JP2004224596A - 水素供給装置 - Google Patents

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Yasushi Goto
靖志 五藤
Kazuhiro Fukada
和宏 深田
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】水素発生量が多くて、かつ安定的に供給でき、さらに、エネルギーロスを削減できる水素供給装置を提供する。
【解決手段】水素供給体を金属担持触媒の存在下に脱水素反応装置で脱水素処理し、該脱水素反応装置からの生成物を気液分離装置で水素と脱水素体に分離して水素を供給する水素供給装置であって、前記脱水素反応装置が、直列に連結した複数の反応装置、又は、さらに各反応装置間に水素分離装置を設けることを特徴とする水素供給装置の提供。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素供給装置に関し、さらに詳しくは、芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体の脱水素反応を利用して水素の供給を行う水素供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水素による燃料電池システムが注目を浴び、実用化可能な水素の供給形態が種々検討されてきている。
その一例として、発生させた水素を一旦貯蔵し、必要に応じて応答性よく水素を燃料電池システムに供給する水素貯蔵・供給システムが検討されており、例えば、水素吸蔵合金を用いたシステムが開示され(例えば、特許文献1参照。)、また、フラーレン類やカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等のカーボン材料を用いたシステムが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
しかしながら、水素吸蔵合金を用いたシステムでは、熱によって水素の出し入れを制御できる簡便なシステム構築を可能にするものの、合金単位重量当たりの水素貯蔵量が低く、代表的なLaNi合金の場合でも、水素の吸蔵量は、3質量%程度に留まっている。また、合金であるため重く、安定性にも欠ける。さらに、合金の価格が高いことも実用上の大きな問題点となっている。
また、カーボン材料を用いたシステムでは、水素の高吸蔵が可能な材料が開発されつつあるものの未だ十分ではなく、例えば、カーボンナノチューブは、嵩密度が大きくて、単位体積当たりの貯蔵量が低いため、システムが大型となる。また、これらの材料は、工業的な規模での合成が難しく、いずれも実用に供するまでには至っていない。
【0004】
かかる状況下、本出願人らは、低コストで、安全性、運搬性、貯蔵能力にも優れた水素貯蔵・供給システムとして、ベンゼン/シクロヘキサン系やナフタレン/デカリン・テトラリン系の炭化水素に着目し、芳香族化合物からなる水素貯蔵体の水素化反応と、該芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体の脱水素反応との少なくとも一方を利用して水素の貯蔵及び/又は供給を行う水素貯蔵・供給システムを開発した(例えば、特許文献3参照。)。
この水素貯蔵・供給システムは、シクロヘキサンやデカリン等の飽和炭化水素を、反応装置内の金属担持触媒(活性炭等の担体に白金等の金属を担持)に噴射ノズルを用いて霧状に供給して水素を発生させ、一方、水素が充填された反応装置内の金属担持触媒にベンゼンやナフタレン等を同様に噴射して水素を貯蔵するというものである。
【0005】
また、水素と反応して、その水素を貯蔵する芳香族化合物からなる水素貯蔵体と、水素を放出して芳香族化合物に変化する水素供給体との間における水素付加反応及び脱水素反応を利用して、水素の貯蔵及び供給を行う水素貯蔵・供給システムであって、水素貯蔵体又は水素供給体を加熱するヒータを備えた水素反応装置と、水素供給装置と、水素を利用して発電する発電装置とを備えることを特徴とする水素貯蔵・供給システムが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0006】
このような水素貯蔵・供給システムにおいては、反応の安定性や効率性の観点から、触媒に噴射された原料が全て速やかに反応して反応装置から排出され、新しい原料の供給が速やかに可能となって、反応が効率良く安定的に継続するのが望ましい。特に、脱水素反応で水素を発生させ、これを燃料電池に供給して発電を行う場合には、水素発生量が変動すると発電量が変動するため、より安定的に水素を供給できるようにすることが求められている。
【0007】
ところが、上記の水素貯蔵・供給システムなどでは、反応装置における反応は、1段であり、発生した気体は、そのまま冷却部に導かれ、凝集液化されて、水素と脱水素体に分離されていた。
特に、反応装置における反応は、1段であって、平衡反応のため、反応変換率が低く、原料の有効利用のために、循環使用をしていた。その循環使用の際には、反応装置に供給される液は、水素供給体と水素貯蔵体の混合物であり、その比率によって、発生する水素流量が変化してしまうという問題があった。
また、水素供給体と水素貯蔵体の混合物であるために、水素発生能力のない水素貯蔵体部分まで、昇温のための熱や気化熱を投入する必要があるため、エネルギーロスが発生していたという問題点があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−192746号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特開平5−270801号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】
特開2002−187702号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献4】
特開2002−184436号公報(特許請求の範囲等)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、水素発生量が多くて、かつ安定的に供給でき、さらに、エネルギーロスを削減できる水素供給装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、水素供給体の脱水素反応を利用して水素の供給を行う水素供給装置において、脱水素反応装置を直列に連結した複数の反応装置とし、さらに必要に応じて、各脱水素反応装置間に水素分離装置を設けることにより、より効率的に水素を取り出すことができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、水素供給体を金属担持触媒の存在下に脱水素反応装置で脱水素処理し、該脱水素反応装置からの生成物を気液分離装置で水素と脱水素体に分離して水素を供給する水素供給装置であって、前記脱水素反応装置が、直列に連結した複数の反応装置からなることを特徴とする水素供給装置が提供される。
【0012】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明の複数の反応装置の各装置の間に、水素を分離する水素分離装置を設け、各段で得られた生成物から水素のみを取り出し、次段の反応装置に未反応水素供給体を供給するようにしたことを特徴とする水素供給装置が提供される。
【0013】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明における金属担持触媒が、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を担体に担持した触媒であることを特徴とする水素供給装置が提供される。
【0014】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明における水素供給体が、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、1−メチルデカヒドロナフタレン、及びそれらのアルキル誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の水素化芳香族化合物であることを特徴とする水素供給装置が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
1.水素供給装置
本発明で用いる水素供給装置の基本構成は、水素供給体原料を収納する原料貯蔵器と、水素供給体を脱水素反応させる直列に連結された複数の脱水素反応装置と、脱水素反応装置からの生成気体を凝縮させる凝縮装置と、凝縮された反応物を水素と脱水素体に分離する気液分離装置と、気液分離装置から水素を回収し、さらに分離された脱水素体を回収する装置を含む装置である。
【0016】
上記基本構成からなる装置における水素供給方法を図1に模式的に示す水素供給装置の一例で説明する。水素供給体貯蔵器1内の水素供給体11は、配管L1を経てポンプP1で脱水素反応装置2に送られ、金属担持触媒21の存在下、加熱下に脱水素される。脱水素反応装置は、直列に連結された複数の脱水素反応装置2、2’、2”からなり、それぞれの脱水素反応装置内で、金属担持触媒21、21’、21”の存在下、加熱下に水素供給体の脱水素反応処理を複数回行う。脱水素反応装置2”からの生成物は、配管L3を経てポンプP2で凝縮装置4に導入される。凝縮された反応物は、気液分離装置5で水素と脱水素体51に分離され、水素は配管L4を経て回収され、脱水素体51は、配管L5を経て回収される。
【0017】
本発明の装置を水素供給体原料から水素を得る行程の順にしたがって、以下に詳細に説明する。
【0018】
本発明の装置において、原料貯蔵器は、タンク状に形成され水素供給体が収納される。水素供給体は、通常加圧され、供給量や供給時間等が制御されて、脱水素反応装置に供給される。
【0019】
本発明における脱水素反応は、上記基本構成における水素供給体を金属担持触媒の存在下に脱水素反応を行わせる脱水素反応装置を、直列に連結した複数の反応装置とし、水素供給体を複数の直列に連結した複数の反応装置を順次通過させて、脱水素反応を十分に行わせるところに特徴がある。直列に連結する複数の反応装置の数としては、水素供給体の種類にもよるが、2〜10が好ましく、より好ましくは3〜6である。
【0020】
一般に、脱水素反応は平衡反応であり、反応変換率は100%ではないため、脱水素反応を行った後の反応生成物中には、かなりの割合で水素供給体が残存するようになる。この反応生成物を一旦、冷却・液化して、再度反応装置に供給するような循環使用をする場合は、再供給液中に水素供給体のみでなく、脱水素体も混合されており、この脱水素体は、水素発生能力はない上に反応装置に再供給されることにより、触媒から、沸点までの温度上昇のための熱と気化熱を奪っていくために、エネルギー効率が低下する原因となっている。
本発明では、反応装置を複数段設けて直列に連結し、反応直後の生成物をそのまま次段の反応装置に導入することで、残存する水素供給体から、さらに水素を取り出すことが可能となり、凝集液化によるエネルギーロスも発生しない。また、反応装置を多段にすることにより、装置全体をコンパクトにし、かつ原料と触媒の接触確率が上昇するために、反応変換率を向上させることができる。さらに、必要に応じて、各段の触媒を異なったものとすることも可能で、それによって反応変換率や触媒利用効率を向上させることが可能となる。
一方、反応装置を多段にするのではなく、反応装置を大きくして、触媒量を増やし、原料と触媒の接触する確率を向上させる方法では、装置全体としてのコンパクト化、触媒利用効率の向上を図ることは困難となる。
【0021】
また、本発明の脱水素反応装置は、直列に連結した複数の脱水素反応装置の各反応装置の間に、水素を分離する水素分離装置を設けた装置が好ましい。上記のように脱水素反応は、平衡反応であるので、第1段の脱水素反応装置において得られた生成物を、第1段の脱水素反応装置と第2段の脱水素反応装置間に設けられた水素分離装置によって水素のみを分離して取り出し、その後に残された未反応の水素供給体のみを、第2段の脱水素反応装置に供給し、さらに脱水素反応を行うようにすることで、水素の収率を一層向上させることができる。さらに、第2段の脱水素反応装置において得られた生成物を次の水素分離装置で、水素と脱水素体に分離し、同様な方法を繰り返し、水素供給体の脱水素反応を十分に行うことができる。
このように、各脱水素装置の間に水素分離装置を設け、反応生成物から水素のみを分離し、次段の脱水素反応装置へ、水素を分離した残りを供給すると、次段では、より水素を発生する方向へ平衡が移動し、全体としての水素発生量を増大させることができる。
【0022】
本発明の装置の直列に連結した複数の脱水素反応装置の各反応装置の間に、水素を分離する水素分離装置を設けた装置の一例を図2で説明する。
水素供給体は、配管L1を経て、第1段の脱水素反応装置2に導入されて脱水素反応をうける。第1段の脱水素反応の生成物は、水素分離装置3に導入され、水素分離装置により水素が分離され配管L2を経て回収される。一方、第1段の脱水素反応における未反応の水素供給体と脱水素体は、第2段の脱水素反応装置2’に導入されて脱水素反応をうける。第2段の脱水素反応の生成物は、水素分離装置3’に導入され、水素分離装置により水素が分離され配管L2’を経て回収される。一方、第2段の脱水素反応における未反応の水素供給体と脱水素体は、第3段の脱水素反応装置2”に導入されて脱水素反応をうける。同様に反応が繰り返され、脱水素反応が終了した生成物は、配管L3を経て凝縮装置4に送られる。
【0023】
上記水素分離装置における分離手段としては、特に限定されないが、水素分離膜等を用いる装置が好ましい。
【0024】
上記複数の脱水素反応装置は、石英ガラス、アルミナ、セラミック等の耐熱性の高い絶縁体から形成されている筒状体で形成されているのが好ましく、その筒状体の内部に、ハニカムシート状等の金属担持触媒が収納されるようにする。水素供給体は、噴射ノズルなどにより、金属担持触媒へ均一に噴射され、金属担持触媒と接触して脱水素反応が行われる。
【0025】
上記筒状体の反応容器は、流路を保ちながら金属担持触媒を充填できるものあれば任意の形状でよく、また、内径をすり鉢状や蛇腹状のように変化させてもよく、その形状寸法は、使用状態に合わせて適宜選択することができる。
また、筒状体の反応容器は、ニクロム線等のヒーターにより触媒を加熱する場合には、アルミ等の熱伝導性のよい材質で形成するのが好ましい。
【0026】
金属担持触媒としては、その重量や大きさは、必要に応じて調整すべき因子であり、特に限定されない。その詳細は、後述する。
【0027】
脱水素反応装置内で金属担持触媒は、加熱して用いられ、その加熱手段としては、高周波誘導加熱を用いる方法が好ましい。
高周波誘導加熱方法は、例えば、反応装置の筒状体の反応容器を取り巻くように、触媒を加熱するコイル状の電磁誘導コイルを用い、触媒に接した熱電対により触媒温度を検知し、電磁誘導コイルへの高周波電流を調整して加熱する方法である。
なお、高周波誘導加熱は、電磁誘導コイルに高周波電流を流すことにより発生させた高周波で導電体を誘導加熱するもので、電磁誘導作用により導電体に渦電流が発生し、ジュール熱によって導電体が加熱されるものである。電磁誘導コイルに印加する高周波電流の周波数としては、加熱する導電体とのインピーダンスマッチングにもよるが、一般的には350〜450kHzが使用される。
上記電磁誘導コイルの形状としては、一般的なコイル形状の他、渦巻き形状が採用できる。コイル形状の場合は、加熱する導電体をコイルの中心に、渦巻き形状の場合は、導電体を渦巻きの中心線上に配置すると、効率的かつ応答性よく加熱できる。
【0028】
高周波誘導加熱を行う場合には、電磁誘導コイルに高周波電流を流し続けると導電体が加熱され続けるため、一般的には温度制御が必要となる。温度制御の方法としては、導電体の温度を測定して電磁誘導コイルに流れる高周波電流を制御する種々のフィードバック制御が可能であり、本発明で用いる加熱温度(100〜500℃)においては、一般的な熱電対によるフィードバック制御で十分である。また、加熱のために投入されるエネルギーと反応に要するエネルギーとのバランスを取るために、反応に必要な単位時間当たりの熱量を求めて電磁誘導コイルに印加する電流(電力)を制御することも可能である。
【0029】
また、渦電流による直接加熱方法としてより効率的かつ応答性よく加熱を行うため、金属担持触媒の担体としてカーボン等の導電体を用い、渦電流が発生する形状に形成することにより、金属担持触媒を直接加熱することができる。担体が非導電体の場合には、担体とステンレス等の一般的な導電体とを、層状又はブレンド状等に形成し、担体に導電性を付与する。また、加熱すべき導電体を効率よく加熱するため、電磁誘導コイルと加熱すべき導電体との間に介在するもの、例えば、反応装置の触媒を収納する反応容器等を、アルミナやセラミック等の耐熱性の高い絶縁体で形成することが好ましい。
【0030】
さらに、本発明においては、複数段の筒状体の反応装置を別個に電磁誘導コイルで取り囲んで、各々加熱するようにしてもよく、また、複数の筒状体全てをまとめて1つの電磁誘導コイルで取り囲んで加熱してもよい。なお、筒状体の長手方向に電磁誘導コイルを複数配置し、例えば、原料の供給側から順に触媒温度が高くなるように加熱してもよい。
【0031】
金属担持触媒の温度は、用いる水素供給体の種類により異なるが、水素供給体としてシクロへキサンを用い、その脱水素反応によりベンゼンを生成させる際には、電磁誘導コイルにより、約220〜400℃に加熱する。変換効率を考慮すると、250〜350℃に加熱することが好ましい。
【0032】
本発明の装置において、凝縮装置は、配管を経て最後の脱水素反応装置に接続されている。凝縮装置においては、脱水素反応装置から送られてくる生成物である水素と脱水素体を冷却して、脱水素体を液化させて水素を分離する。
【0033】
凝縮装置における冷却は、冷却水により行い、冷却装置としては、らせん状細管、交互冷却パイプ構造等の熱交換器からなる蒸気凝縮部を有し、蒸気凝縮部では、発生した水素と脱水素体及び未反応の水素供給体との気液分離を効率的に実現するため、例えば、冷却水温度(例えば5〜20℃)を調節して最適化を図ることが好ましい。
【0034】
凝縮装置で冷却された反応物は、気液分離装置に送られる。気液分離装置は、凝縮装置の蒸気凝縮部と配管接続されており、蒸気凝縮部で冷却されて液化した脱水素体と水素はそれぞれ配管から回収される。
【0035】
生成した水素は、より高純度が要求される場合は、水素抽出装置を用い、水素抽出装置内に設置された活性炭や水素セパレータ膜からなる水素分離部において、水素に同伴する液滴等を分離し、質量が軽く、また拡散速度が大きい水素ガスのみを分離精製して供給することができる。
水素抽出装置は、通常、凝縮装置において、接触面積、冷却水温度、発生水素速度等の諸因子を操作することにより、水素の分離・精製を行うことが可能であるため、必ずしも必要とはしないが、より高純度(99.9%以上)の水素の供給が要求される場合には、活性炭や、水素セパレータ膜のシリカ分離膜やパラジウム・銀分離膜等の従来技術を用いて水素の高純度化を行う必要がある。なお、気液分離装置と水素抽出装置との間に、例えば、ガラスウール、ワイヤーメッシュ等を充填した気液分離部を設けて、水素抽出装置への液滴の同伴量を減少させることもできる。
【0036】
なお、本発明の水素供給装置の基本構成には、各反応装置における脱水素反応の条件を制御する制御手段を含ませることが好ましく、各装置において、熱電対、センサ、ガス流量計等により、配管に設けられたバルブ、ポンプ、ヒーター等を制御できるように構成するのが好ましい。
具体的には、例えば、水素供給体の脱水素反応により水素を外部に供給する際には、例えば、電磁誘導コイルに高周波電流を流し、フィードバック制御で金属担持触媒の温度を400℃前後に調整しながら、原料貯蔵器から水素供給体を複数の直列に連結した脱水素反応装置に所定量供給し、金属担持触媒と水素供給体を接触させる。接触終了後は、原料貯蔵器から脱水素装置への水素供給体の供給を停止する。このとき、複数段の反応装置において、脱水素反応に伴って気体状の脱水素体と水素が生成するが、生成した脱水素体は、凝縮装置の蒸気凝縮部で冷却されて液状となり、気液分離装置に移動して気液分離装置内に蓄えられる。一方、生成した水素は、気液分離装置から水素抽出装置を経て配管を経由して、外部、例えば、住宅用燃料電池システム等に効率的に供給される。
【0037】
以上、燃料電池への適用を前提に、本発明の水素供給方法及び装置を説明したが、当然のことながら、本発明の水素供給方法及び装置を、燃料電池以外の発電装置に適用してもよい。例えば、水素を燃やしてスチームを発生させ、タービンを回転させて発電機によって電気をつくるようにしてもよい。また、従来の火力発電所や原子力発電所等の電気供給システムと、本発明の水素供給方法及び装置とを併用してもよい。
【0038】
2.金属担持触媒
本発明で使用される金属担持触媒に担持される金属としては、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、又は鉄等の貴金属類等が挙げられるが、これらは単一であっても2種以上併用してもよい。その内、白金、タングステン、レニウム、モリブデン、ロジウム、バナジウムは、活性、安定性、取り扱い性等の面から特に好ましい。
【0039】
金属担持触媒における金属の担持率は、担体に対して通常0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜20質量%である。また、2種以上の金属を用いる複合金属系触媒の場合は、主金属成分M1に対して添加金属M2の添加量が、M2/M1原子比で0.001〜10、特に0.01〜5であることが好ましい。なお、M1及びM2は、各々以下に示す金属である。
M1:白金、パラジウム、ルテニウム
M2:イリジウム、レニウム、ニッケル、モリブデン、タングステン、ルテニウム、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、鉄
【0040】
また、水素供給の効率は、主触媒金属である炭素担持白金触媒に、上記金属のカルボニル錯体、アセチルアセトナート塩、シクロペンタジエニル錯体等を、同時あるいは逐次的に添加し、加熱分解後に水素還元処理を行うことにより、一層改善される。
【0041】
活性金属を担持する担体としては、例えば、活性炭、カーボンナノチューブ、モレキュラシーブ、ゼオライト等の多孔質担体、又はシリカゲル、アルミナ、ステンレスハニカム、金属多孔質体、金属発泡体等の公知の担体が使用できるが、前記のように、カーボン等の導電性の担体を用い、渦電流が発生する形状に形成することにより、金属担持触媒を直接加熱できるようにすることが好ましい。
担体が非導電体の場合には、担体とステンレス等の一般的な導電体とを層状又はブレンド状等に形成することにより担体に導電性を付与することができる。導電性の担体とは、カーボン、活性炭、グラファイト、あるいはニッケル等の金属製の多孔質体、あるいはモリブデンカーバイト等の炭化金属を指すが、他の導電体を排除するものではない。
【0042】
また、金属担持触媒の形状は、特に限定されず、顆粒状、シート状、織布状、ハニカム状、メッシュ状、ポーラス状等使用形態に合わせて適宜選択される。
【0043】
3.水素供給体
本発明で用いる水素供給体は、芳香族化合物の水素化誘導体からなるものが好ましい。
本発明に用いられる芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、ビフェニル、フェナスレン等の芳香族炭化水素化合物、又はそれらのアルキル誘導体が挙げられるが、この中でもベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等が効率の面から特に好適に使用される。
【0044】
本発明に用いられる水素供給体としては、上記の芳香族化合物の水素化誘導体からなるものであって、芳香族炭化水素化合物、又はそれらのアルキル誘導体を水素添加して得られるものであり、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の水素化誘導体であるシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、テトラヒドロナフタレン、1−メチルデカヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン(デカリン)等が、効率の面から特に好適に使用される。
本発明に用いられる水素供給体は、エチレン結合(C=C)がほとんどなく、飽和炭化水素であるから、脱水素反応により容易に水素を供給することができる。
【0045】
【実施例】
以下に、本発明の装置を用いた水素供給方法を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0046】
[実施例1]
脱水素反応装置として、5段の直列に連結した反応容器を用い、各反応装置には、活性炭に10質量%の白金を担持させた白金触媒を金属担持触媒として用い、触媒量は各反応装置当り1gとした。
水素供給体としてデカリンを用い、約2ml/分の流量で、第1段の反応装置に供給し、脱水素発生を行わせた。なお、各反応装置の触媒は、350℃に加熱した。第1段の反応装置で発生した反応生成物は、そのまま次段に供給し、第5段まで反応させた。その結果、14L/分の水素を発生させることができた。
【0047】
[実施例2]
5段の脱水素反応装置の各段の間に、パラジウムを主成分とした水素分離膜を設けて水素だけを分離し、残った部分を次段に供給すること以外は、実施例1と同様にして脱水素反応を行った。その結果、18L/分の水素を発生させることができた。
【0048】
[比較例1]
脱水素反応装置を1段のみにした5gの触媒を設置した反応装置を用いる以外は、実施例1と同様とし脱水素反応を行った。その結果、水素発生量は、10L/分であった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の水素供給装置では、水素発生量が多く、かつ安定的に供給でき、さらに、エネルギーロスを削減できるという顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水素供給装置の構成の一例を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明に係る多段の脱水素反応装置の構成の一例を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 水素供給体貯蔵器
2、2’、2” 脱水素反応装置
3、3’、3” 水素分離装置
4 凝縮装置
5 気液分離装置
11 水素供給体
21、21’、21” 金属担持触媒
51 脱水素体
L1、L2、L3、L4、L5 配管
P1、P2 ポンプ

Claims (4)

  1. 水素供給体を金属担持触媒の存在下に脱水素反応装置で脱水素処理し、該脱水素反応装置からの生成物を気液分離装置で水素と脱水素体に分離して水素を供給する水素供給装置であって、前記脱水素反応装置が、直列に連結した複数の反応装置からなることを特徴とする水素供給装置。
  2. 複数の反応装置の各装置の間に、水素を分離する水素分離装置を設け、各段で得られた生成物から水素のみを取り出し、次段の反応装置に未反応水素供給体を供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の水素供給装置。
  3. 金属担持触媒が、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を担体に担持した触媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素供給装置。
  4. 水素供給体が、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、1−メチルデカヒドロナフタレン、及びそれらのアルキル誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の水素化芳香族化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素供給装置。
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