JP2004219948A - 液晶光学素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶光学素子10は、基板12a、電極14a、配向膜16a、液晶層18、配向膜16b、電極14bおよび基板12bがこの順に積層された構成を有するとともに、液晶層18中に構造体20a、20bを含む。構造体20aは、液晶層18の厚みT1と同一の長さL1を有し、1対の配向膜16a、16bに、言いかえれば液晶層保持部に両端が固着される。構造体20bは、液晶層18の厚みT1よりも短い長さL2を有し、1対の配向膜16a、16bのいずれか一方に一端部が固着され、配向膜16a、16bの他の一方と他端部が離間した状態で配設される。構造体20a、20bは、いずれも、側面が平面状または曲面状に形成される。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶光学素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶光学素子は、液晶の旋光性や複屈折現象を利用して光の透過率や反射率を電気的に制御する素子である。
【0003】
このような液晶光学素子の従来例について、図1を参照して説明する。
【0004】
図1に示す液晶光学素子1は、一般的なものであり、基板2a、電極3a、配向膜4a、液晶層5、配向膜4b、電極3bおよび基板2bがこの順に積層された構成を有する。液晶層5は、ネマティック液晶や強誘電性液晶等の液晶材料で形成される。なお、参照符号6は、液晶光学素子1を駆動するための交流電源を示す。
【0005】
液晶光学素子1は、2つの電極3a、3b間に電圧を印加した状態で一方の基板2aから光を入射させると、印加電圧に応じて液晶の配向方向が変化して入力光が液晶層5内で複屈折現象を生じその位相が変化され、他方の基板2baから出射される。なお、光の入出射方向は、図1とは逆方向であってもよい。
【0006】
この出力光を利用すれば光位相変調動作を有する液晶光学素子1を得ることができる。また、液晶光学素子1の両側に偏光子および検光子を配置すれば、光強度変調動作も可能となる。また、液晶駆動用素子1を画素ごとに形成して液晶表示素子(装置)としての液晶光学素子1を得ることができる。
【0007】
このような液晶光学素子に高速応答性を付与するには、液晶材料として強誘電性液晶や反誘電性液晶を用いることが好ましいとされている。
【0008】
しかしながら、強誘電性液晶や反誘電性液晶は、一般に耐衝撃性が小さく、使用温度範囲が狭く、温度依存性が大きい等の実用面での課題が多い。
【0009】
このため、実用的な動作モードとしては、ネマティック液晶モードが用いられている。
【0010】
ところが、通常のネマティック液晶は、応答速度が遅いため、一般的な動画像表示を行うための十分なビデオレートでの光学応答特性を備えていないという問題を抱えている。
【0011】
これに対して、ネマティック液晶で最速の応答性を示す動作モードとしてπセルがある。
【0012】
しかしながら、πセルは、スプレイ配向からベンド配向に転移させる必要があり、かつその転移速度が遅く、また、転移させるには高電圧を印加するための特殊な駆動回路を設ける必要がある等の欠点をもつ。
【0013】
πセルのこれらの欠点を解消することを目的として、液晶材料としてスプレイを表す弾性定数K11およびベンドを表す弾性定数K33の比率であるK33/K11が0.1以上0.9以下の液晶を用い、わずかな捩れを持つ形状を含むベンド形状の液晶分子配向を取らせた液晶光学素子が提案されている。この液晶光学素子によれば、初期配向転移のための特別な駆動回路が不要であり、低い電圧を印加することにより短時間で初期配向が終了するとされている(特許文献1参照。)。
【0014】
【特許文献1】
特開平8−87013号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した低電圧で動作するベンド配向構造の液晶を用いた液晶光学素子は、特定の特性を有する液晶材料を選択して用いることで転移の高速化を図るものであり、前記したπセルの本質的な欠点は残されたままであるといえる。
【0016】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、高速応答性を有する液晶光学素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る液晶光学素子は、1対の基板および該1対の基板の対向する側の面にそれぞれ配設され、表面配向処理を施される1対の電極とを有する液晶層保持部と、該液晶層保持部の間に配設される液晶層とを備える液晶光学素子において、該液晶層に該液晶層の厚み方向に延出する構造体を含み、該構造体は、側面が平面状または延出方向に直交する方向に湾曲する曲面状に形成されるとともに、延出方向の少なくともいずれか一方の端部が該液晶保持部に固着されてなることを特徴とする。
【0018】
これにより、液晶と構造体との接触によって液晶の配向状態をより効果的に規制することができ、高速応答性を有する液晶光学素子を得ることができる。
【0019】
この場合、構造体は、該構造体を介して両側に位置する液晶部分を相互に連通可能とする連通許容構造を有すると、より好適であり、特に、液晶材料を注入して液晶層を形成するときに、液晶構造や厚みの均一な液晶層を容易に得ることができる。
【0020】
また、このとき、前記構造体は、延出方向の一端部が前記液晶保持部から離間した状態で配設されてなると、好適である。
【0021】
また、前記構造体は、複数の筒状物や、延出方向に開口を有する、1または2以上の格子状物で構成されてなると、好適である。
【0022】
また、前記構造体は、前記液晶保持部に平行に周回する、1または2以上の周回壁で構成してもよい。
【0023】
この場合、前記構造体は、側面に該構造体の延出方向に伸びるスリット状の開口が形成されてなると、好適である。
【0024】
また、この場合、前記液晶保持部に平行に周回して前記構造体の1つの仮想閉ループを構成する周回辺単位において、スリット状の開口の開口間隔の総延長距離が、該周回辺単位の全長の1/2以下の長さに形成されてなると、液晶分子と構造体との接触を十分に確保することができ、液晶の配向状態をより効果的に規制することができる。
【0025】
また、この場合、前記液晶層が、ネマティック液晶、コレステリック液晶およびスメクティック液晶からなる群から選ばれる1または2以上の液晶材料で形成されてなると、好適である。
【0026】
このとき、前記液晶材料の広がり弾性定数K11に対する曲げ弾性定数K33の比率(K33/K11)が1.7以下であり、または、前記液晶材料の広がり弾性定数K11が15(単位:pN)以下であると、好適である。
【0027】
また、液晶光学素子の前記1対の基板のうちの少なくとも一方が、ポリカーボネイト樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ガラスおよびシリコンからなる群から選ばれる材料で形成されてなると、好適である。
【0028】
また、前記表面配向処理により1対の配向膜がパラレル配向されてなると、好適である。
【0029】
また、液晶光学素子が位相補償板をさらに備えてなると、高いコントラストおよび広い視野角を有する素子を得ることができる。
【0030】
また、本発明に係る液晶光学素子は、前記1対の電極が、画素ごとに電圧が印加される画素電極であり、前記構造体が、平面視状態において、隣り合う画素電極間の隙間部分に配設されてなることを特徴とする。
【0031】
これにより、従来のツイストネマチック液晶を用いた素子に比べて残像のない滑らかな動画を得ることができる。
【0032】
この場合、前記構造体が、平面視状態において、該画素電極の総面積の60%以下の面積を占める範囲内で1または2以上の該画素電極上に配設されてなると、開口率が損なわれることがなく、高輝度の画像表示を得ることができる。
【0033】
また、本発明に係る液晶光学素子の製造方法は、上記の液晶光学素子の製造方法であって、前記液晶層保持部のいずれか一方の側に、前記液晶材料および反応硬化性高分子材料からなる混合物を塗布する工程と、該反応硬化性高分子材料をパターニング硬化処理して、該反応硬化性高分子材料の硬化物からなる前記構造体を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0034】
これにより、所望の形態の構造体を容易に得ることができる。
【0035】
この場合、前記構造体を形成する工程において、前記液晶材料がネマティック相の温度環境下(ネマティック相となる温度)で硬化処理すると、液晶層をネマティック相で構成することができ、高速動作の可能なπセルを容易に得ることができる。
【0036】
また、この場合、前記反応硬化性高分子材料が、モノマーまたはオリゴマーのうちのいずれか1つまたは双方であると、好適である。
【0037】
このとき、前記モノマーまたはオリゴマーが、アクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、エステルアクリレート系およびウレタンアクリレート系からなる群から選ばれる1または2以上の材料であると、好適である。
【0038】
また、この場合、前記反応硬化性高分子材料の粘度が300(単位:cps)以下であると、所望の形態の構造体を容易に得ることができる。
【0039】
また、この場合、前記塗布する工程において、前記混合物に重合開始剤を添加して用いると、構造体の作製時間を短縮することができる。
【0040】
また、この場合、前記塗布する工程において、前記混合物に染料からなる着色剤を添加して用いると、画像表示動作させるときに、高いコントラストを得ることができる。
【0041】
また、この場合、前記反応硬化性高分子材料が、液晶性材料を主に主鎖に含む主鎖系高分子または該液晶性材料を主に側鎖に含む側鎖系高分子であると、好適である。
【0042】
また、この場合、前記構造体を形成する工程において、前記反応硬化性高分子材料として液晶性材料を含む材料を用い、▲1▼パターニング硬化処理する前に予め、若しくは▲2▼パターニング硬化処理の際に、または▲3▼パターニング硬化処理する前およびパターニング硬化処理の際の双方の時点で前記1対の電極間に電界を印加すると、液晶性材料が液晶材料とともに配向するため、液晶の配向制御をより好適に行うことができる。
【0043】
また、この場合、パターニング硬化処理する前およびパターニング硬化処理の際の双方の時点で前記1対の電極間に電界を印加するときの、パターニング硬化処理する前に予め印加する電界の強度がパターニング硬化処理の際に印加する電界の強度より高いと、所望の配向状態の液晶配向制御を迅速に行うことができる。
【0044】
このとき、パターニング硬化処理する前に予め印加する電界の強度が1(単位:V/μm)以上であり、パターニング硬化処理の際に印加する電界の強度が0.5(単位:V/μm)以下であると、好適である。
【0045】
また、この場合、前記構造体を形成する工程において、光源の光をフォトマスクを通してパターン露光し、または光源の光を微細に走査して描画露光することによりパターニング硬化処理すると、好適である。
【0046】
また、この場合、前記光源が、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプまたはレーザであると、好適である。
【0047】
また、この場合、前記パターン露光または描画露光を行った後、さらに、前記構造体を含む前記液晶層の全体を一様に露光すると、硬化後に残留し得る反応硬化性高分子材料の未硬化分を硬化することができて好適である。
【0048】
また、この場合、前記液晶層の全体を一様に露光する際に、前記1対の電極間に強度が1(単位:V/μm)以上の電界を印加すると、好適である。
【0049】
また、この場合、前記パターン露光または描画露光を行うときの露光面積(SP)、該露光面積を含む前記液晶層の全面積(SD)、塗布される前記反応硬化性高分子材料の質量(WP)および塗布される前記液晶材料の質量(WLC)が以下の式の関係を満足するように調製されると、硬化後の反応硬化性高分子材料の未硬化分の残留量を極力少なくすることができる。
【0050】
(式) SP/SD≧1.5WP/(WP+WLC)
また、この場合、前記反応硬化性高分子材料が、前記構造体を形成した状態において、前記液晶層を構成する液晶分子との接触角が50°以下となる材料で形成されてなると、好適である。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明に係る液晶光学素子およびその製造方法の好適な実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、図を参照して、以下に説明する。
まず、本実施の形態の第1の例に係る液晶光学素子について、図2を参照して説明する。
【0052】
本実施の形態の第1の例に係る液晶光学素子は、基本的な構成は、図1に示した従来の液晶光学素子と同様でであるが、液晶層に、液晶層の厚み方向(図1中、上下方向)に延出する構造体を含む点が従来の液晶光学素子と相違する。
【0053】
すなわち、本実施の形態の第1の例に係る液晶光学素子10は、基板12a、電極14a、配向膜16a、液晶層18、配向膜16b、電極14bおよび基板12bが積層された構成を有するとともに、液晶層18中に構造体20a、20bを含む。ここで、液晶層18を除く、基板12a、電極14a、配向膜16a、液晶層18、配向膜16b、電極14bおよび基板12bは、液晶層保持部を構成する。
【0054】
構造体20aは、液晶層18の厚みT1と同一の長さ(高さ)L1を有し、1対の配向膜16a、16bに、言いかえれば液晶層保持部に両端が固着される。
構造体20bは、液晶層18の厚みT1よりも短い長さL2を有し、1対の配向膜16a、16bのいずれか一方に一端部が固着され、配向膜16a、16bの他の一方と他端部が離間した状態で配設される。構造体は、側面が平面状または液晶相18の厚み方向と直交する方向に湾曲する曲面状の形状を有するものであれば、平面視した状態(液晶相の厚み方向から見た状態)の広がり形状は特に限定するものではない。すなわち、構造体は、構造体20a、20bのように棒状物または板状物であってもよく、あるいはまた、後述する格子状や、筒状の形状であってもよい。なお、例えば液晶光学素子が画像表示機能を有する場合において画素領域に重ならない限り、構造体は円錐状物等であってもよい。構造体は、構造体20aまたは構造体20bのいずれか1つの集合物であってもよく、また、これらの異形の構造体の混成物であってもよい。
【0055】
基板12a、12bは、少なくとも一方が、好ましくは、ポリカーボネイト樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ガラスまたはシリコンのいずれかの材料で形成される。特に、基板12a、12bの双方を薄膜のプラスチック材料で形成すると、液晶光学素子10にフレキシブルな特性を持たせることができて、好適である。
【0056】
電極14a、14bは、ITO等の適宜の透明材料を用いて形成される。
【0057】
配向膜16a、16bは、好ましくは、材料として、例えばポリイミド樹脂、酸化シリコン、ポリビニルアルコール樹脂等を用い、ラビング処理、光配向処理、斜方蒸着等の配向処理法を用いて、パラレル配向、反パラレル配向、ねじれ配向のいずれかに配向処理される。特に、パラレル配向は、流体力学的なフロー効果をもつ高速動作のベンド配向セルを容易に実現できることから好適である。
【0058】
液晶層18は、印加する電圧(電界)に対してその配向状態を変化させる屈折率異方性を有する液晶材料で形成される。液晶層18の液晶分子は、構造体20a、20bの側面との濡れ性によって、少なくとも電極14a、14b間に電圧を印加した状態においては容易にベンド配向をとる。このような液晶材料として、ネマティック液晶、コレステリック液晶またはスメクティック液晶のいずれか、あるいはこれらの液晶の混合物を用いることができる。特に、ネマティック液晶を用いる場合は、広がり弾性係数K11と曲げ弾性係数K33の比K33/K11が1.7以下の値を持つ材料または広がり弾性係数K11が15(単位:pN)以下の値を持つ材料を選択して用いると、低電圧での液晶配向制御が可能であり、高速動作のベンド配向セルを容易に実現できることから好適である。
【0059】
以上説明した、構造体20a、20bを除いた、基板12a、12b等の液晶光学素子10の各部材は、上記の各材料を用いて、定法(通常用いられる方法)により作製することができる。なお、構造体20a、20bに用いる材料および作製方法については、後述する。
【0060】
本実施の形態の第1の例に係る液晶光学素子10は、図2に示すように、基板12aの側から入射した光が基板12bの側から出射する透過型素子である。液晶光学素子10は、参照符号22で示す交流または直流の電源によって電極14a、14b間に電圧を印加することにより、液晶層18の液晶(液晶分子)を駆動制御する。このとき、上記のように、液晶層18の液晶は、配向膜16a、16bがパラレル配向の関係にある場合、液晶層18中の構造体20a、20bにより容易にベンド配向をとるため、低い電圧で駆動して高速応答性を得ることができる。
【0061】
また、液晶光学素子10の両側に偏光子および検光子を設けることにより、光強度変調動作を得ることができる。
【0062】
また、液晶光学素子10にさらに光学的な補償手段である位相補償板を設けることにより、高いコントラストおよび広い視野角を有する素子を得ることができる。
【0063】
また、液晶光学素子10は、製造時に予め構造体20a、20bを作製した後、液晶材料を注入して液晶層を形成する場合、構造体20a、20bを介してそれらの両側に位置する液晶部分が相互に連通可能な構造(連通許容構造)となっているため、液晶材料の均一な注入操作を容易に行うことができる。
【0064】
つぎに、液晶光学素子10の変形例について、図3を参照して説明する。
【0065】
変形例の液晶光学素子10aは、基本的な構成は液晶光学素子10と同じであるため、同一の構成要素については液晶光学素子10と同一の参照符号を付すとともに、構造、材料および作製方法等についての重複する説明を省略し、特徴的な構成要素にについてのみ詳細に説明する。なお、後述する他の例についても同様である。
【0066】
液晶光学素子10aは、基板12aと配向膜16aとの間に設けられる電極14cが、例えばアルミニウム等の反射性を有する金属材料で形成されている点が、液晶光学素子10と相違する。
【0067】
液晶光学素子10aは、反射型の素子であり、基板12bの側から入射した光は、電極14cで反射して再び基板12bの側から出射される。
【0068】
つぎに、液晶光学素子10の構造体の変形例について、図4〜図7を参照して説明する。
【0069】
図4(a)に素子の側面構造を、また、図4(b)に素子の構造体の平面構造をそれぞれ示す液晶光学素子10bは、液晶層18の厚み方向に延出する構造体20cが、延出方向に開口24が形成された格子状物で構成される。構造体20cは液晶層18の全体にわたって形成される1個の格子状物であってもよく、また、複数個の格子状物の集合物であってもよい。構造体20cは、液晶層18に、言いかえれば液晶保持部に平行に周回する周回壁の一態様として周回壁が規則的に整列されたものといってもよい。
【0070】
また、液晶光学素子10bは、図5に示すように、構造体20cの一端部が例えば配向膜16aから離間した構成であってもよく、また、図6に示すように、構造体20cの側面に液晶層18の厚み方向に伸びるスリット状の開口26を形成した構成であってもよい。後者の場合、構造体20cの1つの仮想閉ループ(開口26の無い枠体状の格子)を構成する周回辺単位(図6中、1つの格子を構成する4辺)において、開口26の開口間隔C1および開口間隔C2の総延長距離(C1+C2)が、周回辺単位の全長の1/2以下の長さになるように形成すると、液晶層18の液晶分子と構造体20cの側面との濡れ性をより確実に確保することができ、液晶の配向状態をより効果的に規制することができて好適である。
【0071】
一方、図7に素子の構造体の平面構造を示す液晶光学素子10cは、液晶層18の厚み方向に延出する構造体20dが、延出方向に形成される開口28の形状や大きさがそれぞれて適当な条件で形成された、言いかえれば不定形の筒状物の集合体で構成される。それぞれの構造体20dは相互に固着された形態であってもよく、また、相互に離間して独立した形態であってもよい。構造体20dは、液晶層18に、言いかえれば液晶保持部に平行に周回する周回壁の一態様として周回壁が多数組配列されたものといってもよい。
【0072】
構造体20dは、上記した格子状物の構造体20cの場合と同様に、筒状物の一端部が例えば配向膜16aから離間した構成であってもよく、また、筒状物の側面に液晶層18の厚み方向に伸びるスリット状の開口を形成した構成であってもよい。
【0073】
つぎに、本実施の形態の第2の例に係る液晶光学素子について、図8を参照して説明する。
【0074】
本実施の形態の第2の例に係る液晶光学素子30は、図4の透過型の液晶光学素子10bと略同様の構造を有するが、液晶表示機能を有する素子である点で液晶光学素子10bと相違する。
【0075】
液晶光学素子30において、基板12a、12b上に形成される電極は、画素に対応して形成された画素電極32、34である。この場合、液晶光学素子30が単純駆動方式のときは、それぞれ相互に直交して、離間して配列される複数の電極帯の交差部分が画素電極32、34となる。一方、液晶光学素子30がアクティブ駆動方式のときは、トランジスタに接続される画素電極32が画素単位に複数個設けられるとともに、画素電極34が1個の共通電極として設けられる(図10参照。)。
【0076】
液晶光学素子30は、格子状物で構成される構造体36の各辺が、隣り合う画素電極32間の隙間部分に配設される。言いかえれば、構造体36の各辺は、画素を取り囲むように形成される。
【0077】
上記のように構成される液晶光学素子30は、画素ごとに液晶を駆動することにより、画像を表示することができる。このとき、従来のツイストネマティック液晶を用いた素子に比べて残像のない滑らかな動画を得ることができる。
【0078】
また、液晶光学素子30は、図8(b)中、矢印A1で示す画素の開口部分が構造体36で覆われていないため、開口率が低下することなく、高輝度の画像表示を得ることができる。
【0079】
また、液晶光学素子30は、図9に示すように、構造体36の両側に位置する液晶部分を連通可能な構造に形成し、液晶層18の各領域の液晶部分が遮られることなく連続的につながっているときは、安定でかつ確実な高速応答動作を得ることができる。
【0080】
つぎに、液晶光学素子30の第1の変形例について、図10を参照して説明する。
【0081】
第1の変形例の液晶光学素子30aは、アクティブ駆動方式の反射型素子である。
【0082】
液晶光学素子30aは、配向膜16aが形成される画素電極38が、図示しない反射ミラーを備えている点が液晶光学素子30と相違する。
【0083】
また、液晶光学素子30aは、画素ごとに設けられた画素電極38を駆動するためのトランジスタ40が各画素電極38に接続して設けられる。トランジスタ40は、ソース40a、ドレイン40bおよびゲート40cで構成される。なお、参照符号42は保持容量を、参照符号44は遮光層を、それぞれ示す。トランジスタ40等の駆動部は、画素電極38と、シリコン材料からなる基板46との間に設けられる。なお、共通電極である画素電極48は、ITO材料で形成され、基板12bは、ガラス材料で形成される。
【0084】
液晶光学素子30aは、液晶光学素子30と同様の効果を得ることができる。
【0085】
ここで、液晶光学素子30、30aにおいて、図11(a)、(b)に示すように、スリットを有する格子状物からなる構造体50が、1つの画素A1を1つの格子で囲むように形成してもよく、あるいはまた、図11(c)に示すように、スリットを有する格子状物からなる構造体52が、例えば4つの画素A1を1つの格子で囲むように形成してもよい。なお、構造体50、52は、スリットが形成されていないものであってもよい。
【0086】
つぎに、液晶光学素子30の第2の変形例について、図12を参照して説明する。
【0087】
第2の変形例の液晶光学素子30bは、液晶光学素子30と略同様の構造を有するが、構造体54が、液晶光学素子30と同様の格子状構造54aを骨格構造とするとともに、さらに、画素電極32上、言いかえれば画素領域内にも周回壁54bが形成されている点が液晶光学素子30と相違する。
【0088】
第2の変形例の液晶光学素子30bは、液晶層18の液晶分子と構造体54の側面と接触確率が大きいため、ベンド配向を容易に得ることができる。
【0089】
なお、構造体54の周回壁54bは、平面視状態(図12(b)に示す状態)において、複数の画素電極32の総面積の60%以下の面積を占める範囲内で複数の画素電極32上に形成すると、画素の開口率に大きな影響を及ぼすことがない。
【0090】
つぎに、本実施の形態の第3の例に係る液晶光学素子の製造方法について、図13を参照して説明する。
【0091】
前記したように、本発明の液晶光学素子は、構造体を除いた、基板等の各部材は、前記した各材料を用いて、定法により作製することができる。このため、以下の説明では、構造体に用いる材料および構造体の作製方法について詳述する。
【0092】
本発明の液晶光学素子の構造体は、液晶と一定の濡れ性を有するものであれば、材料の種類を限定するものではなく、適宜の有機材料や、無機材料を用いて作製することができる。また、構造体の作製方法も、特に限定するものではなく、適宜の成膜方法を用いることができる。
【0093】
しかしながら、本発明の液晶光学素子の作用効果をより好適に奏するためには、以下に説明する本実施の形態の第3の例に係る液晶光学素子の製造方法によって本発明の液晶光学素子を作製する。
【0094】
本実施の形態の第3の例に係る液晶光学素子の製造方法では、液晶材料および反応硬化性高分子材料の混合液(混合物)を塗布することで、それぞれ配向膜および電極が設けられた2枚の基板間に配置する。そして、反応硬化性高分子材料を重合、硬化させうる光または電子線を用いて混合液に局所的に照射することで、言いかえると、反応硬化性高分子材料をパターニング硬化処理することで、液晶層中に構造体を形成する。
【0095】
反応硬化性高分子材料は、モノマーまたはオリゴマーのうちのいずれか1つまたは双方の混合物を用いることができる。モノマーまたはオリゴマーは、液晶性を有するものであると、硬化後の構造体中の液晶性モノマー等の配向状態に応じて液晶の配向制御を自在に行うことを可能とし、より好適である。
【0096】
上記のモノマーまたはオリゴマーは、アクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、エステルアクリレート系またはウレタンアクリレート系のうちのいずれかの材料またはこれらの混合材料から適宜選択して用いることができる。
【0097】
また、反応硬化性高分子材料は、粘度が300(単位:cps)以下のものであると、重合反応を高速に行うことができ、未反応の材料を液晶中に残留させることなしに構造体を形成することができるため、所望の構造の構造体を得るうえで好適である。
【0098】
また、反応硬化性高分子材料(正確には混合液)に光源の波長に感度をもつ重合開始剤(光重合開始剤)を添加して用いると、構造体の作製時間を短縮することができる。
【0099】
また、反応硬化性高分子材料に染料や顔料からなる着色剤を添加して用いると、液晶光学素子に画像表示機能を発現させるときに、着色剤が光吸収体として作用することで、光漏れのない、高コントラストの画像表示を得ることができる。
【0100】
また、反応硬化性高分子材料として、液晶性材料を主に主鎖に含む主鎖系高分子または液晶性材料を主に側鎖に含む側鎖系高分子のいずれかあるいはこれらの混合物を用いることができる。例えば、反応硬化性高分子材料が2官能性のアクリレート系材料等の液晶性材料を含む場合、液晶性材料を主に主鎖に含む主鎖型の構造体を得ることができ、また、反応硬化性高分子材料が単官能液晶性モノマー等の液晶性材料を含む場合、液晶性材料を主に側鎖に含む側鎖型の構造体を得ることができる。また、反応硬化性高分子材料が、例えば、単官能性の液晶性モノマー、3官能性モノマーおよび3官能性オリゴマーの混合材料を含む場合は、主鎖および側鎖の配列構造が入り組んだ、複合型の構造体を得ることができる。
【0101】
また、混合液における液晶材料と反応硬化性高分子材料との混合比率は、好ましくは、以下の式を満たすように調製する。
【0102】
すなわち、露光を行うときの露光面積(SP)、露光面積を含む液晶層の全面積(SD)、塗布される反応硬化性高分子材料の質量(WP)および塗布される液晶材料の質量(WLC)が以下の式の関係を満足するように調製する。
【0103】
(式) SP/SD≧1.5WP/(WP+WLC)
ここで、形成される構造体として液晶層の厚みと同一の延出高さを有する周回壁を仮定するとき、露光面積(SP)は構造体の体積と略比例し、一方、全面積(SD)は構造体を含む液晶層の全体積と略比例する。
【0104】
したがって、上式は、端的にいえば、所定の体積の構造体を作製するときの構造体の質量を所定の値以下に調製することを意味する。式中、係数の1.5は、液晶材料および反応硬化性高分子材料の比重を勘案するとともに、構造体作製時の質量比の自由度を見込んだ値であり、構造体の作製を容易に行うことができる。
【0105】
上記の式を満たすように液晶材料および反応硬化性高分子材料の関係を調製することで、反応硬化性高分子材料を硬化させたときに残留しうる未硬化の反応硬化性高分子材料の残留量を極力少なくすることができる。
【0106】
また、反応硬化性高分子材料として、構造体を形成した状態において、液晶層を構成する液晶分子との接触角が50°以下となる材料を選択して用いると、構造体の面に対して液晶が容易に配列するため、液晶のベンド配向状態をより容易に得ることができる。
【0107】
照射する光または電子線を生成する光源は、反応硬化性高分子材料を硬化させることができる波長成分をもつ、高圧水銀ランプ、キセノンランプまたはメタルハライドランプ等の高輝度ランプや、ハロゲンランプ等の白熱電球、あるいはまたレーザ(レーザ光源)を好適に用いることができる。
【0108】
そして、所定の構造の構造体を得るために、好ましくは、これらの光源の光(光束)をフォトマスクを通して一様にパターン露光し(図13参照。)、あるいはまた、光源の光(光線)を微細に走査して描画露光する。
【0109】
これにより、所望の構造の構造体を容易に得ることができる。
【0110】
このとき、さらに、露光後、一様な光束を液晶光学素子の全面に照射して、構造体を含む液晶層全体を一様に露光すると、未反応の反応硬化性高分子材料を硬化することができて、好適である。
【0111】
また、液晶材料がネマティック相の温度環境下で反応硬化性高分子材料を重合、硬化処理することにより、液晶層をネマティック相で構成することができ、高速動作の可能なπセルを容易に得ることができる。
【0112】
光等を照射して構造体を形成する工程において、液晶材料および反応硬化性高分子材料の混合液に電界を印加すると、構造体による配向規制力が液晶に加わり、電界による液晶の配向制御を行うことができ、より好適である。
【0113】
例えば、液晶性モノマーを含む反応硬化性高分子材料とネマティック液晶からなる液晶材料との混合液を用いて塗布膜を形成し、塗布膜に電界を印加すると、液晶性モノマーは、電界強度に応じて、ネマティック液晶の空間的な配向状態と同様な配向状態で硬化する。これにより、ゲスト−ホスト効果を得ることができる。
【0114】
また、例えば、正の誘電率をもつ、液晶性モノマー56を含む反応硬化性高分子材料およびネマティック液晶58からなる液晶材料の混合液を用いて、図13に示すように、電源60により電極14a、14b間に印加される高電界下、フォトマスク62を介して紫外線を照射することにより、液晶性モノマー56が液晶層18の厚み方向に立った状態で並んだ構造体63を得ることができる。これにより、ゲスト−ホスト効果を得ることができる。
【0115】
混合液に電界を印加する時期と、混合液に光等を照射する時期との関係は、以下のような種々の組合せとすることができる。
【0116】
例えば、予め電界を印加した後に、電界を解除した状態で反応硬化性高分子材料を硬化(パターニング硬化処理)することができる。この場合、電界をオンからオフする間に変化する遷移状態の任意の配向状態で液晶(液晶分子)が安定化することができる。また、反応硬化性高分子材料を硬化するときに同時に電界を印加してもよい。この場合、電界強度に応じて液晶の配向状態を精度良く制御することができる。また、反応硬化性高分子材料を硬化する前から硬化が完了するまでの間、連続して電界を印加してもよい。この場合、高速に液晶の配向状態を変化させ、かつ、安定化させることができる。例えば、パラレル配向セルで本発明を適用すれば、液晶をスプレイ配向からベンド配向に硬化前に予め転移させることができ、かつ、硬化中の電界強度に応じてベンド配向状態での安定化程度を制御することができる。
【0117】
また、反応硬化性高分子材料を硬化する前から硬化が完了するまでの間、連続して電界を印加するときは、硬化前に印加する電界の強度が硬化の際に印加する電界の強度より高いように調製するとより好ましく、例えば、前者の電界の強度を1(単位:V/μm)以上とし、後者の電界の強度を0.5(単位:V/μm)以下とすると、好適である。
【0118】
また、必要に応じて、硬化後さらに液晶層の全体を一様に露光するとより好ましく、この場合、さらに強度が1(単位:V/μm)以上の電界を印加すると、より好適である。これにより、液晶層中に残り得る反応硬化性高分子材料の未硬化(未反応)の液晶性モノマー等を確実に硬化させることができる。
【0119】
【実施例】
実施例を挙げて、本発明をさらに説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
(第1実施例)
先に図4に示した透過型の液晶光学素子を以下のように作製した。
【0120】
1対の透明電極付きガラス基板を用意した。このとき、片側のガラス基板には予め、高さが8μm、格子を形成する4辺の周回壁の厚み(平面視したときの周回壁の幅)が約20μm、1つの格子の各辺の長さ、言いかえれば格子間隔が約500μmの格子状物からなる構造体を形成しておいた。構造体の周回壁には、径が約2μmの微小な孔を貫通形成した。
【0121】
1対のガラス基板のそれぞれにポリイミド膜をコーティングした後、ラビング処理し、ポリイミド膜からなる1対の配向膜をパラレル配向状態に配置した。配向膜は、プレティルト角約7°を使用した。セルギャップは、径が約8μmの球状のプラスチックスペーサをガラス基板の周縁部に配置することにより制御し、1対のガラス基板を張り合わせたときのガラス基板間の間隔を均一に調整した。
【0122】
ついで、真空(大気圧以下の低い圧力)中で、セルギャップにネマティック液晶を注入し、πセルを作製した。ネマティック液晶は、広がり弾性係数および曲がり弾性係数がいずれも14pNで粘度が30cpsの材料を用いた。
【0123】
得られた液晶光学素子は、電界を印加しない初期状態において、液晶相の液晶が略安定してベンド配向したものが得られた。すなわち、作製した液晶光学素子の数枚のうち殆どにおいて、液晶はベンド配向していた。一部の液晶光学素子について液晶のスプレイ配向状態が観察されたが、5Vの電圧を印加して10s(秒)ほど保持したところ、ベンド配向に安定化し、電源を切った状態でもベンド配向が保たれた。この液晶光学素子は、電源を切った状態で1ヶ月間以上経過したときでも、ベンド配向からスプレイ配向への逆転移は全く生じなかった。
【0124】
液晶光学素子の応答速度を測定した結果、立ち上がり時間0.5ms、立下り時間2msの高速動作を確認した。
(第2実施例)
先に図11に示した、スリットが形成された格子状物の1つの格子が4画素を囲う構造体を有し、画像表示機能を備えた第2実施例の液晶光学素子を、基本的に第1実施例と同様の方法により作製した。1画素のサイズは200μm×300μmであり、格子を構成する周回壁の厚みは10μmである。なお、第2実施例の構造体には、第1実施例のような微小な孔は形成していない。
【0125】
液晶を注入して液晶層を形成するとき、構造体のスリットを介して液晶を均一に注入することができた。
【0126】
得られた液晶光学素子は、第1実施例のものと同様の高速応答特性が得られた。また、電圧を印加していない状態においても、安定なベンド配向を実現することができた。また、画素ごとに液晶を駆動して画像表示したところ、従来のツイストネマティック液晶を用いた素子に比べて、残像の残らない滑らかな動画表示が確認できた。
(第3実施例)
第1実施例の液晶光学素子の1対のガラス基板を厚みが100μmのポリカーボネート樹脂製の基板に変えた第3実施例の液晶光学素子を作製した。
【0127】
また、第3実施例の液晶光学素子は、第1実施例の構造体のような微小な孔を形成せず、印刷法によりネマティック液晶を塗布して液晶層を形成した。印刷法は、フレキソ法、活版(凸版)印刷、オフセット(平板)印刷、グラビア(凹版)印刷のいずれの方式も適用することができた。
【0128】
得られた液晶光学素子は、第1実施例のものと同様の高速応答特性が得られた。また、この第3実施例の液晶光学素子は、丸めたり、巻き取ったりした後で再び広げても、安定な高速動作を示した。
(第4実施例)
先に図10に示した、アクティブ駆動方式の液晶光学素子を、第1実施例と同様の方法により作製した。この第4実施例の反射型の液晶光学素子は、一般にLCOS(Liquid Crystal on Silicon)と呼ばれる高精細表示素子である。
【0129】
第4実施例の反射型の液晶光学素子は、隣り合う画素の配列ピッチを10μmに、画素間の隙間間隔、言いかえれば構造体の周回壁の厚みを0.5μmに、それぞれ形成した。また、素子が反射型であるため、セルギャップおよび構造体の高さを第1実施例のものの半分の4μmに調製した。液晶光学素子の画素数は、1080×1980である。
【0130】
第4実施例の液晶光学素子は、第1実施例のものと同様の高速応答特性およびベンド配向の安定性が確認できた。特に、応答特性は、立ち上がり時間が0.2ms、立下り時間が0.9msであり、第1実施例より良好であった。
【0131】
また、第4実施例の液晶光学素子を3枚用いてフルカラープロジェクタシステムを構成したところ、良好な動画特性を得ることができた。また、1フィールド内でRGBの3原色を順次切り換えてカラー表示を行う、カラーフィルタを用いないフィールド順次法による画像表示動作を行ったところ、良好なカラー動画画像表示を確認した。
(第5実施例)
第1実施例の液晶光学素子の液晶層を、ネマティック液晶に変えて強誘電性液晶を用いて形成した第5実施例の第1例の液晶光学素子を作製した。また、第1例の液晶光学素子の1対の配向膜は、パラレル配向に変えて反パラレル配向とした。
【0132】
得られた第1例の液晶光学素子は、100μs以下の高速動作が確認できた。
また、液晶光学素子に衝撃を与えても安定な動作が得られ、10〜70℃の間の温度変化を与えた後でも、室温時において液晶の配向が乱されることがなく、安定な動作が得られた。
【0133】
また、第2実施例の液晶光学素子の液晶層を、ネマティック液晶に変えて強誘電性絵基液晶を用いて形成した第5実施例の第2例の液晶光学素子を作製した。
得られた第2例の液晶光学素子についても上記第1例の液晶光学素子と同様の特性が確認できた。また、第2例の液晶光学素子は、曲げたり、落下させて衝撃を与えた後でも、液晶の配向が安定していることが確認できた。
(第6実施例)
先に図4に示した液晶光学素子を本発明の製造方法を用いて以下のように作製した。
【0134】
1対の透明電極付きガラス基板を用意し、ガラス基板のそれぞれにポリイミド膜をコーティングした後、ラビング処理し、ポリイミド膜からなる1対の配向膜をパラレル配向状態に配置した。配向膜は、プレティルト角約7°を使用した。
セルギャップは、径が約8μmの球状のプラスチックスペーサをガラス基板の周縁部に配置することにより制御し、1対のガラス基板を張り合わせたときのガラス基板間の間隔を均一に調整した。
【0135】
ついで、セルギャップにネマティック液晶および液晶性モノマーを主成分とする反応硬化性高分子材料からなる混合液を注入した。ネマティック液晶は、広がり弾性係数および曲がり弾性係数がいずれも14pNで粘度が30cpsの材料を用いた。また、液晶性モノマーは、粘度が40cpsの単官能性アクリル系材料を用いた。
【0136】
1つの格子の1辺の長さが500μmで格子(の壁)の幅が20μmのフォトマスクを通して、波長365nmの紫外線を液晶セルに局部的に照射して、重合相分離を行った。これにより、図14(a)に示すように、フォトマククの形状に応じた構造体64が、液晶層18から分離、独立した状態に形成された。
【0137】
このとき、ネマティック液晶58と反応硬化性高分子材料との配合比は、露光を行うときの露光面積(SP)、露光面積を含む液晶層の全面積(SD)、塗布される反応硬化性高分子材料の質量(WP)および塗布される液晶材料の質量(WLC)が以下の式の関係を満足するように調製した。
【0138】
(式) SP/SD≧1.5WP/(WP+WLC)
具体的には、反応硬化性高分子材料の全材料に対する質量配合比率を、上式を満たすように、1〜11.5%の間で種々調製して液晶光学素子を作製したところ、いずれも、液晶層(液晶)から完全に分離した綺麗な格子状の構造体を形成することができた。なお、参考例として、反応硬化性高分子材料の全材料に対する質量配合比率を15%以上にして液晶光学素子を作製したところ、未反応の液晶性モノマーが大量に液晶層中に残留していることが認められた。この液晶光学素子をさらに一様に露光した結果、液晶層中に不定形の高分子が析出した。
【0139】
得られた第6実施例の液晶光学素子の構造体64は、液晶性モノマー64aが基板12a、12b面に対して平行に均一に配列された、スプレイ配向の状態で硬化していた。
【0140】
第6実施例の液晶光学素子を光変調動作させたところ、液晶層の液晶は、電圧を印加していないときには、図14(a)に示すように、安定なスプレイ状態を保持していたが、電源66より3.5Vの電圧を印加して動作させると、図14(b)に示すように、容易にベンド配向に転移されるのが確認された。また、5Vのパルス電圧を印加して動作させると、5ms以下の高速動作が確認でき、液晶光学素子が双安定素子に応用可能であることが分かった。
(第7実施例)
前記した第6実施例の液晶光学素子と基本的に同一の構造を有する素子を、製造方法を第6実施例の場合とは一部変えて、以下のように作製した。
【0141】
光等を照射して重合相分離を行う前に、予め液晶セルに電圧を印加して液晶をスプレイ配向からベンド配向に転移させた。転移に要する時間は、印加する電圧により大きく異なるが、電圧が20Vのときで1秒(s)以下、電圧が5Vのときで60秒であった。また、転移に要する時間は、配向膜のプレティルト角によっても異なり、プレティルト角を先の7°から10°に変えることにより、5Vの印加電圧でも10秒以下の時間で高速に転移した。一方、プレティルト角を2°に変えると、20Vの印加電圧でも、転移を完了するのに120秒以上の時間を要した。
【0142】
ベンド転移後、直ちに印加電圧を転移電圧近傍まで下げて一定電圧とした後、波長365nmの紫外線を、格子状のフォとマスクを通して液晶セルに局部的に照射した。なお、液晶セルの転移電圧は、プレティルト角が2°、7°、9°のときに、それぞれ4V、1.7V、0.7Vであることを予め実験により見出した。
【0143】
得られた第7実施例の各液晶光学素子は、いずれも、構造体の液晶性モノマーがベンド配向状態で硬化されているのが確認された。
【0144】
また、各液晶光学素子の光変調動作を測定したところ、液晶の配向状態は、いずれも、初期状態より略ベンド状態で安定していた。また、一部の液晶光学素子で初期状態においてスプレイ配向状態が観察されたが、5Vの印加電圧で10秒ほど保持したところ、ベンド配向に安定化し、電圧を解除した後もベンド状態が保持された。さらに、この液晶光学素子では、1ヶ月以上の長時間、電圧を印加していない状態でも、ベンド配向からスプレイ配向への逆転移は全く生じなかった。
【0145】
各液晶光学素子の応答速度を測定したところ、立ち上がり時間が0.5ms、立下り時間が2msの高速動作が確認でき、テレビ用途の動画表示素子に適していることが分かった。
【0146】
従来のπセルでは、電圧を印加していない初期状態では液晶はスプレイ配向しており、高電圧を印加して液晶をベンド配向に転移させることが必要であったが、第7実施例の液晶光学素子では、初期状態において安定なベンド配向が得られているため、0Vからの変調動作が可能である。
【0147】
また、第7実施例の液晶光学素子は、構造体が、空間的に、液晶層と確実に分離して形成されているため、液晶と、高い透過特性を有する構造体との間の屈折率不整合による散乱を生じることがなく、高いコントラストが得られる。
【0148】
また、トランジスタとして薄膜トランジスタを用いるとき、液晶層に未反応の液晶性モノマーが残留していると、電圧保持率の低下等の問題を生じることが予測されるが、第7実施例の液晶光学素子では、95%以上の高い電圧保持率が得られ、十分に実用性を有することが確認できた。このとき、硬化後にさらに一様に露光を行った液晶光学素子は、電圧保持率を99%以上に高めることができた。この99%以上の電圧保持率を有する液晶光学素子は、透過率、コントラスト、応答速度等の画像表示特性の劣化が全く見られなかった。
(第8実施例)
上記の第6実施例および第7実施例では、反応硬化性高分子材料の主成分としていずれも液晶性モノマーを用いたが、第8実施例では、液晶性モノマーに変えて、配向性のない高分子材料である反応硬化性アクリル樹脂を用いた。第8実施例の液晶光学素子の基本的な作製方法は、第6実施例および第7実施例のものと同様である。
【0149】
第8実施例の第1例として、第6実施例や第7実施例のように素子を作製する際に反応硬化性高分子材料に対して電界を印加して配向制御することなく、硬化のみを行った。
【0150】
反応硬化性アクリル樹脂は、ノーランド社のNOA72、あるいは日本化薬社の2官能性モノマーKAYARAD R−684(KAYARADは登録商標)の低粘度(175cps程度)品を用いた。
【0151】
得られた第1例の液晶光学素子は、初期状態ではスプレイ配向していたが、5Vの電圧を印加したところ、直ちにベンド配向に転移し、その後、電圧を解除してもスプレイ配向状態に戻ることはなかった。このベンド配向は、繰り返し動作させても、また、1ヶ月の長時間のオフ状態でも転移することはなかった。
【0152】
一方、第8実施例の第2例として、第1例と同様に反応硬化性高分子材料の主成分として反応硬化性アクリル樹脂を用いるとともに、第6実施例等と同様に素子を作製する際に反応硬化性高分子材料に対して、電界を印加して配向制御しながら硬化を行った。
【0153】
得られた第2例の液晶光学素子は、第7実施例と同様の液晶配向状態および動作特性が得られた。
【0154】
ここで、第8実施例の第2例の液晶光学素子について、反応硬化性アクリル樹脂の粘度を40〜2000cpsの範囲内で変えて素子を作製して、粘度の影響を検討した。
【0155】
反応硬化性アクリル樹脂は、ノーランド社のNOA65、あるいは日本化薬社の2官能性モノマーKAYARAD R−167を用いた。
【0156】
粘度が250cps以下の場合、得られた液晶光学素子は均一で綺麗な格子状の構造体が得られた。これに対して、粘度が300cps以上の場合、得られた液晶光学素子は格子形状の不均一な構造体が得られ、また、液晶層中に反応硬化性アクリル樹脂のモノマーが残留していることが観測された。また、この場合、粘度が高いほどこの不具合な現象が顕著であった。
【0157】
また、第2例の液晶光学素子について、上記した粘度の異なる反応硬化性アクリル樹脂を用いる変わりに、重合相分離の際に液晶セルの温度を10〜90℃の範囲内で変化させることにより反応硬化性アクリル樹脂の粘度を変化させて素子を作製して、評価した。
【0158】
得られた液晶光学素子は、液晶セルの温度を高くして作製したものほど綺麗な格子状の構造体が得られた。但し、液晶セルの温度を液晶と反応硬化性アクリル樹脂モノマーの混合液が等方相となる80℃以上にしたものについては、格子形状の不均一な構造体が得られた。また、電界を印加して液晶の配向制御を行って硬化する場合においても、例えば、65℃のネマティック相で2Vの電圧を加えて反応硬化性アクリル樹脂を硬化したとき、均一な構造体が得られ、かつ、安定な液晶配向をえることができた。また、粘度の高い反応硬化性アクリル樹脂を用いた場合でも、液晶セルの温度を高くすることにより、構造体の格子形状が均一化する傾向が見られ、例えば、粘度が1000cpsの反応硬化性アクリル樹脂を用い、液晶セルの温度を60℃にして作製した液晶光学素子について、均一な格子状の構造体が得られた。
(第9実施例)
前記した第7実施例の液晶光学素子と基本的に同一の構造を有する素子を、製造方法を第7実施例の場合とは一部変えて、以下のように作製した。
【0159】
第7実施例では1対の基板はいずれもガラス材料を用いたが、第9実施例では一方の基板をシリコン材料で形成した。言いかえれば、第9実施例の液晶光学素子は、第4実施例の反射型の素子と基本的に同一の構造を有する素子を、本発明の製造方法の一態様により作製したものである。
【0160】
紫外線照射はガラス基板の側から行った。このとき、用いるフォトマスクは、アライナーにより精密にシリコン基板の画素構造と合致させて光を照射し、シリコン基板の画素ピッチおよび画素間隔と同一の構造を形成した。紫外線照射時、投射レンズを用いてフォトマスクと液晶セルとの間にマスク像を結像させることで、マスク形状のボケのない均一な格子形状の構造体を形成することができた。
一方、He−Cd視外線レーザの光線を照射するレーザ描画法を用いた場合も、マスク形状のボケのない均一な格子形状の構造体を形成することができた。
【0161】
得られた第9実施例の液晶光学素子は、第4実施例および第7実施例の液晶光学素子と同様の特性が得られた。
【0162】
【発明の効果】
本発明に係る液晶光学素子によれば、1対の基板および1対の基板の対向する側の面にそれぞれ配設され、表面配向処理を施される1対の電極とを有する液晶層保持部と、液晶層保持部の間に配設される液晶層とを備える液晶光学素子において、液晶層に液晶層の厚み方向に延出する構造体を含み、構造体は、側面が平面状または延出方向に直交する方向に湾曲する曲面状に形成されるとともに、延出方向の少なくともいずれか一方の端部が該液晶保持部に固着されてなるため、高速応答性を有する液晶光学素子を得ることができる。
【0163】
また、本発明に係る液晶光学素子によれば、液晶光学素子が位相補償板をさらに備えてなるため、高いコントラストおよび広い視野角を有する素子を得ることができる。
【0164】
また、本発明に係る液晶光学素子によれば、1対の電極が、画素ごとに電圧が印加される画素電極であり、構造体が、平面視状態において、隣り合う画素電極間の隙間部分に配設されてなるため、従来のツイストネマチック液晶を用いた素子に比べて残像のない滑らかな動画を得ることができる。
【0165】
また、本発明に係る液晶光学素子の製造方法によれば、上記の液晶光学素子の製造方法であって、液晶層保持部のいずれか一方の側に、液晶材料および反応硬化性高分子材料からなる混合物を塗布する工程と、反応硬化性高分子材料をパターニング硬化処理して、反応硬化性高分子材料の硬化物からなる前記構造体を形成する工程とを有するため、所望の形態の構造体を容易に得ることができる。
【0166】
また、本発明に係る液晶光学素子の製造方法によれば、構造体を形成する工程において、反応硬化性高分子材料として液晶性材料を含む材料を用い、パターニング硬化処理する前に予め、若しくはパターニング硬化処理の際に、またはパターニング硬化処理する前およびパターニング硬化処理の際の双方の時点で1対の電極間に電界を印加するため、液晶の配向制御をより好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の液晶光学素子の概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態の第1の例に係る液晶光学素子の概略構成を示す図である。
【図3】図2の液晶光学素子の変形例の概略構成を示す図である。
【図4】図2の液晶光学素子の構造体の変形例の概略構成を示す図であり、(a)は液晶光学素子の側面構造を、(b)は液晶光学素子の構造体の平面構造を、それぞれ示す。
【図5】図2の液晶光学素子の構造体の図4とは異なる変形例の概略側面構造を示す図である。
【図6】図2の液晶光学素子の構造体の図4、図5とは異なる変形例の概略側面構造を示す図である。
【図7】図2の液晶光学素子の構造体の図4〜図6とは異なる変形例の概略平面構造を示す図である。
【図8】本実施の形態の第2の例に係る液晶光学素子の概略構成を示す図であり、(a)は液晶光学素子の側面構造を、(b)は液晶光学素子の構造体の平面構造を、それぞれ示す。
【図9】図8の液晶光学素子の構造体の一態様の概略側面構造を示す図である。
【図10】図8の液晶光学素子の第1の変形例の概略側面構造を示す図である。
【図11】図10の液晶光学素子の構造体の3つの変形例の概略平面構造を示す図である。
【図12】図8の液晶光学素子の第2の変形例の概略構成を示す図であり、(a)は液晶光学素子の側面構造を、(b)は液晶光学素子の構造体の平面構造を、それぞれ示す。
【図13】本実施の形態の第3の例に係る液晶光学素子の製造方法を説明するためのものであり、(a)は紫外線照射中の液晶光学素子材料の概略側面構造を、(b)は得られた液晶光学素子の概略側面構造を、それぞれ示す。
【図14】第6実施例の液晶光学素子の動作状態を説明するためのものであり、(a)は電圧を印加していない初期状態の液晶光学素子材料の概略側面構造を、(b)は電圧印加中の液晶光学素子の概略側面構造を、それぞれ示す。
【符号の説明】
10、10a、10b、30、30a、30b 液晶光学素子
12a、12b、46 基板
14a、14b、14c 電極
16a、16b 配向膜
18 液晶層
18、配向膜
20a、20b、20c、20d、36、50、52、54、63、64 構造体
32、34、38、48 画素電極
40 トランジスタ
54a 格子状構造
54b 周回壁
56、64a 液晶性モノマー
58 ネマティック液晶
62 フォトマスク
Claims (33)
- 1対の基板および該1対の基板の対向する側の面にそれぞれ配設され、表面配向処理を施される1対の電極とを有する液晶層保持部と、該液晶層保持部の間に配設される液晶層とを備える液晶光学素子において、
該液晶層に該液晶層の厚み方向に延出する構造体を含み、
該構造体は、側面が平面状または延出方向に直交する方向に湾曲する曲面状に形成されるとともに、延出方向の少なくともいずれか一方の端部が該液晶保持部に固着されてなることを特徴とする液晶光学素子。 - 前記構造体は、該構造体を介して両側に位置する液晶部分を相互に連通可能とする連通許容構造を有することを特徴とする請求項1記載の液晶光学素子。
- 前記構造体は、延出方向の一端部が前記液晶保持部から離間した状態で配設されてなることを特徴とする請求項1記載の液晶光学素子。
- 前記構造体は、複数の筒状物で構成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
- 前記構造体は、延出方向に開口を有する、1または2以上の格子状物で構成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
- 前記構造体は、前記液晶保持部に平行に周回する、1または2以上の周回壁で構成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
- 前記構造体は、側面に該構造体の延出方向に伸びるスリット状の開口が形成されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
- 前記液晶保持部に平行に周回して前記構造体の1つの仮想閉ループを構成する周回辺単位において、スリット状の開口の開口間隔の総延長距離が、該周回辺単位の全長の1/2以下の長さに形成されてなることを特徴とする請求項7記載の液晶光学素子。
- 前記液晶層が、ネマティック液晶、コレステリック液晶およびスメクティック液晶からなる群から選ばれる1または2以上の液晶材料で形成されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
- 前記液晶材料の広がり弾性定数K11に対する曲げ弾性定数K33の比率が1.7以下であることを特徴とする請求項9記載の液晶光学素子。
- 前記液晶材料の広がり弾性定数K11が15(単位:pN)以下であることを特徴とする請求項9または10記載の液晶光学素子。
- 前記1対の基板のうちの少なくとも一方が、ポリカーボネイト樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂、アクリル系紫外線硬化型樹脂、ガラスおよびシリコンからなる群から選ばれる材料で形成されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
- 前記表面配向処理により1対の配向膜がパラレル配向されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
- 位相補償板をさらに備えてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶光学素子。
- 前記1対の電極が、画素ごとに電圧が印加される画素電極であり、
前記構造体が、平面視状態において、隣り合う画素電極間の隙間部分に配設されてなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の液晶光学素子。 - 前記1対の電極が、画素ごとに電圧が印加される画素電極であり、
前記構造体が、平面視状態において、該画素電極の総面積の60%以下の面積を占める範囲内で1または2以上の該画素電極上に配設されてなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の液晶光学素子。 - 請求項1〜16のいずれか1項に記載の液晶光学素子の製造方法であって、
前記液晶層保持部のいずれか一方の側に、前記液晶材料および反応硬化性高分子材料からなる混合物を塗布する工程と、
該反応硬化性高分子材料をパターニング硬化処理して、該反応硬化性高分子材料の硬化物からなる前記構造体を形成する工程とを有することを特徴とする液晶光学素子の製造方法。 - 前記構造体を形成する工程において、前記液晶材料がネマティック相の温度環境下で硬化処理することを特徴とする請求項17記載の液晶光学素子の製造方法。
- 前記反応硬化性高分子材料が、モノマーまたはオリゴマーのうちのいずれか1つまたは双方であることを特徴とする請求項17または18記載の液晶光学素子の製造方法。
- 前記モノマーまたはオリゴマーが、アクリレート系、エポキシ系、エポキシアクリレート系、エステルアクリレート系およびウレタンアクリレート系からなる群から選ばれる1または2以上の材料であることを特徴とする請求項19記載の液晶光学素子の製造方法。
- 前記反応硬化性高分子材料の粘度が300(単位:cps)以下であることを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項に記載の液晶光学素子の製造方法。
- 前記塗布する工程において、前記混合物に重合開始剤を添加して用いることを特徴とする請求項17〜21のいずれか1項に記載の液晶光学素子の製造方法。
- 前記塗布する工程において、前記混合物に染料からなる着色剤を添加して用いることを特徴とする請求項17〜22のいずれか1項に記載の液晶光学素子の製造方法。
- 前記反応硬化性高分子材料が、液晶性材料を主に主鎖に含む主鎖系高分子または該液晶性材料を主に側鎖に含む側鎖系高分子であることを特徴とする請求項17〜23のいずれか1項に記載の液晶光学素子の製造方法。
- 前記構造体を形成する工程において、前記反応硬化性高分子材料として液晶性材料を含む材料を用い、パターニング硬化処理する前に予め、若しくはパターニング硬化処理の際に、またはパターニング硬化処理する前およびパターニング硬化処理の際の双方の時点で前記1対の電極間に電界を印加することを特徴とする請求項17〜24のいずれか1項に記載の液晶光学素子の製造方法。
- パターニング硬化処理する前およびパターニング硬化処理の際の双方の時点で前記1対の電極間に電界を印加するときの、パターニング硬化処理する前に予め印加する電界の強度がパターニング硬化処理の際に印加する電界の強度より高いことを特徴とする請求項25記載の液晶光学素子の製造方法。
- パターニング硬化処理する前に予め印加する電界の強度が1(単位:V/μm)以上であり、パターニング硬化処理の際に印加する電界の強度が0.5(単位:V/μm)以下であることを特徴とする請求項26記載の液晶光学素子の製造方法。
- 前記構造体を形成する工程において、光源の光をフォトマスクを通してパターン露光し、または光源の光を微細に走査して描画露光することによりパターニング硬化処理することを特徴とする請求項17〜27のいずれか1項に記載の液晶光学素子の製造方法。
- 前記光源が、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプまたはレーザであることを特徴とする請求項28記載の液晶光学素子の製造方法。
- 前記パターン露光または描画露光を行った後、さらに、前記構造体を含む前記液晶層の全体を一様に露光することを特徴とする請求項28または29記載の液晶光学素子の製造方法。
- 前記液晶層の全体を一様に露光する際に、前記1対の電極間に強度が1(単位:V/μm)以上の電界を印加することを特徴とする請求項30記載の液晶光学素子の製造方法。
- 前記パターン露光または描画露光を行うときの露光面積(SP)、該露光面積を含む前記液晶層の全面積(SD)、塗布される前記反応硬化性高分子材料の質量(WP)および塗布される前記液晶材料の質量(WLC)が以下の式の関係を満足するように調製されることを特徴とする請求項28〜31のいずれか1項に記載の液晶光学素子の製造方法。
(式) SP/SD≧1.5WP/(WP+WLC) - 前記反応硬化性高分子材料が、前記構造体を形成した状態において、前記液晶層を構成する液晶分子との接触角が50°以下となる材料で形成されてなることを特徴とする請求項17〜32のいずれか1項に記載の液晶光学素子の製造方法。
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