JP2004177903A - フォトニック結晶ファイバ接続用光コネクタプラグの組立方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フォトニック結晶ファイバを、低損失かつ低反射で信頼性高く接続できる光コネクタプラグの組立方法を提供する。
【解決手段】フォトニック結晶ファイバ30の周囲の被覆を除去するとともに端面を斜めに切断し、ファイバ30の端面と同じ角度の接続端面41を有するコネクタフェルール40の光ファイバ穴へファイバ30を挿入し、コネクタフェルール40と、光ファイバ穴を持たない点を除いてコネクタフェルール40と同一のダミーフェルール50との接続端面同士を嵌合ピンを用いて結合させ、ファイバ30の端面とコネクタフェルール40の接続端面との角度を合わせた状態でファイバ30をダミーフェルール50の方向に押圧しながら接着剤60を滴下し、硬化させてファイバ30をコネクタフェルール40に固定する。
【選択図】 図3
【解決手段】フォトニック結晶ファイバ30の周囲の被覆を除去するとともに端面を斜めに切断し、ファイバ30の端面と同じ角度の接続端面41を有するコネクタフェルール40の光ファイバ穴へファイバ30を挿入し、コネクタフェルール40と、光ファイバ穴を持たない点を除いてコネクタフェルール40と同一のダミーフェルール50との接続端面同士を嵌合ピンを用いて結合させ、ファイバ30の端面とコネクタフェルール40の接続端面との角度を合わせた状態でファイバ30をダミーフェルール50の方向に押圧しながら接着剤60を滴下し、硬化させてファイバ30をコネクタフェルール40に固定する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトニック結晶ファイバを接続する際に用いる光コネクタプラグの組立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、多様で広帯域なマルチメディアサービスを提供するため、通信網に低損失・広帯域という特徴を有する光ファイバが導入されている。さらに、大容量のデータを高速に伝送するため、種々の光ファイバ構造及び光ファイバシステムの提案が行われている。
【0003】
これらの中で、図1(a)に示すように、ガラスよりなる光ファイバの中心部付近に多数の空孔1を設け、等価的に光ファイバ中心部よりも屈折率を下げることで中心部2に光を閉じ込め、導波させるフォトニック結晶ファイバと呼ばれる光ファイバが提案されている。さらに、図1(b)に示すように、光が導波する中心部もガラスではなく、空孔3にするタイプのフォトニック結晶ファイバも提案されている。
【0004】
この光ファイバは、光ファイバの零分散波長が幅広く変化するため、可視領域での零分散、スポットサイズ制御が可能など、これまでの光ファイバと異なる大きな特徴を有している。従って、これまで光通信で用いてきた1.5μm帯から可視領域までの広波長帯域でシングルモード光ファイバとして使用でき、使用できる波長域の拡大を図ることができる。このため、伝送容量を拡大でき、次世代の光ファイバとして期待されている。
【0005】
一方、光ファイバを接続する方法としては、(a)融着接続、(b)メカニカルスプライス、(c)光コネクタ接続の3つが用いられている。特に、光コネクタ接続は、光ファイバの端部に取り付けた光コネクタプラグ同士を結合するだけで光ファイバを接続でき、しかも比較的低損失に接続できることから光ファイバネットワークを構築する際等に広く使用されている。
【0006】
このうち、図2に示すようなコネクタフェルール10、即ちその接続端面11に、光ファイバ20の端面21を露出させるための光ファイバ穴12を有するとともに軸合わせ用の嵌合ピン(図示せず)を挿入するための嵌合ピン穴13を2つ有するコネクタフェルール10を用いる光コネクタプラグは、小型で信頼性が高いことから、屋外で光ファイバを接続する際にも使われている。
【0007】
なお、本件については、出願時点において先行技術文献情報を知らず、また、以下のような検索を行ったが、先行技術文献情報を探し当てることはできなかった。
【0008】
検索対象:平成5年以降平成14年10月公開分までの公開公報及び平成6年以降平成14年10月掲載分までの特許公報
検索方法:以下の検索式で全文検索
(フォトニック結晶ファイバ+フォトニック結晶光ファイバ+ホーリーファイバ+ホーリー光ファイバ)*(光コネクタ+コネクタ+光コネクタ組立)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記光コネクタプラグを組み立てるには、一般に、(i)光ファイバの周囲の被覆除去及び光ファイバの端面の切断、(ii)コネクタフェルールの光ファイバ穴への光ファイバの挿入、(iii)接着剤による光ファイバのコネクタフェルールへの固定、(iv)光ファイバを固定したコネクタフェルールの接続端面の研磨、の4つの工程がある。
【0010】
前記フォトニック結晶ファイバの場合、前記工程で組み立てると接続損失が大きくなる。この大きな原因は、(iv)光ファイバを固定したコネクタフェルールの接続端面の研磨工程にある。
【0011】
なぜなら、固定したフォトニック結晶ファイバを研磨すると、研磨した際の研磨くずや砥粒がフォトニック結晶ファイバの空孔内に入ってしまい、これにより中心部付近に設けた空孔がなくなって導波してきた光を光ファイバ内に閉じ込める効果が低くなってしまうからである。
【0012】
さらに、空孔が大きく、空孔間のガラス部の厚さが薄い場合や、研磨する時間が長い場合、空孔間のガラス部が研磨中に割れてしまい、図1に示した構造を維持できなくなり、このうまく研磨できないことが接続損失の増加を招いていた。
【0013】
従って、フォトニック結晶ファイバの特徴を生かして、伝送路または光デバイスとしてフォトニック結晶ファイバを用いるためには、低損失かつ低反射で信頼性高く接続できる光コネクタプラグの組立方法が望まれている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、フォトニック結晶ファイバ同士またはフォトニック結晶ファイバとこれまでの通常の光ファイバとを低損失で信頼性高く接続できる光コネクタプラグを実現する必要がある。
【0015】
即ち、フォトニック結晶ファイバを伝送路として用いる場合は、フォトニック結晶ファイバ同士を低損失・低反射でかつ信頼性が高く接続することが要求され、フォトニック結晶ファイバを光デバイスとして用いる場合には、フォトニック結晶ファイバ同士の接続に加えてフォトニック結晶ファイバとこれまでの通常の光ファイバを低損失・低反射でかつ信頼性が高く接続することも要求される。このため、接続損失増加を招く研磨工程をなくす。
【0016】
即ち、(i)光ファイバの周囲の被覆を除去するとともに端面を切断し、(ii)コネクタフェルールの光ファイバ穴へ光ファイバを挿入し、(iii)組み立てるべき当該コネクタフェルールと、光ファイバ穴を持たない点を除いて前記コネクタフェルールと同一のダミーフェルールとの接続端面同士を嵌合ピンを用いて結合させ、(iv)光ファイバの端面とコネクタフェルールの接続端面との角度を合わせた状態で光ファイバをダミーフェルールの方向に押圧しながら接着剤を滴下し、硬化させて光ファイバをコネクタフェルールに固定する、という工程で光コネクタプラグを組み立て、接続損失の原因となっていた研磨を行わない。
【0017】
さらに、接続部での反射を抑えるため、フォトニック結晶ファイバの端面を切断する際に斜めに切断し、組み立てるコネクタフェルール及びダミーフェルールの接続端面も、予めこれに合わせて斜めに形成しておく。このフォトニック結晶ファイバの端面を斜めに切断する角度、並びにコネクタフェルール及びダミーフェルールの接続端面の角度は、光ファイバの軸と直交する方向に対して5.5度以上とする。
【0018】
本発明によれば、フォトニック結晶ファイバ同士またはフォトニック結晶ファイバとこれまでの通常の光ファイバを低損失・低反射でかつ信頼性高く接続できる光コネクタプラグを実現できるため、低損失な伝送路の実現または伝送距離の拡大を図ることができるとともに、フォトニック結晶ファイバの性能を大いに活用でき、伝送容量の拡大を図ることができる。また、光デバイスとしても低損失・低反射で高信頼性を有するものを実現することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明の光コネクタプラグの組立方法の実施の形態の一例を示すもので、図中、30はフォトニック結晶ファイバ、40はコネクタフェルール、50はダミーフェルールである。ここで、コネクタフェルール40はその接続端面41が斜めに形成されている点を除いて従来のものと同一であり、また、ダミーフェルール50は、光ファイバ穴を持たない点を除いてコネクタフェルール40と同一である。
【0020】
光コネクタプラグの組立は、(i)光ファイバ30の周囲の被覆を除去するとともに端面を切断し、(ii)コネクタフェルール40の光ファイバ穴への光ファイバ30の挿入(図3(a)参照)、(iii)組み立てるべき当該コネクタフェルール40とダミーフェルール50との接続端面同士を嵌合ピン(図示せず)を用いて結合させ(図3(b)参照)、(iv)光ファイバ30の端面とコネクタフェルール40の接続端面41との角度を合わせた状態で光ファイバ30をダミーフェルール50の方向に押圧しながら接着剤60を滴下し、硬化させて光ファイバ30をコネクタフェルール40に固定する(図3(c)参照)、という4つの工程からなる。
【0021】
前述したように、接続損失の増加要因となる研磨を行うことなく、光コネクタプラグを組み立てることで、該光コネクタプラグ同士を結合した際に低損失な光コネクタ接続を実現することができる。
【0022】
ここで、ダミーフェルール50とは、組み立てるコネクタフェルール40の接続端面と光ファイバ30の端面の位置を合わせるために用いる。従って、ダミーフェルール50と組み立てるコネクタフェルール40を嵌合ピンを用いて結合した状態、つまり光ファイバ30の端面をこのダミーフェルール50の接続端面に突き当てた状態で接着固定することで、組み立てるコネクタフェルール40の接続端面と光ファイバ30の端面の位置を合わせることができる。
【0023】
さらに、光コネクタ接続では、接続部での反射を低減する必要がある。このため、光コネクタプラグの接続端面に屈折率整合剤を塗布して反射を抑える方法が良く用いられている。しかし、フォトニック結晶ファイバの場合、光コネクタプラグの接続端面に屈折率整合剤を塗布すると、反射は抑えられるものの接続損失が大きくなる。これは、フォトニック結晶ファイバの場合、屈折率整合剤を用いると該屈折率整合剤が空孔内に入ってしまって空孔がなくなり、その部分が周りの屈折率と等しくなり、その結果、導波してきた光を光ファイバ内に閉じ込めることができなくなることに起因している。このため、屈折率整合剤を用いることなく、接続部での反射をおさえる必要がある。
【0024】
前記反射を低減するため、光コネクタプラグの組立時に、フォトニック結晶ファイバ30の端面を切断する際に斜めに切断し、組み立てるコネクタフェルール40及びダミーフェルール50の接続端面も、予めこれに合わせて斜めに形成しておく。このように光ファイバ30の端面を斜めにしておくことにより、反射光を光ファイバ30の外部に放出でき、これによって低損失、低反射の接続が可能となる。
【0025】
図4に光ファイバの端面の角度と反射減衰量との関係を表す計算結果を示す。ここで、反射減衰量は、空気の屈折率をn0、光ファイバの屈折率をn1、スポットサイズをω、伝搬光の波長をλ、光ファイバの端面の光ファイバの軸と直交する方向に対する角度をθとした場合、
反射減衰量=−10log〔{(n0−n1)/(n0+n1)}2・EXP{−(π2n1ωθ/90λ)2}〕
から求めた。
【0026】
図4によれば、光ファイバの端面の角度を、光ファイバの軸と直交する方向に対して5.5度以上にすれば、反射減衰量が40dB以上となり、光信号伝送時に問題ないレベルにできることが分かる。
【0027】
なお、本発明は、図1(a)に示したタイプのフォトニック結晶ファイバだけでなく、図1(b)に示した構造のフォトニック結晶ファイバにも適用することが可能である。また、実施の形態では単心の光ファイバに対応する光コネクタプラグの組立について述べたが、多心テープファイバに対応する光コネクタプラグの組立についても同様に適用可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、研磨を行わず、かつ接続端面を斜めにするという光コネクタプラグの組立方法により、フォトニック結晶ファイバ同士またはフォトニック結晶ファイバとこれまでの光ファイバとを低損失・低反射でかつ高い信頼性を有する光コネクタ接続が実現できるため、低損失な伝送路の実現または伝送距離の拡大を図ることができるとともに、フォトニック結晶ファイバの性能を大いに活用でき、伝送容量の拡大を図ることができる。また、フォトニック結晶ファイバを光デバイスとして用いる際にも、低損失・低反射で高い信頼性をもった光コネクタ接続を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フォトニック結晶ファイバの構造を示す断面図
【図2】代表的な光コネクタプラグの一例を示す斜視図
【図3】本発明の光コネクタプラグの組立方法の実施の形態の一例を示す工程図
【図4】光ファイバの端面の角度と反射減衰量との関係を表す計算結果を示すグラフ
【符号の説明】
30:フォトニック結晶ファイバ、40:コネクタフェルール、41:接続端面、50:ダミーフェルール、60:接着剤。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトニック結晶ファイバを接続する際に用いる光コネクタプラグの組立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、多様で広帯域なマルチメディアサービスを提供するため、通信網に低損失・広帯域という特徴を有する光ファイバが導入されている。さらに、大容量のデータを高速に伝送するため、種々の光ファイバ構造及び光ファイバシステムの提案が行われている。
【0003】
これらの中で、図1(a)に示すように、ガラスよりなる光ファイバの中心部付近に多数の空孔1を設け、等価的に光ファイバ中心部よりも屈折率を下げることで中心部2に光を閉じ込め、導波させるフォトニック結晶ファイバと呼ばれる光ファイバが提案されている。さらに、図1(b)に示すように、光が導波する中心部もガラスではなく、空孔3にするタイプのフォトニック結晶ファイバも提案されている。
【0004】
この光ファイバは、光ファイバの零分散波長が幅広く変化するため、可視領域での零分散、スポットサイズ制御が可能など、これまでの光ファイバと異なる大きな特徴を有している。従って、これまで光通信で用いてきた1.5μm帯から可視領域までの広波長帯域でシングルモード光ファイバとして使用でき、使用できる波長域の拡大を図ることができる。このため、伝送容量を拡大でき、次世代の光ファイバとして期待されている。
【0005】
一方、光ファイバを接続する方法としては、(a)融着接続、(b)メカニカルスプライス、(c)光コネクタ接続の3つが用いられている。特に、光コネクタ接続は、光ファイバの端部に取り付けた光コネクタプラグ同士を結合するだけで光ファイバを接続でき、しかも比較的低損失に接続できることから光ファイバネットワークを構築する際等に広く使用されている。
【0006】
このうち、図2に示すようなコネクタフェルール10、即ちその接続端面11に、光ファイバ20の端面21を露出させるための光ファイバ穴12を有するとともに軸合わせ用の嵌合ピン(図示せず)を挿入するための嵌合ピン穴13を2つ有するコネクタフェルール10を用いる光コネクタプラグは、小型で信頼性が高いことから、屋外で光ファイバを接続する際にも使われている。
【0007】
なお、本件については、出願時点において先行技術文献情報を知らず、また、以下のような検索を行ったが、先行技術文献情報を探し当てることはできなかった。
【0008】
検索対象:平成5年以降平成14年10月公開分までの公開公報及び平成6年以降平成14年10月掲載分までの特許公報
検索方法:以下の検索式で全文検索
(フォトニック結晶ファイバ+フォトニック結晶光ファイバ+ホーリーファイバ+ホーリー光ファイバ)*(光コネクタ+コネクタ+光コネクタ組立)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記光コネクタプラグを組み立てるには、一般に、(i)光ファイバの周囲の被覆除去及び光ファイバの端面の切断、(ii)コネクタフェルールの光ファイバ穴への光ファイバの挿入、(iii)接着剤による光ファイバのコネクタフェルールへの固定、(iv)光ファイバを固定したコネクタフェルールの接続端面の研磨、の4つの工程がある。
【0010】
前記フォトニック結晶ファイバの場合、前記工程で組み立てると接続損失が大きくなる。この大きな原因は、(iv)光ファイバを固定したコネクタフェルールの接続端面の研磨工程にある。
【0011】
なぜなら、固定したフォトニック結晶ファイバを研磨すると、研磨した際の研磨くずや砥粒がフォトニック結晶ファイバの空孔内に入ってしまい、これにより中心部付近に設けた空孔がなくなって導波してきた光を光ファイバ内に閉じ込める効果が低くなってしまうからである。
【0012】
さらに、空孔が大きく、空孔間のガラス部の厚さが薄い場合や、研磨する時間が長い場合、空孔間のガラス部が研磨中に割れてしまい、図1に示した構造を維持できなくなり、このうまく研磨できないことが接続損失の増加を招いていた。
【0013】
従って、フォトニック結晶ファイバの特徴を生かして、伝送路または光デバイスとしてフォトニック結晶ファイバを用いるためには、低損失かつ低反射で信頼性高く接続できる光コネクタプラグの組立方法が望まれている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、フォトニック結晶ファイバ同士またはフォトニック結晶ファイバとこれまでの通常の光ファイバとを低損失で信頼性高く接続できる光コネクタプラグを実現する必要がある。
【0015】
即ち、フォトニック結晶ファイバを伝送路として用いる場合は、フォトニック結晶ファイバ同士を低損失・低反射でかつ信頼性が高く接続することが要求され、フォトニック結晶ファイバを光デバイスとして用いる場合には、フォトニック結晶ファイバ同士の接続に加えてフォトニック結晶ファイバとこれまでの通常の光ファイバを低損失・低反射でかつ信頼性が高く接続することも要求される。このため、接続損失増加を招く研磨工程をなくす。
【0016】
即ち、(i)光ファイバの周囲の被覆を除去するとともに端面を切断し、(ii)コネクタフェルールの光ファイバ穴へ光ファイバを挿入し、(iii)組み立てるべき当該コネクタフェルールと、光ファイバ穴を持たない点を除いて前記コネクタフェルールと同一のダミーフェルールとの接続端面同士を嵌合ピンを用いて結合させ、(iv)光ファイバの端面とコネクタフェルールの接続端面との角度を合わせた状態で光ファイバをダミーフェルールの方向に押圧しながら接着剤を滴下し、硬化させて光ファイバをコネクタフェルールに固定する、という工程で光コネクタプラグを組み立て、接続損失の原因となっていた研磨を行わない。
【0017】
さらに、接続部での反射を抑えるため、フォトニック結晶ファイバの端面を切断する際に斜めに切断し、組み立てるコネクタフェルール及びダミーフェルールの接続端面も、予めこれに合わせて斜めに形成しておく。このフォトニック結晶ファイバの端面を斜めに切断する角度、並びにコネクタフェルール及びダミーフェルールの接続端面の角度は、光ファイバの軸と直交する方向に対して5.5度以上とする。
【0018】
本発明によれば、フォトニック結晶ファイバ同士またはフォトニック結晶ファイバとこれまでの通常の光ファイバを低損失・低反射でかつ信頼性高く接続できる光コネクタプラグを実現できるため、低損失な伝送路の実現または伝送距離の拡大を図ることができるとともに、フォトニック結晶ファイバの性能を大いに活用でき、伝送容量の拡大を図ることができる。また、光デバイスとしても低損失・低反射で高信頼性を有するものを実現することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明の光コネクタプラグの組立方法の実施の形態の一例を示すもので、図中、30はフォトニック結晶ファイバ、40はコネクタフェルール、50はダミーフェルールである。ここで、コネクタフェルール40はその接続端面41が斜めに形成されている点を除いて従来のものと同一であり、また、ダミーフェルール50は、光ファイバ穴を持たない点を除いてコネクタフェルール40と同一である。
【0020】
光コネクタプラグの組立は、(i)光ファイバ30の周囲の被覆を除去するとともに端面を切断し、(ii)コネクタフェルール40の光ファイバ穴への光ファイバ30の挿入(図3(a)参照)、(iii)組み立てるべき当該コネクタフェルール40とダミーフェルール50との接続端面同士を嵌合ピン(図示せず)を用いて結合させ(図3(b)参照)、(iv)光ファイバ30の端面とコネクタフェルール40の接続端面41との角度を合わせた状態で光ファイバ30をダミーフェルール50の方向に押圧しながら接着剤60を滴下し、硬化させて光ファイバ30をコネクタフェルール40に固定する(図3(c)参照)、という4つの工程からなる。
【0021】
前述したように、接続損失の増加要因となる研磨を行うことなく、光コネクタプラグを組み立てることで、該光コネクタプラグ同士を結合した際に低損失な光コネクタ接続を実現することができる。
【0022】
ここで、ダミーフェルール50とは、組み立てるコネクタフェルール40の接続端面と光ファイバ30の端面の位置を合わせるために用いる。従って、ダミーフェルール50と組み立てるコネクタフェルール40を嵌合ピンを用いて結合した状態、つまり光ファイバ30の端面をこのダミーフェルール50の接続端面に突き当てた状態で接着固定することで、組み立てるコネクタフェルール40の接続端面と光ファイバ30の端面の位置を合わせることができる。
【0023】
さらに、光コネクタ接続では、接続部での反射を低減する必要がある。このため、光コネクタプラグの接続端面に屈折率整合剤を塗布して反射を抑える方法が良く用いられている。しかし、フォトニック結晶ファイバの場合、光コネクタプラグの接続端面に屈折率整合剤を塗布すると、反射は抑えられるものの接続損失が大きくなる。これは、フォトニック結晶ファイバの場合、屈折率整合剤を用いると該屈折率整合剤が空孔内に入ってしまって空孔がなくなり、その部分が周りの屈折率と等しくなり、その結果、導波してきた光を光ファイバ内に閉じ込めることができなくなることに起因している。このため、屈折率整合剤を用いることなく、接続部での反射をおさえる必要がある。
【0024】
前記反射を低減するため、光コネクタプラグの組立時に、フォトニック結晶ファイバ30の端面を切断する際に斜めに切断し、組み立てるコネクタフェルール40及びダミーフェルール50の接続端面も、予めこれに合わせて斜めに形成しておく。このように光ファイバ30の端面を斜めにしておくことにより、反射光を光ファイバ30の外部に放出でき、これによって低損失、低反射の接続が可能となる。
【0025】
図4に光ファイバの端面の角度と反射減衰量との関係を表す計算結果を示す。ここで、反射減衰量は、空気の屈折率をn0、光ファイバの屈折率をn1、スポットサイズをω、伝搬光の波長をλ、光ファイバの端面の光ファイバの軸と直交する方向に対する角度をθとした場合、
反射減衰量=−10log〔{(n0−n1)/(n0+n1)}2・EXP{−(π2n1ωθ/90λ)2}〕
から求めた。
【0026】
図4によれば、光ファイバの端面の角度を、光ファイバの軸と直交する方向に対して5.5度以上にすれば、反射減衰量が40dB以上となり、光信号伝送時に問題ないレベルにできることが分かる。
【0027】
なお、本発明は、図1(a)に示したタイプのフォトニック結晶ファイバだけでなく、図1(b)に示した構造のフォトニック結晶ファイバにも適用することが可能である。また、実施の形態では単心の光ファイバに対応する光コネクタプラグの組立について述べたが、多心テープファイバに対応する光コネクタプラグの組立についても同様に適用可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、研磨を行わず、かつ接続端面を斜めにするという光コネクタプラグの組立方法により、フォトニック結晶ファイバ同士またはフォトニック結晶ファイバとこれまでの光ファイバとを低損失・低反射でかつ高い信頼性を有する光コネクタ接続が実現できるため、低損失な伝送路の実現または伝送距離の拡大を図ることができるとともに、フォトニック結晶ファイバの性能を大いに活用でき、伝送容量の拡大を図ることができる。また、フォトニック結晶ファイバを光デバイスとして用いる際にも、低損失・低反射で高い信頼性をもった光コネクタ接続を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フォトニック結晶ファイバの構造を示す断面図
【図2】代表的な光コネクタプラグの一例を示す斜視図
【図3】本発明の光コネクタプラグの組立方法の実施の形態の一例を示す工程図
【図4】光ファイバの端面の角度と反射減衰量との関係を表す計算結果を示すグラフ
【符号の説明】
30:フォトニック結晶ファイバ、40:コネクタフェルール、41:接続端面、50:ダミーフェルール、60:接着剤。
Claims (2)
- 中心部付近に多数の空孔を有するフォトニック結晶ファイバを接続するための光コネクタプラグの組立方法であって、
光ファイバの周囲の被覆を除去するとともに端面を斜めに切断し、
前記光ファイバの端面と同じ角度の接続端面を有するコネクタフェルールの光ファイバ穴へ光ファイバを挿入し、
前記コネクタフェルールと、光ファイバ穴を持たない点を除いて前記コネクタフェルールと同一のダミーフェルールとの接続端面同士を嵌合ピンを用いて結合させ、
光ファイバの端面とコネクタフェルールの接続端面との角度を合わせた状態で光ファイバをダミーフェルールの方向に押圧しながら接着剤を滴下し、硬化させて光ファイバをコネクタフェルールに固定する
ことを特徴とするフォトニック結晶ファイバ接続用光コネクタプラグの組立方法。 - 請求項1記載のフォトニック結晶ファイバ接続用光コネクタプラグの組立方法において、
フォトニック結晶ファイバの端面を斜めに切断する角度、並びにコネクタフェルール及びダミーフェルールの接続端面の角度は、光ファイバの軸と直交する方向に対して5.5度以上とする
ことを特徴とするフォトニック結晶ファイバ接続用光コネクタプラグの組立方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002347439A JP2004177903A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | フォトニック結晶ファイバ接続用光コネクタプラグの組立方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002347439A JP2004177903A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | フォトニック結晶ファイバ接続用光コネクタプラグの組立方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004177903A true JP2004177903A (ja) | 2004-06-24 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101131453B (zh) * | 2006-08-21 | 2011-09-07 | 富士胶片株式会社 | 光连接器及光纤模块以及其组装方法 |
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2002
- 2002-11-29 JP JP2002347439A patent/JP2004177903A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN101131453B (zh) * | 2006-08-21 | 2011-09-07 | 富士胶片株式会社 | 光连接器及光纤模块以及其组装方法 |
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