JP2004176608A - 筒内噴射式エンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン冷態状態において燃焼安定性の向上を図ることができる筒内噴射式エンジンを提供する。
【解決手段】ピストンで区画される燃焼室内に対し直接的に燃料を噴射する燃料噴射手段と、燃焼室の排気口を開閉する排気弁と、ピストンの圧縮行程の上死点付近で燃料を点火する点火手段とを備えた筒内噴射式エンジンであって、エンジンの冷態始動時に、ピストンの排気行程における排気上死点前で排気弁を閉弁させるべく排気弁の閉弁時期を変更する排気閉弁時期変更手段(S103)と、排気弁の閉弁直後に燃料噴射を行うべく燃料噴射手段の噴射時期を変更する噴射時期変更手段(S103)とからなる冷態時制御手段を備えるよう構成する。
【選択図】 図2
【解決手段】ピストンで区画される燃焼室内に対し直接的に燃料を噴射する燃料噴射手段と、燃焼室の排気口を開閉する排気弁と、ピストンの圧縮行程の上死点付近で燃料を点火する点火手段とを備えた筒内噴射式エンジンであって、エンジンの冷態始動時に、ピストンの排気行程における排気上死点前で排気弁を閉弁させるべく排気弁の閉弁時期を変更する排気閉弁時期変更手段(S103)と、排気弁の閉弁直後に燃料噴射を行うべく燃料噴射手段の噴射時期を変更する噴射時期変更手段(S103)とからなる冷態時制御手段を備えるよう構成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内噴射式エンジンに係り、詳しくは、エンジンの冷機状態時における燃焼安定性を達成する筒内噴射式エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、筒内噴射式エンジンは、ピストンで区画される燃焼室内に対しインジェクタで直接的に燃料を噴射し、点火プラグ近傍の空燃比を点火可能な空燃比に保ちつつ混合気の層状度を上げ、トータルの空燃比を希薄の空燃比にすることによって大幅な燃費の向上を図ったエンジンである。これを達成するべく、インジェクタは、高圧の燃料ポンプに接続され、燃料タンク内の燃料を所望の高燃圧で燃焼室内に向けて噴射可能にされる。そして、筒内噴射式エンジンでは、通常、低負荷低回転域において、ピストンの圧縮行程において燃料噴射がされている。この点、ピストンの排気行程において吸気ポートを介して燃焼室内に燃料噴射が行われるマルチポイントインジェクション(MPI)を採用したエンジンと大きく異なっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−8915号公報(段落番号0020等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、エンジンの温態時ではない場合、即ち、エンジンの冷態始動時や寒冷時のアイドル運転時等にも圧縮行程の燃料噴射を行うことは、燃料気化時間が短いことから燃料の気化を十分に行うことができず、空燃比がリーンになって燃焼変動の増加が生じ、燃焼安定化を十分に図れないおそれがあるとの問題がある。
【0005】
ここで、この問題の解決を図るべく、吸気行程で燃料噴射を行うと共に、燃料噴射時期を早くして燃料気化時間を長くさせることも考えられるが、これでは未燃焼の燃料成分(HC)が排気口から直接に排気通路に排出される可能性があり、排ガス特性の悪化及び燃費の悪化を招いてしまうおそれがあるとの問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、エンジン冷態状態において燃焼安定性の向上を図ることができる筒内噴射式エンジンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するべく、請求項1記載の本発明の筒内噴射式エンジンは、ピストンで区画される燃焼室内に対し直接的に燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記燃焼室の排気口を開閉する排気弁と、前記ピストンの圧縮行程の上死点付近で前記燃料を点火する点火手段とを備えた筒内噴射式エンジンにおいて、前記エンジンの冷態始動時に、前記ピストンの排気行程における排気上死点前で前記排気弁を閉弁させるべく該排気弁の閉弁時期を変更する排気閉弁時期変更手段と、前記排気弁の閉弁直後に燃料噴射を行うべく前記燃料噴射手段の噴射時期を変更する噴射時期変更手段とからなる冷態時制御手段を備えることを特徴としている。
【0008】
したがって、本発明の請求項1の筒内噴射式エンジンでは、冷態時制御手段が、エンジンの冷態始動時には、ピストンの排気上死点前で排気弁を閉弁させてから燃料噴射を行っているので、未燃焼の燃料成分(HC)が排気通路側へ直接的に排出されることが防止されると共に、燃料気化時間が排気上死点から圧縮上死点に至るまで十分に確保され、冷態始動時の燃焼安定性が向上する。
【0009】
また、請求項2記載の発明では、ピストンで区画される燃焼室内に対し直接的に燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記燃焼室の吸気口及び排気口をそれぞれ開閉する吸気弁及び排気弁と、前記ピストンの圧縮行程の上死点付近で前記燃料を点火する点火手段とを備えた筒内噴射式エンジンにおいて、前記エンジンの冷態始動時に、前記ピストンの排気行程における排気上死点前で前記排気弁を閉弁させるべく該排気弁の閉弁時期を変更する第一の排気閉弁時期変更手段と、前記排気弁の閉弁直後に燃料噴射を行うべく前記燃料噴射手段の噴射時期を変更する第一の噴射時期変更手段とからなる第一冷態時制御手段と、前記第一冷態時制御手段による制御を行った後で、エンジン温度の上昇を示す、所定のファーストアイドル条件が成立したか否かを判定する条件判定手段と、該条件判定手段によって前記ファーストアイドル条件が成立したと判定されたときには、前記ピストンの前記排気行程における排気上死点時に前記排気弁を閉弁させるべく該排気弁の閉弁時期を変更する第二の排気閉弁時期変更手段と、前記排気弁の閉弁直後に燃料噴射を行うべく前記燃料噴射手段の噴射時期を変更する第二の噴射時期変更手段と、前記ピストンの吸気行程において前記吸気弁を開弁させるべく該吸気弁の開弁時期を設定する吸気開弁時期設定手段とからなる第二冷態時制御手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
このように、本発明の請求項2の筒内噴射式エンジンでは、第一制御手段が、エンジンの冷態始動時には、ピストンの排気行程における排気上死点前で排気弁を閉弁させてから燃料噴射を行っているので、未燃焼の燃料成分(HC)が排気通路側へ直接的に排出されることを防止すると共に、燃料気化時間を十分に確保して燃焼安定性を向上させ、さらに、第二制御手段により冷態始動時の終了後のファーストアイドル時には内部EGR量を低減させているので、ファーストアイドル時において、燃焼変動が小さくなり、燃焼安定性が確保される。
【0011】
さらに、請求項3記載の発明では、前記条件判定手段は、前記エンジンの温度が所定値以上になったときに、前記ファーストアイドル条件の成立と判定することを特徴としている。これにより、ファーストアイドル条件の判定がより正確になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1を参照すると、車両に搭載された本発明に係る内燃機関の概略構成図が示されており、以下、当該内燃機関の構成を説明する。
内燃機関(以下、エンジン)1は、例えば、燃料噴射モードをピストンの吸気行程での燃料噴射(吸気行程噴射モード)、圧縮行程での燃料噴射(圧縮行程噴射モード)及び排気行程での燃料噴射(排気行程噴射モード)に切り替えることが可能な筒内噴射型火花点火式4サイクル4気筒ガソリンエンジンが採用される。この筒内噴射型のエンジン1は、上記燃料噴射モードの切換えと空燃比制御とにより、理論空燃比(ストイキオ)での運転やリッチ空燃比での運転(リッチ空燃比運転)の他、リーン空燃比での運転(リーン空燃比運転)が実現可能である。
【0013】
同図に示すように、エンジン1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に点火プラグ(点火手段)4と共に電磁式のインジェクタ(燃料噴射手段)6が取り付けられており、インジェクタ6は、ピストン21で区画される燃焼室5内に燃料を直接的に噴射可能である。
点火プラグ4には高電圧を出力する点火コイル8が接続されている。また、インジェクタ6には、燃料パイプ7を介して燃料タンクを擁した燃料供給装置(図示せず)が接続されている。より詳しくは、燃料供給装置には、低圧燃料ポンプと高圧燃料ポンプとが設けられており、これにより、燃料タンク内の燃料をインジェクタ6に対し低燃圧或いは高燃圧で供給し、該燃料をインジェクタ6から燃焼室5内に向けて所定の燃圧で噴射可能である。
【0014】
シリンダヘッド2には、各気筒毎に略直立方向に吸気ポート9が形成されており、各吸気ポート9の燃焼室5側には、吸気ポート9と燃焼室5とを連通する吸気口9aの開閉を行う吸気弁11がそれぞれ設けられている。吸気弁11は、エンジン回転に応じて回転するカムシャフト12のカム12aに倣って吸気口9aを開閉作動する。そして、各吸気ポート9には吸気マニホールド10の一端がそれぞれ接続されている。
【0015】
吸気マニホールド10には吸入空気量を調節する電磁式のスロットル弁17が設けられている。スロットル弁17近傍には、スロットル開度を検出するスロットルポジションセンサ(TPS)18が設けられており、TPS18にはアイドルスイッチ(アイドルSW)が併設されている。さらに、吸気マニホールド10のスロットル弁17よりも上流部分には、吸入空気量を検出するため、カルマン渦式のエアフローセンサ19が設けられている。
【0016】
また、シリンダヘッド2には、各気筒毎に略水平方向に排気ポート13が形成されており、各排気ポート13の燃焼室5側には、各排気ポート13と燃焼室5とを連通する排気口13aの開閉を行う排気弁15がそれぞれ設けられている。排気弁15は、エンジン回転に応じて回転するカムシャフト16のカム16aに倣って排気口13aを開閉作動する。そして、各排気ポート13には排気マニホールド14の一端がそれぞれ接続されている。
【0017】
排気マニホールド14の他端には排気管20が接続されており、排気管20には、ストイキオ近傍においてHC、CO、NOxを高効率で浄化可能な三元触媒コンバータ30が介装されている。また、排気管20の三元触媒コンバータ30の直上流部分には、排気中の酸素濃度ひいては排気空燃比を検出するO2センサ22が設けられており、三元触媒コンバータ30には触媒温度を検出する高温センサ32が設けられている。
【0018】
また、シリンダヘッド2には、カム12aやカム16aを油圧調整によって進角或いは遅角操作することで吸気弁11や排気弁15の開閉時期を可変させる可変バルブタイミング機構40が設けられている。可変バルブタイミング機構40としては、例えばカムシャフト12、16を揺動させる振り子式可変バルブタイミング機構が適用される。なお、振り子式可変バルブタイミング機構は公知であり、ここではその構成の詳細については説明を省略する。
【0019】
ECU60は、入出力装置、記憶装置、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えており、当該ECU60により、エンジン1の総合的な制御が行われる。
ECU60の入力側には、上記TPS18、エアフローセンサ19、O2センサ22、高温センサ32等の他、エンジン1の冷却水温度Twを検出する水温センサ62やクランク角を検出するクランク角センサ64等の各種センサ類が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力される。なお、クランク角センサ64からはエンジン回転速度Neが検出される。
【0020】
一方、ECU60の出力側には、上記インジェクタ6、点火コイル8、スロットル弁17、可変バルブタイミング機構40等の各種出力デバイスが接続されており、インジェクタ6、点火コイル8、スロットル弁17には、上記各種検出情報に基づき選択された燃料噴射モード及び各種センサ類からの検出情報に応じて求められた燃焼空燃比等に基づいて燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、スロットル開度の各信号がそれぞれ出力される。
【0021】
これにより、インジェクタ6からは適正量の燃料が適正なタイミングで噴射され、点火プラグ4により適正なタイミング(圧縮上死点付近)で火花点火が実施され、さらに、スロットル開度が適正な開度に制御される。また、可変バルブタイミング機構40に対して適正なバルブタイミング指令が行われる。
特に、本発明では、ECU60に本発明に係る冷態時制御手段61が設けられており、エンジン冷態始動時には、当該冷態時制御手段61の排気閉弁時期変更手段等からの出力信号に基づいて燃焼室5を密閉すべく吸気弁11及び排気弁15が共に閉弁させられる一方、ピストン21の排気行程の上死点(排気上死点)TDC直後において燃焼室5を開放すべく吸気弁11のみが開弁させられる。そして、その後のファーストアイドル時には、冷態時制御手段61の排気閉弁時期変更手段によって排気弁15が排気上死点TDCにて閉弁させられる。なお、排気上死点TDCとは、ピストン21の排気行程においてピストン21がシリンダヘッド2に最も接近する位置をいう。そして、冷態時制御手段61の噴射時期変更手段からの出力信号に基づいて上記排気弁15の閉弁直後のタイミングで常に燃料が噴射される。
【0022】
以下、このように構成された本発明に係るエンジン1の作用を説明する。
図2には、上記本発明に係る冷態時制御手段61により実施される冷態始動時制御及びファーストアイドル時制御を含む冷態時・非冷態時制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下同フローチャートに基づき説明する。なお、本実施形態の冷態時制御とは、冷態時制御手段61による冷態始動時制御及び該冷態始動時制御が終了した後のファーストアイドル時制御から構成され、その後の非冷態時制御の発進時制御とは区別される。
【0023】
ステップS101でスタートスイッチがオンになっている場合には、ステップS102及びステップS103にて冷態時制御手段61による冷態始動時制御を行う。
具体的には、ステップS102では、冷態時制御手段61の吸気開弁時期設定手段にて、吸気弁11の開時期IOを最遅角側たる排気上死点TDCにする如くのタイミング変更を行い、ステップS103では、冷態時制御手段61の排気閉弁時期変更手段にて、排気弁15の閉時期ECを最進角側たる排気上死点TDCよりも前(第一の閉弁時期)にする如くのタイミング変更を行う。つまり、吸気弁11の開時期IOと排気弁15の閉時期ECとの変更によってネガティブオーバラップVOLnを設定して燃焼室5を密閉する。
【0024】
また、ステップS103では、冷態時制御手段61の噴射時期変更手段にて、インジェクタ6の燃料噴射時期を排気弁15の閉弁直後のタイミング、即ち、進角側に変更された排気弁15の閉時期EC直後の排気行程終盤時期への噴射時期(第一の噴射時期)の変更を行ってステップS104に進む。
ステップS104では、エンジン水温が所定温度T以上か否か、換言すれば、ファーストアイドル条件が成立したか否かを判別し、所定温度T以上であると判定された場合、即ち、YESのときにはステップS105に進み、前記冷態始動時制御を終了して冷態時制御手段61によるファーストアイドル時制御を開始する。
【0025】
具体的には、ステップS105では、冷態時制御手段61の排気閉弁時期変更手段にて、排気弁15の閉時期ECを排気上死点TDCにする(第二の閉弁時期)如くの遅角側へのタイミング変更をフィードバック制御によって行うと共に、冷態時制御手段61の噴射時期変更手段にて、インジェクタ6の燃料噴射時期を排気弁15の閉時期EC直後の吸気行程序盤時期(第二の噴射時期)に変更してステップS106に進む。一方、ステップS104にて所定温度Tに達していないと判定された場合には、冷態始動時制御を継続すべくステップS102に戻る。なお、本実施形態では吸気開弁時期設定手段による吸気弁11の開弁時期は排気上死点TDCで維持されている。なお、この開弁時期は排気上死点TDC後のピストン吸気行程であっても良い。
【0026】
ステップS106では、ファーストアイドル時制御開始後、ファーストアイドル期間に対応する所定時間t2が経過しているか否かを判別し、所定時間t2経過していると判定された場合、即ち、YESのときにはステップS107に進み、冷態時制御手段61による前記ファーストアイドル時制御を終了して非冷態時制御の発進時制御を行う。
【0027】
具体的には、ステップS107では、排気弁15の閉時期ECを排気上死点TDC後にする如くの遅角側へのタイミング変更を行い、インジェクタ6の燃料噴射時期を排気弁15の閉時期EC直後の吸気行程中盤時期に変更してステップS108に進む。一方、ステップS106にて所定時間t2経過していない場合には、ファーストアイドル時制御を継続すべくステップS105に戻る。
【0028】
ステップS108では、非冷態時制御の発進時制御開始後、発進時制御を必要とする所定時間t3が経過しているか否かを判別し、所定時間t3経過していると判定された場合、即ち、YESのときにはステップS109に進む。
ステップS109では、排気弁15の閉時期ECの進角側へのタイミング変更を行うと共に、吸気弁11の開時期IOの進角側である排気上死点TDCよりも前へのタイミング変更を行い、排気上死点TDCを挟んだバルブオーバラップを設定して一連の動作を終了し、通常の圧縮又は吸気行程噴射制御を行う。なお、ステップS108にて所定時間t3経過していないと判定された場合には、発進時制御を継続すべくステップS107に戻る。
【0029】
なお、本実施形態では、ステップS104にてエンジン水温が所定温度T以上になったときに、冷態始動時制御をファーストアイドル時制御に切り替えているが、この形態に限定されるものではなく、所定のファーストアイドル条件とは、エンジン1の始動後の所定時間経過したとき、若しくは触媒温度が所定温度以上になったとき、若しくはエンジン回転速度が所定回転速度以上になったとき、若しくは変速機のシフト情報が非走行レンジのPレンジからNレンジに切り替わったときのようにエンジン温度が始動時よりも上昇したと考えられるときに成立するものであれば良く、好ましくはエンジン水温の検出信号に基づくことでファーストアイドル条件をより正確に判定することができ、エンジンの信頼性の向上を図ることができる。なお、エンジンの回転変動が検出されたときにファーストアイドル時制御に切り替えることとしても良く、このときには燃焼安定性を図ることができる。
【0030】
また、ステップS106におけるファーストアイドル時制御の終了、及びステップS108における発進時制御の終了もまた、所定時間の経過で判断することの他、例えば、ステップS106では、非走行レンジ(Nレンジ)から走行レンジ(Dレンジ)に切り替わったときにファーストアイドル時制御を終了させ、ステップS108では、回転変動が所定値以上になったときに発進時制御を終了させても良いものである。
【0031】
さらに、ステップS107では、排気弁15の閉時期ECを排気上死点TDC後のピストン吸気行程へ遅角させることの他、吸気弁11の開時期IOを排気上死点TDC前のピストン排気行程へ進角させても良く、この場合にもインジェクタ6は、排気弁15の閉時期EC直後の吸気行程中盤にて燃料噴射を行うことになる。
【0032】
図3は、冷態時制御手段61による上記冷態始動時制御(ステップS102、S103)のタイミングチャートである。
まず、冷態時制御手段61による冷態始動時制御は、エンジン水温が所定温度Tに達するまで行われる。同図では、縦軸がバルブリフトLfを示し、横軸がクランク角θを示しており、EO及びECは排気弁15の開時期及び閉時期をそれぞれ示し、IO及びICは吸気弁11の開時期及び閉時期をそれぞれ示している。
【0033】
エンジン冷態始動時には、吸気弁11の開時期IOが排気上死点TDCの直後の位置に設定されると共に、排気弁15の閉時期ECが第一の閉弁時期として排気上死点TDCよりも前のピストン排気行程における所定位置に設定され、吸気弁11の開時期IOと排気弁15の閉時期ECと間においてネガティブオーバラップVOLnが設定され、燃焼室5が密閉される。
【0034】
そして、インジェクタ6は、第一の噴射時期として排気弁15の閉時期ECの直後から排気上死点TDCに至るネガティブオーバラップVOLn、つまり、排気行程終盤時期に燃料噴射を行っている。
このように、エンジン1の冷態始動時には、冷態時制御手段61の排気閉弁時期変更手段が、排気弁15の閉時期ECをピストンの排気行程における排気上死点TDC前に変更し、噴射時期変更手段が、この排気弁15の閉時期EC直後である排気行程終盤時期に燃料噴射を行わせているので、未燃燃料がそのままエンジン外部に排出されることを防止できると共に、排気弁15の閉時期EC後から圧縮上死点における点火まで比較的長時間に亘って燃料気化時間を確保することができ、燃料の空気との混合及び霧化が促進され、燃焼安定性の向上が図られる。
【0035】
さらに、吸気弁11の開時期IOを排気上死点TDCにすることで、燃料を含み且つ圧縮されて昇温した残留ガスがいったん吸気口9aから燃焼室5外に吹き出された後、ピストン21の下降による十分な負圧により再度燃焼室5内に良好に戻ることになり、燃料の霧化がより一層促進され、燃費の向上が図られる。
図4は、図3の冷態時制御手段61による冷態始動時後の上記ファーストアイドル時制御(ステップS105)のタイミングチャートである。このファーストアイドル時制御は、ファーストアイドル条件が成立し、当該制御開始後の所定時間t2が経過するまで行われる。
【0036】
同図に示すように、ファーストアイドル時には、吸気弁11の開時期IOが排気上死点TDCの直後に設定されたままである一方、排気弁15の閉時期ECは第二の閉弁時期として排気上死点TDCに位置する如くの遅角側への変更が行われ、上記のネガティブオーバラップVOLnが解消されている。つまり、排気弁15の閉時期ECが吸気弁11の開時期IOに一致されてバルブオーバラップVOLp及びネガティブオーバラップVOLnを共にほぼ0にする。
【0037】
そして、インジェクタ6は、第二の噴射時期として排気上死点TDC直後、つまり、排気弁15の閉時期EC直後の吸気行程序盤時期に燃料噴射を行っている。
このように、冷態始動時制御の終了時点からは、冷態時制御手段61の排気閉弁時期変更手段及び吸気開弁時期設定手段が、オーバラップをほぼ0に等しくなるようにタイミングを調整しているので、内部EGR量が低減され、エンジン低温に伴い燃料気化特性が低下しても燃焼変動が抑えられることになり、燃焼安定性が確保される。しかも、噴射時期変更手段が吸気行程序盤時期に燃料噴射を行っているので、ピストンの圧縮行程で燃料噴射を行う場合に比して燃料気化時間が長めになる。
【0038】
なお、排気弁15における第一の閉弁時期及び第二の閉弁時期は、排気弁15の開閉タイミングを同時に変化させるものの他、閉タイミングのみを変化させるものであっても良い。
図5は、図4のファーストアイドル時後の非冷態時における上記発進時制御(ステップS107)のタイミングチャートである。この発進時制御は、当該制御開始後の所定時間t3が経過するまで行われる。
【0039】
同図に示すように、発進時には、吸気弁11の開時期IOが排気上死点TDCの直後に位置されたままであるものの、排気弁15の閉時期ECは排気上死点TDCの後のピストン吸気行程に位置する如くの遅角側への変更が行われ、バルブオーバラップVOLpが形成される。
そして、インジェクタ6は、排気弁15の閉時期ECの直後、つまり、吸気行程中盤時期に燃料噴射を行って、未燃燃料が直接エンジン外部へ排出されるのが防止されている。
【0040】
このように、エンジン温度が比較的高くなったと考えられるファーストアイドル時制御の終了時点からは、バルブオーバラップを形成するようにタイミングを調整しているので、内部EGR量が増加し、燃焼温度を低下させてNOxの発生が抑えられる。
以上のように、本発明では、エンジン水温が所定温度Tに達するまでの冷態始動時には、冷態時制御手段61により、排気弁15をピストン21の排気上死点TDC前で閉弁させて、この排気弁15の閉弁直後に燃料噴射を行わせ、燃料を圧縮上死点付近で点火するようにしている。したがって、燃料気化時間を排気上死点から圧縮上死点に至るまで十分に確保することができ、未燃燃料が直接的に排出されることを防止しながら、燃料の空気との混合及び燃料の霧化の促進を図り、冷態始動時の燃焼安定性を向上させることができる。
【0041】
また、燃焼室5の容積が減少して筒内圧が最も上昇した直後に吸気弁11を開弁させることで、燃料を含み且つ圧縮されて昇温した残留ガスがいったん吸気口9aから燃焼室5外に吹き出された後、ピストン21の下降による十分な負圧により再度燃焼室5内に良好に戻ることになり、燃料の空気との混合及び霧化のより一層の促進が図られ、リッチ化された混合気場を形成することができる。よって、リッチ化された混合気場が形成されてHCの発生を抑制でき、併せて燃費の向上を図ることができる。
【0042】
また、エンジン水温が所定温度Tに達した後のファーストアイドル時には、冷態時制御手段61が、排気弁15をピストン21の排気上死点TDCで閉弁させてオーバラップ量をほぼ0にしているので、内部EGR量の低減により燃焼変動を抑えて燃焼安定性を確保することができる。
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
【0043】
例えば、上記実施形態では、燃焼室5を密閉する際、燃焼室5の密閉時間を自由に設定するべく、可変バルブタイミング機構40によって排気弁15の開弁時期進角量を調整しているが、この形態に限られるものではなく、例えば排気弁15を閉弁状態で停止させても良く、この場合にも上記と同様に燃焼室5を密閉させることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、請求項1記載の本発明の筒内噴射式エンジンによれば、冷態時制御手段が、エンジンの冷態始動時には、ピストンの排気上死点前で排気弁を閉弁させてから燃料噴射を行っているので、未燃燃料が排気通路側へ直接的に排出されることが防止できると共に、燃料気化時間を排気上死点から圧縮上死点に至るまで十分に確保し、冷態始動時の燃焼安定性を向上させることができる。
【0045】
また、請求項2記載の発明によれば、第一冷態時制御手段が、エンジンの冷態始動時には、ピストンの排気行程において排気上死点前で排気弁を閉弁させてから燃料噴射を行っているので、未燃燃料が排気通路側へ直接的に排出されることを防止すると共に、燃料気化時間を十分に確保して燃焼安定性を向上させ、さらに、第二冷態時制御手段により冷態始動時の終了後のファーストアイドル時には内部EGR量を低減させているので、ファーストアイドル時において燃焼変動が小さくなり、燃焼安定性を確保することができる。
【0046】
さらに、請求項3記載の発明によれば、ファーストアイドル条件の判定をより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンシステム構成図である。
【図2】図1の冷態時制御手段による冷態始動時制御及びファーストアイドル時制御を含む冷態時制御・非冷態時制御ルーチンのフローチャートである。
【図3】図1の冷態時制御手段による冷態始動時制御のタイミングチャートである。
【図4】図1の冷態時制御手段によるファーストアイドル時制御のタイミングチャートである。
【図5】ファーストアイドル時後における非冷態時制御の発進時制御のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 筒内噴射式エンジン
4 点火手段
5 燃焼室
6 燃料噴射手段
9a 吸気口
11 吸気弁
13a 排気口
15 排気弁
21 ピストン
60 ECU(電子コントロールユニット)
61 冷態時制御手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内噴射式エンジンに係り、詳しくは、エンジンの冷機状態時における燃焼安定性を達成する筒内噴射式エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、筒内噴射式エンジンは、ピストンで区画される燃焼室内に対しインジェクタで直接的に燃料を噴射し、点火プラグ近傍の空燃比を点火可能な空燃比に保ちつつ混合気の層状度を上げ、トータルの空燃比を希薄の空燃比にすることによって大幅な燃費の向上を図ったエンジンである。これを達成するべく、インジェクタは、高圧の燃料ポンプに接続され、燃料タンク内の燃料を所望の高燃圧で燃焼室内に向けて噴射可能にされる。そして、筒内噴射式エンジンでは、通常、低負荷低回転域において、ピストンの圧縮行程において燃料噴射がされている。この点、ピストンの排気行程において吸気ポートを介して燃焼室内に燃料噴射が行われるマルチポイントインジェクション(MPI)を採用したエンジンと大きく異なっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−8915号公報(段落番号0020等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、エンジンの温態時ではない場合、即ち、エンジンの冷態始動時や寒冷時のアイドル運転時等にも圧縮行程の燃料噴射を行うことは、燃料気化時間が短いことから燃料の気化を十分に行うことができず、空燃比がリーンになって燃焼変動の増加が生じ、燃焼安定化を十分に図れないおそれがあるとの問題がある。
【0005】
ここで、この問題の解決を図るべく、吸気行程で燃料噴射を行うと共に、燃料噴射時期を早くして燃料気化時間を長くさせることも考えられるが、これでは未燃焼の燃料成分(HC)が排気口から直接に排気通路に排出される可能性があり、排ガス特性の悪化及び燃費の悪化を招いてしまうおそれがあるとの問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、エンジン冷態状態において燃焼安定性の向上を図ることができる筒内噴射式エンジンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するべく、請求項1記載の本発明の筒内噴射式エンジンは、ピストンで区画される燃焼室内に対し直接的に燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記燃焼室の排気口を開閉する排気弁と、前記ピストンの圧縮行程の上死点付近で前記燃料を点火する点火手段とを備えた筒内噴射式エンジンにおいて、前記エンジンの冷態始動時に、前記ピストンの排気行程における排気上死点前で前記排気弁を閉弁させるべく該排気弁の閉弁時期を変更する排気閉弁時期変更手段と、前記排気弁の閉弁直後に燃料噴射を行うべく前記燃料噴射手段の噴射時期を変更する噴射時期変更手段とからなる冷態時制御手段を備えることを特徴としている。
【0008】
したがって、本発明の請求項1の筒内噴射式エンジンでは、冷態時制御手段が、エンジンの冷態始動時には、ピストンの排気上死点前で排気弁を閉弁させてから燃料噴射を行っているので、未燃焼の燃料成分(HC)が排気通路側へ直接的に排出されることが防止されると共に、燃料気化時間が排気上死点から圧縮上死点に至るまで十分に確保され、冷態始動時の燃焼安定性が向上する。
【0009】
また、請求項2記載の発明では、ピストンで区画される燃焼室内に対し直接的に燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記燃焼室の吸気口及び排気口をそれぞれ開閉する吸気弁及び排気弁と、前記ピストンの圧縮行程の上死点付近で前記燃料を点火する点火手段とを備えた筒内噴射式エンジンにおいて、前記エンジンの冷態始動時に、前記ピストンの排気行程における排気上死点前で前記排気弁を閉弁させるべく該排気弁の閉弁時期を変更する第一の排気閉弁時期変更手段と、前記排気弁の閉弁直後に燃料噴射を行うべく前記燃料噴射手段の噴射時期を変更する第一の噴射時期変更手段とからなる第一冷態時制御手段と、前記第一冷態時制御手段による制御を行った後で、エンジン温度の上昇を示す、所定のファーストアイドル条件が成立したか否かを判定する条件判定手段と、該条件判定手段によって前記ファーストアイドル条件が成立したと判定されたときには、前記ピストンの前記排気行程における排気上死点時に前記排気弁を閉弁させるべく該排気弁の閉弁時期を変更する第二の排気閉弁時期変更手段と、前記排気弁の閉弁直後に燃料噴射を行うべく前記燃料噴射手段の噴射時期を変更する第二の噴射時期変更手段と、前記ピストンの吸気行程において前記吸気弁を開弁させるべく該吸気弁の開弁時期を設定する吸気開弁時期設定手段とからなる第二冷態時制御手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
このように、本発明の請求項2の筒内噴射式エンジンでは、第一制御手段が、エンジンの冷態始動時には、ピストンの排気行程における排気上死点前で排気弁を閉弁させてから燃料噴射を行っているので、未燃焼の燃料成分(HC)が排気通路側へ直接的に排出されることを防止すると共に、燃料気化時間を十分に確保して燃焼安定性を向上させ、さらに、第二制御手段により冷態始動時の終了後のファーストアイドル時には内部EGR量を低減させているので、ファーストアイドル時において、燃焼変動が小さくなり、燃焼安定性が確保される。
【0011】
さらに、請求項3記載の発明では、前記条件判定手段は、前記エンジンの温度が所定値以上になったときに、前記ファーストアイドル条件の成立と判定することを特徴としている。これにより、ファーストアイドル条件の判定がより正確になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1を参照すると、車両に搭載された本発明に係る内燃機関の概略構成図が示されており、以下、当該内燃機関の構成を説明する。
内燃機関(以下、エンジン)1は、例えば、燃料噴射モードをピストンの吸気行程での燃料噴射(吸気行程噴射モード)、圧縮行程での燃料噴射(圧縮行程噴射モード)及び排気行程での燃料噴射(排気行程噴射モード)に切り替えることが可能な筒内噴射型火花点火式4サイクル4気筒ガソリンエンジンが採用される。この筒内噴射型のエンジン1は、上記燃料噴射モードの切換えと空燃比制御とにより、理論空燃比(ストイキオ)での運転やリッチ空燃比での運転(リッチ空燃比運転)の他、リーン空燃比での運転(リーン空燃比運転)が実現可能である。
【0013】
同図に示すように、エンジン1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に点火プラグ(点火手段)4と共に電磁式のインジェクタ(燃料噴射手段)6が取り付けられており、インジェクタ6は、ピストン21で区画される燃焼室5内に燃料を直接的に噴射可能である。
点火プラグ4には高電圧を出力する点火コイル8が接続されている。また、インジェクタ6には、燃料パイプ7を介して燃料タンクを擁した燃料供給装置(図示せず)が接続されている。より詳しくは、燃料供給装置には、低圧燃料ポンプと高圧燃料ポンプとが設けられており、これにより、燃料タンク内の燃料をインジェクタ6に対し低燃圧或いは高燃圧で供給し、該燃料をインジェクタ6から燃焼室5内に向けて所定の燃圧で噴射可能である。
【0014】
シリンダヘッド2には、各気筒毎に略直立方向に吸気ポート9が形成されており、各吸気ポート9の燃焼室5側には、吸気ポート9と燃焼室5とを連通する吸気口9aの開閉を行う吸気弁11がそれぞれ設けられている。吸気弁11は、エンジン回転に応じて回転するカムシャフト12のカム12aに倣って吸気口9aを開閉作動する。そして、各吸気ポート9には吸気マニホールド10の一端がそれぞれ接続されている。
【0015】
吸気マニホールド10には吸入空気量を調節する電磁式のスロットル弁17が設けられている。スロットル弁17近傍には、スロットル開度を検出するスロットルポジションセンサ(TPS)18が設けられており、TPS18にはアイドルスイッチ(アイドルSW)が併設されている。さらに、吸気マニホールド10のスロットル弁17よりも上流部分には、吸入空気量を検出するため、カルマン渦式のエアフローセンサ19が設けられている。
【0016】
また、シリンダヘッド2には、各気筒毎に略水平方向に排気ポート13が形成されており、各排気ポート13の燃焼室5側には、各排気ポート13と燃焼室5とを連通する排気口13aの開閉を行う排気弁15がそれぞれ設けられている。排気弁15は、エンジン回転に応じて回転するカムシャフト16のカム16aに倣って排気口13aを開閉作動する。そして、各排気ポート13には排気マニホールド14の一端がそれぞれ接続されている。
【0017】
排気マニホールド14の他端には排気管20が接続されており、排気管20には、ストイキオ近傍においてHC、CO、NOxを高効率で浄化可能な三元触媒コンバータ30が介装されている。また、排気管20の三元触媒コンバータ30の直上流部分には、排気中の酸素濃度ひいては排気空燃比を検出するO2センサ22が設けられており、三元触媒コンバータ30には触媒温度を検出する高温センサ32が設けられている。
【0018】
また、シリンダヘッド2には、カム12aやカム16aを油圧調整によって進角或いは遅角操作することで吸気弁11や排気弁15の開閉時期を可変させる可変バルブタイミング機構40が設けられている。可変バルブタイミング機構40としては、例えばカムシャフト12、16を揺動させる振り子式可変バルブタイミング機構が適用される。なお、振り子式可変バルブタイミング機構は公知であり、ここではその構成の詳細については説明を省略する。
【0019】
ECU60は、入出力装置、記憶装置、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えており、当該ECU60により、エンジン1の総合的な制御が行われる。
ECU60の入力側には、上記TPS18、エアフローセンサ19、O2センサ22、高温センサ32等の他、エンジン1の冷却水温度Twを検出する水温センサ62やクランク角を検出するクランク角センサ64等の各種センサ類が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力される。なお、クランク角センサ64からはエンジン回転速度Neが検出される。
【0020】
一方、ECU60の出力側には、上記インジェクタ6、点火コイル8、スロットル弁17、可変バルブタイミング機構40等の各種出力デバイスが接続されており、インジェクタ6、点火コイル8、スロットル弁17には、上記各種検出情報に基づき選択された燃料噴射モード及び各種センサ類からの検出情報に応じて求められた燃焼空燃比等に基づいて燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、スロットル開度の各信号がそれぞれ出力される。
【0021】
これにより、インジェクタ6からは適正量の燃料が適正なタイミングで噴射され、点火プラグ4により適正なタイミング(圧縮上死点付近)で火花点火が実施され、さらに、スロットル開度が適正な開度に制御される。また、可変バルブタイミング機構40に対して適正なバルブタイミング指令が行われる。
特に、本発明では、ECU60に本発明に係る冷態時制御手段61が設けられており、エンジン冷態始動時には、当該冷態時制御手段61の排気閉弁時期変更手段等からの出力信号に基づいて燃焼室5を密閉すべく吸気弁11及び排気弁15が共に閉弁させられる一方、ピストン21の排気行程の上死点(排気上死点)TDC直後において燃焼室5を開放すべく吸気弁11のみが開弁させられる。そして、その後のファーストアイドル時には、冷態時制御手段61の排気閉弁時期変更手段によって排気弁15が排気上死点TDCにて閉弁させられる。なお、排気上死点TDCとは、ピストン21の排気行程においてピストン21がシリンダヘッド2に最も接近する位置をいう。そして、冷態時制御手段61の噴射時期変更手段からの出力信号に基づいて上記排気弁15の閉弁直後のタイミングで常に燃料が噴射される。
【0022】
以下、このように構成された本発明に係るエンジン1の作用を説明する。
図2には、上記本発明に係る冷態時制御手段61により実施される冷態始動時制御及びファーストアイドル時制御を含む冷態時・非冷態時制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下同フローチャートに基づき説明する。なお、本実施形態の冷態時制御とは、冷態時制御手段61による冷態始動時制御及び該冷態始動時制御が終了した後のファーストアイドル時制御から構成され、その後の非冷態時制御の発進時制御とは区別される。
【0023】
ステップS101でスタートスイッチがオンになっている場合には、ステップS102及びステップS103にて冷態時制御手段61による冷態始動時制御を行う。
具体的には、ステップS102では、冷態時制御手段61の吸気開弁時期設定手段にて、吸気弁11の開時期IOを最遅角側たる排気上死点TDCにする如くのタイミング変更を行い、ステップS103では、冷態時制御手段61の排気閉弁時期変更手段にて、排気弁15の閉時期ECを最進角側たる排気上死点TDCよりも前(第一の閉弁時期)にする如くのタイミング変更を行う。つまり、吸気弁11の開時期IOと排気弁15の閉時期ECとの変更によってネガティブオーバラップVOLnを設定して燃焼室5を密閉する。
【0024】
また、ステップS103では、冷態時制御手段61の噴射時期変更手段にて、インジェクタ6の燃料噴射時期を排気弁15の閉弁直後のタイミング、即ち、進角側に変更された排気弁15の閉時期EC直後の排気行程終盤時期への噴射時期(第一の噴射時期)の変更を行ってステップS104に進む。
ステップS104では、エンジン水温が所定温度T以上か否か、換言すれば、ファーストアイドル条件が成立したか否かを判別し、所定温度T以上であると判定された場合、即ち、YESのときにはステップS105に進み、前記冷態始動時制御を終了して冷態時制御手段61によるファーストアイドル時制御を開始する。
【0025】
具体的には、ステップS105では、冷態時制御手段61の排気閉弁時期変更手段にて、排気弁15の閉時期ECを排気上死点TDCにする(第二の閉弁時期)如くの遅角側へのタイミング変更をフィードバック制御によって行うと共に、冷態時制御手段61の噴射時期変更手段にて、インジェクタ6の燃料噴射時期を排気弁15の閉時期EC直後の吸気行程序盤時期(第二の噴射時期)に変更してステップS106に進む。一方、ステップS104にて所定温度Tに達していないと判定された場合には、冷態始動時制御を継続すべくステップS102に戻る。なお、本実施形態では吸気開弁時期設定手段による吸気弁11の開弁時期は排気上死点TDCで維持されている。なお、この開弁時期は排気上死点TDC後のピストン吸気行程であっても良い。
【0026】
ステップS106では、ファーストアイドル時制御開始後、ファーストアイドル期間に対応する所定時間t2が経過しているか否かを判別し、所定時間t2経過していると判定された場合、即ち、YESのときにはステップS107に進み、冷態時制御手段61による前記ファーストアイドル時制御を終了して非冷態時制御の発進時制御を行う。
【0027】
具体的には、ステップS107では、排気弁15の閉時期ECを排気上死点TDC後にする如くの遅角側へのタイミング変更を行い、インジェクタ6の燃料噴射時期を排気弁15の閉時期EC直後の吸気行程中盤時期に変更してステップS108に進む。一方、ステップS106にて所定時間t2経過していない場合には、ファーストアイドル時制御を継続すべくステップS105に戻る。
【0028】
ステップS108では、非冷態時制御の発進時制御開始後、発進時制御を必要とする所定時間t3が経過しているか否かを判別し、所定時間t3経過していると判定された場合、即ち、YESのときにはステップS109に進む。
ステップS109では、排気弁15の閉時期ECの進角側へのタイミング変更を行うと共に、吸気弁11の開時期IOの進角側である排気上死点TDCよりも前へのタイミング変更を行い、排気上死点TDCを挟んだバルブオーバラップを設定して一連の動作を終了し、通常の圧縮又は吸気行程噴射制御を行う。なお、ステップS108にて所定時間t3経過していないと判定された場合には、発進時制御を継続すべくステップS107に戻る。
【0029】
なお、本実施形態では、ステップS104にてエンジン水温が所定温度T以上になったときに、冷態始動時制御をファーストアイドル時制御に切り替えているが、この形態に限定されるものではなく、所定のファーストアイドル条件とは、エンジン1の始動後の所定時間経過したとき、若しくは触媒温度が所定温度以上になったとき、若しくはエンジン回転速度が所定回転速度以上になったとき、若しくは変速機のシフト情報が非走行レンジのPレンジからNレンジに切り替わったときのようにエンジン温度が始動時よりも上昇したと考えられるときに成立するものであれば良く、好ましくはエンジン水温の検出信号に基づくことでファーストアイドル条件をより正確に判定することができ、エンジンの信頼性の向上を図ることができる。なお、エンジンの回転変動が検出されたときにファーストアイドル時制御に切り替えることとしても良く、このときには燃焼安定性を図ることができる。
【0030】
また、ステップS106におけるファーストアイドル時制御の終了、及びステップS108における発進時制御の終了もまた、所定時間の経過で判断することの他、例えば、ステップS106では、非走行レンジ(Nレンジ)から走行レンジ(Dレンジ)に切り替わったときにファーストアイドル時制御を終了させ、ステップS108では、回転変動が所定値以上になったときに発進時制御を終了させても良いものである。
【0031】
さらに、ステップS107では、排気弁15の閉時期ECを排気上死点TDC後のピストン吸気行程へ遅角させることの他、吸気弁11の開時期IOを排気上死点TDC前のピストン排気行程へ進角させても良く、この場合にもインジェクタ6は、排気弁15の閉時期EC直後の吸気行程中盤にて燃料噴射を行うことになる。
【0032】
図3は、冷態時制御手段61による上記冷態始動時制御(ステップS102、S103)のタイミングチャートである。
まず、冷態時制御手段61による冷態始動時制御は、エンジン水温が所定温度Tに達するまで行われる。同図では、縦軸がバルブリフトLfを示し、横軸がクランク角θを示しており、EO及びECは排気弁15の開時期及び閉時期をそれぞれ示し、IO及びICは吸気弁11の開時期及び閉時期をそれぞれ示している。
【0033】
エンジン冷態始動時には、吸気弁11の開時期IOが排気上死点TDCの直後の位置に設定されると共に、排気弁15の閉時期ECが第一の閉弁時期として排気上死点TDCよりも前のピストン排気行程における所定位置に設定され、吸気弁11の開時期IOと排気弁15の閉時期ECと間においてネガティブオーバラップVOLnが設定され、燃焼室5が密閉される。
【0034】
そして、インジェクタ6は、第一の噴射時期として排気弁15の閉時期ECの直後から排気上死点TDCに至るネガティブオーバラップVOLn、つまり、排気行程終盤時期に燃料噴射を行っている。
このように、エンジン1の冷態始動時には、冷態時制御手段61の排気閉弁時期変更手段が、排気弁15の閉時期ECをピストンの排気行程における排気上死点TDC前に変更し、噴射時期変更手段が、この排気弁15の閉時期EC直後である排気行程終盤時期に燃料噴射を行わせているので、未燃燃料がそのままエンジン外部に排出されることを防止できると共に、排気弁15の閉時期EC後から圧縮上死点における点火まで比較的長時間に亘って燃料気化時間を確保することができ、燃料の空気との混合及び霧化が促進され、燃焼安定性の向上が図られる。
【0035】
さらに、吸気弁11の開時期IOを排気上死点TDCにすることで、燃料を含み且つ圧縮されて昇温した残留ガスがいったん吸気口9aから燃焼室5外に吹き出された後、ピストン21の下降による十分な負圧により再度燃焼室5内に良好に戻ることになり、燃料の霧化がより一層促進され、燃費の向上が図られる。
図4は、図3の冷態時制御手段61による冷態始動時後の上記ファーストアイドル時制御(ステップS105)のタイミングチャートである。このファーストアイドル時制御は、ファーストアイドル条件が成立し、当該制御開始後の所定時間t2が経過するまで行われる。
【0036】
同図に示すように、ファーストアイドル時には、吸気弁11の開時期IOが排気上死点TDCの直後に設定されたままである一方、排気弁15の閉時期ECは第二の閉弁時期として排気上死点TDCに位置する如くの遅角側への変更が行われ、上記のネガティブオーバラップVOLnが解消されている。つまり、排気弁15の閉時期ECが吸気弁11の開時期IOに一致されてバルブオーバラップVOLp及びネガティブオーバラップVOLnを共にほぼ0にする。
【0037】
そして、インジェクタ6は、第二の噴射時期として排気上死点TDC直後、つまり、排気弁15の閉時期EC直後の吸気行程序盤時期に燃料噴射を行っている。
このように、冷態始動時制御の終了時点からは、冷態時制御手段61の排気閉弁時期変更手段及び吸気開弁時期設定手段が、オーバラップをほぼ0に等しくなるようにタイミングを調整しているので、内部EGR量が低減され、エンジン低温に伴い燃料気化特性が低下しても燃焼変動が抑えられることになり、燃焼安定性が確保される。しかも、噴射時期変更手段が吸気行程序盤時期に燃料噴射を行っているので、ピストンの圧縮行程で燃料噴射を行う場合に比して燃料気化時間が長めになる。
【0038】
なお、排気弁15における第一の閉弁時期及び第二の閉弁時期は、排気弁15の開閉タイミングを同時に変化させるものの他、閉タイミングのみを変化させるものであっても良い。
図5は、図4のファーストアイドル時後の非冷態時における上記発進時制御(ステップS107)のタイミングチャートである。この発進時制御は、当該制御開始後の所定時間t3が経過するまで行われる。
【0039】
同図に示すように、発進時には、吸気弁11の開時期IOが排気上死点TDCの直後に位置されたままであるものの、排気弁15の閉時期ECは排気上死点TDCの後のピストン吸気行程に位置する如くの遅角側への変更が行われ、バルブオーバラップVOLpが形成される。
そして、インジェクタ6は、排気弁15の閉時期ECの直後、つまり、吸気行程中盤時期に燃料噴射を行って、未燃燃料が直接エンジン外部へ排出されるのが防止されている。
【0040】
このように、エンジン温度が比較的高くなったと考えられるファーストアイドル時制御の終了時点からは、バルブオーバラップを形成するようにタイミングを調整しているので、内部EGR量が増加し、燃焼温度を低下させてNOxの発生が抑えられる。
以上のように、本発明では、エンジン水温が所定温度Tに達するまでの冷態始動時には、冷態時制御手段61により、排気弁15をピストン21の排気上死点TDC前で閉弁させて、この排気弁15の閉弁直後に燃料噴射を行わせ、燃料を圧縮上死点付近で点火するようにしている。したがって、燃料気化時間を排気上死点から圧縮上死点に至るまで十分に確保することができ、未燃燃料が直接的に排出されることを防止しながら、燃料の空気との混合及び燃料の霧化の促進を図り、冷態始動時の燃焼安定性を向上させることができる。
【0041】
また、燃焼室5の容積が減少して筒内圧が最も上昇した直後に吸気弁11を開弁させることで、燃料を含み且つ圧縮されて昇温した残留ガスがいったん吸気口9aから燃焼室5外に吹き出された後、ピストン21の下降による十分な負圧により再度燃焼室5内に良好に戻ることになり、燃料の空気との混合及び霧化のより一層の促進が図られ、リッチ化された混合気場を形成することができる。よって、リッチ化された混合気場が形成されてHCの発生を抑制でき、併せて燃費の向上を図ることができる。
【0042】
また、エンジン水温が所定温度Tに達した後のファーストアイドル時には、冷態時制御手段61が、排気弁15をピストン21の排気上死点TDCで閉弁させてオーバラップ量をほぼ0にしているので、内部EGR量の低減により燃焼変動を抑えて燃焼安定性を確保することができる。
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
【0043】
例えば、上記実施形態では、燃焼室5を密閉する際、燃焼室5の密閉時間を自由に設定するべく、可変バルブタイミング機構40によって排気弁15の開弁時期進角量を調整しているが、この形態に限られるものではなく、例えば排気弁15を閉弁状態で停止させても良く、この場合にも上記と同様に燃焼室5を密閉させることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、請求項1記載の本発明の筒内噴射式エンジンによれば、冷態時制御手段が、エンジンの冷態始動時には、ピストンの排気上死点前で排気弁を閉弁させてから燃料噴射を行っているので、未燃燃料が排気通路側へ直接的に排出されることが防止できると共に、燃料気化時間を排気上死点から圧縮上死点に至るまで十分に確保し、冷態始動時の燃焼安定性を向上させることができる。
【0045】
また、請求項2記載の発明によれば、第一冷態時制御手段が、エンジンの冷態始動時には、ピストンの排気行程において排気上死点前で排気弁を閉弁させてから燃料噴射を行っているので、未燃燃料が排気通路側へ直接的に排出されることを防止すると共に、燃料気化時間を十分に確保して燃焼安定性を向上させ、さらに、第二冷態時制御手段により冷態始動時の終了後のファーストアイドル時には内部EGR量を低減させているので、ファーストアイドル時において燃焼変動が小さくなり、燃焼安定性を確保することができる。
【0046】
さらに、請求項3記載の発明によれば、ファーストアイドル条件の判定をより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンシステム構成図である。
【図2】図1の冷態時制御手段による冷態始動時制御及びファーストアイドル時制御を含む冷態時制御・非冷態時制御ルーチンのフローチャートである。
【図3】図1の冷態時制御手段による冷態始動時制御のタイミングチャートである。
【図4】図1の冷態時制御手段によるファーストアイドル時制御のタイミングチャートである。
【図5】ファーストアイドル時後における非冷態時制御の発進時制御のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 筒内噴射式エンジン
4 点火手段
5 燃焼室
6 燃料噴射手段
9a 吸気口
11 吸気弁
13a 排気口
15 排気弁
21 ピストン
60 ECU(電子コントロールユニット)
61 冷態時制御手段
Claims (3)
- ピストンで区画される燃焼室内に対し直接的に燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記燃焼室の排気口を開閉する排気弁と、前記ピストンの圧縮行程の上死点付近で前記燃料を点火する点火手段とを備えた筒内噴射式エンジンにおいて、
前記エンジンの冷態始動時に、前記ピストンの排気行程における排気上死点前で前記排気弁を閉弁させるべく該排気弁の閉弁時期を変更する排気閉弁時期変更手段と、前記排気弁の閉弁直後に燃料噴射を行うべく前記燃料噴射手段の噴射時期を変更する噴射時期変更手段とからなる冷態時制御手段を備えることを特徴とする筒内噴射式エンジン。 - ピストンで区画される燃焼室内に対し直接的に燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記燃焼室の吸気口及び排気口をそれぞれ開閉する吸気弁及び排気弁と、前記ピストンの圧縮行程の上死点付近で前記燃料を点火する点火手段とを備えた筒内噴射式エンジンにおいて、
前記エンジンの冷態始動時に、前記ピストンの排気行程における排気上死点前で前記排気弁を閉弁させるべく該排気弁の閉弁時期を変更する第一の排気閉弁時期変更手段と、前記排気弁の閉弁直後に燃料噴射を行うべく前記燃料噴射手段の噴射時期を変更する第一の噴射時期変更手段とからなる第一冷態時制御手段と、
前記第一冷態時制御手段による制御を行った後で、エンジン温度の上昇を示す、所定のファーストアイドル条件が成立したか否かを判定する条件判定手段と、該条件判定手段によって前記ファーストアイドル条件が成立したと判定されたときには、前記ピストンの前記排気行程における排気上死点時に前記排気弁を閉弁させるべく該排気弁の閉弁時期を変更する第二の排気閉弁時期変更手段と、前記排気弁の閉弁直後に燃料噴射を行うべく前記燃料噴射手段の噴射時期を変更する第二の噴射時期変更手段と、前記ピストンの吸気行程において前記吸気弁を開弁させるべく該吸気弁の開弁時期を設定する吸気開弁時期設定手段とからなる第二冷態時制御手段とを備えることを特徴とする筒内噴射式エンジン。 - 前記条件判定手段は、前記エンジンの温度が所定値以上になったときに、前記ファーストアイドル条件の成立と判定することを特徴とする請求項2記載の筒内噴射式エンジン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002342661A JP2004176608A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 筒内噴射式エンジン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002342661A JP2004176608A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 筒内噴射式エンジン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004176608A true JP2004176608A (ja) | 2004-06-24 |
Family
ID=32704663
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002342661A Withdrawn JP2004176608A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 筒内噴射式エンジン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004176608A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007255211A (ja) * | 2006-03-20 | 2007-10-04 | Toyota Motor Corp | 圧縮着火内燃機関の制御装置 |
JP2013151874A (ja) * | 2012-01-24 | 2013-08-08 | Daihatsu Motor Co Ltd | 火花点火式内燃機関 |
-
2002
- 2002-11-26 JP JP2002342661A patent/JP2004176608A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007255211A (ja) * | 2006-03-20 | 2007-10-04 | Toyota Motor Corp | 圧縮着火内燃機関の制御装置 |
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20061020 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061110 |