JP2005138024A - 水素化芳香族化合物からの脱水素反応用触媒とその触媒を利用した水素製造方法 - Google Patents

水素化芳香族化合物からの脱水素反応用触媒とその触媒を利用した水素製造方法 Download PDF

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尚 梅岡
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Abstract

【課題】芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体の脱水素反応に優れた触媒活性を有し、再生が可能な金属担持触媒、及びそれを用いた水素製造方法の提供。
【解決手段】芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体の脱水素反応を行う金属担持触媒において、金属を担持させる担持体が、表面を無機材質、好ましくは主材質と副材質からなる少なくとも2種以上の材質を混合した無機材質で表面処理した金属材質の担持体であることを特徴とする脱水素反応用触媒及びそれを用いた水素製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素化芳香族化合物からの脱水素反応用触媒とその触媒を利用した水素製造方法に関し、さらに詳しくは、熱伝導率が向上し、触媒活性の低下を防止した、触媒の再生が可能な脱水素反応用触媒とその触媒を利用した水素製造方法に関する。
近年、地球温暖化等への対応策として、化石燃料に代わるクリーンなエネルギー源として水素燃料を用いる燃料電池システムが注目を浴びてきている。
分散型電源として住宅用等の燃料電池システムを検討する場合には、水素の供給形態が重要となるが、水素をそのまま各家庭に供給する方法には、安全性の問題があるばかりでなく、供給のためのインフラを整備する必要があるという問題があり、現在、実用化可能な水素の供給形態として、発生させた水素を一旦貯蔵し、必要に応じてリスポンスよく水素を燃料電池システムに供給する水素貯蔵・供給システムが検討されており、例えば、水素吸蔵合金を用いたシステム(例えば、特許文献1参照。)、フラーレン類やカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等のカーボン材料を用いたシステム(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。
しかしながら、水素吸蔵合金を用いたシステムでは、熱によって水素の出し入れを制御できる簡便なシステム構築を可能にするものの、合金単位重量当たりの水素貯蔵量が低く、代表的なLaNi合金の場合でも、水素の吸蔵量は3重量%程度に留まっている。また、合金であるため重く、安定性にも欠ける。さらに、合金の価格が高いことも実用上の大きな問題点となっている。また、カーボン材料を用いたシステムでは、水素の高吸蔵が可能な材料が開発されつつあるものの未だ十分ではなく、例えば、カーボンナノチューブは、嵩密度が大きくて単位体積当たりの貯蔵量が低いため、システムが大型となる。また、これらの材料は、工業的な規模での合成が難しく、いずれも実用に供するまでには至っていない。
かかる状況下、芳香族化合物を水素の運搬体として用いる研究が国内外で精力的に行われており、その媒体としてベンゼン/シクロヘキサン系、ナフタレン/デカリン・テトラリン系等が提案されている。これらは、芳香族化合物の水素化反応で得られる飽和炭化水素類を水素移送媒体として用い、必要なときにその飽和炭化水素から脱水素反応により水素を取り出すと共に元の芳香族化合物を再生するものである。このような芳香族化合物の水素化及びその水素化誘導体の脱水素反応に関する研究は、従来から数多く行われ、各々の素反応に対しては高転化率・高選択率にて反応物を与える触媒系が既に開発されている。
例えば、低コストで、安全性、運搬性、貯蔵能力にも優れた水素貯蔵・供給システムとして、ベンゼン/シクロヘキサン系やナフタレン/デカリン・テトラリン系の炭化水素に着目し、芳香族化合物からなる水素貯蔵体の水素化反応と、該芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体の脱水素反応との少なくとも一方を利用して水素の貯蔵及び/又は供給を行う水素貯蔵・供給システムにおいて、活性炭等の担体に白金等の金属を担持した金属担持触媒を用いた水素化反応/脱水素反応(例えば、特許文献3〜4参照。)が開示されている。
上記水素貯蔵・供給システムは、低コストで、かつ安全性、運搬性、貯蔵能力の面では優れているものの、金属担持触媒の担持体として、無機材質担持体、特に活性炭を用いている。この活性炭担持体は、生成物蓄積による活性低下に対しては、触媒の再生は容易でなく、アルミナ等の無機材質担持体は、再生は可能だが、熱伝導率が低く加熱効率が悪く、また、金属材質の担持体を用いるとそのままでは触媒金属担持が困難であるという問題を有している。
特開平7−192746号公報 特開平5−270801号公報 特開2001−198469号公報 特開2002−187702号公報
本発明の目的は、従来技術の問題点に鑑み、芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体の脱水素反応に優れた触媒活性を有し、再生が可能な金属担持触媒、及びそれを用いた水素製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体の金属担持触媒の担持体として金属材質を用いて熱伝導率を向上させると同時に、その表面を無機材質で処理することにより、触媒金属担持を容易にし、反応生成物の蓄積による触媒活性低下の防止と、反応活性点の閉塞による活性低下を防止することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体の脱水素反応を行う金属担持触媒において、触媒金属を担持させる担持体が、表面を無機材質で表面処理した金属材質であることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、金属材質が、ハニカム構造体または多孔質体であることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、金属材質の表面を処理する無機材質が、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、及びシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の材質であることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、金属材質の表面を処理する無機材質が、アルミナ、ジルコニアから選ばれる少なくとも1種の主材質と、ジルコニア、チタニア、マグネシア、シリカから選ばれる少なくとも1種の副材質とからなる、少なくとも2種類の材質を混合したものであることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、金属材質の表面を処理する無機材質中の副材質の割合が5〜50重量%であることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、金属担持触媒における触媒金属が、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、金属担持触媒における触媒金属が、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウムから選ばれる少なくとも1種の主金属と、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、鉄から選ばれる少なくとも1種の副金属との、少なくとも2種の金属からなることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、金属担持触媒における触媒金属が、主金属が表面に、副金属が内部に配置された、コア/シェル構造をなしていることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜9のいずれかの発明において、金属担持触媒における触媒金属の粒径が、0.5〜20nmであることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜9のいずれかの発明において、金属担持触媒における触媒金属が、あらかじめ金属粒子として成形され、その粒子をコロイド状態にして担持体上に担持させられたものであることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第10の発明において、コロイド状態を形成するためのコロイド化剤が、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第1〜11のいずれかの発明において、水素供給体が、1−メチルデカリンを含有する芳香族化合物の水素化誘導体であることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第1〜11のいずれかの発明において、水素供給体が、1−メチルデカリンとデカリンを含有する芳香族化合物の水素化誘導体であることを特徴とする脱水素反応用触媒が提供される。
また、本発明の第14の発明によれば、芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体を金属担持触媒の存在下に脱水素反応で水素を製造する方法において、金属担持触媒として、第1〜13のいずれかの発明の脱水素反応用触媒を用いることを特徴とする水素製造方法が提供される。
本発明の脱水素反応用触媒は、触媒金属の担持を容易にし、反応生成物の蓄積による触媒活性低下の防止と、反応活性点の閉塞による活性低下を防止することができる。
以下、本発明の金属担持触媒及びこれを利用した水素製造方法について、各項目毎に詳細に説明する。
1.金属担持触媒
本発明で使用する金属担持触媒は、芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体の脱水素反応を促進する機能をもつものである。
(1)金属触媒
担時される金属触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましい。
これらの金属は、主金属、副金属として選択されて主−副の組み合わせで選択されて用いられるのが活性、安定性、取扱い性等の面から好ましい。すなわち、反応機構の異なる2種以上の金属を同一担持体上に担持させることによって、触媒による反応効率を向上させることができ、特に、主金属が表面に、副金属が内部に配置されたコア/シェル構造を構成した触媒にすることが好ましい。
例えば、主金属として白金を、副金属としてロジウムを同一担持体上に担持させた場合、白金は水素−水素結合の着脱を活性化するのに対して、ロジウムは水素−炭素結合の着脱を活性化するので、このような2種の金属が同一担持体上に近接して存在すると、例えば、水素供給体からの脱水素による水素発生反応においては、まずロジウム上で水素−炭素結合が切断され、生成した水素ラジカルが、その近傍に存在する白金上でただちに水素分子となり、反応系から離れていく。2種の触媒の単純な混合では、2種の金属が近傍に存在しないため、上記のような効果は発生しない。また、同一担持体上への逐次担持では、先に担持された金属の表面を、あとから担持された金属が覆ってしまう可能性があり、上記のような効果を発生させることが困難になる。
ここで、主金属としては、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、及びルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が挙げられ、副金属としては、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が挙げられる。
上記の金属は、担持体に担持させて用いるが、担持する場合には、それぞれの金属の金属酸、金属酸塩、金属塩又は金属錯体として用い、具体的な化合物としては、次ような化合物を挙げることができる。
ニッケル:臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、トリス(エチレンジアミン)ニッケル
パラジウム:塩化パラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム、テトラクロロパラジウム酸アンモニウム、テトラクロロパラジウム酸パラジウム、テトラブロモパラジウム酸カリウム、酢酸パラジウム、テトラアミンパラジウム、ビス(エチレンジアミン)パラジウム
白金:塩化白金、硫酸白金、塩化白金酸六水和物、テトラクロロ白金酸ナトリウム、テトラクロロ白金酸カリウム、テトラクロロ白金酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金酸、テトラクロロ白金酸ナトリウム、ヘキサクロロ白金酸、テトラブロモ白金酸ナトリウム、テトラブロモ白金酸カリウム、酢酸白金、テトラアミン白金、ビス(エチレンジアミン)白金、トリス(エチレンジアミン)白金
ロジウム:三塩化ロジウム三水和物、硫酸ロジウム、硝酸ロジウム、ヘキサクロロロジウム酸ナトリウム、ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム、トリス(オキサラト)ロジウム酸カリウム、テトラ(アセタト)ジアクア二ロジウム、ヘキサアンミンロジウム、トリス(エチレンジアミン)ロジウム。
イリジウム:塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヘキサクロロイリジウム酸カリウム三水和物、ヘキサクロロイリジウム酸ナトリウム六水和物、ビス(硫酸)カリウムイリジウム、トリス(オキサラト)イリジウム酸カリウム四水和物、ヘキサアンミンイリジウム。
ルテニウム:塩化ルテニウム、臭化ルテニウム、ヘキサアンミンルテニウム、ペンタアンミン(二窒素)ルテニウム、トリス(エチレンジアミン)ルテニウムヨウ化物、ヘキサアンミンルテニウム、ペンタアンミンクロロルテニウム、テトラキス(アセタト)クロロ二ルテニウム、トリス(オキサラト)ルテニウム酸カリウム、トリカルボニルジクロロルテニウム、ペンタカルボニルルテニウム。
モリブデン:臭化モリブデン、五塩化三酸化モリブデン、塩化モリブデン酸、ペンタクロロオキソモリブデン酸アンモニウム、オクタシアノモリブデン酸カリウム二水和物、三モリブデン酸ナトリウム七水和物、七モリブデン酸ナトリウム、七モリブデン酸アンモニウム四水和物、八モリブデン酸ナトリウム、ホスホ十二モリブデン酸三水素水和物、ホスホ十二モリブデン酸三アンモニウム
レニウム:塩化レニウム、臭化レニウム、オクタクロロ二レニウム酸テトラブチルアンモニウム、ペンタクロロオキソレニウム酸カリウム、ビス(エチレンジアミン)ジオキソレニウム、デカカルボニル二レニウム、ペンタカルボニルクロロレニウム、ペンタカルボニルメチルレニウム
タングステン:フッ化タングステン、塩化タングステン、臭化タングステン、ヨウ化タングステン、四フッ化酸化タングステン、四塩化酸化タングステン、四臭化酸化タングステン、二塩化二酸化タングステン、ノナクロロ二タングステン酸カリウム、オクタシアノタングステン酸カリウム一水和物、オクタシアノタングステン酸カリウム二水和物、十二タングステン酸ナトリウム水和物、十二タングステン酸カリウム水和物、十二タングステン酸アンモニウム水和物、ホスホ十二タングステン酸ナトリウム水和物、ホスホ十二タングステン酸三水素水和物
バナジウム:フッ化バナジウム三水和物、塩化バナジウム、臭化バナジウム、ヨウ化バナジウム、硫酸バナジウム、ヘキサカルボニルバナジン酸ナトリウム、クロロビス(シクロペンタジエニル)バナジウム、ジクロロビス(シクロペンタジエニル)バナジウム
オスミウム:フッ化オスミウム、塩化オスミウム、二フッ化三酸化オスミウム、酸化オスミウム、ヘキサクロロオスミウム酸ナトリウム二水和物、ヘキサクロロオスミウム酸カリウム三水和物、ヘキサクロロオスミウム酸カリウム、トランス−テトラクロロジオキソオスミウム酸カリウム、ヘキサアンミンオスミウム臭化物、ヘキサシアノオスミウム酸カリウム三水和物、トリクロロトリス(トリエチルホスフィン)オスミウム
クロム:フッ化クロム、塩化クロム六水和物、臭化クロム六水和物、ヨウ化クロム、硝酸クロム九水和物、酢酸クロム一水和物、シュウ酸クロム六水和物、トリス(エチレンジアミン)クロム三水和物
コバルト:フッ化コバルト、塩化コバルト六水和物、過塩素酸コバルト六水和物、臭化コバルト、ヨウ化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト六水和物、酢酸コバルト、ペンタアンミンニトロコバルト、トリス(エチレンジアミン)コバルト、エチレンジアミンテトラアセタトコバルト酸カリウム二水和物
鉄:二塩化鉄、二塩化鉄四水和物、三塩化鉄、三塩化鉄六水和物、過塩素酸鉄六水和物、臭化鉄、臭化鉄六水和物、ヨウ化鉄、ヨウ化鉄四水和物、硫酸鉄、硝酸鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、テトラカルボニルビス(シクロペンタジエニル)二鉄
金属担持触媒における金属の担持率は、担持体に対して、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。また、2種以上の金属を用いる場合は、主金属と副金属の添加量比は、主金属/副金属原子数比で0.01〜1であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜0.6である。主金属/副金属原子数比が0.01未満の場合、2種以上の金属を用いる効果が得られず、1以上では十分な反応が得られなくなる。
(2)担持体
本発明の金属担持触媒の触媒金属を担持する担持体は、表面を無機材質で表面処理した金属材質である。金属材質としては、触媒を多く担持可能な表面積が大きいものであればよく、ハニカム構造体または多孔質体や焼結金属などが挙げられ、さらにその表面が機械的、あるいは化学的に凹凸をつけられたものであってもよい。
担持体のベース材質である金属としては、ニッケル、鉄、ステンレス等の一般に使用される金属が利用可能である。
担持体のベース材質を金属材質とすると、熱伝導率が活性炭やアルミナ等の無機材質と比較して高いため、脱水素反応時の加熱効率が良くなり、さらに、脱水素反応生成物である芳香族化合物が触媒表面に蓄積・炭化して、触媒反応活性点を閉塞して触媒活性を低下させても、蓄積した炭化物を燃焼させて除去する再活性化が容易である。
一般に金属材質の担持体表面は、平滑性が高く、従って表面積は小さいため、担持できる触媒金属の量は小さくなる。そのため、無機材質により表面積を大きくする処理をする必要がある。さらに、脱水素反応時に触媒表面に存在する脱水素生成物は、芳香族化合物であるので、そのπ電子雲から非常に電子リッチな状態になり、表面処理材質の性質(電子親和力)によっては、生成物の離脱性が大きく変わるようになる。
すなわち、触媒活性低下の程度が変化することになるので、無機材質の性質をコントロールして、触媒劣化速度をコントロールすることが好ましい。
金属材質の担持体の表面を処理する無機材質としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、及びシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の材質が挙げられる。これらの無機材質は、アルミナ、ジルコニア等の主無機材質とし、ジルコニア、チタニア、マグネシア、シリカ等の副無機材質として選択して、主−副の組み合わせた混合無機材質として用いるのが、活性、安定性、取扱い性等の面から好ましく、特に、2種以上の材質を混合することで、劣化速度をコントロールすることができる。
例えば、金属材質としてアルミニウム混合ステンレスを用い、表面処理材質としてアルミナとジルコニアの混合物を使用すると、ベース金属材質中ののアルミニウムと表面処理材質のアルミナが密着力を向上し、さらにジルコニアで表面の電子親和力を小さくすることができ、芳香族化合物の離脱性を向上させることができる。金属材質と表面処理材質の密着性が低いと、表面処理材質がすぐにはがれ落ちてしまい好ましくない。
主無機材質に対して、副無機材質の割合は5〜50重量%であることが好ましく、例えば、アルミナとジルコニアの混合物を使用する場合は、アルミナ:ジルコニアの比は、5:95〜30:70のジルコニアリッチが好ましい。
また、上記金属担持触媒の形状は、特に限定されず、顆粒状、シート状、織布状、ハニカム状、メッシュ状、ポーラス状等、使用形態に合わせて適宜選択される。
(3)金属担持触媒の製造
本発明の金属担持触媒は、担持体に触媒金属を担持させる方法であれば、特に制限がないが、例えば、金属の金属酸、金属酸塩、金属塩又は金属錯体の水溶液から担持する方法やコロイドから担持する方法がある。
金属塩等から担持する方法としては、担持体に担持すべき金属の金属酸、金属酸塩、金属塩又は金属錯体の水溶液を、金属触媒の量が担持体の量に応じた所定の量になるように濃度及び液量を調整して作製し、次に、担持体を上記水溶液に浸漬させ、十分に攪拌して一夜放置する。そして、混合液から担持体を取り出し、水洗して乾燥させる。さらに、必要に応じて、活性化処理して得られる。
触媒金属が2種類の金属である場合は、複数の金属の金属酸、金属酸塩、金属塩又は金属錯体の水溶液を金属触媒の量が担持体の量に応じた所定の量になるように濃度及び液量を調整して作製し、その中に担持体を浸漬させ、十分に攪拌して一夜放置し、混合液から担持体を取り出し、水洗して乾燥させる。
また、主金属が表面に、副金属が内部に配置されたコア/シェル構造を構成した触媒にする場合は、副金属の水溶液を用いた操作を行った後、次に主金属の水溶液を用いた操作を行う、逐次操作によって得ることができる。
なお、ここでいうコア/シュエル構造とは、内部に位置する副金属を表面に位置する主金属がすべて覆っている必要はなく、主金属が表面側に多く、副金属が内部側多く配置されたものであればよく、その機能は十分に発揮される。
コロイドから担持する方法は、触媒金属粒径をコントロールして担持させるための方法で、あらかじめ、触媒金属の粒子を形成しておき、それをコロイドとして担持させる方法である。
コロイドから担持する方法は、あらかじめ所定の大きさの金属の粒子を形成し、その金属粒子にコロイド化剤を加え、担持体上に担持させる方法である。コロイド化剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムから選ばれる少なくとも1種であり、テトラメチルアンモニウムが好適である。
水素供給体の脱水素反応は、触媒表面で起こるため、触媒金属の粒径が大きいと触媒金属粒径重量当たりの有効表面積は小さくなる。しかしながら、粒径がある一定以上に小さいと、反応生成物の蓄積で、すぐに活性表面がふさがれてしまい、劣化につながる。したがって、担持体に担持された触媒金属の粒径は、0.5〜20nmが好ましく、より好ましくは1〜10nmである。
触媒金属の粒径のコントロールは、金属塩による担持方法では困難であるので、コロイドから担持する方法が好ましい。
上記コロイドから担持する方法によれば、繰り返し行うことで、表面と内面が異なる金属で形成された粒子を作成することも可能である。この方法により、表面が白金、内面がパラジウム、ロジウム、ルテニウム、レニウム、イリジウムが、あるいは表面と内面の金属が逆になった触媒が好適である。また、2種以上の触媒金属を同時に担持させる、バイメタリック触媒を形成することも容易である。
また、上記で得られた金属担持触媒は、必要に応じて、活性化処理を行うことができる。活性化処理は、担持した触媒金属によって異なるが、水素化ホウ素ナトリウム水溶液などの水素化アルカリ金属水溶液中に浸漬させ、担持金属を還元して活性化するものである。水素化アルカリ金属化合物としては、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム又は水素化カリウムから選ばれる少なくとも1種の化合物である。
また、水素化ホウ素ナトリウム水溶液などの水素化アルカリ金属水溶液中への浸漬による低温での担持金属の還元・活性化は、マイルドな環境下での反応のため、担持体上での金属の移動・凝縮・大粒径化が起こりにくくなり、高温水素流下での還元・活性化に比べて、高分散化・小粒径化・大表面積化可能な触媒を作製することができ、結果として触媒による反応効率を向上させることができる。
2.水素化芳香族化合物
本発明で用いる水素化芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、ビフェニル、フェナンスレン、エチルベンゼン、テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素化合物、又はそれらのアルキル誘導体を水素添加して得られるものであり、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の水素化誘導体であるシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン(デカリン)又はそれらのアルキル誘導体等が効率の面から特に好適に使用される。この中でも1−メチルデカリン、デカリンが好ましく、特にデカリンと1−メチルデカリンの混合物が好ましい。
1−メチルデカリンは、4種の立体異性体(以降、1−メチルデカリン異性体と略称することもある。)を有し、それぞれは、trans−cis−1−メチルデカリン、trans−trans−1−メチルデカリン、cis−cis−1−メチルデカリン、又はcis−trans−1−メチルデカリンで表わされるものである。
1−メチルデカリン異性体は、1−メチルナフタレンの水素添加反応によって得られ、また脱水素反応によって1−メチルナフタレンに変換される。上記の4種類の1−メチルデカリン異性体は、全て−50℃以下の融点を有し、それ自体流動性があり、また1−メチルデカリンの脱水素体である1−メチルナフタレンは、融点が−22℃であり、水素製造操作条件において流動性がないナフタレンなどの水素供給体に混合し、流動性を付与することができる。
なお、2−メチルデカリン異性体は、その反応生成物である2−メチルナフタレンが常温で固体であるため、ナフタレンの溶解除去に効果を及ぼさない。
本発明で用いる1−メチルデカリン異性体の脱水素体である1−メチルナフタレンは、他の水素供給体(シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、テトラリン等)と比較して、最もナフタレンの溶解力が大きく、ナフタレンの流動性問題を解決することができるので好ましい。
デカリンは、cis−デカリン(融点−43.26℃、沸点195.7℃)とtrans−デカリン(融点−31.16℃、沸点185.5℃)の異性体を有する化合物である。デカリンから脱水素された生成物のナウタレンは、水素製造操作条件において流動性がないが、上記のように1−メチルデカリンの脱水素生成物の1−メチルナフタレンが流動性を有し混合物として用いることにより水素発生量を多くすることができる。
すなわち、共存する1−メチルデカリンは、脱水素され1−メチルナフタレンとなり融点が−22℃と低く、デカリンの脱水素化物である融点が約80℃のナフタレンと混合し、ナフタレンの融点を降下させ溶解し、ナフタレンが反応装置系内に固着しないようにし、また気液分離手段系内や反応物回収手段系内において凝固させないようにする効果もある。
デカリンと1−メチルデカリンとの混合物において、デカリンの含有割合は、1−メチルデカリン100体積部に対して20〜2000体積部、好ましくは50〜500体積部、最も好ましくは80〜120体積部である。20体積部未満であると、1−メチルデカリンの価格は、高価であるので水素供給体はコスト高となり望ましくなく、また2000体積部を超えると、デカリンの脱水素化物であるナフタレンの比率が多くなり過ぎ水素供給体は流動化させることができず、望ましくない。
なお、1−メチルデカリンとデカリンからなる水素供給体には、さらに他の水素化芳香族化合物類の少なくとも1種以上を配合したものを用いることができる。
上記他の水素化芳香族化合物類としては、芳香族化合物の完全もしくは一部水素添加された化合物、またはそのアルキル置換体等が挙げられ、具体的には、炭素数で30程度まで、芳香族環の環数で6環程度までの芳香族化合物の水素添加物であり、環数の化合物として分類すると、単環系化合物、2環の縮合環系化合物、3環の縮合環系化合物、4環以上の縮合環系化合物、非縮合系の多環系化合物等の単環、多環系の芳香族化合物の完全もしくは一部水素添加された化合物、またはそのアルキル置換体等を挙げることができる。
本発明において、他の水素化芳香族化合物類の配合割合は、1−メチルデカリンとデカリンとの混合物100体積部に対して、0.1〜100体積部が好ましく、より好ましくは1〜30体積部である。0.1体積部未満であると、添加の効果がない。100体積部を超えると添加物の方が多くなり、脱水素反応後の生成物が固化してしまい、系内で固着する、あるいは粘性の強い液体となり、触媒反応を阻害する。
3.水素製造方法
本発明の水素製造方法は、水素供給体を収納する原料貯蔵装置と、水素供給体の脱水素を行わせる金属担持触媒を収納した反応装置と、反応装置からの生成物を冷却する凝縮装置と、水素と水素貯蔵体又は水素供給体に分離する気液分離装置からなる一連の装置を用いて行う方法において、脱水素反応を上記の金属担持触媒を用いるところに特徴がある。
上記基本構成からなる装置による水素製造方法を図1に模式的に示す水素製造装置の一例で説明する。水素供給体原料貯蔵器1内の水素供給体11は、配管L1を経てポンプP1で反応装置2に送られ、反応装置2内の金属担持触媒21に向けて供給され、金属担持触媒21の存在下、加熱下に脱水素される。金属担持触媒の加熱は、反応装置外周に設けられた高周波誘導加熱用ループコイル22により所定の温度に加熱される。反応装置2からの生成物は、配管L3を経てポンプP2で凝縮装置4に導入される。凝縮された反応物は、気液分離装置5で水素供給体51に分離され、水素は配管L4を経て回収され、水素供給体は、配管L5を経て回収される。
本発明の方法を原料から水素を得る行程の順にしたがって、以下に詳細に説明する。
本発明の方法において、原料貯蔵器は、タンク状に形成され水素供給体が収納される。原料は、通常加圧され、供給量や供給時間等が制御されて、反応装置に供給される。
反応装置は、原料を触媒に接触させて、脱水素反応を行わせる構成部であり、1段であっても複数段であっても良い。反応装置の形状は、流路を保ちながら金属担持触媒を充填できるものあれば任意の形状でよく、その寸法は使用状態に合わせて適宜選択することができる。反応装置の材質は、石英ガラス、アルミナ、セラミック等の耐熱性の高い絶縁体が用いられるのが好ましい。
金属担持触媒の加熱手段としては、特に限定されないが、高周波誘導加熱による方法が好ましい。
なお、高周波誘導加熱は、電磁誘導コイルに高周波電流を流すことにより発生させた高周波で導電体を誘導加熱するもので、電磁誘導作用により導電体に渦電流が発生し、ジュール熱によって導電体が加熱されるものである。電磁誘導コイルに印加する高周波電流の周波数としては、加熱する導電体とのインピーダンスマッチングにもよるが、一般的には350〜450kHzが使用される。
触媒の温度は、原料の種類により任意に決めることができる。例えば、水素供給体として1−メチルデカリンとデカリンの混合液を用い、脱水素反応により水素と1−メチルナフタレンとナフタレンを生成させる場合は、約250〜450℃に加熱することが好ましく、変換効率を考慮すると、300〜400℃に加熱することがより好ましい。
本発明の装置において凝縮装置は、配管を経て反応装置に接続されている。凝縮装置においては、反応装置から送られてくる生成物を冷却して液化させて水素を分離する。
凝縮装置における冷却は、冷却水により行い、冷却装置としては、らせん状細管、交互冷却パイプ構造等の熱交換器からなる蒸気凝縮部を有し、蒸気凝縮部では、発生した水素と水素貯蔵体又は水素供給体との気液分離を効率的に実現するため、例えば、冷却水温度(例えば5〜20℃)を調節して最適化を図ることが好ましい。
凝縮装置で冷却された反応物は、気液分離装置に送られる。気液分離装置は、凝縮装置の蒸気凝縮部と配管接続されており、蒸気凝縮部で冷却されて液化した脱水素反応物と水素はそれぞれの配管から回収される。
生成した水素は、より高純度が要求される場合は、水素抽出装置を用い、水素抽出装置内に設置された活性炭や水素セパレータ膜からなる水素分離部において、水素に同伴する液滴等を分離し、質量が軽く、また拡散速度が大きい水素ガスのみを分離して精製して供給することができる。
水素抽出装置は、通常、凝縮装置において、接触面積、冷却水温度、発生水素速度等の諸因子を操作することにより、水素の分離・精製を行うことが可能であるため、必ずしも必要とはしないが、より高純度(99.9%以上)の水素の供給が要求される場合には、活性炭や、水素セパレータ膜のシリカ分離膜やパラジウム・銀分離膜等の従来技術を用いて水素の高純度化を行う必要がある。なお、気液分離装置と水素抽出装置との間に、例えば、ガラスウール、ワイヤーメッシュ等を充填した気液分離部を設けて、水素抽出装置への液滴の同伴量を減少させることもできる。
なお、本発明の水素製造装置の基本構成には、各反応装置における脱水素反応の条件を制御する制御手段を含ませることが好ましく、各装置において、熱電対、センサ、ガス流量計等により、配管に設けられたバルブ、ポンプ、ヒーター等を制御できるように構成するのが好ましい。
以下に、本発明の実施の形態で述べた金属担持触媒に関して、実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、金属担持触媒の耐久性は、原料を気化させて、気体で20mL/分で触媒に供給し、350℃で反応を継続し、水素発生量が初期発生量の70%以下に低下するまでの経過時間の長短の経時変化で評価し、次の基準で表した。
高:1000時間を越える
中:100〜1000時間
低:100時間未満
また、金属担持触媒の再活性化の評価方法は、活性低下した触媒での水素発生量と、再活性化処理(触媒部分に酸素あるいは空気を流しながら触媒を加熱し、蓄積物を燃焼除去する)後の触媒での水素発生量を比較し、処理後に水素発生量が増加していれば再活性効果ありとして、可とし、水素発生量が増加していない場合は不可とした。
(実施例1)
(1)触媒の調製
担持体ベース金属材質として、表面にアルミナを0.1mmの膜厚になるように被覆したハニカム密度200meshのステンレスハニカム(直径50mm、長さ40mm)を用い、含浸担持法により、粒径5〜20nmの白金を2g/Lの量となるように担持した。含浸担持は、1.328gの塩化白金酸6水和物を蒸留水200mlに溶かした水溶液に浸漬させて十分に攪拌し、一夜放置させた後、担持体を水溶液の中から取り出し、十分に水洗した後乾燥させて行った。
次に、この乾燥担持体を濃度10%の水素化ホウ素ナトリウムの水溶液500ml中に浸漬して担持金属を還元・活性化させ、さらに水洗・乾燥させて、アルミナ担持体上に5〜20nm粒径の白金金属が担持され、白金担持量2g/Lの白金担持触媒を得た。
(2)水素の製造
図1に示す装置を用い、反応装置に上記で得た触媒担持体(直径50mm、長さ40mm)を充填し、反応温度350℃で、1−メチルデカリン(50重量%)とデカリン(50重量%)の混合液を2mL/分の速度で流し、水素発生を行わせた。さらに、耐久性及び再活性化を評価した。
水素発生速度は、10L/分であった。また、耐久性は中〜高であり、再活性化は可であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
担持体の表面処理剤をアルミナに代えて、主表面処理剤をジルコニア(90wt%)にし、副表面処理材をアルミナ(10wt%)にする以外は実施例1と同様にして触媒を調製し、水素を製造した。結果を表1に示す。
(実施例3)
(1)触媒の調製
担持体ベース金属材質として、主表面処理剤をジルコニア(90wt%)、副表面処理材をアルミナ(10wt%)である処理材を0.1mmの膜厚になるように被覆したハニカム密度200meshのステンレスハニカム(直径50mm、長さ40mm)を用い、1.328gの塩化白金酸6水和物を蒸留水200mlに溶かした水溶液を蒸留水100mlに溶かした水溶液に、浸漬させて十分に攪拌し、一夜放置させた後、担持体を水溶液の中から取り出し、十分に水洗した後乾燥させて一旦、白金を担持させた。次に、0.128g塩化ロジウム3水和物を用い、同様の操作をしてロジウムを担持させた。
次に、この白金、ロジウムを担持した担持体を濃度10%の水素化ホウ素ナトリウムの水溶液500ml中に浸漬して担持金属を還元・活性化させ、さらに水洗・乾燥させて、担持体上に5〜20nm粒径の白金金属及びロジウム金属が担持(白金担持量1.4g/L、ロジウム担持量0.6g/L)された白金−ロジウム担持触媒を得た。
(2)水素の製造
図1に示す装置を用い、反応装置に上記で得た触媒担持体(直径50mm、長さ40mm)を充填し、反応温度350℃で、1−メチルデカリン(50重量%)とデカリン(50重量%)の混合液を2mL/分の速度で流し、水素発生を行わせた。さらに、耐久性及び再活性化を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
(1)触媒の調製
担持体ベース金属材質として、主表面処理剤をジルコニア(90wt%)、副表面処理材をアルミナ(10wt%)である処理材を0.1mmの膜厚になるように被覆したハニカム密度200meshのステンレスハニカム(直径50mm、長さ40mm)を用い、テトラメチルアンモニウムをコロイド化剤として塩化白金酸をコロイド状の塩化白金酸テトラメチルアンモニウム塩にしたコロイド溶液を得、このコロイド溶液に担持体を浸漬させるコロイド法により、粒径約10nmの白金を2g/Lの量となるように担持した。
次に、この白金を担持した担持体を濃度10%の水素化ホウ素ナトリウムの水溶液500ml中に浸漬して担持金属を還元・活性化させ、さらに水洗・乾燥させて、担持体上に約10nm粒径の白金金属が担持量2g/Lに担持された白金担持触媒を得た。
(2)水素の製造
図1に示す装置を用い、反応装置に上記で得た触媒担持体(直径50mm、長さ40mm)を充填し、反応温度350℃で、1−メチルデカリン(50重量%)とデカリン(50重量%)の混合液を2mL/分の速度で流し、水素発生を行わせた。さらに、耐久性及び再活性化を評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
(1)触媒の調製
担持体ベース金属材質として、主表面処理剤をジルコニア(90wt%)、副表面処理材をアルミナ(10wt%)である処理材を0.1mmの膜厚になるように被覆したハニカム密度200meshのステンレスハニカム(直径50mm、長さ40mm)を用い、テトラメチルアンモニウムをコロイド化剤として塩化白金酸をコロイド状の塩化白金酸テトラメチルアンモニウム塩にしたコロイド溶液を得、このコロイド溶液に担持体を浸漬させるコロイド法により、一旦白金を担持させ、さらに、塩化モリブデン酸を用い同様の操作をしてモリブデンを担持させた。
次に、この白金及びモリブデンを担持した担持体を濃度10%の水素化ホウ素ナトリウムの水溶液500ml中に浸漬して担持金属を還元・活性化させ、さらに水洗・乾燥させて、担持体上に約10nm粒径の白金金属及びモリブデン金属が担持(白金担持量1.6g/L、モリブデン担持量0.4g/L)された白金−モリブデン担持触媒を得た。
(2)水素の製造
図1に示す装置を用い、反応装置に上記で得た触媒担持体(直径50mm、長さ40mm)を充填し、反応温度350℃で、1−メチルデカリン(50重量%)とデカリン(50重量%)の混合液を2mL/分の速度で流し、水素発生を行わせた。さらに、耐久性及び再活性化を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
担持体を活性炭にする以外は実施例1と同様にして触媒を調製し、水素を製造した。結果を表1に示す。
(比較例2)
担持体を表面処理を行ってないステンレスハニカムにする以外は実施例1と同様にして触媒を調製し、水素を製造した。結果を表1に示す。
本発明の水素化芳香族化合物からの脱水素反応用触媒は、熱伝導率が向上し、触媒活性の低下を防止した、触媒の再生が可能な金属炭持触媒であるので、水素製造に有効に用いることができ、特に、家庭内の電力の負荷変動に迅速にリスポンスできる燃料電池用に用いることができる。
本発明の水素製造方法の構成を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1 原料貯蔵器
2 反応装置
4 凝縮装置
5 気液分離装置
11 水素貯蔵体、水素供給体
21 金属担持触媒
22 誘導コイル
51 水素供給体、水素貯蔵体
L1、L2、L3、L4、L5 配管
P1、P2 ポンプ

Claims (14)

  1. 芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体の脱水素反応を行う金属担持触媒において、触媒金属を担持させる担持体が、表面を無機材質で表面処理した金属材質であることを特徴とする脱水素反応用触媒。
  2. 金属材質が、ハニカム構造体または多孔質体であることを特徴とする請求項1に記載の脱水素反応用触媒。
  3. 金属材質の表面を処理する無機材質が、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、及びシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の材質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱水素反応用触媒。
  4. 金属材質の表面を処理する無機材質が、アルミナ、ジルコニアから選ばれる少なくとも1種の主材質と、ジルコニア、チタニア、マグネシア、シリカから選ばれる少なくとも1種の副材質とからなる、少なくとも2種類の材質を混合したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱水素反応用触媒。
  5. 金属材質の表面を処理する無機材質中の副材質の割合が5〜50重量%であることを特徴とする請求項4に記載の脱水素反応用触媒。
  6. 金属担持触媒における触媒金属が、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱水素反応用触媒。
  7. 金属担持触媒における触媒金属が、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、レニウムから選ばれる少なくとも1種の主金属と、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、モリブデン、レニウム、タングステン、バナジウム、オスミウム、クロム、コバルト、鉄から選ばれる少なくとも1種の副金属との、少なくとも2種の金属からなることを特徴とする請求項1〜6に記載の脱水素反応用触媒。
  8. 金属担持触媒における触媒金属が、主金属が表面に、副金属が内部に配置された、コア/シェル構造をなしていることを特徴とする請求項7に記載の脱水素反応用触媒。
  9. 金属担持触媒における触媒金属の粒径が、0.5〜20nmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の脱水素反応用触媒。
  10. 金属担持触媒における触媒金属が、あらかじめ金属粒子として成形され、その粒子をコロイド状態にして担持体上に担持させられたものであることを特徴とする請求項1〜9に記載の脱水素反応用触媒。
  11. コロイド状態を形成するためのコロイド化剤が、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項10に記載の脱水素反応用触媒。
  12. 水素供給体が、1−メチルデカリンを含有する芳香族化合物の水素化誘導体であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかの1項に記載の脱水素反応用触媒。
  13. 水素供給体が、1−メチルデカリンとデカリンを含有する芳香族化合物の水素化誘導体であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかの1項に記載の脱水素反応用触媒。
  14. 芳香族化合物の水素化誘導体からなる水素供給体を金属担持触媒の存在下に脱水素反応で水素を製造する方法において、金属担持触媒として、請求項1〜13のいずれか1項に記載の脱水素反応用触媒を用いることを特徴とする水素製造方法。
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