JP2004177220A - 半導体加速度センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】錘部8と、その錘部8を離間して外囲するフレーム7と、上記フレーム7に上記錘部8を揺動自在に支持させる薄肉の可撓部6と、その可撓部6の撓み量に応じた電気信号を出力する上記可撓部に形成したピエゾ抵抗9と、上記ピエゾ抵抗9からの出力を取り出す電極とを備えた半導体加速度センサにおいて、上記可撓部6に、その可撓部6の厚み方向に突出する放熱フィン61を形成してなる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、航空機、家電製品等に用いる半導体加速度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体加速度センサには、加速度を受けて変位する錘部の支持の仕方により、片持ち梁方式と両持ち梁方式とがある。また、その錘部の変位した量、すなわち加速度を測定する方法にも、機械的な歪みを電気抵抗の変化で測定する方法と、静電容量の変化で測定する方法とがある。例えば、特許文献1には機械的な歪みを電気抵抗の変化で検出する両持ち梁方式の半導体加速度センサが開示してある。図7は、この半導体加速度センサの2面図であり、図7(a)は上面図、図7(b)は図7(a)におけるA−A’部分の断面図である。
【0003】
この半導体加速度センサは、SOI(Silicon On Insulator)基板よりなる半導体基板をエッチングして形成したものであって、図7に示すように、半導体加速度センサチップ1と、このチップ1に接合して支持する台座10とを備えてなり、チップ1は、厚肉の錘部8と、この錘部8の外周縁を離間して外囲するフレーム7と、このフレーム7及び錘部8との間に懸架して、錘部8をフレーム7に揺動自在に支持させる薄肉の可撓部6(ビーム又はカンチレバ)を4つと、この可撓部6に形成したピエゾ抵抗9X,9Y,9Zと、ピエゾ抵抗9X,9Y,9Zからの出力をそれぞれ取り出す電極17X,17Y,17Zとを備えている。そして、フレーム7を接着剤16により台座10に接着して固定すると共に、その接着剤16に厚みを持たせるようにして、錘部8の下端面と台座10の表面との間に空隙部分Cを形成し、この空隙部分Cで錘部8を揺動させている。
【0004】
この半導体加速度センサに加速度が加わったときには、その加速度に応じて錘部8が揺動変位し、この錘部8の揺動変位に応じて可撓部6が撓む。そして、可撓部6に形成したピエゾ抵抗9X,9Y,9Zが、この可撓部6の撓み量に応じてその抵抗値を変化させるため、電極17X,17Y,17Zからはピエゾ抵抗9X,9Y,9Zの抵抗値変化に応じた電圧値の変化を測定でき、この電圧値を参照して、加わった加速度の値を求めている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−234242号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この半導体加速度センサで加速度を測定するときには、上記のようにピエゾ抵抗9X,9Y,9Zに電圧を印加するため、ピエゾ抵抗9X,9Y,9Zには熱が発生している。また、電極17X,17Y,17Zとピエゾ抵抗9X,9Y,9Zとを高濃度拡散配線(図示せず)で電気的に接続している場合には、その高濃度拡散配線にも電圧が加わった状態となるため、この高濃度拡散配線にも熱が発生する。このように、可撓部6に形成したピエゾ抵抗9X,9Y,9Zや高濃度拡散配線に熱が発生すると、可撓部6や、この可撓部6表面に形成した保護膜であるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等が熱膨張させてしまうことがある。可撓部6等が熱膨張すると、その形状が変形して出力特性に変動を生じさせてしまうことがあり、測定結果に著しい誤差を生じさせてしまうことがある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、精度よく加速度を測定することのできる半導体加速度センサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の半導体加速度センサは、錘部と、その錘部を離間して外囲するフレームと、上記フレームに上記錘部を揺動自在に支持させる薄肉の可撓部と、その可撓部の撓み量に応じた電気信号を出力する上記可撓部に形成した抵抗体と、上記抵抗体からの出力を取り出す電極とを備えた半導体加速度センサにおいて、上記可撓部に、その可撓部の厚み方向に突出する放熱フィンを形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明の半導体加速度センサは、錘部と、その錘部を離間して外囲するフレームと、上記フレームに上記錘部を揺動自在に支持させる薄肉の可撓部と、その可撓部の撓み量に応じた電気信号を出力する上記可撓部に形成した抵抗体と、上記抵抗体からの出力を取り出す電極とを備えた半導体加速度センサにおいて、上記可撓部に、その可撓部の厚み方向の側方に突出する放熱フィンを形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明の半導体加速度センサは、請求項2に記載の発明において、上記放熱フィンの表面に金属膜を形成してなることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明の半導体加速度センサは、請求項3に記載の発明において、上記金属膜を、上記可撓部の表面のうち、上記放熱フィンと連結する部分及びその近傍部分に延設してなることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明の半導体加速度センサは、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の発明において、上記放熱フィンを、上記可撓部の厚み方向の同一の側方に複数形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明の半導体加速度センサは、錘部と、その錘部を離間して外囲するフレームと、上記フレームに上記錘部を揺動自在に支持させる薄肉の可撓部と、その可撓部の撓み量に応じた電気信号を出力する上記可撓部に形成した抵抗体と、上記抵抗体からの出力を取り出す電極とを備えた半導体加速度センサにおいて、上記可撓部に、その厚み方向に貫通する放熱孔を1又は複数形成したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る半導体加速度センサの実施の形態を、図を参照して以下に説明する。
【0015】
図1は、本発明の請求項1に係る半導体加速度センサの一実施形態を示す2面図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)のA−A’部分の断面図である。図1において、1は半導体加速度センサチップ、7はフレーム、9(9X,9Y,9Z)は抵抗体としてのピエゾ抵抗、6は可撓部、8は錘部、61は放熱フィン、17X,17Y,17Zは電極、10は台座を、それぞれ示している。
【0016】
半導体加速度センサチップ1は、SOI基板をエッチングして形成しており、SOI基板は、活性層2の厚みを数μm〜10μm程度、中間酸化膜3の厚みを0.3〜1μm程度、支持層4の厚みを300〜600μm程度に積層したものを用いている。このようなSOI基板をエッチングして形成する錘部8及びフレーム7は共に、その厚み方向に活性層2、中間酸化膜3、支持層4を有してなり、可撓部6は活性層2からなっている。
【0017】
可撓部6に形成した放熱フィン61は、可撓部6の厚み方向に突出するように形成している。この放熱フィン61は、薄肉で幅広の直方体形状に形成しており、その厚み方向が可撓部6の長手方向と略一致するようにしている。この放熱フィン61のサイズについては、可撓部6の変形を妨げない範囲内で適宜設定すればよいが、例えば、その厚みは可撓部6の長手方向の全長の20%以下、さらに好ましくは1〜10%の範囲内で、また、その長さは錘部8の厚み方向の全長の30%程度以上になるようにすればよい。また、放熱フィン61の表面積が大きい程、放熱性が向上する傾向にあるので、放熱フィン61の長さは、錘部8の厚み方向の全長と同じ長さにするのが好ましい。また、サイズだけでなく形状についても、単なる直方体形状でなく、その表面に溝を形成して、表面が凹凸状になるようにして、放熱フィン61の表面積を大きくするのも好ましい。さらに、放熱フィン61の数についても、可撓部6に一つだけ形成するよりは、複数形成した方が放熱性が向上する傾向にあるので、可撓部6の長手方向に沿って複数形成するのが好ましい。しかし、放熱フィン61同士をあまりに接近させて形成した場合には、その放熱フィン61同士の間を空気が流通しにくくなり、放熱効率が低下する傾向にあるので、適当に距離を離して形成するのが好ましく、例えば放熱フィン61間の距離が可撓部6の長手方向の全長の5%程度以上になるようにする。上記のような放熱フィン61を、可撓部6に形成することで、ピエゾ抵抗9に発生した熱を放熱フィン61に効率的に熱伝導させ放熱させることが可能となる。
【0018】
錘部8は、4つの可撓部6に連結した中央錘部81と、この中央錘部81に連結した4つの側錘部82よりなり、外観状は十字の形状をなしている。この側錘部82は、可撓部6の支持する中央錘部81を中心にして、3次元方向に自在に揺動できる。
【0019】
ピエゾ抵抗9は、半導体不純物拡散技術により可撓部6の活性層2に形成してあり、半導体加速度センサチップ1のX軸方向にかかる加速度を検出するピエゾ抵抗9Xと、同Y軸方向にかかる加速度を検出するピエゾ抵抗9Y、同Z軸方向にかかる加速度を検出するピエゾ抵抗9Zよりなっている。このピエゾ抵抗9X,9Y,9Zの配置については、ピエゾ抵抗9Zは、4つの可撓部6のそれぞれに形成すると共に、ピエゾ抵抗9X,9Yは、4つの可撓部6のうち中央錘部81を挟んで対向する2つの可撓部6のそれぞれに形成する。また、4つのピエゾ抵抗9X間は、ホイーストンブリッジ回路を構成するように、アルミ配線又は不純物拡散配線により電気的に接続する。また、ピエゾ抵抗9Y,9Zについても、それぞれ同様にホイーストンブリッジ回路を構成させている。
【0020】
電極17X,17Y,17Zは、上記のピエゾ抵抗9X,9Y,9Zでそれぞれ構成させた3つのホイーストンブリッジ回路にそれぞれ電気的に接続し、各ホイーストンブリッジ回路からの出力を外部に取り出せるようにしている。電極とホイーストンブリッジ回路との電気的な接続は、アルミ配線や不純物拡散配線等により行なっている。
【0021】
フレーム7は、厚肉に形成してあり、錘部8をその外周縁を離間して外囲すると共に、可撓部6を介してその錘部8を揺動自在に支持している。このフレーム7は、自動車や航空機等の移動体に固定して用いる。
【0022】
可撓部6は、薄肉に形成してあり、その厚み方向に撓み可能であると共に、その長手方向を軸にして捻転可能である。この可撓部6は、その長手方向の一端部が錘部8に連結すると共に、他端部はフレーム7に連結して、フレーム7に錘部8を揺動自在に支持させている。
【0023】
台座10は、パイレックスガラス(Pyrex Glass、コーニング社の登録商標)等のガラス板よりなり、フレーム7に接合する部分以外を所定の深さ掘り込んで、断面凹形状に形成している。このように台座10に凹部を形成することで、台座10とフレーム7とを接合したときに、錘部8の下端面と台座10の表面とに空隙部分Cを形成するようにしている。なお台座10には、チップ1を支持する機能の他に、錘部8が過度に揺動したときに、その過度の揺動を制限するストッパーの機能も持たせている。この台座10がストッパーの機能を有することにより、錘部8が過度に揺動した場合に、可撓部6がこの過度の揺動を支えきれずに崩壊してしまう、といったことを防止できる。なお、この台座10には、ガラス板以外にも、シリコン基板を用いてもよい。
【0024】
上記の半導体加速度センサの製造工程を以下に説明する。まず、SOI基板の活性層2を形成していない方の表面(以下、基板下面)側から、フレーム7及び錘部8及び放熱フィン61を形成しようとする部分以外の部分を、中間酸化膜3に達するまでドライエッチングする。このとき、ICP(Inductively Coupled Plasma)、D−RIE(Deep Reactive Ion Etching)等のエッチング方法を用いれば、SOI基板を垂直にエッチングすることができ、半導体加速度センサを小型化しやすくなって好ましい。
【0025】
次に、SOI基板の活性層2を形成した方の表面(以下、基板上面)側から、フレーム7及び錘部8及び可撓部6を形成しようとする部分以外の部分を、中間酸化膜3に達するまでウェットエッチングして、フレーム7及び錘部8及び可撓部6を、そのそれぞれの連結部分だけを残して切り離す。
【0026】
続いて、フレーム7及び錘部8及び放熱フィン61以外の部分にある中間酸化膜3を、基板下面側からフッ酸を含んだ液によりエッチング除去する。これにより、フレーム7及び錘部8及び可撓部6間と、可撓部6の下面とに残っている間酸化膜3を除去する。このとき、錘部8の表面は活性層2であり、可撓部6の表面と略同じ高さになる。なお、可撓部6の表面には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜よりなる絶縁膜を形成して保護膜にしている。
【0027】
続いて、4つの可撓部6の所定の位置に、それぞれ半導体不純物拡散技術によりピエゾ抵抗9を形成する。さらに、イオン注入又はボロンをデポジット拡散して不純物拡散配線を形成すると共に、この不純物拡散配線により、同一方向の加速度を検出する4つのピエゾ抵抗同士を電気的に接続して、ホイーストンブリッジ回路を構成させる。このようにして、SOI基板から半導体加速度センサのチップ1を形成する。最後に、フレーム7と台座10とを陽極接合して、半導体加速度センサを製造する。
【0028】
なお、上記の製造工程において、基板下面側から中間酸化膜3をエッチング除去するときに、フッ酸を含んだ液によりエッチング除去したが、これはドライエッチングで行なうようにしてもよい。
【0029】
また、台座10を所定の深さ掘り込んで、台座10と錘部8の間に空隙部分Cを形成するようにしたが、これに限定するものではなく、空隙部分Cを形成できればどのような方法であってもよい。例えば、錘部8を所定の長さだけ、基板下面側からウェットエッチングして除去することにより、空隙部分Cを形成するようにしてもよく、他にも、フレーム7と台座10とを接合するときに、所定の厚みを有する部材を介して接合するようにして空隙部分Cを形成するようにしてもよい。
【0030】
また上記では、放熱フィン61を形成する対象に、3軸方向に加わった加速度をそれぞれ検出できる3軸の半導体加速度センサを適用したが、これに限定するものではなく、1軸や2軸方向の加速度を検出する半導体加速度センサに適用して形成するようにしてもよい。
【0031】
上記のように、可撓部6に放熱フィン61を設けたので、この半導体加速度センサは、ピエゾ抵抗に発生した熱を効率的に放熱させることができ、精度よく加速度を測定することが可能となる。
【0032】
図2は、本発明の請求項2に係る半導体加速度センサの一実施の形態を示す2面図であり、図2(a)は上面図、図2(b)は図2(a)のA−A’部分の断面図である。図2において、1は半導体加速度センサチップ、7はフレーム、9は抵抗体としてのピエゾ抵抗、6は可撓部、8は錘部、62は放熱フィン、17X,17Y,17Zは電極、10は台座を、それぞれ示している。
【0033】
この半導体加速度センサチップ1は、SOI基板をエッチングして形成しており、SOI基板は、活性層2の厚みを数μm〜10μm程度、中間酸化膜3の厚みを0.3〜1μm程度、支持層4の厚みを300〜600μm程度に積層したものを用いている。このようなSOI基板をエッチングして形成する錘部8及びフレーム7は共に、その厚み方向に活性層2、中間酸化膜3、支持層4を有してなり、可撓部6は活性層2からなっている。
【0034】
可撓部6に形成した放熱フィン62は、可撓部6の厚み方向の両側方に突出するように形成している。この放熱フィン62は、薄肉で幅広に形成してあり、幅広面が錘部8の厚み方向の上側端面(以下、錘部の上端面)に重なる位置に設けている。また、錘部8のうち、この放熱フィン62の幅広面と対面する部分821については、その中間酸化膜3をエッチング除去して凹形状に形成し、放熱フィン62との間に空隙を有するようにしている。このようにすることで、錘部8が変位するとき、放熱フィン62と錘部8の凹部821の表面との間に形成した空隙部分の空気の粘性により、エアーダンピング作用が生じ、可撓部6の耐衝撃性を向上させる効果も奏する。また、この放熱フィン62と可撓部6との連結部分は、加速度が加わった時に、放熱フィン62が可撓部6の変形を妨げないよう、細く、くびれさせている。その放熱フィン62のサイズについては、特に限定するものではなく適宜設計すればよく、幅広面が大きいほど放熱性がよくなることを鑑みて設計すればよい。しかし、放熱フィン62と可撓部6との連結部分については、上記のように細くくびれていることが好ましく、その幅サイズについては、例えば放熱フィン62の幅の50%以下、好ましくは5〜30%の範囲内にすればよい。上記のように放熱フィン62を形成することで、ピエゾ抵抗9で発生した熱は、放熱フィン62に熱伝導し、その放熱フィン62から空気に放熱する。
【0035】
錘部8は、4つの可撓部6に連結した中央錘部81と、この中央錘部81に連結した4つの側錘部82よりなり、外観状は十字の形状をなしている。この側錘部82は、可撓部6により中央錘部81を中心として、3次元方向に自在に揺動できる。
【0036】
ピエゾ抵抗9は、半導体不純物拡散技術により可撓部6の活性層2に形成してあり、半導体加速度センサチップ1のX軸方向にかかる加速度を検出するピエゾ抵抗9Xと、同Y軸方向にかかる加速度を検出するピエゾ抵抗9Y、同Z軸方向にかかる加速度を検出するピエゾ抵抗9Zよりなっている。このピエゾ抵抗9X,9Y,9Zの配置については、ピエゾ抵抗9Zは、4つの可撓部6のそれぞれに形成すると共に、ピエゾ抵抗9X,9Yは、4つの可撓部6のうち中央錘部81を挟んで対向する2つの可撓部6のそれぞれに形成する。また、4つのピエゾ抵抗9X間は、ホイーストンブリッジ回路を構成するように、アルミ配線又は不純物拡散配線により電気的に接続する。また、ピエゾ抵抗9Y,9Zについても、それぞれ同様にホイーストンブリッジ回路を構成させている。
【0037】
電極17X,17Y,17Zは、上記のピエゾ抵抗9X,9Y,9Zでそれぞれ構成させた3つのホイーストンブリッジ回路にそれぞれ電気的に接続し、各ホイーストンブリッジ回路からの出力を外部に取り出せるようにしている。電極とホイーストンブリッジ回路との電気的な接続は、アルミ配線や不純物拡散配線等により行なっている。
【0038】
フレーム7は、厚肉に形成してあり、錘部8をその外周縁を離間して外囲すると共に、可撓部6を介してその錘部8を揺動自在に支持している。このフレーム7は、自動車や航空機等の移動体に固定して用いる。
【0039】
可撓部6は、薄肉に形成してあり、その厚み方向に撓み可能であると共に、その長手方向を軸にして捻転可能である。この可撓部6は、その長手方向の一端部が錘部8に連結すると共に、他端部はフレーム7に連結して、フレーム7に錘部8を揺動自在に支持させている。
【0040】
台座10は、パイレックスガラス(Pyrex Glass、コーニング社の登録商標)等のガラス板よりなり、フレーム7に接合する部分以外を所定の深さ掘り込んで、断面凹形状に形成している。このように台座10に凹部を形成することで、台座10とフレーム7とを接合したときに、錘部8の下端面と台座10の表面とに空隙部分Cを形成するようにしている。なお台座10には、チップ1を支持する機能の他に、錘部8が過度に揺動したときに、その過度の揺動を制限するストッパーの機能も持たせている。この台座10がストッパーの機能を有することにより、錘部8が過度に揺動した場合に、可撓部6がこの過度の揺動を支えきれずに崩壊してしまう、といったことを防止できる。なお、この台座10には、ガラス板以外にも、シリコン基板を用いてもよい。
【0041】
上記の半導体加速度センサの製造工程を以下に説明する。まず、SOI基板の活性層2を形成していない方の表面(以下、基板下面)側から、フレーム7及び錘部8及び放熱フィン62を形成しようとする部分以外の部分を、中間酸化膜3に達するまでドライエッチングする。このとき、ICP(Inductively Coupled Plasma)、D−RIE(Deep Reactive Ion Etching)等のエッチング方法を用いれば、SOI基板を垂直にエッチングすることができ、半導体加速度センサを小型化しやすくなって好ましい。
【0042】
次に、SOI基板の活性層2を形成した方の表面(以下、基板上面)側から、フレーム7及び錘部8及び可撓部6及び放熱フィン62を形成しようとする部分以外の部分を、中間酸化膜3に達するまでウェットエッチングして、フレーム7及び錘部8及び可撓部6を、そのそれぞれの連結部分だけを残して切り離す。なお、このとき錘部8と放熱フィン62との境界部分には、所定の幅を有し中間酸化膜3に達する溝を形成し、錘部8と放熱フィン62とを切り離す。
【0043】
続いて、フレーム7及び錘部8以外の部分にある中間酸化膜3を、基板下面側からフッ酸を含んだ液によりエッチング除去する。なお、このとき錘部8と放熱フィン62の間にある中間酸化膜3も同様にしてエッチング除去する。これにより、フレーム7及び錘部8及び可撓部6間、並びに錘部8及び放熱フィン62間、並びに可撓部6の下面に残っている中間酸化膜3を除去する。このとき錘部8の表面は活性層2であり、可撓部6の表面と略同じ高さになる。なお、可撓部6の表面には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜よりなる絶縁膜を形成して保護膜にしている。
【0044】
続いて、4つの可撓部6の所定の位置に、それぞれ半導体不純物拡散技術によりピエゾ抵抗9を形成する。さらに、イオン注入又はボロンをデポジット拡散して不純物拡散配線を形成すると共に、この不純物拡散配線により、同一方向の加速度を検出する4つのピエゾ抵抗同士を電気的に接続して、ホイーストンブリッジ回路を構成させる。このようにして、SOI基板から半導体加速度センサのチップ1を形成する。最後に、フレーム7と台座10とを陽極接合して、半導体加速度センサを製造する。
【0045】
なお、上記の製造工程において、基板下面側から中間酸化膜3をエッチング除去するときに、フッ酸を含んだ液によりエッチング除去したが、これはドライエッチングで行なうようにしてもよい。
【0046】
また、台座10を所定の深さ掘り込んで、台座10と錘部8の間に空隙部分Cを形成するようにしたが、これに限定するものではなく、空隙部分Cを形成できればどのような方法であってもよい。例えば、錘部8を所定の長さだけ、基板下面側からウェットエッチングして除去することにより、空隙部分Cを形成するようにしてもよく、他にも、フレーム7と台座10とを接合するときに、所定の厚みを有する部材を介して接合するようにして空隙部分Cを形成するようにしてもよい。
【0047】
また上記では、放熱フィン61を形成する対象に、3軸方向に加わった加速度をそれぞれ検出できる3軸の半導体加速度センサを適用したが、これに限定するものではなく、1軸や2軸方向の加速度を検出する半導体加速度センサに適用して形成するようにしてもよい。
【0048】
また、図3に示すように、この放熱フィン62の表面にアルミニウム等の金属材料をスパッタ又は蒸着させて金属層11を形成するようにすれば、放熱性を向上させることができ好ましい。
【0049】
さらに、図4に示すように、可撓部6の表面のうち、放熱フィン62と連結する部分の表面及びその近傍部分の表面にも、上記の金属層11を延設するようにすれば、ピエゾ抵抗9で発生した熱を、より迅速に金属層11に熱伝導させることができるので、より効率的に放熱させることが可能となる。
【0050】
なお、ピエゾ抵抗9から金属層11への熱伝導性をより向上させるため、金属層11を形成する部分には、熱伝導性の低いシリコン酸化膜やシリコン窒化膜を非介在状態にさせることが好ましい。
【0051】
また、本実施形態における別の実施形態として、図5に示すように、放熱フィン62を可撓部6の厚み方向の両側にそれぞれに複数設けるようにすれば、より放熱性が向上できると共に、上記のエアーダンピング作用も著しく向上させることができ、好ましい。
【0052】
上記のように、可撓部6に放熱フィン62を形成したので、ピエゾ抵抗9で発生した熱を効率的に放熱させることができ、より高精度に加速度を測定させることが可能となる。
【0053】
図6は、本発明の請求項6に係る半導体加速度センサの一実施形態を示す2面図であり、図6(a)は上面図、図6(b)は図6(a)のA−A’部分の断面図である。図6において、1は半導体加速度センサチップ、7はフレーム、9は抵抗体としてのピエゾ抵抗、6は可撓部、8は錘部、63は放熱小孔、17X,17Y,17Zは電極、10は台座を、それぞれ示している。
【0054】
半導体加速度センサチップ1は、SOI基板をエッチングして形成しており、SOI基板は、活性層2の厚みを数μm〜10μm程度、中間酸化膜3の厚みを0.3〜1μm程度、支持層4の厚みを300〜600μm程度に積層したものを用いている。このようなSOI基板をエッチングして形成する錘部8及びフレーム7は共に、その厚み方向に活性層2、中間酸化膜3、支持層4を有してなり、可撓部6は活性層2からなっている。
【0055】
可撓部6に形成した放熱小孔63は、可撓部6の厚み方向の全体を貫通している。このように形成することで、可撓部6の空気に接触する面積を放熱小孔63の周壁分だけ増加させることができると共に、この放熱小孔63内を空気が通過できるので、より多くの空気に可撓部6が接触できるようになって、放熱効率をより向上させることが可能となる。この放熱小孔63の形状や数については、特に限定するものではなく、適宜設定すればよく、できるだけ可撓部6が空気に接触する面積を増加させるような形状及び数にすればよい。しかし、その大きさについては、径の小さいものにすることが必要であり、大きな径にした場合には、可撓部6が撓んだ際に、その放熱小孔63に応力集中が発生してしまい、ピエゾ抵抗9の検出する可撓部6の撓みが安定しなくなり、著しく測定精度が低下する可能性がある。従って、放熱小孔63を形成する場合には、可撓部6に応力集中が発生しない大きさの径で、できるだけ可撓部6の表面積を大きくできるようにすることが好ましい。
【0056】
錘部8は、4つの可撓部6に連結した中央錘部81と、この中央錘部81に連結した4つの側錘部82よりなり、外観状は十字の形状をなしている。この側錘部82は、可撓部6により中央錘部81を中心として、3次元方向に自在に揺動できる。
【0057】
ピエゾ抵抗9は、半導体不純物拡散技術により可撓部6の活性層2に形成してあり、半導体加速度センサチップ1のX軸方向にかかる加速度を検出するピエゾ抵抗9Xと、同Y軸方向にかかる加速度を検出するピエゾ抵抗9Y、同Z軸方向にかかる加速度を検出するピエゾ抵抗9Zよりなっている。このピエゾ抵抗9X,9Y,9Zの配置については、ピエゾ抵抗9Zは、4つの可撓部6のそれぞれに形成すると共に、ピエゾ抵抗9X,9Yは、4つの可撓部6のうち中央錘部81を挟んで対向する2つの可撓部6のそれぞれに形成する。また、4つのピエゾ抵抗9X間は、ホイーストンブリッジ回路を構成するように、アルミ配線又は不純物拡散配線等により電気的に接続する。また、ピエゾ抵抗9Y,9Zについても、それぞれ同様にホイーストンブリッジ回路を構成させている。
【0058】
電極17X,17Y,17Zは、上記のピエゾ抵抗9X,9Y,9Zでそれぞれ構成させた3つのホイーストンブリッジ回路にそれぞれ電気的に接続し、各ホイーストンブリッジ回路からの出力を外部に取り出せるようにしている。電極とホイーストンブリッジ回路との電気的な接続は、アルミ配線や不純物拡散配線等により行なっている。
【0059】
フレーム7は、厚肉に形成してあり、錘部8をその外周縁を離間して外囲すると共に、可撓部6を介してその錘部8を揺動自在に支持している。このフレーム7は、自動車や航空機等の移動体に固定して用いる。
【0060】
可撓部6は、薄肉に形成してあり、その厚み方向に撓み可能であると共に、その長手方向を軸にして捻転可能である。この可撓部6は、その長手方向の一端部が錘部8に連結すると共に、他端部はフレーム7に連結して、フレーム7に錘部8を揺動自在に支持させている。
【0061】
台座10は、パイレックスガラス(Pyrex Glass、コーニング社の登録商標)等のガラス板よりなり、フレーム7に接合する部分以外を所定の深さ掘り込んで、断面凹形状に形成している。このように台座10に凹部を形成することで、台座10とフレーム7とを接合したときに、錘部8の下端面と台座10の表面とに空隙部分Cを形成するようにしている。なお台座10には、チップ1を支持する機能の他に、錘部8が過度に揺動したときに、その過度の揺動を制限するストッパーの機能も持たせている。この台座10がストッパーの機能を有することにより、錘部8が過度に揺動した場合に、可撓部6がこの過度の揺動を支えきれずに崩壊してしまう、といったことを防止できる。なお、この台座10には、ガラス板以外に、シリコン基板を用いてもよい。
【0062】
上記の半導体加速度センサの製造工程を以下に説明する。まず、SOI基板の活性層2を形成していない方の表面(以下、基板下面)側から、フレーム7及び錘部8を形成しようとする部分以外の部分を、中間酸化膜3に達するまでドライエッチングする。このとき、ICP(Inductively CoupledPlasma)、D−RIE(Deep Reactive Ion Etching)等のエッチング方法を用いれば、SOI基板を垂直にエッチングすることができ、半導体加速度センサを小型化しやすくなって好ましい。
【0063】
次に、SOI基板の活性層2を形成した方の表面(以下、基板上面)側から、フレーム7及び錘部8及び可撓部6を形成しようとする部分以外の部分を、中間酸化膜3に達するまでウェットエッチングすると共に、可撓部6については、放熱小孔63を形成しようとする部分にはウェットエッチングを同じように施す。これにより、フレーム7及び錘部8及び可撓部6を、そのそれぞれの連結部分だけを残して切り離す。
【0064】
続いて、フレーム7及び錘部8以外の部分にある中間酸化膜3を、基板下面側からフッ酸を含んだ液によりエッチング除去する。これにより、フレーム7及び錘部8及び可撓部6間、並びに可撓部6の下面及び放熱小孔63内に残っている中間酸化膜3を除去する。このとき、錘部8の表面は活性層2であり、可撓部6の表面と略同じ高さになる。なお、可撓部6の表面には、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜よりなる絶縁膜を形成して保護膜にしているが、放熱小孔63を形成した部分については、その絶縁膜を除去して、可撓部6の厚み方向の全体を貫通させるようにしている。
【0065】
続いて、4つの可撓部6の所定の位置に、それぞれ半導体不純物拡散技術によりピエゾ抵抗9を形成する。さらに、イオン注入又はボロンをデポジット拡散して不純物拡散配線を形成すると共に、この不純物拡散配線により、同一方向の加速度を検出する4つのピエゾ抵抗同士を電気的に接続して、ホイーストンブリッジ回路を構成させる。このようにして、SOI基板から半導体加速度センサのチップ1を形成する。最後に、フレーム7と台座10とを陽極接合して、半導体加速度センサを製造する。
【0066】
なお、上記の製造工程において、基板下面側から中間酸化膜3をエッチング除去するときに、フッ酸を含んだ液によりエッチング除去したが、これはドライエッチングで行なうようにしてもよい。
【0067】
また、台座10を所定の深さ掘り込んで、台座10と錘部8の間に空隙部分Cを形成するようにしたが、これに限定するものではなく、空隙部分Cを形成できればどのような方法であってもよい。例えば、錘部8を、基板下面側からウェットエッチングして、所定の長さ除去することにより、空隙部分Cを形成するようにしてもよく、他にも、フレーム7と台座10とを接合するときに、所定の厚みを有する部材を介して接合するようにして空隙部分Cを形成するようにしてもよい。
【0068】
また上記では、放熱小孔63を形成する対象に、3軸方向に加わった加速度をそれぞれ検出できる3軸の半導体加速度センサを適用したが、これに限定するものではなく、1軸や2軸方向の加速度を検出する半導体加速度センサに適用して形成するようにしてもよい。
【0069】
上記のように、可撓部6に放熱小孔63を形成したので、この半導体加速度センサは、ピエゾ抵抗9に発生した熱を効率的に放熱させることができ、加速度を精度よく測定することが可能となる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限らず、種々の形態で実施することができる。
【0071】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1乃至請求項6に記載の半導体加速度センサによれば、抵抗体で発生した熱を効率的に放熱させることができるので、精度よく加速度を測定することが可能になる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1に係る半導体加速度センサの一実施の形態における2面図である。
【図2】本発明の請求項2に係る半導体加速度センサの一実施の形態における2面図である。
【図3】上記半導体加速度センサにおける、放熱フィンに金属層を形成した図である。
【図4】上記半導体加速度センサにおける、放熱フィン及び可撓部に金属層を形成した図である。
【図5】上記半導体加速度センサにおける、別の実施形態を示す上面図である。
【図6】本発明の請求項6に係る半導体加速度センサの一実施の形態における2面図である。
【図7】従来の半導体加速度センサを示す2面図である。
【符号の説明】
6 可撓部
7 フレーム
8 錘部
9 ピエゾ抵抗
11 金属層
61 放熱フィン
62 放熱フィン
63 放熱小孔
17X,17Y,17Z 電極
Claims (6)
- 錘部と、その錘部を離間して外囲するフレームと、
上記フレームに上記錘部を揺動自在に支持させる薄肉の可撓部と、
その可撓部の撓み量に応じた電気信号を出力する上記可撓部に形成した抵抗体と、
上記抵抗体からの出力を取り出す電極とを備えた半導体加速度センサにおいて、上記可撓部に、その可撓部の厚み方向に突出する放熱フィンを形成したことを特徴とする半導体加速度センサ。 - 錘部と、その錘部を離間して外囲するフレームと、
上記フレームに上記錘部を揺動自在に支持させる薄肉の可撓部と、
その可撓部の撓み量に応じた電気信号を出力する上記可撓部に形成した抵抗体と、
上記抵抗体からの出力を取り出す電極とを備えた半導体加速度センサにおいて、上記可撓部に、その可撓部の厚み方向の側方に突出する放熱フィンを形成したことを特徴とする半導体加速度センサ。 - 上記放熱フィンの表面に金属膜を形成してなることを特徴とする請求項2に記載の半導体加速度センサ。
- 上記金属膜を、上記可撓部の表面のうち、上記放熱フィンと連結する部分及びその近傍部分に延設してなることを特徴とする請求項3に記載の半導体加速度センサ。
- 上記放熱フィンを、上記可撓部の厚み方向の同一の側方に複数形成したことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の半導体加速度センサ。
- 錘部と、その錘部を離間して外囲するフレームと、
上記フレームに上記錘部を揺動自在に支持させる薄肉の可撓部と、
その可撓部の撓み量に応じた電気信号を出力する上記可撓部に形成した抵抗体と、
上記抵抗体からの出力を取り出す電極とを備えた半導体加速度センサにおいて、上記可撓部に、その厚み方向に貫通する放熱孔を1又は複数形成したことを特徴とする半導体加速度センサ。
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CN100381825C (zh) * | 2004-09-30 | 2008-04-16 | 日立金属株式会社 | 半导体加速度传感器 |
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