JP2004201414A - モータ制御装置、モータ制御方法および電気式動力舵取装置 - Google Patents

モータ制御装置、モータ制御方法および電気式動力舵取装置 Download PDF

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Abstract

【課題】トルクリップルを抑制し得るモータ制御装置およびモータ制御方法を提供する。
【解決手段】電気式動力舵取装置のデッドタイム補償制御によると、 (1)PWM制御に対する電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*と (2)インバータ56の出力電圧値Vu,Vv,Vwと (3)直流電源Batt の直流電源電圧値Vbと (4)電流指令値Iu*,Iv*,Iw*または出力電流値Iu,Iv,Iwの少なくとも一方と、に基づいて、デッドタイム補償制御手段52qによるデッドタイム補償量DTUp,DTUm,DTVp,DTVm,DTWp,DTWmをデッドタイム補償値演算手段52pにより求める。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ駆動されるモータのデッドタイム補償制御を行うモータ制御装置、モータ制御方法および電気式動力舵取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インバータ駆動されるモータのデッドタイム補償制御に関する従来技術として例えば、特許文献1、2に開示されるものがある。またこれらに関する技術、あるいはこれに類する技術として例えば次の(イ) 、(ロ) に挙げられるものがある。
【0003】
即ち、図18に示すように、電気式動力舵取装置の操舵機構100に内蔵されるモータに対してPI制御系を構成しているものにおいては、当該モータに流れるインバータ97の出力電流Iu,Iv,Iw を3相2相変換処理98によりq軸の出力電流Iq およびd軸の出力電流Id に変換し、この変換された出力電流Iq,Id とアシスト制御処理92から出力されるd軸、q軸それぞれの電流指令値Iq*,Id* との偏差をPI制御ループにフィードバックさせる。これにより、PI制御処理93、94からは当該フィードバック制御されたd軸、q軸それぞれの電圧指令値Vq*,Vd* が出力されるので、これを2相3相変換処理95により3相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に変換してPWM変換処理96を介してインバータ97にPWM信号PWMu*,PWMv*,PWMw*を出力することで、当該モータのPWM制御を可能にしている。なお、アシスト制御処理92には、ステアリングホイールによる操舵状態を検出する信号として、操舵機構100に内蔵されるトルクセンサから位相補償処理91を介してトルク信号Tsが入力されるので、アシスト制御処理92はこのトルク信号Tsに基づいてq軸の電流指令値Iq*およびd軸の電流指令値Id*を生成している。
【0004】
電気式動力舵取装置のモータに対するPI制御は、概ねこのように行われるが、当該モータのデッドタイム補償制御として、(イ) 上述したPI制御の電流ループの応答性を上げるもの、(ロ) インバータ97に出力するPWM信号PWMu*, PWMv*,PWMw* に予め所定値(例えば中央値)に設定されたデッドタイム補償量を加えるもの、等がある。なお、図18に示す位相補償処理91、アシスト制御処理92、PI制御処理93、94、2相3相変換処理95等や(イ) 、(ロ) によるデッドタイム補償制御処理等は、電気式動力舵取装置を制御する制御装置のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という。)により行われている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−95262号公報(第2頁〜第5頁、図1)
【特許文献2】
特開平9−84385号公報(第2頁、第3頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した(イ) や(ロ) に示すデッドタイム補償制御によると、それぞれ以下のような問題点がある。
前記(イ) の「PI制御の電流ループの応答性を上げることでデッドタイム補償制御を行うもの」では、ループゲインを上げることにより増加するノイズ成分によってPI制御されるモータが振動音を発生し易くなる。そのため、例えば、車両の電気式動力舵取装置のように当該モータが比較的車室内の乗員に近いところに位置している等、当該モータに発生する異音を抑制する必要がある場合には、デッドタイム補償制御を十分に行い得る程度には、電流ループの応答性を上げることができないという問題点がある。
【0007】
前記(ロ) の「インバータ97に出力するPWM信号PWMu*,PWMv*,PWMw*に予め所定値(例えば中央値)に設定されたデッドタイム補償量を加えるもの」では、デッドタイム補償量が所定値に固定されている。そのため、インバータ97を構成するスイッチング素子の電気的特性にバラツキがある場合には、たとえそのようなバラツキの中央値に所定値を設定したとしても、当該スイッチング素子の経年変化や温度特性までをも考慮すると、実際には当該電気的特性の変動幅を十分にカバーした補償制御までは行うことはできないという問題点がある。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、トルクリップルを抑制し得るモータ制御装置およびモータ制御方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制し得る電気式動力舵取装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の作用・効果】
上記目的を達成するため、請求項1のモータ制御装置では、直流電源から供給される電力をPWM制御されるインバータを介してモータに供給し、該モータに流れる前記インバータの出力電流を帰還制御により制御するとともに、前記インバータを構成するスイッチング回路のアーム短絡を防止するデッドタイムにおけるPWM制御に対する電圧指令値と前記インバータの出力電圧値との差を補償するデッドタイム補償制御を行うモータ制御装置であって、 (1)PWM制御に対する電圧指令値と (2)前記インバータの出力電圧値と (3)前記直流電源から出力される電源電圧値と (4)前記PWM制御に対する指令電流値または前記インバータの出力電流値の少なくとも一方と、に基づいて、前記デッドタイム補償制御によるデッドタイム補償量を求めるデッドタイム補償量演算手段を備えたことを技術的特徴とする。
【0010】
また、請求項16のモータ制御方法では、直流電源から供給される電力をPWM制御されるインバータを介してモータに供給し、該モータに流れる前記インバータの出力電流を帰還制御により制御するとともに、前記インバータを構成するスイッチング回路のアーム短絡を防止するデッドタイムにおけるPWM制御に対する電圧指令値と前記インバータの出力電圧値との差を補償するデッドタイム補償制御を行うモータ制御方法であって、 (1)PWM制御に対する電圧指令値と (2)前記インバータの出力電圧値と (3)前記直流電源から出力される電源電圧値と(4)前記PWM制御に対する指令電流値または前記インバータの出力電流値の少なくとも一方と、に基づいて、前記デッドタイム補償制御によるデッドタイム補償量を求めるデッドタイム補償量演算ステップを含むことを技術的特徴とする。
【0011】
請求項1および請求項16の発明によると、 (1)PWM制御に対する電圧指令値と (2)インバータの出力電圧値と (3)直流電源から出力される電源電圧値と (4)PWM制御に対する指令電流値またはインバータの出力電流値の少なくとも一方と、に基づいて、デッドタイム補償制御によるデッドタイム補償量を求める。例えば、U相、V相、W相からなる3相のうちのU相の (1)の電圧指令値をVu*、 (2)の出力電圧値をVu、 (3)の電源電圧値をVbとすると、当該U相の電圧偏差ΔVuは(ΔVu=Vu*−(Vu−Vb/2))により求め、この電圧偏差ΔVuと (4)の指令電流値Iu*または出力電流値Iuによる電流方向とに基づいて当該U相のデッドタイム補償量を求める。同様にV相、W相についてもデッドタイム補償量を求める。
【0012】
これにより、実際に、インバータから出力される (2)の出力電圧値に基づいて(1)の電圧指令値と偏差を求めることから、インバータのスイッチング回路を構成するスイッチング素子ごとに相違し得る電気的特性(例えばターンオン時間やターンオフ時間等)を当該デッドタイム補償量に反映させることができる。また当該スイッチング回路を構成するスイッチング素子以外の能動素子および受動素子や、インバータを構成するスイッチング回路以外の回路部品(例えば能動素子、受動素子等)ごとに相違し得る電気的特性も当該デッドタイム補償量に反映させることができる。つまり、当該スイッチング素子等ごとにバラツキのある電気的特性の差異や経年変化や温度特性による電気的特性の変動等を考慮したデッドタイム補償制御を行うことができる。したがって、スイッチング素子等の電気的特性に対応させてデッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができるので、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0013】
請求項2のモータ制御装置では、請求項1に記載のモータ制御装置において、前記デッドタイム補償量演算手段は、前記 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向の正負双方向について、それぞれ個別に前記デッドタイム補償量を求めることを技術的特徴とする。
【0014】
また、請求項17のモータ制御方法では、請求項16に記載のモータ制御方法において、前記デッドタイム補償量演算ステップは、前記 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向の正負双方向について、それぞれ個別に前記デッドタイム補償量を求めることを技術的特徴とする。
【0015】
請求項2および請求項17の発明によると、 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向の正負双方向について、それぞれ個別にデッドタイム補償量を求める。例えば、U相、V相、W相からなる3相のうちのU相の、 (4)の指令電流値Iu*または出力電流値Iuによる電流方向の正負双方向についてそれぞれ個別にデッドタイム補償量を求める。同様にV相、W相についてもデッドタイム補償量を求める。これにより、インバータを駆動するPWM信号の立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングの双方についてデッドタイム補償量を個別に求めることができるので、当該PWM信号の立ち上がりにおけるデッドタイム補償量と、当該PWM信号の立ち下がりにおけるデッドタイム補償量と、が異なる場合であっても、双方個別にデッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができる。したがって、PWM信号の立ち上がりおよび立ち下がりにおけるスイッチング素子の電気的特性(例えばターンオン時間やターンオフ時間等)が異なる場合においても、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0016】
請求項3のモータ制御装置では、請求項2に記載のモータ制御装置において、前記デッドタイム補償量演算手段は、前記 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向が正のときには正方向所定電流を上回る場合に前記デッドタイム補償量を求めるとともに、前記 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向が負のときには負方向所定電流を下回る場合に前記デッドタイム補償量を求めることを技術的特徴とする。
【0017】
また、請求項18のモータ制御方法では、請求項17に記載のモータ制御方法において、前記デッドタイム補償量演算ステップは、前記 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向が正のときには正方向所定電流を上回る場合に前記デッドタイム補償量を求めるとともに、前記 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向が負のときには負方向所定電流を下回る場合に前記デッドタイム補償量を求めることを技術的特徴とする。
【0018】
請求項3および請求項18の発明によると、 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向が正のときには正方向所定電流を上回る場合にデッドタイム補償量を求めるとともに、 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向が負のときには負方向所定電流を下回る場合にデッドタイム補償量を求める。これにより、当該正方向所定電流を上回らず負方向所定電流を下回らない範囲においては、デッドタイム補償量を求めないので、当該範囲におけるデッドタイム補償量に基づいたデッドタイム補償制御を防止することができる。そのため、 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向が正から負に切り替わったり、負から正に切り替わったりするゼロクロス前後においてはデッドタイム補償量を求めないので、ノイズ等の影響により当該ゼロクロス前後で電流方向を逆に誤検出するといった事態を防止することができる。したがって、このような誤検出による電流方向に基づいたデッドタイム補償量の演算を回避できるので、誤ったデッドタイム補償制御により生じるトルクリップルによる異音や振動の発生を防止することができる。
【0019】
請求項4のモータ制御装置では、請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記デッドタイム補償量演算手段は、前記 (1)の電圧指令値、前記 (2)の出力電圧値、前記 (3)の電源電圧値および前記 (4)の指令電流値または出力電流値に基づいて求めた複数のデッドタイム補償量の平均値を、前記デッドタイム補償量として求めることを技術的特徴とする。
【0020】
また、請求項19のモータ制御方法では、請求項16〜18のいずれか一項に記載のモータ制御方法において、前記デッドタイム補償量演算ステップは、前記(1)の電圧指令値、前記 (2)の出力電圧値、前記 (3)の電源電圧値および前記 (4)の指令電流値または出力電流値に基づいて求めた複数のデッドタイム補償量の平均値を、前記デッドタイム補償量として求めることを技術的特徴とする。
【0021】
請求項4および請求項19の発明では、 (1)の電圧指令値、 (2)の出力電圧値、 (3)の電源電圧値および (4)の指令電流値または出力電流値に基づいて求めた複数のデッドタイム補償量の平均値を、デッドタイム補償量として求める。これにより、複数回に亘って求めたデッドタイム補償量の平均値を実際に用いるデッドタイム補償量とするので、デッドタイム補償量を一度だけ求めた場合に比べて、例えば、 (2)の出力電圧値や (4)の出力電流値に含まれ得るノイズ等により生じるデッドタイム補償量の誤差を抑制することができる。したがって、トルクリップルによる異音や振動の発生をより効果的に抑制することができる。
【0022】
請求項5のモータ制御装置では、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記デッドタイム補償制御は、前記インバータを駆動制御するPWM信号に、前記PWM制御に対する電圧指令値に基づいた前記デッドタイム補償量を加算することを技術的特徴とする。
【0023】
また、請求項20のモータ制御方法では、請求項16〜19のいずれか一項に記載のモータ制御方法において、前記デッドタイム補償制御は、前記インバータを駆動制御するPWM信号に、前記PWM制御に対する電圧指令値に基づいた前記デッドタイム補償量を加算することを技術的特徴とする。
【0024】
請求項5および請求項20の発明では、デッドタイム補償制御は、インバータを駆動制御するPWM信号に、PWM制御に対する電圧指令値に基づいたデッドタイム補償量を加算することにより行われる。これにより、PWM制御に対する電圧指令値を参照すれば、当該電圧指令値に基づいたデッドタイム補償量をインバータを駆動制御するPWM信号に加算しデッドタイム補償することができ、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0025】
請求項6のモータ制御装置では、前記デッドタイム補償制御は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記インバータを駆動制御するPWM信号に、前記インバータの出力電流値に基づいた前記デッドタイム補償量を加算することを技術的特徴とする。
【0026】
また、請求項21のモータ制御方法では、請求項16〜19のいずれか一項に記載のモータ制御方法において、前記デッドタイム補償制御は、前記インバータを駆動制御するPWM信号に、前記インバータの出力電流値に基づいた前記デッドタイム補償量を加算することを技術的特徴とする。
【0027】
請求項6および請求項21の発明では、デッドタイム補償制御は、インバータを駆動制御するPWM信号に、インバータの出力電流値に基づいたデッドタイム補償量を加算することにより行われる。これにより、インバータの出力電流値を参照すれば、当該出力電流値に基づいたデッドタイム補償量をインバータを駆動制御するPWM信号に加算しデッドタイム補償することができ、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0028】
請求項7のモータ制御装置では、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記デッドタイム補償制御は、前記インバータを駆動制御するPWM信号に、前記PWM制御に対する指令電流値に基づいた前記デッドタイム補償量を加算することを技術的特徴とする。
【0029】
また、請求項22のモータ制御方法では、請求項16〜19のいずれか一項に記載のモータ制御方法において、前記デッドタイム補償制御は、前記インバータを駆動制御するPWM信号に、前記PWM制御に対する指令電流値に基づいた前記デッドタイム補償量を加算することを技術的特徴とする。
【0030】
請求項7および請求項22の発明では、デッドタイム補償制御は、インバータを駆動制御するPWM信号に、PWM制御に対する指令電流値に基づいたデッドタイム補償量を加算することにより行われる。これにより、PWM制御に対する指令電流値を参照すれば、当該指令電流値に基づいたデッドタイム補償量をインバータを駆動制御するPWM信号に加算しデッドタイム補償することができ、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0031】
請求項8のモータ制御装置では、請求項1〜7のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記デッドタイム補償量演算手段は、前記デッドタイム補償量として、前記インバータを駆動制御するPWM信号のデューティ比を求めることを技術的特徴とする。
【0032】
また、請求項23のモータ制御方法では、請求項16〜22のいずれか一項に記載のモータ制御方法において、前記デッドタイム補償量演算ステップは、前記デッドタイム補償量として、前記インバータを駆動制御するPWM信号のデューティ比を求めることを技術的特徴とする。
【0033】
請求項8および請求項23の発明では、デッドタイム補償量として、インバータを駆動制御するPWM信号のデューティ比を求める。つまり、デッドタイム補償量を時間量に置き換えてPWM信号を補償する。これにより、インバータを駆動制御するPWM信号に当該PWM信号のデューティ比を加算することにより、デッドタイム補償制御を行うことができる。したがって、インバータを駆動制御するPWM信号に対して行われるデッドタイム補償制御によって、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0034】
請求項9のモータ制御装置では、請求項1〜8のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記デッドタイム補償量演算手段は、前記モータの起動後に前記デッドタイム補償量を求めることを技術的特徴とする。
【0035】
また、請求項24のモータ制御方法では、請求項16〜23のいずれか一項に記載のモータ制御方法において、前記デッドタイム補償量演算ステップは、前記モータの起動後に前記デッドタイム補償量を求めることを技術的特徴とする。
【0036】
請求項9および請求項24の発明では、モータの起動後にデッドタイム補償量を求める。これにより、モータの起動後において、実際にインバータから出力される (2)の出力電圧値に基づいて (1)の電圧指令値と偏差を求めることから、設計時等により予め設定されたデッドタイム補償量を用いるのではなく、実際に駆動制御を行うインバータおよびモータに対応して、当該インバータのスイッチング回路を構成するスイッチング素子ごとに相違し得る電気的特性(例えばターンオン時間やターンオフ時間等)を当該デッドタイム補償量に反映させることができる。また当該スイッチング回路を構成するスイッチング素子以外の能動素子および受動素子や、インバータを構成するスイッチング回路以外の回路部品(例えば能動素子、受動素子等)ごとに相違し得る電気的特性も当該デッドタイム補償量に反映させることができる。つまり、インバータやモータ等のハードウェア個々に異なる電気的特性あるいは経年変化や温度特性による電気的特性の変動等を考慮したデッドタイム補償制御を行うことができる。したがって、モータの起動後において、スイッチング素子等の電気的特性に対応させてデッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができるので、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0037】
請求項10のモータ制御装置では、請求項9に記載のモータ制御装置において、前記デッドタイム補償量演算手段は、前記モータの起動後、所定周期ごとに前記デッドタイム補償量を求めることを技術的特徴とする。
【0038】
請求項12のモータ制御装置では、請求項11に記載のモータ制御装置において、前記デッドタイム補償量演算手段は、前記モータの起動後、所定周期ごとに前記デッドタイム補償量を求めることを技術的特徴とする。
【0039】
また、請求項25のモータ制御方法では、請求項24に記載のモータ制御方法において、前記デッドタイム補償量演算ステップは、前記モータの起動後、所定周期ごとに前記デッドタイム補償量を求めることを技術的特徴とする。
【0040】
また、請求項27のモータ制御方法では、請求項26に記載のモータ制御方法において、前記デッドタイム補償量演算ステップは、前記モータの起動後、所定周期ごとに前記デッドタイム補償量を求めることを技術的特徴とする。
【0041】
請求項10、請求項12、請求項25および請求項27の発明では、モータの起動後、所定周期ごとにデッドタイム補償量を求める。これにより、モータの起動後においても所定周期ごとに、実際にインバータから出力される (2)の出力電圧値に基づいて (1)の電圧指令値と偏差を求めることから、例えば、モータの起動直後から時間の経過に伴ってインバータ内外に温度変化が生じて当該インバータのスイッチング素子の電気的特性が変動しても、ほぼリアルタイムに当該電気的特性の変動をデッドタイム補償量に反映させることができる。またインバータのスイッチング回路を構成するスイッチング素子以外の能動素子および受動素子や、インバータを構成するスイッチング回路以外の回路部品(例えば能動素子、受動素子等)ごとに電気的特性に変動が生じても同様にデッドタイム補償量にほぼリアルタイムに反映させることができる。したがって、スイッチング素子等の電気的特性に対応させてほぼリアルタイムに、デッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができるので、スイッチング素子等の電気的特性が変動する場合においても、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0042】
請求項11のモータ制御装置では、請求項1〜8のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記デッドタイム補償量演算手段は、当該モータ制御装置の出荷前において前記デッドタイム補償量を求め当該デッドタイム補償量に係るデータをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、当該モータ制御装置の出荷後においては前記記録媒体から読み出された前記デッドタイム補償量に係るデータに基づいて前記デッドタイム補償制御が行われることを技術的特徴とする。
【0043】
また、請求項26のモータ制御方法では、請求項16〜23のいずれか一項に記載のモータ制御方法において、前記デッドタイム補償量演算ステップは、当該モータ制御方法により制御されるモータ制御装置の出荷前において前記デッドタイム補償量を求め当該デッドタイム補償量に係るデータをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、前記モータ制御装置の出荷後においては前記記録媒体から読み出された前記デッドタイム補償量に係るデータに基づいて前記デッドタイム補償制御が行われることを技術的特徴とする。
【0044】
請求項11および請求項26の発明では、モータ制御装置の出荷前においてデッドタイム補償量を求め当該デッドタイム補償量に係るデータをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、当該モータ制御装置の出荷後においてはコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み出されたデッドタイム補償量に係るデータに基づいてデッドタイム補償制御が行われる。これにより、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたデッドタイム補償量に基づいて、モータの起動直後から直ちにデッドタイム補償制御を行うことができる。したがって、モータの起動の都度、デッドタイム補償量を演算する必要がないため、モータの起動直後から直ちにデッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができ、異音や振動の発生をモータの起動直後から抑制することができる。
【0045】
請求項13のモータ制御装置では、請求項1〜12のいずれか一項に記載のモータ制御装置において、前記デッドタイム補償量演算手段により求められた前記デッドタイム補償量が所定範囲内にあるか否かを判断する補償量範囲判断手段を備え、前記補償量範囲判断手段により前記デッドタイム補償量が所定範囲内にないと判断された場合には、前記デッドタイム補償量演算手段により再度、デッドタイム補償量を求めることを技術的特徴とする。
【0046】
また、請求項28のモータ制御方法では、請求項16〜27のいずれか一項に記載のモータ制御方法において、前記デッドタイム補償量演算ステップにより求められた前記デッドタイム補償量が所定範囲内にあるか否かを判断する補償量範囲判断ステップを含み、前記補償量範囲判断ステップにより前記デッドタイム補償量が所定範囲内にないと判断された場合には、前記デッドタイム補償量演算ステップにより再度、デッドタイム補償量を求めることを技術的特徴とする。
【0047】
請求項13および請求項28の発明では、求められたデッドタイム補償量が所定範囲内にあるか否かを判断する補償量範囲判断手段を備え、または補償量範囲判断ステップを含み、デッドタイム補償量が所定範囲内にないと判断された場合には、再度、デッドタイム補償量を求める。これにより、デッドタイム補償量が所定範囲内にないと判断された場合、例えば、 (2)の出力電圧値や (4)の出力電流値に含まれ得るノイズ等により予定外の値を持つデッドタイム補償量が求められた場合には、再度、デッドタイム補償量が求められるので、当該予定外のデッドタイム補償量に基づいたデッドタイム補償制御を防止することができる。したがって、当該予定外のデッドタイム補償量を用いたデッドタイム補償制御による異音や振動の発生を防ぐことができる。
【0048】
請求項14のモータ制御装置では、請求項11または12に記載のモータ制御装置において、前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体から前記デッドタイム補償量に係るデータを正常に読み出せたか否かを判断する読み出し正常終了判断手段を備え、前記読み出し正常終了判断手段により前記データを正常に読み出せなかったと判断された場合には、既定の所定データに基づいて前記デッドタイム補償制御が行われることを技術的特徴とする。
【0049】
また、請求項29のモータ制御方法では、請求項26または27に記載のモータ制御方法において、前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体から前記デッドタイム補償量に係るデータを正常に読み出せたか否かを判断する読み出し正常終了判断ステップを備え、前記読み出し正常終了判断ステップにより前記データを正常に読み出せなかったと判断された場合には、既定の所定データに基づいて前記デッドタイム補償制御が行われることを技術的特徴とする。
【0050】
請求項14および請求項29の発明では、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からデッドタイム補償量に係るデータを正常に読み出せなかったと判断された場合には、既定の所定データに基づいてデッドタイム補償制御が行われる。これにより、例えば、当該記録媒体に記録されたデッドタイム補償量に係るデータが正常でなかった場合や当該記録媒体から読み出す途中にデッドタイム補償量に係るデータが壊れた場合には、既定の所定データに基づいてデッドタイム補償制御が行われるので、当該正常ではないデータに係るデッドタイム補償量に基づいたデッドタイム補償制御を防止することができる。したがって、当該正常ではないデータに係るデッドタイム補償量を用いたデッドタイム補償制御による異音や振動の発生を防ぐことができる。
【0051】
請求項15の電気式動力舵取装置では、操舵状態検出手段により検出された操舵状態に基づいて、モータを駆動して操舵をアシストする電気式動力舵取装置において、請求項1〜14のいずれか一項に記載のモータ制御装置によって前記モータの駆動制御を行うことを技術的特徴とする。
【0052】
請求項15の発明では、請求項1〜14のいずれか一項に記載のモータ制御装置により、操舵状態に基づいて操舵をアシストするモータの駆動制御が行われる。これにより、PWM制御によって当該モータに電力を供給するインバータのスイッチング素子等の電気的特性に対応させてデッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができる等の、請求項1〜14の各発明による作用・効果を享受した電気式動力舵取装置を実現することができる。したがって、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制し得る電気式動力舵取装置を提供することができる。
【0053】
また、請求項30の電気式動力舵取装置では、操舵状態検出手段により検出された操舵状態に基づいて、モータを駆動して操舵をアシストする電気式動力舵取装置において、請求項16〜29のいずれか一項に記載のモータ制御方法によって前記モータの駆動制御を行うことを特徴とする。
【0054】
請求項30の発明では、請求項16〜29のいずれか一項に記載のモータ制御方法により、操舵状態に基づいて操舵をアシストするモータの駆動制御が行われる。これにより、PWM制御によって当該モータに電力を供給するインバータのスイッチング素子等の電気的特性に対応させてデッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができる等の、請求項16〜29の各発明による作用・効果を享受した電気式動力舵取装置を実現することができる。したがって、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制し得る電気式動力舵取装置を提供することができる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のモータ制御装置、モータ制御方法および電気式動力舵取装置の実施形態について図を参照して説明する。
まず、これから説明する第1〜第4実施形態のそれぞれに係る電気式動力舵取装置の主な構成を図1および図2に基づいて説明し、その後、この電気式動力舵取装置に本発明のモータ制御装置およびモータ制御方法を適用した各実施形態を図3〜図17に基づいて詳述する。なお、本実施形態に係る電気式動力舵取装置は、特許請求の範囲に記載の「電気式動力舵取装置」に相当するものである。
【0056】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る電気式動力舵取装置(以下、「本電気式動力舵取装置」という。)は、主に、ステアリングホイール21、ステアリング軸22、ピニオン軸23、ラック軸24、トルクセンサ30、モータ40、モータレゾルバ42、ボールねじ機構44等を備える操舵機構20と、この操舵機構20のモータ40を駆動制御するECU50とから構成されている。本電気式動力舵取装置は、トルクセンサ30により検出された操舵状態に基づいて、モータ40を駆動して運転者による操舵をアシストするものである。なお、ラック軸24の両側には、それぞれタイロッド等を介して図略の操舵輪が連結されている。
【0057】
図1に示すように、ステアリングホイール21には、ステアリング軸22の一端側が連結され、このステアリング軸22の他端側には、ピニオンハウジング25内に収容されたトルクセンサ30の入力軸23aおよび図略のトーションバーが連結されている。またこのトーションバーの他端側には、ピニオン軸23の出力軸23bがスプライン結合により連結されている。なお、ピニオン軸23の出力軸23bの端部にはピニオンギヤが形成されている。
【0058】
トルクセンサ30は、入力軸23aとピニオンハウジング25との間に介在する第1レゾルバ35と、出力軸23bとピニオンハウジング25との間に介在する第2レゾルバ37とによって構成されている。このトルクセンサ30は、ステアリングホイール21による操舵状態(操舵トルクや操舵角)を検出する機能を有するもので、ECU50に電気的に接続されている(図2(A) 参照)。これにより、トルクセンサ30は、第1レゾルバ35により検出される第1操舵角と第2レゾルバ37により検出される第2操舵角との角度差や角度比等から得られるトーションバーの捻れ角相当のトルク信号TsをECU50に出力している。
【0059】
ラック軸24は、ラックハウジング26およびモータハウジング27内に収容されており、ピニオン軸23のピニオンギヤに噛合可能な図略のラック溝を備えている。これにより、ピニオン軸23とともにラックアンドピニオン機構を構成している。またラック軸24の中間部には、螺旋状にボールねじ溝24bが形成されている。
【0060】
モータ40は、ラック軸24と同軸に回転可能にベアリング29により軸受される円筒形状のモータ軸43、このモータ軸43の外周に設けられた図略の永久磁石、図略のステータや励磁コイル等により構成されている誘導電動機である。即ち、このモータ40は、ステータに巻回された例えば3相分の励磁コイルにより発生する界磁が、回転子に相当するモータ軸43の永久磁石に作用することよって、モータ軸43が回転し得るように構成されている。
【0061】
なお、この励磁コイルに印加される電圧を検出し得る電圧センサ46およびこの励磁コイルに流れる電流(インバータ56の出力電流Iu、Iv、Iw)を検出し得る電流センサ47が、それぞれU相、V相、W相ごとにモータ40あるいはECU50に設けられている。また本実施形態では、以下、モータ40として3相モータを例に説明を行うが、本発明は、3相モータの制御に限られず、3相以上の多相モータ(例えば6相モータ、8相モータ等)に対する制御にも適用できる。
【0062】
モータレゾルバ42は、モータ40が収容されているモータハウジング27とモータ軸43との間に設けられており、モータ軸43のモータ回転角θm(電気角θe)を検出する機能を有するように構成されている。このモータレゾルバ42も、トルクセンサ30と同様、ECU50に電気的に接続され(図2(A) 参照)、モータ回転角信号θmをECU50に出力している。
【0063】
ボールねじ機構44は、ラック軸24とモータ軸43との間に介在して、モータ軸43の正逆回転の回転トルクをラック軸24の軸線方向における往復動に変換する機能を有するものである。これにより、この往復動は、ラック軸24とともにラックアンドピニオン機構を構成するピニオン軸23を介してステアリングホイール21の操舵力を軽減するアシストカにすることができる。
【0064】
このように操舵機構20を構成することにより、ステアリングホイール21による操舵状態をトルクセンサ30から出力されるトルク信号Tsにより検出することができ、またモータレゾルバ42から出力される回転角信号θmや電流センサ47から出力される出力電流Iu等によってモータ40の動作状態を検出することができる。
【0065】
これにより、図2(A) に示すECU50では、トルクセンサ30のトルク信号Tsやモータレゾルバ42のモータ回転角θmあるいは電流センサ47の出力電流Iu等に基づいて、操舵状態に適したアシストトルクをモータ40に発生させるべき3相交流電力を出力可能なPWM信号(PWMu*,PWMv*,PWMw*)として算出する演算を行い、後述するインバータ56に出力する。すると、このPWM信号を受けたインバータ56では、当該PWM信号に従った3相交流電力をモータ40に供給するので、モータ40は発生させたアシストトルクをピニオン軸23を介してステアリング軸22に与える。このようにして操舵機構20は、ステアリングホイール21により操舵する運転者の操舵を補助している。
【0066】
次に、本電気式動力舵取装置のモータ40の駆動制御を行うECU50の電気的構成を図2に基づいて説明する。
図2(A) に示すように、ECU50は、主に、CPU52、インタフェイス54、インバータ56により構成されており、CPU52を中心に入出力バスを介してインタフェイス54やインバータ56が接続されている。
【0067】
CPU52は、例えば、マイコン、半導体メモリ装置(ROM、RAM、EEPROM等)等から構成されており、上述したような本電気式動力舵取装置の基本的なモータ制御に加えて、後述するデッドタイム補償制御処理を所定のコンピュータプログラムにより実行する機能を有するものである。なお、デッドタイム補償制御処理を所定のコンピュータプログラムは、例えばROMに記録されている。
【0068】
インタフェイス54は、前述したトルクセンサ30やモータレゾルバ42あるいは電流センサ47等から入力される各種センサ信号を、A/D変換器等を介してCPU52の所定ポートに入力したり、またCPU52から出力されるレゾルバ励磁信号をA/D変換器等を介してトルクセンサ30の第1レゾルバ35や第2レゾルバ37に出力したりする機能を有するものである。
【0069】
図2(B) に示すように、インバータ56は、直流電源Batt から供給される電力を制御可能な3相交流電力に変換する機能を有するもので、PWM回路56aとスイッチング回路56b等から構成されている。なおこの直流電源Batt の出力電圧を検出する電圧センサ45がECU50に設けられている。
【0070】
PWM回路56aは、後述するように、CPU52から出力される各相のPWM信号PWMu*,PWMv*,PWMw*に基づいて、U相、V相、W相ごとにスイッチング回路56bをオンオフし得るスイッチング信号を発生するパルス変調回路で、発生させたスイッチング信号はスイッチング回路56bに出力される。
【0071】
スイッチング回路56bは、スイッチング素子Q11、Q12、Q13、Q21、Q22、Q23(以下「スイッチング素子Q11〜Q23」という。)と帰還ダイオードとから構成されている。スイッチング素子Q11〜Q23には、例えば高速スイッチング用のMOSFETが用いられており、各相ごとに、直流電源Batt とアースとの間に2個1組のスイッチング素子がトーテムポール接続されている。
【0072】
例えば、U相であればスイッチング素子Q11とスイッチング素子Q21とが直列接続され直流電源Batt (直流電源電圧Vb)とアース(基準電位)との間に介在している。またこのように接続された両スイッチング素子の接続部、例えばU相であればスイッチング素子Q11とスイッチング素子Q21との接続部にはモータ40の励磁コイル(U相)に接続されるU相出力端子が接続されている。
【0073】
このように直流電源Batt とアースと間には、トーテムポール接続された両スイッチング素子Q11〜Q23が介在するため、例えばスイッチング素子Q11、Q21が双方同時にオンされた場合には、直流電源Batt とアースと間が短絡(アーム短絡)し、スイッチング素子Q11、Q21の破損を招くことになる。そのため、通常は、かかるアーム短絡によるスイッチング素子Q11〜Q23の破損を防止する必要から、両スイッチング素子が双方同時にオフになる期間、つまりデッドタイムが設けられるとともに、既に説明したように、このデッドタイムに起因した、PWM制御の電圧指令値とインバータ56の出力電圧値との差を補償する種々のデッドタイム補償制御が従来より行われている(「従来の技術」の欄参照)。
【0074】
ところが、これまでのデッドタイム補償制御には、「発明が解決しようとする課題」の欄で説明したような種々の問題点が存在する。そこで、本発明のモータ制御装置およびモータ制御方法は、かかる種々の問題点を解決したものであり、以下、本発明のモータ制御装置およびモータ制御方法を本電気式動力舵取装置に適用した各実施形態を図3〜図17に基づいて説明する。
【0075】
[第1実施形態]
第1実施形態は、上述した本電気式動力舵取装置に図3に示すデッドタイム補償制御系を適用した例で、以下説明する各演算処理はECU50のCPU52により実行されている。本第1実施形態では、図3〜図8を参照して説明する。
【0076】
図3に示すように、ECU50では、位相補償手段52a、アシスト制御手段52b、加算手段52c、52d、PI制御手段52e、52f、2相3相変換手段52g、PWM変換手段52hおよび3相2相変換手段52mからなるモータ40に対するPI制御系と、デッドタイム補償値演算手段52p、デッドタイム補償制御手段52qおよび加算手段52i、52j、52kからなるデッドタイム補償制御系と、の各種演算処理を行っている。
【0077】
はじめに、モータ40に対するPI制御系の演算処理を説明する。なおこの演算処理は、ECU50のCPU52により、所定周期(例えば1ミリ秒)ごとに実行される、例えばタイマ割り込み処理によって行われている。
【0078】
前述の如くトルクセンサ30からインタフェイス54を介してCPU52に入力されるトルク信号Tsは、図略のフィルタ回路によりノイズ成分が除去された後、位相補償手段52aに入力される。位相補償手段52aでは、トルクセンサ30の出力に対する応答性を速くするため位相を進める処理を行った後、アシスト制御手段52bに出力する。
【0079】
アシスト制御手段52bでは、位相補償手段52aにより位相補償されたトルク信号Tsによる検出トルクに基づいて、操舵力を補助するためにモータ40に発生させるアシストトルクに対応する電流値、つまりq軸の電流指令値Iq*とd軸の電流指令値Id*とを決定する処理を行う。本第1実施形態では、検出トルクにかかわらず、d軸電流指令値Id*は0A(ゼロアンペア)に設定し、q軸電流指令値Iq*は検出トルクに基づいて所定のマップや演算式により求めている。このように決定されたq軸電流指令値Iq*およびd軸電流指令値Id*は、それぞれ加算手段52c、52dに出力される。
【0080】
加算手段52c、52dでは、アシスト制御手段52bから出力される電流指令値Iq*、Id*と、後述する3相2相変換手段52mから帰還されるインバータ56の出力電流値Iq、Idとの偏差を求める加算処理を行う。これにより、加算手段52cによりq軸電流指令値Iq*と出力電流値Iqとの偏差が算出され、また加算手段52dによりd軸電流指令値Id*と出力電流値Idとの偏差が算出されて、それぞれPI制御手段52e、52fに出力される。
【0081】
PI制御手段52e、52fでは、比例積分制御が行われる。即ち、PI制御手段52eでは、加算手段52cから出力された、q軸電流指令値Iq*と出力電流値Iqとの偏差に基づいて比例積分演算を行い、目標値に達するまで積分値の訂正動作としてq軸の電圧指令値Vq*を2相3相変換手段52gに出力する処理を行う。つまり、PI制御手段52eは、加算手段52cとともにフィードバック演算処理を行う。またPI制御手段52fも同様に、d軸電流指令値Id*と出力電流値Idとの偏差に基づいて比例積分演算を行い、目標値に達するまで積分値の訂正動作としてd軸の電圧指令値Vd*を2相3相変換手段52gに出力する処理を行う。
【0082】
2相3相変換手段52gは、PI制御手段52e、52fから、それぞれ入力されたq軸電圧指令値Vq*およびd軸の電圧指令値Vd*をdq逆変換(3相変換)して、各相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を演算する処理を行う。2相3相変換手段52gにより逆変換された電圧指令値は、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、W相電圧指令値Vw*としてPWM変換手段52hに出力される。
【0083】
PWM変換手段52hは、各相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を各相ごとのPWM指令値に変換する処理を行うもので、各相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*、直流電源Batt の直流電源電圧値VbおよびPWMの1周期分の時間fulPWMに基づいて各相ごとのPWM指令値を演算し、加算手段52i、52j、52kにそれぞれ出力する。例えばU相のPWM指令値PWMu*は(PWMu*=Vu*/Vb×fulPWM+fulPWM/2)によって求められる。
【0084】
加算手段52i、52j、52kでは、PWM変換手段52hから出力される各相のPWM指令値PWMu*,PWMv*,PWMw*と、後述するデッドタイム補償制御手段52qから出力される各相ごとのデッドタイム補償値DTUP(またはDTUM)、DTVP(またはDTVM)、DTWP(またはDTWM)とを加える加算処理を行う。これにより、後述するようにデッドタイム補償がされたPWM指令値(PWM信号)PWMu*,PWMv*,PWMw*がインバータ56に対して出力される。
【0085】
インバータ56では、前述したように、加算手段52i、52j、52kから出力される各相のPWM信号PWMu*,PWMv*,PWMw*に基づいて、U相、V相、W相ごとにスイッチング回路56bをオンオフする。これにより、インバータ56は、直流電源Batt から供給される直流電力を予定する3相交流電力に変換してモータ40に駆動電力を供給するので、トルクセンサ30により検出された操舵状態に適したアシストトルクをモータ40に発生させることができる。
【0086】
そして、インバータ56から出力される出力電流は、各相ごとに電流センサ47に検出され、それぞれU相出力電流値Iu、V相出力電流値Iv、W相出力電流値Iwとして3相2相変換手段52mに出力される。また、この各相ごとの出力電流値Iu,Iv,Iwは、後述するデッドタイム補償値演算手段52pにも出力される。
【0087】
3相2相変換手段52mは、電流センサ47から、それぞれ入力された各相の出力電流値Iu,Iv,Iwをdq変換(2相変換)して、q軸の出力電流値Iqとd軸の出力電流値Idを演算する処理を行う。3相2相変換手段52mにより変換されたインバータ56の出力電流値は、q軸出力電流値Iq、d軸出力電流値Idとして前述の加算手段52c、52dにフィードバック入力される。これにより、前述したようにPI制御手段52e、52fによるフィードバック演算処理が可能となる
【0088】
次に、デッドタイム補償制御系の演算処理を図3〜図7に基づいて説明する。なおこの演算処理も、ECU50のCPU52により、所定周期(例えば1ミリ秒)ごとに実行される、例えばタイマ割り込み処理によって行われている。
【0089】
図4に示すように、デッドタイム補償制御系の演算処理は、所定の初期化処理の後、まずステップS101によりデッドタイム補償量学習が未完了であるか否かの判断処理が行われる。この処理は、ステップS103によるデッドタイム補償量演算処理が既に行われて学習処理が終わっているか否かを判断するもので、当該デッドタイム補償量演算処理により学習完了フラグがセットされていなければ(S101でYes)、ステップS103による当該デッドタイム補償量演算処理を行い、また学習完了フラグがセットされていれば(S101でNo)、ステップS107に処理を移行して後述するデッドタイム補償ありの電流制御処理(図7)を行う。
【0090】
ステップS103では、デッドタイム補償量演算処理が行われる。この処理は、図5に示す「デッドタイム補償量演算処理」のサブルーチンにより行われるもので、図3に示すデッドタイム補償値演算手段52pに対応する。またこのデッドタイム補償量演算処理は、特許請求の範囲に記載の「デッドタイム補償量演算手段」に相当するものである。
【0091】
即ち、図5に示すように、デッドタイム補償量演算処理では、各相ごとにデッドタイム補償量学習処理を行い(S200、S220、S240)、学習が完了していれば(S251でYes)、学習完了フラグをセットして(S253)、また学習が完了していなければ(S251でNo)、学習完了フラグをセットすることなく、図4に示すデッドタイム補償制御系の演算処理に処理を戻す。
【0092】
図5に示すように、ステップS200では、U相のデッドタイム補償量学習処理が行われるが、この処理はさらに複数のステップに分けて説明することができる。即ち、ステップS200では、ステップS201〜S217による各演算処理が行われる。
【0093】
まずステップS201では、U相電圧、電源電圧、U相電流をそれぞれA/D変換後に取り込む処理が行われる。つまり、インバータ56から出力されるU相の出力電圧値Vuを電圧センサ46から、また直流電源Batt から出力される直流電源電圧値Vbを電圧センサ45から、さらにインバータ56から出力されるU相の出力電流値Iuを電流センサ47から、それぞれインタフェイス54を介してCPU52に取り込む処理を行う。
【0094】
次のステップS203では、U相電圧指令を取り込む処理が行われる。このU相電圧指令であるU相電圧指令値Vu*は、前述した2相3相変換手段52gによるdq逆変換処理により算出されているので、CPU52の半導体メモリ装置(RAM)上の所定領域からこれを取り込む処理を行う。
【0095】
続くステップS205では、U相電圧を演算する処理が行われる。即ち、ステップS201により取り込まれたU相出力電圧値Vuと直流電源電圧値Vbに基づいて、U相出力電圧値Vuから直流電源電圧値Vbの1/2(半分)を減算したU相電圧Vu'(=Vu−Vb/2)を算出する処理を行う。
【0096】
続くステップS207では、U相電圧偏差を演算する処理が行われる。即ち、ステップS203により取り込まれたU相電圧指令値Vu*とステップS205により演算されたU相電圧Vu'とに基づいて、U相電圧指令値Vu*に対するU相電圧Vu'の偏差ΔVu(=Vu*−Vu')を算出する処理を行う。これにより、デッドタイム補償量としての不足分を求めることができる。
【0097】
次のステップS209では、U相デッドタイム値を演算する処理が行われる。即ち、ステップS207によりデッドタイム補償量の不足分をU相電圧偏差ΔVuとして求めたので、このステップではこれをPWMのディーティ比DTU (=ΔVu/Vb×fulPWM)に換算する演算処理を行う。ここでfulPWMは、PWMの1周期分の時間を表すパラメータである。
【0098】
ステップS211では、U相電圧指令値Vu*とステップS201により取り込まれたU相出力電流値Iuとに基づいて、デッドタイム補償量の補償方向を判断する処理が行われる。即ち、U相電圧指令値Vu*が予め設定された所定の電圧判定閾値V0 よりも大きく(Vu*>V0 )、かつ、U相出力電流値Iuが予め設定された所定の電流判定閾値I0 よりも大きい(Iu>I0 )場合には(S211でYes)、プラス(正)側にインバータ56から出力されたU相出力電流値Iuが流れていると判断して続くステップS213に処理を移行する。一方、当該条件を満たさないと判断された場合には(S211でNo)、U相出力電流値Iuがマイナス(負)側に流れている可能性があるので、ステップS215に処理を移行してマイナス側の条件に合致するか否かの判断処理を行う。
【0099】
ステップS215では、ステップS211と同様、U相電圧指令値Vu*とステップS201により取り込まれたU相出力電流値Iuとに基づいて、デッドタイム補償量の補償方向を判断する処理が行われる。このステップでは、U相出力電流値Iuがマイナス側に流れているか否かを判断するため、ステップS211で用いた所定の電圧判定閾値V0 の逆符号値(−V0 )よりも小さく(Vu*<−V0 )、かつ、U相出力電流値Iuが所定の電流判定閾値I0 の逆符号値(−I0 )よりも小さい(Iu<−I0 )という条件を満たすか否かの判断を行う。そして、この判断処理により当該条件を満たす場合には(S215でYes)、マイナス(負)側にインバータ56から出力されたU相出力電流値Iuが流れていると判断して続くステップS217に処理を移行する。
【0100】
一方、ステップS215による当該条件を満たさないと判断された場合には(S215でNo)、U相出力電流値Iuはプラス側の判定閾値とマイナス側の判定閾値との間(V0 ≦Iu≦−V0 )に存在することになる。この両判定閾値間の範囲は、U相出力電流値Iuが流れない電流0A(ゼロアンペア)を含んでこれに近接した範囲、つまりゼロクロス近傍領域(ゼロアンペア境界近傍範囲)にあたる。そのため、この範囲におけるノイズや検出誤差により、電流方向の検出誤りを防止する必要から、このような所定の電圧判定閾値V0 や電流判定閾値I0 を設定している。したがって、かかる両判定閾値間の範囲にU相出力電流値Iuが存在すると判断した場合(S215でNo)には、デッドタイム値を演算することなく、U相デッドタイム補償量学習処理(S200)を終了する。
【0101】
なお、本第1実施形態では、所定の電圧判定閾値や電流判定閾値として、プラス側の判定閾値とマイナス側の判定閾値に同じもの、例えば、プラス側の電圧判定閾値V0 に対しその逆符号値をマイナス側の電圧判定閾値(−V0 )としたが、プラス側、マイナス側でそれぞれ別個独立に設定された所定の電圧判定閾値または所定の電流判定閾値を用いても良い。これによりプラス側、マイナス側のそれぞれについて判定閾値を独立に設定することができるため、周囲環境の実情に応じたゼロクロス近傍領域を除外する設定を行うことができる。
【0102】
また、本第1実施形態では、ステップS211およびステップS215によるデッドタイム補償量の補償方向の判断として、ステップS201により取り込んだU相出力電流値Iuを用いたが、アシスト制御手段52bから出力されるq軸電流指令値Iq*およびd軸電流指令値Id*を2相3相変換手段52gと同様のdq逆変換手段を介して「U相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*およびW相電流指令値Iw*」を生成し、U相電流指令値Iu*に基づいてステップS211およびステップS215によるデッドタイム補償量の補償方向を判断しても良い。この場合、Iu>I0 と同様、Iu*>I0 の条件を満たせばプラス側を演算すべくステップS213に移行し、Iu<−I0 と同様、Iu*<−I0 の条件を満たせばマイナス側を演算すべくステップS217に移行する。そして、両条件とも充足しない場合には(S211でNo、S215でNo)、デッドタイム値の演算は行わない。
【0103】
ステップS211によりプラス側にU相出力電流値Iuが流れていると判断されると(S211でYes)、ステップS213によりU相のプラス側デッドタイム値を演算する処理が行われる。即ち、ステップS209により求めたPWMのディーティ比DTU を所定数集めてその総和の平均値を求める処理を行う。例えば、本第1実施形態では、このステップ213による処理を行うごとにプラス側カウンタ値NUp をインクリメント(NUp =NUp +1)するとともにPWMのディーティ比としてのプラス側デッドタイム総和値sumUp に今回演算したディーティ比DTU を加算する(sumUp =sumUp +DTU )処理を行う。そして、この加算後のsumUp をインクリメント後のプラス側カウンタ値NUp で除算しU相のプラス側デッドタイム値DTUp(=sumUp /NUp )を演算する処理を行う。これにより、U相についてのプラス側デッドタイム値DTUpが求められ、半導体メモリ装置の所定領域に記憶(学習)される。
【0104】
一方、U相のマイナス側デッドタイム値DTUmについても、ステップS217により同様に算出される。即ち、ステップ217による処理を行うごとにマイナス側カウンタ値NUm をインクリメント(NUm =NUm +1)するとともにPWMのディーティ比としてのマイナス側デッドタイム総和値sumUm に今回演算したディーティ比DTU を加算する(sumUm =sumUm +DTU )処理を行い、この加算後のsumUm をインクリメント後のプラス側カウンタ値NUm で除算してU相のマイナス側デッドタイム値DTUm(=sumUm /NUm )を演算する処理を行う。これにより、U相についてのマイナス側デッドタイム値DTUmが求められ、半導体メモリ装置の所定領域に記憶(学習)される。
【0105】
このようにステップS201〜S217によってU相のデッドタイム値を学習する処理が終了すると、同様に、続くステップS220によりV相のデッドタイム値を学習する処理、またステップS240によりW相のデッドタイム値を学習する処理、がそれぞれ行われる。
【0106】
即ち、ステップS220により、V相についてのプラス側デッドタイム値DTVpとマイナス側デッドタイム値DTVmが求められ、またステップS240により、W相についてのプラス側デッドタイム値DTWpとマイナス側デッドタイム値DTWmが求められ、それぞれ半導体メモリ装置の所定領域に記憶(学習)される。
【0107】
ステップS200、S220、S240により、各相のプラス側デッドタイム値DTUp,DTVp,DTWpおよびマイナス側デッドタイム値DTUm,DTVm,DTWmの学習が終了すると、続くステップS251により学習が完了したか否かの判断処理が行われる。即ち、ステップS200、S220、S240による各相のデッドタイム値がプラス側およびマイナス側についてそれぞれ所定の規定サンプル数以上採取できたか否かの判断を行う。
【0108】
このステップ251による判断処理では、ステップS213によりインクリメントされたプラス側カウンタ値NUp やステップS217によりインクリメントされたマイナス側カウンタ値NUm に基づいて、双方のカウンタ値が規定サンプル数N0 (例えばN0 =100)を超えているか否かを判断する。例えば、U相のプラス側デッドタイム値DTUpの学習回数がN0 を超えているか否かをプラス側カウンタ値NUp に基づいて(NUp >N0 )、またU相のマイナス側デッドタイム値DTUmの学習回数がN0 を超えているか否かをマイナス側カウンタ値NUm に基づいて(NUm >N0 )行い、双方ともに当該条件を満たす場合に(NUp >N0 かつNUm >N0 )、U相の学習が完了したものとする。同様にV相、W相についてもそれぞれ学習回数が判断される(V相;NVp >N0 かつNVm >N0 、W相;NWp >N0 かつNWm >N0 )。
【0109】
ステップS251による条件(U相;NUp >N0 かつNUm >N0 、V相;NVp >N0 かつNVm >N0 、W相;NWp >N0 かつNWm >N0 )のすべてを充足していると判断した場合には(S251でYes)、各相のデッドタイム補償量の学習が完了していることになるので、ステップS253に処理を移行してCPU52の半導体メモリ装置の所定領域またはマイコンの汎用レジスタ等に「学習完了フラグ」をセットする処理を行う。一方、ステップS251による条件のすべてを充足していると判断できない場合には(S251でNo)、次回の割り込み処理時においても再度、ステップS213またはステップS217による各相のデッドタイム補償量の学習処理を行う必要があるので、「学習完了フラグ」をセットすることなく、一連の本デッドタイム補償量演算処理を終了する。
【0110】
ステップS251やステップS253による処理が終了すると、一連の本デッドタイム補償量演算処理を終了して図4に示すデッドタイム補償制御系の演算処理に処理を戻す。図4に示すように、ステップS103によるデッドタイム補償量演算処理が終了すると、次にステップS105による電流制御が行われることになるが、この場合の電流制御処理は図6に示すように「デッドタイム補償なし」に制御が行われる。これは、ステップS101によりデッドタイム補償量学習が未だ完了していない場合に(S101でYes)、このステップS105による電流制御処理が行われるからである。
【0111】
なお、このようなカウンタ値を設けて、例えば100回以上の学習処理をステップS213やステップS217に実行されているのは、ステップS211やステップS215によって両判定閾値間の範囲を設けこの範囲内にある出力電流値に基づいては同ステップによるデッドタイム補償量の学習を行わないようにしているが、これによっても排除することのできないノイズの影響を回避するためである。例えば、プラス方向に電流が流れているにもかかわらず、マイナス方向のノイズが含まれている場合、それを含んだ値を使ってデッドタイム補償量を求める演算を行うと、実際の電流方向とは逆方向に補償するデッドタイム補償量を求めるおそれがあるためである。そのため、このような誤差のあるデッドタイム補償量を含んでいる場合があっても、ステップS209により求めたPWMのディーティ比DTU を所定数集めてその総和の平均値を求める処理を行うことにより、かかる誤差による影響の希釈化を可能にしている。
【0112】
図6に示すように、電流制御処理(デッドタイム補償なし)は、所定の初期化処理の後、まずステップS301では、トルク信号Tsからq軸電流指令値Iq*を演算する処理が行われる。この処理は、図3を参照して前述したPI制御系のアシスト制御手段52bにより実行されるものである。なお、本第1実施形態の場合は、電気式動力舵取装置のモータ40を制御するものであることから、トルクセンサ30により検出されるトルク信号Tsに基づいてq軸電流指令値Iq*を演算しているが、他のアクチュエータ等のモータを制御する場合には、トルクセンサに限られることはなく、例えばそのアクチュエータ等に取り付けられた各種センサ(回転角センサ、位置センサ等)から出力される検出信号に基づいてq軸電流指令値Iq*を演算しても良い。
【0113】
続くステップS303では、3相電流をA/D変換後に取り込む処理が行われる。即ち、電流センサ47から出力されるU相出力電流値Iu、V相出力電流値Iv、W相出力電流値Iwをインタフェイス54を介してCPU52に取り込む処理を行う。
【0114】
ステップS305では、回転角信号から電気角を演算する処理が行われる。即ち、モータ40の回転角を検出するモータレゾルバ42からのモータ回転角信号θmに基づいて電気角θeを演算する処理を行う。なおこの電気角θeは、次のステップS307によるインバータ56の出力電流値Iu,Iv,Iwをdq変換する処理に用いられる。
【0115】
続くステップS307では、d軸出力電流値Id、q軸出力電流値Iqをそれぞれ演算する処理が行われる。この処理は、前述したPI制御系の3相2相変換手段52mにより実行されるもので、ステップS303により取り込まれたインバータ56の各相の出力電流Iu,Iv,IwをステップS305により求められた電気角θeに基づいてdq変換することにより、d軸の出力電流値Idとq軸の出力電流値Iqを求めるものである。
【0116】
ステップS309では、電圧指令値Vd*、Vq*を演算する処理が行われる。この処理は、前述したPI制御系のPI制御手段52e、52fにより実行されるもので、加算手段52c、52dにより求められた、アシスト制御手段52bから出力される電流指令値Iq*、Id*と、3相2相変換手段52mから帰還されるインバータ56の出力電流値Iq、Idとの偏差をPI制御手段52e、52fによりPI制御することによって、d軸の電圧指令値Vd*およびq軸の電圧指令値Vq*を演算する処理を行う。
【0117】
続くステップS311では、各相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を演算する処理が行われる。この処理は、前述したPI制御系の2相3相変換手段52gにより実行されるもので、ステップS309により求められたd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を、ステップS305により求められた電気角θeに基づいてdq逆変換することにより、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、W相電圧指令値Vw*を演算する処理を行う。
【0118】
ステップS313、S315、S317では、それぞれU相、V相、W相のPWM指令値を演算する処理が行われる。この処理は、前述したPI制御系のPWM変換手段52hにより実行されるもので、例えばステップS313においてはU相の電圧指令値Vu*をPWM指令値(PWM信号)PWMu*に変換する(PWMu*=Vu*/Vb×fulPWM+fulPWM/2)。
【0119】
同様に、ステップS315では、V相の電圧指令値Vv*をPWM指令値(PWM信号)PWMv*に変換する(PWMv*=Vv*/Vb×fulPWM+fulPWM/2)。またステップS317では、W相の電圧指令値Vw*をPWM指令値(PWM信号)PWMw*に変換する(PWMw*=Vw*/Vb×fulPWM+fulPWM/2)。
【0120】
ステップS313、S315、S317によって各相のPWM信号が演算されると、これをインバータ56に出力する処理をステップS319により行い、一連の本電流制御処理(デッドタイム補償なし)を終了する。そして、再び図4に示すデッドタイム補償制御系の演算処理に処理を戻して一連の本デッドタイム補償制御系の演算処理も終了し、次回の割り込み処理等による実行機会を待つ。
【0121】
次に、図4に示すステップS101により、学習完了フラグがセットされていると判断された場合(S101でNo)について説明する。この場合は、前述したように、ステップS107に処理を移行して電流制御処理(デッドタイム補償あり)を行うので、図7を参照して当該電流制御処理(デッドタイム補償あり)の流れを説明する。
【0122】
図7に示すように、電流制御処理(デッドタイム補償あり)は、図6を参照して説明した電流制御処理(デッドタイム補償なし)と同様の処理を行っているステップがある。そのため、図6に示す電流制御処理(デッドタイム補償なし)と実質的に同一の処理ステップについては、図7において同一符号を付すとともにそれらの説明を省略する。
【0123】
電流制御処理(デッドタイム補償あり)では、所定の初期化処理の後、ステップS301、S303、S305、S307、S309、S311により、トルク信号Ts等に基づいて各演算処理を行い、各相の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を求めると、ステップS400、S420、S440により、それぞれU相、V相、W相のデッドタイム補償制御処理を行う。
【0124】
ここで、U相のデッドタイム補償制御処理を説明する。なお、V相、W相のデッドタイム補償制御処理も同様に行われる。
ステップS401では、U相プラス指令であるか否かの判断処理が行われる。即ち、前述のステップS203により取り込んだU相電圧指令値Vu*に基づいてそれが0(ゼロ)より大きいか、つまりプラスであるか否かを判断する処理を行う。これによりU相プラス指令であると判断された場合には(S401でYes)、続くステップS403によりU相PWM指令値を演算する処理を行う。
【0125】
一方、ステップS401によりU相プラス指令であると判断されない場合には(S401でNo)、ステップS405に処理を移行して次はU相マイナス指令であるか否かの判断処理を行う。ステップS405による判断処理も大小関係が逆になること以外はステップS401によるものとほぼ同様である。
【0126】
ステップS405によりU相マイナス指令であると判断された場合には(S405でYes)、続くステップS407によりU相PWM指令値を演算する処理を行う。一方、ステップS405によりU相マイナス指令であると判断されない場合には(S405でNo)、ステップS409によりU相PWM指令値を演算する処理を行う。
【0127】
次にステップS403、S407、S409により行われるU相PWM指令値を演算する処理について説明する。これらによる各処理は、いずれもU相PWM指令値を演算するものであるが、それぞれの演算式が以下のように異なるため、処理されるステップによって得られるデッドタイム補償量が異なる。
【0128】
ステップS403では、U相PWM指令値演算として次の式(1) によりPWM指令値を求める演算が行われる。なお、式(1) において、Vu*はU相電圧指令値、Vb は直流電源電圧値、fulPWMはPWMの1周期分の時間、DTUpはU相のプラス側デッドタイム値である。
【0129】
PWMu* = Vu*/Vb × fulPWM + fulPWM/2 + DTUp …(1)
【0130】
即ち、図6を参照して説明した電流制御処理(デッドタイム補償なし)のステップS313によるU相PWM指令値演算とほぼ同様であるが、右辺最後の項においてU相のプラス側デッドタイム値DTUpを加算している点がステップS313による演算とは異なる。つまり、ステップS313では「デッドタイム補償なし」を前提としているため、U相のプラス側デッドタイム値DTUpが加算されることがないのである。
【0131】
ステップS407では、U相PWM指令値演算として次の式(2) によりPWM指令値を求める演算が行われる。なお、式(2) におけるVu*、Vb 、fulPWMは式(1) と同様であり、またDTUmはU相のマイナス側デッドタイム値である。
【0132】
PWMu* = Vu*/Vb × fulPWM + fulPWM/2 + DTUm …(2)
【0133】
ステップS403と同様、図6のステップS313によるU相PWM指令値演算とほぼ同様であるが、右辺最後の項においてU相のマイナス側デッドタイム値DTUmを加算している点がステップS313による演算とは異なる。なお、マイナス側デッドタイム値DTUmは、実際には減算されるものであるが、このDTUm自体が負の値をもつことから式(2) 上では形式的に加算している。
【0134】
ステップS409では、U相PWM指令値演算として次の式(3) によりPWM指令値を求める演算が行われる。なお、式(2) におけるVu*、Vb 、fulPWMは式(1) と同様である。
【0135】
PWMu* = Vu*/Vb × fulPWM + fulPWM/2 …(3)
【0136】
このステップS409による演算式(3) は、図6のステップS313によるU相PWM指令値演算と全く同じである。これは、U相の電圧指令値Vu*が、プラス側でもマイナス側でもない場合には、U相の電圧指令値Vu*がゼロ、つまり電流が流れていない状態にあるので、デッドタイム補償を行う必要がない。したがって、結果的に、図6に示すデッドタイム補償なしの電流制御処理と同様に処理されることから、当該式(3) と図6のステップS313によるU相PWM指令値演算とは同様になる。
【0137】
このようにステップS400においては、U相のデッドタイム補償制御がされるが、このステップS400による処理は、図3を参照して前述したPI制御系のデッドタイム補償制御手段52qにより実行される。即ち、図3に示すデッドタイム補償制御手段52qでは、2相3相変換手段52gから入力されるU相電圧指令値Vu*に対して、デッドタイム補償値演算手段52pから与えられるU相のデッドタイム値(プラス側DTUp、マイナス側DTUm)を決定することが可能なU相PWM指令値マップ52uによって、デッドタイム補償制御を行っており、これにより前述したステップS401〜S409による各処理が実現されている。
【0138】
同様に、ステップS420においてもV相のデッドタイム補償制御が、またステップS440においてもW相のデッドタイム補償制御が、それぞれステップS400と同様に行われる。
即ち、V相については、デッドタイム補償制御手段52qにより、2相3相変換手段52gから入力されるV相電圧指令値Vv*に対してデッドタイム補償値演算手段52pから与えられるV相のデッドタイム値(プラス側DTVp、マイナス側DTVm)を決定することが可能なV相PWM指令値マップ52vによって、デッドタイム補償制御を行っており、またW相については、デッドタイム補償制御手段52qにより、2相3相変換手段52gから入力されるW相電圧指令値Vw*に対してデッドタイム補償値演算手段52pから与えられるW相のデッドタイム値(プラス側DTWp、マイナス側DTWm)を決定することが可能なW相PWM指令値マップ52wによって、デッドタイム補償制御を行っている。
【0139】
ステップS400、S420、S440によって各相のPWM信号が演算されると、これをインバータ56に出力する処理をステップS319により行い、一連の本電流制御処理(デッドタイム補償あり)を終了する。そして、再び図4に示すデッドタイム補償制御系の演算処理に処理を戻して一連の本デッドタイム補償制御系の演算処理も終了し、次回の割り込み処理等による実行機会を待つ。
【0140】
なお、図3に示すデッドタイム補償制御系の例では、2相3相変換手段52gから出力されるU相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*およびW相電圧指令値Vw*をデッドタイム補償値演算手段52pに入力することにより、図7のステップS401およびステップS405によるU相電圧指令値の方向判断(プラスかマイナスか)を行っていたが、これに限られることはなく、例えば、インバータ56から出力される「U相出力電流値Iu、V相出力電流値IvおよびW相出力電流値Iw」に基づいてステップS401およびステップS405による方向判断を行っても良い。また、図3に示すアシスト制御手段52bから出力されるq軸電流指令値Iq*およびd軸電流指令値Id*を2相3相変換手段52gと同様のdq逆変換手段を介して「U相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*およびW相電流指令値Iw*」を生成しこれに基づいてステップS401およびステップS405による方向判断を行っても良い。
【0141】
このように2相3相変換手段52gから出力されるU相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*およびW相電圧指令値Vw*に基づいて各相ごとにデッドタイム補償量をプラス側とマイナス側とで求め、電流センサ47により検出されたU相出力電流値Iu、V相出力電流値IvおよびW相出力電流値Iwに基づいて各相ごとに、プラス側に電流が流れている場合にはプラス側のデッドタイム補償量を、またマイナス側に電流が流れている場合にはマイナス側のデッドタイム補償量を、PWM変換後のPWM指令値(PWM信号)に加える。
【0142】
これにより、PWM指令値(PWM信号)PWMu*,PWMv*,PWMw*のディーティ比がこの加えられた補償量に従って変化する。例えばプラス側のデッドタイム補償量を加えた場合には、デッドタイム期間中の不足分を補うためにディーティを余分に拡げる。一方、マイナス側のデッドタイム補償量を加えた場合には、デッドタイム期間中の余剰分を減らすためにディーティを余分に狭くする。このようなディーティ比の変化は、インバータ56のスイッチング回路56bを構成するスイッチング素子Q11、Q12、Q13、Q21、Q22、Q23ごとに演算され、制御されるため、例えばスイッチング素子ごとに電気的特性やスイッチング特性等のバラツキがあっても、そのようなバラツキに柔軟に適応した制御を行うことができるばかりでなく、スイッチング素子の経年変化や温度特性による電気的特性やスイッチング特性等の変動にも対応したデッドタイム補償制御を行うことができる。
【0143】
したがって、図8(A) に示すように、本第1実施形態に係る本電気式動力舵取装置においては、そのモータ40に流れるインバータ56の出力電流Iu,Iv,Iwを実機において観測したところ、各相電流波形は、電流値0A(ゼロアンペア)のゼロクロス近傍領域であっても、図8(B) に示すような顕著な波形歪みを伴っていないことが本願発明者により確認されている。なお、図8(B) に示す電流波形は、デッドタイム補償制御が行われていない場合の構成(図18参照)において観測されたものである。
【0144】
以上説明したように、本第1実施形態の本電気式動力舵取装置のデッドタイム補償制御によると、 (1)PWM制御に対する「U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*およびW相電圧指令値Vw*」と (2)インバータ56の「U相出力電圧値Vu、V相出力電圧値VvおよびW相出力電圧値Vw」と (3)直流電源Batt から出力される直流電源電圧値Vbと (4)PWM制御に対する「U相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*およびW相電流指令値Iw*」またはインバータ56の「U相出力電流値Iu、V相出力電流値IvおよびW相出力電流値Iw」の少なくとも一方と、に基づいて、デッドタイム補償制御手段52qによるデッドタイム補償量DTUp、DTUm、DTVp、DTVm、DTWp、DTWm(以下「DTUp〜DTWm」という。)をデッドタイム補償値演算手段52pにより求める。これにより、実際に、インバータ56から出力される (2)の「U相出力電圧値Vu、V相出力電圧値VvおよびW相出力電圧値Vw」に基づいて (1)の「U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*およびW相電圧指令値Vw*」と偏差ΔVu、ΔVv、ΔVwを求めることから、インバータ56のスイッチング回路56bを構成するスイッチング素子Q11〜Q23ごとに相違し得る電気的特性(例えばターンオン時間やターンオフ時間等)を当該デッドタイム補償量DTUp〜DTWmに反映させることができる。また当該スイッチング回路56bを構成するスイッチング素子Q11〜Q23以外の能動素子および受動素子や、インバータ56を構成するスイッチング回路56b以外の回路部品(例えば能動素子、受動素子等)ごとに相違し得る電気的特性も当該デッドタイム補償量DTUp〜DTWmに反映させることができる。つまり、当該スイッチング素子Q11〜Q23等ごとにバラツキのある電気的特性の差異や経年変化や温度特性による電気的特性の変動等を考慮したデッドタイム補償制御を行うことができる。したがって、スイッチング素子Q11〜Q23等の電気的特性に対応させてデッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができるので、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0145】
また、本第1実施形態の本電気式動力舵取装置のデッドタイム補償制御によると、図5に示すステップS213、S217により、 (4)の「U相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*およびW相電流指令値Iw*」またはインバータ56の「U相出力電流値Iu、V相出力電流値IvおよびW相出力電流値Iw」の電流方向の正負双方向について、それぞれ個別にデッドタイム補償量DTUp〜DTWmを求める。これにより、インバータ56を駆動するPWM信号の立ち上がりタイミングおよび立ち下がりタイミングの双方についてデッドタイム補償量DTUp〜DTWmを個別に求めることができるので、当該PWM信号の立ち上がりにおけるデッドタイム補償量DTUp〜DTWmと、当該PWM信号の立ち下がりにおけるデッドタイム補償量DTUp〜DTWmと、が異なる場合であっても、双方個別にデッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができる。したがって、PWM信号の立ち上がりおよび立ち下がりにおけるスイッチング素子Q11〜Q23の電気的特性(例えばターンオン時間やターンオフ時間等)が異なる場合においても、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0146】
さらに、本第1実施形態の本電気式動力舵取装置のデッドタイム補償制御によると、図5に示すステップS211、S215により、 (4)の「U相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*およびW相電流指令値Iw*」またはインバータ56の「U相出力電流値Iu、V相出力電流値IvおよびW相出力電流値Iw」の電流方向が正のときには電流判定閾値I0 を上回る場合にデッドタイム補償量DTUpを求めるとともに、 (4)の同電流方向が負のときには電流判定閾値−I0 を下回る場合にデッドタイム補償量DTUmを求める。これにより、当該電流判定閾値I0 を上回らず電流判定閾値−I0 を下回らない範囲においては、デッドタイム補償量DTUp〜DTWmを求めないので、当該範囲におけるデッドタイム補償量DTUp〜DTWmに基づいたデッドタイム補償制御を防止することができる。そのため、 (4)の同電流方向が正から負に切り替わったり、負から正に切り替わったりするゼロクロス近傍領域(ゼロアンペア境界近傍範囲)においてはデッドタイム補償量DTUp〜DTWmを求めないので、ノイズ等の影響により当該ゼロクロス近傍領域で電流方向を逆に誤検出するといった事態を防止することができる。したがって、このような誤検出による電流方向に基づいたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmの演算を回避できるので、誤ったデッドタイム補償制御により生じるトルクリップルによる異音や振動の発生を防止することができる。
【0147】
また、本第1実施形態の本電気式動力舵取装置のデッドタイム補償制御によると、図5に示すステップS213、S217により、 (1)PWM制御に対する「U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*およびW相電圧指令値Vw*」と (2)インバータ56の「U相出力電圧値Vu、V相出力電圧値VvおよびW相出力電圧値Vw」と (3)直流電源Batt から出力される直流電源電圧値Vbと (4)PWM制御に対する「U相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*およびW相電流指令値Iw*」またはインバータ56の「U相出力電流値Iu、V相出力電流値IvおよびW相出力電流値Iw」の少なくとも一方と、に基づいて求めた複数のデッドタイム補償量の平均値を、デッドタイム補償量として求める(段落番号0103〜段落番号0105参照)。これにより、複数回に亘って求めたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmの平均値を実際に用いるデッドタイム補償量DTUp〜DTWmとするので、デッドタイム補償量DTUp〜DTWmを一度だけ求めた場合に比べて、ノイズ等により生じるデッドタイム補償量DTUp〜DTWmの誤差を抑制することができる。したがって、トルクリップルによる異音や振動の発生をより効果的に抑制することができる。
【0148】
また、本第1実施形態の本電気式動力舵取装置のデッドタイム補償制御によると、図7に示すステップS403、S407は、インバータ56を駆動制御する「U相PWM信号PWMu*、V相PWM信号PWMv*およびW相PWM信号PWMw*」に、PWM制御に対する「U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*およびW相電圧指令値Vw*」に基づいたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmを加算することにより行われる。これにより、PWM制御に対する「U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*およびW相電圧指令値Vw*」を参照すれば、当該電圧指令値に基づいたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmをインバータ56を駆動制御するPWM信号PWMu*,PWMv*,PWMw*に加算しデッドタイム補償することができ、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0149】
また、本第1実施形態の本電気式動力舵取装置のデッドタイム補償制御によると、図7に示すステップS403、S407は、インバータ56を駆動制御する「U相PWM信号PWMu*、V相PWM信号PWMv*およびW相PWM信号PWMw*」に、インバータ56の「U相出力電流値Iu、V相出力電流値IvおよびW相出力電流値Iw」に基づいたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmを加算することにより行われる。これにより、インバータ56の「U相出力電流値Iu、V相出力電流値IvおよびW相出力電流値Iw」を参照すれば、当該インバータ56の出力電流値に基づいたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmをインバータ56を駆動制御するPWM信号PWMu*,PWMv*,PWMw*に加算しデッドタイム補償することができ、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0150】
また、本第1実施形態の本電気式動力舵取装置のデッドタイム補償制御によると、図7に示すステップS403、S407は、インバータ56を駆動制御する「U相PWM信号PWMu*、V相PWM信号PWMv*およびW相PWM信号PWMw*」に、q軸電流指令値Iq*およびd軸電流指令値Id*を2相3相変換手段52gと同様のdq逆変換手段を介して「U相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*およびW相電流指令値Iw*」を生成しこれに基づいたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmを加算することにより行われる。これにより、「U相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*およびW相電流指令値Iw*」を参照すれば、当該電流指令値に基づいたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmをインバータ56を駆動制御するPWM信号PWMu*,PWMv*,PWMw*に加算しデッドタイム補償することができ、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0151】
また、本第1実施形態の本電気式動力舵取装置のデッドタイム補償制御では、デッドタイム補償量DTUp〜DTWmとして、インバータ56を駆動制御するPWM信号PWMu*,PWMv*,PWMw*のデューティ比を求めても良い。つまり、デッドタイム補償量DTUp〜DTWmを時間量に置き換えてPWM信号PWMu*,PWMv*,PWMw*を補償しても良い。これにより、インバータ56を駆動制御するPWM信号PWMu*,PWMv*,PWMw*に当該PWM信号のデューティ比を加算することにより、デッドタイム補償制御を行うことができる。したがって、インバータ56を駆動制御するPWM信号に対して行われるデッドタイム補償制御によって、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0152】
また、本第1実施形態の本電気式動力舵取装置のデッドタイム補償制御では、モータ40の起動後にデッドタイム補償量を求めるように、図4〜図7に示す各演算制御処理をECU50のCPU52により行うように構成しても良い。これにより、モータ40の起動後において、実際にインバータ56から出力される (2)のインバータ56の「U相出力電圧値Vu、V相出力電圧値VvおよびW相出力電圧値Vw」に基づいて (1)のPWM制御に対する「U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*およびW相電圧指令値Vw*」と偏差ΔVu、ΔVv、ΔVwを求めることから、設計時等により予め設定されたデッドタイム補償量を用いるのではなく、実際に駆動制御を行うインバータ56およびモータ40に対応して、当該インバータ56のスイッチング回路56bを構成するスイッチング素子Q11〜Q23ごとに相違し得る電気的特性(例えばターンオン時間やターンオフ時間等)を当該デッドタイム補償量DTUp〜DTWmに反映させることができる。また当該スイッチング回路56bを構成するスイッチング素子Q11〜Q23以外の能動素子および受動素子や、インバータ56を構成するスイッチング回路56b以外の回路部品(例えば能動素子、受動素子等)ごとに相違し得る電気的特性も当該デッドタイム補償量DTUp〜DTWmに反映させることができる。つまり、インバータ56やモータ40等のハードウェア個々に異なる電気的特性あるいは経年変化や温度特性による電気的特性の変動等を考慮したデッドタイム補償制御を行うことができる。したがって、モータ40の起動後において、スイッチング素子Q11〜Q23等の電気的特性に対応させてデッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができるので、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0153】
[第2実施形態]
第2実施形態は、上述した本電気式動力舵取装置に図9に示すデッドタイム補償制御系を適用した例で、以下説明する各演算処理はECU50のCPU52により実行されている。本第2実施形態では、図4〜7、図9〜図11を参照して説明する。
【0154】
図9に示すように、本第2実施形態に係るデッドタイム補償制御系は、第1実施形態のデッドタイム補償制御系のデッドタイム補償値演算手段52pに代えて、リアルタイムデッドタイム補償値演算手段52xを用いている点が、第1実施形態のデッドタイム補償制御系と異なるところである。そのため、第1実施形態のデッドタイム補償制御系と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。
【0155】
本第2実施形態に係るデッドタイム補償制御系は、リアルタイムデッドタイム補償値演算手段52xを備えているため、前述した第1実施形態のデッドタイム補償値演算手段52pとは異なり、一旦、デッドタイム補償制御量DTUp〜DTWmの学習を完了してもその後もデッドタイム補償制御量DTUp〜DTWmの学習をリアルタイム(例えば1ミリ秒ごと)に継続して実行し続けるものである。
【0156】
なお、図4に示すように、第1実施形態では、デッドタイム補償制御量DTUp〜DTWmの学習を完了すると(S101でNo)、ステップS107に処理を移行するため、それ以後はデッドタイム補償制御量DTUp〜DTWmの学習を行っていない。
【0157】
このようにデッドタイム補償制御系を構成することにより、リアルタイムデッドタイム補償値演算手段52xは、モータ40の起動後、所定周期(例えば1ミリ秒)ごとにデッドタイム補償量DTUp〜DTWmを求める。これにより、モータ40の起動後においても例えば1ミリ秒ごとに、実際にインバータ56から出力される (2)のインバータ56の「U相出力電圧値Vu、V相出力電圧値VvおよびW相出力電圧値Vw」に基づいて (1)のPWM制御に対する「U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*およびW相電圧指令値Vw*」と偏差ΔVu、ΔVv、ΔVwを求めることから、例えば、モータ40の起動直後から時間の経過に伴ってインバータ56内外に温度変化が生じて当該インバータ56のスイッチング素子Q11〜Q23の電気的特性が変動しても、ほぼリアルタイムに当該電気的特性の変動をデッドタイム補償量DTUp〜DTWmに反映させることができる。またインバータ56のスイッチング回路56bを構成するスイッチング素子Q11〜Q23以外の能動素子および受動素子や、インバータを構成するスイッチング回路56b以外の回路部品(例えば能動素子、受動素子等)ごとに電気的特性に変動が生じても同様にデッドタイム補償量DTUp〜DTWmにほぼリアルタイムに反映させることができる。したがって、スイッチング素子Q11〜Q23等の電気的特性に対応させてほぼリアルタイムに、デッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができるので、スイッチング素子Q11〜Q23等の電気的特性が変動する場合においても、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0158】
また、本第2実施形態に係るデッドタイム補償制御系では、図10に示すようなデッドタイム補償制御系の演算処理を行うように構成することもできる。なお図10において、第1実施形態の図4と同一符号を付してあるステップS101、S103、S105、S107については、実質的に同一の処理を行う。
【0159】
即ち、本電気式動力舵取装置の工場出荷前においては、テストモードとして(ステップS501でYes)、ステップS103によりデッドタイム補償量演算処理(図5)を行ってデッドタイム補償量DTUp〜DTWmを求めてECU50の半導体メモリ装置に記憶し、S105によりデッドタイム補償なしの電流制御処理(図6)を行う。そして、本電気式動力舵取装置の工場出荷後においては、非テストモードとして(ステップS501でNo)、工場出荷前に半導体メモリ装置に記憶しておいたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmをステップS503により読み出し、S107によりデッドタイム補償ありの電流制御処理(図7)を行う。その後、ステップS505によりデッドタイム補償量リアルタイム演算処理(図11)を行う。
【0160】
つまり、図10に示すデッドタイム補償制御系の演算処理では、工場出荷前において求めたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmは、工場出荷後のモータ40の起動当初においては使用するものの、その後はこれから説明するリアルタイムデッドタイム補償値演算手段52xによるデッドタイム補償量リアルタイム演算処理(図11)により求めたリアルデッドタイム補償量RLDTUp、RLDTUmによりデッドタイム補償制御を行うように構成したものである。
【0161】
ここで、図10のステップS505により実行されるデッドタイム補償量リアルタイム演算処理について図11を参照して説明する。
図11に示すように、デッドタイム補償量リアルタイム演算処理は、ステップS551、S553、S555による処理が異なるほかは、第1実施形態の図5に示すデッドタイム補償量演算処理とほぼ同様の処理を行っている。そのため、そのような処理については同一の符号を付し、それらの説明を省略する。
【0162】
デッドタイム補償量リアルタイム演算処理では、図5に示す第1実施形態とほぼ同様に、ステップS200’によりU相デッドタイム補償量演算、ステップS220’によりV相デッドタイム補償量演算、S240’によりU相デッドタイム補償量演算、をそれぞれ行っている。ただし、第2実施形態においては、各相のデッドタイム補償量DTUp〜DTWmを直接求めるのではなく、各相のデッドタイム補償量DTUp〜DTWmの変化分をΔDTUp、ΔDTUm、ΔDTVp、ΔDTVm、ΔDTVm、ΔDTWm(以下「ΔDTUp〜ΔDTWm」という。)として求める処理を行っている。
【0163】
そのため、図11に示すように、ステップS209’においては、ステップS207によりデッドタイム補償量の不足分をU相電圧偏差ΔVuとして求めた後、このステップではこれをPWMのディーティ比の変化分ΔDTU (=ΔVu/Vb×fulPWM)に換算する演算処理を行う。
【0164】
またステップS213’においては、ステップS209’により求めたPWMのディーティ比の変化分ΔDTU を所定数集めてその総和の平均値を求める処理を行う。例えば、本第2実施形態では、このステップ213’による処理を行うごとにプラス側カウンタ値NUp をインクリメント(NUp =NUp +1)するとともにPWMのディーティ比の変化分としてのプラス側デッドタイム総和値sumUp に今回演算したディーティ比の変化分ΔDTU を加算する(sumUp =sumUp +ΔDTU )処理を行う。そして、この加算後のsumUp をインクリメント後のプラス側カウンタ値NUp で除算しU相のプラス側デッドタイム値の変化分ΔDTUp(=sumUp /NUp )を演算する処理を行う。これにより、U相についてのプラス側デッドタイム値の変化分ΔDTUpが求められる。
【0165】
同様に、ステップS217’においては、ステップ217’による処理を行うごとにマイナス側カウンタ値NUm をインクリメント(NUm =NUm +1)するとともにPWMのディーティ比の変化分Δとしてのマイナス側デッドタイム総和値sumUm に今回演算したディーティ比の変化分ΔDTU を加算する(sumUm =sumUm +ΔDTU )処理を行い、この加算後のsumUm をインクリメント後のプラス側カウンタ値NUm で除算してU相のマイナス側デッドタイム値の変化分ΔDTUm(=sumUm /NUm )を演算する処理を行う。これにより、U相についてのマイナス側デッドタイム値の変化分ΔDTUmが求められる。
【0166】
ステップS220’においてもV相についてのプラス側デッドタイム値の変化分ΔDTVp、マイナス側デッドタイム値の変化分ΔDTVmが求められ、またステップS240’においてもW相についてのプラス側デッドタイム値の変化分ΔDTWp、マイナス側デッドタイム値の変化分ΔDTWmが求められる。
【0167】
このようにしてΔDTUp〜ΔDTWmが求められると、ステップS551により、ステップS213’によりインクリメントされたプラス側カウンタ値NUp やステップS217’によりインクリメントされたマイナス側カウンタ値NUm に基づいて、双方のカウンタ値が規定サンプル数N0 (例えばN0 =100)を超えているか否かを判断する。同様にV相、W相についてもそれぞれ学習回数が判断される(V相;NVp >N0 かつNVm >N0 、W相;NWp >N0 かつNWm >N0 )。
【0168】
ステップS551による条件(U相;NUp >N0 かつNUm >N0 、V相;NVp >N0 かつNVm >N0 、W相;NWp >N0 かつNWm >N0 )のすべてを充足していると判断した場合には(S551でYes)、各相のデッドタイム補償量の更新準備が完了していることになるので、ステップS553に処理を移行して、各デッドタイム値の変化分ΔDTUp、ΔDTUm、ΔDTVp、ΔDTVm、ΔDTVm、ΔDTWmを加算(RLDTUp=RLDTUp+ΔDTUp、RLDTUm=RLDTUm+ΔDTUm、RLDTVp=RLDTVp+ΔDTVp、RLDTVm=RLDTVm+ΔDTVm、RLDTWp=RLDTWp+ΔDTWp、RLDTWm=RLDTWm+ΔDTWm)してリアルデッドタイム補償量RLDTUp、RLDTUmを更新する処理を行う。
【0169】
一方、ステップS551による条件のすべてを充足していると判断できない場合には(S551でNo)、次回の割り込み処理時においても再度、ステップS213’またはステップS217’による各相のデッドタイム補償量演算処理を行う必要があるので、ステップS553による更新処理を行うことなく、一連の本デッドタイムリアルタイム補償量演算処理を終了する。
【0170】
ステップS553によるデッドタイム補償量を更新する処理が終了すると、ステップS555に処理を移行してステップS213’やステップS217’で使用した各データ(プラス側カウンタ値NUp,NVp,NWp,マイナス側カウンタ値NUm,NVm,NWm,プラス側デッドタイム総和値sumUp,sumVp,sumWp,マイナス側デッドタイム総和値sumUm,sumVm,sumWm)をゼロクリアするデータクリア処理を行い、一連の本デッドタイム補償量リアルタイム演算処理を終了する。
【0171】
このように本第2実施形態に係るデッドタイム補償制御系によると、工場出荷前において求めたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmは、工場出荷後のモータ40の起動当初においては使用し、その後はリアルタイムデッドタイム補償値演算手段52xによるデッドタイム補償量リアルタイム演算処理(図11)により求めたリアルデッドタイム補償量RLDTUp、RLDTUmによりデッドタイム補償制御を行う。これにより、例えば、モータ40の起動直後から時間の経過に伴ってインバータ56内外に温度変化が生じて当該インバータ56のスイッチング素子Q11〜Q23の電気的特性が変動しても、ほぼリアルタイムに当該電気的特性の変動をリアルデッドタイム補償量RLDTUp、RLDTUmに反映させることができる。またインバータ56のスイッチング回路56bを構成するスイッチング素子Q11〜Q23以外の能動素子および受動素子や、インバータを構成するスイッチング回路56b以外の回路部品(例えば能動素子、受動素子等)ごとに電気的特性に変動が生じても同様にリアルデッドタイム補償量RLDTUp、RLDTUmにほぼリアルタイムに反映させることができる。したがって、スイッチング素子Q11〜Q23等の電気的特性に対応させてほぼリアルタイムに、デッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができるので、スイッチング素子Q11〜Q23等の電気的特性が変動する場合においても、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制することができる。
【0172】
[第3実施形態]
第3実施形態は、上述した本電気式動力舵取装置に図12に示すデッドタイム補償制御系を適用した例で、以下説明する各演算処理はECU50のCPU52により実行されている。本第3実施形態では、図4〜図6、図12〜図14を参照して説明する。
【0173】
図12に示すように、本第3実施形態に係るデッドタイム補償制御系は、第1実施形態のデッドタイム補償制御系のデッドタイム補償値演算手段52pに代えて、本電気式動力舵取装置の工場出荷前テストに使用されるデッドタイム補償値演算手段52yを用いている点が、第1実施形態のデッドタイム補償制御系と異なるところである。そのため、第1実施形態のデッドタイム補償制御系と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。
【0174】
本第3実施形態に係るデッドタイム補償制御系は、図12に示すように、工場出荷前テスト用のデッドタイム補償値演算手段52yとデッドタイム補償量記憶手段52zを備えている。工場出荷前テスト用のデッドタイム補償値演算手段52yは、本電気式動力舵取装置の工場出荷前テストにおいて、出荷検査装置TST から有線または無線通信回線を介して所定のテストコマンドを受信すると、図13に示すステップS501によりテストモードであると判断して(S501でYes)、ステップS101によるデッドタイム補償量学習未完了判断処理を経て未だ学習されてない場合には(S101でYes)、ステップS103”によりデッドタイム補償量演算処理(図14)を行いデッドタイム補償量DTUp〜DTWmを求め、図12に示すデッドタイム補償量記憶手段52zによりECU50の半導体メモリ装置に記憶する(図14のステップS601)。その後、S105によりデッドタイム補償なしの電流制御処理(図6)を行う。
【0175】
一方、本電気式動力舵取装置の工場出荷後においては、非テストモードとして(ステップS501でNo)、工場出荷前に半導体メモリ装置に記憶しておいたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmをステップS503により読み出し、図12に示すようにデッドタイム補償量記憶手段52zからデッドタイム補償制御手段52qにデッドタイム補償量DTUp〜DTWmを出力する。そして、S107によりデッドタイム補償ありの電流制御処理(図7)を行う。なお、図13において、第1実施形態の図4と同一符号を付してあるステップS101、S105、S107については、実質的に同一の処理を行う。
【0176】
なお、ステップS103”によるデッドタイム補償量演算処理は、図14に示すように、第1実施形態の図5に示すデッドタイム補償量演算処理とほぼ同様であるが、ステップS253の後処理にデッドタイム補償量をデッドタイム補償量記憶手段52z(半導体メモリ装置等)に記憶する処理が追加されている点が異なる。つまり、本第3実施形態に係るデッドタイム補償量演算処理では、ステップS200、S220、S240により求めた各相のデッドタイム補償量をデッドタイム補償量記憶手段52zに記憶してから一連の処理を終了する。
【0177】
このように本第3実施形態に係るデッドタイム補償制御系によると、本電気式動力舵取装置の出荷前においてデッドタイム補償量DTUp〜DTWmを求め当該デッドタイム補償量DTUp〜DTWmに係るデータをデッドタイム補償量記憶手段52z(半導体メモリ装置)に記録し、当該電気式動力舵取装置の出荷後においてはデッドタイム補償量記憶手段52zから読み出されたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmに係るデータに基づいてデッドタイム補償制御が行われる。これにより、デッドタイム補償量記憶手段52zに記録されたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmに基づいて、モータ40の起動直後から直ちにデッドタイム補償制御を行うことができる。したがって、モータ40の起動の都度、デッドタイム補償量DTUp〜DTWmを演算する必要がないため、モータ40の起動直後から直ちにデッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができ、異音や振動の発生をモータの起動直後から抑制することができる。
【0178】
[第4実施形態]
第4実施形態は、第3実施形態と同様に、上述した本電気式動力舵取装置に図12に示すデッドタイム補償制御系を適用した例で、以下説明する各演算処理はECU50のCPU52により実行されている。本第4実施形態では、図4〜図6、図12、図15〜図17を参照して説明する。
【0179】
図15に示すように、本第4実施形態に係るデッドタイム補償制御系は、前述した第3実施形態の図13に示すデッドタイム補償制御系の演算処理において、ステップS503とステップS107との間に、デッドタイム補償量記憶手段52zからの読み出しに失敗したか否かを判断するステップS701と読み出しに失敗した場合にはデッドタイム補償量をデフォルト値dfDTUp、dfDTUmに設定するステップS703とを介在させた点が、第3実施形態のデッドタイム補償制御系と異なるところである。そのため第3実施形態のデッドタイム補償制御系の演算処理と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。
【0180】
図15に示すように、本第4実施形態に係るデッドタイム補償制御系の演算処理では、デッドタイム補償量記憶手段52z(半導体メモリ装置等)からデッドタイム補償量DTUp〜DTWmに係るデータを読み出しに失敗した(正常に読み出せなかった)と判断された場合には(S701でYes)、ステップS703によりデフォルト値に設定されたデッドタイム補償量dfDTUp、dfDTUm(既定の所定データ)に基づいてステップS107によるデッドタイム補償制御(図7)が行われる。これにより、例えば、当該デッドタイム補償量記憶手段52zに記録されたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmに係るデータが正常でなかった場合や当該デッドタイム補償量記憶手段52zから読み出す途中にデッドタイム補償量DTUp〜DTWmに係るデータが壊れた場合には、デフォルト値のデッドタイム補償量dfDTUp、dfDTUmに基づいてデッドタイム補償制御が行われるので、当該正常ではないデータに係るデッドタイム補償量に基づいたデッドタイム補償制御を防止することができる。したがって、当該正常ではないデータに係るデッドタイム補償量を用いたデッドタイム補償制御による異音や振動の発生を防ぐことができる。
【0181】
また、本第4実施形態に係るデッドタイム補償制御系の演算処理では、図16に示すようなデッドタイム補償量演算処理を行うように構成することもできる。図16に示すように、本第4実施形態に係るデッドタイム補償量演算処理は、前述した第3実施形態の図14に示すデッドタイム補償量演算処理において、ステップS251とステップS253との間に、ステップS200、S220、S240において求めたデッドタイム補償量をチェックするステップS711を介在させ、さらにステップS253の後処理としてデッドタイム補償量をデッドタイム補償量記憶手段52zに記憶するステップS601を置いた点が、第3実施形態のデッドタイム補償量演算処理と異なるところである。そのため、第3実施形態のデッドタイム補償量演算処理と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。
【0182】
図16に示すように、本第4実施形態に係るデッドタイム補償量演算処理では、ステップS200、S220、S240により求められたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmが所定範囲内((0≦DTUp≦DTS)and(-DTS≦DTUm≦0),(0≦DTVp≦DTS)and(-DTS≦DTVm≦0),(0≦DTWp≦DTS)and(-DTS≦DTWv≦0);DTSはデッドタイム設定値)にあるか否かをステップS711により判断し、デッドタイム補償量DTUp〜DTWmが当該所定範囲内にないと判断された場合には(S711でNG)、ステップS713により所定データ(プラス側カウンタ値NUp,NVp,NWp,マイナス側カウンタ値NUm,NVm,NWm,プラス側デッドタイム総和値sumUp,sumVp,sumWp,マイナス側デッドタイム総和値sumUm,sumVm,sumWm)をゼロクリアするデータクリア処理を行い、一連の本デッドタイム補償量演算処理を終了する。
【0183】
一方、ステップS711によりデッドタイム補償量DTUp〜DTWmが当該所定範囲内にあると判断された場合には(S711でOK)、ステップS253により学習完了フラグをCPU52の半導体メモリ装置の所定領域等にセットする処理を行う。そして、正常に読み出されたデッドタイム補償量DTUp〜DTWmをデッドタイム補償量記憶手段52zに記憶する処理をステップS601により行う。
【0184】
これにより、デッドタイム補償量DTUp〜DTWmが当該所定範囲内にないと判断された場合(S711でNG)、例えば、 (2)の「U相出力電圧値Vu、V相出力電圧値VvおよびW相出力電圧値Vw」や (4)の「U相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*およびW相電流指令値Iw*」またはインバータ56の「U相出力電流値Iu、V相出力電流値IvおよびW相出力電流値Iw」に含まれ得るノイズ等により予定外の値を持つデッドタイム補償量が求められた場合には、再度、ステップS200、S220、S240によりデッドタイム補償量DTUp〜DTWmが求められるので、当該予定外のデッドタイム補償量に基づいたデッドタイム補償制御を防止することができる。したがって、当該予定外のデッドタイム補償量を用いたデッドタイム補償制御による異音や振動の発生を防ぐことができる。
【0185】
さらに、本第4実施形態に係るデッドタイム補償制御系の演算処理では、図17に示すようなデッドタイム補償量リアルタイム演算処理を行うように構成することもできる。
図17に示すように、本第4実施形態に係るデッドタイム補償量リアルタイム演算処理は、前述した第2実施形態の図11に示すデッドタイム補償量リアルタイム演算処理において、ステップS551とステップS553との間に、ステップS200’、S220’、S240’において求めた各相のデッドタイム補償量DTUp〜DTWmの変化分ΔDTUp〜ΔDTWmにより更新前のリアルデッドタイム補償量RLDTUp、RLDTUm、RLDTVp、RLDTVm、RLDTWp、RLDTWm(以下「RLDTUp〜RLDTWm」という。)を仮に更新するデッドタイム補償量仮更新処理をステップS751として、またこの後処理に仮更新された仮デッドタイム補償量が所定範囲内にあるか否かをチェックする仮デッドタイム補償量チェック処理をステップS753として、それぞれ置いた点が、第2実施形態のデッドタイム補償量リアルタイム演算処理と異なるところである。そのため、第2実施形態のデッドタイム補償量リアルタイム演算処理と実質的に同一の構成部分には同一符号を付し、それらの説明を省略する。
【0186】
図17に示すように、本第4実施形態に係るデッドタイム補償量リアルタイム演算処理では、ステップS200’、S220’、S240’により求められた各相のデッドタイム補償量DTUp〜DTWmの変化分ΔDTUp〜ΔDTWmを、ステップS751により、更新前のリアルデッドタイム補償量RLDTUp〜RLDTWmに加算するデッドタイム補償量仮更新演算処理を行う(RLDTUp'=RLDTUp+ΔDTUp,RLDTUm'=RLDTUm+ΔDTUm,RLDTVp'=RLDTVp+ΔDTVp,RLDTVm'=RLDTVm+ΔDTVm,RLDTWp'=RLDTWp+ΔDTWp,RLDTWm'=RLDTWm+ΔDTWm)。これにより求められた仮デッドタイム補償量RLDTUp'、RLDTUm'、RLDTVp'、RLDTVm'、RLDTWp'、RLDTWm'(以下「RLDTUp'〜RLDTWm'」という。)が、所定範囲内((0≦DTUp'≦DTS)and(-DTS≦DTUm'≦0),(0≦DTVp'≦DTS)and(-DTS≦DTVm'≦0),(0≦DTWp'≦DTS)and(-DTS≦DTWv'≦0);DTSはデッドタイム設定値)にあるか否かを続くステップS753により判断し、仮デッドタイム補償量RLDTUp'〜RLDTWm'が当該所定範囲内にないと判断された場合には(S753でNG)、ステップS555により所定データ(プラス側カウンタ値NUp,NVp,NWp,マイナス側カウンタ値NUm,NVm,NWm,プラス側デッドタイム総和値sumUp,sumVp,sumWp,マイナス側デッドタイム総和値sumUm,sumVm,sumWm)をゼロクリアするデータクリア処理を行い、一連の本デッドタイム補償量リアルタイム演算処理を終了する。
【0187】
一方、ステップS753により仮デッドタイム補償量RLDTUp'〜RLDTWm'が当該所定範囲内にあると判断された場合には(S753でOK)、ステップS553により仮デッドタイム補償量RLDTUp'〜RLDTWm'をリアルデッドタイム補償量RLDTUp〜RLDTWmに置き換えてデータを更新する処理を行う。そして、ステップS555により所定データ(プラス側カウンタ値NUp,NVp,NWp,マイナス側カウンタ値NUm,NVm,NWm,プラス側デッドタイム総和値sumUp,sumVp,sumWp,マイナス側デッドタイム総和値sumUm,sumVm,sumWm)をゼロクリアするデータクリア処理を行い、一連の本デッドタイム補償量リアルタイム演算処理を終了する。
【0188】
これにより、仮デッドタイム補償量RLDTUp'〜RLDTWm'が当該所定範囲内にないと判断された場合(S753でNG)、例えば、 (2)の「U相出力電圧値Vu、V相出力電圧値VvおよびW相出力電圧値Vw」や (4)の「U相電流指令値Iu*、V相電流指令値Iv*およびW相電流指令値Iw*」またはインバータ56の「U相出力電流値Iu、V相出力電流値IvおよびW相出力電流値Iw」に含まれ得るノイズ等により予定外の値を持つ各相のデッドタイム補償量DTUp〜DTWmの変化分ΔDTUp〜ΔDTWmが求められた場合には、再度、ステップS200’、S220’、S240’により各相のデッドタイム補償量DTUp〜DTWmの変化分ΔDTUp〜ΔDTWmが求められるので、当該予定外の変化分ΔDTUp〜ΔDTWmに基づいて更新されたリアルデッドタイム補償量RLDTUp〜RLDTWmによるデッドタイム補償制御を防止することができる。したがって、当該予定外の変化分ΔDTUp〜ΔDTWmに基づいて更新されたリアルデッドタイム補償量RLDTUp〜RLDTWmによるデッドタイム補償制御による異音や振動の発生を防ぐことができる。
【0189】
以上、各実施形態において説明したように、本電気式動力舵取装置では、上述したモータ制御装置およびモータ制御方法によってアシストトルクを発生させるモータ40の駆動制御を行うことから、PWM制御によって当該モータ40に電力を供給するインバータ56のスイッチング素子Q11〜Q23等の電気的特性に対応させてデッドタイムにおけるトルクリップルを減少させることができる等の、請求項16〜29の各発明による作用・効果を享受した電気式動力舵取装置を実現することができる。したがって、トルクリップルによる異音や振動の発生を抑制し得る電気式動力舵取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る電気式動力舵取装置の構成を示す構成図である。
【図2】図2(A) は、本実施形態の電気式動力舵取装置のモータ制御に関する電気的構成を示すブロック図で、図2(b) はインバータの構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるデッドタイム補償制御系およびPI制御系に関する機能ブロックである。
【図4】本第1実施形態によるデッドタイム補償制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図4に示すデッドタイム補償量演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図4に示す電流制御処理(デッドタイム補償なし)の流れを示すフローチャートである。
【図7】図4に示す電流制御処理(デッドタイム補償あり)の流れを示すフローチャートである。
【図8】インバータからモータに出力される3相電流波形の例を示す波形観測図で、図8(A) は、本第1実施形態のデッドタイム補償制御処理により制御されたもの、図8(b) は、デッドタイム補償制御されていないもの、である。
【図9】本発明の第2実施形態によるデッドタイム補償制御系およびPI制御系に関する機能ブロックである。
【図10】本第2実施形態によるデッドタイム補償制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】図10に示すデッドタイム補償量演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3実施形態によるデッドタイム補償制御系およびPI制御系に関する機能ブロックである。
【図13】本第3実施形態によるデッドタイム補償制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】図13に示すデッドタイム補償量演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】本第4実施形態によるデッドタイム補償制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】図15に示すデッドタイム補償量演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】図15に示すデッドタイム補償量リアルタイム演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】電気式動力舵取装置のモータを制御するPI制御系の構成例を示す機能ブロックである。
【符号の説明】
20 操舵機構
21 ステアリングホイール
30 トルクセンサ(操舵状態検出手段)
35 第1レゾルバ(操舵状態検出手段)
37 第2レゾルバ(操舵状態検出手段)
40 モータ
42 モータレゾルバ
45、46 電圧センサ
47 電流センサ
50 ECU
52 CPU
56 インバータ
56a PWM回路
56b スイッチング回路
Batt 直流電源
Q11〜Q23 スイッチング素子
Iu U相出力電流値(出力電流値)
Iv V相出力電流値(出力電流値)
Iw W相出力電流値(出力電流値)
Iu* U相電流指令値(指令電流値)
Iv* V相電流指令値(指令電流値)
Iw* W相電流指令値(指令電流値)
Iq q軸出力電流値
Id d軸出力電流値
Iq* q軸電流指令値
Id* d軸電流指令値
Vu U相出力電圧値(出力電圧値)
Vv V相出力電圧値(出力電圧値)
Vw W相出力電圧値(出力電圧値)
Vb 直流電源電圧値(電源電圧値)
Vu* U相電圧指令値(電圧指令値)
Vv* V相電圧指令値(電圧指令値)
Vw* W相電圧指令値(電圧指令値)
Vq* q軸電圧指令値
Vd* d軸電圧指令値
V0 電圧判定閾値
I0 電流判定閾値(正方向所定電流)
−I0 電流判定閾値(負方向所定電流)
PWMu* U相PWM信号
PWMv* V相PWM信号
PWMw* W相PWM信号
Ts トルク信号
θm モータ回転角

Claims (30)

  1. 直流電源から供給される電力をPWM制御されるインバータを介してモータに供給し、該モータに流れる前記インバータの出力電流を帰還制御により制御するとともに、前記インバータを構成するスイッチング回路のアーム短絡を防止するデッドタイムにおけるPWM制御に対する電圧指令値と前記インバータの出力電圧値との差を補償するデッドタイム補償制御を行うモータ制御装置であって、
    (1)PWM制御に対する電圧指令値と (2)前記インバータの出力電圧値と (3)前記直流電源から出力される電源電圧値と (4)前記PWM制御に対する指令電流値または前記インバータの出力電流値の少なくとも一方と、に基づいて、前記デッドタイム補償制御によるデッドタイム補償量を求めるデッドタイム補償量演算手段を備えたことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記デッドタイム補償量演算手段は、
    前記 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向の正負双方向について、それぞれ個別に前記デッドタイム補償量を求めることを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 前記デッドタイム補償量演算手段は、
    前記 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向が正のときには正方向所定電流を上回る場合に前記デッドタイム補償量を求めるとともに、
    前記 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向が負のときには負方向所定電流を下回る場合に前記デッドタイム補償量を求めることを特徴とする請求項2記載のモータ制御装置。
  4. 前記デッドタイム補償量演算手段は、
    前記 (1)の電圧指令値、前記 (2)の出力電圧値、前記 (3)の電源電圧値および前記 (4)の指令電流値または出力電流値に基づいて求めた複数のデッドタイム補償量の平均値を、前記デッドタイム補償量として求めることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記デッドタイム補償制御は、
    前記インバータを駆動制御するPWM信号に、前記PWM制御に対する電圧指令値に基づいた前記デッドタイム補償量を加算することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記デッドタイム補償制御は、
    前記インバータを駆動制御するPWM信号に、前記インバータの出力電流値に基づいた前記デッドタイム補償量を加算することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  7. 前記デッドタイム補償制御は、
    前記インバータを駆動制御するPWM信号に、前記PWM制御に対する指令電流値に基づいた前記デッドタイム補償量を加算することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  8. 前記デッドタイム補償量演算手段は、
    前記デッドタイム補償量として、前記インバータを駆動制御するPWM信号のデューティ比を求めることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  9. 前記デッドタイム補償量演算手段は、前記モータの起動後に前記デッドタイム補償量を求めることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  10. 請求項9に記載のモータ制御装置において、
    前記デッドタイム補償量演算手段は、前記モータの起動後、所定周期ごとに前記デッドタイム補償量を求めることを特徴とするモータ制御装置。
  11. 前記デッドタイム補償量演算手段は、当該モータ制御装置の出荷前において前記デッドタイム補償量を求め当該デッドタイム補償量に係るデータをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、
    当該モータ制御装置の出荷後においては前記記録媒体から読み出された前記デッドタイム補償量に係るデータに基づいて前記デッドタイム補償制御が行われることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  12. 請求項11に記載のモータ制御装置において、
    前記デッドタイム補償量演算手段は、前記モータの起動後、所定周期ごとに前記デッドタイム補償量を求めることを特徴とするモータ制御装置。
  13. 前記デッドタイム補償量演算手段により求められた前記デッドタイム補償量が所定範囲内にあるか否かを判断する補償量範囲判断手段を備え、
    前記補償量範囲判断手段により前記デッドタイム補償量が所定範囲内にないと判断された場合には、前記デッドタイム補償量演算手段により再度、デッドタイム補償量を求めることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  14. 前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体から前記デッドタイム補償量に係るデータを正常に読み出せたか否かを判断する読み出し正常終了判断手段を備え、
    前記読み出し正常終了判断手段により前記データを正常に読み出せなかったと判断された場合には、既定の所定データに基づいて前記デッドタイム補償制御が行われることを特徴とする請求項11または12に記載のモータ制御装置。
  15. 操舵状態検出手段により検出された操舵状態に基づいて、モータを駆動して操舵をアシストする電気式動力舵取装置において、
    請求項1〜14のいずれか一項に記載のモータ制御装置によって前記モータの駆動制御を行うことを特徴とする電気式動力舵取装置。
  16. 直流電源から供給される電力をPWM制御されるインバータを介してモータに供給し、該モータに流れる前記インバータの出力電流を帰還制御により制御するとともに、前記インバータを構成するスイッチング回路のアーム短絡を防止するデッドタイムにおけるPWM制御に対する電圧指令値と前記インバータの出力電圧値との差を補償するデッドタイム補償制御を行うモータ制御方法であって、
    (1)PWM制御に対する電圧指令値と (2)前記インバータの出力電圧値と (3)前記直流電源から出力される電源電圧値と (4)前記PWM制御に対する指令電流値または前記インバータの出力電流値の少なくとも一方と、に基づいて、前記デッドタイム補償制御によるデッドタイム補償量を求めるデッドタイム補償量演算ステップを含むことを特徴とするモータ制御方法。
  17. 前記デッドタイム補償量演算ステップは、
    前記 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向の正負双方向について、それぞれ個別に前記デッドタイム補償量を求めることを特徴とする請求項16記載のモータ制御方法。
  18. 前記デッドタイム補償量演算ステップは、
    前記 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向が正のときには正方向所定電流を上回る場合に前記デッドタイム補償量を求めるとともに、
    前記 (4)の指令電流値または出力電流値の電流方向が負のときには負方向所定電流を下回る場合に前記デッドタイム補償量を求めることを特徴とする請求項17記載のモータ制御方法。
  19. 前記デッドタイム補償量演算ステップは、
    前記 (1)の電圧指令値、前記 (2)の出力電圧値、前記 (3)の電源電圧値および前記 (4)の指令電流値または出力電流値に基づいて求めた複数のデッドタイム補償量の平均値を、前記デッドタイム補償量として求めることを特徴とする請求項16〜18のいずれか一項に記載のモータ制御方法。
  20. 前記デッドタイム補償制御は、
    前記インバータを駆動制御するPWM信号に、前記PWM制御に対する電圧指令値に基づいた前記デッドタイム補償量を加算することを特徴とする請求項16〜19のいずれか一項に記載のモータ制御方法。
  21. 前記デッドタイム補償制御は、
    前記インバータを駆動制御するPWM信号に、前記インバータの出力電流値に基づいた前記デッドタイム補償量を加算することを特徴とする請求項16〜19のいずれか一項に記載のモータ制御方法。
  22. 前記デッドタイム補償制御は、
    前記インバータを駆動制御するPWM信号に、前記PWM制御に対する指令電流値に基づいた前記デッドタイム補償量を加算することを特徴とする請求項16〜19のいずれか一項に記載のモータ制御方法。
  23. 前記デッドタイム補償量演算ステップは、
    前記デッドタイム補償量として、前記インバータを駆動制御するPWM信号のデューティ比を求めることを特徴とする請求項16〜22のいずれか一項に記載のモータ制御方法。
  24. 前記デッドタイム補償量演算ステップは、前記モータの起動後に前記デッドタイム補償量を求めることを特徴とする請求項16〜23のいずれか一項に記載のモータ制御方法。
  25. 請求項24に記載のモータ制御方法において、
    前記デッドタイム補償量演算ステップは、前記モータの起動後、所定周期ごとに前記デッドタイム補償量を求めることを特徴とするモータ制御方法。
  26. 前記デッドタイム補償量演算ステップは、当該モータ制御方法により制御されるモータ制御装置の出荷前において前記デッドタイム補償量を求め当該デッドタイム補償量に係るデータをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、
    前記モータ制御装置の出荷後においては前記記録媒体から読み出された前記デッドタイム補償量に係るデータに基づいて前記デッドタイム補償制御が行われることを特徴とする請求項16〜23のいずれか一項に記載のモータ制御方法。
  27. 請求項26に記載のモータ制御方法において、
    前記デッドタイム補償量演算ステップは、前記モータの起動後、所定周期ごとに前記デッドタイム補償量を求めることを特徴とするモータ制御方法。
  28. 前記デッドタイム補償量演算ステップにより求められた前記デッドタイム補償量が所定範囲内にあるか否かを判断する補償量範囲判断ステップを含み、
    前記補償量範囲判断ステップにより前記デッドタイム補償量が所定範囲内にないと判断された場合には、前記デッドタイム補償量演算ステップにより再度、デッドタイム補償量を求めることを特徴とする請求項16〜27のいずれか一項に記載のモータ制御方法。
  29. 前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体から前記デッドタイム補償量に係るデータを正常に読み出せたか否かを判断する読み出し正常終了判断ステップを備え、
    前記読み出し正常終了判断ステップにより前記データを正常に読み出せなかったと判断された場合には、既定の所定データに基づいて前記デッドタイム補償制御が行われることを特徴とする請求項26または27に記載のモータ制御方法。
  30. 操舵状態検出手段により検出された操舵状態に基づいて、モータを駆動して操舵をアシストする電気式動力舵取装置において、
    請求項16〜29のいずれか一項に記載のモータ制御方法によって前記モータの駆動制御を行うことを特徴とする電気式動力舵取装置。
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