JP2004186245A - カーボンナノチューブの製造方法とカーボンナノチューブ・デバイス - Google Patents

カーボンナノチューブの製造方法とカーボンナノチューブ・デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2004186245A
JP2004186245A JP2002348863A JP2002348863A JP2004186245A JP 2004186245 A JP2004186245 A JP 2004186245A JP 2002348863 A JP2002348863 A JP 2002348863A JP 2002348863 A JP2002348863 A JP 2002348863A JP 2004186245 A JP2004186245 A JP 2004186245A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon nanotube
nanotube film
substrate
carbon
sic layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002348863A
Other languages
English (en)
Inventor
Sakutaro Yamaguchi
作太郎 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
YYL KK
Original Assignee
YYL KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by YYL KK filed Critical YYL KK
Priority to JP2002348863A priority Critical patent/JP2004186245A/ja
Publication of JP2004186245A publication Critical patent/JP2004186245A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】配向性の高いカーボンナノチューブ膜に新たな機能を追加する方法、及び新たな機能を具備する素子の提供。
【解決手段】SiC基板表面に垂直方向に向けて延在するように形成される複数のカーボンナノチューブよりなるカーボンナノチューブ膜を有する基板の、前記カーボンナノチューブ膜が設けられる側とは反対側から、不純物を導入し、P型又はN型素子を形成する。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボンナノチューブの製造方法とカーボンナノチューブを用いた熱電変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、ダイヤモンドやグラファイトと同じ炭素の同位体でもある。ナノチューブの構造は、グラファイトを丸めてつなぎ合わせたものとされる。非常に細く、安定、かつ強固であり、非局在化したπ電子のため電気伝導性にすぐれ、またグラファイト層のまき方に電子構造が金属/半導体となる。
【0003】
その製造方法として、アーク放電、レーザ蒸着、化学気相法(CVD法)等が用いられている。すなわち、従来、カーボンナノチューブを製造する方法としては、不活性ガス雰囲気下において原料であるアモルファスカーボンにアーク放電又はレーザ照射等を行って炭素を蒸発させ、蒸発した炭素を炭素棒上等に凝縮(再結合)させることにより、上記炭素棒上等にカーボンナノチューブを成長させる方法が一般的である。 上記従来の製造方法によると、炭素棒上等にはカーボンナノチューブとともにアモルファスカーボン、グラファイト及びフラーレンが形成される。そこで、カーボンナノチューブの収率又は収量を増すため、或いはカーボンナノチューブの生産性を向上させるための製造方法が提案されている。例えば、高周波プラズマを用いたフラーレン及びカーボンナノチューブの合成方法(特許文献1)、特定の圧力範囲でアーク放電を行うカーボンナノチューブの製造方法が知られている(特許文献2)。
【0004】
上記従来の製造方法は、いずれも炭素蒸気の凝縮再結合によりカーボンナノチューブを形成させているので、沸点の極めて高い炭素を蒸発させるために3000℃近い高温を加える必要がある。このような厳しい条件下で製造するため、カーボンナノチューブ以外の生成物をある程度以下に抑えることは困難であった。また、炭素蒸気からカーボンナノチューブを成長させる従来の方法によると、カーボンナノチューブの外周等に芽のように付着したカーボンナノカプセルが生じやすい。一方、膜の厚み方向に延びるようによく配向した多数本のカーボンナノチューブからなる「カーボンナノチューブ膜」が得られれば、エレクトロニクス分野及び物質分離膜の分野等においてカーボンナノチューブの新たな用途が開けると期待されている。
【0005】
そこで、ある方向によく配向した多数本のカーボンナノチューブからなる膜(以下、「ナノチューブ膜」という。)の製造方法として、真空下においてSiCを、該真空の真空度においてSiCが分解して珪素原子が失われる温度に加熱することにより、該SiCから珪素原子を除去する、ことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法が提案されている(特許文献3)。この製造方法は、基板の表面に、SiC単結晶膜を形成し、次いで、真空下において該SiC単結晶膜を、該真空の真空度においてSiCが分解して珪素原子が失われる温度に加熱することにより、該SiC単結晶膜から珪素原子を除去して、該SiC単結晶膜の少なくとも表面側の一部厚さに、該SiC単結晶膜の厚み方向に延びるように配向した多数本のカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ膜を形成している。
【0006】
【特許文献1】
特許第2546511号公報
【特許文献2】
特開平6−280116号公報
【特許文献3】
特許第3183845号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記特許文献3等で示されたようにして作製された配向性の高いカーボンナノチューブ膜に新たな機能を追加する方法、及び新たな機能を具備する装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する本発明の装置は、その1つのアスペクトによれば、基板上に、基板の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜が、不純物を含み、能動素子として作用するようにしてなる、ことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、前記能動素子が、ダイオード、トランジスタ、及び、サイリスタの少なくとも1つを含む。
【0010】
本発明の実施形態によれば(図5参照)、第1の基板上に、基板の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜が不純物を含み、P型とされ、第2の基板上に、基板の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜が不純物を含み、N型とされ、前記P型とN型のカーボンナノチューブ膜が接合してPN接合を形成し、前記第1、第2の基板のそれぞれに電極を備えている、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の別のアスペクトの装置によれば(図3参照)、基板上、基板の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜が不純物を含み、N型又はP型の熱電変換素子を構成する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、前記基板が、SiC層、又はSi層を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、SiC層と、前記SiC層上に配向して形成され、不純物を導入してなるカーボンナノチューブ膜と、を含む熱電変換デバイスが提供される。
【0014】
本発明によれば、Si層と、前記Si層上に配向して形成され、不純物を導入してなるカーボンナノチューブ膜と、を含む。
【0015】
本発明によれば、前記カーボンナノチューブ膜に電極を形成する場合、電極材料が蒸着される。
【0016】
本発明の実施形態によれば(図3参照)、P型とN型の熱電変換素子の一端を共通電極に接続し、前記P型とN型の熱電変換素子の他端をそれぞれ第1、第2の電極に接続してなる熱電変換装置において、前記P型とN型の熱電変換素子は、カーボンナノチューブ膜に不純物を導入して構成されたものである。
【0017】
本発明の実施形態によれば、前記カーボンナノチューブ膜を複数層、積層してなる。
【0018】
不純物のイオン注入又は拡散により、カーボンナノチューブ膜をN型又はP型としてなる。
【0019】
本発明の実施形態によれば(図4参照)、前記P型とN型の熱電変換素子は、
それぞれが、SiC層又はSi層からなる基板と、基板上に、基板表面に垂直方向に向けて延在するように形成される複数のカーボンナノチューブよりなるカーボンナノチューブ膜と、を少なくとも含む第1、第2の積層体を備え、前記第1、第2の積層体の互いのカーボンナノチューブ膜が向かい合うようにして積層し、前記第1、第2の積層体の各SiC層は電気的に導電性とされ、前記第1、第2の積層体のそれぞれについて、前記SiC層の、前記カーボン層の設けられる面とは反対側の面に、それぞれ電極を備えている。
【0020】
上記目的を達成する本発明に係る方法によれば、基板表面に垂直方向に向けて延在するように形成される複数のカーボンナノチューブよりなるカーボンナノチューブ膜に不純物を導入する工程を含む、ことを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、基板表面に垂直方向に向けて延在するように形成される複数のカーボンナノチューブよりなるカーボンナノチューブ膜を有する基板の、前記カーボンナノチューブ膜が設けられる側とは反対側から、不純物を導入する工程を含む。
【0022】
本発明によれば、前記不純物を導入する工程が、拡散法又はイオン注入で行われる、ことを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、SiC層と、SiC層表面に垂直方向に向けて延在するように形成される複数のカーボンナノチューブよりなるカーボンナノチューブ膜とを少なくとも有し、前記カーボンナノチューブ膜の反対側の前記SiC層側からイオンビームを打ち込むか、不純物を拡散させて、SiC層の電気伝導性を確保する、ことを特徴とする。
【0024】
本発明の別のアスペクトによれば、SiC層に不純物を導入する工程と、
前記SiC層への不純物の導入後、真空下において、前記SiC層を、該真空の真空度において、SiCが分解して珪素原子が失われる温度に加熱することで、前記SiC層から珪素原子を除去することで、カーボンナノチューブを作製し、前記SiC層の厚み方向に延在するように配向したカーボンナノチューブに、抜けを生じさせることで、カーボンナノチューブ膜の層厚を厚くする、ことを特徴とする。
【0025】
本発明の別のアスペクトによれば、SiC基板に、電磁波を照射して、カーボンナノチューブを作製する、ことを特徴とする。
【0026】
本発明の別のアスペクトによれば、前記カーボンナノチューブ膜に電極を形成するにあたり、真空下、前記カーボンナノチューブ膜を冷却して前記カーボンナノチューブ膜上に電極材料を蒸着させる、ことを特徴とする。前記カーボンナノチューブ膜上に被着された前記電極材料をイオンミリング法でパタン形成してもよい。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の各種実施例について図面を参照して説明する。本発明においては、図1に示すように、SiC層100上に形成されたカーボンナノチューブ(CNT)101にイオンビームを打ち込んで、その特性を変化させるものである。
【0028】
なお、CNTに、特定の原子をイオン注入で打ち込むと、その電気的特性がP型やN型に変化することが知られている。これは、輸送特性を変更できることを意味する。またCNTへの不純物のドープは、低エネルギーイオン注入が用いられ、ターゲットへの損傷を回避する、イオンエネルギー、ドーズ量とCNTの構造に関する研究報告もなされている(例えば非特許文献1参照)。非特許文献1には、アーク放電法により作製した多層CNTを、カーボンメッシュ上に支持して試料とし、質量分離イオンビーム蒸着装置を用いNガスを原料として生成した窒素イオンを、30−100eVで室温で多層CNTに照射し、真空度を照射ターゲットへの損傷のないように設定し、ドーズ量5×1016イオン/cmで欠陥が導入された旨が記載されている。
【0029】
【非特許文献1】
(178)「多層カーボンナノチューブへの低エネルギーイオン照射による異種元素導入」、山本和弘、末永和知、飯島澄男、平成14年度秋季金属学会(平成14年、11月)
【0030】
SiC層100上に形成されたカーボンナノチューブ(CNT)膜101にイオンビームを打ち込んで特性を変化させ、目的に応じたイオンビームをCNT膜101に打ち込む。図1において、CNT膜101は、横幅5〜10mm、縦5〜10mm、膜厚約1μmとしている。CNT膜101は、多数のCNTがSiC層100表面に対して垂直方向に、高配向状態で、並立している。SiC層100は約0.25mm程度とされる。
【0031】
CNT膜101とSiC層100の間にはカーボン層(カーボン・アモルファス層)(図1では図示されない)が存在する。カーボン層は、膜厚約1μmとされる。
【0032】
CNT膜101の製造方法の一例(上記特許文献3参照)について説明する。CNT膜101は、例えば化学気相蒸着法(以下、「CVD法」という。)により、Si(111)単結晶からなる基板の上に、SiC単結晶の膜100を形成する。真空下の加熱によって、まずSiC単結晶膜に比べて酸化されやすい上記基板の一部又は全部をSiO等として除去した後、残されたSiC単結晶膜を更に加熱すると、SiC単結晶膜中の珪素原子が(111)面側から除去されて、このSiC単結晶膜の少なくとも表面側の一部厚さに、〔111〕方向に高配向されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ膜が得られる。加熱温度は例えば1400〜2000℃程度、真空度は、例えば10−4〜10−10Torr程度とされる。図1のカーボンナノチューブ膜101は、こうして作製されたものであり、カーボンナノチューブ膜101にイオンビーム(例えば窒素イオン等)が照射される。なお、SiC単結晶の真空下の加熱を2.45GHzのマイクロ波照射で行ってもよい。
【0033】
この実施例では、イオンビームの打ち込みにおいて、CNT101の下層に、SiC層/カーボン層が存在する。なお、後述するように、不純物のドープは、SiC層100側から、イオン注入、拡散で導入するようにしてもよい。拡散炉(真空雰囲気)を用いた拡散法の方が簡単であり、またSiC層側からのドープの方が制御も容易である。
【0034】
なお、CNT膜の製造方法としては、単結晶SiCを利用するほかにも、SiCの多結晶や多孔質焼結体を利用してもよい(特願2001−059295)。
【0035】
図2は、本発明の実施例を説明するための図である。上記特許文献3の製造方法で作製された配向性の高いカーボンナノチューブ(CNT)膜101には、カーボン層102(導電性)と、SiC単結晶膜100の絶縁層が存在している。従って、CNT膜101の反対側のSiC層100(非導電性)からは、電気を流すことができない。
【0036】
そこで、本実施例では、このSiC層100側から、イオンビームを打ち込むか、不純物を拡散させ、電気伝導性を確保する。打ち込むイオン種および不純物によって、カーボンナノチューブ膜の極性を変化させることができる。不純物のドープは、SiC層100側から、イオン注入、拡散で導入するようにしてもよい。拡散炉(真空雰囲気)を用いた拡散法の方が簡単であり、制御も容易である。
【0037】
図3は、本発明の実施例の構成を示す図である。極性の異なったCNT膜101を利用して、熱電変換素子を作る。図2の方法で製造されたP型とN型の熱電変換素子の一端を共通の電極103に接続し、P型とN型の熱電変換素子の他端を電極104−1、104−2に接続し、電極104−1、104−2はケーブル105−1、105−2に接続されている。
【0038】
N型の熱電変換素子は、N型SiC層100−1と、N型カーボン層102−1と、N型カーボンナノチューブ膜101−1をこの順に積層してなる積層構造からなる。P型の熱電変換素子は、P型SiC層100−2と、P型カーボン層102−2と、P型カーボンナノチューブ膜101−2をこの順に積層してなる積層構造からなる。SiC層100−1、100−2は電気的に導電性とされる。
【0039】
カーボンナノチューブ膜101−1、101−2の表面には、蒸着等で金属表面を作り、次に、金属電極103を半田、ロー付けで取り付ける。
【0040】
SiC層上のCNT膜への電極形成として、CNT膜上に抵抗加熱真空蒸着装置にて真空度5×10−6Torr雰囲気で、スパッタリング法により、Auを膜厚1.27μmで蒸着する。その後、イオンミーリング(例えばArイオン)にて、カーボン層102、SiC層100、電極103のエッチングが行われる。
【0041】
この場合、CNT膜の上に電極材料Auを蒸着し、Auの一部にマスク材として、例えばアラルダイト、ペーパボンドを被着(コート)し、イオンビームミリング装置で、Au、CNTをエッチングすることで行ってもよい。
【0042】
SiC層100−1、100−2の表面には、蒸着等で金属表面を作り、次に電極104−1、104−2を半田、ロー付けで取り付ける。
【0043】
なお、CNT膜の製造方法としては、単結晶SiCを利用するほかにも、SiCの多結晶や多孔質焼結体を利用しても良い(特願2001−059295)。
【0044】
図4は、本発明の別の実施例の構成を示す図である。上記特許文献3の製造方法にしたがって作製された、配向性の高いカーボンナノチューブの長さは、現状、1mm程度である。これは熱電変換素子を構成するには短いので、長くするために積層構造としている。この例では、2層にして、一方を反転させ、CNT同士を接続している。
【0045】
N型の熱電変換素子は、N型SiC層100−1と、N型カーボン層102−1と、N型カーボンナノチューブ膜101−1をこの順に積層してなる第1、第2の積層構造を、互いのカーボンナノチューブ膜100−1が向かい合うようにして重ね合わせる。2つのSiC層100−1の、カーボン層102−1の設けられる面とは反対側の面に、それぞれ共通電極103と、電極104−1を備えている。
【0046】
P型の熱電変換素子は、P型SiC層100−2と、P型カーボン層102−2と、P型カーボンナノチューブ膜101−2をこの順に積層してなる第1、第2の積層構造を、互いのカーボンナノチューブ膜100−2が向かい合うようにして重ね合わせる。2つのSiC層の、カーボン層が設けられる面とは反対側の面に、それぞれ共通電極103と、電極104−2を備えている。
【0047】
SiC層100−1、100−2は電気的に導電性とされる。SiC層100−1、100−2の表面には、蒸着等で金属表面を作り、次に電極104−1、104−2を半田、ロー付けで取り付ける。
【0048】
図5は、本発明の他の実施例の構成を示す図である。上記特許文献3の製造方法にしたがって作製された、配向性の高いカーボンナノチューブの長さは、上記したように、1mm程度である。これは、SiがSiCから分解して真空中に拡散する時のコンダクタンスなどで決まっていると考えられる。すなわち、CNTが長くなるにしたがって、分解して出ていくSi原子がCNTに邪魔されて出にくくなり、それで長さが決まるわけである。
【0049】
そこで、本実施例では、カーボンナノチューブ作製前の時点で、SiC層に不純物をドープしておく。不純物のドープは、イオン注入又は拡散法による。
【0050】
その後、真空下の加熱によって、SiC単結晶膜中の珪素原子が除去されて、このSiC単結晶膜の少なくとも表面側の一部厚さに、〔111〕方向に高配向されたカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ膜を作製する。
【0051】
すると、CNT膜101は、不純物原子がある部分で切れが生じ、一定の割合でCNTが抜ける。ちょうど山林に植えた木の間引きに相当することになり、隙間が生じ、そこから、Si原子が抜け出ることが容易化される。このため、より長いCNTからなる膜を製造することができる。すなわち、カーボンナノチューブの層を厚くすることができる。
【0052】
図6は、本発明の別の実施例の構成を示す図である。図6を参照すると、第1の基板をなすSiC層100−1上に、基板の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜101−1が不純物を含み、N型とされ、第2の基板をなすSiC層100−2上に、基板の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜101−2が不純物を含み、P型とされ、N型とP型のカーボンナノチューブ膜101−1、101−2が接合してPN接合を形成し(接合層106を形成する)、第1、第2の基板のそれぞれに電極103A、103Bを備え、ダイオード素子を構成している。なお、第1の基板上のCNT膜101−1は、第2の基板をなすSiC層100−2に接合させる構成としてもよい。
【0053】
同様にしてPN接合面を構成することで、PNP構造のトランジスタ素子、NPN構造のトランジスタ素子、PNPN構成のサイリスタ素子等の各種能動素子を構成するができる。
【0054】
図7は、CNT膜への電極形成のための装置構成の一例を例示した図である。CNT膜への電極の取り付けは、真空容器200中で行われる。真空容器200中で、CNT膜101は、真空断熱されており、フィラメント(タングステン)202を高温とし、フィラメント202上に金(Au)ワイヤー201を配置し、フィラメント202からの輻射やエネルギー、及び、高温のAu粒子203が飛来してくるため、CNT膜101の表面は損傷を受ける。これを回避するため、冷却装置220を備え、CNT膜101を冷却しながら、Auの蒸着を行う。
【0055】
なお上記実施例では、SiC層の上にカーボン層、CNT膜を形成したが、シリコン基板の上に、SiC層、カーボン層なしで、CNT膜を形成するようにしてもよい。
【0056】
以上本発明を上記実施例に即して説明したが、本発明は、上記実施例の構成にのみ限定されるものでなく、特許請求の範囲の各請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、配向性の高いカーボンナノチューブ膜に不純物を注入し、新規な機能を具備した素子を形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の別の実施例を説明するための図であり、不純物を導入したカーボンナノチューブ膜の製造を説明するための図である。
【図2】本発明の別の実施例を説明するための図であり、不純物を導入したカーボンナノチューブ膜の製造を説明するための図である。
【図3】本発明の別の実施例の熱電変換装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の別の実施例の熱電変換装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の別の実施例を説明するための図であり、不純物を導入したカーボンナノチューブ膜の製造を説明するための図である。
【図6】本発明の別の実施例のダイオード素子の構成を示す図である。
【図7】カーボンナノチューブ膜への電極の蒸着を行う装置を説明するための図である。
【符号の説明】
100 SiC層
101 カーボンナノチューブ膜
102 カーボン層(アモルファスカーボン層)
103、104 電極
105 ケーブル(導線)
106 接合層
200 真空容器
201 金ワイヤー
202 フィラメント
203 金粒子
204 金粒子の流れ
210 電源
220 冷却装置

Claims (21)

  1. 基板上に、該基板の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜が、不純物を含み、能動素子として作用するようにしてなる、ことを特徴とするカーボンナノチューブ・デバイス。
  2. 前記能動素子として、PN接合を含むダイオード素子、トランジスタ素子、及び、サイリスタ素子の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ・デバイス。
  3. 第1の基板上に、該基板の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜が不純物を含み、P型とされ、
    第2の基板上に、該基板の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜が不純物を含み、N型とされ、
    前記P型とN型のカーボンナノチューブ膜が接合してPN接合を形成し、
    前記第1と第2の基板、又は前記カーボンナノチューブ膜に電極を備えている、ことを特徴とするカーボンナノチューブ・デバイス。
  4. 基板上、該基板の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜が不純物を含み、N型又はP型の熱電変換素子を構成する、ことを特徴とするカーボンナノチューブ・デバイス。
  5. 前記基板が、SiC層、又はSi層を含む、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のカーボンナノチューブ・デバイス。
  6. SiC層と、
    前記SiC層上に、前記SiC層の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなり、不純物を導入してなるカーボンナノチューブ膜と、を含む熱電変換デバイス。
  7. Si層と、
    前記Si層上に、前記SiC層の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなり、不純物を導入してなるカーボンナノチューブ膜と、を含む熱電変換デバイス。
  8. 前記カーボンナノチューブ膜に、電極材料が蒸着されて形成されてなる電極を有する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載のカーボンナノチューブ・デバイス。
  9. P型とN型の熱電変換素子の一端を共通電極に接続し、
    前記P型とN型の熱電変換素子の他端をそれぞれ第1、第2の電極に接続してなる熱電変換装置において、
    前記P型とN型の熱電変換素子は、
    基板上、該基板の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜に、不純物を導入して、構成されたものである、ことを特徴とする熱電変換装置。
  10. 前記カーボンナノチューブ膜を複数層、積層してなる、ことを特徴とする請求項8記載の熱電変換装置。
  11. 不純物のイオン注入又は拡散により、カーボンナノチューブ膜をN型又はP型としてなる、ことを特徴とする請求項8又は9記載の熱電変換装置。
  12. 前記P型とN型の熱電変換素子は、
    それぞれが、SiC層又はSi層からなる基板と、
    基板上に、基板表面に垂直方向に向けて延在するように形成される複数のカーボンナノチューブよりなるカーボンナノチューブ膜と、
    を少なくとも含む第1、第2の積層体を備え、
    前記第1、第2の積層体の互いのカーボンナノチューブ膜が向かい合うようにして積層し、
    前記第1、第2の積層体の各SiC層は電気的に導電性とされ、
    前記第1、第2の積層体のそれぞれについて、前記SiC層の、前記カーボン層の設けられる面とは反対側の面に、それぞれ電極を備えている、ことを特徴とする請求項8記載の熱電変換装置。
  13. 基板上、該基板の厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜に対して、不純物を導入する工程を含む、ことを特徴とする、カーボンナノチューブ膜の製造方法。
  14. 基板厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜を有する基板の、前記カーボンナノチューブ膜が設けられる側とは反対側から、不純物を導入する工程を含む、ことを特徴とする、カーボンナノチューブ膜の製造方法。
  15. 前記不純物を導入する工程が、拡散法又はイオン注入で行われる、ことを特徴とする、請求項13又は14記載のカーボンナノチューブ膜の製造方法。
  16. SiC層と、SiC層厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜とを少なくとも有し、
    前記カーボンナノチューブ膜の反対側の前記SiC層側からイオンビームを打ち込むか、不純物を拡散させて、SiC層の電気伝導性を確保する、ことを特徴とする、カーボンナノチューブ膜の製造方法。
  17. SiC層に不純物を導入する工程と、
    前記SiC層への不純物の導入後、真空下において、前記SiC層を、該真空の真空度において、SiCが分解して珪素原子が失われる温度に加熱することで、前記SiC層から珪素原子を除去することで、カーボンナノチューブを作製し、前記SiC層の厚み方向に延在するように配向したカーボンナノチューブに、抜けを生じさせることで、カーボンナノチューブ膜の層厚を厚くする、ことを特徴とする、カーボンナノチューブ膜の製造方法。
  18. SiC層に、真空下、電磁波を照射して、SiC層厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ膜を作製する工程を含む、ことを特徴とする、カーボンナノチューブ膜の製造方法。
  19. 前記SiC層に不純物を導入し、SiC層厚み方向に延びるように配向して形成される複数のカーボンナノチューブに、抜けを生じさせることで、カーボンナノチューブ膜の層厚を厚くする、ことを特徴とする、請求項18記載のカーボンナノチューブ膜の製造方法。
  20. 前記カーボンナノチューブ膜に電極を形成するにあたり、真空下、前記カーボンナノチューブ膜を冷却して前記カーボンナノチューブ膜上に電極材料を蒸着させる、ことを特徴とする、請求項13記載のカーボンナノチューブ膜の製造方法。
  21. 前記カーボンナノチューブ膜上に被着された前記電極材料をイオンミリング法でパタン形成する、ことを特徴とする、請求項20記載のカーボンナノチューブ膜の製造方法。
JP2002348863A 2002-11-29 2002-11-29 カーボンナノチューブの製造方法とカーボンナノチューブ・デバイス Withdrawn JP2004186245A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002348863A JP2004186245A (ja) 2002-11-29 2002-11-29 カーボンナノチューブの製造方法とカーボンナノチューブ・デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002348863A JP2004186245A (ja) 2002-11-29 2002-11-29 カーボンナノチューブの製造方法とカーボンナノチューブ・デバイス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004186245A true JP2004186245A (ja) 2004-07-02

Family

ID=32751654

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002348863A Withdrawn JP2004186245A (ja) 2002-11-29 2002-11-29 カーボンナノチューブの製造方法とカーボンナノチューブ・デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004186245A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1670077A1 (de) * 2004-12-10 2006-06-14 Siemens Aktiengesellschaft Halbleiter-Schaltungsanordnung mit Energierückgewinnung
WO2007037343A1 (ja) * 2005-09-29 2007-04-05 Nu Eco Engineering Co., Ltd. カーボンナノ構造体を用いたダイオード及び光起電力素子
JP2007096135A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Univ Nagoya カーボンナノ構造体を用いたダイオード
WO2008054854A2 (en) * 2006-05-31 2008-05-08 General Electric Company Thermoelectric nanotube arrays
JP2010192780A (ja) * 2009-02-20 2010-09-02 Fujitsu Ltd 熱電変換素子
KR101294966B1 (ko) 2009-05-27 2013-08-09 주식회사 엘지화학 다이오드
KR101346568B1 (ko) 2012-05-17 2014-01-22 한국과학기술연구원 열전효율이 향상된 적층형 유연성 열전소자 및 이의 제조방법
US10964876B2 (en) 2015-07-14 2021-03-30 Hyundai Motor Company Integrated flexible thermoelectric device and method of manufacturing the same

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1670077A1 (de) * 2004-12-10 2006-06-14 Siemens Aktiengesellschaft Halbleiter-Schaltungsanordnung mit Energierückgewinnung
WO2007037343A1 (ja) * 2005-09-29 2007-04-05 Nu Eco Engineering Co., Ltd. カーボンナノ構造体を用いたダイオード及び光起電力素子
JP2007096135A (ja) * 2005-09-29 2007-04-12 Univ Nagoya カーボンナノ構造体を用いたダイオード
US20100212728A1 (en) * 2005-09-29 2010-08-26 Masaru Hori Diode and Photovoltaic Device Using Carbon Nanostructure
WO2008054854A2 (en) * 2006-05-31 2008-05-08 General Electric Company Thermoelectric nanotube arrays
WO2008054854A3 (en) * 2006-05-31 2008-10-09 Gen Electric Thermoelectric nanotube arrays
JP2010192780A (ja) * 2009-02-20 2010-09-02 Fujitsu Ltd 熱電変換素子
KR101294966B1 (ko) 2009-05-27 2013-08-09 주식회사 엘지화학 다이오드
KR101346568B1 (ko) 2012-05-17 2014-01-22 한국과학기술연구원 열전효율이 향상된 적층형 유연성 열전소자 및 이의 제조방법
US10964876B2 (en) 2015-07-14 2021-03-30 Hyundai Motor Company Integrated flexible thermoelectric device and method of manufacturing the same
US11563161B2 (en) 2015-07-14 2023-01-24 Hyundai Motor Company Integrated flexible thermoelectric device and method of manufacturing the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4720426B2 (ja) カーボンナノチューブを用いた太陽電池
US7268063B1 (en) Process for fabricating semiconductor component
US8735290B2 (en) Amorphous group III-V semiconductor material and preparation thereof
US20070103048A1 (en) Method for fabricating carbon nanotube-based field emission device
US20080006319A1 (en) Photovoltaic and photosensing devices based on arrays of aligned nanostructures
US20140326946A1 (en) Light emitting diode
JPS58158944A (ja) 半導体装置
JPH0794077A (ja) 電子デバイス
JP2007123280A (ja) ZnOの突起物を有するカーボンナノチューブ
JP3497685B2 (ja) 半導体bcn化合物を用いた半導体デバイス
JP5629570B2 (ja) グラフェン膜と金属電極とが電気的接合した回路装置
CN111739989A (zh) AlGaN基深紫外LED外延片及制备方法
JP4743933B2 (ja) 電子放出装置及びその製造方法
JP2004186245A (ja) カーボンナノチューブの製造方法とカーボンナノチューブ・デバイス
KR101619110B1 (ko) 반도체 광전소자 및 이의 제조방법
CN113451088A (zh) 一种具有超晶格纳米线结构GaN光电阴极的制备方法
US20100147369A1 (en) Solar cell having nanodiamond quantum wells
CN108281539A (zh) 一种基于石墨烯材质的柔性led发光结构及制作方法
JP2002231996A (ja) ダイヤモンド紫外光発光素子
CN104091743A (zh) 一种自对准栅极结构纳米线冷阴极电子源阵列的制作方法及其结构
JP2005515584A5 (ja)
US20050186435A1 (en) Light emitting device and method for manufacturing the same
CN103904108A (zh) 具有石墨烯电极的GaN基半导体器件及其制备方法
JP2001126610A (ja) 電子放出素子
CN109449262B (zh) 基于Cu掺杂石墨烯提高光效的可见光通信器件及其制备方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060207