JP2004236381A - 蓄電池の充放電制御装置および車両用蓄電池の充放電制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バッテリのSOCを予め設定した所定のSOCに高精度に設定し、バッテリの劣化判定を高精度に行う。
【解決手段】蓄電池の充放電制御装置は、バッテリ23に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで充電を継続する定電圧充電と、定電圧充電後に、バッテリ23を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電を継続する定電圧放電との少なくとも何れか一方において、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電を実行する。蓄電池の充放電制御装置は、パルス充放電の実行により変動するバッテリ電圧VBに基づき、バッテリ23のSOCを算出すると共にバッテリ23の劣化状態を判定する。
【選択図】 図1
【解決手段】蓄電池の充放電制御装置は、バッテリ23に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで充電を継続する定電圧充電と、定電圧充電後に、バッテリ23を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電を継続する定電圧放電との少なくとも何れか一方において、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電を実行する。蓄電池の充放電制御装置は、パルス充放電の実行により変動するバッテリ電圧VBに基づき、バッテリ23のSOCを算出すると共にバッテリ23の劣化状態を判定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄電池の充放電制御装置および車両用蓄電池の充放電制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、バッテリの残容量(SOC:State of charge)の検出は、例えば鉛バッテリでは、電解液の比重を測定しその比重に基づいてSOCを求めたり、バッテリの無負荷状態での端子電圧、いわゆる開路電圧(OCV)を測定しそのOCVに基づいてSOCを求めている。
(例えば、特許文献1参照)
また、ニッケル水素電池のように、外部特性が全域SOCで現れない電池では、バッテリの負荷状態での端子電圧、いわゆる閉路電圧(CCV)を測定しそのCCVと電流および電池温度に基づいてSOCを求めている。
(例えば、特許文献2参照)
一方、バッテリの劣化判定は、電流−電圧特性から内部抵抗を算出し、この内部抵抗値に基づいて判定している。
(例えば、特許文献3参照)
【0003】
【特許文献1】
特開2001−97150号公報(第2頁、第4頁)
【特許文献2】
特開平10−319100号公報(第3頁)
【特許文献3】
特開平11−7985号公報(第2頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハイブリッド車両に鉛電池を搭載する場合、電解液の比重から残容量(SOC)を検出する方法では、検出精度が低い等の理由から実用的でない。
また、OCVは無負荷状態で検出することが求められるので、OCVからSOCを検出することができるのは、例えばエンジン始動時等の所定のタイミングに限定される。走行中のSOCを求めるためには、SOCはバッテリ内に貯留されている電荷の総量に対応することから、例えば、バッテリの充電電流および放電電流を所定期間毎に積算して積算充電量および積算放電量を算出し、これらの積算充電量および積算放電量を初期状態あるいは充放電開始直前のSOCに加算又は減算することで現時点のSOCを算出する必要がある。しかしながら、この方法では、積算充電量および積算放電量を算出する際に、電流検出器の測定誤差等が累積されることとなるため、長時間に亘るSOCの算出処理ではSOCの誤差が増大してしまう場合がある。
【0005】
また、ハイブリッド車両の電源としての使用を想定すると、満充電によるSOCリセットは、エネルギ効率、回生エネルギの回収の観点からは適切ではない場合がある。さらに、ハイブリッド車両の電源として使用した場合には、中間域(例えば、50〜80%)のSOCで使用するため、過充電を行った後に満充電と判定することが困難となる場合がある。
一方、CCVと電流と電池温度からSOCを求める方法では、電解液が活物質であることから、充放電履歴の影響を受け、精度よくSOCを推定することが困難になるという問題が生じる。
【0006】
また、電流−電圧特性から内部抵抗を算出しバッテリの劣化判定を行う場合、電流−電圧特性が充放電履歴の影響を受けるため、内部抵抗の増加を精度よく検出することが困難であり、バッテリの劣化判定の精度を向上させることができないという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、バッテリのSOCを予め設定した所定のSOCに高精度に設定することができ、また、バッテリの劣化判定を高精度に行うことが可能な蓄電池の充放電制御装置および車両用蓄電池の充放電制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置は、蓄電池に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで前記充電を継続する定電圧充電手段(例えば、実施の形態でのステップS32〜S34およびステップS37〜S45)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電時に、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電手段(例えば、実施の形態でのステップS35およびS36)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電後に、前記蓄電池を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電させる定電圧放電手段(例えば、実施の形態でのステップS46〜S49およびステップS54〜S55)と、前記定電圧放電手段による定電圧放電で放電電流値が前記所定電流値以下になった時点の前記蓄電池の充電状態を予め設定された基準上限充電量であると判定する充電量判定手段(例えば、実施の形態でのステップS56)とを備えたことを特徴としている。
【0008】
上記構成の蓄電池の充放電制御装置によれば、定電圧放電の終了時点の蓄電池の充電状態を極めて高い精度で目標値である基準上限充電量に設定することができる。また、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、蓄電池の電極の活性化を図ることができる。
しかも、定電圧充電時にパルス充放電を行うことにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消することができ、より一層、蓄電池の電極の活性化を促進させることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置は、蓄電池に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで前記充電を継続する定電圧充電手段(例えば、実施の形態でのステップS32〜S34およびステップS37〜S45)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電後に、前記蓄電池を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電させる定電圧放電手段(例えば、実施の形態でのステップS46〜S49およびステップS54〜S55)と、前記定電圧放電手段による定電圧放電時に、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電手段(例えば、実施の形態でのステップS50およびS51)と、前記定電圧放電手段による定電圧放電で放電電流値が前記所定電流値以下になった時点の前記蓄電池の充電状態を予め設定された基準上限充電量であると判定する充電量判定手段(例えば、実施の形態でのステップS56)とを備えたことを特徴としている。
【0010】
上記構成の蓄電池の充放電制御装置によれば、定電圧放電の終了時点の蓄電池の充電状態を極めて高い精度で目標値である基準上限充電量に設定することができる。また、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、蓄電池の電極の活性化を図ることができる。
しかも、定電圧放電時にパルス充放電を行うことにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消することができ、より一層、蓄電池の電極の活性化を促進させることができると共に、この定電圧放電の継続時間を短縮し、蓄電池の充電状態を基準上限充電量に設定する際の精度を向上させることができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置は、前記パルス充放電手段による充放電時の前記蓄電池の電圧変化により内部抵抗を算出し、該内部抵抗から前記蓄電池の劣化状態を判定する劣化判定手段(例えば、実施の形態でのステップS52)を備えたことを特徴としている。
【0012】
上記構成の蓄電池の充放電制御装置によれば、パルス充放電時の蓄電池の電圧変化において、例えば充電側における変化の割合や、例えば放電側の変化の割合や、例えば放電側および充電側の各極大値の変化の割合等から蓄電池の内部抵抗値を算出する。そして、この内部抵抗あるいは内部抵抗から算出した寿命等に基づき劣化判定を行う。これにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消しつつ、精度のよい劣化判定を行うことができる。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置は、前記パルス充放電手段による充放電時の前記蓄電池の電圧変化により前記蓄電池の開路電圧を算出し、該開路電圧から前記蓄電池の残容量を算出する残容量算出手段(例えば、実施の形態でのステップS52が兼ねる)を備えたことを特徴としている。
【0014】
上記構成の蓄電池の充放電制御装置によれば、パルス充放電時の蓄電池の電圧変化において、検出される閉路電圧の電圧変化の中間値や平均値等を開路電圧として設定し、この開路電圧から蓄電池の残容量を算出する。これにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消しつつ、残容量の算出精度を向上させることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置は、内燃機関のアイドル運転を停止可能な車両に搭載された車両用蓄電池に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで前記充電を継続する定電圧充電手段(例えば、実施の形態でのステップS32〜S34およびステップS37〜S45)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電時に、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電手段(例えば、実施の形態でのステップS35およびS36)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電後に、前記蓄電池を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電させる定電圧放電手段(例えば、実施の形態でのステップS46〜S49およびステップS54〜S55)と、前記定電圧放電手段による定電圧放電で放電電流値が前記所定電流値以下になった時点の前記蓄電池の充電状態を予め設定された基準上限充電量であると判定する充電量判定手段(例えば、実施の形態でのステップS56)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電後の前記定電圧放電手段による定電圧放電後の前記内燃機関の再始動時の前記蓄電池の電圧降下により内部抵抗を算出し、該内部抵抗から前記蓄電池の劣化状態を判定する劣化判定手段(例えば、実施の形態でのステップS52)とを備えたことを特徴としている。
【0016】
上記構成の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、定電圧放電の終了時点の蓄電池の充電状態を極めて高い精度で目標値である基準上限充電量に設定することができる。また、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、蓄電池の電極の活性化を図ることができる。
また、定電圧充電時にパルス充放電を行うことにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消することができ、より一層、蓄電池の電極の活性化を促進させることができる。
しかも、車両のアイドル停止以後の再始動時おける蓄電池の電圧降下に基づき内部抵抗を算出し、この内部抵抗あるいは内部抵抗から算出した寿命等に基づき劣化判定を行うことで、精度のよい劣化判定を行うことができる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置は、内燃機関のアイドル運転を停止可能な車両に搭載された車両用蓄電池に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで前記充電を継続する定電圧充電手段(例えば、実施の形態でのステップS32〜S34およびステップS37〜S45)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電後に、前記蓄電池を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電させる定電圧放電手段(例えば、実施の形態でのステップS46〜S49およびステップS54〜S55)と、前記定電圧放電手段による定電圧放電時に、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電手段(例えば、実施の形態でのステップS50およびS51)と、前記定電圧放電手段による定電圧放電で放電電流値が前記所定電流値以下になった時点の前記蓄電池の充電状態を予め設定された基準上限充電量であると判定する充電量判定手段(例えば、実施の形態でのステップS56)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電後の前記定電圧放電手段による定電圧放電後の前記内燃機関の再始動時の前記蓄電池の電圧降下により内部抵抗を算出し、該内部抵抗から前記蓄電池の劣化状態を判定する劣化判定手段(例えば、実施の形態でのステップS52)とを備えたことを特徴としている。
【0018】
上記構成の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、定電圧放電の終了時点の蓄電池の充電状態を極めて高い精度で目標値である基準上限充電量に設定することができる。また、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、蓄電池の電極の活性化を図ることができる。
また、定電圧放電時にパルス充放電を行うことにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消することができ、より一層、蓄電池の電極の活性化を促進させることができると共に、この定電圧放電の継続時間を短縮し、蓄電池の充電状態を基準上限充電量に設定する際の精度を向上させることができる。
しかも、車両のアイドル停止以後の再始動時おける蓄電池の電圧降下に基づき内部抵抗を算出し、この内部抵抗あるいは内部抵抗から算出した寿命等に基づき劣化判定を行うことで、精度のよい劣化判定を行うことができる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置は、発電電動機の回生および駆動制御により車両の振動を抑制する制振制御手段(例えば、実施の形態でのステップS71およびS72)と、前記制振制御手段による制振制御時の前記蓄電池の電圧変化により前記蓄電池の開路電圧を算出し、該開路電圧から前記蓄電池の残容量を算出する残容量算出手段(例えば、実施の形態でのステップS73)とを備えたことを特徴としている。
【0020】
上記構成の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、制振制御手段は内燃機関のトルク変動と逆位相のモータトルクを発生させることで内燃機関のトルク変動に起因して車体に発生する振動を抑制する。残容量算出手段は、制振制御時の発電電動機の回生および駆動の交互の繰り返しに応じて変動する蓄電池の電圧変化に基づき、例えば検出される閉路電圧の電圧変化の中間値や平均値等を開路電圧として設定し、この開路電圧から蓄電池の残容量を算出する。これにより、制振制御時における充放電処理を有効利用して蓄電池の残容量を精度良く算出することができる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置は、発電電動機の回生および駆動制御により車両の振動を抑制する制振制御手段(例えば、実施の形態でのステップS71およびS72)と、前記制振制御手段による制振制御時の前記蓄電池の電圧変化により内部抵抗を算出し、該内部抵抗から前記蓄電池の劣化状態を判定する劣化判定手段(例えば、実施の形態でのステップS73が兼ねる)とを備えたことを特徴としている。
【0022】
上記構成の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、制振制御手段は内燃機関のトルク変動と逆位相のモータトルクを発生させることで内燃機関のトルク変動に起因して車体に発生する振動を抑制する。劣化判定手段は、制振制御時の発電電動機の回生および駆動の交互の繰り返しに応じて変動する蓄電池の電圧変化に基づき、例えば充電側における電圧変化の割合や、例えば放電側の電圧変化の割合や、例えば放電側および充電側の各極大値の変化の割合等から蓄電池の内部抵抗値を算出する。そして、この内部抵抗あるいは内部抵抗から算出した寿命等に基づき劣化判定を行う。これにより、制振制御時における充放電処理を有効利用して蓄電池の劣化判定を精度良く算出することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の蓄電池の充放電制御装置および車両用蓄電池の充放電制御装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明に係る蓄電池の充放電制御装置を備えたハイブリッド車両の全体的なシステム構成を示すブロック図である。
このハイブリッド車両では、エンジン1と発電可能なモータ(以下、モータ・ジェネレータという)2が直結されており、エンジン1とモータ・ジェネレータ2の少なくとも一方の動力が、変速機構3を介して車両の駆動輪4に伝達されるように構成されている。
【0024】
エンジン1は、複数の気筒(図示省略)を有する内燃機関であり、その各気筒は、吸気弁アクチュエータ5により駆動される吸気弁6を介して吸気管7に接続されるとともに、排気弁アクチュエータ8により駆動される排気弁9を介して排気管10に接続されている。吸気管7には、スロットルアクチュエータ11により駆動されるスロットル弁12と燃料噴射弁13が上流側から順に装着され、排気管10には排ガス浄化用の触媒装置14が装着されている。エンジン1の各気筒に供給された混合気は、点火装置15によって点火され燃焼される。
【0025】
また、エンジン1には、エンジン1の運転状態を検出するためのセンサとして、エンジン1の機関温度(例えば、エンジン1の冷却水温TW)を検出する温度センサ16やエンジン1の回転速度NEを検出する回転速度センサ17等のセンサが備えられ、さらに、エンジン1の運転制御を行うためにCPU等を含む電子回路により構成されたエンジンコントローラ(以下、エンジンECUという)20が備えられている。
【0026】
このエンジンECU20には、温度センサ16、回転速度センサ17の出力信号や、車両のアクセル操作量θApを検出するアクセルセンサ21、車速Vcarを検出する車速センサ22の出力信号等が入力される。そして、エンジンECU20は、各センサからの出力信号(入力データ)や予め定められた処理等に基づいて吸気弁アクチュエータ5、排気弁アクチュエータ8、スロットルアクチュエータ11、燃料噴射弁13、点火装置15を制御し、それによりエンジン1の運転制御を行う。
【0027】
また、エンジンECU20は、車両の運転状態からモータ・ジェネレータ2の動作を決定する機能を備え、例えば、エンジン駆動を補助するためにモータ・ジェネレータ2によるアシストを要求したり、車両の減速時のエネルギを回収するためにモータ・ジェネレータ2による回生を要求したり、車両の運転状態に応じて、例えば車両停止直後にエンジン1を停止するアイドル停止を要求する。
【0028】
モータ・ジェネレータ2は、その電源としてのバッテリ23(蓄電池)にパワードライブ回路(以下、PDUと呼ぶ)24を介して接続され、PDU24を介してバッテリ23との間で電力(モータ・ジェネレータ2の力行動作時の供給電力や回生動作時の回生電力)を授受可能とされている。また、バッテリ23は、例えば車室内の空調装置やシートヒータや融氷ウィンドウ等の相対的に高圧の電装品に給電すると共に、DC/DCコンバータ32によって電圧を降圧して、12ボルト駆動の補機(図示略)に給電可能な補機バッテリ33を充電するようになっている。なお、この実施の形態では、バッテリ23は鉛バッテリで構成されており、モータ・ジェネレータ2は例えば3相のDCブラシレスモータで構成されており、PDU24は複数のスイッチング素子をブリッジ接続したインバータを備えている。
【0029】
そして、モータ・ジェネレータ2には、モータ・ジェネレータ2の動作状態を検出するために、モータ・ジェネレータ2の回転速度NMを検出する回転速度センサ25等のセンサが備えられ、また、モータ・ジェネレータ2の動作制御を行うためにCPU等を含む電子回路により構成されたモータコントローラ(以下、モータECUという)26が備えられている。このモータECU26には、回転速度センサ25からの出力信号等が入力される。そして、モー夕ECU26は、回転速度センサ25からの出力信号(入力データ)や予め定められた処理等に基づいて、エンジンECU20から要求された動作に対しモータ・ジェネレータ2の発電、駆動を、PDU24を介して制御する。
【0030】
また、バッテリ23には、バッテリ23の端子間の電圧VBおよび電流IB(以下、それぞれバッテリ電圧VB、バッテリ電流IBと呼ぶ)をそれぞれ検出する電圧センサ27、電流センサ28と、バッテリ23の温度TB(以下、バッテリ温度TBと呼ぶ)を検出する温度センサ29とが備えられるとともに、バッテリ23の状態を監視するためにCPU等を含む電子回路により構成されたバッテリコントローラ(以下、バッテリECUという)30が備えられている。このバッテリECU30には、電圧センサ27、電流センサ28、温度センサ29の出力信号等が入力される。そして、バッテリECU30は、各センサからの出力信号(入力データ)や予め定められた処理に基づいてバッテリ23の残容量(SOC:State of charge)の算出やバッテリ23の寿命等に係る劣化判定処理等を行う。
エンジンECU20 、モータECU26、およびバッテリECU30はバス31を介して相互に接続されており、それぞれが各センサ16,17,21,22,25,27〜29から取得した各検出データや、制御処理に際して生成したデータを相互に授受可能とされている。
【0031】
このハイブリッド車両においては、鉛バッテリからなるバッテリ23の寿命の観点から、さらに、アイドル停止機能の商品性(例えば、運転者に違和感を感じさせない程度のアイドル停止時間およびアイドル停止頻度等)を確保するために、バッテリ23を相対的に高いSOC値で管理するように設定されている。
これに加えて、回生エネルギを効率よく回収するために、バッテリ23に対する充電は所定のSOC値までに留めておくように設定されている。
すなわち、このハイブリッド車両のバッテリ23では、例えば、劣化のない初期の満充電時の容量(以下、満充電容量と称す)を100%とした場合に、上限SOCを100%よりも所定値だけ低い目標値に制御し、また、アイドル停止後の所望のエンジン始動性を確保するために要するSOC値(以下、これを下限SOCと称す)に対して、バッテリ23のSOCを下限SOC以上に管理している。
【0032】
つまり、このハイブリッド車両のバッテリ23のSOCは、下限SOCから上限SOCの範囲内の値となるように制御され、この場合、バッテリ23の使用域は中間SOCとなる。なお、下限SOC値は、バッテリ23のVITマップ等から検出される。ここで、VITマップとは、例えば初期状態等の劣化していないバッテリ23の定常状態での電圧特性に基づいて作成されたマップであり、バッテリ23のSOCに応じた電流値と電圧値とバッテリ温度との関係を示す三次元マップであって、予め実験的に求めることができる。
【0033】
このため、このハイブリッド車両では、例えばSOCが下限SOCに達するなど所定の条件が満たされたときに、モータ・ジェネレータ2で発電をしてバッテリ23の充電を行い上限SOCに制御するように設定されている。
なお、上限SOCを高精度で確定する方法は、次の手順に従って行う。
【0034】
(1)定電圧充電
まず、充電電圧を所定の電圧値(第一電圧値)に保持しながらバッテリ23の充電を行い(以下、これを定電圧充電と称す)、バッテリ23のSOCを、上限SOCよりも若干高いSOC値(以下、これを過上限SOCと称す)まで引き上げる。例えば、上限SOCを80%に設定した場合、過上限SOCを85%程度に設定する。バッテリ23のSOCが過上限SOCに達したか否かは、この定電圧充電実行時におけるバッテリ23の充電電流の変化や定電圧充電の充電時間等から判定することができる。このとき、バッテリ23が劣化していない状態であれば、バッテリ23のSOCを過上限SOCの±数%程度の誤差範囲内に設定することができる。
【0035】
(2)定電圧放電
次に、モータ・ジェネレータ2からの発電を停止して、バッテリ23から放電を行い、放電電圧が第一電圧値よりも所定電圧だけ低い所定の電圧値(第二電圧値)に低下するまで放電を継続する。そして、第二電圧値まで低下したら、放電電圧をこの第二電圧値に保持させるべく、放電および充電(発電)を行う。つまり、放電により電圧が低下しないように放電に協調して充電を行い、電圧を一定値に維持にする(以下、これを定電圧放電、あるいは、負荷協調発電と称す)。そして、この定電圧放電を、バッテリ23のSOCが過上限SOCから上限SOCに達するまで継続し、上限SOCに達した時に定電圧放電を終了する。
なお、バッテリ23のSOCが上限SOCに達したか否かは、この定電圧放電実行時におけるバッテリ23の放電電流の変化等から判定することができる。
【0036】
このように定電圧充電と定電圧放電を行うと、定電圧放電の終了時点のSOCを極めて高い精度で目標値である上限SOCに設定することができ、極めて高い精度で上限SOCを確定することができる。また、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、バッテリ23の電極の活性化を図ることができ、回生の受け入れ性能が向上し、ハイブリッド車両の燃費を向上させることができる。
【0037】
また、後述するように、このハイブリッド車両では、このように高い精度で上限SOCを確定する処理を実行している間に、および、該処理終了直後に、バッテリ23の出力特性を利用して、バッテリ23の劣化判定を実行することとした。このように、高い精度で上限SOCを確定した状態で、バッテリ23の劣化判定処理を実行するので、劣化判定の精度が高まる。
さらに、このハイブリッド車両では、劣化判定処理を実行した結果、バッテリ23の劣化が認められたときには、劣化から回復させるためのリフレッシュ充電(回復充電)処理を実行する。
このリフレッシュ充電処理は、例えばバッテリ23を満充電容量あるいは満充電容量近傍まで充電する処理であって、例えばバッテリ23の充電電圧を第1電圧値に保持しながら相対的に長時間に亘って定電圧充電を行う。例えば、バッテリ23の劣化が一過的なもので回復可能な状態であれば、このリフレッシュ充電処理を行うことにより、バッテリ23のSOCを例えば95%程度まで引き上げることができる。
【0038】
(3)パルス充放電
さらに、後述するように、このハイブリッド車両では、上限SOCを確定する処理を実行している間に、少なくとも定電圧充電時および定電圧放電時の何れか一方において、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電を実行するように設定されている。
このパルス充放電では、バッテリ23のバッテリ電流IBに対して、例えば図2に示すように、充電量と放電量が同等の所定周期のパルス状の時間変化を発生させることにより、下記化学式(1)に示すような放電(例えば、化学式(1)での右方向の反応)および充電(例えば、化学式(1)での左方向の反応)が繰り返される。これにより、例えば中間SOCでの充放電等により生成され、バッテリ23の内部抵抗を増大させる物質である硫化硫黄(PbSO4)結晶周辺において、電解液中の硫黄イオン(Pb2+)の濃度を相対的に低濃度の状態に維持することができ、充電により硫化硫黄(PbSO4)結晶を容易に溶解させ、微細化することができる。
このように、硫化硫黄(PbSO4)結晶が局所的に粗大化することを抑制することによって、電極の反応表面の全体において均一に充電反応および放電反応を発生させることができ、充放電効率の低下や充電の受け入れ性能が低下することを抑制することができ、バッテリ23の劣化状態を回復させることができる。
【0039】
【化1】
【0040】
なお、バッテリ23に対する充電は、例えばエンジン1の出力によるモータ・ジェネレータ2の発電やモータ・ジェネレータ2の回生により行われ、バッテリ23に対する放電は、例えばDC/DCコンバータ32での発熱やDC/DCコンバータ32を介した補機バッテリ33の充電、または、例えば車室内の空調装置やシートヒータや融氷ウィンドウ等の相対的に高圧の電装品への給電により行われる。
【0041】
さらに、後述するように、このハイブリッド車両では、パルス充放電の実行により変動するバッテリ電圧VBに基づき、バッテリ23のSOCを算出すると共にバッテリ23の劣化状態を判定するように設定されている。
例えば、バッテリ23のSOCを算出する際には、先ず、パルス充放電の実行時におけるバッテリ電圧VBの変動を電圧センサ27により検出する。この検出値はバッテリ23の負荷状態での端子電圧、つまり閉路電圧(CCV)である。
そして、閉路電圧(CCV)の検出値から、例えば変動幅の中間値や平均値等を算出し、この算出値を開路電圧(OCV)に相当する値として設定する。
そして、設定した開路電圧(OCV)からSOCを算出する。
【0042】
また、例えば、バッテリ23の劣化状態を判定する際には、先ず、パルス充放電の実行時におけるバッテリ電圧VBの変動を電圧センサ27により検出する。
そして、この検出値において、例えば充電側における変化の割合や、例えば放電側の変化の割合や、例えば放電側および充電側の各極大値の変化の割合等からバッテリ23の内部抵抗値を算出する。
そして、算出した内部抵抗値、あるいは、この内部抵抗値に係るバッテリ23の寿命等に応じてバッテリ23の劣化状態を判定する。
これらのSOCの算出処理や劣化状態の判定処理は、パルス充放電の実行時に繰り返し実行され、複数回の実行によって算出結果や判定結果の精度を向上させることができるようになっている。
【0043】
また、後述するように、このハイブリッド車両では、パルス充放電の実行時における劣化判定処理に加えて、車両のアイドル停止を実行した際には、エンジン1の再始動時におけるバッテリ電圧VBの電圧降下に基づきバッテリ23の劣化判定処理を実行し、これらの2つの異なる劣化判定処理での判定結果に応じてバッテリ23の劣化状態を判定するようになっている。
これにより、バッテリ23の内部抵抗値の算出精度を向上させることができると共に、劣化状態の判定精度をより一層向上させることができ、この判定結果に応じてバッテリ23のリフレッシュ充電(回復充電)処理を実行するように設定することで、リフレッシュ充電処理を適切なタイミングかつ頻度で実行することができる。
【0044】
上述したように、本実施の形態による蓄電池の充放電制御装置は上記構成を備えており、次に、この蓄電池の充放電制御装置の動作つまり充放電制御処理について説明する。
なお、この実施の形態では、例えば、バッテリ23の満充電容量の80%を上限SOCとして設定し、満充電容量の85%を過上限SOCとして設定した。
この充放電制御処理では、エンジン1を始動させるイグニッションスイッチがON状態になると一連の処理が開始される。
すなわち、図3に示すステップS01においてイグニッションスイッチのON状態が検出されると、ステップS02に進み、無負荷状態におけるバッテリ23の端子電圧(すなわち開路電圧OCV)を電圧センサ27により検出するとともに、温度センサ29によりバッテリ23の温度TBを検出する。
【0045】
次に、ステップS03に進み、ステップS01でイグニッションスイッチのON状態が検出される以前における放置時間(エンジン停止時間)tと予め設定された所定時間Tparkとを比較する。
このステップS03において、放置時間tが所定時間Tpark未満(t<Tpark)であると判定された場合には、後述するステップS06に進む。
一方、ステップS03において、放置時間tが所定時間Tpark以上(t≧Tpark)であると判定された場合には、ステップS04に進み、初期状態等の劣化のないバッテリ23の無負荷状態での電圧特性により作成されたOCVとSOCとの関係を示すマップ(図示せず)等を参照して、ステップS02で検出されたOCVに対応するSOCを算出する。
【0046】
次に、ステップS05においては、ステップS04で算出したSOCと、この充放電制御処理を前回実行した際に最後に記憶したSOC値(以下、前回メモリSOC値と略す)とを比較する。
このステップS05において、ステップS04で算出したSOCが前回メモリSOC値以下(SOC≦前回メモリSOC値)と判定された場合には、ステップS04で算出したSOCを今回実行時のSOCとして、ステップS07に進む。
一方、ステップS05において、ステップS04で算出したSOCが前回メモリSOC値より大きい(SOC>前回メモリSOC値)と判定された場合には、ステップS06に進む。
ステップS06においては、前回メモリSOC値を今回実行時のSOCとし、ステップS07に進む。
すなわち、放置時間tが短い場合にはバッテリ23の電圧が飽和していないことを考慮して、今回実行時のSOCに前回走行後のSOC値を採用する。また、車両を放置している間はバッテリ23のSOCが減少傾向に変化することから、放置時間tが十分な場合であってもOCVから算出したSOC値が前回メモリSOC値より大なる場合は、今回実行時のSOCに前回走行後のSOC値を採用する。
【0047】
そして、ステップS07においては、温度センサ29によりバッテリ23の温度TBを検出するとともに、図示しない外気温センサにより外気温TAを検出し、さらに、ステップS08に進んで最低気温予測処理を実行して外気温TAに基づいて最低気温TAminを予測する。
次に、ステップS09に進んで、エンジン暖機中か否かを判定する。
ステップS09において暖機中でない(NO)と判定された場合には、ステップS10に進み、ステップS08で予測された最低気温TAminと、予め設定された所定温度XCとを比較する。
【0048】
一方、ステップS09において暖機中である(YES)と判定された場合には、ステップS11に進み、SOCと予め設定した所定値SOC1(例えば75%)とを比較する。
このステップS11において、SOCが所定値SOC1よりも小さい(SOC<SOC1)と判定された場合にはステップS10に進み、一方、SOCが所定値SOC1以上(SOC≧SOC1)であると判定された場合には、図4に示すステップS22に進んでモードCとし、さらにステップS30に進んで、後述する上限SOC制御を実行する。
このように暖機中であってSOCがSOC1以上のときに上限SOC制御を実行するのは、暖機中の余剰エネルギを発電により回収して、SOCを高い状態に維持させるためである。
【0049】
また、ステップS10において、予測された最低気温TAminが所定温度XC以下(TAmin≦XC)と判定された場合も、ステップS22に進んでモードCとし、さらにステップS30に進んで上限SOC制御を実行する。
このように外気温が所定温度XC以下になると予測されたときに上限SOC制御を実行するのは、上限SOC制御によりSOCを上限値に引き上げることにより電解液の凍結を防止し、始動時のバッテリ出力を確保するためであり、例えばSOCが相対的に低い状態でバッテリ23の電解液が凍結して出力が低下してしまうことを防止する。
【0050】
一方、ステップS10において、予測された最低気温TAminが所定温度XCよりも大きい(TAmin>XC)と判定された場合には、ステップS12に進む。ステップS12においては、バッテリー23の充電電流および放電電流のバッテリ電流IBを積算して積算充電量および積算放電量からなる電流積算(例えば、充電電流に対して正とする)を算出し、この電流積算をバッテリ23の初期全容量に対する百分率表示として、これを前回のSOC値に加算することによって現在のSOCを算出する。
【0051】
次に、ステップS13に進み、「下限SOC検出および判定処理」を実行して、下限SOCを検出するとともに、ステップS12で算出した現在のSOCが該下限SOCに達しているか否かを判定する。
なお、下限SOCは、通常の温度域(例えば、0°C以上)では通常40〜50%程度に設定しVITマップから検出するが、低温域(例えば、0°C未満)では通常の温度域のときよりも大きい例えば70%に設定される。
次に、ステップS14に進んでタイマ処理を実行することにより、上限SOC制御を前回終了してからの経過時間(Time)を計測する。
【0052】
次に、ステップS15に進み、ステップS13における「下限SOC検出および判定処理」の結果に基づいて、現在のSOCが下限SOC以下か否かを判定する。
このステップS15において下限SOC以下(YES)と判定された場合には、ステップS16に進み、前回上限SOCを設定してから今回下限SOC以下と判定されるまでの放電量(換言すると、バッテリ23が下限SOCに達して上限SOC制御に移行したときの下限SOCに達するまでの放電量)を電流積算により算出し、この放電量を放電量AhDIS1に設定する。その後、ステップS22に進んでモードCとし、さらにステップS30に進んで上限SOC制御を実行する。
【0053】
一方、ステップS15において下限SOCに達していない(NO)と判定された場合には、ステップS17に進み、ステップS14におけるタイマ処理の結果に基づいて、経過時間Timeと予め設定された所定時間XTとを比較する。ステップS17において、経過時間Timeが所定時間XT以上(Time≧XT)であると判定された場合には、ステップS22に進んでモードCとし、さらにステップS30に進んで上限SOC制御を実行する。このように、上限SOC制御を前回終了してからの経過時間Timeが所定時間XT以上になったときに上限SOC制御を実行するのは、長時間に亘って電流積算によるSOC値の算出を続けると、積算誤差が大きくなりSOC値に対する信頼性が低下するので、上限SOC制御を実行することによってSOCの真値を得るためである。
【0054】
ステップS17において、経過時間Timeが所定時間XTよりも小さい(Time<XT)と判定された場合には、ステップS18に進み、クルーズ発電が許可されているか否かを判定する。
ステップS18においてクルーズ発電が許可されている(YES)と判定された場合には、ステップS22に進んでモードCとし、さらにステップS30に進んで上限SOC制御を実行する。このようにクルーズ走行時に上限SOC制御を実行するのは、クルーズ走行時に発電を行っても燃費への影響が少ないこと、および、SOCをなるべく高く維持することでバッテリ23の寿命を延ばすためである。
【0055】
ステップS18においてクルーズ発電が許可されていない(NO)と判定された場合には、ステップS19に進み、現在のSOCと予め所定に設定されたアシスト禁止残容量SOC2(例えば65%程度)とを比較する。
ステップS19において、現在のSOCがアシスト禁止残容量SOC2よりも小さい(SOC<SOC2)と判定された場合には、ステップS21に進み、モードBとして、アシストを禁止し、バッテリ23の電力をアイドル停止中の補機33への給電(放電)に限定する。これは、下限SOC以下か否かの判定をほぼ一定の低電流で放電している時に実行することによりその判定精度を向上させるためと、アイドル停止機能の商品性を確保するためである。したがって、このハイブリッド車両では、モータアシストは、SOCがSOC2から上限SOCの範囲にあるときに限って実行可能となる。
【0056】
一方、ステップS19において、現在のSOCがアシスト禁止残容量SOC2以上(SOC≧SOC2)であると判定された場合には、ステップS20に進み、モードAとして、通常の充放電制御(すなわち、モータアシスト要求による放電、および、減速回生による充電)を実行する。
そして、ステップS20でモードAとされた場合、あるいはステップS21でモードBとされた場合は、上限SOC制御を実行することなく、ステップS07に戻る。
一方、ステップS22でモードCとされた場合には、ステップS30に進んで上限SOC制御を実行した後、ステップS23に進み、モードAとなって、通常の充放電制御を実行した後、ステップS07に戻る。
【0057】
次に、上述したステップS30の上限SOC制御について、添付図面を参照しながら説明する。
なお、上限SOC制御には、例えば、定電圧充電処理と、定電圧放電処理と、パルス充放電処理と、バッテリ劣化判定処理との各処理が含まれており、ステップS32〜S34およびステップS37〜S45の一連の処理は定電圧充電処理に対応し、ステップS46〜S49およびステップS54〜S55の一連の処理は定電圧放電処理に対応し、ステップS35およびS36,ステップS50およびS51の各処理はパルス充放電処理に対応し、ステップS52,ステップS62〜S64の各処理はバッテリ劣化判定処理に対応する。
【0058】
まず、例えば図5に示すステップS32においては、この時点でのバッテリ温度TBに応じて、定電圧充電の際の目標電圧と目標電流、すなわち第一電圧値V1および第一電流値I1を図示しないテーブル(TB)等を参照して設定する。これらの第一電圧値V1および第一電流値I1は、上限SOC(例えば、80%)よりも若干大きく設定された過上限SOC(例えば、85%)に対応する値とされている。
次に、ステップS33においては、モータアシスト要求があるか否かを判定する。
このステップS33においてモータアシスト要求がある(YES)と判定された場合には、後述するステップS42に進む。
一方、このステップS33においてモータアシスト要求がない(NO)と判定された場合には、ステップS34に進み、ステップS32において設定した第一電圧値V1による定電圧充電(図4では「CV発電」と記す)を実行する。
【0059】
そして、ステップS34からステップS35に進み、定電圧充電の実行時において所定周期で充電と放電を交互に繰り返すようにバッテリ電流IBを変化させ、パルス充放電を実行する。
ここでは、例えば図6(a)〜(c)に示す時刻t1から時刻t2のように、モータ・ジェネレータ2の発電量が第一電圧値V1に応じた所定発電量G1を中心とした所定幅かつ所定周期で増減するように設定され、バッテリ23のバッテリ電圧VBが所定幅の増減を交互に繰り返しつつ第一電圧値V1に向かい増大傾向に変化するようになる。
【0060】
そして、ステップS36においては、パルス充放電の実施回数N、すなわち充電および放電の繰り返し回数が所定回数N1(例えば、1000等)以上か否かを判定する。
この判定結果において実施回数Nが所定回数N1未満(NO)の場合には、上述したステップS35に戻り、パルス充放電処理を継続する。
一方、この判定結果において実施回数Nが所定回数N1以上(YES)の場合には、ステップS37に進む。
【0061】
そして、ステップS37においては、アイドル停止要求があるか否かを判定する。
このステップS37においてアイドル停止要求がある(YES)と判定された場合には、後述するステップS43に進む。
一方、このステップS37においてアイドル停止要求がない(NO)と判定された場合には、ステップS38に進む。
そして、ステップS38においては、この時点でのバッテリ23のバッテリ電圧VBとステップS32で設定した第一電圧値V1とを比較する。
このステップS38において、バッテリ電圧VBが第一電圧値V1未満(VB<V1)であると判定された場合には、上述したステップS33に戻り、定電圧充電処理を継続する。
一方、このステップS38において、バッテリ電圧VBが第一電圧値V1以上(V≧V1)であると判定された場合には、ステップS39に進む。
【0062】
そして、ステップS39においては、この時点でのバッテリ23のバッテリ電流IBとステップS32で設定した第一電流値I1とを比較する。
このステップS39において、バッテリ電流IBが第一電流値I1以下(I≦I1)と判定された場合には、上限SOC(80%)よりも若干大きく設定された過上限SOC(85%)に達したと判断し、後述するステップS46に進み、定電圧充電処理から定電圧放電処理へと移行する。
一方、このステップS39において、バッテリ電流IBが第一電流値I1よりも大きい(I>I1)と判定された場合には、ステップS40に進む。
そして、ステップS40においてはタイマ処理を実行し、バッテリ電圧VBが目標値である第一電圧値V1以上になってからの経過時間TV1を計測する。
【0063】
次に、ステップS41においては、ステップS40におけるタイマ処理の結果に基づいて、経過時間TV1と予め設定された所定時間TM1とを比較する。
このステップS41において経過時間TV1が所定時間TM1未満(TV1<TM1)であると判定された場合には、上述したステップS33に戻り、定電圧充電処理を継続する。
一方、このステップS41において経過時間TV1が所定時間TM1以上(TV1≧TM1)であると判定された場合には、過上限SOCに到達したと判断し、後述するステップS46に進み、定電圧充電処理から定電圧放電処理へと移行する。
つまり、定電圧充電処理は、(1)バッテリ23のバッテリ電圧VBが第一電圧値V1以上(V≧V1)でバッテリ23のバッテリ電流IBが第一電流値I1以下(I≦I1)に低下するか、(2)バッテリ23のバッテリ電圧VBが第一電圧値V1以上(V≧V1)でバッテリ23のバッテリ電流IBは第一電流値I1以下(I≦I1)に低下していないが経過時間が所定時間TM1を超えるか、のいずれかの充電終了条件が満たされたときに終了する。
【0064】
また、ステップS33においてモータアシスト要求あり(YES)と判定された場合には、ステップS42に進み、バッテリ23への充電を禁止してステップS37に進む。すなわち、モータアシスト要求があるということは、運転者は加速を要求しているわけであり、このようなときに充電をすると運転者に違和感を与え、ドライバビリティが悪化する。そこで、モータアシスト要求があるときには充電を禁止することにより、ドライバビリティの悪化を防止する。ただし、この場合、モータアシスト要求があってもモータアシストは行わない。
【0065】
また、ステップS37においてアイドル停止要求あり(YES)と判定された場合には、ステップS43に進み、今回の上限SOC制御はSOCが下限SOCに達したことにより実行したのか否かを判定する。
このステップS43において、SOCが下限SOCに達したことにより上限SOC制御を実行した(YES)と判定された場合には、アイドル停止を実行することなく、ステップS45に進む。
一方、ステップS43において、SOCが下限SOCに到達したこと以外の理由から上限SOC制御を実行した(NO)と判定された場合には、ステップS44に進んでアイドル停止を実行し、さらにステップS45に進んでアイドル停止終了か否かを判定する。
このステップS45においてアイドル停止終了でない(NO)と判定された場合にはステップS44に戻ってアイドル停止を継続し、アイドル停止終了(YES)と判定された場合には、ステップS38に進む。つまり、アイドル停止中は充電を中断し、この間、バッテリ23は車両の要求に応じて放電を行い、アイドル停止が終了すると再び定電圧充電を継続することとなる。
【0066】
次に、図7に示すステップS46において、この時点でのバッテリ温度TBに応じて、定電圧放電の際の目標電圧と目標電流、すなわち第二電圧値V2および第二電流値I2を図示しないテーブル(TB)等を参照して設定する。これらの第二電圧値V2および第二電流値I2は、上限SOC(例えば、80%)に対応する値とされている。
次に、ステップS47に進み、例えば図6(a)〜(c)に示す時刻t3以降のように、定電圧充電を停止し(換言すると、発電を停止し)、バッテリ23からDC/DCコンバータ32を介した補機バッテリ33への充電、または、例えば車室内の空調装置やシートヒータや融氷ウィンドウ等の相対的に高圧の電装品への給電(放電)を行う。
さらに、ステップS48に進んでタイマ処理を実行することにより、ステップS47の発電停止からの経過時間TF1を計測する。
【0067】
次に、ステップS49に進み、この時点でのバッテリ23のバッテリ電圧VBとステップS43で設定した第二電圧値V2とを比較する。
このステップS49においてバッテリ電圧VBが第二電圧値V2よりも大きい(V>V2)と判定された場合には、ステップS47に戻る。
一方、このステップS49においてバッテリ電圧VBが第二電圧値V2以下(V≦V2)と判定された場合には、ステップS50に進む。
すなわち、発電を停止して放電を開始したならば、バッテリ23のバッテリ電圧VBが第二電圧値V2に到達するまでは発電停止と放電とを継続する。
【0068】
そして、ステップS50においては、定電圧放電の実行時において所定周期で充電と放電を交互に繰り返すようにバッテリ電流IBを変化させ、パルス充放電を実行する。
ここでは、例えば図8に示す時刻t4から時刻t5のように、モータ・ジェネレータ2の発電による充電と補機バッテリ33または高圧の電装品への給電による放電とが交互に繰り返され、バッテリ23のバッテリ電圧VBが、徐々に減衰する増減幅ΔVで第二電圧値V2に向かい収束するようになる。
この増減幅ΔVはバッテリ23の内部抵抗値に応じて変化し、例えば、パルス充放電の実行によって硫化硫黄(PbSO4)結晶が微細化されることに伴ってバッテリ23の内部抵抗値が減少すると、増減幅ΔVが減少する。つまり、この増減幅ΔVの減衰率DVが大きいほど、バッテリ23が回復可能な劣化状態であると判断することができる。
【0069】
そして、ステップS51においては、パルス充放電の実施回数N、すなわち充電および放電の繰り返し回数が所定回数N1(例えば、1000等)以上か否かを判定する。
この判定結果において実施回数Nが所定回数N1未満(NO)の場合には、上述したステップS50に戻り、パルス充放電処理を継続する。
一方、この判定結果において実施回数Nが所定回数N1以上(YES)の場合には、ステップS52に進む。
【0070】
そして、ステップS52においては、第1の寿命(SOH1)判定として、一連のパルス充放電処理におけるバッテリ電圧VBの増減幅ΔVの相対値と所定相対値(例えば、75%等)とを比較する。
このステップS52において増減幅ΔVの相対値が所定相対値よりも小さい、つまり増減幅ΔVの減衰率DVが所定減衰率DV1(例えば、25%等)よりも大きい(DV>DV1)と判定された場合には、バッテリ23が劣化していると判断して後述するステップS57に進む。
一方、このステップS52において増減幅ΔVの相対値が所定相対値以上である、つまり減衰率DVが所定減衰率DV1以下である(DV≦DV1)と判定された場合には、ステップS53に進む。
なお、増減幅ΔVの相対値とは、一連のパルス充放電処理におけるバッテリ電圧VBの最大値Vmaxと最小値Vminとの偏差(Vmax−Vmin)に対する相対値(ΔV/(Vmax−Vmin))として設定されており、減衰率DVは(1−ΔV/(Vmax−Vmin))とされている。
なお、ステップS52においては、上述した劣化判定に加えて、一連のパルス充放電処理におけるバッテリ電圧VBの増減幅ΔVの中間値や平均値等を開路電圧(OCV)に相当する値として設定し、設定した開路電圧(OCV)からSOCを算出する。
【0071】
そして、ステップS53においては、パルス充放電の実行によってバッテリ23が劣化状態から回復したと判断し、ステップS54に進む。
そして、ステップS54においては、バッテリ電圧VBが第二電圧値V2を維持するように、バッテリ23の放電とモータ・ジェネレータ2による発電制御を行う。つまり、補機負荷に協調した発電制御を行うことにより定電圧を保持する。なお、この間、モータ・ジェネレータ2への給電(すなわち、モータアシスト)、およびアイドル停止は禁止する。これにより、安定した状態での定電圧放電を保証する。以下、ステップS54の処理を定電圧放電(図7においてはCV放電と記す)、あるいは、補機負荷協調定電圧発電と称す。
【0072】
次に、ステップS55に進み、バッテリ電圧VBとステップS46で設定した第二電圧値V2とを比較する。
このステップS55においてバッテリ電圧VBが第二電圧値V2よりも小さい(VB<V2)と判定された場合には、ステップS50に戻り、パルス充放電処理を継続する。
一方、このステップS55においてバッテリ電圧VBが第二電圧値V2以上(V≧V2)と判定された場合には、ステップS56に進み、SOCに上限SOC(例えば、80%)を設定して、一連の定電圧放電処理を終了し、後述するステップS58に進む。
【0073】
すなわち、内部抵抗値の増大によってバッテリ23が劣化して充電受け入れ性能が低下しているときには、定電圧充電後のSOCが所望する過上限SOCに到達していない場合がある。これに伴い、定電圧放電によってバッテリ電圧VBが第二電圧値V2以下に到達したと判定されたときであっても、実際のSOCが所望する上限SOCに到達していない場合がある。この状態で、パルス充放電処理を実行し、バッテリ23の内部抵抗値が低減されると、バッテリ電圧VBは実際のSOCに対応した値まで低下することになる。
従って、パルス充放電処理の実行後にバッテリ電圧VBが第二電圧値V2よりも小さい(VB<V2)と判定された場合には、ステップS50に戻り、パルス充放電処理および補機負荷協調定電圧発電を実行して、バッテリ電圧VBが第二電圧値V2に到達するように、つまり実際のSOCが上限SOCに到達するように制御を行う。
【0074】
なお、ステップS52において増減幅ΔVの相対値が所定相対値(例えば、75%等)よりも小さいと判定された場合に実行されるステップS57においては、第1の劣化判定処理として、パルス充放電の実行時におけるバッテリ電圧VBの増減幅ΔVの減衰率DVに基づいてバッテリ23の劣化状態を判定する。
ここでは、例えば、減衰率DVからバッテリ23の内部抵抗値を算出し、この内部抵抗値から、さらにバッテリ23の寿命を算出し、劣化の程度を判定する。
【0075】
次に、図9に示すステップS58においては、アイドル停止要求があるか否かを判定する。
このステップS58においてアイドル停止要求がない(NO)と判定された場合には、ステップS58に戻る。
一方、このステップS58においてアイドル停止要求がある(YES)と判定された場合には、ステップS59に進んでアイドル停止を実行し、さらにステップS60に進んでアイドル停止終了か否かを判定する。
このステップS60においてアイドル停止終了でない(NO)と判定された場合にはステップS59に戻ってアイドル停止を継続し、アイドル停止終了(YES)と判定された場合には、ステップS61に進む。
【0076】
ステップS61においては、アイドル停止以後におけるエンジン1の再始動に係る放電を実行する。
これにより、例えば図10に示すように、アイドル停止が実行された時刻t6以降において、補機への給電等によってバッテリ電圧VBが低下傾向に変化し、時刻t7においてエンジン1が再始動されると、バッテリ電圧VBは適宜の電圧値V3まで低下する。
そして、ステップS62においては、第2の寿命(SOH2)判定として、エンジン1の再始動に係るバッテリ電圧VBの電圧降下に基づきバッテリ23の内部抵抗値Rを算出し、バッテリ23が劣化していない時の初期内部抵抗Riniに対する増加率DRと、所定増加率DR1(例えば、40%等)とを比較する。
このステップS62において、増加率DRが所定増加率DR1よりも小さい(DR<DR1)と判定された場合にはステップS63に進み、バッテリ23の劣化状態は回復済みであると判断して、一連の処理を終了する。
一方、このステップS62において、増加率DRが所定増加率DR1以上(DR≧DR1)であると判定された場合には、バッテリ23が劣化していると判断してステップS64に進む。
【0077】
そして、ステップS64においては、上述したステップS52での第1の寿命(SOH1)判定およびステップS62での第2の寿命(SOH2)判定の両方において、バッテリ23が劣化していると判断されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS63に進み、バッテリ23の劣化状態は回復済みであると判断する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、バッテリ23が劣化していると判断して、ステップS65に進む。
そして、ステップS65においては、例えばバッテリ23を満充電容量あるいは満充電容量近傍まで充電して、バッテリ23を劣化から回復させるためのリフレッシュ充電(回復充電)処理を実行し、一連の処理を終了する。
【0078】
すなわち、バッテリ23の劣化状態を判定する際には、例えば数10A程度の充電電流および放電電流のパルス充放電処理におけるバッテリ電圧VBの変動に基づく判定結果と、例えば数100A程度の放電電流を要するエンジン1の再始動時の電圧降下に基づく判定結果とを参照し、これらの2つの異なる劣化判定処理での判定結果に応じて劣化判定を行うようになっている。
【0079】
上述したように、本実施の形態による蓄電池の充放電制御装置によれば、ハイブリッド車両に搭載されたバッテリ23の使用域が中間SOCとなることで、硫化硫黄(PbSO4)結晶の粗大化という回復可能な一時的な劣化が生じた場合であっても、パルス充放電処理の実行によって硫化硫黄(PbSO4)結晶を溶解させ、微細化することができる。これにより、蓄電池の電極の活性化を促進させ、電極の反応表面の全体において均一に充電反応および放電反応を発生させることができ、充放電効率の低下や充電の受け入れ性能が低下することを抑制することができ、バッテリ23の劣化を回復させることができる。
しかも、このパルス充放電処理を定電圧充電時に実行することで、定電圧充電による劣化回復作用にパルス充放電処理による劣化回復作用が加わり、より一層、効果的に劣化回復を行うことができる。
また、このパルス充放電処理を定電圧放電時に実行することで、定電圧放電の継続時間を短縮することができ、より早いタイミングでバッテリ23を所望の充電状態に設定することができる。
【0080】
さらに、パルス充放電処理に伴うバッテリ23の電圧変化に基づき開路電圧を算出し、この開路電圧からSOCを算出することで、例えばバッテリ23を無負荷状態に設定して実際に開路電圧を検出する場合に比べて、容易にSOCを算出することができる。
しかも、複数回に亘って交互に繰り返される充電および放電に対してSOCを算出することができ、SOCの算出精度を向上させることができる。
また、パルス充放電処理に伴うバッテリ23の電圧変化に基づき内部抵抗を算出し、この内部抵抗あるいは内部抵抗から算出した寿命等に応じて劣化判定を行うことで、劣化判定の判定精度を向上させることができ、例えば相対的に長時間に亘って定電圧充電を行うリフレッシュ充電処理の実行タイミングや実行頻度を適切に設定することができ、リフレッシュ充電処理の過剰な実施により車両のドライバビリティが劣化してしまうことを防止することができる。
【0081】
さらに、アイドル停止後のエンジン1の再始動時における電圧降下から内部抵抗を算出し、この内部抵抗あるいは内部抵抗から算出した寿命等に応じて劣化判定を行うことで、この再始動時における劣化判定と、パルス充放電処理での劣化判定とを組み合わせて、2つの異なる劣化判定処理での判定結果に応じてバッテリ23の劣化状態を判定することができ、判定精度を向上させることができる。
【0082】
なお、上述した実施の形態においては、定電圧充電時および定電圧放電時においてパルス充放電処理を実行するとしたが、これに限定されず、定電圧充電時および定電圧放電時の何れか一方においてパルス充放電処理を実行するように設定してもよい。
【0083】
また、上述した実施の形態においては、上限SOCを確定する処理を実行している間のパルス充放電処理に基づき、バッテリ23のSOCの算出やバッテリ23の劣化判定や劣化の回復を行うように設定したが、これに限定されず、例えば上限SOCを確定する処理とは独立して実行される制振制御時のパルス充放電処理に基づき、バッテリ23のSOCの算出やバッテリ23の劣化判定等を行うようにしてもよい。
すなわち、制振制御ではエンジン1の周期的な駆動力の変動を抑制するようにモータ・ジェネレータ2による発電及びモータ・ジェネレータ2によるエンジン1の駆動補助を周期的に交互に繰り返し行い、エンジン1による駆動力の変動に伴って車体に発生する振動を、モータ・ジェネレータ2のトルク変動、つまりエンジントルクと逆位相のモータトルクにより抑制するようになっている。
このモータ・ジェネレータ2による周期的な発電および駆動補助の繰り返しにより変動するバッテリ電圧VBに基づき、バッテリ23のSOCを算出すると共にバッテリ23の劣化状態を判定することで、制振制御時のパルス充放電処理を有効利用することができる。
【0084】
例えば、図11に示すステップS71においては、エンジン回転数NEとエンジントルクの各検知信号から制振トルクを算出し、この制振トルクを発生させるようにモータ・ジェネレータ2を作動させ、所定周期で充電と放電を交互に繰り返すようにバッテリ電流IBを変化させる。
そして、ステップS72においては、パルス充放電の実施回数N、すなわち充電および放電の繰り返し回数が所定回数N1(例えば、1000等)以上か否かを判定する。
この判定結果において実施回数Nが所定回数N1未満(NO)の場合には、上述したステップS71に戻り、パルス充放電処理を継続する。
一方、この判定結果において実施回数Nが所定回数N1以上(YES)の場合には、ステップS73に進む。
【0085】
ステップS73においては、パルス充放電の実行時におけるバッテリ電圧VBの変動を電圧センサ27により検出する。この検出値はバッテリ23の負荷状態での端子電圧つまり閉路電圧(CCV)であり、この検出値から、例えば変動幅の中間値や平均値等を算出し、この算出値を開路電圧(OCV)に相当する値として設定する。そして、設定した開路電圧(OCV)からSOCを算出する。
さらに、このステップS73においては、バッテリ電圧VBの変動の検出値から、例えば充電側における変化の割合や、例えば放電側の変化の割合や、例えば放電側および充電側の各極大値の変化の割合等からバッテリ23の内部抵抗値を算出する。そして、この内部抵抗値あるいは内部抵抗値から算出したバッテリ23の寿命等に応じてバッテリ23の劣化状態を判定し、一連の処理を終了する。
なお、この制振制御時のパルス充放電処理において、例えばバッテリ23の温度が相対的に低い場合には、相対的に高い周波数(例えば、20Hz以上等)でパルス充放電を実行することにより、充放電の損失に伴うバッテリ23の過剰な温度上昇の発生を防止することができる。
【0086】
なお、この発明は前述した実施の形態に限られるものではない。
例えば、前述した実施の形態はこの発明を鉛蓄電池の充放電制御装置に適用したものであるが、この発明はリチウムイオン蓄電池の充放電制御装置にも応用することが可能である。
また、前述した実施の形態ではハイブリッド車両に搭載された蓄電池の充放電制御装置に適用した態様であるが、蓄電池は車載用に限るものではなく、種々の使用態様の蓄電池に対しこの発明は適用可能である。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置によれば、定電圧放電の終了時点の蓄電池の充電状態を極めて高い精度で目標値である基準上限充電量に設定することができ、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、蓄電池の電極の活性化を図ることができる。しかも、定電圧充電時にパルス充放電を行うことにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消することができ、より一層、蓄電池の電極の活性化を促進させることができる。
また、請求項2に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置によれば、定電圧放電の終了時点の蓄電池の充電状態を極めて高い精度で目標値である基準上限充電量に設定することができ、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、蓄電池の電極の活性化を図ることができる。しかも、定電圧放電時にパルス充放電を行うことにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消することができ、より一層、蓄電池の電極の活性化を促進させることができると共に、この定電圧放電の継続時間を短縮し、蓄電池の充電状態を基準上限充電量に設定する際の精度を向上させることができる。
【0088】
さらに、請求項3に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置によれば、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消しつつ、精度のよい劣化判定を行うことができる。
さらに、請求項4に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置によれば、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消しつつ、残容量の算出精度を向上させることができる。
【0089】
また、請求項5に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、精度のよい劣化判定を行うことができる。
また、請求項6に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、精度のよい劣化判定を行うことができる。
また、請求項7に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、制振制御時における充放電処理を有効利用して蓄電池の残容量を精度良く算出することができる。
また、請求項8に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、制振制御時における充放電処理を有効利用して蓄電池の劣化判定を精度良く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る蓄電池の充放電制御装置を備えたハイブリッド車両の全体的なシステム構成を示すブロック図である。
【図2】パルス充放電におけるバッテリ電流IBの時間変化を示すグラフ図である。
【図3】図1に示す蓄電池の充放電制御装置の動作つまり充放電制御処理を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す蓄電池の充放電制御装置の動作つまり充放電制御処理を示すフローチャートである。
【図5】図4に示す上限SOC制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図6(a)は定電圧充電処理でのパルス充放電処理の実行時におけるバッテリ電圧VBの時間変化の一例を示すグラフ図であり、図6(b)はパルス充放電処理の実行時におけるモータ・ジェネレータの発電量の時間変化の一例を示すグラフ図であり、図6(c)は定電圧放電処理の実行時における補機負荷の時間変化の一例を示すグラフ図である。
【図7】図4に示す上限SOC制御処理を示すフローチャートである。
【図8】定電圧放電処理でのパルス充放電処理の実行時におけるバッテリ電圧VBの時間変化の一例を示すグラフ図である。
【図9】図4に示す上限SOC制御処理を示すフローチャートである。
【図10】アイドル停止以後のエンジンの再始動時におけるバッテリ電圧VBの時間変化の一例を示すグラフ図である。
【図11】制振制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 モータ・ジェネレータ(モータ)
23 バッテリ(蓄電池)
33 補機バッテリ
ステップS32〜S34 定電圧充電手段
ステップS35およびS36 パルス充放電手段
ステップS37〜S45 定電圧充電手段
ステップS46〜S49 定電圧放電手段
ステップS50およびS51 パルス充放電手段
ステップS52 劣化判定手段、残容量算出手段
ステップS54〜S55 定電圧放電手段
ステップS56 充電量判定手段
ステップS71およびS72 制振制御手段
ステップS73 劣化判定手段、残容量算出手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄電池の充放電制御装置および車両用蓄電池の充放電制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、バッテリの残容量(SOC:State of charge)の検出は、例えば鉛バッテリでは、電解液の比重を測定しその比重に基づいてSOCを求めたり、バッテリの無負荷状態での端子電圧、いわゆる開路電圧(OCV)を測定しそのOCVに基づいてSOCを求めている。
(例えば、特許文献1参照)
また、ニッケル水素電池のように、外部特性が全域SOCで現れない電池では、バッテリの負荷状態での端子電圧、いわゆる閉路電圧(CCV)を測定しそのCCVと電流および電池温度に基づいてSOCを求めている。
(例えば、特許文献2参照)
一方、バッテリの劣化判定は、電流−電圧特性から内部抵抗を算出し、この内部抵抗値に基づいて判定している。
(例えば、特許文献3参照)
【0003】
【特許文献1】
特開2001−97150号公報(第2頁、第4頁)
【特許文献2】
特開平10−319100号公報(第3頁)
【特許文献3】
特開平11−7985号公報(第2頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハイブリッド車両に鉛電池を搭載する場合、電解液の比重から残容量(SOC)を検出する方法では、検出精度が低い等の理由から実用的でない。
また、OCVは無負荷状態で検出することが求められるので、OCVからSOCを検出することができるのは、例えばエンジン始動時等の所定のタイミングに限定される。走行中のSOCを求めるためには、SOCはバッテリ内に貯留されている電荷の総量に対応することから、例えば、バッテリの充電電流および放電電流を所定期間毎に積算して積算充電量および積算放電量を算出し、これらの積算充電量および積算放電量を初期状態あるいは充放電開始直前のSOCに加算又は減算することで現時点のSOCを算出する必要がある。しかしながら、この方法では、積算充電量および積算放電量を算出する際に、電流検出器の測定誤差等が累積されることとなるため、長時間に亘るSOCの算出処理ではSOCの誤差が増大してしまう場合がある。
【0005】
また、ハイブリッド車両の電源としての使用を想定すると、満充電によるSOCリセットは、エネルギ効率、回生エネルギの回収の観点からは適切ではない場合がある。さらに、ハイブリッド車両の電源として使用した場合には、中間域(例えば、50〜80%)のSOCで使用するため、過充電を行った後に満充電と判定することが困難となる場合がある。
一方、CCVと電流と電池温度からSOCを求める方法では、電解液が活物質であることから、充放電履歴の影響を受け、精度よくSOCを推定することが困難になるという問題が生じる。
【0006】
また、電流−電圧特性から内部抵抗を算出しバッテリの劣化判定を行う場合、電流−電圧特性が充放電履歴の影響を受けるため、内部抵抗の増加を精度よく検出することが困難であり、バッテリの劣化判定の精度を向上させることができないという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、バッテリのSOCを予め設定した所定のSOCに高精度に設定することができ、また、バッテリの劣化判定を高精度に行うことが可能な蓄電池の充放電制御装置および車両用蓄電池の充放電制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置は、蓄電池に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで前記充電を継続する定電圧充電手段(例えば、実施の形態でのステップS32〜S34およびステップS37〜S45)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電時に、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電手段(例えば、実施の形態でのステップS35およびS36)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電後に、前記蓄電池を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電させる定電圧放電手段(例えば、実施の形態でのステップS46〜S49およびステップS54〜S55)と、前記定電圧放電手段による定電圧放電で放電電流値が前記所定電流値以下になった時点の前記蓄電池の充電状態を予め設定された基準上限充電量であると判定する充電量判定手段(例えば、実施の形態でのステップS56)とを備えたことを特徴としている。
【0008】
上記構成の蓄電池の充放電制御装置によれば、定電圧放電の終了時点の蓄電池の充電状態を極めて高い精度で目標値である基準上限充電量に設定することができる。また、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、蓄電池の電極の活性化を図ることができる。
しかも、定電圧充電時にパルス充放電を行うことにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消することができ、より一層、蓄電池の電極の活性化を促進させることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置は、蓄電池に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで前記充電を継続する定電圧充電手段(例えば、実施の形態でのステップS32〜S34およびステップS37〜S45)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電後に、前記蓄電池を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電させる定電圧放電手段(例えば、実施の形態でのステップS46〜S49およびステップS54〜S55)と、前記定電圧放電手段による定電圧放電時に、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電手段(例えば、実施の形態でのステップS50およびS51)と、前記定電圧放電手段による定電圧放電で放電電流値が前記所定電流値以下になった時点の前記蓄電池の充電状態を予め設定された基準上限充電量であると判定する充電量判定手段(例えば、実施の形態でのステップS56)とを備えたことを特徴としている。
【0010】
上記構成の蓄電池の充放電制御装置によれば、定電圧放電の終了時点の蓄電池の充電状態を極めて高い精度で目標値である基準上限充電量に設定することができる。また、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、蓄電池の電極の活性化を図ることができる。
しかも、定電圧放電時にパルス充放電を行うことにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消することができ、より一層、蓄電池の電極の活性化を促進させることができると共に、この定電圧放電の継続時間を短縮し、蓄電池の充電状態を基準上限充電量に設定する際の精度を向上させることができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置は、前記パルス充放電手段による充放電時の前記蓄電池の電圧変化により内部抵抗を算出し、該内部抵抗から前記蓄電池の劣化状態を判定する劣化判定手段(例えば、実施の形態でのステップS52)を備えたことを特徴としている。
【0012】
上記構成の蓄電池の充放電制御装置によれば、パルス充放電時の蓄電池の電圧変化において、例えば充電側における変化の割合や、例えば放電側の変化の割合や、例えば放電側および充電側の各極大値の変化の割合等から蓄電池の内部抵抗値を算出する。そして、この内部抵抗あるいは内部抵抗から算出した寿命等に基づき劣化判定を行う。これにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消しつつ、精度のよい劣化判定を行うことができる。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置は、前記パルス充放電手段による充放電時の前記蓄電池の電圧変化により前記蓄電池の開路電圧を算出し、該開路電圧から前記蓄電池の残容量を算出する残容量算出手段(例えば、実施の形態でのステップS52が兼ねる)を備えたことを特徴としている。
【0014】
上記構成の蓄電池の充放電制御装置によれば、パルス充放電時の蓄電池の電圧変化において、検出される閉路電圧の電圧変化の中間値や平均値等を開路電圧として設定し、この開路電圧から蓄電池の残容量を算出する。これにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消しつつ、残容量の算出精度を向上させることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置は、内燃機関のアイドル運転を停止可能な車両に搭載された車両用蓄電池に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで前記充電を継続する定電圧充電手段(例えば、実施の形態でのステップS32〜S34およびステップS37〜S45)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電時に、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電手段(例えば、実施の形態でのステップS35およびS36)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電後に、前記蓄電池を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電させる定電圧放電手段(例えば、実施の形態でのステップS46〜S49およびステップS54〜S55)と、前記定電圧放電手段による定電圧放電で放電電流値が前記所定電流値以下になった時点の前記蓄電池の充電状態を予め設定された基準上限充電量であると判定する充電量判定手段(例えば、実施の形態でのステップS56)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電後の前記定電圧放電手段による定電圧放電後の前記内燃機関の再始動時の前記蓄電池の電圧降下により内部抵抗を算出し、該内部抵抗から前記蓄電池の劣化状態を判定する劣化判定手段(例えば、実施の形態でのステップS52)とを備えたことを特徴としている。
【0016】
上記構成の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、定電圧放電の終了時点の蓄電池の充電状態を極めて高い精度で目標値である基準上限充電量に設定することができる。また、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、蓄電池の電極の活性化を図ることができる。
また、定電圧充電時にパルス充放電を行うことにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消することができ、より一層、蓄電池の電極の活性化を促進させることができる。
しかも、車両のアイドル停止以後の再始動時おける蓄電池の電圧降下に基づき内部抵抗を算出し、この内部抵抗あるいは内部抵抗から算出した寿命等に基づき劣化判定を行うことで、精度のよい劣化判定を行うことができる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置は、内燃機関のアイドル運転を停止可能な車両に搭載された車両用蓄電池に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで前記充電を継続する定電圧充電手段(例えば、実施の形態でのステップS32〜S34およびステップS37〜S45)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電後に、前記蓄電池を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電させる定電圧放電手段(例えば、実施の形態でのステップS46〜S49およびステップS54〜S55)と、前記定電圧放電手段による定電圧放電時に、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電手段(例えば、実施の形態でのステップS50およびS51)と、前記定電圧放電手段による定電圧放電で放電電流値が前記所定電流値以下になった時点の前記蓄電池の充電状態を予め設定された基準上限充電量であると判定する充電量判定手段(例えば、実施の形態でのステップS56)と、前記定電圧充電手段による定電圧充電後の前記定電圧放電手段による定電圧放電後の前記内燃機関の再始動時の前記蓄電池の電圧降下により内部抵抗を算出し、該内部抵抗から前記蓄電池の劣化状態を判定する劣化判定手段(例えば、実施の形態でのステップS52)とを備えたことを特徴としている。
【0018】
上記構成の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、定電圧放電の終了時点の蓄電池の充電状態を極めて高い精度で目標値である基準上限充電量に設定することができる。また、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、蓄電池の電極の活性化を図ることができる。
また、定電圧放電時にパルス充放電を行うことにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消することができ、より一層、蓄電池の電極の活性化を促進させることができると共に、この定電圧放電の継続時間を短縮し、蓄電池の充電状態を基準上限充電量に設定する際の精度を向上させることができる。
しかも、車両のアイドル停止以後の再始動時おける蓄電池の電圧降下に基づき内部抵抗を算出し、この内部抵抗あるいは内部抵抗から算出した寿命等に基づき劣化判定を行うことで、精度のよい劣化判定を行うことができる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置は、発電電動機の回生および駆動制御により車両の振動を抑制する制振制御手段(例えば、実施の形態でのステップS71およびS72)と、前記制振制御手段による制振制御時の前記蓄電池の電圧変化により前記蓄電池の開路電圧を算出し、該開路電圧から前記蓄電池の残容量を算出する残容量算出手段(例えば、実施の形態でのステップS73)とを備えたことを特徴としている。
【0020】
上記構成の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、制振制御手段は内燃機関のトルク変動と逆位相のモータトルクを発生させることで内燃機関のトルク変動に起因して車体に発生する振動を抑制する。残容量算出手段は、制振制御時の発電電動機の回生および駆動の交互の繰り返しに応じて変動する蓄電池の電圧変化に基づき、例えば検出される閉路電圧の電圧変化の中間値や平均値等を開路電圧として設定し、この開路電圧から蓄電池の残容量を算出する。これにより、制振制御時における充放電処理を有効利用して蓄電池の残容量を精度良く算出することができる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置は、発電電動機の回生および駆動制御により車両の振動を抑制する制振制御手段(例えば、実施の形態でのステップS71およびS72)と、前記制振制御手段による制振制御時の前記蓄電池の電圧変化により内部抵抗を算出し、該内部抵抗から前記蓄電池の劣化状態を判定する劣化判定手段(例えば、実施の形態でのステップS73が兼ねる)とを備えたことを特徴としている。
【0022】
上記構成の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、制振制御手段は内燃機関のトルク変動と逆位相のモータトルクを発生させることで内燃機関のトルク変動に起因して車体に発生する振動を抑制する。劣化判定手段は、制振制御時の発電電動機の回生および駆動の交互の繰り返しに応じて変動する蓄電池の電圧変化に基づき、例えば充電側における電圧変化の割合や、例えば放電側の電圧変化の割合や、例えば放電側および充電側の各極大値の変化の割合等から蓄電池の内部抵抗値を算出する。そして、この内部抵抗あるいは内部抵抗から算出した寿命等に基づき劣化判定を行う。これにより、制振制御時における充放電処理を有効利用して蓄電池の劣化判定を精度良く算出することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の蓄電池の充放電制御装置および車両用蓄電池の充放電制御装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明に係る蓄電池の充放電制御装置を備えたハイブリッド車両の全体的なシステム構成を示すブロック図である。
このハイブリッド車両では、エンジン1と発電可能なモータ(以下、モータ・ジェネレータという)2が直結されており、エンジン1とモータ・ジェネレータ2の少なくとも一方の動力が、変速機構3を介して車両の駆動輪4に伝達されるように構成されている。
【0024】
エンジン1は、複数の気筒(図示省略)を有する内燃機関であり、その各気筒は、吸気弁アクチュエータ5により駆動される吸気弁6を介して吸気管7に接続されるとともに、排気弁アクチュエータ8により駆動される排気弁9を介して排気管10に接続されている。吸気管7には、スロットルアクチュエータ11により駆動されるスロットル弁12と燃料噴射弁13が上流側から順に装着され、排気管10には排ガス浄化用の触媒装置14が装着されている。エンジン1の各気筒に供給された混合気は、点火装置15によって点火され燃焼される。
【0025】
また、エンジン1には、エンジン1の運転状態を検出するためのセンサとして、エンジン1の機関温度(例えば、エンジン1の冷却水温TW)を検出する温度センサ16やエンジン1の回転速度NEを検出する回転速度センサ17等のセンサが備えられ、さらに、エンジン1の運転制御を行うためにCPU等を含む電子回路により構成されたエンジンコントローラ(以下、エンジンECUという)20が備えられている。
【0026】
このエンジンECU20には、温度センサ16、回転速度センサ17の出力信号や、車両のアクセル操作量θApを検出するアクセルセンサ21、車速Vcarを検出する車速センサ22の出力信号等が入力される。そして、エンジンECU20は、各センサからの出力信号(入力データ)や予め定められた処理等に基づいて吸気弁アクチュエータ5、排気弁アクチュエータ8、スロットルアクチュエータ11、燃料噴射弁13、点火装置15を制御し、それによりエンジン1の運転制御を行う。
【0027】
また、エンジンECU20は、車両の運転状態からモータ・ジェネレータ2の動作を決定する機能を備え、例えば、エンジン駆動を補助するためにモータ・ジェネレータ2によるアシストを要求したり、車両の減速時のエネルギを回収するためにモータ・ジェネレータ2による回生を要求したり、車両の運転状態に応じて、例えば車両停止直後にエンジン1を停止するアイドル停止を要求する。
【0028】
モータ・ジェネレータ2は、その電源としてのバッテリ23(蓄電池)にパワードライブ回路(以下、PDUと呼ぶ)24を介して接続され、PDU24を介してバッテリ23との間で電力(モータ・ジェネレータ2の力行動作時の供給電力や回生動作時の回生電力)を授受可能とされている。また、バッテリ23は、例えば車室内の空調装置やシートヒータや融氷ウィンドウ等の相対的に高圧の電装品に給電すると共に、DC/DCコンバータ32によって電圧を降圧して、12ボルト駆動の補機(図示略)に給電可能な補機バッテリ33を充電するようになっている。なお、この実施の形態では、バッテリ23は鉛バッテリで構成されており、モータ・ジェネレータ2は例えば3相のDCブラシレスモータで構成されており、PDU24は複数のスイッチング素子をブリッジ接続したインバータを備えている。
【0029】
そして、モータ・ジェネレータ2には、モータ・ジェネレータ2の動作状態を検出するために、モータ・ジェネレータ2の回転速度NMを検出する回転速度センサ25等のセンサが備えられ、また、モータ・ジェネレータ2の動作制御を行うためにCPU等を含む電子回路により構成されたモータコントローラ(以下、モータECUという)26が備えられている。このモータECU26には、回転速度センサ25からの出力信号等が入力される。そして、モー夕ECU26は、回転速度センサ25からの出力信号(入力データ)や予め定められた処理等に基づいて、エンジンECU20から要求された動作に対しモータ・ジェネレータ2の発電、駆動を、PDU24を介して制御する。
【0030】
また、バッテリ23には、バッテリ23の端子間の電圧VBおよび電流IB(以下、それぞれバッテリ電圧VB、バッテリ電流IBと呼ぶ)をそれぞれ検出する電圧センサ27、電流センサ28と、バッテリ23の温度TB(以下、バッテリ温度TBと呼ぶ)を検出する温度センサ29とが備えられるとともに、バッテリ23の状態を監視するためにCPU等を含む電子回路により構成されたバッテリコントローラ(以下、バッテリECUという)30が備えられている。このバッテリECU30には、電圧センサ27、電流センサ28、温度センサ29の出力信号等が入力される。そして、バッテリECU30は、各センサからの出力信号(入力データ)や予め定められた処理に基づいてバッテリ23の残容量(SOC:State of charge)の算出やバッテリ23の寿命等に係る劣化判定処理等を行う。
エンジンECU20 、モータECU26、およびバッテリECU30はバス31を介して相互に接続されており、それぞれが各センサ16,17,21,22,25,27〜29から取得した各検出データや、制御処理に際して生成したデータを相互に授受可能とされている。
【0031】
このハイブリッド車両においては、鉛バッテリからなるバッテリ23の寿命の観点から、さらに、アイドル停止機能の商品性(例えば、運転者に違和感を感じさせない程度のアイドル停止時間およびアイドル停止頻度等)を確保するために、バッテリ23を相対的に高いSOC値で管理するように設定されている。
これに加えて、回生エネルギを効率よく回収するために、バッテリ23に対する充電は所定のSOC値までに留めておくように設定されている。
すなわち、このハイブリッド車両のバッテリ23では、例えば、劣化のない初期の満充電時の容量(以下、満充電容量と称す)を100%とした場合に、上限SOCを100%よりも所定値だけ低い目標値に制御し、また、アイドル停止後の所望のエンジン始動性を確保するために要するSOC値(以下、これを下限SOCと称す)に対して、バッテリ23のSOCを下限SOC以上に管理している。
【0032】
つまり、このハイブリッド車両のバッテリ23のSOCは、下限SOCから上限SOCの範囲内の値となるように制御され、この場合、バッテリ23の使用域は中間SOCとなる。なお、下限SOC値は、バッテリ23のVITマップ等から検出される。ここで、VITマップとは、例えば初期状態等の劣化していないバッテリ23の定常状態での電圧特性に基づいて作成されたマップであり、バッテリ23のSOCに応じた電流値と電圧値とバッテリ温度との関係を示す三次元マップであって、予め実験的に求めることができる。
【0033】
このため、このハイブリッド車両では、例えばSOCが下限SOCに達するなど所定の条件が満たされたときに、モータ・ジェネレータ2で発電をしてバッテリ23の充電を行い上限SOCに制御するように設定されている。
なお、上限SOCを高精度で確定する方法は、次の手順に従って行う。
【0034】
(1)定電圧充電
まず、充電電圧を所定の電圧値(第一電圧値)に保持しながらバッテリ23の充電を行い(以下、これを定電圧充電と称す)、バッテリ23のSOCを、上限SOCよりも若干高いSOC値(以下、これを過上限SOCと称す)まで引き上げる。例えば、上限SOCを80%に設定した場合、過上限SOCを85%程度に設定する。バッテリ23のSOCが過上限SOCに達したか否かは、この定電圧充電実行時におけるバッテリ23の充電電流の変化や定電圧充電の充電時間等から判定することができる。このとき、バッテリ23が劣化していない状態であれば、バッテリ23のSOCを過上限SOCの±数%程度の誤差範囲内に設定することができる。
【0035】
(2)定電圧放電
次に、モータ・ジェネレータ2からの発電を停止して、バッテリ23から放電を行い、放電電圧が第一電圧値よりも所定電圧だけ低い所定の電圧値(第二電圧値)に低下するまで放電を継続する。そして、第二電圧値まで低下したら、放電電圧をこの第二電圧値に保持させるべく、放電および充電(発電)を行う。つまり、放電により電圧が低下しないように放電に協調して充電を行い、電圧を一定値に維持にする(以下、これを定電圧放電、あるいは、負荷協調発電と称す)。そして、この定電圧放電を、バッテリ23のSOCが過上限SOCから上限SOCに達するまで継続し、上限SOCに達した時に定電圧放電を終了する。
なお、バッテリ23のSOCが上限SOCに達したか否かは、この定電圧放電実行時におけるバッテリ23の放電電流の変化等から判定することができる。
【0036】
このように定電圧充電と定電圧放電を行うと、定電圧放電の終了時点のSOCを極めて高い精度で目標値である上限SOCに設定することができ、極めて高い精度で上限SOCを確定することができる。また、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、バッテリ23の電極の活性化を図ることができ、回生の受け入れ性能が向上し、ハイブリッド車両の燃費を向上させることができる。
【0037】
また、後述するように、このハイブリッド車両では、このように高い精度で上限SOCを確定する処理を実行している間に、および、該処理終了直後に、バッテリ23の出力特性を利用して、バッテリ23の劣化判定を実行することとした。このように、高い精度で上限SOCを確定した状態で、バッテリ23の劣化判定処理を実行するので、劣化判定の精度が高まる。
さらに、このハイブリッド車両では、劣化判定処理を実行した結果、バッテリ23の劣化が認められたときには、劣化から回復させるためのリフレッシュ充電(回復充電)処理を実行する。
このリフレッシュ充電処理は、例えばバッテリ23を満充電容量あるいは満充電容量近傍まで充電する処理であって、例えばバッテリ23の充電電圧を第1電圧値に保持しながら相対的に長時間に亘って定電圧充電を行う。例えば、バッテリ23の劣化が一過的なもので回復可能な状態であれば、このリフレッシュ充電処理を行うことにより、バッテリ23のSOCを例えば95%程度まで引き上げることができる。
【0038】
(3)パルス充放電
さらに、後述するように、このハイブリッド車両では、上限SOCを確定する処理を実行している間に、少なくとも定電圧充電時および定電圧放電時の何れか一方において、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電を実行するように設定されている。
このパルス充放電では、バッテリ23のバッテリ電流IBに対して、例えば図2に示すように、充電量と放電量が同等の所定周期のパルス状の時間変化を発生させることにより、下記化学式(1)に示すような放電(例えば、化学式(1)での右方向の反応)および充電(例えば、化学式(1)での左方向の反応)が繰り返される。これにより、例えば中間SOCでの充放電等により生成され、バッテリ23の内部抵抗を増大させる物質である硫化硫黄(PbSO4)結晶周辺において、電解液中の硫黄イオン(Pb2+)の濃度を相対的に低濃度の状態に維持することができ、充電により硫化硫黄(PbSO4)結晶を容易に溶解させ、微細化することができる。
このように、硫化硫黄(PbSO4)結晶が局所的に粗大化することを抑制することによって、電極の反応表面の全体において均一に充電反応および放電反応を発生させることができ、充放電効率の低下や充電の受け入れ性能が低下することを抑制することができ、バッテリ23の劣化状態を回復させることができる。
【0039】
【化1】
【0040】
なお、バッテリ23に対する充電は、例えばエンジン1の出力によるモータ・ジェネレータ2の発電やモータ・ジェネレータ2の回生により行われ、バッテリ23に対する放電は、例えばDC/DCコンバータ32での発熱やDC/DCコンバータ32を介した補機バッテリ33の充電、または、例えば車室内の空調装置やシートヒータや融氷ウィンドウ等の相対的に高圧の電装品への給電により行われる。
【0041】
さらに、後述するように、このハイブリッド車両では、パルス充放電の実行により変動するバッテリ電圧VBに基づき、バッテリ23のSOCを算出すると共にバッテリ23の劣化状態を判定するように設定されている。
例えば、バッテリ23のSOCを算出する際には、先ず、パルス充放電の実行時におけるバッテリ電圧VBの変動を電圧センサ27により検出する。この検出値はバッテリ23の負荷状態での端子電圧、つまり閉路電圧(CCV)である。
そして、閉路電圧(CCV)の検出値から、例えば変動幅の中間値や平均値等を算出し、この算出値を開路電圧(OCV)に相当する値として設定する。
そして、設定した開路電圧(OCV)からSOCを算出する。
【0042】
また、例えば、バッテリ23の劣化状態を判定する際には、先ず、パルス充放電の実行時におけるバッテリ電圧VBの変動を電圧センサ27により検出する。
そして、この検出値において、例えば充電側における変化の割合や、例えば放電側の変化の割合や、例えば放電側および充電側の各極大値の変化の割合等からバッテリ23の内部抵抗値を算出する。
そして、算出した内部抵抗値、あるいは、この内部抵抗値に係るバッテリ23の寿命等に応じてバッテリ23の劣化状態を判定する。
これらのSOCの算出処理や劣化状態の判定処理は、パルス充放電の実行時に繰り返し実行され、複数回の実行によって算出結果や判定結果の精度を向上させることができるようになっている。
【0043】
また、後述するように、このハイブリッド車両では、パルス充放電の実行時における劣化判定処理に加えて、車両のアイドル停止を実行した際には、エンジン1の再始動時におけるバッテリ電圧VBの電圧降下に基づきバッテリ23の劣化判定処理を実行し、これらの2つの異なる劣化判定処理での判定結果に応じてバッテリ23の劣化状態を判定するようになっている。
これにより、バッテリ23の内部抵抗値の算出精度を向上させることができると共に、劣化状態の判定精度をより一層向上させることができ、この判定結果に応じてバッテリ23のリフレッシュ充電(回復充電)処理を実行するように設定することで、リフレッシュ充電処理を適切なタイミングかつ頻度で実行することができる。
【0044】
上述したように、本実施の形態による蓄電池の充放電制御装置は上記構成を備えており、次に、この蓄電池の充放電制御装置の動作つまり充放電制御処理について説明する。
なお、この実施の形態では、例えば、バッテリ23の満充電容量の80%を上限SOCとして設定し、満充電容量の85%を過上限SOCとして設定した。
この充放電制御処理では、エンジン1を始動させるイグニッションスイッチがON状態になると一連の処理が開始される。
すなわち、図3に示すステップS01においてイグニッションスイッチのON状態が検出されると、ステップS02に進み、無負荷状態におけるバッテリ23の端子電圧(すなわち開路電圧OCV)を電圧センサ27により検出するとともに、温度センサ29によりバッテリ23の温度TBを検出する。
【0045】
次に、ステップS03に進み、ステップS01でイグニッションスイッチのON状態が検出される以前における放置時間(エンジン停止時間)tと予め設定された所定時間Tparkとを比較する。
このステップS03において、放置時間tが所定時間Tpark未満(t<Tpark)であると判定された場合には、後述するステップS06に進む。
一方、ステップS03において、放置時間tが所定時間Tpark以上(t≧Tpark)であると判定された場合には、ステップS04に進み、初期状態等の劣化のないバッテリ23の無負荷状態での電圧特性により作成されたOCVとSOCとの関係を示すマップ(図示せず)等を参照して、ステップS02で検出されたOCVに対応するSOCを算出する。
【0046】
次に、ステップS05においては、ステップS04で算出したSOCと、この充放電制御処理を前回実行した際に最後に記憶したSOC値(以下、前回メモリSOC値と略す)とを比較する。
このステップS05において、ステップS04で算出したSOCが前回メモリSOC値以下(SOC≦前回メモリSOC値)と判定された場合には、ステップS04で算出したSOCを今回実行時のSOCとして、ステップS07に進む。
一方、ステップS05において、ステップS04で算出したSOCが前回メモリSOC値より大きい(SOC>前回メモリSOC値)と判定された場合には、ステップS06に進む。
ステップS06においては、前回メモリSOC値を今回実行時のSOCとし、ステップS07に進む。
すなわち、放置時間tが短い場合にはバッテリ23の電圧が飽和していないことを考慮して、今回実行時のSOCに前回走行後のSOC値を採用する。また、車両を放置している間はバッテリ23のSOCが減少傾向に変化することから、放置時間tが十分な場合であってもOCVから算出したSOC値が前回メモリSOC値より大なる場合は、今回実行時のSOCに前回走行後のSOC値を採用する。
【0047】
そして、ステップS07においては、温度センサ29によりバッテリ23の温度TBを検出するとともに、図示しない外気温センサにより外気温TAを検出し、さらに、ステップS08に進んで最低気温予測処理を実行して外気温TAに基づいて最低気温TAminを予測する。
次に、ステップS09に進んで、エンジン暖機中か否かを判定する。
ステップS09において暖機中でない(NO)と判定された場合には、ステップS10に進み、ステップS08で予測された最低気温TAminと、予め設定された所定温度XCとを比較する。
【0048】
一方、ステップS09において暖機中である(YES)と判定された場合には、ステップS11に進み、SOCと予め設定した所定値SOC1(例えば75%)とを比較する。
このステップS11において、SOCが所定値SOC1よりも小さい(SOC<SOC1)と判定された場合にはステップS10に進み、一方、SOCが所定値SOC1以上(SOC≧SOC1)であると判定された場合には、図4に示すステップS22に進んでモードCとし、さらにステップS30に進んで、後述する上限SOC制御を実行する。
このように暖機中であってSOCがSOC1以上のときに上限SOC制御を実行するのは、暖機中の余剰エネルギを発電により回収して、SOCを高い状態に維持させるためである。
【0049】
また、ステップS10において、予測された最低気温TAminが所定温度XC以下(TAmin≦XC)と判定された場合も、ステップS22に進んでモードCとし、さらにステップS30に進んで上限SOC制御を実行する。
このように外気温が所定温度XC以下になると予測されたときに上限SOC制御を実行するのは、上限SOC制御によりSOCを上限値に引き上げることにより電解液の凍結を防止し、始動時のバッテリ出力を確保するためであり、例えばSOCが相対的に低い状態でバッテリ23の電解液が凍結して出力が低下してしまうことを防止する。
【0050】
一方、ステップS10において、予測された最低気温TAminが所定温度XCよりも大きい(TAmin>XC)と判定された場合には、ステップS12に進む。ステップS12においては、バッテリー23の充電電流および放電電流のバッテリ電流IBを積算して積算充電量および積算放電量からなる電流積算(例えば、充電電流に対して正とする)を算出し、この電流積算をバッテリ23の初期全容量に対する百分率表示として、これを前回のSOC値に加算することによって現在のSOCを算出する。
【0051】
次に、ステップS13に進み、「下限SOC検出および判定処理」を実行して、下限SOCを検出するとともに、ステップS12で算出した現在のSOCが該下限SOCに達しているか否かを判定する。
なお、下限SOCは、通常の温度域(例えば、0°C以上)では通常40〜50%程度に設定しVITマップから検出するが、低温域(例えば、0°C未満)では通常の温度域のときよりも大きい例えば70%に設定される。
次に、ステップS14に進んでタイマ処理を実行することにより、上限SOC制御を前回終了してからの経過時間(Time)を計測する。
【0052】
次に、ステップS15に進み、ステップS13における「下限SOC検出および判定処理」の結果に基づいて、現在のSOCが下限SOC以下か否かを判定する。
このステップS15において下限SOC以下(YES)と判定された場合には、ステップS16に進み、前回上限SOCを設定してから今回下限SOC以下と判定されるまでの放電量(換言すると、バッテリ23が下限SOCに達して上限SOC制御に移行したときの下限SOCに達するまでの放電量)を電流積算により算出し、この放電量を放電量AhDIS1に設定する。その後、ステップS22に進んでモードCとし、さらにステップS30に進んで上限SOC制御を実行する。
【0053】
一方、ステップS15において下限SOCに達していない(NO)と判定された場合には、ステップS17に進み、ステップS14におけるタイマ処理の結果に基づいて、経過時間Timeと予め設定された所定時間XTとを比較する。ステップS17において、経過時間Timeが所定時間XT以上(Time≧XT)であると判定された場合には、ステップS22に進んでモードCとし、さらにステップS30に進んで上限SOC制御を実行する。このように、上限SOC制御を前回終了してからの経過時間Timeが所定時間XT以上になったときに上限SOC制御を実行するのは、長時間に亘って電流積算によるSOC値の算出を続けると、積算誤差が大きくなりSOC値に対する信頼性が低下するので、上限SOC制御を実行することによってSOCの真値を得るためである。
【0054】
ステップS17において、経過時間Timeが所定時間XTよりも小さい(Time<XT)と判定された場合には、ステップS18に進み、クルーズ発電が許可されているか否かを判定する。
ステップS18においてクルーズ発電が許可されている(YES)と判定された場合には、ステップS22に進んでモードCとし、さらにステップS30に進んで上限SOC制御を実行する。このようにクルーズ走行時に上限SOC制御を実行するのは、クルーズ走行時に発電を行っても燃費への影響が少ないこと、および、SOCをなるべく高く維持することでバッテリ23の寿命を延ばすためである。
【0055】
ステップS18においてクルーズ発電が許可されていない(NO)と判定された場合には、ステップS19に進み、現在のSOCと予め所定に設定されたアシスト禁止残容量SOC2(例えば65%程度)とを比較する。
ステップS19において、現在のSOCがアシスト禁止残容量SOC2よりも小さい(SOC<SOC2)と判定された場合には、ステップS21に進み、モードBとして、アシストを禁止し、バッテリ23の電力をアイドル停止中の補機33への給電(放電)に限定する。これは、下限SOC以下か否かの判定をほぼ一定の低電流で放電している時に実行することによりその判定精度を向上させるためと、アイドル停止機能の商品性を確保するためである。したがって、このハイブリッド車両では、モータアシストは、SOCがSOC2から上限SOCの範囲にあるときに限って実行可能となる。
【0056】
一方、ステップS19において、現在のSOCがアシスト禁止残容量SOC2以上(SOC≧SOC2)であると判定された場合には、ステップS20に進み、モードAとして、通常の充放電制御(すなわち、モータアシスト要求による放電、および、減速回生による充電)を実行する。
そして、ステップS20でモードAとされた場合、あるいはステップS21でモードBとされた場合は、上限SOC制御を実行することなく、ステップS07に戻る。
一方、ステップS22でモードCとされた場合には、ステップS30に進んで上限SOC制御を実行した後、ステップS23に進み、モードAとなって、通常の充放電制御を実行した後、ステップS07に戻る。
【0057】
次に、上述したステップS30の上限SOC制御について、添付図面を参照しながら説明する。
なお、上限SOC制御には、例えば、定電圧充電処理と、定電圧放電処理と、パルス充放電処理と、バッテリ劣化判定処理との各処理が含まれており、ステップS32〜S34およびステップS37〜S45の一連の処理は定電圧充電処理に対応し、ステップS46〜S49およびステップS54〜S55の一連の処理は定電圧放電処理に対応し、ステップS35およびS36,ステップS50およびS51の各処理はパルス充放電処理に対応し、ステップS52,ステップS62〜S64の各処理はバッテリ劣化判定処理に対応する。
【0058】
まず、例えば図5に示すステップS32においては、この時点でのバッテリ温度TBに応じて、定電圧充電の際の目標電圧と目標電流、すなわち第一電圧値V1および第一電流値I1を図示しないテーブル(TB)等を参照して設定する。これらの第一電圧値V1および第一電流値I1は、上限SOC(例えば、80%)よりも若干大きく設定された過上限SOC(例えば、85%)に対応する値とされている。
次に、ステップS33においては、モータアシスト要求があるか否かを判定する。
このステップS33においてモータアシスト要求がある(YES)と判定された場合には、後述するステップS42に進む。
一方、このステップS33においてモータアシスト要求がない(NO)と判定された場合には、ステップS34に進み、ステップS32において設定した第一電圧値V1による定電圧充電(図4では「CV発電」と記す)を実行する。
【0059】
そして、ステップS34からステップS35に進み、定電圧充電の実行時において所定周期で充電と放電を交互に繰り返すようにバッテリ電流IBを変化させ、パルス充放電を実行する。
ここでは、例えば図6(a)〜(c)に示す時刻t1から時刻t2のように、モータ・ジェネレータ2の発電量が第一電圧値V1に応じた所定発電量G1を中心とした所定幅かつ所定周期で増減するように設定され、バッテリ23のバッテリ電圧VBが所定幅の増減を交互に繰り返しつつ第一電圧値V1に向かい増大傾向に変化するようになる。
【0060】
そして、ステップS36においては、パルス充放電の実施回数N、すなわち充電および放電の繰り返し回数が所定回数N1(例えば、1000等)以上か否かを判定する。
この判定結果において実施回数Nが所定回数N1未満(NO)の場合には、上述したステップS35に戻り、パルス充放電処理を継続する。
一方、この判定結果において実施回数Nが所定回数N1以上(YES)の場合には、ステップS37に進む。
【0061】
そして、ステップS37においては、アイドル停止要求があるか否かを判定する。
このステップS37においてアイドル停止要求がある(YES)と判定された場合には、後述するステップS43に進む。
一方、このステップS37においてアイドル停止要求がない(NO)と判定された場合には、ステップS38に進む。
そして、ステップS38においては、この時点でのバッテリ23のバッテリ電圧VBとステップS32で設定した第一電圧値V1とを比較する。
このステップS38において、バッテリ電圧VBが第一電圧値V1未満(VB<V1)であると判定された場合には、上述したステップS33に戻り、定電圧充電処理を継続する。
一方、このステップS38において、バッテリ電圧VBが第一電圧値V1以上(V≧V1)であると判定された場合には、ステップS39に進む。
【0062】
そして、ステップS39においては、この時点でのバッテリ23のバッテリ電流IBとステップS32で設定した第一電流値I1とを比較する。
このステップS39において、バッテリ電流IBが第一電流値I1以下(I≦I1)と判定された場合には、上限SOC(80%)よりも若干大きく設定された過上限SOC(85%)に達したと判断し、後述するステップS46に進み、定電圧充電処理から定電圧放電処理へと移行する。
一方、このステップS39において、バッテリ電流IBが第一電流値I1よりも大きい(I>I1)と判定された場合には、ステップS40に進む。
そして、ステップS40においてはタイマ処理を実行し、バッテリ電圧VBが目標値である第一電圧値V1以上になってからの経過時間TV1を計測する。
【0063】
次に、ステップS41においては、ステップS40におけるタイマ処理の結果に基づいて、経過時間TV1と予め設定された所定時間TM1とを比較する。
このステップS41において経過時間TV1が所定時間TM1未満(TV1<TM1)であると判定された場合には、上述したステップS33に戻り、定電圧充電処理を継続する。
一方、このステップS41において経過時間TV1が所定時間TM1以上(TV1≧TM1)であると判定された場合には、過上限SOCに到達したと判断し、後述するステップS46に進み、定電圧充電処理から定電圧放電処理へと移行する。
つまり、定電圧充電処理は、(1)バッテリ23のバッテリ電圧VBが第一電圧値V1以上(V≧V1)でバッテリ23のバッテリ電流IBが第一電流値I1以下(I≦I1)に低下するか、(2)バッテリ23のバッテリ電圧VBが第一電圧値V1以上(V≧V1)でバッテリ23のバッテリ電流IBは第一電流値I1以下(I≦I1)に低下していないが経過時間が所定時間TM1を超えるか、のいずれかの充電終了条件が満たされたときに終了する。
【0064】
また、ステップS33においてモータアシスト要求あり(YES)と判定された場合には、ステップS42に進み、バッテリ23への充電を禁止してステップS37に進む。すなわち、モータアシスト要求があるということは、運転者は加速を要求しているわけであり、このようなときに充電をすると運転者に違和感を与え、ドライバビリティが悪化する。そこで、モータアシスト要求があるときには充電を禁止することにより、ドライバビリティの悪化を防止する。ただし、この場合、モータアシスト要求があってもモータアシストは行わない。
【0065】
また、ステップS37においてアイドル停止要求あり(YES)と判定された場合には、ステップS43に進み、今回の上限SOC制御はSOCが下限SOCに達したことにより実行したのか否かを判定する。
このステップS43において、SOCが下限SOCに達したことにより上限SOC制御を実行した(YES)と判定された場合には、アイドル停止を実行することなく、ステップS45に進む。
一方、ステップS43において、SOCが下限SOCに到達したこと以外の理由から上限SOC制御を実行した(NO)と判定された場合には、ステップS44に進んでアイドル停止を実行し、さらにステップS45に進んでアイドル停止終了か否かを判定する。
このステップS45においてアイドル停止終了でない(NO)と判定された場合にはステップS44に戻ってアイドル停止を継続し、アイドル停止終了(YES)と判定された場合には、ステップS38に進む。つまり、アイドル停止中は充電を中断し、この間、バッテリ23は車両の要求に応じて放電を行い、アイドル停止が終了すると再び定電圧充電を継続することとなる。
【0066】
次に、図7に示すステップS46において、この時点でのバッテリ温度TBに応じて、定電圧放電の際の目標電圧と目標電流、すなわち第二電圧値V2および第二電流値I2を図示しないテーブル(TB)等を参照して設定する。これらの第二電圧値V2および第二電流値I2は、上限SOC(例えば、80%)に対応する値とされている。
次に、ステップS47に進み、例えば図6(a)〜(c)に示す時刻t3以降のように、定電圧充電を停止し(換言すると、発電を停止し)、バッテリ23からDC/DCコンバータ32を介した補機バッテリ33への充電、または、例えば車室内の空調装置やシートヒータや融氷ウィンドウ等の相対的に高圧の電装品への給電(放電)を行う。
さらに、ステップS48に進んでタイマ処理を実行することにより、ステップS47の発電停止からの経過時間TF1を計測する。
【0067】
次に、ステップS49に進み、この時点でのバッテリ23のバッテリ電圧VBとステップS43で設定した第二電圧値V2とを比較する。
このステップS49においてバッテリ電圧VBが第二電圧値V2よりも大きい(V>V2)と判定された場合には、ステップS47に戻る。
一方、このステップS49においてバッテリ電圧VBが第二電圧値V2以下(V≦V2)と判定された場合には、ステップS50に進む。
すなわち、発電を停止して放電を開始したならば、バッテリ23のバッテリ電圧VBが第二電圧値V2に到達するまでは発電停止と放電とを継続する。
【0068】
そして、ステップS50においては、定電圧放電の実行時において所定周期で充電と放電を交互に繰り返すようにバッテリ電流IBを変化させ、パルス充放電を実行する。
ここでは、例えば図8に示す時刻t4から時刻t5のように、モータ・ジェネレータ2の発電による充電と補機バッテリ33または高圧の電装品への給電による放電とが交互に繰り返され、バッテリ23のバッテリ電圧VBが、徐々に減衰する増減幅ΔVで第二電圧値V2に向かい収束するようになる。
この増減幅ΔVはバッテリ23の内部抵抗値に応じて変化し、例えば、パルス充放電の実行によって硫化硫黄(PbSO4)結晶が微細化されることに伴ってバッテリ23の内部抵抗値が減少すると、増減幅ΔVが減少する。つまり、この増減幅ΔVの減衰率DVが大きいほど、バッテリ23が回復可能な劣化状態であると判断することができる。
【0069】
そして、ステップS51においては、パルス充放電の実施回数N、すなわち充電および放電の繰り返し回数が所定回数N1(例えば、1000等)以上か否かを判定する。
この判定結果において実施回数Nが所定回数N1未満(NO)の場合には、上述したステップS50に戻り、パルス充放電処理を継続する。
一方、この判定結果において実施回数Nが所定回数N1以上(YES)の場合には、ステップS52に進む。
【0070】
そして、ステップS52においては、第1の寿命(SOH1)判定として、一連のパルス充放電処理におけるバッテリ電圧VBの増減幅ΔVの相対値と所定相対値(例えば、75%等)とを比較する。
このステップS52において増減幅ΔVの相対値が所定相対値よりも小さい、つまり増減幅ΔVの減衰率DVが所定減衰率DV1(例えば、25%等)よりも大きい(DV>DV1)と判定された場合には、バッテリ23が劣化していると判断して後述するステップS57に進む。
一方、このステップS52において増減幅ΔVの相対値が所定相対値以上である、つまり減衰率DVが所定減衰率DV1以下である(DV≦DV1)と判定された場合には、ステップS53に進む。
なお、増減幅ΔVの相対値とは、一連のパルス充放電処理におけるバッテリ電圧VBの最大値Vmaxと最小値Vminとの偏差(Vmax−Vmin)に対する相対値(ΔV/(Vmax−Vmin))として設定されており、減衰率DVは(1−ΔV/(Vmax−Vmin))とされている。
なお、ステップS52においては、上述した劣化判定に加えて、一連のパルス充放電処理におけるバッテリ電圧VBの増減幅ΔVの中間値や平均値等を開路電圧(OCV)に相当する値として設定し、設定した開路電圧(OCV)からSOCを算出する。
【0071】
そして、ステップS53においては、パルス充放電の実行によってバッテリ23が劣化状態から回復したと判断し、ステップS54に進む。
そして、ステップS54においては、バッテリ電圧VBが第二電圧値V2を維持するように、バッテリ23の放電とモータ・ジェネレータ2による発電制御を行う。つまり、補機負荷に協調した発電制御を行うことにより定電圧を保持する。なお、この間、モータ・ジェネレータ2への給電(すなわち、モータアシスト)、およびアイドル停止は禁止する。これにより、安定した状態での定電圧放電を保証する。以下、ステップS54の処理を定電圧放電(図7においてはCV放電と記す)、あるいは、補機負荷協調定電圧発電と称す。
【0072】
次に、ステップS55に進み、バッテリ電圧VBとステップS46で設定した第二電圧値V2とを比較する。
このステップS55においてバッテリ電圧VBが第二電圧値V2よりも小さい(VB<V2)と判定された場合には、ステップS50に戻り、パルス充放電処理を継続する。
一方、このステップS55においてバッテリ電圧VBが第二電圧値V2以上(V≧V2)と判定された場合には、ステップS56に進み、SOCに上限SOC(例えば、80%)を設定して、一連の定電圧放電処理を終了し、後述するステップS58に進む。
【0073】
すなわち、内部抵抗値の増大によってバッテリ23が劣化して充電受け入れ性能が低下しているときには、定電圧充電後のSOCが所望する過上限SOCに到達していない場合がある。これに伴い、定電圧放電によってバッテリ電圧VBが第二電圧値V2以下に到達したと判定されたときであっても、実際のSOCが所望する上限SOCに到達していない場合がある。この状態で、パルス充放電処理を実行し、バッテリ23の内部抵抗値が低減されると、バッテリ電圧VBは実際のSOCに対応した値まで低下することになる。
従って、パルス充放電処理の実行後にバッテリ電圧VBが第二電圧値V2よりも小さい(VB<V2)と判定された場合には、ステップS50に戻り、パルス充放電処理および補機負荷協調定電圧発電を実行して、バッテリ電圧VBが第二電圧値V2に到達するように、つまり実際のSOCが上限SOCに到達するように制御を行う。
【0074】
なお、ステップS52において増減幅ΔVの相対値が所定相対値(例えば、75%等)よりも小さいと判定された場合に実行されるステップS57においては、第1の劣化判定処理として、パルス充放電の実行時におけるバッテリ電圧VBの増減幅ΔVの減衰率DVに基づいてバッテリ23の劣化状態を判定する。
ここでは、例えば、減衰率DVからバッテリ23の内部抵抗値を算出し、この内部抵抗値から、さらにバッテリ23の寿命を算出し、劣化の程度を判定する。
【0075】
次に、図9に示すステップS58においては、アイドル停止要求があるか否かを判定する。
このステップS58においてアイドル停止要求がない(NO)と判定された場合には、ステップS58に戻る。
一方、このステップS58においてアイドル停止要求がある(YES)と判定された場合には、ステップS59に進んでアイドル停止を実行し、さらにステップS60に進んでアイドル停止終了か否かを判定する。
このステップS60においてアイドル停止終了でない(NO)と判定された場合にはステップS59に戻ってアイドル停止を継続し、アイドル停止終了(YES)と判定された場合には、ステップS61に進む。
【0076】
ステップS61においては、アイドル停止以後におけるエンジン1の再始動に係る放電を実行する。
これにより、例えば図10に示すように、アイドル停止が実行された時刻t6以降において、補機への給電等によってバッテリ電圧VBが低下傾向に変化し、時刻t7においてエンジン1が再始動されると、バッテリ電圧VBは適宜の電圧値V3まで低下する。
そして、ステップS62においては、第2の寿命(SOH2)判定として、エンジン1の再始動に係るバッテリ電圧VBの電圧降下に基づきバッテリ23の内部抵抗値Rを算出し、バッテリ23が劣化していない時の初期内部抵抗Riniに対する増加率DRと、所定増加率DR1(例えば、40%等)とを比較する。
このステップS62において、増加率DRが所定増加率DR1よりも小さい(DR<DR1)と判定された場合にはステップS63に進み、バッテリ23の劣化状態は回復済みであると判断して、一連の処理を終了する。
一方、このステップS62において、増加率DRが所定増加率DR1以上(DR≧DR1)であると判定された場合には、バッテリ23が劣化していると判断してステップS64に進む。
【0077】
そして、ステップS64においては、上述したステップS52での第1の寿命(SOH1)判定およびステップS62での第2の寿命(SOH2)判定の両方において、バッテリ23が劣化していると判断されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS63に進み、バッテリ23の劣化状態は回復済みであると判断する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、バッテリ23が劣化していると判断して、ステップS65に進む。
そして、ステップS65においては、例えばバッテリ23を満充電容量あるいは満充電容量近傍まで充電して、バッテリ23を劣化から回復させるためのリフレッシュ充電(回復充電)処理を実行し、一連の処理を終了する。
【0078】
すなわち、バッテリ23の劣化状態を判定する際には、例えば数10A程度の充電電流および放電電流のパルス充放電処理におけるバッテリ電圧VBの変動に基づく判定結果と、例えば数100A程度の放電電流を要するエンジン1の再始動時の電圧降下に基づく判定結果とを参照し、これらの2つの異なる劣化判定処理での判定結果に応じて劣化判定を行うようになっている。
【0079】
上述したように、本実施の形態による蓄電池の充放電制御装置によれば、ハイブリッド車両に搭載されたバッテリ23の使用域が中間SOCとなることで、硫化硫黄(PbSO4)結晶の粗大化という回復可能な一時的な劣化が生じた場合であっても、パルス充放電処理の実行によって硫化硫黄(PbSO4)結晶を溶解させ、微細化することができる。これにより、蓄電池の電極の活性化を促進させ、電極の反応表面の全体において均一に充電反応および放電反応を発生させることができ、充放電効率の低下や充電の受け入れ性能が低下することを抑制することができ、バッテリ23の劣化を回復させることができる。
しかも、このパルス充放電処理を定電圧充電時に実行することで、定電圧充電による劣化回復作用にパルス充放電処理による劣化回復作用が加わり、より一層、効果的に劣化回復を行うことができる。
また、このパルス充放電処理を定電圧放電時に実行することで、定電圧放電の継続時間を短縮することができ、より早いタイミングでバッテリ23を所望の充電状態に設定することができる。
【0080】
さらに、パルス充放電処理に伴うバッテリ23の電圧変化に基づき開路電圧を算出し、この開路電圧からSOCを算出することで、例えばバッテリ23を無負荷状態に設定して実際に開路電圧を検出する場合に比べて、容易にSOCを算出することができる。
しかも、複数回に亘って交互に繰り返される充電および放電に対してSOCを算出することができ、SOCの算出精度を向上させることができる。
また、パルス充放電処理に伴うバッテリ23の電圧変化に基づき内部抵抗を算出し、この内部抵抗あるいは内部抵抗から算出した寿命等に応じて劣化判定を行うことで、劣化判定の判定精度を向上させることができ、例えば相対的に長時間に亘って定電圧充電を行うリフレッシュ充電処理の実行タイミングや実行頻度を適切に設定することができ、リフレッシュ充電処理の過剰な実施により車両のドライバビリティが劣化してしまうことを防止することができる。
【0081】
さらに、アイドル停止後のエンジン1の再始動時における電圧降下から内部抵抗を算出し、この内部抵抗あるいは内部抵抗から算出した寿命等に応じて劣化判定を行うことで、この再始動時における劣化判定と、パルス充放電処理での劣化判定とを組み合わせて、2つの異なる劣化判定処理での判定結果に応じてバッテリ23の劣化状態を判定することができ、判定精度を向上させることができる。
【0082】
なお、上述した実施の形態においては、定電圧充電時および定電圧放電時においてパルス充放電処理を実行するとしたが、これに限定されず、定電圧充電時および定電圧放電時の何れか一方においてパルス充放電処理を実行するように設定してもよい。
【0083】
また、上述した実施の形態においては、上限SOCを確定する処理を実行している間のパルス充放電処理に基づき、バッテリ23のSOCの算出やバッテリ23の劣化判定や劣化の回復を行うように設定したが、これに限定されず、例えば上限SOCを確定する処理とは独立して実行される制振制御時のパルス充放電処理に基づき、バッテリ23のSOCの算出やバッテリ23の劣化判定等を行うようにしてもよい。
すなわち、制振制御ではエンジン1の周期的な駆動力の変動を抑制するようにモータ・ジェネレータ2による発電及びモータ・ジェネレータ2によるエンジン1の駆動補助を周期的に交互に繰り返し行い、エンジン1による駆動力の変動に伴って車体に発生する振動を、モータ・ジェネレータ2のトルク変動、つまりエンジントルクと逆位相のモータトルクにより抑制するようになっている。
このモータ・ジェネレータ2による周期的な発電および駆動補助の繰り返しにより変動するバッテリ電圧VBに基づき、バッテリ23のSOCを算出すると共にバッテリ23の劣化状態を判定することで、制振制御時のパルス充放電処理を有効利用することができる。
【0084】
例えば、図11に示すステップS71においては、エンジン回転数NEとエンジントルクの各検知信号から制振トルクを算出し、この制振トルクを発生させるようにモータ・ジェネレータ2を作動させ、所定周期で充電と放電を交互に繰り返すようにバッテリ電流IBを変化させる。
そして、ステップS72においては、パルス充放電の実施回数N、すなわち充電および放電の繰り返し回数が所定回数N1(例えば、1000等)以上か否かを判定する。
この判定結果において実施回数Nが所定回数N1未満(NO)の場合には、上述したステップS71に戻り、パルス充放電処理を継続する。
一方、この判定結果において実施回数Nが所定回数N1以上(YES)の場合には、ステップS73に進む。
【0085】
ステップS73においては、パルス充放電の実行時におけるバッテリ電圧VBの変動を電圧センサ27により検出する。この検出値はバッテリ23の負荷状態での端子電圧つまり閉路電圧(CCV)であり、この検出値から、例えば変動幅の中間値や平均値等を算出し、この算出値を開路電圧(OCV)に相当する値として設定する。そして、設定した開路電圧(OCV)からSOCを算出する。
さらに、このステップS73においては、バッテリ電圧VBの変動の検出値から、例えば充電側における変化の割合や、例えば放電側の変化の割合や、例えば放電側および充電側の各極大値の変化の割合等からバッテリ23の内部抵抗値を算出する。そして、この内部抵抗値あるいは内部抵抗値から算出したバッテリ23の寿命等に応じてバッテリ23の劣化状態を判定し、一連の処理を終了する。
なお、この制振制御時のパルス充放電処理において、例えばバッテリ23の温度が相対的に低い場合には、相対的に高い周波数(例えば、20Hz以上等)でパルス充放電を実行することにより、充放電の損失に伴うバッテリ23の過剰な温度上昇の発生を防止することができる。
【0086】
なお、この発明は前述した実施の形態に限られるものではない。
例えば、前述した実施の形態はこの発明を鉛蓄電池の充放電制御装置に適用したものであるが、この発明はリチウムイオン蓄電池の充放電制御装置にも応用することが可能である。
また、前述した実施の形態ではハイブリッド車両に搭載された蓄電池の充放電制御装置に適用した態様であるが、蓄電池は車載用に限るものではなく、種々の使用態様の蓄電池に対しこの発明は適用可能である。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置によれば、定電圧放電の終了時点の蓄電池の充電状態を極めて高い精度で目標値である基準上限充電量に設定することができ、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、蓄電池の電極の活性化を図ることができる。しかも、定電圧充電時にパルス充放電を行うことにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消することができ、より一層、蓄電池の電極の活性化を促進させることができる。
また、請求項2に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置によれば、定電圧放電の終了時点の蓄電池の充電状態を極めて高い精度で目標値である基準上限充電量に設定することができ、定電圧充電と定電圧放電を行うことにより、蓄電池の電極の活性化を図ることができる。しかも、定電圧放電時にパルス充放電を行うことにより、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消することができ、より一層、蓄電池の電極の活性化を促進させることができると共に、この定電圧放電の継続時間を短縮し、蓄電池の充電状態を基準上限充電量に設定する際の精度を向上させることができる。
【0088】
さらに、請求項3に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置によれば、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消しつつ、精度のよい劣化判定を行うことができる。
さらに、請求項4に記載の発明の蓄電池の充放電制御装置によれば、蓄電池に生じた回復可能な一時的な劣化を解消しつつ、残容量の算出精度を向上させることができる。
【0089】
また、請求項5に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、精度のよい劣化判定を行うことができる。
また、請求項6に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、精度のよい劣化判定を行うことができる。
また、請求項7に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、制振制御時における充放電処理を有効利用して蓄電池の残容量を精度良く算出することができる。
また、請求項8に記載の発明の車両用蓄電池の充放電制御装置によれば、制振制御時における充放電処理を有効利用して蓄電池の劣化判定を精度良く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る蓄電池の充放電制御装置を備えたハイブリッド車両の全体的なシステム構成を示すブロック図である。
【図2】パルス充放電におけるバッテリ電流IBの時間変化を示すグラフ図である。
【図3】図1に示す蓄電池の充放電制御装置の動作つまり充放電制御処理を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す蓄電池の充放電制御装置の動作つまり充放電制御処理を示すフローチャートである。
【図5】図4に示す上限SOC制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図6(a)は定電圧充電処理でのパルス充放電処理の実行時におけるバッテリ電圧VBの時間変化の一例を示すグラフ図であり、図6(b)はパルス充放電処理の実行時におけるモータ・ジェネレータの発電量の時間変化の一例を示すグラフ図であり、図6(c)は定電圧放電処理の実行時における補機負荷の時間変化の一例を示すグラフ図である。
【図7】図4に示す上限SOC制御処理を示すフローチャートである。
【図8】定電圧放電処理でのパルス充放電処理の実行時におけるバッテリ電圧VBの時間変化の一例を示すグラフ図である。
【図9】図4に示す上限SOC制御処理を示すフローチャートである。
【図10】アイドル停止以後のエンジンの再始動時におけるバッテリ電圧VBの時間変化の一例を示すグラフ図である。
【図11】制振制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 モータ・ジェネレータ(モータ)
23 バッテリ(蓄電池)
33 補機バッテリ
ステップS32〜S34 定電圧充電手段
ステップS35およびS36 パルス充放電手段
ステップS37〜S45 定電圧充電手段
ステップS46〜S49 定電圧放電手段
ステップS50およびS51 パルス充放電手段
ステップS52 劣化判定手段、残容量算出手段
ステップS54〜S55 定電圧放電手段
ステップS56 充電量判定手段
ステップS71およびS72 制振制御手段
ステップS73 劣化判定手段、残容量算出手段
Claims (8)
- 蓄電池に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで前記充電を継続する定電圧充電手段と、
前記定電圧充電手段による定電圧充電時に、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電手段と、
前記定電圧充電手段による定電圧充電後に、前記蓄電池を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電させる定電圧放電手段と、
前記定電圧放電手段による定電圧放電で放電電流値が前記所定電流値以下になった時点の前記蓄電池の充電状態を予め設定された基準上限充電量であると判定する充電量判定手段と
を備えたことを特徴とする蓄電池の充放電制御装置。 - 蓄電池に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで前記充電を継続する定電圧充電手段と、
前記定電圧充電手段による定電圧充電後に、前記蓄電池を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電させる定電圧放電手段と、
前記定電圧放電手段による定電圧放電時に、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電手段と、
前記定電圧放電手段による定電圧放電で放電電流値が前記所定電流値以下になった時点の前記蓄電池の充電状態を予め設定された基準上限充電量であると判定する充電量判定手段と
を備えたことを特徴とする蓄電池の充放電制御装置。 - 前記パルス充放電手段による充放電時の前記蓄電池の電圧変化により内部抵抗を算出し、該内部抵抗から前記蓄電池の劣化状態を判定する劣化判定手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の蓄電池の充放電制御装置。
- 前記パルス充放電手段による充放電時の前記蓄電池の電圧変化により前記蓄電池の開路電圧を算出し、該開路電圧から前記蓄電池の残容量を算出する残容量算出手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の蓄電池の充放電制御装置。
- 内燃機関のアイドル運転を停止可能な車両に搭載された車両用蓄電池に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで前記充電を継続する定電圧充電手段と、
前記定電圧充電手段による定電圧充電時に、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電手段と、
前記定電圧充電手段による定電圧充電後に、前記蓄電池を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電させる定電圧放電手段と、
前記定電圧放電手段による定電圧放電で放電電流値が前記所定電流値以下になった時点の前記蓄電池の充電状態を予め設定された基準上限充電量であると判定する充電量判定手段と、
前記定電圧充電手段による定電圧充電後の前記定電圧放電手段による定電圧放電後の前記内燃機関の再始動時の前記蓄電池の電圧降下により内部抵抗を算出し、該内部抵抗から前記蓄電池の劣化状態を判定する劣化判定手段と
を備えたことを特徴とする車両用蓄電池の充放電制御装置。 - 内燃機関のアイドル運転を停止可能な車両に搭載された車両用蓄電池に所定の定電圧にて充電を行い、充電電流値が一定値に低下するか充電時間が予め設定した所定充電時間に達するかの少なくとも一方の充電終了条件が満たされるまで前記充電を継続する定電圧充電手段と、
前記定電圧充電手段による定電圧充電後に、前記蓄電池を放電して予め設定した電圧値になった時点で該電圧値の定電圧にて放電し、放電電流値が所定電流値以下になるまで放電させる定電圧放電手段と、
前記定電圧放電手段による定電圧放電時に、充電と放電を交互に繰り返すパルス充放電手段と、
前記定電圧放電手段による定電圧放電で放電電流値が前記所定電流値以下になった時点の前記蓄電池の充電状態を予め設定された基準上限充電量であると判定する充電量判定手段と、
前記定電圧充電手段による定電圧充電後の前記定電圧放電手段による定電圧放電後の前記内燃機関の再始動時の前記蓄電池の電圧降下により内部抵抗を算出し、該内部抵抗から前記蓄電池の劣化状態を判定する劣化判定手段と
を備えたことを特徴とする車両用蓄電池の充放電制御装置。 - 発電電動機の回生および駆動制御により車両の振動を抑制する制振制御手段と、
前記制振制御手段による制振制御時の前記蓄電池の電圧変化により前記蓄電池の開路電圧を算出し、該開路電圧から前記蓄電池の残容量を算出する残容量算出手段と
を備えたことを特徴とする車両用蓄電池の充放電制御装置。 - 発電電動機の回生および駆動制御により車両の振動を抑制する制振制御手段と、
前記制振制御手段による制振制御時の前記蓄電池の電圧変化により内部抵抗を算出し、該内部抵抗から前記蓄電池の劣化状態を判定する劣化判定手段と
を備えたことを特徴とする車両用蓄電池の充放電制御装置。
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