JP2004175918A - 水性インク組成物、インクジェット記録方法及び記録物 - Google Patents

水性インク組成物、インクジェット記録方法及び記録物 Download PDF

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Hiroyuki Kageyama
洋行 景山
Seita Suzuki
清太 鈴木
Hiroaki Nakaya
浩明 中彌
Ichiro Fujii
一郎 藤井
Tomoka Sakagami
友香 阪上
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Abstract

【課題】高品位で、優れた耐擦過性、耐水性、耐マーカー性、耐光性を有する高耐久性に優れた画像を得られる水性インク組成物、インクジェット記録方法及び記録物の提供。
【解決手段】水性インク組成物は、少なくとも着色剤、水溶性有機溶剤、ポリマー微粒子、水、界面活性剤を含み、ポリマー微粒子が、イオン性基及びアルコキシシリル基を含有するアクリルウレタン樹脂であり、界面活性剤が、ポリアルキレングリコール誘導体である。被記録媒体上でのインクのにじみをなくし、且つインクの裏抜けを改良でき、極めて画像濃度の高い画像が得られる。インクジェット記録に用いた時の記録ヘッドからの吐出安定性にも優れている。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマー微粒子を含む水性インク組成物、インクジェット記録方法及び記録物に関し、特に、インクのにじみ、カラーブリードや裏抜け等がない高品位で、優れた耐擦過性、耐水性、耐マーカー性、耐光性を有する高耐久性に優れた画像を得ることができるインクジェット記録法に好ましく用いられる水性インク組成物、それを用いたインクジェット記録方法及び記録物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェト記録法は、電子信号により記録液の小液滴を形成し、それらの一部若しくは全部を紙,加工紙,プラスチックフィルム,綿布等の被記録媒体に付着させて記録を行うものであり、その信頼性、比較的静かな動作、グラフィック能力、画像品質、及び低コストにより広範な市場で使用されている。
【0003】
このようなインクジェット記録法には、インク組成物の液滴の発生及び制御方法によって種々の方法が実用化されている。
【0004】
例えば、圧電素子を用いた圧電加圧方法、熱エネルギーを与えて膜沸騰による気泡を発生させ、その圧力で液滴を飛翔させる過熱加圧方式、静電吸引方式、マイクロドットインクジェット方式等がある。
【0005】
インクジェット記録法に使用するインクジェット記録用インクには、各種の着色剤を、水又は水と水溶性有機溶剤からなる液媒体に溶解又は分散させたものが使用されている。
【0006】
このインク組成物に用いる着色剤としては、従来、着色力や鮮明性に優れた染料が使用されてきたが、ノズルから吐出したインクジェット記録用インクが被記録媒体に付着した時、記録液がにじみ、このため形成される画像の低濃度化を引き起こし、画像品質が低くなる等の問題があった。
【0007】
また、水により容易に画像がにじんだり、画像が流れるという問題もあり、より一層の耐水性、普通紙上での耐マーカー性の向上が求められている。
さらに、耐光性が低く、容易に画像が褪色するという問題もあった。
【0008】
また、普通紙上に記録する場合、インクが裏抜けし、コピーした時、不必要な画像までもコピーされる。
さらに、昨今の省資源化から裏表印字の要望についても対応できない問題もあった。
【0009】
これらの問題を解決するために、特許文献1には、ノズルからのインクの噴射に先立って、被記録媒体上にそのインクの染料を不溶化定着させるための無色の液体を付着させるようにしたインクジェット記録を行う技術が開示され、特許文献2には、インクを記録紙に付与する前あるいは後に、無色の液体を付与してカラー画像を形成する方法であって、無色の液体とインクとが混合した際に、増粘を生じるか、若しくはインクの1成分が凝集あるいは析出を起こす画像の形成方法が開示されている。
【0010】
また、特許文献3には、多価金属塩溶液を被記録媒体に適用した後、少なくとも一つのカルボキシル基を有する染料を含むインク組成物を適用する方法が提案されている。
【0011】
一方、耐水性及び耐光性に優れるとして水性の顔料分散系を使用したインクとしては、特許文献4には、長い側鎖が親水性あるいは疎水性と親水性の両方の特質を有した水溶性オリゴマーを含有するインクが開示され、特許文献5には、顔料表面を樹脂で覆って強固な樹脂層を形成させたマイクロカプセル化顔料を含むインクが開示され、特許文献6には、カーボンブラック表面に低分子化合物をジアゾ結合により結合させて顔料表面に分散作用が働くように処理した顔料(自己分散型顔料)を用いたインクが開示されている。
【0012】
さらに、特許文献7には、記録紙上でのにじみを改良し、且つ高画像濃度で、しかも耐水性のある画像を得るためにアルコキシシリル基を有するアクリルシリコン系自己架橋性樹脂微粒子を含有するインク組成物が提案されている。
【0013】
【特許文献1】
特開平1−63185号公報
【特許文献2】
特開平6−228478号公報
【特許文献3】
特開平5−202328号公報
【特許文献4】
特開平6−264017号公報
【特許文献5】
特開平8−183920号公報
【特許文献6】
米国特許第5,571,311号公報明細書
【特許文献7】
特開平10−88045号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
前述した特許文献1及び特許文献2に開示された2液型インクセットによる着色剤の析出あるいは凝集により、耐水性及びにじみはある程度改善されるが、2液型インクセットにおいては、記録性向上液又は反応液とインク組成物の付着位置の関係、即ち、インク組成物を付着させる場所のみ選択的に記録性向上液又は反応液を付着させる方法では、付着位置に精度が要求されるため高速化に対応できない。
【0015】
また、特許文献3に開示された紙全体に記録性向上液又は反応液を付着させる方法では、付着位置の精度は要求されないが、紙全面に多量の記録性向上液又は反応液を付着させることになり、乾燥の際、紙がカールして問題となる。
さらに、これらの記録を行う装置は、ヘッド及びインク供給系の大型化を伴い、省スペース化には課題が大きい。
【0016】
また、特許文献4に開示された顔料に水溶性樹脂あるいは樹脂微粒子を組み合わせたり、特許文献5に開示された樹脂で微粒子顔料をマイクロカプセル化したり、特許文献6に開示された自己分散型顔料と称される顔料を用いた場合も、分散安定性確保及び染料の発色性に近づけるために水及び水溶性溶剤に親和性が良く、また、微粒子化されているため、記録紙繊維へ水及び水溶性有機溶剤が浸透するのに伴い顔料粒子も記録紙内部に浸透し、にじみ及び裏抜けには効果がなく、画像高濃度化に限界があった。
【0017】
さらに、顔料を定着させるためにある程度低いガラス転移温度を有する樹脂を用いる必要があることから、画像が粘着性を帯び、特に、高濃度画像の高温環境下で顕著であり、記録紙同士が密着するという記録画像の保存に問題があった。
【0018】
また、インクの安定性を確保するために、高濃度で水和安定化官能基を用い、水及び水溶性有機溶剤へ分散させているために、記録紙上に定着したとしても水和能は喪失していない。
このため、特に、高湿度環境では画像の流出等が生じる問題もあった。
【0019】
一方、アルコキシシリル基を含有するアクリルシリコン系樹脂微粒子による技術は、記録紙上にインクが付着した直後から、水が蒸発あるいは記録紙内部に浸透し、これに伴ってアクリルシリコン樹脂微粒子同士の融着が始まる。
これにより、粒子内部のアルコキシシリル基が粒子外部に現れ、残存する水の影響を受けて加水分解し、反応性となり、脱水縮合を開始する。
その縮合は、極めて速く進行し、着色剤を閉じ込めた強固なシロキサン架橋膜を画像として形成することである。
【0020】
しかし、本発明者の検討によれば、特許文献7に開示されているような、内部に架橋性官能基を有するアクリル樹脂微粒子を用いる場合、インクに含まれる水の浸透分離が律速であり、水の浸透分離性を考慮しないと効果がないと結論を得た。
【0021】
さらに、アクリルシリコン樹脂であるために弾性がなく、普通紙あるいはプラスチックフィルム等の被記録媒体への密着性及び形成された画像膜の柔軟性が悪く、被記録媒体を屈曲した時に、画像が剥離する等の画像の保存安定性に問題がある。
【0022】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果であり、被記録媒体上でのインクのにじみをなくすことが可能であり、且つインクの裏抜けを改良でき、極めて画像濃度の高い画像が得られ、インクジェット記録に用いた時の記録ヘッドからの吐出安定性にも優れ、しかも、被記録媒体への密着性、耐擦過性、耐水性、耐マーカー性、耐光性の極めて優れた水性インク組成物を提供することを第1番目の目的とする。
【0023】
また、本発明は、被記録媒体上でのインクのにじみをなくすことが可能であり、且つインクの裏抜けを改良でき、極めて画像濃度の高い画像が得られ、インクジェット記録に用いた時の記録ヘッドからの吐出安定性に優れ、しかも、被記録媒体への密着性、耐擦過性、耐水性、耐マーカー性、耐光性の極めて優れた水性インク組成物を用いて画像を形成することが可能なインクジェット記録方法を提供することを第2番目の目的とする。
【0024】
さらに、本発明は、被記録媒体上でのインクのにじみをなくすことが可能であり、且つインクの裏抜けを改良でき、極めて画像濃度の高い画像が得られ、インクジェット記録に用いた時の記録ヘッドからの吐出安定性に優れ、しかも、被記録媒体への密着性、耐擦過性、耐水性、耐マーカー性、耐光性の極めて優れた水性インク組成物を用いて画像を形成することのできるインクジェット記録方法により印刷された記録物を提供することを第3番目の目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成可能な、第1の本発明は、少なくとも着色剤、水溶性有機溶剤、ポリマー微粒子、水、界面活性剤を含む水性インク組成物であって、前記ポリマー微粒子が、イオン性基及びアルコキシシリル基を含有するアクリルウレタン樹脂であり、前記界面活性剤が、ポリアルキレングリコール誘導体であることを特徴とする水性インク組成物である。
【0026】
本発明の水性インク組成物は、上記ポリマー微粒子のアルコキシシリル基が、メトキシ基またはエトキシ基であり、前記ポリマー微粒子が、ウレタンアクリレート樹脂である。
【0027】
本発明の水性インク組成物は、上記ポリマー微粒子の平均粒子径が、0.01〜0.5μmである。
【0028】
本発明の水性インク組成物は、上記ポリマー微粒子が、分散されたエマルジョンの最低造膜温度が40℃以下である。
【0029】
本発明の水性インク組成物は、上記ポリマー微粒子が、溶液重合によって得られた樹脂溶液に水を添加することによりエマルジョン化した後、重合溶媒を除去することにより調製されるものである。
【0030】
本発明の水性インク組成物は、上記ポリマー微粒子が、水を連続相とする水性エマルジョンの形態でインク組成物中に添加されている。
【0031】
本発明の水性インク組成物は、上記ポリマー微粒子が、インク中に0.1〜50重量%含有されている。
【0032】
本発明の水性インク組成物は、上記界面活性剤が、エチレンオキシド又は/及びプロピレンオシドを第2級又は第3級ヒドロキシル基に付加重合させたポリアルキレングリコール誘導体である。
【0033】
本発明の水性インク組成物は、上記着色剤が、顔料を含有してなるものである。
【0034】
本発明の水性インク組成物は、上記顔料の含有量が、0.1〜50重量%である。
【0035】
本発明によれば、記録紙(被記録媒体)にインクが吐出付着した時、インク浸透性を良好にするポリアルキレングリコール誘導体を界面活性剤に用いることで、水及び水溶性有機溶剤は、記録紙繊維の毛細管に急速に浸透することになり、ポリマー微粒子と急速に分離すると共に、ポリマー微粒子同士の融着が発生する。
【0036】
ポリマー微粒子内部にあったアルコキシシリル基は、残存する水分と接触・加水分解し、シラノール基を形成する。
次いで、シラノール基と残存するアルコキシシリル基、又はシラノール基同士が急速に反応して、シロキサン結合による強固な架橋膜を形成する。
この架橋膜は、着色剤を含有する耐久性の高い画像膜となる。
したがって、インクのにじみは著しく抑制され、裏抜けも防止される。
且つ、高画像濃度の画像を形成することが可能になる。
【0037】
さらにまた、本発明の水性インク組成物は、ウレタン成分を有するアクリルポリマーのアルコキシシリル基による架橋反応により生成された画像が形成されるため、曇りのない高品位な画像であり、優れた弾性や密着性を有するため紙だけでなく、プラスチックフィルム,シート等の被記録媒体への密着性及び強靭で耐久性の優れた画像を得ることができ、画像の長期保存安定性にも問題がない。
【0038】
本発明のポリマー微粒子とポリアルキレングリコール誘導体系界面活性剤とを組み合わせて用いることで、本願のポリマー微粒子の分散安定性がさらに向上し、沈殿・凝集・粘度増加のない長期保存安定性の良好な水性インク組成物となる。
また、ヘッド・インク供給路へのインク濡れ性が良く、間欠吐出あるいは高速での印字で吐出不良を生じることのない良好な印字が得られる。
【0039】
第2の本発明は、インク組成物を吐出口から小液滴として吐出、飛翔させ、紙等の被記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、前記インク組成物として上記に記載の水性インク組成物を用いる方法である。
【0040】
本発明によれば、被記録媒体上でのインクのにじみをなくすことが可能であり、且つインクの裏抜けを改良することができ、極めて画像濃度の高い画像が得られ、インクジェット記録に用いた時の記録ヘッドからの吐出安定性に優れ、しかも、被記録媒体への密着性、耐擦過性、耐水性、耐マーカー性、耐光性の極めて優れた水性インク組成物を用いて画像が形成される。
【0041】
第3の本発明は、インク組成物を吐出口から小液滴として吐出、飛翔させ、紙等の被記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法により印刷された記録物において、上記に記載の水性インク組成物を用いた記録物である。
【0042】
本発明によれば、被記録媒体上でのインクのにじみをなくすことが可能であり、且つインクの裏抜けを改良でき、極めて画像濃度の高い画像が得られ、インクジェット記録に用いた時の記録ヘッドからの吐出安定性に優れ、しかも、被記録媒体への密着性、耐擦過性、耐水性、耐マーカー性、耐光性の極めて優れた水性インク組成物を用いて画像を形成することのできるインクジェット記録方法により印刷された記録物である。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る水性インク組成物は、少なくとも着色剤、水溶性有機溶剤、ポリマー微粒子、水、界面活性剤を含有する。
そのポリマー微粒子がイオン性基及びアルコキシシリル基を含有するアクリルウレタン樹脂であり、界面活性剤がポリアルキレングリコール誘導体である。
【0044】
以下に、各々の構成要件について順を追って説明する。
(1)アクリルウレタン樹脂微粒子
(2)界面活性剤
(3)着色剤
(4)水溶性有機溶剤
(5)記録方法、記録物
【0045】
(1)アクリルウレタン樹脂微粒子
アクリルウレタン樹脂微粒子は、イオン性基及びアルコキシシリル基を含有する水性エマルジョンであり、ウレタン構造部分(ウレタンゼグメント)と重合性不飽和モノマーを重合したアクリル構造部分(アクリルセグメント)からなる。
【0046】
本発明の水性インク組成物のアクリルウレタン樹脂微粒子は、乳化性を付与させるために、少なくともアクリルセグメントとウレタンセグメントのいずれか片方にイオン性基を導入したものであるが、アクリルセグメントとウレタンセグメントの両方にイオン性基が導入したものも使用できる。
【0047】
本発明の水性インク組成物のアクリルウレタン樹脂微粒子は、アクリル樹脂部分とウレタン樹脂部分のいずれか片方又は両方にアルコキシシリル基を導入したものである。
導入したアルコキシシリル基は、被記録媒体上での水の蒸発あるいは浸透時に縮合反応が起きるので、本発明におけるアクリルウレタン樹脂微粒子は、自己架橋性である。
【0048】
本発明の水性インク組成物のアクリルウレタン樹脂は、少なくともイオン性基を含有する重合性不飽和モノマー、ポリイソシアネート、活性水素基を含有する化合物、反応性官能基及びアルコキシシリル基を含有する化合物をウレタン化反応及びラジカル重合反応により得られた、イオン性基及びアルコキシシリル基を含有するアクリルウレタン樹脂の水系エマルジョンである。
【0049】
イオン性基を含有する重合性不飽和モノマー以外のその他の重合性不飽和モノマーを、イオン性基を含有する重合性不飽和モノマーと任意の組み合わせで、イオン性基を含有する重合性不飽和モノマーを少なくとも含有する重合性不飽和モノマー混合物として用いることができるが、その他の重合性不飽和モノマーを50〜95モル%含有する重合性不飽和モノマー混合物が好ましい。
【0050】
イオン性基を含有する重合性不飽和モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル類、フマル酸、フマル酸モノエステル類等のカルボン酸を含有する重合性不飽和モノマー類、スルホン化スチレン、スルホン化α―メチルスチレン等のスルホン酸を含有する重合性不飽和モノマー類等の酸を含有する重合性不飽和モノマー、アリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルビニルベンジルアミン等の一級,二級又は三級アミノ基を含有する重合性不飽和モノマー類等の塩基性の重合性不飽和モノマー等が挙げられる。
【0051】
イオン性基を導入する場合、ウレタンアクリル樹脂全体に対して0.05〜1.0mmol/g含有するのが好ましい。
さらには、0.1〜0.8mmol/gが好ましい。
0.05mmol/g以下では、ポリマー微粒子の安定性が不良になるため好ましくない。
1.0mmol/gを超えて使用すると、逆にポリマー微粒子の親水性が良すぎるために、画像形成前のインク中でアルコキシシリル基の反応が進行してしまい、インクを紙上に付着させた時、色材を閉じ込める硬化反応が生じず、にじみ効果がなくなる。
さらには形成画像の耐水性が低下する。
【0052】
その他の重合性不飽和モノマーとしては、アクリル酸アルキル、アクリル酸シクロアルキル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸グリシジル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸アルキル、メタクリル酸シクロアルキル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系化合物類、ビニルメチルエーテル等のビニルアルキルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ビニルフェイルエーテル、ビニルベンジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等のビニルエーテル系化合物類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の重合性不飽和二重結合含有芳香族化合物類、マレイン酸ジアルキル等のマレイン酸ジエステル類、フマル酸ジアルキル等のフマル酸ジエステル類、N,N−ジメチルアクリルアミド等のジアルキルアクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン等の複素環ビニル化合物類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン付加物、2−ヒドロキシエチルアクリレートのβ−メチル−γ−バレロラクトン付加物、グリセロールモノアクリレート、グリセロールジアクリレート等のアクリレート類、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのε−カプロラクトン付加物、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのβ−メチル−γ−バレロラクトン付加物、グリセロールモノメタクリレート、グリセロールジメタクリレート等のメタクリレート類、アリルアルコール、グリセロールモノアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテル等のアリル化合物、ポリ(オキシアルキレン)エーテルグリコールモノアクリレート、ポリ(オキシアルキレン)エーテルグリコールモノメタクリレート、ポリ(オキシアルキレン)エーテルグリコールモノアルキルエーテルアクリレート、ポリ(オキシアルキレン)エーテルグリコールモノアルキルエーテルメタクリレート、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレート等の重合性不飽和二重結合とエポキシ基を有する化合物にアルキレンオキサイドを付加させた化合物等が挙げられる。
【0053】
ポリイソシアネートとしては、メチレンジフェニルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート等の芳香族系イソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,4−ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートーメチル)シクロヘキサン等の脂環族系イソシアネート類、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネン・ジイソシアネート等の脂肪族系イソシアネート類等が挙げられる。
【0054】
これらのポリイソシアネートのアダクト変性体、ビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、ウレトイミン変性体、ウレトジオン変性体、カルボジイミド変性体等も使用できる。
これらのポリイソシアネートは、単独又は複数を併用することができる。
【0055】
活性水素基を含有する化合物としては、1,2−プロパンジチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール等のポリチオール、チオグリセロール、2−メルカプト−1−ヒドロキシエタン、2−メルカプト−1−ヒドロキシプロパン、3−メルカプト−1−ヒドロキシブタン、1−ヒドロキシー2,3−ジメルカプトブタン等のヒドロキシチオール、β−メルカプトエチルアミン、β−メルカプトプロピルアミン、2−アミノチオフェノール等のアミノチオール、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン付加物、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのε−カプロラクトン付加物等の活性水素基と重合性不飽和二重結合を含有する化合物、ポリ(オキシアルキレン)エーテルポリオール、ポリ(オキシアルキレン)エステルポリオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、N,N−ジメチルアミノエタノール、N−メチル−N−エチルアミノエタノール、N−メチル−ジエタノールアミン等の活性水素基と親水性極性基を含有する化合物、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリール等の長鎖ポリオール等が挙げられる。
【0056】
なお、これらの活性水素基を含有する化合物は、それぞれ単独、あるいは複数混合して用いても良い。
【0057】
また、活性水素基を含有する化合物であって、重合性不飽和二重結合を含有する化合物を用いると、アクリルセグメントとウレタンセグメントが結合したグラフト構造のアクリルウレタン樹脂の水性エマルジョンが得られる。
【0058】
反応性官能基及びアルコキシシリル基を含有する化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルエトキシジメチルシラン、ビニルブトキシジメチルシラン、イソプロペニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン、イソプロペニルトリブトキシシラン、イソプロペニルジメトキシメチルシラン、イソプロペニルメトキシジメチルシラン、イソプロペニルエトキシジメチルシラン、イソプロペニルブトキシジメチルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルデシルトリメトキシシラン、ビニルオクチルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルジメトキシメチルシラン、ビニルフェニルメトキシジメチルシラン、イソプロペニルフェニルトリメトキシシラン、イソプロペニルフェニルジメトキシメチルシラン、イソプロペニルフェニルメトキシジメチルシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)−アクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−[2−(アリルオキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルジメトキシメチルシラン、3−[2−(アリルオキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルメトキジメチルシラン、3−[2−(アリルオキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルトリメトキシシラン、3−[2−(イソプロペニルメトキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルジメトキシメチルシラン、3−[2−(イソプロペニルメトキシカルボニル)フェニルカルボニルオキシ]プロピルメトキシジメチルシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(ビニルフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−[2−(N−ビニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[2−(N−イソプロペニルフェニルメチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、2−(ビニルオキシ)エチルトリメトキシシラン、3−(ビニルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、4−(ビニルオキシ)ブチルトリエトキシシラン、2−(イソプロペニルオキシ)エチルトリメトキシシラン、3−(アリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、10−(アリルオキシカルボニル)デシルトリメトキシシラン、3−(イソプロペニルメチルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、10−(イソプロペニルメチルオキシカルボニル)デシルトリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシエトキシ]プロピルトリメトキシシラン、3−[(メタ)アクリロキシエトキシ]プロピルジメトキシメチルシラン等の重合性不飽和二重結合を含有する化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0059】
なお、これらの反応性官能基及びアルコキシシリル基を含有する化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0060】
このアルコキシシリル基は、アクリルウレタン樹脂の全モル数に対して0.1〜5%含有することが好ましい。
さらには、0.2〜3%が特に好ましい。
アルコキシシリル基をアクリルウレタン樹脂の全モル数に対して0.1%以下で使用すると、シリル基による架橋効果が得られず、にじみ及び裏写り抑制効果が得られない。
アルコキシシリル基をアクリルウレタン樹脂の全モル数に対して5%を超えて使用しても、架橋効果は変わらないか、又は過度の硬化収縮により画像のひび割れが発生することがある。
【0061】
アクリルウレタン樹脂微粒子のアルコキシシリル基は、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。
これ以上の炭素数の大きいアルコキシ基になると、自己架橋性の速度が低下し、にじみ等の効果がなくなる。
【0062】
本発明の水性インク組成物のアクリルウレタン樹脂微粒子は、一般に用いられるアルコキシシリル基の反応促進剤あるいは反応遅延剤を含んでも良い。
【0063】
本発明の水性インク組成物のアクリルウレタン樹脂微粒子は、水を連続相とする水性エマルジョンの形態でインク組成物中に添加され、個々の粒子が安定な分散状態であるのが好ましい。
【0064】
アクリルウレタン樹脂微粒子の平均粒子径は、製造し易さ、インクジェットノズルへの適応性、インクの長期安定性等の課題から、好ましくは、0.01μm〜0.5μmであり、より好ましくは、0.03μm〜0.3μmである。
アクリルウレタン樹脂微粒子の平均粒子径が0.01μmより小さすぎると、ポリマー微粒子内部の疎水性ドメインが小さくなり、シリル基の加水分解反応が進行し、安定性の低下及びにじみ効果が低下する。
【0065】
また、アクリルウレタン樹脂微粒子の平均粒子径が大きすぎると、記録装置のノズル・オリフィスでの目詰まり及び沈殿物が発生する傾向がある。
【0066】
なお、ポリマー微粒子の平均粒子径は、ヘテロダインレーザードップラー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製、UPAモデル9340)を用いて測定できる。
【0067】
この装置は、懸濁液中において、ブラウン運動を行っている粒子にレーザー光を照射すると、ドップラー効果により散乱光の周波数変調が生じる。
この周波数変調を解析することで、粒子の粒子径を求めるものである。
【0068】
本発明の水性インク組成物のアクリルウレタン樹脂微粒子は、分散されたエマルジョンの最低造膜温度が40℃以下であることが好ましい。
【0069】
アルコキシシリル基を含有する架橋性ポリマー微粒子が高い堅牢性の膜を形成するには、まず、インク中の水及び有機溶媒が紙内部に浸透し、ポリマー微粒子同士が融着膜を形成する必要がある。
しかし、これは室温で進行する必要がある。
したがって、ポリマー微粒子が分散されて成るエマルジョンの最低造膜温度は、40℃以下が望ましい。
【0070】
最低造膜温度が40℃以下であれば、本発明において用いられるエマルジョンは、室温で耐擦過性、耐水性、耐マーカー性、耐光性等に優れた強固な画像を形成することができる。
【0071】
本発明の水性インク組成物のアクリルウレタン樹脂微粒子は、溶液重合によって得られた樹脂溶液に水を添加することによりエマルジョン化した後、重合溶媒を除去することにより調製される。
【0072】
加水分解性アルコキシシリル基を含有した水性エマルジョンを調製するには、有機溶剤中で共重合させ、この重合体をアルカリや酸を用いて水に分散させる後乳化法が適している。
【0073】
溶液重合で用いる有機溶剤として、アルコール、芳香族炭化水素、ケトン等が使用されるが、これらの有機溶剤は、インクの安定性及び印字性能を低下させることがあるため、常圧下又は減圧下で有機溶剤を除去するのが望ましい。
【0074】
有機溶剤を除去することで、本発明に用いられるポリマー微粒子は安定になり、水性インク組成物は沈殿,凝集を生じることのない長期安定性を有し、さらに、にじみ及び裏抜けをなくすることができる。
【0075】
本発明の水性インク組成物のアクリルウレタン樹脂微粒子の重量数平均分子量は、2,000〜100,000が好ましく、さらには、3,000〜20,000が好ましい。
重量平均分子量が2,000未満の場合は、定着性が低下するなど画像強度が不十分となる。
重量平均分子量が100,000を超えると、樹脂微粒子の融着性が低下し、不均一な画像になる。
【0076】
本発明の水性インク組成物のアクリルウレタン樹脂微粒子は、インク中への含有量が0.1〜50重量%とする。
【0077】
インク組成物中での含有量は、インク中でポリマー微粒子が会合したり、あるいは乾燥固化による再溶解性不十分となることなく、インクジェット記録方法を用いたオリフィスから正常なインク吐出性が得られる量であり、架橋効果が期待される範囲で適宜決定される。
【0078】
通常、配合される量は、0.1〜50重量%の範囲であり、より好ましくは、0.5〜30重量%の範囲である。
上記ポリマー微粒子の配合量が0.1重量%に満たない場合は、樹脂粒子の融着と架橋反応による成膜効果が発現せず、被記録媒体への着色剤の浸透が進行し、にじみ抑制効果がない。
また、顔料の被記録媒体への定着性が不十分で耐擦過性が劣る。
他方、ポリマー微粒子の量が50重量%を超える配合は、樹脂としてそれ以上の添加効果が得られないだけでなく、インク粘度の著しい増加により、インクジェットノズルからの吐出が困難になる。
【0079】
(2)界面活性剤
本発明に用いることのできる界面活性剤としては、本発明に用いるアクリルエマルジョンの分散安定化を向上させ、インクの紙等の被記録媒体への浸透性を制御でき、さらに、インクのノズルからの吐出性を低下させない、ポリアルキレングリコール誘導体である。
好ましくは、エチレンオキシド又は/及びプロピレンオシドを第2級又は第3級ヒドロキシル基に付加重合させたポリアルキレングリコール誘導体である。
【0080】
このような、ポリアルキレングリコール誘導体の例としては、ソフタノール(登録商標)30、50、70、90、EP5035、EP7025、EP7045、EP7085、EP9050〔日本触媒(株)製〕、TERGITOL(登録商標)15−S−3、15−S−5、15−S−7、15−S−9〔ユニオンカーバイド社製〕、サーフィノール440、465、480〔エアープロダクツ製〕等が挙げられる。
使用に際しては、これらの化合物の一種又は二種以上を用いることができる。
特に、ソフタノール(登録商標)50、EP5035、EP9050、サーフィノール465を用いると、良好な吐出性能を示す。
【0081】
これらのエチレンオキシド又は/及びプロピレンオシドを第2級又は第3級ヒドロキシル基に付加重合させたポリアルキレングリコール誘導体系界面活性剤の添加量は、インク組成物の0.01〜5重量%程度が好ましく、より好ましくは、0.1〜2重量%程度である。
【0082】
上記範囲の添加量でエチレンオキシド又は/及びプロピレンオシドを第2級又は第3級ヒドロキシル基に付加重合させたポリアルキレングリコール誘導体系界面活性剤を用いることで、間欠吐出性及びにじみをより低減させ、インク安定性を満足できるものとすることができる。
【0083】
なお、一部のエチレンオキシド又は/及びプロピレンオシドを第2級又は第3級ヒドロキシル基に付加重合させたポリアルキレングリコール誘導体系界面活性剤、例えば、上記ソフタノール30等は、HLB(hydrophile−lipophile balance)が低いため、水に対する溶解度が低い。
この溶解度不足を補足するために、インク組成物にグリコールエーテル、グリコール類、その他の界面活性剤等を成分として添加することで改善することもできる。
【0084】
(3)着色剤
本発明のインク組成物中の着色剤としては、構成成分である水溶性有機溶剤及び水との親和性が良く、分散安定性が付与された着色剤であれば使用することができる。
【0085】
インクジェット記録方法に使用するインクには、各種の着色剤を、水又は水と水溶性有機溶剤からなる液媒体に溶解又は分散させたものが使用されている。
【0086】
このインク組成物に用いる着色剤として、従来、着色力や鮮明性に優れた染料が使用されてきたが、ノズルから吐出したインクが被記録媒体に付着した時、記録液がにじみ、このため形成される画像の低濃度化を引き起こし、画像品質が低くなる等の問題があった。
また、水により容易に画像がにじんだり、画像が流れるという問題もあった。
さらに、耐光性が低く、容易に画像が褪色するという問題もあった。
したがって、これらの問題を解決するためには顔料を使用するのが好ましい。
【0087】
本発明の水性インク組成物に用いることのできる着色剤としては、例えば、界面活性剤あるいは分散剤により分散安定化した分散顔料、顔料粒子表面に化学反応によって親水性の官能基を導入した自己分散型顔料、又はポリマー成分をグラフト処理した顔料、及び顔料の表面を樹脂で完全に被覆することで機能化したカプセル化顔料等の樹脂で複合化した顔料等が挙げられる。
さらに、それらは従来公知の無機顔料、有機顔料の全てを使用することができる。
【0088】
例えば、無機顔料としては、ファーネス法、チャンネル法等の従来の方法で製造されたカーボンブラックを使用することができる。
【0089】
また、有機顔料としては、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ、ニトロ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。
上記顔料のうち、特に、カーボンブラック顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料を用いることが望ましい。
【0090】
インク全量に対する顔料の添加量は、着色剤としての機能を発現させる量が望ましく、好ましくは、0.1〜50重量%、特に好ましくは、0.5〜30重量%である。
上記顔料の配合量が0.1重量%に満たない場合は、印字濃度が不十分であり、顔料の配合量が50重量%を超えると、着色剤としての効果が飽和するので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0091】
(4)水溶性有機溶剤
本発明の水性インク組成物の水溶性有機溶剤としては、本発明のアクリルウレタン樹脂微粒子及び顔料の分散安定性を低下させることがなく、インクの乾燥防止(湿潤)効果を有することにより、インクの液安定性を向上させ得るものが好適に使用される。
【0092】
水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等のグリコール類、グリセリン類、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールのエーテル類等が挙げられる。
【0093】
インク中の上記水溶性有機溶剤の含有量は、インク全量に対して重量%で5〜50重量%、好ましくは、7〜40重量%、より好ましくは、10〜35重量%である。
水溶性有機溶剤の含有量が5重量%未満であると、湿潤作用が不十分となり、目詰まり等の問題が生じる。
水溶性有機溶剤の含有量が50重量%を越えると、インクが必要以上に増粘し、吐出不能となったり、記録紙上での乾燥が極端に遅くなる等の問題を生じる。
【0094】
本発明の水性インク組成物には、係る成分の他に、従来公知の各種添加剤、例えば、上記水溶性有機溶剤以外の湿潤剤、消泡剤、粘度調整剤、防黴剤、及びEDTA(ethylenediaminetetraacetic acid;エチレンジアミン四酢酸)等のキレート剤、比抵抗調整剤、亜硫酸塩等の酸素吸収剤、pH調整剤等を含有しても良い。
【0095】
ここで、上記水溶性有機溶剤以外の湿潤剤としては、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ホルミアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄化合物類、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールのジアルキルエーテル類等の一種又は二種以上を使用することができる。
【0096】
これらの湿潤剤の配合量に特に制限はないが、本発明の水性インク組成物中に、好ましくは、0.1〜80重量%配合することができ、さらに好ましくは、0.1〜50重量%配合することができる。
【0097】
また、上記消泡剤としては、特に制限されないが、シリコーン系、あるいは鉱物油系等の化合物を用いることが、インク調整時における泡の発生の抑制及びインクの表面張力の調整の点から望ましい。
【0098】
これらの化合物は、市販品としても入手でき、例えば、信越シリコーン社製のKF96,66,69、KS68,604,607A,602,603、KM70,71,72,75,80,83,85,90等が挙げられる。
【0099】
上記化合物の配合量に特に制限はないが、本発明の水性インク組成物中に、0.001〜2重量%配合されることが好ましい。
該化合物の配合量が0.001重量%に満たない場合は、インク調整時に泡が発生し易く、また、インク内での小胞が除去しがたく、該化合物の配合量が2重量%を超えると、泡の発生は抑えられるものの、印字の際、インク内ではじきが発生し、印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
さらに好ましくは、該化合物の配合量は、本発明の水性インク組成物中に、0.005〜0.5重量%である。
【0100】
本発明の水性インク組成物は、20℃における表面張力が、被記録媒体への浸透性から、20〜50mN/mであることが好ましく、さらに好ましくは、25〜45mN/mである。
【0101】
粘度調整剤としては、カルボキシルメチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、アラビアゴム、スターチ等の水溶性の天然あるいは合成高分子が望ましく、これらの粘度調整剤を使用して、あるいは使用せずに、本発明の水性インク組成物の粘度を1.0mPa・s以上、好ましくは、2.0〜20mPa・sに調整する。
【0102】
また、その他の添加剤についても必要に応じて、適宜添加することができる。
【0103】
本発明の水性インク組成物は、上記の如き必須成分及び任意成分を混合し、分散及び/又は攪拌溶解することで得ることができる。
充分に攪拌された後、目詰まりの原因となる粗大粒子及び異物を除去するために、メンブランフィルター等にて濾過を行い、目的の水性インク組成物を得る。
【0104】
(5)記録方法、記録物
以上の本発明の水性インク組成物は、前述の如き従来技術の問題点が解決されており、紙や加工紙等の被記録媒体へのインクジェット記録方法に有用である。
これらの一般の被記録媒体は、従来公知のものはいずれも使用することができるが、本発明に係るインクジェット記録方法を使用することにより、インク受容層を有しない被記録媒体を積極的に使用することが可能になる。
【0105】
これらの被記録媒体は、紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。
紙としては、木材パルプ若しくは非木材パルプのパルプ原料からなるものが挙げられ、プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等が挙げられる。
【0106】
本発明の水性インク組成物を、紙、プラスチックフィルム、シート、綿布等の被記録媒体に付与するのに使用するインクジェット記録方法は、インク組成物を吐出口から小液滴として吐出、飛翔させ、射程体である紙、プラスチックフィルム、シート、綿布等に付与し得る方法であれば、いかなる方式でも良く、それらの方法の代表的なものは、例えば、インクジェット記録の高画質、高速化技術と関連材料の開発(技術情報協会1997年)等に記載されている。
【0107】
これらに記載の方法は、本発明の水性インク組成物の仕様に好適なものであり、圧電素子を用いた圧電加圧方法、熱エネルギーを与えて膜沸騰による気泡を発生させ、その圧力で液滴を飛翔させる過熱加圧方式、静電吸引方式、マイクロドットインクジェット方式等が挙げられる。
【0108】
以上の如き種々のインクジェット記録方法がいずれも使用でき、このような方式のいずれかを採用して、紙、プラスチックフィルム、シート、綿布等の表面に着色したインクによる文字、図形等の絵柄が形成されるが、本発明の水性インク組成物は、前述の如くインク組成物が水性有機溶剤及び水から構成されているため、特に、前述の如き圧力によりインクを吐出させるインクジェット記録方法における吐出安定性が極めて良好である。
【0109】
本発明による水性インク組成物を吐出口から小液滴として吐出、飛翔させ、紙等の被記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法により印刷された記録物は、アクリルウレタン樹脂中に含有されるアルコキシシリル基による架橋反応により生成された画像が形成されるため、高画質、高擦過性、高耐久性を兼ね備えた画像を有する記録物とすることができる。
【0110】
(実施例)
以下に実施例、比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0111】
<顔料分散物の作製>
顔料、水溶性溶剤、水、高分子量分散剤ソルスパース27000(アビシア社製)を所定量混合し、250ml卓上型バッチ式サンドミル(太平システム社製)にて、φ0.1mmジルコニアビーズを媒体に用い、平均粒子径0.1μmになるまで分散し、孔径1μmのメンブランフィルターにて粗粒及び異物を除去し、顔料分散物を作製した。
【0112】
また、市販の易分散性加工顔料を用いる場合は、顔料、水溶性有機溶剤、水の混合物をホモジナイザーを用いて分散し、同様に孔径1μmのメンブランフィルターにて粗粒及び異物を除去し、顔料分散物を得た。
【0113】
なお、自己分散型顔料及び顔料を内包する着色樹脂粒子を着色剤として用いる場合は、入手した水分散体をそのまま用いた。
【0114】
<インクの調製>
各実施例及び比較例に記載のインク組成物は、必須成分及び任意成分を混合、よく撹拌して溶解あるいは分散させた後、孔径0.8μmのメンブランフィルターにより粗大粒子及び異物を濾過して調製した。
【0115】
実施例1:
カーボンブラック分散体
Cabojet300(キャボット社製、固形分20重量%) 25.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド960(ダイセル化学工業社製、固形分45重量%、
平均粒子径0.06μm、MFT35℃、カルボキシル基による安定化、
アルコキシシリル基量1%) 4.5重量%
グリセリン 18.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0116】
実施例2:
カーボンブラック分散体
Cabojet300(キャボット社製) 25.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド960(ダイセル化学工業社製) 11.4重量%
グリセリン 12.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0117】
実施例3:
カーボンブラック分散体
Cabojet300(キャボット社製) 25.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド960(ダイセル化学工業社製) 15.6重量%
グリセリン 7.5重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0118】
実施例4:
カーボンブラック分散体
(三菱化学社製MA−100の分散体、顔料分20重量%) 25.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド960(ダイセル化学工業社製) 9.1重量%
グリセリン 13.5重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0119】
実施例5:
カーボンブラック分散体
(チバスペシャリティケミカル社製マイクロリスブラックC−WAの分散体、
固形分20重量%) 25.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド960(ダイセル化学工業社製) 10.2重量%
グリセリン 13.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0120】
実施例6:
カーボンブラック分散体
Cabojet300(キャボット社製) 25.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド950(ダイセル化学工業社製、固形分44重量%、
平均粒子径0.04μm、MFT0℃、カルボキシル基により安定化、
アルコキシシリル基量1%) 11.1重量%
グリセリン 10.8重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0121】
実施例7:
カーボンブラック分散体
Cabojet300(キャボット社製) 25.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド950(ダイセル化学工業社製) 4.5重量%
グリセリン 16.3重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0122】
実施例8:
カーボンブラック分散体
Cabojet300(キャボット社製) 25.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド950(ダイセル化学工業社製) 11.1重量%
グリセリン 10.8重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
サーフィノール465(エアープロダクツ社製) 1.2重量%
水 残量
【0123】
実施例9:
黄色顔料分散体
LIOJET WD YELLOW(東洋インキ製造社製、
固形分15重量%) 40.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド960(ダイセル化学工業社製) 13.6重量%
グリセリン 9.3重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0124】
実施例10:
マゼンタ顔料分散体
LIOJET WD MAGENTA(東洋インキ製造社製、
固形分15重量%) 25.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド960(ダイセル化学工業社製) 11.4重量%
グリセリン 12.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0125】
実施例11:
銅フタロシアニン顔料分散体
LIOJET WD CYAN(東洋インキ製造社製、
固形分15重量%) 20.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド960(ダイセル化学工業社製) 6.8重量%
グリセリン 18.0重量%
1,6−ヘキサンジオール 2.5重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0126】
実施例12:
カーボンブラック分散体
Cabojet300(キャボット社製) 10.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド960(ダイセル化学工業社製) 4.5重量%
グリセリン 18.0重量%
ジエチレングリコール 12.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0127】
実施例13:
カーボンブラック分散体
Cabojet300(キャボット社製) 10.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド960(ダイセル化学工業社製) 11.1重量%
グリセリン 12.0重量%
ジエチレングリコール 4.5重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0128】
比較例1:
カーボンブラック分散体
Cabojet300(キャボット社製) 25.0重量%
アクリル樹脂微粒子
ジョンクリル450(ジョンソンポリマー社製、固形分42重量%、
平均粒子径0.06μm、MFT5℃) 10.0重量%
グリセリン 15.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0129】
比較例2:
カーボンブラック分散体
Cabojet300(キャボット社製) 25.0重量%
ポリエステルディスパージョン
MD−1400(東洋紡社製、固形分15重量%) 33.3重量%
グリセリン 16.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0130】
比較例3:
カーボンブラック分散体
Cabojet300(キャボット社製) 25.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド950(日本ポリウレタン工業社製) 0.1重量%
グリセリン 16.0重量%
ジエチレングリコール 16.0重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤
ソフタノール EP9050 0.3重量%
水 残量
【0131】
比較例4:
カーボンブラック分散体
Cabojet300(キャボット社製) 25.0重量%
アクリルウレタン樹脂微粒子
アクアブリッド950(日本ポリウレタン工業社製) 10.0重量%
グリセリン 15.3重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4.0重量%
界面活性剤
スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩 0.6重量%
水 残量
【0132】
<性能評価>
以上各実施例1〜13及び比較例1〜4で調製したインク組成物について、以下の方法により性能評価試験を行った。
【0133】
(1)目詰まり性
インク組成物をAJ−2200(商品名、シャープ株式会社製)のヘッドに充填し、応答周波数12kHz、解像度600dpi及びインク吐出量13plの条件下で、25℃、60%RHの環境下にて10分間連続して英数文字を印字した後、プリントを停止し、キャップ等をしない状態で10分間放置した後、再び、英数文字を印字した場合の文字のカスレ、欠け等の不良箇所の有無により評価した。
○…1文字目から不良箇所なし、△…1文字目から1部がカスレ又は欠ける、×…1文字目が全く印字できない。
【0134】
(2)印字物の印字濃度
印字物の印字濃度をエックスライト濃度計(X−rite938)で測定した。
目標とする印字濃度は、ブラックで1.30以上とし、カラーで0.80以上とした。
【0135】
(3)にじみ発生率
にじみの発生率については、市販のコピー用紙SF−4AM3(シャープ社製)及びボンド紙にプリンターで300ドットを不連続になるように印字した後、1時間以上放置し、その後、顕微鏡でにじみが発生したドットの数を数え、全ドット数に対する割合を%で表示し、下記のように評価した。
但し、25℃、60%RHの環境下で評価した。
○…10%以下、△…11〜30%、×…31%以上とした。
【0136】
(4)裏抜け性
まず、市販のコピー用紙SF−4AM3に印字した画像を相互に向かい合わせ、印字裏面から印字面の光学濃度Aを測定する。
次いで、印字していない面と印字した面を向かい合わせ、印字したコピー用紙の裏面からの光学濃度Bを測定する。
下記式[1]に従って、裏抜け度を評価した。
【0137】
裏抜け度=光学濃度A−光学濃度B 式[1]
【0138】
目標とする裏抜け度は、市販のコピー用紙の表裏両面に印字しても反対面の画像が判別できない、及びその紙をコピーしても不要な画像がコピーされないレベルを目標とし、ブラック及びカラーで、0.030以下とした。
【0139】
(5)保存安定性
各インクをガラスのサンプル瓶に入れ、−20℃、20℃、60℃でそれぞれの条件下で、1ヶ月間保存し、保存後の表面張力、粘度、及び沈殿物析出の有無を調べた。
どの条件下で保存しても、物性等の変化が無いものを○とした。
【0140】
(6)耐水性
画像品質評価で作成した画像を20〜25℃、40〜60%RHの環境下で乾燥させた後、画像部分を2分割し、片方を20℃のイオン交換水中に30分間浸漬した。
【0141】
画像を水から引き出した後、画像の水を拭き取り、20〜25℃、40〜60%RHの環境下で乾かした。
【0142】
その後、光学濃度計X−Rite938(日本平版機材(株)製)を用いて、水に浸漬した水浸漬画像部分の光学反射濃度と水に浸漬しなかった非水浸漬画像部分の光学反射濃度を測定し、水に浸漬しなかった非水浸漬画像部分の光学濃度に対する水に浸漬した水浸漬画像部分の光学濃度を色材残存率(%)として評価した。
水浸漬画像部分と非水浸漬画像部分の判別ができないレベルとして、98%以上を目標とした。
【0143】
(7)耐光性
画像品質評価で作製した画像を20〜25℃、40〜60%RHの環境下で乾燥させた後、印字物の印字濃度及び色相をX−Rite938を用いて測定した。
【0144】
次いで、その画像を、キセノンランプ照射(420nmでの照射強度0.75W/m)することにより、耐光性試験を45℃、60%RHの環境下で500時間実施し、キセノンランプ照射された画像部分の色相と、照射前の画像部分の色相から、色差を評価した。
ブラックで色差5以下、カラーで色差10以下を目標とした。
【0145】
(8)耐擦過性
印字濃度測定に作成した画像に対して、平滑な面上で、2cm角の市販砂消しゴムに1kgの荷重をかけた器具を画像表面に当て、画像表面と画像が記録されていない面とを機械的に10往復擦った。
【0146】
擦る前と擦った後での画像の破壊程度と画像が記録されていない面への色材の付着汚れの程度を目視評価した。
画像の破壊がなく、画像が記録されていない面に色材の汚れが付着していないものを○とし、画像の破壊と画像が記録されていない面に色材の汚れがわずかに観察されるものを△とし、画像の破壊と画像が記録されていない面への色材の汚れが顕著に観察されるものを×とした。
【0147】
(9)耐マーカー性
印字物を市販の蛍光ペンで擦って耐マーカー性を評価した。
耐マーカー性は、印字物を5回擦っても、印字にカスレ、にじみの無いものを○とし、印字物を擦って5回以内に印字にカスレ、にじみが生じ、印字物を3回擦っても、印字にカスレ、にじみの無いものを△とし、印字物を1回擦ると、印字にカスレ、にじみの有るものを×とした。
【0148】
以上の評価結果は次の表1及び表2に示すとおりであった。
【0149】
【表1】
Figure 2004175918
【0150】
【表2】
Figure 2004175918
【0151】
表1及び表2に示した評価結果から明らかなように、各実施例1〜13で調製した本発明のイオン性基及びアルコキシシリル基を含有するアクリルウレタン樹脂微粒子とエチレンオキシド又は/及びプロピレンオシドを第2級又は第3級ヒドロキシル基に付加重合させたポリアルキレングリコール誘導体系界面活性剤を含有する水性インク組成物は、目詰まり性、印字濃度、にじみ率、裏抜け性、保存安定性、耐水性、耐光性、耐擦過性及び耐マーカー性のいずれの試験においても高い評価が得られた。
【0152】
これに対して、比較例1〜4のインクは、一部の特性において高い評価を得ているが、各実施例1〜13の水性インク組成物に比べて明らかに劣るものであった。
【0153】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の水性インク組成物によれば、被記録媒体上でのインクのにじみをなくすことが可能であり、且つインクの裏抜けを改良でき、極めて画像濃度の高い画像が得られ、インクジェット記録に用いた時の記録ヘッドからの吐出安定性にも優れ、しかも、被記録媒体への密着性、耐擦過性、耐水性、耐マーカー性、耐光性の極めて優れた水性インク組成物を提供することができる。
また、本発明の水性インク組成物をインクジェット記録液に用いた場合、印字物の光学濃度を低下させることなく乾燥性を維持し、一般にオフィス等で使用されているコピー用紙等の普通紙に対してもインクのにじみと裏抜けのない高品位で経済性に優れた、高速で被記録媒体の表面と裏面への印字が可能になる。
さらに、耐水性及び耐擦過性等の耐久性が電子写真並みに向上し、従来のインクジェット記録画像では保存できないという分野への用途の拡大が可能となる。
【0154】
本発明のインクジェット記録方法によれば、インク組成物を吐出口から小液滴として吐出、飛翔させ、被記録媒体に付着させて記録を行い、インク組成物として上記に記載の水性インク組成物を使用するので、被記録媒体上でのインクのにじみをなくすことが可能であり、且つインクの裏抜けを改良することができ、極めて画像濃度の高い画像が得られ、インクジェット記録に用いた時の記録ヘッドからの吐出安定性に優れ、しかも、被記録媒体への密着性、耐擦過性、耐水性、耐マーカー性、耐光性の極めて優れた水性インク組成物を用いて画像を形成することができる。
【0155】
本発明の記録物によれば、インク組成物を吐出口から小液滴として吐出、飛翔させ、被記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法により印刷され、上記に記載の水性インク組成物を使用するので、被記録媒体上でのインクのにじみをなくすことが可能であり、且つインクの裏抜けを改良でき、極めて画像濃度の高い画像を得ることができ、インクジェット記録に用いた時の記録ヘッドからの吐出安定性に優れ、しかも、被記録媒体への密着性、耐擦過性、耐水性、耐マーカー性、耐光性の極めて優れた水性インク組成物を用いて画像を形成することのできるインクジェット記録方法により印刷された記録物であるので、高画質、高擦過性、高耐久性を兼ね備えた画像を有する記録物とすることができる。

Claims (12)

  1. 少なくとも着色剤、水溶性有機溶剤、ポリマー微粒子、水、界面活性剤を含む水性インク組成物であって、
    前記ポリマー微粒子は、イオン性基及びアルコキシシリル基を含有するアクリルウレタン樹脂であり、前記界面活性剤は、ポリアルキレングリコール誘導体であることを特徴とする水性インク組成物。
  2. 上記ポリマー微粒子のアルコキシシリル基は、メトキシ基またはエトキシ基であり、前記ポリマー微粒子は、ウレタンアクリレート樹脂である請求項1に記載の水性インク組成物。
  3. 上記ポリマー微粒子の平均粒子径は、0.01〜0.5μmである請求項1または2に記載の水性インク組成物。
  4. 上記ポリマー微粒子は、分散されたエマルジョンの最低造膜温度が40℃以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の水性インク組成物。
  5. 上記ポリマー微粒子は、溶液重合によって得られた樹脂溶液に水を添加することによりエマルジョン化した後、重合溶媒を除去することにより調製されるものである請求項1乃至4のいずれかに記載の水性インク組成物。
  6. 上記ポリマー微粒子は、水を連続相とする水性エマルジョンの形態でインク組成物中に添加されている請求項1乃至5のいずれかに記載の水性インク組成物。
  7. 上記ポリマー微粒子は、インク中に0.1〜50重量%含有されている請求項1乃至6のいずれかに記載の水性インク組成物。
  8. 上記界面活性剤は、エチレンオキシド又は/及びプロピレンオシドを第2級又は第3級ヒドロキシル基に付加重合させたポリアルキレングリコール誘導体である請求項1に記載の水性インク組成物。
  9. 上記着色剤は、顔料を含有してなるものである請求項1に記載の水性インク組成物。
  10. 上記顔料の含有量は、0.1〜50重量%である請求項9に記載の水性インク組成物。
  11. インク組成物を吐出口から小液滴として吐出、飛翔させ、被記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、
    前記インク組成物として上記請求項1及至10のいずれかに記載の水性インク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
  12. インク組成物を吐出口から小液滴として吐出、飛翔させ、被記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法により印刷された記録物において、
    上記請求項1及至10のいずれかに記載の水性インク組成物を使用することを特徴とする記録物。
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