JP2004227640A - 光ディスク及び光ディスクの記録方法、光ディスクの再生方法、光ディスク駆動装置 - Google Patents
光ディスク及び光ディスクの記録方法、光ディスクの再生方法、光ディスク駆動装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】光ディスク等に記録される不正コピー防止等のためのディスク固有の識別情報を、プリピットと記録マークの識別を可能にし、且つ、通常のドライブでの擬似的マークの形成ができない記録媒体と、その再生方法を提供することを目的とする。
【解決手段】グルーブを記録トラックとして用い、情報の記録が可能な記録層を備えた光ディスクであって、前記光ディスクはユーザデータの記録領域外に前記光ディスクにアクセスするための管理領域を備え、前記管理領域のランドの一部が記録トラック方向に切断して形成されたミラー部を有し、前記ミラー部両側に隣接するランドが存在し、少なくとも、前記ミラー部を含むランドトラック上にディスク固有の識別情報を不可逆的な記録マークで形成することで、予めプリピットで形成された情報と記録マークで形成された情報を、前記ランドトラックの隣接トラックにトラックオンした状態で再生することで、その信号レベルの差を検出し、プリピットで形成された情報と区別できる手段を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】グルーブを記録トラックとして用い、情報の記録が可能な記録層を備えた光ディスクであって、前記光ディスクはユーザデータの記録領域外に前記光ディスクにアクセスするための管理領域を備え、前記管理領域のランドの一部が記録トラック方向に切断して形成されたミラー部を有し、前記ミラー部両側に隣接するランドが存在し、少なくとも、前記ミラー部を含むランドトラック上にディスク固有の識別情報を不可逆的な記録マークで形成することで、予めプリピットで形成された情報と記録マークで形成された情報を、前記ランドトラックの隣接トラックにトラックオンした状態で再生することで、その信号レベルの差を検出し、プリピットで形成された情報と区別できる手段を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光ディスク及び光ディスクの記録再生方法に係り、特に不正コピー防止のためのディスク固有の識別情報を記録する有機色素を記録層として用いた光ディスクと、その情報管理方法、ドライブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスクにおいては、不正コピー防止等のために光ディスク毎に固有の識別情報を記録することが行われている。識別情報を記録する従来技術としては、DVD(Digital Versatile Disk)等で用いられているBCA(Burst Cutting Area)記録や特開平9−091781号公報、特開2002−197670号公報などの方法が知られている。
【0003】
BCAではレーザトリミングによってディスクの反射層を部分的に溶融して複数トラックに無反射部分を形成し、この無反射部分をバーコード状に配置することによって、ディスク固有の識別情報を記録する方法であり、反射層のみであるCD−ROMやDVD−ROMのような再生専用光ディスクでは有効であるが、BCAライターは非常に高価であるためコストアップになる。
【0004】
CD−RやDVD−Rのようなライトワンス型光ディスクでは記録された情報を書き換えることができないため、レコーダーを用いてディスク固有の識別情報を記録することは可能であるが、光磁気ディスクや相変化型光ディスクでは記録された情報の書き換えが可能なため、特開平9−091781号公報のように、通常の情報記録よりも遅い線速度と高いレーザーパワーでディスク識別信号を記録膜の不可逆的変化で記録する方法、或いは、特開2002−197670号のように、記録媒体に通常の情報記録時よりも強いレーザーパワーで記録する、又は、通常の情報記録時よりもレーザー照射時間を長くして記録することで不可逆なマークを形成し、複数の不可逆領域と通常領域との交互配置パターンをユーザデータ領域外に製造段階で設けることによってディスク固有の識別情報を記録する方法が考えられる。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−091781号
【特許文献2】
特開2002−197670
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の方法で書き換え可能な光ディスクに不可逆マークを形成すると、マークを消去される畏れはないものの、不可逆マークの信号レベルと、ドライブにより通常記録パワーで形成した可逆マークとの信号レベルに差がないため、予めディスク固有の識別情報を設けていないディスクに対して、通常のドライブで擬似的に不正マークを形成、違法コピー品が作成可能となる畏れがある。
【0007】
また、記録可能な光ディスクのディスク固有の識別情報が予めプリピットで形成された場合も信号レベルに特徴的な差がないため上記と同様であるが、スタンパレベルでディスク固有情報が共通であるため、前記ディスク固有情報が予めプリピットで形成された光ディスクと識別できる必要がある。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、不正コピー防止等のためのディスク固有の識別情報を、不可逆的に形成することで消去を不可能にし、且つ通常ドライブによるグルーブ記録等の本発明以外の方法で作成した不正コピーディスクを容易に識別できる再生方法及びそのための媒体構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、ドライブ及び光デイスクに複雑な機構を施すことなく、しかも、複製が困難で、不正複製品を容易に看破することができる著作物保護手段を提供する。その特徴は、次の通りである。▲1▼ディスク固有の識別情報を、記録トラックに隣接するトラックに記録し再生時にクロストークにより情報信号として検出する方式をとることにより、複製のために隣接する両側のトラックに同信号を記録されたとしても、駆動スピンドルの回転ジッタの影響により、互いに隣接する記録トラックの記録マーク位置の位相を合致させることは困難で、追記による複製情報は正規のディスク固有識別情報と区別可能になり、複製品を看破できる。特にCLV駆動においては記録マーク位置の位相を合致させることは困難である。▲2▼ミラー部とランドトラックとにわたり、識別情報を記録マークで形成し、記録マークの振幅変化に信号レベルが異なる3つの状態を混在させ、それぞれの信号レベルに対応したスライスレベルを設ける方式で検出することにより、ミラー部を形成していない光ディスクに不正コピー記録されたとしても、2値の状態しか得られないため、固有識別情報領域や記録マークの再生が完全に行われないため、複製品を看破できる。このように、ディスク固有の識別情報が記録されていない光ディスクのグルーブトラックに正規のディスク固有識別情報を不正コピーされた場合も区別が可能である。
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の目的は、グルーブを記録トラックとして用い、情報の記録が可能な有機色素記録層を備えた光ディスクの真偽判別が容易なディスク固有の識別情報を記録するためのトラック構造を提供することであって、ユーザデータ領域外に設けられた管理情報領域のランドトラックの一部をトラック方向に切断したトラック幅より広い平坦部(ミラー領域)を形成し、前記ミラー領域を含む前記ランドトラックに不可逆的な記録マークでディスク固有の識別情報を形成し、前記ディスク固有識別情報が記録された前記ランドトラックに隣接するグルーブにトラッキングをかけたトラックオン状態で、前記固有識別情報を再生し、ランドトラックの信号レベルとミラー部の信号レベルの不可逆的な記録マークの信号レベルの間に設けたスライスレベルによって、正規ディスクを容易に判別することを特徴とする。ディスク固有の識別情報に必要なデータ量は数バイトから数十バイトであり、このために必要な切断ミラー領域のトラック方向の長さは数マイクロメーターから数十マイクロメーター程度の範囲なので、トラック方向にランドを切断されていてもトラッキングが外れることはない。このように、データ容量としては最大でも数十バイト程度なので、トラック一周内に適当な間隔を空けて数カ所設ければ十分であるが、数トラックに重複して形成してもよく、数バイト単位に分割して分散配置してもよい。図1に、塗布型色素記録ディスクの記録マークと再生信号の関係を示す。
【0011】
ここで、トラック方向にランドの一部を切断した前記ミラー部はランドトラックやグルーブトラックとは異なり実効ビーム径において平坦であるから前記ミラー部の反射率は高くなる(aレベル)ので、ランドトラックの信号レベル(bレベル)では前記ミラー部においてレベル差が発生する。さらに、前記ミラー部に形成された記録マークの信号振幅は通常の記録トラックに形成された記録マークより大きくなるため隣接するグルーブトラックにトラックオンした状態で再生を行なってもランドからのクロストーク量が多く、情報信号として検出することができる。
【0012】
第1に、グルーブトラックに情報を記録する塗布型色素記録ディスクの場合、ランド部よりグルーブ部の色素膜厚が厚く、前記ミラー部も前記ランドトラック部より色素膜厚が厚いため、信号振幅の差がより顕著になる。このため、前記ミラー部を含むランドトラックにディスク固有の識別情報を不可逆的な記録マークで形成され、前記ミラー部に形成された記録マークはランドトラックに形成された記録マークより振幅変化変化が大きくなり(a−c)、かつランドトラックに形成された記録マーク(b)より低いレベルになって、信号レベルが異なる3つの状態が混在することになるので、それぞれの信号レベルに対応したスライスレベル▲1▼▲2▼を設けて検出することにより、予めプリピットでディスク固有識別情報を形成して大量複製された光ディスクとの区別を容易にする。
【0013】
すなわちプリピットによるマーク形成では、ランド部とグルーブ双方に形成することは不可能である。ピットが連続して形成されているものがランドであることを考えればランド部とピットを区別することができないのは当然である。
【0014】
一方、ディスク固有の識別情報が記録されていない光ディスクのグルーブトラックに正規のディスク固有識別情報を不正コピーされた場合も区別が可能である。第1に、前記ミラー部を形成されない不正光ディスクにコピー記録された場合、ディスク固有識別情報領域でのミラーレベルや記録マークの再生レベル検出で区別できる。第2に、ディスク固有の識別情報が記録されるべきランドトラックに隣接する両側のグルーブトラックに記録された場合、光ディスクを回転しているスピンドルの回転ジッタのため、両側のグルーブトラックに形成された記録マークのランドとミラーの境界を基準とするトラック方向位相がアドレスの異なる隣接する2つのグルーブトラックで合致させることは困難となり、正規のディスク固有識別情報と区別することができる。
【0015】
情報管理領域にある管理情報は製造者によって記録され、ユーザによって書き換えできなくすることで不正コピーを監視している。書き換えの有無を検出できる手段を設けることが、不正コピー防止により有効である。一方、管理情報全てを不可逆的に記録するには、ライトワンス型光ディスクを用いて行なうことで、例えば色素型の光ディスクを使用できる。
【0016】
さらには、ユーザデータの記録領域外に不可逆的に形成されたマークにより情報を記録する管理領域を備え、SYNCコード、エラー検出コード(EDC)の少なくともいずれか一部を不可逆的に記録することで、情報の書き換えによる不可逆的に記録されたSYNCコードの再生信号長や書き換えられた管理情報から演算されるエラー検出コード(EDC)の変化から書き換えの有無を検出することができる。すなわち、情報管理領域にある管理情報は製造者によって記録され、ユーザによって書き換えをできなくすることで、不正コピーを防止しようとしているので、書き換えの有無を検出できる手段を設けることは、不正コピー防止に有効である。
【0017】
記録層に塗布型色素材料を用いた場合、記録層に用いられる色素材料は公知一般のレーザーによる良好な記録、再生に適した色素材料を用いることができ、たとえば例えば、シアニン系色素、スクアリリウム色素、アズレニウム系色素等のポリメチン系色素、フタロシアニン系色素のような大環状アザアネレン系色素、ジチオール系色素、ポルフィセン系化合物、アヌレン系化合物などの光照射により変質する有機物が挙げられる。また、かかる材料は、これらの有機材質を1又は2種以上の混合してもよい。
【0018】
更には記録再生に用いられるレーザー光が400nm近傍の波長である場合、ポルフィセン系化合物、アヌレン系化合物を用いることが望ましい。
【0019】
ポルフィセン系化合物は、下記の一般式(化1)を有しており、この一般式中のR1 〜R4は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、あるいはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基が挙げられる。前記一般式中のX1 〜X8はそれぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;ホルミル基;カルボキシル基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;スルホン酸基;あるいはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ベテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の1〜20の直鎖または分岐のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、エトキシカルボニルプロポキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基等の置換されていてもよい炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等の炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基;ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラン環等の炭素数6〜12の芳香環または複素環;カルボキシルメチル基等のカルボキシルアルキル基;メトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の置換されていてもよい炭素数2〜21の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基等の置換されていてもよい炭素数2〜21の直鎖または分岐のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエチル基、n−プロポキシカルボニルエチル基、n−プロポキシカルボニルプロピル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルエチル基等の炭素数3〜22の直鎖または分岐のアルコキシカルボニルアルキル基が挙げられる。また、X1 〜X8およびR1〜R4 のうち隣接する置換基どうしが結合して環状を形成してもよい。前記一般式において、Mは2個の水素原子、Ni, Co, Cu, Zn, Pd, Pt, Fe, Mn, Sn, Mg, Rh等の2価の金属、TiO, FeCl, VO, Sn(Y)2等の3〜4価の金属誘導体およびSi(Y)2, Ge(Y)2等の誘導体(Yはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基)等のポルフィセン系化合物に配位することができる誘導体であればよいが、300〜500nmに極大吸収をもち、モル吸光係数が大きい点で、特にNi, Zn, Co, Cuが特に好ましい。
一般式
【0020】
【化1】
【0021】
アヌレン系化合物は下記の一般式(化2)を有しており、この一般式中のX1 〜X3としてはそれぞれ独立して、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、イミノ基が挙げられる。前記一般式中のR1 〜R6は、それぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の置換されていてもよい炭素数2〜21の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;あるいはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基が挙げられる。前記一般式中のR7 〜R12 はそれぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;ホルミル基;カルボキシル基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;スルホン酸基;あるいはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ベテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の1〜20の直鎖または分岐のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、エトキシカルボニルプロポキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基等の置換されていてもよい炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等の炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基;ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラン環等の炭素数6〜12の芳香環または複素環;カルボキシルメチル基等のカルボキシルアルキル基;メトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の置換されていてもよい炭素数2〜21の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基等の置換されていてもよい炭素数2〜21の直鎖または分岐のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエチル基、n−プロポキシカルボニルエチル基、n−プロポキシカルボニルプロピル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルエチル基等の炭素数3〜22の直鎖または分岐のアルコキシカルボニルアルキル基が挙げられる。また、R1 〜R12 のうち隣接する置換基どうしが結合して環状を形成してもよい。
一般式
【0022】
【化2】
【0023】
これらの有機色素は透明樹脂基板上に直接あるいは他の層を介してキャスト法、スピンコート法、浸漬法等の塗布方法を好適に用い、成膜することができる。塗布溶媒としては、基板を侵さない溶媒であれば特に限定されない。例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の炭化水素系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシルエステル系溶媒などが挙げられる。
【0024】
上記記録層の膜厚は、記録に用いるレーザー光などの記録光のパワーに対する記録感度性能係数を考慮して、波長、光反射層の光学定数、光吸収層の材質に応じて適宜選択される。また、本発明の主旨であるランドトラックに不可逆的な記録マークでディスク固有の識別情報を形成するためには、ランド部においても記録が可能でなければならない。しかしながらスピンコート法により形成された色素記録媒体の記録層は、塗布面からみて凹んでいるグルーブ部の色素膜厚が厚くなり、ランド部の色素膜厚が薄くなる。したがって、少なくともランド部の色素厚さはレーザー波長λに対し、λ/6n以上が必要であり、そのためにランド部の記録層の膜厚が上記条件に合致するよう色素および色素を溶解する溶媒、または基板上に形成されたグルーブのU字溝の形状を最適化する必要がある。これに加え、記録媒体全域において記録再生特性がランド部以上に優れた記録特性を要求されるのは必須であることから、色素の光学定数nは1.8以上必要であり、従ってグルーブ部のU字溝の凹みの深さは20nmから150nm、望ましくは50nmから120nmが必要である。
【0025】
また反射層は、Au、Ag、Cu、Alなどの金属またはそれらを主成分とした合金から構成することができが、反射率や耐久性の点から銀または銀を主成分とする合金が好ましい。成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリングおよびイオンプレーティングなどにより成膜することができる。光反射層の膜厚は反射率および熱拡散効率等を考慮し0.02μm〜0.5μmとすることが好ましい。
【0026】
光反射層上に形成する保護層としては、アクリル系紫外線硬化樹脂等の硬質性の材料を用いることが好ましい。これは、高温高湿下で長期間保存した場合、保護層の経時的な変形を防止できるためである。通常、光反射層上に直接または他の層を介してスピンコート法により厚み1〜20μmで塗布した後、紫外線照射により硬化させて形成される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例および比較例を上げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない範囲で、以下の実施例に限定されるのではない。
【0028】
(実施例1)
本発明で使用したライトワンス型光ディスクの構造を図2に示す。直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート樹脂基板の表面に、アドレス情報(ID)などを含む凹凸ピットと、0.45μmピッチのU字型溝とをあらかじめ形成した基板111を用意した。U字型溝の溝幅は約0.20μm、深さを100nmとした。この基板111上に形成する記録層材料として下記の一般式(化3)で示されるポルフィセン化合物系の色素0.5gを用い、この色素をテトラフロロプロパノール40g に溶解し、これを40℃下で30分間超音波分散した後、0.2μmのフィルターでろ過した。このようにして調整された色素溶液を基板111上に、この液を回転数500rpmから2000rpmに加速しながらスピンコートし、記録層114を形成した。次にこの記録層114がコートされた基板111を80℃のオーブンで30分乾燥した後、記録層114の上にスパッタリング法により膜厚100nmのAg合金膜を成膜し、反射層117を形成した。さらに、この反射層117の上に紫外線硬化樹脂119を5μmの厚さでスピンコートし、これに紫外線を照射して硬化させて、記録層付基板を得た。さらに遅効性紫外線硬化型接着剤120をつけ、全く記録層を形成しない以外は同様にして得られたダミー基板112と接着し、光情報記録媒体とした。或いは、反射層117上の紫外線硬化樹脂119を形成せず、紫外線硬化型接着剤120’を用いて 直接ダミー基板112と接着してもよい。
一般式
【0029】
【化3】
【0030】
本発明になる記録媒体の第1の実施形態について説明する。図1は本発明になる塗布型色素記録光ディスクの第1の実施形態であるディスク固有の識別情報が記録された所定領域の一部とそのトラック方向断面の模式図およびグルーブトラックにトラックオンした状態で再生した信号波形の概略図を示す。ディスク固有の識別情報に必要なデータ量は数バイトから数十バイトであり、このために必要な切断ミラー領域のトラック方向の長さは数マイクロメーターから数十マイクロメーター程度の範囲なので、トラック方向にランドを切断されていてもトラッキングが外れることはない。
【0031】
図4に記録可能媒体の一例として光デイスク200のレイアウトを示す。ここでリードイン領域210には該記録可能媒体に関する情報を記録する領域であり内周部に設けている例を示しており、この領域を外周部に設けても差し支えない。リードイン領域に記録される情報は、媒体をアクセスする際に領域211へ情報を記録・再生するに必要な情報であってその配置上の制限はないのが通常である。
【0032】
この実施の形態の記録媒体はディスク状光記録媒体であって、情報を記録するためのグルーブが螺旋状又は同心円状に、内周から外周までの範囲内に形成されており、そのうちの所定範囲、例えばディスク内周側の所定範囲のランド(L)の一部を切断したミラー領域を含むランドトラック上に、専用のサーボライターを用い、光ディスク固有の識別情報が、図1に黒色マークで示す不可逆的な記録マークと、白色で示す未記録領域との交互配置によって記録されている。なお、図1には示していないが、他の領域のグルーブにはユーザ情報(コンテンツデータ)等が記録される。
【0033】
ランドトラック上にある記録マーク位置における信号振幅は、ミラー部にある記録マーク位置での信号振幅より小さいため、ランドトラック後端部分からミラー領域先頭までの境界付近を未記録とすることで、ランドレベルより大きい信号レベルの領域が形成される。ここで、この部分を同期信号として光ディスク固有の識別情報が記録された位置を示すマークに用いることも可能である。
【0034】
ミラー部の信号レベルはランドトラックより高くなる。また、ミラー部に形成された記録マーク位置では通常のグルーブトラック部よりグルーブ幅が広くなるため、記録マーク幅を広くすることができ、グルーブトラックにトラックオンして再生しても精度良く信号を検出するのに十分な信号振幅を得ることができる。ここで、トラック方向の記録密度をユーザデータ領域より低く設定することで、更に検出精度を向上することができる。
【0035】
固有識別情報の記録を行なうため、トラック上に色素膜のピット形成をグルーブ及びランド上の双方に設けることを特徴とし、このピットを再生するときは図1に示すように弁別可能な3値の再生信号を得ることができる。すなわちグルーブ又はランド上に記録されたピットマークであり、このピットマークから得られる再生信号を図1では(b)で表している。トラック幅より幅が広い領域、すなわちミラー部領域に記録したピットマークからの再生信号を(c)で表し、ミラー部のピットマーク領域ではない部分からの再生信号を(a)で表している。図1から明らかなように再生信号の大きさは(a)>(b)>(c)の順になる。
【0036】
色素記録媒体への通常の記録は溝上すなわちグルーブの中に記録ピットマークを形成するのが一般的であるが、固有識別信号を特定の領域を設けて通常領域での記録とは識別するようにした。つまりミラー部では高い反射率が得られるため、グルーブやランドへの記録ピットマークに比べ大きな再生信号がえられることを利用している。さらにグルーブまたはランド部への記録と組み合わせることで、複数の再生信号レベルを有する固有識別情報記録が可能になる。ミラー部の配置は特定した媒体上の特別な位置として設け、他の位置においては記録そのものを無効にする手段とを組み合わせることでミラー部のない記録媒体及び特定の位置に記録されていない固有識別情報との区別を明確にすることができる。ミラー部の位置を指定するアドレスはマスタリングの際に記録するアドレス情報に従っており、追記によるアドレス情報とのリンクはない。ミラー部のアドレスはシステム上で認識できるように、固有識別情報と組み合わせて記録しておくことができる。仮に固有識別情報を改竄しようとしてもマスタリングによる物理アドレスとリンクしているので、特定の配置位置からずれて記録した場合にはその記録されている固有識別情報を無効とすることができる。次に再生信号からの固有識別情報管理について説明する。再生信号は図1に示すように記録位置がグルーブまたはランド部とミラー部に渡るように記録することで有効な3値信号を得ることができることを説明した。この3値信号から固有識別情報を検出する方法について図5に従い説明する。
【0037】
媒体駆動装置の光ヘッドはトラッキング用にトラックの垂直方向に対し2分割した光検出器を使用する場合について説明する。グルーブ又はランドから一次回折光を利用して得られるプッシュプル信号を検出することができ、記録トラックをトラッキングすることができる。2分割光検出器は分割した検出器の差分信号を得ることでトラッキングサーボのためのセンサーとして動作する。分割した検出器の和信号を得ることでピットマークの検出をすることができる。先に説明したように得られた再生信号は3値信号を有しており、これを弁別するために (a)レベルと(b)レベルの間に設定した基準電圧と、(b)レベルと(c)レベルの間に設定した基準電圧を設け検出した再生信号をコンパレータにより2値化する。ここで(a)−(b)基準電圧はグルーブ又はランド部のピットマークを検出できるように図1に示す電圧範囲で設定することが必要である。
【0038】
図5において、コンパレータの出力信号はアンドゲート回路に入力している。これはグルーブ又はランド部におけるピットマークとミラー部のピットマークを識別し固有識別情報を取り出すための選別処理である。図1のレベル▲1▼で検出した信号は固有識別信号記録の前後に配置した同期信号として働く。図5では単純な動作例としてレベル▲1▼により固有識別情報を取り出すゲート信号を生成し取り出している様子を示している。このゲート処理した信号を固有識別信号あるいはコントロールデータとして取り出すことができる。
【0039】
記録位置との関係を明確にするためには、グルーブ又はランド部において再生する場合にトラッキングの状態に置いて進行方向の左または右にピットマークを見て再生することを想定しなければならない。2分割ディテクタの差分信号から極性を弁別し、その極性と再生したアドレス情報との関係を判断し真偽判別を行なうことができる。
【0040】
この判別は先に説明したゲート処理により得られた固有識別情報検出において必須の処理ではなく、付加的な処置であることを述べておく必要がある。
【0041】
図6は光ディスク駆動装置の実施例を示す図である。光ヘッドからの再生信号とサーボ制御回路からの検出信号が記録再生信号処理回路に入力している。
【0042】
先に説明した処理を行なう駆動装置の構成を示した。
駆動装置は真偽判別した結果に基づき、前記光ディスクが不正コピーと判断した場合、画面上に警告表示をする、前記光ディスクへのアクセスを停止する、或いは前記光ディスクを排出するなどの動作を実行する。
【0043】
(実施例2)
平坦部のディスク上の配置と、形成する不可逆マークの配置を、図3、図7、図8に記載のパターンAからパターンFにした以外は実施例1と同様の方法で光ディスクを作成した。いずれのパターンにおいても図1と同様の3値レベルの信号を形成することができ、図5の装置を用いて固有情報を再生することができた。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、固有の識別情報をプリピットや通常記録された記録マークと識別可能な不可逆的なマークで形成し、かつ、記録トラックに隣接するトラックを半径方向に切断した複数トラックにわたる平坦部(ミラー部)を含む隣接トラックに記録することで、記録トラックから読み出した信号が、通常の記録トラックで記録した時の検出レベルでは検知できないレベルを含む3値以上の信号レベルが得られ、不正にコピーができない光ディスクとその再生方法を提供することが出来る。
【0045】
また、アドレス情報(ID)、SYNCコード、エラー検出コード(EDC)のような特定位置に固有の情報が記録される情報を不可逆的マークで形成することで、情報の書き換え(改竄)を行なった場合、容易に検出することができ、管理情報領域に適用することで、管理情報の改竄防止に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示す概略図である。
【図2】本発明の塗布型色素系光ディスクの構造を示す図である。
【図3】本発明の媒体固有情報記録領域のフォーマット例である。
【図4】本発明の媒体レイアウトの概略図である。
【図5】本発明の信号検出回路の概略図である。
【図6】本発明の光ディスク駆動装置の概略図である。
【図7】本発明の媒体固有情報記録領域のフォーマット例である。
【図8】本発明の媒体固有情報記録領域のフォーマット例である。
【符号の説明】
111 塗布型色素記録膜用基板
112 ダミー基板
114 塗布型色素記録膜
117 銀合金反射膜
119 紫外線硬化樹脂保護層
120 接着剤層
200 光ディスク
210 管理情報領域
211 情報記録領域
【発明の属する技術分野】
本発明は光ディスク及び光ディスクの記録再生方法に係り、特に不正コピー防止のためのディスク固有の識別情報を記録する有機色素を記録層として用いた光ディスクと、その情報管理方法、ドライブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスクにおいては、不正コピー防止等のために光ディスク毎に固有の識別情報を記録することが行われている。識別情報を記録する従来技術としては、DVD(Digital Versatile Disk)等で用いられているBCA(Burst Cutting Area)記録や特開平9−091781号公報、特開2002−197670号公報などの方法が知られている。
【0003】
BCAではレーザトリミングによってディスクの反射層を部分的に溶融して複数トラックに無反射部分を形成し、この無反射部分をバーコード状に配置することによって、ディスク固有の識別情報を記録する方法であり、反射層のみであるCD−ROMやDVD−ROMのような再生専用光ディスクでは有効であるが、BCAライターは非常に高価であるためコストアップになる。
【0004】
CD−RやDVD−Rのようなライトワンス型光ディスクでは記録された情報を書き換えることができないため、レコーダーを用いてディスク固有の識別情報を記録することは可能であるが、光磁気ディスクや相変化型光ディスクでは記録された情報の書き換えが可能なため、特開平9−091781号公報のように、通常の情報記録よりも遅い線速度と高いレーザーパワーでディスク識別信号を記録膜の不可逆的変化で記録する方法、或いは、特開2002−197670号のように、記録媒体に通常の情報記録時よりも強いレーザーパワーで記録する、又は、通常の情報記録時よりもレーザー照射時間を長くして記録することで不可逆なマークを形成し、複数の不可逆領域と通常領域との交互配置パターンをユーザデータ領域外に製造段階で設けることによってディスク固有の識別情報を記録する方法が考えられる。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−091781号
【特許文献2】
特開2002−197670
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の方法で書き換え可能な光ディスクに不可逆マークを形成すると、マークを消去される畏れはないものの、不可逆マークの信号レベルと、ドライブにより通常記録パワーで形成した可逆マークとの信号レベルに差がないため、予めディスク固有の識別情報を設けていないディスクに対して、通常のドライブで擬似的に不正マークを形成、違法コピー品が作成可能となる畏れがある。
【0007】
また、記録可能な光ディスクのディスク固有の識別情報が予めプリピットで形成された場合も信号レベルに特徴的な差がないため上記と同様であるが、スタンパレベルでディスク固有情報が共通であるため、前記ディスク固有情報が予めプリピットで形成された光ディスクと識別できる必要がある。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、不正コピー防止等のためのディスク固有の識別情報を、不可逆的に形成することで消去を不可能にし、且つ通常ドライブによるグルーブ記録等の本発明以外の方法で作成した不正コピーディスクを容易に識別できる再生方法及びそのための媒体構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、ドライブ及び光デイスクに複雑な機構を施すことなく、しかも、複製が困難で、不正複製品を容易に看破することができる著作物保護手段を提供する。その特徴は、次の通りである。▲1▼ディスク固有の識別情報を、記録トラックに隣接するトラックに記録し再生時にクロストークにより情報信号として検出する方式をとることにより、複製のために隣接する両側のトラックに同信号を記録されたとしても、駆動スピンドルの回転ジッタの影響により、互いに隣接する記録トラックの記録マーク位置の位相を合致させることは困難で、追記による複製情報は正規のディスク固有識別情報と区別可能になり、複製品を看破できる。特にCLV駆動においては記録マーク位置の位相を合致させることは困難である。▲2▼ミラー部とランドトラックとにわたり、識別情報を記録マークで形成し、記録マークの振幅変化に信号レベルが異なる3つの状態を混在させ、それぞれの信号レベルに対応したスライスレベルを設ける方式で検出することにより、ミラー部を形成していない光ディスクに不正コピー記録されたとしても、2値の状態しか得られないため、固有識別情報領域や記録マークの再生が完全に行われないため、複製品を看破できる。このように、ディスク固有の識別情報が記録されていない光ディスクのグルーブトラックに正規のディスク固有識別情報を不正コピーされた場合も区別が可能である。
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の目的は、グルーブを記録トラックとして用い、情報の記録が可能な有機色素記録層を備えた光ディスクの真偽判別が容易なディスク固有の識別情報を記録するためのトラック構造を提供することであって、ユーザデータ領域外に設けられた管理情報領域のランドトラックの一部をトラック方向に切断したトラック幅より広い平坦部(ミラー領域)を形成し、前記ミラー領域を含む前記ランドトラックに不可逆的な記録マークでディスク固有の識別情報を形成し、前記ディスク固有識別情報が記録された前記ランドトラックに隣接するグルーブにトラッキングをかけたトラックオン状態で、前記固有識別情報を再生し、ランドトラックの信号レベルとミラー部の信号レベルの不可逆的な記録マークの信号レベルの間に設けたスライスレベルによって、正規ディスクを容易に判別することを特徴とする。ディスク固有の識別情報に必要なデータ量は数バイトから数十バイトであり、このために必要な切断ミラー領域のトラック方向の長さは数マイクロメーターから数十マイクロメーター程度の範囲なので、トラック方向にランドを切断されていてもトラッキングが外れることはない。このように、データ容量としては最大でも数十バイト程度なので、トラック一周内に適当な間隔を空けて数カ所設ければ十分であるが、数トラックに重複して形成してもよく、数バイト単位に分割して分散配置してもよい。図1に、塗布型色素記録ディスクの記録マークと再生信号の関係を示す。
【0011】
ここで、トラック方向にランドの一部を切断した前記ミラー部はランドトラックやグルーブトラックとは異なり実効ビーム径において平坦であるから前記ミラー部の反射率は高くなる(aレベル)ので、ランドトラックの信号レベル(bレベル)では前記ミラー部においてレベル差が発生する。さらに、前記ミラー部に形成された記録マークの信号振幅は通常の記録トラックに形成された記録マークより大きくなるため隣接するグルーブトラックにトラックオンした状態で再生を行なってもランドからのクロストーク量が多く、情報信号として検出することができる。
【0012】
第1に、グルーブトラックに情報を記録する塗布型色素記録ディスクの場合、ランド部よりグルーブ部の色素膜厚が厚く、前記ミラー部も前記ランドトラック部より色素膜厚が厚いため、信号振幅の差がより顕著になる。このため、前記ミラー部を含むランドトラックにディスク固有の識別情報を不可逆的な記録マークで形成され、前記ミラー部に形成された記録マークはランドトラックに形成された記録マークより振幅変化変化が大きくなり(a−c)、かつランドトラックに形成された記録マーク(b)より低いレベルになって、信号レベルが異なる3つの状態が混在することになるので、それぞれの信号レベルに対応したスライスレベル▲1▼▲2▼を設けて検出することにより、予めプリピットでディスク固有識別情報を形成して大量複製された光ディスクとの区別を容易にする。
【0013】
すなわちプリピットによるマーク形成では、ランド部とグルーブ双方に形成することは不可能である。ピットが連続して形成されているものがランドであることを考えればランド部とピットを区別することができないのは当然である。
【0014】
一方、ディスク固有の識別情報が記録されていない光ディスクのグルーブトラックに正規のディスク固有識別情報を不正コピーされた場合も区別が可能である。第1に、前記ミラー部を形成されない不正光ディスクにコピー記録された場合、ディスク固有識別情報領域でのミラーレベルや記録マークの再生レベル検出で区別できる。第2に、ディスク固有の識別情報が記録されるべきランドトラックに隣接する両側のグルーブトラックに記録された場合、光ディスクを回転しているスピンドルの回転ジッタのため、両側のグルーブトラックに形成された記録マークのランドとミラーの境界を基準とするトラック方向位相がアドレスの異なる隣接する2つのグルーブトラックで合致させることは困難となり、正規のディスク固有識別情報と区別することができる。
【0015】
情報管理領域にある管理情報は製造者によって記録され、ユーザによって書き換えできなくすることで不正コピーを監視している。書き換えの有無を検出できる手段を設けることが、不正コピー防止により有効である。一方、管理情報全てを不可逆的に記録するには、ライトワンス型光ディスクを用いて行なうことで、例えば色素型の光ディスクを使用できる。
【0016】
さらには、ユーザデータの記録領域外に不可逆的に形成されたマークにより情報を記録する管理領域を備え、SYNCコード、エラー検出コード(EDC)の少なくともいずれか一部を不可逆的に記録することで、情報の書き換えによる不可逆的に記録されたSYNCコードの再生信号長や書き換えられた管理情報から演算されるエラー検出コード(EDC)の変化から書き換えの有無を検出することができる。すなわち、情報管理領域にある管理情報は製造者によって記録され、ユーザによって書き換えをできなくすることで、不正コピーを防止しようとしているので、書き換えの有無を検出できる手段を設けることは、不正コピー防止に有効である。
【0017】
記録層に塗布型色素材料を用いた場合、記録層に用いられる色素材料は公知一般のレーザーによる良好な記録、再生に適した色素材料を用いることができ、たとえば例えば、シアニン系色素、スクアリリウム色素、アズレニウム系色素等のポリメチン系色素、フタロシアニン系色素のような大環状アザアネレン系色素、ジチオール系色素、ポルフィセン系化合物、アヌレン系化合物などの光照射により変質する有機物が挙げられる。また、かかる材料は、これらの有機材質を1又は2種以上の混合してもよい。
【0018】
更には記録再生に用いられるレーザー光が400nm近傍の波長である場合、ポルフィセン系化合物、アヌレン系化合物を用いることが望ましい。
【0019】
ポルフィセン系化合物は、下記の一般式(化1)を有しており、この一般式中のR1 〜R4は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、あるいはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基が挙げられる。前記一般式中のX1 〜X8はそれぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;ホルミル基;カルボキシル基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;スルホン酸基;あるいはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ベテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の1〜20の直鎖または分岐のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、エトキシカルボニルプロポキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基等の置換されていてもよい炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等の炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基;ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラン環等の炭素数6〜12の芳香環または複素環;カルボキシルメチル基等のカルボキシルアルキル基;メトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の置換されていてもよい炭素数2〜21の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基等の置換されていてもよい炭素数2〜21の直鎖または分岐のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエチル基、n−プロポキシカルボニルエチル基、n−プロポキシカルボニルプロピル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルエチル基等の炭素数3〜22の直鎖または分岐のアルコキシカルボニルアルキル基が挙げられる。また、X1 〜X8およびR1〜R4 のうち隣接する置換基どうしが結合して環状を形成してもよい。前記一般式において、Mは2個の水素原子、Ni, Co, Cu, Zn, Pd, Pt, Fe, Mn, Sn, Mg, Rh等の2価の金属、TiO, FeCl, VO, Sn(Y)2等の3〜4価の金属誘導体およびSi(Y)2, Ge(Y)2等の誘導体(Yはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基)等のポルフィセン系化合物に配位することができる誘導体であればよいが、300〜500nmに極大吸収をもち、モル吸光係数が大きい点で、特にNi, Zn, Co, Cuが特に好ましい。
一般式
【0020】
【化1】
【0021】
アヌレン系化合物は下記の一般式(化2)を有しており、この一般式中のX1 〜X3としてはそれぞれ独立して、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、イミノ基が挙げられる。前記一般式中のR1 〜R6は、それぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の置換されていてもよい炭素数2〜21の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;あるいはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基が挙げられる。前記一般式中のR7 〜R12 はそれぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;ホルミル基;カルボキシル基;シアノ基;ニトロ基;アミノ基;スルホン酸基;あるいはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ベテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の1〜20の直鎖または分岐のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、エトキシカルボニルプロポキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基等の置換されていてもよい炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコキシ基;ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等の炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基;ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラン環等の炭素数6〜12の芳香環または複素環;カルボキシルメチル基等のカルボキシルアルキル基;メトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基等の置換されていてもよい炭素数2〜21の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基等の置換されていてもよい炭素数2〜21の直鎖または分岐のアルキルカルボニルオキシ基;メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエチル基、n−プロポキシカルボニルエチル基、n−プロポキシカルボニルプロピル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルエチル基等の炭素数3〜22の直鎖または分岐のアルコキシカルボニルアルキル基が挙げられる。また、R1 〜R12 のうち隣接する置換基どうしが結合して環状を形成してもよい。
一般式
【0022】
【化2】
【0023】
これらの有機色素は透明樹脂基板上に直接あるいは他の層を介してキャスト法、スピンコート法、浸漬法等の塗布方法を好適に用い、成膜することができる。塗布溶媒としては、基板を侵さない溶媒であれば特に限定されない。例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の炭化水素系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル、イソ酪酸メチル等のヒドロキシルエステル系溶媒などが挙げられる。
【0024】
上記記録層の膜厚は、記録に用いるレーザー光などの記録光のパワーに対する記録感度性能係数を考慮して、波長、光反射層の光学定数、光吸収層の材質に応じて適宜選択される。また、本発明の主旨であるランドトラックに不可逆的な記録マークでディスク固有の識別情報を形成するためには、ランド部においても記録が可能でなければならない。しかしながらスピンコート法により形成された色素記録媒体の記録層は、塗布面からみて凹んでいるグルーブ部の色素膜厚が厚くなり、ランド部の色素膜厚が薄くなる。したがって、少なくともランド部の色素厚さはレーザー波長λに対し、λ/6n以上が必要であり、そのためにランド部の記録層の膜厚が上記条件に合致するよう色素および色素を溶解する溶媒、または基板上に形成されたグルーブのU字溝の形状を最適化する必要がある。これに加え、記録媒体全域において記録再生特性がランド部以上に優れた記録特性を要求されるのは必須であることから、色素の光学定数nは1.8以上必要であり、従ってグルーブ部のU字溝の凹みの深さは20nmから150nm、望ましくは50nmから120nmが必要である。
【0025】
また反射層は、Au、Ag、Cu、Alなどの金属またはそれらを主成分とした合金から構成することができが、反射率や耐久性の点から銀または銀を主成分とする合金が好ましい。成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリングおよびイオンプレーティングなどにより成膜することができる。光反射層の膜厚は反射率および熱拡散効率等を考慮し0.02μm〜0.5μmとすることが好ましい。
【0026】
光反射層上に形成する保護層としては、アクリル系紫外線硬化樹脂等の硬質性の材料を用いることが好ましい。これは、高温高湿下で長期間保存した場合、保護層の経時的な変形を防止できるためである。通常、光反射層上に直接または他の層を介してスピンコート法により厚み1〜20μmで塗布した後、紫外線照射により硬化させて形成される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例および比較例を上げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない範囲で、以下の実施例に限定されるのではない。
【0028】
(実施例1)
本発明で使用したライトワンス型光ディスクの構造を図2に示す。直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート樹脂基板の表面に、アドレス情報(ID)などを含む凹凸ピットと、0.45μmピッチのU字型溝とをあらかじめ形成した基板111を用意した。U字型溝の溝幅は約0.20μm、深さを100nmとした。この基板111上に形成する記録層材料として下記の一般式(化3)で示されるポルフィセン化合物系の色素0.5gを用い、この色素をテトラフロロプロパノール40g に溶解し、これを40℃下で30分間超音波分散した後、0.2μmのフィルターでろ過した。このようにして調整された色素溶液を基板111上に、この液を回転数500rpmから2000rpmに加速しながらスピンコートし、記録層114を形成した。次にこの記録層114がコートされた基板111を80℃のオーブンで30分乾燥した後、記録層114の上にスパッタリング法により膜厚100nmのAg合金膜を成膜し、反射層117を形成した。さらに、この反射層117の上に紫外線硬化樹脂119を5μmの厚さでスピンコートし、これに紫外線を照射して硬化させて、記録層付基板を得た。さらに遅効性紫外線硬化型接着剤120をつけ、全く記録層を形成しない以外は同様にして得られたダミー基板112と接着し、光情報記録媒体とした。或いは、反射層117上の紫外線硬化樹脂119を形成せず、紫外線硬化型接着剤120’を用いて 直接ダミー基板112と接着してもよい。
一般式
【0029】
【化3】
【0030】
本発明になる記録媒体の第1の実施形態について説明する。図1は本発明になる塗布型色素記録光ディスクの第1の実施形態であるディスク固有の識別情報が記録された所定領域の一部とそのトラック方向断面の模式図およびグルーブトラックにトラックオンした状態で再生した信号波形の概略図を示す。ディスク固有の識別情報に必要なデータ量は数バイトから数十バイトであり、このために必要な切断ミラー領域のトラック方向の長さは数マイクロメーターから数十マイクロメーター程度の範囲なので、トラック方向にランドを切断されていてもトラッキングが外れることはない。
【0031】
図4に記録可能媒体の一例として光デイスク200のレイアウトを示す。ここでリードイン領域210には該記録可能媒体に関する情報を記録する領域であり内周部に設けている例を示しており、この領域を外周部に設けても差し支えない。リードイン領域に記録される情報は、媒体をアクセスする際に領域211へ情報を記録・再生するに必要な情報であってその配置上の制限はないのが通常である。
【0032】
この実施の形態の記録媒体はディスク状光記録媒体であって、情報を記録するためのグルーブが螺旋状又は同心円状に、内周から外周までの範囲内に形成されており、そのうちの所定範囲、例えばディスク内周側の所定範囲のランド(L)の一部を切断したミラー領域を含むランドトラック上に、専用のサーボライターを用い、光ディスク固有の識別情報が、図1に黒色マークで示す不可逆的な記録マークと、白色で示す未記録領域との交互配置によって記録されている。なお、図1には示していないが、他の領域のグルーブにはユーザ情報(コンテンツデータ)等が記録される。
【0033】
ランドトラック上にある記録マーク位置における信号振幅は、ミラー部にある記録マーク位置での信号振幅より小さいため、ランドトラック後端部分からミラー領域先頭までの境界付近を未記録とすることで、ランドレベルより大きい信号レベルの領域が形成される。ここで、この部分を同期信号として光ディスク固有の識別情報が記録された位置を示すマークに用いることも可能である。
【0034】
ミラー部の信号レベルはランドトラックより高くなる。また、ミラー部に形成された記録マーク位置では通常のグルーブトラック部よりグルーブ幅が広くなるため、記録マーク幅を広くすることができ、グルーブトラックにトラックオンして再生しても精度良く信号を検出するのに十分な信号振幅を得ることができる。ここで、トラック方向の記録密度をユーザデータ領域より低く設定することで、更に検出精度を向上することができる。
【0035】
固有識別情報の記録を行なうため、トラック上に色素膜のピット形成をグルーブ及びランド上の双方に設けることを特徴とし、このピットを再生するときは図1に示すように弁別可能な3値の再生信号を得ることができる。すなわちグルーブ又はランド上に記録されたピットマークであり、このピットマークから得られる再生信号を図1では(b)で表している。トラック幅より幅が広い領域、すなわちミラー部領域に記録したピットマークからの再生信号を(c)で表し、ミラー部のピットマーク領域ではない部分からの再生信号を(a)で表している。図1から明らかなように再生信号の大きさは(a)>(b)>(c)の順になる。
【0036】
色素記録媒体への通常の記録は溝上すなわちグルーブの中に記録ピットマークを形成するのが一般的であるが、固有識別信号を特定の領域を設けて通常領域での記録とは識別するようにした。つまりミラー部では高い反射率が得られるため、グルーブやランドへの記録ピットマークに比べ大きな再生信号がえられることを利用している。さらにグルーブまたはランド部への記録と組み合わせることで、複数の再生信号レベルを有する固有識別情報記録が可能になる。ミラー部の配置は特定した媒体上の特別な位置として設け、他の位置においては記録そのものを無効にする手段とを組み合わせることでミラー部のない記録媒体及び特定の位置に記録されていない固有識別情報との区別を明確にすることができる。ミラー部の位置を指定するアドレスはマスタリングの際に記録するアドレス情報に従っており、追記によるアドレス情報とのリンクはない。ミラー部のアドレスはシステム上で認識できるように、固有識別情報と組み合わせて記録しておくことができる。仮に固有識別情報を改竄しようとしてもマスタリングによる物理アドレスとリンクしているので、特定の配置位置からずれて記録した場合にはその記録されている固有識別情報を無効とすることができる。次に再生信号からの固有識別情報管理について説明する。再生信号は図1に示すように記録位置がグルーブまたはランド部とミラー部に渡るように記録することで有効な3値信号を得ることができることを説明した。この3値信号から固有識別情報を検出する方法について図5に従い説明する。
【0037】
媒体駆動装置の光ヘッドはトラッキング用にトラックの垂直方向に対し2分割した光検出器を使用する場合について説明する。グルーブ又はランドから一次回折光を利用して得られるプッシュプル信号を検出することができ、記録トラックをトラッキングすることができる。2分割光検出器は分割した検出器の差分信号を得ることでトラッキングサーボのためのセンサーとして動作する。分割した検出器の和信号を得ることでピットマークの検出をすることができる。先に説明したように得られた再生信号は3値信号を有しており、これを弁別するために (a)レベルと(b)レベルの間に設定した基準電圧と、(b)レベルと(c)レベルの間に設定した基準電圧を設け検出した再生信号をコンパレータにより2値化する。ここで(a)−(b)基準電圧はグルーブ又はランド部のピットマークを検出できるように図1に示す電圧範囲で設定することが必要である。
【0038】
図5において、コンパレータの出力信号はアンドゲート回路に入力している。これはグルーブ又はランド部におけるピットマークとミラー部のピットマークを識別し固有識別情報を取り出すための選別処理である。図1のレベル▲1▼で検出した信号は固有識別信号記録の前後に配置した同期信号として働く。図5では単純な動作例としてレベル▲1▼により固有識別情報を取り出すゲート信号を生成し取り出している様子を示している。このゲート処理した信号を固有識別信号あるいはコントロールデータとして取り出すことができる。
【0039】
記録位置との関係を明確にするためには、グルーブ又はランド部において再生する場合にトラッキングの状態に置いて進行方向の左または右にピットマークを見て再生することを想定しなければならない。2分割ディテクタの差分信号から極性を弁別し、その極性と再生したアドレス情報との関係を判断し真偽判別を行なうことができる。
【0040】
この判別は先に説明したゲート処理により得られた固有識別情報検出において必須の処理ではなく、付加的な処置であることを述べておく必要がある。
【0041】
図6は光ディスク駆動装置の実施例を示す図である。光ヘッドからの再生信号とサーボ制御回路からの検出信号が記録再生信号処理回路に入力している。
【0042】
先に説明した処理を行なう駆動装置の構成を示した。
駆動装置は真偽判別した結果に基づき、前記光ディスクが不正コピーと判断した場合、画面上に警告表示をする、前記光ディスクへのアクセスを停止する、或いは前記光ディスクを排出するなどの動作を実行する。
【0043】
(実施例2)
平坦部のディスク上の配置と、形成する不可逆マークの配置を、図3、図7、図8に記載のパターンAからパターンFにした以外は実施例1と同様の方法で光ディスクを作成した。いずれのパターンにおいても図1と同様の3値レベルの信号を形成することができ、図5の装置を用いて固有情報を再生することができた。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、固有の識別情報をプリピットや通常記録された記録マークと識別可能な不可逆的なマークで形成し、かつ、記録トラックに隣接するトラックを半径方向に切断した複数トラックにわたる平坦部(ミラー部)を含む隣接トラックに記録することで、記録トラックから読み出した信号が、通常の記録トラックで記録した時の検出レベルでは検知できないレベルを含む3値以上の信号レベルが得られ、不正にコピーができない光ディスクとその再生方法を提供することが出来る。
【0045】
また、アドレス情報(ID)、SYNCコード、エラー検出コード(EDC)のような特定位置に固有の情報が記録される情報を不可逆的マークで形成することで、情報の書き換え(改竄)を行なった場合、容易に検出することができ、管理情報領域に適用することで、管理情報の改竄防止に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示す概略図である。
【図2】本発明の塗布型色素系光ディスクの構造を示す図である。
【図3】本発明の媒体固有情報記録領域のフォーマット例である。
【図4】本発明の媒体レイアウトの概略図である。
【図5】本発明の信号検出回路の概略図である。
【図6】本発明の光ディスク駆動装置の概略図である。
【図7】本発明の媒体固有情報記録領域のフォーマット例である。
【図8】本発明の媒体固有情報記録領域のフォーマット例である。
【符号の説明】
111 塗布型色素記録膜用基板
112 ダミー基板
114 塗布型色素記録膜
117 銀合金反射膜
119 紫外線硬化樹脂保護層
120 接着剤層
200 光ディスク
210 管理情報領域
211 情報記録領域
Claims (7)
- グルーブを記録トラックとして用い、情報の記録が可能な有機色素記録層を備えた光ディスクであって、前記光ディスクは前記光ディスクにアクセスするための管理領域をユーザデータの記録領域外に備え、前記管理領域のランドの一部が記録トラック方向に切断して形成されたトラック幅より半径方向に広い平坦部を有し、前記平坦部の半径方向の両側に隣接するランドが存在し、ディスク固有の識別情報を記録するための前記平坦部を含むランドトラックを有することを特徴とする光ディスク。
- グルーブを記録トラックとして用い、情報の記録が可能な有機色素記録層を備えた光ディスクの記録方法であって、前記光ディスクは前記光ディスクにアクセスするための管理領域をユーザデータの記録領域外に備え、前記管理領域のランドの一部が記録トラック方向に切断して形成されたトラック幅より半径方向に広い平坦部を有し、前記平坦部の半径方向の両側に隣接するランドが存在し、少なくとも、前記平坦部を含むランドトラック上にディスク固有識別情報を不可逆的な記録マークで形成することを特徴とする光ディスクの記録方法。
- グルーブを記録トラックとして用い、情報の記録が可能な有機色素記録層を備えた光ディスクの再生方法であって、前記光ディスクは前記光ディスクにアクセスするための管理領域をユーザデータの記録領域外に備え、前記管理領域のランドの一部が記録トラック方向に切断して形成されたトラック幅より半径方向に広い平坦部を有し、前記平坦部の半径方向の両側に隣接するランドが存在し、少なくとも、前記平坦部を含むランドトラック上に不可逆的な記録マークで形成されたディスク固有識別情報が記録された前記ランドトラックと前記平坦部に隣接するランドトラックの間にあるグルーブトラック上にサーボオンした状態で再生し、前記ランドの信号レベルと前記平坦部の信号レベルとディスク固有識別情報を記録したマークの信号レベルとの間にスライスレベルを設け、前記のランドが途切れたエッジ位置前後における再生信号レベルをそれぞれ検出することを特徴とする光ディスクの再生方法。
- グルーブを記録トラックとして用い、情報の記録が可能な有機色素記録層を備えた光ディスクの再生方法であって、前記光ディスクは前記光ディスクにアクセスするための管理領域をユーザデータの記録領域外に備え、前記管理領域のランドの一部が記録トラック方向に切断して形成されたトラック幅より半径方向に広い平坦部を有し、前記平坦部の半径方向の両側に隣接するランドが存在し、少なくとも、前記平坦部を含むランドトラック上に不可逆的な記録マークで形成されたディスク固有識別情報が記録された前記ランドトラック隣接するグルーブトラック上にサーボオンした状態で再生し、前記ランドの再生信号レベルと前記平坦部の再生信号レベルとディスク固有識別情報の記録マーク再生信号レベルとの間に複数のスライスレベルを設け、前記トラックが途切れた平坦部境界とのエッジ位置前後における信号レベル変動を検出し、前記エッジ位置の信号を該識別情報を得るための同期信号として用いるとともに前記ディスク固有の識別情報の真偽を判定するために使用することを特徴とする光ディスクの情報管理方法。
- 請求項4に記載の光ディスクの再生方法において、前記光ディスクは、前記光ディスクの種別を表す媒体種別情報をユーザデータの記録領域外に備えており、前記媒体種別情報を再生し、前記光ディスクの種別に応じて前記再生信号のスライスレベルを設定し、前記固有識別情報を再生することを特徴とする光ディスクの再生方法。
- 少なくともスピンドルモーターと、光ヘッドと、記録再生信号処理回路と、コントローラと、サーボ制御回路と、を備え、光ディスクを駆動するための光ディスク駆動装置であって、前記光ディスクは、前記光ディスクにアクセスするための管理領域をユーザデータの記録領域外に備え、前記管理領域のランドの一部が記録トラック方向に切断して形成されたトラック幅より半径方向に広い平坦部を有し、前記平坦部の半径方向の両側に隣接するランドが存在し、少なくとも、前記平坦部を含むランドトラック上に不可逆的な記録マークで形成されたディスク固有識別情報が記録され、前記信号処理回路は、前記ランドの再生信号レベルと前記平坦部の再生信号レベルとディスク固有識別情報の記録マーク再生信号レベルとの間に複数のスライスレベルを設け、前記トラックが途切れた平坦部境界とのエッジ位置前後、或いはエッジの前後に渡って設けた前記記録マークの信号レベル変動を検出する回路と、前記エッジ位置の信号を該識別情報を得るための同期信号として用いるとともに前記ディスク固有の識別情報の真偽を判定する回路とを有することを特徴とする光ディスク駆動装置。
- 請求項6に記載の光ディスク駆動装置において、前記識別情報の真偽を判定し、不正コピーと判断された前記光ディスクに対して、記録再生アクセスを停止すること、或いは不正ディスクである警告表示すること、或いはアクセス動作を停止すること、或いは駆動装置から排除する動作のうち少なくともいずれか一つを実行することを特徴とする光ディスク駆動装置。
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JP2003012872A JP2004227640A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | 光ディスク及び光ディスクの記録方法、光ディスクの再生方法、光ディスク駆動装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003012872A JP2004227640A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | 光ディスク及び光ディスクの記録方法、光ディスクの再生方法、光ディスク駆動装置 |
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JP2004227640A true JP2004227640A (ja) | 2004-08-12 |
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ID=32901345
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JP2003012872A Withdrawn JP2004227640A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | 光ディスク及び光ディスクの記録方法、光ディスクの再生方法、光ディスク駆動装置 |
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JP (1) | JP2004227640A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7965617B2 (en) | 2005-05-09 | 2011-06-21 | Koninklijke Philips Electronics N.V. | Optical data storage medium, apparatus and method for scanning such a medium |
-
2003
- 2003-01-21 JP JP2003012872A patent/JP2004227640A/ja not_active Withdrawn
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