JP2004177618A - 光アイソレータユニットおよび光アイソレータ付き光部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温高湿雰囲気下では、積層型光アイソレータ素子の接着剤接合部の強度が低下するという問題がある。
【解決手段】積層型光アイソレータ素子と、該積層型光アイソレータ素子の外周側面を保持した内側スリーブと、該内側スリーブの周囲に備えた外側スリーブと、概略中央部に貫通孔を有し前記内側スリーブと前記外側スリーブの両端面に当接して気密封止された底板とからなり、前記光アイソレータ素子の外周側面が前記内側スリーブの内壁に固着され気密封止した光アイソレータユニットを光部品の光入射面に接合することによって、積層型光アイソレータが気密封止されるため、高信頼性が得られる。
【選択図】図1
【解決手段】積層型光アイソレータ素子と、該積層型光アイソレータ素子の外周側面を保持した内側スリーブと、該内側スリーブの周囲に備えた外側スリーブと、概略中央部に貫通孔を有し前記内側スリーブと前記外側スリーブの両端面に当接して気密封止された底板とからなり、前記光アイソレータ素子の外周側面が前記内側スリーブの内壁に固着され気密封止した光アイソレータユニットを光部品の光入射面に接合することによって、積層型光アイソレータが気密封止されるため、高信頼性が得られる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信、光情報処理などに使用する光アイソレータユニットおよび光アイソレータ付光部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信用に使用される光モジュールには、光信号を送信するLDモジュール、及び光信号を受信するPDモジュールがあり、大容量、高速、長距離無中継通信が要求されるシステムに対して、LDモジュール内部に実装されるO/E変換用の発光素子には、分布帰還型半導体レーザ(以下、DFBレーザ)が使用される。DFBレーザの特徴は、発振スペクトルが狭く分散特性に優れる一方、反射戻り光に対しては非常に敏感であり、光ファイバへの結合端面やその他の不連続界面からの反射光が素子へ戻ると、DFBレーザは不安定状態となってしまう。
【0003】
そこで、上記モジュールには、反射光が発光素子へ戻るのを防止するため、発光素子と光ファイバとの間に、順方向の光は透過し、逆方向の光は遮断する機能を有する光アイソレータ素子を配置する。
【0004】
光アイソレータ素子の構造は、2枚の偏光子の相対角を約45°とし、それらの間にファラデー回転子を設置固定し、周囲に永久磁石を配置して構成される。ファラデー回転子は永久磁石から印加される磁界により、光信号の偏波面を45°回転させるように設計されている。また、偏光子はある一定方向の偏光のみ通過させる作用を有する。
【0005】
入射側の偏光子を通った順方向の光は、偏波面がファラデー回転子で45°回転するため、45°の相対角を有する出射光側の偏光子を通過できる。また、光ファイバからの反射戻り光は、出射側の偏光子を通ってファラデー回転子を透過するが、そのときに偏波が更に45°回転され、入射側の偏光子に対して偏波面が90°傾いた状態となるため、入射側の偏光子を透過できない。このようにして、光ファイバから発光素子方向への反射戻り光は光アイソレータ素子部で遮断され、発光素子は常に安定動作を行うことが可能となる。
【0006】
これらの光アイソレータ素子に対しては、小型化、高信頼性、低コスト化が要求されている。このため積層型光アイソレータ素子を組み合わせ、光ファイバ端部へ配置、一体化した光アイソレータ付光部品が提案されている。これは、従来コリメートビーム系に使用されているバルク型光アイソレータに比較すると、積層型光アイソレータ素子が集光位置である光ファイバ端部へ配置されるため、積層型光アイソレータ素子を通過する光ビーム径を小さくすることができる。
【0007】
このため、積層型光アイソレータ素子の有効エリアサイズを小さくすることができ、積層型光アイソレータ素子の小型化、低コスト化が可能である。また、バルク型光アイソレータは、LDモジュールのパッケージ部へ接続する工程が必要であるが、光アイソレータ付光部品は光アイソレータ素子と光ファイバが一体化されているため、発光素子と光ファイバを調芯、固定するだけでよく、製造工程を短縮できる。
【0008】
例えば、特許文献1では、図7(a)に開示されているように、積層型光アイソレータ素子21は、入射側偏光子22、ファラデー回転子23、出射側偏光子24から構成され、上記積層型光アイソレータ素子21および永久磁石25と光ファイバ29端部を一体化するために、積層型光アイソレータ素子21固定用の金属部材26を用いて、キャピラリ27を保持しているフェルール28周辺部に接続固定する構造が提案されている。
【0009】
また、特許文献2では、図7(b)に開示されているように、積層型光アイソレータ素子31は、入射側偏光子32、ファラデー回転子33、出射側偏光子34から構成され、上記積層型光アイソレータ素子31および永久磁石35と光ファイバ39端部を一体化するために、フェルール38内のキャピラリ37の研磨端面へ直接、積層型光アイソレータ素子31を接着固定する構造が提案されている。
【0010】
【特許文献1】特開平9−325299号公報(第4頁、図1)
【特許文献2】特開平10−133146号公報(第5頁、図1(b))
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した従来型の光アイソレータ付光部品においては、積層型光アイソレータ素子の搭載部は気密封止されておらず、また、積層型光アイソレータ素子を構成する入射側偏光子、ファラデー回転子、出射側偏光子をそれぞれ接着剤にて貼り合わせてなることから、積層型光アイソレータ素子は直接外部雰囲気にさらされるため、高温高湿状態においては上記接着剤接合部の強度が低下し、層間剥離を起こす可能性が高いという問題点があった。
【0012】
また、特許文献2には、積層型光アイソレータ素子31を金属筒、ガラス板、レンズなどで気密封止する技術が開示されているが、積層型光アイソレータ素子31とキャピラリ37同士が直接接着剤を用いて固定されているため、接着界面が剥離した場合、剥離界面部で発光素子からの出射光軸が変動し、LDモジュールの光出力が変動するという問題があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の光アイソレータユニットは、光アイソレータ素子と、該光アイソレータ素子の外周側面を保持した内側スリーブと、該内側スリーブの周囲に備えた外側スリーブと、概略中央部に貫通孔を有し前記内側スリーブと前記外側スリーブの両端面に当接して気密封止された底板とからなり、前記光アイソレータ素子の外周側面が前記内側スリーブの内壁に固着され気密封止されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の光アイソレータユニットは、前記貫通孔は、前記光アイソレータ素子の光入射面よりも小さく、該光入射面は前記貫通孔を完全に覆い隠すように前記底板に当接されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の光アイソレータユニットは、前記光アイソレータ素子は、少なくとも1つのファラデー回転子および少なくとも1つの偏光子を積層した積層型の光アイソレータであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の光アイソレータユニットは、前記内側スリーブと前記底板が、同一材料で一体形成されたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の光アイソレータユニットは、前記外側スリーブは永久磁石であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の光アイソレータユニットは、前記外側スリーブの前記底板に当接する側の端面が、前記外側スリーブの中心軸に垂直な面に対して傾斜していることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の光アイソレータユニットは、前記光アイソレータ素子の外形が、円弧の一部が切り離された略円形状であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の光アイソレータ付光部品は、光部品の光入射側部材に、本発明の光アイソレータユニットの光アイソレータ素子の光出射側の外側スリーブ端面を当接させて、固着封止したことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の光アイソレータ付光部品は、前記光部品が、フェルールであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の光アイソレータ付光部品は、前記光部品が、レセプタクルであることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図によって説明する。
【0024】
図1は本発明の光アイソレータユニットの実施形態を示す側面断面図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の光アイソレータユニット9は、積層型光アイソレータ素子1、内側スリーブ5、外側スリーブ6、底板7とからなり、内側スリーブ5に前記積層型光アイソレータ素子1が嵌装されて、その外周側面が、前記内側スリーブ5の内壁に固着され気密封止されている。
【0026】
また、前記内側スリーブ5の周囲に外側スリーブ6が配設され、さらに、前記内側スリーブ5および前記外側スリーブ6の端面は、概略中央部に貫通孔8を有する底板7に当接して気密封止された構造となっている。
【0027】
また、積層型光アイソレータ素子1は、入射側偏光子2、ファラデー回転子3、出射側偏光子4とからなり、それぞれ接着剤によって貼り合わされて積層されている。
【0028】
この光アイソレータユニット9は、詳しくは後述するが、外側スリーブ6が底板7と接しているのと反対側の端面を、光部品の入射側の部材に当接させて固着封止させて用いる。そして、前記底板7の貫通孔8から入射した光が積層型光アイソレータ素子1を透過して光部品の入射側部材へと導かれる。
【0029】
ここで、全ての部材間隙が封止されているため、積層型光アイソレータ素子1の周囲は内側スリーブ5、外側スリーブ6、底板7、光部品の入射側部材で囲まれた気密封止構造となる。特に湿度を遮断するため、外部雰囲気に変動があっても接着剤で貼り合わされた積層構造を有する積層型光アイソレータ素子1の接着剤の接合部強度劣化を防止することが可能となる。
【0030】
なお、ここでは、光アイソレータユニット9で用いる光アイソレータ素子として、積層型光アイソレータ素子1によって説明したが、それ以外の光アイソレータ素子を用いることも可能である。しかしながら、小型化、低コスト化が可能であり、問題であった環境変動によるアイソレータ積層部の強度劣化も本発明の簡易封止構造により解消されることから、積層型光アイソレータ素子を用いることが望ましい。
【0031】
なお、積層型光アイソレータ素子1は、複数のファラデー回転子、複数の偏光子を組み合わせた多段型のものでもよい。また、入射光の光源として、偏光方向に直交する戻り光の影響に強い発光素子を用いるときは、入射側偏光子2は必ずしも必要でないが、光学系などから光源への戻り光を確実に遮断するために、入射側偏光子2を設けるのが望ましい。
【0032】
また、入射側偏光子2の入射面、ファラデー回転子3両面および出射側偏光子4の出射面には、反射防止のためARコートを施しておくことが重要であり、例えば、対空気に対してのARコート材料としてはTiO2/SiO2/TiO2/SiO2の4層構成としたものがあり、使用波長によって各層の膜厚を最適化することが必要である。
【0033】
また、入射側偏光子2、ファラデー回転子3、出射側偏光子4を積層する接着剤としては、エポキシ系接着剤やアクリル系接着剤が望ましく、製造工程上簡単に高い接着力が得られることから、UV併用熱硬化型がより望ましい。
【0034】
また、ファラデー回転子3としては、磁性ガーネット単結晶材料を用い、ファラデー効果を得るために外部磁界が必要な非保磁型ファラデー回転子や、外部磁界を加える必要のない保磁型ファラデー回転子などを用いることができるが、例えば、保磁型ファラデー回転子は、あらかじめ強い外部磁界にて着磁することによって、単磁区構造を保つことが可能になることから、外部から磁界を印加しなくても偏波面を回転させる作用を有するため、積層型光アイソレータ素子1の周囲に永久磁石を配設する必要がなくなり、構造を簡素化され、部品点数を削減することが可能となる。
【0035】
なお、必要に応じて、永久磁石を積層型光アイソレータ素子1の周囲に配設する。例えば、前記内側スリーブ5と前記外側スリーブ6の間に配設してもよいし、あるいは、前記内側スリーブ5、前記外側スリーブ6そのものを永久磁石で構成してもよい。
【0036】
この中でも、磁性ガーネット単結晶のファラデー効果を安定的に得ることが可能であることから、前記外側スリーブ6を永久磁石により構成することが望ましい。
【0037】
永久磁石を用いる場合、Nd(ネオジウム)材料やSmCo(サマリウム・コバルト)材料などの強磁性体を用いることができるが、その中でも温度特性が良好であるため、SmCo材料を用いることが望ましい。また、永久磁石材の表面は、腐食防止のため表面全体をNiなどでメッキすることが望ましい。
【0038】
次に、本発明の光アイソレータユニット9の各構成部材を組み立てる手順について、図2の(a)〜(d)の各図に示す。
【0039】
図2(a)では、貫通孔8を設けた底板7に内側スリーブ5の下端面を当接し接着固定させ、前記内側スリーブ5の内部に積層型光アイソレータ素子1を搭載する。また、図2(b)では、前記内側スリーブ5の内壁部と前記積層型光アイソレータ素子1の外周側面部に接着剤11を塗布するのと同時に、前記底板7上の外端周辺にも接着剤11を塗布する。さらに、図2(c)では、外側スリーブ6を、前記内側スリーブ5の前記底板7の周辺の接着剤11を用いて搭載する。最後に、図2(d)では、接着剤11を完全硬化させて、各接着部を固定する。
【0040】
ここで、前記貫通孔8は、前記積層型光アイソレータ素子1の光入射面よりも小さく、該光入射面は前記貫通孔8を完全に覆い隠すように前記底板に当接されていることが望ましい。前記貫通孔8が前記積層型光アイソレータ素子1の光入射面よりも大きいときは、前記積層型光アイソレータ素子1を安定して底板7上に保持することが難しく、さらに前記積層型光アイソレータ素子1外周側面と前記内側スリーブ5内壁の接着した部分が外部に対して完全に露出し、悪影響を及ぼす恐れがあるからである。
【0041】
また、前記貫通孔8が、前記積層型光アイソレータ素子1の光入射面に対して、小さすぎるときは、十分に光が入射できず、発光素子と光ファイバの結合効率が劣化したり、また底板7によって入射光が反射し、その反射戻り光の影響により発光素子を不安定動作させたりする恐れがある。このため、貫通孔8の直径は、積層型光アイソレータ素子1の約80%以上とすることが望ましい。
【0042】
また、前記内側スリーブ5と前記底板7は、同一材料で一体形成されていることが望ましい。その理由としては、前記内側スリーブ5と前記底板7とが固着されているのは、該底板7の端面のみであるため、接着強度が若干低い。そのため、大きな衝撃を受けたときや、熱膨張の影響を受けたときなど、微小ではあるが、前記底板7の上で前記内側スリーブ5の位置が変位し、積層型光アイソレータ素子1と外部の光部品の光軸がずれる恐れがあるからである。
【0043】
なお、前記内側スリーブ5と前記底板7を一体形成するための材料としては、SF20Tなどの快削材料が好適に使用され、これをフライス盤による切削加工や射出成形加工などの方法により一体形成すればよい。
【0044】
また、本発明の光アイソレータユニットでは、図2の(c)に示したように前記外側スリーブ6の前記底板7に当接する側の端面を、前記外側スリーブ6の中心軸に垂直な面に対して傾斜させることが望ましい。通常、反射を防止するため、積層型光アイソレータ素子1の実装位置を光軸に対し斜めに配置することはごく普通になされているが、本発明においては、前記外側スリーブ6の端面を傾斜させて加工し、前記底板7に当接させるだけで、簡単かつ正確に、前記積層型光アイソレータ素子1を光軸に対して斜めに配設することができる。なお、傾斜の角度はおおよそ6〜8°程度が好ましい。
【0045】
また図3(a)〜(d)に、積層型光アイソレータ素子1を傾斜させるための別の方法を示す。貫通孔13を有する底板12において、内側スリーブ5と当接する面の部分を所望の角度の傾斜を有するように加工しておき、後は同様に、積層型光アイソレータ素子1の外周側面を前記内側スリーブ5の内壁に固着させ気密封止して搭載し、外側スリーブ14を固着させて形成するものである。
【0046】
この場合、端面がフラットな形状の外側スリーブ14で本発明を構成することが可能であり、最終的な光アイソレータユニット15の形状も先端がフラットな形状となる。
【0047】
また、積層型光アイソレータ素子1については、外形が円形状のものを好適に用いることができる。特に、上記のように内側スリーブ5と底板7を一体形成するような場合は、切削加工や射出成形加工などの方法により、前記内側スリーブ5の内壁を容易に円筒内壁形状に形成することができるため、前記積層型光アイソレータ素子1の形状は、円形であることが望ましい。
【0048】
従来型の光アイソレータ付光部品においては、積層型光アイソレータ素子1の入射偏波方向を形状より識別するため、四角形状として長辺方向を入射偏波方向としていたが、発光素子より入射される信号光のビーム形状はほぼ円形であることから、実際に必要な有効エリアとしては円形でよい。したがって、積層型光アイソレータ素子1を円形にすることによって、不要な四角形状の角部を除くことができ、低コスト化に寄与するという利点がある。
【0049】
さらに、前記積層型光アイソレータ素子1を円形にするに当たっては、円弧の一部が切り離された略円形状にし、この切り離された箇所によって入射偏波方向を示すことが望ましい。
【0050】
前記円弧の一部が切り離された略円形状の積層型光アイソレータ素子1を加工する方法について、図4(a)、(b)に示す。図4(a)は本発明の積層型光アイソレータ素子を示す側面断面図であり、図4(b)はその製造方法を説明する図である。
【0051】
図4(b)中一点鎖線16で示したように、あらかじめワックスなどでダミー基体上に貼り付けた大判形状の積層体を、超音波加工機を用いて必要な有効径以上の外形を有する丸形へ加工し、図4(b)中破線17で示したようなダイシング加工により、例えば、入射偏波方向を示すためのラインを入れる。
【0052】
その後、ワックスを溶かして、加工した積層体を取り外すことによって、図4(a)に示すような、円弧の一部が切り離された略円形状の積層型光アイソレータ素子1を得る。
【0053】
この円弧が切り離された箇所により、素子の入射偏波方向を容易に判別することができ、さらに四角形状の場合と比較して、一枚の大判形状の積層体からの素子の取り数を多くできるため、素子の低コスト化を行うことが可能となる。
【0054】
また、光アイソレータユニット9の部材同士を気密封止するための接着剤11は、高耐湿性、高強度、低硬化収縮率、低ヤング率材料であることが必要とされることから、アクリル系接着剤や熱硬化型のエポキシ系接着剤を用いるのが望ましい。一般的には、例えば、エポキシテクノロジー社製熱硬化型エポキシ接着剤エポテック353NDを好適に用いることができる。
【0055】
接着剤11については、上記にとらわれるものではなく、要求される環境条件に対応した接着剤を適宜選択し、硬化条件や接着面洗浄条件などの条件が最適になるように選択し管理を行えばよい。また、長期信頼性を確保するために、硬化後にアニールなどを行い、残留応力低減を行ってもよい。
【0056】
また、本発明の光アイソレータ付光部品は、光部品の光入射側部材に、本発明の光アイソレータユニットの光アイソレータ素子の光出射側の外側スリーブ端面を当接させて、固着封止して用いることを特徴とする。
【0057】
例えば、前記光部品として、フェルールやレセプタクルなどと組み合わせることによって、これらの部品に光アイソレータの機能を付加することが可能となる。即ち、前記光アイソレータユニット9を構成する底板7の貫通孔8から入射した光が積層型光アイソレータ素子1を透過して前記光部品の入射側部材へと導かれ、前記光部品からの反射光などは、前記光アイソレータユニット9で遮断される。
【0058】
また、上記構造は、接着剤11により部材間隙が充填され気密封止されているために、環境の変動に対する変化を受けにくく、長期にわたって安定して使用できるという利点も有する。
【0059】
さらに、前記光アイソレータユニット9の光透過面は、光部品の光入射側部材を取り付ける際に、接着剤を介することなく取り付けられているため、例えば、図7(b)に示す積層型光アイソレータ素子31とキャピラリ37同士が直接、接着剤を用いて固定されている構造に比較し、上記接着剤固定部の接着界面剥離に起因する、発光素子およびフェルールの光軸変動を防止することが可能になるため、外部環境や雰囲気の影響によるLDモジュールの光出力劣化を防止することができるという利点を有している。
【0060】
次に、本発明の光アイソレータ付光部品の実施形態として、本発明の光アイソレータユニットと光ファイバ付きのフェルールを組み合わせた例について、図5の側面断面図を用いて説明する。
【0061】
光ファイバ53は、金属製のフェルール52へキャピラリ51を圧入固定した後、フェルール52に形成されている孔部56へ挿入し、接着剤54で気密封止されている。そして、本発明の光アイソレータユニット9が、フェルール52端面へ当接し接着剤55を用いて接着固定されている。
【0062】
本発明の光アイソレータ付光部品をモジュールへ固定する際にYAG溶接を用いることが望ましいため、フェルール52に使用する材料としては、溶接性の良好な金属材料が好ましく、一般的にはSUS303、SUS304などが好ましい。さらに低コスト化のために、快削材料であるSF20Tなどを使用することも可能である。
【0063】
また、キャピラリ51の材料としては、セラミックを用いるのが好ましく、その中でもコネクタ側に最も多く使用されるジルコニアセラミックスがコスト上有利である。
【0064】
さらに、LD素子への反射戻り光を低減するため、キャピラリ51は光軸に対し斜め研磨されることが好ましく、同様に本発明の光アイソレータユニット9についても、積層型光アイソレータ素子1を光軸に対し斜めに搭載したタイプのものを用いることが好ましい。
【0065】
また、キャピラリ51の光入射面と積層型光アイソレータ1の光出射面は、略平行となるように配置されることが望ましい。その理由は次の通りである。まず、積層型光アイソレータ素子1の光入射面に入射する光は、平行光ではなく光ファイバ端面に結像するように絞られた光である。そのため、積層型光アイソレータ素子1を配置する位置は、光ファイバに近ければ近いほど、光入射面の有効受光径が小さくてすむ。したがって、キャピラリ51の光入射面と積層型光アイソレータ1の光出射面を略平行に配置することにより、キャピラリ51と積層型光アイソレータ1同士の距離を短くすることができ、積層型光アイソレータ1の小型化が可能になるからである。
【0066】
前記光アイソレータユニット9を前記フェルール52の端面に取り付けるに当たっては、あらかじめ光アイソレータユニット9およびフェルール52へ、それぞれ光軸に対する傾斜面を示すマークを設け、そのマークを一致させるように位置を調整しながら、各々の傾斜面が平行になるような最適な位置に取り付けることが必要である。
【0067】
各部材を接着する接着剤は、気密封止する必要があることから、前記光アイソレータユニット9の各部材の組み立てに用いた熱硬化性のエポキシ接着剤などを使用することが望ましい。
【0068】
また、本発明の光アイソレータ付光部品の別の実施形態として、本発明の光アイソレータユニットとレセプタクルを組み合わせた例について、図6の側面断面図を用いて説明する。
【0069】
スタブ63は内部に短尺光ファイバ65を内蔵しており、片端はPC研磨処理、もう一方を斜め研磨処理し、圧入金具62へ圧入固定した後、弾性スリーブ64を挿入し、その後シェル61を圧入してレセプタクル67とし、上記で説明したと同様な本発明の光アイソレータユニット9を前記レセプタクル67へ接着剤66を用いて接着固定するものである。
【0070】
前記スタブ63の材料は、一般的にジルコニアセラミックスが使用され、フェルールと光学的に接続される側の端面は、曲率半径20mm程度のPC研磨が必要であり、反対側の端面は、LD素子への反射戻り光を小さくするため、光軸に対して6〜8°程度の斜め研磨が必要である。
【0071】
また、前記弾性スリーブ64に使用される材料は、一般的に用いられているジルコニア、リン青銅などが好適であり、また圧入金具62、シェル61へ使用される材料としては、圧入して固定する構造を用いることから、SUS系材料が好適に用いられる。
【0072】
前記光アイソレータユニット9を前記レセプタクル67の端面に取り付けるに当たっても、前記フェルールに取り付けたときと同様の理由から、積層型光アイソレータ1の光出射面と前記レセプタクル67の前記スタブ63の光入射面の傾斜は略平行にすることが望ましく、同じように位置を調整しながら最適な位置に取り付けることが望ましい。
【0073】
各部材を接着する接着剤については、フェルールの場合と同様に、熱硬化性のエポキシ接着剤などが好適に用いられる。
【0074】
【実施例】
本発明の実施例を以下説明する。
【0075】
片面に対空気用ARコートを施した10×10×0.2mmサイズの入射側偏光子2、出射側偏光子4および両面に対接着剤ARコートを施した10×10×0.4mmサイズのファラデー回転子3を積層し、その際にエポキシ系接着剤を塗布し、入射側偏光子2と出射側偏光子の入射偏波方向が45°となるよう光学調芯した後、接着剤を硬化した。
【0076】
そして、図4(b)に示すように、積層型光アイソレータ素子1を個片に分割するため、超音波加工によりφ0.5mmの丸形へ形成し、さらに入射偏波方向に平行にダイシングラインを入れ、積層型光アイソレータ素子1とした。
【0077】
次に、図1に示すように内側スリーブ5と底板7はSF20Tを用いて、フライス盤を用いた切削加工により一体形成し、貫通孔8はφ0.4mmとなるよう加工した。
【0078】
また、外側スリーブ6は、SmCo材を使用した永久磁石とし、外形φ2.45mm、内径φ1.5mm、高さ1.5mmの円柱形状とし、その片側端面を8°形状に加工した後、腐食防止のため表面全体をNiメッキした。
【0079】
上記により作製した積層型光アイソレータ素子1を図2に示すように内側スリーブ5に嵌装し、底板7の貫通孔8を覆い隠すように当接した。その後、熱硬化型エポキシ系接着剤11をディスペンサにより積層型光アイソレータ素子1外周部と内側スリーブ5内壁の隙間部、および前記底板7の周辺部に連続的に塗布した後、前記永久磁石よりなる外側スリーブ6が8°となるように斜め加工された端面を前記底板7の接着剤11付着部に搭載し、全体を加熱して熱硬化することによって、本発明の光アイソレータユニット9を得た。
【0080】
この光アイソレータユニット9を図5に示すような光ファイバ付きのフェルール部材と組合せた。光ファイバ53を保持したキャピラリ51は8°に研磨され、フェルール52端面全周へ熱硬化型エポキシ系の接着剤55を塗布した後、上記で作製した光アイソレータユニット9を搭載し、8°の面同士が略平行になるよう調整し、光軸を合わせた後、熱硬化を行って光アイソレータ付光部品とした。
【0081】
このようにして作製した光アイソレータ付光部品の光学特性を測定したところ、波長1310nm、温度25℃で、挿入損失≦0.3dB、アイソレーション≧30dBであることがわかり、さらに先端部の積層型光アイソレータ素子1が実装される閉空間の気密性をヘリウムリークテストにより測定したところ、1×10−8atm.cc・sec.であることがわかり、光学特性も気密性も良好であることを確認した。
【0082】
また、表1は大判における積層型光アイソレータ素子1の取り数とコスト比較を示す。大判形状が0.5×0.6mmサイズの場合、素子形状が四角形状とすれば取り数は約200個となる。それに対して、本発明の円弧の一部が切り離された略円形状の素子では、取り数が約270個と約1.4倍に増加することがわかった。
【0083】
したがって、同等の有効エリアを有する積層型光アイソレータ素子1個当たりの単価は、従来の四角形状のものに比較して、コストを約0.7倍とすることが可能となった。
【0084】
【表1】
【0085】
【発明の効果】
本発明の光アイソレータユニットを用いた光部品によれば、積層型光アイソレータ素子部が完全に気密封止されることから、上記積層型光アイソレータ素子が直接外部雰囲気にさらされることがなくなり、高温高湿状態においても光アイソレータ素子の積層部の強度が低下したり、光特性が変化したりすることがなく、高信頼性を維持することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光アイソレータユニットを示す側面断面図である。
【図2】(a)〜(d)は本発明の光アイソレータユニットの製造工程を示す側面断面図である。
【図3】(a)〜(d)は本発明の光アイソレータユニットの別の実施形態における製造工程を示す側面断面図である。
【図4】(a)は本発明の積層型光アイソレータ素子を示す側面断面図であり、(b)は本発明の積層型光アイソレータ素子の製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の光アイソレータ付光部品の実施形態を示す側面断面図である。
【図6】本発明の光アイソレータ付光部品の実施形態を示す側面断面図である。
【図7】従来型の光アイソレータ付光部品を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1:積層型光アイソレータ素子
2:入射側偏光子
3:ファラデー回転子
4:出射側偏光子
5:内側スリーブ
6:外側スリーブ
7:底板
8:貫通孔
9:光アイソレータユニット
11:接着剤
12:底板
13:貫通孔
14:外側スリーブ
15:光アイソレータユニット
16:中一点鎖線
17:中破線
51:キャピラリ
52:フェルール
53:光ファイバ
54:接着剤
55:接着剤
56:孔部
61:シェル
62:圧入金具
63:スタブ
64:弾性スリーブ
65:短尺光ファイバ
66:接着剤
67:レセプタクル
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信、光情報処理などに使用する光アイソレータユニットおよび光アイソレータ付光部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信用に使用される光モジュールには、光信号を送信するLDモジュール、及び光信号を受信するPDモジュールがあり、大容量、高速、長距離無中継通信が要求されるシステムに対して、LDモジュール内部に実装されるO/E変換用の発光素子には、分布帰還型半導体レーザ(以下、DFBレーザ)が使用される。DFBレーザの特徴は、発振スペクトルが狭く分散特性に優れる一方、反射戻り光に対しては非常に敏感であり、光ファイバへの結合端面やその他の不連続界面からの反射光が素子へ戻ると、DFBレーザは不安定状態となってしまう。
【0003】
そこで、上記モジュールには、反射光が発光素子へ戻るのを防止するため、発光素子と光ファイバとの間に、順方向の光は透過し、逆方向の光は遮断する機能を有する光アイソレータ素子を配置する。
【0004】
光アイソレータ素子の構造は、2枚の偏光子の相対角を約45°とし、それらの間にファラデー回転子を設置固定し、周囲に永久磁石を配置して構成される。ファラデー回転子は永久磁石から印加される磁界により、光信号の偏波面を45°回転させるように設計されている。また、偏光子はある一定方向の偏光のみ通過させる作用を有する。
【0005】
入射側の偏光子を通った順方向の光は、偏波面がファラデー回転子で45°回転するため、45°の相対角を有する出射光側の偏光子を通過できる。また、光ファイバからの反射戻り光は、出射側の偏光子を通ってファラデー回転子を透過するが、そのときに偏波が更に45°回転され、入射側の偏光子に対して偏波面が90°傾いた状態となるため、入射側の偏光子を透過できない。このようにして、光ファイバから発光素子方向への反射戻り光は光アイソレータ素子部で遮断され、発光素子は常に安定動作を行うことが可能となる。
【0006】
これらの光アイソレータ素子に対しては、小型化、高信頼性、低コスト化が要求されている。このため積層型光アイソレータ素子を組み合わせ、光ファイバ端部へ配置、一体化した光アイソレータ付光部品が提案されている。これは、従来コリメートビーム系に使用されているバルク型光アイソレータに比較すると、積層型光アイソレータ素子が集光位置である光ファイバ端部へ配置されるため、積層型光アイソレータ素子を通過する光ビーム径を小さくすることができる。
【0007】
このため、積層型光アイソレータ素子の有効エリアサイズを小さくすることができ、積層型光アイソレータ素子の小型化、低コスト化が可能である。また、バルク型光アイソレータは、LDモジュールのパッケージ部へ接続する工程が必要であるが、光アイソレータ付光部品は光アイソレータ素子と光ファイバが一体化されているため、発光素子と光ファイバを調芯、固定するだけでよく、製造工程を短縮できる。
【0008】
例えば、特許文献1では、図7(a)に開示されているように、積層型光アイソレータ素子21は、入射側偏光子22、ファラデー回転子23、出射側偏光子24から構成され、上記積層型光アイソレータ素子21および永久磁石25と光ファイバ29端部を一体化するために、積層型光アイソレータ素子21固定用の金属部材26を用いて、キャピラリ27を保持しているフェルール28周辺部に接続固定する構造が提案されている。
【0009】
また、特許文献2では、図7(b)に開示されているように、積層型光アイソレータ素子31は、入射側偏光子32、ファラデー回転子33、出射側偏光子34から構成され、上記積層型光アイソレータ素子31および永久磁石35と光ファイバ39端部を一体化するために、フェルール38内のキャピラリ37の研磨端面へ直接、積層型光アイソレータ素子31を接着固定する構造が提案されている。
【0010】
【特許文献1】特開平9−325299号公報(第4頁、図1)
【特許文献2】特開平10−133146号公報(第5頁、図1(b))
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した従来型の光アイソレータ付光部品においては、積層型光アイソレータ素子の搭載部は気密封止されておらず、また、積層型光アイソレータ素子を構成する入射側偏光子、ファラデー回転子、出射側偏光子をそれぞれ接着剤にて貼り合わせてなることから、積層型光アイソレータ素子は直接外部雰囲気にさらされるため、高温高湿状態においては上記接着剤接合部の強度が低下し、層間剥離を起こす可能性が高いという問題点があった。
【0012】
また、特許文献2には、積層型光アイソレータ素子31を金属筒、ガラス板、レンズなどで気密封止する技術が開示されているが、積層型光アイソレータ素子31とキャピラリ37同士が直接接着剤を用いて固定されているため、接着界面が剥離した場合、剥離界面部で発光素子からの出射光軸が変動し、LDモジュールの光出力が変動するという問題があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の光アイソレータユニットは、光アイソレータ素子と、該光アイソレータ素子の外周側面を保持した内側スリーブと、該内側スリーブの周囲に備えた外側スリーブと、概略中央部に貫通孔を有し前記内側スリーブと前記外側スリーブの両端面に当接して気密封止された底板とからなり、前記光アイソレータ素子の外周側面が前記内側スリーブの内壁に固着され気密封止されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の光アイソレータユニットは、前記貫通孔は、前記光アイソレータ素子の光入射面よりも小さく、該光入射面は前記貫通孔を完全に覆い隠すように前記底板に当接されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の光アイソレータユニットは、前記光アイソレータ素子は、少なくとも1つのファラデー回転子および少なくとも1つの偏光子を積層した積層型の光アイソレータであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の光アイソレータユニットは、前記内側スリーブと前記底板が、同一材料で一体形成されたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の光アイソレータユニットは、前記外側スリーブは永久磁石であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の光アイソレータユニットは、前記外側スリーブの前記底板に当接する側の端面が、前記外側スリーブの中心軸に垂直な面に対して傾斜していることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の光アイソレータユニットは、前記光アイソレータ素子の外形が、円弧の一部が切り離された略円形状であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の光アイソレータ付光部品は、光部品の光入射側部材に、本発明の光アイソレータユニットの光アイソレータ素子の光出射側の外側スリーブ端面を当接させて、固着封止したことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の光アイソレータ付光部品は、前記光部品が、フェルールであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の光アイソレータ付光部品は、前記光部品が、レセプタクルであることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図によって説明する。
【0024】
図1は本発明の光アイソレータユニットの実施形態を示す側面断面図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の光アイソレータユニット9は、積層型光アイソレータ素子1、内側スリーブ5、外側スリーブ6、底板7とからなり、内側スリーブ5に前記積層型光アイソレータ素子1が嵌装されて、その外周側面が、前記内側スリーブ5の内壁に固着され気密封止されている。
【0026】
また、前記内側スリーブ5の周囲に外側スリーブ6が配設され、さらに、前記内側スリーブ5および前記外側スリーブ6の端面は、概略中央部に貫通孔8を有する底板7に当接して気密封止された構造となっている。
【0027】
また、積層型光アイソレータ素子1は、入射側偏光子2、ファラデー回転子3、出射側偏光子4とからなり、それぞれ接着剤によって貼り合わされて積層されている。
【0028】
この光アイソレータユニット9は、詳しくは後述するが、外側スリーブ6が底板7と接しているのと反対側の端面を、光部品の入射側の部材に当接させて固着封止させて用いる。そして、前記底板7の貫通孔8から入射した光が積層型光アイソレータ素子1を透過して光部品の入射側部材へと導かれる。
【0029】
ここで、全ての部材間隙が封止されているため、積層型光アイソレータ素子1の周囲は内側スリーブ5、外側スリーブ6、底板7、光部品の入射側部材で囲まれた気密封止構造となる。特に湿度を遮断するため、外部雰囲気に変動があっても接着剤で貼り合わされた積層構造を有する積層型光アイソレータ素子1の接着剤の接合部強度劣化を防止することが可能となる。
【0030】
なお、ここでは、光アイソレータユニット9で用いる光アイソレータ素子として、積層型光アイソレータ素子1によって説明したが、それ以外の光アイソレータ素子を用いることも可能である。しかしながら、小型化、低コスト化が可能であり、問題であった環境変動によるアイソレータ積層部の強度劣化も本発明の簡易封止構造により解消されることから、積層型光アイソレータ素子を用いることが望ましい。
【0031】
なお、積層型光アイソレータ素子1は、複数のファラデー回転子、複数の偏光子を組み合わせた多段型のものでもよい。また、入射光の光源として、偏光方向に直交する戻り光の影響に強い発光素子を用いるときは、入射側偏光子2は必ずしも必要でないが、光学系などから光源への戻り光を確実に遮断するために、入射側偏光子2を設けるのが望ましい。
【0032】
また、入射側偏光子2の入射面、ファラデー回転子3両面および出射側偏光子4の出射面には、反射防止のためARコートを施しておくことが重要であり、例えば、対空気に対してのARコート材料としてはTiO2/SiO2/TiO2/SiO2の4層構成としたものがあり、使用波長によって各層の膜厚を最適化することが必要である。
【0033】
また、入射側偏光子2、ファラデー回転子3、出射側偏光子4を積層する接着剤としては、エポキシ系接着剤やアクリル系接着剤が望ましく、製造工程上簡単に高い接着力が得られることから、UV併用熱硬化型がより望ましい。
【0034】
また、ファラデー回転子3としては、磁性ガーネット単結晶材料を用い、ファラデー効果を得るために外部磁界が必要な非保磁型ファラデー回転子や、外部磁界を加える必要のない保磁型ファラデー回転子などを用いることができるが、例えば、保磁型ファラデー回転子は、あらかじめ強い外部磁界にて着磁することによって、単磁区構造を保つことが可能になることから、外部から磁界を印加しなくても偏波面を回転させる作用を有するため、積層型光アイソレータ素子1の周囲に永久磁石を配設する必要がなくなり、構造を簡素化され、部品点数を削減することが可能となる。
【0035】
なお、必要に応じて、永久磁石を積層型光アイソレータ素子1の周囲に配設する。例えば、前記内側スリーブ5と前記外側スリーブ6の間に配設してもよいし、あるいは、前記内側スリーブ5、前記外側スリーブ6そのものを永久磁石で構成してもよい。
【0036】
この中でも、磁性ガーネット単結晶のファラデー効果を安定的に得ることが可能であることから、前記外側スリーブ6を永久磁石により構成することが望ましい。
【0037】
永久磁石を用いる場合、Nd(ネオジウム)材料やSmCo(サマリウム・コバルト)材料などの強磁性体を用いることができるが、その中でも温度特性が良好であるため、SmCo材料を用いることが望ましい。また、永久磁石材の表面は、腐食防止のため表面全体をNiなどでメッキすることが望ましい。
【0038】
次に、本発明の光アイソレータユニット9の各構成部材を組み立てる手順について、図2の(a)〜(d)の各図に示す。
【0039】
図2(a)では、貫通孔8を設けた底板7に内側スリーブ5の下端面を当接し接着固定させ、前記内側スリーブ5の内部に積層型光アイソレータ素子1を搭載する。また、図2(b)では、前記内側スリーブ5の内壁部と前記積層型光アイソレータ素子1の外周側面部に接着剤11を塗布するのと同時に、前記底板7上の外端周辺にも接着剤11を塗布する。さらに、図2(c)では、外側スリーブ6を、前記内側スリーブ5の前記底板7の周辺の接着剤11を用いて搭載する。最後に、図2(d)では、接着剤11を完全硬化させて、各接着部を固定する。
【0040】
ここで、前記貫通孔8は、前記積層型光アイソレータ素子1の光入射面よりも小さく、該光入射面は前記貫通孔8を完全に覆い隠すように前記底板に当接されていることが望ましい。前記貫通孔8が前記積層型光アイソレータ素子1の光入射面よりも大きいときは、前記積層型光アイソレータ素子1を安定して底板7上に保持することが難しく、さらに前記積層型光アイソレータ素子1外周側面と前記内側スリーブ5内壁の接着した部分が外部に対して完全に露出し、悪影響を及ぼす恐れがあるからである。
【0041】
また、前記貫通孔8が、前記積層型光アイソレータ素子1の光入射面に対して、小さすぎるときは、十分に光が入射できず、発光素子と光ファイバの結合効率が劣化したり、また底板7によって入射光が反射し、その反射戻り光の影響により発光素子を不安定動作させたりする恐れがある。このため、貫通孔8の直径は、積層型光アイソレータ素子1の約80%以上とすることが望ましい。
【0042】
また、前記内側スリーブ5と前記底板7は、同一材料で一体形成されていることが望ましい。その理由としては、前記内側スリーブ5と前記底板7とが固着されているのは、該底板7の端面のみであるため、接着強度が若干低い。そのため、大きな衝撃を受けたときや、熱膨張の影響を受けたときなど、微小ではあるが、前記底板7の上で前記内側スリーブ5の位置が変位し、積層型光アイソレータ素子1と外部の光部品の光軸がずれる恐れがあるからである。
【0043】
なお、前記内側スリーブ5と前記底板7を一体形成するための材料としては、SF20Tなどの快削材料が好適に使用され、これをフライス盤による切削加工や射出成形加工などの方法により一体形成すればよい。
【0044】
また、本発明の光アイソレータユニットでは、図2の(c)に示したように前記外側スリーブ6の前記底板7に当接する側の端面を、前記外側スリーブ6の中心軸に垂直な面に対して傾斜させることが望ましい。通常、反射を防止するため、積層型光アイソレータ素子1の実装位置を光軸に対し斜めに配置することはごく普通になされているが、本発明においては、前記外側スリーブ6の端面を傾斜させて加工し、前記底板7に当接させるだけで、簡単かつ正確に、前記積層型光アイソレータ素子1を光軸に対して斜めに配設することができる。なお、傾斜の角度はおおよそ6〜8°程度が好ましい。
【0045】
また図3(a)〜(d)に、積層型光アイソレータ素子1を傾斜させるための別の方法を示す。貫通孔13を有する底板12において、内側スリーブ5と当接する面の部分を所望の角度の傾斜を有するように加工しておき、後は同様に、積層型光アイソレータ素子1の外周側面を前記内側スリーブ5の内壁に固着させ気密封止して搭載し、外側スリーブ14を固着させて形成するものである。
【0046】
この場合、端面がフラットな形状の外側スリーブ14で本発明を構成することが可能であり、最終的な光アイソレータユニット15の形状も先端がフラットな形状となる。
【0047】
また、積層型光アイソレータ素子1については、外形が円形状のものを好適に用いることができる。特に、上記のように内側スリーブ5と底板7を一体形成するような場合は、切削加工や射出成形加工などの方法により、前記内側スリーブ5の内壁を容易に円筒内壁形状に形成することができるため、前記積層型光アイソレータ素子1の形状は、円形であることが望ましい。
【0048】
従来型の光アイソレータ付光部品においては、積層型光アイソレータ素子1の入射偏波方向を形状より識別するため、四角形状として長辺方向を入射偏波方向としていたが、発光素子より入射される信号光のビーム形状はほぼ円形であることから、実際に必要な有効エリアとしては円形でよい。したがって、積層型光アイソレータ素子1を円形にすることによって、不要な四角形状の角部を除くことができ、低コスト化に寄与するという利点がある。
【0049】
さらに、前記積層型光アイソレータ素子1を円形にするに当たっては、円弧の一部が切り離された略円形状にし、この切り離された箇所によって入射偏波方向を示すことが望ましい。
【0050】
前記円弧の一部が切り離された略円形状の積層型光アイソレータ素子1を加工する方法について、図4(a)、(b)に示す。図4(a)は本発明の積層型光アイソレータ素子を示す側面断面図であり、図4(b)はその製造方法を説明する図である。
【0051】
図4(b)中一点鎖線16で示したように、あらかじめワックスなどでダミー基体上に貼り付けた大判形状の積層体を、超音波加工機を用いて必要な有効径以上の外形を有する丸形へ加工し、図4(b)中破線17で示したようなダイシング加工により、例えば、入射偏波方向を示すためのラインを入れる。
【0052】
その後、ワックスを溶かして、加工した積層体を取り外すことによって、図4(a)に示すような、円弧の一部が切り離された略円形状の積層型光アイソレータ素子1を得る。
【0053】
この円弧が切り離された箇所により、素子の入射偏波方向を容易に判別することができ、さらに四角形状の場合と比較して、一枚の大判形状の積層体からの素子の取り数を多くできるため、素子の低コスト化を行うことが可能となる。
【0054】
また、光アイソレータユニット9の部材同士を気密封止するための接着剤11は、高耐湿性、高強度、低硬化収縮率、低ヤング率材料であることが必要とされることから、アクリル系接着剤や熱硬化型のエポキシ系接着剤を用いるのが望ましい。一般的には、例えば、エポキシテクノロジー社製熱硬化型エポキシ接着剤エポテック353NDを好適に用いることができる。
【0055】
接着剤11については、上記にとらわれるものではなく、要求される環境条件に対応した接着剤を適宜選択し、硬化条件や接着面洗浄条件などの条件が最適になるように選択し管理を行えばよい。また、長期信頼性を確保するために、硬化後にアニールなどを行い、残留応力低減を行ってもよい。
【0056】
また、本発明の光アイソレータ付光部品は、光部品の光入射側部材に、本発明の光アイソレータユニットの光アイソレータ素子の光出射側の外側スリーブ端面を当接させて、固着封止して用いることを特徴とする。
【0057】
例えば、前記光部品として、フェルールやレセプタクルなどと組み合わせることによって、これらの部品に光アイソレータの機能を付加することが可能となる。即ち、前記光アイソレータユニット9を構成する底板7の貫通孔8から入射した光が積層型光アイソレータ素子1を透過して前記光部品の入射側部材へと導かれ、前記光部品からの反射光などは、前記光アイソレータユニット9で遮断される。
【0058】
また、上記構造は、接着剤11により部材間隙が充填され気密封止されているために、環境の変動に対する変化を受けにくく、長期にわたって安定して使用できるという利点も有する。
【0059】
さらに、前記光アイソレータユニット9の光透過面は、光部品の光入射側部材を取り付ける際に、接着剤を介することなく取り付けられているため、例えば、図7(b)に示す積層型光アイソレータ素子31とキャピラリ37同士が直接、接着剤を用いて固定されている構造に比較し、上記接着剤固定部の接着界面剥離に起因する、発光素子およびフェルールの光軸変動を防止することが可能になるため、外部環境や雰囲気の影響によるLDモジュールの光出力劣化を防止することができるという利点を有している。
【0060】
次に、本発明の光アイソレータ付光部品の実施形態として、本発明の光アイソレータユニットと光ファイバ付きのフェルールを組み合わせた例について、図5の側面断面図を用いて説明する。
【0061】
光ファイバ53は、金属製のフェルール52へキャピラリ51を圧入固定した後、フェルール52に形成されている孔部56へ挿入し、接着剤54で気密封止されている。そして、本発明の光アイソレータユニット9が、フェルール52端面へ当接し接着剤55を用いて接着固定されている。
【0062】
本発明の光アイソレータ付光部品をモジュールへ固定する際にYAG溶接を用いることが望ましいため、フェルール52に使用する材料としては、溶接性の良好な金属材料が好ましく、一般的にはSUS303、SUS304などが好ましい。さらに低コスト化のために、快削材料であるSF20Tなどを使用することも可能である。
【0063】
また、キャピラリ51の材料としては、セラミックを用いるのが好ましく、その中でもコネクタ側に最も多く使用されるジルコニアセラミックスがコスト上有利である。
【0064】
さらに、LD素子への反射戻り光を低減するため、キャピラリ51は光軸に対し斜め研磨されることが好ましく、同様に本発明の光アイソレータユニット9についても、積層型光アイソレータ素子1を光軸に対し斜めに搭載したタイプのものを用いることが好ましい。
【0065】
また、キャピラリ51の光入射面と積層型光アイソレータ1の光出射面は、略平行となるように配置されることが望ましい。その理由は次の通りである。まず、積層型光アイソレータ素子1の光入射面に入射する光は、平行光ではなく光ファイバ端面に結像するように絞られた光である。そのため、積層型光アイソレータ素子1を配置する位置は、光ファイバに近ければ近いほど、光入射面の有効受光径が小さくてすむ。したがって、キャピラリ51の光入射面と積層型光アイソレータ1の光出射面を略平行に配置することにより、キャピラリ51と積層型光アイソレータ1同士の距離を短くすることができ、積層型光アイソレータ1の小型化が可能になるからである。
【0066】
前記光アイソレータユニット9を前記フェルール52の端面に取り付けるに当たっては、あらかじめ光アイソレータユニット9およびフェルール52へ、それぞれ光軸に対する傾斜面を示すマークを設け、そのマークを一致させるように位置を調整しながら、各々の傾斜面が平行になるような最適な位置に取り付けることが必要である。
【0067】
各部材を接着する接着剤は、気密封止する必要があることから、前記光アイソレータユニット9の各部材の組み立てに用いた熱硬化性のエポキシ接着剤などを使用することが望ましい。
【0068】
また、本発明の光アイソレータ付光部品の別の実施形態として、本発明の光アイソレータユニットとレセプタクルを組み合わせた例について、図6の側面断面図を用いて説明する。
【0069】
スタブ63は内部に短尺光ファイバ65を内蔵しており、片端はPC研磨処理、もう一方を斜め研磨処理し、圧入金具62へ圧入固定した後、弾性スリーブ64を挿入し、その後シェル61を圧入してレセプタクル67とし、上記で説明したと同様な本発明の光アイソレータユニット9を前記レセプタクル67へ接着剤66を用いて接着固定するものである。
【0070】
前記スタブ63の材料は、一般的にジルコニアセラミックスが使用され、フェルールと光学的に接続される側の端面は、曲率半径20mm程度のPC研磨が必要であり、反対側の端面は、LD素子への反射戻り光を小さくするため、光軸に対して6〜8°程度の斜め研磨が必要である。
【0071】
また、前記弾性スリーブ64に使用される材料は、一般的に用いられているジルコニア、リン青銅などが好適であり、また圧入金具62、シェル61へ使用される材料としては、圧入して固定する構造を用いることから、SUS系材料が好適に用いられる。
【0072】
前記光アイソレータユニット9を前記レセプタクル67の端面に取り付けるに当たっても、前記フェルールに取り付けたときと同様の理由から、積層型光アイソレータ1の光出射面と前記レセプタクル67の前記スタブ63の光入射面の傾斜は略平行にすることが望ましく、同じように位置を調整しながら最適な位置に取り付けることが望ましい。
【0073】
各部材を接着する接着剤については、フェルールの場合と同様に、熱硬化性のエポキシ接着剤などが好適に用いられる。
【0074】
【実施例】
本発明の実施例を以下説明する。
【0075】
片面に対空気用ARコートを施した10×10×0.2mmサイズの入射側偏光子2、出射側偏光子4および両面に対接着剤ARコートを施した10×10×0.4mmサイズのファラデー回転子3を積層し、その際にエポキシ系接着剤を塗布し、入射側偏光子2と出射側偏光子の入射偏波方向が45°となるよう光学調芯した後、接着剤を硬化した。
【0076】
そして、図4(b)に示すように、積層型光アイソレータ素子1を個片に分割するため、超音波加工によりφ0.5mmの丸形へ形成し、さらに入射偏波方向に平行にダイシングラインを入れ、積層型光アイソレータ素子1とした。
【0077】
次に、図1に示すように内側スリーブ5と底板7はSF20Tを用いて、フライス盤を用いた切削加工により一体形成し、貫通孔8はφ0.4mmとなるよう加工した。
【0078】
また、外側スリーブ6は、SmCo材を使用した永久磁石とし、外形φ2.45mm、内径φ1.5mm、高さ1.5mmの円柱形状とし、その片側端面を8°形状に加工した後、腐食防止のため表面全体をNiメッキした。
【0079】
上記により作製した積層型光アイソレータ素子1を図2に示すように内側スリーブ5に嵌装し、底板7の貫通孔8を覆い隠すように当接した。その後、熱硬化型エポキシ系接着剤11をディスペンサにより積層型光アイソレータ素子1外周部と内側スリーブ5内壁の隙間部、および前記底板7の周辺部に連続的に塗布した後、前記永久磁石よりなる外側スリーブ6が8°となるように斜め加工された端面を前記底板7の接着剤11付着部に搭載し、全体を加熱して熱硬化することによって、本発明の光アイソレータユニット9を得た。
【0080】
この光アイソレータユニット9を図5に示すような光ファイバ付きのフェルール部材と組合せた。光ファイバ53を保持したキャピラリ51は8°に研磨され、フェルール52端面全周へ熱硬化型エポキシ系の接着剤55を塗布した後、上記で作製した光アイソレータユニット9を搭載し、8°の面同士が略平行になるよう調整し、光軸を合わせた後、熱硬化を行って光アイソレータ付光部品とした。
【0081】
このようにして作製した光アイソレータ付光部品の光学特性を測定したところ、波長1310nm、温度25℃で、挿入損失≦0.3dB、アイソレーション≧30dBであることがわかり、さらに先端部の積層型光アイソレータ素子1が実装される閉空間の気密性をヘリウムリークテストにより測定したところ、1×10−8atm.cc・sec.であることがわかり、光学特性も気密性も良好であることを確認した。
【0082】
また、表1は大判における積層型光アイソレータ素子1の取り数とコスト比較を示す。大判形状が0.5×0.6mmサイズの場合、素子形状が四角形状とすれば取り数は約200個となる。それに対して、本発明の円弧の一部が切り離された略円形状の素子では、取り数が約270個と約1.4倍に増加することがわかった。
【0083】
したがって、同等の有効エリアを有する積層型光アイソレータ素子1個当たりの単価は、従来の四角形状のものに比較して、コストを約0.7倍とすることが可能となった。
【0084】
【表1】
【0085】
【発明の効果】
本発明の光アイソレータユニットを用いた光部品によれば、積層型光アイソレータ素子部が完全に気密封止されることから、上記積層型光アイソレータ素子が直接外部雰囲気にさらされることがなくなり、高温高湿状態においても光アイソレータ素子の積層部の強度が低下したり、光特性が変化したりすることがなく、高信頼性を維持することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光アイソレータユニットを示す側面断面図である。
【図2】(a)〜(d)は本発明の光アイソレータユニットの製造工程を示す側面断面図である。
【図3】(a)〜(d)は本発明の光アイソレータユニットの別の実施形態における製造工程を示す側面断面図である。
【図4】(a)は本発明の積層型光アイソレータ素子を示す側面断面図であり、(b)は本発明の積層型光アイソレータ素子の製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の光アイソレータ付光部品の実施形態を示す側面断面図である。
【図6】本発明の光アイソレータ付光部品の実施形態を示す側面断面図である。
【図7】従来型の光アイソレータ付光部品を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1:積層型光アイソレータ素子
2:入射側偏光子
3:ファラデー回転子
4:出射側偏光子
5:内側スリーブ
6:外側スリーブ
7:底板
8:貫通孔
9:光アイソレータユニット
11:接着剤
12:底板
13:貫通孔
14:外側スリーブ
15:光アイソレータユニット
16:中一点鎖線
17:中破線
51:キャピラリ
52:フェルール
53:光ファイバ
54:接着剤
55:接着剤
56:孔部
61:シェル
62:圧入金具
63:スタブ
64:弾性スリーブ
65:短尺光ファイバ
66:接着剤
67:レセプタクル
Claims (10)
- 光アイソレータ素子と、該光アイソレータ素子の外周側面を保持した内側スリーブと、該内側スリーブの周囲に備えた外側スリーブと、概略中央部に貫通孔を有し前記内側スリーブと前記外側スリーブの両端面に当接して気密封止された底板とからなり、前記光アイソレータ素子の外周側面が前記内側スリーブの内壁に固着され気密封止されていることを特徴とする光アイソレータユニット。
- 前記貫通孔は、前記光アイソレータ素子の光入射面よりも小さく、該光入射面は前記貫通孔を完全に覆い隠すように前記底板に当接されていることを特徴とする請求項1記載の光アイソレータユニット。
- 前記光アイソレータ素子は、少なくとも1つのファラデー回転子および少なくとも1つの偏光子を積層した積層型の光アイソレータであることを特徴とする請求項1または2記載の光アイソレータユニット。
- 前記内側スリーブと前記底板が、同一材料で一体形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光アイソレータユニット。
- 前記外側スリーブは永久磁石であることを特徴とする請求項4記載の光アイソレータユニット。
- 前記外側スリーブの前記底板に当接する側の端面が、前記外側スリーブの中心軸に垂直な面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光アイソレータユニット。
- 前記光アイソレータ素子の外形が、円弧の一部が切り離された略円形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光アイソレータユニット。
- 光部品の光入射側部材に、請求項1〜7のいずれかに記載の光アイソレータユニットの光アイソレータ素子の光出射側の外側スリーブ端面を当接させて、固着封止したことを特徴とする光アイソレータ付光部品。
- 前記光部品が、フェルールであることを特徴とする請求項8記載の光アイソレータ付光部品。
- 前記光部品が、レセプタクルであることを特徴とする請求項8記載の光アイソレータ付光部品。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009230092A (ja) * | 2008-02-27 | 2009-10-08 | Kyocera Corp | 光アイソレータモジュールおよびそれを用いた光素子モジュール |
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2002
- 2002-11-26 JP JP2002342861A patent/JP2004177618A/ja active Pending
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