JP2004227357A - 設備の劣化診断方法と劣化診断装置 - Google Patents

設備の劣化診断方法と劣化診断装置 Download PDF

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Masato Itagaki
正人 板垣
Kenji Nakagawa
憲治 仲川
Jiro Ebara
二郎 江原
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Abstract

【課題】監視項目が多数ある設備であっても、トラブル発生の予兆を捉えられ、該当部品の事前準備も行え、突然の設備停止を回避して計画的なメンテナンス管理ができ、適正な劣化診断を行うことができるようにしたい。
【解決手段】設備に設置した測定器で設備の動作状態を定期的に測定し、その測定データを演算処理手段で収集し、収集した測定データで該設備における劣化を診断するものであり、測定データの収集にあたり演算処理手段で設備の運転状態を判断して運転状態毎に測定データを区別して測定の時刻データとともに収録し、測定項目毎に収録した一定期間分の測定データについて、それらに対応させて既に設定されている診断レベル値と比較して、設備における劣化を診断する。診断においては診断項目を決めて、次いでトラブル発生原因部位あるいは部品を推定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、設備に設置した測定器で設備の動作状態を定期的に測定し、その測定データを収集し、収集した測定データにより該設備を診断する設備の劣化診断方法と劣化診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の設備の劣化診断においては、通常その管理対象設備の性能を表わす代表的測定データを複数個連続測定し、その個々の値のいずれかが予め定めておいた基準値(診断レベル値)に到達したら劣化状態になったと判断し、その旨を警告するようにしている。設備の管理者はこの警告に基づいて、設備の性能チェック,部品修理,部品交換等のメンテナンス作業を実施する。
【0003】
設備として空気圧縮機を例にとって説明する。
空気圧縮機(以下、圧縮機と略記)は工場用空気源などとして使用されており、空気タンク(レシーバタンク)に高圧空気を供給しているが、使用量の変動により高圧空気の吐出を停止することがある。この場合、入口部を閉じて空気吸込みを遮蔽しており、ロータは復帰に備えてほぼ大気圧以下の圧力状態で回転している。即ち、圧縮機では高圧空気を吐出している全負荷運転(ロード運転)と、吐出してない非全負荷運転(アンロード運転)となり、分単位でそれらの運転状態が切り替っている。
【0004】
運転状態の切り替りを吐出圧力で表すと概ね図9に示す通りであり、実線で示す折れ線12は圧縮機出口圧力、破線で示す折れ線13はレシーバタンク圧力である。
【0005】
起動すると数分間で昇圧され、例えば設定圧力の0.69(MPa)になり、レシーバタンクに高圧空気が供給され、空気の消費量と供給量が等しければ、全負荷運転状態(ロード運転)が続く。
【0006】
消費空気量が減少するとレシーバタンク圧力13は高くなり、上限圧力0.71(MPa)に到達すると、圧力スイッチにより圧縮機入口アンロード弁が作動して、圧縮機の空気入口部を密閉状態にする。これにより、入口圧力は大気圧より低く負圧になり、さらに圧縮機出口とレシーバタンク間にある逆止弁は高圧空気の逆流を阻止し、アンロード弁に連動している放気弁は圧縮機出口側空気を大気に放出する。これにより圧縮機出口圧力12は急激に低圧力になり、0.03(MPa)程度となる。つまり、圧縮機の負荷は低減され圧縮機のロータは回転しているが真空に近い状態になり、圧縮機を駆動している電動機の電力値が低下した省電力状態のアンロード運転となる。
【0007】
レシーバタンク内の高圧空気が消費され、レシーバタンク圧力13が下り、下限圧力0.61(MPa)に到達すると、圧縮機のアンロード弁が元にもどり、入口部が全開となりロード運転となる。
【0008】
このように、圧縮機は分単位で頻繁にロード運転とアンロード運転が繰り返されている。また、このような設備でも負荷状態(ロード運転とアンロード運転)に影響されない監視(測定)項目もあり、この項目は運転状態の区別無しで監視測定される。
【0009】
設備保全のための劣化診断では診断レベル値として上限値あるいは下限値を設定し、それらの値に達したら警報を出す方法をとっており、診断レベル値として通常は細かく区分せず全体の最大値であるロード運転の上限値のみを採用している。なお、このような技術を示すものとして、特開平11−3113号公報がある。
【0010】
【特許文献】
特開平11−3113号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
通常の設備においては、監視のために多数のデータ測定項目があり、ある測定項目が予め設定された診断レベル値に到達すると、警報が発せられる。設備の管理者は、この警報表示によりトラブル発生原因を推定する診断作業を行うが、通常は該当測定項目が異常になる原因は複数項目あり、第1段階の診断のみで直ちにトラブル発生の原因部位あるいは部品まで、推定することはほとんど不可能なことが多い。又、警報が発せられる以前に、その診断レベル値に近づいた旨、その予兆を捉えても同様である。
【0012】
しかも、同じ測定項目であっても、運転状態に応じて診断レベル値は異なり、従ってその診断作業は大変繁雑である。
【0013】
そして、トラブル発生の原因部位あるいは部品を推定する場合、設備の管理者はこれらの部位あるいは部品に関連する測定データの値を評価する。換言すれば、第2の劣化診断をすることになる。このように、構成要素の多い設備における劣化診断作業は、何段階にも展開することになる。
【0014】
このように、複数台設備の複数個の診断項目を測定している場合、劣化診断作業は繁雑であり、しかも高度な技術判断が要求されるため時間も掛かる。
【0015】
このように劣化診断作業に、時間を費やしていることは、運転状態を更に悪化させ、その結果設備を停止させしてしまう可能性がある。このような停止が突発的に発生すると、生産現場ではその損失は大きい。さらに、停止した場合、直ちに故障部品を交換できるように、該当部品の在庫状態を把握し、停止し復旧するまでの時間を最少にする必要がある。
【0016】
それゆえ本発明の目的は、多数設備の多数個の診断項目を測定している場合であっても、トラブル発生の原因部位あるいは部品を迅速に推定し、適正な劣化診断を行うことができる設備の劣化診断方法と劣化診断装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明方法の特徴とするところは、設備に設置した測定手段で設備の動作状態を定期的に測定し、その測定データを収集し、収集した測定データにより該設備を診断する設備の劣化診断方法において、収集した測定データが診断レベル値データベースに予め設定されている診断レベル値を越えているかどうかを比較する劣化診断を行い、さらにトラブル発生原因データベースにて、発生原因の可能性大の部位あるいは部品を選択し、トラブル発生原因部位あるいは部品を推定することにある。
【0018】
特に、診断レベル値に対する測定データの比率を算出して近接度を求めることを各診断項目について行い、それらの近接度を比率の大きい順に並べてトラブル発生順位付けを行い、さらに、各診断項目に関連する複数の診断項目があれば、該関連する複数の診断項目における近接度の高いものからトラブル発生原因部位あるいは部品を推定する。
【0019】
また、上記目的を達成する本発明装置の特徴とするところは、設備に設置した測定手段で設備の動作状態を定期的に測定し、その測定データを収集し、収集した測定データにより該設備を診断する設備の劣化診断装置において、診断項目に対応する測定データが診断レベル値データベースに予め設定されている診断レベル値を越えているかどうか比較する診断手段と、該診断項目についてトラブル発生原因データベースにより、トラブル発生原因の可能性大の部位あるいは部品を推定する推定手段を備えたことにある。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図に従って説明する。
図1において、設備運転施設1には、例えば圧縮機のような管理対象である設備1aがあり、その運転状態をデータ測定手段1bで測定している。設備用集中制御手段(コンピュータ)1cは内蔵している通信プロトコルによりデータ測定手段1bに対し予め決めてある測定のサンプリング周期でオンラインによりリアルタイムで測定データを伝送させている。
【0021】
紙面の簡略化のために設備1aやデータ測定手段1bは1個ずつ記載しているが、実際には設備1aは複数個存在し、データ測定手段1bは個々の設備1aについて複数個存在する。
【0022】
従って、設備用集中制御手段1cでは、データ測定手段1bで測定した性能に関する各測定データに設備1aのコード,測定項目のコード,ロード運転あるいはアンロード運転など運転状態を表わすコードを付加する。また、測定のサンプリング周期は決められており、一定期間(例えば、1日間)に多数回測定されるので、設備用集中制御手段1cでは各測定データにさらに測定の日時の関するデータと何番目のサンプリングに当たる測定データであるか順序に関するデータを付加して内蔵している通信プロトコルにより通信インターフェース1dと通信手段3を介して、遠隔にある中央管理施設2の中央管理装置(コンピュータ)4に送る。以下、個々の測定データとこれに対応して付加される上記したコードやデータの一連のものを送信データと呼ぶ。
【0023】
中央管理施設2では通信インターフェース2aを介して設備用集中制御手段1cから送信されてくる送信データを中央管理装置4において内蔵している通信プロトコルに従って収集(データの取り込み)し、次のように処理する。
【0024】
中央管理装置4には、個々の送信データから設備1aのコード,測定項目のコードおよび運転状態を表わすコードを読んで設備1a毎の運転状態を判定する運転状態判定手段4aと、各設備1aの各測定項目について運転状態判定手段4aで判定した運転状態毎に区別して各測定データに測定の日時の関するデータと何番目のサンプリングに当たる測定データであるか順序に関するデータとを付加して収録するデータ演算処理手段4bを備えている。
【0025】
このデータ演算処理手段4bでは測定項目毎に収録し、一定期間例えば1日分の測定データの収録をする。更に測定項目毎に各運転状態について1日分(一定期間)の測定データが溜まったところで各運転状態毎に区別して測定データの最大値、最小値、平均値を算出して収録することも行う。
【0026】
最大値の算出では、コードで指定できる特定の測定項目について1日分(一定期間)の全測定データについてサンプリング順番に沿って2個の測定データを順次読み出して大きい方を選択することを繰り返し、最後に残るものを最大値とする。最小値の算出では、逆に小さいほうを選択することで実行する。平均値は、コードで指定できる特定の測定項目について1日分(一定期間)の全測定データを加算しそのサンプリング数で除すことで得ることができる。以下、これら最大値、最小値、平均値をデータ演算値と呼ぶ。
【0027】
中央管理装置4は、このデータ演算値と診断レベル値データベース5aに予め設定してある該当の診断レベル値とを比較して、運転状態を診断する第1の運転状態診断手段4cと、さらにトラブル部位あるいは部品を推定するために、トラブル発生原因データベース5bを参考にして推定する診断項目選定手段4dと、第2の運転状態診断手段4eと、この結果からトラブル原因部位あるいは部品を推定するトラブル原因部品推定手段4fと、この診断結果に基づいて警告提示する診断結果表示手段4gとを備えている。
【0028】
換言すると、中央管理装置4では、各設備1a固有の技術情報である診断レベル値データベース5aとトラブル発生原因データベース5bを用いて、トラブル発生原因に対応する部位あるいは部品を段階的に推定する。図1では、2段階でトラブル原因推定を行う構成となっているが、設備が複雑で部品数が多く、高度の技術判断が必要な場合には、トラブル原因推定を3段階以上の構成で行うようにしてもよい。
【0029】
診断結果表示手段4gにおける警告提示は、画面点滅,音声等であり、この提示内容の一部は、前述の通信インターフェース1d及び2a及び通信手段3により設備運転施設1の設備用集中制御手段1cに内蔵してある表示手段1eに送信する。
【0030】
図1では中央管理装置4の構成を図2に示す劣化診断のフローに合わせてデータ処理の流れを中心とした機能で示しているが、実際には運転状態判定手段4a,データ演算処理手段4b,第1の運転状態診断手段4c,診断項目選定手段4d,第2の運転状態診断手段4e,トラブル原因部品推定手段4f,診断結果表示手段4g,診断レベル値データベース5a,トラブル発生原因データベース5bおよび図2のフローを実行するプログラムを格納している図示していないROMや収集した測定データや演算結果などを収録する図示していないRAMなどがバスに繋がっていて、通信インターフェース2aで設備運転施設1などの外部と連動する。
【0031】
運転状態判定手段4a,データ演算処理手段4b,第1の運転状態診断手段4c,診断項目選定手段4d,第2の運転状態診断手段4eおよびトラブル原因部品推定手段4fは、その機能を上記ROMにプログラムとして持たせ、演算処理は中央処理手段(CPU)で実行するようにしても良い。
【0032】
次に、図1の設備1aを圧縮機と仮定し、中央管理装置4における設備の劣化診断方法について、図2に従って説明する。
【0033】
中央管理装置4は、ステップ(以下Sと略す。)11で通信インターフェース2aを介して送信データを取り込むと、運転状態判定手段4aに送る。
【0034】
運転状態判定手段4aは、S12で送信データから運転状態を表わすコードを読んで、運転状態の区別が不必要な測定データを抽出してデータ演算処理手段4bに送って収録させる。運転状態を表わすコードとしてロード運転あるいはアンロード運転のコードがあれば、S13にて測定データを全負荷運転(ロード運転)状態と非全負荷運転(アンロード運転)状態とに分類し、データ演算処理手段4bに送って収録させる。
【0035】
ここで、全負荷運転、非全負荷運転および区別しない運転の各状態における、監視測定項目の具体例を述べる。
【0036】
スクリュー圧縮機の測定データにおいて、モータ電流値や吐出圧力などは、ロード状態とアンロード状態で大幅に変化するので、測定データは区別して演算処理される。しかし、圧縮機に供給される潤滑油の給油圧力や温度などは、ロード状態とアンロード状態で変化しないので、測定データは区別されずに演算処理される。
【0037】
データ演算処理手段4bでは上記した運転状態の3分類に応じて個々に区別して収録しており、1日分における測定データが溜まったところで、S14A〜S14Cにおいて前述の方法で最大値(Xa)、最小値(Xi)および平均値(Xm)をデータ演算値として算出し、収録するとともに第1の運転状態診断手段4cに送る。
【0038】
第1の運転状態診断手段4cでは、S15で上記データ演算値に対する診断を診断レベル値に基づいて行う。診断レベル値は設備1aの機種に対応し、さらに運転状態を考慮して、前述の診断レベル値データベース5aに予め設定(格納)されている。この診断において、データ演算値として、通常は最大値を用いることが多いが、測定項目の特性を考慮して、平均値あるいは最小値を使用することもある。この場合、予め設定されている診断レベル値データベース5aの値は、それらに対応するものを使用する。
【0039】
ここで、第1の運転状態診断手段4c,診断項目選定手段4d,第2の運転状態診断手段4eおよびトラブル原因部品推定手段4fにおける、劣化診断方法を詳細に説明する。
【0040】
1日毎における測定データのトレンドの一例は図5の通りであり、図5は次の手順で求められる。即ち、前述のように監視対象である設備の測定項目毎の測定データは一定時間間隔(サンプリング周期)毎に運転状態を示すコードを付けて収集され、ロード運転とアンロード運転を区別して、1日分の測定データが収録されている。これら全データから平均値(Xm)が算出され、個々の数値の大小比較から各最大値(Xa)と最小値(Xi)が算出される。1日経過すると、ある監視項目に対して、ロード状態とアンロード状態での平均値、最大値及び最小値の合計6個のデータ演算値か、区別なし状態での平均値、最大値及び最小値の合計3個のデータ演算値、のいずれかが求まる。
【0041】
これらのデータ演算値の推移の一例を表したのが、図5であり、横軸が日にち、
縦軸が測定値となる、ロード運転とアンロード運転の各最大値(Xa)、最小値(Xi)および平均値(Xm)の合計6本の折れ線グラフである。しかし、ここでは上限値(診断レベル値11)で判定する場合の3本10a〜10cのみを示した。なお、送信データには測定した日時のコードを付けてあるから、演算や表示のための期間や月日の指定は容易である。
【0042】
図2におけるS15の第1の診断は、図5のトレンドの最大値(Xa)から判断する。この最大値(Xa)10aと、図5に示した診断レベル値(A0)11とを比較し判定する。この場合、
(1a) Xa<A0であればYESで、S17に進む。
(1b) Xa≧A0であればNOで、S16に進み、
アラーム表示(警報)する。
【0043】
このS15の第1の診断(運転状態診断又は劣化診断)において、同時に図7にて定義する「近接度Zr」なる指標を算出し評価する。この「近接度Zr」は測定データ(この場合1日の最大値Xa)の該当診断レベル値(A0)に対する近接割合を、その比率で求めた値で無次元量(−)である。1日毎の測定データが蓄積されると、複数個の第1の診断項目に対して、全て図7に示す近接度Zrが求められ、図8に示すように、その近接度Zrの値の大きい順(1.0に近い順)に順位づけられ予め整理される。
【0044】
従って、図8において、上位に位置する項目の方が、下位にあるものに比べて該当の診断レベル値に近づいていることになる。換言すれば、トラブル発生の可能性の大きい順に順位づけられことである。
【0045】
従って、近接度Zrが1.0以上(測定データが診断レベル値を越えている)の場合は、上記(1b)の状態(判定NO)であり、S16に進みアラーム表示(警報)が発せられる。しかし、ほとんどの場合、近接度Zrが1.0未満の場合であり、上記(1a)の状態(判定YES)である。この場合の診断手順を以下に述べる。
【0046】
S15の第1の診断において、YESと判断されると、次にS17の診断項目選定を行う。図1に示すように中央管理装置4には、設備1aに関するトラブル発生原因データベース5bが備わっており、その一例は図6に示すとおりである。
【0047】
図6は設備1aを空気用スクリュー圧縮機と仮定した場合の関連データベースの抜粋である。このトラブル発生原因データベース5bには、監視項目である複数個の「第1の診断項目」に対して、「運転状態」(ロード、アンロード)を区別した「診断レベル値」(この部分が診断レベル値データベース5aである)があり、第1の診断項目が診断レベル値に到達した場合、その原因となる「トラブル発生原因」と「原因部位・部品」が記載されていて、診断項目を選択できる。
【0048】
しかし、番号1の「電流値」の項目で示すように、その「トラブル発生原因」も「吐出圧力上昇」「供給電圧低下」「機械損失増加」があり、該当する部位・部品も複数個あるように関連する診断項目が複数存在する場合には、直ちにトラブル原因部品を推定することが出来ない。
【0049】
測定データが診断レベル値に到達する以前においても、現時点で最もトラブル発生の可能性が高い第1の診断項目はどれであるかは、図8の近接度順位の相対位置関係で判断出来る。しかし、どの部位あるいは部品かまで推定することは、原因が複数個あるため、トラブル発生の可能性が大きい部品を直ちに推定することは難しい。そこでS17の診断項目選定において、これらの内どれから診断するか選定作業を行う。その手順は、以下のとおりである。
【0050】
トラブル発生の原因部位あるいは部品を選定する場合、第1の診断項目以外の他の測定データのどれが、最も診断レベル値に近いかで判断することとする。第1の診断項目が番号1の「電流値」の場合には、その関連する第2の診断項目は、吐出圧力、供給電圧、振動のいずれかである。これらの測定データは図6における第1の診断項目の他の項目であり、これが第2の診断項目に該当している。
【0051】
そこで、S18の第2の診断およびS19のトラブル原因部品推定では、図6のトラブル発生原因データベースおよび図8の近接度の順位関係で比較検討を行い、トラブル原因部品の推定を行う。これらの診断の内容を図6にて、更に具体例で説明すれば、下記のとおりである。
【0052】
一例を示す図8において、第1の診断項目で圧縮機製番XX1の「電流値」の近接度が最上位にあれば、これが最短時間でトラブルになる可能性が高いと判断する。次いで、どの「原因部位あるいは部品」が該当するか判断するのに、図6において「第2の診断項目」の「吐出圧力」「供給電圧」「振動」の近接度順位を判断する。これらの内、図8に示すように同一圧縮機製番XX1における「吐出圧力」が「電流値」の次ぎに最上位であることを第2の診断S18で確認すると、原因部位・部品として「電流値」における「吐出圧力」に対応する「アンローダ弁類」がトラブル原因である可能性が高いとトラブル原因部品推定手段4fで判断する(S19)。ここまでが、図1における第1の運転状態診断手段4cからトラブル原因部品推定手段4fまでの手順であり、図2におけるS15の第1の診断項目からS19のトラブル原因部品推定の手順である。
【0053】
図1の診断結果表示手段4gは、上述した診断結果に応じて、トラブル発生以前においても、トラブル発生可能性大の診断項目および該当する原因部品を推定し、S20にて診断結果を画面表示する。さらに、表示結果に従ってS21にて、該当部品を用意したり、メンテナンス時期の計画などのメンテナンス準備を行う。
【0054】
さらに、S22にて運転改良内容を図1の診断結果表示手段4gおよび設備用集中制御手段1cにおける表示手段1eに表示する。
【0055】
その運転改良の表示内容は、トラブル発生の可能性大の部位あるいは部品を有する設備を明示して、
(a)近接度が1.0以上であれば、
「直ちに停止すること。」なる音声付加の警報表示を行う。
(b)近接度が1.0未満であれば、
「該当部品の在庫の有無を確認し、無ければアンロード状態に入ったら、直ちに停止すること。」なる音声付加の警報表示を行う。
であり、設備の管理者は画面指示に従って操作する。基本的には、該当設備を停止することになる。
【0056】
一方、第1の診断項目の近接度Zrが1.0以上の(1b)状態(判定NO)の場合の診断手順を以下に述べる。
この場合は、直ちに図2のS16のアラーム表示をし、画面表示に加えて警告音や音声等を伴って提示する。その後の手順は、トラブル未発生の場合と同じ様に、S17の診断項目選定を近接度順位関係から限定し、図6のトラブル発生データベースにて、S18の第2の診断とS19のトラブル発生部品推定を経て、該当部品を推定し、S20で以上の診断結果を表示する。その後は、S23にて部品交換等のメンテナンス作業を実行する。実際は、この様にならないために、トラブル発生以前の予兆を捉えて対策することが重要である。このように、第1の診断で第1の診断項目が診断レベル値未満であっても以上であっても、S19にてトラブル発生原因部位あるいは部品の推定を行う。
【0057】
最後に、S24で処理停止の是非を判断し、通常は最初のS11に戻り、上述の手順を繰り返し続行する。
【0058】
以上説明したように本実施形態によれば、トラブル発生以前にトラブル発生の可能性が最も高い監視項目および該当部品を推定することが出来、圧縮機が故障停止する以前にその予兆を捉えることが出来、突然の圧縮機停止を回避することが出来る。
【0059】
図3は、本発明の他の一実施形態を示している。
図3における中央管理装置4は、図1の中央管理装置4にさらに部品在庫データベース5cと、この部品在庫データベース5cに基づき推定した原因部位あるいは部品の在庫状況を検索する該当部品在庫検索手段4hを備えたものである。そして、図3の中央管理装置4の構成は、図4に示す劣化診断のフローに合わせてデータ処理を行い、図1の診断結果表示手段4gは、診断結果・在庫検索結果表示手段4gとなっている。
【0060】
図3のトラブル原因部品推定手段4fで図4のトラブル原因部品推定S19を行った後、S25の該当部品在庫検索を部品在庫データベース5cにて行い、何処にどれだけあるか調べ、S20において診断結果と部品在庫検索結果を表示する。この部品在庫データベース5cは、通信手段3により、設備使用者以外のメンテナンス会社,メーカー,特約店など関連部署全てのデータベースを随時検索することも可能である。
【0061】
このようにして、トラブル発生の可能性が高い部品の在庫を調べ、設備停止以前に手元に取り寄せておけば、停止後の復旧作業を直ちに行うことが出来るし、又、停止以前に生産に影響しない時期に計画的に止めて、交換整備作業を行うことができる。トラブル発生の可能性が高い部品の在庫状況は設備運転施設1側の表示手段1に送っておくと良い。
【0062】
上記各実施形態では、中央管理装置4を設備運転施設1から離れた場所に設置している例であるが、中央管理装置4を設備運転施設1内に設置してもよく、その場合は設備用集中制御手段1cと中央管理装置4が持つ機能を1個の演算処理手段に合体せしめるようにしても良い。また、中央管理装置4の各手段4a〜4fをそれらの機能が分かりやすいように区分けして示したが、1個のマイクロプロセッサチップに格納してあるソフトプログラムで構成させることができる。
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、多数設備の多数個の診断項目を測定している場合であっても、トラブル発生の原因部位あるいは部品を迅速に推定し、適正な劣化診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である設備の劣化診断装置を示すブロック図である。
【図2】図1に示した設備の劣化診断装置における劣化診断のフローチャートである。
【図3】本発明の他の一実施形態である設備の劣化診断装置を示すブロック図である。
【図4】図3に示した設備の劣化診断装置における劣化診断のフローチャートである。
【図5】設備における一測定データのトレンドグラフである。
【図6】本発明におけるトラブル発生原因データベースの一例を示す図である。
【図7】本発明における近接度を定義する図である。
【図8】本発明における図7における近接度に基づくトラブル発生予測順位付けの一例を示す図である。
【図9】圧縮機の代表的な運転パターンを示す図である。
【符号の説明】
1…設備運転施設
1a…設備
1b…データ測定手段
1c…設備用集中制御手段
1d、2a…通信インターフェース
1e…表示手段
3…通信手段
4…中央管理装置
4a…運転状態判定手段
4b…データ演算処理手段
4c…第1の運転状態診断手段
4d…診断項目選定手段
4e…第2の運転状態診断手段
4f…トラブル原因部品推定手段
4g…診断結果表示手段
5a…診断レベル値データベース
5b…トラブル発生原因データベース

Claims (6)

  1. 設備に設置した測定手段で設備の動作状態を定期的に測定し、その測定データを収集し、収集した測定データにより該設備を診断する設備の劣化診断方法において、
    収集した測定データが診断レベル値データベースに予め設定されている診断レベル値を越えているかどうかを比較する劣化診断を行い、さらにトラブル発生原因データベースにて、発生原因の可能性大の部位あるいは部品を選択し、トラブル発生原因部位あるいは部品を推定することを特徴とする設備の劣化診断方法。
  2. 上記請求項1に記載の設備の劣化診断方法において、さらに該トラブル発生原因部位あるいは部品の部品在庫検索手段にて該当する部品の在庫状況を検索することを特徴とする設備の劣化診断方法。
  3. 上記請求項1あるいは請求項2に記載の設備の劣化診断方法において、
    診断レベル値に対する測定データの比率を算出して近接度を求めることを各診断項目について行い、それらの近接度を比率の大きい順に並べてトラブル発生順位付けを行い、さらに、各診断項目に関連する複数の診断項目があれば、該関連する複数の診断項目における近接度の高いものからトラブル発生原因部位あるいは部品を推定することを特徴とする設備の劣化診断方法。
  4. 上記請求項1あるいは請求項2に記載の設備の劣化診断方法において、さらに第2の劣化診断結果に基づいて運転改良内容を表示手段に表示して、運転改良の警報表示を行うことを特徴とする設備の劣化診断方法。
  5. 設備に設置した測定手段で設備の動作状態を定期的に測定し、その測定データを収集し、収集した測定データにより該設備を診断する設備の劣化診断装置において、
    診断項目に対応する測定データが診断レベル値データベースに予め設定されている診断レベル値を越えているかどうか比較する診断手段と、
    該診断項目についてトラブル発生原因データベースにより、トラブル発生原因の可能性大の部位あるいは部品を推定する推定手段
    を備えたことを特徴とする設備の劣化診断装置。
  6. 上記請求項5に記載の設備の劣化診断装置において、さらに、該推定手段で推定したトラブル発生原因の可能性が大である部品の在庫状況を検索表示する、該当部品在庫検索手段と、
    を備えたことを特徴とする設備の劣化診断装置。
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