JP2004212823A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】像担持体と、該像担持体を帯電する帯電装置と、帯電された像担持体を露光して該像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像をトナー像として可視像化する現像装置と、該トナー像を転写材に転写する転写装置と、トナー像を転写したあとの像担持体表面をクリーニングするクリーニング装置を備えた画像形成装置において、帯電装置の高電圧印加による電源コスト高、及びオゾンの大量発生を防止すると共に、クリーニング装置による像担持体表面のクリーニング性を高める。
【解決手段】帯電装置2として、像担持体1の表面に対して近接し、又は当接する帯電ローラを使用し、クリーニング装置9のクリーニング部材が像担持体表面に接するブラシ部材11より成る。
【選択図】 図1
【解決手段】帯電装置2として、像担持体1の表面に対して近接し、又は当接する帯電ローラを使用し、クリーニング装置9のクリーニング部材が像担持体表面に接するブラシ部材11より成る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体と、該像担持体を帯電する帯電装置と、帯電された像担持体を露光して該像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像をトナー像として可視像化する現像装置と、該トナー像を転写材に転写する転写装置と、トナー像を転写したあとの像担持体表面をクリーニングするクリーニング装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの複合機などとして構成される電子写真方式ないしは静電記録方式を用いた上記形式の画像形成装置は従来より周知である。
【0003】
従来のこの種の画像形成装置においては、像担持体を帯電する帯電装置として、コロナ帯電器が主に用いられてきたが、このコロナ帯電器ではオゾンが大量に発生してしまうという不具合があり、またコロナ帯電を行なわせるために5〜10kVという高電圧を印加する高電圧電源が必要であるので、低コスト化を図るのが困難であった。そこで、近年、像担持体に接触し、又は近接して位置する帯電装置が多く提案されている。この形式の帯電装置では、コロナ放電器を用いた場合の上記問題点(高電圧印加による電源コスト高、オゾンの大量発生)が解消される一方、コロナ帯電器に比べてNOxの発生量が多く、画像流れと呼ばれる異常画像が発生しやすい。すなわち、NOxが吸湿すると低抵抗化し、実質的に像担持体表面の電荷保持能力が、全面あるいは部分的に低下して画像流れ(像担持体表面の電荷が面方向にリークして静電潜像パターンが乱れて画像が流れたようになる現象)が発生する。また、コロナ帯電器を使用する場合でも、像担持体の移動スピードが速いシステムの場合、均一に狙いの表面電位になるよう帯電するためには低速機より大きい印加電圧を必要とし、それに伴いNOx発生量も多くなる。
【0004】
また、NOxは高湿環境下で吸湿し、硝酸イオンとなり、空気中に存在するアンモニウムイオンと結合して硝酸アンモニウムとなり像担持体表面に付着する。硝酸アンモニウムが付着した像担持体表面は不均一な表面状態になっており、また、高温高湿で吸湿すると粘着性を帯びるため、トナーが像担持体表面に強固に付着する。そのため、クリーニング装置のクリーニング部材としてクリーニングブレードのような像担持体表面に線接触するクリーニング部材や、像担持体表面に面接触ないしは線接触するゴムローラの如き弾性ローラより成るクリーニング部材を用いると、像担持体表面に対するクリーニング部材の当接状態が不均一となり、クリーニング後の像担持体表面に、すじ状にトナーが残されるクリーニング不良が発生するおそれがある。また、像担持体表面の摩擦係数が増大することにより、クリーニングブレードのめくれが発生するおそれもある。
【0005】
そこで、像担持体を直接加温するためのヒーターを設けたり、温風送風装置により温風を像担持体に送風して乾燥状態を維持することにより、NOxが吸湿して低抵抗化したり、像担持体表面の摩擦係数が増大することを防止する構成が提案されている。特にアモルファスシリコンのような表面硬度を高くした感光体を用いる場合には加温手段は不可欠とされている。しかし、省エネルギーを目的とした低定着エネルギーのトナーや小粒径トナーを用いる場合などには、加温手段とクリーニングブレードの押し当てによる摩擦熱によりトナーが像担持体上に融着して、核を形成し繰り返し使用により徐々に広がっていき、画像に黒スジ状の欠陥となって現れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、帯電装置の高電圧印加による電源コスト高、及びオゾンの大量発生を防止できると共に、クリーニング装置による像担持体表面のクリーニング性を効果的に高めることのできる画像形成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、冒頭に記載した形式の画像形成装置において、前記帯電装置として、像担持体表面に対して近接し、又は当接する帯電装置を使用し、前記クリーニング装置のクリーニング部材が像担持体表面に接するブラシ部材より成ることを特徴とする画像形成装置を提案する(請求項1)。
【0008】
その際、前記クリーニング装置は、前記ブラシ部材のほかに、該ブラシ部材のブラシに当接して所定極性のバイアス電圧が印加されるトナー回収ローラと、該トナー回収ローラに当接したスクレーパ部材とを有し、前記ブラシ部材のブラシが導電性を有していると有利である(請求項2)。
【0009】
また、上記請求項1に記載の画像形成装置において、前記クリーニング装置は、2本のブラシ部材と、その各ブラシ部材のブラシにそれぞれ当接して互いに異なるバイアス電圧を印加されるトナー回収ローラと、その各回収ローラにそれぞれ当接したスクレーパ部材とを有し、前記各ブラシ部材のブラシが導電性を有していると有利である(請求項3)。
【0010】
さらに、上記請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記像担持体の表面移動方向に関し、前記クリーニング装置のクリーニング部材よりも上流側であって、像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写位置よりも下流側の像担持体表面部分に付着する転写残トナーの帯電極性を揃えるトナー帯電極性制御手段を設けると有利である(請求項4)。
【0011】
また、上記請求項4に記載の画像形成装置において、前記トナー帯電極性制御手段が、像担持体表面に接触して転写残トナーを帯電するように構成されていると有利である(請求項5)。
【0012】
さらに、上記請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記転写装置が、転写材を介して像担持体表面に当接する接触型の転写装置であると有利である(請求項6)。
【0013】
また、上記請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記帯電装置をクリーニングする清掃手段を設けると有利である(請求項7)。
【0014】
さらに、上記請求項7に記載の画像形成装置において、前記清掃手段は、帯電装置に接触するブラシを備えたブラシ部材を具備すると有利である(請求項8)。
【0015】
また、上記請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記静電潜像を可視像化するトナーとして、重量平均径が4〜15μmのトナーを用いると有利である(請求項9)。
【0016】
さらに、上記請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記静電潜像を可視像化するトナーとして球形状のトナーを用いると有利である(請求項10)。
【0017】
また、上記請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成装置において、前記像担持体がアモルファスシリコン感光体であると有利である(請求項11)。
【0018】
さらに、上記請求項1乃至11のいずれかに記載の画像形成装置において、前記像担持体が表面に粒子状物質を含有していると有利である(請求項12)。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って説明し、併せて従来の画像形成装置の欠点を図面に即してより具体的に明らかにする。
【0020】
図1において、ドラム状の感光体として構成された像担持体1は、矢印方向に例えば250mm/secの速度で回転し、かかる像担持体1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。帯電された像担持体1には露光装置3から出射する書き込み光、図示した例では光変調されたレーザLが照射され、像担持体1に静電潜像が形成される。このように、露光装置3は、帯電された像担持体を露光して該像担持体に静電潜像を形成する用をなす。かかる静電潜像は、現像装置4によってトナー像として可視像化される。図示した現像装置4は、トナーとキャリアを有する乾式現像剤Dを担持して搬送する現像ローラ5を有し、そのトナーは所定の極性、図示した例ではマイナス極性に摩擦帯電され、該現像ローラ5に担持されて搬送された現像剤中のトナーが静電潜像に静電的に移行して該潜像が可視像化される。
【0021】
一方、図示していない給紙装置から転写紙Pが矢印A方向に給送され、転写装置6によって像担持体1上のトナー像が転写紙Pに転写される。転写紙は、像担持体からトナー像を転写される転写材の一構成例をなすものである。本例の画像形成装置においては、像担持体上のトナー像をこの転写材に直に転写するように構成されているが、像担持体上のトナー像を中間転写体より成る転写材に転写し、その中間転写体上のトナー像を転写紙に転写するように構成することもできる。また図示した転写装置6は、像担持体1の表面から離間して配置されたコロナ放電器より成るが、他の適宜な形態の転写装置を用いることもできる。
【0022】
トナー像を転写された転写紙Pは、分離装置7の作用によって像担持体から分離された後、図示していない転写紙搬送装置によって定着装置8に搬送され、ここを通過する。このとき転写紙P上のトナー像に熱と圧力を加えられて該トナー像が転写紙上に定着される。定着装置8を通過した転写紙は図示していない排紙部に排出される。
【0023】
トナー像を転写したあとの像担持体表面はクリーニング装置9によりクリーニングされる。このクリーニング装置9は、ブラシ部材11より成るクリーニング部材を有し、このブラシ部材11によって像担持体上の転写残トナーが除去される。クリーニング装置9の詳細は後述する。クリーニング装置9を通過した像担持体表面部分は除電ランプ12からの光を照射され、その表面電位が初期化される。
【0024】
図1に示した帯電装置2は、導電性の基体13とその表面に設けられた抵抗層14とを有する帯電ローラにより構成されている。かかる帯電装置2は図示しない加圧手段によって所定の圧力で像担持体1の表面に、例えば500gfの力で圧接している。また特に帯電装置2の駆動手段は持たず、該帯電装置2は像担持体1の回転駆動により連れ回り回転する。但し、帯電装置2の表面の静止摩擦係数が十分に小さい場合には連れ回りしなくなることも有るので、安定な接触状態を得るために、帯電装置を回転駆動する駆動装置を設けてもよい。また、帯電ローラより成る帯電装置2は、その長手方向(軸方向)の寸法が最大画像幅A4横(約300mm)よりも少し長く設定されている。
【0025】
帯電装置2の基体13には電源15が接続され、像担持体1と帯電装置2との電位差が放電開始電圧以上になる電圧が帯電装置2に印加される。本例では、像担持体1の表面電位が−700Vに帯電するような電圧が帯電装置2に印加され、これにより、帯電装置2と像担持体1との接触部の近傍で放電が起こり、像担持体面が均一に帯電される。印加電圧はDC電圧にAC電圧を重畳した電圧が用いられ、本例では周波数:1.8kHz、ピーク電圧:2kV、オフセット電圧:−740Vを印加している。しかし、DC電圧印加時のほうがAC重畳タイプに比較してNOxの発生量は少ないので、オゾン、NOxの発生を抑制したい場合はDC電圧を印加するほうが良い。ただしDC電圧印加よりAC重畳のほうが均一な表面電位が得られる。
【0026】
上述のように本例の帯電装置2は、像担持体表面に当接して位置しているが、例えば帯電ローラより成る帯電装置を像担持体表面に近接して配置することもできる。かかる非接触タイプの帯電装置を用いた場合も、その帯電装置に所定の電圧を印加することにより、その帯電装置と像担持体との間に放電を生ぜしめ、像担持体を所定の極性に帯電することができる。このように、帯電装置として、像担持体表面に対して微小ギャップをあけて近接し、又は当接して位置する帯電装置を使用するのである。かかる帯電装置としては、帯電ローラのほかに、帯電ブレードや帯電ブラシなどを用いることもできる。
【0027】
ここで図1に示したクリーニング装置9の詳細を説明するに先立ち、図2を参照して従来のクリーニングブレード方式のクリーニング装置を説明する。このクリーニング装置9Aは像担持体1の表面に、17〜22°の当接角θをもって圧接したクリーニングブレード11Aより成るクリーニング部材を有している。像担持体1上の転写残トナーはクリーニングブレード11Aの機械的な摺擦作用によって下方に掻き落される。クリーニングブレード11Aは、像担持体に付着するトナーの量が増大すると浮き上がりを生じ、クリーニング能力が低下するが、微量のトナーに対しては殆ど完全に掻き落す能力を有している。しかし、画像品質の向上に有利な微小粒径トナーを製造することに適した重合工法トナーが近年開発されており、このような重合工法トナーの形状は従来の粉砕工法によるトナーが岩石破片状の不定形であったのに比べ、球形に近い形状を有しており、クリーニングブレード11Aの浮き上がりによるクリーニング不良が容易に発生してしまうという問題点がある。詳しくは、球形に近いトナーは転がりやすいため、クリーニングブレード11Aの先端と像担持体が形成しているくさび形の空間領域で回転してしまい、回転する力によってブレード11Aと像担持体1の当接面内に進入してしまうことが大きな原因である。像担持体1の静止摩擦係数が十分小さい場合には、従来の粉砕工法のトナーはもちろんのこと、微小粒径の球形トナーであっても、クリーニングブレード11Aはトナーをせきとめ、良好にクリーニングすることができるが、像担持体の経時使用に伴って像担持体に接触している現像剤、転写装置、クリーニング装置との摺擦により傷つき、静止摩擦係数は上昇する。
【0028】
さらに、高温高湿環境下や、アンモニア濃度が通常の気中より高い条件下では前述の帯電装置2の放電時に発生するNOxが空気中の水分、アンモニアと結合することにより、硝酸アンモニウムが生成され、これが像担持体上に付着する。この硝酸アンモニウムの付着量が一定量以上(アンモニアイオン量に換算して約2×10−10mol/cm2)になると、像担持体表面は高摩擦係数および粘着性を帯びた状態になる。このような状態でクリーニングブレード11Aによるクリーニングを行なうと、スジ状のクリーニング不良が発生する。
【0029】
これに対し、像担持体1の表面に接するブラシ部材11より成るクリーニング部材を有する図1に示すクリーニング装置9を用いることにより上述した従来の不具合を効果的に抑制することができる。
【0030】
図1に示したクリーニング装置9は、ブラシ部材11のほかに、このブラシ部材11のブラシ16に当接して所定極性のバイアス電圧が印加されるトナー回収ローラ17と、そのトナー回収ローラ17に当接したスクレーパ部材18と、クリーニングケース10と、トナー排出部材20とを有している。ブラシ部材11は、芯部材21と、その周りに基端部が固定されたブラシ(例えばファーブラシ)16を有し、芯部材21がクリーニングケース10に回転自在に支持され、図示していない駆動装置によって矢印方向に回転駆動される。ブラシ部材11はブラシローラとして構成されているのである。かかるブラシ部材11のブラシ16は導電性を有している。トナー回収ローラ17もクリーニングケース10に回転自在に支持されて矢印方向に回転駆動される。かかるトナー回収ローラ17にはクリーナ用電源22より直流電圧が印加され、トナー回収ローラ17に接触するブラシ部材11にもトナー回収ローラ17を介して、該トナー回収ローラ17に印加されたバイアス電圧よりも幾分低いバイアス電圧が印加されている。図示した例では、トナー回収ローラ17に、現像時のトナーの帯電極性と逆極性、すなわちプラスの電圧が印加されている。
【0031】
クリーニング装置9へ送られて来た像担持体上の転写残トナーは、入口シール部材23を越えて、回転するブラシ部材11の部位に達する。この転写残トナーは、まずブラシ部材11の回転摺擦と、前述の電圧印加の作用によりブラシ16に静電的に捕獲され、次にブラシ部材11の回転とともにトナー回収ローラ17へ導かれ、該トナー回収ローラ17に印加されている電圧により、トナー回収ローラ17上に静電回収される。トナー回収ローラ17上に回収されたトナーは、該トナー回収ローラ17に接触配置されたスクレーパ部材18へトナー回収ローラ17の回転とともに送られ、該スクレーパ部材18とトナー回収ローラ17の表面との摺擦効果により掻き落とされ、トナー回収ローラ17の下方に設置されたトナー排出部材20へと落下し、トナー排出部材20の回転により生ずる搬送作用により、クリーニング装置外へ排出される。
【0032】
なお、ブラシ16を構成する導電性繊維はポリエステル、ナイロン、アクリルなどの繊維にカーボンなどの導電材料を添加したものを用いることができるが、導電性繊維であればこれらの繊維に限らない。繊維への導電性付与の方法は、導電材料をたとえば繊維表面へコーティング、あるいは繊維中に分散、挿入する方法などがあるが、この限りではない。トナー回収ローラ17は、ブラシ部材11からトナーを吸引するための電圧を印加するので導電性であることが必要である。その材質としては、たとえばSUSなどの金属や、その表面の静止摩擦係数を下げるようにフッ素系樹脂を塗布、または分散、あるいは金属との共析メッキ処理を施したものが望ましい。なお、ブラシ部材11の半径方向最外方位置での接線速度vfとトナー回収ローラ17の半径方向最外方位置での接線速度vkは、vk≧vf×0.8の関係が成立する範囲で条件設定すると望ましいトナー回収効率となる。即ち、上述のクリーニング装置9においては、上記の範囲で条件設定を行うことにより、vk又はvfを任意に設定しても、ブラシ部材11からトナー回収ローラ17へのトナー回収効率が著しく低下するようなことは発生しない。
【0033】
スクレーパ部材18としては、例えばナイロン系シート材を用いることが好ましい。トナー排出部材20は搬送コイルにより構成されている。また、図1に示したクリーニング装置9は、ブレードクリーニングとは異なり、静電気力を利用したクリーニング装置であるため、クリーニング装置通過後の像担持体表面電位も同時に制御することが可能である。そのため、トナー回収ローラ17への印加電圧をコントロールすることによって、除電ランプ12を省くことも可能である。これにより、画像形成装置の省コスト、省スペース化が図られる。
【0034】
上述のように、図1に示したクリーニング装置9においては、クリーニング部材が像担持体表面に接触するブラシ16を有するブラシ部材11により構成されているので、像担持体表面にNOxが付着して表面状態が変化し、あるいは静止摩擦係数が変化した場合においても、ブラシ部材11のブラシ16が像担持体1の表面状態に合わせて変形して接触するので、良好なクリーニング性を保つことができる。すなわち、像担持体表面に当接し、又は近接して位置する帯電装置2を使用することにより、像担持体表面にNOxが付着し、高湿環境などで吸湿して(一時的に)表面静止摩擦係数が増加しても像担持体のクリーニング性低下を防止することができる。
【0035】
また、アモルファスシリコンのような保護層を設けない有機系の電子写真感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などがある。電荷輸送物質は多くが低分子化合物として開発されているが、低分子化合物は単独で製膜性がないため、通常、不活性高分子に分散・混合して用いられる。しかし低分子電荷輸送物質と不活性高分子からなる電荷輸送層は一般に柔らかく、繰り返し使用による膜削れを生じやすいという欠点があるが、逆にブレードクリーニングにより上記画像流れ物質をごく少量ずつ膜ごと削ってリフレッシュできるという一面もあった。しかし、膜削れが進みすぎると感度ムラとなり画像に濃度ムラとして発現するという問題になる。これに対し、クリーニング部材としてブラシ部材11を用いると、そのブラシ部材11が像担持体表面を多量に削る不具合を阻止できる。像担持体表面を削らずに、転写残トナーのみを除去することも可能となり、像担持体の長寿命化が可能となる。
【0036】
硝酸アンモニウムの付着量がアンモニアイオン量に換算して約2×10−10mol/cm2になるように条件を設定し、図1に示した画像形成装置で作像を行ったところ、像担持体表面は高摩擦係数および粘着性を帯びた状態になったものの、クリーニング不良の発生はなかった。また、硝酸アンモニウムの付着量がアンモニアイオン量に換算して約3×10−10mol/cm2になるような条件に設定して作像を行っても、クリーニング不良の発生はなかった。さらに、アンモニアイオン量を増加させ、約5×10−10mol/cm2になるような条件に設定して同様の実験を行ったところ、若干のクリーニング不良が見られるようになった。
【0037】
また、図1に示したクリーニング装置9は、ブラシ部材11に付着したトナーを静電的に回収するトナー回収ローラ17と、そのトナー回収ローラ17に回収されたトナーを該トナー回収ローラ17から除去するスクレーパ部材18を有しているので、クリーニング装置9に入力される像担持体上のトナーの量が増大したときも、そのトナーを効率よく像担持体から除去することができる。特に、像担持体上にパターントナー像を形成し、その画像濃度を図示していないセンサにより検知して画像形成装置の作像条件などを制御することが一般に行われているが、このようなパターントナー像を形成したとき、多量のトナーがクリーニング装置9に入力される。また、像担持体上にトナー像が形成された状態で転写紙がジャムを起こし、その転写紙を除去した後、画像形成装置の作動を再開させたときも、多量のトナーがクリーニング装置9に入力される。このような場合にも、その多量のトナーを効率よくクリーニング装置9によって像担持体表面から除去することができる。
【0038】
ところで、像担持体1上のトナー像を転写紙Pに転写するとき、転写装置6には、そのトナー像のトナー帯電極性と逆極性(図示した例ではプラス極性)の転写電圧が印加される。このため、トナー像の転写が行われる転写位置を通過した像担持体表面に付着する転写残トナーのなかには、上記転写電圧の影響を受けて、現像時の帯電極性と逆極性、すなわちプラス極性に帯電したものが存在することがある。プラスとマイナスに帯電した転写残トナーが混在するのである。このような場合、図1に示したクリーニング装置9のブラシ部材11には、トナー回収ローラ17を介して、プラス極性のバイアス電圧が印加されているので、帯電極性がプラスに反転した転写残トナーを静電的にブラシ部材11に回収することはできない。
【0039】
そこで、図3に示した画像形成装置のクリーニング装置9には、2本のブラシ部材11,111と、その各ブラシ部材11,111のブラシ16,116にそれぞれ当接して互いに異なるバイアス電圧を印加されるトナー回収ローラ17,117と、その各回収ローラ17,117にそれぞれ当接したスクレーパ部材18,118とを有し、各ブラシ部材11,111のブラシ16,116が導電性を有しているように構成されている。この例では、一方のクリーナ用電源22によって、一方のブラシ部材11の芯部材21にプラス極性のバイアス電圧を印加し、他方のクリーナ用電源122によって、他方のブラシ部材111の芯部材121にマイナス極性の電圧を印加するように構成されている。ブラシ部材11,111の回転方向は、像担持体1の接触部において、両者が逆方向に移動するカウンタ方向としたが、両者が同じ方向に移動する順方向としてもよい。また、トナー回収ローラ17,117の回転方向は、ブラシ部材11,111との接触部において、両者が逆方向に移動するカウンタ方向とした。他の構成は、図1に示した画像形成装置と変りはない。
【0040】
上記構成によれば、転写残トナー中にプラスとマイナスの各極性に帯電したものが混在しているとき、マイナス極性の転写残トナーを、一方のブラシ部材11に静電的に回収し、プラス極性に帯電した転写残トナーについては、これを他方のブラシ部材111に静電的に回収することができる。実験によると、転写残トナーがプラスに反転する条件(転写電圧:2800V)において、ブラシ部材111に−300V、ブラシ部材11に+200Vを印加して、クリーニング装置9を通過した像担持体表面を観察したところ、良好にクリーニングが行なわれていた。各ブラシ部材11,111への印加電圧を上記のようにしたときに最も良好なクリーニング性が得られたが、転写条件やその他プロセスの諸条件が変化した場合は、最適クリーニング印加電圧も異なる。
【0041】
図3に示した構成の代りに、図4に示す如く、像担持体1の表面移動方向に関し、クリーニング装置9のクリーニング部材よりも上流側であって、像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写位置よりも下流側の像担持体表面部分に付着する転写残トナーの帯電極性を揃えるトナー帯電極性制御手段24を設けても、図3に示した画像形成装置と同様の効果を奏することができる。図4に示したトナー帯電極性制御手段24は、像担持体表面から離間して配置されていて、電源25によって高電圧を印加される例えばタングステンワイヤより成る細いワイヤ26を有するコロナ放電器より成り、本例ではこのワイヤ26に、DC−40μAにAC100μAを重畳した電圧が印加される。これにより、転写残トナーの帯電極性が現像時の帯電極性であるマイナス極性に揃えられる。
【0042】
転写位置を通過した転写残トナーのなかに、プラスとマイナスに帯電したものが混在していても、上述のように、トナー帯電極性制御手段24の作用により、その帯電極性がマイナスに揃えられるので、そのトナーをクリーニング装置9によって効率よく除去することができる。転写装置8によって転写材にトナー像を転写した後、像担持体1上に残ったトナーは、使用環境の変動や現像剤経時劣化により帯電極性が正規極性ではなく、逆極性になる場合もあり、このような場合にも安定してクリーニングを行うことができる。すなわち、図4に示したクリーニング装置9は、図1に示したクリーニング装置9と同様に構成され、トナー帯電極性制御手段24を通過してクリーニング装置9へ送られて来た転写残トナーは、まずブラシ部材11の回転摺擦により、そのブラシ16に捕獲され、次にブラシ部材11の回転とともにトナー回収ローラ17へ導かれ、トナー回収ローラ17に電圧印加することにより、トナー回収ローラ17上に静電回収される。本例ではブラシ原糸抵抗が108Ω・cm、ブラシ部材11の回転速度が350mm/sec、トナー回収ローラ17への印加電圧は50Vであるが、作像システムおよびブラシ抵抗の違いにより適切な印加電圧は異なる。図4に示したクリーニング装置の他の構成と作用は、図1に示したクリーニング装置と変りはなく、図4に示した画像形成装置の他の構成も図1に示した画像形成装置と異なるところはない。
【0043】
表1に示すように、転写直後の転写残トナーのQ/Mが逆極性の+極性であっても、トナー帯電極性制御手段24からのコロナ照射後にQ/Mが一定に制御されるので、ブラシ部材11によって良好にクリーニングできる。ワイヤー26への印加電圧はDC分はトナーの帯電量を正規極性であるマイナスに戻す目的で印加し、AC分は転写残トナーが付着している像担持体表面の電位を一定値に収束させる目的で印加している。静電気力によるクリーニングを行なうには、ブラシ部材11の電位と像担持体表面の電位差が一定になるほうが良好にクリーニングできるからである。
【0044】
【表1】
【0045】
図4に示したトナー帯電極性制御手段24は、転写残トナーを帯電して、その極性を揃えるものであり、単純な構成で、転写残トナーの帯電量を制御することができるが、ワイヤ26への印加電流が大きく、オゾン、NOxの発生が有るという欠点がある。この欠点を補うためにトナー帯電極性制御手段が、像担持体表面に接触して転写残トナーを帯電するように構成することもできる。図5にその一例を示す。ここに示したトナー帯電極性制御手段124は、電源27により電圧を印加され、これによって転写残トナーに対して電荷を注入し、該トナーの帯電極性を揃えるように構成されている。これにより、NOxの発生を抑えながら、転写残トナーの帯電極性を揃えることができる。より具体的に示すと、このトナー帯電極性制御手段124は、導電性繊維を植毛した基布を帯状にカットして芯金28に巻きつけたいわゆるブラシローラにより構成されている。導電性芯金に導電性繊維を静電植毛したブラシローラを用いても、またローラ状になっていなくても良い。かかるブラシローラの芯金28に電源27によって−400Vの電圧を印加したときの像担持体1上の転写残トナーの単位重量あたりの帯電量(Q/M)は表1と変りはない。図5に示した画像形成装置の他の構成は、図1に示した画像形成装置と変わりはない。図5に示したトナー帯電極性制御手段124によって正規極性に帯電されたトナーはクリーニング装置9により良好にクリーニングされる。
【0046】
なお、トナー帯電極性制御手段124の導電性繊維はポリエステル、ナイロン、アクリルなどの繊維にカーボンなどの導電材料を添加したものを用いたが、導電性繊維であればこれらの繊維に限らない。繊維への導電性付与の方法は、たとえば導電材料を繊維表面へコーティングし、あるいは繊維中に分散し、或いは挿入する方法などがあるが、この限りではない。トナーの極性制御性は繊維の原糸抵抗が低いほど印加する電圧が小さくて済むので望ましい。
【0047】
ところで、以上説明した例の画像形成装置においては、転写装置6として、像担持体1の表面から離間して配置されたコロナ放電器が用いられているが、かかるコロナ放電器は、その作動時に多量のオゾンを発生する。この不具合を軽減するために、転写材を介して像担持体表面に当接する接触型の転写装置を用いると有利である。図6はその一例を示す。図6に示した画像形成装置の転写装置106は、弾性体製の転写ベルト6bとこの転写ベルトを駆動する駆動ローラ6cと、両端部にテーパを付けて転写ベルトの片寄りを防止する従動ローラ6dと、転写ベルトの内側にあって転写バイアスを印加するバイアスローラ6eと、このバイアスローラ6eの高圧電源6hと、バイアスローラ6eより下流において転写ベルトの内側に配置された接触板6gと、この接触板6gによって転写ベルト6bからの帰還電流I2が戻され、高圧電源6hと接続されている転写制御板6iと、転写ベルト表面をクリーニングするベルトクリーナ6fからなる。転写ベルト表面には、フッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン)のコーティングが施され、良好なクリーニングが可能になっている。図示しないレジストローラによって搬送されてきた転写紙Pは、像担持体1上のトナー像とタイミングを合わせて送り出され、矢印方向に回転する転写ベルト6b上に進入し、該転写ベルト6bに担持されて、像担持体1に接触しながら搬送される。このとき、バイアスローラ6eに転写バイアスが印加され、転写ベルト上には像担持体1上のトナーと逆極性の電荷が付与され、像担持体上のトナー像が転写紙Pに転写される。このように、転写装置106は、その転写ベルト6bが、転写紙Pを介して像担持体1の表面に当接しながら、像担持体上のトナー像を転写紙Pに転写する。
【0048】
本例においては、表面電位−800Vに帯電した像担持体1に静電潜像を形成し、現像装置4において、その潜像をマイナス極性のトナーで現像し、バイアスローラ6eに1.4〜2kVの電圧を印加してトナー像を転写紙上に転写する。このとき、転写紙を介して像担持体に接触した転写ベルトのニップ部における表面の電位は1.2〜1.8kVになっている。転写ベルト6bとして、ベルト表面の電気抵抗が1×109〜1×1012Ω・cmで、ベルト裏面の電気抵抗が1×107〜5×108Ω・cmのものを使用しているため、転写ベルト上および転写紙上に付与された電荷は下流側に移動するに従って接触板6gによって除電される。転写後の転写紙は静電吸着によって転写ベルト上に吸着されて像担持体1上から離れ、転写ベルト6bによって搬送され定着装置8に進入し、定着後排紙される。
【0049】
転写条件としては、高圧電源6hから出力された電流値をI1とし、転写ベルト6hを介して接触板6gよりアース側へ流れる電流値を検出する。それをI2としたとき、I1−I2=Iout(=一定)となるようにI1の値を制御する。図示した例での最適条件はIout=35±5μAであったが、システムの違いによって最適条件は異なる。
【0050】
I1−I2=Ioutを35〜40μAに制御し、転写ベルト6bの抵抗が2×107〜8×108Ω・cmのとき、転写残トナーの帯電量は約−20〜―30μC/gであった。このように、転写工程による逆チャージが緩和され、転写残トナーのほとんどはもとの極性のままクリーニング装置9に入り、良好にクリーニングされる。なお、現像トナーの帯電量も約−20〜―30μC/gである。
【0051】
これに対して、転写コロトロンによる方式では転写電流が60〜70μAの時、転写残トナーの帯電量は約+10〜30μC/gであり、極性反転しているトナーと極性反転していないトナーが混在しているので、クリーニング前帯電器等のトナー極性制御手段が必須となる。図6に示した例では転写ベルトを使用したが、ベルトの代わりに転写ローラを使用したものであっても同様な効果が得られる。図6における他の構成は、前述した各例の画像形成装置と同じく構成することができる。
【0052】
次に、帯電装置2のより具体的な構成例を明らかにする。前述のように、図示した画像形成装置の帯電装置2は帯電ローラにより構成され、かかる帯電装置2は、図7乃至図12に拡大して示すように、導電性基体13とその周囲の抵抗層14を備え、導電性基体13は、直径が8〜20mmのステンレス鋼の円筒体である。また、抵抗層14は、エピクロルヒドリンゴム層とその表面を覆う樹脂の表面層からなる。または、この抵抗層14として、4フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素樹脂を主成分とした、厚みの30〜700μm、表面粗さRzが0.2〜2μm程度の樹脂チューブを用いてもよい。またはその他の均一な帯電を行うことが可能な材料を用いてもよい。図7に示した帯電装置2は像担持体1の表面に接触しながら回転しているので、経時での感光膜の磨耗低減のために弾性体としている。図8乃至図12に示すように、像担持体1と帯電装置2が非接触の場合には、両者を近接させるため帯電装置2の両端部に図示しないフィルムを巻きつけて、スペーサとした。このスペーサは、像担持体1に接触し、像担持体1と帯電装置2との間に、ある一定のギャップを得るようになっている。帯電装置2の硬度は、例えばJIS−Aで30〜80度程度であるが、像担持体に接触させる必要がないのでその耐久性を考慮すると60〜80度もしくはこれ以上の硬度でもよい。帯電装置の他の構成と作用は前述したとおりである。
【0053】
以上のような帯電装置を用いた図1に示した画像形成装置によって画像形成を行ったところ、A4 50K枚通紙後から帯電装置2にトナーの付着が見られ始め、その後スジ状の汚れに変わった。この状態でさらに作像を繰り返すと帯電装置の汚れによる放電ムラが生じ、スジ状に汚れた部分の帯電電位の低下が見られた。そこで、図9に示す清掃部材29より成る清掃手段を帯電ローラより成る帯電装置2の周面に接触配置し、同様に画像形成を行ったところ、50K枚超過後も帯電部材の汚れが発生せず、代わりに清掃部材29にトナー汚れが認められた。このまま100K通紙まで帯電装置2は良好に清掃され、像担持体1の帯電電位の低下による異常画像は発生しなかった。画像形成装置本体内に浮遊するトナーが帯電装置2の周面に付着しても、そのトナーを清掃部材29によって除去でき長期に亘って像担持体を安定状態で帯電することができる。清掃部材29は、たとえばポリウレタンなどの発砲樹脂からなるいわゆるスポンジである。このスポンジ部材を帯状に成型し、例えばポリプロピレンなどの硬い樹脂に貼り付けて帯電部材に当接させるものである。スポンジは、その表面が多孔質のため、トナーやその添加剤であるシリカや通紙した紙からでる紙紛などを確実に保持するので、清掃部材に一度付着したトナーやシリカや紙紛が、帯電装置2に再び付着することがない。
【0054】
また、図10に示すように、帯電装置2の清掃手段を、ローラ形状にした導電性のブラシ部材129により構成することもできる。このブラシ部材129のブラシは帯電装置表面に接触し、当該ブラシ部材は例えばSUSの金属棒の表面に、繊維を植毛した基布を巻きつけたものである。あるいは、金属棒に接着剤を塗布し、繊維を静電植毛したものを用いてもよい。このブラシ部材129は帯電装置2と同様に回転可能にすると効率のよいクリーニングが行えるが、装置の単純化のために回転しないような機構にしてもよい。あるいは、図11に示すように、基部材30に、ブラシの基端部を固定したブラシ部材229より成る清掃手段を用いることもできる。使用する繊維としては、絶縁性の繊維が良いが例えばナイロンなどのやわらかい繊維を使えば、帯電装置2の表面を傷つけることがないので、望ましい。さらに、図12に示すように、帯電ローラより成る帯電装置2の周面に圧接するブレード31より成る清掃手段を用いることもできる。
【0055】
像担持体1に当接した帯電装置2にも、該帯電装置をクリーニングする清掃手段を設けることができる。また、この清掃手段として、帯電装置に接触するブラシを備えたブラシ部材を具備する装置を用いると、帯電ローラより成る帯電装置2の表面の静止摩擦係数が高いときも、長期に亘って、そのブラシが帯電装置の周面に接触でき、該帯電装置を良好にクリーニングすることができる。
【0056】
一方、静電潜像を可視像化するトナーとして、重量平均径が4〜15μmのトナーを用いると、得られる画像の解像度を向上させることができる。
【0057】
重量平均径の測定方法は、以下の手順にて行う。まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径を求めることができる。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0058】
次に一成分系現像剤及び二成分系現像剤のトナーを構成する結着樹脂や着色剤などの材料をあげる。トナー全体に占める割合は、結着樹脂が75%〜93%、着色剤が3%〜10%、離型剤が3%〜8%、その他の成分は1%〜7%である。使用される結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトンなどがあげられる。
【0059】
着色剤としては、従来より知られている無機又は有機の染料/顔料が使用可能であり、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダムンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーがあげられる。必要に応じて着色剤として磁性材料を用いることも可能である。
【0060】
磁性材料としては、マグネタイト、γ−酸化鉄、フェライト鉄、過剰型フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き磁性金属;酸化鉄又は磁性金属と、コバルト、スズ、チタン、銅、鉛、亜鉛、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素の如き金属との複合金属酸化物合金又は、混合物が挙げられる。これら磁性粒子は、平均粒径が0.05乃至1.0μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1乃至0.6μmの範囲内、さらに好ましくは、0.1乃至0.4μmの範囲内であることが良い。これらの磁性粒子は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは1乃至20m2/gの範囲内、特に2.5乃至12m2/gの範囲内であることが良く、更にモース硬度が5〜7の範囲内であることが良い。磁性粒子の形状としては、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状があるが、8面体、6面体、球形の異方性の少ないものが好ましい。磁性トナーとして用いる場合、磁性材料を含有する磁性トナー粒子は、結着樹脂100質量部に対し10〜150質量部、好ましくは20〜120質量部磁性材料を含有することが良い。
【0061】
トナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で添加剤を少量用いることができる。この添加剤としては、例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末の如き流動性付与剤又はケーキング防止剤;例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤;及び逆極性の有機微粒子又は無機微粒子が挙げられる。
【0062】
また、定着性などを改善するために離型剤を添加することもできる。離型剤としては、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体が挙げられる。誘導体は、酸化物、ビニル系モノマーとのブロック共重合体、ビニル系モノマーのグラフト変性物を含む。その他、アルコール、脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタムも利用できる。
【0063】
帯電制御剤については、トナーを負荷電性に制御する荷電制御剤として、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸系金属錯体、芳香族ダイカルボン酸系金属錯体があげられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、そのエステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類がある
【0064】
トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物)、この微粒子状の荷電制御剤の個数平均粒径は好ましくは、4μm以下、より好ましくは、3μm以下が良い。これらの荷電制御剤をトナー粒子中に内添する場合には、トナー粒子は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは、0.1〜20質量部、より好ましくは、0.2〜10質量部含有することが良い。
【0065】
トナーには、必要に応じて、一般に広く使用されているトナー用の添加剤、例えばコロイダルシリカのような流動化剤、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物や、炭化ケイ素等の研磨剤、脂肪酸金属塩などの滑剤等を含有させてもよい。無機微粉体はトナーに対して0.1〜2重量%使用されるのが好ましい。0.1重量%未満では、トナー凝集を改善する効果が乏しくなり、2重量%を超える場合は、細線間のトナー飛び散り,機内の汚染,感光体の傷や摩耗等の問題が生じやすい傾向がある。添加剤をトナーに混合する方法としては、従来公知の方法でよく、ヘンシェルミキサー、スピードニーダー等の装置により混合することができる。トナー混練・冷却後のトナー粉の製造方法としては、従来公知の方法でよく、例えば混練・冷却した後、これをジェットミルで粉砕し、分級して得られる。
【0066】
上述の如きトナーは、乾式一成分現像剤及び乾式二成分現像剤として使用できる。二成分現像剤として用いる場合、トナーとキャリアとの混合割合は、一般にキャリア100重量部に対しトナー0.5〜6.0重量部程度が適当である。乾式二成分現像剤として使用する場合、キャリア並びにトナーの使用量としては、トナー粒子がキャリア粒子のキャリア表面に付着して、その表面積の30〜90%を占める程度に両粒子を混合するのが好ましい。
【0067】
現像剤を構成するキャリアの核体粒子としては、従来より公知のものでよく例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物;前記強磁性体微粒子と樹脂との複合体等が挙げられる。キャリアはより耐久性を長くする目的で、表面を樹脂で被覆することが好ましい。被覆層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。中でもトナースペントを防止する点で好ましいのはシリコーン樹脂またはその変成品、弗素樹脂、特にシリコーン樹脂またはその変成品である。被覆層の形成法としては、従来と同様、キャリア核体粒子の表面に被覆層形成液を噴霧法、浸漬法等の手段で塗布すればよい。被覆層の厚さは0.1〜20μmが好ましい。
【0068】
二成分現像剤の製造例
ポリエステル樹脂(重量平均粒径300μm 軟化温度80.2℃)100重量部
カーボンブラック 10重量部
ポリプロピレン(重量平均粒径 180μm) 5重量部
四級アンモニウム塩 2重量部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後、粉砕、分級した。さらに、母体着色粒子100重量部に対して、疎水性シリカ0.3重量部を混合し、平均粒径6.8μmのトナーを得た。また、湿式法により作成したマグネタイト100重量部に対してポリビニルアルコール2重量部、水60重量部をボールミルに入れ12時間混合してマグネタイトのスラリーを調整した。このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒し、球形粒子とした。この粒子を窒素雰囲気中で1000℃の温度で3時間焼成後冷却し核体粒子1を得た。
シリコーン樹脂溶液 100重量部
トルエン 100重量部
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 15重量部
カーボンブラック 20重量部
上記混合物をホモミキサーで20分間分散し、被覆層形成液1を調整した。この被覆層形成液を流動床型コーティング装置を用いて核体粒子1を1000重量部の表面にコーティングして、シリコーン樹脂被覆キャリアを得た。上記磁性キャリアを95重量部に対し、トナー5重量部の割合で混合し、二成分現像剤を作成し、図1に示した画像形成装置に用いたところ、画像の解像度が向上した。
【0069】
また、静電潜像を可視像化するトナーとして球形状のトナーを用いると、不定形トナーを用いた場合よりも、転写材へのトナー像の転写率が向上し、画質が向上するだけでなく、クリーニング装置へ入力される転写残トナーの量が少なくなり、像担持体のクリーニング効率を高めることができる。
【0070】
異型(粉砕)トナーAとその球形化処理を行なったトナーBとで同じ方法で像担持体上に作像し、転写装置で転写した後の像担持体上の転写残トナーの比較実験を行なった。母体はポリオール樹脂、体積平均粒径は両トナーとも7μmで、同じ作像条件(帯電、露光、現像)で像担持体上にベタ画像を作像したあと、ベルト転写器に電圧を印加することにより中間転写体にトナー像を転写した。現像トナーの単位面積あたりの付着量は同じになるように現像バイアスを調整した。現像トナー付着量M1と中間転写体に転写された転写トナー付着量M2を吸引治具により測定し、転写残トナー付着量M3と、転写率(=M2/M1×100[%])を算出し、グラフにしたものが図13、図14である。横軸は両図とも転写電圧である。図13からわかるように、像担持体上に残った転写残トナー量は球形トナーのほうが少なかった。よって、クリーニング装置に入力されるトナー量は球形トナーのほうが少ないといえる。一般にクリーニング装置に入力するトナー量は少ないほうが装置への負担が少なく、長寿命が図れるため、球形トナーを用いることにより、装置の長寿命化が図れることになる。
【0071】
従来のクリーニングブレードのみを用いたクリーニング装置では、球状の小粒径トナーをクリーニングすることはトナーがすり抜けやすいことから難しく、さらに形状の面からいうと不定形トナーより球形のトナーのほうが像担持体との付着力が強く、ブレードクリーニング性が悪い。このような課題を抱えたまま経時使用すると、クリーニングされなかったトナーが接触型の帯電装置に付着し、トナーが付着した箇所は放電が不安定になることから、次の作像時の帯電不良が発生する。このようにして画像品質が劣化する。これに対し、本例の画像形成装置においては、ブラシ部材を有するクリーニング装置が用いられているので、球状の小粒径トナーを用いても、トナー像転写後の像担持体表面のクリーニング性を高め、上述した不具合の発生を抑えることができる。
【0072】
また、以上説明した各構成の画像形成装置の像担持体1として、アモルファスシリコン系の表面層を有する感光体、すなわちアモルファスシリコン感光体を使用すると、像担持体表面の経時的な磨耗をなくし、あるいは磨耗量を極く少なくでき、像担持体の寿命を延ばすことができる。
【0073】
さらに、表面に粒子状物質(フィラー)を含有している像担持体を用いると、像担持体を強化でき、その寿命を延ばすことができる。かかる像担持体を用いても、ブラシ部材より成るクリーニング部材を備えたクリーニング装置を採用することによって、トナー像転写後の像担持体表面のクリーニング性を高く保つことができる。かかる像担持体の具体的な構成例を示すと、導電性基体上に直接または中間層を介して感光層を有する感光体において、この感光層が少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質と粒子状物質を含有し、かかる感光層の粒子状物質が導電性基体側より最も離れた表面側の含有率が多くすることにより、耐摩耗性の向上、電気特性の安定化が達成され、高感度、高耐久の感光体を得ることができる。図15に示すように、本例の潜像担持体1の基本的構成は導電性支持体40、潜像担持層(感光層)41、粒子状物質42を含有した表面層43からなる。又、潜像担持層41としては帯電可能な電気絶縁性で有ることが必要であるが、非光導電性の誘電層又は光導電性を有した感光層が使用可能で有る。露光によって光キャリアーが発生するいわゆる電子写真感光体としては、感光層41が単層型(図15)と電荷発生層44と電荷輸送層45に分離形成された積層型(図16、17)が使用可能である。図16、図17における符号46は中間層を示している。
【0074】
粒子状物質はバインダー樹脂、低分子電荷輸送物質、及び高分子電荷輸送物質と粉砕、分散し、塗工される。粒子状物質含有表面層中の粒子状物質の含有量は5〜50重量%で好ましくは10〜40重量%であり、10重量%以下であると耐摩耗性はあるものの十分でない。50重量%以上であると感光層の透明性が損なわれる。平均粒径が0.05〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.8μmに粉砕、分散するのが好ましい。粒径が大きいと表面に頭出しクリーニングブレードを傷つけクリーニング不良が発生する。
【0075】
(実施例)
かかる像担持体の製造例を示すと、φ30mmアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液、粒子状物質層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成して、その上に下記粒子状物質塗工液をジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーで2時間粉砕して塗工液とする。この液をスプレーで塗工して1.5μmの粒子状物質層を設け電子写真感光体を得る。
【0076】
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL,大日本インキ化学工業製)6部
メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60,大日本インキ化学工業製)4部
酸化チタン(CREL 石原産業社製) 40部
メチルエチルケトン 200部
〔電荷発生層用塗工液〕
オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部
ポリビニルブチラール(UCC:XYHL) 0.2部
テトラヒドロフラン 50部
〔電荷輸送層用塗工液〕
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成社製 Mv5万) 10部
【化1】
ジクロルメタン 100部
1%シリコーンオイル(KF50信越シリコーン社製)ジクロルメタン溶液 1部
〔粒子状物質層用塗工液〕
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成社製 Mv5万) 5部
酸化チタン(CR97 石原産業社製) 2部
【化2】
シクロヘキサノン(以後アノン) 200部
平均粒径は堀場製作所製CAP500で計測したところ0.3μmであった。分散媒は1:1volである。
【0077】
(比較例)
上記実施例と同様にして下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた。これは粒子状物質層の無い低分子電荷輸送層の比較感光体とした。実施例、比較例の感光体を図1に示した画像形成装置に装着し、暗部電位800V、明部電位100Vに設定し5万枚の試験を行った。初期感度は780nm単色光で表面電位800Vからの半減露光量。膜厚は渦電流式膜厚計フィシャー社製フィシャーコープMMSで測定した。結果は表2に示す。粒子状物質を含有した感光体は摩耗量が少なく、感光体寿命が向上した。
【表2】
【0078】
(使用材料の具体例)
本発明に用いられる粒子状物質としては、表面層の構成樹脂より堅い粒子状物質であれば使用可能であり、無機物質、有機物質が使用可能である。例えば、酸化チタン、シリカ、酸化錫、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の金属酸化物が挙げられるが、特に良好なものとして酸化チタン、シリカ、酸化ジルコニウム等が挙げられる。これら粒子状物質は分散性向上などの理由から無機物、有機物で表面処理されてもよい。一般に撥水性処理としてシランカップリング剤で処理したもの、あるいはフッ素系シランカップリング剤処理したもの、高級脂肪酸処理したもの。無機物処理としてはフィラー表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカ処理したものが使用可能である。バインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、硬化性樹脂が使用可能である。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ樹脂等が挙げられるが、特に好ましいバインダー樹脂としては一般式2(化3)、及び3(化4)で示されるポリカーボネートである。
【化3】
【化4】
R4、R5、R6、R7はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子を表し、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基を表し、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CO−,−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)または、
【化5】
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R8、R9は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す。)を表す。ここで、 R6とR7,R8とR9は、それぞれ同一でも異なってもよい。p,qは組成を表し、0.1≦p≦1、0≦q≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。一般式の具体例は後述する。これらポリカーボネートは強靱性が高く、フィルム性が良いことが挙げられ、またこのフィラー層は電荷輸送機能をもたせるため低分子電荷輸送材との相溶性良いことが重要な条件であることから一般式2、及び3で示されるポリカーボネート好適である。
【0079】
感光体表面電荷が負極性の場合の電荷輸送材料としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの低分子電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来、粒子状物質含有層中の低分子輸送物質(D)、バインダー樹脂(R)及び粒子状物質(F)の含有量はD:R:F=10〜40:35〜55:5〜40重量%含有させる。低分子電荷輸送物質が10重量%以下になると電荷移動性に起因すとと考えられる明部電位上昇、40重量%以上であると膜強度低下、バインダー樹脂は低分子輸送物質、及び粒子状物質を固定させる為で35重量%以下であると粒子状物質層の脆化が発生し、55重量%以上であると低分子輸送物質、及び粒子状物質量とのバランスの点で電気特性、膜強度で好ましくない、粒子状物質量は5重量%以下であると、耐摩耗性の点で好ましくない、40重量%以上であると膜の不透明化による地汚れなど画像劣化が発生する。
【0080】
分散溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロルメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が使用され、ボールミル、サンドミル、振動ミルなどを用いて分散、粉砕する、粒子状物質の添加量は0.5重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%である。粒子状物質の粒径は0.05〜1.0μmで好ましくは0.05〜0.8μmである。粒子状物質添加層を積層の場合の膜厚は0.5〜10μmで好ましくは0.5〜5μmである。塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
【0081】
像担持体の感光層は、単層型でも積層型でもよい。電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。更に、必要に応じて低分子電荷輸送物質を添加してもよい。
【0082】
次に、電荷輸送層について説明する。電荷輸送層は、電荷輸送材とバインダー樹脂と伴に溶解、塗工し電荷輸送層とし使用できバインダー樹脂としてはフィルム性の良いポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ、ビスフェノールCタイプ、あるいはこれら共重合体)、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエステル、メタクリル樹脂、ポリスチレン、酢酸ビニル、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダーは、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。電荷輸送層に使用される低分子電荷輸送物質は、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体(特開昭52−139065、52−139066号公報に記載)イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体(特願平1−77839号公報に記載)、ベンジジン誘導体(特公昭58−32372号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開昭57−73075号公報に記載)、ヒドラゾン誘導体(特開昭55−154955、55−156954、55−52063、56−81850などの公報に記載)、トリフェニルメタン誘導体(特公昭51−10983号公報に記載)、アントラセン誘導体(特開昭51−94829号公報に記載)、スチリル誘導体(特開昭56−29245、58−198043号公報に記載)、カルバゾール誘導体(特開昭58−58552号公報に記載)、ピレン誘導体(特願平2−94812号公報に記載)などを使用することができる。
【0083】
次に、感光層が単層構成の場合について述べる。キャスティング法等で単層感光層を設ける場合、多くは電荷発生物質と低分子ならびにバインダー樹脂よりなる機能分離型のものが挙げられる。即ち、電荷発生物質ならびに電荷輸送物質には、前出の材料を用いることができる。また、低分子電荷輸送物質とバインダー樹脂の代わりとして高分子電荷輸送物質を用いることができる。こちらも前出の材料を使用することができる。また、必要により可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。更に、必要に応じて用いることの出来るバインダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いる他に、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。単層感光体の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
【0084】
感光体には、導電性支持体と感光層(積層タイプの場合には、電荷発生層)との間に下引き層を設けることができる。下引き層は、接着性を向上する、モワレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。下引き層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤でもって塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン、等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、前述の感光層のごとく適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
【0085】
更に下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。この他、下引き層にはAl2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO,SnO2,TiO2,ITO,CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0086】
また、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は、有機物を含む層ならばいずれに添加してもよいが、電荷輸送物質を含む層に添加すると良好な結果が得られる。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、帯電装置の高電圧印加により電源コスト高、及びオゾンの大量発生を防止できると共に、クリーニング装置による像担持体表面のクリーニング性を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】従来のクリーニング装置を有する画像形成装置を示す概略図である。
【図3】画像形成装置の他の例を示す概略図である。
【図4】画像形成装置のさらに他の例を示す概略図である。
【図5】画像形成装置のさらに別の例を示す概略図である。
【図6】画像形成装置のさらに他の例を示す概略図である。
【図7】帯電装置の拡大図である。
【図8】帯電装置の拡大図である。
【図9】帯電装置の拡大図である。
【図10】帯電装置の拡大図である。
【図11】帯電装置の拡大図である。
【図12】帯電装置の拡大図である。
【図13】転写残トナー付着量と転写電圧の関係を示すグラフである。
【図14】転写率と転写電圧の関係を示すグラフである。
【図15】像担持体の断面構造を示す説明図である。
【図16】像担持体の断面構造を示す説明図である。
【図17】像担持体の断面構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1 像担持体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
6,106 転写装置
9 クリーニング装置
11,111,129,229 ブラシ部材
16,116 ブラシ
17,117 トナー回収ローラ
18,118 スクレーパ部材
24,124 トナー帯電極性制御手段
42 粒子状物質
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体と、該像担持体を帯電する帯電装置と、帯電された像担持体を露光して該像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像をトナー像として可視像化する現像装置と、該トナー像を転写材に転写する転写装置と、トナー像を転写したあとの像担持体表面をクリーニングするクリーニング装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの複合機などとして構成される電子写真方式ないしは静電記録方式を用いた上記形式の画像形成装置は従来より周知である。
【0003】
従来のこの種の画像形成装置においては、像担持体を帯電する帯電装置として、コロナ帯電器が主に用いられてきたが、このコロナ帯電器ではオゾンが大量に発生してしまうという不具合があり、またコロナ帯電を行なわせるために5〜10kVという高電圧を印加する高電圧電源が必要であるので、低コスト化を図るのが困難であった。そこで、近年、像担持体に接触し、又は近接して位置する帯電装置が多く提案されている。この形式の帯電装置では、コロナ放電器を用いた場合の上記問題点(高電圧印加による電源コスト高、オゾンの大量発生)が解消される一方、コロナ帯電器に比べてNOxの発生量が多く、画像流れと呼ばれる異常画像が発生しやすい。すなわち、NOxが吸湿すると低抵抗化し、実質的に像担持体表面の電荷保持能力が、全面あるいは部分的に低下して画像流れ(像担持体表面の電荷が面方向にリークして静電潜像パターンが乱れて画像が流れたようになる現象)が発生する。また、コロナ帯電器を使用する場合でも、像担持体の移動スピードが速いシステムの場合、均一に狙いの表面電位になるよう帯電するためには低速機より大きい印加電圧を必要とし、それに伴いNOx発生量も多くなる。
【0004】
また、NOxは高湿環境下で吸湿し、硝酸イオンとなり、空気中に存在するアンモニウムイオンと結合して硝酸アンモニウムとなり像担持体表面に付着する。硝酸アンモニウムが付着した像担持体表面は不均一な表面状態になっており、また、高温高湿で吸湿すると粘着性を帯びるため、トナーが像担持体表面に強固に付着する。そのため、クリーニング装置のクリーニング部材としてクリーニングブレードのような像担持体表面に線接触するクリーニング部材や、像担持体表面に面接触ないしは線接触するゴムローラの如き弾性ローラより成るクリーニング部材を用いると、像担持体表面に対するクリーニング部材の当接状態が不均一となり、クリーニング後の像担持体表面に、すじ状にトナーが残されるクリーニング不良が発生するおそれがある。また、像担持体表面の摩擦係数が増大することにより、クリーニングブレードのめくれが発生するおそれもある。
【0005】
そこで、像担持体を直接加温するためのヒーターを設けたり、温風送風装置により温風を像担持体に送風して乾燥状態を維持することにより、NOxが吸湿して低抵抗化したり、像担持体表面の摩擦係数が増大することを防止する構成が提案されている。特にアモルファスシリコンのような表面硬度を高くした感光体を用いる場合には加温手段は不可欠とされている。しかし、省エネルギーを目的とした低定着エネルギーのトナーや小粒径トナーを用いる場合などには、加温手段とクリーニングブレードの押し当てによる摩擦熱によりトナーが像担持体上に融着して、核を形成し繰り返し使用により徐々に広がっていき、画像に黒スジ状の欠陥となって現れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、帯電装置の高電圧印加による電源コスト高、及びオゾンの大量発生を防止できると共に、クリーニング装置による像担持体表面のクリーニング性を効果的に高めることのできる画像形成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、冒頭に記載した形式の画像形成装置において、前記帯電装置として、像担持体表面に対して近接し、又は当接する帯電装置を使用し、前記クリーニング装置のクリーニング部材が像担持体表面に接するブラシ部材より成ることを特徴とする画像形成装置を提案する(請求項1)。
【0008】
その際、前記クリーニング装置は、前記ブラシ部材のほかに、該ブラシ部材のブラシに当接して所定極性のバイアス電圧が印加されるトナー回収ローラと、該トナー回収ローラに当接したスクレーパ部材とを有し、前記ブラシ部材のブラシが導電性を有していると有利である(請求項2)。
【0009】
また、上記請求項1に記載の画像形成装置において、前記クリーニング装置は、2本のブラシ部材と、その各ブラシ部材のブラシにそれぞれ当接して互いに異なるバイアス電圧を印加されるトナー回収ローラと、その各回収ローラにそれぞれ当接したスクレーパ部材とを有し、前記各ブラシ部材のブラシが導電性を有していると有利である(請求項3)。
【0010】
さらに、上記請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記像担持体の表面移動方向に関し、前記クリーニング装置のクリーニング部材よりも上流側であって、像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写位置よりも下流側の像担持体表面部分に付着する転写残トナーの帯電極性を揃えるトナー帯電極性制御手段を設けると有利である(請求項4)。
【0011】
また、上記請求項4に記載の画像形成装置において、前記トナー帯電極性制御手段が、像担持体表面に接触して転写残トナーを帯電するように構成されていると有利である(請求項5)。
【0012】
さらに、上記請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記転写装置が、転写材を介して像担持体表面に当接する接触型の転写装置であると有利である(請求項6)。
【0013】
また、上記請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記帯電装置をクリーニングする清掃手段を設けると有利である(請求項7)。
【0014】
さらに、上記請求項7に記載の画像形成装置において、前記清掃手段は、帯電装置に接触するブラシを備えたブラシ部材を具備すると有利である(請求項8)。
【0015】
また、上記請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記静電潜像を可視像化するトナーとして、重量平均径が4〜15μmのトナーを用いると有利である(請求項9)。
【0016】
さらに、上記請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記静電潜像を可視像化するトナーとして球形状のトナーを用いると有利である(請求項10)。
【0017】
また、上記請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成装置において、前記像担持体がアモルファスシリコン感光体であると有利である(請求項11)。
【0018】
さらに、上記請求項1乃至11のいずれかに記載の画像形成装置において、前記像担持体が表面に粒子状物質を含有していると有利である(請求項12)。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って説明し、併せて従来の画像形成装置の欠点を図面に即してより具体的に明らかにする。
【0020】
図1において、ドラム状の感光体として構成された像担持体1は、矢印方向に例えば250mm/secの速度で回転し、かかる像担持体1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。帯電された像担持体1には露光装置3から出射する書き込み光、図示した例では光変調されたレーザLが照射され、像担持体1に静電潜像が形成される。このように、露光装置3は、帯電された像担持体を露光して該像担持体に静電潜像を形成する用をなす。かかる静電潜像は、現像装置4によってトナー像として可視像化される。図示した現像装置4は、トナーとキャリアを有する乾式現像剤Dを担持して搬送する現像ローラ5を有し、そのトナーは所定の極性、図示した例ではマイナス極性に摩擦帯電され、該現像ローラ5に担持されて搬送された現像剤中のトナーが静電潜像に静電的に移行して該潜像が可視像化される。
【0021】
一方、図示していない給紙装置から転写紙Pが矢印A方向に給送され、転写装置6によって像担持体1上のトナー像が転写紙Pに転写される。転写紙は、像担持体からトナー像を転写される転写材の一構成例をなすものである。本例の画像形成装置においては、像担持体上のトナー像をこの転写材に直に転写するように構成されているが、像担持体上のトナー像を中間転写体より成る転写材に転写し、その中間転写体上のトナー像を転写紙に転写するように構成することもできる。また図示した転写装置6は、像担持体1の表面から離間して配置されたコロナ放電器より成るが、他の適宜な形態の転写装置を用いることもできる。
【0022】
トナー像を転写された転写紙Pは、分離装置7の作用によって像担持体から分離された後、図示していない転写紙搬送装置によって定着装置8に搬送され、ここを通過する。このとき転写紙P上のトナー像に熱と圧力を加えられて該トナー像が転写紙上に定着される。定着装置8を通過した転写紙は図示していない排紙部に排出される。
【0023】
トナー像を転写したあとの像担持体表面はクリーニング装置9によりクリーニングされる。このクリーニング装置9は、ブラシ部材11より成るクリーニング部材を有し、このブラシ部材11によって像担持体上の転写残トナーが除去される。クリーニング装置9の詳細は後述する。クリーニング装置9を通過した像担持体表面部分は除電ランプ12からの光を照射され、その表面電位が初期化される。
【0024】
図1に示した帯電装置2は、導電性の基体13とその表面に設けられた抵抗層14とを有する帯電ローラにより構成されている。かかる帯電装置2は図示しない加圧手段によって所定の圧力で像担持体1の表面に、例えば500gfの力で圧接している。また特に帯電装置2の駆動手段は持たず、該帯電装置2は像担持体1の回転駆動により連れ回り回転する。但し、帯電装置2の表面の静止摩擦係数が十分に小さい場合には連れ回りしなくなることも有るので、安定な接触状態を得るために、帯電装置を回転駆動する駆動装置を設けてもよい。また、帯電ローラより成る帯電装置2は、その長手方向(軸方向)の寸法が最大画像幅A4横(約300mm)よりも少し長く設定されている。
【0025】
帯電装置2の基体13には電源15が接続され、像担持体1と帯電装置2との電位差が放電開始電圧以上になる電圧が帯電装置2に印加される。本例では、像担持体1の表面電位が−700Vに帯電するような電圧が帯電装置2に印加され、これにより、帯電装置2と像担持体1との接触部の近傍で放電が起こり、像担持体面が均一に帯電される。印加電圧はDC電圧にAC電圧を重畳した電圧が用いられ、本例では周波数:1.8kHz、ピーク電圧:2kV、オフセット電圧:−740Vを印加している。しかし、DC電圧印加時のほうがAC重畳タイプに比較してNOxの発生量は少ないので、オゾン、NOxの発生を抑制したい場合はDC電圧を印加するほうが良い。ただしDC電圧印加よりAC重畳のほうが均一な表面電位が得られる。
【0026】
上述のように本例の帯電装置2は、像担持体表面に当接して位置しているが、例えば帯電ローラより成る帯電装置を像担持体表面に近接して配置することもできる。かかる非接触タイプの帯電装置を用いた場合も、その帯電装置に所定の電圧を印加することにより、その帯電装置と像担持体との間に放電を生ぜしめ、像担持体を所定の極性に帯電することができる。このように、帯電装置として、像担持体表面に対して微小ギャップをあけて近接し、又は当接して位置する帯電装置を使用するのである。かかる帯電装置としては、帯電ローラのほかに、帯電ブレードや帯電ブラシなどを用いることもできる。
【0027】
ここで図1に示したクリーニング装置9の詳細を説明するに先立ち、図2を参照して従来のクリーニングブレード方式のクリーニング装置を説明する。このクリーニング装置9Aは像担持体1の表面に、17〜22°の当接角θをもって圧接したクリーニングブレード11Aより成るクリーニング部材を有している。像担持体1上の転写残トナーはクリーニングブレード11Aの機械的な摺擦作用によって下方に掻き落される。クリーニングブレード11Aは、像担持体に付着するトナーの量が増大すると浮き上がりを生じ、クリーニング能力が低下するが、微量のトナーに対しては殆ど完全に掻き落す能力を有している。しかし、画像品質の向上に有利な微小粒径トナーを製造することに適した重合工法トナーが近年開発されており、このような重合工法トナーの形状は従来の粉砕工法によるトナーが岩石破片状の不定形であったのに比べ、球形に近い形状を有しており、クリーニングブレード11Aの浮き上がりによるクリーニング不良が容易に発生してしまうという問題点がある。詳しくは、球形に近いトナーは転がりやすいため、クリーニングブレード11Aの先端と像担持体が形成しているくさび形の空間領域で回転してしまい、回転する力によってブレード11Aと像担持体1の当接面内に進入してしまうことが大きな原因である。像担持体1の静止摩擦係数が十分小さい場合には、従来の粉砕工法のトナーはもちろんのこと、微小粒径の球形トナーであっても、クリーニングブレード11Aはトナーをせきとめ、良好にクリーニングすることができるが、像担持体の経時使用に伴って像担持体に接触している現像剤、転写装置、クリーニング装置との摺擦により傷つき、静止摩擦係数は上昇する。
【0028】
さらに、高温高湿環境下や、アンモニア濃度が通常の気中より高い条件下では前述の帯電装置2の放電時に発生するNOxが空気中の水分、アンモニアと結合することにより、硝酸アンモニウムが生成され、これが像担持体上に付着する。この硝酸アンモニウムの付着量が一定量以上(アンモニアイオン量に換算して約2×10−10mol/cm2)になると、像担持体表面は高摩擦係数および粘着性を帯びた状態になる。このような状態でクリーニングブレード11Aによるクリーニングを行なうと、スジ状のクリーニング不良が発生する。
【0029】
これに対し、像担持体1の表面に接するブラシ部材11より成るクリーニング部材を有する図1に示すクリーニング装置9を用いることにより上述した従来の不具合を効果的に抑制することができる。
【0030】
図1に示したクリーニング装置9は、ブラシ部材11のほかに、このブラシ部材11のブラシ16に当接して所定極性のバイアス電圧が印加されるトナー回収ローラ17と、そのトナー回収ローラ17に当接したスクレーパ部材18と、クリーニングケース10と、トナー排出部材20とを有している。ブラシ部材11は、芯部材21と、その周りに基端部が固定されたブラシ(例えばファーブラシ)16を有し、芯部材21がクリーニングケース10に回転自在に支持され、図示していない駆動装置によって矢印方向に回転駆動される。ブラシ部材11はブラシローラとして構成されているのである。かかるブラシ部材11のブラシ16は導電性を有している。トナー回収ローラ17もクリーニングケース10に回転自在に支持されて矢印方向に回転駆動される。かかるトナー回収ローラ17にはクリーナ用電源22より直流電圧が印加され、トナー回収ローラ17に接触するブラシ部材11にもトナー回収ローラ17を介して、該トナー回収ローラ17に印加されたバイアス電圧よりも幾分低いバイアス電圧が印加されている。図示した例では、トナー回収ローラ17に、現像時のトナーの帯電極性と逆極性、すなわちプラスの電圧が印加されている。
【0031】
クリーニング装置9へ送られて来た像担持体上の転写残トナーは、入口シール部材23を越えて、回転するブラシ部材11の部位に達する。この転写残トナーは、まずブラシ部材11の回転摺擦と、前述の電圧印加の作用によりブラシ16に静電的に捕獲され、次にブラシ部材11の回転とともにトナー回収ローラ17へ導かれ、該トナー回収ローラ17に印加されている電圧により、トナー回収ローラ17上に静電回収される。トナー回収ローラ17上に回収されたトナーは、該トナー回収ローラ17に接触配置されたスクレーパ部材18へトナー回収ローラ17の回転とともに送られ、該スクレーパ部材18とトナー回収ローラ17の表面との摺擦効果により掻き落とされ、トナー回収ローラ17の下方に設置されたトナー排出部材20へと落下し、トナー排出部材20の回転により生ずる搬送作用により、クリーニング装置外へ排出される。
【0032】
なお、ブラシ16を構成する導電性繊維はポリエステル、ナイロン、アクリルなどの繊維にカーボンなどの導電材料を添加したものを用いることができるが、導電性繊維であればこれらの繊維に限らない。繊維への導電性付与の方法は、導電材料をたとえば繊維表面へコーティング、あるいは繊維中に分散、挿入する方法などがあるが、この限りではない。トナー回収ローラ17は、ブラシ部材11からトナーを吸引するための電圧を印加するので導電性であることが必要である。その材質としては、たとえばSUSなどの金属や、その表面の静止摩擦係数を下げるようにフッ素系樹脂を塗布、または分散、あるいは金属との共析メッキ処理を施したものが望ましい。なお、ブラシ部材11の半径方向最外方位置での接線速度vfとトナー回収ローラ17の半径方向最外方位置での接線速度vkは、vk≧vf×0.8の関係が成立する範囲で条件設定すると望ましいトナー回収効率となる。即ち、上述のクリーニング装置9においては、上記の範囲で条件設定を行うことにより、vk又はvfを任意に設定しても、ブラシ部材11からトナー回収ローラ17へのトナー回収効率が著しく低下するようなことは発生しない。
【0033】
スクレーパ部材18としては、例えばナイロン系シート材を用いることが好ましい。トナー排出部材20は搬送コイルにより構成されている。また、図1に示したクリーニング装置9は、ブレードクリーニングとは異なり、静電気力を利用したクリーニング装置であるため、クリーニング装置通過後の像担持体表面電位も同時に制御することが可能である。そのため、トナー回収ローラ17への印加電圧をコントロールすることによって、除電ランプ12を省くことも可能である。これにより、画像形成装置の省コスト、省スペース化が図られる。
【0034】
上述のように、図1に示したクリーニング装置9においては、クリーニング部材が像担持体表面に接触するブラシ16を有するブラシ部材11により構成されているので、像担持体表面にNOxが付着して表面状態が変化し、あるいは静止摩擦係数が変化した場合においても、ブラシ部材11のブラシ16が像担持体1の表面状態に合わせて変形して接触するので、良好なクリーニング性を保つことができる。すなわち、像担持体表面に当接し、又は近接して位置する帯電装置2を使用することにより、像担持体表面にNOxが付着し、高湿環境などで吸湿して(一時的に)表面静止摩擦係数が増加しても像担持体のクリーニング性低下を防止することができる。
【0035】
また、アモルファスシリコンのような保護層を設けない有機系の電子写真感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などがある。電荷輸送物質は多くが低分子化合物として開発されているが、低分子化合物は単独で製膜性がないため、通常、不活性高分子に分散・混合して用いられる。しかし低分子電荷輸送物質と不活性高分子からなる電荷輸送層は一般に柔らかく、繰り返し使用による膜削れを生じやすいという欠点があるが、逆にブレードクリーニングにより上記画像流れ物質をごく少量ずつ膜ごと削ってリフレッシュできるという一面もあった。しかし、膜削れが進みすぎると感度ムラとなり画像に濃度ムラとして発現するという問題になる。これに対し、クリーニング部材としてブラシ部材11を用いると、そのブラシ部材11が像担持体表面を多量に削る不具合を阻止できる。像担持体表面を削らずに、転写残トナーのみを除去することも可能となり、像担持体の長寿命化が可能となる。
【0036】
硝酸アンモニウムの付着量がアンモニアイオン量に換算して約2×10−10mol/cm2になるように条件を設定し、図1に示した画像形成装置で作像を行ったところ、像担持体表面は高摩擦係数および粘着性を帯びた状態になったものの、クリーニング不良の発生はなかった。また、硝酸アンモニウムの付着量がアンモニアイオン量に換算して約3×10−10mol/cm2になるような条件に設定して作像を行っても、クリーニング不良の発生はなかった。さらに、アンモニアイオン量を増加させ、約5×10−10mol/cm2になるような条件に設定して同様の実験を行ったところ、若干のクリーニング不良が見られるようになった。
【0037】
また、図1に示したクリーニング装置9は、ブラシ部材11に付着したトナーを静電的に回収するトナー回収ローラ17と、そのトナー回収ローラ17に回収されたトナーを該トナー回収ローラ17から除去するスクレーパ部材18を有しているので、クリーニング装置9に入力される像担持体上のトナーの量が増大したときも、そのトナーを効率よく像担持体から除去することができる。特に、像担持体上にパターントナー像を形成し、その画像濃度を図示していないセンサにより検知して画像形成装置の作像条件などを制御することが一般に行われているが、このようなパターントナー像を形成したとき、多量のトナーがクリーニング装置9に入力される。また、像担持体上にトナー像が形成された状態で転写紙がジャムを起こし、その転写紙を除去した後、画像形成装置の作動を再開させたときも、多量のトナーがクリーニング装置9に入力される。このような場合にも、その多量のトナーを効率よくクリーニング装置9によって像担持体表面から除去することができる。
【0038】
ところで、像担持体1上のトナー像を転写紙Pに転写するとき、転写装置6には、そのトナー像のトナー帯電極性と逆極性(図示した例ではプラス極性)の転写電圧が印加される。このため、トナー像の転写が行われる転写位置を通過した像担持体表面に付着する転写残トナーのなかには、上記転写電圧の影響を受けて、現像時の帯電極性と逆極性、すなわちプラス極性に帯電したものが存在することがある。プラスとマイナスに帯電した転写残トナーが混在するのである。このような場合、図1に示したクリーニング装置9のブラシ部材11には、トナー回収ローラ17を介して、プラス極性のバイアス電圧が印加されているので、帯電極性がプラスに反転した転写残トナーを静電的にブラシ部材11に回収することはできない。
【0039】
そこで、図3に示した画像形成装置のクリーニング装置9には、2本のブラシ部材11,111と、その各ブラシ部材11,111のブラシ16,116にそれぞれ当接して互いに異なるバイアス電圧を印加されるトナー回収ローラ17,117と、その各回収ローラ17,117にそれぞれ当接したスクレーパ部材18,118とを有し、各ブラシ部材11,111のブラシ16,116が導電性を有しているように構成されている。この例では、一方のクリーナ用電源22によって、一方のブラシ部材11の芯部材21にプラス極性のバイアス電圧を印加し、他方のクリーナ用電源122によって、他方のブラシ部材111の芯部材121にマイナス極性の電圧を印加するように構成されている。ブラシ部材11,111の回転方向は、像担持体1の接触部において、両者が逆方向に移動するカウンタ方向としたが、両者が同じ方向に移動する順方向としてもよい。また、トナー回収ローラ17,117の回転方向は、ブラシ部材11,111との接触部において、両者が逆方向に移動するカウンタ方向とした。他の構成は、図1に示した画像形成装置と変りはない。
【0040】
上記構成によれば、転写残トナー中にプラスとマイナスの各極性に帯電したものが混在しているとき、マイナス極性の転写残トナーを、一方のブラシ部材11に静電的に回収し、プラス極性に帯電した転写残トナーについては、これを他方のブラシ部材111に静電的に回収することができる。実験によると、転写残トナーがプラスに反転する条件(転写電圧:2800V)において、ブラシ部材111に−300V、ブラシ部材11に+200Vを印加して、クリーニング装置9を通過した像担持体表面を観察したところ、良好にクリーニングが行なわれていた。各ブラシ部材11,111への印加電圧を上記のようにしたときに最も良好なクリーニング性が得られたが、転写条件やその他プロセスの諸条件が変化した場合は、最適クリーニング印加電圧も異なる。
【0041】
図3に示した構成の代りに、図4に示す如く、像担持体1の表面移動方向に関し、クリーニング装置9のクリーニング部材よりも上流側であって、像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写位置よりも下流側の像担持体表面部分に付着する転写残トナーの帯電極性を揃えるトナー帯電極性制御手段24を設けても、図3に示した画像形成装置と同様の効果を奏することができる。図4に示したトナー帯電極性制御手段24は、像担持体表面から離間して配置されていて、電源25によって高電圧を印加される例えばタングステンワイヤより成る細いワイヤ26を有するコロナ放電器より成り、本例ではこのワイヤ26に、DC−40μAにAC100μAを重畳した電圧が印加される。これにより、転写残トナーの帯電極性が現像時の帯電極性であるマイナス極性に揃えられる。
【0042】
転写位置を通過した転写残トナーのなかに、プラスとマイナスに帯電したものが混在していても、上述のように、トナー帯電極性制御手段24の作用により、その帯電極性がマイナスに揃えられるので、そのトナーをクリーニング装置9によって効率よく除去することができる。転写装置8によって転写材にトナー像を転写した後、像担持体1上に残ったトナーは、使用環境の変動や現像剤経時劣化により帯電極性が正規極性ではなく、逆極性になる場合もあり、このような場合にも安定してクリーニングを行うことができる。すなわち、図4に示したクリーニング装置9は、図1に示したクリーニング装置9と同様に構成され、トナー帯電極性制御手段24を通過してクリーニング装置9へ送られて来た転写残トナーは、まずブラシ部材11の回転摺擦により、そのブラシ16に捕獲され、次にブラシ部材11の回転とともにトナー回収ローラ17へ導かれ、トナー回収ローラ17に電圧印加することにより、トナー回収ローラ17上に静電回収される。本例ではブラシ原糸抵抗が108Ω・cm、ブラシ部材11の回転速度が350mm/sec、トナー回収ローラ17への印加電圧は50Vであるが、作像システムおよびブラシ抵抗の違いにより適切な印加電圧は異なる。図4に示したクリーニング装置の他の構成と作用は、図1に示したクリーニング装置と変りはなく、図4に示した画像形成装置の他の構成も図1に示した画像形成装置と異なるところはない。
【0043】
表1に示すように、転写直後の転写残トナーのQ/Mが逆極性の+極性であっても、トナー帯電極性制御手段24からのコロナ照射後にQ/Mが一定に制御されるので、ブラシ部材11によって良好にクリーニングできる。ワイヤー26への印加電圧はDC分はトナーの帯電量を正規極性であるマイナスに戻す目的で印加し、AC分は転写残トナーが付着している像担持体表面の電位を一定値に収束させる目的で印加している。静電気力によるクリーニングを行なうには、ブラシ部材11の電位と像担持体表面の電位差が一定になるほうが良好にクリーニングできるからである。
【0044】
【表1】
【0045】
図4に示したトナー帯電極性制御手段24は、転写残トナーを帯電して、その極性を揃えるものであり、単純な構成で、転写残トナーの帯電量を制御することができるが、ワイヤ26への印加電流が大きく、オゾン、NOxの発生が有るという欠点がある。この欠点を補うためにトナー帯電極性制御手段が、像担持体表面に接触して転写残トナーを帯電するように構成することもできる。図5にその一例を示す。ここに示したトナー帯電極性制御手段124は、電源27により電圧を印加され、これによって転写残トナーに対して電荷を注入し、該トナーの帯電極性を揃えるように構成されている。これにより、NOxの発生を抑えながら、転写残トナーの帯電極性を揃えることができる。より具体的に示すと、このトナー帯電極性制御手段124は、導電性繊維を植毛した基布を帯状にカットして芯金28に巻きつけたいわゆるブラシローラにより構成されている。導電性芯金に導電性繊維を静電植毛したブラシローラを用いても、またローラ状になっていなくても良い。かかるブラシローラの芯金28に電源27によって−400Vの電圧を印加したときの像担持体1上の転写残トナーの単位重量あたりの帯電量(Q/M)は表1と変りはない。図5に示した画像形成装置の他の構成は、図1に示した画像形成装置と変わりはない。図5に示したトナー帯電極性制御手段124によって正規極性に帯電されたトナーはクリーニング装置9により良好にクリーニングされる。
【0046】
なお、トナー帯電極性制御手段124の導電性繊維はポリエステル、ナイロン、アクリルなどの繊維にカーボンなどの導電材料を添加したものを用いたが、導電性繊維であればこれらの繊維に限らない。繊維への導電性付与の方法は、たとえば導電材料を繊維表面へコーティングし、あるいは繊維中に分散し、或いは挿入する方法などがあるが、この限りではない。トナーの極性制御性は繊維の原糸抵抗が低いほど印加する電圧が小さくて済むので望ましい。
【0047】
ところで、以上説明した例の画像形成装置においては、転写装置6として、像担持体1の表面から離間して配置されたコロナ放電器が用いられているが、かかるコロナ放電器は、その作動時に多量のオゾンを発生する。この不具合を軽減するために、転写材を介して像担持体表面に当接する接触型の転写装置を用いると有利である。図6はその一例を示す。図6に示した画像形成装置の転写装置106は、弾性体製の転写ベルト6bとこの転写ベルトを駆動する駆動ローラ6cと、両端部にテーパを付けて転写ベルトの片寄りを防止する従動ローラ6dと、転写ベルトの内側にあって転写バイアスを印加するバイアスローラ6eと、このバイアスローラ6eの高圧電源6hと、バイアスローラ6eより下流において転写ベルトの内側に配置された接触板6gと、この接触板6gによって転写ベルト6bからの帰還電流I2が戻され、高圧電源6hと接続されている転写制御板6iと、転写ベルト表面をクリーニングするベルトクリーナ6fからなる。転写ベルト表面には、フッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン)のコーティングが施され、良好なクリーニングが可能になっている。図示しないレジストローラによって搬送されてきた転写紙Pは、像担持体1上のトナー像とタイミングを合わせて送り出され、矢印方向に回転する転写ベルト6b上に進入し、該転写ベルト6bに担持されて、像担持体1に接触しながら搬送される。このとき、バイアスローラ6eに転写バイアスが印加され、転写ベルト上には像担持体1上のトナーと逆極性の電荷が付与され、像担持体上のトナー像が転写紙Pに転写される。このように、転写装置106は、その転写ベルト6bが、転写紙Pを介して像担持体1の表面に当接しながら、像担持体上のトナー像を転写紙Pに転写する。
【0048】
本例においては、表面電位−800Vに帯電した像担持体1に静電潜像を形成し、現像装置4において、その潜像をマイナス極性のトナーで現像し、バイアスローラ6eに1.4〜2kVの電圧を印加してトナー像を転写紙上に転写する。このとき、転写紙を介して像担持体に接触した転写ベルトのニップ部における表面の電位は1.2〜1.8kVになっている。転写ベルト6bとして、ベルト表面の電気抵抗が1×109〜1×1012Ω・cmで、ベルト裏面の電気抵抗が1×107〜5×108Ω・cmのものを使用しているため、転写ベルト上および転写紙上に付与された電荷は下流側に移動するに従って接触板6gによって除電される。転写後の転写紙は静電吸着によって転写ベルト上に吸着されて像担持体1上から離れ、転写ベルト6bによって搬送され定着装置8に進入し、定着後排紙される。
【0049】
転写条件としては、高圧電源6hから出力された電流値をI1とし、転写ベルト6hを介して接触板6gよりアース側へ流れる電流値を検出する。それをI2としたとき、I1−I2=Iout(=一定)となるようにI1の値を制御する。図示した例での最適条件はIout=35±5μAであったが、システムの違いによって最適条件は異なる。
【0050】
I1−I2=Ioutを35〜40μAに制御し、転写ベルト6bの抵抗が2×107〜8×108Ω・cmのとき、転写残トナーの帯電量は約−20〜―30μC/gであった。このように、転写工程による逆チャージが緩和され、転写残トナーのほとんどはもとの極性のままクリーニング装置9に入り、良好にクリーニングされる。なお、現像トナーの帯電量も約−20〜―30μC/gである。
【0051】
これに対して、転写コロトロンによる方式では転写電流が60〜70μAの時、転写残トナーの帯電量は約+10〜30μC/gであり、極性反転しているトナーと極性反転していないトナーが混在しているので、クリーニング前帯電器等のトナー極性制御手段が必須となる。図6に示した例では転写ベルトを使用したが、ベルトの代わりに転写ローラを使用したものであっても同様な効果が得られる。図6における他の構成は、前述した各例の画像形成装置と同じく構成することができる。
【0052】
次に、帯電装置2のより具体的な構成例を明らかにする。前述のように、図示した画像形成装置の帯電装置2は帯電ローラにより構成され、かかる帯電装置2は、図7乃至図12に拡大して示すように、導電性基体13とその周囲の抵抗層14を備え、導電性基体13は、直径が8〜20mmのステンレス鋼の円筒体である。また、抵抗層14は、エピクロルヒドリンゴム層とその表面を覆う樹脂の表面層からなる。または、この抵抗層14として、4フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素樹脂を主成分とした、厚みの30〜700μm、表面粗さRzが0.2〜2μm程度の樹脂チューブを用いてもよい。またはその他の均一な帯電を行うことが可能な材料を用いてもよい。図7に示した帯電装置2は像担持体1の表面に接触しながら回転しているので、経時での感光膜の磨耗低減のために弾性体としている。図8乃至図12に示すように、像担持体1と帯電装置2が非接触の場合には、両者を近接させるため帯電装置2の両端部に図示しないフィルムを巻きつけて、スペーサとした。このスペーサは、像担持体1に接触し、像担持体1と帯電装置2との間に、ある一定のギャップを得るようになっている。帯電装置2の硬度は、例えばJIS−Aで30〜80度程度であるが、像担持体に接触させる必要がないのでその耐久性を考慮すると60〜80度もしくはこれ以上の硬度でもよい。帯電装置の他の構成と作用は前述したとおりである。
【0053】
以上のような帯電装置を用いた図1に示した画像形成装置によって画像形成を行ったところ、A4 50K枚通紙後から帯電装置2にトナーの付着が見られ始め、その後スジ状の汚れに変わった。この状態でさらに作像を繰り返すと帯電装置の汚れによる放電ムラが生じ、スジ状に汚れた部分の帯電電位の低下が見られた。そこで、図9に示す清掃部材29より成る清掃手段を帯電ローラより成る帯電装置2の周面に接触配置し、同様に画像形成を行ったところ、50K枚超過後も帯電部材の汚れが発生せず、代わりに清掃部材29にトナー汚れが認められた。このまま100K通紙まで帯電装置2は良好に清掃され、像担持体1の帯電電位の低下による異常画像は発生しなかった。画像形成装置本体内に浮遊するトナーが帯電装置2の周面に付着しても、そのトナーを清掃部材29によって除去でき長期に亘って像担持体を安定状態で帯電することができる。清掃部材29は、たとえばポリウレタンなどの発砲樹脂からなるいわゆるスポンジである。このスポンジ部材を帯状に成型し、例えばポリプロピレンなどの硬い樹脂に貼り付けて帯電部材に当接させるものである。スポンジは、その表面が多孔質のため、トナーやその添加剤であるシリカや通紙した紙からでる紙紛などを確実に保持するので、清掃部材に一度付着したトナーやシリカや紙紛が、帯電装置2に再び付着することがない。
【0054】
また、図10に示すように、帯電装置2の清掃手段を、ローラ形状にした導電性のブラシ部材129により構成することもできる。このブラシ部材129のブラシは帯電装置表面に接触し、当該ブラシ部材は例えばSUSの金属棒の表面に、繊維を植毛した基布を巻きつけたものである。あるいは、金属棒に接着剤を塗布し、繊維を静電植毛したものを用いてもよい。このブラシ部材129は帯電装置2と同様に回転可能にすると効率のよいクリーニングが行えるが、装置の単純化のために回転しないような機構にしてもよい。あるいは、図11に示すように、基部材30に、ブラシの基端部を固定したブラシ部材229より成る清掃手段を用いることもできる。使用する繊維としては、絶縁性の繊維が良いが例えばナイロンなどのやわらかい繊維を使えば、帯電装置2の表面を傷つけることがないので、望ましい。さらに、図12に示すように、帯電ローラより成る帯電装置2の周面に圧接するブレード31より成る清掃手段を用いることもできる。
【0055】
像担持体1に当接した帯電装置2にも、該帯電装置をクリーニングする清掃手段を設けることができる。また、この清掃手段として、帯電装置に接触するブラシを備えたブラシ部材を具備する装置を用いると、帯電ローラより成る帯電装置2の表面の静止摩擦係数が高いときも、長期に亘って、そのブラシが帯電装置の周面に接触でき、該帯電装置を良好にクリーニングすることができる。
【0056】
一方、静電潜像を可視像化するトナーとして、重量平均径が4〜15μmのトナーを用いると、得られる画像の解像度を向上させることができる。
【0057】
重量平均径の測定方法は、以下の手順にて行う。まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径を求めることができる。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0058】
次に一成分系現像剤及び二成分系現像剤のトナーを構成する結着樹脂や着色剤などの材料をあげる。トナー全体に占める割合は、結着樹脂が75%〜93%、着色剤が3%〜10%、離型剤が3%〜8%、その他の成分は1%〜7%である。使用される結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトンなどがあげられる。
【0059】
着色剤としては、従来より知られている無機又は有機の染料/顔料が使用可能であり、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダムンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーがあげられる。必要に応じて着色剤として磁性材料を用いることも可能である。
【0060】
磁性材料としては、マグネタイト、γ−酸化鉄、フェライト鉄、過剰型フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き磁性金属;酸化鉄又は磁性金属と、コバルト、スズ、チタン、銅、鉛、亜鉛、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素の如き金属との複合金属酸化物合金又は、混合物が挙げられる。これら磁性粒子は、平均粒径が0.05乃至1.0μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1乃至0.6μmの範囲内、さらに好ましくは、0.1乃至0.4μmの範囲内であることが良い。これらの磁性粒子は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましくは1乃至20m2/gの範囲内、特に2.5乃至12m2/gの範囲内であることが良く、更にモース硬度が5〜7の範囲内であることが良い。磁性粒子の形状としては、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状があるが、8面体、6面体、球形の異方性の少ないものが好ましい。磁性トナーとして用いる場合、磁性材料を含有する磁性トナー粒子は、結着樹脂100質量部に対し10〜150質量部、好ましくは20〜120質量部磁性材料を含有することが良い。
【0061】
トナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で添加剤を少量用いることができる。この添加剤としては、例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末の如き流動性付与剤又はケーキング防止剤;例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤;及び逆極性の有機微粒子又は無機微粒子が挙げられる。
【0062】
また、定着性などを改善するために離型剤を添加することもできる。離型剤としては、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体が挙げられる。誘導体は、酸化物、ビニル系モノマーとのブロック共重合体、ビニル系モノマーのグラフト変性物を含む。その他、アルコール、脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、鉱物系ワックス、ペトロラクタムも利用できる。
【0063】
帯電制御剤については、トナーを負荷電性に制御する荷電制御剤として、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸系金属錯体、芳香族ダイカルボン酸系金属錯体があげられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、そのエステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類がある
【0064】
トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物)、この微粒子状の荷電制御剤の個数平均粒径は好ましくは、4μm以下、より好ましくは、3μm以下が良い。これらの荷電制御剤をトナー粒子中に内添する場合には、トナー粒子は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは、0.1〜20質量部、より好ましくは、0.2〜10質量部含有することが良い。
【0065】
トナーには、必要に応じて、一般に広く使用されているトナー用の添加剤、例えばコロイダルシリカのような流動化剤、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物や、炭化ケイ素等の研磨剤、脂肪酸金属塩などの滑剤等を含有させてもよい。無機微粉体はトナーに対して0.1〜2重量%使用されるのが好ましい。0.1重量%未満では、トナー凝集を改善する効果が乏しくなり、2重量%を超える場合は、細線間のトナー飛び散り,機内の汚染,感光体の傷や摩耗等の問題が生じやすい傾向がある。添加剤をトナーに混合する方法としては、従来公知の方法でよく、ヘンシェルミキサー、スピードニーダー等の装置により混合することができる。トナー混練・冷却後のトナー粉の製造方法としては、従来公知の方法でよく、例えば混練・冷却した後、これをジェットミルで粉砕し、分級して得られる。
【0066】
上述の如きトナーは、乾式一成分現像剤及び乾式二成分現像剤として使用できる。二成分現像剤として用いる場合、トナーとキャリアとの混合割合は、一般にキャリア100重量部に対しトナー0.5〜6.0重量部程度が適当である。乾式二成分現像剤として使用する場合、キャリア並びにトナーの使用量としては、トナー粒子がキャリア粒子のキャリア表面に付着して、その表面積の30〜90%を占める程度に両粒子を混合するのが好ましい。
【0067】
現像剤を構成するキャリアの核体粒子としては、従来より公知のものでよく例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物;前記強磁性体微粒子と樹脂との複合体等が挙げられる。キャリアはより耐久性を長くする目的で、表面を樹脂で被覆することが好ましい。被覆層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。中でもトナースペントを防止する点で好ましいのはシリコーン樹脂またはその変成品、弗素樹脂、特にシリコーン樹脂またはその変成品である。被覆層の形成法としては、従来と同様、キャリア核体粒子の表面に被覆層形成液を噴霧法、浸漬法等の手段で塗布すればよい。被覆層の厚さは0.1〜20μmが好ましい。
【0068】
二成分現像剤の製造例
ポリエステル樹脂(重量平均粒径300μm 軟化温度80.2℃)100重量部
カーボンブラック 10重量部
ポリプロピレン(重量平均粒径 180μm) 5重量部
四級アンモニウム塩 2重量部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後、粉砕、分級した。さらに、母体着色粒子100重量部に対して、疎水性シリカ0.3重量部を混合し、平均粒径6.8μmのトナーを得た。また、湿式法により作成したマグネタイト100重量部に対してポリビニルアルコール2重量部、水60重量部をボールミルに入れ12時間混合してマグネタイトのスラリーを調整した。このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒し、球形粒子とした。この粒子を窒素雰囲気中で1000℃の温度で3時間焼成後冷却し核体粒子1を得た。
シリコーン樹脂溶液 100重量部
トルエン 100重量部
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 15重量部
カーボンブラック 20重量部
上記混合物をホモミキサーで20分間分散し、被覆層形成液1を調整した。この被覆層形成液を流動床型コーティング装置を用いて核体粒子1を1000重量部の表面にコーティングして、シリコーン樹脂被覆キャリアを得た。上記磁性キャリアを95重量部に対し、トナー5重量部の割合で混合し、二成分現像剤を作成し、図1に示した画像形成装置に用いたところ、画像の解像度が向上した。
【0069】
また、静電潜像を可視像化するトナーとして球形状のトナーを用いると、不定形トナーを用いた場合よりも、転写材へのトナー像の転写率が向上し、画質が向上するだけでなく、クリーニング装置へ入力される転写残トナーの量が少なくなり、像担持体のクリーニング効率を高めることができる。
【0070】
異型(粉砕)トナーAとその球形化処理を行なったトナーBとで同じ方法で像担持体上に作像し、転写装置で転写した後の像担持体上の転写残トナーの比較実験を行なった。母体はポリオール樹脂、体積平均粒径は両トナーとも7μmで、同じ作像条件(帯電、露光、現像)で像担持体上にベタ画像を作像したあと、ベルト転写器に電圧を印加することにより中間転写体にトナー像を転写した。現像トナーの単位面積あたりの付着量は同じになるように現像バイアスを調整した。現像トナー付着量M1と中間転写体に転写された転写トナー付着量M2を吸引治具により測定し、転写残トナー付着量M3と、転写率(=M2/M1×100[%])を算出し、グラフにしたものが図13、図14である。横軸は両図とも転写電圧である。図13からわかるように、像担持体上に残った転写残トナー量は球形トナーのほうが少なかった。よって、クリーニング装置に入力されるトナー量は球形トナーのほうが少ないといえる。一般にクリーニング装置に入力するトナー量は少ないほうが装置への負担が少なく、長寿命が図れるため、球形トナーを用いることにより、装置の長寿命化が図れることになる。
【0071】
従来のクリーニングブレードのみを用いたクリーニング装置では、球状の小粒径トナーをクリーニングすることはトナーがすり抜けやすいことから難しく、さらに形状の面からいうと不定形トナーより球形のトナーのほうが像担持体との付着力が強く、ブレードクリーニング性が悪い。このような課題を抱えたまま経時使用すると、クリーニングされなかったトナーが接触型の帯電装置に付着し、トナーが付着した箇所は放電が不安定になることから、次の作像時の帯電不良が発生する。このようにして画像品質が劣化する。これに対し、本例の画像形成装置においては、ブラシ部材を有するクリーニング装置が用いられているので、球状の小粒径トナーを用いても、トナー像転写後の像担持体表面のクリーニング性を高め、上述した不具合の発生を抑えることができる。
【0072】
また、以上説明した各構成の画像形成装置の像担持体1として、アモルファスシリコン系の表面層を有する感光体、すなわちアモルファスシリコン感光体を使用すると、像担持体表面の経時的な磨耗をなくし、あるいは磨耗量を極く少なくでき、像担持体の寿命を延ばすことができる。
【0073】
さらに、表面に粒子状物質(フィラー)を含有している像担持体を用いると、像担持体を強化でき、その寿命を延ばすことができる。かかる像担持体を用いても、ブラシ部材より成るクリーニング部材を備えたクリーニング装置を採用することによって、トナー像転写後の像担持体表面のクリーニング性を高く保つことができる。かかる像担持体の具体的な構成例を示すと、導電性基体上に直接または中間層を介して感光層を有する感光体において、この感光層が少なくとも電荷発生物質と電荷輸送物質と粒子状物質を含有し、かかる感光層の粒子状物質が導電性基体側より最も離れた表面側の含有率が多くすることにより、耐摩耗性の向上、電気特性の安定化が達成され、高感度、高耐久の感光体を得ることができる。図15に示すように、本例の潜像担持体1の基本的構成は導電性支持体40、潜像担持層(感光層)41、粒子状物質42を含有した表面層43からなる。又、潜像担持層41としては帯電可能な電気絶縁性で有ることが必要であるが、非光導電性の誘電層又は光導電性を有した感光層が使用可能で有る。露光によって光キャリアーが発生するいわゆる電子写真感光体としては、感光層41が単層型(図15)と電荷発生層44と電荷輸送層45に分離形成された積層型(図16、17)が使用可能である。図16、図17における符号46は中間層を示している。
【0074】
粒子状物質はバインダー樹脂、低分子電荷輸送物質、及び高分子電荷輸送物質と粉砕、分散し、塗工される。粒子状物質含有表面層中の粒子状物質の含有量は5〜50重量%で好ましくは10〜40重量%であり、10重量%以下であると耐摩耗性はあるものの十分でない。50重量%以上であると感光層の透明性が損なわれる。平均粒径が0.05〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.8μmに粉砕、分散するのが好ましい。粒径が大きいと表面に頭出しクリーニングブレードを傷つけクリーニング不良が発生する。
【0075】
(実施例)
かかる像担持体の製造例を示すと、φ30mmアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液、粒子状物質層用塗工液を順次、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成して、その上に下記粒子状物質塗工液をジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーで2時間粉砕して塗工液とする。この液をスプレーで塗工して1.5μmの粒子状物質層を設け電子写真感光体を得る。
【0076】
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL,大日本インキ化学工業製)6部
メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60,大日本インキ化学工業製)4部
酸化チタン(CREL 石原産業社製) 40部
メチルエチルケトン 200部
〔電荷発生層用塗工液〕
オキソチタニウムフタロシアニン顔料 2部
ポリビニルブチラール(UCC:XYHL) 0.2部
テトラヒドロフラン 50部
〔電荷輸送層用塗工液〕
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成社製 Mv5万) 10部
【化1】
ジクロルメタン 100部
1%シリコーンオイル(KF50信越シリコーン社製)ジクロルメタン溶液 1部
〔粒子状物質層用塗工液〕
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成社製 Mv5万) 5部
酸化チタン(CR97 石原産業社製) 2部
【化2】
シクロヘキサノン(以後アノン) 200部
平均粒径は堀場製作所製CAP500で計測したところ0.3μmであった。分散媒は1:1volである。
【0077】
(比較例)
上記実施例と同様にして下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を設けた。これは粒子状物質層の無い低分子電荷輸送層の比較感光体とした。実施例、比較例の感光体を図1に示した画像形成装置に装着し、暗部電位800V、明部電位100Vに設定し5万枚の試験を行った。初期感度は780nm単色光で表面電位800Vからの半減露光量。膜厚は渦電流式膜厚計フィシャー社製フィシャーコープMMSで測定した。結果は表2に示す。粒子状物質を含有した感光体は摩耗量が少なく、感光体寿命が向上した。
【表2】
【0078】
(使用材料の具体例)
本発明に用いられる粒子状物質としては、表面層の構成樹脂より堅い粒子状物質であれば使用可能であり、無機物質、有機物質が使用可能である。例えば、酸化チタン、シリカ、酸化錫、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム等の金属酸化物が挙げられるが、特に良好なものとして酸化チタン、シリカ、酸化ジルコニウム等が挙げられる。これら粒子状物質は分散性向上などの理由から無機物、有機物で表面処理されてもよい。一般に撥水性処理としてシランカップリング剤で処理したもの、あるいはフッ素系シランカップリング剤処理したもの、高級脂肪酸処理したもの。無機物処理としてはフィラー表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカ処理したものが使用可能である。バインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、硬化性樹脂が使用可能である。例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、エポキシ樹脂等が挙げられるが、特に好ましいバインダー樹脂としては一般式2(化3)、及び3(化4)で示されるポリカーボネートである。
【化3】
【化4】
R4、R5、R6、R7はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子を表し、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基を表し、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CO−,−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)または、
【化5】
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R8、R9は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す。)を表す。ここで、 R6とR7,R8とR9は、それぞれ同一でも異なってもよい。p,qは組成を表し、0.1≦p≦1、0≦q≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。一般式の具体例は後述する。これらポリカーボネートは強靱性が高く、フィルム性が良いことが挙げられ、またこのフィラー層は電荷輸送機能をもたせるため低分子電荷輸送材との相溶性良いことが重要な条件であることから一般式2、及び3で示されるポリカーボネート好適である。
【0079】
感光体表面電荷が負極性の場合の電荷輸送材料としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの低分子電荷輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来、粒子状物質含有層中の低分子輸送物質(D)、バインダー樹脂(R)及び粒子状物質(F)の含有量はD:R:F=10〜40:35〜55:5〜40重量%含有させる。低分子電荷輸送物質が10重量%以下になると電荷移動性に起因すとと考えられる明部電位上昇、40重量%以上であると膜強度低下、バインダー樹脂は低分子輸送物質、及び粒子状物質を固定させる為で35重量%以下であると粒子状物質層の脆化が発生し、55重量%以上であると低分子輸送物質、及び粒子状物質量とのバランスの点で電気特性、膜強度で好ましくない、粒子状物質量は5重量%以下であると、耐摩耗性の点で好ましくない、40重量%以上であると膜の不透明化による地汚れなど画像劣化が発生する。
【0080】
分散溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロルメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が使用され、ボールミル、サンドミル、振動ミルなどを用いて分散、粉砕する、粒子状物質の添加量は0.5重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%である。粒子状物質の粒径は0.05〜1.0μmで好ましくは0.05〜0.8μmである。粒子状物質添加層を積層の場合の膜厚は0.5〜10μmで好ましくは0.5〜5μmである。塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
【0081】
像担持体の感光層は、単層型でも積層型でもよい。電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。更に、必要に応じて低分子電荷輸送物質を添加してもよい。
【0082】
次に、電荷輸送層について説明する。電荷輸送層は、電荷輸送材とバインダー樹脂と伴に溶解、塗工し電荷輸送層とし使用できバインダー樹脂としてはフィルム性の良いポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ、ビスフェノールCタイプ、あるいはこれら共重合体)、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエステル、メタクリル樹脂、ポリスチレン、酢酸ビニル、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダーは、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。電荷輸送層に使用される低分子電荷輸送物質は、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体(特開昭52−139065、52−139066号公報に記載)イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体(特願平1−77839号公報に記載)、ベンジジン誘導体(特公昭58−32372号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開昭57−73075号公報に記載)、ヒドラゾン誘導体(特開昭55−154955、55−156954、55−52063、56−81850などの公報に記載)、トリフェニルメタン誘導体(特公昭51−10983号公報に記載)、アントラセン誘導体(特開昭51−94829号公報に記載)、スチリル誘導体(特開昭56−29245、58−198043号公報に記載)、カルバゾール誘導体(特開昭58−58552号公報に記載)、ピレン誘導体(特願平2−94812号公報に記載)などを使用することができる。
【0083】
次に、感光層が単層構成の場合について述べる。キャスティング法等で単層感光層を設ける場合、多くは電荷発生物質と低分子ならびにバインダー樹脂よりなる機能分離型のものが挙げられる。即ち、電荷発生物質ならびに電荷輸送物質には、前出の材料を用いることができる。また、低分子電荷輸送物質とバインダー樹脂の代わりとして高分子電荷輸送物質を用いることができる。こちらも前出の材料を使用することができる。また、必要により可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。更に、必要に応じて用いることの出来るバインダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いる他に、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。単層感光体の膜厚は、5〜100μm程度が適当であり、好ましくは、10〜40μm程度が適当である。
【0084】
感光体には、導電性支持体と感光層(積層タイプの場合には、電荷発生層)との間に下引き層を設けることができる。下引き層は、接着性を向上する、モワレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。下引き層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤でもって塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン、等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、前述の感光層のごとく適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
【0085】
更に下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。この他、下引き層にはAl2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO,SnO2,TiO2,ITO,CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0086】
また、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は、有機物を含む層ならばいずれに添加してもよいが、電荷輸送物質を含む層に添加すると良好な結果が得られる。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、帯電装置の高電圧印加により電源コスト高、及びオゾンの大量発生を防止できると共に、クリーニング装置による像担持体表面のクリーニング性を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】従来のクリーニング装置を有する画像形成装置を示す概略図である。
【図3】画像形成装置の他の例を示す概略図である。
【図4】画像形成装置のさらに他の例を示す概略図である。
【図5】画像形成装置のさらに別の例を示す概略図である。
【図6】画像形成装置のさらに他の例を示す概略図である。
【図7】帯電装置の拡大図である。
【図8】帯電装置の拡大図である。
【図9】帯電装置の拡大図である。
【図10】帯電装置の拡大図である。
【図11】帯電装置の拡大図である。
【図12】帯電装置の拡大図である。
【図13】転写残トナー付着量と転写電圧の関係を示すグラフである。
【図14】転写率と転写電圧の関係を示すグラフである。
【図15】像担持体の断面構造を示す説明図である。
【図16】像担持体の断面構造を示す説明図である。
【図17】像担持体の断面構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1 像担持体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
6,106 転写装置
9 クリーニング装置
11,111,129,229 ブラシ部材
16,116 ブラシ
17,117 トナー回収ローラ
18,118 スクレーパ部材
24,124 トナー帯電極性制御手段
42 粒子状物質
Claims (12)
- 像担持体と、該像担持体を帯電する帯電装置と、帯電された像担持体を露光して該像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像をトナー像として可視像化する現像装置と、該トナー像を転写材に転写する転写装置と、トナー像を転写したあとの像担持体表面をクリーニングするクリーニング装置を備えた画像形成装置において、
前記帯電装置として、像担持体表面に対して近接し、又は当接する帯電装置を使用し、前記クリーニング装置のクリーニング部材が像担持体表面に接するブラシ部材より成ることを特徴とする画像形成装置。 - 前記クリーニング装置は、前記ブラシ部材のほかに、該ブラシ部材のブラシに当接して所定極性のバイアス電圧が印加されるトナー回収ローラと、該トナー回収ローラに当接したスクレーパ部材とを有し、前記ブラシ部材のブラシが導電性を有している請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記クリーニング装置は、2本のブラシ部材と、その各ブラシ部材のブラシにそれぞれ当接して互いに異なるバイアス電圧を印加されるトナー回収ローラと、その各回収ローラにそれぞれ当接したスクレーパ部材とを有し、前記各ブラシ部材のブラシが導電性を有している請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体の表面移動方向に関し、前記クリーニング装置のクリーニング部材よりも上流側であって、像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写位置よりも下流側の像担持体表面部分に付着する転写残トナーの帯電極性を揃えるトナー帯電極性制御手段を設けた請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記トナー帯電極性制御手段が、像担持体表面に接触して転写残トナーを帯電するように構成されている請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記転写装置が、転写材を介して像担持体表面に当接する接触型の転写装置である請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記帯電装置をクリーニングする清掃手段を設けた請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記清掃手段は、帯電装置に接触するブラシを備えたブラシ部材を具備する請求項7に記載の画像形成装置。
- 前記静電潜像を可視像化するトナーとして、重量平均径が4〜15μmのトナーを用いた請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記静電潜像を可視像化するトナーとして球形状のトナーを用いた請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記像担持体がアモルファスシリコン感光体である請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記像担持体が表面に粒子状物質を含有している請求項1乃至11のいずれかに記載の画像形成装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2003
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