JP2004192349A - 距離課金車載装置及び距離課金システム - Google Patents
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Abstract
【課題】距離課金を行う際、コストが安価でしかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができるようにする。
【解決手段】測位装置11はGPS衛星からの電波に応じて車両位置データを得る。判定装置14は、課金エリアの位置を示す課金エリア情報と車両位置データとに応じて車両が課金エリアに近づいたと判定すると、GPS衛星からの電波に応じて得られた基地局の位置と基地局が配置された基準点との誤差に応じた位置補正データを用いて測位を支援する基地局支援測位を起動して、誤差算出装置12は位置補正データに応じて車両位置データの誤差を求める。そして、課金額算出装置15では車両位置データに応じて車両が課金エリアに位置するか否かを判定して、車両が課金エリアに位置する際の走行距離と課金レートとに応じて課金額を決定する。
【選択図】 図1
【解決手段】測位装置11はGPS衛星からの電波に応じて車両位置データを得る。判定装置14は、課金エリアの位置を示す課金エリア情報と車両位置データとに応じて車両が課金エリアに近づいたと判定すると、GPS衛星からの電波に応じて得られた基地局の位置と基地局が配置された基準点との誤差に応じた位置補正データを用いて測位を支援する基地局支援測位を起動して、誤差算出装置12は位置補正データに応じて車両位置データの誤差を求める。そして、課金額算出装置15では車両位置データに応じて車両が課金エリアに位置するか否かを判定して、車両が課金エリアに位置する際の走行距離と課金レートとに応じて課金額を決定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されて、車両が課金エリアを通行した際に、課金エリアの利用料金支払いを処理するための車載課金装置に関し、特に、走行距離に比例して課金処理を行う距離課金車載装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、渋滞緩和,大気汚染低減,騒音低減,地域財源確保等のため、特定地域、つまり、特定エリアを通行する車両に対して課金を行うシステムが知られている。このようなシステムでは、特定地域の各道路毎に料金徴収を行なう料金所の設置を行うことが極めて困難であり、例えば、プリペイド・カ−ドを用いて自動課金処理を行うようにしている。
【0003】
例えば、特定エリア(課金エリア)を通過する車両に対する課金を行う際には、GPS測位装置又はジャイロ航法等の測位装置を車両に搭載して、これら測位装置によって車両が特定エリア内にあるか否かを認識して、特定エリアの一回の通過について、特定エリア内の走行距離に応じて予め定められた課金額分を、プリペイド・カ−ドの残高から差し引き、残額をプリペイド・カ−ドに残高として更新記録するようにしたシステムがある。そして、複数の特定エリアが設定されている際には、これら特定エリア毎に課金が行われる。なお、各特定エリアにおいては、課金額(課金レート)が異なる場合もある。
【0004】
特定エリアが走行距離に応じて課金を行うエリア(距離課金エリア)である際には、距離課金エリアに車両が進入すると、走行距離の計測を開始し、車両が距離課金エリアを退出すると、「課金料=走行距離×課金レート(距離単価)」を算出して支払処理する。そして、課金レートの異なる距離課金エリアが連続的に配置されている際には、距離課金エリアの境界において、課金レートを変更する。
【0005】
例えば、第1の距離課金エリアの課金レートが第1の課金レートとであり、第2の距離課金エリアの課金レートが第2の課金レートとである際には、「課金料=(第1の距離課金エリアの走行距離×第1の課金レート)+(第2の距離課金エリアの走行距離×第2の課金レート)」となる。
【0006】
ところで、課金エリアを設定する際には、前述のような距離課金以外にも、種々の課金項目があり、例えば、課金エリアに進入した際に課金する領域進入課金及び課金エリアに滞在した時間に応じて課金する領域通行時間課金等がある。
【0007】
上述のように、種々の課金項目の課金エリアが設定されている際においても、各課金エリア毎に課金レートが異なることが多く、この場合にも、課金エリア毎に課金料を求めて合算する必要がある。例えば、複数の課金エリアの各課金項目の課金単価(課金レート)を単価メモリに保持して、各課金エリア内における各課金項目の実績値を計測し、これら課金単価及び実績値に応じて課金料を算出するようにしている(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−163612公報(第8ページ及び第9ページ、第5図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、互いに課金レートの異なる課金エリアを通過する際には、課金エリア毎に課金レートが異なる関係上、車両の位置を精度よく測定する必要がある。ところが、GPS装置を用いて車両の位置を測定しようとした際、特に、都市部においてはGPS電波の受信状態が良好でない箇所が多く、車両の位置を計測する際に必要なGPS衛星の数を確保できないことがある。
【0010】
一方、慣性航法装置を用いて車両位置を測定しようとした際には、車両の走行に応じて実際の位置と測定位置との誤差が大きくなってしまい、車両が走行するにつれて、車両の位置を精度よく把握することが難しい。
【0011】
このような状況下で、課金エリアから車両が退出するか又は車両が課金レートの異なる課金エリアに移動すると、車両が課金エリアの境界を通過した時点を精度よく把握することができず、その結果、車両に対する課金料が車両毎に大きくずれてしまうことがある。
【0012】
一方、携帯電話基地局の支援によって、位置を測位する手法(基地局支援測位)が知られているが、この基地局支援測位を用いた際には、携帯電話基地局呼出しの都度使用料が徴収されることになって、車両の位置を測位する際には、課金料とは別に多額の使用料が徴収されることになってしまい、コストの面から基地局支援測位を用いることは難しいという課題がある。
【0013】
本発明の目的は、コストが安価でしかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことのできる距離課金車載装置及び距離課金システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、車両に搭載され予め設定された課金エリアを当該車両が走行した際該課金エリアについて定められた課金レートと前記課金エリア内における走行距離に応じて前記車両に対して課金を行う距離課金車載装置であって、第1のコストでかつ第1の測位精度で前記車両の位置を求め車両位置データを得る第1の測位手段と、第1のコストよりも高い第2のコストでかつ前記第1の測位精度よりも精度が高い第2の測位精度で前記車両の位置を求め車両位置データを得る第2の測位手段と、前記課金エリアの位置を示す課金エリア情報が与えられ、前記第1の測位手段で得られた車両位置データが示す前記車両の位置と前記課金エリア情報が示す前記課金エリアの位置に応じて前記車両が前記課金エリアに近づいたか否かを判定して、前記車両が前記課金エリアに近づいたときのみ前記第2の測位手段を用いる判定手段と、前記車両位置データに応じて前記車両が前記課金エリアに位置するか否かを判定して前記車両が前記課金エリアに位置する際の走行距離と前記課金レートとに応じて課金額を決定する課金額算出手段とを有することを特徴とする距離課金車載装置が得られる。
【0015】
このようにして、第1のコストでかつ第1の測位精度で前記車両の位置を求め車両位置データを得る第1の測位手段と、第1のコストよりも高い第2のコストでかつ第1の測位精度よりも精度が高い第2の測位精度で車両の位置を求め車両位置データを得る第2の測位手段とを備えて、第1の測位手段で得られた車両位置データが示す車両の位置と課金エリア情報が示す課金エリアの位置に応じて車両が課金エリアに近づいたときのみ第2の測位手段を用いて、車両が課金エリアに位置する際の走行距離と課金レートとに応じて課金額を決定するようにすれば、課金エリアにおける課金を行う際、測位に要するコストを低減できて、しかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができることになる。
【0016】
さらに、前記判定手段は前記第1の測位手段における測位誤差が予め設定された閾値以上となった際、前記第2の測位手段を用いる。このように、第1の測位手段における測位誤差が予め設定された閾値以上となった際、第2の測位手段を用いるようにすれば、測位のコストを低減して精度よく測位を行って、課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができることになる。また、互いにその課金レートが異なる複数の課金エリアが設定されている際には、前記判定手段は一つの課金エリアから他の課金エリアに前記車両が近づくと前記第2の測位手段を用いる。
【0017】
本発明によれば、車両に搭載され予め設定された課金エリアを当該車両が走行した際該課金エリアについて定められた課金レートと前記課金エリア内における走行距離に応じて前記車両に対して課金を行う距離課金車載装置であって、GPS衛星からの電波に応じて前記車両の位置を求め車両位置データを得る測位手段と、前記課金エリアの位置を示す課金エリア情報が与えられ、前記車両位置データが示す前記車両の位置と前記課金エリア情報が示す前記課金エリアの位置とに応じて前記車両が前記課金エリアに近づいたか否かを判定して、前記車両が前記課金エリアに近づいたと判定すると、前記GPS衛星からの電波に応じて得られた基地局の位置と前記基地局が配置された基準点との誤差に応じた位置補正データを用いて測位を支援する基地局支援測位を起動する判定手段と、前記位置補正データに応じて前記車両位置データを補正する誤差補正手段と、前記車両位置データに応じて前記車両が前記課金エリアに位置するか否かを判定して前記車両が前記課金エリアに位置する際の走行距離と前記課金レートとに応じて課金額を決定する課金額算出手段とを有することを特徴とする距離課金車載装置が得られる。
【0018】
このようにして、GPS衛星からの電波に応じて車両の位置を求め車両位置データを得て、車両位置データが示す車両の位置と課金エリア情報が示す課金エリアの位置とに応じて車両が前記課金エリアに近づいた際、基地局支援測位を起動して、位置補正データに応じて車両位置データを補正し、車両が課金エリアに位置する際の走行距離と課金レートとに応じて課金額を決定するようにすれば、コストが安価でしかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができることになる。
【0019】
さらに、前記判定手段は、前記車両位置データが示す前記車両の位置と前記課金エリア情報が示す前記課金エリアの位置との差が予め設定された第1の閾値となると、前記基地局支援測位を用いる。例えば、前記測位手段は、受信可能な前記GPS衛星の数に応じて前記車両位置データの誤差の範囲を推定する推定誤差を送出しており、前記判定手段は前記推定誤差が予め設定された第2の閾値以上となると前記基地局支援測位を起動する。そして、前記第2の閾値は、前記測位手段が測位に十分な数の衛星が使用できた際の第1の測位誤差と測位に不十分な数の衛星しか利用できなかった際の第2の測位誤差とを区別する値である。
【0020】
このように、受信可能なGPS衛星の数に応じて車両位置データの誤差範囲を推定する推定誤差を得て、この推定誤差が予め設定された第2の閾値以上となると基地局支援測位を起動するようにすれば、測位のコストを低減して精度よく測位を行って、コストが増加することなく、課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができる。
【0021】
本発明では、互いにその課金レートが異なる複数の課金エリアが設定されている際、前記判定手段は一つの課金エリアから他の課金エリアに前記車両が近づくと前記基地局支援測位を用いる。
【0022】
さらに、本発明によれば、車両に搭載され予め設定された課金エリアを当該車両が走行した際該課金エリアについて定められた課金レートと前記課金エリア内における走行距離に応じて前記車両に対して課金を行う距離課金車載装置であって、慣性航法に応じて前記車両の位置を求め車両位置データを得る慣性航法測位手段と、前記車両の走行距離又は走行時間に応じて前記車両の位置誤差が規定された誤差関数に基づいて得られる車両位置誤差が予め規定された閾値以上となるとGPS衛星からの電波に応じて得られた基地局の位置と前記基地局が配置された基準点との誤差に応じた位置補正データを用いて測位を支援する基地局支援測位を起動する判定手段と、前記位置補正データに応じて前記車両位置データを補正する誤差補正手段と、前記車両位置データに応じて前記車両が前記課金エリアに位置するか否かを判定して前記車両が前記課金エリアに位置する際の走行距離と前記課金レートとに応じて課金額を決定する課金額算出手段とを有することを特徴とする距離課金車載装置が得られる。
【0023】
また、本発明によれば、車両に搭載され予め設定された課金エリアを当該車両が走行した際該課金エリアについて定められた課金レートと前記課金エリア内における走行距離に応じて前記車両に対して課金を行う際に用いられる距離課金システムであって、車両に搭載された距離課金車載装置と、該距離課金車載装置と通信を行う基地局とを備え、前記距離課金車載装置には、GPS衛星からの電波に応じて前記車両の位置を求め車両位置データを得る測位手段と、前記基地局から位置補正データを受信する基地局支援測位手段と、前記課金エリアの位置を示す課金エリア情報が与えられ、前記車両位置データが示す前記車両の位置と前記課金エリア情報が示す前記課金エリアの位置とに応じて前記車両が前記課金エリアに近づいたか否かを判定して、前記車両が前記課金エリアに近づいたと判定すると、前記基地局支援測位手段を起動する判定手段と、前記位置補正データに応じて前記車両位置データを補正する誤差補正手段と、前記車両位置データに応じて前記車両が前記課金エリアに位置するか否かを判定して前記車両が前記課金エリアに位置する際の走行距離と前記課金レートとに応じて課金額を決定する課金額算出手段とが備えられ、前記基地局は前記GPS衛星からの電波に応じて得られた前記基地局の位置と前記基地局が配置された基準点との誤差に応じて前記位置補正データを生成するようにしたことを特徴とする距離課金システムが得られる。
【0024】
さらに、この距離課金システムでは、前記測位手段は、受信可能な前記GPS衛星の数に応じて前記車両位置データの誤差の範囲を推定する推定誤差を送出しており、前記判定手段は前記推定誤差が予め設定された第2の閾値以上となると前記基地局支援測位手段を起動する。また、この距離課金システムでは、互いにその課金レートが異なる複数の課金エリアが設定されている際には、前記判定手段は一つの課金エリアから他の課金エリアに前記車両が近づくと前記基地局支援測位手段を用いる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0026】
図1を参照して、図示の距離課金車載装置(以下単に車載装置と呼ぶ)10は、車両に搭載されており、当該車両が距離課金エリアに進入して、当該距離課金エリアを退出するまでの料金を課金するために用いられる。ここで、距離課金エリアとは、このエリア内においては、車両の走行距離に応じて当該車両に対して課金が行なわれるエリアのことをいう。このような距離課金エリアは、例えば、複数設定されており、各距離課金エリア毎にその課金レート(課金単価)が異なる場合もある。
【0027】
車載装置10には、測位装置11、誤差算出装置12、基地局支援測位装置13、基地局支援測位要否判定装置14、及び課金額算出装置15が備えられており、さらに、車載装置10は課金額記録装置16、記憶装置17、及び通信装置(無線通信装置)18を有している。そして、課金額記録装置16には、例えば、ICカード(図示せず)等の記録カードが挿入され、後述するようにして、課金額算出装置15で算出された課金額がICカードに書き込まれる。記憶装置17には、課金エリアデータベース17a及び課金レートデータベース17bが備えられており、課金エリアデータベース17aには各課金エリア毎の位置情報を示す課金エリア情報が格納されている。また、課金レートデータベース17bには各課金エリアの課金レートを示す情報が課金レート情報として格納されている。
【0028】
ここで、図1に示す測位装置11がGPS測位装置であるとして説明する。GPS測位装置11では、少なくとも3つのGPS衛星(図示せず)から送信されるGPS電波(GPS信号)アンテナ(図示せず)を介して受信して、車両の現在位置を測位して車両位置データを出力する(以下この車両位置データをGPS計測車両位置データと呼ぶ)。
【0029】
ところで、基地局支援測位装置13は、例えば、携帯電話システムの基地局21と、後述するようにして、送受信を行っている。この基地局21は、正確にその位置が把握されている基準点に位置しており、さらに、基地局21はGPS衛星からのGPS信号に応じて基地局21の位置を計測して、GPS計測基地局位置データを生成している。そして、基地局21では、基準点を示す位置データとGPS計測基地局位置データとの偏差(誤差)を求めて、この誤差を位置補正データとして送出する。そして、この位置補正データは、選択的に車載装置10(つまり、基地局支援測位装置13)に与えられる。
【0030】
ここで、図2も参照して、いま、車両が非課金エリアA0から課金エリアA1に進入し、課金エリアA2を通過して、再び、課金エリアA1に進入し、非課金エリアA0に至るものとする。つまり、車両は図2に実線矢印で示すルートで走行したものとする。ここで、非課金エリアA0から課金エリアA1に進入した際、課金エリアA1を走行した距離をL1(km)、課金エリアA2を走行した距離をL2(km)、課金エリアA2を退出して、非課金エリアA0に進入するまでに、課金エリアA1を走行した距離をL3(km)とし、課金エリアA1における課金レートをX1(円/km)、課金エリアA2における課金レートをX2(円/km)とする。
【0031】
ここで、図1〜図3を参照して、前述のように、GPS測位装置11で計測されたGPS計測車両位置データは基地局支援測位要否判定装置(以下単に判定装置と呼ぶ)14に与えられる(ステップS1)。判定装置14は課金エリアデータベース17aから課金エリアを示す位置データ(課金エリア位置データ)を読み込んでおり、GPS計測車両位置データで示される車両位置が課金エリア位置データで示される課金エリアA1に近づくと(つまり、非課金エリアA0から課金エリアA1)に近づくと(ステップS2)、判定装置14は基地局支援測位要と判定して、基地局支援測位装置13を起動する(ステップS3)。具体的には、GPS計測車両位置データで示される車両位置と課金エリア位置データで示される課金エリアA1の位置(境界)との差が予め設定された第1の閾値となると、判定装置14は基地局支援測位要と判定して、基地局支援測位装置13を起動する。
【0032】
基地局支援測位装置13では、通信装置18を介して当該車両に最も近い基地局を呼び出して、当該基地局から位置補正データを受信する(ステップS4)。そして、この位置補正データは誤差算出装置12に与えられる。さらに、誤差算出装置12には、GPS測位装置11からGPS計測車両位置データが与えられおり、誤差算出装置12ではGPS計測車両位置データと位置補正データとに応じて当該車両の位置誤差を求めて位置誤差データとして出力する(ステップS5)。この位置誤差データは、GPS測位装置11に与えられ、GPS測位装置11では位置誤差データに応じてGPS計測車両位置データを補正する(ステップS6)。
【0033】
上述のようにして、当該車両が非課金エリアA0から課金エリアA1に近づくと、前記GPS測位装置11はGPS計測車両データが補正されて、つまり、基地局支援測位を用いて、GPS計測車両位置データを補正することになる。この結果、車両の計測位置は実際の位置にほとんど近似することとなる(即ち、車両の計測位置と実際の位置との誤差はほとんどなくなる)。
【0034】
GPS測位装置11からのGPS計測車両位置データは課金額算出装置15に与えられており、さらに、課金額算出装置15では課金エリアデータベース17aから課金エリア情報を読み込んでおり、課金額算出装置15では、GPS計測車両位置データ及び課金エリア情報から、当該車両が課金エリアA1に進入したか否かを知ることになる(ステップS7)。
【0035】
車両が課金エリアA1に進入すると、課金額算出装置15では、課金レートデータベース17bにアクセスして、課金エリアA1の課金レートX1を読み込む。課金額算出装置15には、車両に備えられた距離計(距離メーター)22から走行距離が入力されており、課金額算出装置15は、走行距離と課金レートX1に応じて、課金エリアA1における課金額を求めることになる。
【0036】
ところで、GPS測位装置11で車両の位置を計測する際には、GPS測位装置11が受信するGPS衛星からのGPS信号の数にその測位精度が依存することになる。例えば、測位に十分な数の衛星が使用できた際(例えば、4個以上)の測位誤差と測位に不十分な数の衛星しか利用できない場合(例えば、3個)の測位誤差とは異なることになる。従って、GPS計測装置11では、利用可能なGPS衛星の数に応じて推定誤差を生成している(例えば、測位に十分な数の衛星を使用した際の測位誤差を第1の測位誤差、測位に不十分な数の衛星しか利用できない場合の測位誤差を第2の測位誤差とすると、これら第1及び第2の測位誤差を推定誤差として、GPS測位装置11は送出することになる)。
【0037】
判定装置14には、第1及び第2の測位誤差を区別するための第2の閾値が設定されており(この第2の閾値は第1の閾値と同一の閾値であるかもしれない)、推定誤差が第2の閾値以上であると(ステップS8)、判定装置14は基地局支援測位要と判定して、基地局支援測位装置13を起動する(ステップS9)。
【0038】
これによって、前述したようにして、基地局支援測位装置13では、当該車両に最も近い基地局を呼び出して、当該基地局から位置補正データを受信し、誤差算出装置12ではGPS計測車両位置データと位置補正データとに応じて当該車両の位置誤差を求めて位置誤差データとして出力する。そして、GPS測位装置11では位置誤差データに応じてGPS計測車両データを補正することになる。
【0039】
このようにして、例えば、車両が課金エリアA1を移動中であっても、推定誤差が第2の閾値以上となると、基地局支援測位が行われることなり、課金エリアA1における車両の位置を精度よく把握して、課金を行うことになる(ステップS9)。
【0040】
図2において、車両が課金エリアA2に近づくと(GPS計測車両位置データで示される車両位置と課金エリア位置データで示される課金エリアA2の位置(境界)との差が予め設定された第1の閾値となると)、前述したようにして、基地局支援測位が行われて、GPS計測車両位置データが補正される。そして、車両が課金エリアA2に進入すると(つまり、課金エリアA1を退出すると)、課金額算出装置15では、課金エリアA1に進入してから退出するまでの走行距離(L1)と課金レートX1とに応じて課金額M1=L1×X1を求める。
【0041】
さらに、課金額算出装置15では、課金レートデータベース17bにアクセスして、課金エリアA2の課金レートX2を読み込む。課金額算出装置15は、走行距離と課金レートX2に応じて、課金エリアA2における課金額を求めることになる。
【0042】
課金エリアA2を走行中においても、前述のようにして、推定誤差に応じて基地局支援測位が用いられる。車両が再び課金エリアA1に近づくと、前述したようにして、基地局支援測位が行われて、GPS計測車両位置データが補正される。そして、車両が課金エリアA1に進入すると(つまり、課金エリアA2を退出すると)、課金額算出装置15では、課金エリアA2に進入してから退出するまでの走行距離(L2)と課金レートX2とに応じて課金額M2=L2×X2を求める。
【0043】
さらに、課金額算出装置15では、課金レートデータベース17bにアクセスして、課金エリアA1の課金レートX1を読み込む。課金額算出装置15は、走行距離と課金レートX1に応じて、課金エリアA1における課金額を求めることになる。
【0044】
そして、車両が再び非課金エリアA0に近づくと、基地局支援測位が行われて、GPS計測車両位置データが補正される。そして、車両が課金エリアA0に進入すると(つまり、課金エリアA1を退出すると:ステップS10)、課金額算出装置15では、課金エリアA1に進入してから退出するまでの走行距離(L3)と課金レートX1とに応じて課金額M3=L3×X1を求める。
【0045】
車両が非課金エリアA0に進入した後、課金額算出装置15では、合計課金額M=M1+M2+M3を求めて(ステップS11)、この合計金額Mを課金額記録装置16に送る。そして、課金額記録装置16は、合計課金額をICカードに書き込む(ステップS12)。
【0046】
なお、前述の推定誤差に応じた基地局支援測位は、車両が課金エリアに位置するか非課金エリアに位置するかにかかわらず行うが、車両が課金エリアに位置する際にのみ推定誤差に応じた基地局支援測位を行うようにしてもよい。
【0047】
このようにして、車両の走行中においては、推定誤差に応じて選択的に基地局支援測位を用いて、車両の位置データを補正するとともに、車両が非課金エリアと課金エリアとの境界に近づいた際及び課金レートの異なる課金エリア間の境界に近づいた際には、基地局支援測位を用いて、車両の位置データを補正するようにしたから、基地局支援測位を用いる回数を低減でき、しかも車両の位置を精度よく把握できるから、測位の際のコストが安価でしかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができることになる。
【0048】
つまり、上述の例では、コストの安価なGPS測位装置11を用いて車両位置を計測しつつ、課金エリアに近づくか又は一つの課金エリアから課金レートの異なる他の課金エリアに近づくと、コストの高い基地局支援測位を用いるようにしており、さらに、推定誤差が第2の閾値以上となると、コストの高い基地局支援測位を用いるようにするから、課金エリアにおける課金を行う際に測位に要するコストを低減できて、しかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができる。
【0049】
言い換えると、この課金装置では、実質的にコストが安価であるが測位精度が劣る第1の車両位置測位装置とコストが高価であるが測位精度の高い第2の車両位置測位装置を用意することにより、第1の車両測位装置11を用いて車両位置を計測しつつ、課金エリアに近づくか又は一つの課金エリアから課金レートの異なる他の課金エリアに近づくと、第2の車両測位装置を用いるようにしており、さらに、推定誤差が第2の閾値以上となると、第2の車両測位装置を用いるようにしているから、課金エリアにおける課金を行う際に測位に要するコストを低減できて、しかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができる。
【0050】
なお、上述の例では、課金額記録装置16が合計課金額をICカードに書き込む場合について説明したが、課金額算出装置15が破線で示すように通信装置18と基地局(図示せず)を介して課金センター(図示せず)に合計課金額を当該車両を認識するIDコードとともに送信するようにしてもよく、この際には、課金センターにおいて各車両毎に課金額が蓄積されることになる。
【0051】
ところで、図1に示す例では、測位装置11がGPS測位装置であるとして説明したが、測位装置11として慣性航法装置(例えば、加速度計、方位センサ等を有している:図示せず)を用いるようにしてもよい。このように、測位装置11が慣性航法装置を用いる場合には、距離課金車載装置では、慣性航法装置によって、車両の位置を求めることになる。また、慣性航法装置には、車両位置の誤差を距離又は時間(走行時間)の関数としてモデル化したモデル関数が設定されており、例えば、モデル関数が時間の関数として設定されているとすると、推定誤差(t)=初期誤差(t0)+K・(t−t0)となる(Kは時間比例係数)。
【0052】
慣性航法装置では、車両走行中においては、車両位置を慣性航法によって測位し、車両位置データを求める。一方、前述のモデル関数によって推定誤差が求められ、この推定誤差が予め規定された閾値(例えば、上述の第1の閾値)以上となると、判定装置14では、基地局支援測位装置13を起動する。これによって、基地局支援測位装置13では、基地局から位置補正データを受信する。そして、この位置補正データに応じて車両位置データが補正される。
【0053】
具体的には、この位置補正データは誤差算出装置12に与えられる。さらに、誤差算出装置12には、慣性航法装置から車両位置データが与えられおり、誤差算出装置12では車両位置データと位置補正データとに応じて当該車両の位置誤差を求めて位置誤差データとして出力する。この位置誤差データは、慣性航法装置に与えられ、慣性航法装置では位置誤差データに応じて計測車両位置データを補正することになる。その後、慣性航法装置では慣性航法に応じて車両位置を計測することになるが、推定誤差が再び予め規定された閾値以上となると、基地局支援測位が用いられることになる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第1のコストでかつ第1の測位精度で前記車両の位置を求め車両位置データを得る第1の測位装置と、第1のコストよりも高い第2のコストでかつ第1の測位精度よりも精度が高い第2の測位精度で車両の位置を求め車両位置データを得る第2の測位装置とを備えて、第1の測位装置で得られた車両位置データが示す車両の位置と課金エリア情報が示す課金エリアの位置に応じて車両が課金エリアに近づいたときのみ第2の測位装置を用いて、車両が課金エリアに位置する際の走行距離と課金レートとに応じて課金額を決定するようにしたので、課金エリアにおける課金を行う際に測位に要するコストを低減できて、しかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができるという効果がある。
【0055】
さらに、本発明では、第1の測位装置における測位誤差が予め設定された閾値以上となった際、前記第2の測位装置を用いるようにしたので、測位のコストを低減して精度よく測位を行って、課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができるという効果がある。
【0056】
本発明では、GPS衛星からの電波に応じて車両の位置を求め車両位置データを得て、車両位置データが示す車両の位置と課金エリア情報が示す課金エリアの位置とに応じて車両が前記課金エリアに近づいた際、基地局支援測位を起動して、位置補正データに応じて車両位置データを補正し、車両が課金エリアに位置する際の走行距離と課金レートとに応じて課金額を決定するようにしたので、安価なコストでしかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができるという効果がある。
【0057】
また、本発明では、受信可能なGPS衛星の数に応じて車両位置データの誤差範囲を推定する推定誤差を得て、この推定誤差が予め設定された第2の閾値以上となると基地局支援測位を起動するようにしたので、測位のコストを低減した上精度よく測位を行って、コストが増加することなく、課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による距離課金車載装置の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す距離課金車載装置を搭載した車両の走行ルートの一例を示す概要図である。
【図3】図1に示す距離課金車載装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 距離課金車載装置
11 測位装置
12 誤差算出装置
13 基地局支援測位装置
14 基地局支援測位要否判定装置
15 課金額算出装置
16 課金額記録装置
17 記憶装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されて、車両が課金エリアを通行した際に、課金エリアの利用料金支払いを処理するための車載課金装置に関し、特に、走行距離に比例して課金処理を行う距離課金車載装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、渋滞緩和,大気汚染低減,騒音低減,地域財源確保等のため、特定地域、つまり、特定エリアを通行する車両に対して課金を行うシステムが知られている。このようなシステムでは、特定地域の各道路毎に料金徴収を行なう料金所の設置を行うことが極めて困難であり、例えば、プリペイド・カ−ドを用いて自動課金処理を行うようにしている。
【0003】
例えば、特定エリア(課金エリア)を通過する車両に対する課金を行う際には、GPS測位装置又はジャイロ航法等の測位装置を車両に搭載して、これら測位装置によって車両が特定エリア内にあるか否かを認識して、特定エリアの一回の通過について、特定エリア内の走行距離に応じて予め定められた課金額分を、プリペイド・カ−ドの残高から差し引き、残額をプリペイド・カ−ドに残高として更新記録するようにしたシステムがある。そして、複数の特定エリアが設定されている際には、これら特定エリア毎に課金が行われる。なお、各特定エリアにおいては、課金額(課金レート)が異なる場合もある。
【0004】
特定エリアが走行距離に応じて課金を行うエリア(距離課金エリア)である際には、距離課金エリアに車両が進入すると、走行距離の計測を開始し、車両が距離課金エリアを退出すると、「課金料=走行距離×課金レート(距離単価)」を算出して支払処理する。そして、課金レートの異なる距離課金エリアが連続的に配置されている際には、距離課金エリアの境界において、課金レートを変更する。
【0005】
例えば、第1の距離課金エリアの課金レートが第1の課金レートとであり、第2の距離課金エリアの課金レートが第2の課金レートとである際には、「課金料=(第1の距離課金エリアの走行距離×第1の課金レート)+(第2の距離課金エリアの走行距離×第2の課金レート)」となる。
【0006】
ところで、課金エリアを設定する際には、前述のような距離課金以外にも、種々の課金項目があり、例えば、課金エリアに進入した際に課金する領域進入課金及び課金エリアに滞在した時間に応じて課金する領域通行時間課金等がある。
【0007】
上述のように、種々の課金項目の課金エリアが設定されている際においても、各課金エリア毎に課金レートが異なることが多く、この場合にも、課金エリア毎に課金料を求めて合算する必要がある。例えば、複数の課金エリアの各課金項目の課金単価(課金レート)を単価メモリに保持して、各課金エリア内における各課金項目の実績値を計測し、これら課金単価及び実績値に応じて課金料を算出するようにしている(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−163612公報(第8ページ及び第9ページ、第5図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、互いに課金レートの異なる課金エリアを通過する際には、課金エリア毎に課金レートが異なる関係上、車両の位置を精度よく測定する必要がある。ところが、GPS装置を用いて車両の位置を測定しようとした際、特に、都市部においてはGPS電波の受信状態が良好でない箇所が多く、車両の位置を計測する際に必要なGPS衛星の数を確保できないことがある。
【0010】
一方、慣性航法装置を用いて車両位置を測定しようとした際には、車両の走行に応じて実際の位置と測定位置との誤差が大きくなってしまい、車両が走行するにつれて、車両の位置を精度よく把握することが難しい。
【0011】
このような状況下で、課金エリアから車両が退出するか又は車両が課金レートの異なる課金エリアに移動すると、車両が課金エリアの境界を通過した時点を精度よく把握することができず、その結果、車両に対する課金料が車両毎に大きくずれてしまうことがある。
【0012】
一方、携帯電話基地局の支援によって、位置を測位する手法(基地局支援測位)が知られているが、この基地局支援測位を用いた際には、携帯電話基地局呼出しの都度使用料が徴収されることになって、車両の位置を測位する際には、課金料とは別に多額の使用料が徴収されることになってしまい、コストの面から基地局支援測位を用いることは難しいという課題がある。
【0013】
本発明の目的は、コストが安価でしかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことのできる距離課金車載装置及び距離課金システムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、車両に搭載され予め設定された課金エリアを当該車両が走行した際該課金エリアについて定められた課金レートと前記課金エリア内における走行距離に応じて前記車両に対して課金を行う距離課金車載装置であって、第1のコストでかつ第1の測位精度で前記車両の位置を求め車両位置データを得る第1の測位手段と、第1のコストよりも高い第2のコストでかつ前記第1の測位精度よりも精度が高い第2の測位精度で前記車両の位置を求め車両位置データを得る第2の測位手段と、前記課金エリアの位置を示す課金エリア情報が与えられ、前記第1の測位手段で得られた車両位置データが示す前記車両の位置と前記課金エリア情報が示す前記課金エリアの位置に応じて前記車両が前記課金エリアに近づいたか否かを判定して、前記車両が前記課金エリアに近づいたときのみ前記第2の測位手段を用いる判定手段と、前記車両位置データに応じて前記車両が前記課金エリアに位置するか否かを判定して前記車両が前記課金エリアに位置する際の走行距離と前記課金レートとに応じて課金額を決定する課金額算出手段とを有することを特徴とする距離課金車載装置が得られる。
【0015】
このようにして、第1のコストでかつ第1の測位精度で前記車両の位置を求め車両位置データを得る第1の測位手段と、第1のコストよりも高い第2のコストでかつ第1の測位精度よりも精度が高い第2の測位精度で車両の位置を求め車両位置データを得る第2の測位手段とを備えて、第1の測位手段で得られた車両位置データが示す車両の位置と課金エリア情報が示す課金エリアの位置に応じて車両が課金エリアに近づいたときのみ第2の測位手段を用いて、車両が課金エリアに位置する際の走行距離と課金レートとに応じて課金額を決定するようにすれば、課金エリアにおける課金を行う際、測位に要するコストを低減できて、しかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができることになる。
【0016】
さらに、前記判定手段は前記第1の測位手段における測位誤差が予め設定された閾値以上となった際、前記第2の測位手段を用いる。このように、第1の測位手段における測位誤差が予め設定された閾値以上となった際、第2の測位手段を用いるようにすれば、測位のコストを低減して精度よく測位を行って、課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができることになる。また、互いにその課金レートが異なる複数の課金エリアが設定されている際には、前記判定手段は一つの課金エリアから他の課金エリアに前記車両が近づくと前記第2の測位手段を用いる。
【0017】
本発明によれば、車両に搭載され予め設定された課金エリアを当該車両が走行した際該課金エリアについて定められた課金レートと前記課金エリア内における走行距離に応じて前記車両に対して課金を行う距離課金車載装置であって、GPS衛星からの電波に応じて前記車両の位置を求め車両位置データを得る測位手段と、前記課金エリアの位置を示す課金エリア情報が与えられ、前記車両位置データが示す前記車両の位置と前記課金エリア情報が示す前記課金エリアの位置とに応じて前記車両が前記課金エリアに近づいたか否かを判定して、前記車両が前記課金エリアに近づいたと判定すると、前記GPS衛星からの電波に応じて得られた基地局の位置と前記基地局が配置された基準点との誤差に応じた位置補正データを用いて測位を支援する基地局支援測位を起動する判定手段と、前記位置補正データに応じて前記車両位置データを補正する誤差補正手段と、前記車両位置データに応じて前記車両が前記課金エリアに位置するか否かを判定して前記車両が前記課金エリアに位置する際の走行距離と前記課金レートとに応じて課金額を決定する課金額算出手段とを有することを特徴とする距離課金車載装置が得られる。
【0018】
このようにして、GPS衛星からの電波に応じて車両の位置を求め車両位置データを得て、車両位置データが示す車両の位置と課金エリア情報が示す課金エリアの位置とに応じて車両が前記課金エリアに近づいた際、基地局支援測位を起動して、位置補正データに応じて車両位置データを補正し、車両が課金エリアに位置する際の走行距離と課金レートとに応じて課金額を決定するようにすれば、コストが安価でしかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができることになる。
【0019】
さらに、前記判定手段は、前記車両位置データが示す前記車両の位置と前記課金エリア情報が示す前記課金エリアの位置との差が予め設定された第1の閾値となると、前記基地局支援測位を用いる。例えば、前記測位手段は、受信可能な前記GPS衛星の数に応じて前記車両位置データの誤差の範囲を推定する推定誤差を送出しており、前記判定手段は前記推定誤差が予め設定された第2の閾値以上となると前記基地局支援測位を起動する。そして、前記第2の閾値は、前記測位手段が測位に十分な数の衛星が使用できた際の第1の測位誤差と測位に不十分な数の衛星しか利用できなかった際の第2の測位誤差とを区別する値である。
【0020】
このように、受信可能なGPS衛星の数に応じて車両位置データの誤差範囲を推定する推定誤差を得て、この推定誤差が予め設定された第2の閾値以上となると基地局支援測位を起動するようにすれば、測位のコストを低減して精度よく測位を行って、コストが増加することなく、課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができる。
【0021】
本発明では、互いにその課金レートが異なる複数の課金エリアが設定されている際、前記判定手段は一つの課金エリアから他の課金エリアに前記車両が近づくと前記基地局支援測位を用いる。
【0022】
さらに、本発明によれば、車両に搭載され予め設定された課金エリアを当該車両が走行した際該課金エリアについて定められた課金レートと前記課金エリア内における走行距離に応じて前記車両に対して課金を行う距離課金車載装置であって、慣性航法に応じて前記車両の位置を求め車両位置データを得る慣性航法測位手段と、前記車両の走行距離又は走行時間に応じて前記車両の位置誤差が規定された誤差関数に基づいて得られる車両位置誤差が予め規定された閾値以上となるとGPS衛星からの電波に応じて得られた基地局の位置と前記基地局が配置された基準点との誤差に応じた位置補正データを用いて測位を支援する基地局支援測位を起動する判定手段と、前記位置補正データに応じて前記車両位置データを補正する誤差補正手段と、前記車両位置データに応じて前記車両が前記課金エリアに位置するか否かを判定して前記車両が前記課金エリアに位置する際の走行距離と前記課金レートとに応じて課金額を決定する課金額算出手段とを有することを特徴とする距離課金車載装置が得られる。
【0023】
また、本発明によれば、車両に搭載され予め設定された課金エリアを当該車両が走行した際該課金エリアについて定められた課金レートと前記課金エリア内における走行距離に応じて前記車両に対して課金を行う際に用いられる距離課金システムであって、車両に搭載された距離課金車載装置と、該距離課金車載装置と通信を行う基地局とを備え、前記距離課金車載装置には、GPS衛星からの電波に応じて前記車両の位置を求め車両位置データを得る測位手段と、前記基地局から位置補正データを受信する基地局支援測位手段と、前記課金エリアの位置を示す課金エリア情報が与えられ、前記車両位置データが示す前記車両の位置と前記課金エリア情報が示す前記課金エリアの位置とに応じて前記車両が前記課金エリアに近づいたか否かを判定して、前記車両が前記課金エリアに近づいたと判定すると、前記基地局支援測位手段を起動する判定手段と、前記位置補正データに応じて前記車両位置データを補正する誤差補正手段と、前記車両位置データに応じて前記車両が前記課金エリアに位置するか否かを判定して前記車両が前記課金エリアに位置する際の走行距離と前記課金レートとに応じて課金額を決定する課金額算出手段とが備えられ、前記基地局は前記GPS衛星からの電波に応じて得られた前記基地局の位置と前記基地局が配置された基準点との誤差に応じて前記位置補正データを生成するようにしたことを特徴とする距離課金システムが得られる。
【0024】
さらに、この距離課金システムでは、前記測位手段は、受信可能な前記GPS衛星の数に応じて前記車両位置データの誤差の範囲を推定する推定誤差を送出しており、前記判定手段は前記推定誤差が予め設定された第2の閾値以上となると前記基地局支援測位手段を起動する。また、この距離課金システムでは、互いにその課金レートが異なる複数の課金エリアが設定されている際には、前記判定手段は一つの課金エリアから他の課金エリアに前記車両が近づくと前記基地局支援測位手段を用いる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0026】
図1を参照して、図示の距離課金車載装置(以下単に車載装置と呼ぶ)10は、車両に搭載されており、当該車両が距離課金エリアに進入して、当該距離課金エリアを退出するまでの料金を課金するために用いられる。ここで、距離課金エリアとは、このエリア内においては、車両の走行距離に応じて当該車両に対して課金が行なわれるエリアのことをいう。このような距離課金エリアは、例えば、複数設定されており、各距離課金エリア毎にその課金レート(課金単価)が異なる場合もある。
【0027】
車載装置10には、測位装置11、誤差算出装置12、基地局支援測位装置13、基地局支援測位要否判定装置14、及び課金額算出装置15が備えられており、さらに、車載装置10は課金額記録装置16、記憶装置17、及び通信装置(無線通信装置)18を有している。そして、課金額記録装置16には、例えば、ICカード(図示せず)等の記録カードが挿入され、後述するようにして、課金額算出装置15で算出された課金額がICカードに書き込まれる。記憶装置17には、課金エリアデータベース17a及び課金レートデータベース17bが備えられており、課金エリアデータベース17aには各課金エリア毎の位置情報を示す課金エリア情報が格納されている。また、課金レートデータベース17bには各課金エリアの課金レートを示す情報が課金レート情報として格納されている。
【0028】
ここで、図1に示す測位装置11がGPS測位装置であるとして説明する。GPS測位装置11では、少なくとも3つのGPS衛星(図示せず)から送信されるGPS電波(GPS信号)アンテナ(図示せず)を介して受信して、車両の現在位置を測位して車両位置データを出力する(以下この車両位置データをGPS計測車両位置データと呼ぶ)。
【0029】
ところで、基地局支援測位装置13は、例えば、携帯電話システムの基地局21と、後述するようにして、送受信を行っている。この基地局21は、正確にその位置が把握されている基準点に位置しており、さらに、基地局21はGPS衛星からのGPS信号に応じて基地局21の位置を計測して、GPS計測基地局位置データを生成している。そして、基地局21では、基準点を示す位置データとGPS計測基地局位置データとの偏差(誤差)を求めて、この誤差を位置補正データとして送出する。そして、この位置補正データは、選択的に車載装置10(つまり、基地局支援測位装置13)に与えられる。
【0030】
ここで、図2も参照して、いま、車両が非課金エリアA0から課金エリアA1に進入し、課金エリアA2を通過して、再び、課金エリアA1に進入し、非課金エリアA0に至るものとする。つまり、車両は図2に実線矢印で示すルートで走行したものとする。ここで、非課金エリアA0から課金エリアA1に進入した際、課金エリアA1を走行した距離をL1(km)、課金エリアA2を走行した距離をL2(km)、課金エリアA2を退出して、非課金エリアA0に進入するまでに、課金エリアA1を走行した距離をL3(km)とし、課金エリアA1における課金レートをX1(円/km)、課金エリアA2における課金レートをX2(円/km)とする。
【0031】
ここで、図1〜図3を参照して、前述のように、GPS測位装置11で計測されたGPS計測車両位置データは基地局支援測位要否判定装置(以下単に判定装置と呼ぶ)14に与えられる(ステップS1)。判定装置14は課金エリアデータベース17aから課金エリアを示す位置データ(課金エリア位置データ)を読み込んでおり、GPS計測車両位置データで示される車両位置が課金エリア位置データで示される課金エリアA1に近づくと(つまり、非課金エリアA0から課金エリアA1)に近づくと(ステップS2)、判定装置14は基地局支援測位要と判定して、基地局支援測位装置13を起動する(ステップS3)。具体的には、GPS計測車両位置データで示される車両位置と課金エリア位置データで示される課金エリアA1の位置(境界)との差が予め設定された第1の閾値となると、判定装置14は基地局支援測位要と判定して、基地局支援測位装置13を起動する。
【0032】
基地局支援測位装置13では、通信装置18を介して当該車両に最も近い基地局を呼び出して、当該基地局から位置補正データを受信する(ステップS4)。そして、この位置補正データは誤差算出装置12に与えられる。さらに、誤差算出装置12には、GPS測位装置11からGPS計測車両位置データが与えられおり、誤差算出装置12ではGPS計測車両位置データと位置補正データとに応じて当該車両の位置誤差を求めて位置誤差データとして出力する(ステップS5)。この位置誤差データは、GPS測位装置11に与えられ、GPS測位装置11では位置誤差データに応じてGPS計測車両位置データを補正する(ステップS6)。
【0033】
上述のようにして、当該車両が非課金エリアA0から課金エリアA1に近づくと、前記GPS測位装置11はGPS計測車両データが補正されて、つまり、基地局支援測位を用いて、GPS計測車両位置データを補正することになる。この結果、車両の計測位置は実際の位置にほとんど近似することとなる(即ち、車両の計測位置と実際の位置との誤差はほとんどなくなる)。
【0034】
GPS測位装置11からのGPS計測車両位置データは課金額算出装置15に与えられており、さらに、課金額算出装置15では課金エリアデータベース17aから課金エリア情報を読み込んでおり、課金額算出装置15では、GPS計測車両位置データ及び課金エリア情報から、当該車両が課金エリアA1に進入したか否かを知ることになる(ステップS7)。
【0035】
車両が課金エリアA1に進入すると、課金額算出装置15では、課金レートデータベース17bにアクセスして、課金エリアA1の課金レートX1を読み込む。課金額算出装置15には、車両に備えられた距離計(距離メーター)22から走行距離が入力されており、課金額算出装置15は、走行距離と課金レートX1に応じて、課金エリアA1における課金額を求めることになる。
【0036】
ところで、GPS測位装置11で車両の位置を計測する際には、GPS測位装置11が受信するGPS衛星からのGPS信号の数にその測位精度が依存することになる。例えば、測位に十分な数の衛星が使用できた際(例えば、4個以上)の測位誤差と測位に不十分な数の衛星しか利用できない場合(例えば、3個)の測位誤差とは異なることになる。従って、GPS計測装置11では、利用可能なGPS衛星の数に応じて推定誤差を生成している(例えば、測位に十分な数の衛星を使用した際の測位誤差を第1の測位誤差、測位に不十分な数の衛星しか利用できない場合の測位誤差を第2の測位誤差とすると、これら第1及び第2の測位誤差を推定誤差として、GPS測位装置11は送出することになる)。
【0037】
判定装置14には、第1及び第2の測位誤差を区別するための第2の閾値が設定されており(この第2の閾値は第1の閾値と同一の閾値であるかもしれない)、推定誤差が第2の閾値以上であると(ステップS8)、判定装置14は基地局支援測位要と判定して、基地局支援測位装置13を起動する(ステップS9)。
【0038】
これによって、前述したようにして、基地局支援測位装置13では、当該車両に最も近い基地局を呼び出して、当該基地局から位置補正データを受信し、誤差算出装置12ではGPS計測車両位置データと位置補正データとに応じて当該車両の位置誤差を求めて位置誤差データとして出力する。そして、GPS測位装置11では位置誤差データに応じてGPS計測車両データを補正することになる。
【0039】
このようにして、例えば、車両が課金エリアA1を移動中であっても、推定誤差が第2の閾値以上となると、基地局支援測位が行われることなり、課金エリアA1における車両の位置を精度よく把握して、課金を行うことになる(ステップS9)。
【0040】
図2において、車両が課金エリアA2に近づくと(GPS計測車両位置データで示される車両位置と課金エリア位置データで示される課金エリアA2の位置(境界)との差が予め設定された第1の閾値となると)、前述したようにして、基地局支援測位が行われて、GPS計測車両位置データが補正される。そして、車両が課金エリアA2に進入すると(つまり、課金エリアA1を退出すると)、課金額算出装置15では、課金エリアA1に進入してから退出するまでの走行距離(L1)と課金レートX1とに応じて課金額M1=L1×X1を求める。
【0041】
さらに、課金額算出装置15では、課金レートデータベース17bにアクセスして、課金エリアA2の課金レートX2を読み込む。課金額算出装置15は、走行距離と課金レートX2に応じて、課金エリアA2における課金額を求めることになる。
【0042】
課金エリアA2を走行中においても、前述のようにして、推定誤差に応じて基地局支援測位が用いられる。車両が再び課金エリアA1に近づくと、前述したようにして、基地局支援測位が行われて、GPS計測車両位置データが補正される。そして、車両が課金エリアA1に進入すると(つまり、課金エリアA2を退出すると)、課金額算出装置15では、課金エリアA2に進入してから退出するまでの走行距離(L2)と課金レートX2とに応じて課金額M2=L2×X2を求める。
【0043】
さらに、課金額算出装置15では、課金レートデータベース17bにアクセスして、課金エリアA1の課金レートX1を読み込む。課金額算出装置15は、走行距離と課金レートX1に応じて、課金エリアA1における課金額を求めることになる。
【0044】
そして、車両が再び非課金エリアA0に近づくと、基地局支援測位が行われて、GPS計測車両位置データが補正される。そして、車両が課金エリアA0に進入すると(つまり、課金エリアA1を退出すると:ステップS10)、課金額算出装置15では、課金エリアA1に進入してから退出するまでの走行距離(L3)と課金レートX1とに応じて課金額M3=L3×X1を求める。
【0045】
車両が非課金エリアA0に進入した後、課金額算出装置15では、合計課金額M=M1+M2+M3を求めて(ステップS11)、この合計金額Mを課金額記録装置16に送る。そして、課金額記録装置16は、合計課金額をICカードに書き込む(ステップS12)。
【0046】
なお、前述の推定誤差に応じた基地局支援測位は、車両が課金エリアに位置するか非課金エリアに位置するかにかかわらず行うが、車両が課金エリアに位置する際にのみ推定誤差に応じた基地局支援測位を行うようにしてもよい。
【0047】
このようにして、車両の走行中においては、推定誤差に応じて選択的に基地局支援測位を用いて、車両の位置データを補正するとともに、車両が非課金エリアと課金エリアとの境界に近づいた際及び課金レートの異なる課金エリア間の境界に近づいた際には、基地局支援測位を用いて、車両の位置データを補正するようにしたから、基地局支援測位を用いる回数を低減でき、しかも車両の位置を精度よく把握できるから、測位の際のコストが安価でしかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができることになる。
【0048】
つまり、上述の例では、コストの安価なGPS測位装置11を用いて車両位置を計測しつつ、課金エリアに近づくか又は一つの課金エリアから課金レートの異なる他の課金エリアに近づくと、コストの高い基地局支援測位を用いるようにしており、さらに、推定誤差が第2の閾値以上となると、コストの高い基地局支援測位を用いるようにするから、課金エリアにおける課金を行う際に測位に要するコストを低減できて、しかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができる。
【0049】
言い換えると、この課金装置では、実質的にコストが安価であるが測位精度が劣る第1の車両位置測位装置とコストが高価であるが測位精度の高い第2の車両位置測位装置を用意することにより、第1の車両測位装置11を用いて車両位置を計測しつつ、課金エリアに近づくか又は一つの課金エリアから課金レートの異なる他の課金エリアに近づくと、第2の車両測位装置を用いるようにしており、さらに、推定誤差が第2の閾値以上となると、第2の車両測位装置を用いるようにしているから、課金エリアにおける課金を行う際に測位に要するコストを低減できて、しかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができる。
【0050】
なお、上述の例では、課金額記録装置16が合計課金額をICカードに書き込む場合について説明したが、課金額算出装置15が破線で示すように通信装置18と基地局(図示せず)を介して課金センター(図示せず)に合計課金額を当該車両を認識するIDコードとともに送信するようにしてもよく、この際には、課金センターにおいて各車両毎に課金額が蓄積されることになる。
【0051】
ところで、図1に示す例では、測位装置11がGPS測位装置であるとして説明したが、測位装置11として慣性航法装置(例えば、加速度計、方位センサ等を有している:図示せず)を用いるようにしてもよい。このように、測位装置11が慣性航法装置を用いる場合には、距離課金車載装置では、慣性航法装置によって、車両の位置を求めることになる。また、慣性航法装置には、車両位置の誤差を距離又は時間(走行時間)の関数としてモデル化したモデル関数が設定されており、例えば、モデル関数が時間の関数として設定されているとすると、推定誤差(t)=初期誤差(t0)+K・(t−t0)となる(Kは時間比例係数)。
【0052】
慣性航法装置では、車両走行中においては、車両位置を慣性航法によって測位し、車両位置データを求める。一方、前述のモデル関数によって推定誤差が求められ、この推定誤差が予め規定された閾値(例えば、上述の第1の閾値)以上となると、判定装置14では、基地局支援測位装置13を起動する。これによって、基地局支援測位装置13では、基地局から位置補正データを受信する。そして、この位置補正データに応じて車両位置データが補正される。
【0053】
具体的には、この位置補正データは誤差算出装置12に与えられる。さらに、誤差算出装置12には、慣性航法装置から車両位置データが与えられおり、誤差算出装置12では車両位置データと位置補正データとに応じて当該車両の位置誤差を求めて位置誤差データとして出力する。この位置誤差データは、慣性航法装置に与えられ、慣性航法装置では位置誤差データに応じて計測車両位置データを補正することになる。その後、慣性航法装置では慣性航法に応じて車両位置を計測することになるが、推定誤差が再び予め規定された閾値以上となると、基地局支援測位が用いられることになる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、第1のコストでかつ第1の測位精度で前記車両の位置を求め車両位置データを得る第1の測位装置と、第1のコストよりも高い第2のコストでかつ第1の測位精度よりも精度が高い第2の測位精度で車両の位置を求め車両位置データを得る第2の測位装置とを備えて、第1の測位装置で得られた車両位置データが示す車両の位置と課金エリア情報が示す課金エリアの位置に応じて車両が課金エリアに近づいたときのみ第2の測位装置を用いて、車両が課金エリアに位置する際の走行距離と課金レートとに応じて課金額を決定するようにしたので、課金エリアにおける課金を行う際に測位に要するコストを低減できて、しかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができるという効果がある。
【0055】
さらに、本発明では、第1の測位装置における測位誤差が予め設定された閾値以上となった際、前記第2の測位装置を用いるようにしたので、測位のコストを低減して精度よく測位を行って、課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができるという効果がある。
【0056】
本発明では、GPS衛星からの電波に応じて車両の位置を求め車両位置データを得て、車両位置データが示す車両の位置と課金エリア情報が示す課金エリアの位置とに応じて車両が前記課金エリアに近づいた際、基地局支援測位を起動して、位置補正データに応じて車両位置データを補正し、車両が課金エリアに位置する際の走行距離と課金レートとに応じて課金額を決定するようにしたので、安価なコストでしかも課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができるという効果がある。
【0057】
また、本発明では、受信可能なGPS衛星の数に応じて車両位置データの誤差範囲を推定する推定誤差を得て、この推定誤差が予め設定された第2の閾値以上となると基地局支援測位を起動するようにしたので、測位のコストを低減した上精度よく測位を行って、コストが増加することなく、課金エリアを通過する車両に対して適切な課金を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による距離課金車載装置の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す距離課金車載装置を搭載した車両の走行ルートの一例を示す概要図である。
【図3】図1に示す距離課金車載装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 距離課金車載装置
11 測位装置
12 誤差算出装置
13 基地局支援測位装置
14 基地局支援測位要否判定装置
15 課金額算出装置
16 課金額記録装置
17 記憶装置
Claims (12)
- 車両に搭載され予め設定された課金エリアを当該車両が走行した際該課金エリアについて定められた課金レートと前記課金エリア内における走行距離に応じて前記車両に対して課金を行う距離課金車載装置であって、
第1のコストでかつ第1の測位精度で前記車両の位置を求め車両位置データを得る第1の測位手段と、
前記第1のコストよりも高い第2のコストでかつ前記第1の測位精度よりも精度が高い第2の測位精度で前記車両の位置を求め車両位置データを得る第2の測位手段と、
前記課金エリアの位置を示す課金エリア情報が与えられ、前記第1の測位手段で得られた車両位置データが示す前記車両の位置と前記課金エリア情報が示す前記課金エリアの位置に応じて前記車両が前記課金エリアに近づいたか否かを判定して、前記車両が前記課金エリアに近づいたときのみ前記第2の測位手段を用いる判定手段と、
前記車両位置データに応じて前記車両が前記課金エリアに位置するか否かを判定して前記車両が前記課金エリアに位置する際の走行距離と前記課金レートとに応じて課金額を決定する課金額算出手段とを有することを特徴とする距離課金車載装置。 - 前記判定手段は前記第1の測位手段における測位誤差が予め設定された閾値以上となった際、前記第2の測位手段を用いるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の距離課金車載装置。
- 互いにその課金レートが異なる複数の課金エリアが設定されており、前記判定手段は一つの課金エリアから他の課金エリアに前記車両が近づくと前記第2の測位手段を用いるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の距離課金車載装置。
- 車両に搭載され予め設定された課金エリアを当該車両が走行した際該課金エリアについて定められた課金レートと前記課金エリア内における走行距離に応じて前記車両に対して課金を行う距離課金車載装置であって、
GPS衛星からの電波に応じて前記車両の位置を求め車両位置データを得る測位手段と、
前記課金エリアの位置を示す課金エリア情報が与えられ、前記車両位置データが示す前記車両の位置と前記課金エリア情報が示す前記課金エリアの位置とに応じて前記車両が前記課金エリアに近づいたか否かを判定して、前記車両が前記課金エリアに近づいたと判定すると、前記GPS衛星からの電波に応じて得られた基地局の位置と前記基地局が配置された基準点との誤差に応じた位置補正データを用いて測位を支援する基地局支援測位を起動する判定手段と、
前記位置補正データに応じて前記車両位置データを補正する誤差補正手段と、
前記車両位置データに応じて前記車両が前記課金エリアに位置するか否かを判定して前記車両が前記課金エリアに位置する際の走行距離と前記課金レートとに応じて課金額を決定する課金額算出手段とを有することを特徴とする距離課金車載装置。 - 前記判定手段は、前記車両位置データが示す前記車両の位置と前記課金エリア情報が示す前記課金エリアの位置との差が予め設定された第1の閾値となると、前記基地局支援測位を用いるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の距離課金車載装置。
- 前記測位手段は、受信可能な前記GPS衛星の数に応じて前記車両位置データの誤差の範囲を推定する推定誤差を送出しており、
前記判定手段は前記推定誤差が予め設定された第2の閾値以上となると前記基地局支援測位を起動するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の距離課金車載装置。 - 前記第2の閾値は、前記測位手段が測位に十分な数の衛星が使用できた際の第1の測位誤差と測位に不十分な数の衛星しか利用できなかった際の第2の測位誤差とを区別する値であることを特徴とする請求項6に記載の距離課金車載装置。
- 互いにその課金レートが異なる複数の課金エリアが設定されており、前記判定手段は一つの課金エリアから他の課金エリアに前記車両が近づくと前記基地局支援測位を用いるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の距離課金車載装置。
- 車両に搭載され予め設定された課金エリアを当該車両が走行した際該課金エリアについて定められた課金レートと前記課金エリア内における走行距離に応じて前記車両に対して課金を行う距離課金車載装置であって、
慣性航法に応じて前記車両の位置を求め車両位置データを得る慣性航法測位手段と、
前記車両の走行距離又は走行時間に応じて前記車両の位置誤差が規定された誤差関数に基づいて得られる車両位置誤差が予め規定された閾値以上となると、GPS衛星からの電波に応じて得られた基地局の位置と前記基地局が配置された基準点との誤差に応じた位置補正データを用いて測位を支援する基地局支援測位を起動する判定手段と、
前記位置補正データに応じて前記車両位置データを補正する誤差補正手段と、
前記車両位置データに応じて前記車両が前記課金エリアに位置するか否かを判定して、前記車両が前記課金エリアに位置する際の走行距離と前記課金レートとに応じて課金額を決定する課金額算出手段とを有することを特徴とする距離課金車載装置。 - 車両に搭載され予め設定された課金エリアを当該車両が走行した際該課金エリアについて定められた課金レートと前記課金エリア内における走行距離に応じて前記車両に対して課金を行う際に用いられる距離課金システムであって、
前記車両に搭載された距離課金車載装置と、該距離課金車載装置と通信を行う基地局とを備え、
前記距離課金車載装置には、GPS衛星からの電波に応じて前記車両の位置を求め車両位置データを得る測位手段と、前記基地局から位置補正データを受信する基地局支援測位手段と、前記課金エリアの位置を示す課金エリア情報が与えられ前記車両位置データが示す前記車両の位置と前記課金エリア情報が示す前記課金エリアの位置とに応じて前記車両が前記課金エリアに近づいたか否かを判定して、前記車両が前記課金エリアに近づいたと判定すると、前記基地局支援測位手段を起動する判定手段と、前記位置補正データに応じて前記車両位置データを補正する誤差補正手段と、前記車両位置データに応じて前記車両が前記課金エリアに位置するか否かを判定して前記車両が前記課金エリアに位置する際の走行距離と前記課金レートとに応じて課金額を決定する課金額算出手段とが備えられ、
前記基地局は前記GPS衛星からの電波に応じて得られた前記基地局の位置と前記基地局が配置された基準点との誤差に応じて前記位置補正データを生成するようにしたことを特徴とする距離課金システム。 - 前記測位手段は、受信可能な前記GPS衛星の数に応じて前記車両位置データの誤差の範囲を推定する推定誤差を送出しており、前記判定手段は前記推定誤差が予め設定された第2の閾値以上となると前記基地局支援測位手段を起動するようにしたことを特徴とする請求項10に記載の距離課金システム。
- 互いにその課金レートが異なる複数の課金エリアが設定されており、前記判定手段は一つの課金エリアから他の課金エリアに前記車両が近づくと前記基地局支援測位手段を用いるようにしたことを特徴とする請求項10に記載の距離課金システム。
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2002
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