JP2004235764A - 受光アンプ回路およびそれを備える光ピックアップ素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】たとえばCD−R/RWディスクの780nmとDVD±R/RWディスクの650nmとのように、複数種類の波長の光信号が入射されるフォトダイオードPDからの信号を増幅して出力する受光アンプ回路において、波長が変化することによる前記フォトダイオードPDの感度の温度特性の変化を無くす。
【解決手段】650nmの波長時にPDの感度の温度特性をゼロにする入力抵抗Rs31,Rs32、入力分圧抵抗Rf31、帰還抵抗Rf32を有する差動アンプA3と、780nmの波長時に温度特性をゼロにする入力抵抗Rs41,Rs42、入力分圧抵抗Rf41、帰還抵抗Rf42を有する差動アンプA4とを設け、2つの波長に対応して何れか一方の出力を用いる。したがって、波長が変化することによってPDの感度の温度特性が変化しても、受光アンプ回路の温度特性でキャンセルし、光ピックアップ素子21全体としての温度特性をゼロにできる。
【選択図】 図2
【解決手段】650nmの波長時にPDの感度の温度特性をゼロにする入力抵抗Rs31,Rs32、入力分圧抵抗Rf31、帰還抵抗Rf32を有する差動アンプA3と、780nmの波長時に温度特性をゼロにする入力抵抗Rs41,Rs42、入力分圧抵抗Rf41、帰還抵抗Rf42を有する差動アンプA4とを設け、2つの波長に対応して何れか一方の出力を用いる。したがって、波長が変化することによってPDの感度の温度特性が変化しても、受光アンプ回路の温度特性でキャンセルし、光ピックアップ素子21全体としての温度特性をゼロにできる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるCD−R/RWとDVD±R/RWとのように、光波長の異なる2種類のディスクを再生および/または記録可能な装置に用いられる光ピックアップ素子用の受光アンプ回路および光ピックアップ素子に関するものであり、さらに詳しくは、レーザ光強度を所定のパワーに制御するために、該レーザ光強度をモニタする機能を有する受光素子に用いられる受光アンプ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば前記CD−R/RWディスクでは780nm、前記DVD±R/RWディスクでは650nmというように、記録媒体や光源の進歩によって、光波長の異なるディスクの規格が順次策定され、そのような複数種類のディスクを再生および/または記録可能な装置が、パーソナルコンピュータの周辺装置などとして、広く用いられるようになっている。そして、このような装置では、前記再生や記録を安定に行うために、ディスクへ照射するレーザビームの一部を検出し、同検出信号をモニタしながら、レーザ光強度を最適に制御するのが一般的である。
【0003】
一方、前記の異なる波長に対して、光源はそれぞれ設けられても、光ピックアップ素子の小型化や低コスト化などのために、フォトダイオードなどの受光素子は共用されており、この受光素子は、波長が変化した場合に、その感度の温度特性は変化する。
【0004】
前記温度特性を補償する一般的な手法では、レーザパワーモニタ用の受光アンプ回路に温度特性の相互に異なる抵抗を用いて、該受光アンプ回路の感度の温度特性を制御し、受光素子の温度特性を該受光アンプ回路の温度特性でキャンセルしている。そして、光ディスクの記録/再生の際には、レーザパワーモニタ用の受光素子で常時レーザ光強度の変動を検出し、その変化に応じた受光素子の出力をレーザダイオードにフィードバックをかけることにより、最適な強度にレーザ光強度を維持することができる。
【0005】
しかしながら、そのような手法では、前記のように、波長の変化に対する受光素子の温度特性の変化によって、正確なレーザ光強度を検出できないために、特に記録の際にエラーを引起こす1つの要因となる。
【0006】
ここで、たとえば特開2001−23218号公報では、光波長が発光素子の温度によって変化するので、レーザ光強度をモニタし、それを最適に制御することで、前記発光素子の温度特性を補償している。また、特開2001−52368号公報では、書込みと読出しとでレーザ光強度を変化するにあたって、それをフロントモニタでモニタすることで前記レーザ光強度を正確にモニタしている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−23218号公報(公開日:平成13年1月26日)
【0008】
【特許文献2】
特開2001−52368号公報(公開日:平成13年2月23日)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術でも、前記波長の変化に対する受光素子の温度特性を補償するものではない。
【0010】
本発明の目的は、波長が変化することによって受光素子の感度の温度特性が変化しても、それを補償することができる受光アンプ回路およびそれを備える光ピックアップ素子を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の受光アンプ回路は、複数種類の波長の光信号が入射される受光素子からの信号を増幅して出力する受光アンプ回路において、前記受光素子からの信号が入力される初段アンプにおける帰還抵抗と、次段以降のアンプにおける感度を決定する抵抗の少なくとも一部とを相互に異なる温度特性を有する抵抗体で形成し、前記抵抗体を、前記光信号の波長の種類に応じて切換えることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、たとえば前記CD−R/RWディスクの780nm、前記DVD±R/RWディスクの650nmというように、複数種類の波長の光信号が入射される受光素子からの信号を増幅して出力する受光アンプ回路において、受光素子からの信号が入力される初段アンプに帰還抵抗(ゲイン抵抗)を前記波長の種類だけ設けたり、次段以降では、入力抵抗や帰還抵抗などの感度を決定する抵抗を備えるアンプを前記波長の種類だけ設けたりして、前記初段アンプの帰還抵抗や次段以降のアンプにおける感度を決定する抵抗の少なくとも一部の抵抗体を、相互に異なる温度特性を有するように形成し、前記光信号の波長の種類に応じて、使用する帰還抵抗やアンプを切換えるなどして、前記抵抗体を切換える。
【0013】
したがって、波長が変化することによって受光素子の感度の温度特性が変化しても、帰還抵抗や感度を決定する抵抗に、それぞれの波長の温度特性に適応した温度特性を有する抵抗体を使用することで、前記受光素子の温度特性を該受光アンプ回路の温度特性でキャンセルすることができる。
【0014】
また、本発明の受光アンプ回路では、2段目には、差動アンプを前記複数種類の各波長に対応して設け、各差動アンプ間で、前記感度を決定する抵抗として、入力抵抗および帰還抵抗の温度特性が相互に異なるように設定しておき、前記初段アンプからの出力が該複数の2段目の差動アンプに共通に入力され、前記抵抗体の切換えを、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで実現することを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで、前述のような温度特性の異なる抵抗体の切換えを、具体的に実現することができる。
【0016】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路では、前記初段に、前記受光素子が接続されておらず、かつ前記初段アンプと同様に構成されるリファレンス用のもう1つのアンプを備え、2段目の各差動アンプには、前記初段アンプからの出力と前記もう1つのアンプからの出力とが入力され、それらの差分を求めることを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、受光素子への光入力による信号成分のみを取出すことができる。
【0018】
また、本発明の受光アンプ回路では、2段目には、差動アンプを前記複数種類の各波長に対応して設け、各差動アンプ間で、前記感度を決定する抵抗として、出力を予め定める基準電圧との間で分圧して帰還する分圧抵抗の温度特性が相互に異なるように設定しておき、前記初段アンプからの出力が該複数の2段目の差動アンプに共通に入力され、前記抵抗体の切換えを、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで実現することを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで、前述のような温度特性の異なる抵抗体の切換えを、具体的に実現することができる。
【0020】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路では、前記光信号の波長は2種類であり、前記2段目の差動アンプは2組設けられ、それぞれ差動対を構成する一対のトランジスタおよびその差動対に電流を供給する定電流源を備えて構成され、出力側のトランジスタは共通に出力端に接続され、前記波長の切換えに対応して、対応する側の差動アンプの定電流源が能動化され、他方の差動アンプの定電流源が不能動化されることを特徴とする受光アンプ回路。
【0021】
上記の構成によれば、2段目の差動アンプは1つの出力端に接続され、波長の切換えに対応して、定電流源をON/OFFするだけで使用する差動アンプを切換え、前記のような受光素子の温度特性を適切に補償することができる。そして、出力端を共有し、2つの波長に対する光信号強度のモニタを、1チップで正確に実現することができる。
【0022】
また、本発明の受光アンプ回路では、前記初段に、前記受光素子が接続されておらず、かつ前記初段アンプと同様に構成されるリファレンス用のもう1つのアンプを備え、前記初段の2つのアンプには前記複数種類の各波長に対応した温度特性が相互に異なる帰還抵抗をそれぞれ設け、2段目の各差動アンプには前記初段アンプからの出力と前記もう1つのアンプからの出力とが入力されてそれらの差分を求め、前記抵抗体の切換えを、前記1段目の各アンプの帰還抵抗を切換えることで実現することを特徴とする。
【0023】
上記の構成によれば、1段目の各アンプの帰還抵抗を切換えることで、前述のような温度特性の異なる抵抗体の切換えを、具体的に実現することができる。また、リファレンス用のアンプを設けることで、受光素子への光入力による信号成分のみを取出すことができる。
【0024】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路は、前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なる2種類の拡散抵抗で作成されることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の受光アンプ回路は、前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なる拡散抵抗とポリシリコン抵抗とによって作成されることを特徴とする。
【0026】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路は、前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なるポリシリコン抵抗で作成されることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の光ピックアップ素子は、上記の受光アンプ回路を用いることを特徴とする。
【0028】
上記の構成によれば、波長が変化することによって受光素子の感度の温度特性が変化しても、受光アンプ回路の感度の温度特性でそれをキャンセルし、感度の温度特性のない光ピックアップ素子を実現することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、図1〜図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0030】
図1は、本発明の実施の一形態の受光アンプ回路を搭載する記録/再生装置1の光学系を説明するための図である。この記録/再生装置1は、いわゆるCD−R/RWとDVD±R/RWとの光波長の異なる2種類の光ディスク2を記録/再生可能な装置である。発光素子であるレーザダイオード3は、前記CD−R/RWディスクでは780nm、前記DVD±R/RWディスクでは650nmのレーザ光を発光する。前記レーザ光は、コリメータレンズ4において平行光とされ、ビームスプリッタ5において光路が90°曲げられた後、コリメータレンズ6および対物レンズ7を介して、前記光ディスク2に照射される。
【0031】
光ディスク2からの反射光は、前記対物レンズ7およびコリメータレンズ6からビームスプリッタ5を通過し、スポットレンズ8で集光されて、受光素子9に入射される。受光素子9は、入射した光信号から、情報信号を再生するとともに、トラッキングやフォーカシングサーボ用の信号を作成し、図示しない信号処理回路や制御回路などへ出力する。記録時には、レーザダイオード3からの出射光が、書込むべきデータに対応して変調される。
【0032】
このように構成される光学系において、参照符10で示すようにレーザダイオード3の近傍の位置において、および/または参照符11で示すようにビームスプリッタ5を介して反対側の位置などにおいて、光ピックアップ素子が設けられる。この光ピックアップ素子10,11によって、レーザダイオード3からの出射光の一部がモニタされ、該光ピックアップ素子10,11の出力をレーザダイオード3にフィードバックすることによって、レーザ光強度が最適な強度に調整される。
【0033】
図2は、前記光ピックアップ素子10,11として用いられる本発明の実施の一形態の光ピックアップ素子21の電気的構成を示すブロック図である。この光ピックアップ素子21は、大略的に、前記780nmと650nmとのレーザ光に共用され、受光素子であるフォトダイオードPDと、そのフォトダイオードPDからの電流信号を電圧信号に変換する1段目のアンプA1と、リファレンス用のもう1つの1段目のアンプA2と、アンプA1,A2からの出力が入力され、それらの差分を求める2段目の2つの差動アンプA3,A4とを備えて構成される。
【0034】
初段アンプである前記アンプA1は、アンプ部OP1と、前記フォトダイオードPDからの電流信号の電流−電圧変換も行う帰還抵抗(ゲイン抵抗)Rf1とを備えて構成される。リファレンスアンプである前記アンプA2には、前記フォトダイオードPDが接続されておらず、かつ前記アンプA1と同様に、アンプ部OP2と、帰還抵抗Rf2とを備えて構成される。
【0035】
一方、前記650nmのDVD系用の後段アンプである前記差動アンプA3は、アンプ部OP3と、入力抵抗Rs31,Rs32と、入力分圧抵抗Rf31と、帰還抵抗Rf32とを備えて構成される。前記アンプA1からの出力は、入力抵抗Rs31および入力分圧抵抗Rf31を介して、基準電圧Vsとの間で分圧されてアンプ部OP3の正入力端に入力される。また、前記アンプA2からのリファレンス電圧は、入力抵抗Rs32を介してアンプ部OP3の負入力端に入力され、この負入力端にはまた、帰還抵抗Rf32を介して該アンプ部OP3の出力がフィードバックされる。したがって、この差動アンプA3からは、前記アンプA1からの光入力に対応した出力電圧と、前記アンプA2からの光入力のないリファレンス電圧との差分に対応した出力が導出され、前記フォトダイオードPDでの光入力による電圧変化分が、増幅されて出力されることになる。
【0036】
同様に、前記780nmのCD系用の後段アンプである前記差動アンプA4は、アンプ部OP4と、入力抵抗Rs41,Rs42と、入力分圧抵抗Rf41と、帰還抵抗Rf42とを備えて構成される。前記アンプA1からの出力は、入力抵抗Rs41および入力分圧抵抗Rf41を介して、基準電圧Vsとの間で分圧されてアンプ部OP4の正入力端に入力される。また、前記アンプA2からのリファレンス電圧は、入力抵抗Rs42を介してアンプ部OP4の負入力端に入力され、この負入力端にはまた、帰還抵抗Rf42を介して該アンプ部OP4の出力がフィードバックされる。
【0037】
上述のように構成される光ピックアップ素子21において、初段アンプである前記アンプA1の帰還抵抗Rf1と、リファレンスアンプである前記アンプA2の帰還抵抗Rf2とは、たとえば拡散抵抗などによって、相互に同一の温度特性(シート抵抗値)で、かつ同一の抵抗値に形成されており、後段アンプである前記差動アンプA3,A4は、それぞれ抵抗Rf31,Rf32;Rf41,Rf42を有する。
【0038】
ここで、Rf31=Rf32=Rf3、Rf41=Rf42=Rf4、Rs31=Rs32=Rs3、Rs41=Rs42=Rs4として、この受光アンプ回路の感度S〔V/W〕は、フォトダイオードPDの変換効率をη〔A/W〕とすると、次式で与えられる。
【0039】
【数1】
【0040】
ただし、添字の3(4)は、それぞれ差動アンプA3,A4からの出力の場合である。
【0041】
前記感度S〔V/W〕の温度T〔℃〕に対する偏微分は、
【0042】
【数2】
【0043】
であり、感度の微分温度係数(∂S/∂T)/Sは、次式となる。
【0044】
【数3】
【0045】
したがって、感度Sの温度係数は、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=(ηの温度係数)+(Rf1の温度係数)
+(Rf3(4)の温度係数)−(Rs3(4)の温度係数)
となる。
【0046】
すなわち、抵抗Rf1,Rf2;Rf31,Rf32;Rf41,Rf42はフォトダイオードPDと同じ極性に作用する温度特性となり、入力抵抗Rs31,Rs32;Rs41,Rs42はフォトダイオードPDと逆極性に作用する温度特性となる。前記フォトダイオードPDの変換効率ηの温度係数は、プロセスにもよるけれども、たとえば入射光の波長が650nmで200〔ppm/℃〕、780nmで2000〔ppm/℃〕の値を持つ。
【0047】
したがって、たとえば帰還抵抗Rf1の温度係数を500〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、抵抗Rf3,Rs3の温度係数をそれぞれ500〔ppm/℃〕、1200〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定すれば、前記波長が650nmのDVD系用出力の差動アンプA3からの出力は、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=200+500+500−1200=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0048】
また、抵抗Rf4,Rs4の温度係数を、たとえば500〔ppm/℃〕と3000〔ppm/℃〕とにそれぞれ設定しておけば、波長が780nmのCD系用出力の差動アンプA4からの出力も、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=2000+500+500−3000=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0049】
このようにして、入射光の波長に依存せず、受光アンプ回路の出力の温度特性をゼロとすることができる。
【0050】
一方、ポリシリコン抵抗は、それ自体が負の温度特性を持っており、該ポリシリコン抵抗と前記拡散抵抗とを組合わせても、波長に依存しない、感度の温度係数がゼロの受光アンプ回路を実現することができる。
【0051】
たとえば、650nmの波長に対して、帰還抵抗Rf1に温度係数が前記500〔ppm/℃〕の拡散抵抗、抵抗Rf3に温度係数が−350〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗、入力抵抗Rs3に温度係数が350〔ppm/℃〕の拡散抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=200+500+(−350)−350=0となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0052】
また、780nmの波長に対しては、たとえば抵抗Rf4に温度係数が−2000のポリシリコン抵抗、入力抵抗Rs4に温度係数が500〔ppm/℃〕の拡散抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=2000+500+(−2000)−500=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0053】
さらにまた、前記拡散抵抗を使用しないで、温度係数の異なるポリシリコン抵抗のみで回路を構成しても、温度特性がゼロとなる受光アンプ回路を実現することができる。
【0054】
たとえば、650nmの波長に対して、抵抗Rf1,Rf3に温度係数が−500〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗、入力抵抗Rs3に温度係数が−800〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=200+(−500)+(−500)−(−800)=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0055】
また、780nmの波長に対しては、たとえば抵抗Rf4に温度係数が−2000のポリシリコン抵抗、入力抵抗Rs4に温度係数が−500〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=2000+(−500)+(−2000)−(−500)=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0056】
以上述べたように、入射光の波長が変化しても、感度の温度係数をゼロにできるので、常に正確なレーザ光強度を検出することができ、複数のレーザ波長による光ディスク2の記録/再生を安定に行うことが可能となる。
【0057】
また、このようなレーザパワーモニタ用受光素子の出力の温度特性を、波長に依存せずに常にゼロとできる受光アンプ回路を、前記光ピックアップ素子10,11として用いることで、2つの波長に対するレーザパワーのモニタを、1チップで正確に実現することができる。
【0058】
さらにまた、1段目にフォトダイオードPDのリファレンス用のもう1つのアンプA2を設け、2段目の各差動アンプA3,A4には、前記フォトダイオードPDからの信号が入力される初段のアンプA1からの出力と前記もう1つのアンプA2からの出力とを入力し、それらの差分を求めることで、前記フォトダイオードPDでの光入力による電圧変化分のみを、増幅して取出すことができる。
【0059】
図3は、前記差動アンプA3,A4の具体的構成を示す前記光ピックアップ素子21の電気回路図である。この図3において、上述の図2に対応する部分には、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。注目すべきは、この光ピックアップ素子21では、2つの差動アンプA3,A4の出力を1つにまとめていることである。具体的には、差動アンプA3は、NPN型のトランジスタQ31,Q32から成る差動対を備え、それらのエミッタは共通に接続され、定電流源F3を介して接地されている。
【0060】
前記トランジスタQ31のベースは、図2に示す差動アンプA3の正入力端子となり、入力抵抗Rs31を介して初段のアンプA1の出力端子と接続されるとともに、入力分圧抵抗Rf31を介して基準電圧Vsに接続されている。また、前記トランジスタQ32のベースは、図2に示す差動アンプA3の負入力端子となり、入力抵抗Rs32を介してリファレンスのアンプA2の出力端子と接続されるとともに、帰還抵抗Rf32を介して出力Voutがフィードバックされる。
【0061】
同様に、差動アンプA4は、NPN型のトランジスタQ41,Q42から成る差動対を備え、それらのエミッタは共通に接続され、定電流源F4を介して接地されている。前記トランジスタQ41のベースは、図2に示す差動アンプA4の正入力端子となり、入力抵抗Rs41を介して初段の差動アンプA1の出力端子と接続されるとともに、入力分圧抵抗Rf41を介して基準電圧Vsに接続されている。また、前記トランジスタQ42のベースは、図2に示す差動アンプA4の負入力端子となり、入力抵抗Rs42を介してリファレンスの差動アンプA2の出力端子と接続されるとともに、帰還抵抗Rf42を介して出力Voutがフィードバックされる。
【0062】
一方、トランジスタQ31のコレクタには、能動負荷となるPNP型のトランジスタQ33を介して電源電圧Vccが印加される。同様に、トランジスタQ42のコレクタには、能動負荷となるPNP型のトランジスタQ43を介して電源電圧Vccが印加される。これらのトランジスタQ33,Q43はカレントミラー回路を構成し、トランジスタQ33のベースがトランジスタQ31のコレクタに接続されてダイオード構造となっている。また、トランジスタQ33のコレクタは、正入力に対応する前記トランジスタQ31およびQ41のコレクタに接続され、トランジスタQ43のコレクタは、負入力側の前記トランジスタQ32およびQ42のコレクタに接続されている。
【0063】
さらにまた、トランジスタQ43のコレクタ、したがって前記トランジスタQ32,Q42のコレクタは、NPN型のトランジスタQ5のベースに接続されており、該トランジスタQ5のコレクタには前記電源電圧Vccが印加され、エミッタは定電流源F5を介して接地されている。これらのトランジスタQ5と定電流源F5とは、エミッタフォロワ回路を構成しており、出力端となるトランジスタQ5のエミッタは、出力端子と接続されるとともに、前記のように負入力側のトランジスタQ32およびQ42のベースに、帰還抵抗Rf32,Rf42をそれぞれ介して接続されている。
【0064】
そして、定電流回路F3,F4を、波長の切換えに対応して、電気的スイッチによって択一的に電力付勢することで、出力端子を共用しても、使用する差動アンプA3とA4とを切換え、前記のようなフォトダイオードPDの温度特性を適切に補償することができる。このようにして、後段の差動アンプA3,A4の出力端子を1つにまとめることで、前記光ピックアップ素子10,11のチップサイズ縮小、コストダウンにつながるばかりでなく、レーザパワーモニタ用受光素子からの出力信号が複数のレーザ波長に対して1つの出力端子から得られるので、レーザダイオード3を駆動させる後段の集積回路での信号処理を容易にし、かつコストダウンをも可能にすることができる。
【0065】
なお、上述の説明では、Rf31=Rf32=Rf3、Rf41=Rf42=Rf4、Rs31=Rs32=Rs3、Rs41=Rs42=Rs4として、これらの抵抗の抵抗値と温度特性とを揃えているけども、個別の値が用いられてもよい。しかしながら、前記のように抵抗値と温度特性とを揃えておくことで、感度の式が前記数1のように簡単になり、さらに、2段目の差動アンプA3,A4の入力電流(差動対Q31,Q32;Q41,Q42に入るベース電流、図3参照)で各抵抗Rf3,Rf4,Rs3,Rs4に発生する電圧が温度に依存せず揃えられ、オフセット電圧を補償することができる。
【0066】
本発明の実施の他の形態について、図4および図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0067】
図4は、前記光ピックアップ素子10,11として用いられる本発明の実施の他の形態の光ピックアップ素子31の電気的構成を示すブロック図である。この光ピックアップ素子31は、前述の光ピックアップ素子21に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。この光ピックアップ素子31では、1段目は、アンプ部OP1aと、入力抵抗Rf10と、帰還抵抗(ゲイン抵抗)Rf11とを備えて構成される差動アンプA1aから成り、前記アンプ部OP1aの正入力端子には入力抵抗Rf10を介してリファレンス電圧Vrefが入力され、負入力端子には前記フォトダイオードPDからの電流信号が入力されるとともに、前記電流−電圧変換も行う帰還抵抗Rf11を介して該アンプ部OP1aの出力がフィードバックされる。オフセット電圧補正用の前記入力抵抗Rf10は、前記帰還抵抗Rf11と等しく形成されている。
【0068】
一方、前記650nmのDVD系用の後段アンプである差動アンプA3aは、前記アンプ部OP3と、オフセット電圧補正用の入力抵抗R311,R321と、出力分圧抵抗R312,R322とを備えて構成される。初段アンプである前記差動アンプA1aからの出力は、相互に並列に接続された入力抵抗R311,R321を介してアンプ部OP3の正入力端子に入力される。このアンプ部OP3の負入力端子には、該アンプ部OP3の出力が、出力分圧抵抗R322,R312を介して、基準電圧Vsとの間で分圧されて入力される。
【0069】
同様に、前記780nmのCD系用の後段アンプである差動アンプA4aは、前記アンプ部OP4と、オフセット電圧補正用の入力抵抗R411,R421と、出力分圧抵抗R412,R422とを備えて構成される。初段アンプである前記差動アンプA1aからの出力は、相互に並列に接続された入力抵抗R411,R421を介してアンプ部OP4の正入力端子に入力される。このアンプ部OP4の負入力端子には、該アンプ部OP4の出力が、出力分圧抵抗R422,R412を介して、ハイレベルの基準電圧Vsとの間で分圧されて入力される。
【0070】
上述のように構成される受光アンプ回路において、R311=R312=R31、R321=R322=R32、R411=R412=R41、R421=R422=R42として、この回路の感度S〔V/W〕は、フォトダイオードPDの変換効率をη〔A/W〕とすると、次式で与えられる。添字の31,32(41,42)は、それぞれ差動アンプA3,A4からの出力の場合である。
【0071】
【数4】
【0072】
したがって、感度の微分温度係数(∂S/∂T)/Sは、次式となる。
【0073】
【数5】
【0074】
したがって、感度Sの温度係数は、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=(ηの温度係数)+(Rf11の温度係数)
+{(R32(42)の温度係数)−(R31(41)の温度係数)}
× R32(42)/{ R31(41)+ R32(42)}
となる。
【0075】
したがって、フォトダイオードPDの変換効率ηの温度係数に適応して、前記抵抗R31,R32;R41,R42の温度係数をそれぞれ設定することで、650nmと780nmとの2つの波長において、感度Sの温度係数を共にゼロとすることができる。
【0076】
たとえば、前記受光アンプ回路と同様に、フォトダイオードPDの変換効率ηの温度係数が、650nmの波長で200〔ppm/℃〕、780nmで2000〔ppm/℃〕の値を持つとき、帰還抵抗Rf11および抵抗R32の温度係数を500〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、抵抗R31の温度係数を1900〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、かつ抵抗R31,R32の抵抗値を相互に等しく設定すれば、該波長が650nmのDVD系用出力の差動アンプA3aからの出力は、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=200+500+R32/(R31+R32)×(500−1900)=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0077】
また、780nmの波長に対しては、たとえば帰還抵抗Rf11および抵抗R42の温度係数を500〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、抵抗R41の温度係数を3500〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、かつ抵抗R41,R42の抵抗値をそれぞれ1〔kΩ〕,5〔kΩ〕に設定すれば、該波長が780nmのCD系用出力の差動アンプA4aからの出力は、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=2000+500+5/(1+5)×(500−3500)=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0078】
また、ポリシリコン抵抗と前記拡散抵抗とを組合わせても、波長に依存しない、感度の温度係数がゼロの受光アンプ回路を実現することができる。たとえば、650nmの波長に対して、帰還抵抗Rf11の温度係数を−1000〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗に設定し、抵抗R31の温度係数を−800〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗に設定し、抵抗R32の温度係数を800〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、かつ抵抗R31,R32の抵抗値を相互に等しく設定すれば、該波長が650nmのDVD系用出力の差動アンプA3aからの出力は、
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0079】
また、780nmの波長に対しても、たとえば帰還抵抗Rf11を−1000〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗に設定し、抵抗R41を温度係数が500〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、抵抗R42を温度係数が−1500〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗に設定し、かつ抵抗R41,R42の抵抗値を相互に等しく設定すれば、該波長が780nmのCD系用出力の差動アンプA4aからの出力は、
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0080】
さらにまた、前記拡散抵抗を使用しないで、温度係数の異なるポリシリコン抵抗のみで回路を構成しても、温度特性がゼロとなる受光アンプ回路を実現することができる。
【0081】
たとえば、650nmの波長に対して、帰還抵抗Rf11に温度係数が−1000〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗、抵抗R31,R32にそれぞれ温度係数が−2100〔ppm/℃〕および−500〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗をそれぞれ設定し、かつ抵抗R31,R32の抵抗値を相互に等しく設定すれば、該波長が650nmのDVD系用出力の差動アンプA3aからの出力は、
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0082】
また、780nmの波長に対しても、たとえば帰還抵抗Rf11に温度係数が−1000〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗、抵抗R41,R42に温度係数が−500〔ppm/℃〕および−2000〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗をそれぞれ設定し、かつ抵抗R41,R42の抵抗値をそれぞれ1〔kΩ〕,2〔kΩ〕に設定すれば、該波長が780nmのCD系用出力の差動アンプA4aからの出力は、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=2000+(−1000)+2/(1+2)×{−2000−(−500)} =0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0083】
図5は、前記差動アンプA3a,A4aの具体的構成を示す前記光ピックアップ素子31の電気回路図である。この図5において、前述の図3に対応する部分には、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。この光ピックアップ素子31では、2つの差動アンプA3a,A4aにおいて、アンプ部OP3,OP4は前述の差動アンプA3,A4と同様に構成されており、出力が1つにまとめられている。
【0084】
差動アンプA3aにおいて、前記トランジスタQ31のベースは、図4に示す該差動アンプA3aの正入力端子となり、オフセット電圧補正用の前記入力抵抗R311,R321を介して初段の差動アンプA1aの出力端子と接続される。一方、前記トランジスタQ32のベースは、図4に示す該差動アンプA3aの負入力端子となり、出力分圧抵抗R312を介して基準電圧Vsが与えられるとともに、出力分圧抵抗R322を介して出力Voutがフィードバックされる。
【0085】
同様に、差動アンプA4aにおいて、前記トランジスタQ41のベースは、図4に示す該差動アンプA4aの正入力端子となり、オフセット電圧補正用の前記入力抵抗R411,R421を介して初段の差動アンプA1aの出力端子と接続される。一方、前記トランジスタQ42のベースは、図4に示す該差動アンプA4aの負入力端子となり、出力分圧抵抗R412を介して基準電圧Vsが与えられるとともに、出力分圧抵抗R422を介して出力Voutがフィードバックされる。
【0086】
そして、定電流回路F3,F4を、波長の切換えに対応して、電気的スイッチによって択一的に電力付勢することで、出力端子を共用しても、使用する差動アンプA3aとA4aとを切換え、前記のようなフォトダイオードPDの温度特性を適切に補償することができる。このようにして、後段の差動アンプA3a,A4aの出力端子を1つにまとめることができる。
【0087】
なお、前記差動アンプA3a,A4aの温度特性を決定するのは、分圧抵抗R312,R322;R412,R422であり、入力抵抗R311,R321;R411,R421は、前記温度特性には関与せず、その温度特性はどのような値であってもよい。しかしながら、前述のように、R311=R312=R31、R321=R322=R32、R411=R412=R41、R421=R422=R42として、抵抗値と温度特性とを揃えることで、前記差動アンプA3,A4と同様に、差動アンプA3a,A4aの入力電流で各抵抗R31,R32;R41,R42に発生する電圧が温度に依存せず揃えられ、オフセット電圧を補償することができる。
【0088】
本発明の実施のさらに他の形態について、図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0089】
図6は、前記光ピックアップ素子10,11として用いられる本発明の実施のさらに他の形態の光ピックアップ素子41の電気的構成を示すブロック図である。この光ピックアップ素子41は、前述の光ピックアップ素子21に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。注目すべきは、この光ピックアップ素子41では、1段目は、前記フォトダイオードPDからの電流信号を電圧信号に変換するアンプA1bと、リファレンス用のもう1つの1段目のアンプA2bとから構成され、2段目は、それらのアンプA1b,A2bからの出力が入力され、それらの差分を求める1つの差動アンプA5で構成されていることである。
【0090】
前記アンプA1bは、前記アンプ部OP1と、2つの帰還抵抗(ゲイン抵抗)Rf11,Rf12と、それらの帰還抵抗Rf11,Rf12を択一的にフィードバック用に使用するためのスイッチ素子SW1とを備えて構成される。同様に、前記アンプA2bも、前記アンプ部OP2と、2つの帰還抵抗Rf21,Rf22と、それらの帰還抵抗Rf21,Rf22を択一的にフィードバック用に使用するためのスイッチ素子SW2とを備えて構成される。
【0091】
前記差動アンプA5は、アンプ部OP5と、2つの入力抵抗Rs51,Rs52と、入力分圧抵抗Rf51と、帰還抵抗Rf52とを備えて構成される。前記アンプ部OP5の正入力端子には、前記入力抵抗Rs51および入力分圧抵抗Rf51を介して、前記アンプA1bからの出力が基準電圧Vsとの間で分圧されて入力され、負入力端子には、前記入力抵抗Rs52を介して前記アンプA2bからの出力が入力されるとともに、帰還抵抗Rf52を介して該アンプ部OP5の出力がフィードバックされる。
【0092】
上述のように構成される光ピックアップ素子41において、前記帰還抵抗Rf11,Rf12と、帰還抵抗Rf21,Rf22とは、たとえば拡散抵抗などによって、それぞれ相互に同一の温度特性(シート抵抗値)で、かつ同一の抵抗値に形成されている。この受光アンプ回路41の感度S〔V/W〕は、Rf51=Rf52=Rf5、Rs51=Rs52=Rs5とし、フォトダイオードPDの変換効率をη〔A/W〕とすると、次式で与えられる。
【0093】
【数6】
【0094】
ただし、Rf11orRf12は、前記スイッチ素子SW1,SW2によって一方が使用されることを表す。
【0095】
したがって、前記感度の温度係数(∂S/∂T)/Sは、次式となる。
【0096】
【数7】
【0097】
したがって、感度Sの温度係数は、
となる。
【0098】
すなわち、帰還抵抗Rf11,Rf12および帰還抵抗Rf5はフォトダイオードPDと同じ極性に作用する温度特性となり、入力抵抗Rs5はフォトダイオードPDと逆極性に作用する温度特性となる。
【0099】
したがって、たとえば前記フォトダイオードPDの変換効率ηの温度係数を、前記のように入射光の波長が650nmで200〔ppm/℃〕、780nmで2000〔ppm/℃〕とするとき、たとえば抵抗Rf5,Rs5の温度係数をそれぞれ500〔ppm/℃〕、3000〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、帰還抵抗Rf11に温度係数が2300〔ppm/℃〕の拡散抵抗、帰還抵抗Rf12に温度係数が500〔ppm/℃〕の拡散抵抗を設定しておけば、前記波長が650nmのDVD系用出力に帰還抵抗Rf11を選択すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=200+2300+500−3000=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0100】
また、780nmのCD系用出力に帰還抵抗Rf12を選択すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=2000+500+500−3000=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0101】
このようにして、入射光の波長に応じて帰還抵抗Rf11とRf12とを切換えることで、前記波長に依存せず、受光アンプ回路41の出力の温度特性をゼロとすることができる。
【0102】
また、前述のように、負の温度係数を持つポリシリコン抵抗と拡散抵抗とを組合わせても、光ピックアップ素子全体の温度特性をゼロにすることは可能である。たとえば、650nmの波長に対して、抵抗Rf51,Rs51の温度係数をそれぞれ500〔ppm/℃〕、1000〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、帰還抵抗Rf11に温度係数が300〔ppm/℃〕の拡散抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=200+300+500−1000=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0103】
また、780nmの波長に対しては、帰還抵抗Rf12に温度係数が−1500〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=2000+(−1500)+500−1000=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0104】
さらにまた、前記拡散抵抗を使用しないで、温度係数の異なるポリシリコン抵抗のみで回路を構成しても、温度特性がゼロとなる受光アンプ回路を実現することができる。たとえば、650nmの波長に対して、抵抗Rf51,Rs51の温度係数をそれぞれ−500〔ppm/℃〕、−1000〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗に設定し、帰還抵抗Rf11に温度係数が−700〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=200+(−700)+(−500)−(−1000)=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0105】
また、780nmの波長に対しては、帰還抵抗Rf12に温度係数が−2500〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=2000+(−2500)+(−500)−(−1000)=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0106】
上述の説明では、1段目のアンプA1,A2;A1a;A1b,A2bと、2段目の差動アンプA3,A4;A3a,A4a;A5との2段の構成であるけれども、所望とする感度を得るために、または所望とする極性の出力を得るために(フォトダイオードPDへの入射光量が多くなる程、出力電圧が高くなる正出力と、低くなる負出力とを選択するために)、3段以上のアンプが用いられてもよい。
【0107】
【発明の効果】
本発明の受光アンプ回路は、以上のように、たとえば780nmと650nmというように、複数種類の波長の光信号が入射される受光素子からの信号を増幅して出力する受光アンプ回路において、受光素子からの信号が入力される初段アンプに帰還抵抗(ゲイン抵抗)を前記波長の種類だけ設けたり、次段以降では、入力抵抗や帰還抵抗などの感度を決定する抵抗を備えるアンプを前記波長の種類だけ設けたりして、前記初段アンプの帰還抵抗や次段以降のアンプにおける感度を決定する抵抗の少なくとも一部の抵抗体を、相互に異なる温度特性を有するように形成し、前記光信号の波長の種類に応じて、使用する帰還抵抗やアンプを切換えるなどして、前記抵抗体を切換える。
【0108】
それゆえ、波長が変化することによって受光素子の感度の温度特性が変化しても、それぞれの波長の温度特性に適応した温度特性を有する抵抗体を使用することで、前記受光素子の温度特性を該受光アンプ回路の温度特性でキャンセルすることができる。
【0109】
また、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記複数種類の各波長に対応した差動アンプを2段目に設け、各差動アンプ間で、前記感度を決定する抵抗として、入力抵抗および帰還抵抗の温度特性が相互に異なるように設定しておき、前記初段アンプからの出力が該複数の2段目の差動アンプに共通に入力され、前記抵抗体の切換えを、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで実現する。
【0110】
それゆえ、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで、前述のような温度特性の異なる抵抗体の切換えを、具体的に実現することができる。
【0111】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記初段に、前記受光素子が接続されておらず、かつ前記初段アンプと同様に構成されるリファレンス用のもう1つのアンプを備え、2段目の各差動アンプには、前記初段アンプからの出力と前記もう1つのアンプからの出力とを入力し、それらの差分を求める。
【0112】
それゆえ、受光素子への光入力による信号成分のみを取出すことができる。
【0113】
また、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記複数種類の各波長に対応した差動アンプを2段目に設け、各差動アンプ間で、前記感度を決定する抵抗として、出力を予め定める基準電圧との間で分圧して帰還する分圧抵抗の温度特性が相互に異なるように設定しておき、前記初段アンプからの出力が該複数の2段目の差動アンプに共通に入力され、前記抵抗体の切換えを、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで実現する。
【0114】
それゆえ、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで、前述のような温度特性の異なる抵抗体の切換えを、具体的に実現することができる。
【0115】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記光信号の波長を2種類とし、前記2段目の差動アンプは2組設け、それぞれ差動対を構成する一対のトランジスタおよびその差動対に電流を供給する定電流源を備えて構成し、出力側のトランジスタは共通に出力端に接続し、前記波長の切換えに対応して、対応する側の差動アンプの定電流源を能動化し、他方の差動アンプの定電流源を不能動化する。
【0116】
それゆえ、前記のように受光素子の温度特性を適切に補償することができるとともに、出力端を共有し、2つの波長に対する光信号強度のモニタを、1チップで正確に実現することができる。
【0117】
また、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記初段に、前記受光素子が接続されておらず、かつ前記初段アンプと同様に構成されるリファレンス用のもう1つのアンプを備え、前記初段の2つのアンプには前記複数種類の各波長に対応した温度特性が相互に異なる帰還抵抗をそれぞれ設け、2段目の各差動アンプには前記初段アンプからの出力と前記もう1つのアンプからの出力とが入力されてそれらの差分を求め、前記抵抗体の切換えを、前記1段目の各アンプの帰還抵抗を切換えることで実現する。
【0118】
それゆえ、1段目の各アンプの帰還抵抗を切換えることで、前述のような温度特性の異なる抵抗体の切換えを、具体的に実現することができる。また、リファレンス用のアンプを設けることで、受光素子への光入力による信号成分のみを取出すことができる。
【0119】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なる2種類の拡散抵抗で作成される。
【0120】
また、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なる拡散抵抗とポリシリコン抵抗とによって作成される。
【0121】
また、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なるポリシリコン抵抗で作成される。
【0122】
さらにまた、本発明の光ピックアップ素子は、以上のように、上記の受光アンプ回路を用いる。
【0123】
それゆえ、波長が変化することによって受光素子の感度の温度特性が変化しても、受光アンプ回路の感度の温度特性でそれをキャンセルし、感度の温度特性のない光ピックアップ素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の受光アンプ回路を搭載する記録/再生装置の光学系を説明するための図である。
【図2】図1の記録/再生装置における光ピックアップ素子として用いられる本発明の実施の一形態の光ピックアップ素子の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図2の光ピックアップ素子における差動アンプの具体的構成を示す電気回路図である。
【図4】本発明の実施の他の形態の光ピックアップ素子の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】図4の光ピックアップ素子における差動アンプの具体的構成を示す電気回路図である。
【図6】本発明の実施のさらに他の形態の光ピックアップ素子の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 記録/再生装置
2 光ディスク
3 レーザダイオード(発光素子)
4,6 コリメータレンズ
5 ビームスプリッタ
7 対物レンズ
8 スポットレンズ
9 受光素子
10,11;21,31,41 光ピックアップ素子
A1,A1a,A1b アンプ(1段目のアンプ、初段アンプ)
A2,A2b アンプ(もう1つのアンプ、リファレンスアンプ)
A3,A4;A3a,A4a;A5 差動アンプ(2段目のアンプ)
F3,F4,F5 定電流源
OP1,OP2,OP3,OP4;OP5;OP1a アンプ部
PD フォトダイオード
Q5 NPN型のトランジスタ
Q31,Q32;Q41,Q42 NPN型のトランジスタ(差動対)
Q33,Q43 PNP型のトランジスタ
R311,R321;R411,R421 入力抵抗
R312,R322;R412,R422 分圧抵抗(ゲイン抵抗)
Rf1,Rf2 帰還抵抗(ゲイン抵抗)
Rf10 入力抵抗
Rf11,Rf12;Rf21,Rf22 帰還抵抗(ゲイン抵抗)
Rf31,Rf41;Rf51 分圧抵抗
Rf32,Rf42;Rf52 帰還抵抗(ゲイン抵抗)
Rs31,Rs32;Rs41,Rs42;Rs51,Rs52 入力抵抗
SW1,SW2 スイッチ素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるCD−R/RWとDVD±R/RWとのように、光波長の異なる2種類のディスクを再生および/または記録可能な装置に用いられる光ピックアップ素子用の受光アンプ回路および光ピックアップ素子に関するものであり、さらに詳しくは、レーザ光強度を所定のパワーに制御するために、該レーザ光強度をモニタする機能を有する受光素子に用いられる受光アンプ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば前記CD−R/RWディスクでは780nm、前記DVD±R/RWディスクでは650nmというように、記録媒体や光源の進歩によって、光波長の異なるディスクの規格が順次策定され、そのような複数種類のディスクを再生および/または記録可能な装置が、パーソナルコンピュータの周辺装置などとして、広く用いられるようになっている。そして、このような装置では、前記再生や記録を安定に行うために、ディスクへ照射するレーザビームの一部を検出し、同検出信号をモニタしながら、レーザ光強度を最適に制御するのが一般的である。
【0003】
一方、前記の異なる波長に対して、光源はそれぞれ設けられても、光ピックアップ素子の小型化や低コスト化などのために、フォトダイオードなどの受光素子は共用されており、この受光素子は、波長が変化した場合に、その感度の温度特性は変化する。
【0004】
前記温度特性を補償する一般的な手法では、レーザパワーモニタ用の受光アンプ回路に温度特性の相互に異なる抵抗を用いて、該受光アンプ回路の感度の温度特性を制御し、受光素子の温度特性を該受光アンプ回路の温度特性でキャンセルしている。そして、光ディスクの記録/再生の際には、レーザパワーモニタ用の受光素子で常時レーザ光強度の変動を検出し、その変化に応じた受光素子の出力をレーザダイオードにフィードバックをかけることにより、最適な強度にレーザ光強度を維持することができる。
【0005】
しかしながら、そのような手法では、前記のように、波長の変化に対する受光素子の温度特性の変化によって、正確なレーザ光強度を検出できないために、特に記録の際にエラーを引起こす1つの要因となる。
【0006】
ここで、たとえば特開2001−23218号公報では、光波長が発光素子の温度によって変化するので、レーザ光強度をモニタし、それを最適に制御することで、前記発光素子の温度特性を補償している。また、特開2001−52368号公報では、書込みと読出しとでレーザ光強度を変化するにあたって、それをフロントモニタでモニタすることで前記レーザ光強度を正確にモニタしている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−23218号公報(公開日:平成13年1月26日)
【0008】
【特許文献2】
特開2001−52368号公報(公開日:平成13年2月23日)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術でも、前記波長の変化に対する受光素子の温度特性を補償するものではない。
【0010】
本発明の目的は、波長が変化することによって受光素子の感度の温度特性が変化しても、それを補償することができる受光アンプ回路およびそれを備える光ピックアップ素子を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の受光アンプ回路は、複数種類の波長の光信号が入射される受光素子からの信号を増幅して出力する受光アンプ回路において、前記受光素子からの信号が入力される初段アンプにおける帰還抵抗と、次段以降のアンプにおける感度を決定する抵抗の少なくとも一部とを相互に異なる温度特性を有する抵抗体で形成し、前記抵抗体を、前記光信号の波長の種類に応じて切換えることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、たとえば前記CD−R/RWディスクの780nm、前記DVD±R/RWディスクの650nmというように、複数種類の波長の光信号が入射される受光素子からの信号を増幅して出力する受光アンプ回路において、受光素子からの信号が入力される初段アンプに帰還抵抗(ゲイン抵抗)を前記波長の種類だけ設けたり、次段以降では、入力抵抗や帰還抵抗などの感度を決定する抵抗を備えるアンプを前記波長の種類だけ設けたりして、前記初段アンプの帰還抵抗や次段以降のアンプにおける感度を決定する抵抗の少なくとも一部の抵抗体を、相互に異なる温度特性を有するように形成し、前記光信号の波長の種類に応じて、使用する帰還抵抗やアンプを切換えるなどして、前記抵抗体を切換える。
【0013】
したがって、波長が変化することによって受光素子の感度の温度特性が変化しても、帰還抵抗や感度を決定する抵抗に、それぞれの波長の温度特性に適応した温度特性を有する抵抗体を使用することで、前記受光素子の温度特性を該受光アンプ回路の温度特性でキャンセルすることができる。
【0014】
また、本発明の受光アンプ回路では、2段目には、差動アンプを前記複数種類の各波長に対応して設け、各差動アンプ間で、前記感度を決定する抵抗として、入力抵抗および帰還抵抗の温度特性が相互に異なるように設定しておき、前記初段アンプからの出力が該複数の2段目の差動アンプに共通に入力され、前記抵抗体の切換えを、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで実現することを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで、前述のような温度特性の異なる抵抗体の切換えを、具体的に実現することができる。
【0016】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路では、前記初段に、前記受光素子が接続されておらず、かつ前記初段アンプと同様に構成されるリファレンス用のもう1つのアンプを備え、2段目の各差動アンプには、前記初段アンプからの出力と前記もう1つのアンプからの出力とが入力され、それらの差分を求めることを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、受光素子への光入力による信号成分のみを取出すことができる。
【0018】
また、本発明の受光アンプ回路では、2段目には、差動アンプを前記複数種類の各波長に対応して設け、各差動アンプ間で、前記感度を決定する抵抗として、出力を予め定める基準電圧との間で分圧して帰還する分圧抵抗の温度特性が相互に異なるように設定しておき、前記初段アンプからの出力が該複数の2段目の差動アンプに共通に入力され、前記抵抗体の切換えを、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで実現することを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで、前述のような温度特性の異なる抵抗体の切換えを、具体的に実現することができる。
【0020】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路では、前記光信号の波長は2種類であり、前記2段目の差動アンプは2組設けられ、それぞれ差動対を構成する一対のトランジスタおよびその差動対に電流を供給する定電流源を備えて構成され、出力側のトランジスタは共通に出力端に接続され、前記波長の切換えに対応して、対応する側の差動アンプの定電流源が能動化され、他方の差動アンプの定電流源が不能動化されることを特徴とする受光アンプ回路。
【0021】
上記の構成によれば、2段目の差動アンプは1つの出力端に接続され、波長の切換えに対応して、定電流源をON/OFFするだけで使用する差動アンプを切換え、前記のような受光素子の温度特性を適切に補償することができる。そして、出力端を共有し、2つの波長に対する光信号強度のモニタを、1チップで正確に実現することができる。
【0022】
また、本発明の受光アンプ回路では、前記初段に、前記受光素子が接続されておらず、かつ前記初段アンプと同様に構成されるリファレンス用のもう1つのアンプを備え、前記初段の2つのアンプには前記複数種類の各波長に対応した温度特性が相互に異なる帰還抵抗をそれぞれ設け、2段目の各差動アンプには前記初段アンプからの出力と前記もう1つのアンプからの出力とが入力されてそれらの差分を求め、前記抵抗体の切換えを、前記1段目の各アンプの帰還抵抗を切換えることで実現することを特徴とする。
【0023】
上記の構成によれば、1段目の各アンプの帰還抵抗を切換えることで、前述のような温度特性の異なる抵抗体の切換えを、具体的に実現することができる。また、リファレンス用のアンプを設けることで、受光素子への光入力による信号成分のみを取出すことができる。
【0024】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路は、前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なる2種類の拡散抵抗で作成されることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の受光アンプ回路は、前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なる拡散抵抗とポリシリコン抵抗とによって作成されることを特徴とする。
【0026】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路は、前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なるポリシリコン抵抗で作成されることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の光ピックアップ素子は、上記の受光アンプ回路を用いることを特徴とする。
【0028】
上記の構成によれば、波長が変化することによって受光素子の感度の温度特性が変化しても、受光アンプ回路の感度の温度特性でそれをキャンセルし、感度の温度特性のない光ピックアップ素子を実現することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、図1〜図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0030】
図1は、本発明の実施の一形態の受光アンプ回路を搭載する記録/再生装置1の光学系を説明するための図である。この記録/再生装置1は、いわゆるCD−R/RWとDVD±R/RWとの光波長の異なる2種類の光ディスク2を記録/再生可能な装置である。発光素子であるレーザダイオード3は、前記CD−R/RWディスクでは780nm、前記DVD±R/RWディスクでは650nmのレーザ光を発光する。前記レーザ光は、コリメータレンズ4において平行光とされ、ビームスプリッタ5において光路が90°曲げられた後、コリメータレンズ6および対物レンズ7を介して、前記光ディスク2に照射される。
【0031】
光ディスク2からの反射光は、前記対物レンズ7およびコリメータレンズ6からビームスプリッタ5を通過し、スポットレンズ8で集光されて、受光素子9に入射される。受光素子9は、入射した光信号から、情報信号を再生するとともに、トラッキングやフォーカシングサーボ用の信号を作成し、図示しない信号処理回路や制御回路などへ出力する。記録時には、レーザダイオード3からの出射光が、書込むべきデータに対応して変調される。
【0032】
このように構成される光学系において、参照符10で示すようにレーザダイオード3の近傍の位置において、および/または参照符11で示すようにビームスプリッタ5を介して反対側の位置などにおいて、光ピックアップ素子が設けられる。この光ピックアップ素子10,11によって、レーザダイオード3からの出射光の一部がモニタされ、該光ピックアップ素子10,11の出力をレーザダイオード3にフィードバックすることによって、レーザ光強度が最適な強度に調整される。
【0033】
図2は、前記光ピックアップ素子10,11として用いられる本発明の実施の一形態の光ピックアップ素子21の電気的構成を示すブロック図である。この光ピックアップ素子21は、大略的に、前記780nmと650nmとのレーザ光に共用され、受光素子であるフォトダイオードPDと、そのフォトダイオードPDからの電流信号を電圧信号に変換する1段目のアンプA1と、リファレンス用のもう1つの1段目のアンプA2と、アンプA1,A2からの出力が入力され、それらの差分を求める2段目の2つの差動アンプA3,A4とを備えて構成される。
【0034】
初段アンプである前記アンプA1は、アンプ部OP1と、前記フォトダイオードPDからの電流信号の電流−電圧変換も行う帰還抵抗(ゲイン抵抗)Rf1とを備えて構成される。リファレンスアンプである前記アンプA2には、前記フォトダイオードPDが接続されておらず、かつ前記アンプA1と同様に、アンプ部OP2と、帰還抵抗Rf2とを備えて構成される。
【0035】
一方、前記650nmのDVD系用の後段アンプである前記差動アンプA3は、アンプ部OP3と、入力抵抗Rs31,Rs32と、入力分圧抵抗Rf31と、帰還抵抗Rf32とを備えて構成される。前記アンプA1からの出力は、入力抵抗Rs31および入力分圧抵抗Rf31を介して、基準電圧Vsとの間で分圧されてアンプ部OP3の正入力端に入力される。また、前記アンプA2からのリファレンス電圧は、入力抵抗Rs32を介してアンプ部OP3の負入力端に入力され、この負入力端にはまた、帰還抵抗Rf32を介して該アンプ部OP3の出力がフィードバックされる。したがって、この差動アンプA3からは、前記アンプA1からの光入力に対応した出力電圧と、前記アンプA2からの光入力のないリファレンス電圧との差分に対応した出力が導出され、前記フォトダイオードPDでの光入力による電圧変化分が、増幅されて出力されることになる。
【0036】
同様に、前記780nmのCD系用の後段アンプである前記差動アンプA4は、アンプ部OP4と、入力抵抗Rs41,Rs42と、入力分圧抵抗Rf41と、帰還抵抗Rf42とを備えて構成される。前記アンプA1からの出力は、入力抵抗Rs41および入力分圧抵抗Rf41を介して、基準電圧Vsとの間で分圧されてアンプ部OP4の正入力端に入力される。また、前記アンプA2からのリファレンス電圧は、入力抵抗Rs42を介してアンプ部OP4の負入力端に入力され、この負入力端にはまた、帰還抵抗Rf42を介して該アンプ部OP4の出力がフィードバックされる。
【0037】
上述のように構成される光ピックアップ素子21において、初段アンプである前記アンプA1の帰還抵抗Rf1と、リファレンスアンプである前記アンプA2の帰還抵抗Rf2とは、たとえば拡散抵抗などによって、相互に同一の温度特性(シート抵抗値)で、かつ同一の抵抗値に形成されており、後段アンプである前記差動アンプA3,A4は、それぞれ抵抗Rf31,Rf32;Rf41,Rf42を有する。
【0038】
ここで、Rf31=Rf32=Rf3、Rf41=Rf42=Rf4、Rs31=Rs32=Rs3、Rs41=Rs42=Rs4として、この受光アンプ回路の感度S〔V/W〕は、フォトダイオードPDの変換効率をη〔A/W〕とすると、次式で与えられる。
【0039】
【数1】
【0040】
ただし、添字の3(4)は、それぞれ差動アンプA3,A4からの出力の場合である。
【0041】
前記感度S〔V/W〕の温度T〔℃〕に対する偏微分は、
【0042】
【数2】
【0043】
であり、感度の微分温度係数(∂S/∂T)/Sは、次式となる。
【0044】
【数3】
【0045】
したがって、感度Sの温度係数は、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=(ηの温度係数)+(Rf1の温度係数)
+(Rf3(4)の温度係数)−(Rs3(4)の温度係数)
となる。
【0046】
すなわち、抵抗Rf1,Rf2;Rf31,Rf32;Rf41,Rf42はフォトダイオードPDと同じ極性に作用する温度特性となり、入力抵抗Rs31,Rs32;Rs41,Rs42はフォトダイオードPDと逆極性に作用する温度特性となる。前記フォトダイオードPDの変換効率ηの温度係数は、プロセスにもよるけれども、たとえば入射光の波長が650nmで200〔ppm/℃〕、780nmで2000〔ppm/℃〕の値を持つ。
【0047】
したがって、たとえば帰還抵抗Rf1の温度係数を500〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、抵抗Rf3,Rs3の温度係数をそれぞれ500〔ppm/℃〕、1200〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定すれば、前記波長が650nmのDVD系用出力の差動アンプA3からの出力は、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=200+500+500−1200=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0048】
また、抵抗Rf4,Rs4の温度係数を、たとえば500〔ppm/℃〕と3000〔ppm/℃〕とにそれぞれ設定しておけば、波長が780nmのCD系用出力の差動アンプA4からの出力も、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=2000+500+500−3000=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0049】
このようにして、入射光の波長に依存せず、受光アンプ回路の出力の温度特性をゼロとすることができる。
【0050】
一方、ポリシリコン抵抗は、それ自体が負の温度特性を持っており、該ポリシリコン抵抗と前記拡散抵抗とを組合わせても、波長に依存しない、感度の温度係数がゼロの受光アンプ回路を実現することができる。
【0051】
たとえば、650nmの波長に対して、帰還抵抗Rf1に温度係数が前記500〔ppm/℃〕の拡散抵抗、抵抗Rf3に温度係数が−350〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗、入力抵抗Rs3に温度係数が350〔ppm/℃〕の拡散抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=200+500+(−350)−350=0となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0052】
また、780nmの波長に対しては、たとえば抵抗Rf4に温度係数が−2000のポリシリコン抵抗、入力抵抗Rs4に温度係数が500〔ppm/℃〕の拡散抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=2000+500+(−2000)−500=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0053】
さらにまた、前記拡散抵抗を使用しないで、温度係数の異なるポリシリコン抵抗のみで回路を構成しても、温度特性がゼロとなる受光アンプ回路を実現することができる。
【0054】
たとえば、650nmの波長に対して、抵抗Rf1,Rf3に温度係数が−500〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗、入力抵抗Rs3に温度係数が−800〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=200+(−500)+(−500)−(−800)=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0055】
また、780nmの波長に対しては、たとえば抵抗Rf4に温度係数が−2000のポリシリコン抵抗、入力抵抗Rs4に温度係数が−500〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=2000+(−500)+(−2000)−(−500)=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0056】
以上述べたように、入射光の波長が変化しても、感度の温度係数をゼロにできるので、常に正確なレーザ光強度を検出することができ、複数のレーザ波長による光ディスク2の記録/再生を安定に行うことが可能となる。
【0057】
また、このようなレーザパワーモニタ用受光素子の出力の温度特性を、波長に依存せずに常にゼロとできる受光アンプ回路を、前記光ピックアップ素子10,11として用いることで、2つの波長に対するレーザパワーのモニタを、1チップで正確に実現することができる。
【0058】
さらにまた、1段目にフォトダイオードPDのリファレンス用のもう1つのアンプA2を設け、2段目の各差動アンプA3,A4には、前記フォトダイオードPDからの信号が入力される初段のアンプA1からの出力と前記もう1つのアンプA2からの出力とを入力し、それらの差分を求めることで、前記フォトダイオードPDでの光入力による電圧変化分のみを、増幅して取出すことができる。
【0059】
図3は、前記差動アンプA3,A4の具体的構成を示す前記光ピックアップ素子21の電気回路図である。この図3において、上述の図2に対応する部分には、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。注目すべきは、この光ピックアップ素子21では、2つの差動アンプA3,A4の出力を1つにまとめていることである。具体的には、差動アンプA3は、NPN型のトランジスタQ31,Q32から成る差動対を備え、それらのエミッタは共通に接続され、定電流源F3を介して接地されている。
【0060】
前記トランジスタQ31のベースは、図2に示す差動アンプA3の正入力端子となり、入力抵抗Rs31を介して初段のアンプA1の出力端子と接続されるとともに、入力分圧抵抗Rf31を介して基準電圧Vsに接続されている。また、前記トランジスタQ32のベースは、図2に示す差動アンプA3の負入力端子となり、入力抵抗Rs32を介してリファレンスのアンプA2の出力端子と接続されるとともに、帰還抵抗Rf32を介して出力Voutがフィードバックされる。
【0061】
同様に、差動アンプA4は、NPN型のトランジスタQ41,Q42から成る差動対を備え、それらのエミッタは共通に接続され、定電流源F4を介して接地されている。前記トランジスタQ41のベースは、図2に示す差動アンプA4の正入力端子となり、入力抵抗Rs41を介して初段の差動アンプA1の出力端子と接続されるとともに、入力分圧抵抗Rf41を介して基準電圧Vsに接続されている。また、前記トランジスタQ42のベースは、図2に示す差動アンプA4の負入力端子となり、入力抵抗Rs42を介してリファレンスの差動アンプA2の出力端子と接続されるとともに、帰還抵抗Rf42を介して出力Voutがフィードバックされる。
【0062】
一方、トランジスタQ31のコレクタには、能動負荷となるPNP型のトランジスタQ33を介して電源電圧Vccが印加される。同様に、トランジスタQ42のコレクタには、能動負荷となるPNP型のトランジスタQ43を介して電源電圧Vccが印加される。これらのトランジスタQ33,Q43はカレントミラー回路を構成し、トランジスタQ33のベースがトランジスタQ31のコレクタに接続されてダイオード構造となっている。また、トランジスタQ33のコレクタは、正入力に対応する前記トランジスタQ31およびQ41のコレクタに接続され、トランジスタQ43のコレクタは、負入力側の前記トランジスタQ32およびQ42のコレクタに接続されている。
【0063】
さらにまた、トランジスタQ43のコレクタ、したがって前記トランジスタQ32,Q42のコレクタは、NPN型のトランジスタQ5のベースに接続されており、該トランジスタQ5のコレクタには前記電源電圧Vccが印加され、エミッタは定電流源F5を介して接地されている。これらのトランジスタQ5と定電流源F5とは、エミッタフォロワ回路を構成しており、出力端となるトランジスタQ5のエミッタは、出力端子と接続されるとともに、前記のように負入力側のトランジスタQ32およびQ42のベースに、帰還抵抗Rf32,Rf42をそれぞれ介して接続されている。
【0064】
そして、定電流回路F3,F4を、波長の切換えに対応して、電気的スイッチによって択一的に電力付勢することで、出力端子を共用しても、使用する差動アンプA3とA4とを切換え、前記のようなフォトダイオードPDの温度特性を適切に補償することができる。このようにして、後段の差動アンプA3,A4の出力端子を1つにまとめることで、前記光ピックアップ素子10,11のチップサイズ縮小、コストダウンにつながるばかりでなく、レーザパワーモニタ用受光素子からの出力信号が複数のレーザ波長に対して1つの出力端子から得られるので、レーザダイオード3を駆動させる後段の集積回路での信号処理を容易にし、かつコストダウンをも可能にすることができる。
【0065】
なお、上述の説明では、Rf31=Rf32=Rf3、Rf41=Rf42=Rf4、Rs31=Rs32=Rs3、Rs41=Rs42=Rs4として、これらの抵抗の抵抗値と温度特性とを揃えているけども、個別の値が用いられてもよい。しかしながら、前記のように抵抗値と温度特性とを揃えておくことで、感度の式が前記数1のように簡単になり、さらに、2段目の差動アンプA3,A4の入力電流(差動対Q31,Q32;Q41,Q42に入るベース電流、図3参照)で各抵抗Rf3,Rf4,Rs3,Rs4に発生する電圧が温度に依存せず揃えられ、オフセット電圧を補償することができる。
【0066】
本発明の実施の他の形態について、図4および図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0067】
図4は、前記光ピックアップ素子10,11として用いられる本発明の実施の他の形態の光ピックアップ素子31の電気的構成を示すブロック図である。この光ピックアップ素子31は、前述の光ピックアップ素子21に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。この光ピックアップ素子31では、1段目は、アンプ部OP1aと、入力抵抗Rf10と、帰還抵抗(ゲイン抵抗)Rf11とを備えて構成される差動アンプA1aから成り、前記アンプ部OP1aの正入力端子には入力抵抗Rf10を介してリファレンス電圧Vrefが入力され、負入力端子には前記フォトダイオードPDからの電流信号が入力されるとともに、前記電流−電圧変換も行う帰還抵抗Rf11を介して該アンプ部OP1aの出力がフィードバックされる。オフセット電圧補正用の前記入力抵抗Rf10は、前記帰還抵抗Rf11と等しく形成されている。
【0068】
一方、前記650nmのDVD系用の後段アンプである差動アンプA3aは、前記アンプ部OP3と、オフセット電圧補正用の入力抵抗R311,R321と、出力分圧抵抗R312,R322とを備えて構成される。初段アンプである前記差動アンプA1aからの出力は、相互に並列に接続された入力抵抗R311,R321を介してアンプ部OP3の正入力端子に入力される。このアンプ部OP3の負入力端子には、該アンプ部OP3の出力が、出力分圧抵抗R322,R312を介して、基準電圧Vsとの間で分圧されて入力される。
【0069】
同様に、前記780nmのCD系用の後段アンプである差動アンプA4aは、前記アンプ部OP4と、オフセット電圧補正用の入力抵抗R411,R421と、出力分圧抵抗R412,R422とを備えて構成される。初段アンプである前記差動アンプA1aからの出力は、相互に並列に接続された入力抵抗R411,R421を介してアンプ部OP4の正入力端子に入力される。このアンプ部OP4の負入力端子には、該アンプ部OP4の出力が、出力分圧抵抗R422,R412を介して、ハイレベルの基準電圧Vsとの間で分圧されて入力される。
【0070】
上述のように構成される受光アンプ回路において、R311=R312=R31、R321=R322=R32、R411=R412=R41、R421=R422=R42として、この回路の感度S〔V/W〕は、フォトダイオードPDの変換効率をη〔A/W〕とすると、次式で与えられる。添字の31,32(41,42)は、それぞれ差動アンプA3,A4からの出力の場合である。
【0071】
【数4】
【0072】
したがって、感度の微分温度係数(∂S/∂T)/Sは、次式となる。
【0073】
【数5】
【0074】
したがって、感度Sの温度係数は、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=(ηの温度係数)+(Rf11の温度係数)
+{(R32(42)の温度係数)−(R31(41)の温度係数)}
× R32(42)/{ R31(41)+ R32(42)}
となる。
【0075】
したがって、フォトダイオードPDの変換効率ηの温度係数に適応して、前記抵抗R31,R32;R41,R42の温度係数をそれぞれ設定することで、650nmと780nmとの2つの波長において、感度Sの温度係数を共にゼロとすることができる。
【0076】
たとえば、前記受光アンプ回路と同様に、フォトダイオードPDの変換効率ηの温度係数が、650nmの波長で200〔ppm/℃〕、780nmで2000〔ppm/℃〕の値を持つとき、帰還抵抗Rf11および抵抗R32の温度係数を500〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、抵抗R31の温度係数を1900〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、かつ抵抗R31,R32の抵抗値を相互に等しく設定すれば、該波長が650nmのDVD系用出力の差動アンプA3aからの出力は、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=200+500+R32/(R31+R32)×(500−1900)=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0077】
また、780nmの波長に対しては、たとえば帰還抵抗Rf11および抵抗R42の温度係数を500〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、抵抗R41の温度係数を3500〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、かつ抵抗R41,R42の抵抗値をそれぞれ1〔kΩ〕,5〔kΩ〕に設定すれば、該波長が780nmのCD系用出力の差動アンプA4aからの出力は、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=2000+500+5/(1+5)×(500−3500)=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0078】
また、ポリシリコン抵抗と前記拡散抵抗とを組合わせても、波長に依存しない、感度の温度係数がゼロの受光アンプ回路を実現することができる。たとえば、650nmの波長に対して、帰還抵抗Rf11の温度係数を−1000〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗に設定し、抵抗R31の温度係数を−800〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗に設定し、抵抗R32の温度係数を800〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、かつ抵抗R31,R32の抵抗値を相互に等しく設定すれば、該波長が650nmのDVD系用出力の差動アンプA3aからの出力は、
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0079】
また、780nmの波長に対しても、たとえば帰還抵抗Rf11を−1000〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗に設定し、抵抗R41を温度係数が500〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、抵抗R42を温度係数が−1500〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗に設定し、かつ抵抗R41,R42の抵抗値を相互に等しく設定すれば、該波長が780nmのCD系用出力の差動アンプA4aからの出力は、
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0080】
さらにまた、前記拡散抵抗を使用しないで、温度係数の異なるポリシリコン抵抗のみで回路を構成しても、温度特性がゼロとなる受光アンプ回路を実現することができる。
【0081】
たとえば、650nmの波長に対して、帰還抵抗Rf11に温度係数が−1000〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗、抵抗R31,R32にそれぞれ温度係数が−2100〔ppm/℃〕および−500〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗をそれぞれ設定し、かつ抵抗R31,R32の抵抗値を相互に等しく設定すれば、該波長が650nmのDVD系用出力の差動アンプA3aからの出力は、
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0082】
また、780nmの波長に対しても、たとえば帰還抵抗Rf11に温度係数が−1000〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗、抵抗R41,R42に温度係数が−500〔ppm/℃〕および−2000〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗をそれぞれ設定し、かつ抵抗R41,R42の抵抗値をそれぞれ1〔kΩ〕,2〔kΩ〕に設定すれば、該波長が780nmのCD系用出力の差動アンプA4aからの出力は、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=2000+(−1000)+2/(1+2)×{−2000−(−500)} =0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0083】
図5は、前記差動アンプA3a,A4aの具体的構成を示す前記光ピックアップ素子31の電気回路図である。この図5において、前述の図3に対応する部分には、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。この光ピックアップ素子31では、2つの差動アンプA3a,A4aにおいて、アンプ部OP3,OP4は前述の差動アンプA3,A4と同様に構成されており、出力が1つにまとめられている。
【0084】
差動アンプA3aにおいて、前記トランジスタQ31のベースは、図4に示す該差動アンプA3aの正入力端子となり、オフセット電圧補正用の前記入力抵抗R311,R321を介して初段の差動アンプA1aの出力端子と接続される。一方、前記トランジスタQ32のベースは、図4に示す該差動アンプA3aの負入力端子となり、出力分圧抵抗R312を介して基準電圧Vsが与えられるとともに、出力分圧抵抗R322を介して出力Voutがフィードバックされる。
【0085】
同様に、差動アンプA4aにおいて、前記トランジスタQ41のベースは、図4に示す該差動アンプA4aの正入力端子となり、オフセット電圧補正用の前記入力抵抗R411,R421を介して初段の差動アンプA1aの出力端子と接続される。一方、前記トランジスタQ42のベースは、図4に示す該差動アンプA4aの負入力端子となり、出力分圧抵抗R412を介して基準電圧Vsが与えられるとともに、出力分圧抵抗R422を介して出力Voutがフィードバックされる。
【0086】
そして、定電流回路F3,F4を、波長の切換えに対応して、電気的スイッチによって択一的に電力付勢することで、出力端子を共用しても、使用する差動アンプA3aとA4aとを切換え、前記のようなフォトダイオードPDの温度特性を適切に補償することができる。このようにして、後段の差動アンプA3a,A4aの出力端子を1つにまとめることができる。
【0087】
なお、前記差動アンプA3a,A4aの温度特性を決定するのは、分圧抵抗R312,R322;R412,R422であり、入力抵抗R311,R321;R411,R421は、前記温度特性には関与せず、その温度特性はどのような値であってもよい。しかしながら、前述のように、R311=R312=R31、R321=R322=R32、R411=R412=R41、R421=R422=R42として、抵抗値と温度特性とを揃えることで、前記差動アンプA3,A4と同様に、差動アンプA3a,A4aの入力電流で各抵抗R31,R32;R41,R42に発生する電圧が温度に依存せず揃えられ、オフセット電圧を補償することができる。
【0088】
本発明の実施のさらに他の形態について、図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0089】
図6は、前記光ピックアップ素子10,11として用いられる本発明の実施のさらに他の形態の光ピックアップ素子41の電気的構成を示すブロック図である。この光ピックアップ素子41は、前述の光ピックアップ素子21に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。注目すべきは、この光ピックアップ素子41では、1段目は、前記フォトダイオードPDからの電流信号を電圧信号に変換するアンプA1bと、リファレンス用のもう1つの1段目のアンプA2bとから構成され、2段目は、それらのアンプA1b,A2bからの出力が入力され、それらの差分を求める1つの差動アンプA5で構成されていることである。
【0090】
前記アンプA1bは、前記アンプ部OP1と、2つの帰還抵抗(ゲイン抵抗)Rf11,Rf12と、それらの帰還抵抗Rf11,Rf12を択一的にフィードバック用に使用するためのスイッチ素子SW1とを備えて構成される。同様に、前記アンプA2bも、前記アンプ部OP2と、2つの帰還抵抗Rf21,Rf22と、それらの帰還抵抗Rf21,Rf22を択一的にフィードバック用に使用するためのスイッチ素子SW2とを備えて構成される。
【0091】
前記差動アンプA5は、アンプ部OP5と、2つの入力抵抗Rs51,Rs52と、入力分圧抵抗Rf51と、帰還抵抗Rf52とを備えて構成される。前記アンプ部OP5の正入力端子には、前記入力抵抗Rs51および入力分圧抵抗Rf51を介して、前記アンプA1bからの出力が基準電圧Vsとの間で分圧されて入力され、負入力端子には、前記入力抵抗Rs52を介して前記アンプA2bからの出力が入力されるとともに、帰還抵抗Rf52を介して該アンプ部OP5の出力がフィードバックされる。
【0092】
上述のように構成される光ピックアップ素子41において、前記帰還抵抗Rf11,Rf12と、帰還抵抗Rf21,Rf22とは、たとえば拡散抵抗などによって、それぞれ相互に同一の温度特性(シート抵抗値)で、かつ同一の抵抗値に形成されている。この受光アンプ回路41の感度S〔V/W〕は、Rf51=Rf52=Rf5、Rs51=Rs52=Rs5とし、フォトダイオードPDの変換効率をη〔A/W〕とすると、次式で与えられる。
【0093】
【数6】
【0094】
ただし、Rf11orRf12は、前記スイッチ素子SW1,SW2によって一方が使用されることを表す。
【0095】
したがって、前記感度の温度係数(∂S/∂T)/Sは、次式となる。
【0096】
【数7】
【0097】
したがって、感度Sの温度係数は、
となる。
【0098】
すなわち、帰還抵抗Rf11,Rf12および帰還抵抗Rf5はフォトダイオードPDと同じ極性に作用する温度特性となり、入力抵抗Rs5はフォトダイオードPDと逆極性に作用する温度特性となる。
【0099】
したがって、たとえば前記フォトダイオードPDの変換効率ηの温度係数を、前記のように入射光の波長が650nmで200〔ppm/℃〕、780nmで2000〔ppm/℃〕とするとき、たとえば抵抗Rf5,Rs5の温度係数をそれぞれ500〔ppm/℃〕、3000〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、帰還抵抗Rf11に温度係数が2300〔ppm/℃〕の拡散抵抗、帰還抵抗Rf12に温度係数が500〔ppm/℃〕の拡散抵抗を設定しておけば、前記波長が650nmのDVD系用出力に帰還抵抗Rf11を選択すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=200+2300+500−3000=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0100】
また、780nmのCD系用出力に帰還抵抗Rf12を選択すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=2000+500+500−3000=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0101】
このようにして、入射光の波長に応じて帰還抵抗Rf11とRf12とを切換えることで、前記波長に依存せず、受光アンプ回路41の出力の温度特性をゼロとすることができる。
【0102】
また、前述のように、負の温度係数を持つポリシリコン抵抗と拡散抵抗とを組合わせても、光ピックアップ素子全体の温度特性をゼロにすることは可能である。たとえば、650nmの波長に対して、抵抗Rf51,Rs51の温度係数をそれぞれ500〔ppm/℃〕、1000〔ppm/℃〕の拡散抵抗に設定し、帰還抵抗Rf11に温度係数が300〔ppm/℃〕の拡散抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕=200+300+500−1000=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0103】
また、780nmの波長に対しては、帰還抵抗Rf12に温度係数が−1500〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=2000+(−1500)+500−1000=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0104】
さらにまた、前記拡散抵抗を使用しないで、温度係数の異なるポリシリコン抵抗のみで回路を構成しても、温度特性がゼロとなる受光アンプ回路を実現することができる。たとえば、650nmの波長に対して、抵抗Rf51,Rs51の温度係数をそれぞれ−500〔ppm/℃〕、−1000〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗に設定し、帰還抵抗Rf11に温度係数が−700〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=200+(−700)+(−500)−(−1000)=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0105】
また、780nmの波長に対しては、帰還抵抗Rf12に温度係数が−2500〔ppm/℃〕のポリシリコン抵抗を設定すれば、
(Sの温度係数)〔ppm/℃〕
=2000+(−2500)+(−500)−(−1000)=0
となり、感度の温度特性をゼロにできる。
【0106】
上述の説明では、1段目のアンプA1,A2;A1a;A1b,A2bと、2段目の差動アンプA3,A4;A3a,A4a;A5との2段の構成であるけれども、所望とする感度を得るために、または所望とする極性の出力を得るために(フォトダイオードPDへの入射光量が多くなる程、出力電圧が高くなる正出力と、低くなる負出力とを選択するために)、3段以上のアンプが用いられてもよい。
【0107】
【発明の効果】
本発明の受光アンプ回路は、以上のように、たとえば780nmと650nmというように、複数種類の波長の光信号が入射される受光素子からの信号を増幅して出力する受光アンプ回路において、受光素子からの信号が入力される初段アンプに帰還抵抗(ゲイン抵抗)を前記波長の種類だけ設けたり、次段以降では、入力抵抗や帰還抵抗などの感度を決定する抵抗を備えるアンプを前記波長の種類だけ設けたりして、前記初段アンプの帰還抵抗や次段以降のアンプにおける感度を決定する抵抗の少なくとも一部の抵抗体を、相互に異なる温度特性を有するように形成し、前記光信号の波長の種類に応じて、使用する帰還抵抗やアンプを切換えるなどして、前記抵抗体を切換える。
【0108】
それゆえ、波長が変化することによって受光素子の感度の温度特性が変化しても、それぞれの波長の温度特性に適応した温度特性を有する抵抗体を使用することで、前記受光素子の温度特性を該受光アンプ回路の温度特性でキャンセルすることができる。
【0109】
また、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記複数種類の各波長に対応した差動アンプを2段目に設け、各差動アンプ間で、前記感度を決定する抵抗として、入力抵抗および帰還抵抗の温度特性が相互に異なるように設定しておき、前記初段アンプからの出力が該複数の2段目の差動アンプに共通に入力され、前記抵抗体の切換えを、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで実現する。
【0110】
それゆえ、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで、前述のような温度特性の異なる抵抗体の切換えを、具体的に実現することができる。
【0111】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記初段に、前記受光素子が接続されておらず、かつ前記初段アンプと同様に構成されるリファレンス用のもう1つのアンプを備え、2段目の各差動アンプには、前記初段アンプからの出力と前記もう1つのアンプからの出力とを入力し、それらの差分を求める。
【0112】
それゆえ、受光素子への光入力による信号成分のみを取出すことができる。
【0113】
また、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記複数種類の各波長に対応した差動アンプを2段目に設け、各差動アンプ間で、前記感度を決定する抵抗として、出力を予め定める基準電圧との間で分圧して帰還する分圧抵抗の温度特性が相互に異なるように設定しておき、前記初段アンプからの出力が該複数の2段目の差動アンプに共通に入力され、前記抵抗体の切換えを、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで実現する。
【0114】
それゆえ、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで、前述のような温度特性の異なる抵抗体の切換えを、具体的に実現することができる。
【0115】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記光信号の波長を2種類とし、前記2段目の差動アンプは2組設け、それぞれ差動対を構成する一対のトランジスタおよびその差動対に電流を供給する定電流源を備えて構成し、出力側のトランジスタは共通に出力端に接続し、前記波長の切換えに対応して、対応する側の差動アンプの定電流源を能動化し、他方の差動アンプの定電流源を不能動化する。
【0116】
それゆえ、前記のように受光素子の温度特性を適切に補償することができるとともに、出力端を共有し、2つの波長に対する光信号強度のモニタを、1チップで正確に実現することができる。
【0117】
また、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記初段に、前記受光素子が接続されておらず、かつ前記初段アンプと同様に構成されるリファレンス用のもう1つのアンプを備え、前記初段の2つのアンプには前記複数種類の各波長に対応した温度特性が相互に異なる帰還抵抗をそれぞれ設け、2段目の各差動アンプには前記初段アンプからの出力と前記もう1つのアンプからの出力とが入力されてそれらの差分を求め、前記抵抗体の切換えを、前記1段目の各アンプの帰還抵抗を切換えることで実現する。
【0118】
それゆえ、1段目の各アンプの帰還抵抗を切換えることで、前述のような温度特性の異なる抵抗体の切換えを、具体的に実現することができる。また、リファレンス用のアンプを設けることで、受光素子への光入力による信号成分のみを取出すことができる。
【0119】
さらにまた、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なる2種類の拡散抵抗で作成される。
【0120】
また、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なる拡散抵抗とポリシリコン抵抗とによって作成される。
【0121】
また、本発明の受光アンプ回路は、以上のように、前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なるポリシリコン抵抗で作成される。
【0122】
さらにまた、本発明の光ピックアップ素子は、以上のように、上記の受光アンプ回路を用いる。
【0123】
それゆえ、波長が変化することによって受光素子の感度の温度特性が変化しても、受光アンプ回路の感度の温度特性でそれをキャンセルし、感度の温度特性のない光ピックアップ素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の受光アンプ回路を搭載する記録/再生装置の光学系を説明するための図である。
【図2】図1の記録/再生装置における光ピックアップ素子として用いられる本発明の実施の一形態の光ピックアップ素子の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図2の光ピックアップ素子における差動アンプの具体的構成を示す電気回路図である。
【図4】本発明の実施の他の形態の光ピックアップ素子の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】図4の光ピックアップ素子における差動アンプの具体的構成を示す電気回路図である。
【図6】本発明の実施のさらに他の形態の光ピックアップ素子の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 記録/再生装置
2 光ディスク
3 レーザダイオード(発光素子)
4,6 コリメータレンズ
5 ビームスプリッタ
7 対物レンズ
8 スポットレンズ
9 受光素子
10,11;21,31,41 光ピックアップ素子
A1,A1a,A1b アンプ(1段目のアンプ、初段アンプ)
A2,A2b アンプ(もう1つのアンプ、リファレンスアンプ)
A3,A4;A3a,A4a;A5 差動アンプ(2段目のアンプ)
F3,F4,F5 定電流源
OP1,OP2,OP3,OP4;OP5;OP1a アンプ部
PD フォトダイオード
Q5 NPN型のトランジスタ
Q31,Q32;Q41,Q42 NPN型のトランジスタ(差動対)
Q33,Q43 PNP型のトランジスタ
R311,R321;R411,R421 入力抵抗
R312,R322;R412,R422 分圧抵抗(ゲイン抵抗)
Rf1,Rf2 帰還抵抗(ゲイン抵抗)
Rf10 入力抵抗
Rf11,Rf12;Rf21,Rf22 帰還抵抗(ゲイン抵抗)
Rf31,Rf41;Rf51 分圧抵抗
Rf32,Rf42;Rf52 帰還抵抗(ゲイン抵抗)
Rs31,Rs32;Rs41,Rs42;Rs51,Rs52 入力抵抗
SW1,SW2 スイッチ素子
Claims (10)
- 複数種類の波長の光信号が入射される受光素子からの信号を増幅して出力する受光アンプ回路において、
前記受光素子からの信号が入力される初段アンプにおける帰還抵抗と次段以降のアンプにおける感度を決定する抵抗の少なくとも一部を相互に異なる温度特性を有する抵抗体で形成し、
前記抵抗体を、前記光信号の波長の種類に応じて切換えることを特徴とする受光アンプ回路。 - 2段目には、差動アンプを前記複数種類の各波長に対応して設け、各差動アンプ間で、前記感度を決定する抵抗として、入力抵抗および帰還抵抗の温度特性が相互に異なるように設定しておき、前記初段アンプからの出力が該複数の2段目の差動アンプに共通に入力され、前記抵抗体の切換えを、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで実現することを特徴とする請求項1記載の受光アンプ回路。
- 前記初段に、前記受光素子が接続されておらず、かつ前記初段アンプと同様に構成されるリファレンス用のもう1つのアンプを備え、2段目の各差動アンプには、前記初段アンプからの出力と前記もう1つのアンプからの出力とが入力され、それらの差分を求めることを特徴とする請求項2記載の受光アンプ回路。
- 2段目には、差動アンプを前記複数種類の各波長に対応して設け、各差動アンプ間で、前記感度を決定する抵抗として、出力を予め定める基準電圧との間で分圧して帰還する分圧抵抗の温度特性が相互に異なるように設定しておき、前記初段アンプからの出力が該複数の2段目の差動アンプに共通に入力され、前記抵抗体の切換えを、出力を用いる2段目の差動アンプを切換えることで実現することを特徴とする請求項1記載の受光アンプ回路。
- 前記光信号の波長は2種類であり、前記2段目の差動アンプは2組設けられ、それぞれ差動対を構成する一対のトランジスタおよびその差動対に電流を供給する定電流源を備えて構成され、出力側のトランジスタは共通に出力端に接続され、
前記波長の切換えに対応して、対応する側の差動アンプの定電流源が能動化され、他方の差動アンプの定電流源が不能動化されることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の受光アンプ回路。 - 前記初段に、前記受光素子が接続されておらず、かつ前記初段アンプと同様に構成されるリファレンス用のもう1つのアンプを備え、前記初段の2つのアンプには前記複数種類の各波長に対応した温度特性が相互に異なる帰還抵抗をそれぞれ設け、2段目の各差動アンプには前記初段アンプからの出力と前記もう1つのアンプからの出力とが入力されてそれらの差分を求め、前記抵抗体の切換えを、前記1段目の各アンプの帰還抵抗を切換えることで実現することを特徴とする請求項1記載の受光アンプ回路。
- 前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なる2種類の拡散抵抗で作成されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の受光アンプ回路。
- 前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なる拡散抵抗とポリシリコン抵抗とによって作成されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の受光アンプ回路。
- 前記帰還抵抗および感度を決定する抵抗が、温度特性の相互に異なるポリシリコン抵抗で作成されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の受光アンプ回路。
- 前記請求項1〜9の何れか1項に記載の受光アンプ回路を用いることを特徴とする光ピックアップ素子。
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