィード方向で前記フィード駆動手段(10)の近傍に位置する
ことを特徴とするトランスファプレスのフィード装置。 - トランスファプレスのフィード装置において、
一端側がアプライト(3)の側面に取着されたフィードボックス本体(40)と、
前記フィードボックス本体(40)に設置されたサーボモータ(11)、およびこのサーボモータ(11)で回転駆動されるピニオン(12)を有するフィード駆動手段(10)と、前記フィードボックス本体(40)にフィード方向に移動自在に支承され、前記ピニオン(12)に噛合するフィードラック(20)と、
前記フィードラック(20)に一体的に取着されたフィードキャリヤ(30)と、
前記フィードキャリヤ(30)に、フィード方向に対し水平直角方向および上下方向の少なくともいずれか一方の方向に移動自在に連結されたフィードバー(4) とを備え、
前記フィードキャリヤ(30)がプレス本体側ストローク端に位置するとき、前記フィードラック(20)の端部は、アプライト(3)の前記フィードボックス本体(40)側外側面よりスライド側に突出している
ことを特徴とするトランスファプレスのフィード装置。 - トランスファプレスのフィード装置において、
一端側がアプライト(3)の側面に取着されたフィードボックス本体(40)と、
前記フィードボックス本体(40)にフィード方向に移動自在に支承され、フィードボックス本体(40)に設置されたフィード駆動手段(10)によってフィード方向に駆動されるフィードラック(20)と、
前記フィードラック(20)に一体的に取着されたフィードキャリヤ(30)に、フィード方向に対し水平直角方向および上下方向の少なくともいずれか一方の方向に移動自在に連結されたフィードバー(4) とを備え、
前記フィードキャリヤ(30)の反プレス本体側ストローク端を規制するストッパ(61)を、該フィードキャリヤ(30)と前記フィードボックス本体(40)との間のフィードキャリヤ(30)ストローク区域から退避自在に設けた
ことを特徴とするトランスファプレスのフィード装置。
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