JP2004192973A - 燃料電池システム及び燃料電池運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池2に流入してくる流入気体と、燃料電池2から流出する排出気体の温度・湿度・流量を測定して、燃料電池2に対する水分量の収支を算出し、燃料電池2が供給する電力から算出した生成水分量との比較を行って、燃料電池2に流入気体を供給するポンプ3の流量制御を行い、燃料電池2内部に残留している水分量を高分子電解質層に好適な水準内に制御する。水分量の収支と生成水分量を積算して流量制御をする場合には、定期的に高分子電解質層の湿潤状態を測定して、積算による誤差の蓄積を解消する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システム及び燃料電池運転方法に関し、特に空気の供給と排気を制御するための燃料電池システム及び運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、燃料気体を供給することで発電体に電力を発生させる手段であり、自動車などの車両に搭載して電気自動車やハイブリット式車両としての応用が大きく期待されている他、その軽量化や小型化が容易となる構造から、現状の乾電池や充電式電池の如き用途に限らず、例えば携帯可能な機器への応用が研究や開発の段階にある。燃料電池では、水素を燃料とする場合、負極である水素側電極(アノード)では触媒と高分子電解質の接触界面において、H2→2H++2e−の如き反応が生ずる。酸素を酸化剤とした場合、正極である酸素側電極(カソード)では同様に1/2O2+2H++2e−=H2Oの如き反応が起こり水が生成される。
【0003】
このような燃料電池では、化学反応に伴うプロトンの伝導を高分子電解質層が行うため、効率の良い発電反応を継続して行うためには高分子電解質層の湿潤状態や温度状態を管理する必要がある。高分子電解質層の湿潤状態を保つために、加湿手段を用いて燃料電池に供給される燃料気体の湿度を制御する方法が採られる場合もあるが、燃料電池装置全体の小型化を図る上では加湿器は無いほうが望ましい。
【0004】
加湿器を設けずに燃料電池の高分子電解質層の湿潤状態を保持する技術として、燃料電池から発生する電流に基づいて燃料電池が生成する生成水量を算出し、アノード側とカソード側の排気部における排気ガスを合計した流量・圧力・温度を測定して排気ガス中の飽和水蒸気量を算出し、算出した生成水量と飽和水蒸気量との比率が1:1になるように燃料電池の運転を制御するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
上記特許文献1に記載された燃料電池システム及び燃料電池運転方法では、燃料電池の発電反応によって発生した生成水と、排気側での排気ガス中に含まれる水分量とを等しくするように燃料電池の運転を制御する。このため、燃料電池の発電反応によって発生した生成水の量が大きい場合には、燃料電池に流入してくる気体内に含まれている水分量が小さいので、生成水量と排ガス中に含まれる水分量とが等しいと考えても問題ない。
【0006】
しかしながら、携帯可能な機器に用いられるような小型化された燃料電池においては、燃料電池によって発電される電気量が小さく、生成される水分量に対して燃料電池に流入してくる空気に含まれる水分量が無視できないために、特許文献1に記載された燃料電池システムや燃料電池運転方法では、高分子電解質層の湿潤状態を保持する制御を実現することが困難である。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−226988号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本願発明は、小型化された燃料電池においても燃料電池内部に存在する水分量を正確に把握し、高分子電解質層の湿潤状態を望ましい状態に制御することが可能な燃料電池システム及び燃料電池運転方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本願発明の燃料電池システムは、空気中の酸素と燃料気体とを反応させて発電を行う燃料電池とを有する燃料電池システムであって、前記燃料電池に流入する流入気体に含まれる水分量である吸気水分量と、前記燃料電池から排出される排出気体に含まれる水分量である排気水分量と、前記燃料電池の発電に伴って生成される水分量である生成水分量とを算出し、前記吸気水分量と前記生成水分量との和が前記排気水分量と等しくなるように前記流入気体の流量を制御することを特徴とする。
【0010】
吸気水分量と生成水分量との和が排気水分量と等しくなるように燃料電池に流入する空気の流量を制御することにより、燃料電池で単位時間当たりに生成される水分量が少なく、空気中に含まれる水分量を無視できない状況においても、燃料電池内部の水分量が一定に保たれ、高分子電解質層の湿潤状態を発電に適したものとすることができる。また、燃料電池内部に残留する水分量を一定に保つことができるため、燃料電池内部で流路が水滴によって閉塞される不具合を低減することができる。
【0011】
また、吸気水分量と排気水分量と生成水分量とを、時間経過に応じて積算して算出し、一定期間経過する毎に、積算して算出された吸気水分量と排気水分量とを初期化し、燃料電池に含まれている初期水分量を測定して、所定の水分量と初期水分量との差を前記生成水分量と設定する。これにより、定期的に高分子電解質層の湿潤状態を計測して、積算された生成水分量と排出水分量の初期値を設定しなおすため、繰り返して制御ルーチンを実行するうちに積算された生成水分量排出水分量に誤差が蓄積されていったとしても、実測した高分子電解質層の湿潤状態を制御ルーチン内で反映させて、誤差の蓄積を解消して精密な制御を行うことができる。
【0012】
また、上記課題を解決するために本願発明の燃料電池システムは、空気中の酸素と燃料気体とを反応させて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池から供給される電流によって駆動される負荷を有する燃料電池システムであって、前記燃料電池に流入気体を供給する空気供給手段と、前記燃料電池に流入する前記流入気体の温度である吸気温度、前記流入気体の湿度である吸気湿度、および前記流入気体の流量である吸気流量を測定する吸気側計測手段と、前記燃料電池から排出される排出気体の温度である排気温度、前記排出気体の湿度である排気湿度、および前記排出気体の流量である排気流量を測定する排気側計測手段と、前記負荷に流れる電流値を計測する電流計と、前記吸気温度、前記吸気湿度および前記吸気流量から前記燃料電池に流入する水分量である吸気水分量を算出し、前記排気温度、前記排気湿度および前記排気流量から前記燃料電池から排出される水分量である排気水分量を算出し、前記電流値から前記燃料電池によって生成される水分量である生成水分量を算出し、前記吸気水分量と前記生成水分量との和が前記排気水分量と等しくなるように、前記空気供給手段が前記燃料電池に対して供給する前記流入気体の流量を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0013】
吸気側計測手段と排気側計測手段と電流計とを用いて、吸気温度・吸気湿度・吸気流量・排気温度・排気湿度・排気流量・電流値を測定し、制御装置で吸気水分量と排気水分量と生成水分量とを算出し、吸気水分量と生成水分量との和が排気水分量と等しくなるように燃料電池に流入する空気の流量をフィードバック制御することにより、燃料電池で単位時間当たりに生成される水分量が少なく、空気中に含まれる水分量を無視できない状況においても、燃料電池内部の水分量が一定に保たれ、高分子電解質層の湿潤状態を発電に適したものとすることができる。また、燃料電池内部に残留する水分量を一定に保つことができるため、燃料電池内部で流路が水滴によって閉塞される不具合を低減することができる。
【0014】
また、上記課題を解決するために本願発明の燃料電池運転方法は、空気中の酸素と燃料気体とを反応させて発電を行う燃料電池の運転方法であって、前記燃料電池に流入する流入気体に含まれる水分量である吸気水分量と、前記燃料電池から排出される排出気体に含まれる水分量である排気水分量と、前記燃料電池の発電に伴って生成される水分量である生成水分量とを算出し、前記吸気水分量と前記生成水分量との和が前記排気水分量と等しくなるように前記流入気体の流量を制御することを特徴とする。
【0015】
吸気水分量と生成水分量との和が排気水分量と等しくなるように燃料電池に流入する空気の流量をフィードバック制御することにより、燃料電池で単位時間当たりに生成される水分量が少なく、空気中に含まれる水分量を無視できない状況においても、燃料電池内部の水分量が一定に保たれ、高分子電解質層の湿潤状態を発電に適したものとすることができる。また、燃料電池内部に残留する水分量を一定に保つことができるため、燃料電池内部で流路が水滴によって閉塞される不具合を低減することができる。
【0016】
またフィードバック制御に、PI制御またはPID制御を、初期水分量の測定に電流遮断法を用いることで、効率よくフィードバック制御と初期水分量の測定を行うことが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[第一の実施の形態]
以下、本願発明を適用した燃料電池システム及び燃料電池運転方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本願発明は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0018】
図1は、本願発明における実施の形態としての燃料電池システムの構成を示す概略構成図である。燃料電池システム1は発電を行う燃料電池2と、燃料電池2に流入気体である空気を供給する空気供給手段としてのポンプ3と、燃料電池2に水素等の燃料を供給する水素供給手段としての水素タンク4と、ポンプ3の空気流量を制御する制御手段5と、燃料電池2からの電力により駆動する負荷6とを備えている。
【0019】
また、ポンプ3から燃料電池2に対して流入する空気についての情報を計測する吸気側計測手段7として、空気の流量を測定する吸気側流量計7aと、空気の温度を測定する吸気側温度計7bと、空気の相対湿度を測定する吸気側湿度計7cとを備えている。また、燃料電池2から外部に流出していく排出気体としての空気についての情報を計測する排気側計測手段8として、空気の流量を測定する排気側流量計8aと、空気の温度を測定する排気側温度計8bと、空気の相対湿度を測定する排気側湿度計8cとを備えている。また、燃料電池2が負荷6に対して供給する電流を測定する電流計9を備えている。
【0020】
ここでは、吸気側計測手段7と排気側計測手段8のそれぞれに、吸気側流量計7aと排気側流量計8aとを設けた例を示したが、燃料電池2に流入する流入気体の流量と燃料電池2から流出する排出気体との流量が実質的に同一とみなせる状況下では、どちらか一方に流量計を設けてその測定値を吸気側計測手段7と排気側計測手段8の双方に適用して、吸気側流量計7aと排気側流量計8aの二つの測定であるとしても良い。
【0021】
吸気側計測手段7は、流入気体である空気の温度、湿度および流量を測定して、測定結果を増幅器10を介して制御手段5に伝達する。排気側計測手段8は、排出気体である空気の温度、湿度および流量を測定して、測定結果を増幅器11を介して制御手段5に伝達する。電流計9は、測定した電流値を増幅器12を介して制御手段5に伝達する。
【0022】
燃料電池2は、高分子電解質層とこれを挟む水素側電極と酸素側電極が発電体となり、その各電極側に起電力を取り出すための集電体が形成される。このような燃料電池2の構造例と発電の様子を図2に示す。高分子電解質層21は水素側電極22と酸素側電極23に挟持され、解離したプロトン(H+)は図面矢印方向に沿って水素側電極22から酸素側電極23に向かって高分子電解質層21の膜中を移動する。水素側電極22と高分子電解質層21の間には、触媒層22aが形成され、酸素側電極23と高分子電解質層21の間には、触媒層23aが形成される。使用時には、水素側電極22では導入口24から水素ガス(H2)が燃料気体として供給され、排出口25から水素が排出される。燃料気体である水素ガス(H2)が気体流路26を通過する間にプロトンを発生し、このプロトンは酸素側電極23に移動する。この移動したプロトンは、導入口27から気体流路28に供給されて排出口29に向かう酸素(空気)と反応して、これにより所望の起電力が取り出される。ここでは、単層構造の燃料電池2を示したが、同様の構造を複数積層して構成されるとしても良い。
【0023】
ポンプ3は、発電のために必要な酸素を含んだ空気を燃料電池2の気体流路28に対して送出するための手段であり、他の手段としては送風ファンなどを用いても良い。また、制御手段5からの制御信号に基づいて電流制御などにより空気の送出量を制御することが可能な手段である。図1では、ポンプ3を燃料電池2の空気取入れ側である導入口27に設けた例を示したが、燃料電池2の空気排出側である排出口29に排気用ファンなどを設けて燃料電池2からの排気を行うことで導入口27から空気が流入し、実質的に空気を燃料電池2に対して供給する構成としても良い。
【0024】
水素タンク4は、発電のために必要な燃料である水素等を燃料電池2の気体流路26に対して送出するための手段であり、他の手段としては水素が充填された水素吸蔵合金などを用いても良い。
【0025】
制御手段5は、情報処理を行うCPU51と、情報を記憶するための記憶手段としてのメモリ52と、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータ53(analog to digital converter)とを備える情報処理手段である。ADコンバータ53は、吸気側計測手段7である吸気側流量計7aと吸気側温度計7bと吸気側湿度計7c、排気側計測手段8である排気側流量計8aと排気側温度計8bと排気側湿度計8c、および電流計9が測定した情報をデジタル信号に変換し、メモリ52に記録されているプログラムに基づいてCPU51がデジタル信号の情報処理を行い、制御信号を算出する。得られた制御信号を増幅器13を介してポンプ3に対して送出して、ポンプ3が燃料電池2に送出する空気の流量を制御する。
【0026】
負荷6は、燃料電池2から生じる電力によって駆動する回路であり、本願発明の燃料電池システム1が搭載される電子機器を指す。また、燃料電池2が供給する電流により駆動する回路群全体を負荷6とするため、前述した本願発明の燃料電池システムの各要素を燃料電池2からの電力によって駆動する場合には、ポンプ3、水素タンク4、制御手段5、吸気側計測手段7、排気側計測手段8も負荷6の一部として考える。
【0027】
次に、本実施の形態の燃料電池運転方法として、ポンプ3が燃料電池2に供給する空気の流量を制御する方法について詳細に説明する。図3は上述した本願発明の燃料電池システム1での制御手段5によって実行されるポンプ3の制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。なお、制御ルーチンは制御手段5のCPU51が実行可能な形式でメモリ52に記録されていて、随時CPU51が呼び出して実行するものとしてもよく、CPU51自体が制御ルーチンを実行するために設計されたDSP(digital signal processor)であるとしてもよい。
【0028】
ステップ1はポンプ3を制御する制御信号を生成するための制御ルーチンの開始であり、制御手段5のCPU51により実行され、自動的にステップ2に移行する。
【0029】
ステップ2は計測ステップであり、燃料電池2に流入してくる空気に関して、吸気側計測手段7である吸気側流量計7aが吸気流量Vin[m3/s]を測定し、吸気側温度計7bが吸気温度Tin[℃]を測定し、吸気側湿度計7cが吸気湿度Rhin[%]を測定する。また、燃料電池2から流出してくる空気に関して、排気側計測手段8である排気側流量計8aが排気流量Vout[m3/s]を測定し、排気側温度計8bが排気温度Tout[℃]を測定し、排気側湿度計8cが排気湿度Rhout[%]を測定する。また、電流計9が負荷6に流れる出力電流Ioutを測定する。制御手段5のADコンバータ53は、計測結果をCPU51で処理可能なデジタル信号のデータに変換し、メモリ52に記録する。計測結果が記録された後、制御ルーチンはステップ3に移行する。
【0030】
ステップ3は飽和水蒸気圧を求めるステップであり、CPU51はTentensの式として知られる近似式である式1に基づいて、式1中のTに吸気温度Tinを代入して吸気飽和水蒸気圧Psat,inを算出し、式1中のTに排気温度Toutを代入して排気飽和水蒸気圧Psat,outを算出し、計算結果をメモリ52に記録する。計算結果が記録された後、制御ルーチンはステップ4に移行する。
【式1】
【0031】
ステップ4は水蒸気圧を求めるステップであり、CPU51はメモリ52に記録されているデータを用いて式2に示す飽和水蒸気圧と相対湿度との乗算を行う。具体的には、Psatに吸気飽和水蒸気圧Psat,inを代入し、Rhに吸気湿度Rhinを代入して吸気水蒸気圧Ps,inを算出し、Psatに排気飽和水蒸気圧Psat,outを代入し、Rhに排気湿度Rhoutを代入して排気水蒸気圧Ps,outを算出し、計算結果をメモリ52に記録する。計算結果が記録された後、制御ルーチンはステップ5に移行する。
【式2】
【0032】
ステップ5は空気中に水蒸気の形態で混入している水分量である絶対湿度を求めるステップである。CPU51はメモリ52に記録されているデータを用いて、水の分子量と気体の状態方程式から得られる式3に示す計算を行う。具体的には、Psに吸気水蒸気圧Ps,inを代入し、Tに吸気温度Tinを代入して吸気絶対湿度Hin[g/m3]を算出し、Psに排気水蒸気圧Ps,outを代入し、Tに排気温度Toutを代入して排気絶対湿度Hout[g/m3]を算出し、計算結果をメモリ52に記録する。計算結果が記録された後、制御ルーチンはステップ6に移行する。
【式3】
【0033】
ステップ6は空気の供給・排出に伴って単位時間当たりに水蒸気の形態で燃料電池2外部に持ち出される水分量である排出水分量を求めるステップである。CPU51はメモリ52に記録されている排気絶対湿度Hout、吸気絶対湿度Hin、排気流量Vout、吸気流量Vinを用いて式4に示す計算を行って排出水分量Wo[g/s]を算出し、計算結果をメモリ52に記録する。Hin×Vinによって燃料電池2内部に流入する空気に含まれている吸気水分量が計算され、Hout×Voutによって燃料電池2内部から排出される空気に含まれている排気水分量が計算され、その差を求めることで排出水分量Woが求められる。吸気水分量と排気水分量と排出水分量の計算結果が記録された後、制御ルーチンはステップ7に移行する。
【式4】
【0034】
ステップ7は燃料電池の電極反応に伴い生成される単位時間あたりの水分量である生成水分量を求めるステップである。CPU51はファラデー定数をF、水の分子量を18、燃料電池2のセル数をnとして、出力電流Ioutを用いて式5に示す計算を行って生成水分量Wg[g/s]を算出し、計算結果をメモリ52に記録する。積算結果が記録された後、制御ルーチンはステップ8に移行する。
【式5】
【0035】
ステップ8はポンプ3を制御し駆動する制御信号を算出するステップである。CPU51は、ステップ2乃至ステップ7から算出した単位時間当たりの排出水分量Woと生成水分量Wgとを比較し、生成水分量Wgと排出水分量Woが等しくなる方向にポンプ3が供給する空気量を制御する制御信号を生成する。
【0036】
具体的には、生成水分量Wgが排出水分量Woよりも大きい場合には、燃料電池2内部に留まっている水分を外部に排出する方向に運転する制御信号をポンプ3に送出して、ポンプ3が燃料電池2に供給する空気量を多くする。逆に、生成水分量Wgが排出水分量Woよりも小さい場合には、燃料電池2内部から外部に排出される水分量を減少させる方向に運転する制御信号をポンプ3に送出して、ポンプ3が燃料電池2に供給する空気量を少なくする。
【0037】
換言すると、燃料電池2に流入する空気に含まれる水分量である吸気水分量と、燃料電池2の発電に伴って生成される水分量である生成水分量の和が、燃料電池2から排出される空気に含まれる水分量である排気水分量と等しくなる方向に、ポンプ3が燃料電池2に供給する空気量を制御する。ポンプ3に対する制御信号が更新されるまで、ポンプ3はステップ8で計算した送出量となる制御信号による駆動が継続される。
【0038】
ポンプ3が燃料電池2に供給する空気量の制御をフィードバック制御とするため、ステップ8で生成水分量Wgと排出水分量Woが等しくなる方向にポンプ3を制御した後に、再び制御ルーチンがステップ2から実行される。燃料電池2に流入する空気量の制御に際しては、メモリ52に経時的に記録されている生成水分量Wgおよび排出水分量Woのデータに基づいて、排出水分量Woの値を生成水分量Wgと等しくなるように、PI(Proportinal Integral)制御やPID(Proportinal Integral Differential)制御等を動作特性に応じて用いる。
【0039】
上述した様に、本実施の形態における燃料電池運転方法では、ポンプ3が燃料電池2に対して供給する空気と、燃料電池2から外部に排出される空気の双方における温度、湿度、流量を測定し、燃料電池2内部に流入する空気に含まれている水分量と、燃料電池2内部から排出される空気に含まれている水分量とを求めて、単位時間当たりの排出水分量Woを求める。また、燃料電池2が供給する出力電流Ioutを測定することで、燃料電池2の電極反応に伴い生成される単位時間当たりの生成水分量Wgを求める。
【0040】
排出水分量Woと生成水分量Wgとを等しくするようにポンプ3の駆動をフィードバック制御することにより、燃料電池2燃料電池2内部の水分量が一定に保たれ、高分子電解質層21の湿潤状態を発電に適したものとすることができる。また、燃料電池2内部に残留する水分量を一定に保つことができるため、燃料電池2内部で流路が水滴によって閉塞される不具合を低減することができる。
【0041】
燃料電池2に流入してくる空気に含まれる水分量も考慮した空気の供給量に制御することで、燃料電池2で単位時間当たりに生成される水分量が少なく、空気中に含まれる水分量を無視できない状況においても、精度良く燃料電池2内部に残留する水分量を調整して、高分子電解質層21の湿潤状態を発電に適したものとすることができる。また、ポンプ3から燃料電池2に対して送出される空気の流量を制御するだけで、燃料電池2内部に残留する水分量を調整することができるため、加湿手段や乾燥手段を別途設ける必要が無く、燃料電池システムの小型軽量化を図ることができる。
【0042】
上述した説明では、ステップ3乃至ステップ7において制御手段5のCPU51が式1乃至式5の演算を行うとしたが、各ステップで式に入力される値と演算結果について、複数の入力値による演算結果を予め算出して配列データとして記憶手段52に記録しておき、配列データを参照することで演算結果を得るとしてもよい。これにより、CPU51の処理速度が遅い場合には、配列データの参照により演算結果を得るほうが制御手段5の制御動作を高速化することが可能となる。
【0043】
[第二の実施の形態]
次に本願発明の他の実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施の形態の燃料電池システムの構成は、第一の実施の形態において図1及び図2を用いて説明したものと同様であるため、重複を避けるために説明を省略する。本実施の形態が第一の実施の形態と異なる点は、燃料電池駆動方法でのフィードバック制御に関する部分であり、排出水分量Woと生成水分量Wgとを積算して空気の流量制御を行うという点である。
【0044】
図4は、本実施の形態の燃料電池運転方法であるポンプ3が燃料電池2に供給する空気の流量を制御する方法について説明する制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。なお、制御ルーチンは制御手段5のCPU51が実行可能な形式でメモリ52に記録されていて、随時CPU51が呼び出して実行するものとしてもよく、CPU51自体が制御ルーチンを実行するために設計されたDSP(digital signal processor)であるとしてもよい。
【0045】
ステップ11はポンプ3を制御する制御信号を生成するための制御ルーチンの開始であり、制御手段5のCPU51により実行され、自動的にステップ12に移行する。
【0046】
ステップ12は初期化ステップであり、以前に制御ルーチンが実行された際にメモリ52に記録されているデータを初期化する。このステップでは、電流遮断法を用いて高分子電解質層21の湿潤状態を計測して、燃料電池2内部に存在する水分量である初期水分量を算出し、高分子電解質層21にとって好適な湿潤状態となる水分量と初期水分量との差を、積算された生成水分量ΣWgの初期値に設定してメモリ52に記録する。また、以前の制御ルーチン実行時にメモリ52に記録されている積算された排出水分量ΣWoをゼロに設定し、積算されている吸気水分量と排気水分量を初期値に設定してメモリ52に記録する。積算された生成水分量ΣWgと吸気水分量と排気水分量と積算された排出水分量ΣWoの初期値がメモリ52に記録された後、制御ルーチンはステップ13に移行する。この初期化ステップは、後述するように一定期間が経過する毎に実行されるため、定期的に積算された生成水分量ΣWgと吸気水分量と排気水分量と積算された排出水分量ΣWoの初期化が実行されることになる。
【0047】
ステップ13は計測ステップであり、燃料電池2に流入してくる空気に関して、吸気側計測手段7である吸気側流量計7aが吸気流量Vin[m3/s]を測定し、吸気側温度計7bが吸気温度Tin[℃]を測定し、吸気側湿度計7cが吸気湿度Rhin[%]を測定する。また、燃料電池2から流出してくる空気に関して、排気側計測手段8である排気側流量計8aが排気流量Vout[m3/s]を測定し、排気側温度計8bが排気温度Tout[℃]を測定し、排気側湿度計8cが排気湿度Rhout[%]を測定する。また、電流計9が負荷6に流れる出力電流Ioutを測定する。制御手段5のADコンバータ53は、計測結果をCPU51で処理可能なデジタル信号のデータに変換し、メモリ52に記録する。計測結果が記録された後、制御ルーチンはステップ14に移行する。
【0048】
ステップ14は飽和水蒸気圧を求めるステップであり、CPU51はTentensの式として知られる近似式である式1に基づいて、式1中のTに吸気温度Tinを代入して吸気飽和水蒸気圧Psat,inを算出し、式1中のTに排気温度Toutを代入して排気飽和水蒸気圧Psat,outを算出し、計算結果をメモリ52に記録する。計算結果が記録された後、制御ルーチンはステップ15に移行する。
【0049】
ステップ15は水蒸気圧を求めるステップであり、CPU51はメモリ52に記録されているデータを用いて式2に示した飽和水蒸気圧と相対湿度との乗算を行う。具体的には、Psatに吸気飽和水蒸気圧Psat,inを代入し、Rhに吸気湿度Rhinを代入して吸気水蒸気圧Ps,inを算出し、Psatに排気飽和水蒸気圧Psat,outを代入し、Rhに排気湿度Rhoutを代入して排気水蒸気圧Ps,outを算出し、計算結果をメモリ52に記録する。計算結果が記録された後、制御ルーチンはステップ16に移行する。
【0050】
ステップ16は空気中に水蒸気の形態で混入している水分量である絶対湿度を求めるステップである。CPU51はメモリ52に記録されているデータを用いて、水の分子量と気体の状態方程式から得られる式3に示した計算を行う。具体的には、Psに吸気水蒸気圧Ps,inを代入し、Tに吸気温度Tinを代入して吸気絶対湿度Hin[g/m3]を算出し、Psに排気水蒸気圧Ps,outを代入し、Tに排気温度Toutを代入して排気絶対湿度Hout[g/m3]を算出し、計算結果をメモリ52に記録する。計算結果が記録された後、制御ルーチンはステップ17に移行する。
【0051】
ステップ17は空気の供給・排出に伴って単位時間当たりに水蒸気の形態で燃料電池2外部に持ち出される水分量である排出水分量を求めて、積算された排出水分量を算出するステップである。CPU51はメモリ52に記録されている排気絶対湿度Hout、吸気絶対湿度Hin、排気流量Vout、吸気流量Vinを用いて式4に示した計算を行って排出水分量Wo[g/s]を算出する。Hin×Vinによって燃料電池2内部に流入する空気に含まれている吸気水分量が計算され、Hout×Voutによって燃料電池2内部から排出される空気に含まれている排気水分量が計算され、その差を求めることで排出水分量Woが求められる。前回の制御ルーチン実行時からメモリ52に記録されている吸気水分量と排気水分量と排出水分量の積算値に今回の計算結果を積算して、積算された排出水分量ΣWoと吸気水分量と排気水分量を計算メモリ52に記録する。積算結果が記録された後、制御ルーチンはステップ18に移行する。
【0052】
ステップ18は燃料電池の電極反応に伴い生成される単位時間あたりの水分量である生成水分量を求めて、積算された生成水分量を算出するステップである。CPU51はファラデー定数をF、水の分子量を18、燃料電池2のセル数をnとして、出力電流Ioutを用いて式5に示した計算を行って生成水分量Wg[g/s]を算出し、前回の制御ルーチン実行時からメモリ52に記録されている生成水分量の積算値に今回の計算結果を積算してメモリ52に積算された生成水分量ΣWgを記録する。積算結果が記録された後、制御ルーチンはステップ19に移行する。
【0053】
ステップ19はポンプ3に対する制御信号を算出するステップである。CPU51は、ステップ13乃至ステップ18から算出した積算された排出水分量ΣWoと積算された生成水分量ΣWgとを比較し、積算された排出水分量ΣWoと積算された生成水分量ΣWgが等しくなる方向にポンプ3が供給する空気量を制御する制御信号を生成する。
【0054】
具体的には、積算された生成水分量ΣWgが積算された排出水分量ΣWoよりも大きい場合には、燃料電池2内部に留まっている水分を外部に排出する方向に運転する制御信号をポンプ3に送出して、ポンプ3が燃料電池2に供給する空気量を多くする。逆に、積算された生成水分量ΣWgが積算された排出水分量ΣWoよりも小さい場合には、燃料電池2内部から外部に排出される水分量を減少させる方向に運転する制御信号をポンプ3に送出して、ポンプ3が燃料電池2に供給する空気量を少なくする。
【0055】
換言すると、燃料電池2に流入する空気に含まれる水分量である吸気水分量の積算値と、燃料電池2の発電に伴って生成される水分量である生成水分量の積算値との和が、燃料電池2から排出される空気に含まれる水分量である排気水分量の積算値と等しくなる方向に、ポンプ3が燃料電池2に供給する空気量を制御する。ポンプ3に対する制御信号が更新されるまで、ポンプ3はステップ19で計算した送出量となる制御信号による駆動が継続される。
【0056】
燃料電池2に流入する空気量の制御に際しては、メモリ52に経時的に記録されている積算された生成水分量ΣWgおよび積算された排出水分量ΣWoのデータに基づいて、積算された生成水分量ΣWgを目標値として、積算された排出水分量ΣWoとの偏差を基にポンプ3の流量にフィードバック制御をかける。制御方法は、PI(Proportinal Integral)制御やPID(Proportinal Integral Differential)制御等を動作特性に応じて用いる。ポンプ3が燃料電池2に供給する空気量の制御をフィードバック制御とするため、ステップ19で積算された生成水分量ΣWgと積算された排出水分量ΣWoが等しくなる方向にポンプ3を制御した後に、ステップ20に移行する。
【0057】
ステップ20は条件分岐ステップであり、積算された生成水分量ΣWgと積算された排出水分量ΣWoの初期化を行うかどうかを判断するステップである。制御ルーチンのステップ12において、積算された生成水分量ΣWgと積算された排出水分量ΣWoの初期化が行われてから一定期間が経過している場合には、再びステップ12に移行し、積算された生成水分量ΣWgと積算された排出水分量ΣWoの初期化を再度行ってからのフィードバック制御を行う。積算された生成水分量ΣWgと積算された排出水分量ΣWoの初期化が行われてから一定期間が経過していない場合には、再びステップ14に移行して、ステップ17とステップ18で算出した積算された生成水分量ΣWgと積算された排出水分量ΣWoを用いてのフィードバック制御を行う。
【0058】
上述した様に、本実施の形態における燃料電池運転方法では、ポンプ3が燃料電池2に対して供給する空気と、燃料電池2から外部に排出される空気の双方における温度、湿度、流量を測定し、燃料電池2内部に流入する空気に含まれている水分量と、燃料電池2内部から排出される空気に含まれている水分量とを求めて、積算された排出水分量ΣWoを求める。また、燃料電池2が供給する出力電流Ioutを測定することで、燃料電池2の電極反応に伴い生成される積算された生成水分量ΣWgを求める。
【0059】
積算された排出水分量ΣWoと積算された生成水分量ΣWgとを等しくするようにポンプ3の駆動をフィードバック制御することにより、燃料電池2内部の水分量が一定に保たれ、高分子電解質層21の湿潤状態を発電に適したものとすることができる。また、燃料電池2内部に残留する水分量を一定に保つことができるため、燃料電池2内部で流路が水滴によって閉塞される不具合を低減することができる。
【0060】
燃料電池2に流入してくる空気に含まれる水分量も考慮した空気の供給量に制御することで、燃料電池2で単位時間当たりに生成される水分量が少なく、空気中に含まれる水分量を無視できない状況においても、精度良く燃料電池2内部に残留する水分量を調整して、高分子電解質層21の湿潤状態を発電に適したものとすることができる。また、ポンプ3から燃料電池2に対して送出される空気の流量を制御するだけで、燃料電池2内部に残留する水分量を調整することができるため、加湿手段や乾燥手段を別途設ける必要が無く、燃料電池システムの小型軽量化を図ることができる。
【0061】
また、定期的に高分子電解質層21の湿潤状態を計測して、積算された生成水分量ΣWgと積算された排出水分量ΣWoの初期値を設定しなおすため、繰り返して制御ルーチンを実行するうちに積算された生成水分量ΣWgと積算された排出水分量ΣWoに誤差が蓄積されていったとしても、実測した高分子電解質層21の湿潤状態を制御ルーチン内で反映させて、誤差の蓄積を解消して精密な制御を行うことができる。
【0062】
上述した説明では、ステップ14乃至ステップ18において制御手段5のCPU51が式1乃至式5の演算を行うとしたが、各ステップで式に入力される値と演算結果について、複数の入力値による演算結果を予め算出して配列データとして記憶手段52に記録しておき、配列データを参照することで演算結果を得るとしてもよい。これにより、CPU51の処理速度が遅い場合には、配列データの参照により演算結果を得るほうが制御手段5の制御動作を高速化することが可能となる。
【0063】
【発明の効果】
吸気水分量と生成水分量との和が排気水分量と等しくなるように燃料電池に流入する空気の流量をフィードバック制御することにより、燃料電池で単位時間当たりに生成される水分量が少なく、空気中に含まれる水分量を無視できない状況においても、燃料電池内部の水分量が一定に保たれ、高分子電解質層の湿潤状態を発電に適したものとすることができる。また、燃料電池内部に残留する水分量を一定に保つことができるため、燃料電池内部で流路が水滴によって閉塞される不具合を低減することができる。
【0064】
また、吸気水分量と排気水分量と生成水分量とを、時間経過に応じて積算して算出し、一定期間経過する毎に、積算して算出された吸気水分量と排気水分量とを初期化し、燃料電池に含まれている初期水分量を測定して、所定の水分量と初期水分量との差を前記生成水分量と設定する。これにより、定期的に高分子電解質層の湿潤状態を計測して、積算された生成水分量と排出水分量の初期値を設定しなおすため、繰り返して制御ルーチンを実行するうちに積算された生成水分量排出水分量に誤差が蓄積されていったとしても、実測した高分子電解質層の湿潤状態を制御ルーチン内で反映させて、誤差の蓄積を解消して精密な制御を行うことができる。
【0065】
またフィードバック制御に、PI制御またはPID制御を、初期水分量の測定に電流遮断法を用いることで、効率よくフィードバック制御と初期水分量の測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の燃料電池システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】燃料電池の内部構造の一例を示す模式図である。
【図3】第一の実施の形態における燃料電池システムのフィードバック制御の手順を説明するためのフローチャートである。
【図4】第二の実施の形態における燃料電池システムのフィードバック制御の手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池システム、2 燃料電池、3 ポンプ、4 水素タンク、5 制御手段、6 負荷、7 吸気側計測手段、7a 吸気側流量計、7b 吸気側温度計、7c 吸気側湿度計、8 排気側計測手段、8a 排気側流量計、8b 排気側温度計、8c 排気側湿度計、9 電流計、10,11,12,13 増幅器、21 高分子電解質層、22 水素側電極、23 酸素側電極、22a,23a 触媒層、24 導入口、25 排出口、26 気体流路、27 導入口、28 気体流路、29 排出口、51 CPU、52 記憶手段、53 コンバータ、Hin 吸気絶対湿度、Hout 排気絶対湿度、Iout 出力電流、Ps,in 吸気水蒸気圧、Ps,out 排気水蒸気圧、Psat,in 吸気飽和水蒸気圧、Psat,out 排気飽和水蒸気圧、Rhin 吸気湿度、Rhout 排気湿度、Tin 吸気温度、Tout 排気温度、Vin 吸気流量、Vout 排気流量、Wg 生成水分量、Wo 排出水分量、ΣWg 積算された生成水分量、ΣWo 積算された排出水分量
Claims (12)
- 空気中の酸素と燃料気体とを反応させて発電を行う燃料電池を有する燃料電池システムであって、
前記燃料電池に流入する流入気体に含まれる水分量である吸気水分量と、前記燃料電池から排出される排出気体に含まれる水分量である排気水分量と、前記燃料電池の発電に伴って生成される水分量である生成水分量とを算出し、
前記吸気水分量と前記生成水分量との和が前記排気水分量と等しくなるように前記流入気体の流量を制御することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記吸気水分量と前記排気水分量と前記生成水分量とを、時間経過に応じて積算して算出することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
- 前記流入気体の流量の制御は、一定期間経過する毎に、積算して算出された前記吸気水分量と前記排気水分量とを初期化し、前記燃料電池に含まれている初期水分量を測定して、所定の水分量と前記初期水分量との差を前記生成水分量と設定することを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
- 空気中の酸素と燃料気体とを反応させて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池から供給される電流によって駆動される負荷を有する燃料電池システムであって、
前記燃料電池に流入気体を供給する空気供給手段と、
前記燃料電池に流入する前記流入気体の温度である吸気温度、前記流入気体の湿度である吸気湿度、および前記流入気体の流量である吸気流量を測定する吸気側計測手段と、
前記燃料電池から排出される排出気体の温度である排気温度、前記排出気体の湿度である排気湿度、および前記排出気体の流量である排気流量を測定する排気側計測手段と、
前記負荷に流れる電流値を計測する電流計と、
前記吸気温度、前記吸気湿度および前記吸気流量から前記燃料電池に流入する水分量である吸気水分量を算出し、前記排気温度、前記排気湿度および前記排気流量から前記燃料電池から排出される水分量である排気水分量を算出し、前記電流値から前記燃料電池によって生成される水分量である生成水分量を算出し、前記吸気水分量と前記生成水分量との和が前記排気水分量と等しくなるように、前記空気供給手段が前記燃料電池に対して供給する前記流入気体の流量を制御する制御手段と
を有することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記制御手段が記憶手段を有し、算出した前記吸気水分量と前記排気水分量と前記生成水分量とを積算して前記記憶手段に記録し、
前記流入気体の流量の制御を前記記憶手段に記録されている積算された前記吸気水分量と前記排気水分量と前記生成水分量に基づいて実行することを特徴とする請求項4記載の燃料電池システム。 - 前記制御手段は、一定期間経過する毎に、前記記憶手段に記録されている積算された前記吸気水分量と前記排気水分量とを初期化し、前記燃料電池に含まれている初期水分量を測定して、所定の水分量と前記初期水分量との差を前記記憶手段に前記生成水分量として記録することを特徴とする請求項5記載の燃料電池システム。
- 前記制御手段が記憶手段を有し、前記吸気水分量の算出または前記排出水分量の算出または前記生成水分量の算出を、前記記憶手段に予め記録されていた配列データを参照することにより行うことを特徴とする請求項4記載の燃料電池システム。
- 空気中の酸素と燃料気体とを反応させて発電を行う燃料電池の運転方法であって、
前記燃料電池に流入する流入気体に含まれる水分量である吸気水分量と、前記燃料電池から排出される排出気体に含まれる水分量である排気水分量と、前記燃料電池の発電に伴って生成される水分量である生成水分量とを算出し、
前記吸気水分量と前記生成水分量との和が前記排気水分量と等しくなるように前記流入気体の流量を制御することを特徴とする燃料電池運転方法。 - 前記吸気水分量と前記排気水分量と前記生成水分量とを、時間経過に応じて積算して算出することを特徴とする請求項8記載の燃料電池運転方法。
- 前記流入気体の流量の制御は、一定期間経過する毎に、積算して算出された前記吸気水分量と前記排気水分量とを初期化し、前記燃料電池に含まれている初期水分量を測定して、所定の水分量と前記初期水分量との差を前記生成水分量と設定することを特徴とする請求項9記載の燃料電池運転方法。
- 前記制御に、PI制御またはPID制御を用いることを特徴とする請求項8記載の燃料電池運転方法。
- 前記初期水分量の測定に電流遮断法を用いることを特徴とする請求項10記載の燃料電池運転方法。
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