JP3915369B2 - インクジェット記録方法およびインクジェット記録インク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを吐出させて画像の記録を行うインクジェット記録方法、および当該インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録インクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ノズル、スリットあるいは多孔質フィルム等から液体あるいは溶融固体インクを吐出し、紙、布、フィルム等に記録を行う、所謂インクジェット記録方式のプリンターは、小型で安価、静寂性等種々の利点があり、特に、3色または4色を一度に印字し、フルカラー画像を容易に印刷することができ、現在広く普及している。
【0003】
しかし、一般に液体を主成分とするインクは、普通紙等の被記録体上では、解像力/エッジ尖鋭性が低下し、印字品質が劣化してしまう。印字品質向上のため、一般に低浸透性インクを使用し用紙上のにじみを抑制しているが、インクの乾燥時間が非常に遅く高速印字適性を示さなくなる。
【0004】
一方、乾燥時間を短くするには一般に高浸透性のインクとなる。例えば、特開平5−125309号公報では、インク表面張力を低くする方法が開示されている。また、特開平5−194891号公報では、アルコールをインク中に添加する方法が開示されている。また、特開平6−256696号公報では、界面活性剤をインク中に添加する方法が開示されている。これらの方法は浸透性を良くし乾燥時間短縮には有効であるが、印字品質ついては、十分な満足が得られるものではない。
以上のように、高速印字適性を有する短い乾燥時間と、レーザープリンタ並みの高印字品質と、の両立は満足できるレベルには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、インクジェット印刷において、以下の3点を満足し得るインクジェット記録方法およびインクジェット記録インクを提供することを目的とする。
▲1▼ 普通紙上に画像を鮮明に再現し、優れた印字品質を得ること。
▲2▼ 高速印字適性を有する乾燥時間の短縮を普通紙上で実現すること。
▲3▼ 保存時および使用時の高い信頼性を実現すること。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討の結果、以下の本発明により上記目的を達成し得ることを見出した。すなわち本発明のインクジェット記録方法は、少なくとも自己分散可能な顔料、水、水溶性有機溶媒、水溶性高分子および界面活性剤を含有し、かつ、下記(a)〜(f)の条件を満たすインクジェット記録インクを、ドロップ量が5〜25plとなるように記録媒体に印字することを特徴とする。
(a)前記顔料の分散粒子の数平均粒子径が、10〜60nmの範囲
(b)表面張力が、30〜50mN/mの範囲
(c)粘度が、1.5〜5.0mPa・sの範囲
(d)導電率が、0.001〜0.4S/mの範囲
(e)pHが、6〜11の範囲
(f)水溶性高分子が界面活性作用を有し、その重量平均分子量が1000〜200000の範囲
(g)界面活性剤の分子量150〜1000の範囲
(h)インク中における水溶性高分子と界面活性剤との含有量比が、20:1〜2:1の範囲
【0007】
また、本発明のインクジェット記録インクは、上記本発明のインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録インクであって、少なくとも自己分散可能な顔料、水、水溶性有機溶媒、水溶性高分子および界面活性剤を含有し、かつ、上記(a)〜(f)の条件を満たすことを特徴とする。
【0008】
上記本発明のインクジェット記録方法およびインクジェット記録インクにより、優れた印字品質、短い乾燥時間、および高い信頼性の全てを満足させることができた。
印字品質は、記録媒体(例えば、用紙)の水平方向の浸透が高くなると悪化し、逆に低くなると向上する。また、記録媒体表面における乾燥時間は、実際にはインク中の液体が乾燥する時間ではなく、記録媒体に浸透する時間の効果である。よって、所謂乾燥時間を短くするには、浸透性を高くする必要がある。
【0009】
印字品質の観点からは、記録媒体表面で水平方向の浸透性を抑制する必要がある。一方、乾燥時間の観点からは、記録媒体垂直方向の浸透性を高くする必要がある。
従来インクに用いられている界面活性剤等の浸透剤では、水平垂直両方向に浸透が高くなるため、高い印字品質を得ながら乾燥時間を短くすることはできなかった。
本発明によれば、記録媒体水平方向の浸透を抑制することが可能になり、高い印字品質と短い乾燥時間と、の両立が可能となった。
【0010】
本発明の具体的な構成としては、以下の通りである。
着色剤としては、高画質を得るためにエッジ先鋭性が良好な粒子である顔料を採用している。乾燥時間短縮のために浸透剤を添加するが、一般に浸透剤は界面活性作用や疎水作用を有している。通常の分散剤により分散した顔料では、浸透剤が顔料表面に吸着/分散剤との置換が発生し分散安定性の確保が難しい。このため、本発明においては、特に、顔料表面に直接親水官能基が化学的に結合した自己分散顔料を採用している。
【0011】
一方、乾燥時間を短縮するために添加する浸透剤として一般的なカルビトール等や低分子の界面活性剤の単独添加では、記録媒体の水平垂直両方向に浸透し、水平方向の浸透を抑制することができず、印字品質の劣化を誘発する場合がある。そのため本発明においては、界面活性剤と共に水溶性高分子を添加することにより、上記相反する機能を両立させている。かかる構成により、上記相反する機能を両立させ得るメカニズムについては、明確ではないが、以下の作用によるものと解釈される。
【0012】
画像先鋭性の高い顔料と、前記水溶性高分子と、を含有した低表面張力のインクが、記録媒体水平方向の浸透を抑制する効果により、高い印字品質と短い乾燥時間が両立できるものと推測される。すなわち、前記インクが記録媒体表面に着弾すると同時に、該インク中に含有される前記水溶性高分子は、その界面活性作用により、前記着弾したインクの気液界面にリッチに存在することとなる。さらに、前記水溶性高分子は、水分の浸透により急速な増粘が気液界面で発生すると考えられる。この増粘により水平方向(気液界面)のインク移動が抑制されて高画質を維持したまま、乾燥時間が短縮されるものと推測される。
【0013】
これら効果は、インクのドロップ量が5〜25plの範囲内でしか作用しないことが実験から判明している。すなわち、5〜25plの小ドロップのインクであると、該インクが記録媒体に着弾した時における前記水溶性高分子の増粘作用により、飛躍的に画質が向上する。しかし、インクのドロップ量が25plを超えると画質が劣化してしまう。これは、インクのドロップ量が大きくなりすぎると、インクドロップの自重が、前記水溶性高分子の粘度上昇による障壁を押し破ってしまうためである解釈することができる。
【0014】
一般に前記水溶性高分子の添加量を上げると、インクの分散安定性、耐目詰まり性(ノズル先端での水分蒸発時の顔料溶解性)、あるいは、放置回復性(長期保管安定性)が悪化する。これは、顔料を水溶性高分子が取り囲む状態となり、さらに前記水溶性高分子同士が相互結合するためであると考えられる。この状態に低分子である界面活性剤を(好ましくは微量)添加することで、画質劣化を起こさず、飛躍的に信頼性が向上することが明らかになった。つまり低分子界面活性剤を添加することで、顔料を取り囲む水溶性高分子間に低分子界面活性剤が入り込み、顔料自身の持つ親水基が充分機能し信頼性が保たれるものと考えられる。
以上の作用から、本発明によれば、高い印字品質、乾燥時間短縮、および、高い信頼性が達成できるものである。
【0015】
本発明において、上記本発明のインクジェット記録方法におけるインクジェット記録インク(本発明のインクジェット記録インクを含む。以下、「本発明のインク」あるいは単に「インク」と省略する場合がある。)前記水溶性高分子の重量平均分子量としては1000〜20000の範囲であることが必要であり、HLBとしては5〜16の範囲とすることが望ましい。前記水溶性高分子としては、それをインク中に単独で添加することにより、インク表面張力を35〜50mN/mの範囲内し得る界面活性作用を有するものであることが望ましい。また、前記水溶性高分子としては、ノニオン性であること、あるいは、−COO-M+基(Mは、アルカリ金属、アンモニウム、有機オニウム化合物)を含むアニオン性であることが望ましい。
【0016】
本発明において、前記界面活性剤の分子量としては150〜1000の範囲であることが必要であり、HLBとしては5〜14の範囲とすることが望ましく、また、ノニオン性界面活性剤であることが望ましい。
前記インク中における前記水溶性高分子と前記界面活性剤との含有比としては、20:1〜2:1の範囲内であることが必要であり、その含有量としては、インク全量に対し0.01〜4重量%の範囲であることが好ましい。
【0017】
前記インク中の自己分散可能な顔料としては、カーボンブラックであることが望ましい。
前記インク中には、さらに低分子アルコールまたは尿素を含有することが望ましい。
【0018】
本発明のインクジェット記録方法においては、前記インクジェット記録インクによる印字に先立ち、あるいは印字と同時に、1種または複数種の液体組成物を記録媒体に付着させることが望ましい。このとき、当該液体組成物には、界面活性剤を含有させておくことが望ましく、当該液体組成物の表面張力としては、20〜40mN/mであることが望ましい。また、当該液体組成物には、着色剤を含有させておくことが望ましく、かかる着色剤としては、染料であることが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
<インクジェット記録インク>
本発明のインクについて、その構成成分と、物性と、さらにその調製とに分けて説明する。
【0020】
〔インクの構成成分〕
本発明のインクは、少なくとも自己分散可能な顔料、水、水溶性有機溶媒、水溶性高分子および界面活性剤を含有し、さらに、低分子アルコールまたは尿素の少なくとも一種を含有することが望ましい。また、必要に応じてpH調整剤、ハイドロトロピー剤、キレート化剤、包接化合物、酸化剤、酸化防止剤、還元剤、酵素、殺菌剤、消泡剤、研磨剤等、その他添加剤を添加することができる。
【0021】
(自己分散可能な顔料)
本発明のインクにおいて、使用される顔料は、所謂高分子分散剤を含まずに自身で溶媒中に分散可能な顔料が用いられる。一般に、自己分散可能な顔料は、表面に親水性官能基を有するものである。
本発明において、顔料が「自己分散可能」であるか否かは、以下の自己分散性試験により確認される。
【0022】
・自己分散性試験
水中に測定対象となる顔料を添加し、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、マイクロフルイダイザー、ボールミル等を用いて分散剤無しで分散させ、初期の顔料濃度が約5%になるように水で希釈して分散体を調製する。初期の顔料濃度と、前記分散体100gを径40mmのガラスビンに入れて1日静置後、その上層部の顔料濃度を測定する。そして、初期の顔料濃度に対する1日静置後の顔料濃度の割合(以下、「自己分散性指標」と称する。)が98%以上である場合、「自己分散性」であると評価した。
【0023】
このとき、顔料濃度の測定方法は、特に限定されず、サンプルを乾燥させて固形分を測定する方法や、適当な濃度に希釈して透過率から求める方法等いずれでもよく、他に顔料濃度を正確に求める方法があれば、もちろんその方法によってもよい。
【0024】
自己分散性顔料が有する親水性官能基としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性のいずれの親水性官能基であってもよく、特に、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、りん酸基の単独もしくは2種以上の組み合わせが好ましく、この中でもカルボキシル基の単独、もしくはカルボキシル基を含む2種以上の組み合わせがさらに好ましい。カルボキシル基、スルホン酸基、あるいはりん酸基を有する場合、そのまま遊離酸の状態でも使用できるが、一部または全てが塩を形成している場合が分散性の点で有利であり、好ましい。塩を形成する物質としては、各種の塩基性物質が使用できるが、アルカリ金属、アンモニア、有機オニウム化合物の単独または2種以上の組み合わせが好ましい。
【0025】
顔料表面の親水性官能基の数としては、親水性官能基の種類や、塩を形成している場合はその塩を形成する物質の種類によって異なり一概には言えないが、例えば親水性官能基が−COONaである場合は、0.8〜4mmol/gが好ましい。
【0026】
親水性官能基を導入する顔料としては、無機および有機顔料のいずれも使用できる。黒色顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料が好ましく、例えばRaven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000ULTRAII、Raven3500、Raven2500ULTRA、Raven2000、Raven1500、Raven1250、Raven1200、Raven1190ULTRAII、Raven1170、Raven1255、Raven1080ULTRA、Raven1060ULTRA、Raven790ULTRA、Raven780ULTRA、Raven760ULTRA(以上コロンビア社製)、Regal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Black Pearls L、Black Pearls 1300、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex35、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等を使用することが出来るが、これらに限定されるものではない。また、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を黒色顔料として用いても良い。
【0027】
シアン顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigmet Blue−3、C.I.Pigmet Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:1、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:34、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
マゼンタ顔料としては、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48、C.I.Pigment Red 48:1、C.I.Pigment Red 57、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 202等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
イエロー顔料としては、C.I.Pigment Yellow−1、C.I.Pigment Yellow−2、C.I.Pigment Yellow−3、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.PigmentYellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−73、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−75、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.Pigment Yellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
また、本発明のために、新たに合成した顔料でも良いし、2種類以上の顔料を混合して使用してもよい。
黒色と、シアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。顔料として特に好ましいものはカーボンブラックである。
【0031】
これらの顔料に対し、顔料の表面に親水性官能基を導入する方法は公知の方法や新たに発明されたいずれの方法も使用できる。例えば、酸化剤(例えば硝酸、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、次亜塩素酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、オゾン等)による酸化処理、シラン化合物等のカップリング剤による処理、ポリマーグラフト化処理、プラズマ処理等公知の方法の他、新たに開発した方法も使用でき、またこれらの方法を組み合わせてもよい。
【0032】
得られた親水性官能基が導入された顔料は、残余の酸化剤等の不純物、その他の無機不純物や有機不純物を除去し、精製することが望ましい。特に、インク中のカルシウム、鉄、珪素をそれぞれ10ppm以下、好ましくは5ppm以下にすることが望ましい。なお、本発明において、これらの無機不純物含有量は高周波誘導結合プラズマ発光分析法により測定した。これら不純物の除去は、例えば、水洗浄や、逆浸透膜、限外ろ過膜、イオン交換法等の方法、活性炭、ゼオライト等による吸着の方法を、単独または組み合わせて行うことが出来る。
【0033】
これら親水性官能基が導入された自己分散可能な顔料は、本発明の為新たに作製されたものの他、市販の自己分散可能な親水処理顔料も使用することができる。市販の自己分散可能な親水処理顔料としては、例えば、MICROJET BLACK CW−1(オリエント化学工業(株)製)、CAB−O−JET200(キャボット社製)、CAB−O−JET300(キャボット社製)等が挙げられる。これら市販の自己分散可能な親水処理顔料は、いずれも自己分散性指標が100%である。
前記顔料分散体は、予め分散処理、遠心分離、濾過等の方法により粗粒数を減らしておくことが好ましい。
【0034】
前記自己分散可能な顔料は、インク全重量に対し一般に0.5〜20wt%、好ましくは2〜10wt%の範囲で使用される。顔料の含有量が多くなるとノズル先端で目詰まりし易く、また画像の耐擦過性も悪化するため好ましくない。一方、0.5wt%以下では有効な光学濃度を得ることが困難となる。
【0035】
インク中における前記顔料の分散粒子の数平均粒子径は、10〜60nmの範囲とすることが必須であり、好ましくは15〜50nm、さらに好ましくは20〜50nmの範囲に調整される。数平均粒子径が10nm未満ではインクの粘度が高くなりやすく、目詰まりが発生しやすくなる。一方、60nmを超えると、インクの信頼性が低下しやすい。
【0036】
また、インク中における前記顔料の分散粒子の体積平均粒子径mvと数平均粒子径mnとの比で表わされる粒度分布mv/mnは、3以下であることが好ましく、より好ましくは2.2以下である。粒度分布が広くなると、浸透速度が遅くなったり、耐擦過性が低下しやすい。特に、自己分散可能な顔料として、親水化処理したカーボンブラックを用いた場合には、画像の耐擦過性の点で、2.2以下とすることが望ましい。なお、粒度分布mv/mnは、単分散においては1となり、理想的にはこれに近づくことが望まれるが、現実には粒度分布mv/mn=1の単分散状態とすることは困難であり、1.1以上の値となる。
【0037】
本発明において、インク中における前記顔料の分散粒子の粒子径は、マイクロトラックUPA粒度分析計9340(Leeds & Northrup社製)を用い、測定対象となる顔料が分散されたインク(以下、「被測定インク」という。)を希釈しないで測定した。なお、測定時に入力するパラメータとして、粘度には被測定インクの粘度を、分散粒子の密度には顔料の密度を、それぞれ入力した。後者の密度は、例えばカーボンブラックを親水化した顔料の場合は、1.8g/cm2とした。
【0038】
また、好ましくは、インク1リットル当たりに含まれる前記顔料の分散粒子のうち、粒子径0.5μm以上の個数は、7.5×1010個以下である。0.5μm以上の分散粒子の個数は、Accusizer TM770 OpticalParticle Sizer(ParticleSizing Systems社製)を測定装置として用いることが好ましい。この装置は、測定部を通過する粒子を光学的手法により検出するものである。測定は、被測定インクの2μlを測定セル中に入れ、上記測定装置の所定の測定法に従って行い、1リットル中の値に換算した値を用いている。
【0039】
(水)
本発明のインクにおいて用いる水としては、特に限定されないが、不純物が混入することを防止するため、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することが好ましい。
【0040】
(水溶性有機溶媒)
本発明のインクに使用される水溶性有機溶媒としては、インクの固化防止や粘度調整をし得るものとして、多価アルコール類およびそのアルキルエーテル類等の誘導体類が使用できる。例えば、グリセリン、ジエチレングリコール、(2(2ブトキシエトキシ)エタノール)、ジエチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ペンタンジオール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン等である。これらを単独で、あるいは2種以上混合して用いてもよい。
【0041】
また、その他成分として、ヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン、ケトアルコール類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の高沸点含窒素溶媒、ジメチルスルフォキシド、ジエチルスルフォキシド、スルフォラン、チオジエタノール等の含硫黄溶媒、グルコース、マルトース、アミロース(デキストリン)、セルロース、アルギン酸ナトリウム等の糖類およびその誘導体、アラビアゴム等が使用できるが、これらに限られるものではない。
【0042】
これら水溶性有機溶媒のうちエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、チオジエタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールから選択される溶媒は水溶性高分子との相溶性が高く最も好ましい。
【0043】
これらの水溶性有機溶媒は、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。水溶性有機溶媒の含有量は、全インク重量に対し、1〜50重量%とすることが好ましい。1重量%未満では、保湿作用が得られない場合がある。一方、50重量%を超えると、インク粘度の上昇により噴射不良を誘発してしまう場合がある。
【0044】
(水溶性高分子)
本発明のインクに使用される水溶性高分子は、天然、半合成、合成の水溶性高分子何れであってもよい。また、水性ポリマーコロイド(ポリマーエマルション)の形態であってもよい。
上記天然の水溶性高分子としては、かんしょデンプン、ばれいしょデンプン、タピオカデンプン、小麦デンプン、コーンスターチ等のデンプン質や、こんにゃく等のマンナンや、ふのり、ガラクタン、アルギン酸ナトリウム等の海藻類や、トロロアオイ、トラガントゴム、アラビアゴム、デキストラン、レバン等の粘物質や、にかわ、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン等のタンパク質などが挙げられる。
【0045】
前記半合成の水溶性高分子としては、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース類や、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、ヒドロキシメチルデンプン、酢酸デンプン、デキストリン、シクロデキストリン等のデンプン類等が挙げられる。
【0046】
前記合成の水溶性高分子における共重合体としては、
▲1▼ 疎水部と、SO3H基を有する親水部と、からなる親水性モノマー成分の単独重合体またはその塩
▲2▼ 疎水性モノマー成分と、SO3H基を有する親水性モノマー成分と、の共重合体またはその塩
▲3▼ 疎水性モノマー成分の単独重合体、または、2種以上の疎水性モノマー成分の共重合体を、スルフォン化による親水化処理をして得られた重合体またはその塩
▲4▼ 疎水部と、H3PO4基を有する親水部と、からなる親水性モノマー成分の単独重合体またはその塩
▲5▼ 疎水性モノマー成分と、H3PO4基を有する親水性モノマー成分と、の共重合体またはその塩
▲6▼ 疎水部と、COOH基を有する親水部と、からなる親水性モノマー成分の単独重合体またはその塩
▲7▼ 疎水性モノマー成分と、COOH基を有する親水性モノマー成分と、の共重合体またはその塩
等が挙げられる。また、その他成分を必要に応じて共重合することもできる。さらに、これらを併用することもできる。
【0047】
共重合体はランダム、グラフト、ブロック等何れの構造であってもよい。これらの塩はアルカリ金属、アンモニア、有機オニウム化合物の単独または2種以上の組合せが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0048】
SO3H基を有する親水性モノマー成分としては、スチレンスルフォン酸、スチレンスルフォン酸誘導体、ベンゼンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸誘導体、ナフタレンスルフォン酸、ナフタレンスルフォン酸誘導体、トルエンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸誘導体、ビニルスルフォン酸、ビニルスルフォン酸誘導体等が挙げられる。
【0049】
H3PO4基を有する親水性モノマー成分としては、高級アルキルリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩等が挙げられる。
COOH基を有する親水性モノマー成分としては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸およびその脂肪族アルコールエステル、アクリル酸、アクリル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体等が挙げられる。
疎水性モノマー成分としては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルトルエン、ビニルトルエン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、ブタジエン、ブタジエン誘導体、イソプレン、イソプレン誘導体、エチレン、エチレン誘導体、プロピレン、プロピレン誘導体、アクリル酸のアルキルエステル、メタクリル酸のアルキルエステル等が挙げられる。
【0050】
前記共重合し得るその他成分としては、アクリルアミド、アクリルアミド誘導体、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、エトキシトリエチレンメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アルキルエーテルやメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等のポリオキシエチレンを含む成分、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール等の水酸基を含む成分等が挙げられる。
上記以外に、不飽和カルボン酸と、アルコール類やグリコール類と、の縮合重合体(ポリエステル系縮合重合体)を疎水成分として、親水性モノマー成分を付加重合し水溶性高分子とすることもできる。
【0051】
これら水溶性高分子の疎水ユニットと親水ユニットのモノマー比は、30:70〜60:40が望ましい。30:70より疎水ユニットが低下すると親水性が強くなり光学濃度が高く保てなくなる場合がある。一方、60:40より疎水ユニットが高くなると水に溶解することが困難となる場合がある。
【0052】
さらに、前記合成の水溶性高分子としては、グリセリン、ジグリセリン等にエチレンオキサイドを付加した合成物であってもよい。また、単一組成合成高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0053】
前記合成の水溶性高分子として、所謂高分子界面活性剤を転用してもよい。該高分子界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリシロキサンポリオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
前記ポリマーコロイドとしては、例えば、アクリル系樹脂エマルション、酢酸ビニル系樹脂エマルション、ウレタン系樹脂エマルション、アクリル−スチレン系樹脂エマルション、ブタジエン系樹脂エマルション、スチレン系樹脂エマルション、ポリエステル系樹脂エマルション、シリコーン系樹脂エマルション、フッ素系樹脂エマルション、アクリルシリコーン系樹脂エマルション等が挙げられる。
これらの水溶性高分子は、単独で使用しても、2種以上混合してもよい。
【0055】
また、本発明における水溶性高分子の分子量は、重量平均で1000〜20000の範囲であることが必要であり、好ましくは、2000〜15000の範囲である。重量平均分子量が1000未満では、高い印字品質を得ることができない。一方、重量平均分子量が20,000を超えると、ノズル表面での増粘による目詰まりや噴射不良が発生してしまう。重量平均分子量の測定方法は、光散乱法、X線小角散乱法、沈降平衡法、拡散法、超遠心法や各種クロマトグラフィー、あるいは、例えばGPC法で測定したポリエチレングリコール換算の値等を用いることができる。
【0056】
本発明における水溶性高分子の含有量は、インク全量に対し0.01〜4重量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.03〜3重量%の範囲である。0.01重量%未満では、水溶性高分子の添加効果が得られない。また、4重量%を超えると分散安定や目詰まり等の信頼性が悪化してしまう。
【0057】
本発明において、前記水溶性高分子と前記界面活性剤の含有比としては、20:1〜2:1の範囲内であることが必要であり、20:1〜5:1の範囲内とすることが好ましい。20:1を超えて水溶性高分子の比率が高くなると、インクの信頼性が悪化してしまう。一方、2:1より界面活性剤の比率が高くなると、画質劣化を引き起こす。さらに、本発明において、前記自己分散可能な顔料と前記水溶性高分子の比率としては、1:1〜10:0.1の範囲内とすることが好ましく、2:1〜10:0.3の範囲内とすることがより好ましい。水溶性高分子の比率が高くなると、インクの信頼性が悪化してしまう場合がある。
【0058】
前記水溶性高分子のHLBとしては、5〜16の範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜14の範囲である。HLBが5より低いと水に溶解出来なくなる場合がある。一方、HLBが16を超えると親水性が高くなりすぎ、光学濃度を高く保てない場合がある。
【0059】
なお、HLBの測定、算出は、種々の方法が提案されており、方法によって得られる値に若干の差異が生じる。従って、本発明においては、1957年にDaviesにより提案された方法を基に算出した値を用いた(新・界面活性剤入門、藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行、第133頁、第2部第6章)。特に、重合体高分子の場合のHLB算出法は、親水部と疎水部に分割し、各部のHLBを下記(式1)により算出する。次に下記(式2)を用いてそれぞれのHLBの値に加重平均することにより得られた値を重合体高分子のHLBと定義した。
【0060】
【数1】
【0061】
上記式中、HLBxは各親水部または各疎水部のみのHLBを、Wxは各親水部または各疎水部それぞれの重量を示す。なお、親水基の基数は正、疎水基の基数は負で示される値である。
【0062】
これら水溶性高分子のうち、特に好ましいものは、ノニオン性の水溶性高分子および−COO-M+基を有するアニオン性の水溶性高分子である。
ノニオン性の水溶性高分子としては、ノニオン高分子界面活性剤、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。−COO-M+基を有するアニオン性の水溶性高分子としては、アクリル酸系共重合体、メタクリル酸系共重合体等が挙げられる。
【0063】
また、水溶性高分子としては、界面活性作用を有し、インク中に単独で添加した時に、インク表面張力を35〜50mN/mの範囲内にし得るものが好ましい。かかる機能を有する水溶性高分子としては、ノニオン性およびアニオン性の水溶性高分子が挙げられ、ノニオン性の水溶性高分子としては、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。アニオン性の水溶性高分子としては、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体、n−ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体、n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−エチルへキシルメタクリレート/アクリル酸共重合体、2−エチルへキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0064】
(界面活性剤)
本発明のインク中には、印字時のドライング時間短縮のために、公知の各種界面活性剤を含有する。界面活性剤としては、公知の各種界面活性剤を挙げることができ、ノニオン、アニオン、カチオンあるいは両性界面活性剤の何れでもよいが、自己分散顔料の親水官能基や水溶性高分子のイオン性との相互作用を抑えるため、同種のイオン性またはノニオン性が好ましく、特にノニオン性界面活性剤が好ましい。界面活性剤は前記水溶性高分子と併用して使用される。
【0065】
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール誘導体(サーフィノール)等が挙げられる。
【0066】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩およびスルホン酸塩、高級アルキルスルホンアミドのアルキルカルボン酸塩、スルホコハク酸塩およびそのエステル塩、アルキル亜リン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルフォスフォン酸塩およびそのエステル、高級アルコールリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0067】
カチオン界面活性剤としては、第一、第二、第三級のアミン塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
また、両性界面活性剤としては、ベタイン、スルホベタイン、サルフェートベタイン等が挙げられる。
【0068】
その他、ポリシロキサンポリオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルスルフォン酸、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤、天然もしくはバイオサーファクタント類のレシチン、スピクリスポール酸、ラムノリピド、サポニン、コール酸塩等が挙げられる。
【0069】
これらの界面活性剤は、単独でもあるいは2種以上混合して用いてもよい。これら界面活性剤の分子量は、150〜1000の範囲であることが必要である。分子量150未満の界面活性剤は、実質的に存在しない。一方、分子量が1000〜20,000の場合は、水溶性高分子として使用することができる。
本発明における界面活性剤の含有量は、インク全量に対し0.01〜1.5重量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。0.01重量%未満では、界面活性剤の添加効果が得られない。また、1.5重量%を超えると、記録媒体上での浸透作用が高くなりすぎ画質劣化を招いてしまう場合がある。
【0070】
本発明において、界面活性剤のHLBとしては5〜14の範囲であることが好ましく、より好ましくは5〜12の範囲である。HLBが5より低いと、水に十分に溶解出来なくなる場合がある。一方、HLBが14を超えると、親水性が高くなりすぎ、光学濃度を高く保てない場合がある。また、界面活性剤のHLBは水溶性高分子のHLBと近いことが望ましい。両者のHLBの差としては、好ましくは±5以内、より好ましくは2.5以内である。
【0071】
(低分子アルコールおよび尿素)
本発明のインク中には、分散安定性や目詰まり防止等の信頼性向上のため低分子アルコールおよび/または尿素をインク中に含有することが好ましい。低分子アルコールおよび尿素は、それぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。目的に合わせて使用することができる。
【0072】
低分子アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等の炭素数10以下のアルコール類が挙げられる。
【0073】
低分子アルコールの含有量としては、インク全量に対し0.1〜10重量%の範囲、好ましくは0.5〜5重量%の範囲とすることが望ましい。0.1重量%以下では、低分子アルコール添加によるインクの信頼性向上効果が得られない。一方、10重量%を超えると、用紙上の滲み劣化が進行し印字品質を低下させてしまう場合がある。
【0074】
尿素の含有量としては、インク全量に対し1〜10重量%の範囲塗することが好ましく、より好ましくは2〜7重量%の範囲である。1重量%未満では、尿素添加によるインクの信頼性向上効果が得られない。一方、10重量%を超えると、用紙上で析出してしまい、画像に凹凸が現れ、印字品質を低下させてしまう場合がある。
【0075】
(各種添加剤)
本発明のインクには、必要に応じて、その他添加剤を添加することができる。該その他添加剤としては、pH調整剤、ハイドロトロピー剤、キレート化剤、包接化合物、酸化剤、酸化防止剤、還元剤、酵素、殺菌剤、消泡剤、研磨剤等を挙げることができる。
【0076】
必要に応じてpH調整を行うためのpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、硫酸ナトリウム、酢酸塩、乳酸塩、安息香酸塩、トリエタノールアミン、アンモニア、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、リン酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム等のアルカリや、酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、プロピオン酸、P−トルエンスルフォン酸等の有機酸または無機酸が挙げられる。また、その他一般のpHバッファ類、グッドバッファ類等も挙げられる。しかし、pH調整剤としては、これらに限定されるものではない。なお、本発明のインクのpHについては、後述する。
【0077】
ハイドロトロピー剤としては、酪酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム等のカルボン酸塩、トルエンスルホン酸ナトリウム等の芳香族スルホン酸塩、エチルアルコール等の低級アルコール、尿素、アセトアミド等が挙げられる。
キレート化剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、イミノ二酢酸(IDA)、エチレンジアミン−ジ(o−ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン−N,N,N’,N”,N”−五酢酸(DTPA)、グリコールエーテルジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(GEDTA)等が挙げられる。
【0078】
包接化合物としては、チオ尿素、デスオキシコール酸、ビス−(N,N’−テトラメチレンベンジジン)、シクロファン等が挙げられる。
その他、酸化剤、酸化防止剤、還元剤、酵素、殺菌剤、消泡剤、研磨剤等についても、従来公知のものを問題無く使用することができる。
【0079】
〔インクの物性〕
本発明のインクは、物性として、下記(b)〜(e)の条件を満たすものである。
(b)表面張力が、30〜50mN/mの範囲
(c)粘度が、1.5〜5.0mPa・sの範囲
(d)導電率が、0.001〜0.4S/mの範囲
(e)pHが、6〜11の範囲
以下、各物性毎に説明する。
【0080】
(b)表面張力
本発明のインクの表面張力としては、30〜50mN/mの範囲に調整される。表面張力がこの範囲より低いと、記録媒体としてのいわゆる普通紙に印字した場合、にじみが発生し易くなり、高解像の画像が得られない。一方、表面張力がこの範囲より高いと、記録媒体への浸透が遅くなり、画像の乾燥時間が長くなるので問題となる。本発明のインクの表面張力としては、30〜45mN/mの範囲とすることが望ましく、自己分散可能な顔料としてカーボンブラックを用いた場合には、当該望ましい範囲に調整することが、にじみの発生がなく、高解像度の画像が得られる点で特に望ましい。
【0081】
インクの表面張力は、既述の水溶性高分子または/および界面活性剤の種類、添加量等を適宜コントロールすることで、調整することができる。
なお、本発明において表面張力は、23℃、55%RHの環境において、ウイルヘルミー型表面張力計を用いて測定した値を用いた。
【0082】
(c)粘度
本発明のインクの粘度としては、1.5〜5.0mPa・sの範囲に調整されることが必須であり、好ましくは1.5〜3.5mPa・sの範囲、より好ましくは1.7〜3.5mPa・sの範囲に調整される。粘度が1.5mPa・sよりも小さい場合には、インクの保存安定性が低下する。一方、粘度が5.0mPa・sより大きい場合には、インクの吐出力が低下し、吐出ノズルが目詰まりした場合に回復し難い等の問題が生じる。特に、自己分散可能な顔料として、親水化処理したカーボンブラックを用いた場合には、インクの吐出性の点で、前記より好ましい範囲とすることが望ましい。
【0083】
インクの粘度は、水溶性有機溶媒の種類および添加量、水溶性高分子の種類、分子量、添加量等で調整することができる。
なお、本発明において粘度は、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて測定した値を用いた。測定は、被測定インクを測定容器に入れ、前記測定装置における所定の方法で、前記測定装置に装着して行った。測定温度は23℃、せん断速度は1400s-1とした。
【0084】
(d)導電率
本発明のインクの導電率としては、0.001〜0.4S/mの範囲に調整されることが必須であり、好ましくは0.005〜0.3S/mの範囲に調整される。導電率が0.001S/m未満では、印字を停止して長期間放置した場合に吐出が回復しにくくなり、また0.4S/mを超えると、インクの保存安定性が劣化し易い。特に、自己分散可能な顔料として、親水化処理したカーボンブラックを用いた場合には、長期放置後の吐出回復性の点で、0.005〜0.3S/mの範囲とすることが望ましい。
【0085】
インクの導電率は、水の量、水溶性有機溶媒の種類および添加量や、電解質物質の種類や量、その他組成により調整することができる。
なお本発明において導電率は、23℃の環境において、導電率計AOL−40−3302(DKK社製)を測定装置として用いて測定した値を用いた。
【0086】
(e)pH
本発明のインクのpHとしては、6.0〜11.0の範囲に調整されることが必須であり、好ましくは7.5〜9.0の範囲に調整される。pHが6.0未満では、インクが目詰まりしやすく、11.0を超えるとヘッド構成部材を腐食あるいは溶解し易くなる。特に、自己分散可能な顔料として親水化処理したカーボンブラックを用いた場合には、ノズルの目詰まり性の点で、6.0〜9.5の範囲とすることが望ましい。
【0087】
インクのpHは、各種酸、各種塩、pH調整剤、あるいは、バッファ類等の添加により調整することができる。
なお本発明においてpHは、23℃の環境において、ガラスpH電極を用いて測定した値を用いた。
【0088】
〔インクの調製〕
本発明のインクは、既述の各構成成分を混合し、溶解および/または分散させることにより調製することができる。特に、自己分散可能な顔料を本発明における所定の分散粒子の数平均粒子径に調整する為に、前記顔料を水性媒体(水を主体とした液体組成物であり、水溶性有機溶媒、水溶性高分子、界面活性剤等を含んでいてもよい。)に分散する工程を少なくとも1工程以上設けることが好ましい。
【0089】
前記顔料を水性媒体に分散する工程では、各種の攪拌、分散装置が使用できるが、ガラス、セラミック、金属等のボール或いはビーズ等、所謂分散メディアを使用する分散機を使用すると、顔料の粉砕、分散工程で分散メディアおよび分散容器の摩耗により、無機不純物が顔料分散液やインク中に大量に混入する場合が多い。したがって、分散メディアを用いない分散装置の使用が望ましい。特に超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーからなる群から選択された少なくとも1種以上の装置によって分散するのが好ましい。超音波ホモジナイザーで分散する際、真空引き、加温、市販の脱泡/脱気装置等により脱泡、脱気を行ってから分散するのが望ましい。分散メディアを使用する分散装置を使った場合は、必要に応じ、混入した無機不純物の除去を行う。
【0090】
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、以上説明した本発明のインクを、ドロップ量が5〜25plとなるように記録媒体に印字することを特徴とするものである。なお、勿論本発明において「印字」とは、文字を記録することのみならず、記録媒体に文字、絵、記号、模様、写真等あらゆる画像を記録すること全てを含む概念である。
【0091】
インクジェット記録方法としては、静電誘引力を利用してインクを吐出させるいわゆる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出させるいわゆる圧力パルス方式およびインクを加熱して気泡を形成、成長させることにより生じる圧力を利用してインク液滴を形成する所謂サーマルインクジェット方式等を挙げることができる。これらの中でも特にフルカラー画像を小型で安価に提供できる点で、サーマルインクジェット方式が好ましい。
【0092】
本発明において、印字の際に排出されるインクのドロップ量は、5〜25plであることが必須であり、より好ましくは5〜20plである。インクのドロップ量が5plより低いと、顔料の分散粒子が流路で詰まりやすくなるため、使用することが困難である。一方、インクのドロップ量が25plを超えると、急激に画質が悪化してしまう。本発明においては、前記本発明のインクを用い、かつインクのドロップ量を5〜25plとすることで初めて高画質、ドライング時間の短縮および信頼性の確保が出来るものである。
【0093】
上記本発明のインクジェット記録方法により、本発明のインクを単独で記録することもできるが、被画像部および/またはその隣接部に、1種または複数種の液体組成物を付着させることが好ましい。当該液体組成物の付着は、インクによる印字に先立ち、あるいは印字と同時に、行われる。前記液体組成物を記録媒体に付着させることで、乾燥時間の短縮、光学濃度の上昇、多色インクとの接触による混色の防止、画像定着強度の向上などの効果を発揮する。
【0094】
前記液体組成物は、水、水溶性有機溶媒を主体として、必要に応じて着色剤、界面活性剤、定着促進剤、その他添加剤を含んでもよい。
前記液体組成物における水、水溶性有機溶媒、界面活性剤としては、公知の物質を使用する事ができ、本発明のインク用として述べたものが問題無く使用できる。着色剤を含有する場合、当該着色剤としては、染料、顔料およびこれら混合物何れでもよいが、染料が好ましい。染料および顔料としては公知のものが使用できる。
【0095】
前記液体組成物における定着促進剤としては、各種の水溶性高分子およびポリマーエマルションが使用できる。水溶性高分子あるいはポリマーエマルションとしては、例えば、アクリル系高分子、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン等が好ましい。本発明のインク中の顔料がアニオン性の親水性官能基を有し、かつ、定着促進剤がカチオン性基を有する水溶性高分子である組み合わせが特に好ましい。
【0096】
カチオン性基を有する水溶性高分子としては、カチオン性の官能基を有するモノマー、例えばN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノアクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等を少なくとも含有する共重合体または単独重合体やポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリアミド類等が好ましい。
【0097】
また本発明のインク中の顔料が有する親水性官能基が少なくともアニオン性基からなる場合、定着剤促進剤として無機の多価カチオンを含有すことも好ましい。無機の多価カチオンとしては、例えば、Ca2+、Mg2+、Al3+、Fe2+、Fe3+、Zn2+、Ni2+、Co2+、Cu2+等が挙げられる。
【0098】
前記液体組成物には、界面活性剤を含有させることが、画像乾燥性の点で好ましい。前記液体組成物の表面張力としては、20〜40mN/mの範囲であることが好ましい。
【0099】
上記本発明のインクジェット記録方法においては、インクによる印字に先立ち、あるいは印字の前後に、被記録用紙を50℃〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を持たせた装置を使用することもできる。また、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHP等の記録媒体に直接印字する方法の他に、ドラム状あるいはベルト状等の中間体に印字し、該中間体表面でインク画像を整えてから記録媒体に転写して印字してもよい。
【0100】
【実施例】
[顔料分散液の作製]
(分散体1)
CAB−O−JET300(CABOT社製/固形分15.2%、自己分散性指標100%)を8000rpmで30分間遠心処理した後、純水で希釈し固形分10%の顔料分散体にし、分散体1とした。
【0101】
(分散体2)
スチレン/メタクリル酸共重合体Na塩(モノマー比50/50、重量平均分子量=7000、計算HLB=14.1)の水溶性高分子を顔料分散の分散剤として使用した。
【0102】
上記水溶性高分子45重量部(固形分10%水溶液)とイオン交換水210重量部とを混合し、攪拌しながら、カーボンブラックBPL(CABOT社製、自己分散性指標0%)45重量部を加え30分間攪拌した。その後、マイクロフルイダイザーで10000psi/30path分散した。分散後、1N−NaOH水溶液を用いて、pHを9に調整した。さらに、遠心分離装置で遠心分離を8000rpmで15分間実施した後、2μmメンブランフィルターを通過させた。得られた分散液を純水で希釈して固形分10%の顔料分散体にし、分散体2とした。
【0103】
[インクジェット記録インクの調製]
純水30重量部に、下記表1および表2に従い、顔料分散体を除くインクの各構成成分を添加し、30分間攪拌した。得られた液体に顔料分散体を添加し、さらに全量が100重量部になるように純水を加えた。その後、超音波ホモジナイザー(300W、400μA)で15分間処理をして粒度を調整した。さらに、2μmメンブランフィルターを通過させ、インクジェット記録インクを調製した。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
[インク物性の測定]
得られた実施例および比較例の各インクについて、以下の物性を測定した。結果を下記表3に示す。
1)粘度
インクの粘度は、レオマット115(Contraves製)を用い測定した。具体的には、被測定インクを測定容器に入れ、前記装置における所定の方法で装置に装着して行った。測定温度は23℃、せん断速度は1400s-1で測定した。
【0107】
2)表面張力
インクの表面張力は、ウイルヘルミー型表面張力計を用いて測定した。測定環境は、温度23℃、湿度55%RHで測定した。
【0108】
3)導電率
インクの導電率は、導電率計AOL−40−3302(DKK社製)を用いて測定した。測定温度は23℃で測定した。
【0109】
4)pH
インクのpHは、ガラスpH電極を用いて測定した。測定温度は23℃で測定した。
【0110】
5)顔料の分散粒子径
顔料の分散粒子の平均径(分散粒子径)は、マイクロトラックUPA粒度分析計9340(Leeds & Northrup社製)を用い、希釈なしで測定した。入力パラメータとしては、粘度はインク粘度、分散粒子の密度は1.8g/cm2とした。
【0111】
[印字テスト]
前記得られた実施例および比較例の各インクを用い、23℃、55%RHの環境において、試作したインクジェットプリンターで印字テストを行った。使用ヘッドとしては、ドロップ量が異なる2種、具体的には、800dpi(ドロップ量約15pl)および400dpi(ドロップ量約50pl)のものを使用した。使用した用紙は、代表的な普通紙としてFX−L紙(富士ゼロックス社製)を使用した。印字した画像は、ソリッドパッチ(3cm四方)および1ドットラインの2種類である。得られた画像について、以下の評価を行った。
【0112】
1)光学濃度測定
印字一日後のソリッドパッチ部を、エックスライト404(エックスライト社製)を用いて測定した。
【0113】
2)印字品質評価試験
1ドットライン部を、以下の基準で官能評価した。
1:滲みなし
2:わずかに滲みが認められるが許容範囲
3:滲みあり
4:多くの部分でヒゲ状の滲みあり
【0114】
3)乾燥時間
インクの乾燥時間は、ソリッドパッチ部において、印字直後からインク液体分が消えるまで(目視判定)の時間を計測した。
【0115】
[インクの信頼性]
前記得られた実施例および比較例の各インクについて、その信頼性に関する以下の試験を行った。結果を下記表3に示す。
1)安定性試験
各インク50gを蓋のついたガラス管に密閉し、70℃雰囲気で4時間放置、−20℃雰囲気で4時間放置、を1サイクルとして、計4サイクルの加速テストを行った。テスト前と後のサンプルを5g採り、1μmメッシュのフィルターおよび有効濾過径が2.5cm2のガラスホルダーを用いて減圧濾過を行い、サンプル全量を濾過するのに要した時間を測定し、以下の基準で評価した。
【0116】
◎:加速テスト後のフィルター通過時間の増加が20%未満
○:加速テスト後のフィルター通過時間の増加が20%以上50%未満
△:加速テスト後のフィルター通過時間の増加が50%以上100%未満
×:加速テスト後のフィルター通過時間の増加が100%以上
【0117】
2)回復性試験
既述の800dpiヘッド装着の印字装置を用いて、正常に印字できることを確認後、23℃、55%RH環境で一ヶ月間キャップしない状態で放置した。バキュームによる回復操作を正常に印字できるまで繰り返して、その回数を記録し、以下の基準で評価した。
◎:当初から正常に印字、または、1回で回復
○:2〜3回で回復
△:4〜5回で回復
×:5回で回復しない
【0118】
【表3】
【0119】
【発明の効果】
以上のように、本発明のインクジェット記録方法およびインクジェット記録インクによれば、普通紙上に画像を鮮明に再現し、優れた印字品質を得ることができる。また、高速印字適性を有する乾燥時間の短縮を普通紙上で実現することができる。さらに、保存時および使用時の高い信頼性を実現することができる。
【0120】
従って、本発明によれば、レポート用紙、コピー用紙、ボンド紙、上質紙等の普通紙、さらに、鮮明な画像を形成することが困難であった再生紙に於いても、短い乾燥時間と鮮明な画像を形成することができる。本発明は、熱インクジェット方式、ピエゾ方式、超音波、電界等を利用したインクジェット記録について、好適に適用することができる。
Claims (8)
- 少なくとも自己分散可能な顔料、水、水溶性有機溶媒、水溶性高分子および界面活性剤を含有し、かつ、下記(a)〜(h)の条件を満たすインクジェット記録インクを、ドロップ量が5〜25plとなるように記録媒体に印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
(a)前記顔料の分散粒子の数平均粒子径が、10〜60nmの範囲
(b)表面張力が、30〜50mN/mの範囲
(c)粘度が、1.5〜5.0mPa・sの範囲
(d)導電率が、0.001〜0.4S/mの範囲
(e)pHが、6〜11の範囲
(f)水溶性高分子が界面活性作用を有し、その重量平均分子量が1000〜200000の範囲
(g)界面活性剤の分子量150〜1000の範囲
(h)インク中における水溶性高分子と界面活性剤との含有量比が、20:1〜2:1の範囲 - 水溶性高分子が、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロック共重合体、および、ポリプロピレングリコールからなる群より選択されるノニオン性の水溶性高分子であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 水溶性高分子が、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体、n−ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体、n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−エチルへキシルメタクリレート/アクリル酸共重合体、および、2−エチルへキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体からなる群より選択されるアニオン性の水溶性高分子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 顔料の分散粒子の数平均粒子径が、37.5〜40.5nmの範囲、表面張力が、36.4〜41mN/mの範囲、粘度が、1.99〜2.12mPa・sの範囲、pHが、7.6〜7.8の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録インクであって、少なくとも自己分散可能な顔料、水、水溶性有機溶媒、水溶性高分子および界面活性剤を含有し、かつ、下記(a)〜(f)の条件を満たすことを特徴とするインクジェット記録インク。
(a)前記顔料の分散粒子の数平均粒子径が、10〜60nmの範囲
(b)表面張力が、30〜50mN/mの範囲
(c)粘度が、1.5〜5.0mPa・sの範囲
(d)導電率が、0.001〜0.4S/mの範囲
(e)pHが、6〜11の範囲
(f)水溶性高分子が界面活性作用を有し、その重量平均分子量が1000〜200000の範囲
(g)界面活性剤の分子量150〜1000の範囲
(h)インク中における水溶性高分子と界面活性剤との含有量比が、20:1〜2:1の範囲 - 水溶性高分子が、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロック共重合体、および、ポリプロピレングリコールからなる群より選択されるノニオン性の水溶性高分子であることを特徴とする請求項5に記載のインク。
- 水溶性高分子が、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体、n−ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体、n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−エチルへキシルメタクリレート/アクリル酸共重合体、および、2−エチルへキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体からなる群より選択されるアニオン性の水溶性高分子であることを特徴とする請求項5又は6に記載のインク。
- 顔料の分散粒子の数平均粒子径が、37.5〜40.5nmの範囲、表面張力が、36.4〜41mN/mの範囲、粘度が、1.99〜2.12mPa・sの範囲、pHが、7.6〜7.8の範囲であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載のインク。
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