JP2004182036A - ランフラットラジアルタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】トレッドパターンの設計の自由度を狭めることなく、ランフラット耐久性の低下を防止する。
【解決手段】ラジアルカーカス6および、サイドウォール部2と対応する部分で、ラジアルカーカス6と、それの内周側のインナライナ9との間に配設した補強ゴム層10を具えるものであり、リム組みタイヤに最高空気圧を充填して最大負荷能力の1.1倍の負荷を作用させた姿勢の下ではトレッド接地幅の外側に位置する一方、タイヤ内圧を大気圧まで低減させて最大負荷能力に相当する質量を負荷した姿勢の下ではトレッド接地幅の内側に位置して周方向に連続する周溝11をショルダ域外表面に設け、各周溝の深さを、それの形成個所の、周溝の形成前のタイヤ総厚さの1/4以上とするとともに、その周溝11の、円周方向に対する延在角度を0〜30°の範囲とし、周溝11の内周側の、その周溝と重なり合う領域に、他の補強部材から独立した繊維補強層12を帯状配設してなる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤ内圧が漏出してなお安全な走行を確保することができるランフラットラジアルタイヤ、なかでも、比較的高速で使用される、偏平比が0.6以下の乗用車用ラジアルタイヤに関し、とくには、タイヤ内圧の漏出状態の下での走行耐久性、いいかえれば、ランフラット耐久性を高めることに加え、タイヤの通常の使用状態の下での振動を有効に抑制する技術を提案するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、高速走行中の車両において、タイヤ内圧が急激に漏出等してタイヤが荷重支持能力を失うことに起因して、車両の運動安定性が大きく損なわれるのを防止するべく、一般に高い可撓性を有する、タイヤのサイドウォール部を、比較的モジュラスの大きいゴムをもって厚く補強して、タイヤ内圧が大気圧まで低下しても、そのサイドウォール部の撓み変形を極端に増加させることなく輪荷重を負担できるようにして、タイヤの転がり半径の減少を抑制し、タイヤのリムからの離脱等を防止したランフラットタイヤは従来から各種提案されている。
かかる対策は、偏平比が低い、なかでも0.6以下のタイヤにとくに有効である。
【0003】
しかるに、サイドウォール部を、補強ゴム層をもってこのように補強したランフラットタイヤでは、タイヤに故障等が生じる以前のそれの通常の使用状態の下でのタイヤの上下剛性の増加が不可避となって、タイヤの振動が、リム、ひいては、ばね上側へ伝達し易くなるため、たとえば、路面の凹凸等によって発生するタイヤの振動の、サスペンション等からボディ側への伝達により、振動伝達経路の各構成部材の耐久性の低下が余儀なくされるという問題があった。
【0004】
またこの一方で、サイドウォール部の剛性を、トレッド部のそれに比して大幅に高めた場合には、タイヤ内圧の漏出に伴って、トレッド踏面の幅方向中央部分が路面から大きく浮き上がる、図1に示すようないわゆるバックリングが生じ、タイヤが、それのショルダ域でのみ接地することになるため、タイヤの接地面積が減少して、駆動および制動性能、操縦性能等が大きく低下することになる。
【0005】
すなわち、トレッド踏面の幅方向中央部分が路面から大きく浮き上がるこのようなバックリングは、ランフラット時の、タイヤと路面との接触域およびその近傍の変形を検討したところ、図1に、タイヤ幅方向断面の半部を示すように、タイヤの故障前は、図に破線で示すような接地状態にあるタイヤのサイドウォール部の半径外方部分ないしはショルダ部分が路面に対して倒れ込み変形することを原因として、トレッド部中央部分を路面から離隔させる向きのモーメントMが生じることに基づいて発生することが明らかになった。
そしてこの倒れ込み変形は、タイヤの故障前にはトレッド接地幅の外側に存在する点Pの、トレッド接地幅の内側への引き込みをもたらすことになり、この傾向は、タイヤと路面との摩擦力が小さいほど大きくなる。
【0006】
ところで、上記モーメントMについての解析を行ったところ、そのモーメントMは、トレッド部およびサイドウォール部のそれぞれの剛性、それらの剛性比、荷重の大きさに依存する他、上述した倒れ込み変形量や、ショルダ部分の断面内曲げ剛性に直接左右されることが明らかになった。
従って、バックリングを防止する一の有用な方法は、ショルダ部分の断面内曲げ剛性を低減させて、サイドウォール部の変形に起因して生じるモーメントMの、トレッド部への直接的な伝達を抑制することにある。すなわち、モーメントMは、通常サイドウォール部剛性の、トレッド部剛性に対する比に応じて増加することになるも、ランフラット時に接地することになるショルダ部分に、あたかもヒンジのように機能する個所を設けて、サイドウォール部の変形とトレッド部の変形との間の強い相関を解消することによりバックリングの発生を有効に抑制することができる。
【0007】
これがための具体的手段としては、図2に示すように、ショルダ部分に円周方向に延びる周溝Gを設けることが考えられ、これによれば、サイドウォール部の倒れ込み変形を周溝Gの変形をもって吸収して、サイドウォール部の変形の、トレッド部への伝達を抑制すること、いいかえれば、サイドウォール部の変形に基づいて発生するモーメントMを周溝Gによって緩和して、トレッド部に伝わるモーメントを十分に低減させることが可能になる。
【0008】
この点に関し、特表2002−518231号公報には、横方向に配設されたトレッドリブを有するトレッドと、ランフラット動作中には駆動面と接触し、標準膨張圧の動作中には駆動面と接触しないようになっている、各サイドウォールの半径方向で最も外側の領域の近傍に配設されたサイドウォールリブと、各サイドウォールリブとそれに隣接するトレッドリブとの間に、周方向に配設された第1の分離溝と、トレッドリブとそれに隣接するトレッド中央領域との間に、周方向に配設された第2の分離溝とを具えることを特徴とする空気入りラジアルプライランフラットタイヤが開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特表2002−518231号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかるにこの発明は、第1および第2のそれぞれの分離溝を必須とし、それらの両溝の協働作用の下で、ランフラット時の、サイドウォール部からトレッド部への曲げ力の伝達を抑制するものであるため、とくにはトレッド踏面内に存在する第2の分離溝がトレットパターンの設計の自由度を低下させ、また、第1の分離溝の存在の故に、タイヤのランフラット耐久性の低下が否めないという問題があった。
【0011】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題をするものであり、それの目的とするところは、トレッドパターンの設計の自由度を狭めることなしに、ランフラット時のバックリングの発生を効果的に防止することができ、併せて、周溝の形成に起因するランフラット耐久性の低下を十分に防止できるランフラットラジアルタイヤを提供するにある。
【0012】
【発明を解決するための手段】
この発明に係るランフラットラジアルタイヤは、トレッド部と、トレッド部の両側部に連続して、半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部と、各サイドウォール部の内周側に連続するビード部とを具えるとともに、各ビード部に配設した一対のビードコアの周りで、それぞれの側部部分を半径方向外方に巻き返した一枚以上のカーカスプライからなるラジアルカーカスおよび、少なくともサイドウォール部と対応する部分で、ラジアルカーカスと、それの内周側のインナライナとの間に配設した補強ゴム層を具えるものであり、リムに組み付けたタイヤに最高空気圧を充填して最大負荷能力の1.1倍の負荷を作用させた姿勢の下ではトレッド接地幅の外側に位置する一方、タイヤ内圧を大気圧まで低減させて、最大負荷能力に相当する質量を負荷した姿勢の下ではトレッド接地幅の内側に位置して周方向に連続する少なくとも一対の周溝を、ショルダ域外表面に設け、各周溝の深さを、それの形成個所の、周溝の形成前のタイヤ総厚さの1/4以上とするとともに、その周溝の、円周方向に対する延在角度を0〜30°の範囲とし、周溝の内周側の、その周溝の一部もしくは全部と重なり合う領域に、カーカスプライの他、トレッド部の補強に供されるベルト層、周方向補強層等の補強部材からなる独立した繊維補強層を帯状に配設したものである。
【0013】
なおここで「リム」とは、下記の規格で規定されるリムを、「最高空気圧」とは、下記の規格で、最大負荷能力に対応する空気圧を、そして、「最大負荷能力」とは、下記の規格でタイヤに負荷することが許される最大質量をいう。
またここでの「周溝の深さ」は、その周溝の形成後にあっては、タイヤ外輪郭線の、周溝部分への滑らかな仮想延長線分から測ったタイヤ総厚さの1/4以上として特定することもできる。
【0014】
そして規格とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格であり、たとえば、アメリカ合衆国では“The Tire and Rim Association Inc.のYear Book”であり、欧州ではThe European Tire and Rim Technical Technical OrganizaionのStandards Manral”であり、日本では日本自動車タイヤ協会の“JATMA Year Book”である。
【0015】
このように構成してなるタイヤでは、タイヤのランフラット走行に当り、とくには、タイヤのショルダ域に形成されて、位置、延在方向および深さを特定された周溝が、サイドウォール部の、路面に対する倒れ込みに対し、自身の溝幅縮小変形に基づいて、その倒れ込み変形に起因するトレッド部の変形を有効に抑制し、その倒れ込み変形によって生じるモーメントの、トレッド部への伝達を有効に緩和するので、図2に実線で示すように、トレッド部へのバックリングの発生を効果的に防止することができる。
【0016】
またここでは、周溝の内周側の繊維補強層をもって、その周溝、とくにはそれの溝底を保護することで、周溝の形成を原因とするランフラット耐久性の低下を十分に防止することができる。ここでこの繊維補強層は、所要の領域に帯状に配設することで、とくには、故障発生前のタイヤの、上下剛性の余剰なる増加を抑制して、車両への乗心地の低下を十分に防止し、また、タイヤ重量の不要な増加を防止することができる。
【0017】
ところで、ここにおける一対以上の周溝は、タイヤの故障前にはトレッド接地幅の外側に位置することになるので、周溝の存在がトレッドパターンの設計の妨げになることはない。
このような周溝につき、それの形成位置を、タイヤに最高空気圧を充填して最大負荷能力の1.1倍の負荷の作用下でなお、トレッド接地幅の外側とすることで、ランフラット走行に当り、その周溝の形成個所に、とくにすぐれたヒンジ機能を発揮させることができる。
【0018】
またその周溝の深さを、タイヤ総厚さの1/4以上として、周溝を含むショルダ部分の、横断面内での曲げ剛性を低域させ、周溝の、溝幅を減じる方向の変形に対する抵抗を十分小ならしめることにより、サイドウォール部の倒れ込み変形を、周溝をもってより有効に吸収して、その倒れ込み変形に起因するトレッド部の浮き上がり変形、ひいては、バックリングの発生を効果的に防止することができる。
【0019】
バックリングの防止に有効に機能するこのような周溝にあって、それの周りへの早期の故障の発生を防止するためには、周溝の円周方向に対する角度を0〜30°、好ましくは0°を越える角度として、周溝の溝底に生じる円周方向の剪断歪を、トレッド幅方向に幾分分散させることが好適である。なおこの場合、延在角度が30°を越えると、いわゆるヒンジ個所の、最適位置からのずれ量が無視出来ない程度となり、バックリングを有効に抑制できなくなるだけでなく、周溝の溝底部分への歪の集中に起因する故障核が溝底に生じ易くなる。
【0020】
かかるタイヤにおいて好ましくは、繊維補強層を、ラジアルカーカスの少なくとも外周側に配設する。この構成によれば、周溝の溝底クラック等の故障に対する繊維補強層の保護機能を、その補強層をカーカスの内周側に配設する場合に比してより効果的に発揮させることができる。
【0021】
また好ましくは、補強ゴム層の最大厚み部分の半径方向位置を、リム組みタイヤの内圧を大気圧まで低減させた姿勢で、周溝と、リムとタイヤとの離反点との間に位置させる。
ショルダ部分に、たとえば図2に示すような周溝を設けた場合には、ランフラット時のサイドウォール部の変形形態が、周溝を設けない、図1に示す場合とは相違することになり、変形姿勢のサイドウォール部の、曲率半径の最も小さい個所が、前者では、後者よりタイヤの半径方向外方で、周溝に極く近接して位置することになるとともに、その曲率半径Rが後者の曲率半径Rより小さくなるので、ショルダ部分に周溝を設けた前者のタイヤでは、補強層ゴム層の最大厚み部分を、曲率半径が最も小さくなる部分に対応させて位置させて曲率半径の過剰な減少を抑制することで、補強ゴム層それ自体の破壊故障を有利に防止することができる。
そこでここでは、その最大厚み部分を、上述したように、周溝と、リムとタイヤとの離反点との間、より好ましくは、なかでも周溝に近接した部位に位置させて、補強ゴム層の破壊をより有効に防止する。
【0022】
なおここで、繊維補強層の繊維は、無撚りのあるいは有撚りの有機もしくは無機繊維とすることができ、その繊維の延在の態様は、すだれ構造、三次元編上げ構造等とすることが可能であるが、繊維補強層は、レーヨン繊維を撚り合わせたコードを、たとえばほぼラジアル方向に延在させて配設してなる一方向繊維補強層とすることがとくに有効である。
すなわち、繊維補強層の最適なコード延在方向は、サイドウォール部の変形とトレッド部の変形とを分離することと、繊維補強層のコード端への歪の集中を回避することとの両者を考慮して決定されることになり、これがためにはラジアル方向もしくは、ラジアル方向に対して比較的小さな角度、たとえば0〜30°の範囲の角度をなす方向であることが好ましい。
【0023】
周溝はバックリングの抑制のためには有効であるも、ランフラット耐久性の向上のためには、周溝等への歪の集中に対してその周溝を保護することが必要である。ところで、周溝等の耐久性、とくには周溝の溝底クラックに関与する歪は、主には、周方向剪断歪であり、この歪の低減のためには、ラジアルカーカスの外周側で溝底と対応する領域に、繊維補強層を帯状に配設することが有効である。
【0024】
この場合、繊維補強層の繊維は、適正な溝底保護機能を発揮できる限りにおいて、有機材料もしくは無機材料のいずれにて形成しても良く、撚りが有っても無くても良い。そしてその繊維の配設構造は、すだれ構造、三次元編上げ構造、織物構造等とすることもできる。但し、ランフラット時の高温使用環境下での熱的安定性を考慮すると、レーヨン繊維を用いることが好ましく、また繊維内部のフィブリルの破壊性を考慮すると、レーヨン繊維の撚りコードをもって繊維補強層を構成することが好ましく、そして、周溝の周方向剪断歪から溝部分をより有効に保護するためには、コードの延在方向をほぼラジアル方向とすることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図3は、この発明の実施の形態をタイヤの半部について示す断面図である。
図中1は、トレッド部を、2は、トレッド部1の側部に連続して半径方向内方に延びるサイドウォール部を、3は、サイドウォール部2の内周側に連続するビード部をそれぞれ示し、4は、トレッド部1とサイドウォール部2との境界にあってバットレスとも呼ばれ、厚いゴム層をもってカーカスを保護する一方で、熱の発散を促進するショルダを示す。
【0026】
ここでは、ビード部3に配設した一対のビードコア5間に少なくとも一枚のカーカスプライをトロイダルに延在させるとともに、そのカーカスプライの側部部分をビードコア5の周りで半径方向外方に巻き返してラジアルカーカス6を形成し、このラジアルカーカス6のクラウン部の外周側に、ここでは、二層のベルト層からなるベルト7を、それらの層間でのベルト層コードの交差姿勢で配設し、そして、このベルト7の外周側に、実質的にトレッド円周方向に延在する、たとえば、有機繊維コードよりなる、ベルト幅より幾分広幅の一層以上のベルト補強層8を配設し、さらに、少なくともサイドウォール部2と対応する部分、図では、トレッド部1の側部域からビード部3にわたる領域で、ラジアルカーカス6と、その内周側のインナライナ9との間に、比較的硬質のゴムよりなるほぼ三日月状の補強ゴム層10を配設する。
【0027】
またここでは、図1、2に示すように、規定のリムrに組付けたタイヤへの最高空気圧の充填状態で、最大負荷能力の1.1倍の負荷を作用させてなおトレッド接地幅の外側に位置する一方で、タイヤ内圧を大気圧まで低下させて最大負荷能力に相当する質量を負荷させたときにはトレッド接地幅の内側に位置することとなる少なくとも左右一対、図では少なくとも一本の周溝11をショルダ域4の外周面に設け、この周溝11を、円周方向に対して0〜30°の範囲の角度で、直線状またはジグザグ状に連続させて形成する。なおこの図に示す周溝11は直線状に延在する。
このような周溝11の深さは、それの形成個所における、周溝形成前のタイヤ総厚さTの1/4以上として、ショルダ域4の断面内曲げ剛性の十分なる低減を実現する。
【0028】
そしてさらに、このような周溝11の内周側の位置で、その周溝11の一部もしくは全部と重なり合う領域、好ましくは、少なくとも溝底との重なり領域に、ラジアルカーカス6、ベルト7およびベルト補強層8その他の補強部材からは独立した繊維補強層12を帯状に配設し、好ましくは、この繊維補強層12を、レーヨン繊維を撚り合わせたコードを、ほぼラジアル方向に延在させて配設して形成した一方向繊維補強層により構成する。
【0029】
なおこの繊維補強層12は、図示のようにラジアルカーカス6の外周側に配設する他、図4に示すように、ラジアルカーカス6の内周に沿わせて配設することもできる。
また、繊維補強層12は、図5に示すように、ラジアルカーカス6の外周側にあって、周溝11に極く近接させて配設することもでき、さらには、ラジアルカーカス6を挟んでそれの内外両側に配設して、周溝補強機能を一層高めることもできる。
【0030】
図6はこの場合を例示する図であり、これは、サイドウォール部2の変形の、トレッド部1のバックリングに及ぼす影響をより一層少なくするために、各ショルダ域4に、周溝11に加えて他の一本の周溝13を設けたものであり、この場合には、周溝11、13およびその近傍部分の歪量が増えることから、ラジアルカーカス6を隔てた二層の繊維補強層12を配設することで、周方向剪断歪の十分なる低減を担保している。
【0031】
図7は他の実施形態を示し、これは、周溝11およびその近傍への歪の集中を抑えるために、周溝11の、横断面内の角部を曲線状とするとともに、ランフラット時の補強ゴム層10の破壊を防止して、すぐれたランフラット耐久性をもたらすべく、補強ゴム層10のトータル体積はそのままに、それの最大厚みを、繊維補強層12の半径方向内端と、ランフラット時のリムとタイヤとの離反点との間に位置させたものである。
すなわち、バックリングを防止したタイヤのランフラット時の、サイドウォール部の曲率半径が最も小さくなる個所は、繊維補強層12の半径方向内端より幾分ビード部よりに現われるので、補強ゴム層10の最大厚み部分をその個所に合わせることで、曲率半径の極端な減少を防止して、補強ゴム層それ自体の耐久性の低下を防ぐことができる。
【0032】
図8はさらに他の実施形態を示し、周溝11の横断面形状を、図7に示すものと同様に曲線状とするとともに、その周溝11を円周方向に対して30°以下の角度でジグザグ状に延在させて、溝底歪の分散を図ったものである。
【0033】
【実施例】
以下に、一般乗用車に供される、サイズ215/45R17のランフラットタイヤの、トラクション性能、ランフラット耐久性能および振動乗り心地に関する実施例について説明する。
このランフラットタイヤは、通常は230kPaの空気圧力で、4165Nの負荷荷重条件下で使用されるが、タイヤ内圧の、大気圧への低減状態での使用にも耐えるよう、ラジアルカーカスの内周側に、ゴム厚みの厚い補強ゴム層を具え、補強部材として、1650D/3のレーヨン繊維よりなるラジアルカーカスと、0.22mmのスチール製フィラメントを5本層状に撚り合わせたコードを並行に配置し、その軸線がタイヤ赤道方向と為す角度が15〜30°である互いに交錯した2層のスチールベルト層および、ベルトを半径方向外側より覆って配置され実質周方向に1層ないし複数層捲回されるリボン状芳香族ポリアミド繊維からなるベルト補強層を具える。
【0034】
図9に示す従来タイヤのショルダ域には、浅い装飾溝が彫刻されている。この装飾溝の形成位置における、溝形成前のタイヤ厚さは13mmであり該溝深さは2.2mmである。
図10に示す比較タイヤ1は、装飾溝位置より8mmトレッド寄りの位置(タイヤ厚さ14mm)に溝深さ4.0mmの周溝を設けたものだある。この溝はサイドウォール部剛性とトレッド部剛性を分離することによってバックリングモーメントを低減させる機能を発揮することができる。
図11に示す比較例タイヤ2は、ランフラット耐久テスト時に周溝近傍に生じる早期故障対策のためサイドウォール部の全体をレーヨン繊維よりなるすだれ状補強層にてラジアルカーカスの外側から周方向に捲回して補強したものである。
【0035】
図3に示す実施例タイヤ1は比較例タイヤ2で用いた繊維補強層の幅を縮小しカーカスプライの折り返し部と重複しないよう配置したものであり、図4に示す実施例タイヤ2は、周溝に対応する部分のみをラジアルカーカスの内側から補強したものである。そして図5に示す実施例タイヤ3は、ラジアルカーカスの外側で周溝の近傍を補強したものである。
【0036】
図6に示す実施例タイヤ4はサイドウォール部剛性のトレッドバックリング現象への影響を更に低減するべく周溝を二本にしたものである。この場合、周溝近傍の歪が増大するので該位置における繊維補強層を二層としている。
図7に示す実施例タイヤ5は、実施例タイヤ1をベースとし、周溝の断面内形状の適正化を図ってその近傍の歪集中を抑え、また、補強ゴム層の最大厚さ位置を、繊維補強層の半径方向内端と、リムとタイヤの離反点との間としたものである。
【0037】
図8に示す実施例タイヤ6も実施例タイヤ1をベースとし、周溝の断面内形状の適正化を図り、併せて、その周溝を、周方向に対して20°の振り角でジグザグ状に延在させたものである。
【0038】
これらのそれぞれのタイヤにつき、タイヤ内圧を大気圧まで低減させるとともに、4165Nの荷重を負荷したときのトラクション性能およびドラム耐久性能のそれぞれを測定し、併せて、タイヤ内圧を230kPa、負荷荷重を4165Nとしたときの上下軸力を測定して振動乗り心地を求めたところ、表1に指数をもって示す結果を得た。なお指数値は、大きいほどすぐれた結果を示すものとした。
【0039】
【表1】
Figure 2004182036
【0040】
表1によれば、周溝の形成によって、ランフラット時のトレッド部のバックリングが抑制されて、トラクション性能が大きく向上することが明らかであり、また、繊維補強層により、ランフラット耐久性能が大きく向上することが明らかである。そして、このランフラット耐久性能は、補強ゴム層の最大厚み部分の位置を選択することでより一層向上することになる。
この一方で、タイヤの正常時の振動乗り心地は、繊維補強層を配設してなお、周溝による、横断面内での曲げ剛性の低減によって有利に向上されることが解る。
【0041】
【発明の効果】
かくしてこの発明によれば、通常はトレッド接地幅の外側に位置する少なくとも一対の周溝を設けることで、トレッドパターンの設計の自由度を挟めることなく、ランフラット時のトレッド部のバックリングを十分に防止することができ、同時に、周溝の形成に起因するランフラット耐久性の低下を、位置を選択して配設した繊維補強層によって十分に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トレッド部へのバックリングの発生態様を例示する説明図である。
【図2】バックリングの防止対策を例示する説明図である。
【図3】この発明の実施の形態をタイヤの半部について示す横断面図である。
【図4】他の実施形態を示す同様の横断面図である。
【図5】他の実施形態を示す同様の横断面図である。
【図6】他の実施形態を示す同様の横断面図である。
【図7】他の実施形態を示す同様の横断面図である。
【図8】さらに他の実施形態を示す同様の横断面図である。
【図9】従来タイヤを示す同様の図である。
【図10】比較例タイヤ1を示す同様の図である。
【図11】比較例タイヤ2を示す同様の図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビ−ド部
4 ショルダ部
5 ビ−ドコア
6 ラジアルカーカス
7 ベルト
8 ベルト補強層
9 インナライナ
10 補強ゴム層
11,13 周溝
12 繊維補強層
T タイヤ総厚み
r リム

Claims (5)

  1. トレッド部、トレッド部の両側部から半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部および、各サイドウォール部の内周側に連続するビード部を具えるとともに、各ビード部に配設した一対のビードコアの周りで、それぞれの側部部分を半径方向外方に巻き返した一枚以上のカーカスプライからなるラジアルカーカスおよび、少なくともサイドウォール部と対応する部分で、ラジアルカーカスと、それの内周側のインナライナとの間に配設した補強ゴム層を具えるランフラットラジアルタイヤであって、
    リム組みタイヤに最高空気圧を充填して最大負荷能力の1.1倍の負荷を作用させた姿勢の下ではトレッド接地幅の外側に位置する一方、タイヤ内圧を大気圧まで低減させて最大負荷能力に相当する質量を負荷した姿勢の下ではトレッド接地幅の内側に位置して周方向に連続する少なくとも一対の周溝をショルダ域外表面に設け、各周溝の深さを、それの形成個所の、周溝の形成前のタイヤ総厚さの1/4以上とするとともに、その周溝の、円周方向に対する延在角度を0〜30°の範囲とし、周溝の内周側の、その周溝の一部もしくは全部と重なり合う領域に、他の補強部材から独立した繊維補強層を帯状に配設してなるランフラットラジアルタイヤ。
  2. 繊維補強層を、ラジアルカーカスの少なくとも外周側に配設してなる請求項1に記載のランフラットラジアルタイヤ。
  3. 補強ゴム層の最大厚み部分の半径方向位置を、リム組みタイヤの内圧を大気圧まで低減させた姿勢で、周溝と、リムとタイヤとの離反点との間に位置させてなる請求項1もしくは2に記載のランフラットラジアルタイヤ。
  4. 繊維補強層の繊維を、撚りのあるまたはない、有機もしくは無機繊維としてなる請求項1〜3のいずれかに記載のランフラットラジアルタイヤ。
  5. 繊維補強層を、レーヨン繊維を撚り合わせたコードを配設してなり、コードの、タイヤのラジアル方向に対する角度を0〜30°の範囲とした繊維補強層としてなる請求項1から4のいずれかに記載のランフラットラジアルタイヤ。
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