JP2004186281A - Icチップの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】極めて薄いウエハであってもウエハの破損等を防止し、取扱性を改善し、良好にICチップへの加工が行えるICチップの製造方法を提供する。
【解決手段】光による刺激により少なくとも片方の表面から気体を発生する粘着シートから形成されている支持テープを介して、ウエハを透明支持板に固定する工程、ウエハを透明支持板に固定した状態で加工する工程、透明支持板側から支持テープに光を照射してウエハから支持テープを剥離する工程を有するICチップの製造方法であって、支持テープを介してウエハを透明支持板に固定する工程において、光による刺激により気体を発生する粘着シート表面とウエハとを貼り合わせ、透明支持板側から支持テープに光を照射してウエハから支持テープを剥離する工程において、支持テープの外周部で接着面が剥離するより以前に中心付近で接着面を剥離させるICチップの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】光による刺激により少なくとも片方の表面から気体を発生する粘着シートから形成されている支持テープを介して、ウエハを透明支持板に固定する工程、ウエハを透明支持板に固定した状態で加工する工程、透明支持板側から支持テープに光を照射してウエハから支持テープを剥離する工程を有するICチップの製造方法であって、支持テープを介してウエハを透明支持板に固定する工程において、光による刺激により気体を発生する粘着シート表面とウエハとを貼り合わせ、透明支持板側から支持テープに光を照射してウエハから支持テープを剥離する工程において、支持テープの外周部で接着面が剥離するより以前に中心付近で接着面を剥離させるICチップの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであってもウエハの破損等を防止し、取扱性を改善し、良好にICチップへの加工が行えるICチップの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路(ICチップ)は、通常高純度半導体単結晶等をスライスしてウエハとしたのち、フォトレジストを利用してウエハ表面に所定の回路パターンを形成して、次いでウエハ裏面を研磨機により研磨する等の加工を行い、ウエハの厚さを100〜600μm程度まで薄くし、最後にダイシングしてチップ化することにより、製造されている。
【0003】
ここで、上記研磨時には、ウエハ表面に粘着シート類(研磨用テープ)を貼り付けて、ウエハの破損を防止したり、研磨加工を容易にしており、上記ダイシング時には、ウエハ裏面側に粘着シート類(ダイシングテープ)を貼り付けて、ウエハを接着固定した状態でダイシングし、形成されたチップをダイシングテープのフィルム基材側よりニードルで突き上げてピックアップし、ダイパッド上に固定させている。
【0004】
近年、ICチップの用途が広がるにつれて、ICカード類に用いたり、積層して使用したりすることができる厚さ50μm程度の極めて薄い半導体ウエハも要求されるようになってきた。しかしながら、厚さが50μm程度の半導体ウエハは、従来の厚さが100〜600μm程度の半導体ウエハに比べて反りが大きく衝撃により割れやすくなるので取扱性に劣り、従来の半導体ウエハと同様に加工しようとすると、破損する場合がある。
【0005】
厚さが50μm程度の半導体ウエハは、衝撃を受けやすい研磨工程又はダイシング工程で破損する危険性が高く、また、ICチップの電極上にバンプを作製する際にも破損しやすいため歩留まりが悪い。このため、厚さ50μm程度の薄い半導体ウエハからICチップを製造する過程におけるウエハの取扱性の向上が重要な課題となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであってもウエハの破損等を防止し、取扱性を改善し、良好にICチップへの加工が行えるICチップの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光による刺激により少なくとも片方の表面から気体を発生する粘着シートから形成されている支持テープを介して、ウエハを透明支持板に固定する工程、前記ウエハを、前記透明支持板に固定した状態で加工する工程、前記透明支持板側から前記支持テープに光を照射して前記ウエハから前記支持テープを剥離する工程を有するICチップの製造方法であって、前記支持テープを介してウエハを透明支持板に固定する工程において、光による刺激により気体を発生する粘着シート表面と前記ウエハとを貼り合わせ、前記透明支持板側から前記支持テープに光を照射して前記ウエハから前記支持テープを剥離する工程において、前記支持テープの外周部で接着面が剥離するより以前に中心付近で接着面を剥離させるICチップの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明のICチップの製造方法は、支持テープを介してウエハを透明支持板に固定する工程を有する。
上記透明支持板に固定することにより、ウエハの取扱い性が向上し、厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであってもウエハの破損等を防止し、良好にICチップへの加工を行うことができる。
【0009】
この時点でのウエハは、高純度なシリコン単結晶やガリウム砒素単結晶等をスライスして半導体ウエハとし、ウエハ表面に所定の回路パターンが形成されたものであり、厚さ500μm〜1mm程度ものである。このウエハを透明支持板に固定するに際しては、ウエハの回路が形成されている面と上記支持テープとを貼り合わせる。
【0010】
上記透明支持板としては光を充分に透過できるものであれば特に限定されず、例えば、ガラス板;アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、PET、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の樹脂からなる板状体等が挙げられる。上記透明支持板には、帯電防止処理が施されていてもよい。
【0011】
上記透明支持板の厚さとしては500μm〜3mmが好ましく、より好ましくは1〜2mmである。また、上記透明支持板の厚さのばらつきは、1%以下であることが好ましい。
【0012】
上記支持テープは、光による刺激により少なくとも片方の表面から気体を発生する粘着シートから形成されている。かかる支持テープを用いることにより、得られた半導体ウエハ薄膜又はICチップを容易に支持テープから剥離することができる。
上記粘着シートは、基材の両面に粘着剤層が形成されて構成されるサポートテープであってもよいし、両面に粘着剤層を有する粘着性ノンサポートテープであってもよい。また、上記粘着シートを単層であっても多層であってもよい。
【0013】
上記粘着テープがサポートテープである場合、上記基材としては、光を透過又は通過することができるものが好ましい。具体的には、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、PET、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。
【0014】
上記光による刺激により少なくとも片方の表面から気体を発生する粘着シートとしては、例えば、少なくとも片面に、光による刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤(A)層が形成されている粘着シート等が挙げられる。また、上記光としては、例えば、紫外線や可視光線等が挙げられる。
【0015】
上記光による刺激により気体を発生する気体発生剤としては特に限定されないが、例えば、アゾ化合物、アジド化合物が好適に用いられる。
上記アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェイトジハイドロレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシアシル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミジン]プロパン}、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアンカルボニックアシッド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
ICチップの製造においては、必要に応じて高温処理を行う工程が入ることから、これらのなかでも熱分解温度の高い2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)が好適である。
これらのアゾ化合物は、光、熱等による刺激により窒素ガスを発生する。
【0016】
上記アジド化合物としては、例えば、3−アジドメチル−3−メチルオキセタン、テレフタルアジド、p−tert−ブチルベンズアジド;3−アジドメチル−3−メチルオキセタンを開環重合することにより得られるグリシジルアジドポリマーなどのアジド基を有するポリマー等が挙げられる。
これらのアジド化合物は、光、熱及び衝撃等による刺激により窒素ガスを発生する。
【0017】
これらの気体発生剤のうち、上記アジド化合物は衝撃を与えることによっても容易に分解して窒素ガスを放出することから、取扱いが困難であるという問題がある。更に、上記アジド化合物は、いったん分解が始まると連鎖反応を起こして爆発的に窒素ガスを放出しその制御ができないことから、爆発的に発生した窒素ガスによってウエハが損傷することがあるという問題もある。かかる問題から上記アジド化合物の使用量は限定されるが、限定された使用量では充分な効果が得られないことがある。
一方、上記アゾ化合物は、アジド化合物とは異なり衝撃によっては気体を発生しにくいことから取扱いが極めて容易である。また、連鎖反応を起こして爆発的に気体を発生することもないためウエハを損傷することもなく、光の照射を中断すれば気体の発生も中断できることから、用途に合わせた接着性の制御が可能であるという利点もある。したがって、上記気体発生剤としては、アゾ化合物を用いることがより好ましい。
【0018】
上記気体発生剤を含有することにより、上記粘着剤(A)層に光による刺激を与えると粘着剤(A)層の気体発生剤から気体が発生して、粘着力が低下して被着体を容易に剥離することができる。
【0019】
上記気体発生剤は粘着剤(A)層に含有されていてもよいが、気体発生剤を粘着剤(A)層に含有させておくと粘着剤(A)層全体が発泡体となるため柔らかくなりすぎ、粘着剤(A)層をうまく剥がせなくなるおそれがある。したがって、透明支持板と接する粘着剤(A)層の表層部分にのみ気体発生剤を含有させておくことが好ましい。
表層部分にのみ含有させておけば、支持板と接する粘着剤の表層部分では気体発生剤から気体が発生して界面の接着面積が減少し、なおかつ気体が、被着体から粘着剤の接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させる。
【0020】
上記粘着剤(A)層の表層部分にのみ気体発生剤を含有させる方法としては、例えば、支持テープ上に形成した粘着剤(A)層の上に、1〜20μm程度の厚さで気体発生剤を含有する粘着剤層を設ける方法や、あらかじめ作製した支持テープの粘着剤(A)層の表面に、気体発生剤を含有する揮発性液体を塗布するかスプレー等によって吹き付けることにより、粘着剤(A)層表面に気体発生剤を均一に付着させる方法等が挙げられる。
粘着剤(A)層表面に気体発生剤を付着させる場合は、粘着剤(A)と相溶性に優れた気体発生剤を付着させることが好ましい。すなわち、粘着剤(A)層表面に気体発生剤を多量に付着させると粘着力が低くなるが、気体発生剤が粘着剤(A)と相溶する場合は、付着した気体発生剤は粘着剤(A)層に吸収され粘着力が低下することがない。
なお、上記表層部分は、粘着剤(A)層の厚さによるが、粘着剤表面から20μmまでの部分であることが好ましい。また、ここでいう表層部分には粘着剤層表面に気体発生剤が均一に付着していている態様や粘着剤層表面に付着した気体発生剤が粘着剤と相溶し粘着剤層に吸収された態様を含む。
【0021】
上記粘着剤(A)層における気体発生剤の含有量は特に限定されないが、大量の気体が一時に発生すると、気体の圧力によりウエハが変形したり破損したりする場合があることから、ウエハと粘着テープとを剥離させることができる限りにおいて、少量であることが好ましい。
【0022】
上記粘着剤(A)層を構成する粘着剤(A)は、光による刺激により弾性率が上昇するものであることが好ましい。上記粘着剤の弾性率を上昇させる刺激は、上記気体発生剤から気体を発生させる刺激と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
かかる粘着剤(A)としては、例えば、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有してなるアクリル酸アルキルエステル系及び/又はメタクリル酸アルキルエステル系の重合性ポリマーと、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーとを主成分とし、必要に応じて光重合開始剤を含んでなる光硬化型粘着剤等からなるものが挙げられる。
【0023】
このような光硬化型粘着剤等の後硬化型粘着剤は、光の照射により粘着剤層の全体が均一にかつ速やかに重合架橋して一体化するため、重合硬化による弾性率の上昇が著しくなり、粘着力が大きく低下する。また、硬い硬化物中で気体発生剤から気体を発生させると、発生した気体の大半は外部に放出され、放出された気体は、被着体から粘着剤の接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させる。
【0024】
上記重合性ポリマーは、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマー(以下、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーという)をあらかじめ合成し、分子内に上記の官能基と反応する官能基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という)と反応させることにより得ることができる。
【0025】
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、常温で粘着性を有するポリマーとして、一般の(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様に、アルキル基の炭素数が通常2〜18の範囲にあるアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これと官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させることにより得られるものである。上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常20万〜200万程度である。
【0026】
上記官能基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマー;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸イソシアネートエチル、メタクリル酸イソシアネートエチル等のイソシアネート基含有モノマー;アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノエチル等のアミノ基含有モノマー等が挙げられる。
【0027】
上記共重合可能な他の改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーが挙げられる。
【0028】
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーに反応させる官能基含有不飽和化合物としては、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基に応じて上述した官能基含有モノマーと同様のものを使用できる。例えば、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基がカルボキシル基の場合はエポキシ基含有モノマーやイソシアネート基含有モノマーが用いられ、同官能基がヒドロキシル基の場合はイソシアネート基含有モノマーが用いられ、同官能基がエポキシ基の場合はカルボキシル基含有モノマーやアクリルアミド等のアミド基含有モノマーが用いられ、同官能基がアミノ基の場合はエポキシ基含有モノマーが用いられる。
【0029】
上記多官能オリゴマー又はモノマーとしては、分子量が1万以下であるものが好ましく、より好ましくは光の照射による粘着剤層の三次元網状化が効率よくなされるように、その分子量が5,000以下でかつ分子内のラジカル重合性の不飽和結合の数が2〜20個のものである。このようなより好ましい多官能オリゴマー又はモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又は上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。その他、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート、上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。これらの多官能オリゴマー又はモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
上記光重合開始剤としては、例えば、250〜800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられ、このような光重合開始剤としては、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物;フォスフィンオキシド誘導体化合物;ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、トデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0031】
上記後硬化型粘着剤には、以上の成分のほか、粘着剤としての凝集力の調節を図る目的で、所望によりイソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物等の一般の粘着剤に配合される各種の多官能性化合物を適宜配合してもよい。また、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤等の公知の添加剤を加えることもできる。
【0032】
上記粘着シートにおいては、他の一面にも粘着剤(B)層が形成されている。この粘着剤(B)層としては特に限定されない。また、この粘着剤(B)層の表面には、透明支持板とウエハとを平面性よく貼り合わせるために、エンボス加工が施されていてもよい。
【0033】
上記支持テープを介してウエハを透明支持板に固定するには、光による刺激により気体を発生する粘着シート表面とウエハとを貼り合わせる。より平面性よく貼り合わせるために、真空ラミネーター等を用いて真空状態で貼り合わせを行うことが好ましい。
透明支持板に固定することにより、50μm程度の非常に薄いウエハが補強されウエハが搬送や加工される際に欠けたり割れたりすることがなく、また、支持テープはICチップを製造する一連の工程が終了した際、光を照射することにより容易にICチップから剥離することができる。
【0034】
本発明のICチップの製造方法では、ウエハを透明支持板に固定した状態で研磨やダイシング、ダイボンディング等の加工を行う。透明支持板に固定することにより、研磨等の加工におけるウエハの破損を防止することができ、また、ウエハを平滑に加工することができる。
【0035】
次いで、上記透明支持板側から支持テープに光を照射して、ウエハから支持テープを剥離する。
光を照射することにより、粘着剤(A)層中の気体発生剤から気体が発生し、粘着剤の粘着力を低下させる。
上記光としては特に限定されないが、紫外線が好ましい。
【0036】
このとき、支持テープの外周部で接着面が剥離するより以前に中心付近の接着面を剥離させる。
支持テープの外周部の接着面が先に剥離すると、次いで発生する気体が既に剥離した隙間を通って外部に漏れてしまい、接着面の剥離には用いられないことがあり、ウエハと支持テープとを完全には剥離できないことがある。上述のように、気体の圧力によりウエハが変形したり破損したりすることを防止するために、上記粘着剤(A)層における気体発生剤の含有量は必要最小限であることが好ましいが、気体発生剤の量を少なくするとこのような剥離不良が起こりやすくなる。支持テープの外周部で接着面が剥離するより以前に中心付近の接着面を剥離させることにより、中心付近で発生した気体は逃げ道がなく、すべて接着面の剥離に用いられる。これにより、ウエハを変形したり破損したりする恐れのない少量の気体発生剤の使用であっても、確実にウエハと支持テープとを剥離することができる。
【0037】
このように支持テープの外周部で接着面が剥離するより以前に中心付近の接着面を剥離させる方法としては、例えば、支持テープの一部を照らす光を用い、光を前記支持テープの中心付近から外周部に向かって照射する方法等が挙げられる。具体的には、例えば、光源としてスポットレーザー等を用いる方法;中心部から開閉可能なシャッター状のマスクを用いて、上部から紫外線を照射しながら、少しずつシャッターを開けることによりウエハが中心付近から外周部方向に露出するようにする方法等が挙げられる。
【0038】
なお、本発明のICチップの製造方法においては、光を照射して上記粘着剤層の粘着力を低下させ、ウエハから支持テープを剥離する。これに先立って透明支持板に固定した状態でウエハをダイシング等の一連の加工を行いチップにまで加工してもよい。
また、透明支持板にウエハを固定した状態で研磨やダイシング等の加工を行い、加工途中のウエハと支持テープとを剥離してもよい。なお、加工途中で支持テープを剥離する場合は、支持テープを剥離する際に研磨用テープやダイシングテープをウエハに貼り付け、これにウエハを転写してもよい。
【0039】
本発明のICチップの製造方法では、上記支持テープによりウエハを透明支持板高い接着強度で接着し、この状態で研磨及びダイシング等の加工を行うことから、ウエハを厚さ50μm程度まで極めて薄くした場合においても、ウエハの破損等を防止し、取扱い性を改善し、良好にICチップへの加工が行える。また、ウエハを加工した後は、光による刺激を与えることにより上記支持テープの粘着剤(A)層の粘着力が低下するため極めて容易にウエハを剥離することができる。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
<粘着剤の調製>
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量70万のアクリル共重合体を得た。
得られたアクリル共重合体を含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、ペンタエリスリトールトリアクリレート20重量部、光重合開始剤(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)0.5重量部、ポリイソシアネート1.5重量部を混合し粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を調製した。
ブチルアクリレート 79重量部
エチルアクリレート 15重量部
アクリル酸 1重量部
2ーヒドロキシエチルアクリレート 5重量部
光重合開始剤 0.2重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.02重量部
【0042】
更に、粘着剤(1)の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)100重量部を混合して、気体発生剤を含有する粘着剤(2)を調製した。
【0043】
<支持テープの作製>
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、両面にコロナ処理を施した厚さ100μmの透明なPETフィルムの片面に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤(1)層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。
【0044】
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤(1)層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。
【0045】
次いで、粘着剤(1)層を設けたコロナ処理を施したPETフィルムの粘着剤(1)層のない面と、粘着剤(1)層を設けた離型処理が施されたPETフィルムの粘着剤(1)層の面とを貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、離型処理が施されたPETフィルムで表面を保護された支持テープ1を得た。
【0046】
別に、粘着剤(2)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約10μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤(2)層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(2)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。
【0047】
支持テープ1の片側の粘着剤(1)層を保護する表面に離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、粘着剤(2)層が形成された表面に離型処理が施されたPETフィルムの粘着剤(2)層と貼り合わせた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
これにより一方の面に粘着剤(1)層を、他方の面に粘着剤(1)層の表層部分に粘着剤(2)からなるプライマー層を有し、粘着剤層が表面に離型処理が施されたPETフィルムで保護された支持テープ2を得た。
【0048】
<ICチップの製造>
支持テープ2の粘着剤(2)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20.4cm、厚さ約750μmのシリコンウエハの回路パターンが形成されている面と貼り合わせた。次に、粘着剤(1)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20.4cmのガラス板に減圧環境下で貼り合わせた。
(研磨工程)
ガラス板に固定されたシリコンウエハを研磨装置に取りつけ、シリコンウエハの厚さが約50μmになるまで研磨した。
(UV照射及びウエハの剥離工程)
ガラス板に固定されたシリコンウエハを中心部から開閉可能なシャッター状のマスクで覆った。ガラス板側から超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線をガラス板表面への照射強度が40mW/cm2となるよう照度を調節して照射しながら、少しずつシャッターを開けることによりシリコンウエハが中心付近から外周部方向に露出するようにした。
次いで、シリコンウエハをダイシングテープに固定し、ガラス板を真上に引っ張って支持シートをシリコンウエハから剥がした。
(ダイシング工程)
続いて、ダイシングテープで補強されたシリコンウエハをダイシング装置に取り付け、ウエハ側からカッター刃を切り入れシリコンウエハをICチップの大きさに切断した。次いで、ダイシングテープを剥がしICチップを得た
【0049】
支持テープ2を用いることにより、ウエハとガラス板とを高い接着強度で接着することができ、この状態で研磨することによりウエハを破損することなく約50μmの厚さに研磨することができた。次いで、紫外線をガラス板側から、支持テープの中心付近から外周部に向かって照射して気体発生剤から気体を発生させることにより、支持テープの粘着力が著しく低下し、容易にウエハを剥離することができた。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであってもウエハの破損等を防止し、取扱性を改善し、良好にICチップへの加工が行えるICチップの製造方法を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであってもウエハの破損等を防止し、取扱性を改善し、良好にICチップへの加工が行えるICチップの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路(ICチップ)は、通常高純度半導体単結晶等をスライスしてウエハとしたのち、フォトレジストを利用してウエハ表面に所定の回路パターンを形成して、次いでウエハ裏面を研磨機により研磨する等の加工を行い、ウエハの厚さを100〜600μm程度まで薄くし、最後にダイシングしてチップ化することにより、製造されている。
【0003】
ここで、上記研磨時には、ウエハ表面に粘着シート類(研磨用テープ)を貼り付けて、ウエハの破損を防止したり、研磨加工を容易にしており、上記ダイシング時には、ウエハ裏面側に粘着シート類(ダイシングテープ)を貼り付けて、ウエハを接着固定した状態でダイシングし、形成されたチップをダイシングテープのフィルム基材側よりニードルで突き上げてピックアップし、ダイパッド上に固定させている。
【0004】
近年、ICチップの用途が広がるにつれて、ICカード類に用いたり、積層して使用したりすることができる厚さ50μm程度の極めて薄い半導体ウエハも要求されるようになってきた。しかしながら、厚さが50μm程度の半導体ウエハは、従来の厚さが100〜600μm程度の半導体ウエハに比べて反りが大きく衝撃により割れやすくなるので取扱性に劣り、従来の半導体ウエハと同様に加工しようとすると、破損する場合がある。
【0005】
厚さが50μm程度の半導体ウエハは、衝撃を受けやすい研磨工程又はダイシング工程で破損する危険性が高く、また、ICチップの電極上にバンプを作製する際にも破損しやすいため歩留まりが悪い。このため、厚さ50μm程度の薄い半導体ウエハからICチップを製造する過程におけるウエハの取扱性の向上が重要な課題となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであってもウエハの破損等を防止し、取扱性を改善し、良好にICチップへの加工が行えるICチップの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光による刺激により少なくとも片方の表面から気体を発生する粘着シートから形成されている支持テープを介して、ウエハを透明支持板に固定する工程、前記ウエハを、前記透明支持板に固定した状態で加工する工程、前記透明支持板側から前記支持テープに光を照射して前記ウエハから前記支持テープを剥離する工程を有するICチップの製造方法であって、前記支持テープを介してウエハを透明支持板に固定する工程において、光による刺激により気体を発生する粘着シート表面と前記ウエハとを貼り合わせ、前記透明支持板側から前記支持テープに光を照射して前記ウエハから前記支持テープを剥離する工程において、前記支持テープの外周部で接着面が剥離するより以前に中心付近で接着面を剥離させるICチップの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明のICチップの製造方法は、支持テープを介してウエハを透明支持板に固定する工程を有する。
上記透明支持板に固定することにより、ウエハの取扱い性が向上し、厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであってもウエハの破損等を防止し、良好にICチップへの加工を行うことができる。
【0009】
この時点でのウエハは、高純度なシリコン単結晶やガリウム砒素単結晶等をスライスして半導体ウエハとし、ウエハ表面に所定の回路パターンが形成されたものであり、厚さ500μm〜1mm程度ものである。このウエハを透明支持板に固定するに際しては、ウエハの回路が形成されている面と上記支持テープとを貼り合わせる。
【0010】
上記透明支持板としては光を充分に透過できるものであれば特に限定されず、例えば、ガラス板;アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、PET、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の樹脂からなる板状体等が挙げられる。上記透明支持板には、帯電防止処理が施されていてもよい。
【0011】
上記透明支持板の厚さとしては500μm〜3mmが好ましく、より好ましくは1〜2mmである。また、上記透明支持板の厚さのばらつきは、1%以下であることが好ましい。
【0012】
上記支持テープは、光による刺激により少なくとも片方の表面から気体を発生する粘着シートから形成されている。かかる支持テープを用いることにより、得られた半導体ウエハ薄膜又はICチップを容易に支持テープから剥離することができる。
上記粘着シートは、基材の両面に粘着剤層が形成されて構成されるサポートテープであってもよいし、両面に粘着剤層を有する粘着性ノンサポートテープであってもよい。また、上記粘着シートを単層であっても多層であってもよい。
【0013】
上記粘着テープがサポートテープである場合、上記基材としては、光を透過又は通過することができるものが好ましい。具体的には、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、PET、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。
【0014】
上記光による刺激により少なくとも片方の表面から気体を発生する粘着シートとしては、例えば、少なくとも片面に、光による刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着剤(A)層が形成されている粘着シート等が挙げられる。また、上記光としては、例えば、紫外線や可視光線等が挙げられる。
【0015】
上記光による刺激により気体を発生する気体発生剤としては特に限定されないが、例えば、アゾ化合物、アジド化合物が好適に用いられる。
上記アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェイトジハイドロレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシアシル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミジン]プロパン}、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアンカルボニックアシッド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
ICチップの製造においては、必要に応じて高温処理を行う工程が入ることから、これらのなかでも熱分解温度の高い2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)が好適である。
これらのアゾ化合物は、光、熱等による刺激により窒素ガスを発生する。
【0016】
上記アジド化合物としては、例えば、3−アジドメチル−3−メチルオキセタン、テレフタルアジド、p−tert−ブチルベンズアジド;3−アジドメチル−3−メチルオキセタンを開環重合することにより得られるグリシジルアジドポリマーなどのアジド基を有するポリマー等が挙げられる。
これらのアジド化合物は、光、熱及び衝撃等による刺激により窒素ガスを発生する。
【0017】
これらの気体発生剤のうち、上記アジド化合物は衝撃を与えることによっても容易に分解して窒素ガスを放出することから、取扱いが困難であるという問題がある。更に、上記アジド化合物は、いったん分解が始まると連鎖反応を起こして爆発的に窒素ガスを放出しその制御ができないことから、爆発的に発生した窒素ガスによってウエハが損傷することがあるという問題もある。かかる問題から上記アジド化合物の使用量は限定されるが、限定された使用量では充分な効果が得られないことがある。
一方、上記アゾ化合物は、アジド化合物とは異なり衝撃によっては気体を発生しにくいことから取扱いが極めて容易である。また、連鎖反応を起こして爆発的に気体を発生することもないためウエハを損傷することもなく、光の照射を中断すれば気体の発生も中断できることから、用途に合わせた接着性の制御が可能であるという利点もある。したがって、上記気体発生剤としては、アゾ化合物を用いることがより好ましい。
【0018】
上記気体発生剤を含有することにより、上記粘着剤(A)層に光による刺激を与えると粘着剤(A)層の気体発生剤から気体が発生して、粘着力が低下して被着体を容易に剥離することができる。
【0019】
上記気体発生剤は粘着剤(A)層に含有されていてもよいが、気体発生剤を粘着剤(A)層に含有させておくと粘着剤(A)層全体が発泡体となるため柔らかくなりすぎ、粘着剤(A)層をうまく剥がせなくなるおそれがある。したがって、透明支持板と接する粘着剤(A)層の表層部分にのみ気体発生剤を含有させておくことが好ましい。
表層部分にのみ含有させておけば、支持板と接する粘着剤の表層部分では気体発生剤から気体が発生して界面の接着面積が減少し、なおかつ気体が、被着体から粘着剤の接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させる。
【0020】
上記粘着剤(A)層の表層部分にのみ気体発生剤を含有させる方法としては、例えば、支持テープ上に形成した粘着剤(A)層の上に、1〜20μm程度の厚さで気体発生剤を含有する粘着剤層を設ける方法や、あらかじめ作製した支持テープの粘着剤(A)層の表面に、気体発生剤を含有する揮発性液体を塗布するかスプレー等によって吹き付けることにより、粘着剤(A)層表面に気体発生剤を均一に付着させる方法等が挙げられる。
粘着剤(A)層表面に気体発生剤を付着させる場合は、粘着剤(A)と相溶性に優れた気体発生剤を付着させることが好ましい。すなわち、粘着剤(A)層表面に気体発生剤を多量に付着させると粘着力が低くなるが、気体発生剤が粘着剤(A)と相溶する場合は、付着した気体発生剤は粘着剤(A)層に吸収され粘着力が低下することがない。
なお、上記表層部分は、粘着剤(A)層の厚さによるが、粘着剤表面から20μmまでの部分であることが好ましい。また、ここでいう表層部分には粘着剤層表面に気体発生剤が均一に付着していている態様や粘着剤層表面に付着した気体発生剤が粘着剤と相溶し粘着剤層に吸収された態様を含む。
【0021】
上記粘着剤(A)層における気体発生剤の含有量は特に限定されないが、大量の気体が一時に発生すると、気体の圧力によりウエハが変形したり破損したりする場合があることから、ウエハと粘着テープとを剥離させることができる限りにおいて、少量であることが好ましい。
【0022】
上記粘着剤(A)層を構成する粘着剤(A)は、光による刺激により弾性率が上昇するものであることが好ましい。上記粘着剤の弾性率を上昇させる刺激は、上記気体発生剤から気体を発生させる刺激と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
かかる粘着剤(A)としては、例えば、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有してなるアクリル酸アルキルエステル系及び/又はメタクリル酸アルキルエステル系の重合性ポリマーと、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーとを主成分とし、必要に応じて光重合開始剤を含んでなる光硬化型粘着剤等からなるものが挙げられる。
【0023】
このような光硬化型粘着剤等の後硬化型粘着剤は、光の照射により粘着剤層の全体が均一にかつ速やかに重合架橋して一体化するため、重合硬化による弾性率の上昇が著しくなり、粘着力が大きく低下する。また、硬い硬化物中で気体発生剤から気体を発生させると、発生した気体の大半は外部に放出され、放出された気体は、被着体から粘着剤の接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させる。
【0024】
上記重合性ポリマーは、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマー(以下、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーという)をあらかじめ合成し、分子内に上記の官能基と反応する官能基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という)と反応させることにより得ることができる。
【0025】
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、常温で粘着性を有するポリマーとして、一般の(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様に、アルキル基の炭素数が通常2〜18の範囲にあるアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これと官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させることにより得られるものである。上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常20万〜200万程度である。
【0026】
上記官能基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマー;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸イソシアネートエチル、メタクリル酸イソシアネートエチル等のイソシアネート基含有モノマー;アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノエチル等のアミノ基含有モノマー等が挙げられる。
【0027】
上記共重合可能な他の改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーが挙げられる。
【0028】
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーに反応させる官能基含有不飽和化合物としては、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基に応じて上述した官能基含有モノマーと同様のものを使用できる。例えば、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基がカルボキシル基の場合はエポキシ基含有モノマーやイソシアネート基含有モノマーが用いられ、同官能基がヒドロキシル基の場合はイソシアネート基含有モノマーが用いられ、同官能基がエポキシ基の場合はカルボキシル基含有モノマーやアクリルアミド等のアミド基含有モノマーが用いられ、同官能基がアミノ基の場合はエポキシ基含有モノマーが用いられる。
【0029】
上記多官能オリゴマー又はモノマーとしては、分子量が1万以下であるものが好ましく、より好ましくは光の照射による粘着剤層の三次元網状化が効率よくなされるように、その分子量が5,000以下でかつ分子内のラジカル重合性の不飽和結合の数が2〜20個のものである。このようなより好ましい多官能オリゴマー又はモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又は上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。その他、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート、上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。これらの多官能オリゴマー又はモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
上記光重合開始剤としては、例えば、250〜800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられ、このような光重合開始剤としては、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物;フォスフィンオキシド誘導体化合物;ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、トデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0031】
上記後硬化型粘着剤には、以上の成分のほか、粘着剤としての凝集力の調節を図る目的で、所望によりイソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物等の一般の粘着剤に配合される各種の多官能性化合物を適宜配合してもよい。また、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤等の公知の添加剤を加えることもできる。
【0032】
上記粘着シートにおいては、他の一面にも粘着剤(B)層が形成されている。この粘着剤(B)層としては特に限定されない。また、この粘着剤(B)層の表面には、透明支持板とウエハとを平面性よく貼り合わせるために、エンボス加工が施されていてもよい。
【0033】
上記支持テープを介してウエハを透明支持板に固定するには、光による刺激により気体を発生する粘着シート表面とウエハとを貼り合わせる。より平面性よく貼り合わせるために、真空ラミネーター等を用いて真空状態で貼り合わせを行うことが好ましい。
透明支持板に固定することにより、50μm程度の非常に薄いウエハが補強されウエハが搬送や加工される際に欠けたり割れたりすることがなく、また、支持テープはICチップを製造する一連の工程が終了した際、光を照射することにより容易にICチップから剥離することができる。
【0034】
本発明のICチップの製造方法では、ウエハを透明支持板に固定した状態で研磨やダイシング、ダイボンディング等の加工を行う。透明支持板に固定することにより、研磨等の加工におけるウエハの破損を防止することができ、また、ウエハを平滑に加工することができる。
【0035】
次いで、上記透明支持板側から支持テープに光を照射して、ウエハから支持テープを剥離する。
光を照射することにより、粘着剤(A)層中の気体発生剤から気体が発生し、粘着剤の粘着力を低下させる。
上記光としては特に限定されないが、紫外線が好ましい。
【0036】
このとき、支持テープの外周部で接着面が剥離するより以前に中心付近の接着面を剥離させる。
支持テープの外周部の接着面が先に剥離すると、次いで発生する気体が既に剥離した隙間を通って外部に漏れてしまい、接着面の剥離には用いられないことがあり、ウエハと支持テープとを完全には剥離できないことがある。上述のように、気体の圧力によりウエハが変形したり破損したりすることを防止するために、上記粘着剤(A)層における気体発生剤の含有量は必要最小限であることが好ましいが、気体発生剤の量を少なくするとこのような剥離不良が起こりやすくなる。支持テープの外周部で接着面が剥離するより以前に中心付近の接着面を剥離させることにより、中心付近で発生した気体は逃げ道がなく、すべて接着面の剥離に用いられる。これにより、ウエハを変形したり破損したりする恐れのない少量の気体発生剤の使用であっても、確実にウエハと支持テープとを剥離することができる。
【0037】
このように支持テープの外周部で接着面が剥離するより以前に中心付近の接着面を剥離させる方法としては、例えば、支持テープの一部を照らす光を用い、光を前記支持テープの中心付近から外周部に向かって照射する方法等が挙げられる。具体的には、例えば、光源としてスポットレーザー等を用いる方法;中心部から開閉可能なシャッター状のマスクを用いて、上部から紫外線を照射しながら、少しずつシャッターを開けることによりウエハが中心付近から外周部方向に露出するようにする方法等が挙げられる。
【0038】
なお、本発明のICチップの製造方法においては、光を照射して上記粘着剤層の粘着力を低下させ、ウエハから支持テープを剥離する。これに先立って透明支持板に固定した状態でウエハをダイシング等の一連の加工を行いチップにまで加工してもよい。
また、透明支持板にウエハを固定した状態で研磨やダイシング等の加工を行い、加工途中のウエハと支持テープとを剥離してもよい。なお、加工途中で支持テープを剥離する場合は、支持テープを剥離する際に研磨用テープやダイシングテープをウエハに貼り付け、これにウエハを転写してもよい。
【0039】
本発明のICチップの製造方法では、上記支持テープによりウエハを透明支持板高い接着強度で接着し、この状態で研磨及びダイシング等の加工を行うことから、ウエハを厚さ50μm程度まで極めて薄くした場合においても、ウエハの破損等を防止し、取扱い性を改善し、良好にICチップへの加工が行える。また、ウエハを加工した後は、光による刺激を与えることにより上記支持テープの粘着剤(A)層の粘着力が低下するため極めて容易にウエハを剥離することができる。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
<粘着剤の調製>
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量70万のアクリル共重合体を得た。
得られたアクリル共重合体を含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、ペンタエリスリトールトリアクリレート20重量部、光重合開始剤(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)0.5重量部、ポリイソシアネート1.5重量部を混合し粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を調製した。
ブチルアクリレート 79重量部
エチルアクリレート 15重量部
アクリル酸 1重量部
2ーヒドロキシエチルアクリレート 5重量部
光重合開始剤 0.2重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.02重量部
【0042】
更に、粘着剤(1)の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)100重量部を混合して、気体発生剤を含有する粘着剤(2)を調製した。
【0043】
<支持テープの作製>
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、両面にコロナ処理を施した厚さ100μmの透明なPETフィルムの片面に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤(1)層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。
【0044】
粘着剤(1)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤(1)層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(1)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。
【0045】
次いで、粘着剤(1)層を設けたコロナ処理を施したPETフィルムの粘着剤(1)層のない面と、粘着剤(1)層を設けた離型処理が施されたPETフィルムの粘着剤(1)層の面とを貼り合わせた。これにより両面に粘着剤層が設けられ、離型処理が施されたPETフィルムで表面を保護された支持テープ1を得た。
【0046】
別に、粘着剤(2)の酢酸エチル溶液を、表面に離型処理が施されたPETフィルムの上に乾燥皮膜の厚さが約10μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して溶剤を揮発させ塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤(2)層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤(2)層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。
【0047】
支持テープ1の片側の粘着剤(1)層を保護する表面に離型処理が施されたPETフィルムを剥がし、粘着剤(2)層が形成された表面に離型処理が施されたPETフィルムの粘着剤(2)層と貼り合わせた。その後、40℃、3日間静置養生を行った。
これにより一方の面に粘着剤(1)層を、他方の面に粘着剤(1)層の表層部分に粘着剤(2)からなるプライマー層を有し、粘着剤層が表面に離型処理が施されたPETフィルムで保護された支持テープ2を得た。
【0048】
<ICチップの製造>
支持テープ2の粘着剤(2)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20.4cm、厚さ約750μmのシリコンウエハの回路パターンが形成されている面と貼り合わせた。次に、粘着剤(1)層を保護するPETフィルムを剥がし、直径20.4cmのガラス板に減圧環境下で貼り合わせた。
(研磨工程)
ガラス板に固定されたシリコンウエハを研磨装置に取りつけ、シリコンウエハの厚さが約50μmになるまで研磨した。
(UV照射及びウエハの剥離工程)
ガラス板に固定されたシリコンウエハを中心部から開閉可能なシャッター状のマスクで覆った。ガラス板側から超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線をガラス板表面への照射強度が40mW/cm2となるよう照度を調節して照射しながら、少しずつシャッターを開けることによりシリコンウエハが中心付近から外周部方向に露出するようにした。
次いで、シリコンウエハをダイシングテープに固定し、ガラス板を真上に引っ張って支持シートをシリコンウエハから剥がした。
(ダイシング工程)
続いて、ダイシングテープで補強されたシリコンウエハをダイシング装置に取り付け、ウエハ側からカッター刃を切り入れシリコンウエハをICチップの大きさに切断した。次いで、ダイシングテープを剥がしICチップを得た
【0049】
支持テープ2を用いることにより、ウエハとガラス板とを高い接着強度で接着することができ、この状態で研磨することによりウエハを破損することなく約50μmの厚さに研磨することができた。次いで、紫外線をガラス板側から、支持テープの中心付近から外周部に向かって照射して気体発生剤から気体を発生させることにより、支持テープの粘着力が著しく低下し、容易にウエハを剥離することができた。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、厚さ50μm程度の極めて薄いウエハであってもウエハの破損等を防止し、取扱性を改善し、良好にICチップへの加工が行えるICチップの製造方法を提供できる。
Claims (1)
- 光による刺激により少なくとも片方の表面から気体を発生する粘着シートから形成されている支持テープを介して、ウエハを透明支持板に固定する工程、
前記ウエハを、前記透明支持板に固定した状態で加工する工程、
前記透明支持板側から前記支持テープに光を照射して前記ウエハから前記支持テープを剥離する工程を有するICチップの製造方法であって、
前記支持テープを介してウエハを透明支持板に固定する工程において、光による刺激により気体を発生する粘着シート表面と前記ウエハとを貼り合わせ、
前記透明支持板側から前記支持テープに光を照射して前記ウエハから前記支持テープを剥離する工程において、前記支持テープの外周部で接着面が剥離するより以前に中心付近で接着面を剥離させる
ことを特徴とするICチップの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002349298A JP2004186281A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | Icチップの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006160954A (ja) * | 2004-12-09 | 2006-06-22 | Sekisui Chem Co Ltd | 粘着シート |
CN100383929C (zh) * | 2005-02-01 | 2008-04-23 | 矽品精密工业股份有限公司 | 一种半导体处理制程 |
JP2010205807A (ja) * | 2009-03-02 | 2010-09-16 | Jsr Corp | 被覆層形成方法 |
-
2002
- 2002-11-29 JP JP2002349298A patent/JP2004186281A/ja not_active Ceased
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