JP2004210869A - 表面処理蛍光体及びその製造方法 - Google Patents

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至孝 木村
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七穂美 古舘
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達也 井上
Shinichi Furusawa
真一 古澤
Fumio Takahashi
文夫 高橋
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Abstract

【課題】特に水スラリー法による蛍光膜形成の際、残渣が少なく混色特性が良好で、かつピンホ−ル、クラックが少ない緻密で品質レベルの高い蛍光膜を形成することができる蛍光体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】蛍光体粒子表面に少なくともグリコーゲンを付着させる表面処理を施す。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線、紫外線等で励起した際、高効率に発光し、例えばブラウン管等の表示装置や蛍光ランプ等の蛍光膜に適用される蛍光体並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラウン管への蛍光膜の形成は、通常ポリビニルーアルコール(PVA)、重クロム酸塩および界面活性剤を含む感光性溶液に蛍光体を懸濁させた蛍光体スラリーを用い、これをブラウン管のガラスパネル内面に塗布する。次に、このスラリーの塗布面にストライプ状またはドット状の開口部を有するシャドウマスクを通して所定の位置に紫外線を照射して被照射部のPVAを硬化させた後、水洗により硬化させた部分以外の蛍光体スラリー塗布膜を除去し、ストライプ、またはドット状の蛍光膜が形成される。この操作を、青(B)、緑(G)、赤(R)の三原色の蛍光体スラリーについて各々行うことで各色の蛍光膜が形成される(スラリー塗布法)。
上記のようなスラリー塗布法による蛍光膜形成において、これに使用される蛍光体には次のような特性が要求される。
▲1▼ ツマリが良いこと。すなわち、緻密なストライプまたはドットが形成されており、クラック(割れ)やピンホール(孔あき)の少ない蛍光膜であること。
▲2▼ 混色がないこと。すなわち、1つの発光色の蛍光体粒子またはストライプ等の画素の一部が他の発光成分の画素に混入していないこと。
▲3▼ 残渣がないこと。すなわち、未露光部分の蛍光体の塗布面を水洗した時、蛍光体がガラスパネル上に残らないこと。
上記特性は、蛍光体の表面状態により大きく影響される。そのため、蛍光体の表面を改質させる目的で、これまでに多くの表面コート物質やそのコート方法が提案されてきた。
【0003】
例えば、無機コ−ト物質として二酸化珪素と亜鉛で表面処理することにより、蛍光体粒子の凝集を防止し緻密な膜とする蛍光膜の形成方法が開示されている。(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】
特公昭50−15747号公報
【特許文献2】
特公昭61−46512号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような手法では、ある程度の効果は見られるものの、高品位化する市場ニ−ズには十分対応しておらず、前述した要求事項を満たすには不十分なものとなっている。例えば、無機コート物質で表面コートすると分散性は上がるが、そのため蛍光体スラリーをパネルに注入し、回転塗布を行う過程で蛍光体の沈降速度が遅くなり十分な膜厚が得られず、結果としてツマリが満足できるレベルにまで達していなかった。
また、有機コート物質で表面コートすると分散性と親水性が向上し、得られる塗布膜のツマリは良くなるが、反面、高分子有機物に特徴的な分子形状である長い直鎖が、他色上あるいはガラスパネル上に付着してからみつき、混色や残渣が多くなる傾向にある。そのため、これら従来の表面処理方法では現在の高精細なカラ−映像再生の要求から求められるツマリや混色、残渣特性を全て満たすには未だ不十分な状況であった。
【0005】
一方で、近年のコスト低下要求に伴いブラウン管の生産性向上のため、例えば蛍光体スラリーの塗膜乾燥時の温度を上げ乾燥時間を短縮する傾向にあり、これに伴い乾燥時の蛍光膜中の応力変化が急速に増大し、仕上がりの蛍光膜においてはクラックや、ピンホ−ルが増加する方向となっており、その対応策としてはコート物質を増やすことになるため、混色,残渣特性へも悪影響を与えることとなる。そのため、蛍光膜の品質を向上させることは、ますます難しい状況となっている。
本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蛍光膜を形成した際、残渣が少なく混色特性の実用的品質レベルを保ちながらピンホ−ルやクラックが少ない緻密な蛍光膜を形成できる蛍光体並びにその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明者らは蛍光体粒子へのより好ましい表面コート物質並びに表面処理方法に関して鋭意検討した結果、多くの高分子有機物の中、グリコーゲンを蛍光体表面に付着させることにより、上記の課題を解決できることを見いだし本発明に至った。即ち、本発明は以下の構成からなる。
(1) 蛍光体粒子表面に少なくともグリコ−ゲンが付着されていることを特徴とする表面処理蛍光体。
(2) 前記グリコ−ゲンが有機コート物質および/または無機コート物質からなるコ−ト物質を介して蛍光体表面に付着されていることを特徴とする前記(1)記載の表面処理蛍光体。
(3)前記有機コ−ト物質が、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸化合物、アクリ
ル樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム樹脂の中の少なくとも一種であることを特徴とする前記(2)記載の表面処理蛍光体。
(4) 前記無機コ−ト物質が2価金属の化合物及び3価金属の化合物の中の少なくとも一種であることを特徴とする前記(2)記載の表面処理蛍光体。
【0007】
(5) 前記グリコ−ゲンの付着量が蛍光体の総量に対して0.01〜2重量%であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の表面処理蛍光体。
(6) 蛍光体をグリコーゲンの溶解液に分散させてなる混合物を乾燥させて該混合物中の水分を除去することによって前記蛍光体の表面にグリコーゲンを付着させることを特徴とする表面処理蛍光体の製造方法。
(7) 前記混合物を攪拌もしくは揺動させながら該混合物を乾燥させることを特徴とする請求項6記載の表面処理蛍光体の製造方法。
(8)蛍光体、グリコーゲンの溶解液及びコ−ト物質を分散させてなる蛍光体縣濁液のpH値を調整することによって、前記蛍光体表面に前記グリコーゲンを前記コート物質と共に沈着付着させた後、前記蛍光体縣濁液中の水分を除去することを特徴とする表面処理蛍光体の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の蛍光体は、蛍光体粒子表面に少なくともグリコーゲンを付着させたことを特徴とする。
本発明の蛍光体の粒子表面に付着させるグリコーゲンとは動物体内に広く存在する多糖類でα−1.4−グルコシド結合を主鎖とし、これに十数個のD−グルコ−ス単位からなる側鎖が6位の炭素原子に結合したもので、分子量数万〜数百万のものである。そして多くの高分子剤に見られるような保護コロイド性、保水性、微粒子の分散、安定効果がある。特徴的構造としてその分子形状は、多くの多糖類が細長い紐状であるのとは異なり、非常に枝分かれが多く分子全体として球形をなしている。そのため一般の高分子のように、溶液にしたときに細長いひも状直鎖が絡み合うようなことがないため、分子量が大きい割に溶液粘度が非常に小さく、溶液の流動性も高くなり、アインシュタインの粘度式が成り立つ数少ない分子コロイドとしても広く知られている。
本発明の蛍光体を製造するには、基本的には上述のグリコ−ゲンを直接単独で蛍光体表面に付着させる(直接付着法)か、有機物もしくは無機物からなるコート物質と共に蛍光体粒子の表面にグリコーゲンを付着させる方法により蛍光体の表面処理を行う(コート物質併用法)ことによって製造することが出来る。
【0009】
グリコーゲンを直接単独で蛍光体に付着させる場合は、グリコーゲンそれ自体はゲル化しないので、乾燥状態あるいは湿潤状態の蛍光体にグリコ−ゲンを添加し、そのまま乾燥させることで付着させることができる。
また、コート物質と共にグリコーゲンを蛍光体に付着させる場合は、蛍光体の懸濁液中に所定量のグリコーゲンを少量のゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸化合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム樹脂などの有機コ−ト物質と共に加え、その縣濁液のpH値を該縣濁液中の有機コート物質が析出するpH値に調整する。例えば有機コート物質がゼラチンの場合はコアーセルベーションを生成するpH4付近に縣濁液のpH値を調整することによりゼラチンの析出反応と共にグリコーゲンを同時に蛍光体表面に付着させることができる。更に、グリコーゲンの付着を安定化させるため、同様に硫酸亜鉛や硝酸アルミニウムなどの溶解液と共に加え、縣濁液のpH値を水酸化亜鉛または水酸化アルミニウムの析出に適するpH値に調整し、それら金属の水酸化物あるいは酸化物生成時に共沈させる方法等により蛍光体表面に付着させることも出来る。本発明の蛍光体においてもこれらの手法を利用することにより、蛍光体表面へグリコーゲンを付着させることができる。
【0010】
蛍光体粒子表面へのグリコ−ゲンの付着は、その粒子表面全体を被覆させるように付着させることが好ましいが、その粒子表面の一部にグリ−コゲンが付着されない状態のところがあっても本発明による効果を出すことが出来る。本発明の蛍光体はグリコーゲンが蛍光体粒子全体を被覆した蛍光体であっても蛍光体粒子表面の一部に付着させた蛍光体であっても良い。
次に蛍光体表面にグリコ−ゲンを付着させる上述の方法について更に詳細に説明する。
【0011】
グリコ−ゲンを直接単独で付着させることによる本発明の蛍光体の製造方法(直接付着法)は、先ず蛍光体粒子に少量の水を加えて含水率30%以下でペースト化したものにグリコーゲン溶液を添加後、よく混合して蛍光体中にグリコーゲンを十分に分散させて蛍光体粒子とグリコーゲンとを接触させ、その後、これを乾燥機中で撹拌しながら水分を飛ばし乾燥して微粉化させる。この蛍光体中にグリコーゲンを分散させる工程で調製される蛍光体ペーストは乾燥した蛍光体粉に水と固形状もしくは溶液化されたグリコ−ゲンを直接添加して調製しても、乾燥工程を経ず湿潤状態の蛍光体に固形状もしくは溶液化されたグリコーゲンを加えてもかまわない。ただし、蛍光体ペースト中の水分量が少なすぎると蛍光体へのグリコーゲンの均一な混合が難しく、逆に多すぎると乾燥に要する時間が長くなり生産性が落ちるので、グリコーゲンを添加し終わった状態でのペーストの含水率は15%〜40%の範囲が望ましい。
【0012】
また、グリコーゲンと蛍光体と水からなるペースト状混合物を乾燥する際、そのまま静置乾燥すると、乾燥後の蛍光体乾燥ケーキ表面にグリコーゲン付着量の多い層ができ、グリコ−ゲンの付着量にばらつきが生じることと、このグリコ−ゲンの多い層は硬いブロック状となるため、微粉化するための篩別処理時にメッシュ通りが悪化し、生産性が低下する外、篩落ちまでに蛍光体に対し長時間の外力が加わることにより、篩網との摩擦で蛍光体表面にダメージを与え好ましくない。そのため、乾燥機中での蛍光体ペーストの攪拌を行いながら乾燥させることが好ましい。乾燥しつつ撹拌を行うことで、付着量の均一化と微粉化をはかり、品質と生産性を悪化させることなく所定の蛍光体を得ることができる。
【0013】
その他にも、蛍光体をペースト化せず、高温下で粉体状態の蛍光体を撹拌および/または揺動し、流動状態の蛍光体にグリコーゲン溶液をスプレ−等で噴霧しながら乾燥付着させる乾式コート法によっても製造することが出来る。ただし、これら乾式コ−ト法の場合は設備的に大がかりとなる場合が多いが、上記のペースト化工程を経る方法に比べ一般に操作が簡便で付着量の均一化と微粉化がより容易となる。
また、グリコーゲンを付着させる蛍光体の表面には予め表面改質のためのシリカ(SiO2)、アルミナゾル(Al23)、水酸化亜鉛(Zn(OH)2)、酸化亜鉛(ZnO)などの2価または3価金属の化合物中の少なくとも1種や、ポリアクリル酸、アルギン酸化合物等の有機表面処理物質、あるいは各種顔料等の無機物の小粒子およびそれらを固定するゼラチン、アクリル樹脂、合成ゴム樹脂等の有機コート物質が予め付着したものであってもかまわない。
このグリコ−ゲンを直接単独で付着させる本発明の製造方法は、グリコ−ゲン付着量の均一化と後処理である篩い処理工程での篩処理性等の生産性確保のために、上述のように蛍光体ペースト中の蛍光体を撹拌および/または揺動しながら乾燥した方が好ましく、その点で操作がやや煩雑となるが、必要なグリコーゲンの添加量をそのまま付着させることができる点で非常に優れた手法である。
【0014】
次に、本発明の蛍光体の製造方法の別の実施態様である、グリコーゲンをコート物質を介して蛍光体表面に付着させる方法(コート物質併用法)について述べる。
この製造方法は、蛍光体懸濁溶液中にグリコーゲンをコート物質と共に添加し、このコート物質と共に蛍光体表面でグリコーゲンを固定して付着させる方法である。なお、本発明でいうコート物質とはグリコーゲンを蛍光体表面に付着させる際、蛍光体の懸濁液中にグリコーゲンと共に添加される有機物質や無機物質からなり、蛍光体表面にグリコーゲンを付着させるためのバインダー的な役割を果たす物質をいう。コート物質として有機物質を使用する場合は、蛍光体の懸濁液中にグリコーゲンを有機コート物質であるゼラチン、アラビアゴム、アクリル樹脂、合成ゴム樹脂等の有機バインダ−と共に加え、その縣濁液のpH値を調整することにより、それら有機コート物質のゲル形成時の抱き込みや、コアセルベーションの形成等によりグリコーゲンを蛍光体表面に付着させることができる。
【0015】
また、コート物質として無機コート物質を用いる場合には、コート物質である硫酸亜鉛や硝酸アルミニウムなどの金属塩溶解液をグリコーゲンと共に加え蛍光体縣濁液のpH値を調整することにより、それら金属の水酸化物あるいは酸化物生成時にグリコーゲンを共沈させることによってグリコーゲンを蛍光体表面に付着させることが出来る。これらのコート物質は有機、無機を含め数種併用してもかまわない。これらコート物質の量や付着させるために調整されるpH値は、コート物質の種類により異なるが、添加量としては概ね、グリコ−ゲン重量の0.5〜4倍量とするのが望ましく、pH値は、それらコート物質成分の等電点やゲル化点、およびコート物質の沈殿を生成するようなpH領域を選択する。
なお、本発明の蛍光体の製造方法によれば、グリコーゲンとコート物質の共存下において蛍光体懸濁液のpH調製によりそのコート物質がグリコーゲンと共に蛍光体表面に付着する際、コート物質とグリコーゲンとが順次積層されて付着する場合や互いに抱き込んで混合状態で付着する場合など種々の形態が考えられるが、グリコーゲンがコート物質と共に蛍光体表面に付着する状態を本発明においては「グリコーゲンがコート物質を介して蛍光体表面に付着する」と表現する。このコート物質を併用する製造方法は、蛍光体の縣濁液中でグリコーゲンが均一に分散し、蛍光体粒子への付着が容易に均一化でき、グリコーゲン付着量の偏りによって生じる蛍光体の硬い層も生じない。そのため、脱水後にそのまま静置乾燥することも可能であり、付着量のばらつきを生じにくい。
【0016】
また、本発明において、蛍光体粒子の表面に付着させるグリコーゲンの量は、その付着方法に関わらず蛍光体総重量(100%)に対し0.01〜2重量%が望ましい。0.01重量%より少ないとグリコ−ゲン付着が難かしくかつ効果も得にくい、また、2重量%よりも多いと得られた蛍光体が凝集する傾向が強くなり、グリコ−ゲン被覆後の乾燥工程で蛍光体が硬いブロック状となり篩別処理時のメッシュ通りが悪化し、生産性が低下するばかりでなく、篩落ちまでに蛍光体に対し長時間の外力が加わることで、篩網との摩擦により蛍光体表面にダメージを与え品質上好ましくない。さらに好ましくは0.05〜1重量%の範囲が良い。
本発明の表面処理に使用される蛍光体は、電子線または紫外線による励起下で高輝度の発光を呈する実用の蛍光体であれば特に限定されるものではなく、例えばブラウン管等の表示装置用としては、一般に用いられている酸硫化希土類化合物蛍光体、硫化亜鉛蛍光体などを挙げることができる。
【0017】
【作用】
本発明によれば、蛍光体粒子の表面にグリコ−ゲンを付着させることにより、前述のグリコ−ゲンの特性が生かされ、蛍光体スラリ−中での蛍光体粒子の分散性および流動性を高めることができる。そのため、ガラスパネル上に塗布された蛍光体の塗布膜を乾燥する際にも膜凝集を抑えることができ、その結果、形成された蛍光膜の緻密性と均一性を大幅に向上させることが出来る。また、これまで提案されている有機コート物質であるゼラチン等に見られるような感光性がないため、それ自体が塗布スラリー中及び塗布工程で硬化することにより他色ドット上あるいはガラス面上への残留付着による混色、残渣の悪化を起こすようなことがなく、更に、多くの高分子有機物に見られるような長い直鎖のからみつきもないために、混色や残渣の点での実用的品質レベルも大幅に向上する。
【0018】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではではない。
〔実施例1〕
予め弁柄顔料を被覆した赤色発光蛍光体(Y22S:Eu)1kgを、脱イオン水(以下水という)200mlに懸濁させ、攪拌してペースト状にし、蛍光体ペーストを調製した。
この蛍光体ペースト中に10%に希釈したグリコ−ゲン溶液5mlを加え、120゜Cの雰囲気下で混練りしながら乾燥した。乾燥後、篩別処理を行い実施例1の蛍光体を得た。
〔実施例2〜3〕
グリコ−ゲンの添加量をそれぞれ表1に示す量とした以外はそれぞれ実施例1の蛍光体と同様にして実施例2の蛍光体及び実施例3の蛍光体を得た。図1に実施例2の蛍光体を用いてスラリー法によりガラスパネル上にドット状蛍光膜を形成し、これに紫外線を照射して発光させた時のパネル写真を示す。
【0019】
〔実施例4〕
赤色発光蛍光体(Y22S:Eu)1kgを、水2000mlに懸濁させ蛍光体スラリ−を調製した。得られた蛍光体スラリ−に有機コート物質として10%−ゼラチン溶液10ml(蛍光体に対し0.1重量%)、10%に希釈したアラビアゴム溶液10ml(蛍光体に対し0.1%)と10%に希釈したグリコ−ゲン溶液50ml(蛍光体に対し0.5重量%)とを添加して撹拌した。
撹拌しながら、更にコロイダルシリカ溶液(蛍光体に対しSiとして0.05重量%相当)を添加し、次いで10%に希釈した硫酸亜鉛水溶液10mlを添加し15分間撹拌し、更に撹拌を続けながらアンモニア水を滴下して蛍光体スラリーのpHを8.0に調整した。その後、静置して蛍光体を沈降させ、上澄液を除去しヌッチェにて脱水濾過し120゜Cで乾燥した。乾燥後、篩別処理を行い実施例4の蛍光体を得た。
〔実施例5〜6〕
ゼラチン、アラビアゴム、グリコーゲン、Zn及びSiの添加量をそれぞれ表1に示す量とした以外はそれぞれ実施例4の蛍光体と同様にして実施例5の蛍光体及び実施例6の蛍光体を得た。
〔比較例1〕
調製した蛍光体ペースト中にグリコ−ゲンを添加しなかった以外は実施例1の蛍光体と同様にして比較例1の蛍光体を得た。図2に比較例1の蛍光体を用いてスラリー法によりガラスパネル上にドット状蛍光膜を形成し、これに紫外線を照射して発光させた時のパネル写真を示す。
【0020】
〔比較例2〕
調製した蛍光体スラリー中にグリコ−ゲンを添加しなかった以外は実施例5の蛍光体と同様にして比較例2の蛍光体を得た。図3に比較例2の蛍光体を用いてスラリー法によりガラスパネル上にドット状蛍光膜を形成し、これに紫外線を照射して発光させた時のパネル写真を示す。
【0021】
[評価試験]
上記のようにして得た実施例1〜6及び比較例1〜2の各蛍光体のそれぞれについて、蛍光体100重量部に水165重量部とポリピニルアルコール8.5重量部と重クロム酸ナトリウム0.85重量部と界面活性剤0.7重量部とを混合し、蛍光体塗布スラリーを調製した。この蛍光体塗布スラリーを各々、ガラスパネル上へ注入して回転塗布し、現像のプロセスを経ることにより、所定の大きさのドット状蛍光膜を形成し、得られた8種類のドット状蛍光膜について下記の方法によりそれぞれ混色評価、ツマリ評価並びに残渣の評価をした。その結果を表2に示す。
〈混色の評価〉
予め青色発光蛍光体を塗布して、青色蛍光体からなるドット状蛍光膜を形成しておいたガラスパネル上の青色蛍光膜が形成されていない部分に、上記方法により実施例1〜6及び比較例1〜2の各赤色蛍光体からなる蛍光体を塗布してドット状の蛍光膜を形成し、得られたガラスパネルに外面から紫外線を照射して蛍光膜面を発光させ、その時観察したガラスパネルの観察面(0.2mm×0.2mm)の単位面積当たりの青色発光蛍光体からなるドット状蛍光膜面上に残る赤色発光蛍光体の粒子数を光学顕微鏡で観察し、10ヶ所の計数値の平均を求めてこの計数値を混色の評価値とした。この計数値が小さいほど混色が少ないことを示す。
【0022】
〈ツマリの評価〉
それぞれの蛍光体からなるドット状蛍光膜をガラスパネル表面に形成して得られた蛍光面に、ガラスパネル外面から蛍光灯を点灯してドットを通過する蛍光灯からの光を顕微鏡で観察して、その時の透過光の程度の大小によりツマリの程度を点数化し評価した。
ツマリの程度の点数化は、比較例1の蛍光体からなるドット状蛍光膜の場合の透過光の程度(膜充填性)を3点と決め、これを基準としてそれぞれの蛍光膜の場合の透過光の程度を5点満点で相対的に数値化しツマリの程度を評価した。この点数が大きいほど蛍光膜のツマリの程度が良好であることを示す。
〈残渣の評価〉
上述のようにして各蛍光体からなる所定のドット状蛍光膜が形成されたパネルに紫外線を照射して蛍光膜を発光させ、目的とするドット形状以外の場所のガラスパネル表面上に残留する蛍光体粒子の数を光学顕微鏡で観測し、その数を計測して、その10ヶ所の計数点での平均値を求めた。この評価点が多いほどパネル面の残渣が多いことを表す。
【0023】
【表1】
Figure 2004210869
【0024】
【表2】
Figure 2004210869
【0025】
表2からわかるように、グリコーゲンを直接蛍光体表面に付着させる表面処理が施された本発明の蛍光体(実施例1〜3)はグリコーゲンを表面に付着させていない従来の蛍光体(比較例1)に比べて、これを用いて蛍光膜を形成した場合、残渣は変わらないもののツマリが大幅に良くなっており、混色も少なくなっていた。また、コート物質とグリコーゲンとを併用して表面処理した蛍光体(実施例4〜6)はグリコーゲンを使用せず、コート物質のみで表面処理した従来の蛍光体(比較例2)に比べて残渣が少なく、ツマリもよくなり、混色も少なくなっていた。
従って、本発明の表面処理を施した蛍光体を用いることにより、混色または残査の実用的レベルを確保しながら目的のツマリを改善することができ、図1〜3の比較で示されるようにピンホール及びクラックの少ない緻密で高品位の蛍光膜を得ることが出来る。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の蛍光体によればスラリー法により蛍光膜を形成した場合、ツマリ、混色等の塗布特性が良好な蛍光膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の蛍光体からなる蛍光膜のパネル写真である。
【図2】比較例1の蛍光体からなる蛍光膜のパネル写真である。
【図3】比較例2の蛍光体からなる蛍光膜のパネル写真である。

Claims (8)

  1. 蛍光体粒子表面に少なくともグリコ−ゲンが付着されていることを特徴とする表面処理蛍光体。
  2. 前記グリコ−ゲンが有機コート物質および/または無機コート物質からなるコ−ト物質を介して蛍光体表面に付着されていることを特徴とする請求項1記載の表面処理蛍光体。
  3. 前記有機コ−ト物質が、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸化合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム樹脂の中の少なくとも一種であることを特徴とする請求項2記載の表面処理蛍光体。
  4. 前記無機コ−ト物質が2価金属の化合物及び3価金属の化合物の中の少なくとも一種であることを特徴とする請求項2記載の表面処理蛍光体。
  5. 前記グリコ−ゲンの付着量が蛍光体の総量に対して0.01〜2重量%であることを特徴とする請求項第1〜4のいずれか−項に記載の表面処理蛍光体。
  6. 蛍光体とグリコーゲンの溶解液とを混合し分散させてなる混合物を乾燥させて該混合物中の水分を除去することによって前記蛍光体の表面にグリコーゲンを付着させることを特徴とする表面処理蛍光体の製造方法。
  7. 前記混合物を攪拌もしくは揺動させながら該混合物を乾燥させることを特徴とする請求項6記載の表面処理蛍光体の製造方法。
  8. 蛍光体、グリコーゲンの溶解液及びコ−ト物質を分散させてなる蛍光体縣濁液のpH値を調整することによって、前記蛍光体表面に前記グリコーゲンを前記コート物質と共に沈着付着させた後、前記蛍光体縣濁液中の水分を除去することを特徴とする表面処理蛍光体の製造方法。
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KR101928037B1 (ko) 2017-02-28 2018-12-11 창원대학교 산학협력단 알지네이트 기반 생체적합성 양친매성 중합체로 기능화된 바이오 이미징용 업컨버젼 발광 나노 입자
JPWO2018062527A1 (ja) * 2016-09-29 2019-06-24 Jx金属株式会社 レーザー焼結用表面処理金属粉

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2018062527A1 (ja) * 2016-09-29 2019-06-24 Jx金属株式会社 レーザー焼結用表面処理金属粉
JP2020073727A (ja) * 2016-09-29 2020-05-14 Jx金属株式会社 レーザー焼結用表面処理金属粉
JP7079237B2 (ja) 2016-09-29 2022-06-01 Jx金属株式会社 レーザー焼結用表面処理金属粉
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