JP2004204702A - 燃料噴射ノズル - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間使用しても開弁圧をほぼ一定に保つことができる燃料噴射ノズルを提供する。
【解決手段】ノズルボディ3に円錐状のノズルボディ側シート面33aを形成し、ノズルバルブ5をノズルボディ3内に摺動可能に収容する。ノズルバルブ5に円錐部54を設け、円錐部54の先端にノズルバルブ中心軸Cと直交する平坦面54aを形成した。円錐部54と平坦面54aとの境界をノズルボディ側シート面33aに接触させた。
【選択図】 図1
【解決手段】ノズルボディ3に円錐状のノズルボディ側シート面33aを形成し、ノズルバルブ5をノズルボディ3内に摺動可能に収容する。ノズルバルブ5に円錐部54を設け、円錐部54の先端にノズルバルブ中心軸Cと直交する平坦面54aを形成した。円錐部54と平坦面54aとの境界をノズルボディ側シート面33aに接触させた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は燃料噴射ノズルに関し、特にディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルとして好適な燃料噴射ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃料噴射ノズルとして、ノズルボディとノズルバルブとを有するものが知られている(例えば、特開平7−119582号公報参照)。
【0003】
ノズルボディはほぼ有底円筒状である。ノズルボディの先端部には噴霧孔が形成され、ノズルボディの先端部の内側には円錐状のノズルボディ側シート面が形成されている。
【0004】
ノズルバルブはノズルボディ内に摺動可能に収容されている。ノズルバルブの先端部には第1円錐面と第2円錐面とが形成されている。第2円錐面は第1円錐面よりも噴霧孔側に位置する。第1円錐面と第2円錐面との境界部分はノズルボディ側シート面に接触する。そして、第1円錐面と第2円錐面との境界部分とノズルボディ側シート面との接触部分が燃料の流れを阻止するシール部となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−119582号(段落0016〜18、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
燃焼室への燃料の供給と停止とは第1円錐面と第2円錐面との境界部分がノズルボディ側シート面に対して接触したり離れたりして行われるので、時間の経過に伴ってノズルボディ側シート面は次第に摩耗する。
【0007】
ノズルボディ側シート面が摩耗する前、第1円錐部と第2円錐部との境界部分はノズルボディ側シート面に線接触するが、ノズルボディ側シート面が摩耗すると、第1円錐面と第2円錐面との境界部分はノズルボディ側シート面に面接触する。その結果、第2円錐部のノズルボディ側シート面に接触している部分の最も噴霧孔側の部位がシール部となる。
【0008】
すなわち、シール部は、ノズルボディ側シート面が摩耗する前は第1円錐面と第2円錐面との境界部分上にあるが、ノズルボディ側シート面が摩耗するにつれて第2円錐面上をノズルボディの先端の方(噴霧孔の方)へ向かって移動する。このようにシール部が第2円錐面上をノズルボディの先端の方へ向かって移動すると、シール部によって形成される仮想円の径、すなわちシール径が次第に小さくなる。
【0009】
シール径が小さくなると、それに反比例してノズルバルブをノズルボディ側シート面から離す方向の燃料の圧力を受ける受圧面積が大きくなる。
【0010】
このように受圧面積が大きくなると、燃料噴射ノズルの開弁圧が小さくなり、燃料噴射ノズルが開いている時間が長くなるので、燃料が燃焼室に過剰に供給され、不完全燃焼が生じることがある。
【0011】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は長期間使用しても開弁圧をほぼ一定に保つことができる燃料噴射ノズルを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため請求項1の発明の燃料噴射ノズルは、円錐状のノズルボディ側シート面を有するノズルボディと、このノズルボディ内に摺動可能に収容されたノズルバルブとを備えている燃料噴射ノズルにおいて、前記ノズルバルブは円錐部を有し、前記円錐部の先端に平坦面又は凹面が形成され、前記円錐部の外周面と前記平坦面又は前記凹面との境界が前記ノズルボディ側シート面に接触することを特徴とする。
【0013】
上述のように円錐部の先端に平坦面又は凹面が形成されているので、ノズルボディ側シート面が摩耗すると、平坦面又は凹面とノズルボディ側シート面とが面接触し、平坦面又は凹面のノズルボディ側シート面に接触している部分の最も内側の部位にシール部ができる。ノズルボディ側シート面の摩耗深さが同じであるならば、ノズルボディ側シート面の摩耗に伴うシール径の縮小の割合は、ノズルバルブ側のシール部が位置する面とノズルボディ側シート面とがなす角度が小さいほど大きい。平坦面又は凹面とノズルボディ側シート面とがなす角度は従来の第2円錐面とノズルボディ側シート面とがなす角度よりも著しく大きい。したがって、請求項1の発明の燃料噴射ノズルは従来のものよりもシール径が小さくなり難い。
【0014】
請求項2の発明の燃料噴射ノズルは、円錐状のノズルボディ側シート面を有するノズルボディと、このノズルボディ内に摺動可能に収容されたノズルバルブとを備えている燃料噴射ノズルにおいて、前記ノズルバルブは前記ノズルボディ側シート面に接触可能な円柱部を有し、前記円柱部の先端に平坦面又は凹面が形成されていることを特徴とする。
【0015】
上述のように円柱部の先端に平坦面又は凹面が形成されているので、平坦面又は凹面とノズルボディ側シート面とがなす角度は従来の第2円錐面とノズルボディ側シート面とがなす角度よりも著しく大きい。したがって、請求項2の発明の燃料噴射ノズルは従来のものよりもシール径が小さくなり難い。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の燃料噴射ノズルにおいて、前記平坦面又は前記凹面に、前記ノズルボディ側シート面が摩耗したときにそのノズルボディ側シート面への接触を回避できる形状を有する突起部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
上述のように突起部が設けられているので、平坦面又は凹面とノズルボディ側シート面との間に形成される空間部の容積が突起部によって小さくなる。
【0018】
請求項4の発明の燃料噴射ノズルは、請求項1、2又は3項記載の燃料噴射ノズルにおいて、前記平坦面又は前記凹面の外周部に、環状突起が設けられていることを特徴とする。
【0019】
上述のように平坦部又は凹面の外周部に環状突起が設けられているので、ノズルボディ側シート面の摩耗が進んだとしても、シール部が環状突起の内周縁よりも半径方向内側に移動しない。したがって、ノズルボディ側シート面の摩耗に伴うシール径の縮小がより少なくなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1、2はこの発明の第1実施形態に係る燃料噴射ノズルを示し、図1は燃料噴射ノズルの縦断面図、図2は燃料噴射ノズルの先端部の拡大断面図である。
【0022】
この燃料噴射ノズルは、直噴ディーゼルエンジン用の燃料噴射ノズルであり、図1に示すように、ノズルボディ3とノズルバルブ5とを備える。
【0023】
ノズルボディ3はほぼ有底円筒状であり、大径部31と小径部32と弁座部33とを有する。
【0024】
大径部31は燃料溜り31aと保持孔31bと燃料供給路31cとを有する。燃料溜り31aは大径部31の小径部側端部に形成されている。保持孔31bはノズルボディ3の中心軸Cに沿って延び、燃料溜り31aに通じている。燃料供給路31cは燃料溜り31aに通じている。
【0025】
小径部32は大径部31の一端に設けられている。小径部32は燃料流通路32aを有する。
【0026】
弁座部33はほぼ円錐形であり、小径部32の一端に設けられている。弁座部33の内側には円錐形のノズルボディ側シート面33aが形成されている。また、弁座部33にはノズルボディ3内の燃料を燃焼室(図示せず)に向けて噴霧する噴霧孔33bが形成されている。
【0027】
ノズルバルブ5はニードル弁体であり、ノズルボディ3内に摺動可能に収容されている。ノズルバルブ5は大径部51と受圧部52と小径部53と円錐部54とを有する。
【0028】
大径部51は保持孔31bによってノズルボディ3の中心軸Cに沿って摺動可能に保持されている。
【0029】
受圧部52は大径部51の一端に設けられている。受圧部52は燃料溜り31a内に収容され、円錐部54をノズルボディ側シート面33aから離す方向の燃料の圧力を受ける。
【0030】
小径部53は受圧部52の一端に設けられ、燃料流通路32a内に収容されている。
【0031】
円錐部54は小径部53の一端に設けられている。図2に示すように、円錐部54の先端には中心軸Cに直交する平坦面54aが形成されている。円錐部54の外周面54bと平坦面54aとの境界部分がノズルボディ側シート面33aに接触する。
【0032】
次にこの燃料噴射ノズルの動作について説明する。
【0033】
ディーゼルエンジン(図示せず)のピストンが上死点に近付くと、燃料ポンプ(図示せず)から燃料噴射ノズルに燃料が送られてくる。燃料ポンプからの燃料は燃料供給路31cを通じて燃料溜り31aに流入する。燃料が燃料溜り31aに流入すると、この燃料の圧力が受圧部52に作用し、ノズルバルブ5を図1の下方へ押圧するスプリング(図示せず)のばね力に抗してノズルバルブ5が図1の上方へ移動する。この結果、円錐部54がノズルボディ側シート面33aから離れ、燃料は円錐部54とノズルボディ側シート面33aとの間を通り、噴霧孔33bから燃焼室に噴霧される。ディーゼルエンジンのクランクシャフトのクランク角が所定の角度になると、燃料ポンプから燃料噴射ノズルへの燃料の供給が停止される。燃料の供給が停止されると、燃料溜り31a内の燃料の圧力が低下し、スプリングのばね力により、ノズルバルブ5が下方へ移動し、円錐部54がノズルボディ側シート面33aに着座する。その結果、燃料が堰き止められ、噴霧孔333bからの燃料の噴霧が終了する。
【0034】
図3は第1実施形態の燃料噴射ノズルにおけるシール部の移動を示す概念図であり、図4は比較例の燃料噴射ノズルにおけるシール部の移動を示す概念図である。シール部とはノズルバルブ5とノズルボディ側シート面33aとの接触部分であって、燃料の流れを阻止する部分をいう。
【0035】
図3に基づいて第1実施形態の燃料噴射ノズルの作用を図4に示す比較例と比較しながら説明する。
【0036】
図3中に1点鎖線で示すように、ノズルボディ側シート面33aが摩耗していないとき、ノズルバルブ5の平坦面54aと外周面54bとの境界部分がノズルボディ側シート面33aに線接触し、このときシール部は図3のS1に位置し、そのシール部のシール径はT1である。
【0037】
ノズルボディ側シート面33aが摩耗すると、平坦面54aとノズルボディ側シート面33aとが面接触するようになる。
【0038】
図3中に2点鎖線で示すように、ノズルボディ側シート面33aに直交する方向でノズルボディ側シート面33aが深さF1まで摩耗すると、それに伴いシール部は図3のS1の位置からS2の位置まで移動する。このときのシール部のシール径はT2である。
【0039】
図3中に実線で示すように、ノズルボディ側シート面33aが深さF2まで摩耗すると、シール部は図3のS2の位置からS3の位置まで移動する。このときのシール部のシール径はT3である。
【0040】
このように、ノズルボディ側シート面33aが摩耗するにつれてシール部は平坦面54a上を中心軸Cの方へ移動する。平坦面54aとノズルボディ側シート面33aとがなす角度はαである。
【0041】
これに対し、比較例では、図4中に1点鎖線で示すように、ノズルボディ側シート面33aが摩耗していないとき、ノズルバルブ905の第1円錐面958と第2円錐面959との境界部分がノズルボディ側シート面33aに線接触する。このとき、シール部は図4のS11に位置し、そのときのシール径はT11である。
【0042】
ノズルボディ側シート面33aが摩耗すると、第2円錐面959とノズルボディ側シート面33aとが面接触するようになる。
【0043】
図4中に2点鎖線で示すように、ノズルボディ側シート面33aが深さF1まで摩耗すると、それに伴いシール部は図4のS11からS12まで移動する。このときのシール部のシール径はT12である。
【0044】
図4中に実線で示すように、ノズルボディ側シート面33aが深さF2まで摩耗すると、シール部は図4のS12の位置からS13の位置まで移動する。このときのシール部のシール径はT13である。
【0045】
このように、ノズルボディ側シート面33aが摩耗するにつれてシール部は第2円錐面959上を中心軸Cの方へ移動する。第2円錐面959とノズルボディ側シート面33aとがなす角度はβである。
【0046】
ノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール部の移動距離はノズルバルブ側のシール部が移動する面とノズルボディ側シート面33aとがなす角度に反比例する。一方、シール径はシール部の移動距離に比例して小さくなる。
【0047】
この実施形態と比較例とを比べると、α>βであるので、比較例の方がノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール部の移動距離は長い。したがって、図からも明らかなように、ノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール径の縮小はこの実施形態の方が比較例よりも小さく、T2>T12、T3>T13(T1=T11)である。
【0048】
以上のように、この実施形態の燃料噴射ノズルによれば、ノズルボディ側シート面33aが摩耗したときのシール径の縮小は従来のものよりも著しく小さいので、燃料噴射ノズルを長期間使用しても従来のものよりもシール径が小さくならない。したがって、この実施形態の燃料噴射ノズルによれば、長時間使用しても開弁圧をほぼ一定に保つことができる。
【0049】
図5はこの発明の第2実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の拡大断面図である。
【0050】
第2実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第1実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0051】
図5に示すように、円錐部54の先端には凹面254aが形成されている。凹面254aの中心点254bは中心軸C上にある。外周面54bと凹面254aとの境界部分がノズルボディ側シート面33aに接触する。
【0052】
図6は第2実施形態の燃料噴射ノズルにおけるシール部の移動を示す概念図である。
【0053】
図6に示すノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール部の移動(S1´〜S3´)は第1実施形態と同様であるので、シール部の移動についての説明を省略する。
【0054】
凹面254aとノズルボディ側シート面33aとがなす角度はγである。第2実施形態と第1実施形態とを比べると、γ>αであるので、第2実施形態の方がノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール部の移動距離は僅かに短い。したがって、図からも明らかなように、ノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール径の縮小は第2実施形態の方が第1実施形態よりも小さく、T2´>T2、T3´>T3(T1´=T1)である。
【0055】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、ノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール径の減少をより少なくすることができる。
【0056】
図7はこの発明の第3実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【0057】
第3実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第1実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0058】
第3実施形態では円錐部54の先端に形成された平坦面54aに突起部355が設けられている。突起部355は、ノズルボディ側シート面33aが円錐部54との接触によって摩耗したときにノズルボディ側シート面33aとの接触を回避できるように、直線部を持たない漏斗状に形成されている。
【0059】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、平坦面54aとノズルボディ側シート面33aとの間に形成される空間部4の容積が突起部355によって小さくなるので、空間部4内の残留燃料の量を減少させることができる。
【0060】
図8はこの発明の第4実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【0061】
第4実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第1実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0062】
第4実施形態では平坦面54aの中央部に円柱状の突起部455が設けられている。突起部455は、ノズルボディ側シート面33aが円錐部54との接触によって摩耗したときにノズルボディ側シート面33aとの接触を回避できるような直径と高さとを有する。
【0063】
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、空間部4の容積が突起部455によって小さくなるので、空間部4内の残留燃料の量を減少させることができる。
【0064】
図9はこの発明の第5実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【0065】
第5実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第1実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0066】
第5実施形態では平坦面54aの外周部に環状突起554cが設けられている。この環状突起554cにより、シール部は図9のS1からS2までしか移動しない。
【0067】
第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、シール部が環状突起554cの内周縁554dよりも半径方向内側に移動しないので、ノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール径の減少をより少なくすることができる。
【0068】
図10はこの発明の第6実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【0069】
第6実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第1実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0070】
第1実施形態ではノズルバルブ5の小径部53の先端に円錐部54が設けられているが、第6実施形態ではノズルバルブ605の円柱状の小径部(円柱部)653の先端にはノズルバルブ3の中心軸Cと直交する平坦面653aが形成されている。この平坦面653aと小径部653の外周面653bとの境界部分がノズルボディ側シート面33aに接触する。
【0071】
第6実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0072】
図11はこの発明の第7実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【0073】
第7実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第6実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第6実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0074】
第7実施形態ではノズルバルブ705の小径部653の平坦面653aに突起部756が形成されている。突起部756は、ノズルボディ側シート面33aが小径部653との接触によって摩耗したときにノズルボディ側シート面33aとの接触を回避できるように、直線部を持たない漏斗状に形成されている。
【0075】
第7実施形態によれば、第6実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、空間部4の容積が突起部756によって小さくなるので、空間部4内の残留燃料の量を減少させることができる。
【0076】
図12はこの発明の第8実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【0077】
第8実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第6実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第6実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0078】
第8実施形態ではノズルバルブ805の小径部653の平坦面653aの中央部に円柱状の突起部856が設けられている。突起部856は、ノズルボディ側シート面33aが円錐部54との接触によって摩耗したときにノズルボディ側シート面33aとの接触を回避できるような直径と高さとを有する。
【0079】
第8実施形態によれば、第6実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、空間部4の容積が突起部856によって小さくなるので、空間部4内の残留燃料の量を減少させることができる。
【0080】
なお、第1〜8実施形態はディーゼルエンジン用の燃料噴射ノズルであるが、この発明の適用範囲はこれに限られるものではなく、この発明を流体の噴射ノズル全般に適用できる。
【0081】
また、第6〜8実施形態において、第5実施形態と同様に平坦面653aの外周部に環状突起を設けてもよい。
【0082】
なお、第5実施形態の環状突起554cの代わりに、平坦面54aの外周部の半径方向内側に環状溝を形成してもよいし、平坦面54aの外周部を残して平坦面54aに凹部を形成してもよい。
【0083】
また、第3〜5実施形態の平坦面54aの代わりに、第2実施形態のように凹面を形成してもよい。
【0084】
なお、第6〜8実施形態の平坦面653aの代わりに、第2実施形態のように凹面を形成してもよい。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1及び2の発明の燃料噴射ノズルによれば、従来のものよりもシール径が小さくなり難いので、長期間使用しても開弁圧をほぼ一定に保つことができる。
【0086】
請求項3の発明の燃料噴射ノズルによれば、平坦面とノズルボディ側シート面との間に形成される空間部の容積が突起部によって小さくなるので、空間部内の残留燃料の量を減少させることもできる。
【0087】
請求項4の発明の燃料噴射ノズルによれば、ノズルバルブの径方向においてシール部が環状突起の内周縁よりも半径方向内側に移動しないので、シール径の減少をより少なくでき、開弁圧の変化をより少なくすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態に係る燃料噴射ノズルの縦断面図である。
【図2】図2は図1に示す燃料噴射ノズルの先端部の拡大断面図である。
【図3】図3は第1実施形態の燃料噴射ノズルにおけるシール部の移動を示す概念図である。
【図4】図4は比較例の燃料噴射ノズルにおけるシール部の移動を示す概念図である。
【図5】図5はこの発明の第2実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の拡大断面図である。
【図6】図6は第2実施形態の燃料噴射ノズルにおけるシール部の移動を示す概念図である。
【図7】図7はこの発明の第3実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【図8】図8はこの発明の第4実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【図9】図9はこの発明の第5実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【図10】図10はこの発明の第6実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【図11】図11はこの発明の第7実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【図12】図12はこの発明の第8実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【符号の説明】
1 燃料噴射ノズル
3 ノズルボディ
5 ノズルバルブ
33a ノズルボディ側シート面
54 円錐部
54a 平坦面
254a 凹面
355 突起部
455 突起部
554c 環状突起
653a 平坦面
756 突起部
856 突起部
【発明の属する技術分野】
この発明は燃料噴射ノズルに関し、特にディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルとして好適な燃料噴射ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃料噴射ノズルとして、ノズルボディとノズルバルブとを有するものが知られている(例えば、特開平7−119582号公報参照)。
【0003】
ノズルボディはほぼ有底円筒状である。ノズルボディの先端部には噴霧孔が形成され、ノズルボディの先端部の内側には円錐状のノズルボディ側シート面が形成されている。
【0004】
ノズルバルブはノズルボディ内に摺動可能に収容されている。ノズルバルブの先端部には第1円錐面と第2円錐面とが形成されている。第2円錐面は第1円錐面よりも噴霧孔側に位置する。第1円錐面と第2円錐面との境界部分はノズルボディ側シート面に接触する。そして、第1円錐面と第2円錐面との境界部分とノズルボディ側シート面との接触部分が燃料の流れを阻止するシール部となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−119582号(段落0016〜18、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
燃焼室への燃料の供給と停止とは第1円錐面と第2円錐面との境界部分がノズルボディ側シート面に対して接触したり離れたりして行われるので、時間の経過に伴ってノズルボディ側シート面は次第に摩耗する。
【0007】
ノズルボディ側シート面が摩耗する前、第1円錐部と第2円錐部との境界部分はノズルボディ側シート面に線接触するが、ノズルボディ側シート面が摩耗すると、第1円錐面と第2円錐面との境界部分はノズルボディ側シート面に面接触する。その結果、第2円錐部のノズルボディ側シート面に接触している部分の最も噴霧孔側の部位がシール部となる。
【0008】
すなわち、シール部は、ノズルボディ側シート面が摩耗する前は第1円錐面と第2円錐面との境界部分上にあるが、ノズルボディ側シート面が摩耗するにつれて第2円錐面上をノズルボディの先端の方(噴霧孔の方)へ向かって移動する。このようにシール部が第2円錐面上をノズルボディの先端の方へ向かって移動すると、シール部によって形成される仮想円の径、すなわちシール径が次第に小さくなる。
【0009】
シール径が小さくなると、それに反比例してノズルバルブをノズルボディ側シート面から離す方向の燃料の圧力を受ける受圧面積が大きくなる。
【0010】
このように受圧面積が大きくなると、燃料噴射ノズルの開弁圧が小さくなり、燃料噴射ノズルが開いている時間が長くなるので、燃料が燃焼室に過剰に供給され、不完全燃焼が生じることがある。
【0011】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は長期間使用しても開弁圧をほぼ一定に保つことができる燃料噴射ノズルを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため請求項1の発明の燃料噴射ノズルは、円錐状のノズルボディ側シート面を有するノズルボディと、このノズルボディ内に摺動可能に収容されたノズルバルブとを備えている燃料噴射ノズルにおいて、前記ノズルバルブは円錐部を有し、前記円錐部の先端に平坦面又は凹面が形成され、前記円錐部の外周面と前記平坦面又は前記凹面との境界が前記ノズルボディ側シート面に接触することを特徴とする。
【0013】
上述のように円錐部の先端に平坦面又は凹面が形成されているので、ノズルボディ側シート面が摩耗すると、平坦面又は凹面とノズルボディ側シート面とが面接触し、平坦面又は凹面のノズルボディ側シート面に接触している部分の最も内側の部位にシール部ができる。ノズルボディ側シート面の摩耗深さが同じであるならば、ノズルボディ側シート面の摩耗に伴うシール径の縮小の割合は、ノズルバルブ側のシール部が位置する面とノズルボディ側シート面とがなす角度が小さいほど大きい。平坦面又は凹面とノズルボディ側シート面とがなす角度は従来の第2円錐面とノズルボディ側シート面とがなす角度よりも著しく大きい。したがって、請求項1の発明の燃料噴射ノズルは従来のものよりもシール径が小さくなり難い。
【0014】
請求項2の発明の燃料噴射ノズルは、円錐状のノズルボディ側シート面を有するノズルボディと、このノズルボディ内に摺動可能に収容されたノズルバルブとを備えている燃料噴射ノズルにおいて、前記ノズルバルブは前記ノズルボディ側シート面に接触可能な円柱部を有し、前記円柱部の先端に平坦面又は凹面が形成されていることを特徴とする。
【0015】
上述のように円柱部の先端に平坦面又は凹面が形成されているので、平坦面又は凹面とノズルボディ側シート面とがなす角度は従来の第2円錐面とノズルボディ側シート面とがなす角度よりも著しく大きい。したがって、請求項2の発明の燃料噴射ノズルは従来のものよりもシール径が小さくなり難い。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の燃料噴射ノズルにおいて、前記平坦面又は前記凹面に、前記ノズルボディ側シート面が摩耗したときにそのノズルボディ側シート面への接触を回避できる形状を有する突起部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
上述のように突起部が設けられているので、平坦面又は凹面とノズルボディ側シート面との間に形成される空間部の容積が突起部によって小さくなる。
【0018】
請求項4の発明の燃料噴射ノズルは、請求項1、2又は3項記載の燃料噴射ノズルにおいて、前記平坦面又は前記凹面の外周部に、環状突起が設けられていることを特徴とする。
【0019】
上述のように平坦部又は凹面の外周部に環状突起が設けられているので、ノズルボディ側シート面の摩耗が進んだとしても、シール部が環状突起の内周縁よりも半径方向内側に移動しない。したがって、ノズルボディ側シート面の摩耗に伴うシール径の縮小がより少なくなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1、2はこの発明の第1実施形態に係る燃料噴射ノズルを示し、図1は燃料噴射ノズルの縦断面図、図2は燃料噴射ノズルの先端部の拡大断面図である。
【0022】
この燃料噴射ノズルは、直噴ディーゼルエンジン用の燃料噴射ノズルであり、図1に示すように、ノズルボディ3とノズルバルブ5とを備える。
【0023】
ノズルボディ3はほぼ有底円筒状であり、大径部31と小径部32と弁座部33とを有する。
【0024】
大径部31は燃料溜り31aと保持孔31bと燃料供給路31cとを有する。燃料溜り31aは大径部31の小径部側端部に形成されている。保持孔31bはノズルボディ3の中心軸Cに沿って延び、燃料溜り31aに通じている。燃料供給路31cは燃料溜り31aに通じている。
【0025】
小径部32は大径部31の一端に設けられている。小径部32は燃料流通路32aを有する。
【0026】
弁座部33はほぼ円錐形であり、小径部32の一端に設けられている。弁座部33の内側には円錐形のノズルボディ側シート面33aが形成されている。また、弁座部33にはノズルボディ3内の燃料を燃焼室(図示せず)に向けて噴霧する噴霧孔33bが形成されている。
【0027】
ノズルバルブ5はニードル弁体であり、ノズルボディ3内に摺動可能に収容されている。ノズルバルブ5は大径部51と受圧部52と小径部53と円錐部54とを有する。
【0028】
大径部51は保持孔31bによってノズルボディ3の中心軸Cに沿って摺動可能に保持されている。
【0029】
受圧部52は大径部51の一端に設けられている。受圧部52は燃料溜り31a内に収容され、円錐部54をノズルボディ側シート面33aから離す方向の燃料の圧力を受ける。
【0030】
小径部53は受圧部52の一端に設けられ、燃料流通路32a内に収容されている。
【0031】
円錐部54は小径部53の一端に設けられている。図2に示すように、円錐部54の先端には中心軸Cに直交する平坦面54aが形成されている。円錐部54の外周面54bと平坦面54aとの境界部分がノズルボディ側シート面33aに接触する。
【0032】
次にこの燃料噴射ノズルの動作について説明する。
【0033】
ディーゼルエンジン(図示せず)のピストンが上死点に近付くと、燃料ポンプ(図示せず)から燃料噴射ノズルに燃料が送られてくる。燃料ポンプからの燃料は燃料供給路31cを通じて燃料溜り31aに流入する。燃料が燃料溜り31aに流入すると、この燃料の圧力が受圧部52に作用し、ノズルバルブ5を図1の下方へ押圧するスプリング(図示せず)のばね力に抗してノズルバルブ5が図1の上方へ移動する。この結果、円錐部54がノズルボディ側シート面33aから離れ、燃料は円錐部54とノズルボディ側シート面33aとの間を通り、噴霧孔33bから燃焼室に噴霧される。ディーゼルエンジンのクランクシャフトのクランク角が所定の角度になると、燃料ポンプから燃料噴射ノズルへの燃料の供給が停止される。燃料の供給が停止されると、燃料溜り31a内の燃料の圧力が低下し、スプリングのばね力により、ノズルバルブ5が下方へ移動し、円錐部54がノズルボディ側シート面33aに着座する。その結果、燃料が堰き止められ、噴霧孔333bからの燃料の噴霧が終了する。
【0034】
図3は第1実施形態の燃料噴射ノズルにおけるシール部の移動を示す概念図であり、図4は比較例の燃料噴射ノズルにおけるシール部の移動を示す概念図である。シール部とはノズルバルブ5とノズルボディ側シート面33aとの接触部分であって、燃料の流れを阻止する部分をいう。
【0035】
図3に基づいて第1実施形態の燃料噴射ノズルの作用を図4に示す比較例と比較しながら説明する。
【0036】
図3中に1点鎖線で示すように、ノズルボディ側シート面33aが摩耗していないとき、ノズルバルブ5の平坦面54aと外周面54bとの境界部分がノズルボディ側シート面33aに線接触し、このときシール部は図3のS1に位置し、そのシール部のシール径はT1である。
【0037】
ノズルボディ側シート面33aが摩耗すると、平坦面54aとノズルボディ側シート面33aとが面接触するようになる。
【0038】
図3中に2点鎖線で示すように、ノズルボディ側シート面33aに直交する方向でノズルボディ側シート面33aが深さF1まで摩耗すると、それに伴いシール部は図3のS1の位置からS2の位置まで移動する。このときのシール部のシール径はT2である。
【0039】
図3中に実線で示すように、ノズルボディ側シート面33aが深さF2まで摩耗すると、シール部は図3のS2の位置からS3の位置まで移動する。このときのシール部のシール径はT3である。
【0040】
このように、ノズルボディ側シート面33aが摩耗するにつれてシール部は平坦面54a上を中心軸Cの方へ移動する。平坦面54aとノズルボディ側シート面33aとがなす角度はαである。
【0041】
これに対し、比較例では、図4中に1点鎖線で示すように、ノズルボディ側シート面33aが摩耗していないとき、ノズルバルブ905の第1円錐面958と第2円錐面959との境界部分がノズルボディ側シート面33aに線接触する。このとき、シール部は図4のS11に位置し、そのときのシール径はT11である。
【0042】
ノズルボディ側シート面33aが摩耗すると、第2円錐面959とノズルボディ側シート面33aとが面接触するようになる。
【0043】
図4中に2点鎖線で示すように、ノズルボディ側シート面33aが深さF1まで摩耗すると、それに伴いシール部は図4のS11からS12まで移動する。このときのシール部のシール径はT12である。
【0044】
図4中に実線で示すように、ノズルボディ側シート面33aが深さF2まで摩耗すると、シール部は図4のS12の位置からS13の位置まで移動する。このときのシール部のシール径はT13である。
【0045】
このように、ノズルボディ側シート面33aが摩耗するにつれてシール部は第2円錐面959上を中心軸Cの方へ移動する。第2円錐面959とノズルボディ側シート面33aとがなす角度はβである。
【0046】
ノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール部の移動距離はノズルバルブ側のシール部が移動する面とノズルボディ側シート面33aとがなす角度に反比例する。一方、シール径はシール部の移動距離に比例して小さくなる。
【0047】
この実施形態と比較例とを比べると、α>βであるので、比較例の方がノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール部の移動距離は長い。したがって、図からも明らかなように、ノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール径の縮小はこの実施形態の方が比較例よりも小さく、T2>T12、T3>T13(T1=T11)である。
【0048】
以上のように、この実施形態の燃料噴射ノズルによれば、ノズルボディ側シート面33aが摩耗したときのシール径の縮小は従来のものよりも著しく小さいので、燃料噴射ノズルを長期間使用しても従来のものよりもシール径が小さくならない。したがって、この実施形態の燃料噴射ノズルによれば、長時間使用しても開弁圧をほぼ一定に保つことができる。
【0049】
図5はこの発明の第2実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の拡大断面図である。
【0050】
第2実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第1実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0051】
図5に示すように、円錐部54の先端には凹面254aが形成されている。凹面254aの中心点254bは中心軸C上にある。外周面54bと凹面254aとの境界部分がノズルボディ側シート面33aに接触する。
【0052】
図6は第2実施形態の燃料噴射ノズルにおけるシール部の移動を示す概念図である。
【0053】
図6に示すノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール部の移動(S1´〜S3´)は第1実施形態と同様であるので、シール部の移動についての説明を省略する。
【0054】
凹面254aとノズルボディ側シート面33aとがなす角度はγである。第2実施形態と第1実施形態とを比べると、γ>αであるので、第2実施形態の方がノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール部の移動距離は僅かに短い。したがって、図からも明らかなように、ノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール径の縮小は第2実施形態の方が第1実施形態よりも小さく、T2´>T2、T3´>T3(T1´=T1)である。
【0055】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、ノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール径の減少をより少なくすることができる。
【0056】
図7はこの発明の第3実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【0057】
第3実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第1実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0058】
第3実施形態では円錐部54の先端に形成された平坦面54aに突起部355が設けられている。突起部355は、ノズルボディ側シート面33aが円錐部54との接触によって摩耗したときにノズルボディ側シート面33aとの接触を回避できるように、直線部を持たない漏斗状に形成されている。
【0059】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、平坦面54aとノズルボディ側シート面33aとの間に形成される空間部4の容積が突起部355によって小さくなるので、空間部4内の残留燃料の量を減少させることができる。
【0060】
図8はこの発明の第4実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【0061】
第4実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第1実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0062】
第4実施形態では平坦面54aの中央部に円柱状の突起部455が設けられている。突起部455は、ノズルボディ側シート面33aが円錐部54との接触によって摩耗したときにノズルボディ側シート面33aとの接触を回避できるような直径と高さとを有する。
【0063】
第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、空間部4の容積が突起部455によって小さくなるので、空間部4内の残留燃料の量を減少させることができる。
【0064】
図9はこの発明の第5実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【0065】
第5実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第1実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0066】
第5実施形態では平坦面54aの外周部に環状突起554cが設けられている。この環状突起554cにより、シール部は図9のS1からS2までしか移動しない。
【0067】
第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、シール部が環状突起554cの内周縁554dよりも半径方向内側に移動しないので、ノズルボディ側シート面33aの摩耗に伴うシール径の減少をより少なくすることができる。
【0068】
図10はこの発明の第6実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【0069】
第6実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第1実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0070】
第1実施形態ではノズルバルブ5の小径部53の先端に円錐部54が設けられているが、第6実施形態ではノズルバルブ605の円柱状の小径部(円柱部)653の先端にはノズルバルブ3の中心軸Cと直交する平坦面653aが形成されている。この平坦面653aと小径部653の外周面653bとの境界部分がノズルボディ側シート面33aに接触する。
【0071】
第6実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0072】
図11はこの発明の第7実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【0073】
第7実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第6実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第6実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0074】
第7実施形態ではノズルバルブ705の小径部653の平坦面653aに突起部756が形成されている。突起部756は、ノズルボディ側シート面33aが小径部653との接触によって摩耗したときにノズルボディ側シート面33aとの接触を回避できるように、直線部を持たない漏斗状に形成されている。
【0075】
第7実施形態によれば、第6実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、空間部4の容積が突起部756によって小さくなるので、空間部4内の残留燃料の量を減少させることができる。
【0076】
図12はこの発明の第8実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【0077】
第8実施形態の燃料噴射ノズルは一部を除いて第6実施形態の燃料噴射ノズルと同じであるので、同じ部分には同一符号を付してその説明を省略する。以下、第6実施形態と構成の異なる部分についてだけ説明する。
【0078】
第8実施形態ではノズルバルブ805の小径部653の平坦面653aの中央部に円柱状の突起部856が設けられている。突起部856は、ノズルボディ側シート面33aが円錐部54との接触によって摩耗したときにノズルボディ側シート面33aとの接触を回避できるような直径と高さとを有する。
【0079】
第8実施形態によれば、第6実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、空間部4の容積が突起部856によって小さくなるので、空間部4内の残留燃料の量を減少させることができる。
【0080】
なお、第1〜8実施形態はディーゼルエンジン用の燃料噴射ノズルであるが、この発明の適用範囲はこれに限られるものではなく、この発明を流体の噴射ノズル全般に適用できる。
【0081】
また、第6〜8実施形態において、第5実施形態と同様に平坦面653aの外周部に環状突起を設けてもよい。
【0082】
なお、第5実施形態の環状突起554cの代わりに、平坦面54aの外周部の半径方向内側に環状溝を形成してもよいし、平坦面54aの外周部を残して平坦面54aに凹部を形成してもよい。
【0083】
また、第3〜5実施形態の平坦面54aの代わりに、第2実施形態のように凹面を形成してもよい。
【0084】
なお、第6〜8実施形態の平坦面653aの代わりに、第2実施形態のように凹面を形成してもよい。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1及び2の発明の燃料噴射ノズルによれば、従来のものよりもシール径が小さくなり難いので、長期間使用しても開弁圧をほぼ一定に保つことができる。
【0086】
請求項3の発明の燃料噴射ノズルによれば、平坦面とノズルボディ側シート面との間に形成される空間部の容積が突起部によって小さくなるので、空間部内の残留燃料の量を減少させることもできる。
【0087】
請求項4の発明の燃料噴射ノズルによれば、ノズルバルブの径方向においてシール部が環状突起の内周縁よりも半径方向内側に移動しないので、シール径の減少をより少なくでき、開弁圧の変化をより少なくすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態に係る燃料噴射ノズルの縦断面図である。
【図2】図2は図1に示す燃料噴射ノズルの先端部の拡大断面図である。
【図3】図3は第1実施形態の燃料噴射ノズルにおけるシール部の移動を示す概念図である。
【図4】図4は比較例の燃料噴射ノズルにおけるシール部の移動を示す概念図である。
【図5】図5はこの発明の第2実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の拡大断面図である。
【図6】図6は第2実施形態の燃料噴射ノズルにおけるシール部の移動を示す概念図である。
【図7】図7はこの発明の第3実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【図8】図8はこの発明の第4実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【図9】図9はこの発明の第5実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【図10】図10はこの発明の第6実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【図11】図11はこの発明の第7実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【図12】図12はこの発明の第8実施形態に係る燃料噴射ノズルの先端部の縦断面図である。
【符号の説明】
1 燃料噴射ノズル
3 ノズルボディ
5 ノズルバルブ
33a ノズルボディ側シート面
54 円錐部
54a 平坦面
254a 凹面
355 突起部
455 突起部
554c 環状突起
653a 平坦面
756 突起部
856 突起部
Claims (4)
- 円錐状のノズルボディ側シート面を有するノズルボディと、このノズルボディ内に摺動可能に収容されたノズルバルブとを備えている燃料噴射ノズルにおいて、
前記ノズルバルブは円錐部を有し、
前記円錐部の先端に平坦面又は凹面が形成され、
前記円錐部の外周面と前記平坦面又は前記凹面との境界が前記ノズルボディ側シート面に接触する
ことを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 円錐状のノズルボディ側シート面を有するノズルボディと、このノズルボディ内に摺動可能に収容されたノズルバルブとを備えている燃料噴射ノズルにおいて、
前記ノズルバルブは前記ノズルボディ側シート面に接触可能な円柱部を有し、
前記円柱部の先端に平坦面又は凹面が形成され
ていることを特徴とする燃料噴射ノズル。 - 前記平坦面又は前記凹面に、前記ノズルボディ側シート面が摩耗したときにそのノズルボディ側シート面への接触を回避できる形状を有する突起部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料噴射ノズル。
- 前記平坦面又は前記凹面の外周部に、環状突起が設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3項記載の燃料噴射ノズル。
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070731 |