JP2004195778A - 感熱性平版印刷版材料及びその印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、可視領域に吸収を持たず、露光前後に明室に放置された場合でも、変色せず、画像露光時の焼き出し画像の生成の阻害がなく、焼き出し画像が不鮮明になるという問題の生じない(露光可視画性が良好である)、また、耐光性及び耐刷性も良好な感熱性平版印刷版材料及びそれを用いた印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基板上に、親水性表面を有する熱溶融性微粒子を含有する感熱層を有する感熱性平版印刷版材料であって、感熱層中に、熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物及び発生した酸又はラジカルによって変色する化合物を含有することを特徴とする感熱性平版印刷版材料。
【選択図】 なし
【解決手段】基板上に、親水性表面を有する熱溶融性微粒子を含有する感熱層を有する感熱性平版印刷版材料であって、感熱層中に、熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物及び発生した酸又はラジカルによって変色する化合物を含有することを特徴とする感熱性平版印刷版材料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱性平版印刷版材料及びその印刷方法に関するものであり、詳しくは、可視画性及び耐光性に優れ、耐刷性にも優れた感熱性平版印刷版材料及び印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷データのデジタル化に伴い、安価で取扱いが容易でPS版と同等の印刷適性を有したCTP(コンピューター ツー プレート)が求められている。特に近年、特別な薬剤を使用する現像液処理が不要な、いわゆるプロセスレス印刷版を使用するシステムへの期待が高まっている。
【0003】
プロセスレス印刷版の画像形成方式のひとつとして有力であるのが、赤外線レーザー記録であり、大きく分けて、後述するアブレーションタイプと熱融着画像層機上現像タイプ及び熱溶融転写タイプの三種の記録方法が存在する。
【0004】
アブレーションタイプとしては、例えば、特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号の各公報に記載されているものを挙げることができる。これらは、例えば、支持体上に親水性層と親油性層とを有し、いずれかの層を表層として積層し形成させたものである。表層が親水性層であれば、画像様にレーザー等で露光し、親水性層をアブレートさせて画像様に除去して親油性層を露出させることで画像部を形成することができる。ただし、アブレートした層の飛散物による露光装置内部の汚染が問題となるため、親水性層上にさらに水溶性の保護層を設けてアブレートした層の飛散を防止し、印刷機上で保護層とともにアブレートした層を除去する方式も提案されている。
【0005】
熱融着画像層機上現像タイプとしては、例えば、特許第2,938,397号明細書等に開示されているような、支持体上に親水性層を有するもの、またはアルミ砂目を有する支持体上に画像形成層に熱可塑性微粒子と水溶性の結合剤とを用いたものを挙げることができる。しかし、アルミ砂目を有する親水性支持体を用いた場合には、光熱変換剤(一般的には可視光領域にも吸収があり着色している)を画像形成層に添加する必要があり、現像した際に印刷機を汚染する懸念がある。このため、層構成としては支持体上に光熱変換剤を含有した親水性層を形成し、画像形成層からは光熱変換剤を除く等の技術的工夫がされているものも知られている。
【0006】
また、熱溶融転写タイプとしては、例えば、マンローランド社のDICOwebのような熱転写リボンを用いて、アルミ砂目ではなく、繰り返し使用可能な親水性表面を有する金属スリーブに熱溶融素材を画像様に転写した後、加熱して画像を定着させる方法が挙げられる。
【0007】
一方、印刷版を印刷機に取り付ける際には、印刷版上の画像を検査したり、どのインキ用の版であるかなどの識別をした上で取り付けを行うことが一般的にされている。しかしながら、プロセスレス印刷版では現像されないため、こうした検査や識別する工程や機能が不足しており、それを補う方法等が必要であった。
【0008】
下記特許文献1には、支持体上に光熱変換剤、及び光又は熱で酸、塩基及びラジカルから選ばれる少なくとも一つを発生する化合物と相互作用して変色する化合物を含有する記録層を有し、赤外レーザー露光が可能で、一定の露光可視画性(焼き出し画像特性)を有する印刷版が開示されている。
【0009】
しかしながら、上記の焼き出し画像を得るのに好ましい、光又は熱で酸、塩基及びラジカルから選ばれる少なくとも一つを発生する化合物は、可視領域に吸収を持つため、これを用いた平版印刷版材料が明室に置かれた場合、酸、塩基及びラジカルから選ばれる少なくとも一つを発生し、該印刷版材料は変色してしまい、画像露光時の焼き出し画像の生成の阻害や、焼き出し画像が不鮮明になるなどの問題が生じており、耐光性において改善が求められ、また、耐刷性にも問題を有していた。
【0010】
また、下記特許文献2には、基板上に親油層を有する感熱性平版印刷版用支持体であって、親油層中に、熱によって酸またはラジカルを発生するアリールトリハロメチルスルホン化合物および発生した酸またはラジカルによって変色する化合物を含有することを特徴とする感熱性平版印刷版用支持体が開示されており、上記する焼き出しに関する課題を解決する発明が開示されているが、やはり、耐光性における改善と、耐刷性にも問題を有していた。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−277927号公報(特許請求の範囲等)
【0012】
【特許文献2】
特開2002−21151号公報(特許請求の範囲等)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、可視領域に吸収を持たず、露光前後に明室に放置された場合でも、変色せず、画像露光時の焼き出し画像の生成の阻害がなく、焼き出し画像が不鮮明になるという問題の生じない(露光可視画性が良好である)、また、耐光性及び耐刷性も良好な感熱性平版印刷版材料及びそれを用いた印刷方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下により達成された。
【0015】
1.基板上に、親水性表面を有する熱溶融性微粒子を含有する感熱層を有する感熱性平版印刷版材料であって、感熱層中に、熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物及び発生した酸又はラジカルによって変色する化合物を含有することを特徴とする感熱性平版印刷版材料。
【0016】
2.前記熱溶融性微粒子中に、熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物及び発生した酸又はラジカルによって変色する化合物を含有することを特徴とする前記1に記載の感熱性平版印刷版材料。
【0017】
3.前記熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物が、上記一般式(1)または(2)で表わされる化合物であることを特徴とする前記1または2に記載の感熱性平版印刷版材料。
【0018】
4.前記感熱層中に光熱変換剤を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の感熱性平版印刷版材料。
【0019】
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の感熱性平版印刷版材料に、サーマルヘッドもしくはサーマルレーザーを用いて画像を形成し、画像形成された感熱層の非画像部を印刷機上で除去することを特徴とする感熱性平版印刷版材料の印刷方法。
(基板)
本発明の基板は、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基板等が挙げられる。基板の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
【0020】
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。
【0021】
本発明の基板としては、特にアルミニウム支持体が好ましく、該アルミニウム支持体は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いたアルミニウム支持体を挙げることができる。該アルミニウム合金としては、例えば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムとの合金が用いられる。
【0022】
アルミニウム支持体の表面は大きなうねりに小ピットが重畳された二重構造の粗面形状を有していることが好ましい。すなわち、例えば、特開平11−174689号の図1及び2に示される如く、小ピットが、大きなうねりに重畳されており、小ピットの平均開孔径(d1)、平均深さ(h)及び大きなうねりの平均開孔径(d2)の関係において、小ピットの平均開孔径(d1)が、0.1μm以上3μm以下で、該小ピットの平均深さ(h)と平均開孔径(d1)の比が0.4以下であることが本発明おいて好ましく、更に好ましくはこの比が0.35以下である。この様にすることで、残膜や、指紋汚れを生ずることがなく、良質の印刷画像が得られることから好ましい範囲と言える。
【0023】
また、上記大きなうねりの平均開孔径(d2)3μmを越え、20μm以下とするのが、残膜や、指紋汚れの点で好ましい。
【0024】
また、アルミニウム支持体は、強固な汚れや自然酸化皮膜を除去する等のため、苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いて溶解処理が行われ、溶解処理後の残留アルカリ成分を中和するため、燐酸、硝酸、硫酸、塩酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬して中和処理を行うことが好ましい。なお、必要により上記アルミニウム支持材料表面の油脂、錆、ごみなどを除去するため、トリクレン、シンナー等による溶剤脱脂、ケロシン、トリエタノール等のエマルジョンを用いてエマルジョン脱脂処理を行ってもよい。
【0025】
上記アルカリ水溶液を用いた溶解処理及び酸による中和処理の次には後記電気化学的粗面化処理が行われることが好ましいが、中和処理に使用する酸の種類および組成を電気化学的粗面化処理に使用する酸のそれに合わせることが特に好ましい。
【0026】
また、上記アルカリ水溶液を用いた溶解処理に先だって、機械的粗面化処理が行われてもよい。機械的粗面化処理の方法は特に限定されないが、ブラシ研磨、ホーニング研磨が好ましい。ブラシ研磨では、例えば毛径0.2〜1mmのブラシ毛を植毛した円筒状ブラシを回転し、接触面に研磨材を水に分散させたスラリーを供給しながらアルミニウム支持体材料表面に押しつけて粗面化処理を行う。ホーニング研磨では、研磨材を水に分散させたスラリーをノズルより圧力をかけて射出し、アルミニウム支持体材料表面に斜めから衝突させて粗面化処理を行う。さらに、予め粗面化処理されたシートをアルミニウム支持体表面に張り合わせ、圧力をかけて粗面パターンを転写することにより機械的粗面化処理を行うこともできる。なお、上記機械的粗面化処理を行う場合は、特に上記溶剤脱脂処理またはエマルジョン脱脂処理を省略することができる。
【0027】
また、アルミニウム支持体の表面は酸性電解液中で交流電流を用いて電気化学的粗面化処理が行うことができる。本発明では該酸性電解液中での電気化学的粗面化処理の過程で0.6〜5秒の休止時間を設け、かつ1回の電気化学的粗面化処理の電気量を100C/dm2以下とすることが好ましい。上記のように電気化学的粗面化処理を複数回に分けて行う場合、休止時間が0.6秒未満で、かつ1回の電気化学的粗面化処理の電気量が150C/dm2を越えると開孔径が20μmより大きい粗大ピットの生成を抑制することができず、また、休止時間が5秒を越えるとアルミニウム支持体の製造に時間がかかり過ぎて生産性が悪くなることから、上記の条件が好ましいものと言える。
【0028】
上記電気化学的粗面化処理の電解液としては、塩酸、硝酸等が用いられるが、塩酸がより好ましい。電解液には、必要に応じて硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、蓚酸等を加えることができるが、酢酸が特に好ましい。電気化学的粗面化処理において印加される電圧は、1〜50Vが好ましく、5〜30Vが更に好ましい。電流密度(ピーク値)は、10〜200A/dm2が好ましく、20〜150A/dm2が更に好ましい。電気量は、全処理工程を合計して100〜2000C/dm2が好ましく、200〜1000C/dm2が更に好ましい。温度は、10〜50℃が好ましく、15〜45℃が更に好ましい。
【0029】
また、塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましく、電解に使用する電流波形は正弦波、矩形波、台形波、鋸歯状波等、求める粗面化形状により適宜選択されるが、特に正弦波が好ましい。
【0030】
電気化学的粗面化処理されたアルミニウム支持体は、表面のスマット等を除去したり、粗面のピット形状をコントロールする等のために酸またはアルカリの水溶液に浸漬して表面のエッチング処理が行われることが好ましい。上記酸としては、例えば硫酸、過硫酸、フッ酸、燐酸、硝酸、塩酸等が含まれ、上記アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれる。これらの中でも、アルカリの水溶液を用いるのが好ましく、該アルカリの0.05〜40%水溶液を用い20〜90℃の液温において5秒〜5分処理するのがよく、該アルカリの水溶液で表面をエッチングした後に、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬して中和処理を行なうことが好ましい。
【0031】
上記中和処理が行われたアルミニウム支持体はさらに陽極酸化処理されることが好ましい。ここで、中和に使用する酸の種類を陽極酸化処理に使用する酸のそれに合わせることがより好ましい。
【0032】
上記陽極酸化処理に用いられる電解液としては多孔質酸化皮膜を形成するものであれば如何なる電解液でもよいが、一般には硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等、或るいはこれらの2種類以上を組み合わせた混酸が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定することはできないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、温度5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましいのは硫酸を用いる方法で、通常直流電流で処理が行われるが、交流を用いることもできる。ここで、硫酸の濃度は10〜50質量%、温度20〜50℃、電流密度1〜20A/dm2で10秒〜5分間電解処理されるのが好ましく、また電解液中にはアルミニウムイオンが含まれているのが好ましい。
【0033】
上記陽極酸化処理して得られたアルミニウム支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム塩処理等の公知の方法を用いて行うことができる。
【0034】
上記陽極酸化処理あるいは陽極酸化処理に引き続いて封孔処理して得られたアルミニウム支持体には親水性層を設けてもよい。親水性層の形成には、米国特許第3,181,461号明細書に記載のアルカリ金属珪酸塩、米国特許第1,860,426号明細書に記載の親水性セルロース、特公平6−94234号公報、特公平6−2436号公報に記載のアミノ酸及びその塩、特公平5−32238号公報に記載の水酸基を有するアミン類及びその塩、特開昭62−19494号公報に記載の燐酸塩、特開昭59−101651号公報に記載のスルホ基を有するモノマー単位を含む高分子化合物等を用いることができる。
【0035】
さらに、複数の版を重ねたときの表面層の擦れ傷を防ぐために、特開昭50−151136号、特開昭57−63293号、特開昭60−73538号、特開昭61−67863号、特開平6−35174号等の各公報に記載される、支持体裏面に保護層を設ける処理を行うことができる。
【0036】
本発明の基板は、プラスチックフィルムからなる場合(以下、本発明のプラスチックフィルム支持体とも言う)も好ましく、以下にその説明をする。
【0037】
本発明のプラスチックフィルム支持体の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。
【0038】
本発明のプラスチックフィルム支持体は、感熱性平板印刷版材料にハンドリング適性を付与する観点から、120℃での弾性率(E120)が100kg/mm2〜600kg/mm2であることが好ましく、より好ましくは120kg/mm2〜500kg/mm2である。具体的にはポリエチレンナフタレート(E120=410kg/mm2)、ポリエチレンテレフタレート(E120=150kg/mm2)、ポリブチレンナフタレート(E120=160kg/mm2)、ポリカーボネイト(E120=170kg/mm2)、シンジオタクチックポリスチレン(E120=220kg/mm2)、ポリエーテルイミド(E120=190kg/mm2)、ポリアリレート(E120=170kg/mm2)、ポリスルホン(E120=180kg/mm2)、ポリエーテルスルホン(E120=170kg/mm2)等が挙げられる。これらは単独で用いても良く積層あるいは混合して用いても良い。中でも、特に好ましいプラスチックフィルムとしてはポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0039】
本発明のプラスチックフィルム支持体の平均膜厚は、110μm〜500μmの範囲が好ましいが、さらに好ましくは、120μm〜400μmの範囲であり、特に好ましくは、125μm〜300μmの範囲である。
【0040】
本発明のプラスチックフィルム支持体は、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下引き層塗布を行うことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
【0041】
下引き層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等を支持体上に設けること等が好ましい。また、特開平7−20596号の段落(0031)〜(0073)に記載の導電性ポリマー含有層や特開平7−20596号の段落(0074)〜(0081)に記載の金属酸化物含有層のような導電性層を設けることが好ましい。導電性層は支持体のいずれの側に塗設されてもよいが、好ましくは支持体に対し感熱層の反対側に塗設するのが好ましい。この導電性層を設けると帯電性が改良されてゴミなどの付着が減少し、印刷時の白抜け故障などが大幅に減少する。
【0042】
また、本発明の基板としては、プラスチックフィルムと金属板(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウムなど)やポリエチレンで被覆した紙などの材料(複合基材ともいう)を適宜貼り合わせた複合支持体を用いることもできる。これらの複合基材は、塗布層を形成する前に貼り合わせても良く、また、塗布層を形成した後に貼り合わせても良く、印刷機に取り付ける直前に貼り合わせても良い。
【0043】
(感熱層)
本発明の感熱層は下記する熱溶融性微粒子を含有し、上記の本発明の基板上に塗設されることが好ましく、特に、基板がプラスチックフィルム支持体である場合に、この上に、以下に示す素材から構成される層を塗設し、当該塗設された層自身として、および/または当該層の上に設けられることが好ましい。もちろん、本発明の基板が親水性である場合(例えばアルミニウム支持体)には、その上に直接本発明の感熱層を塗設することも好ましい。
【0044】
また、感熱層の塗布量は、乾燥状態で0.10〜3g/m2が好ましく、0.15〜2.0g/m2がより好ましい。
【0045】
〈親水性層マトリクスを形成する素材〉
親水性層マトリクスを形成する素材としては、金属酸化物が好ましい。金属酸化物としては、金属酸化物微粒子を含むことが好ましく、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良く、平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
【0046】
上記金属酸化物微粒子は、その造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、感熱層への使用に適している。
【0047】
本発明では、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。本発明で用いることのできるコロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
【0048】
本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは、一次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称であり、一次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のものを意味し、その状態のイメージが真珠ネックレスの様な形状をしていることからこの様に呼んでいる。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業(株)製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられ、製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらにそれぞれ対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。
【0049】
ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、多孔質化材として好ましく使用できる。これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、また、印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。
【0050】
また、コロイダルシリカは、粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明では平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。又、コロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが、地汚れ発生を抑制する効果が高く特に好ましい。平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
【0051】
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは、前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、形成する層の多孔質性を維持しながら、強度をさらに向上させることが可能となり、特に好ましい。
【0052】
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
【0053】
本発明の基板上に塗設される層には、多孔質化材として、粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。多孔質金属酸化物粒子としては、以下に記載の多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
【0054】
〈多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子〉
多孔質シリカ粒子は、一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法では、ケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、もしくは中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により、多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
【0055】
多孔質アルミノシリケート粒子は、例えば、特開平10−71764号公報に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔質性や粒径を制御することが可能である。
【0056】
粒子の多孔質性としては、細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0〜2.5ml/gであることが更に好ましい。細孔容積は、塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。逆に、細孔容積が0.5ml/g未満の場合には、印刷性能がやや不十分となる場合がある。
【0057】
〈ゼオライト粒子〉
ゼオライトは、結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
【0058】
(M1、(M2)0.5)m(AlmSinO2)(m+n)・xH2O
ここで、M1、M2は交換性のカチオンであって、M1はLi+、Na+、K+、Tl+、Me4N+(TMA)、Et4N+(TEA)、Pr4N+(TPA)、C7H15N2+、C8H16N+等であり、M2はCa2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、C8H18N2 2+等である。又、n≧mであり、m/nの値つまりはAl/Si比率は1以下となる。Al/Si比率が高いほど交換性カチオンの量が多く含まれるため極性が高く、従って親水性も高い。好ましいAl/Si比率は0.4〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0である。xは整数を表す。
【0059】
本発明で使用するゼオライト粒子としては、Al/Si比率が安定しており、又粒径分布も比較的シャープである合成ゼオライトが好ましく、例えばゼオライトA:Na12(Al12Si12O48)・27H2O;Al/Si比率1.0、ゼオライトX:Na86(Al86Si106O384)・264H2O;Al/Si比率0.811、ゼオライトY:Na56(Al56Si136O384)・250H2O;Al/Si比率0.412等が挙げられる。
【0060】
Al/Si比率が0.4〜1.0である親水性の高い多孔質粒子を含有することで、親水性層自体の親水性も大きく向上し、印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなる。又、指紋跡の汚れも大きく改善される。Al/Si比率が0.4未満では親水性が不充分であり、上記性能の改善効果が小さくなる。
【0061】
また、本発明の感熱層は、層状粘土鉱物粒子を含有することができる。該層状鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。特に、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
【0062】
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
【0063】
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲より大きくなると、塗膜に不均一性が生じて、局所的に強度が弱くなる場合がある。又、アスペクト比が上記範囲以下である場合、添加量に対する平板状の粒子数が少なくなり、増粘性が不充分となり、粒子物の沈降を抑制する効果が低減する。
【0064】
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを調製した後、塗布液に添加することが好ましい。
【0065】
本発明の感熱層にはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
【0066】
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば、「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
【0067】
(熱溶融性微粒子)
本発明の感熱層には熱溶融性微粒子が含有される。熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が150℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
【0068】
使用可能な素材としては、例えば、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸等の脂肪酸系のワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものであり、また乳化しやすくするためにこれらの素材を酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらの素材に、例えば、ステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、またはこれらの樹脂の共重合体も使用することができる。
【0069】
上記素材の中でも、ポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸等のワックスの何れか少なくとも1種を含有することが好ましい。これらは融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度で画像形成を行うことができる。また、これらは潤滑性を有するため、印刷版の表面に剪断力が加えられた際のダメージを低減でき、擦りキズ等による印刷汚れに対する耐性が向上する。
【0070】
また、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その場合の平均粒径が0.01〜10μmであることが好ましい。より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する感熱層の塗布液を多孔質な層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子がその層の細孔中に入り込んだり、その層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。また、熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
【0071】
熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、または不連続的に異なる素材で被覆される形状であってもよい。この場合の被覆方法は、公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
【0072】
感熱層の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
【0073】
また、熱溶融性微粒子は、必要に応じ、重合あるいは微粒子化の際に、分散剤または安定剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。また、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等を含有させても良い。
【0074】
(水溶性素材)
また、本発明の感熱層には、印刷機上での現像性向上のため、水溶性素材を添加しても良い。水溶性素材としては、糖類を用いることが好ましく、特にオリゴ糖を用いることが好ましい。オリゴ糖は水に速やかに溶解するため、印刷装置上での非画像部の感熱層の除去も非常に速やかとなり、特別な除去操作を意識することなく、通常のPS版の刷出し操作と同様の操作で刷出すことで除去可能であり、刷出しの損紙が増加することもない。また、オリゴ糖は感熱層の表面の親水性を低下させる懸念もなく良好な印刷適性を維持することができる。
【0075】
オリゴ糖は水に可溶の一般に甘みを有する結晶性物質で、数個の単糖がグリコシド結合によって脱水縮合したものである。オリゴ糖は糖をアグリコンとする一種のo−グリコシドであるから、酸で容易に加水分解されて単糖を生じ、生成する単糖の分子数によって二糖、三糖、四糖、五糖などに分類される。本発明におけるオリゴ糖とは、二糖〜十糖までのものをいう。
【0076】
これらのオリゴ糖は、還元基の有無によって、還元性オリゴ糖と非還元性オリゴ糖とに大別され、又単一の単糖から構成されているホモオリゴ糖と、2種類以上の単糖から構成されているヘテロオリゴ糖にも分類される。オリゴ糖は、遊離状又は配糖類として天然に存在し、又多糖の酸又は酵素による部分加水分解によっても得られる。この他酵素によるグリコシル転移によっても種々のオリゴ糖が生成する。
【0077】
オリゴ糖は通常雰囲気中では水和物として存在することが多い。又、水和物と無水物とでは融点が異なり、例を挙げると表1に示す通りである。
【0078】
【表1】
【0079】
本発明では、感熱層を水溶液で塗布形成することが好ましいため、水溶液から形成された場合は、層中に存在するオリゴ糖が水和物を形成するオリゴ糖であることから、その融点は水和物の融点であると考えられる。このように、比較的低融点を有しているため、熱溶融性微粒子が溶融する温度範囲でオリゴ糖も溶融し、熱溶融性微粒子による画像形成を妨げることがなく好ましい。
【0080】
オリゴ糖の中でもトレハロースは、比較的純度の高い状態のものが工業的に安価に入手可能であり、水への溶解度が高いにもかかわらず、吸湿性は非常に低く、機上現像性及び保存性共に非常に良好である。
【0081】
又、オリゴ糖水和物を熱溶融させて水和水を除去した後に凝固させると(凝固後短時間のうちは)無水物の結晶となるが、トレハロースは水和物よりも無水物の融点が100℃以上も高いことが特徴的である。これは赤外線等の露光で熱溶融し、再凝固した直後は露光部が高融点で溶融しにくい状態となることを意味し、バンディング等の露光時の画像欠陥を起こしにくくする効果がある。この意味で本発明ではオリゴ糖の中でも特にトレハロースが好ましい。
【0082】
感熱層中のオリゴ糖の含有量としては、1〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がさらに好ましい。
【0083】
(光熱変換剤)
本発明の感熱層は、光熱変換剤を含有することが好ましく、中でも、感熱層中に含有される熱溶融性微粒子中に光熱変換剤を含有することが好ましい。
【0084】
光熱変換剤は、顔料その他の素材を挙げることができ、顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
【0085】
カーボンとしては、特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
【0086】
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
【0087】
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良く、特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
【0088】
金属酸化物としては、可視光領域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。前者としては、黒色酸化鉄(Fe3O4)や、前述の二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物を挙げることができる。後者としては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn2O3(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などを挙げることができる。また、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al2O3・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
【0089】
本発明の光熱変換剤の他の素材としては、一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等の各公報に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0090】
本発明の感熱層に使用する特に好ましい光熱変換剤は水溶性の赤外吸収色素であり、以下に具体例を示す。
【0091】
【化3】
【0092】
【化4】
【0093】
【化5】
【0094】
【化6】
【0095】
また、光熱変換剤が熱溶融性微粒子中に含有される場合、好ましい光熱変換剤は親油性の色素がより好ましく、例えば、以下の染料を挙げることができる。
【0096】
【化7】
【0097】
【化8】
【0098】
【化9】
【0099】
【化10】
【0100】
【化11】
【0101】
本発明の光熱変換剤は公知の方法で水に分散または溶解させることができ、該分散液または溶液を用いて本発明の感熱層に含有させることができる。
【0102】
また、本発明の光熱変換剤を熱溶融性微粒子中に含有させるには、熱溶融性微粒子を形成する素材中に光熱変換剤を溶解または分散させ、これを公知の分散方法により分散させて熱溶融性微粒子となす方法が好ましい。
【0103】
本発明の光熱変換剤の含有量は、含有した状態での感熱平版印刷版材料の構成層全体の光学濃度に依存するが、構成層全体として0.01〜20質量%が好ましく、感熱層中に含有させる場合は、0.05〜10質量%が好ましい。
【0104】
(熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物)
本発明の熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物(以下、単にハロメチル化合物と称する)は、可視領域(400〜700nm)において実質的に吸収を有することなく、熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物を言い、好ましくは下記一般式(1)または(2)で表される化合物であり、更には、これらの中でも熱によって酸又はラジカルを発生するトリハロメチル化合物が好ましい。
【0105】
【化12】
【0106】
式中、X1及びX2はハロゲン原子を表わし、Yは−SO−、−CO−、−SO2−、−SO2−O−、−N(R11)−、−CO−、−COCO−、−SCO−、−SCOO−、−COO−、−OCOO−、−OCO−、−C(Z1)(Z2)−、アルキレン基、アリーレン基もしくは2価のヘテロ環基またはこれらの基を組合せて形成される2価の連結基を表わし、R11は水素原子、アルキル基またはR12を表わし、R12は−(Y)n−C(X1)(X2)(A)を表す。Z1及びZ2は、水素原子または電子吸引性基を表わす。但し、Z1及びZ2が同時に水素原子であることはない。Aは水素原子、ハロゲン原子または電子吸引性基を表わし、Qはヘテロ環基、芳香族基または脂肪族基を表わす。ただし、Yが−SO−の場合、Qは芳香族基又はN以外のヘテロ原子を少なくとも1つ有する芳香族へテロ5員環基またはピリジン環基を表わす。また、mは3または4を表し、nは1〜20の整数を表す。
【0107】
上記X1及びX2で表されるハロゲン原子は、互いに同一でも異なっていてもよいフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子または臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。また、Yとして好ましいのは、−SO2−、−SO2−O−、−N(R11)−、−SO−または−CO−である。nは上記の範囲の整数を表すが、好ましくは1である。また、R11は上記の基を表すが、好ましくは水素原子である。また、Z1およびZ2が表す電子吸引性基として好ましいものは、ハメットの置換基定数σp値が0.01以上の置換基であり、より好ましくは0.1以上の置換基である。
【0108】
ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。
【0109】
当該電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、エチニル基(σp値:0.09)、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.45))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)などが挙げられる。
【0110】
Z1およびZ2として好ましいのは、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基であり、ハロゲン原子の中でも、好ましいのは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましいのは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましいのは臭素原子である。
【0111】
また、Aで表される電子吸引性基として好ましいのは、ハメットの置換基定数σp値が0.01以上の置換基であり、より好ましいのはσp値が0.1以上の置換基である。
【0112】
当該電子吸引性基としては、例えば、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、エチニル基(σp値:0.09)、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.45))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)などが挙げられ、また、ハロゲン原子のσp値としては、フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18)であり、これらも好ましく用いることができる。
【0113】
上記Aとして、好ましいのは電子吸引性基であり、より好ましいのはハロゲン原子、脂肪族・アリール若しくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリール若しくは複素環アシル基、脂肪族・アリール若しくは複素環オキシカルボニル基であり、特に好ましいのはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましいのは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましいのは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましいのは、臭素原子である。
【0114】
Qは脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を表す。但し、Yが−SO−の時、QはN以外のヘテロ原子を少なくとも1つを有する芳香族ヘテロ5員環基またはピリジン環を表す。これらの環はさらに他の環と縮合していてもよい。
【0115】
N以外のヘテロ原子を少なくとも1つ有する芳香族ヘテロ5員環基の具体例としては、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、フラン、ピロール、チアジアゾール、オキサジアゾール、チアトリアゾール、オキサトリアゾールが挙げられるが、Qとして好ましいのは、チアジアゾール環、ピリジン環、キノリン環である。
【0116】
Qで表される脂肪族基は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましいのは炭素数1〜30、より好ましいのは炭素数1〜20、更に好ましいのは炭素数1〜12であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましいのは炭素数2〜30、より好ましいのは炭素数2〜20、更に好ましいのは炭素数2〜12であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましいのは炭素数2〜30、より好ましいのは炭素数2〜20、更に好ましいのは炭素数2〜12であり、例えばプロパルギル、3−ペンテニル等が挙げられる。)であり、置換基を有していてもよい。置換基としては例えばカルボキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニルアミノ基又はウレイド基などがある。Qで表される脂肪族基として好ましいのはアルキル基であり、より好ましいのは鎖状アルキル基である。
【0117】
Qで表される芳香族基としては、好ましいのは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル等)であり、より好ましいのは炭素数6〜20のフェニル基、更に好ましいのは6〜12のフェニル基である。アリール基は置換基を有してもよく、置換基としては、例えばカルボキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニルアミノ基又はウレイド基などがある。
【0118】
Qで表されるヘテロ環基は、N、O又はS原子の少なくとも一つを含む3ないし10員の飽和若しくは不飽和のヘテロ環であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。ヘテロ環基として好ましいのは、5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましいのは窒素原子を含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましいのは窒素原子を1ないし2原子含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。
【0119】
ヘテロ環の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニンであり、より好ましいのはトリアジン、キノリン、チアジアゾール、ベンズチアゾール、オキサジアゾールであり、特に好ましいのは、ピリジン、キノリン、チアジアゾール、オキサジアゾールである。Qとして好ましいのは芳香族含窒素ヘテロ環基である。
【0120】
mは3又は4を表すが、好ましくは3である。Qが脂肪族基の場合は分子全体のハロゲン原子の個数は6以上10未満が好ましいが、より好ましいのは6である。
【0121】
次に、一般式(2)について説明する。
【0122】
【化13】
【0123】
式中、X1及びX2はハロゲン原子を表わし、Yは−SO−、−CO−、−SO2−、−SO2−O−、−N(R11)−、−CO−、−COCO−、−SCO−、−SCOO−、−COO−、−OCOO−、−OCO−、−C(Z1)(Z2)−、アルキレン基、アリーレン基もしくは2価のヘテロ環基またはこれらの基を組合せて形成される2価の連結基を表わし、R11は水素原子、アルキル基またはR12を表わし、R12は−(Y)p−C(X1)(X2)(A)を表す。Z1およびZ2は、水素原子又は電子吸引性基を表す。但し、Z1およびZ2は同時に水素原子であることはない。Aは水素原子、ハロゲン原子または電子吸引性基を表わし、Arはアリール基、脂肪族基またはヘテロ環基を表わし、pは0または1を表す。
【0124】
上記X1、X2、及びAは一般式(1)に記載のものと同義である。Yは上記の基を表し、Yとして好ましいのは−SO2−、−SO2−O−、−N(R11)−、−SO−、−CO−、−C(Z1)(Z2)−であり、より好ましいのは−SO2−、−SO2−O−、−N(R11)−、−SO−、−C(Z1)(Z2)−である。R11は上記の基を表すが、好ましくは水素原子である。Z1およびZ2は水素原子又は電子吸引性基を表すが、Z1およびZ2は同時に水素原子であることはない。
【0125】
この場合の電子吸引性基として好ましいのは、ハメットの置換基定数σp値が0.01以上の置換基であり、より好ましいのは0.1以上の置換基である。
【0126】
好ましい電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、エチニル基(σp値:0.09)、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.45))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)などが挙げられる。
【0127】
Z1およびZ2として好ましいのは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基である。ハロゲン原子の中でも、好ましいのは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましいのは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましいのは、臭素原子である。
【0128】
Arは上記の基を示すが、アリール基が好ましい。
【0129】
【化14】
【0130】
【化15】
【0131】
【化16】
【0132】
【化17】
【0133】
【化18】
【0134】
【化19】
【0135】
【化20】
【0136】
【化21】
【0137】
本発明のハロメチル化合物は、公知の方法で合成することができ、また、市販されるものを使用することができる。
【0138】
また、本発明のハロメチル化合物は、公知の方法で水に分散することができ、該分散液を用いて本発明の感熱層に含有させることができる。また、熱溶融性微粒子中に含有させるには、当該微粒子を形成する素材中に溶解してから、これを分散機を用いて水に分散して、感熱層に用いることができる。
【0139】
ハロメチル化合物の感熱層中の含有量としては、酸又はラジカルによって色の変化する化合物の0.2〜10モル当量、より好ましくは0.5〜5モル当量の添加が好ましい。また、これらの化合物の融点としては50〜300℃が好ましく、より好ましくは80℃〜250℃である。
【0140】
(酸又はラジカルによって変色する化合物)
本発明の酸またはラジカルによって変色する化合物は、酸またはラジカルによって可視域(400〜700nm)の吸収が変化する化合物を言い、その好ましい例としては、例えばジフェニルメタン、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
【0141】
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボステアリルアミノ−4−p−ジヒドロオキシエチルアミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等が挙げられる。
【0142】
また、アリールアミン類の有機染料を用いることができ、好適なアリールアミン類としては、第一級、第二級芳香族アミンのような単なるアリールアミンのほかにいわゆるロイコ色素も含まれ、これらの例としては次のようなものが挙げられる。
【0143】
ジフェニルアミン、ジベンジルアニリン、トリフェニルアミン、ジエチルアニリン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、p−トルイジン、4,4′−ビフェニルジアミン、o−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、o−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、ナフチルアミン、ジアミノジフェニルメタン、アニリン、2,5−ジクロロアニリン、N−メチルジフェニルアミン、o−トルイジン、p,p′−テトラメチルジアミノジフェニルメタン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、1,2−ジアニリノエチレン、p,p′,p″ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、p,p′−テトラメチルジアミノトリフェニルメタン、p,p′−テトラメチルジアミノジフェニルメチルイミン、p,p′,p″−トリアミノ−o−メチルトリフェニルメタン、p,p′,p″−トリアミノトリフェニルカルビノール、p,p′−テトラメチルアミノジフェニル−4−アニリノナフチルメタン、p,p′,p″−トリアミノフェニルメタン、p,p′,p″−ヘキサプロピルトリアミノトリフェニルメタン等。
【0144】
上記の他に、感熱層に用いる素材として含有される樹脂がクレゾール樹脂など感熱紙、感圧紙等で知られている顕色剤に相当する親油性の樹脂の場合は、トリフェニルメタンラクトン型などのロイコ色素を用いることができる。このようなロイコ色素としては、例えば、クリスタルバイオレットラクトン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノフルオラン、マラカイトグリーンラクトン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルドール−3−イル)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどが挙げられ、また、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタンも好ましく用いることができる。
【0145】
本発明の酸又はラジカルによって変色する化合物は、公知の方法にて合成することができ、また、市販のものを使用することもできる。
【0146】
また、本発明の酸又はラジカルによって変色する化合物は、公知の方法で水に分散することができ、該分散液を用いて本発明の感熱層に含有させることができる。また、熱溶融性微粒子中に含有させるには、当該微粒子を形成する素材中に溶解してから、これを分散機を用いて水に分散して、感熱層に用いることができる。
【0147】
当該化合物の添加量は、感熱層中に0.1〜10質量%で用いることが好ましく、より好ましくは0.5〜7質量%で使用できる。この範囲内で使用することで、膜物性を劣化することなく、良好な焼き出し画像を得ることができる。
【0148】
(露光/画像形成)
本発明の感熱平版印刷版材料は、サーマルヘッドまたはサーマルレーザーを用いて画像を形成した後に、感熱層の非画像部を印刷機上で除去する工程を含む印刷方法を用いることが好ましい。
【0149】
上記画像を形成する方法は、熱により行うことができるため、感熱プリンタで用いられるようなサーマルヘッドや、特にサーマルレーザーによる露光によって画像形成を行うことが好ましい。
【0150】
当該露光は、より具体的には、赤外および/または近赤外領域で発光する、すなわち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
【0151】
本発明の走査露光に好適な装置としては、該半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて感熱性平版印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
【0152】
一般的には、
(1)平板状保持機構に保持された感熱性平版印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って感熱性平版印刷版材料全面を露光する方式、
(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された感熱性平版印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて感熱性平版印刷版材料全面を露光する方式、
(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された感熱性平版印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて感熱性平版印刷版材料全面を露光する方式があげられる。
【0153】
本発明においては、特に、印刷装置上で露光を行う装置において上記(3)の露光方式を用いることが好ましい。
【0154】
このようにして画像形成がなされた印刷版は、現像処理を行うことなく印刷を行うことができる。すなわち、画像形成後の印刷版をそのまま印刷機の版胴に取り付けるか、あるいは印刷版を印刷機の版胴に取り付けた後に画像形成を行い、版胴を回転させながら水供給ローラーおよび/またはインク供給ローラーを印刷版材料に接触させることで画像形成層の非画像部を除去することが可能である。
【0155】
上記印刷版の非画像部の除去工程は、いわゆるPS版を使用した通常の印刷シークエンスで行うことができ、機上現像処理による作業時間の延長の必要がないためコストダウンにも有効である。
【0156】
【実施例】
《基板の作製》
(アルミニウム支持体の調整)
厚さ0.24mmのアルミ板(AA1050)を、水酸化ナトリウム水溶液を用いて脱脂した。アルミの溶解量は2g/m2であった。純水で十分に洗浄した後に、70℃の1質量%リン酸水素二ナトリウム水溶液に30秒間浸漬した。次いで、純水で十分に洗浄した後に乾燥して基板を作製した。
【0157】
《感熱平版印刷版材料の作製》
(酸発生剤含有ワックスエマルジョン1〜5及び比較の酸発生剤含有ワックスエマルジョンの調整)
下記する本発明のハロメチル化合物(酸発生剤)1〜5及び比較化合物2を用意し、それぞれ酸発生剤または比較化合物の5gとカルナバワックス1号95gを90℃に加熱溶融した液に、90℃に加熱した10%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA117)を500g添加し、90℃に加熱しながら、マイクロビーズとともにホモジナイザーにて10時間撹拌混合したのち、マイクロビーズを除去して、粒径0.3μmの酸発生剤含有カルナバワックスエマルジョン1〜5及び比較の酸発生剤含有ワックスエマルジョンを得た。
【0158】
(酸発生剤分散液1〜5及び比較の酸発生剤分散液の調整)
酸発生剤1〜5及び比較化合物1について、それぞれ酸発生剤または比較化合物の5gとポリビニルアルコール10%水溶液を10g、エタノール0.32g、純水8gをマイクロビーズを用いて、ホモジナイザーで45分間撹拌混合したのち、マイクロビーズを除去し、水で希釈して酸発生剤濃度が5%になるように分散液の調整を行い、酸発生剤分散液1〜5及び比較の酸発生剤分散液を得た。
【0159】
(感熱層の塗布)
下記表2に示す様に、下記感熱層塗布液1〜3及び比較感熱層塗布液1を、それぞれ十分に混合攪拌した後、それぞれ表面処理した上記アルミニウム支持体の上にワイヤーバーで乾燥付量が1.0g/m2になるように塗布し、55℃1分で乾燥し、感熱平版印刷版材料(実施例1〜7及び比較例1、2)を作製した。なお、以下において単位記載のない数値は質量部を示す。
【0160】
【0161】
【化22】
【0162】
【化23】
【0163】
《比較の感熱平版印刷版材料の作製》
比較の感熱平版印刷版材料1(比較例1)を上記感熱平版印刷版材料(実施例1)と同様にして作製した。但し、感熱層塗布液を以下の比較感熱層塗布液1を使用した。
【0164】
〈比較感熱層塗布液1〉
トレハロースの10%水溶液 1.6質量部
A118 17.5質量部
赤外線吸収色素1 10.4質量部
BOHの1%水溶液 4.0質量部
酸発生剤分散液(比較化合物1を含有) 0.4質量部
純水 72.2質量部
【0165】
【化24】
【0166】
また、比較の感熱平版印刷版材料2(比較例2)を上記感熱平版印刷版材料(実施例4)と同様にして作製した。但し、感熱層塗布液2の酸発生剤含有ワックスエマルジョンの酸発生剤は以下の比較化合物2を使用した。
【0167】
これら感熱平版印刷版材料について下記する様に画像形成し評価をした。結果を表2に示す。
【0168】
【化25】
【0169】
【表2】
【0170】
また、以下の様に、実施例8、9及び比較例3に係る感熱平版印刷版材料を作製した。
【0171】
《支持体の作製》:ポリエステルフィルムの作製
(ポリエチレンテレフタレート;PET1)
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従いIV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPETを得た。
【0172】
これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出し、50℃の冷却ドラム上で急冷し熱固定後の平均膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。これを、延伸温度は前段延伸が102℃で1.3倍に、後段延伸は110℃で2.6倍に縦延伸した。ついでテンターで120℃で4.5倍に横延伸した。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンターのチャック部をスリットした後、両端にナーリング加工を行い、40℃に冷却後48N/mで巻き取った。このようにして得たPETフィルムの幅(製膜幅)は2.5mであった。得られたフィルムの厚み分布を測定したところ3.5%であった。これをPET1とする。
【0173】
《下引き済み支持体1作製》
上記で得られたPET1のフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで一方の面に下記下引き塗布液a−2を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後に下記下引き塗布液bを塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。また反対側の面に下記導電層と中間層を順次塗布し180℃、4分間で乾燥させ、この層の上に下記下引き塗布液c−2を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し、それぞれ180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。
【0174】
塗布後の25℃、25%RHでの表面電気抵抗は109Ωであった。ついで、各々の下引き層表面に下記プラズマ処理条件でプラズマ処理を施し、下引き済み支持体1を各々作製した。
【0175】
《下引き塗布液a−2》
PVdC(ポリ塩化ビニリデン)ポリマーラテックス
コア部90質量%、シェル部10質量%のコアシェルタイプのラテックス
コア部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=93/3/3/0.9/0.1(質量%)
シェル部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=88/3/3/3/3(質量%)
(重量平均分子量38000) 3000質量部
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 23質量部
マット剤(ポリスチレン、平均粒径2.4μm) 1.5質量部
下記染料A 1.0質量部
【0176】
【化26】
【0177】
【0178】
1.25m幅にスリットした後の支持体に対し、張力0.08N/mm2で180℃、30秒間、低張力熱処理を実施した。
【0179】
《下引き済み支持体1への親水性層1と親水性層2の塗設》
親水性層を塗設する直前に、下引き済み支持体1に対し、130℃で30秒間熱処理を加えて乾燥させ、防湿シートでカバーをして空気中の湿度が入らないようにした。支持体試料の一部をサンプリングして含水率測定をしたところ0.2%であった。カバーをしたものについてはシートを除去後、すぐに塗布を行った。
【0180】
表3に示す素材を用いて親水性層1用塗布液(調製方法は下記に示す)を、また、表4に示す素材を用いて親水性層2用塗布液(調製方法は下記に示す)を、下引き済み支持体1の各々のA面上に、親水性層1、親水性層2の順番でワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で3分間乾燥して、2層の親水性層まで塗布済みの試料を作製した。親水性層2まで塗布した段階で、60℃で24時間のシーズニング処理を施した。
【0181】
《親水性層1用塗布液の調製》
表3に記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に撹拌混合した後、表3に記載の組成で混合、濾過して親水性層1用塗布液を調製した。
【0182】
《親水性層2用塗布液の調製》
表4に記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に撹拌混合した後、表4に記載の組成で混合、濾過して親水性層2用塗布液を調製した。
【0183】
なお、表3、4中の数値は質量部を表す。
【0184】
【表3】
【0185】
【表4】
【0186】
上記で作製した、下引き済み支持体1(親水性層1、親水性層2を各々塗設済み)に対して、下記に記載の感熱層塗布液(表5に記載)を、下記表6の様に、それぞれ、ワイヤーバーを用いて乾燥付量が0.6g/m2となるように塗布し、50℃で3分間乾燥して実施例8、9及び比較例3に係る感熱平版印刷版材料を作製した。
【0187】
なお、上記各印刷版材料は、感熱層塗布液を塗布した後、50℃で24時間のシーズニング処理を施し、その後、20℃、20%RHで24時間調湿した。
【0188】
また、これら感熱平版印刷版材料についても下記の如く画像形成及び評価をした。結果を表6に示す。
【0189】
〈感熱層塗布液〉
【0190】
【表5】
【0191】
【表6】
【0192】
《画像形成及び評価》
画像形成は赤外線レーザー露光で行った。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、レーザービームの焦点を感熱性平版印刷版材料表面に合わせて、露光エネルギーを300mj/cm2とした条件で、2400dpi(2.54cm当たりのドット数)、175線で画像を形成した。評価用の画像として、ベタ画像と1〜99%の網点画像を用いた。
【0193】
(露光可視画性)
露光した印刷版サンプルの露光部分と非画像部分の判別を、以下の基準にて目視評価を行った。
【0194】
○:露光部と未露光部の区別は良好
△:露光部分がやや変色しているため区別がつく
×:露光部分と未露光部分の区別がまったくない(変色しない)
(耐光性)
露光した印刷版サンプルをUVカットを施していない昼光色の蛍光灯下(照度:400lux)に1時間照射し、以下の基準にて目視評価を行った。
【0195】
○:照射後、非画像部分の変色がほとんどない
×:照射後、非画像部分が変色し、画像部と非画像部の区別がつかない
(印刷および評価)
印刷機として、三菱重工業(株)製DAIYA1F−1の版胴に上記露光した印刷版を取り付け、コート紙、湿し水(アストロマーク3(日研化学研究所製))2質量%、インク(東洋インク社製トーヨーキングハイエコーM紅)を使用して印刷を行った。印刷開始のシークエンスはPS版の印刷シークエンスで行い、特別な機上現像操作は行わなかった。
【0196】
また、印刷後に版面を観察したところ、実施例1〜9に係る印刷版での非画像部はきれいに除去されていた。また、コート紙での耐刷性について評価したところ、比較例のものは5000枚以下であったのに対し、実施例1〜7に係る印刷版では20000枚以上、実施例8、9では15000枚であり、インキ汚染性もほとんどなく、印刷性能も良好であることを確認した。
【0197】
【発明の効果】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱性平版印刷版材料及びその印刷方法に関するものであり、詳しくは、可視画性及び耐光性に優れ、耐刷性にも優れた感熱性平版印刷版材料及び印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷データのデジタル化に伴い、安価で取扱いが容易でPS版と同等の印刷適性を有したCTP(コンピューター ツー プレート)が求められている。特に近年、特別な薬剤を使用する現像液処理が不要な、いわゆるプロセスレス印刷版を使用するシステムへの期待が高まっている。
【0003】
プロセスレス印刷版の画像形成方式のひとつとして有力であるのが、赤外線レーザー記録であり、大きく分けて、後述するアブレーションタイプと熱融着画像層機上現像タイプ及び熱溶融転写タイプの三種の記録方法が存在する。
【0004】
アブレーションタイプとしては、例えば、特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号の各公報に記載されているものを挙げることができる。これらは、例えば、支持体上に親水性層と親油性層とを有し、いずれかの層を表層として積層し形成させたものである。表層が親水性層であれば、画像様にレーザー等で露光し、親水性層をアブレートさせて画像様に除去して親油性層を露出させることで画像部を形成することができる。ただし、アブレートした層の飛散物による露光装置内部の汚染が問題となるため、親水性層上にさらに水溶性の保護層を設けてアブレートした層の飛散を防止し、印刷機上で保護層とともにアブレートした層を除去する方式も提案されている。
【0005】
熱融着画像層機上現像タイプとしては、例えば、特許第2,938,397号明細書等に開示されているような、支持体上に親水性層を有するもの、またはアルミ砂目を有する支持体上に画像形成層に熱可塑性微粒子と水溶性の結合剤とを用いたものを挙げることができる。しかし、アルミ砂目を有する親水性支持体を用いた場合には、光熱変換剤(一般的には可視光領域にも吸収があり着色している)を画像形成層に添加する必要があり、現像した際に印刷機を汚染する懸念がある。このため、層構成としては支持体上に光熱変換剤を含有した親水性層を形成し、画像形成層からは光熱変換剤を除く等の技術的工夫がされているものも知られている。
【0006】
また、熱溶融転写タイプとしては、例えば、マンローランド社のDICOwebのような熱転写リボンを用いて、アルミ砂目ではなく、繰り返し使用可能な親水性表面を有する金属スリーブに熱溶融素材を画像様に転写した後、加熱して画像を定着させる方法が挙げられる。
【0007】
一方、印刷版を印刷機に取り付ける際には、印刷版上の画像を検査したり、どのインキ用の版であるかなどの識別をした上で取り付けを行うことが一般的にされている。しかしながら、プロセスレス印刷版では現像されないため、こうした検査や識別する工程や機能が不足しており、それを補う方法等が必要であった。
【0008】
下記特許文献1には、支持体上に光熱変換剤、及び光又は熱で酸、塩基及びラジカルから選ばれる少なくとも一つを発生する化合物と相互作用して変色する化合物を含有する記録層を有し、赤外レーザー露光が可能で、一定の露光可視画性(焼き出し画像特性)を有する印刷版が開示されている。
【0009】
しかしながら、上記の焼き出し画像を得るのに好ましい、光又は熱で酸、塩基及びラジカルから選ばれる少なくとも一つを発生する化合物は、可視領域に吸収を持つため、これを用いた平版印刷版材料が明室に置かれた場合、酸、塩基及びラジカルから選ばれる少なくとも一つを発生し、該印刷版材料は変色してしまい、画像露光時の焼き出し画像の生成の阻害や、焼き出し画像が不鮮明になるなどの問題が生じており、耐光性において改善が求められ、また、耐刷性にも問題を有していた。
【0010】
また、下記特許文献2には、基板上に親油層を有する感熱性平版印刷版用支持体であって、親油層中に、熱によって酸またはラジカルを発生するアリールトリハロメチルスルホン化合物および発生した酸またはラジカルによって変色する化合物を含有することを特徴とする感熱性平版印刷版用支持体が開示されており、上記する焼き出しに関する課題を解決する発明が開示されているが、やはり、耐光性における改善と、耐刷性にも問題を有していた。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−277927号公報(特許請求の範囲等)
【0012】
【特許文献2】
特開2002−21151号公報(特許請求の範囲等)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、可視領域に吸収を持たず、露光前後に明室に放置された場合でも、変色せず、画像露光時の焼き出し画像の生成の阻害がなく、焼き出し画像が不鮮明になるという問題の生じない(露光可視画性が良好である)、また、耐光性及び耐刷性も良好な感熱性平版印刷版材料及びそれを用いた印刷方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下により達成された。
【0015】
1.基板上に、親水性表面を有する熱溶融性微粒子を含有する感熱層を有する感熱性平版印刷版材料であって、感熱層中に、熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物及び発生した酸又はラジカルによって変色する化合物を含有することを特徴とする感熱性平版印刷版材料。
【0016】
2.前記熱溶融性微粒子中に、熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物及び発生した酸又はラジカルによって変色する化合物を含有することを特徴とする前記1に記載の感熱性平版印刷版材料。
【0017】
3.前記熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物が、上記一般式(1)または(2)で表わされる化合物であることを特徴とする前記1または2に記載の感熱性平版印刷版材料。
【0018】
4.前記感熱層中に光熱変換剤を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の感熱性平版印刷版材料。
【0019】
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の感熱性平版印刷版材料に、サーマルヘッドもしくはサーマルレーザーを用いて画像を形成し、画像形成された感熱層の非画像部を印刷機上で除去することを特徴とする感熱性平版印刷版材料の印刷方法。
(基板)
本発明の基板は、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基板等が挙げられる。基板の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
【0020】
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。
【0021】
本発明の基板としては、特にアルミニウム支持体が好ましく、該アルミニウム支持体は、純アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いたアルミニウム支持体を挙げることができる。該アルミニウム合金としては、例えば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムとの合金が用いられる。
【0022】
アルミニウム支持体の表面は大きなうねりに小ピットが重畳された二重構造の粗面形状を有していることが好ましい。すなわち、例えば、特開平11−174689号の図1及び2に示される如く、小ピットが、大きなうねりに重畳されており、小ピットの平均開孔径(d1)、平均深さ(h)及び大きなうねりの平均開孔径(d2)の関係において、小ピットの平均開孔径(d1)が、0.1μm以上3μm以下で、該小ピットの平均深さ(h)と平均開孔径(d1)の比が0.4以下であることが本発明おいて好ましく、更に好ましくはこの比が0.35以下である。この様にすることで、残膜や、指紋汚れを生ずることがなく、良質の印刷画像が得られることから好ましい範囲と言える。
【0023】
また、上記大きなうねりの平均開孔径(d2)3μmを越え、20μm以下とするのが、残膜や、指紋汚れの点で好ましい。
【0024】
また、アルミニウム支持体は、強固な汚れや自然酸化皮膜を除去する等のため、苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いて溶解処理が行われ、溶解処理後の残留アルカリ成分を中和するため、燐酸、硝酸、硫酸、塩酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬して中和処理を行うことが好ましい。なお、必要により上記アルミニウム支持材料表面の油脂、錆、ごみなどを除去するため、トリクレン、シンナー等による溶剤脱脂、ケロシン、トリエタノール等のエマルジョンを用いてエマルジョン脱脂処理を行ってもよい。
【0025】
上記アルカリ水溶液を用いた溶解処理及び酸による中和処理の次には後記電気化学的粗面化処理が行われることが好ましいが、中和処理に使用する酸の種類および組成を電気化学的粗面化処理に使用する酸のそれに合わせることが特に好ましい。
【0026】
また、上記アルカリ水溶液を用いた溶解処理に先だって、機械的粗面化処理が行われてもよい。機械的粗面化処理の方法は特に限定されないが、ブラシ研磨、ホーニング研磨が好ましい。ブラシ研磨では、例えば毛径0.2〜1mmのブラシ毛を植毛した円筒状ブラシを回転し、接触面に研磨材を水に分散させたスラリーを供給しながらアルミニウム支持体材料表面に押しつけて粗面化処理を行う。ホーニング研磨では、研磨材を水に分散させたスラリーをノズルより圧力をかけて射出し、アルミニウム支持体材料表面に斜めから衝突させて粗面化処理を行う。さらに、予め粗面化処理されたシートをアルミニウム支持体表面に張り合わせ、圧力をかけて粗面パターンを転写することにより機械的粗面化処理を行うこともできる。なお、上記機械的粗面化処理を行う場合は、特に上記溶剤脱脂処理またはエマルジョン脱脂処理を省略することができる。
【0027】
また、アルミニウム支持体の表面は酸性電解液中で交流電流を用いて電気化学的粗面化処理が行うことができる。本発明では該酸性電解液中での電気化学的粗面化処理の過程で0.6〜5秒の休止時間を設け、かつ1回の電気化学的粗面化処理の電気量を100C/dm2以下とすることが好ましい。上記のように電気化学的粗面化処理を複数回に分けて行う場合、休止時間が0.6秒未満で、かつ1回の電気化学的粗面化処理の電気量が150C/dm2を越えると開孔径が20μmより大きい粗大ピットの生成を抑制することができず、また、休止時間が5秒を越えるとアルミニウム支持体の製造に時間がかかり過ぎて生産性が悪くなることから、上記の条件が好ましいものと言える。
【0028】
上記電気化学的粗面化処理の電解液としては、塩酸、硝酸等が用いられるが、塩酸がより好ましい。電解液には、必要に応じて硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、蓚酸等を加えることができるが、酢酸が特に好ましい。電気化学的粗面化処理において印加される電圧は、1〜50Vが好ましく、5〜30Vが更に好ましい。電流密度(ピーク値)は、10〜200A/dm2が好ましく、20〜150A/dm2が更に好ましい。電気量は、全処理工程を合計して100〜2000C/dm2が好ましく、200〜1000C/dm2が更に好ましい。温度は、10〜50℃が好ましく、15〜45℃が更に好ましい。
【0029】
また、塩酸濃度は0.1〜5質量%が好ましく、電解に使用する電流波形は正弦波、矩形波、台形波、鋸歯状波等、求める粗面化形状により適宜選択されるが、特に正弦波が好ましい。
【0030】
電気化学的粗面化処理されたアルミニウム支持体は、表面のスマット等を除去したり、粗面のピット形状をコントロールする等のために酸またはアルカリの水溶液に浸漬して表面のエッチング処理が行われることが好ましい。上記酸としては、例えば硫酸、過硫酸、フッ酸、燐酸、硝酸、塩酸等が含まれ、上記アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれる。これらの中でも、アルカリの水溶液を用いるのが好ましく、該アルカリの0.05〜40%水溶液を用い20〜90℃の液温において5秒〜5分処理するのがよく、該アルカリの水溶液で表面をエッチングした後に、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬して中和処理を行なうことが好ましい。
【0031】
上記中和処理が行われたアルミニウム支持体はさらに陽極酸化処理されることが好ましい。ここで、中和に使用する酸の種類を陽極酸化処理に使用する酸のそれに合わせることがより好ましい。
【0032】
上記陽極酸化処理に用いられる電解液としては多孔質酸化皮膜を形成するものであれば如何なる電解液でもよいが、一般には硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等、或るいはこれらの2種類以上を組み合わせた混酸が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定することはできないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、温度5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましいのは硫酸を用いる方法で、通常直流電流で処理が行われるが、交流を用いることもできる。ここで、硫酸の濃度は10〜50質量%、温度20〜50℃、電流密度1〜20A/dm2で10秒〜5分間電解処理されるのが好ましく、また電解液中にはアルミニウムイオンが含まれているのが好ましい。
【0033】
上記陽極酸化処理して得られたアルミニウム支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム塩処理等の公知の方法を用いて行うことができる。
【0034】
上記陽極酸化処理あるいは陽極酸化処理に引き続いて封孔処理して得られたアルミニウム支持体には親水性層を設けてもよい。親水性層の形成には、米国特許第3,181,461号明細書に記載のアルカリ金属珪酸塩、米国特許第1,860,426号明細書に記載の親水性セルロース、特公平6−94234号公報、特公平6−2436号公報に記載のアミノ酸及びその塩、特公平5−32238号公報に記載の水酸基を有するアミン類及びその塩、特開昭62−19494号公報に記載の燐酸塩、特開昭59−101651号公報に記載のスルホ基を有するモノマー単位を含む高分子化合物等を用いることができる。
【0035】
さらに、複数の版を重ねたときの表面層の擦れ傷を防ぐために、特開昭50−151136号、特開昭57−63293号、特開昭60−73538号、特開昭61−67863号、特開平6−35174号等の各公報に記載される、支持体裏面に保護層を設ける処理を行うことができる。
【0036】
本発明の基板は、プラスチックフィルムからなる場合(以下、本発明のプラスチックフィルム支持体とも言う)も好ましく、以下にその説明をする。
【0037】
本発明のプラスチックフィルム支持体の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。
【0038】
本発明のプラスチックフィルム支持体は、感熱性平板印刷版材料にハンドリング適性を付与する観点から、120℃での弾性率(E120)が100kg/mm2〜600kg/mm2であることが好ましく、より好ましくは120kg/mm2〜500kg/mm2である。具体的にはポリエチレンナフタレート(E120=410kg/mm2)、ポリエチレンテレフタレート(E120=150kg/mm2)、ポリブチレンナフタレート(E120=160kg/mm2)、ポリカーボネイト(E120=170kg/mm2)、シンジオタクチックポリスチレン(E120=220kg/mm2)、ポリエーテルイミド(E120=190kg/mm2)、ポリアリレート(E120=170kg/mm2)、ポリスルホン(E120=180kg/mm2)、ポリエーテルスルホン(E120=170kg/mm2)等が挙げられる。これらは単独で用いても良く積層あるいは混合して用いても良い。中でも、特に好ましいプラスチックフィルムとしてはポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0039】
本発明のプラスチックフィルム支持体の平均膜厚は、110μm〜500μmの範囲が好ましいが、さらに好ましくは、120μm〜400μmの範囲であり、特に好ましくは、125μm〜300μmの範囲である。
【0040】
本発明のプラスチックフィルム支持体は、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下引き層塗布を行うことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
【0041】
下引き層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等を支持体上に設けること等が好ましい。また、特開平7−20596号の段落(0031)〜(0073)に記載の導電性ポリマー含有層や特開平7−20596号の段落(0074)〜(0081)に記載の金属酸化物含有層のような導電性層を設けることが好ましい。導電性層は支持体のいずれの側に塗設されてもよいが、好ましくは支持体に対し感熱層の反対側に塗設するのが好ましい。この導電性層を設けると帯電性が改良されてゴミなどの付着が減少し、印刷時の白抜け故障などが大幅に減少する。
【0042】
また、本発明の基板としては、プラスチックフィルムと金属板(例えば、鉄、ステンレス、アルミニウムなど)やポリエチレンで被覆した紙などの材料(複合基材ともいう)を適宜貼り合わせた複合支持体を用いることもできる。これらの複合基材は、塗布層を形成する前に貼り合わせても良く、また、塗布層を形成した後に貼り合わせても良く、印刷機に取り付ける直前に貼り合わせても良い。
【0043】
(感熱層)
本発明の感熱層は下記する熱溶融性微粒子を含有し、上記の本発明の基板上に塗設されることが好ましく、特に、基板がプラスチックフィルム支持体である場合に、この上に、以下に示す素材から構成される層を塗設し、当該塗設された層自身として、および/または当該層の上に設けられることが好ましい。もちろん、本発明の基板が親水性である場合(例えばアルミニウム支持体)には、その上に直接本発明の感熱層を塗設することも好ましい。
【0044】
また、感熱層の塗布量は、乾燥状態で0.10〜3g/m2が好ましく、0.15〜2.0g/m2がより好ましい。
【0045】
〈親水性層マトリクスを形成する素材〉
親水性層マトリクスを形成する素材としては、金属酸化物が好ましい。金属酸化物としては、金属酸化物微粒子を含むことが好ましく、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良く、平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
【0046】
上記金属酸化物微粒子は、その造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、感熱層への使用に適している。
【0047】
本発明では、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。本発明で用いることのできるコロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
【0048】
本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは、一次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称であり、一次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のものを意味し、その状態のイメージが真珠ネックレスの様な形状をしていることからこの様に呼んでいる。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業(株)製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられ、製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらにそれぞれ対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。
【0049】
ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、多孔質化材として好ましく使用できる。これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、また、印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。
【0050】
また、コロイダルシリカは、粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明では平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。又、コロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが、地汚れ発生を抑制する効果が高く特に好ましい。平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
【0051】
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは、前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、形成する層の多孔質性を維持しながら、強度をさらに向上させることが可能となり、特に好ましい。
【0052】
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
【0053】
本発明の基板上に塗設される層には、多孔質化材として、粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。多孔質金属酸化物粒子としては、以下に記載の多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
【0054】
〈多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子〉
多孔質シリカ粒子は、一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法では、ケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、もしくは中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により、多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
【0055】
多孔質アルミノシリケート粒子は、例えば、特開平10−71764号公報に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔質性や粒径を制御することが可能である。
【0056】
粒子の多孔質性としては、細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0〜2.5ml/gであることが更に好ましい。細孔容積は、塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。逆に、細孔容積が0.5ml/g未満の場合には、印刷性能がやや不十分となる場合がある。
【0057】
〈ゼオライト粒子〉
ゼオライトは、結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
【0058】
(M1、(M2)0.5)m(AlmSinO2)(m+n)・xH2O
ここで、M1、M2は交換性のカチオンであって、M1はLi+、Na+、K+、Tl+、Me4N+(TMA)、Et4N+(TEA)、Pr4N+(TPA)、C7H15N2+、C8H16N+等であり、M2はCa2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、C8H18N2 2+等である。又、n≧mであり、m/nの値つまりはAl/Si比率は1以下となる。Al/Si比率が高いほど交換性カチオンの量が多く含まれるため極性が高く、従って親水性も高い。好ましいAl/Si比率は0.4〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0である。xは整数を表す。
【0059】
本発明で使用するゼオライト粒子としては、Al/Si比率が安定しており、又粒径分布も比較的シャープである合成ゼオライトが好ましく、例えばゼオライトA:Na12(Al12Si12O48)・27H2O;Al/Si比率1.0、ゼオライトX:Na86(Al86Si106O384)・264H2O;Al/Si比率0.811、ゼオライトY:Na56(Al56Si136O384)・250H2O;Al/Si比率0.412等が挙げられる。
【0060】
Al/Si比率が0.4〜1.0である親水性の高い多孔質粒子を含有することで、親水性層自体の親水性も大きく向上し、印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなる。又、指紋跡の汚れも大きく改善される。Al/Si比率が0.4未満では親水性が不充分であり、上記性能の改善効果が小さくなる。
【0061】
また、本発明の感熱層は、層状粘土鉱物粒子を含有することができる。該層状鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。特に、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
【0062】
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
【0063】
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲より大きくなると、塗膜に不均一性が生じて、局所的に強度が弱くなる場合がある。又、アスペクト比が上記範囲以下である場合、添加量に対する平板状の粒子数が少なくなり、増粘性が不充分となり、粒子物の沈降を抑制する効果が低減する。
【0064】
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを調製した後、塗布液に添加することが好ましい。
【0065】
本発明の感熱層にはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
【0066】
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば、「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
【0067】
(熱溶融性微粒子)
本発明の感熱層には熱溶融性微粒子が含有される。熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が150℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
【0068】
使用可能な素材としては、例えば、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸等の脂肪酸系のワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものであり、また乳化しやすくするためにこれらの素材を酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらの素材に、例えば、ステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、またはこれらの樹脂の共重合体も使用することができる。
【0069】
上記素材の中でも、ポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸等のワックスの何れか少なくとも1種を含有することが好ましい。これらは融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度で画像形成を行うことができる。また、これらは潤滑性を有するため、印刷版の表面に剪断力が加えられた際のダメージを低減でき、擦りキズ等による印刷汚れに対する耐性が向上する。
【0070】
また、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その場合の平均粒径が0.01〜10μmであることが好ましい。より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する感熱層の塗布液を多孔質な層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子がその層の細孔中に入り込んだり、その層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。また、熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
【0071】
熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、または不連続的に異なる素材で被覆される形状であってもよい。この場合の被覆方法は、公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
【0072】
感熱層の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
【0073】
また、熱溶融性微粒子は、必要に応じ、重合あるいは微粒子化の際に、分散剤または安定剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。また、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等を含有させても良い。
【0074】
(水溶性素材)
また、本発明の感熱層には、印刷機上での現像性向上のため、水溶性素材を添加しても良い。水溶性素材としては、糖類を用いることが好ましく、特にオリゴ糖を用いることが好ましい。オリゴ糖は水に速やかに溶解するため、印刷装置上での非画像部の感熱層の除去も非常に速やかとなり、特別な除去操作を意識することなく、通常のPS版の刷出し操作と同様の操作で刷出すことで除去可能であり、刷出しの損紙が増加することもない。また、オリゴ糖は感熱層の表面の親水性を低下させる懸念もなく良好な印刷適性を維持することができる。
【0075】
オリゴ糖は水に可溶の一般に甘みを有する結晶性物質で、数個の単糖がグリコシド結合によって脱水縮合したものである。オリゴ糖は糖をアグリコンとする一種のo−グリコシドであるから、酸で容易に加水分解されて単糖を生じ、生成する単糖の分子数によって二糖、三糖、四糖、五糖などに分類される。本発明におけるオリゴ糖とは、二糖〜十糖までのものをいう。
【0076】
これらのオリゴ糖は、還元基の有無によって、還元性オリゴ糖と非還元性オリゴ糖とに大別され、又単一の単糖から構成されているホモオリゴ糖と、2種類以上の単糖から構成されているヘテロオリゴ糖にも分類される。オリゴ糖は、遊離状又は配糖類として天然に存在し、又多糖の酸又は酵素による部分加水分解によっても得られる。この他酵素によるグリコシル転移によっても種々のオリゴ糖が生成する。
【0077】
オリゴ糖は通常雰囲気中では水和物として存在することが多い。又、水和物と無水物とでは融点が異なり、例を挙げると表1に示す通りである。
【0078】
【表1】
【0079】
本発明では、感熱層を水溶液で塗布形成することが好ましいため、水溶液から形成された場合は、層中に存在するオリゴ糖が水和物を形成するオリゴ糖であることから、その融点は水和物の融点であると考えられる。このように、比較的低融点を有しているため、熱溶融性微粒子が溶融する温度範囲でオリゴ糖も溶融し、熱溶融性微粒子による画像形成を妨げることがなく好ましい。
【0080】
オリゴ糖の中でもトレハロースは、比較的純度の高い状態のものが工業的に安価に入手可能であり、水への溶解度が高いにもかかわらず、吸湿性は非常に低く、機上現像性及び保存性共に非常に良好である。
【0081】
又、オリゴ糖水和物を熱溶融させて水和水を除去した後に凝固させると(凝固後短時間のうちは)無水物の結晶となるが、トレハロースは水和物よりも無水物の融点が100℃以上も高いことが特徴的である。これは赤外線等の露光で熱溶融し、再凝固した直後は露光部が高融点で溶融しにくい状態となることを意味し、バンディング等の露光時の画像欠陥を起こしにくくする効果がある。この意味で本発明ではオリゴ糖の中でも特にトレハロースが好ましい。
【0082】
感熱層中のオリゴ糖の含有量としては、1〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がさらに好ましい。
【0083】
(光熱変換剤)
本発明の感熱層は、光熱変換剤を含有することが好ましく、中でも、感熱層中に含有される熱溶融性微粒子中に光熱変換剤を含有することが好ましい。
【0084】
光熱変換剤は、顔料その他の素材を挙げることができ、顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
【0085】
カーボンとしては、特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
【0086】
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
【0087】
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良く、特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
【0088】
金属酸化物としては、可視光領域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。前者としては、黒色酸化鉄(Fe3O4)や、前述の二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物を挙げることができる。後者としては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn2O3(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などを挙げることができる。また、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al2O3・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
【0089】
本発明の光熱変換剤の他の素材としては、一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等の各公報に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0090】
本発明の感熱層に使用する特に好ましい光熱変換剤は水溶性の赤外吸収色素であり、以下に具体例を示す。
【0091】
【化3】
【0092】
【化4】
【0093】
【化5】
【0094】
【化6】
【0095】
また、光熱変換剤が熱溶融性微粒子中に含有される場合、好ましい光熱変換剤は親油性の色素がより好ましく、例えば、以下の染料を挙げることができる。
【0096】
【化7】
【0097】
【化8】
【0098】
【化9】
【0099】
【化10】
【0100】
【化11】
【0101】
本発明の光熱変換剤は公知の方法で水に分散または溶解させることができ、該分散液または溶液を用いて本発明の感熱層に含有させることができる。
【0102】
また、本発明の光熱変換剤を熱溶融性微粒子中に含有させるには、熱溶融性微粒子を形成する素材中に光熱変換剤を溶解または分散させ、これを公知の分散方法により分散させて熱溶融性微粒子となす方法が好ましい。
【0103】
本発明の光熱変換剤の含有量は、含有した状態での感熱平版印刷版材料の構成層全体の光学濃度に依存するが、構成層全体として0.01〜20質量%が好ましく、感熱層中に含有させる場合は、0.05〜10質量%が好ましい。
【0104】
(熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物)
本発明の熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物(以下、単にハロメチル化合物と称する)は、可視領域(400〜700nm)において実質的に吸収を有することなく、熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物を言い、好ましくは下記一般式(1)または(2)で表される化合物であり、更には、これらの中でも熱によって酸又はラジカルを発生するトリハロメチル化合物が好ましい。
【0105】
【化12】
【0106】
式中、X1及びX2はハロゲン原子を表わし、Yは−SO−、−CO−、−SO2−、−SO2−O−、−N(R11)−、−CO−、−COCO−、−SCO−、−SCOO−、−COO−、−OCOO−、−OCO−、−C(Z1)(Z2)−、アルキレン基、アリーレン基もしくは2価のヘテロ環基またはこれらの基を組合せて形成される2価の連結基を表わし、R11は水素原子、アルキル基またはR12を表わし、R12は−(Y)n−C(X1)(X2)(A)を表す。Z1及びZ2は、水素原子または電子吸引性基を表わす。但し、Z1及びZ2が同時に水素原子であることはない。Aは水素原子、ハロゲン原子または電子吸引性基を表わし、Qはヘテロ環基、芳香族基または脂肪族基を表わす。ただし、Yが−SO−の場合、Qは芳香族基又はN以外のヘテロ原子を少なくとも1つ有する芳香族へテロ5員環基またはピリジン環基を表わす。また、mは3または4を表し、nは1〜20の整数を表す。
【0107】
上記X1及びX2で表されるハロゲン原子は、互いに同一でも異なっていてもよいフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、より好ましくは塩素原子または臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。また、Yとして好ましいのは、−SO2−、−SO2−O−、−N(R11)−、−SO−または−CO−である。nは上記の範囲の整数を表すが、好ましくは1である。また、R11は上記の基を表すが、好ましくは水素原子である。また、Z1およびZ2が表す電子吸引性基として好ましいものは、ハメットの置換基定数σp値が0.01以上の置換基であり、より好ましくは0.1以上の置換基である。
【0108】
ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vol.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。
【0109】
当該電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、エチニル基(σp値:0.09)、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.45))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)などが挙げられる。
【0110】
Z1およびZ2として好ましいのは、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基であり、ハロゲン原子の中でも、好ましいのは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましいのは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましいのは臭素原子である。
【0111】
また、Aで表される電子吸引性基として好ましいのは、ハメットの置換基定数σp値が0.01以上の置換基であり、より好ましいのはσp値が0.1以上の置換基である。
【0112】
当該電子吸引性基としては、例えば、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、エチニル基(σp値:0.09)、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.45))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)などが挙げられ、また、ハロゲン原子のσp値としては、フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18)であり、これらも好ましく用いることができる。
【0113】
上記Aとして、好ましいのは電子吸引性基であり、より好ましいのはハロゲン原子、脂肪族・アリール若しくは複素環スルホニル基、脂肪族・アリール若しくは複素環アシル基、脂肪族・アリール若しくは複素環オキシカルボニル基であり、特に好ましいのはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも、好ましいのは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましいのは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましいのは、臭素原子である。
【0114】
Qは脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を表す。但し、Yが−SO−の時、QはN以外のヘテロ原子を少なくとも1つを有する芳香族ヘテロ5員環基またはピリジン環を表す。これらの環はさらに他の環と縮合していてもよい。
【0115】
N以外のヘテロ原子を少なくとも1つ有する芳香族ヘテロ5員環基の具体例としては、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、フラン、ピロール、チアジアゾール、オキサジアゾール、チアトリアゾール、オキサトリアゾールが挙げられるが、Qとして好ましいのは、チアジアゾール環、ピリジン環、キノリン環である。
【0116】
Qで表される脂肪族基は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基(好ましいのは炭素数1〜30、より好ましいのは炭素数1〜20、更に好ましいのは炭素数1〜12であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)、アルケニル基(好ましいのは炭素数2〜30、より好ましいのは炭素数2〜20、更に好ましいのは炭素数2〜12であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)、アルキニル基(好ましいのは炭素数2〜30、より好ましいのは炭素数2〜20、更に好ましいのは炭素数2〜12であり、例えばプロパルギル、3−ペンテニル等が挙げられる。)であり、置換基を有していてもよい。置換基としては例えばカルボキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニルアミノ基又はウレイド基などがある。Qで表される脂肪族基として好ましいのはアルキル基であり、より好ましいのは鎖状アルキル基である。
【0117】
Qで表される芳香族基としては、好ましいのは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル等)であり、より好ましいのは炭素数6〜20のフェニル基、更に好ましいのは6〜12のフェニル基である。アリール基は置換基を有してもよく、置換基としては、例えばカルボキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、オキシカルボニルアミノ基又はウレイド基などがある。
【0118】
Qで表されるヘテロ環基は、N、O又はS原子の少なくとも一つを含む3ないし10員の飽和若しくは不飽和のヘテロ環であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。ヘテロ環基として好ましいのは、5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、より好ましいのは窒素原子を含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、更に好ましいのは窒素原子を1ないし2原子含む5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。
【0119】
ヘテロ環の具体例としては、例えばピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニンであり、より好ましいのはトリアジン、キノリン、チアジアゾール、ベンズチアゾール、オキサジアゾールであり、特に好ましいのは、ピリジン、キノリン、チアジアゾール、オキサジアゾールである。Qとして好ましいのは芳香族含窒素ヘテロ環基である。
【0120】
mは3又は4を表すが、好ましくは3である。Qが脂肪族基の場合は分子全体のハロゲン原子の個数は6以上10未満が好ましいが、より好ましいのは6である。
【0121】
次に、一般式(2)について説明する。
【0122】
【化13】
【0123】
式中、X1及びX2はハロゲン原子を表わし、Yは−SO−、−CO−、−SO2−、−SO2−O−、−N(R11)−、−CO−、−COCO−、−SCO−、−SCOO−、−COO−、−OCOO−、−OCO−、−C(Z1)(Z2)−、アルキレン基、アリーレン基もしくは2価のヘテロ環基またはこれらの基を組合せて形成される2価の連結基を表わし、R11は水素原子、アルキル基またはR12を表わし、R12は−(Y)p−C(X1)(X2)(A)を表す。Z1およびZ2は、水素原子又は電子吸引性基を表す。但し、Z1およびZ2は同時に水素原子であることはない。Aは水素原子、ハロゲン原子または電子吸引性基を表わし、Arはアリール基、脂肪族基またはヘテロ環基を表わし、pは0または1を表す。
【0124】
上記X1、X2、及びAは一般式(1)に記載のものと同義である。Yは上記の基を表し、Yとして好ましいのは−SO2−、−SO2−O−、−N(R11)−、−SO−、−CO−、−C(Z1)(Z2)−であり、より好ましいのは−SO2−、−SO2−O−、−N(R11)−、−SO−、−C(Z1)(Z2)−である。R11は上記の基を表すが、好ましくは水素原子である。Z1およびZ2は水素原子又は電子吸引性基を表すが、Z1およびZ2は同時に水素原子であることはない。
【0125】
この場合の電子吸引性基として好ましいのは、ハメットの置換基定数σp値が0.01以上の置換基であり、より好ましいのは0.1以上の置換基である。
【0126】
好ましい電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロメチル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、エチニル基(σp値:0.09)、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.45))、カルバモイル基(σp値:0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)などが挙げられる。
【0127】
Z1およびZ2として好ましいのは、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基である。ハロゲン原子の中でも、好ましいのは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましいのは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましいのは、臭素原子である。
【0128】
Arは上記の基を示すが、アリール基が好ましい。
【0129】
【化14】
【0130】
【化15】
【0131】
【化16】
【0132】
【化17】
【0133】
【化18】
【0134】
【化19】
【0135】
【化20】
【0136】
【化21】
【0137】
本発明のハロメチル化合物は、公知の方法で合成することができ、また、市販されるものを使用することができる。
【0138】
また、本発明のハロメチル化合物は、公知の方法で水に分散することができ、該分散液を用いて本発明の感熱層に含有させることができる。また、熱溶融性微粒子中に含有させるには、当該微粒子を形成する素材中に溶解してから、これを分散機を用いて水に分散して、感熱層に用いることができる。
【0139】
ハロメチル化合物の感熱層中の含有量としては、酸又はラジカルによって色の変化する化合物の0.2〜10モル当量、より好ましくは0.5〜5モル当量の添加が好ましい。また、これらの化合物の融点としては50〜300℃が好ましく、より好ましくは80℃〜250℃である。
【0140】
(酸又はラジカルによって変色する化合物)
本発明の酸またはラジカルによって変色する化合物は、酸またはラジカルによって可視域(400〜700nm)の吸収が変化する化合物を言い、その好ましい例としては、例えばジフェニルメタン、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
【0141】
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボステアリルアミノ−4−p−ジヒドロオキシエチルアミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等が挙げられる。
【0142】
また、アリールアミン類の有機染料を用いることができ、好適なアリールアミン類としては、第一級、第二級芳香族アミンのような単なるアリールアミンのほかにいわゆるロイコ色素も含まれ、これらの例としては次のようなものが挙げられる。
【0143】
ジフェニルアミン、ジベンジルアニリン、トリフェニルアミン、ジエチルアニリン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、p−トルイジン、4,4′−ビフェニルジアミン、o−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、o−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、ナフチルアミン、ジアミノジフェニルメタン、アニリン、2,5−ジクロロアニリン、N−メチルジフェニルアミン、o−トルイジン、p,p′−テトラメチルジアミノジフェニルメタン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、1,2−ジアニリノエチレン、p,p′,p″ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、p,p′−テトラメチルジアミノトリフェニルメタン、p,p′−テトラメチルジアミノジフェニルメチルイミン、p,p′,p″−トリアミノ−o−メチルトリフェニルメタン、p,p′,p″−トリアミノトリフェニルカルビノール、p,p′−テトラメチルアミノジフェニル−4−アニリノナフチルメタン、p,p′,p″−トリアミノフェニルメタン、p,p′,p″−ヘキサプロピルトリアミノトリフェニルメタン等。
【0144】
上記の他に、感熱層に用いる素材として含有される樹脂がクレゾール樹脂など感熱紙、感圧紙等で知られている顕色剤に相当する親油性の樹脂の場合は、トリフェニルメタンラクトン型などのロイコ色素を用いることができる。このようなロイコ色素としては、例えば、クリスタルバイオレットラクトン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノフルオラン、マラカイトグリーンラクトン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルドール−3−イル)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどが挙げられ、また、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタンも好ましく用いることができる。
【0145】
本発明の酸又はラジカルによって変色する化合物は、公知の方法にて合成することができ、また、市販のものを使用することもできる。
【0146】
また、本発明の酸又はラジカルによって変色する化合物は、公知の方法で水に分散することができ、該分散液を用いて本発明の感熱層に含有させることができる。また、熱溶融性微粒子中に含有させるには、当該微粒子を形成する素材中に溶解してから、これを分散機を用いて水に分散して、感熱層に用いることができる。
【0147】
当該化合物の添加量は、感熱層中に0.1〜10質量%で用いることが好ましく、より好ましくは0.5〜7質量%で使用できる。この範囲内で使用することで、膜物性を劣化することなく、良好な焼き出し画像を得ることができる。
【0148】
(露光/画像形成)
本発明の感熱平版印刷版材料は、サーマルヘッドまたはサーマルレーザーを用いて画像を形成した後に、感熱層の非画像部を印刷機上で除去する工程を含む印刷方法を用いることが好ましい。
【0149】
上記画像を形成する方法は、熱により行うことができるため、感熱プリンタで用いられるようなサーマルヘッドや、特にサーマルレーザーによる露光によって画像形成を行うことが好ましい。
【0150】
当該露光は、より具体的には、赤外および/または近赤外領域で発光する、すなわち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
【0151】
本発明の走査露光に好適な装置としては、該半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて感熱性平版印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
【0152】
一般的には、
(1)平板状保持機構に保持された感熱性平版印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って感熱性平版印刷版材料全面を露光する方式、
(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された感熱性平版印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて感熱性平版印刷版材料全面を露光する方式、
(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された感熱性平版印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて感熱性平版印刷版材料全面を露光する方式があげられる。
【0153】
本発明においては、特に、印刷装置上で露光を行う装置において上記(3)の露光方式を用いることが好ましい。
【0154】
このようにして画像形成がなされた印刷版は、現像処理を行うことなく印刷を行うことができる。すなわち、画像形成後の印刷版をそのまま印刷機の版胴に取り付けるか、あるいは印刷版を印刷機の版胴に取り付けた後に画像形成を行い、版胴を回転させながら水供給ローラーおよび/またはインク供給ローラーを印刷版材料に接触させることで画像形成層の非画像部を除去することが可能である。
【0155】
上記印刷版の非画像部の除去工程は、いわゆるPS版を使用した通常の印刷シークエンスで行うことができ、機上現像処理による作業時間の延長の必要がないためコストダウンにも有効である。
【0156】
【実施例】
《基板の作製》
(アルミニウム支持体の調整)
厚さ0.24mmのアルミ板(AA1050)を、水酸化ナトリウム水溶液を用いて脱脂した。アルミの溶解量は2g/m2であった。純水で十分に洗浄した後に、70℃の1質量%リン酸水素二ナトリウム水溶液に30秒間浸漬した。次いで、純水で十分に洗浄した後に乾燥して基板を作製した。
【0157】
《感熱平版印刷版材料の作製》
(酸発生剤含有ワックスエマルジョン1〜5及び比較の酸発生剤含有ワックスエマルジョンの調整)
下記する本発明のハロメチル化合物(酸発生剤)1〜5及び比較化合物2を用意し、それぞれ酸発生剤または比較化合物の5gとカルナバワックス1号95gを90℃に加熱溶融した液に、90℃に加熱した10%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA117)を500g添加し、90℃に加熱しながら、マイクロビーズとともにホモジナイザーにて10時間撹拌混合したのち、マイクロビーズを除去して、粒径0.3μmの酸発生剤含有カルナバワックスエマルジョン1〜5及び比較の酸発生剤含有ワックスエマルジョンを得た。
【0158】
(酸発生剤分散液1〜5及び比較の酸発生剤分散液の調整)
酸発生剤1〜5及び比較化合物1について、それぞれ酸発生剤または比較化合物の5gとポリビニルアルコール10%水溶液を10g、エタノール0.32g、純水8gをマイクロビーズを用いて、ホモジナイザーで45分間撹拌混合したのち、マイクロビーズを除去し、水で希釈して酸発生剤濃度が5%になるように分散液の調整を行い、酸発生剤分散液1〜5及び比較の酸発生剤分散液を得た。
【0159】
(感熱層の塗布)
下記表2に示す様に、下記感熱層塗布液1〜3及び比較感熱層塗布液1を、それぞれ十分に混合攪拌した後、それぞれ表面処理した上記アルミニウム支持体の上にワイヤーバーで乾燥付量が1.0g/m2になるように塗布し、55℃1分で乾燥し、感熱平版印刷版材料(実施例1〜7及び比較例1、2)を作製した。なお、以下において単位記載のない数値は質量部を示す。
【0160】
【0161】
【化22】
【0162】
【化23】
【0163】
《比較の感熱平版印刷版材料の作製》
比較の感熱平版印刷版材料1(比較例1)を上記感熱平版印刷版材料(実施例1)と同様にして作製した。但し、感熱層塗布液を以下の比較感熱層塗布液1を使用した。
【0164】
〈比較感熱層塗布液1〉
トレハロースの10%水溶液 1.6質量部
A118 17.5質量部
赤外線吸収色素1 10.4質量部
BOHの1%水溶液 4.0質量部
酸発生剤分散液(比較化合物1を含有) 0.4質量部
純水 72.2質量部
【0165】
【化24】
【0166】
また、比較の感熱平版印刷版材料2(比較例2)を上記感熱平版印刷版材料(実施例4)と同様にして作製した。但し、感熱層塗布液2の酸発生剤含有ワックスエマルジョンの酸発生剤は以下の比較化合物2を使用した。
【0167】
これら感熱平版印刷版材料について下記する様に画像形成し評価をした。結果を表2に示す。
【0168】
【化25】
【0169】
【表2】
【0170】
また、以下の様に、実施例8、9及び比較例3に係る感熱平版印刷版材料を作製した。
【0171】
《支持体の作製》:ポリエステルフィルムの作製
(ポリエチレンテレフタレート;PET1)
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従いIV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPETを得た。
【0172】
これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出し、50℃の冷却ドラム上で急冷し熱固定後の平均膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。これを、延伸温度は前段延伸が102℃で1.3倍に、後段延伸は110℃で2.6倍に縦延伸した。ついでテンターで120℃で4.5倍に横延伸した。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後テンターのチャック部をスリットした後、両端にナーリング加工を行い、40℃に冷却後48N/mで巻き取った。このようにして得たPETフィルムの幅(製膜幅)は2.5mであった。得られたフィルムの厚み分布を測定したところ3.5%であった。これをPET1とする。
【0173】
《下引き済み支持体1作製》
上記で得られたPET1のフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで一方の面に下記下引き塗布液a−2を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後に下記下引き塗布液bを塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。また反対側の面に下記導電層と中間層を順次塗布し180℃、4分間で乾燥させ、この層の上に下記下引き塗布液c−2を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し、それぞれ180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。
【0174】
塗布後の25℃、25%RHでの表面電気抵抗は109Ωであった。ついで、各々の下引き層表面に下記プラズマ処理条件でプラズマ処理を施し、下引き済み支持体1を各々作製した。
【0175】
《下引き塗布液a−2》
PVdC(ポリ塩化ビニリデン)ポリマーラテックス
コア部90質量%、シェル部10質量%のコアシェルタイプのラテックス
コア部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=93/3/3/0.9/0.1(質量%)
シェル部:塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=88/3/3/3/3(質量%)
(重量平均分子量38000) 3000質量部
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 23質量部
マット剤(ポリスチレン、平均粒径2.4μm) 1.5質量部
下記染料A 1.0質量部
【0176】
【化26】
【0177】
【0178】
1.25m幅にスリットした後の支持体に対し、張力0.08N/mm2で180℃、30秒間、低張力熱処理を実施した。
【0179】
《下引き済み支持体1への親水性層1と親水性層2の塗設》
親水性層を塗設する直前に、下引き済み支持体1に対し、130℃で30秒間熱処理を加えて乾燥させ、防湿シートでカバーをして空気中の湿度が入らないようにした。支持体試料の一部をサンプリングして含水率測定をしたところ0.2%であった。カバーをしたものについてはシートを除去後、すぐに塗布を行った。
【0180】
表3に示す素材を用いて親水性層1用塗布液(調製方法は下記に示す)を、また、表4に示す素材を用いて親水性層2用塗布液(調製方法は下記に示す)を、下引き済み支持体1の各々のA面上に、親水性層1、親水性層2の順番でワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で3分間乾燥して、2層の親水性層まで塗布済みの試料を作製した。親水性層2まで塗布した段階で、60℃で24時間のシーズニング処理を施した。
【0181】
《親水性層1用塗布液の調製》
表3に記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に撹拌混合した後、表3に記載の組成で混合、濾過して親水性層1用塗布液を調製した。
【0182】
《親水性層2用塗布液の調製》
表4に記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に撹拌混合した後、表4に記載の組成で混合、濾過して親水性層2用塗布液を調製した。
【0183】
なお、表3、4中の数値は質量部を表す。
【0184】
【表3】
【0185】
【表4】
【0186】
上記で作製した、下引き済み支持体1(親水性層1、親水性層2を各々塗設済み)に対して、下記に記載の感熱層塗布液(表5に記載)を、下記表6の様に、それぞれ、ワイヤーバーを用いて乾燥付量が0.6g/m2となるように塗布し、50℃で3分間乾燥して実施例8、9及び比較例3に係る感熱平版印刷版材料を作製した。
【0187】
なお、上記各印刷版材料は、感熱層塗布液を塗布した後、50℃で24時間のシーズニング処理を施し、その後、20℃、20%RHで24時間調湿した。
【0188】
また、これら感熱平版印刷版材料についても下記の如く画像形成及び評価をした。結果を表6に示す。
【0189】
〈感熱層塗布液〉
【0190】
【表5】
【0191】
【表6】
【0192】
《画像形成及び評価》
画像形成は赤外線レーザー露光で行った。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、レーザービームの焦点を感熱性平版印刷版材料表面に合わせて、露光エネルギーを300mj/cm2とした条件で、2400dpi(2.54cm当たりのドット数)、175線で画像を形成した。評価用の画像として、ベタ画像と1〜99%の網点画像を用いた。
【0193】
(露光可視画性)
露光した印刷版サンプルの露光部分と非画像部分の判別を、以下の基準にて目視評価を行った。
【0194】
○:露光部と未露光部の区別は良好
△:露光部分がやや変色しているため区別がつく
×:露光部分と未露光部分の区別がまったくない(変色しない)
(耐光性)
露光した印刷版サンプルをUVカットを施していない昼光色の蛍光灯下(照度:400lux)に1時間照射し、以下の基準にて目視評価を行った。
【0195】
○:照射後、非画像部分の変色がほとんどない
×:照射後、非画像部分が変色し、画像部と非画像部の区別がつかない
(印刷および評価)
印刷機として、三菱重工業(株)製DAIYA1F−1の版胴に上記露光した印刷版を取り付け、コート紙、湿し水(アストロマーク3(日研化学研究所製))2質量%、インク(東洋インク社製トーヨーキングハイエコーM紅)を使用して印刷を行った。印刷開始のシークエンスはPS版の印刷シークエンスで行い、特別な機上現像操作は行わなかった。
【0196】
また、印刷後に版面を観察したところ、実施例1〜9に係る印刷版での非画像部はきれいに除去されていた。また、コート紙での耐刷性について評価したところ、比較例のものは5000枚以下であったのに対し、実施例1〜7に係る印刷版では20000枚以上、実施例8、9では15000枚であり、インキ汚染性もほとんどなく、印刷性能も良好であることを確認した。
【0197】
【発明の効果】
Claims (5)
- 基板上に、親水性表面を有する熱溶融性微粒子を含有する感熱層を有する感熱性平版印刷版材料であって、感熱層中に、熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物及び発生した酸又はラジカルによって変色する化合物を含有することを特徴とする感熱性平版印刷版材料。
- 前記熱溶融性微粒子中に、熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物及び発生した酸又はラジカルによって変色する化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の感熱性平版印刷版材料。
- 前記熱によって酸又はラジカルを発生するハロメチル化合物が、下記一般式(1)または(2)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱性平版印刷版材料。
- 前記感熱層中に光熱変換剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱性平版印刷版材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱性平版印刷版材料に、サーマルヘッドもしくはサーマルレーザーを用いて画像を形成し、画像形成された感熱層の非画像部を印刷機上で除去することを特徴とする感熱性平版印刷版材料の印刷方法。
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JP2005306000A (ja) * | 2004-01-23 | 2005-11-04 | Fuji Photo Film Co Ltd | 平版印刷版原版及び平版印刷方法 |
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CN112268936A (zh) * | 2020-10-15 | 2021-01-26 | 苏州大学 | 可用于低浓度二氧化氮的克酮酸菁聚合物传感器及其制备方法 |
-
2002
- 2002-12-18 JP JP2002366439A patent/JP2004195778A/ja active Pending
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