JP2004198379A - 磁気センサ素子及びその製造方法 - Google Patents

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Makoto Kawakami
川上  誠
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Abstract

【課題】簡単で小型の構成でありながら直交フラックスゲート型の良好な安定した動作特性を実現でき、また、低コスト化も図れる直交フラックスゲート型の磁気センサ素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】直交フラックスゲート型の磁気センサ素子10において、Mo製の円柱状の芯体1とパーマロイ製の円筒状のコア体2とが同軸的に配されており、芯体1とコア体2との間には絶縁膜などの他のものは全く介装されておらず、両者は一体的に構成されている。コア体2の外周面には、検出コイル3が巻回され、コア体2の両端部の外周面には、磁気センサ素子10に励磁電流を印加する引き出し電極4が設けられている。芯体1(Mo)の導電率はコア体2(パーマロイ)の導電率よりも大きく、印加された励磁電流は芯体1に集中する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁界の強さ及び方向を検出することが可能な直交フラックスゲート型の磁気センサ素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、PDA(Personal digital Assistant)に用いる電子コンパス、車載ナビゲーションシステムに用いるGPS(Global Positioning System)装置の補完用方位センサ、無人搬送車の自動走行システムに用いる車体の姿勢制御用方位センサ、心臓等の生体磁気の測定用磁気センサ、鋼材等の非破壊検出用の磁気センサ等、磁界の強さと共に磁界の方向の検出が可能な高精度で小型,低価格の磁気センサに対する需要が増大している。
【0003】
従来のこの種の磁気センサとしては、量子干渉素子(SQUID:Superconducting Quantum Interference Device),ホール素子,フラックスゲート型素子等が用いられている。これらのうちSQUIDは、微弱な磁界の検出には最適であるが、ジョセフソン素子を用いるため液体ヘリウムによる冷却が必要であり、コストと可搬性とに問題があり、あまり使用されていない。一方、ホール素子は、構造が簡単であって低コストであるため、自動車搭載用の磁界センサも含めて多くの分野で使われている。しかしながら、ホール素子は低感度であり、また半導体であるので高温環境では使用できないという問題がある。
【0004】
これらに対して、フラックスゲート型素子は、平行型,直交型のいずれにあっても単体で磁界の強さ及び方向の検出が可能であり、しかも検出出力の精度、検出可能な温度範囲にも優れている。特に、検出精度の面でより高精度の検出が可能な直交フラックスゲート型の磁気センサ素子が注目されている。このような直交フラックスゲート型の磁気センサ素子には、種々のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。図6は、従来の直交フラックスゲート型の磁気センサ素子の一例の構成図である。
【0005】
図6において、51は導電性材料で形成された棒状導体、52は軟質磁性材料で形成された円筒形のコア、53は検出コイル、54は引き出し電極、55は絶縁膜である。棒状導体51はコア52内に通してコア52と同軸的に配置してあり、棒状導体51とコア52との間には絶縁膜55が介装されている。コア52の外周面には、検出コイル53が巻回されている。コア52から突き出された棒状導体51の両端部には、棒状導体51に励磁電流を印加するための引き出し電極54が設けられている。この例では、棒状導体51のみに励磁電流が流れるように、棒状導体51とコア52との間に絶縁膜55を設けている。
【0006】
このような構成の磁気センサ素子は、以下のようにして製造される。線引き加工,軟化焼鈍,磁性焼鈍などの処理を施した円筒形のコア52の内側に、周面に絶縁膜55が被せられた棒状導体51を挿通させて接着剤で一体的に固定する。固定したものを、捲き線をしたボビンに挿入した後、コア52の両端部を剥離し、露出させた棒状導体51の両端部に引き出し電極54を形成する。
【0007】
次に、この磁気センサ素子の磁界検出動作について説明する。図7は磁気センサ素子の動作説明図、図8は磁気センサ素子にて磁界の検出を行う際の励磁電流,コアの長手方向における磁化の程度及び検出コイルの出力電圧夫々の波形図である。
【0008】
棒状導体51,コア52の軸心線が被測定磁界の方向と平行になるように磁気センサを配置した場合、被測定磁界内の磁束は図7(a)に示す如くコア52側に引き寄せられてコア52内を通る磁路が形成される。ここで、棒状導体51に引き出し電極54を介して図8に示す如き正弦波の励磁電流IEXを流すと、コア52の周面は図7(b)に矢符で示す如くに磁化され、励磁電流IEXが図7(a)に示す状態から増大し、図7(b)に示す如く最大値に達するとコア52の磁化が飽和状態となり、被測定磁界の磁束はコア52から離れて棒状導体51と平行となる。この間コア52の長手方向の磁化の程度は図8に示す如くに低下し、また検出コイル53の出力(電圧)は、長手方向の磁化の変化率が大きい位置で大きくなり、励磁電流IEXの変化率が大きい位置と最大値及び最小値のときとで零になる。
【0009】
励磁電流IEXが最大値から減少してゆき、ゼロクロス点に達する過程で図7(c)に示す如く、再び被測定磁界の磁束はコア52内を通るようになる。励磁電流IEXの向きが逆になるとコア22の周面は図7(d)に矢符で示す如く周方向の逆向きに磁化され、励磁電流IEXが減少し最小値に達すると、コア52の磁化が再び飽和状態となり、被測定磁界の磁束はコア52の軸心線と平行になる。この間検出コイル53の出力は励磁電流IEXが大きい領域で大きく、励磁電流IEXが最小値に達すると零となる変化を繰り返す結果、励磁電流IEXの一周期の変化に対応して2周期分変化する。
【0010】
つまり、軟質磁性材料にて形成された円筒形のコア52を周期的に周方向に励磁することにより、コア52の長手方向の磁化をスイッチングすることでコア52と被測定磁界との関係は図7(a)から図7(b)、図7(b)から図7(c)、図7(c)から図7(d)に移るが、この過程で検出コイル53と鎖交する磁束密度が変化することで図8に示す如く検出コイル53から被測定磁界の強さ(方向)に対応した出力電圧(出力電圧の位相)が得られることとなる。このようにして、直交フラックスゲート型の磁気センサ素子では、簡単な構成にて外部磁界の向き及び大きさを測定することができる。また、被測定磁界がない場合に、交番の励磁電流を印加しても検出コイル53に鎖交する磁界(コア52の長手方向の成分)に変化はないので、温度変化に関係なくゼロクロス点を自身で設定できるという利点もある。
【0011】
また、上述した構成とは異なり、内部の導体を設けずに、薄膜状の磁性体に絶縁層を介して検出コイルを巻回させた構成をなし、その磁性体に直接交番の励磁電流を印加するようにした直交フラックスゲート型の磁気センサ素子も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−330655号公報
【非特許文献1】
及川亨・山岡秀彦・篠浦治,「薄膜直交フラックスゲート磁界センサの作製とその評価」,日本応用磁気学会誌,25,955−958(2001)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
内部に導体を設けずに中実の磁性体に直接励磁電流を印加する構成の磁気センサ素子には、以下に述べるような欠点がある。磁性体に直接電流を流した場合、交番電流により発生する磁界によってインダクタンスに影響が生じ、その磁束を少なくする方向に電流が流れようとして、磁性体の表面に電流密度が集中する現象、所謂表皮効果が現れる。この結果、磁性体の中心部側には磁界が殆ど発生しない。よって、限られた表面でしか磁気スイッチングができないため、効率良く磁気スイッチングを行えず、高感度にすることが難しい。また、磁性体の中心部で磁気スイッチングが起こらないので、内部の残留磁界が消去されず、その残留磁界の影響が検出出力に及んでしまう。
【0014】
このようなことから、高精度な磁界計測を行うためには、図6に示したような内部導体と磁性体コアとの構成が必須である。ところが、図6に示す従来の磁気センサ素子では、中空円筒型の軟質磁性体の内部に、励磁電流を流す導体を絶縁膜を介して挿入させた構成をなしており、十分に小型化されているとは言えず、また、その作製も容易ではないという課題がある。そして、更なる小型化(細径化)と作製の容易さとが望まれており、これらを実現するための研究が続けられている。
【0015】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、簡単で小型の構成でありながら直交フラックスゲート型の良好な安定した動作特性を実現でき、また、ホール素子程度の低コスト化も図れる直交フラックスゲート型の磁気センサ素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
本発明の他の目的は、簡単な工程にて製造することができて生産性に優れる直交フラックスゲート型の磁気センサ素子及びその製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る磁気センサ素子は、直交フラックスゲート型の磁気センサ素子において、軟質磁性材からなる筒状のコア体と、該コア体の内側に該コア体と接触して同軸的に配設してある導電材からなる棒状の芯体とを備えており、前記導電材の導電率が前記軟質磁性材の導電率よりも大きいことを特徴とする。
【0018】
第1発明の磁気センサ素子にあっては、軟質磁性材からなる筒状のコア体と、その軟質磁性材より導電率が大きい(固有抵抗が小さい)導電材からなる棒状の芯体とを同軸的に一体化させた構成をなし、両者の間に絶縁膜を設けていない。よって、磁気センサ素子の小型化を図れる。芯体の抵抗をコア体の抵抗よりも小さくしているので、絶縁膜がなくても、励磁に必要な電流を芯体に集中させることが可能である。従来の磁気センサ素子では、中空円筒形のコアに棒状導体を挿入する必要があるため、そのコアの内径の低減化には限界(0.1mmが限度)がある。本発明の磁気センサ素子では、コア体と芯体とが一体化されて絶縁膜がないので、加工度が高い伸線処理が可能であり、細径化を容易に実現できる。また、細径化によって、長さと断面積との比に依存する反磁界係数を低く抑えることができ、コア体の長さが短くても感度の低下は少ない。この結果、小型化しても高感度を達成できる。コア体に印加される磁界Hは、励磁電流をI,コア体の半径をrとした場合、H=I/2πrで示されるため、細径化を実現できることにより、同じ強さの磁界Hを得る際に励磁電流を小さく設定できる。例えば、コア体の外径を0.1mm程度に細くした場合、励磁電流Iを数mA程度に弱くすることができ、ホール素子と同程度またはそれ以下の消費電力を要するだけである。
【0019】
第2発明に係る磁気センサ素子は、第1発明において、前記導電材の導電率は前記軟質磁性材の導電率の5倍以上、より好ましくは10倍以上であることを特徴とする。
【0020】
第2発明の磁気センサ素子にあっては、導電材(芯体)の導電率を軟質磁性材(コア体)の導電率の5倍以上、より好ましくは10倍以上としている。よって、励磁電流の芯体への集中度は非常に高くなる。
【0021】
第3発明に係る磁気センサ素子は、第1または第2発明において、前記芯体の断面積は前記コア体の断面積よりも大きいことを特徴とする。
【0022】
第3発明の磁気センサ素子にあっては、芯体の断面積をコア体の断面積より大きくしている。よって、芯体の抵抗がコア体の抵抗よりも確実に小さくなり、励磁電流はコア体に集中する。
【0023】
第4発明に係る磁気センサ素子は、第1発明において、前記導電材は、前記軟質磁性材の磁性焼鈍温度以上の融点を有することを特徴とする。
【0024】
第4発明の磁気センサ素子にあっては、導電材(芯体)の融点が軟質磁性材(コア体)の磁性焼鈍温度以上である。よって、磁性焼鈍の処理中に、導電材(芯体)が軟質磁性材(コア体)に融け出し、軟質磁性材(コア体)の組成が変化して磁気特性の劣化が生じることがない。
【0025】
第5発明に係る磁気センサ素子は、第4発明において、前記導電材の金属元素が、前記軟質磁性材に含まれていることを特徴とする。
【0026】
第5発明の磁気センサ素子にあっては、導電材(芯体)の金属元素を軟質磁性材(コア体)に含めている。例えば、芯体にMo(モリブデン)線材を使用する場合に、Moを含むパーマロイをコア体に用いる。よって、軟化焼鈍または磁性焼鈍の際に導電材(芯体)の金属元素が軟質磁性材(コア体)に拡散しても、軟質磁性材(コア体)の組成比が大きく変化することはなく、磁気特性の劣化は生じない。
【0027】
第6発明に係る磁気センサ素子は、第1〜第5発明のいずれかにおいて、前記導電材は非磁性材であることを特徴とする。
【0028】
第6発明の磁気センサ素子にあっては、非磁性の導電材を芯体に用いる。よって、芯体が磁化されないので、残留磁界によるヒステリシスを効果的になくせる。
【0029】
第7発明に係る磁気センサ素子は、第1〜第6発明のいずれかにおいて、前記コア体に接続されており、励磁用の電流を流すための電極を備えることを特徴とする。
【0030】
第7発明の磁気センサ素子にあっては、励磁電流を印加するための電極(引き出し電極)をコア体に接続させて設けている。上述したように、芯体とコア体とは絶縁膜を介さず電気的に導通しており、励磁電流は芯体に集中されるため、コア体に励磁電流を印加しても、コア体を効率良く励磁できて、動作特性に問題はない。従来例のように引き出し電極を形成するためにコアを剥離する工程が不要であり、製造が容易となる。
【0031】
第8発明に係る磁気センサ素子の製造方法は、直交フラックスゲート型の磁気センサ素子を製造する方法において、筒状の軟質磁性体の内部に棒状の導体を封入して素体を得る工程と、前記素体に伸線処理を施す工程と、伸線処理後の前記素体に軟化焼鈍を施す工程と、軟化焼鈍後の前記素体に更に伸線処理を施す工程と、伸線処理後の前記素体に磁性焼鈍を施す工程とを含むことを特徴とする。
【0032】
第8発明の磁気センサ素子の製造方法にあっては、筒状の軟質磁性体の内部に棒状の導体を封入した後、伸線加工,軟化焼鈍,磁性焼鈍などの処理を行う。よって、伸線加工したコアに棒状導体を挿入する従来例とは異なり、導体(芯体)と軟質磁性体(コア体)とを一体化させた素体に伸線加工処理を施すため、加工度が高い処理が可能であり、細い径の磁気センサ素子を容易に製造できる。
【0033】
第9発明に係る磁気センサ素子の製造方法は、第8発明において、磁性焼鈍後の前記素体を捲き線内に挿入する工程と、前記軟質磁性体の両端部に電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0034】
第9発明の磁気センサ素子の製造方法にあっては、励磁電流を印加するための電極(引き出し電極)を軟質磁性体(コア体)の両端部に形成する。軟質磁性体(コア体)に電極を直接設けるため、電極形成の工程が容易である。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は本発明の直交フラックスゲート型の磁気センサ素子の構成図である。
【0036】
本発明の磁気センサ素子10は、図1に示すように、導電材からなる円柱状の芯体1と、軟質磁性材からなる円筒状のコア体2と、検出コイル3と、引き出し電極4とを有する。芯体1とコア体2とは同軸的に配されており、芯体1とコア体2との間には絶縁膜などの他のものは全く介装されておらず、両者は一体的に構成されている。コア体2の外周面には、その長手方向略全域にわたって検出コイル3が巻回されている。また、コア体2の両端部の外周面には、磁気センサ素子10に励磁電流を印加するための引き出し電極4が設けられている。
【0037】
芯体1は、例えばMo(融点:2620℃,導電率:5.7μΩcm)からなり、コア体2は、例えばパーマロイ:80%Ni−5%Mo−Fe(導電率:70μΩcm)からなる。磁気センサ素子10は、長さ5mm,直径0.1mmであり、芯体1の断面積はコア体2の断面積より大きい。
【0038】
このような構成の磁気センサ素子10では、交番の励磁電磁を印加して、その長手方向の磁界を検出するが、本発明における磁気センサ素子10の磁界検出動作は、励磁電流の印加部位を除いて前述した従来の磁気センサ素子の動作と同様であるので、その説明は省略する。本発明では、引き出し電極4がコア体2に直接接続されており、この引き出し電極4を介して励磁電流が印加されるが、芯体1の導電率がコア体2の導電率の10倍以上(具体的には12倍)であり、しかも芯体1の断面積がコア体2の断面積より大きいので、印加された励磁電流は芯体1に集中するため、磁界検出の動作特性には影響が及ばない。
【0039】
次に、本発明の磁気センサ素子10の製造方法について説明する。図2はこの製造方法の工程手順を示す図、図3はこの製造方法の主要工程における状態を示す図である。
【0040】
まず、芯体1となるMo製の線材11(直径0.6mm)と、コア体2となるパーマロイ(80%Ni−5%Mo−Fe)製の筒体12(外径1.0mm,内径0.7mm)とを準備する(図2のS1,S2)。これらの線材11及び筒体12の表面を洗浄した後(図2のS3)、筒体12内に線材11を封入する(図2のS4,図3(a))。次に、筒体12内に線材11を封入してなる素体20に直径が0.6mmになるまで伸線処理を施す(図2のS5,図3(b))。
【0041】
伸線後の素体20に対して、軟化焼鈍(1000℃で30秒,水素雰囲気)を施した後(図2のS6)、直径が0.1mmになるまで更なる伸線処理を施す(図2のS7)。次に、直線矯正を施して、素体20を長さ5mmずつに切断する(図2のS8,図3(c))。
【0042】
長さ5mmの素体20に対して、磁性焼鈍(1100℃で3時間,水素雰囲気)を施す(図2のS9)。磁性焼鈍後の素体20を、検出コイル3となるポリウレタン製の導線13(直径20μm)を周面に巻回させた絶縁材料製の捲き線ボビン21(捲き線長3mm,巻回数1000ターン)に挿入して、素体20(筒体12)の両端部を引き出し電極4となる捲き線ボビン21の電極14にハンダ付けする(図2のS10,S11,図3(d))。
【0043】
本発明にあっては、芯体1となる線材11をコア体2となる筒体12に封入した後に、伸線処理を施すようにしているため、加工度が高い伸線処理を行えるので、細径化(0.1mm以下程度)を容易に実現できる。また、Moの融点(2620℃)は磁性焼鈍温度(1100℃)より高いので、磁性焼鈍時にMoがパーマロイに拡散することは少ない。もし、拡散した場合でも、パーマロイはMoを含んでおり、パーマロイの磁気特性が劣化することはない。更に、コア体2に直接引き出し電極4を設けるため、従来例のように磁性体を剥離する必要がなく、工程数を削減できる。以上のようにして、容易な工程にて細径小型の磁気センサ素子10を生産性良く製造することが可能である。
【0044】
次に、本発明の磁気センサ素子10を使用して磁界検出を行った結果について説明する。図4は、検出回路の構成を示すブロック図である。
【0045】
図4において、31はセラミック発振子,水晶発振子等を用いる発振・分周回路であり、発振・分周回路31からは例えば30kHzと60kHzとの2種類の高周波電力が出力され、そのうち30kHzの高周波は励磁回路32へ出力され、60kHzの高周波は位相検波器33へ出力される。励磁回路32は、入力された高周波を正弦波化して励磁電流とし、30kHz,5mArmsの正弦波励磁電流が磁気センサ素子10(コア体2)に印加される。一方、検出コイル3の検出信号である電圧信号は、バンドパスフィルタ(BPF)34へ入力され、雑音を除去され、位相検波器33へ入力されて検波された後、ローパスフィルタ(LPF)35に入力される。LPF35は入力された検波信号の所定周波数帯域をフィルタリングして、検出電圧を出力する。
【0046】
磁気シールドボックス内に入れたヘルムホルツコイルの磁界発生方向と平行に、本発明の磁気センサ素子10を配置し、10μOe〜2Oeの範囲の印加磁界に対して、図4に示す検出回路にて検出電圧を測定した。図5に、この測定結果を示す。図5の結果から、精度良く磁界を検出できていることが分かる。
【0047】
ここで、本発明の磁気センサ素子における芯体1の材料とコア体2の材料との組合せについて説明する。この組合せを選定する際の条件は次の通りである。
(1)コア体2に用いるパーマロイの磁性焼鈍の条件(例えば1100℃で3時間)で、溶融またはパーマロイ中への元素拡散が殆ど起こらない材料を芯体1に使用する。
(2)パーマロイ中へ元素が微量拡散しても磁気特性の劣化に対する影響が小さい材料を芯体1に使用する。
(3)導電率がパーマロイよりも10倍以上大きい(固有抵抗が1/10以下である)ような材料を芯体1に使用する。
(4)芯体1/コア体2の界面で焼鈍時に固有抵抗が大きい金属間化合物を作らないような材料を芯体1及びコア体2夫々に使用する。
【0048】
上記(1)〜(4)を考慮した場合、上述の実施の形態で説明した例(芯体1にMo、コア体2に80%Ni−5%Mo−Feを使用)は最適な例の一つである。その他の組合せ例をこの例と併せて下記表1に示す。表1に示す全ての組合せ例において、高感度の磁界検出を行うことができる。
【0049】
【表1】
Figure 2004198379
【0050】
以上のように、本発明の磁気センサ素子では、従来例で必要であった導体引き出し部の構造が不要であり、細線化によって長さを短縮できて従来例の半分以下の長さにて同一感度の検出を行える。また、コア体へ直接通電するようにしたので、部品点数を削減できて0.1mm以下の低背化と低コスト化を図れる。また、磁気センサ素子の直径を従来例の直径(0.3mm)の1/3以下に低減することができるため、励磁電流の低減化も図れる。具体的に、従来例では30mA程度の励磁電流が必要であったが、本発明では数mAの励磁電流にて動作が可能である。この結果、本発明の磁気センサ素子は電池駆動式の各種の携帯機器への適用も可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明では、軟質磁性材からなる筒状のコア体と、その軟質磁性材より導電率が大きい導電材からなる棒状の芯体とを同軸的に一体化させた構成をなすようにしたので、小型かつ低コストながらも感度が高い磁気センサ素子を実現することができる。
【0052】
また、本発明の磁気センサ素子では、導電材(芯体)の導電率を軟質磁性材(コア体)の導電率の5倍以上、より好ましくは10倍以上としたので、励磁電流の芯体への集中度を非常に高くすることができる。
【0053】
また、本発明の磁気センサ素子では、芯体の断面積をコア体の断面積より大きくしたので、励磁電流をコア体に確実に集中させることができる。
【0054】
また、本発明の磁気センサ素子では、導電材(芯体)の融点を軟質磁性材(コア体)の磁性焼鈍温度以上としたので、磁性焼鈍の処理中に、導電材(芯体)が軟質磁性材(コア体)に融け出し、軟質磁性材(コア体)の組成が変化して磁気特性が劣化することを防止できる。
【0055】
また、本発明の磁気センサ素子では、導電材(芯体)の金属元素を軟質磁性材(コア体)に含めるようにしたので、軟化焼鈍または磁性焼鈍の際に導電材(芯体)の金属元素が軟質磁性材(コア体)に拡散した際に軟質磁性材(コア体)の組成比が大きく変化して磁気特性が劣化することを防止できる。
【0056】
また、本発明の磁気センサ素子では、非磁性の導電材を芯体に用いるようにしたので、芯体が磁化されず、残留磁界によるヒステリシスを効果的になくすことができる。
【0057】
また、本発明の磁気センサ素子では、励磁電流を印加するための電極(引き出し電極)をコア体に接続させて設けるようにしたので、従来例のように引き出し電極を形成するためにコアを剥離する工程が不要であり、容易に製造することができる。
【0058】
また、本発明の磁気センサ素子の製造方法では、筒状の軟質磁性体の内部に棒状の導体を封入した後、伸線加工,軟化焼鈍,磁性焼鈍などの処理を行うようにしたので、伸線加工したコアに棒状導体を挿入する従来例とは異なり、導体(芯体)と軟質磁性体(コア体)とを一体化させた素体に伸線加工処理を施すため、加工度が高い処理が可能であり、細い径の磁気センサ素子を容易に製造することができる。
【0059】
更に、本発明の磁気センサ素子の製造方法では、励磁電流を印加するための電極(引き出し電極)を軟質磁性体(コア体)の両端部に直接設けるようにしたので、電極形成の工程を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の直交フラックスゲート型の磁気センサ素子の構成図である。
【図2】本発明の直交フラックスゲート型の磁気センサ素子の製造方法の工程手順を示す図である。
【図3】本発明の直交フラックスゲート型の磁気センサ素子の製造方法の主要工程における状態を示す図である。
【図4】検出回路の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の直交フラックスゲート型の磁気センサ素子を用いた磁界検出の測定結果を示すグラフである。
【図6】従来の直交フラックスゲート型の磁気センサ素子の一例の構成図である。
【図7】直交フラックスゲート型の磁気センサ素子の動作説明図である。
【図8】直交フラックスゲート型の磁気センサ素子の励磁電流,コアの長手方向の磁化及び検出コイルの出力電圧の波形図である。
【符号の説明】
1 芯体
2 コア体
3 検出コイル
4 引き出し電極
10 磁気センサ素子
11 線材
12 筒体
13 導線
14 電極
20 素体

Claims (9)

  1. 直交フラックスゲート型の磁気センサ素子において、軟質磁性材からなる筒状のコア体と、該コア体の内側に該コア体と接触して同軸的に配設してある導電材からなる棒状の芯体とを備えており、前記導電材の導電率が前記軟質磁性材の導電率よりも大きいことを特徴とする磁気センサ素子。
  2. 前記導電材の導電率は前記軟質磁性材の導電率の5倍以上、より好ましくは10倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ素子。
  3. 前記芯体の断面積は前記コア体の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気センサ素子。
  4. 前記導電材は、前記軟質磁性材の磁性焼鈍温度以上の融点を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ素子。
  5. 前記導電材の金属元素が、前記軟質磁性材に含まれていることを特徴とする請求項4に記載の磁気センサ素子。
  6. 前記導電材は非磁性材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気センサ素子。
  7. 前記コア体に接続されており、励磁用の電流を流すための電極を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の磁気センサ素子。
  8. 直交フラックスゲート型の磁気センサ素子を製造する方法において、筒状の軟質磁性体の内部に棒状の導体を封入して素体を得る工程と、前記素体に伸線処理を施す工程と、伸線処理後の前記素体に軟化焼鈍を施す工程と、軟化焼鈍後の前記素体に更に伸線処理を施す工程と、伸線処理後の前記素体に磁性焼鈍を施す工程とを含むことを特徴とする磁気センサ素子の製造方法。
  9. 磁性焼鈍後の前記素体を捲き線内に挿入する工程と、前記軟質磁性体の両端部に電極を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項8に記載の磁気センサ素子の製造方法。
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